JP2005514003A - 高いプライミング特異性を有するdnaの低温サイクル伸長 - Google Patents

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Abstract

本発明はサイクルシークエンシングおよびPCRのための低温サイクルDNA増幅においてプライマーまたはプライマー対を伸長する方法に関する。とりわけ方法は、DNAの融点(すなわち二本鎖DNAが変性する温度)を低下させる作用物質として低濃度のグリセロールもしくはエチレングリコールまたはその混合物の存在下での中程度の熱安定性DNAポリメラーゼの組み合わせ使用を企図する。直ぐ使用するために準備されたキットにおいて室温で数週間安定である、予め分配された、高忠実度および高プロセッシビティーDNAポリメラーゼの反応混合物もまた本発明により企図される。

Description

その遺伝物質がリボ核酸(RNA)である特定のウイルスを除いて、全ての公知の生存生物の遺伝物質はデオキシリボ核酸(DNA)である。DNAは特定の配列で化学的に連結された個々のデオキシヌクレオチドの鎖からなる。各デオキシヌクレオチドはアデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)またはチミン(T)でよい4つの窒素含有塩基、およびその3’位にヒドロキシル基が結合し、そしてその5’位にリン酸塩基が結合した五炭糖であるデオキシリボースを含有する。DNA鎖を形成する近接するデオキシヌクレオチドは、DNA分子の開始部がいつもデオキシリボースの5’炭素に結合したリン酸塩基を有しているように、1つのペントース環の5’位を隣のペントース環の3’位に連結するリン酸ジエステル結合により互いに連結されている。DNA分子の末端はいつもデオキシリボースの3’炭素上でOH(ヒドロキシル)基を有している。
DNAは通常、2つの逆並行DNA鎖が厳密に対応した「A−T」および「C−G」対合の様式で2つのDNA鎖の個々のヌクレオチドの塩基間の水素結合により維持されている二本鎖分子として存在する。遺伝子を決定するのはDNAの鎖における塩基の順序すなわち配列であり、今度は遺伝子が合成されるタンパク質の型を決定する。従って、タンパク質の遺伝子コードをも構成するDNA鎖における塩基の配列の正確な決定は、関係するタンパク質の特性を理解する基礎として重要である。
DNA分子の塩基の配列を決定するのに用いられる方法をDNAシークエンシングと称する。DNAシークエンシングの技術の中でもSangerら(1)により開発された酵素的方法が最も一般的である。これはDNAポリメラーゼが、4つの正常なデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)、すなわちdATP、dCTP、dGTPおよびdTTPの存在下でシークエンシングすべきDNA鋳型にアニーリングしたプライマーを伸長させる能力、ならびにヌクレオチドアナログ、ジデオキシヌクレオチド三リン酸(ddNTP)、すなわちddATP、ddCTP、ddGTPおよびddTTPが種々の長さで伸張するデオキシヌクレオチド重合体の伸長を停止させる能力に基づく。
二本鎖DNA鋳型を用いる酵素的重合反応では、標的DNAフラグメントを変性させる必要がある。そのために、二本鎖DNAを通常95℃まで加熱することにより分子を変性させ、2つの相補的一本鎖DNAフラグメントを生成する。酵素的DNA重合反応では、プライマーがその相補的配列にアニーリングした後、一本鎖鋳型が伸長して新たなDNA鎖を形成したとき、その融点を越える95℃まで加熱するとその鋳型から新たなDNA鎖を分離することができる。機能的DNAポリメラーゼおよびdNTPの存在下、酵素的DNA合成の別のサイクルに備えて冷却したときに、一本鎖鋳型を再びオリゴヌクレオチドプライマーとのアニーリングに利用する。高温で変性させた後、DNA合成の各サイクルを開始するために新たな酵素を添加する必要がないように、通常95℃までの加熱に耐え、そして55℃から72℃の温度で活性である熱抵抗性DNAポリメラーゼをその系に用いる。過剰のプライマーを鋳型と混合し、複数回温度サイクルを繰り返す場合、伸長した一本鎖標的フラグメントの数はサイクル毎に1倍増加する。A、C、GおよびT塩基の4つ全てを含むddNTPのセットまたはそのアナログが反応系の連鎖ターミネーターとして存在する場合、全てがその5’末端で同一のプライマーを有し、そして特異的ddNTPまたはそのアナログで終止し、レポーターとして蛍光色素で標識され得る種々の長さの多くの一本鎖DNAフラグメントが3’末端で生成される。これが蛍光色素標識DNAターミネーターを用いる自動化DNAサイクルシークエンシングの基本となる。
二本鎖DNA鋳型の標的配列の2つの末端に相補的な2つのプライマーのセット(1つは順行性、もう1つは逆行性)を前記のDNAサイクルシークエンシング系に用いる場合、新たに伸長したDNA鎖を次のDNA合成のサイクルにおけるさらなる鋳型として提供することができる。従って、加熱サイクルが複数回繰り返されると、標的配列フラグメントのコピー数が指数的に増幅される。これがポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の基本となる。
米国特許第5432065号 米国特許第5747298号 米国特許第5834253号 米国特許第6165765号 米国特許出願第09/735677号 米国特許第5834254号
実際には、蛍光色素標識ターミネーターおよびPCRを用いる自動化サイクルシークエンシングは双方共に、95℃の加熱温度に耐え得る熱抵抗性DNAポリメラーゼ、例えばThermus aquaticus DNAポリメラーゼ(Taq)およびその等価物の使用に依存している。しかしながら、熱抵抗性ポリメラーゼは通常低プロセッシビティーに随伴され、そして特定の予測不能な条件下で、とりわけ鋳型のGC富化DNAセグメント(すなわちチミンおよびアデニンの含量に相対して有意に高含量のグアニンおよびシトシンを含有するセグメント)が増幅されるかまたはシークエンシングされる場合、配列特異的ポリメラーゼ活性を喪失し得る。従って、一般に熱抵抗性DNAポリメラーゼよりも忠実度が高く、そしてプロセッシビティーが高い、熱不安定性のDNAポリメラーゼを用いる低温サイクルシークエンシングおよび低温PCRサイクルに適した条件を開発するための試みが為されている。例えば、米国特許第5432065号では、鋳型DNAの融点を低下させ、そしてサイクルプライマー伸長反応において80℃以下の温度でプライマーを伸長する、最終濃度40(容量/容量)%のグリセロールまたはエチレングリコールの、Bacillus caldotenaxおよびKlenowフラグメントに由来するDNAポリメラーゼと組み合わせた使用について記載されている。しかしながら、グリセロールがかかる高濃度であってもKlenow DNAポリメラーゼが低温サイクルプライマー伸長に有用でないことが後になって見出された。反応混合物にプロリンを添加してグリセロール濃度を17(容量/容量)%まで低下させると、70℃から37℃の範囲の温度でPCRサイクルにおけるKlenowポリメラーゼ活性を保護するようであった。(IakobashviliおよびLapidot)。低温サイクルプライマー伸長に関するこれらの手順により、高品質の配列特異的PCR産物が作成されず、またDNAシークエンシングに適した反応産物が作成されないことが有意に示されている。IakobashviliおよびLapidotは、とりわけ20から25塩基対(bp)の長さのプライマーを使用した場合、低温サイクルプライマー伸長で生成されたPCR産物が配列特異的ではないことが解っていると報告している。出願では低温範囲でKlenowポリメラーゼを用いる長いプライマー(例えば30から35bpの長さ)のサイクル伸長に成功した記載されていたが、系がかかる長いプライマーから有用な配列特異的増幅産物を作成することは示されていない。DNAサイクルシークエンシングおよびPCRで用いられるたいていのプライマーが30bpの長さよりも短いので、シークエンシングおよびさらなる分子分析に有用な増幅DNA産物を作成するために30bpよりも短い(好ましくは約20bp)プライマーの配列特異的伸長を達成することができる低温サイクル系が希求される。
この出願で記載する発明はかかる系を提供している。前記の問題点を考慮して、本発明者は自動化サイクルシークエンシングおよびPCRのためのサイクルDNA増幅においてプライマーまたはプライマー対を伸長する方法を開発した。とりわけ該方法はDNAの融点(すなわちDNAの二本鎖を変性させる温度)を低下させる作用物質として低濃度のグリセロールもしくはエチレングリコール、またはその混合物の存在下での中程度の熱安定性DNAポリメラーゼを企図している。本発明者は特定の濃度範囲でグリセロールおよび/またはエチレングリコールがDNA鋳型の融点を低下させるのみならず、中程度の熱安定性DNAポリメラーゼの重合活性を増強することを観察した。これらの酵素的反応系では、循環温度範囲は、通常DNAを変性するのに必要とされる温度よりもかなり低い70℃から37℃の間である。加えて、該方法は高プロセッシビティーで、好ましくはBacillus stearothermophilus、Bacillus caldotenaxまたはBacillus caldolyticusに由来する中程度の熱安定性DNAポリメラーゼを使用する。これらのポリメラーゼは65℃の最適反応温度を有するが、70℃を超えると急速に不活性化される;従って熱抵抗性DNAポリメラーゼ、例えばTaqおよびその対応する変種、並びに熱不安定性DNAポリメラーゼ、例えばKlenowフラグメントのいくつかの欠点を打破するためのサイクルプライマー伸長の重合酵素として非常に有用である。中程度の熱安定性DNAポリメラーゼはその天然の状態(例えば生物から精製されている)か、または修飾されていてよい。
