JP2005513441A - 受動流体制御構造を組込んだ三次元マイクロフルイディクス - Google Patents

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Abstract

まとめて密封された実質的に平面の複数の層(101,102,103)で形成された三次元マイクロ流体デバイス(100)が開示されている。

Description

関連出願
米国において、本出願は、2001 年 9 月 28 日出願の米国特許出願第 09/967,402 号の部分的継続出願であるが、これは 1998 年 10 月 13 日出願の米国仮出願第60/103,970 号および 1999 年 6 月 8 日出願の米国仮出願第 60/138,092 号の優先権を主張した、1999 年 10 月 13 日出願の米国特許出願第 09/417,691 号 (現時点で 2001 年 10 月 2 日付け米国特許第 6,296,020 号として発行済み) の継続出願である。
また本出願は、下記の利益を主張する。
2001 年 2 月 7 日出願の米国仮出願 第 60/267,154 号
2001 年 3 月 9 日出願の米国仮出願第 60/274,389 号
2001 年 4 月 17 日出願の米国仮出願第 60/284,427 号
2001 年 5 月 11 日出願の米国仮出願第 60/290,209 号
2001 年 8 月 20 日出願の米国仮出願第 60/313,703 号
2001 年 12 月 12 日出願の米国仮出願第 60/339,851 号
2000 年 5 月 15日出願の米国仮出願第 60/204,306 号に対する優先権を主張した2001 年 5 月 15 日出願の米国特許出願第 09/855,870 号
2000 年8 月 4 日出願の米国仮出願第 60/223,022 号に対する優先権を主張した2001 年 8 月 3 日出願の米国特許出願第 09/922,451 号
2000 年 6 月 8 日出願の PCT/US00/40156 (1999 年 6 月 8 日出願の米国仮出願第 60/138,091 号に対する優先権を主張) に対する優先権を主張した米国特許出願第 10/009,674 号
これらそれぞれを参照し本明細書に組込む。
本発明は、一般にマイクロフルイディクス(Microfluidics)の分野、特に多層構造に形成された三次元マイクロ流体回路に関連する。さらに具体的には、本発明は、受動流体制御要素を組込んだ三次元マイクロ流体デバイスに関連する。
集積回路および MEMS (Micro-Electro Mechanical Systems=マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システムズ) は、マイクロリソグラフィー、化学エッチング、および薄膜蒸着などの微細加工工程を利用して、一般にシリコン基板上に作製される。マイクロ流体分析、つまりマイクロフルイディクスは、マイクロスケール流体処理構造を組立てる MEMS の部分集合で、液体生化学サンプルの処理や分析の用途に頻繁に使用される。マイクロ流体構造は、最初はシリコンに組立てられていたが、大部分のマイクロ流体デバイスが今ではプラスチックに組立てられ、それ以外にもガラスに形成されるものもある。従来のマイクロ加工技術と、新型または改良型のホットエンボス加工やマイクロインジェクション成形の方法がどちらも利用されている。IR レーザーおよび UV レーザーの両方を使用して基板にマイクロ流体構造を形成するレーザー加工も実施されている。
ほとんどのマイクロ流体システムは、2- Dまたは 2 1/2 - D、つまり、単一平面上にある流路やウェルなどのマイクロ流体構造で構成されている。2- Dまたは 2 1/2 - Dシステムのマイクロ流体構造には、構造によっていくらか異なるが、奥行きがある一方で、この構造ではそれぞれの高さについてはそれほど変化がないばかりか、1つの構造が他の構造と交差したり重複したりすることはない。2 - Dまたは 2 1/2 - D システムは、開放された流路またはウェルを大量の基板の表面に簡単に形成でき、その後、基板表面をカバープレートや薄膜で覆うことで、囲うことができるという単純な理由から普及している。基板表面が一般に平面であるため、この方法では、実質的に平面の囲いのあるマイクロ流体回路が形成されことになる。対照的に、重複のある構造を形成するため、あるいは大量の基板において高さに変化をもたせるためには、大量の基板の内部に少なくとも1つの構造を形成する必要があるが、表面構造を形成する場合に比較して、これにはかなりの困難さが伴う。
一部の用途、特に、並列して運転される複数の流体処理回路の関連するもの、複数の入口および出口を持つもの、もしくは複数のサンプルまたは試薬を供給する回路を持つものでは、回路の一部が回路の他の部分と交差や重複をする必要があるため、必要とするマイクロ流体回路を単一平面上に形成することは不可能である。他の場合では、特定のマイクロ流体回路を単層上に形成することは理論上可能であると考えられるが、実用上の見地からは、マイクロ流体流路のデバイスの規模およびマイクロ流体流路の長さが大きくなりすぎてしまうため好ましくない。実際に、理論的な見地からは、マイクロ流体回路を2層に形成することは位相幾何学的には可能である (Anderson 他) が、多くの場合、二層デバイスでさえも、上記の理由で実用上の見地から好ましくないと考えられる。上述の理由から、最近、多層または三次元マイクロ流体デバイスの組立ての実行可能な方法を開発するために相当な努力がなされてきている。
三次元マイクロ流体回路の形成にあたりとられてきた最も普通の方法は、2 - D または 2 1/2 - D のマイクロ流体構造を複数の平面層に形成した後、層をまとめて連結し、三次元構造を形成する方法であり、バイアスまたは接続用流路を使用して、流体が1つの層の回路から別の層の回路に供給される。多層構造を形成することで、マイクロ流体構造を基板材料表面に比較的容易に組立てできるという点は維持されつつ、理論上無限数の層を有するデバイスを形成する柔軟性が得られる。
公表済み PCT 出願 WO 01/41931 には、その内部に形成された流路またはその他のマイクロ流体構造を有するセラミック シートを貼り合わせてから焼結させることで、多層マイクロ流体構造を形成する方法が記載されている。公表済み PCT 出願 WO 01/25138 では、粘着プラスチックテープの層をまとめて貼り合わせることで形成される多層マイクロ流体構造が開示されている。これら両方の方法では、マイクロ流体流路 (またはその他の構造) は、比較的薄いシート材料の全体を通っており、流路の側部は流路が形成されている層により形成され、流路の上部と下部は、隣接する層により形成されている。
シリコン基板に構造を形成するための微細加工技術の利用について記載されている (Anderson 他、同様に WO 01/89788、WO 01/89787)。これは、その後、マイクロ流体構造のある重合体の層または薄膜を形成するための型として使用される。記載されている別の方法は、プリント回路基板上のマイクロ流体構造を定める金属トレースを形成する方法で、これを積み重ねて三次元の流体回路を形成することも、または積み重ねて三次元構造を形成可能な高分子複製体用に使用する成形の原型としての役目をさせることもできる (WO 01/25137)。
半導体産業で確立され、MEMS での用途に採用されているフォトレジスト技術およびエッチング技術による、重複した流路構造を有するモノリシックデバイスの組立てについても、2000 年 3 月 7 日発行の米国特許第 6,033,544 号に記載されている。
実際には、三次元または多層マイクロ流体システムは、2-D または単層システムに比較して、複雑で、高価で、故障しやすい。多層のマイクロ流体システムの組立て上での主な問題は、各層をまとめて位置合わせし密封する際に発生する。形態が大体1mm 以上の大型の幾何学的システムでは、位置合わせに関連する問題がほとんどない。ところが、非常に小さな形態のシステムでは、特に大体 100 μm 以下の小さな接続用バイアスでは、位置合わせはかなりの問題である。
複数の層間に漏れのない密封を施すことは課題として残っている。最適な密封方法は、使用する特定の基板材料に応じて異なる。密封方法には、共晶接合または陽極接合、接着剤またはエポキシ樹脂の使用、または超音波溶接などがある。マイクロ流体デバイスの組立てに使用されているシリコン、ガラス、セラミックス、およびほとんどのプラスチックは、もともと親水性である。親水性の毛管現象によって、形態のサイズに反比例する強い力が作り出されるため、液体は、親水性の構造の小さな隙間に流れ込む傾向がある。したがって、親水性の多層システムの層間には、隙間のない密封を施すことが特に重要である。一部の場合に、例えば、デバイスのある一定の部分を使い捨てにして他の部分を再使用可能とする、または、デバイスのある一定の部分を洗浄または滅菌できるようにするなど、デバイスを分解できるようにするために、多層デバイスの一定の層間を開放可能なように密封できることが好ましい。次に、課題は、効果的に密封し、また希望に応じて剥がすことができるがそれまでは剥がれないような接着剤を見つけることとなる。
マイクロ流体デバイス内での流体の動きの制御は、実質的にどんなマイクロ流体デバイスにおいても不可欠な点の1つであるが、マイクロ流体回路が複雑になるほど、その実現はさらに困難となる。動電学的または電気流体力学的な流体制御を利用したマイクロ流体システムでは、複雑なマイクロ流体回路に、流路に取り付けられた多数の電極が必要になる場合もある。その他のマイクロ流体システムでは、圧力による流れが、通常はデバイス内の流体の流れを調節するなんらかのタイプの弁装置と組合わせて使用される。また、弁を、動電学的または電気流体力学的な流体制御を利用したデバイスで使用することもできる。各種タイプの能動および受動マイクロバルブが、マイクロ流体構造での用途で示されている。ところが、マイクロスケール能動弁は、2 - D または 2 1/2 - D システムでさえも、比較的複雑で組立てが困難である。毛細管弁、毛細管ブレイク、およびこれに類するものなどの構造の含まれる受動弁には、電気的境界または機構部品を必要とせず、よってデバイスへの組込みがさらに簡単であるという利点がある。親水性の毛細管弁は、マイクロ流体デバイスで広く利用されているが、不安定な傾向にある。親水性材料の親水性の毛細管弁により、静水圧が局部的にのみ最小値になり、流体流動モーメントや小規模な外乱により簡単に中断される恐れがあり、流体制御の喪失の原因となる。対照的に、米国特許第 6,296,020 号 (この中に参照として記す) に開示されている疎水性の受動バルブでは、静水圧が全体的に最小値となり、よってより安定した流量制御が得られる。
動電学的または電気流体力学的な流体制御のための電極、機械弁または機械ポンプ、および加熱素子など、マイクロ流体システムに使用されている制御要素は、どれも電気的な境界面を必要とする。これらの制御要素を外部的に制御するには、電気トレースをデバイスの外側に引き出す必要がある。したがって、多層マイクロ流体デバイスを構成する方法は、理想的には、電極の完全性を維持しつつ、電気トレースをデバイスの外側に引き出せるように、またデバイスの層をまとめて密封できるようにすべきである。
完全に機能的な三次元または多層マイクロ流体デバイスの実現にとって重要な数多くの機能が特定され、またこれら各種の機能を組込むデバイスが構成されてきたが、これらの各種の設計上の検討事項を忠実に取り入れた三次元または多層マイクロ流体デバイスの必要性が残されている。理想的な多層デバイスは、デバイスの組立て時にデバイスの層を簡単にかつ正確に位置合わせできるような方法で設計されるべきである。デバイスは、層間に、信頼性があり漏れのない密封が得られるような方法で組立てられるべきである。ある一定の用途では、デバイス全体またはその一部の清掃や再利用の目的で、廃棄物の含まれるデバイスの部分を廃棄する目的で、もしくは、デバイス内に入っているサンプル/試薬を回収する目的で、使用後にデバイスを分解できるようにすることが好ましいこともある。当然ながら、マイクロ流体デバイス内にある流体の運動を効果的に制御することは非常に重要である。最後に、デバイスを商業ベースで製造できるようにするためには、不可欠ではないにしても、安価ですぐに入手可能な材料をもとに、簡単かつ信頼性のある工程で、三次元マイクロ流体デバイスを製造できるようにすることが好ましい。
