JP2005512979A - 生物学的活性ペプチドおよびそれを用いた損傷神経の修復 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ラミニン1の神経突起伸長促進ドメイン、即ちラミニン1のγ1鎖、に由来する生物学的活性ペプチドに関する。このようなペプチドとしては、デカペプチド配列RDIAEIIKDIおよびその生物学的活性ドメインであるトリペプチド配列KDIを包含する、デカペプチドから誘導した部分ペプチドが挙げられる。本発明は生物学的活性トリペプチドモチーフKDIおよびそれを用いたニューロン性または非ニューロン性の組織の再生促進、特に脊髄損傷の治療に関する。

Description

本発明は、ラミニン1の神経突起伸長促進ドメイン、即ちラミニン1のγ1鎖、に由来する生物学的活性ペプチドに関する。このようなペプチドとしては、デカペプチド配列RDIAEIIKDI(Arg Asp Ile Ala Glu Ile Ile Lys Asp Ile)およびその生物学的活性ドメインであるトリペプチド配列KDI(Lys Asp Ile)を包含する、デカペプチドから誘導した部分ペプチドが挙げられる。本発明は生物学的活性トリペプチドモチーフKDIおよびそれを用いたニューロン性または非ニューロン性の組織の再生促進、特に脊髄損傷の治療に関する。
ラミニン1は、齧歯動物の中枢ニューロンおよび末梢ニューロンのいずれもの神経突起の伸長を促進する(Liesi, 1990)。ラミニン1の神経突起伸長ドメインの一つは、ラミニン1のγ1鎖のC末端デカペプチドであるRDIAEIIKDI配列(P1543; p20; Liesi et al., 1989)に位置づけられた。
ヒトの脳および脊髄のニューロンは、共に神経突起の伸長によってマウスのラミニン1に対して接着および応答を示す。ラミニン1のヒト脳アイソフォームの配列の分析によって、マウスの基本型と約96〜100%の相同性を有することが判明した(Liesi et al., 2001)。
近年、神経組織におけるラミニン1の多種多様な作用が報告されている。例えば、ラミニン1は、アルツハイマー病のニューロン死に関与するアミロイドβペプチドの神経毒性を防ぐことが示されている(Bronfman et al., 1996; Drouet et al., 1999)。ラミニン1は、さらに小脳プルキンエ細胞の樹状突起性棘の発達に作用し(Seil, 1998)、長期増強(long term potentiation)(以下、屡々“LTP”と称する)を調節することで、記憶処理にも影響を与える(Nakagami et al., 2000)。ラミニン スーパーファミリーに属する物質の大部分はヒトの胚の中枢神経系(central nerveous system)(以下、屡々“CNS”称する)のニューロンおよびグリア細胞にも存在する(Liesi et al., 2001)ことから、ラミニンはヒトCNSの発生と分化後の機能に種々の特異的な影響を与えると考えられる。
培養した中枢ニューロンに対してラミニン γ1鎖特異的抗体を用い、ラミニン1のγ1鎖の神経突起伸長ドメインがニューロン移動および軸索誘導において主要な役割を果たすことが示されている。小脳のニューロン移動における核回転期(nuclear rotation phase)(Liesi et al., 1995)、ニューロンの分化(Matsuzawa et al., 1996a)およびラット海馬ニューロンの軸索誘導(Matsuzawa et al., 1998)のいずれもが、ラミニン1のγ1鎖の神経突起伸長ドメインの影響を受けることが示されている。先の研究で本発明者のグループは、ラミニン1のγ1鎖の神経突起伸長ドメインが、weaverマウスの小脳に蓄積すること(Murtomaki et al., 1995)のみならず、アルツハイマー病患者の脳に蓄積すること(Murtomaki et al., 1992)を示した。したがって、高濃度のラミニン γ1鎖の神経突起伸長ドメインの蓄積が増加した場合に、ニューロンに毒性を与える可能性を本発明者のグループは提案した。この仮定に基づくと、γ1鎖ペプチドを中和する、神経突起伸長ドメインに対する抗体は、weaverマウスの顆粒ニューロンの細胞生存率および神経突起伸長を回復させる(Liesi and Wright, 1996)。
WO 93/24155は、神経組織、特に末梢神経の損傷を修復するための移植片として有用な医療手段を開示する。この医療手段はデカペプチドであるP1543を含んでいる。WO 98/43686は、例えば末梢神経の再生に用いることのできる、フィブリンをベースとした生体適合性材料を開示している。この材料は、上記デカペプチドを含む種々の生物活性ペプチドを含有している。さらに、Hager et al. (1998)は、マウス ラミニン1から得た対応するペプチドがラットの大脳新皮質のニューロンの電気活性を調節することを示した。
一方、WO 94/04560は、シュワン細胞分裂促進活性を有するタンパク質因子を開示している。その出願で開示されているペプチド配列の中には、KDIモチーフを包含する配列も含まれる。これら因子の用途としては、例えば神経の再生も提案されている。
US 5,780,090は、疎水性アミノ酸残基を有するトリペプチドを包含する食品用調味成分を開示している。トリペプチド配列KDIの調製がこの特許には開示されているが、ペプチドの医療用途は示唆されていない。
近年、ネトリン1はGタンパク質共役型受容体機構を介して中枢ニューロンに作用することが示された(Corset et al., 2000)。興味深いことには、KDI配列はトリのネトリン1に存在し(Serafini et al., 1994)、ヒトのネトリンタンパク質も、修飾されているもののこのドメインを有する(Meyerhardt et al., 1999)。しかしながら、この短い配列の存在がこれらのタンパク質においていかなる機能的意義を持つかは明らかではない。KDI配列は、タンパク質の立体構造またはグリコシル化によりネトリン分子中に隠されている可能性がある。