従って、広範な態様では、本発明は、中程度の熱安定性(中等温度好性とも称する)DNAポリメラーゼの存在下、約10(容量/容量)%から約20(容量/容量)%(および好ましくは約15(容量/容量)%)グリセロール、エチレングリコール、またはその混合物を含む反応混合物において低い循環温度(すなわち約80℃以下の温度)で酵素的サイクルプライマー伸長反応を用いるプライマー(またはプライマー対)を伸長する方法を企図する。(「酵素的サイクルプライマー伸長反応」とは、反応混合物の温度がサイクルの変性、アニーリングおよびプライマー伸長に必要なレベルの間で繰り返し変動する場合、鋳型よりも過剰のプライマーの下で、限定数の鋳型分子を機能的なDNAポリメラーゼにより触媒されるDNA重合に繰り返し使用することができることを意味する。「中程度の熱安定性DNAポリメラーゼ」とは、65℃の最適反応温度を有するポリメラーゼであって、70℃を超えると急速に不活性化するポリメラーゼを意味する。)例えば約10(容量/容量)%から約20(容量/容量)%(および好ましくは約15(容量/容量)%)グリセロール、エチレングリコール、またはその混合物を含む反応混合物中でDNA鋳型を、プライマー(またはプライマー対)およびBacillus stearothermophilus、Bacillus caldotenaxまたはBacillus caldolyticusの1つに由来する中程度の熱安定性DNAポリメラーゼの天然または修飾形態と混合することができる。DNAポリメラーゼが約40℃から50℃の間でプライマーまたはプライマー対を繰り返し伸長するように、サイクル反応温度が約70℃の融点および約37℃の冷却(またはアニーリング)温度の間で変動する条件下で反応を実施することができる。方法は望ましい回数だけサイクルプライマー伸長反応を繰り返すさらなる工程を含むことができる。
別の態様では、鋳型に対して順行性プライマーおよび逆行性プライマー(この場合双方ともに種々の長さでよい)の存在下、(例えばPCRにおいて)加熱および冷却(またはアニーリング)サイクルを繰り返すことにより、二本鎖DNAの選択されたセグメントのコピーを増幅する。ここで再度、約10(容量/容量)%から約20(容量/容量)%(および好ましくは約15(容量/容量)%)グリセロール、エチレングリコール、またはその混合物を含む反応混合組成物中、前記した中程度の熱安定性DNAポリメラーゼの存在下、反応を低温(すなわち約80℃以下の温度)で進行させる。DNAポリメラーゼが約40℃から50℃の間で順行性および逆行性プライマーを繰り返し伸長するように、反応温度が約70℃の融点および約37℃の冷却(またはアニーリング)温度の間で変動する条件下で反応を実施することができる。方法は望ましい(例えばサイクル)回数だけ反応を繰り返すさらなる工程を含むことができる。
好ましい態様では、DNAポリメラーゼは米国特許第5747298号、米国特許第5834253号または米国特許第6165765号に記載されたもののうちの1つである。好ましくは、DNAポリメラーゼはBacillus stearothermophilus、Bacillus caldotenaxまたはBacillus caldolyticusから単離されたDNAポリメラーゼの95%以上の相同性を共有するアミノ酸配列を有する。
別の態様では、種々の長さの単一のプライマーの分子はddNTPまたはそのアナログの存在下、サイクルシークエンシングに特異的なヌクレオチド終止を伴って伸長する。
本発明はまた直接的なサイクルシークエンシングのために事前に単離または精製されることなくインビトロで増幅された二本鎖DNA産物の一本鎖コピーにアニーリングした一本鎖プライマーの分子を伸長する方法をも企図する。例えば、希釈した粗製増幅反応産物(好ましくは前記した中程度の熱安定性DNAポリメラーゼにより触媒される低温PCR反応で生成される)を鋳型として使用し、そして過剰量のシークエンシングプライマー、蛍光標識された4つの標準的なターミネーター(ddATP、ddGTP、ddTTPおよびddCTP)(または蛍光標識されたその対応するアナログ)、中程度の熱安定性DNAポリメラーゼ(好ましくは色素標識されたddNTPのサブセットの組み込みに対して本来の選択的識別が低減されているもの)、適当な濃度のdNTP(dATP、dGTP、dTTPおよびdCTP)、および約10(容量/容量)%から約20(容量/容量)%(および好ましくは約15(容量/容量)%)グリセロール、エチレングリコール、またはその混合物を含有する溶液中にバッファーを含む組成物と混合する。ついで(複数の)標準的なサイクルプライマー伸長反応を80℃以下の温度で十分な回数進行させて、望ましい種々の長さまでシークエンシングプライマー分子を伸長することができ、その伸長された分子は蛍光標識されたddNTPまたはその対応するアナログにより特異的に終止する。好ましくは、サイクル反応温度は約70℃の融点および約37℃の冷却(またはアニーリング)温度の間で変動する。
1つの好ましい態様では、DNA鎖をシークエンシングする方法は:
i)プライマーをシークエンシングすべきDNA鋳型にハイブリダイズさせる工程と;および
ii)それによりサイクル反応温度は約70℃の融点および約37℃の冷却(またはアニーリング)温度の間で変動する、約10(容量/容量)%から約20(容量/容量)%(および好ましくは約15(容量/容量)%)グリセロール、エチレングリコール、またはその混合物を含有する溶液、十分量のデオキシヌクレオチド塩基、dATP、dGTP、dCTPおよびdTTP、ならびに4つのジデオキシヌクレオチドターミネーターまたはそのアナログの存在下で、そしてDNA鎖がシークエンシングされる条件下で、前記したDNAポリメラーゼの1つを用いてプライマーを伸長させる工程と;
を含むことができる。好ましくは、デオキシヌクレオチドの1つは放射性同位元素で標識されているか、またはプライマー分子が蛍光色素標識されており、さらに好ましくは、全てのジデオキシヌクレオチドターミネーターは蛍光色素標識されている。
別の態様では、本発明は約80℃以下の温度で低温サイクルプライマー伸長反応での使用に適した、直ぐ使用できるように準備された乾燥または液体の反応混合物またはキットを必要とする。この反応混合物またはキットは、DNA増幅における使用またはジデオキシリボヌクレオチドアナログでの特異的伸長終止に適した、少なくとも1つの酵素的DNAプライマー伸長反応成分と予め混合された中程度の熱安定性DNAポリメラーゼ(例えば前記したものの1つ)を含む。好ましくは、反応混合物はマイクロ遠心チューブに、またはマルチプルウェルプレート、例えば大規模な自動化PCRまたは大規模な自動化DNAシークエンシングに適したものに予め分配されている。この直ぐ使用できるように準備された反応混合物またはキットを約22℃から約25℃の室温で、少なくとも8週間、DNAプライマー増幅または伸長終止に特異的なその重合活性を喪失することなく保存することができる。
本発明のさらなる目的および利点は以下の記載および実施例から明らかになろう。
図1−6についてのさらなる詳細は以下の記載および実施例に含まれる。
前記したように、本発明は、グリセロール、エチレングリコールおよびその混合物からなる群から選択される作用物質の低濃度の存在下、中程度の熱安定性DNAポリメラーゼ(例えばBacillus stearothermophilus、Bacillus caldotenaxまたはBacillus caldolyticus)の独特な組み合わせを必要として、80℃以下の温度で自動化サイクルシークエンシングおよびPCRのためのサイクルDNA増幅においてプライマー(またはプライマー対)を伸長させる方法を提供する。本発明者はグリセロールおよびエチレングリコールの双方が低濃度で中程度の熱安定性DNAポリメラーゼの配列特異的DNA重合活性をインビトロで増強することを見出した。高濃度、例えば35%以上では、グリセロールおよびエチレングリコールの双方がこれらの酵素のDNA重合活性に有害な阻止効果を呈する。しかしながら本発明者は、二本鎖DNA鋳型が70℃で変性するが、低温配列特異的サイクルプライマー伸長の間、中程度の熱安定性DNAポリメラーゼの重合活性を保存することができる最適濃度のグリセロールおよびエチレングリコールの反応混合物を達成した。
例えば、本発明者は最初に65℃の最適酵素反応温度、約20%までのグリセロール最終濃度により、中程度の熱安定性DNAポリメラーゼの5’−3’重合活性が増強されることを観察した(例えば図1参照)。しかしながら、グリセロールの濃度を約35%以上まで上昇させた場合、この酵素活性が定常的に抑制された。グリセロールの濃度を40(容量/容量)%まで上昇させた場合、この群のDNAポリメラーゼは通常元来の重合活性の3分の2(2/3)以上を喪失した。40% グリセロールを含有する溶液中での中程度の熱安定性DNAポリメラーゼを用いる低温サイクル伸長により、種々のフラグメントサイズの不明瞭な非特異的増幅産物が生成される(例えば図2参照)。
本発明者は35% グリセロールの存在下、中程度の熱安定性DNAポリメラーゼ、例えばBst変異体またはBcaにより触媒される低温サイクルプライマー伸長反応により、250bpおよび400bpの長さの標的産物を全く増幅しないという結果に至ることを見出した。DNAのさらに長いセグメント、例えば1kbおよび2kbの長さが増幅標的である場合、明白に増幅される;しかし反応産物は非特異的である(例えば図3参照)。
低濃度、例えば15(容量/容量)%のグリセロール、およびBst変異体またはBca DNAポリメラーゼを用いて、250bp未満から2kb以上の長さの配列特異的増幅産物を生成することができることがさらに見出された(例えば図3参照)。
例えば約10(容量/容量)%から約20(容量/容量)%、好ましくは約15(容量/容量)%の低濃度のグリセロールを用いて、中程度の熱安定性DNAポリメラーゼと組み合わせたサイクルプライマー伸長のDNA融点を低下させて配列特異的増幅産物を生成することができる。