本発明は、三次元マイクロ流体回路を組込んだ多層のマイクロ流体構造である。デバイスの構成を記載し、また、特定の三次元マイクロ流体回路を組込んだデバイスの具体的な実施形態を提示している。デバイスは、1つ以上の表面に形成されているかまたは層を貫通するマイクロ流体回路要素のあるプラスチック材料の複数の層で形成される。疎水性の基材および/または皮膜材料が、この発明の広範囲にわたり使用されているが、これはそうした材料により、デバイスにおいて、好ましい層間の密封と、流体の運動を制御するための受動弁の性能向上が実現されるためである。一つの好ましい実施形態において、本発明では、受動流体制御構造をベースにしたマイクロ流体回路が組込まれている。選択されたデバイスの層はお互いに取外し可能な方式で密封され、清掃の目的、デバイスの再使用可能な部分と使い捨て部分の分離の目的、ならびにデバイスをマイクロアレイ・スライドやマイクロタイタープレートなどの基板に逆向きに接合する目的で、デバイスが分解できる。
安価ですぐに入手可能な材料をもとに単純かつ簡単に製造しうる多層の三次元マイクロ流体デバイスを提供することが、本発明の目的である。
さらに、デバイス内にある流体の運動を単純、効果的、多用途に制御できる三次元マイクロ流体デバイスを提供することも本発明の目的である。これは、圧力起動の流動を、流体流動を方向付けるための弁と組み合わせて使用することで達成された。本発明で利用される弁では、複雑な機構構造をデバイス内に構成する必要はない。
本発明の別の目的は、多層マイクロ流体デバイスの層を信頼性があり漏れのないように密封する方法を提供することである。
本発明のさらにまた別の目的は、取外しも可能な多層マイクロ流体デバイスの層を漏れのないよう密封する方法を提供することである。これによって、使用後にデバイスの分解が可能となり、デバイスの部分の再使用、デバイスのその他の部分の廃棄、ならびにデバイス内に入っている材料の回収ができるようになる。
本発明の別の目的は、電極、加熱素子、またはセンサーなどの能動構成要素を含む多層マイクロ流体デバイスを提供することである。
本発明の別の目的は、混合技術を組込んだ多層マイクロ流体デバイスを提供することである。
本発明のまた別の目的は、スライドやマイクロタイタープレートなどの従来の基板に接合可能な多層マイクロ流体デバイスを提供することである。これによって、マイクロ流体の前後の処理能力を、従来の基板上または基板内において発生する微量の流体との反応と総合できる。
本発明の現在ある好ましい実施形態は、図面を参照することで最もよく理解でき、全体にわたり、同類の部品は同じ数字で指定されている。本明細書の図に一般的に描写・図示されているように、本発明の構成要素が、多種多様な異なった構成で配置・設計しうることは、容易に理解できる。こうして、下記に図1〜26で表現したとおり、本発明の機器、システム、および方法についての実施形態の詳細な記載は、請求している本発明の範囲が制限されることは意図しておらず、本発明の現在ある好ましい実施形態を単に代表するにすぎない。
本発明の基本的な三次元構造は、漏れがなく(任意であるが)可逆的な方法でまとめて密封されたプラスチック基板材料の複数の薄層をもとに構成される。層は、強固でも柔軟でもよいが、一般には、まとめて組立てるとき、平坦で実質的に平面である。マイクロ流体構造は、個別の層の表面に、または個別の層の厚み全体にわたり、成形、マイクロマシーニング、レーザアブレーション、または型抜きなど、簡単に実現しうる方法で形成される。このように、マイクロ流体構造は、ある一定の構造では層を貫通するが、主として基板層の平面に対応する平面に形成される。層の厳密な性質および密封方法は、本発明の特定の実施形態により異なる。
図1の分解図に示した本発明の最初の実施形態において、多層マイクロ流体デバイス 100 は、比較的厚めの強固な材料で形成された層 101、102、103 を含む。本発明の実施形態例において、マイクロ流体回路 104 のある1つの層 102 は、加熱素子 105 のある層 101 と、能動弁 106a-106d のある層 103 とをまとめて組立てられる。マイクロ流体回路 104 は、バイアス 115a-115d および 116a-116d により連結された層 102 の上面 110 および下面 111 の両方に形成されたマイクロ流体流路およびウェルで構成されている。マイクロ流体回路104の流路およびウェルの奥行きは、層 102 の厚みよりも小さい。層 101 の下面 118 は、層102の上面 110に対して密封され、マイクロ流体流路124、126a-126d、128a-128d、130a-130d、132a-132d、および133 と、そこに形成されたウェル 127a-127d および 131a-131d の上面が形成される。層 103 の上面は、層102の下面 111 に対して密封され、そこに形成された流路 129a-129d の下面が形成され、能動弁 106a-106d が流路129a-129d にはめ込まれている。図1では、弁 106a-106d は空気により作動する弁で、作動時には、流路 129a-129d に突き出し、流路での流体の流れを遮断する。別の方法として、弁 106a-106d は、機械弁、リモート弁、調水弁など (これらに限定されない)、その他各種タイプの能動弁になりうる。
図1に示したマイクロ流体回路は、DNA サンプルについてポリメラーゼ連鎖反応 (PCR) を実施し、対象のシーケンスを検出するために設計されているが、各種の生化学反応、特に、1回以上の加熱ステップを必要とするサンプルが要求されるものの実現に使用しうる。このような反応には、限定はされないものの、DNA プロセシングで使用される各種の反応、例えば、複数の加熱ステップ (熱サイクル) を要求される PCR、リガーゼ連鎖反応 (LCR)、DNA 増幅のためのローリングサークル増幅(RCA)、またはサイクルシーケンス法などがあり、これらすべてにおいて単回の等温加熱ステップが使用される。対象の DNA サンプルが含まれ、プライマーは含まれていない PCRカクテルは、(例えば、シリンジポンプを使用して) 層 102 の入口 122 にポンプで注入される。入口 122 から、分配流路 124 移動し、その後、ウェル 127a-127d につながっている流路 126a-126d に移動する。ウェル 127a-127d には、異なった増幅産物用にプライマーペアが含まれている。一般に、ウェル 127a-127d は、上記に検討したとおり、単回または複数の加熱ステップの間、反応剤を抑制するのに適しているため、熱反応ウェルとみなすことができる。流体がデバイス 100 に注入されるときには、弁 106a-106d は開いた位置にあり、空気が回路内部に入り、サンプルよりも先に回路内を通って移動し通気口 135 から出ることができる。いったんウェル 127a-127d がサンプルで充填されると、弁 106a-106d は閉じ、加熱素子 105 はウェル 127a-127d を周期的に加熱し、PCR 反応を実施する。弁 106a-106d は閉じているため、加熱中に圧力の増大があっても、ウェル 127a-127d からウェル 131a-131d への流体の移動はできない。いったん PCR 反応が完了すると、反応済みのサンプルは、熱反応ウェルで生成された反応生成物の検出に使用される色素またはその他の化合物の入ったウェル 131a-131d に移動することになる。例えば、ピコグリーン (pico green) 色素は、その存在やその量または反応生成物を決定するために検出可能な蛍光信号を生成するためのPCR によって生成される、増幅 DNA 配列のラベル付け用に使用できる。デバイスは分解して、ウェル 131a-131d の色素を読取り、反応生成物の量を測るか、または、デバイスが少なくともその一部が透明素材 (すなわち、検出する波長について透明) で形成されている場合には、デバイスを分解することなく、反応生成物を検出することもできる。
層 101、102、103 が形成されている材料は、疎水性または親水性でもよく、層の表面およびそこに形成された構造は、疎水性となるように処理される。適切な疎水性の材料には、PTFE、FEP または PFA などがある。非疎水性の材料の例としては、シリコン、ガラス、PET、PMMA、または PC がある。これらの材料は、テフロン (Teflon) またはテフロンAF (Teflon AF) などの疎水性の材料を用い、真空蒸着、スピン コントロール、または蒸着などの技術でコーティングができる。各層では厚みが異なっている可能性がある。制限はされないが、層の厚みは、マイクロタイター1枚分から数センチの範囲である。
デバイス 100 の層 101、102、103 は、図2に示すように、クランプでまとめて保持されている。図2に示したクランプには、上部枠 140 および下側の枠 141 が含まれる。層 101、102、103 は、各層の位置合わせ穴 136 を通過する位置合わせロッド 142 によって、一直線に保持されている。デバイスの層を整列するためには、少なくとも2つの位置合わせ穴および位置合わせロッドを使用する必要がある。位置合わせ穴 136 は、図1にも表示されている。位置合わせロッド 142 は、圧縮力をかけてデバイス 100 の層をまとめて保持するためにバネ荷重式であり、下側の枠 141 にネジ締めできるようにネジ山があることが好ましい。この技術分野における通常の技能の1つを利用して、層を位置合わせロッドと組立てるその他各種の方法を考案することもでき、また本発明は、どの特定の方法にも限定されない。例えば、位置合わせロッドは、位置合わせのみを提供するために機能させることもでき、別のクランプ機構によって、層をまとめて密封するために必要な圧縮力をかけることもできる。図2に表示されている追加機能は、加熱コイル 105 に接続されている電気的トレース 144 および 145、空気により作動する弁 106a-106d に接続された空気ドライブライン、流入口 122、ならびに通気口 135 である。
各基板層の外部表面が疎水性であるか、疎水性のコーティングが施されている場合には、層間の隙間内に流体を吸い上げる親水性の毛管力はないため、各層をまとめて密封することは、それらが親水性である場合に比較すると重要性は低い。こうして、ガスケットや接着剤を追加して使用することなく、基板層をまとめて簡単に保持することが可能である。層は、通常の圧力下で流体の流れによってバラバラにならないように、十分にしっかりとまとめて固定する必要がある。また、なめらかで、平坦であること、そして大きな隙間が全くないように密接かつ一様にまとめて保持することも重要である。流体の流れが小さな隙間 (2、3 マイクロメートル以下程度) に入り込むために必要な圧力量はかなり大きいものであるため、これで、層間に漏れのない接続を提供するには十分である。このタイプのデバイスで好ましい機能は、生化学的に適合する温度での組立てが可能であることで、それにより、組立て時に生化学的試薬をデバイスに組込むことができるようになる。
図3Aは、本発明の最初の「厚い層」型とは別の実施形態を示しており、ここで、仕様に対応した材料の層301 が、その接合面となるデバイスの層302 と基板303との間の密封を向上させるためのガスケットとして含まれている。図1および図2のデバイスを用いたものと同様、クランプ (図示されていない) によって、層は密封された状態にまとめて保持される。これに対応する層301は、可塑的に、または弾性的に、もしくはその組合せで変形することもある。これに対応する材料は、ここに図示したとおり、切断して、別個の層としてデバイスに組込むシート材料でもよく、またはこれに対応する層は、スクリーン印刷やステンシル印刷などの印刷技術によって層302に貼り付けてもよい。対応する材料には、例えば、各種の天然または合成高分子材料、ゴム、蝋などがある。ガスケット層は、隣接する層と同じパターンの開口部を持ち、隣接する堅牢な層によって主として定まるマイクロ流体構造の奥行きを持った密封機能を単に施すのかもしれないし、もしくはここに図示したとおり、ガスケット層にあるガスケット層の厚みによって定まるマイクロ流体構造の奥行きを持った、隣接する堅牢な層にある開口部によって定まるものとは関係のないマイクロ流体構造を定めるようなパターンの開口部をガスケットは持っているのかもしれない。ガスケット層は、わずか数ミクロンの厚みでもいいし、特に、簡単な密封機能を施さずにガスケット層によりマイクロ流体構造が定められる場合には、かなり厚めでもよい。ガスケット層は、一般に厚みが約0.1ミクロンから約500ミクロンの範囲のであると考えられるが、マイクロタイター数枚分の厚みでも可能である。図3Aの例で、開口部310a-310eによって、層301の下面312により上で接し、基板303の上面314により下で接するウェルが定まる。基板303の部分3181-318eには、固定化されたキャプチャー抗体が含まれているが、こうしてウェル310a-310eに含まれていることになる。このデバイスのマイクロ流体回路は、段階希釈およびELISA(enzyme linked immuno-absorbent assay)を実施するために設計されており、下記にさらに詳細に説明する。