発明の概要
初期小脳ニューロンについて、ラミニン1のγ1鎖の神経突起伸長デカペプチド(RDIAEIIKDI; P1543)の作用機構を研究する一方で、このデカペプチドの生物学的機能(即ち、接着および神経突起の伸長)に寄与するトリペプチド(KDI)配列を同定した。本発明者は、P1543およびトリペプチド配列KDIはいずれもヒト胚性CNSニューロンの接着および神経突起伸長を促進することを見出した。これらのペプチドは、ラット小脳ニューロンにおいて電流も誘導する。しかしながら、トリペプチドモチーフKDIは、脊髄損傷の治療においてP1543よりも優れた特性を有することが判明した。
したがって、本発明の一つの目的は、デカペプチド配列RDIAEIIKDIまたはトリペプチドモチーフKDIを包含する、デカペプチド配列から誘導した部分ペプチドを用いた、脊髄損傷の治療方法に用いる薬剤の製造方法を提供することである。
ペプチドモチーフKDIがラミニン1の神経突起伸長促進ドメインの生物学的活性に寄与するという本発明の新たな知見に基づく本発明の一つの目的は、生物学的活性ペプチドモチーフKDIを包含する、デカペプチド配列RDIAEIIKDIから誘導した薬剤用の部分ペプチドを提供することである。本発明の具体的な目的は、薬剤用のトリペプチド配列KDIを提供することである。
本発明の第一の目的は、脊髄損傷の治療方法に用いるための生物学的活性トリペプチドモチーフKDIを提供することである。
その神経突起伸長促進活性故に、KDIペプチドは損傷神経全般を修復するための方法にも用いることができる。したがって、本発明の更なる目的は、神経、例えば末梢神経の損傷の治療方法に用いるためのトリペプチド配列KDIを提供することである。
本発明の更なる目的は、損傷神経の修復を必要とする動物の損傷神経を修復する方法であって、トリペプチドモチーフKDIを包含する生物学的活性ペプチドを、動物に有効量投与することを包含する、修復方法を提供することである。
本発明の他の一つの目的は、脊髄損傷の治療を必要とする動物の脊髄損傷を治療する方法であって、トリペプチドモチーフKDIを包含する生物学的活性ペプチドを、動物に有効量投与することを包含する治療方法を提供することである。ペプチドとしては、デカペプチド配列RDIAEIIKDI、およびトリペプチドモチーフKDIを包含する、デカペプチドから誘導した部分ペプチドが好ましく、トリペプチド配列KDIが本発明の目的に最も好ましい。
ペプチドモチーフKDIが生物学的活性ペプチドであるという本発明の知見に基づき、トリペプチドモチーフKDIを包含するいかなるペプチドも、ニューロン性または非ニューロン性の組織の損傷または変性の再生および復活に有用である可能性を示した。KDIモチーフを包含するペプチドは、可溶性の形態および支持体(substrate)に結合している形態のいずれでも、このような作用に用いることができる。
したがって、本発明の更なる目的は、有効成分としてトリペプチドモチーフKDIを包含し、医薬的に許容可能な担体および希釈剤からなる群より選ばれる少なくとも一種をさらに包含する医薬組成物を提供することである。
発明の詳細の説明
本発明は、医療用途のための生物学的活性ペプチドを提供する。可溶性の形態または支持体に結合した形態のペプチドは、損傷した神経、例えば末梢神経、あるいは損傷または変性した中枢神経系を修復するのに有用である。本発明のペプチドは、特に脊髄損傷の治療に有用である。
ヒトCNS損傷の実験モデルを用いて、ヒト中枢ニューロンの生存率および神経突起伸長がラミニン γ1鎖の可溶性KDI−ドメインにより有意に高められることを示す。生物学的活性KDI−ドメインがヒト中枢ニューロンを環境因子から保護する能力を検証するために、二種の培養系を用いた。第一には、ヒトの胚性脊髄および胚性大脳新皮質から単離した新鮮なニューロンを単層のヒト脊髄損傷星状細胞上で培養した。第二には、ヒトCNSの幹細胞を含有する胚体(embryonal bodies)を、ヒト成体脊髄凍結切片中の白質の上で培養した。
ヒト脊髄星状細胞上では、低密度で培養したニューロンの神経突起伸長は乏しかったが、これは培地中にナノモル濃度のKDI−ドメインが存在することで有意に改善された。ニューロンの生存率も、低濃度のKDIペプチドにより有意に増加した。ヒト成体脊髄断片上では、胚体中のニューロンは伸長を拒絶し、その神経フィラメント陽性神経突起は、胚体の境界線の内側を囲んだ。KDI−ドメインの存在下では、ニューロンは長い神経突起を胚体から伸ばした。神経突起は、ヒト成体脊髄のミエリン鞘切片に直接接触して、白質上に接着及び伸長した。KDI−ドメインが存在しない場合は、神経突起はミエリン上で伸長することは全くなく、in vitroで長時間放置した際に脊髄ミエリン上に広がるグリア細胞上で常に成長した。
本願のデータは、ラミニン γ1鎖のKDI−ドメインが適切な濃度で適用されれば、環境の阻害性シグナルにも関わらず、ヒト中枢ニューロンは生存可能であり且つ長い神経突起を伸長させることを示している。ニューロンの再生を妨げるミエリン由来因子およびグリア細胞由来因子はいずれも有意に中和され、中枢ニューロンは長い繊維を伸長し、保護性のKDI−ドメインが存在しない場合よりもより長く生存可能である。これらのデータは、KDI−ドメインが哺乳類成体のCNSの軸索成長阻害性シグナルを中和する可能性を強く示し、さらにKDI−ドメインがin vivoでの再生を促進する能力を検証するための実験の根拠となった。