この低温サイクル伸長系では、30塩基対未満、20塩基対よりも短いものさえ含む広範な長さのDNAフラグメントを配列特異的伸長のためのプライマーとして使用することができる(例えば図4参照)。熱不安定性DNAポリメラーゼ、例えばKlenowフラグメントはさらなる分析に有用な、なんらかの有意な量の増幅産物を生成することができない(例えば図4参照)。双方ともに熱抵抗性Taq DNAポリメラーゼの修飾された形態であるThermoSequenaseTMおよびAmpliTaqTMは低温サイクル伸長系のさらなる分析に有用な配列特異的産物を生成することができない。しかしながら、最適高温(95℃で溶融)サイクル伸長条件下では、これらの2つの酵素はたいていのDNA鋳型にアニーリングしたプライマーをGC富化セグメントに遭遇するまで伸長することができる。低温サイクル伸長のための、中程度の熱安定性DNAポリメラーゼを使用した結果と比較して、高温サイクル伸長の下での熱抵抗性DNAポリメラーゼの低プロセッシビティーが、公知のGC富化の鋳型の自動化サイクルシークエンシングに使用した場合に明白になる。熱抵抗性DNAポリメラーゼは鋳型のGC富化セグメントの下流で配列特異的ddNTP終止を生成しないが、一方中程度の熱安定性DNAポリメラーゼ、例えば変異Bst−IIはDNAポリメラーゼサイクル伸長の間のGC富化の妨害を打破に成功することができる(例えば図5参照)。
前記したように、中程度の熱安定性DNAポリメラーゼの使用は本発明の方法に非常に重要である。「中程度の熱安定性」とはこれらのポリメラーゼが65℃の最適反応温度を有するが、70℃を超えると急速に不活性化されることを意味する。そのためには、本発明はBacillus stearothermophilus(Bst)、Bacillus caldotenax(Bca)またはBacillus caldolyticus(Bcy)の1つまたはそれ以上のから得られる、または誘導されるDNAポリメラーゼを企図する。これらの生物の3つ全ては、そのDNAポリメラーゼが熱安定性(65℃で最も活性)と称されているが、70℃またはそれを超えると不活性化されるので、中等温度好性微生物として分類される。これはその他の酵素、例えば真の好熱性であるTaqと対照的であり、すなわちTaq DNAポリメラーゼは95℃以上の高温に耐え、そして依然活性である。これらの中等温度好性バシラス株、とりわけBacillus stearothermophilusは、DNAサイクルシークエンシングおよびPCR適用に有用なDNAポリメラーゼを生成する。
好ましい態様では、鋳型上のDNAプライマー伸長の間、DNAポリメラーゼが鋳型のヌクレオチドに正確に対合するヌクレオチドを除去するように機能するよりも早い速度で、DNAポリメラーゼがDNA鎖の3’末端から誤対合ヌクレオチドを切除するように機能するように、中程度の熱安定性(しばしば中等温度好性とも称される)DNAポリメラーゼがプルーフリーディング3’−5’エクソヌクレアーゼ活性を有し得る。本発明者は米国特許第5834253号、米国特許第5747298号および米国特許第6165765号においてもかかるDNAポリメラーゼについて記載している(その全ての内容を出展明示により全て本明細書の一部とする)。Bacillus stearothermophilusの1つの株(識別目的でNo.320株と称する;米国特許第5747298号にて記載)はプルーフリーディング3’−5’エクソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼ(Bst320と称する)を生成し、この活性はBacillus stearothermophilusのその他の株から単離されたDNAポリメラーゼでは存在しない。(本発明では「プルーフリーディング」なる用語は、DNAシークエンシング中に鋳型のヌクレオチドに正確に対合するヌクレオチドが除去される速度よりも速い速度で、DNAポリメラーゼが新たに形成されたDNA鎖の3’末端から誤対合ヌクレオチドを除去できることを意図している。)Bst320株は1995年10月30日に、12301 Parklawn Drive、Rockville、Meryland 20852に位置するAmerican Type Culture Collectionに寄託され、ATCC表示番号55719が与えられている。Bst320から単離されるDNAポリメラーゼは、Bacillus stearothermophilusのその他の公知の株、例えばRiggsら(ジェンバンク受け入れ番号L42111)およびPhangら(ジェンバンク受け入れ番号U23149)により寄託された株のDNAポリメラーゼと同様に587個のアミノ酸から成る。しかしながら、Bst320はRiggsらにより寄託されたBacillus stearothermophilus DNAポリメラーゼとタンパク質レベルで89.1%の配列同一性しか共有せず、そしてPhangらにより寄託されたBacillus stearothermophilus DNAポリメラーゼとタンパク質レベルで87.4%の配列同一性しか共有しない。ちなみにRiggsらにより寄託された前記の参照酵素およびPhangらにより寄託された酵素はそのアミノ酸配列同一性を96.9%共有する。
本発明者は異なる種であるBacillus caldotenax(Bca)から単離された熱安定性DNAポリメラーゼについて研究し、これもまた65℃で最適な活性温度を有している。本発明者は、Bst320 DNAポリメラーゼがBca DNAポリメラーゼと88.4%のアミノ酸配列同一性を共有することを見出した(Uemoriら、J.Biocehem.113:401−419(1993))。アミノ酸配列相同性に基づいて、Bst320 DNAポリメラーゼは、Bacillus stearothermophilusから単離されたDNAポリメラーゼに対するのと同様に、Bacillus caldotenax、すなわちバシラスの別の種から単離されたDNAポリメラーゼに近い。Bst320 DNAポリメラーゼおよびBca DNAポリメラーゼの双方が機能的に3’−5’エクソヌクレアーゼ活性を呈し、これは大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼIモデルまたはその他の公知のBacillus stearothermophilusポリメラーゼにあるような公知のアミノ酸配列エクソヌクレアーゼモチーフI、IIおよびIIIに随伴されないこともまた見出された。
以下のアミノ酸配列を有する1つの好ましいBst DNAポリメラーゼが320株から単離される:
Figure 2005514003
文字は以下のアミノ酸を表す:
A:アラニン(Ala) M:メチオニン(Met)
C:システイン(Cys) N:アスパラギン(Asn)
D:アスパラギン酸(Asp) P:プロリン(Pro)
E:グルタミン酸(Glu) Q:グルタミン(Gln)
F:フェニルアラニン(Phe) R:アルギニン(Arg)
G:グリシン(Gly) S:セリン(Ser)
H:ヒスチジン(His) T:スレオニン(Thr)
I:イソロイシン(Ile) V:バリン(Val)
K:リジン(Lys) W:トリプトファン(Trp)
L:ロイシン(Leu) Y:チロシン(Tyr)
このBst320 DNAポリメラーゼはプルーフリーディング3’−5’エクソヌクレアーゼ活性を有することにより特徴づけられる。
Bst320 DNAポリメラーゼをコードするヌクレオチド配列を以下の配列番号:1に示す:
DNA配列(単離された/精製された):
Figure 2005514003
文字は以下のヌクレオチドを表す:
A:アデノシン、T:チミジン、C:シチジン、G:グアノシン
しかしながら、本発明では非常に有用であるが、中等温度好性株であるBacillus stearothermophilus、Bacillus caldotenaxまたはBacillus caldolyticusのDNAポリメラーゼの欠点は、DNAシークエンシング中にこれら全てが蛍光色素標識ddNTPのある特定のメンバー、すなわち蛍光色素標識ddCTPおよび蛍光色素標識ddATPの組み込みに対して、酵素反応中のDNAフラグメント伸長の3’末端へのターミネーターとして高度に選択的な識別を呈するということである。この特有の特性である、Bacillus stearothermophilusおよびBacillus caldotenaxから単離された天然DNAポリメラーゼの蛍光色素標識ddCTPおよびddATPの組み込みに対する選択的識別は、最近本発明者により認識されただけであった。かかる選択的識別は明らかに配列関連性であり、そして単にdNTPの濃度の調整により修正または補正することはできない。
従って、別の好ましい態様では、使用したDNAポリメラーゼは、色素標識ターミネーター自動化DNAサイクルシークエンシングの間に、別の2つの色素標識ddNTPターミネーター(ddTTPおよびddGTP)の組み込み速度を過剰に上昇させることなく、蛍光色素標識ddCTPおよび蛍光色素標識ddATPの組み込みに対して本来の選択的識別を低減させる中等温度好性バシラスDNAポリメラーゼ(例えばBacillus stearothermophilus、Bacillus caldotenaxおよびBacillus caldolyticus)である。かかるDNAポリメラーゼについては、本発明者により米国特許第6165765号に記載されている(その全ての内容を出展明示により全て本明細書の一部とする)。
例えば、選択的識別を低減するこの能力を有するポリメラーゼを、Bacillus stearothermophilus、Bacillus caldotenaxおよびBacillus caldolyticusの株から得るか、もしくはそうでなければ誘導するか、または合成することができ、この場合、天然発生DNAポリメラーゼのアミノ酸配列は各々Bst320 DNAポリメラーゼの342−344位置に相当する位置でロイシン−グルタミン酸―グルタミン酸を、およびBst320 DNAポリメラーゼの422位置に相当する位置でフェニルアラニンを有している。例えば、Bacillus stearothermophilus、Bacillus caldotenaxおよびBacillus caldolyticusの別の株に由来するDNAポリメラーゼを、前記で同定されたアミノ酸またはヌクレオチド置換を含むように慣用されるDNA修飾技術を用いて容易に修飾することができる。