上記デバイスの別の改良型(図示されていない)で、少なくとも数枚のデバイスの層が、接着剤、熱接合、またはその他の結合技術でまとめて接合される。適切な接着剤の選択は、接合する特定の材料に依存する。
上記デバイスの別の改良型で、少なくとも数枚の層が非疎水性の材料で形成され、デバイスのごく一部のみが、疎水性の材料によって形成されているか、または疎水性の被膜を持つ。非疎水性の層は、結合、接着剤、またはガスケットを間に入れてクランプで固定することで、他の層に密封され、漏れのない密封が提供される。
図4に図示したとおり、このデバイスの第2のバージョンで、複数の層401-408は、比較的柔軟性のある薄いシート材料で形成される。適切な材料には、アクリルやポリエステルなどの各種高分子材料、およびMylarTM がある。マイクロ流体構造は、層の厚み全体において形成され、また1層分以上の厚みがあってもよい。シート材料は、厚みの範囲は約10ミクロンからマイクロタイター 約1 枚分とすることができ、一般的なシート材料の厚みは、約5から約500ミクロンである。多くのマイクロ流体の用途においては、約10から約100ミクロンの層の厚みが好ましい。異なる層は、別の材料で形成し、異なる厚みを持たせることができる。層材料は、親水性でも、疎水性でもよく、部分的、または表面全体を処理して表面の疎水性/親水性を変化させることもできる。それが接合する基板409や、もしくはより強固な材料で形成されたデバイスの追加部分にデバイスを密封するために、接着剤の層408を使用することもできる。適切な接着剤の一例は、アクリル系ポリマー(3M 501FL など)である。
発明のデバイスを構成するための方法の選択は、そのデバイスがプロトタイプまたはカスタムデバイスであるのか、または大量生産工程の一部であるのか、ならびに構造が厚めの層の表面に形成されるのか、または(一般に 薄めの層の厚み全体にわたり形成されるのかに依存する。プロトタイプおよびカスタムデバイスでは、好ましい構成の方法は、PCT 公報 WO 0074890 に記載されたレーザーアブレーション(ablation)技術で、これを参照し本明細書に組込む。薄い層を使用する場合には、構造は、層の厚み全体にわたり貫通して切断されるが、これは、CO2 レーザーまたはその他の赤外線レーザーを用いて簡単に実施できる。小さめの形態、または奥行きが基板層の厚みより小さい構造の場合には、奥行きをうまく制御できるように、エキシマーレーザーを採用することが好ましい。カーボンブラック添加物を添加し、材料の UV 吸収を高められている場合には、流体回路は、エキシマーレーザーアブレーションにより、標準的なフルオロカーボン材料に組立てることができる。
プロトタイプおよびカスタム デバイスでは、マイクロマシーニングによっても、マイクロ流体構造を層に形成することができる。デバイスの大量生産では、マイクロ流体構造の層は、射出成形により形成することが好ましい。ガスケット材料は、シートの形態で入手し、ダイまたはレーザー切断することも、シルク スクリーニングまたはその他の印刷技術により貼り付けることもできる。
プロトタイプの目的の、本発明の薄い層に形成された実施形態では、マイクロ流体構造を、レーザー切断により、さらには外科用メスまたは ExactoTM ナイフ (この方法では特に再現性はないことは明らかであるが) を用いて手作業による切断により、個別の層に形成することもできる。大量生産では、ダイス切断が好ましく、レーザー切断も適切な方法である。プラスチック シート材料で構成され、片面または両面に、接着剤をつけた片面または両面の接着剤シート材料を、デバイスの一部または全ての層に使用することもできる。こうした材料は、型抜きまたはレーザー切断でもよい。
上述のとおり、多層デバイスの層をまとめて漏れのない様に付着させることは好ましいが、ある一定の用途では、少なくともある一定の層を後で剥がしてそれぞれ分離できるようにすることも好ましい。これは、例えば、デバイスに単回用の使い捨て部分 (サンプルや試薬の入った流体処理回路など) と、毎回の使用後に使い捨て部分から分離し、追加の使い捨て部分と共に再使用するためにとっておく、再使用可能な部分 (電子回路、ヒーターなどがある部分) とがある場合である。例えば、図2および2のデバイスには、能動構成要素が含まれている2つの再使用可能な基板層101および103がある。
図3Aおよび図4に示すとおり、本発明の一部の実施形態において、複数の層に形成されたマイクロ流体デバイスは、基板の部分、およびそれに固定化されている生化学物質が、デバイスのマイクロ流体回路に本質的に組込まれ、基板上の材料上でマイクロ流体処理が実行可能となるように、ガラス製顕微鏡用スライドなどの基板と境界面をなしている。基板上の材料での処理の後、マイクロ流体デバイスを基板から分離することが好ましく、そうすれば、マイクロ流体デバイスが所定の位置にあるときには不可能な追加処理や評価ステップを、基板に対して行うこともできる。
前述のとおり、漏れのない密封は、2つの疎水性の面の間に、単にクランプで固定することにより形成することができる。デバイスが単にクランプでまとめて固定されている場合には、希望に応じたデバイスの分解は簡単である。弱いまたは非疎水性の材料、もしくは疎水性の材料と親水性の材料の組合せで形成された層を密封するには、弾性変形または塑性変形できるガスケットを層間に配置して、必要に応じて取外しできる密封を提供することができる。さらに、ある適切に選択された接着剤を使用して、開放可能な密封を提供することもできる。異なる材料で形成またはコーティングされた2つの表面が、接着剤でまとめて密封されるのならば、層を分離する際には接着剤が片方の表面に貼りつき、他方からは剥がれるように、接着剤には、片方の表面に優先的に粘着させるようなものが選択されるべきである。この様に、接着剤の層は、片方の表面に損なわれずに残り、他方からは完全に剥がれる。接着剤がデバイスの再使用可能な部分から、または追加処理や評価の対象となる基板から完全に取り除かれることが特に好ましい。
多様なマイクロ流体回路要素を、本発明に従い構成された多層マイクロ流体デバイスに形成できる。最も基本的な構造は、流路およびウェルまたはチェンバであり、これらの構造は、多くの方法で形成できる。本書の下記で検討するとおり、これらの構造は、表面、または多層構造の1つの層の厚み全体を貫通させて形成でき、よって、層と平行な実質的に単一平面上に配置できる。また、多層構造の複数の層を貫通するように形成することもできる。一般的な多層構造には、異なる層に対応する多数の異なる平面に形成される構造、経由路で連結される構造または複数の層を貫通するその他の構造などがあり、後者の構造のうち少なくとも一部で異なる平面にある流体回路間で流体のやりとりがある。
図5−11には、多層マイクロ流体構造に流路を形成するいくつかの方法を図示している。流路 500 は、層 501 の上面に形成され、その側面および下部が層 501 により形成され、上面が層 502 により形成される。同様に、流路 503 およびウェル 504 は、層 505 の上面に形成され、その上部で層 501 の下面により閉じている。通路506 は、層 502 および 501 を貫通し、層 505 の一部に至る。また、図8に示したとおり、流路およびウェルの上部および下部を異なった2つの層に形成することも可能で、例えば、流路 510 は層 513 および 514 に形成し、流路 511 およびウェル 512 は層 514 および 515 に形成するという具合である。この例で、層 514 には、両面に形成された構造のほか、その厚みを貫通する通路516 もある。流路が層の厚み全体を貫通しないときには、図5および図6に示したとおり、第 2 の重複した流路を隣接する層に形成するか、図7および図8に示したとおり、十分な厚みがある場合に同じ層の下側に形成することもできる。これらの構造は、レーザーアブレーション、マシニング、射出成形、またはその他各種の微細加工技術により形成できる。同一の技術を使用して、通路 (あるレベルから別のレベルにつながる流路として定義でき、一般には層に対して直角) を形成することもできる。ところが、流路やその他の構造をシートの厚み全体にわたり形成するために、多層構造の層が薄い場合には、図9−11に示すとおり、重複する流路を隣接するシートには形成できず、少なくとも1つの中間層によって分離する必要がある。流路 522 およびウェル 523 の形状は、層 526 により定まり、一方これらの構造の上面および下面は、それぞれ層 525 および 527 により定まる。同様に、流路 521 は、層 527、528、および 529 により定まる。この流路形成の方法は、薄いシート材料から形成された多層デバイスには特に適しているが、厚めの層でも使用可能である。流路および通路は、この方法にあるレーザー切断または型抜きで形成できる。
チェンバまたはウェルも、マイクロ流体システムの重要な構成要素である。一般に、流体は、各種の反応や分析を実施するために、チェンバまたはウェルに供給される。チェンバやウェルのサイズ、形状、方向は、それが設計された特定の用途、ウェルに収容する流体の容積、ウェルの希望の流量特性、およびその他の流体回路要素に対するウェルの方向などに応じて異なる。ウェルを形成する簡単な方法は、ウェルの下面および側面を単層に形成し、上面は隣接する層によって形成する方法である。図6に示すとおり、上面は単に平面にするか、図8に示すとおり、ウェルのサイズと形状が定まるようにその形状をさらに整えることができる。図5−8に示す方法は、比較的厚みのある強固な層から形成したデバイス用に特に適している。複数の薄層から形成されたデバイス用には、図9−11に示した方法を使用しうる。この例で、ウェルの形状は、1つの層により定まり、ウェルの上面および下面は、平面であり、隣接する層によって定まる。ところが、このようにして形成されたウェルには、あまり奥行きがなく、よって希望よりも少なめの容積になるか、希望より大きめの表面容積比となる。奥行きが大きくなるようにウェルを形成するために、ウェル (図12Aおよび12Bのウェル 530 など) は、多層構造 531 の複数の層 532-537 を貫通して形成できる。層 532-537 がウェル 530 の寸法に比較して厚い場合には、それぞれの層 532-537 のウェルの空洞 540-545 の壁には勾配をもたせ、ウェル 530 をなめらかな内面とすることもできる。勾配のある壁は、成形およびレーザー切断製造技術のどちらでも作製できる。
弁は、流路およびウェルと並んで、マイクロ流体回路の第三の基本的構成要素を構成する。本発明の実施においては、各種の弁を使用できるが、好ましい実施形態では、受動弁、特定すれば疎水性の受動弁が使用される。疎水性の受動弁の構成については、米国特許第 6,296,020 号に詳細に記載されており、これを参照し本書に組込む。このような弁は、狭小したり拡大したりする、長いまたは短い急激な流路の形態で、マイクロ流体デバイスの1つの層に簡単に形成される。その安定性を得るためには、疎水性の材料および疎水性の毛細弁を利用した受動流体制御が好ましい。液体は、疎水性の流路には引き込まれず、圧力をかけて強制する必要がある。流路が狭くなると、流体を流しつづけるためには、より高い圧力が必要となる。疎水性の流路での、確立された流れに対する抵抗は、同じ直径の親水性の流路での抵抗とほぼ同じである。ところが、流体が初めてシステムに入り、かつ空気/流体の境界面が存在するとき、初期の流動、つまり 発展過程にある流動に対する抵抗は、相当高くなる。疎水性のシステムにおける発展過程にある流動と確立された流動に対する抵抗間の差によって、さらに信頼性の高い流量制御ができ、親水性の毛管システムでよりも、または動電学的または電気流体力学的なシステムよりも、さらに複雑な流体回路を作製できるようになる。
受動弁のある流路の例を図13に示す。流路 550 は、基板 552 の表面 551 に形成されている。受動弁 554 は、流路 550 の直径の狭まった短い領域である。このタイプの受動弁は、多層システムの個別の層に単に 2- D または 2 1/2 - D システムとして実現できる。また、図14および図15に示すとおり、層間にも実現できる。多層構造 562 は、層 564-568 から構成されるが、ここで流路 561 は、それぞれ層 564-568 の穴 571-575 により形成される。前記それぞれの穴は、小さめの直径 D2 のある層 566 の穴 573 を除き、直径が D1 であり、よって、受動弁構造が形成される。この方法は、比較的薄い層から形成されるデバイスに特に適している。