雄ラット成体の脊髄損傷に関するin vivoでの実験においては、完全な腰椎横断を行った。動物は実験グループと対照グループに分け、それぞれKDIペプチドおよびプラシーボを投与した。動物は、運動機能に関する試験を週に一度、3ヶ月間行った。3ヵ月後、各グループの動物を安楽死させ、脊髄を調べた。運動試験の結果から、KDIグループとプラシーボグループの間に有意な差が見られた。KDIグループのラットの平均運動スコアおよびKDIグループのラットの脊髄の実体顕微鏡画像は、脊髄の回復が確実であることを示した。
本発明者のグループは、KDI−ドメインが哺乳類成体のCNS損傷の再生を高める可能性があることを提案する。このペプチドは、脳部位のみならずヒトCNSニューロンの生存率も高めることから、この配列が神経変性性疾患におけるニューロンの変性およびニューロン死の予防に用いることが可能なことを提案する。ヒトにおける脊髄損傷の再生を促進するための臨床的に適用可能な方法においては、KDIペプチドは可溶性の形態または生物分解性のポリマーに結合した形態で投与することができ、生物分解性のポリマーに結合した形態は、ペプチドをゆっくり放出すると同時に成長する軸索を方向付ける。軸索の再生は、手術を施した動物の運動機能の検証により3ヶ月間モニターする。3ヶ月後に組織を回収し、組織学的、分子細胞学的および免疫組織学的な分析に付して、トリペプチドの効果と再生の程度を立証することができる。その後、損傷領域中の軸索成長の程度は、神経線維のDiI標識を用いてモニターすることができる。
KDIペプチドは、神経変性性疾患、例えばパーキンソン病やアルツハイマー病の治療にも用いることができる。目的にかなった適切な医薬組成物は、髄腔に投与するか脳組織に注入することのできる注射可能な液体である。
本発明のペプチドは、例えばLiesi et al. (1989)の記載と同様に、従来のペプチド合成法を用いて調製してもよい。
本発明のペプチドを包含する、脊髄損傷治療用の医薬組成物は、注射に適した液状調製物であることが好ましい。ペプチドは滅菌した生理食塩水または水に溶解してもよい。医薬組成物は、血液脳関門を通過してCNSに直接アクセスすることが可能な修飾KDIペプチドを包含してもよいし、ペプチドをゆっくり放出すると同時に、追加的な効果として成長する軸索を方向付ける、生物分解性のポリマーを包含していてもよい。
本発明のペプチドは、幅広い投与量範囲内で有効量投与することができる。有効量は年齢や問題となっている組織の状態に依存する。本発明のペプチドは、適用量を1回で投与してもよいし、例えばミニポンプ システムを用いて、連続的に投与してもよい。後者の場合は、1日あたりの投与量は1回の注射に用いる量を超えることはなく、動物実験によりあらかじめ決めなければならない。
本発明のペプチドの医薬組成物における濃度は、一般的に0.01〜100μg/mlである。しかしながら、KDIペプチドの最適な濃度は、ドメイン依存性または組織依存性である場合もあることから、投与量の予備試験が最も重要であることに注意すべきである。個々の治療に用いる適切な投与量の決定は、当業者によく知られている技術の範囲内で行われる。
他の神経損傷(例えば末梢神経の損傷)を治療する場合には、KDIペプチドモチーフを包含する有用な医薬組成物は、例えばWO 93/24155のP1543デカペプチドに関する記載に基づいて、調製し投与することができる。
本発明の医薬組成物は、意図した目的を達成するいかなる手段によっても投与することができる。例えば脊髄損傷の治療のために、カテーテルを介して損傷部位へ組成物を投与することができる。最も好ましい投与方法は、脊髄の外傷領域に直接ペプチド組成物を投与するためのミニポンプ システムを用いる方法である。この方法は、外傷領域を露出するための整形外科的手術に関連して容易に実行することができる。
本発明の医薬組成物は、本発明のペプチドの有益な効果を享受することが可能ないかなる動物にも投与することができる。ヒトは、そのような動物の中の主要な動物であるが、本発明はヒトの医療処置に限定するものではない。
従来の研究では、ラミニン γ1鎖の神経突起伸長ドメインが中枢ニューロンに対して神経栄養性/神経毒性の二元的な作用を有することを示しているが、マウスおよびヒトのラミニン γ1鎖に存在するKDI−モチーフが中枢ニューロンに対する一般的な神経毒性/神経栄養性モチーフであるか、それともラミニン γ1鎖の神経突起伸長ドメインに対してのみ活性を示すのかは、今後検討しなければならない。
本発明のペプチドの適切な投与量範囲を決定する際には、問題となっているドメインの持つ二元的な作用も考慮しなければならない。
本発明で得られたデータは、ラミニン γ1鎖およびその個々のドメインが、ニューロンの電気特性を変化させることによりその作用を調節する可能性を示している。本発明者のグループは、トリペプチドドメインKDIがラミニン γ1鎖の神経突起伸長デカペプチド(P1543)中の生物学的活性ドメインであることを示した。KDIペプチドの有利な特徴は、非免疫原性の短いペプチドであることから、免疫学的反応を生じる危険性が最小なことである。さらに、このペプチドは調味成分としてすでに開示されていることから、ヒトに対して安全であると考えられる。
本発明者のグループは、KDIドメインがGタンパク質共役型受容体機構を介してCNSニューロンの発生初期の培養物に作用し、中枢ニューロンにおいてカリウム電流を誘導することも示している。このような作用は、いかなるラミニンについてもこれまで示されていない新たな知見であり、脳の分化後の機能におけるラミニン1のγ1鎖の追加的役割を示唆している。
材料と方法
ヒトCNS組織
患者のインフォームドコンセントを得た後、且つ合法的な妊娠中絶によって得た6〜12週齢の胎児からヒト胎児CNS組織を調製した。組織はヘルシンキ大学中央病院(Helsinki University Central Hospital)の倫理学委員会の許可を得て回収した。実体顕微鏡下で同定したCNS組織は、はじめに冷生理食塩水に入れ、組織培養実験用に調製した。正常な成体脊髄組織は、神経標本バンク(Neurological Specimen Bank)(米国、ボルティモア)から入手した。