以下のアミノ酸配列は、本発明の別の好ましい態様として、342−344位置でスレオニン、プロリンおよびロイシンを各々ロイシン、グルタミン酸およびグルタミン酸に、ならびに422位置でチロシンをフェニルアラニンに置換するように天然発生Bst320 DNAポリメラーゼから修飾された、修飾Bst320 DNAポリメラーゼ(本明細書で「Bst II」または「HiFi BstII」とも称する)を表す。
Figure 2005514003
下線を付したアミノ酸は天然発生Bst320 DNAポリメラーゼの部位特異的変異により生成された置換アミノ酸である。
修飾されたBst320 DNAポリメラーゼは例えば以下(配列番号:3)のDNA配列によりコードされる:
Figure 2005514003
文字は以下のヌクレオチドを表す:
A:アデノシン、T:チミジン、C:シチジン、G:グアノシン
下線を付したヌクレオチドTACは、天然発生Bst320ポリメラーゼの部位特異的変異により生成された置換ヌクレオチドである。(当業者には明らかなように、このDNA配列は出発コドンを示していない。)
DNAポリメラーゼはまたBst320または修飾されたBst320DNA配列に相補的であるDNA配列、例えばストリンジェント条件下で前記のDNA配列の1つにハイブリダイズするDNA配列を有しているものでもよい。当業者には理解されるように、DNA配列はまたこれらの特徴および特性を有しているペプチドをコードするもの(縮重DNAコードを含む)をも企図する。
企図されるDNA配列およびアミノ酸配列には、DNAポリメラーゼの機能またはその特徴における実質的な変化に至らないアレル変種および変異体(例えばヌクレオチドまたはアミノ酸配列の付加または欠失、配列組換えまたは置換または変化)などがある。例えば、DNAポリメラーゼは機能的には変化(すなわち形質転換宿主細胞により引き起こされるこれらの変化)しないヌクレオチドまたはアミノ酸の重要でない置換を包含する。加えて、本発明はDNAポリメラーゼの融合タンパク質およびムテインを含むことを意図する。
修飾されたおよび修飾されていないDNAポリメラーゼのDNA配列およびアミノ酸配列はまた、例えばBacillus stearothermophilus、またはBacillus stearothermophilusに由来するその他の細菌株、またはその他の中等温度好性バシラス株、例えばBacillus caldotenaxおよびBacillus caldolyticusからDNAポリメラーゼを単離および精製することにより得ることができる。これらの生物から得られるDNAポリメラーゼは、修飾されていないアミノ酸配列が、Bst320 DNAポリメラーゼの312−344位置に各々相当する位置でロイシン−グルタミン酸を有し、そしてBst320 DNAポリメラーゼの422位置に相当する位置でフェニルアラニンを有している限り、慣用されるDNA修飾技術を用いて容易に修飾して、高忠実度で、高プロセッシビティーの熱安定性および蛍光色素標識ddCTPおよびddATP選択的識別の低減の特性を達成することができる。例えば本明細書に記載するプライマーおよびスクリーニング方法を用いて、当業者は同一の特性および機能を有しているDNAポリメラーゼをその他の株から単離することができる。
別の好ましい態様では、高度に安定な、例えばDNAシークエンシングの乾燥処理に耐えて生存し続けるのに十分安定な酵素活性を有しているDNAポリメラーゼを使用する。かかるDNAポリメラーゼは本発明者により米国特許出願第09/735677号(その内容は出展明示によりその全てを本明細書の一部とする)に記載されている。これらの修飾Bst DNAポリメラーゼは安定性特性が増強されており、低温で凍結乾燥または乾燥できるか、または直ぐ使用できるように準備された液体反応混合物で、例えば溶液に再構成した場合に、長時間(例えば、少なくとも8週間)室温で、dNTPおよびddNTP、またはそのアナログの伸長したプライマーの3’末端への正確な組み込みのためにDNAポリメラーゼとしてのその品質を有意に喪失することなく保存することができる。すなわち溶液に再構成し、そして標準的なDNAシークエンシングにおいて使用する場合に、対照(例えば非凍結乾燥または非乾燥)DNAポリメラーゼと比較して、生成された配列の品質において有意な変動がない。凍結乾燥または乾燥および続く再構成の後、これらのポリメラーゼを公知のDNAシークエンシングプロトコルに用いて優れた品質のDNA配列を生成することができる。これらのDNAポリメラーゼ、はまた野生型Bst DNAポリメラーゼよりも熱安定性が高いことも実証されている。例えば、これらのポリメラーゼは典型的には65℃で約16分のポリメラーゼ活性の半減期を有しており、これは野生型Bst DNAポリメラーゼのおよそ2倍の長さである。
この開示全体で、「HiFi Bst」または「Bst320」DNAポリメラーゼとは、Bacillus stearothermophilusのNo.320と称する株の細胞から単離されるか、またはこの天然発生DNAポリメラーゼをコードする遺伝子の過剰発現により生成されるプルーフリーディング3’−5’エクソヌクレアーゼ活性を有している修飾されていない天然発生DNAポリメラーゼを意味する。(前記したように、このBst株No.320およびDNAポリメラーゼは米国特許第5747298号および米国特許第5834253号に記載されている。)「HiFi Bst−II」とは、蛍光色素標識ddCTPおよびddATPに対する選択的識別を低減させる能力を有している「HiFi Bst」DNAポリメラーゼの修飾形態を意味する。HiFi Bst−IIは本発明の1つの好ましい態様の実例である。(Bst株およびDNAポリメラーゼは米国特許第6165765号に記載されている。)Bst−IIはまた乾燥もしくは凍結乾燥されるか、または直ぐ使用できるように準備された液体反応混合物で適当な溶液に再構成した場合に長時間(例えば、少なくとも8週間)室温で、dNTPおよびddNTPまたはそのアナログの伸長されたプライマーの3’末端への正確な組み込みのためにDNAポリメラーゼとしてのその品質を有意に喪失することなく保存されるのに十分な安定性をも有している。(このBst株およびDNAポリメラーゼは添付の米国特許出願第09/735677号に記載されている。)
従って、本発明の方法の1つの態様では、本発明は低い循環温度(すなわち、約80℃以下の温度)での酵素的サイクルプライマー伸長反応を用いるプライマー(またはプライマー対)を伸長する方法を企図する。反応混合組成物は約10(容量/容量)%から約20(容量/容量)%(好ましくは約15(容量/容量)%)グリセロール、エチレングリコールまたはその混合物を含む。中程度の熱安定性DNAポリメラーゼ、例えば前記したものの1つの存在下で反応を進行させる。理想的には、DNAポリメラーゼがプライマーまたはプライマー対を繰り返し伸長するように、サイクル反応温度が約70℃の融点および約37℃の冷却(またはアニーリング)温度の間で変動する条件下で反応を実施する。望む回数だけサイクルプライマー伸長反応を繰り返すさらなる工程を方法に含めることができる。
別の態様では、PCRまたはPCR様反応物を80℃以下の温度で進行させることができる。この方法では、加熱および冷却(またはアニーリング)サイクルを繰り返すことにより、鋳型に対して順行性プライマーおよび逆行性プライマー(この場合双方共に種々の長さでよい)の存在下で二本鎖DNAの選択されたセグメントのコピーを増幅させる。反応混合組成物は、前記した中程度の熱安定性DNAポリメラーゼの存在下で約10(容量/容量)%から約20(容量/容量)%(好ましくは約15(容量/容量)%)グリセロール、エチレングリコールまたはその混合物を含む。DNAポリメラーゼが順行性および逆行性プライマーを繰り返し伸長するように、サイクル反応温度が約70℃の融点および約37℃の冷却(またはアニーリング)温度の間で変動する条件下で反応を実施するのが好ましい。望む回数だけサイクルプライマー伸長反応を繰り返すさらなる工程を方法に含めることができる。
さらなる態様では、ddNTPまたはそのアナログの存在下、約80℃以下の低温サイクルシークエンシングに特異的なヌクレオチド終止を有する中程度の熱安定性DNAポリメラーゼにより種々の長さの単一のプライマー分子を伸長する。ddNTPアナログは、自動色素標識ターミネーターDNAサイクルシークエンシングで用いられるものと同様に、ddNTPの各メンバーが異なる波長を放射するように蛍光色素標識されていてよい。またはその代わりに、蛍光色素標識プライマーDNAサイクルシークエンシング技術と同様に、修飾Sanger反応のための対応するddNTPの未標識メンバーとのペアリングに用いられるシークエンシングプライマーを4つの異なる色素で標識する。また別に、先行してPCR増幅を行わずに、少量のDNA鋳型を手作業で直接シークエンシングするための、放射性同位元素で標識したdATPを用いる古典的なSangerプロトコルに低温サイクルプライマー伸長終止反応を用いることができる。
別の態様は、直接サイクルシークエンシングのために先行して単離または精製を行わないで、インビトロで増幅された二本鎖DNA産物の一本鎖コピーにアニーリングした単一のプライマーの分子を伸長する方法を企図する。例えば、希釈した粗製増幅反応産物(好ましくは本明細書で記載した中程度の熱安定性DNAポリメラーゼにより触媒される低温PCR反応で生成される)を鋳型として用い、過剰量のシークエンシングプライマー、蛍光標識した標準的な4つのddNTPターミネーター(ddATP、ddGTP、ddTTPおよびddCTP)(または蛍光標識されたその対応するアナログ)、中程度の熱安定性DNAポリメラーゼ(好ましくは色素標識されたddNTPのサブセットの組み込みに対して本来の選択的識別が低減されているもの)、適当な濃度のdNTP(dATP、dGTP、dTTPおよびdCTP)、および約10(容量/容量)%から約20(容量/容量)%(および好ましくは約15(容量/容量)%)グリセロール、エチレングリコールまたはその混合物を含有する溶液中にバッファーを含む組成物と混合する。ついで(複数の)標準的なサイクルプライマー伸長反応を80℃以下の温度で十分な回数進行させて、望ましい種々の長さまでシークエンシングプライマー分子を伸長することができ、その伸長された分子は蛍光標識されたddNTPまたはその対応するアナログにより特異的に終止する。好ましくは、サイクル反応温度は約70℃の融点および約37℃の冷却(またはアニーリング)温度の間で変動する。