厚めの層で形成されたデバイスでは、層の厚みおよび製造技術によって構造を層の両面に形成できる場合に、流路の狭い部分は、図16および図17に示すとおり2つの層の間に、または図18−20に示すとおり1つの層に実現できる。
ここで、図16および図17を参照するが、多層構造 580 は、層 581、52および 583 で形成される。層 581 および 583 には、それぞれ開口部 585 および 586 があり、層の厚み全域にわたり直径が一様である。層 582 には、開口部 587 があるが、これには開口部 585 および 586 の直径に対応して大きめの直径のセクション 588 と、小さめの直径のセクション 589 がある。小さめの直径のセクション 589 が受動弁として機能する。図18−20は、反対面に形成された流体流路 591 および 592 のある、厚い中心層 598 で形成された構造 590 を示している。流路 591 および 592 は、中心層 598 に密封された層 593 および 594 で囲まれている。本質的に流路 591 および 592 の間の経由路である狭い流路 595 は、これらの流路のどちらよりも直径が小さく、受動弁として機能する。流動に対する抵抗は、流体が流路 591 または 592 のいずれかから狭い流路 595 に入るときだけでなく、流体が狭い流路 595 から流路の直径が急増する拡大しつつある 596 に出るときにも得られることに注目すべきである。このタイプの急激な流路の拡幅は、『受動的流体力学に基く流体回路要素 (Fluid Circuit Components Based upon Passive Fluid Dynamics)』 [代理人整理番号第 3153.2.14 号] 題名の、共同所有で共同出願中の特許出願 (これを参照し本書に組込む) に開示されているとおり、マイクロ流体回路内での流体の動きを制御するための受動弁としても使用しうる。
リモート弁による調節は、三次元マイクロ流体構造における流動を制御するために、受動弁に替わるものとして、または受動弁に加えて使用することもできる。米国特許出願第 09/922,451 号 (これを参照し本書に組込む) に記載されているリモート弁による調節では、システム外部への空気の移動を制御するために、流体システムの外部に位置し、空気ダクトにより流体回路に接続された機械弁が利用されている。流体が流体回路に初めて入るとき、システム内にある空気は、流体によって置き換えられるため、排出される必要がある。空気が逃げることができない場合には、流体の前進を妨害する背圧が発生することになる。リモート弁による調節によって、流体回路からの空気の通気が制御され、よって、回路内での流動が制御される。これによって、高価で複雑な弁の調節や制御は外部的に実行され、再使用可能となるため、マイクロ流体回路が簡略化される。空気ダクトは、流体流路と同じ方法で構成されるが、一般に直径が小さい。当然ながら、流体がまだ充填されていない場合には、空気は大気とやりとりのある流路を通じて逃げることもできる。
リモート弁による調節技術を、親水性または疎水性のシステムに導入することができる。ただし、疎水性の空気ダクトの使用は、空気逃がしができるため特に有利であるが、空気ダクトを通じた流動が制限される。親水性の材料に形成された空気ダクトを、疎水性の材料でコーティングするか、または空気の浸透可能な疎水性の薄膜で覆って、疎水性の空気ダクトの利点を得ることもできる。
さらに、PCT 公報第 WO 0188204 号 (これを参照し本書に組込む) に記載のとおり、マイクロ流体回路からの空気の排出を制御して、流動を調節するために、マイクロ流体回路の選択した領域にある空気ダクトに、陽圧または負圧をかけて、流動または反応条件を調節することができる。
本発明の実施において、機械弁およびその他のタイプの弁を使用することもできる。機械弁は、例えば、電気的に、空気圧により、または油圧により作動させることができる。本発明は、どの特定タイプの弁にも限定されない。
マイクロ流体流路、チェンバ、および弁は、各種の流体処理作業を実施するために組合わせることができる。1つの基本的な作業は、流体の流れを複数の流路に分けることである。この作業は、受動弁の使用により促進される。米国特許第 6,296,020 号 (これを参照し本書に組込む) に開示されているとおり、分岐路網での流体の流れは、分岐の各段階に一式の受動弁を装備し、流体がそれを通過して次の段階まで到達するようにすることで制御しうる。バリアの各段階を、それを前の組よりも「強力」にすることで、流路の次の段階に移動する前に、流体はその段階のすべての分岐に満たされるようになる。これは、例えば、連続したそれぞれの毛細バルブを前の組よりも細くすることで達成できる。単一の基板層 600 に形成された分岐回路を図21に図示している。単一の流路 601 に流れ込む流体は、2つの流路 602 および 603 に分かれ、その後、4つの流路 604、605、606、および 607 に分かれる。毛管バリアは、610、611、および 612 に位置する。図21の分岐回路は、多層システムの1つの層内に実現でき、また図22 に示すとおり、これに匹敵する回路を層間に構成することもできる。流体は、層 621 の入口流路 620 を通じて図22の構造に入る。そこから、層 622 の主要分岐路 627 の中心部に入り、両方の端に流れる。層 623 の主要経由路 628 および 629 の断面積は、主要分岐路 627 よりも小さく、よって、主要経由路 628 および 629 を通って流体が流れる前に、主要分岐路 627 は完全に充填される。こうして、主要経由路 628 および 629 は、受動弁として機能する。同様に、層 625 の二次経由路 632-635 の断面積は、流路または先行する層の穴よりも小さく、こうして流動に対する抵抗が高くなっており、流体は、二次経由路 632-635 を通じて移動するまえに、強制的に二次分岐路 630 および 631 に完全に充填される。
図21および図22に、2進分岐パターンを持つ分岐回路を図示する。図23および図24に示すとおり、その他の分岐パターンをウェルとして使用することもできる。図23の単層版では、単一の入口流路 640 が4つの流路 641、642、643、および 644 に一段階で分岐する。図24では、流体は、層 630 の穴 660 に入り、層 651 の中心部 662 で分岐した流路 661 に入る。その後、分岐した流路 661 の腕 663、664、665、および 666 の端に流れる。層 652 の出口流路 670、671、672 および 673 では、流動に対する抵抗が分岐した流路 661 の腕での抵抗よりも大きくなるため、流体が出口流路 670-673 のどれかに入る前に、流路開口部 661 のすべての腕は充填され、よって、流路間での流体の一様な分配が確保される。
流路および受動弁の組合せで構成されている別の基本的なマイクロ流体回路要素は、図25A−25Dに示した混合器 700 である。混合器 700 の機能は、第一の流体 710 を側路 702 に方向転換した後、第一の流体 710 を主流路の下流部分 706 に注入し戻し、第二の流体 711 と並行して流し拡散により混合させることにより、主流路 701 を次々に流れる第一の流体 710 および第二の流体 711 を混合することである。この混合回路の動作は以下のとおりである。図25Aに示すとおり、第一の流体 710 は、プログラマブル シリンジ ポンプなどの圧力源からの圧力下で主流路 701 内に移動する。第一の流体 710 は、受動弁 703 まで来ると、主流路 701 の流れが停止する。図25Bに示すとおり、第一の流体 710 は、主流路 701 での抵抗よりも流れに対する抵抗が小さいことから、受動弁 703 により側路 702 に方向転換する。第一の流体 710 は、受動弁 704 に来るまで側路 702 に流れ込む。第一の流体 710 の容積は、単に側路 702 を充填するために選択されること、また第一の流体 710 の後には第二の流体 711 が続き、これが主流路 701 に移動する際に第一の流体 710 がその先に押しやられることに注目する。受動弁 704 は、受動弁 703 よりも流れに対する抵抗が大きくなるように選択し、したがって、図25Cに図示したとおり、追加の第二の流体 711 が主流路 711 に押しやられる際に、受動弁 703 がまず突破された後、さらに主流路 701 に流れ込む。第二の流体 711 が、側路 702 が主流路 701 と交差する点に到達するとき、第二の流体 711 は、受動弁 704 の下流側に至り、これにより流動を妨げていた空気‐液体の境界面が崩壊する。図25Dに示すとおり、追加の第二の流体 711 が主流路 701 に押しやられる際に、側路 702 からの第一の流体 710 および主流路 701 からの第二の流体 711 が、流路 701 の下流部分 706 に一緒に流れ込む。
図25A−25Dに図示した混合器回路は、複数の薄層にも実現できる。複数の薄層を、流体回路構造が層の厚み全体にわたるように使用する場合には、主流路および側路によって取り囲まれた材料の「島」が保持されていないかたちとなり、製造が困難となる。こうして、図26に示すとおり、回路は、複数の層 720-724 で形成することができる。流体は、層 720 の開口部 725 に入る。主流路 726 および側路 727 は層 721 に形成され、受動弁 728 も同様である。層 722 にある小さな開口部 729 は、側路 727 が主流路 726 に交差する直前に受動弁を形成する。側路および 主流路は、層 723 の流路 731 で合流する。最後に、主流路 726 および 側路 727 からの流体は、開口部 732 から下流のマイクロフルイディクス (表示されていない) に一緒に流れ出る。別の方法として、基板材料の主要部分に対してその「島」を定位置に保持するために、何らかの位置ホルダーが用意される場合には、この回路は単一の薄い層に形成することもできる。このような位置ホルダーとしては、例えば、基板の上面または下面からその島に挿入されるピン、または製造工程中にその「島」が隣接する層に固定された後に取外される裏紙などがある。
マイクロ流体デバイスに、電極、機械弁、ヒーター、ポンプ、各種のセンサー、混合要素、およびその他の構成要素などの能動要素を含めることが好ましいことが頻繁にある。混合要素には、混合機能を実施するために、圧電素子、空気または流体により作動する袋または薄膜、および流体を循環または前後移動させるための構造などが含まれうる。センサーには、圧力変換器、光学変換器、流量測定デバイスなどがある。このような構成要素は、一般に基本的なマイクロ流体回路よりも製造がさらに高価となるため、このような構成要素は、デバイスの再使用可能な部分に組込むことが好ましい。本発明によれば、マイクロ流体デバイスは、使用時にまとめて密封可能で、その後、清掃 (必要に応じて) および再使用のために分離できる複数の部品で形成することができる。図1に図示したとおり、層 101 および 103 には能動要素が含まれ、マイクロ流体層 102 とともにまとめて密封されている。
以下の例は、上記に記載したマイクロ流体回路構造および組立て方法を実現する方法を例証するものである。これらの例は、本発明にしたがい構成しうる数多くの構造のうち小標本のみを表すものであり、本発明の実施は、それらの特定の模範的構造に限定されない。
例1
図1および図2は、本発明にしたがい、能動要素を含む再使用可能な層と、受動マイクロ流体回路を含む潜在的に使い捨てできる層があり、多数の比較的厚みのある強固な層から構成された、マイクロ流体デバイスの最初の例を記載するものである。図1および図2に図示したデバイスは、DNA サンプルの PCR ベースのスクリーニングを実施するために使用される。前述のとおり、LCR、RCA、またはその他の反応にも使用できる。
例2
図4には、マイクロアレイ上での プローブオリゴ (probe-oligo) または プローブcDNA (probe-cDNA) ハイブリッド形成用の前処理サンプルおよびハイブリッド形成ソリューションに使用することができるデバイスを図示している。このようなデバイスは、一連のマイクロアレイ・ハイブリッド形成を実行する前に、適切なハイブリッド形成条件を特定するために使用することもできる。複数のハイブリッド形成が、単一のアレイ上で、異なった条件下で実施されるため、それらの遺伝子発現実験での薬物発見過程では微妙な差異がきわめて重要とされるが、これが不明瞭となる原因であるマイクロアレイ・ハイブリッド形成反応で観られるスライドの違いによる変動が最小限に抑えられる。サンプルは、デバイス内で、色素によるラベル付け、およびハイブリッド形成ソリューションとの組合わせができる。異なったサンプル濃度や、またはその他の構成要素を持つハイブリッド形成ソリューションの準備は、デバイス内で遂行できる。緩衝塩類 (SSC) および ホルムアミドは、一般的なハイブリッド形成ソリューションの構成要素で、ハイブリッド形成の感度を最大限に調節することができる。これは、プローブサンプル内の少数遺伝子を調査するときに特に重要である。このデバイスによって、選択したパラメータに違いのあるハイブリッド形成ソリューションと組合わせて、プローブ溶液のラベル付けや、ラベル付けされたプローブの供給といった作業が、単一のマイクロアレイ・スライドの表面上に重複して印刷された幾つかの領域に対して実施される。単一のスライド上にある異なったハイブリッド形成ソリューションで得られたハイブリッド形成の結果を比較することにより、ハイブリッド形成のための最適な条件が特定されうる。