ヒト胚性脊髄グリア細胞の単離および培養
CNS組織をはじめに冷生理食塩水に入れた。脊髄組織を実体顕微鏡下で同定し、髄膜を慎重に取り去った。ヒト脊髄グリア細胞の単層培養物を得るために、パスツールピペットを用いた機械的粉砕により細胞を分離し、得られた細胞をLiesi et al. (2001)の記載と同様に、ペニシリンおよびストレプトマイシンを添加した、10%ウシ胎児血清(ユタ州、ローガン、Hyclone社製)含有DMEM−F12培地(英国、Gibco社製)の入ったペトリ皿(米国、ニューヨーク州、Corning社製)に入れた。このようにして100%TUJ1陽性グリア細胞を含む培養物が得られ、このことはグリア細胞が星状細胞の前駆体であることを示した。
合成ペプチド上の培養ヒトニューロン
細胞を、ペニシリン(100U/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)および200μMのL−グルタミンを含有する滅菌培地(RPMI 1640)中で粉砕により分離した。分離した細胞を、公知の方法(Matsuzawa et al., 1996b)で、マウス ラミニン1(ドイツ国、Boehringer-Mannheim社製)またはKDI−gcペプチドとRDIAEIIKDI−gcペプチドであらかじめ被覆してあるカバーグラスに植えた。ペプチドはMultiple Peptide Systems社(カリフォルニア州、ラ ホーヤ)から入手した。培養細胞は24時間保持し、その後2%パラホルムアルデヒドで固定して免疫細胞化学分析用に処理した。
培養ヒトニューロンの免疫細胞化学分析
ニューロン特異的チューブリンアイソフォームTUJ1の免疫細胞化学分析を公知の方法(Liesi et al., 2001)で行った。簡単に説明すると、細胞を−20℃においてメタノールで5分間処理して浸透化し、PBSで洗浄してからTUJ1−モノクローナル抗体と共に室温で1時間インキュベートした。抗体は高い特異性があり、1:500の希釈倍率で用いた。上記の免疫細胞化学処理後、PBS:グリセロール(1:1)で細胞を植えたカバーグラスを覆い、適切なフィルターを組み合わせてOlympus Provis 蛍光顕微鏡で観察した。
培養ラット小脳
妊娠16日目のSprague-Dawley雌ラットをTaconic Farms社から購入し、国立アルコール乱用・依存症研究所(National Institute of Alcohol Abuse and Alcoholism)(NIH)の動物室で、オートクレーブ処理したビタミンA(20,000IU/kg)含有NIH−31飼料を与えて飼育した。ラットを出産させ、3日齢雌子ラットの小脳組織を公知の方法(Matsuzawa et al.,1996a)で無菌的に単離した。公知の方法(Liesi and Wright, 1996)で小脳をトリプシン処理して単一細胞の懸濁液を得、105個の細胞をラミニン1をあらかじめ塗布した22mmのカバーグラス上に植えた。細胞をペニシリン、ストレプトマイシンおよび200μMのL−グルタミンを添加したRPMI 1640培地中で、空気95%、二酸化炭素5%の雰囲気下、37℃でインキュベートした。24時間後、細胞を電気生理化学分析に用いた。
電気生理化学分析
分析値の記録は、公知の方法(Liesi and Wright, 1996)で、室温で、電圧固定したホールセルパッチ配置(whole-cell patch configuration)でList EPC-7 パッチクランプ用増幅器を用いた。ピペットはホウ珪酸ガラス管を引いて作製し、火炎で軽く磨いた。実験は室温で行った。ホールセル電流をGould 2400S ストリップチャートレコーダー(Gould 2400S strip chart recorder)で記録した。細胞膜電位は特に記載しない限り−40mVでクランプした。全ての槽溶液は、溶融シリカの入った内径200μmのバレルへの流入を調節するためのピンチバルブを介して多数のリザーバーから導入した。標準槽溶液は、10mM HEPES(pH7.4)緩衝化RPMI 1640であった。標準ピペット溶液は、100mMのCsMeSO4、15mMのCsCl、5mMのBAPTAおよび10mMのHEPES(KOHでpH7.2に調整)を含有していた。逆転電位試験は、150mMのNaCl、5mMのKCl、1mMのCaCl2および10mMのHEPES(NaOHでpH7.2に調整)を含有する低K+槽溶液ならびに115mMのNaCl、40mMのKCl、1mMのCaCl2および10mMのHEPES(NaOHでpH7.2に調整)を含有する高K+槽溶液で行った。全ての槽溶液は300nMのTTXを含有していた。逆転電位試験用ピペット溶液は、110mMのK−アスパラギン酸、10mMのNaCl、2mMのMgCl2、5mMのBAPTAおよび10mMのHEPES(NaOHでpH7.2に調整)を含有していた。ネルンスト逆転電位をHille (1992)の方法にしたがって計算した。ペプチドおよび融合タンパク質は試験の直前に等分した標準槽溶液に加えた。記録と記録の間には、細胞を含むペトリ皿を標準槽溶液(10mM HEPES緩衝化RPMI 1640、pH7.4)で灌流した。実験システムの品質検査は、標準槽溶液を含有する2つのリザーバーの間で切り換えることで、灌流による人為信号を検出し、活性ペプチドの管への付着の有無を判断した。RDIAEIIKDIペプチド、EIIKDIペプチドおよびKDIペプチドはいずれもMultiple Peptide Systems社(カリフォルニア州、サンディエゴ)から入手した。融合タンパク質(B2-3、B2-4およびB2-5)と対照ペプチドであるラミニン α1鎖(AG10、AJ5およびAI12)は、国立歯科衛生研究所(National Institute of Dental Research、NIH)のYoshi Yamada博士とAtsusi Utani博士によって寄贈されたものであり、公知の方法(Utani et al., 1994 and Nomizu et al., 1995)で精製した。