1つの好ましい態様では、DNA鎖をシークエンシングする方法は:
i)プライマーをシークエンシングすべきDNA鋳型にハイブリダイズさせる工程と;および
ii)それによりサイクル反応温度は約70℃の融点および約37℃の冷却(またはアニーリング)温度の間で変動する、約10(容量/容量)%から約20(容量/容量)%(および好ましくは約15(容量/容量)%)グリセロール、エチレングリコール、またはその混合物を含有する溶液、十分量のデオキシヌクレオチド塩基、dATP、dGTP、dCTPおよびdTTP、ならびに4つのジデオキシヌクレオチドターミネーターまたはそのアナログの存在下で、そしてDNA鎖がシークエンシングされる条件下で、前記したDNAポリメラーゼの1つを用いてプライマーを伸長させる工程と;
を含むことができる。好ましくは、デオキシヌクレオチドの1つは放射性同位元素で標識されているか、またはプライマー分子が蛍光色素標識されており、さらに好ましくは、全てが蛍光色素標識されている。
別の態様では、本発明は約80℃以下の温度で低温サイクルプライマー伸長反応での使用に適した、直ぐ使用できるように準備された乾燥または液体の反応混合物またはキットを必要とする。この反応混合物またはキットは、DNA増幅における使用またはジデオキシリボヌクレオチドアナログでの特異的伸長終止に適した、少なくとも1つの酵素的DNAプライマー伸長反応成分と予め混合された中程度の熱安定性DNAポリメラーゼ(例えば前記したものの1つ)を含む。好ましくは、反応混合物はマイクロ遠心チューブに、またはマルチプルウェルプレート、例えば大規模な自動化PCRまたは大規模な自動化DNAシークエンシングに適したものに予め分配されている。この直ぐ使用できるように準備された反応混合物またはキットを約22℃から約25℃の室温で、少なくとも8週間、DNAプライマー増幅または伸長終止に特異的なその重合活性を喪失することなく保存することができる。
本発明の方法の実例として、中程度の熱安定性DNAポリメラーゼを低温サイクルプライマー伸長に使用する場合、アニーリングおよびプライマー伸長の双方が45℃で同時に起こり得る。また別に、37℃をアニーリング温度として用い、そして45から50℃をプライマー伸長温度として用いることができる。(図6参照)。従って、以下のプロトコルAおよびプロトコルBの双方を効率のよい特異的増幅である低温循環工程に用いることができる:
(A)70℃で30秒間、および45℃で4分間、全部で35サイクル;または
(B)70℃で30秒間、37℃で20秒間および50℃で3分間、全部で35サイクル。
しかしながら、自動化サイクルシークエンシングのために酵素的プライマー伸長により蛍光色素標識ddNTP終止を有する反応産物を生成する場合には、プロトコルBが好ましい。本発明の方法はプロトコルAまたはBのいずれかに限定しないが、これらの2つのプロトコルは、これらの方法で効率的に作動する温度およびサイクルの実例であることに留意される。例えば、特定の環境下では、長い標的セグメントの増幅のためには伸長時間を約11分まで延長するのが望ましい。
別の実例では、本発明の方法をDNAサイクルシークエンシングのための増幅産物を生成するために用いる場合、過剰の単一のプライマーを15% グリセロールおよび中程度の熱安定性DNAポリメラーゼを含有する反応混合物に添加することができる。次いで一本鎖プライマーオリゴヌクレオチドを、蛍光標識されていてもよいddNTPまたはそのアナログの存在下、特異的ヌクレオチド終止を有する種々の長さまで伸長することができる。サイクルシークエンシングに用いる鋳型は、先行して単離および精製されていない、標的配列を含有する精製されたいずれかの二本鎖または一本鎖DNAフラグメント、または本発明で記載した二本鎖DNA鋳型の低温サイクル伸長されたプライマー鎖に由来する希釈された増幅産物のアリコートでよい。本発明で記載したように高忠実度および高プロセッシビティーを有する中程度の熱安定性DNAポリメラーゼを用いる低温サイクルプライマー伸長に由来する増幅産物は配列特異性が非常に高いので、DNAサイクルシークエンシングの鋳型として使用する前に、反応混合物からPCR産物を先行して単離することは一般に不必要である。
以下の非限定的な実施例は本発明の説明である。
中程度の熱安定性DNAポリメラーゼの5’−3’重合活性に及ぼすグリセロールの影響
異なる濃度のグリセロールの存在下でのBst−IIDNAポリメラーゼ(米国特許第6165765号に従って生成)の残存活性を以下のように決定した:
(a)一連の番号を付した0.5mlマイクロ遠心チューブに以下のものを添加した:
Figure 2005514003
前記の混物を最初にSpeed−Vacumにより蒸発させ、次いで適量のグリセロール・ストック溶液を前記のマイクロ遠心チューブに以下に指示するように添加することにより、各反応混合物でグリセロールの異なる最終濃度を達成した。
Figure 2005514003
(b)これらのチューブ全てを65℃で30分間インキュベートした。次いで各反応混合物をDE−81フィルターにピペッティングした。液体を全て蒸発させた後、各フィルターの放射活性の量をシンチレーションで測定し、Xとして記録した。その後、室温で0.3M NaHPO溶液でフィルターを各回10分間で3回洗浄し、室温で乾燥させ、次いで各フィルターの放射活性の量を再度測定し、Xとして記録した。組み込み率=X/X
残存活性(%)=
異なるグリセロール濃度における放射活性の組み込み率
グリセロール不含の放射活性の組み込み率
図1に示すように、20(容量/容量)%を超えない低濃度グリセロールはBst−II DNAポリメラーゼの酵素活性を増強させた。しかしながら、高濃度グリセロールは酵素に阻止効果を奏した。
中程度の熱安定性DNAポリメラーゼを用いる低温サイクルプライマー伸長に及ぼす40(容量/容量)%グリセロールの影響
Bst−II DNAポリメラーゼを研究に使用した。
鋳型:pBluescript(+)
順行性プライマー:5’GTAAAACGACGGCCAGT3’
逆行性プライマー:5’AACAGCTATGACCATG3’
実験手順:
(a)0.2mlマイクロ遠心チューブに以下のものを添加した:
鋳型 1 μl
(16ng/μlまたは160ng/μl)
順行性プライマー(10ピコモル/μl) 2.5μl
逆行性プライマー(10ピコモル/μl) 2.5μl
dNTP(各々2.5mM) 4 μl
5xRB 5 μl
(b)前記の混合物を最初にSpeed−Vacumにより蒸発させ、次いで以下のものを同一のマイクロ遠心チューブに添加した。
ddHO 11.75μl
80% グリセロール 11.75μl
Bst−II DNAポリメラーゼ 2 μl
(c)最終混合物を以下の温度サイクルに供した。
70℃で30秒間
45℃で4分間
35サイクル
反応産物を電気泳動のために1% アガロースゲルに流し、そして臭化エチジウムで染色した。
図2で説明する結果は、サイクルプライマー伸長のための二本鎖DNAの融点を低下させるための試薬として40% グリセロールの存在下、反応混合物中、低濃度または高濃度のいずれかの鋳型を用いる温度循環の間に種々の大きさの非特異的増幅産物を生成したことを示している。
中程度の熱安定性DNAポリメラーゼを用いる低温サイクルプライマー伸長に及ぼすグリセロールの濃度低下の影響
この実験は、グリセロールの濃度を約15%にまで低下させることは、中程度の熱安定性DNAポリメラーゼを用いる特異的サイクルプライマー伸長のためのDNA融点の低下に有用であることを実証するために設計された。
材料および方法
Bst−II DNAポリメラーゼを研究に使用した。
増幅すべきDNAセグメントの種々の長さを表す鋳型およびプライマーの4つの異なるセットを選択した:
鋳型A:pBluescript(+) 10ng/μl
順行性プライマー:5’GTAAAACGACGGCCAGT3’
逆行性プライマー:5’AACAGCTATGACCATG3’
鋳型B:ライスゲノムBAC DNA 10ng/μl
順行性プライマー:5’CTTAATTTAAGGTTCCGTG3’
逆行性プライマー:5’GCATTGGTAAGCAATGG3’
鋳型C:ハイブリダイゼーションプローブ 50ng/μl
順行性プライマー:5’ACAAAGCACTGAACCTG3’
逆行性プライマー:5’TGGGACCTATCGTGTTG3’
鋳型D:ライスゲノムに由来するBACのサブクローン 50ng/μl
順行性プライマー:5’CGAATTCCTGCAGCC3’
逆行性プライマー:5’GAACTAGTGGATCCCCC3’
以下のとおりに低温サイクル伸長を実施した:
(a)0.2mlマイクロ遠心チューブに以下のものを添加した:
鋳型 A、B、CまたはD 1 μl
順行性プライマー A、B、CまたはD(10ピコモル/μl) 2.5μl
逆行性プライマー A、B、CまたはD(10ピコモル/μl) 2.5μl
dNTP(各々2.5mM) 4 μl
5xRB 5 μl
(b)前記の混合物を最初にSpeed−Vacumにより蒸発させ、次いで蒸発させた試薬を含有する各マイクロ遠心チューブに鋳型およびプライマーの異なるセットを添加して、反応混合物中各々最終濃度35% グリセロールおよび15% グリセロールを達成した。
1.混合物中35%グリセロール 2.混合物中15%グリセロール
ddHO 12.1μl 18.3μl
80% グリセロール 10.9μl 4.7μl
ポリメラーゼ(1U/μl) 2 μl 2 μl
(c)反応混合物を含む全てのマイクロ遠心チューブを以下のとおり低温循環に供した。