ここで、図4を参照するが、精製したプローブ DNA のサンプルが、層 402 の入口 410 に入り、流路 411 および 412 に流れ込み、ウェル 413 および 414 に供給される。ウェル 413 および 414 の出口にある受動弁 440 および 441 によって、さらに下流に流れる前に、流体は両方のウェルに充填される。それぞれのウェル 413 および 414 には、2つの異なる色素のうち 1 つが含まれている。プローブ DNA は、ウェル 413 および 414 で培養され、そこで、色素の共有結合によってラベル付けされる。これら2つのそれぞれのマイクロ流体ウェル内でラベル付けされたプローブは、流路 416 および 418 に流れ込み、これらが合流し、アフィニティーまたはサイズ除去術などの流路内クロマトグラフ用媒質の含まれる分離流路 415 に入り、ラベルのないプローブおよび未反応の色素が、ラベル付けされたプローブと分離される。精製済みで色素によるラベル付けがされたプローブは、その後、流路 417 を経由して分離流路 415 を出て、チェンバ 419 で回収される。これらは、流路 420 および層 403 の通路 422 を通過してデバイスの層 404 に送られる。
層 404 で、精製されラベル付けされたプローブは、多くの部分に分割され、そのいくつかは、対象のパラメータを修正するためにさらに処理が行われる。精製されラベル付けされたプローブは、分割部 423 で2つの部分に分割される。流路 424 内のプローブ溶液は、通路 425 および 427 を通過して、層 408 の開口部 428 に移動し、これが、マイクロアレイ・スライド 409 の領域 429 を含むハイブリッド形成チェンバを形成する。流路 435 のプローブ溶液は、プローブ溶液と混合される第一の試薬のあるウェル 436 に入る。ウェル 436 の試薬により、プローブ溶液が修正される。修正済みプローブ溶液は、ウェル 436 を出て、分岐点 437 で分割される。流路 438 にある修正済みプローブ溶液の第一の部分は、ウェル 439 を通過するが、ここでウェル 439 からの第二の試薬を追加することにより修正された後、マイクロアレイ 409 の領域 454 に送られ、通路 450 および 459 を通り、層 408 の開口部 453 に送られる。流路 460 のプローブ溶液は、側路 461 に入り、その後、追加のプローブ溶液で混合・希釈される。希釈された修正済みプローブ溶液は、流路 462 を通りウェル 463 に移動し、ここで、第三の試薬がこれに追加された後、開口部 464、465、466 および開口部 467 に形成されているチェンバを経由し、マイクロアレイ 409 の領域 468 に送られる。流体がチェンバ 428、453、および 467 に入るとき、層 404 の通気口 486-488 に連結された層 407 の通路 475-477、層 406 の 478-480、および層 405 の 482-484 を通して空気が逃げ、そこから大気に逃げる。
ウェル 436、439、および 463 にある試薬は、マイクロアレイ表面で実行されることになるハイブリッド形成反応を修正する能力のある多数の物質であればどれでもよい。試薬には、溶液の pH 値を変化させるホルムアミド、SSC、酸類、塩基類または緩衝液、溶液のイオン強度を変化させる塩類、また界面活性剤などの物質が含まれる。試薬は、使用前に、乾燥 (凍結乾燥など) した形態で、または少なくとも比較的安定した試薬については液体の形態で、デバイスに装填することができる。このデバイスの異なる層に実現された機能により、ラベル付けされたプローブ溶液の準備、ならびにマイクロアレイによる全ての調査を開始する時点で実施される最適化実験で使用する、異なったハイブリッド形成ソリューションの準備に関連した、相当量の作業をなくすことが可能となる。
図4に例証したとおり、本発明のさらなる特徴は、マイクロアレイ表面上に形成されたチェンバ 428、452、および 467 内の流体の攪拌・混合をするために交互に膨張・収縮する空気袋があることである。層 406 には、空気ライン 494 に連結された空気袋 490a、491a および 492a、ならびに空気ライン 495 に連結された空気袋 490 b、491b、および 492b が含まれている。空気ライン 494 および 495 は、空気袋を相互に膨張・収縮させてチェンバ 428、452、および 467 内で流体を前後に押して移動させる外部にある陽圧および負圧の源に連結されている。ハイブリッド形成 チェンバ内での空気圧による混合を提供するための空気袋の使用については、米国仮出願第 60/339, 851 号 (これを参照し本書に組込む) に詳細に記載されている。この混合のメカニズムは、本発明の多様な実施形態に組込むことができ、本書で記載した特定の実施形態での使用に限定されるものではない。
例3
図3Aに、酵素結合免疫吸着検定法または「ELISA」などの多重免疫測定法を実施するために、サンプルの段階希釈を実施し、サンプル溶液および一連の適切な試薬/反応剤を診断する表面 303 に送る三次元マイクロ流体デバイス 300 を示している。マイクロ流体回路は、対象の被検体に特定の固定化されたキャプチャー抗体 (capture antibodies) が含まれる小さな領域 3181-318e のあるスライドまたはマイクロタイター プレートなど、診断する表面 303 との界面となるように設計されている。デバイスは、その動作原理をより明瞭に例証するために単純化されている。実際には、診断する表面 303 には、例えば、ここに記載した単一の列とは対照的に、複数の列で構成されるアレイにキャプチャー抗体 (capture antibodies) を保有するさらに多くの領域を含めることができる。デバイス 300 には、それに対応してさらに多数のマイクロ流体回路があるようになり、サンプルおよび試薬が抗体を保有するさらに多数の領域に送られる。デバイス 300 により実施される段階希釈のステップは、サンプル内の被検体の濃度を測定するために使用される拒絶反応が検査の線上範囲内で起こることを確保するために必要である。免疫学的な検査をその線上範囲内で実施することは、分析精度にとってきわめて重要である。
デバイス 300 の上部回路層は、基板層 302 の上面に形成され、未知の濃度を持つ1つ以上の対象の分析物を含むサンプルの段階希釈を実施するマイクロ流体回路316 がある。上部回路層にある追加マイクロ流体回路により、免疫学的試験法が実行できるように、診断する表面 303 に対してサンプル溶液および試薬が順に供給される。基板層 302 の回路316 は、基板層 302 の上面に密封されたカバー層 304 で囲まれている。上部回路層の回路は、下降経由路 319a-319e および上昇経由路 320a-320e により診断する表面上に形成された読取りウェルに接続されている。読取りウェルは、診断する表面 303 上に固定化されたキャプチャー抗体 (capture antibodies) が含まれる領域 318a-318e に対応したガスケット層 301 の開口部 310a-310e によって形成される。
基板層 302 には、主流路 321 に供給する入口 370 があり、これが一連のサンプル ウェル 322a、322b、322c、322d、および 322e につながり、そこでサンプル溶液の各種の希釈度が集められる。主流路 321 に沿って、列をなしているのは、図25A−25Dに示したタイプのマイクロ流体混合モジュール323a-323e で、これがサンプル溶液および緩衝液を混合することにより、段階希釈のステップが実施される。各サンプルウェルでの主流路の分岐は、複数の同一の ELISA 回路 324a-324e であり、ここで、サンプルの異なった段階希釈について ELISA 反応が実施される。第一の ELISA 回路 324a は、図3Bに詳細があるが、他の ELISA 回路の動作は同等である。図3Bに示すとおり、第一の ELISA 回路 324a には、主流路 330a のほか、側路 334a に位置し、対象の被検体に特定の抗体により形成された冷凍乾燥の酵素‐抗体共役体が含まれる共役ウェル 333a、側路 332a に位置し、冷凍乾燥した基質を含み、それとともに共役体によって検出可能な反応生成物が生成される基質ウェル 331a、診断する表面 303 にある読取りウェル 310a、ならびに廃棄物ウェル 335a、336a、337a、および 338a がある。すべてのウェルおよび流路は、診断する表面 303 上に位置し、下降経由路 319a および上昇経由路 320a により層 302 の回路に接続された読取りウェル 310a を除き、マイクロ流体デバイスの層 302 上に位置する。
使用の際には、対象とする被検体が含まれるサンプル溶液は、受動弁 338a および 339a により停止されるまで、入口 370 から、流路 321 を通してサンプルウェル 322a に送り込まれる。ポンプ動作の圧力は、シリンジ ポンプまたはその他のポンプ用デバイスにより供給される。サンプルウェル 322a を充填するのに十分なサンプル溶液の容積の後には、それより大きな容量の緩衝液が続き、これはサンプル溶液の直後に入口 370 にポンプで入れられる。緩衝液がサンプルウェル 322a に入るとき、サンプル溶液の一部分が ELISA 回路 324a に移動して入り、別のサンプル溶液の別の部分が混合モジュール 323a に移動して入る。受動弁 329a によって、サンプルは、受動弁 328 に来るまで、混合モジュール 323a の側路 326 に優先的に流れ込み、また受動弁 340a、341a、342a、および 343a によって、流体は、受動弁344a、345a、346a、および 347a に来るまで、下降流路 330a および読取りウェル 310a に優先的に流れ込む。サンプル内の対象とする被検体を認識するキャプチャー抗体 (capture antibodies) は、読取りウェル 310a に固定化されている。サンプルは、完全な結合を確保するために、免疫学的な試験法により要求される時間の間、このウェル内で培養する必要がある。
システムに装填するサンプル流体の容積は、側路 323a および 読取りウェル 310a を充填するためだけに十分な量であることが非常に重要であり、いったんこれらの構造が充填された後は、サンプルウェル 322a のサンプル溶液は、緩衝液で置き換えられる。また、受動弁の強度は、サンプル流体によって、マイクロ流体回路の他の部分には入ることなく側路 323a および 読取りウェル 310a が充填されるだけの強く、サンプル溶液の正確な分配が確保されるということも非常に重要である。
側路 323a および 読取りウェル 310a が充填された後、追加の緩衝液を流路 321 にポンプで送り込むと、弁 329 および 240a の相対的な強度に応じて、緩衝液が ELISA 回路 324a または混合回路 323a のいずれかに流れ込むことになる。緩衝液が混合回路 323a に流れ込むとき、側路 326のサンプルの量が図25A−25Dに関連して説明したように緩衝液と混合され、さらにサンプルウェル 322b につながる蛇行状の流路 327a に流れ込む。サンプルウェル 322b が充填されると、受動弁 338b および 339b により希釈サンプルの流れが停止する。