ヒト脊髄のグリア細胞上における、ヒト胚性大脳新皮質ニューロンの生存率
ヒト胚性脊髄グリア細胞をLiesi et al. (2001)の記載と同様に10%ウシ胎児血清中でコンフルエントになるまで培養した。コンフルエントになった培養グリア細胞をトリプシン処理し、処理後の細胞を22mmのカバーグラス当たりに100,000個細胞を再度植えつけ、コンフルエントになるまで培養した。コンフルエントになった培養グリア細胞の培地を正常なヒト成体の血清に交換し、ゲージが18Gの滅菌針を用いて傷つけた。1μg/ml(3μM)または10μg/ml(30μM)のKDIペプチドと1μMのP1543ペプチド(p20)、さらに50〜100,000個の新鮮な単離ヒト胚性大脳新皮質ニューロンをグリア細胞上に添加した。対照となる培養細胞にはニューロンを添加したが、ペプチドまたは損傷のいずれかを加えなかった。細胞を空気95%、二酸化炭素5%の雰囲気下、37℃で72時間培養し、ニューロンの定量および神経突起の長さの測定のために固定した。グリア細胞単層上のニューロンを、ニューロン特異的チューブリンアイソフォーム(TUJ1)に対するマウスモノクローナル抗体を用いて免疫学的染色により視覚化した。各実験あたり3個のカバーグラス上から任意に選択した6個の領域中のニューロン数を計測することで結果を評価した。こうすることで、一回の実験あたり300個を超えるニューロンを計測した。結果の統計学的分析を、Instat(v2.03)プログラム(カリフォルニア州、サンディエゴ、GraphPad社製)を用い、一変量分散分析(ANOVA)およびStudent-Newman-Keuls法による多重比較法で行った。
ヒト脊髄のグリア細胞上における、ヒト胚性脊髄ニューロンの生存率
ヒト胚性脊髄(8〜10週齢のもの)から単離したばかりの組織を機械的に分離し、分離した細胞の50,000個を、ヒト胚性脊髄グリア細胞がコンフルエントになっている22mmのカバーグラスに植えた。ニューロンを植える前に、グリア細胞の単層を18Gの針を用いて傷つけた。細胞を正常なヒト成体の血清中で72時間培養した。KDI(0.0355〜1.0μg/ml)の存在下または存在しない条件におけるグリア細胞の単層上の脊髄ニューロンの数を、TUJ1標識培養細胞に基づいて推定した。統計学的分析は、一変量分散分析(ANOVA)およびStudent-Newman-Keuls法による多重比較法で行った。
ヒトCNS部位の胚体
脊髄または大脳新皮質に由来する未熟幹細胞を含有する胚体は、機械的に分離したCNS細胞をB27サプリメント(英国、Gibco社製)、抗体および500μMのL−グルタミン酸を含有する神経細胞培養用基礎培地(英国、Gibco社製)を入れた10cmのペトリ皿(Corning社製)に加えることで調製した。胚体はプラスチック製のペトリ皿に接着することはできずに集合体を形成し、その集合体は大きくなって新たな胚体を培地中に放出した。
ヒト脊髄損傷の実験モデル系(I):グリア細胞の影響
コンフルエントな状態の培養脊髄グリア細胞をトリプシン−EDTAを用いてトリプシン処理し、得られた細胞を22mmのカバーグラス上に5×104個の密度で再度植えつけた。細胞はコンフルエントな単層を形成するまで培養した。この時点で細胞の培地を10%正常ヒト成体血清含有DMEM−F12培地に交換し、グリア細胞の単層を18Gの針を用いて傷つけた。損傷後、KDIペプチド(米国、カリフォルニア州、ラ ホーヤ、Multiple Peptide Systems社製)を培地に加え、その後、脊髄または大脳新皮質から分離したばかりの新鮮な細胞の懸濁液を、細胞数が2×104個になるようにカバーグラスに加えた。24〜48時間後、培養物を2%パラホルムアルデヒドのPBS溶液(pH7.4)中で15分間固定し、公知の方法(Liesi et al., 2001)でTUJ1を用いた免疫学的染色に付した。
脊髄グリア細胞上のヒトCNSニューロンの生存率および神経突起伸長を、6個の培養物から任意に選択した10個の領域を計測することにより評価した。総計265個の細胞を数えた。(10細胞体を超える長さの)長い神経突起の数も同様に推定した。結果の評価には一変量分散分析(ANOVA)を用いた。
ヒト脊髄損傷の実験モデル系(II):ミエリンの影響
正常なヒト成体の脊髄の凍結切片(厚さ:10μm)を、スライドグラス(SuperFrost Plus slide)(ドイツ国、Menzel社製)に載せて冠状面で切断した。各スライドグラスには3つの切片を載せた。新鮮な切片を載せたスライドグラスを、滅菌した培養用プレート(Quadriperm-plate)(ドイツ国、In Vitro Systems & Services社製)に即座に入れて10mlの培地を加えた。培地は、ペニシリンおよびストレプトマイシンを添加した10%正常ヒト成体血清含有DMEM−F12であった。2個の胚体を各切片の白質領域に載せ、培養物を空気95%、二酸化炭素5%の雰囲気下、湿度98%、37℃のインキュベーターに入れた。KDIペプチド(米国、カリフォルニア州、ラ ホーヤ、Multiple Peptide Systems社製)を1〜10μg/mlの濃度で培地に加え、10個のアミノ酸からなる前駆体(RDIAEIIKDI)を等モル濃度加えた。対照培養物にはペプチドを加えなかった。10日後、培養物を固定し、神経フィラメントタンパク質と追加のニューロンマーカーおよびグリア細胞マーカーを免疫学的染色に付し、胚体中の神経突起および細胞を同定した。接着した胚体および成体白質組織に直接伸びている神経突起の数を各スライドグラスごとに数え、結果を一変量分散分析(ANOVA)を用いて分析した。対照培養物および培地に5〜10μg/mlのKDIペプチドを添加した培養物においては、胚体から伸びる(100μmを超える)長い神経突起の数を数え、結果の分析にはノンパラメトリックなWhitney-Mann検定を用いた。