70℃で30秒間
45℃で4分間
全部で35サイクル
反応産物を電気泳動のために1% アガロースゲルに流し、そして臭化エチジウムで染色した。35% グリセロールを含有する混合物に由来する反応産物をレーン1に負荷し、そして15% グリセロールを含有する混合物に由来する反応産物をレーン2に負荷した。
図3に説明する結果は、250bpまたは400bp長のDNAの短いセグメントがサイクルプライマー伸長の標的産物である場合、DNA融点を低下させるための試薬として35% グリセロールを用いる低温循環の期間中増幅産物を全く生成しなかった(図3A1およびB1)。例えば1Kbおよび2Kbの長さのより長い標的産物を理想的な条件下で増幅させる場合、融点を低下させるために35% グリセロールを用いると特異的および非特異的増幅産物の双方の生成を伴う酵素的サイクルプライマー伸長が達成された(図3C1およびD1)。
DNA融点を低下させるための試薬として15% グリセロールを用いる場合、中程度の熱安定性DNAポリメラーゼを用いて低温循環中に250bpから2kbの長さの範囲にある特異的増幅産物が生成された(図3A2、B2、C2およびD2)。
前記で示した実験結果に基づいて、反応混合物中低濃度、例えば最終約15%のグリセロールを特異的サイクルプライマー伸長においてDNA融点を低下させるための好ましい試薬として採用した。
中程度の熱安定性DNAポリメラーゼを用いる異なる長さのDNAプライマーの低温サイクル伸長
この実施例では、本発明の中程度の熱安定性DNAポリメラーゼを用いる低温サイクル伸長系を30塩基対の長さまでのプライマーの配列特異的伸長に使用することができることを実証するために実験を設計した。
ポリメラーゼはBst−I(米国特許第5834254号に従って生成された野生型)、Bst−II、およびBca(TaKaRa Co.)を使用した。比較のためにKlenowフラグメント(Sigma Cheical Co.)を熱不安定性DNAポリメラーゼとして使用した(IakobashviliおよびLapidot)。
使用した鋳型はライスゲノムBAC B414f7であった。
使用した2つのプライマー対は:
A:17塩基長順行性プライマー:5’TAG CTA TCT AAC TTA AT3’
17塩基長逆行性プライマー:5’TTG TTT CTC TGA TGC AT3’
B:30塩基長順行性プライマー:5’TAG CTA TCT AAC TTA ATT TAA GGT TCC GTG3’
30塩基長逆行性プライマー:5’TTG TTT CTC TGA TGC ATT GGT AAG CAA TGG3’
であった。
以下の反応系(以後Bst系と称する)を使用した。
(a)0.2mlマイクロ遠心チューブに以下のものを添加した:
鋳型(5ng/μl) 1 μl
順行性プライマー(15ピコモル/μl) 2.5μl
逆行性プライマー(15ピコモル/μl) 2.5μl
dNTP(各々2.5mM) 4 μl
5xRB 5 μl
ddHO 3.3μl
80% グリセロール 4.7μl
DNAポリメラーゼ(4U/μl) 2 μl
(b)マイクロ遠心チューブを以下のとおり温度循環に供した。
70℃で30秒間
37℃で20秒間
50℃で3分間
全部で35サイクル
反応産物を電気泳動のために1% アガロースゲルに流し、そして臭化エチジウムで染色した。
加えて、(IakobashviliおよびLapidotにより推奨されるTris−HClバッファー中4.5M プロリンおよび17% グリセロールを含有する反応混合物を用いる方法を、DNAポリメラーゼとしてKlenowフラグメントを用いる反応にも採用した(以後IakobashviliおよびLapidot系と称する)。また反応産物をBst系で得られたものと並行して流して図4のとおり説明した。
図4では、以下の反応産物が各々のレーンで示された:
A:17塩基長での反応産物:
A1:IakobashviliおよびLapidot系を用いるKlenowフラグメント
A2:Bst系を用いるKlenowフラグメント
A3:Bst系を用いるBst−Iポリメラーゼ
A4:Bst系を用いるBst−IIポリメラーゼ
A5:Bst系を用いるBcaポリメラーゼ
B:30塩基長での反応産物:
B1:IakobashviliおよびLapidot系を用いるKlenowフラグメント
B2:Bst系を用いるKlenowフラグメント
B3:Bst系を用いるBst−Iポリメラーゼ
B4:Bst系を用いるBst−IIポリメラーゼ
B5:Bst系を用いるBcaポリメラーゼ
分子リーダー:
M1:λDNA/HindIII
M2:DL2000(TaKaRa Co.、各々2000、1000、750、500、250および100bpのDNAフラグメントを有する)
図4は、低温循環に推奨されるように反応混合物中15% グリセロールを含有するBst系において、中程度の熱安定性DNAポリメラーゼ、すなわちBst−Iの天然形態、変異Bst−IIおよびBcaが17塩基長プライマー伸長(A3−A5)および30塩基長プライマー伸長(B3−B5)の結果として特異的増幅産物を生成した。しかしながら、熱不安定性DNAポリメラーゼであるKlenowフラグメントは、IakobashviliおよびLapidot系(A1−B1)またはBst系(A2−B2)のいずれかで17塩基長または30塩基長プライマー伸長から特異的増幅産物を生成することができなかった。
保存された直ぐ使用するために準備された前混合物中のBst−II DNAポリメラーゼを用いる高忠実度低温直線性サイクルシークエンシング
本発明を用いて、一般的に用いられる低プロセッシビティーを伴う熱安定性DNAポリメラーゼ、例えばThermoSequenaseTMまたはAmpliTaqTMでは克服できない鋳型のGC富化セグメント上でのプライマーの伸長のために、遺伝子修飾された中程度の熱安定性DNAポリメラーゼ、Bst−IIを用いてDNAシークエンシングを実施することができる。さらに、予め添加されたプライマーを伴うかまたは伴わないで予め測定された全ての反応混合物の成分を予め混合し、そして少なくとも8週間、23℃から25℃の間の温度で個々のマイクロ遠心チューブまたは96ウェルプレートに保存することができる。
Bst−IIサイクルシークエンシング実験
DNAポリメラーゼとしてBst−IIを使用した。
鋳型:bg0.8。これはライスゲノムBAC129のサブクローンのGC富化セグメントであった。
プライマー:5’GAA TTG GAG CTC CAC CGC GG3’
予め混合した色素−ddNTP:最適化したR6G−ddATP、ROX−ddCTP、TAMRA−ddUTPおよびBodipyF1−14−ddGTP、NENTMLife Sciences Productsから購入。
(a)0.2mlマイクロ遠心チューブに以下のものを添加した:
dNTP(各々2.5mM) 1 μl
5xRB 5 μl
予め混合した色素−ddNTP 4 μl
Bst−IIDNAポリメラーゼ(10U/μl) 1 μl
ddHO 5.3μl
80% グリセロール 4.7μl
マイクロ遠心チューブ中の反応前混合物を8週間以内の用時まで23℃から25℃の間の温度で保存した。
(b)実験時に鋳型2.5μl(150ng/μl)およびプライマー1.5μlを前記の前混合物が入ったマイクロ遠心チューブに添加した。
(c)マイクロ遠心チューブ中の内容物を十分に混合し、そして以下の直線性低温循環に供した。
70℃で30秒間
37℃で20秒間
45℃で3分間
全部で35サイクル
(d)各チューブに3M NaOAc(pH5.2)2.5μlおよび95% エタノール55μlを加えた。チューブを数回逆さにし、そして室温で20分間置いて伸長産物を沈殿させた。
(e)混合物を室温で12000gで20分間遠心した。
(f)上澄を抜き取り、そしてペレットを70% エタノール120μlですすいだ。
(g)チューブを数回逆さにし、室温で15分間置き、そして12000gで10分間遠心した。
(h)ペレットを45℃で乾燥させ、そして負荷バッファー(脱イオン化ホルムアミド:25mM EDTA 5:1、pH8.0、50mg/ml ブルーデキストラン含有)1.2μlに再懸濁した。
(i)サンプルを95℃で3分間変性し、次いで即座に氷上に置いた。
(j)各サンプル全てを4.5%(6M 尿素)シークエンシングゲルに負荷し、そしてABI PRISMTM377DNAシークエンサーによりシークエンシング情報を収集した。対応するインストゥルメント(マトリックス)ファイルでデータを分析した。
比較のために、2つの市販により入手可能なサイクルシークエンシングキット、すなわちThermo SequenaseTMを用いるDYEnamicTMETターミネーターサイクルシークエンシングキット(Amersham)およびAmpliTaqTMを用いるABI PrismTMBigDyeTMターミネーターサイクルシークエンシングキット(ABI)を用いて、同一のプライマーを用いる理想的な鋳型のDNAシークエンシングをも実施した。サイクルシークエンシング手順は各々の会社により提供された以下のプロトコルにより実施した。
DNAシークエンシングの結果を図5に示し、これはAmpliTaqTMを用いるABI PrismTMBigDyeTMターミネーターサイクルシークエンシングキット(ABI)(図5A)が、DNA鋳型のGC富化セグメント上でのサイクルプライマー伸長の間に、有効な特異的蛍光色素標識ddNTP終止を達成できなかったことを示している。比較として、Bst−IIサイクルシークエンシング系はBst−II DNAポリメラーゼを23から25℃で8週間予め混合した形態で保存した後でさえも、鋳型におけるGC富化バリヤを克服し、そしてDNAシークエンシング分析に十分特異的な色素標識ddNTP終止を生じた(図5B)。ABI AmpliTaqTMキットに類似して、Amersham DYEnamicTMETターミネーターサイクルシークエンシングキットで用いたThermo SequenaseTMもまた、自動化蛍光DNAシークエンシングのためのサイクルプライマー伸長の間に、鋳型のGC富化セグメントを克服することができなかった(追跡は本明細書では示していない)。