サンプルを読取りウェル 310a 内で培養する十分な培養期間の後には、大量の緩衝液を、主流路 330a および読取りウェル 310a に流し込み、未結合のサンプルを洗い流す必要がある。緩衝液が読取りウェル 310a に入り込むとき、受動弁 344a が開いて、サンプル流体が廃棄物ウェル 335a に入るようになる。次に、緩衝液は、側路 334a に流れ込む。側路 334a への入口にある弁 340a は、いったん読取りウェル 310a が充填され洗浄が終われば、流体が流路 334a に、および共役ウェル 330a 内を優先的に流れるように、読取りウェル 310a の出口で弁 345a、346a、または 347a のどれよりも、また側路 332a の開始点で弁 341a よりも低い強度である必要がある。共役ウェル 330a には、このデバイスの製造時に、そのまま凍結乾燥されたり、またはビーズの形態に沈殿されたりした、沈殿した共役体が含まれる。緩衝液と接触すると、共役体は再懸濁し、共役体を含む緩衝溶液が形成されるが、これは瞬間的に起こるプロセスである。緩衝液が流路 334a に入るとき、空気は、大気に連結 (図示のとおり間接的、または間接的に) された空気ダクト 350a を経由して逃げる。流路 334a の直径は、両方の流路が流体で満たされた時に、流路 334a への流動が優先的に起こり、すべての共役体が溶解し、読取りウェル 310a に運ばれるように、流路 330a よりも大きな直径であることが好ましい。いったん 流路 334a が充填されると、受動弁 356a によって停止するまで、共役体を含む緩衝溶液は読取りウェル 310a に移動し、リンス用の緩衝溶液が受動弁 345a を通過し廃棄物ウェル 336a に流し込まれる。共役体を含む緩衝液は、定めた期間の間、読取りウェル 310a 内で培養され、共役体とキャプチャー固定化された被検体との結合が起こる。追加緩衝液が入口 370 を通して注入され、未結合の共役体を読取りウェルから洗い流し、廃棄物ウェル 337a に移動させる。受動弁 357a には、受動弁 341a よりも高い強度があるため、いったん廃棄物ウェル 337a が充填されると、緩衝溶液は受動弁 341a を通り側路 332a に移動し、そこでウェル 331a 内で基質を再水和する。空気ダクト 354a により、緩衝液が側路 332a に流れ込む際に、空気の逃げが提供される。緩衝液が、優先的に流路 332a を通って、全ての基板を読取りウェル 310a に流れるようにするために、流路 332a の直径は、側路 334a および 主流路 330a の直径よりも大きい。基質を含む緩衝液が読取りウェル 310a に流れ込むとき、読取りウェル 310a の以前の内容物は、受動弁 347a を通過し廃棄物ウェル 338a に流し出される。信号が発生するよう十分な時間をとった後、標準的な実験器具により、これが検出され数量化される。デバイスの層は、分解して、読取りウェルから (つまり、診断する表面 303 から) の信号を調べたり、あるいは検出された信号がそれを通過できる場合には、診断する表面 303 を通して信号を検出することもできる。隣接する読取りウェル間の隙間は、既存の実験器具に相当するものであることが好ましい。
各混合回路 323a-323d で実行される希釈ステップによって、サンプル溶液と緩衝液との段階希釈が得られる。各サンプルウェル 322b-322e からの連続的な希釈液サンプルの一部がそれぞれ各 ELISA 回路 324b-324e に移動し、そこで上述の処理が各希釈サンプルについて実施される。受動弁の強度および流路の直径を適切に選択することで、流体回路の特定の部分を通る流体の移動が精密に制御できる。
本書で開示された、多層構造および流体回路要素を製造し、三次元マイクロ流体回路を形成する方法は、多様なマイクロ流体構造およびデバイスの形成に利用でき、そのうち本書で挙げた特定の例は単に模範的なものである。本発明は、本書に広範に記載し、また下記に請求するとおり、その構造、方法、またはその他の本質的な特性から逸脱することなく、その他の特定の形態で実施することができる。記載した実施形態は、あらゆる点において例証のためだけのものであり、限定するためのものではないと考えられる。よって、本発明の範囲は、上記の記載によるのではなく、添付した請求項により表示される。請求項と等価な意味や範囲内での変更はすべて、その範囲に含まれるものとする。
参考文献一覧
Anderson, J.R., D.T. Chiu, R.J. Jackman, O. Cherniavskaya, J.C. McDonald, H. Wo, S.H. Whitesides, G.M. Whitesides, 「急速プロトタイプ作成による、PDMS における位相幾何学的に複雑な三次元マイクロ流体システムの組立て (Fabrication of Topologically Complex Three-Dimensional Microfluidic Systems in PDMS by Rapid Prototyping)」, Anal. Chem. 2000, 72, 3158-3164
能動要素およびマイクロ流体回路を含む層を組込んだ多層デバイスの分解図である。 図1のデバイスの組立図である。 段階希釈および ELISA を実施するための多層デバイスを示している。 図3Aのデバイスの基本的なマイクロ流体回路の図式である。 サンプルを処理し、それを3つの異なるハイブリッド形成ソリューションをもつマイクロアレイ・スライドに供給するための多層デバイスである。 多層マイクロ流体構造における重複した流路の上面図である。 図5の構造を断面線6−6に沿って切断した断面図である。 別の多層マイクロ流体構造における重複した流路の上面図である。 図7の構造を断面線8−8に沿って切断した断面図である。 薄膜多層構造に形成される重複した流体流路の上面図である。 図9の構造を断面線10−10に沿って切断した断面図である。 図9の構造を断面線11−11に沿って切断した断面図である。 ウェルのある多層構造の分解図である。 図12Aの構造の組立図である。 基板表面に形成された受動弁のある流体流路の透視図である。 多層構造に形成される受動弁の分解図である。 図14の組立て済み受動弁の断面図である。 別の受動弁を組込んだ多層構造の分解図である。 図16の組立て済み受動弁の断面図である。 基板の反対側の面に形成され、基板を通っている細い通路で連結された流体流路の透視図である。 図18の構造を断面線19−19で切断した断面である。 図18の構造を断面線20−20で切断した断面である。 基板表面に形成され、流体の流れの分割に使用される分岐構造を図示している。 図21の分岐構造と類似した分岐構造を含む多層構造の分解図である。 基板表面に形成される、流体の流れを分割するための別の分岐構造を図示している。 図23の分岐構造に類似した分岐構造を含む、流体の流れを分割するための多層構造の分解図である。 マイクロ流体混合要素内を連続して流れる2つの流体の混合ステップを図示している。 同じく2つの流体の混合ステップを図示している。 同じく2つの流体の混合ステップを図示している。 同じく2つの流体の混合ステップを図示している。 図25A−25Dに示したものと類似した混合要素内の多層構造が導入されたものの分解図である。

Claims (76)

  1. 多層マイクロ流体デバイスであって、
    a.密封されるように組立てられている実質的に平面の複数の層、
    b.前記マイクロ流体デバイスの、少なくとも2つの前記平面の層に対応する、少なくとも2つの平面に位置するマイクロ流体構造、
    c.1つ以上の隣接する平面の層を通過し、異なる平面にあるマイクロ流体構造間での流体のやりとりを提供する、少なくとも1つのマイクロ流体構造、
    を備え、
    前記マイクロ流体構造は、1つ以上の流路、ウェル、仕切り、混合器、弁、空気ダクト、または通気口を備え、前記複数の平面の層の少なくとも1つは、疎水性の表面を有する多層マイクロ流体デバイス。
  2. 請求項1のマイクロ流体デバイスにおいて、さらに、加熱素子、電極、センサー、混合要素、および能動弁で構成される群から選択した少なくとも1つの能動要素を備えるマイクロ流体デバイス。
  3. 請求項2のマイクロ流体デバイスにおいて、前記能動要素は、圧電変換器、空気作動式の袋、および水圧作動式の袋で構成される群から選択した1つの混合要素を備えるマイクロ流体デバイス。
  4. 請求項2のマイクロ流体デバイスにおいて、前記能動要素は、光学センサー、圧力変換器、流量変換器、および温度センサーで構成される群から選択される1つのセンサーを備えるマイクロ流体デバイス。
  5. 請求項1のマイクロ流体デバイスにおいて、前記少なくとも1つの層は疎水性の材料で形成されるマイクロ流体デバイス。
  6. 請求項1のマイクロ流体デバイスにおいて、前記少なくとも1つの層は非疎水性の基材で形成され、前記疎水性の表面は前記非疎水性基材上の疎水性の被膜により形成されるマイクロ流体デバイス。
  7. 請求項1のマイクロ流体デバイスにおいて、前記複数の層は、まとめて組立てる前に、位置合わせ枠で位置合わせされるマイクロ流体デバイス。
  8. 請求項1のマイクロ流体デバイスにおいて、前記各層はそれを貫通して形成された少なくとも2つの位置合わせ穴を備え、前記複数の層は前記位置合わせ穴を貫通するロッドにより位置合わせされているマイクロ流体デバイス。
  9. 請求項1のマイクロ流体デバイスにおいて、前記複数の層のうち少なくとも2つは、まとめてクランプ固定されることにより、まとめて密封されるように組立てられているマイクロ流体デバイス。
  10. 請求項9のマイクロ流体デバイスにおいて、前記少なくとも2つの層間の流体密封シールは、非圧縮性の層間に圧縮可能なガスケット層を提供することで得られるマイクロ流体デバイス。
  11. 請求項9のマイクロ流体デバイスにおいて、前記少なくとも2つの層間の流体密封シールは、前記2つの層間の界面に疎水性の表面を提供することにより得られるマイクロ流体デバイス。
  12. 請求項1のマイクロ流体デバイスにおいて、前記複数の層のうち少なくとも2つが、接着剤を用いてまとめて密封されるように組立てられているマイクロ流体デバイス。
  13. 請求項12のマイクロ流体デバイスにおいて、前記接着剤は前記少なくとも2つの層のうち少なくとも1つから取外し可能であるマイクロ流体デバイス。
  14. 請求項1のマイクロ流体デバイスにおいて、前記少なくとも2つの層の分離を許容するために、前記少なくとも2つの層間のシールが取外し可能であるマイクロ流体デバイス。
  15. 請求項14のマイクロ流体デバイスにおいて、前記デバイスは、前記少なくとも2つの層間で、使い捨て部分と再使用可能な部分とに分離できるマイクロ流体デバイス。
  16. 請求項15のマイクロ流体デバイスにおいて、前記複数の層の1つがガラス製スライドであるマイクロ流体デバイス。
  17. 請求項15のマイクロ流体デバイスにおいて、前記複数の層の1つがマイクロタイタープレートであるマイクロ流体デバイス。
  18. 請求項15のマイクロ流体デバイスにおいて、前記複数の層の少なくとも1つの層は、そこに固定化された生体分子を有する少なくとも1つの領域を備えるマイクロ流体デバイス。
  19. 請求項1のマイクロ流体デバイスにおいて、前記複数の平面の層は疎水性の基材で形成されているマイクロ流体デバイス。
  20. 請求項1のマイクロ流体デバイスにおいて、前記弁の少なくとも1つは受動弁であるマイクロ流体デバイス。
  21. 請求項1のマイクロ流体デバイスにおいて、前記弁の少なくとも1つはリモート弁であるマイクロ流体デバイス。
  22. 請求項1のマイクロ流体デバイスにおいて、前記1つの平面にあるマイクロ流体構造は、少なくとも1つの層の厚み全体にわたって形成され、それによりマイクロ流体構造の境界が前記少なくとも1つの層により形成され、上面および下面が隣接する層により形成されているマイクロ流体デバイス。
  23. 請求項1のマイクロ流体デバイスにおいて、前記1つの平面にあるマイクロ流体構造の少なくとも一部分は、少なくとも1つの前記層の表面に形成され、層の厚み全体を貫通しないマイクロ流体デバイス。
  24. 多層マイクロ流体デバイスであって、
    a.まとめて密封されるように組立てられた実質的に平面の複数の層、
    b.前記マイクロ流体デバイスの少なくとも2つの前記平面の層に対応する少なくとも2つの平面に位置するマイクロ流体構造、
    c.1つ以上の隣接する平面の層を貫通し、異なる平面にあるマイクロ流体構造間での流体のやりとりを提供する、少なくとも1つのマイクロ流体構造、
    を備え、
    前記少なくとも2つの平面に位置する前記マイクロ流体構造の少なくとも一部は、少なくとも1つの前記層の表面に前記層の厚み全体を貫通しないように形成され、
    前記少なくとも2つの平面にあり、1つ以上の平面の層を貫通する前記マイクロ流体構造は、少なくとも1つの受動弁と、流路、ウェル、仕切り、混合器、弁、空気ダクト、および通気口から構成される群から選択した少なくとも1つの追加マイクロ流体構造と、を備える多層マイクロ流体デバイス。
  25. 請求項24のマイクロ流体デバイスにおいて、さらに、加熱素子、電極、センサー、混合要素、および能動弁で構成される群から選択した少なくとも1つの能動要素を備えるマイクロ流体デバイス。
