JP2023049978A - 神経突起伸長促進剤及び神経再生誘導用医薬組成物 - Google Patents

神経突起伸長促進剤及び神経再生誘導用医薬組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】神経突起伸長促進剤及び神経再生誘導用医薬組成物を提供する。【解決手段】a)インテグリンαLの細胞外ドメイン又はインテグリンαLの細胞外ドメインのアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドと、インテグリンβ2の細胞外ドメイン又はインテグリンβ2の細胞外ドメインのアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドとから構成され、かつ神経突起伸長促進活性を有するヘテロダイマー;b)a)のヘテロダイマーにおいて一方又は両方のポリペプチドに他のペプチドが融合されてなる神経突起伸長促進活性を有するヘテロダイマー;及びc)a)又はb)のヘテロダイマーにおいて1又は複数のアミノ酸残基が化学修飾されてなる神経突起伸長促進活性を有するヘテロダイマーのうちの少なくとも1つのヘテロダイマーを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、リンパ球機能関連抗原1(Lymphocyte function-associated antigen 1; LFA-1)を含む神経突起伸長促進剤及び神経再生誘導用医薬組成物に関する。
外傷その他の原因によって末梢神経を損傷した場合、現在行われている治療は、経過観察、縫合、及び自家神経又は神経再生誘導チューブ(人工神経)を用いた再建である。自家神経移植は、末梢神経再建のゴールドスタンダードであるが、移植のために損傷部位以外の健常な自家神経の採取を要するという問題を伴うため、自家神経を犠牲にしない新規の末梢神経再生方法の開発が望まれている。
末梢神経の再生は、中枢神経と比較すると旺盛ではあるものの、近位部損傷、重度損傷及び再建例における臨床成績は良好ではない。筋肉は神経支配喪失から3~6ヶ月を過ぎると神経再支配の感受性を失う傾向にあるため、末梢神経損傷の治療においてはできる限り早期に軸索を再生して筋肉に到達させて神経再支配を成立させることが重要となる。しかしながら、軸索再生速度は通常1~2 mm/日程度であることを考慮すると、一般に30 cm~90 cm程度の長距離の軸索再生が必要とされる近位部損傷では、再生軸索が筋肉に到達する頃には神経再支配の感受性は失われてしまう。また、重度損傷及び再建例においては、より多くの軸索を再生させる必要がある。
末梢神経損傷から再生までの過程は次のとおりである。末梢神経が損傷して軸索が断裂すると、断裂部の遠位でワーラー変性を生じ、軸索や髄鞘(ミエリン)の断片化が起こる。断片化した軸索やミエリンはシュワン細胞及びマクロファージの食作用によって除去される。次いで活性化したシュワン細胞が断裂部遠位に整列して軸索再生の足場となることで、軸索の発芽及び伸長が促される。その後、軸索の再髄鞘化と標的器官とのシナプスが再形成されることで神経再生は完了する。
末梢神経損傷の治療、特に臨床成績が良好でない近位部損傷、重度損傷及び再建例の治療においては、上記の神経再生過程の制御を通じて軸索再生の速度及び量を向上させることが求められる。損傷した末梢神経の再生を促進する手段は複数報告されているが(例えば、特許文献1及び2)、未だ臨床応用に至ったものは存在しない。
WO2018/056412 WO2005/074655
本発明は、損傷した神経の再生治療に利用可能な、神経突起の伸長を促進するための新たな手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、インテグリンαLとインテグリンβ2のヘテロダイマーであるLFA-1が、神経突起の伸長を促進する活性を有することを見出し、以下の発明を完成させた。
項1.以下のa)~c)のヘテロダイマーのうちの少なくとも1つのヘテロダイマーを含む、神経細胞に対する神経突起伸長促進剤。
a) インテグリンαLの細胞外ドメイン、又はインテグリンαLの細胞外ドメインのアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドと、
インテグリンβ2の細胞外ドメイン、又はインテグリンβ2の細胞外ドメインのアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドとから構成され、かつ神経突起伸長促進活性を有するヘテロダイマー
b) a)のヘテロダイマーにおいて一方又は両方のポリペプチドに他のペプチドが融合されてなる、神経突起伸長促進活性を有するヘテロダイマー
c) a)又はb)のヘテロダイマーにおいて1又は複数のアミノ酸残基が化学修飾されてなる、神経突起伸長促進活性を有するヘテロダイマー
項2.以下のa)又はb)のヘテロダイマーを構成する2つのポリペプチドの各々をコードする核酸を含む、神経細胞に対する神経突起伸長促進剤。
a) インテグリンαLの細胞外ドメイン、又はインテグリンαLの細胞外ドメインのアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドと、