結論としては、直ぐ使用できるように準備された前混合物中、室温で少なくとも8週間安定性を維持するBst−IIサイクルシークエンシング系が大規模な高忠実度自動化蛍光DNAシークエンシングに、とりわけ鋳型がGC富化セグメントを含有している場合に最も適している。
図5は、ABI PrismTMBigDyeTMターミネーターサイクルシークエンシングキットでのAmpliTaqTMの成績(A)と、Bst−II サイクルシークエンシング系の成績(B)の比較を含む、GC富化セグメント上でのDNAシークエンシングを示している。図5AおよびBは、サイクル伸長のための同一のプライマーを用いる同一鋳型のGC富化セグメントの2つの自動化蛍光DNAシークエンシング追跡を示す。双方の配列をABI 377シークエンサーに流した。Aで説明する影を付けたゾーンはコンピューターにより評価および報告される品質管理から外れた領域を表している。
A=AmpliTaqTMBigDyeTMキットで生成した;B=Bst−II サイクルシークエンシングで生成した
中程度の熱安定性DNAポリメラーゼを用いるサイクルプライマー伸長の最適温度工程
この実験は、DNA融点を低下させる作用物質として15% グリセロールを含有する反応混合物中、中程度の熱安定性DNAポリメラーゼを用いるサイクルプライマー伸長のための最適温度を決定するために設計された。
Bst−IIが使用したDNAポリメラーゼであった。
鋳型:AライスゲノムBAC DNA
順行性プライマー:5’CTTAATTTAAGGTTCCGTG3’
逆行性プライマー:5’GCATTGGTAAGCAATGG3’
(a)0.2mlマイクロ遠心チューブに以下のものを添加した:
鋳型(10ng/μl) 1 μl
順行性プライマー(10ピコモル/μl) 2.5μl
逆行性プライマー(10ピコモル/μl) 2.5μl
dNTP(各々2.5mM) 4 μl
5xRB 5 μl
(b)以下のものをマイクロ遠心チューブに加えて:
グリセロールの最終濃度(容量/容量) 0% 15%
ddHO 8μl 3.3μl
80% グリセロール 4.7μl
Bst−IIポリメラーゼ(1U/μl)2μl 2 μl
を達成した。
(c)循環温度は以下のとおりであった。
Figure 2005514003
反応産物を電気泳動のために1% アガロースゲルに流し、そして臭化エチジウムで染色した。結果を図6で説明し、ここでレーンには以下のものを負荷した:
1.グリセロールなし;70℃で30秒間、37℃で4分間、35サイクル。
2.グリセロールなし;70℃で30秒間、37℃で20秒間、45℃で3分間、35サイクル。
3.グリセロールなし;70℃で30秒間、37℃で20秒間、50℃で3分間、35サイクル。
4.グリセロールなし;70℃で30秒間、37℃で20秒間、60℃で3分間、35サイクル。
5.15% グリセロール;70℃で30秒間、37℃で4分間、35サイクル。
6.15% グリセロール;70℃で30秒間、37℃で20秒間、45℃で3分間、35サイクル。
7.15% グリセロール;70℃で30秒間、37℃で20秒間、50℃で3分間、35サイクル。
8.15% グリセロール;70℃で30秒間、37℃で20秒間、60℃で3分間、35サイクル。
9.15% グリセロール;70℃で30秒間、45℃で4分間、35サイクル。
図6の結果は中程度の熱安定性DNAポリメラーゼ、例えばBst−IIを用いる最も有効なサイクルプライマー伸長が、融点低下物質として用いる15% グリセロールの存在下、単一のアニーリングおよび45℃の伸長温度(レーン9)、または37℃でアニーリングおよび45℃から50℃で伸長により得られる。工程3および工程5の双方の温度循環プロトコルをDNA増幅の特異的プライマー伸長に用いることができるが、酵素的プライマー伸長を用いて自動化サイクルDNAシークエンシングのための蛍光色素標識ddNTPターミネーターと共に反応産物を生成する場合、70℃で30秒間、37℃で20秒間、50℃で3分間、35サイクルの工程3の循環プロトコルが好ましい(レーン7)。
保存された、直ぐ使用できるように準備された反応前混合物における中程度の熱安定性DNAポリメラーゼにより生成された増幅産物の直接低温サイクルシークエンシング
この実施例は、中程度の熱安定性DNAポリメラーゼを含む低温プライマー伸長のために予め測定された全ての反応混合物の成分を予め添加されたプライマーを伴ってまたは伴わずに予め混合し、そして増幅反応で使用するまで少なくとも8週間、23℃から25℃の間の温度で個々のマイクロ遠心チューブまたは96ウェルプレート中に保存した。加えて、予め精製することなく、増幅された反応産物を直接自動化DNAシークエンシングに使用することができる。
DNAポリメラーゼとしてBst−IIを使用した。
鋳型:H525d9、ライスゲノムBAC
順行性プライマー:5’TTT CAG GGT CCC TTA TAT CTC3’
逆行性プライマー:5’TCG CTT CTC CTC ATA ATC GAT3’
予め混合した色素−ddNTP:最適化したR6G−ddATP、ROX−ddCTP、TAMRA−ddUTPおよびBodipyF1−14−ddGTP、NENTMLife Sciences Productsから購入。
(a)0.2mlマイクロ遠心チューブに以下のものを添加した:
順行性プライマー(10ピコモル/μl) 2 μl
逆行性プライマー(10ピコモル/μl) 2 μl
dNTP(各々2.5mM) 2 μl
5xRB 5 μl
予め混合した色素−ddNTP 4 μl
Bst−IIDNAポリメラーゼ(10U/μl) 1 μl
ddHO 4.3μl
80% グリセロール 4.7μl
マイクロ遠心チューブ中の反応前混合物を8週間以内の用時まで23℃から25℃の間の温度で保存した。
(b)実験時に以下のものを前記の前混合物に添加した:
鋳型(2.5ng/μl) 1μl
ddHO 3μl
(c)マイクロ遠心チューブ中の内容物を十分に混合し、そして以下のプロトコルの低温循環に供した。
70℃で30秒間
37℃で20秒間
45℃で3分間
全部で35サイクル
(d)精製後回収された増幅産物のサイクルシークエンシング
(1)温度循環が完了した後、電気泳動のために反応産物を1% 低融点アガロースゲルに負荷した。
(2)電気泳動の後、標的アガロースのブロックをゲルから切除し、そして重量測定を行った。
(3)切除したアガロースのブロックに0.04Vの25x濃バッファー(Roche)を添加し、そしてゲルを溶融するために65℃で15分間、混合物をインキュベートした。
(4)さらに45℃で5分間インキュベートした後、適量のアガロース(1U/
μl、Roche)を1U/100mg アガロースゲルで添加した。
(5)45℃で1時間、さらに消化した後、3M NaOAc(pH5.2)1/10Vを添加した。チューブを氷上に15分間置き、そして次に12000gで4℃で15分間回転させた。
(6)上澄を等量のフェノール−クロロホルムで2回、そしてクロロホルムで1回抽出した。各抽出の後、混合物を12000gで5分間遠心して上部水層を収集した。
(7)95% エタノール3Vを抽出した水層に添加し;そして氷上で15分間冷却した後、混合物を12000gで4℃で15分間遠心した。ペレットを70% エタノール250μlで洗浄し、乾燥し、そしてddHO 20μlに溶解した。
(8)直ぐ使用できるように準備された反応前混合物中で、Bst−II DNAポリメラーゼを用いる高忠実度低温直線性サイクルシークエンシングを使用して、順行性プライマーを用いる回収した増幅産物のシークエンシングを5(c)−(k)に前記するように実施した。
また別に、工程7.(c)で生成した反応混合物中の増幅産物のアリコートを、回収および先行する精製を行うことなく、Bst−IIシークエンシング系を用いて直接的にシークエンシングした。この直接サイクルシークエンシング手順の実例を以下に記載する。
(1)0.2mlマイクロ遠心チューブに以下のものを添加した:
dNTP(各々2.5mM) 1 μl
5xRB 5 μl
予め混合した色素−ddNTP 4 μl
Bst−IIDNAポリメラーゼ(10U/μl) 1 μl
ddHO 5.3μl
80% グリセロール 4.7μl
マイクロ遠心チューブ中の反応前混合物を8週間以内の用時まで23℃から25℃の間の温度で保存した。
(2)実験時に以下のものを各マイクロ遠心チューブに添加した:
1/20希釈した反応産物混合物[7.(c)] 1 μl
順行性プライマー(10ピコモル/μl) 1.5μl
ddHO 1.5μl
(3)マイクロ遠心チューブ中の内容物を十分に混合し、そして以下の直線性低温循環に供した。
70℃で30秒間
37℃で20秒間
45℃で3分間
全部で35サイクル
反応混合物中のDNAを沈殿させ、洗浄し、そして電気泳動のためのシークエンシングゲルに負荷し、そして前記の実施例5に記載したように分析した。シークエンシング追跡により、双方の方法により得られたDNA配列が理想的であることが示された。これは中程度の熱安定性DNAポリメラーゼを用いる低温サイクルプライマー伸長により、さらに精製することなく直接シークエンシングに使用することができる高度に特異的な増幅DNA産物を生成できることを示している。