雄ラット成体の脊髄損傷についての研究
方法と実験計画:
強いペントバルビタール麻酔下における腰椎の完全な横断を40匹の雄Sprague-Dawleyラット成体に行った。浸透圧ミニポンプ(Osmotic mini pump)を皮下に埋め込み、一群(KDI−グループ)においては予備試験によって決定した濃度(10〜100μg/ml)でKDIペプチドを連続流入し、もう一つの群(プラシーボ−グループ)ではプラシーボを連続流入した。術後の痛みを軽減するために双方のグループにモルヒネを与えた。動物は運動機能試験を週に1回、3ヶ月間行った。運動スコアテストを標準的な運動評価試験(歩行、牽引による伸張(tow-spread)、台乗せ反射(placing)および回避行動(withdrawal))を用いて行った。ミニポンプによりはじめに薬剤が30日間投与され、可能であれば更に実験を(最大3ヶ月まで)延長して行った。3ヵ月後、各グループの動物を安楽死させ、脊髄を免疫細胞化学、生化学およびRNA分析に用いるために急速冷凍するか、in situハイブリダイゼーションおよび回復についての組織学的分析のために4%パラホルムアルデヒドで固定した。固定した脊髄の損傷部位の遥か上方にDiIを注入し、損傷部位を横切る軸索の成長をモニターした。動物の脳および坐骨神経も急速冷凍または固定し、後の分析に用いるために保存した。
結果

ラミニン1誘導ペプチドの電気生理学的影響
ラミニン1のγ1鎖由来の合成ペプチドおよび融合タンパク質の、ラット小脳ニューロンに対する電気生理学的影響について検証した(図1および図2)。
P1543部位をカバーする融合タンパク質(B2-5; Utani et al., 1994)は、デカペプチドP1543により誘導される電流に類似した電流を誘導することができた(図1のCブロック)。RDIAEIIKDI配列全体を含む15アミノ酸を欠失している40μg/mlの融合タンパク質(B2-3)の投与は、小脳顆粒ニューロンにおける電流を誘導しなかった(図1のAブロック)。活性配列のDI末端を切りとった融合タンパク質(B2-4)も小脳ニューロンにおける電流を誘導しなかった(図1のBブロック)。これらの結果は、実際の神経突起伸長ドメイン、例えばラミニン1のγ1鎖の最も小さい生物学的活性配列、を同定することに繋がるより小さなペプチドを定義する一助となった。
6アミノ酸からなるペプチドであるEIIKDIは小脳顆粒ニューロンにおいて電流を誘導し(図2のA)、それはP1543により誘導される電流と同等だった(図2のDを参照)。中枢ニューロンにおいて電流を誘導する最も短いペプチドはトリペプチドであるKDIである(図2のB)のに対し、ラミニン1のα1鎖由来の関連のないペプチド(AG10; AI12; AJ5)は小脳顆粒ニューロンにおいて電流を誘導しなかった(図2のC)。
ヒト脊髄のグリア細胞上における、ヒト胚性大脳新皮質ニューロンの生存率
大脳新皮質ニューロンの中には、脊髄グリア細胞(SC+n)、損傷脊髄グリア細胞(SC+LE+n)または10μg/mlのKDIペプチド存在下の脊髄グリア細胞(LE+KDI10+n)に接着し神経突起を伸ばすものがあった(図3)。しかしながら、このような種々の条件間におけるニューロンの生存率に統計的な差異は見られなかった。1μg/mlのP1543ペプチド(p20)の添加は、大脳新皮質ニューロンの接着および神経突起伸長に有意(p<0.001)な改善をもたらした(p201+LE+n)。しかしながら、次にKDIペプチドを1μg/ml添加したところ、大脳新皮質ニューロンの接着と神経突起伸長はいずれも有意(p<0.001)に改善された(KDI1+LE+n)。KDI(1μg/ml)によりもたらされる改善は、p20(1μg/ml)により誘導される改善に比べて統計的に有意であった。
*p<0.001は、Student-Newman-Keuls多重比較検定(ANOVA)による。
従って、これらの実験結果は、KDIペプチドが損傷脊髄グリア細胞上でのヒト大脳新皮質ニューロンの生存率を向上することを示している。また、低濃度のKDIペプチドが、この作用においてP1543ペプチドよりも優れていることも示している。
ヒト脊髄由来グリア細胞上における、ヒト胚性脊髄ニューロンの生存率および神経突起伸長
図4Aは、in vitroにおいてヒト脊髄グリア細胞単層上で72時間培養した後に長い神経突起(>100μm)を伸ばしているヒト脊髄ニューロンの数を示している。KDIペプチドが存在しない場合は、長い神経突起を持つニューロンはほとんど見られなかった(SC+LE+n)。0.1μg/mlのKDIペプチドの添加は、長い神経突起を有する細胞の数を有意に増加させた(p<0.001)。この濃度が脊髄ニューロンの生存を支持するのに最も適していることにも注目されたい。1.0μg/mlのKDIペプチドの添加も損傷を与えた対照に比べて長い神経突起を有する細胞の数を有意に増加させた。
図4Bは、in vitroにおいてヒト脊髄グリア細胞単層上で72時間培養した後のヒト脊髄ニューロンの数を示している。対照の培養(SC+n)では、脊髄ニューロンの中にはグリア細胞の単層に接着するものがあり、グリア細胞単層の損傷(SC+LE+n)は接着を増加した。ナノモル濃度のKDIペプチドの添加(SC+LE+n/KDI 0.0355μg/ml;SC+LE+n/KDI 0.1μg/ml)は、脊髄ニューロンの生存率を有意に(p<0.001)増加させた。0.5μg/mlまたは1.0μg/mlのKDIペプチドの添加は、損傷したグリア細胞単層のみの場合の生存率と変わらない程度にしか脊髄ニューロンの生存率を向上させなかった(有意差は見られなかった)。