インテグリンβ2の細胞外ドメイン、又はインテグリンβ2の細胞外ドメインのアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドとから構成され、かつ神経突起伸長促進活性を有するヘテロダイマー
b) a)のヘテロダイマーにおいて一方又は両方のポリペプチドに他のペプチドが融合されてなる、神経突起伸長促進活性を有するヘテロダイマー
項3.インテグリンαLの細胞外ドメインのアミノ酸配列が、配列番号5又は6に示されるアミノ酸配列である、項1又は2に記載の神経突起伸長促進剤。
項4.インテグリンβ2の細胞外ドメインのアミノ酸配列が、配列番号7又は8に示されるアミノ酸配列である、項1~3のいずれか一項に記載の神経突起伸長促進剤。
項5.項1~4のいずれか一項に記載の神経突起伸長促進剤を含む、神経再生誘導用医薬組成物。
項6.前記少なくとも1つのヘテロダイマーが生体適合性医療材料に保持された形態である、項5に記載の神経再生誘導用医薬組成物。
項7.シュワン細胞におけるLFA-1の発現を増強する活性を指標とした、被験物質の神経突起伸長促進活性を評価する方法。
本発明によると、効果的な神経再生を実現することができる。
LFA-1の細胞外ドメインを含むポリペプチドをコーティングしたプレート上で培養した後根神経節(DRG)神経細胞の伸長神経細胞率及び平均神経突起長を示すグラフである。 由来する種の異なるLFA-1をコーティングしたプレート上で培養したDRG細胞の代表的なβ3-tubrin免疫染色画像(図2上段)、並びに伸長神経細胞率及び平均神経突起長を示すグラフ(図2下段)である。 LFA-1の細胞外ドメインを含むポリペプチドを局所投与した坐骨神経損傷ラットの、損傷作成14日後の坐骨神経切片の代表的なβ3-tubrin免疫染色画像である。 LFA-1の細胞外ドメインを含むポリペプチドを局所投与した坐骨神経損傷ラットの坐骨神経について、損傷作成14日後の軸索再生率と近位側圧挫部からの距離との関係を示すグラフである。 修復型シュワン細胞(図5上段)及びラット坐骨神経(図5中段及び下段)の代表的なCD11a及びS100β免疫染色画像である。図5中段左側の2つの画像は正常ラット坐骨神経の画像、図5中段右側の2つの画像は圧挫損傷を受けたラット坐骨神経の圧挫部遠位15 mmの画像、図5下段の3つの画像は中段右側の染色画像の強拡大像を示している。 コントロール抗体(図中、Ctrl Abと表記)又は抗CD11a機能阻害抗体(図中、FB Abと表記)の存在下で、修復型シュワン細胞(図中、RSCと表記)と共培養したDRG細胞の代表的なpanNF及びS100β免疫染色画像(図6上段)、並びに伸長神経細胞率及び平均神経突起長を示すグラフ(図6下段)である。 CD11aをコーティングしたプレート上で培養したDRG細胞の代表的なβ3-tubrin免疫染色画像(図7上段)、並びに伸長神経細胞率及び平均神経突起長を示すグラフ(図7下段)である。 LFA-1をコーティングしたプレート上で培養したDRG細胞の全細胞溶解液(図8左側)又はLFA-1 proteinのPull-down(図8右側)をwestern blottingで解析した結果を示す図である。 ICAM-1阻害抗体の存在下、LFA-1をコーティングしたプレート上で培養したDRG細胞の代表的なβ3-tubrin免疫染色画像(図9上段)、並びに伸長神経細胞率及び平均神経突起長を示すグラフ(図9下段)である。
以下に示す本発明の説明は、代表的な実施形態又は具体例に基づくことがあるが、本発明はそのような実施形態又は具体例に限定されるものではない。また、本発明に関連して言及するタンパク質及び遺伝子に関する説明は、特に断らない限り、ヒト由来又はマウス由来のタンパク質及び遺伝子を例として行うが、本発明において利用されるタンパク質及び遺伝子はヒト由来及びマウス由来のものに限定されず、また本発明の適用対象はヒト及びマウスに限定されない。
本明細書において示される各数値範囲の上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。また、本明細書において「~」又は「-」を用いて表される数値範囲は、特に断りがない場合、その両端の数値を上限値及び下限値として含む範囲を意味する。
本発明は、以下のa)~c)のヘテロダイマーのうちの少なくとも1つのヘテロダイマーを含む、神経細胞に対する神経突起伸長促進剤を提供する。本発明はまた、以下のa)~c)のヘテロダイマーのうちの少なくとも1つのヘテロダイマーを含む、神経再生誘導用医薬組成物を提供する。
a) インテグリンαLの細胞外ドメイン又はインテグリンαL細胞外ドメインの変異体と、インテグリンβ2の細胞外ドメイン又はインテグリンβ2細胞外ドメインの変異体とから構成され、かつ神経突起伸長促進活性を有するヘテロダイマー
b) a)のヘテロダイマーにおいて一方又は両方のポリペプチドに他のペプチドが融合されてなる、神経突起伸長促進活性を有するヘテロダイマー
c) a)又はb)のヘテロダイマーにおいて1又は複数のアミノ酸残基が化学修飾されてなる、神経突起伸長促進活性を有するヘテロダイマー
ヘテロダイマー
インテグリンαL(CD11aとも称される)とインテグリンβ2(CD18とも称される)はいずれも膜貫通型タンパク質であり、細胞外ドメイン間の非共有結合によって、LFA-1又はインテグリンαLβ2と称されるヘテロダイマーを形成する。LFA-1は、単球、マクロファージ、好中球、好酸球、好塩基球、B細胞、T細胞、NK細胞等の細胞において発現し、リンパ球の活性化や白血球の局所浸潤等の免疫反応に関与するタンパク質である。本発明は、LFA-1、特にLFA-1の細胞外ドメイン、すなわちインテグリンαLの細胞外ドメイン又はその変異体と、インテグリンβ2の細胞外ドメイン又はその変異体とのヘテロダイマーを、神経細胞に対して神経突起の伸長を促進させるために使用することに関する。