図1はグリセロールのBst−II DNAポリメラーゼの5’−3’重合活性に及ぼす影響を説明しているグラフである。 図2は40% グリセロール中、中程度の熱安定性DNAポリメラーゼを用いる低温増幅の結果を示す電気泳動ゲル(1% アガロース)の写真である。 図3Aは35% グリセロール(レーン1)および15% グリセロール(レーン2)中、250塩基対の長さを有する増幅産物での低温サイクルプライマー伸長の結果を示す電気泳動ゲル(1% アガロース)の写真である。図3Bは35% グリセロール(レーン1)および15% グリセロール(レーン2)中、400塩基対の長さを有する増幅産物での低温サイクルプライマー伸長の結果を示す電気泳動ゲル(1% アガロース)の写真である。図3Cは35% グリセロール(レーン1)および15% グリセロール(レーン2)中、1キロ塩基対の長さを有する増幅産物での低温サイクルプライマー伸長の結果を示す電気泳動ゲル(1% アガロース)の写真である。図3Dは35% グリセロール(レーン1)および15% グリセロール(レーン2)中、2キロ塩基対の長さを有する増幅産物での低温サイクルプライマー伸長の結果を示す電気泳動ゲル(1% アガロース)の写真である。 図4は中程度の熱安定性DNAポリメラーゼおよびKlenowフラグメントを用いる17塩基長および30塩基長のプライマーの低温サイクルプライマー伸長の結果を示す電気泳動ゲル(1% アガロース)の写真である。17塩基長のプライマーを用いた反応産物はA1(IakobashviliおよびLapidotの系を用いるKlenowフラグメント)、A2(Bst系を用いるKlenowフラグメント)、A3(Bst系を用いるBst−Iポリメラーゼ)、A4(Bst系を用いるBst−IIポリメラーゼ)、およびA5(Bst系を用いるBcaポリメラーゼ)である。30塩基長のプライマーを用いた反応産物はB1(IakobashviliおよびLapidotの系を用いるKlenowフラグメント)、B2(Bst系を用いるKlenowフラグメント)、B3(Bst系を用いるBst−Iポリメラーゼ)、B4(Bst系を用いるBst−IIポリメラーゼ)、およびB5(Bst系を用いるBcaポリメラーゼ)である。 図5Aおよび5Bは、ABI PrismTM BigDyeTMターミネーターサイクルシークエンシングキット(5A)におけるAmpliTaqTMの性能をBst−IIサイクルシークエンシング系(5B)の性能と比較する、GC富化セグメントの2つの自動化蛍光DNAシークエンシング追跡を表す。 図6は、中程度の熱安定性DNAポリメラーゼ(Bst−II)を用い、グリセロール不含で、および15%グリセロールを伴って、種々の温度工程で行われたサイクルプライマー伸長反応の結果を示す電気泳動ゲル(1% アガロース)の写真である。 参照文献:1.Sanger,F.、Nicklen,S.およびCoulson,A.R.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:5463−5467(1977)2.Linda G.Lee、Charles R.Connell、Sam L.Wooら、Nucleic Acids Res.20(10):2471−2483(1992)3.Molly Craxton、Methods:A Companion to Methods in Enzymology 3(1):20−26(1991)4.Hanspeter Saluz,Jean−Pierre Jost、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86:2602−2606(1989)5.Ye,S.Y.およびHong,G.F.、Scientia Sinica(Series B)30:503−506(1987)6.Fuller,C.W.、米国特許第5432065号(1995)7.Robert Iakobashvili、Aviva Lapidot、Nucleic Acids Res.27(6):1566−1568(1999)8.HongおよびHuangに対する米国特許第6165765号。高い安定性および蛍光色素標識ジデオキシヌクレオチドに対する本来の選択的識別を低減させる能力を有しているDNAポリメラーゼ。 全ての参照文献を出展明示によりその全てを本明細書の一部とする。

Claims (17)

  1. DNAポリメラーゼがプライマーまたはプライマー対を繰り返し伸長するように約70℃の融点および約37℃のアニーリング温度の間でサイクル反応温度が変動する条件下で、約10(容量/容量)%から約20(容量/容量)%グリセロール、エチレングリコールまたはその混合物を含有する溶液中で鋳型DNAをプライマーまたはプライマー対ならびに、Bacillus stearothermophilus、Bacillus caldotenaxおよびBacillus caldolyticusからなる群から選択される生物に由来する中程度の熱安定性DNAポリメラーゼの天然または修飾形態と混合する工程を含む、約80℃以下の温度での酵素的サイクルプライマー伸長反応を用いるプライマーまたはプライマー対を伸長する方法。
  2. グリセロール、エチレングリコールまたはその混合物が約15(容量/容量)%で存在する請求項1記載の方法。
  3. DNAポリメラーゼが約65℃で最適酵素活性を有する請求項1記載の方法。
  4. DNAポリメラーゼがBacillus stearothermophilus、Bacillus caldotenaxまたはBacillus caldolyticusから単離されるDNAポリメラーゼと95%以上の相同性を共有するアミノ酸配列を有している請求項1記載の方法。
  5. サイクルプライマー伸長反応を繰り返すさらなる工程を含む請求項1記載の方法。
  6. 加熱および冷却サイクルを繰り返すことにより、二本鎖DNAの選択されたセグメントのコピーを鋳型に対する順行性プライマーおよび逆行性プライマーの存在下で増幅する請求項1記載の方法。
  7. 順行性プライマーおよび逆行性プライマーが種々の長さでよい請求項6記載の方法。
  8. サイクルシークエンシングのために種々の長さの単一のプライマーの分子をddNTPまたはそのアナログの存在下で特異的ヌクレオチド終止を伴って伸長する請求項1記載の方法。
  9. (i)希釈した粗製増幅反応産物を過剰量のシークエンシングプライマー、4つの標準的なddNTPターミネーターまたはその対応するアナログ、Bacillus stearothermophilus、Bacillus caldotenaxおよびBacillus caldolyticusからなる群から選択される中程度の熱安定性DNAポリメラーゼの元来のまたは修飾された形態、適当な濃度のdNTP、ならびに約10(容量/容量)%から約20(容量/容量)%グリセロール、エチレングリコールまたはその混合物を含有する溶液中にバッファーを含む組成物と混合する工程と;ならびに
    (ii)ddNTPまたはその対応するアナログにより特異的に終止した望ましい長さまでシークエンシングプライマー分子を伸長させるのに十分な回数、80℃以下の温度で(複数の)サイクルプライマー伸長反応を行う工程を;
    を含む、先行して単離または精製を行わずにインビトロで増幅された二本鎖DNA産物の直接サイクルシークエンシングのために、DNA鋳型にアリーリングしたプライマーの分子を伸長する方法。
  10. DNAポリメラーゼがプライマーまたはプライマー対を繰り返し伸長するように約70℃の融点および約37℃のアニーリング温度の間でサイクル反応温度が変動する条件下で、約10(容量/容量)%から約20(容量/容量)%グリセロール、エチレングリコールまたはその混合物を含有する溶液中でDNAの標的セグメントをプライマーまたはプライマー対ならびに、Bacillus stearothermophilus、Bacillus caldotenaxおよびBacillus caldolyticusからなる群から選択される生物に由来する中程度の熱安定性DNAポリメラーゼの天然または修飾形態と混合する工程を含む、約80℃以下の温度での酵素的サイクルプライマー伸長反応を用いるプライマーまたはプライマー対を伸長することによりインビトロ増幅された二本鎖DNA産物を生成する請求項9記載の方法。
  11. 中程度の熱安定性DNAポリメラーゼがBacillus stearothermophilus、Bacillus caldotenaxまたはBacillus caldolyticusから単離されるDNAポリメラーゼと95%以上の相同性を共有するアミノ酸配列を有している請求項9記載の方法。
  12. Bacillus stearothermophilus、Bacillus caldotenaxまたはBacillus caldolyticusからなる群から選択される生物に由来する中程度の熱安定性の天然または修飾DNAポリメラーゼを含む、すなわちDNA増幅における使用またはジデオキシリボヌクレオチドアナログでの特異的伸長終止に適した少なくとも1つの酵素的DNAプライマー伸長反応成分と予め混合された、約80℃以下の温度での低温サイクルプライマー伸長反応において使用するのに適した、乾燥または直ぐ使用するために準備された反応混合物。
  13. 中程度の熱安定性DNAポリメラーゼがBacillus stearothermophilus、Bacillus caldotenaxまたはBacillus caldolyticusからなる群から選択される生物に由来する天然または修飾DNAポリメラーゼであるか、またはBacillus stearothermophilus、Bacillus caldotenaxまたはBacillus caldolyticusから単離されるDNAポリメラーゼと95%以上の相同性を共有するアミノ酸配列を有している中程度の熱安定性DNAポリメラーゼである請求項12記載の直ぐ使用するために準備された反応混合物。
  14. マイクロ遠心チューブまたはマルチプルウェルプレートに予め分配されている請求項12記載の直ぐ使用するために準備された反応混合物。
  15. マイクロ遠心チューブまたはマルチプルウェルプレートに予め分配されている請求項13記載の直ぐ使用するために準備された反応混合物。
  16. マイクロ遠心チューブまたはマルチプルウェルプレートに予め分配されており、そして22℃から25℃の間の温度で少なくとも8週間安定性を保持している請求項14記載の直ぐ使用するために準備された反応混合物。
  17. マイクロ遠心チューブまたはマルチプルウェルプレートに予め分配されており、そして22℃から25℃の間の温度で少なくとも8週間安定性を保持している請求項15記載の直ぐ使用するために準備された反応混合物。
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