したがって、図4Aおよび4Bは、KDIペプチドがヒト脊髄ニューロンの生存および神経突起伸長を司る因子であることを示している。これらのデータを図3に示す結果と比較すると、脊髄ニューロンがこのような処理に用いた大脳新皮質ニューロンよりもKDIの添加量に対する感受性が高いこともわかる。
ヒト胚性CNSニューロンの接着および神経突起伸長
KDIトリペプチド(0.1〜10μg/ml)およびデカペプチドP1543(1μg/ml;RDIAEIIKDI)は、ヒトCNSニューロンの接着および神経突起伸長を支持した。ガラスに共有的に架橋しているKDIペプチド(0.1μg/ml)は、ヒト中枢ニューロンの接着および神経突起伸長を促進する(図5A)。KDIペプチド(10μg/ml)上のヒト中枢ニューロンの神経突起伸長の2つの例においては、ニューロンはトリペプチド上に接着し、長い神経突起を伸ばすことを示した(図5Bおよび図5C)。ガラスにカップリングしているP1543(1μg/ml)は、KDIペプチドと同様にヒト中枢ニューロンの神経突起伸長を促進する(図5D)。縮尺を示す横線の長さは10μmである。これら2種の支持体におけるニューロンの接着特性と神経突起伸長特性に差異は見られなかった(データは示さない)。
図6のAおよびBは、in vitroにおいてヒト脊髄グリア細胞損傷単層上で48時間培養した後の、ヒト胚性脊髄由来TUJ1−免疫反応性ニューロンを示している。図6のAでは、写真の右下隅のニューロンは、0.1μg/mlのKDIペプチドが培地中に存在する条件下で長い神経突起を伸ばしている。図6のBでは、脊髄ニューロンはKDIペプチドが培地中に存在しない条件下では長い神経突起は伸ばさない。
胚体の接着および神経突起伸長
図7は、ヒト成体脊髄凍結切片中の白質の上の胚体(EBS;白抜きのカラム)および長い神経突起を伸ばしているEBS(黒いカラム)の平均数を示す。KDIペプチド(5〜10μg/ml)の存在下では、胚体は白質によく接着し、白質のミエリンと直接接触している部分から胚体は長い神経突起(>100μm)を伸ばした。接着し神経突起を出した胚体の数は、対照(CtR;p<0.01)または10アミノ酸からなる前駆体ペプチドP1543(p20;p<0.01)の存在下と比較して、KDIの存在下で有意に多かった。これらの結果は、KDIペプチドがP1543デカペプチドよりも有利な効果をもたらすことを示している。
図8は、in vitroにおいて10日間培養した際の、胚体からヒト成体脊髄の白質に伸びる長い神経突起の数に対するKDIペプチドの効果を示す。KDIペプチドが存在しない場合(CtR)は、神経突起はヒト脊髄切片の白質上でほとんど伸びなかった。5〜10μg/mlのKDIペプチドの存在下では、多くの長い神経突起が胚体から伸長し、白質に直接接触しながら伸びた(p<0.0001;ノンパラメトリックなMann-Whitney検定)。
図9のA〜Dは、in vitroで10日間培養した後の、ヒト成体脊髄の白質上におけるヒト脊髄胚体による神経フィラメントタンパク質の発現および神経フィラメント陽性神経突起の伸長を示す。
(図9のA) KDIペプチドを添加していない対照培養においては、胚体はヒト成体脊髄の白質に接着することができた。白質への神経突起伸長は見られないが、神経フィラメント陽性繊維(矢印)が胚体の外周を囲んだ。
(図9のB) 図9のAと同じ胚体の高倍率写真であり、胚体から伸びたわずかな小さく短い神経突起を示す。
(図9のC) 5〜10μg/mlのKDIペプチドの存在下では、長い神経フィラメント陽性神経線維が胚体から伸びている。
(図9のD) 高倍率で撮影することによって、神経フィラメント陽性神経突起がヒト成体脊髄の白質上に直接伸びたことが明らかになった。ヒト成体脊髄の断面図も神経フィラメント陽性であることに注目されたい。
in vivoにおけるラットの損傷脊髄の再生
図10は、損傷から3ヶ月後のラット成体の、プラシーボ処理脊髄(図10のAとB)およびKDIペプチド処理脊髄(図10のCとD)の実体顕微鏡画像である。脊髄の腹側(AとC)は損傷部位を示す(白い矢印)。プラシーボ処理脊髄(B)の背側(黒い矢印)では、KDI処理脊髄の背側(D)よりも瘢痕がずっと大きい。
予備的運動機能スコアをKDI処置動物と対照動物から得た。得られたスコアは歩行スコアに基づくものであり、個々の動物の処置を知らない人によって評価されたものである。各動物に対するスコアは、手術後12週の追跡期間で得られた歩行スコアの合計により算出した。歩行スコアは(テーブル上の)平坦な表面での動物の歩行の評価からなる。プラシーボグループの6個体およびKDIグループの6個体のスコアを解析し、統計学的に比較した。総脊髄横断を受けたラットの運動機能スコアの統計学的評価は、両側P値でノンパラメトリックなMann-Whitney検定を用いて行った。得られたP値は0.0022であり、非常に有意だと考えられる。プラシーボグループの平均運動機能スコアは11±2.4(標準誤差)であり、KDIグループの平均運動機能スコアは78±5.8(標準誤差)であった。手術を施していない正常動物の同じ観察期間内における平均運動機能スコアは120だった。