  26. 請求項25のマイクロ流体デバイスにおいて、前記能動要素は、圧電変換器、空気作動式の袋、および水圧作動式の袋で構成される群から選択した1つの混合要素を備えるマイクロ流体デバイス。
  27. 請求項25のマイクロ流体デバイスにおいて、前記能動要素は、光学センサー、圧力変換器、流量変換器、および温度センサーで構成される群から選択される1つのセンサーを備えるマイクロ流体デバイス。
  28. 請求項24のマイクロ流体デバイスにおいて、少なくとも1つの層は疎水性の表面を有するマイクロ流体デバイス。
  29. 請求項28のマイクロ流体デバイスにおいて、前記少なくとも1つの層は疎水性の材料で形成されているマイクロ流体デバイス。
  30. 請求項28のマイクロ流体デバイスにおいて、前記少なくとも1つの層は非疎水性の基材で形成され、前記疎水性の表面は前記非疎水性の基材上の疎水性の被膜により形成されているマイクロ流体デバイス。
  31. 請求項24のマイクロ流体デバイスにおいて、前記複数の層のうち少なくとも2つが、まとめてクランプ固定されることにより、まとめて密封されるように組立てられているマイクロ流体デバイス。
  32. 請求項31のマイクロ流体デバイスにおいて、前記少なくとも2つの層間の流体密封のシールは、非圧縮性の層間に圧縮可能なガスケット層を提供することで得られるマイクロ流体デバイス。
  33. 請求項31のマイクロ流体デバイスにおいて、前記少なくとも2つの層間の流体密封のシールは、前記2つの層間の界面に疎水性の表面を提供することにより得られるマイクロ流体デバイス。
  34. 請求項24のマイクロ流体デバイスにおいて、前記複数の層のうち少なくとも2つは、接着剤を用いてまとめて密封されるように組立てられているマイクロ流体デバイス。
  35. 請求項34のマイクロ流体デバイスにおいて、前記接着剤は前記少なくとも2つの層のうち少なくとも1つから取外し可能であるマイクロ流体デバイス。
  36. 請求項24のマイクロ流体デバイスにおいて、少なくとも2つの前記層間のシールは取外し可能で、前記少なくとも2つの層は分離できるマイクロ流体デバイス。
  37. 請求項36のマイクロ流体デバイスにおいて、前記デバイスは、前記少なくとも2つの層間で、使い捨て部分 と再使用可能な部分とに分離できるマイクロ流体デバイス。
  38. 請求項36のマイクロ流体デバイスにおいて、前記複数の層のうちの1つはガラス製スライドであるマイクロ流体デバイス。
  39. 請求項36のマイクロ流体デバイスにおいて、前記複数の層のうちの1つはマイクロタイター プレートであるマイクロ流体デバイス。
  40. 請求項36のマイクロ流体デバイスにおいて、前記複数の層のうちの少なくとも1つは、そこに固定化された生体分子を有する少なくとも1つの領域を備えるマイクロ流体デバイス。
  41. 請求項24のマイクロ流体デバイスにおいて、前記弁のうちの少なくとも1つはリモート弁であるマイクロ流体デバイス。
  42. 請求項24のマイクロ流体デバイスにおいて、少なくとも1つの前記平面にあるマイクロ流体構造は、少なくとも1つの層の厚み全体にわたって形成され、それによりマイクロ流体構造の境界が前記少なくとも1つの層により形成され、上面および下面は隣接する層により形成されているマイクロ流体デバイス。
  43. 加熱ステップを含む生化学反応を実施するための多層マイクロ流体デバイスであって、 a.まとめて組立てられている実質的に平面の複数の層、
    b.少なくとも1つの前記層に形成された少なくとも1つのサンプル入口、
    c.前記サンプル入口と流体のやりとりのある少なくとも1つの熱反応ウェル、
    d.前記熱反応ウェルと流体のやりとりのある少なくとも1つの読取りウェル、
    e.前記熱反応ウェルと前記読取りウェルとの間に位置し、前記熱反応ウェルと前記読取りウェルとの間の流動を制御する少なくとも1つの能動弁、
    を備える多層マイクロ流体デバイス。
  44. 請求項43の多層マイクロ流体デバイスにおいて、さらに、加熱素子を備え、 前記加熱素子は、前記少なくとも1つの熱反応ウェルとは異なった層に形成され、前記熱反応ウェルへの加熱をするように構成される多層マイクロ流体デバイス。
  45. 請求項43の多層マイクロ流体デバイスにおいて、前記複数の層がまとめてクランプ固定される多層マイクロ流体デバイス。
  46. 請求項45の多層マイクロ流体デバイスにおいて、層間の流体密封の接続は、非圧縮性の層間に圧縮可能なガスケット層を提供することにより得られる多層マイクロ流体デバイス。
  47. 請求項45の多層マイクロ流体デバイスにおいて、層間の流体密封の接続は、前記接合部に疎水性の表面を提供することにより得られる多層マイクロ流体デバイス。
  48. 請求項47の多層マイクロ流体デバイスにおいて、前記疎水性の表面は、疎水性の基材の表面である多層マイクロ流体デバイス。
  49. 請求項47の多層マイクロ流体デバイスにおいて、前記疎水性の表面は、非疎水性の基材上の疎水性の被膜により形成される多層マイクロ流体デバイス。
  50. 多層マイクロ流体デバイスで DNA プロセシングを実施する方法であって、
    a.対象の DNA サンプルを含む溶液を前記多層マイクロ流体デバイスに充填するステッ プ、
    b.前記溶液を前記マイクロ流体デバイスにある少なくとも1つの熱反応ウェルに分配 するステップであって、前記少なくとも1つの熱反応ウェルには、対象となる特定の DNA 配列の増幅に必要なその他の材料が提供されるステップ、
    c.前記少なくとも1つの熱反応ウェルの下流の弁を閉じ、前記少なくとも1つの熱反応ウェルから、ガスまたは液体が下流へ移動することを遮断するステップ、
    d.前記熱反応ウェルに対象の DNA サンプルが存在する場合に、前記少なくとも1つの熱反応ウェルで溶液およびその他の材料を、前記対象となる特定の DNA 配列の増幅を行うために十分な方法で加熱するステップ、
    e.少なくとも1つの前記熱反応ウェルの下流の前記弁を開くステップ、
    f.前記少なくとも1つの熱反応ウェルの内容物を、前記熱反応ウェルから、前記熱反応ウェルの下流の前記流路を通し、対応する読取りウェルに洗い出すステップ、
    g.前記読取りウェルでの DNA の有無を検出するステップ、
    を備える多層マイクロ流体デバイスで DNA プロセシングを実施する方法。
  51. PCR分析の実施用に適応させた請求項50の方法であって、前記DNA 溶液は、プライマーなしの PCR カクテルを備え、前記その他の材料は、前記対象となる特定の DNA 配列について特定のプライマー ペアを備え、前記少なくとも1つの熱反応ウェルでの溶液およびその他の材料を加熱する前記ステップは、熱サイクルの実施を備える請求項50に記載のDNA プロセシングを実施する方法。
  52. LCR分析の実施用に適応させた請求項50の方法であって、前記少なくとも1つの熱反応ウェルでの溶液およびその他の材料を加熱する前記ステップは、等温加熱ステップを備える請求項50に記載のDNA プロセシングを実施する方法。
  53. RCA分析の実施用に適応させた請求項50の方法であって、前記少なくとも1つの熱反応ウェルでの溶液およびその他の材料を加熱する前記ステップは、等温加熱ステップを備える請求項50に記載のDNA プロセシングを実施する方法。
  54. 多層マイクロ流体デバイスでの生化学反応を実施する方法であって、
    a.溶液を前記多層マイクロ流体デバイスに充填するステップ、
    b.前記溶液を前記マイクロ流体デバイスにある少なくとも1つの熱反応ウェルに分配するステップ、
    c.前記少なくとも1つの熱反応ウェルの下流の弁を閉じ、前記熱反応ウェルからガスまたは液体が下流へ移動できないようにするステップ、
    d.前記少なくとも1つの熱反応ウェルを対象となる生化学反応を実施するために必要な方法で加熱するステップ、
    e.少なくとも1つの前記熱反応ウェルの下流の前記弁を開くステップ、
    f.前記各熱反応ウェルの内容物を、前記熱反応ウェルから、対応する下流の読取りウェルに洗い出すステップ、
    g.前記読取りウェルでの前記生化学反応物の有無を検出するステップ、
    を備える多層マイクロ流体デバイスでの生化学反応を実施する方法。
  55. サンプル内の対象とする被検体を検出するために、結合反応を実施するための三次元マイクロ流体デバイスであって、
    a.密封されるように組立てられている実質的に平面の複数の層、
    b.対象とする被検体が存在する可能性のあるサンプル溶液を受け入れるための少なくとも1つの入口、
    c.前記入口の下流にあり、前記対象とする被検体と結合するように適応させた結合部分 を含む読取りウェル、
    d.前記読取りウェルの下流にあり、前記読取りウェルから洗い出された流体を受けるための少なくとも1つの廃棄物ウェル、
    e.流動を一時的に停止させて流体を前記読取りウェル内に保持するための少なくとも1つの受動弁、
    f.少なくとも一時的に流動を停止させて前記廃棄物ウェル内の流体を保持するための少なくとも1つの受動弁、
    を備える三次元マイクロ流体デバイス。
  56. 請求項55の三次元マイクロ流体デバイスにおいて、前記入口、読取りウェル、廃棄物ウェル、および受動弁は、前記マイクロ流体デバイスの2つの異なった平面の層に対応する少なくとも2つの異なった平面に位置する三次元マイクロ流体デバイス。
  57. サンプルで対象とする被検体の検出をするためのELISA を実施するための三次元マイクロ流体デバイスであって、
    a.実質的に平面の複数の層、
    b.前記層のうち少なくとも2つに形成された構成要素を持つ少なくとも1つのELISA 回路、
    を備え、
    前記ELISA 回路は、
    i. 対象とする被検体が存在する可能性のあるサンプル溶液を受け入れるように適応させた主流路、
    ii. 前記主流路との流体のやりとりがあり、前記対象とする被検体に特定の固定化されたキャプチャー抗体のある読取りウェル、
    iii. 前記主流路および前記読取りウェルとの流体のやりとりがあり、酵素と共役結合した前記対象とする被検体に特定された抗体が含まれる多量の共役体を含む共役ウェル、
    iv. 前記主流路および前記読取りウェルとの流体のやりとりがあり、前記酵素と反応し、検出可能な反応生成物を生成する能力のある多量の酵素基質が含まれる基質ウェル、
    v. 前記読取りウェルにサンプル溶液、共役体、基質の順で送るために、前記主流路、前記読取りウェル、前記共役ウェル、前記読取りウェルを通して流れる流動を順に検出する複数の受動弁、
    を備える三次元マイクロ流体デバイス。
  58. 請求項57の三次元マイクロ流体デバイスにおいて、さらに、
    a.少なくとも2つの前記層に形成された構成要素を有する少なくとも1つの追加 ELISA 回路であって、
    i. 対象とする被検体が存在する可能性のあるサンプル溶液を受け入れるように適応させた主流路、
    ii. 前記主流路との流体のやりとりがあり、前記対象とする被検体に特定の固定化されたキャプチャー抗体のある読取りウェル、
    iii. 前記主流路および前記読取りウェルとの流体のやりとりがあり、酵素と共役結合した前記対象とする被検体に特定された抗体が含まれる多量の共役体を含む共役ウェル、
    iv. 前記主流路および前記読取りウェルとの流体のやりとりがあり、前記酵素と反応し、検出可能な反応生成物を生成する能力のある多量の酵素基質が含まれる基質ウェル、
    v. 前記読取りウェルにサンプル溶液、共役体、基質の順で送るために、前記主流路、前記読取りウェル、前記共役ウェル、前記読取りウェルを通して流れる流動を順に検出する複数の受動弁、
    を備える少なくとも1つの追加 ELISA 回路、
    b.すべての追加サンプルウェルの上流に位置し、前記マイクロ流体デバイスに注入された希釈サンプルを受け入れるように適応させた第一のサンプルウェル、
    c.上流のサンプルウェルから希釈サンプルを受け入れるように適応させた少なくとも1つの追加サンプルウェル、
    d.それぞれの前記追加サンプルウェルおよび上流のサンプルウェルとの間に位置する少なくとも1つの混合回路であって、前記上流のサンプルウェルからのサンプルを希釈剤と混合して、前記少なくとも1つの追加サンプルウェルに集められる希釈液サンプルを形成するように設定されている混合回路、
    を備え、