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P1543ペプチド配列を含有する融合タンパク質の、ラミニン1塗布支持体上の小脳顆粒ニューロンの電気特性に対する影響。 P1543デカペプチド由来の種々の短いペプチドの、ラミニン1塗布支持体上の小脳顆粒ニューロンの電気特性に対する影響。 可溶性KDIペプチドの存在下(1μg/mlまたは10μg/ml)または非存在下、あるいは1μg/mlのP1543デカペプチド存在下における、損傷から72時間後にヒト脊髄グリア細胞上で生存しているヒト胚性大脳新皮質ニューロンの平均数。略語:(SC+n)=脊髄グリア細胞、(SC+LE+n)=損傷脊髄グリア細胞、(LE+KDI10+n)=10μg/mlのKDIペプチド存在下の損傷細胞、(KDI1+LE+n)=10μg/mlのKDIペプチド存在下の損傷細胞、(p201+LE+n)=1μg/mlのP1543ペプチド存在下の損傷細胞。 In vitroにおいてヒト脊髄グリア細胞単層上で72時間培養した後に長い神経突起(>100μm)を伸ばしているヒト脊髄ニューロンの数。略語:(SC+LE+n)=損傷脊髄グリア細胞、(SC+LE+n, KDI0.1)=0.1μg/mlのKDIペプチド存在下の損傷脊髄グリア細胞、(SC+LE+n, KDI1.0)=1.0μg/mlのKDIペプチド存在下の損傷脊髄グリア細胞。 In vitroにおいてヒト脊髄グリア細胞単層上で72時間培養した後のヒト脊髄ニューロンの数。略語:(SC+n)=脊髄グリア細胞、(SC+LE+n)=損傷脊髄グリア細胞、(SC+LE+n, KDI0.0355 - KDI1.0)=0.0355〜1.0μg/mlのKDIペプチド存在下の損傷脊髄グリア細胞。 ペプチドKDI−gc上でのTUJ1陽性ヒト胚性脳ニューロンの接着および神経突起伸長。“gc”は、公知の方法(Matsuzawa et al., 1996b)でガラスに短いペプチドを共有カップリングするために行うGly-Cys付加を表す。 ペプチドKDI−gc上でのTUJ1陽性ヒト胚性脳ニューロンの接着および神経突起伸長。 ペプチドKDI−gc上でのTUJ1陽性ヒト胚性脳ニューロンの接着および神経突起伸長。 P1543−gc上でのTUJ1陽性ヒト胚性脳ニューロンの接着および神経突起伸長。 In vitroにおいてヒト脊髄グリア細胞損傷単層上で48時間後の、ヒト胚性脊髄由来TUJ1−免疫反応性ニューロン。A:0.1μg/mlのKDIペプチドを培地に添加したもの。B:KDIペプチドが培地中に存在しないもの。 ヒト成体脊髄凍結切片中の白質の上の胚体(EBS;白抜きのカラム)および長い神経突起を伸ばしているEBS(黒いカラム)の平均数。KDI=KDIトリペプチドを添加したもの;p20:デカペプチドP1543を添加したもの;CtR=対照実験であり、ペプチドを添加していないもの。 胚体からヒト成体脊髄の白質に伸びる長い神経突起の数に対するKDIペプチドの効果。KDI=KDIトリペプチドを添加したもの;CtR=対照実験であり、ペプチドを添加していないもの。 In vitroで10日間培養した後の、ヒト成体脊髄の白質上におけるヒト脊髄胚体による神経フィラメントタンパク質の発現および神経フィラメント陽性神経突起の伸長。A:KDIペプチドを添加していない対照培養;B:Aと同じ胚体の高倍率写真であって、実験系の該略図は、ヒト成体脊髄の冠状面切断切片上の胚体を置いた場所を示している;C:5〜10μg/mlのKDIペプチドを添加したもの;D:Cの胚体の高倍率写真。 損傷から3ヶ月後のラット成体の、プラシーボ処理脊髄(図10のAとB)およびKDIペプチド処理脊髄(図10のCとD)の実体顕微鏡画像。AおよびCでは腹側脊髄を撮影した。BおよびDは背側極を示す。背側極の結合組織瘢痕は、プラシーボ処理脊髄およびKDI処理脊髄のいずれにも存在したが、KDI処理脊髄に見られる瘢痕はかなり小さい。

Claims (18)

  1. 薬剤用のトリペプチド配列KDI(リジン−アスパラギン酸−イソロイシン)。
  2. 損傷または変性した神経の修復用のトリペプチド配列KDI。
  3. 中枢神経または末梢神経の損傷の治療用のトリペプチド配列KDI。
  4. 脊髄損傷の治療用のトリペプチド配列KDI。
  5. 脊髄損傷の治療用の、トリペプチドモチーフKDI(リジン−アスパラギン酸−イソロイシン)を包含する生物学的活性ペプチド。
  6. トリペプチドモチーフKDIを包含する生物学的活性ペプチドを用いた、脊髄損傷治療剤の製造方法。
  7. トリペプチドモチーフKDIを用いた、脊髄損傷治療剤の製造方法。
  8. 有効成分としてトリペプチドモチーフKDIを包含し、医薬的に許容可能な担体および希釈剤からなる群より選ばれる少なくとも一種をさらに包含する医薬組成物。
  9. 注射可能な液体であることを特徴とする、請求項8に記載の医薬組成物。
  10. 有効成分であるペプチドの濃度が0.01〜100μg/mlであることを特徴とする、請求項8または9に記載の医薬組成物。
  11. 損傷神経の修復を必要とする動物の損傷神経を修復する方法であって、トリペプチドモチーフKDIを包含する生物学的活性ペプチドを、動物に有効量投与することを包含する、修復方法。
  12. 該生物学的活性ペプチドがトリペプチド配列KDIであることを特徴とする、請求項11に記載の修復方法。
  13. 該生物学的活性ペプチドが可溶性の形態であることを特徴とする、請求項12に記載の修復方法。
  14. 該生物学的活性ペプチドが支持体に結合した形態であることを特徴とする、請求項12に記載の修復方法。
  15. 脊髄損傷の治療を必要とする動物の脊髄損傷を治療する方法であって、トリペプチドモチーフKDIを包含する生物学的活性ペプチドを、動物に有効量投与することを包含する治療方法。
  16. 該生物学的活性ペプチドがトリペプチド配列KDIであることを特徴とする、請求項15に記載の治療方法。
  17. ミニポンプ システムを用いて脊髄の外傷領域に直接該ペプチドを投与することを特徴とする、請求項15または16に記載の治療方法。
  18. 硬膜外腔注射によって該ペプチドを投与することを特徴とする、請求項15または16に記載の治療方法。
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