    前記第一のサンプルウェルからのサンプル溶液は、前記少なくとも1つのELISA 回路に送られ、前記少なくとも1つの追加サンプルウェルからの希釈液サンプルは、前記少なくとも1つの追加 ELISA 回路に送られ、それぞれの前記ELISA 回路は、前記サンプル溶液または前記サンプル溶液の希釈液で対象とする被検体を検出するために使用される三次元マイクロ流体デバイス。
  59. ハイブリッド形成ソリューションの処理用で、それをマイクロアレイ・スライドの表面に供給するための三次元マイクロ流体デバイスであって、
    a.密封されるように組立てられている実質的に平面の複数の層、
    b.前記ハイブリッド形成ソリューションの少なくとも第一の部分をデバイスに充填することのできる入口流路、
    c.前記入口流路の下流にあるマイクロ流体処理回路であって、前記ハイブリッド形成ソリューションの前記第一の部分と混合することになる前記ハイブリッド形成ソリューションの試薬またはその他の構成要素を含むウェルと、前記ハイブリッド形成ソリューションの少なくとも一部分に対して分離ステップを実施するための分離コラムと 、前記ハイブリッド形成ソリューションの少なくとも一部分を希釈剤と混合するための混合回路と、前記ハイブリッド形成ソリューションの少なくとも一部分2つ以上の流路に分割するための分岐回路とで構成される群から選択した少なくとも1つの構成要素を備えるマイクロ流体処理回路、
    d.前記ハイブリッド形成ソリューションの前記マイクロ流体処理回路を通した流れを調節するための少なくとも1つの受動弁、
    e.前記ハイブリッド形成ソリューションの少なくとも一部をマイクロアレイ・スライドの表面に送る経由路、
    を備え、
    使用において、前記マイクロアレイ・スライドは、前記三次元マイクロ流体デバイスに密封されるように組立てられ、少なくとも1つのハイブリダイゼーションチェンバが前記マイクロアレイ・スライドおよび前記三次元マイクロ流体デバイスの間の界面で形成されるようになり、前記経由路は、前記ハイブリダイゼーションチェンバとの流体のやりとりがある三次元マイクロ流体デバイス。
  60. 三次元マイクロ流体構造であって、
    a.密封されるように組立てられている実質的に平面の複数の層、
    b.前記平面の複数の層により定められる少なくとも2つの平面に形成されるマイクロ流体回路、
    c.少なくとも1つの前記層により定められる平面に形成される少なくとも1つのマイクロスケール流路、
    d.前記少なくとも1つのマイクロスケール流路内の短い急激な狭まり備える受動弁、
    を備え、
    前記流路の内面および前記受動弁は疎水性である三次元マイクロ流体構造。
  61. 請求項60の三次元マイクロ流体構造において、前記複数の層が疎水性の材料で形成されている三次元マイクロ流体構造。
  62. 請求項60の三次元マイクロ流体構造において、前記複数の層が非疎水性の基材と疎水性の被膜で形成されている三次元マイクロ流体構造。
  63. 三次元マイクロ流体構造であって、
    a.密封されるように組立てられている実質的に平面の複数の層、
    b.前記平面の層により定められる少なくとも2つの平面に形成されるマイクロ流体回路、
    c.少なくとも1つの前記層を通して形成され、前記平面の層で定められる少なくとも2つの異なる平面にあるマイクロ流体回路間で流体のやりとりを提供する少なくとも1つのマイクロスケール流路、
    d.前記少なくとも1つのマイクロスケール流路内の短い急激な狭まりを備える受動弁、
    を備える三次元マイクロ流体構造。
  64. 請求項63の三次元マイクロ流体構造において、前記流路の内面および前記受動弁は疎水性である三次元マイクロ流体構造。
  65. 請求項63の三次元マイクロ流体構造において、前記流路は、前記マイクロ流体構造の少なくとも3つの層にある位置合わせされた開口部を備え、前記受動弁は前記少なくとも3つの層の少なくとも1つの層により形成され、前記開口部の断面積は前記少なくとも3つの層のうち他の前記開口部よりも小さい三次元マイクロ流体構造。
  66. 請求項63の三次元マイクロ流体構造において、前記流路は、前記マイクロ流体構造の少なくとも第一および第二の層にある位置合わせされた開口部で構成され、前記第一の層は狭いセクションおよび広いセクションのある開口部を有し、前記狭いセクションは、前記第二の層の開口部よりも狭く、前記第一および第二の層は、前記狭いセクションが前記第二の層に隣接した位置になるようにまとめて組立てられ、前記受動弁は前記狭いセクションを備える三次元マイクロ流体構造。
  67. 三次元マイクロ流体構造であって、
    a.密封されるように組立てられている実質的に平面な複数の疎水性の層、
    b.前記マイクロ流体構造内に形成され、複数の隣接する層で位置合わせされた複数の穴から構成されるウェル、
    を備える三次元マイクロ流体構造。
  68. 三次元マイクロ流体構造であって、
    a.密封されるように組立てられている実質的に平面の複数の層、混合回路、
    b.前記三次元構造内に形成される混合回路、
    を備え、
    前記混合回路は、
    i. 第一の流路、
    ii. 前記第一の流路の下流にあり、そこで前記第一の流路が主流路および側路に分岐する分岐点、
    iii. 前記主流路において前記分岐点の下流に位置する第一の受動弁、
    iv. 前記分岐点の下流の前記側路が前記主流路と合流する場所にある接合部、
    v. 前記側路において前記接合部のすぐ上流にある第二の受動弁であって、前記第一の受動弁よりも強力な第二の受動弁、
    vi. 前記接合部の下流にある出口流路、
    を備える三次元マイクロ流体構造。
  69. 請求項68の三次元マイクロ流体構造において、前記混合回路は、少なくとも2つの前記平面の層に対応する少なくとも2つの異なった平面に形成される構成要素を備える三次元マイクロ流体構造。
  70. サンプルの段階希釈を実施するために適応させた三次元マイクロ流体構造であって、
    a.密封されるように組立てられている実質的に平面の複数の層、混合回路
    b.前記三次元構造内に形成される第一の混合回路であって、
    i. 第一の入口流路、
    ii. 前記第一の流路の下流にあり、そこで前記第一の入口流路が第一の主流路および第一の側路に分岐する分岐点、
    iii. 前記主流路において前記分岐点の下流に位置する第一の受動弁、
    iv. 前記分岐点の下流の、前記第一の側路が前記第一の主流路と合流する場所にある第一の接合部、
    v. 前記第一の側路において前記第一の接合部のすぐ上流にある第二の受動弁であって、前記第一の受動弁よりも強力な第二の受動弁、
    vi. 前記接合部の下流にある第一の出口流路、
    を備える第一の混合回路、
    c.前記第一の混合回路の下流にある前記三次元構造内に形成された少なくとも1つの追加混合回路であって、
    i. 前記第一の出口流路の下流にある第二の入口流路、
    ii. 前記第二の入口流路の下流にあり、そこで前記第二の入口流路が第二の主流路および第二の側路に分岐する第二の分岐点、
    iii. 前記第二の主流路において前記第二の分岐点の下流に位置する第三の受動弁、
    iv. 前記第二の分岐点の下流の、前記第二の側路が前記第二の主流路に合流する場所にある第二の接合部、
    v. 前記第二の側路において、前記第二の接合部のすぐ上流に位置する第四の受動弁であって、前記第三の受動弁よりも強力な第四の受動弁、
    iv. 前記第二の接合部の下流にある第二の出口流路、
    を備える少なくとも1つの追加混合回路、
    を備える三次元マイクロ流体構造。
  71. 2つの流体をマイクロ流体構造内で混合する方法であって、
    a.多量の第一の流体を請求項 69の混合回路の第一の流路に注入するステップ、
    b.多量の第二の流体を、前記第二の流体の後から前記第一の流路に注入するステップであって、前記第一の流体は、前記第二の流体により前記混合回路に流し込まれるときに、前記第一の受動弁により、前記側路に方向転換し、前記多量の前記第一の流体は、前記第二の受動弁に至るまでの前記側路を充填するために十分なだけの量であるステップ、
    c.第二の流体を、前記第一の流路に、前記第一の受動弁を突破するために十分な圧力で注入して、第一の流体を前記主流路に前記接合部に到達するまで移動させるステップ、
    d.追加の第二の流体を前記第一の流路に注入して、前記第一の流体を前記第二の流路から出し、前記接合部を通過して移動させるステップであって、前記接合部の下流にある前記出口流路で前記第一の流体が前記第二の流体と合流するステップ、
    を備える2つの流体をマイクロ流体構造内で混合する方法。
  72. 三次元マイクロ流体分岐回路であって、
    a.密封されるように組立てられている実質的に平面の複数の層、
    b.少なくとも第一の層を通過する入口流路、
    c.前記第一の層に隣接する第二の層に形成された主要分岐路であって、前記入口流路が、その中心部で交差する主要分岐路、
    d.第二の層に隣接する第三の層を通過する2つの主要経由路であって、その1つがそれぞれの端部で前記主要分岐路と交差する2つの主要経由路、
    e.前記第三の層に隣接する第四の層に形成された2つの二次分岐路であって、前記2つの主要経由路のそれぞれが、前記2つの二次分岐路の1つにその中心部で交差する2つの二次分岐路、
    f.前記第四の層に隣接する第五の層を通過する4つの二次経由路であって、 前記二次経由路の1つが、前記それぞれの二次分岐路とその端部で交差する4つの二次経由路、
    を備え、
    前記2つの主要経由路の断面積は、前記主要分岐路よりも小さく、前記4つの二次経由路の断面積は前記主要経由路よりも小さい三次元マイクロ流体分岐回路。
  73. 三次元マイクロ流体分岐回路であって、
    a.密封されるように組立てられている実質的に平面の複数の層、
    b.少なくとも第一の層を通過する入口流路、
    c.前記第一の層に隣接する第二の層に形成された分岐した流路であって、前記入口流路は前記分岐した流路の中心部とのやりとりがあり、前記中心部から外方向に伸びた複数の腕を有する分岐した流路、
    d.前記第二の層に隣接する第三の層に形成された複数の出口流路であって、それぞれが、前記分岐した流路の前記複数の腕の 1つの端部とのやりとりがある複数の出口流路、
    を備え、
    それぞれの前記出口流路での流動に対する抵抗は、前記分岐した流路の前記腕の抵抗よりも強く、これにより、前記出口流路のどれかに入る前に、前記分岐した流路に流体が入り、前記腕をすべて満たす三次元マイクロ流体分岐回路。
  74. 三次元マイクロ流体構造であって、
    a.密封されるように組立てられている実質的に平面の複数の層、
    b.前記マイクロ流体デバイスの少なくとも2つの前記平面の層に対応した少なくとも2つの平面に位置するマイクロ流体構造が含まれるマイクロ流体回路、
    を備え、
    前記マイクロ流体回路は、
    i. 主流路、
    ii. 前記主流路から分岐点で分岐する側路、
    iii. 前記側路で前記分岐点のすぐ下流にある第一の受動弁、
    iv. 前記分岐点の下流にあり、前記主流路と流体のやりとりのある少なくとも1つのマイクロ流体構造であって、ウェルまたは流路を備えるマイクロ流体構造、
    v. 前記マイクロ流体構造の下流に位置する第二の受動弁、
    を備え、
    前記第一の受動弁は、圧力下で流体がまず前記主流路に入り、前記分岐点で、前記側路よりも前記主流路に優先して流れ込むために十分な強度を有し、前記第二の受動弁は、前記主流路が前記第二の受動弁まで充填された後で、流動を前記側路に方向転換するために十分な強度を有する三次元マイクロ流体構造。
  75. 請求項74の三次元マイクロ流体構造において、
    前記側路は、前記分岐点の下流、かつ前記第二の受動弁の上流にある前記主流路と合流し、
    前記側路は、前記側路が前記主流路と合流する地点付近の空気ダクトを備え、
    前記側路の直径は、前記主流路および前記側路が流体で満たされたとき、前記主流路に追加流体が注入されると、前記分岐点で前記側路に優先的に流れるために十分なだけ、前記主流路の直径よりも大きい三次元マイクロ流体構造。
  76. 請求項74の三次元マイクロ流体構造において、
    前記主流路、前記側路、前記第一の受動弁、前記マイクロ流体構造、および前記第二の受動弁は、前記少なくとも2つの平面のうちの1つに位置し、
    前記マイクロ流体回路は、前記少なくとも2つの平面の別の方に位置する少なくとも1つの追加マイクロ流体構造を備える三次元マイクロ流体構造。
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