マウスインテグリンαLのアミノ酸配列は、UniProtKB/Swiss-ProtにAccession No. P24063として登録されている。このアミノ酸配列を配列番号1に示す。マウスインテグリンαLは、全1163アミノ酸残基からなるタンパク質として合成され、1~23位がシグナル配列、24~1087位が細胞外ドメイン、1088~1108位が細胞膜貫通ドメイン、及び1109~1163位までが細胞質ドメインとされている。また、ヒトインテグリンαLのアミノ酸配列は、UniProtKB/Swiss-ProtにAccession No. P20701として登録されている。このアミノ酸配列を配列番号2に示す。ヒトインテグリンαLは、全1170アミノ酸残基からなるタンパク質として合成され、1~25位がシグナル配列、26~1090位が細胞外ドメイン、1091~1111位が細胞膜貫通ドメイン、及び1112~1170位までが細胞質ドメインとされている。
マウスインテグリンβ2のアミノ酸配列は、UniProtKB/Swiss-ProtにAccession No. P11835として登録されている。このアミノ酸配列を配列番号3に示す。マウスインテグリンβ2は、全771アミノ酸残基からなるタンパク質として合成され、1~23位がシグナル配列、24~702位が細胞外ドメイン、703~725位が細胞膜貫通ドメイン、及び726~771位が細胞質ドメインとされている。また、ヒトインテグリンβ2のアミノ酸配列は、UniProtKB/Swiss-ProtにAccession No. P05107として登録されている。このアミノ酸配列を配列番号4に示す。ヒトインテグリンβ2は、全769アミノ酸残基からなるタンパク質として合成され、1~22位がシグナル配列、23~700位が細胞外ドメイン、701~723位が細胞膜貫通ドメイン、及び724~769位が細胞質ドメインとされている。
ある実施形態において、神経突起伸長促進剤は、インテグリンαLの細胞外ドメイン又はインテグリンαL細胞外ドメインの変異体と、インテグリンβ2の細胞外ドメイン又はインテグリンβ2細胞外ドメインの変異体とから構成され、かつ神経突起伸長促進活性を有するヘテロダイマーを含む。本発明との関連で、このヘテロダイマーをa)のヘテロダイマーとも呼ぶ。
インテグリンαLの細胞外ドメインは、細胞膜貫通ドメインよりN末端側の、シグナル配列を除いたアミノ酸配列からなるポリペプチドをいい、マウスインテグリンαLでは配列番号1の24~1087位のアミノ酸配列(配列番号5として配列表に示す)からなるポリペプチドに、ヒトインテグリンαLでは配列番号2の26~1090位のアミノ酸配列(配列番号6として配列表に示す)からなるポリペプチドに相当する。
また、インテグリンαL細胞外ドメインの変異体は、インテグリンαLの細胞外ドメインのアミノ酸配列と70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは97%、98%又は99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドを包含する。そのようなポリペプチドの例としては、配列番号1に示されるマウスインテグリンαLの24~1084位のアミノ酸配列からなるポリペプチド、配列番号1に示されるマウスインテグリンαLの24~1163位のアミノ酸配列からなるポリペプチド、配列番号2に示されるヒトインテグリンαLの26~1089位のアミノ酸配列からなるポリペプチド、及び配列番号2に示されるヒトインテグリンαLの26~1170位のアミノ酸配列からなるポリペプチドなどを挙げることができる。
インテグリンβ2の細胞外ドメインは、細胞膜貫通ドメインよりN末端側の、シグナル配列を除いたアミノ酸配列からなるポリペプチドをいい、マウスインテグリンβ2では配列番号3の24~702位のアミノ酸配列(配列番号7として配列表に示す)からなるポリペプチドに、ヒトインテグリンβ2では配列番号4の23~700位のアミノ酸配列(配列番号8として配列表に示す)からなるポリペプチドに相当する。
また、インテグリンβ2細胞外ドメインの変異体は、インテグリンβ2の細胞外ドメインのアミノ酸配列と70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは97%、98%又は99%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドを包含する。そのようなポリペプチドの例としては、配列番号3に示されるマウスインテグリンβ2の24~771位のアミノ酸配列からなるポリペプチド、配列番号4に示されるヒトインテグリンβ2の23~769位のアミノ酸配列からなるポリペプチドなどを挙げることができる。
さらに、インテグリンαLの細胞外ドメインのアミノ酸配列において1又は複数個の、例えば1~320個、1~210個、1~100個、1~80個、1~70個、1~60個、1~50個、1~40個、1~30個、1~25個、1~20個、1~15個、1~10個、1~5個、1~3個、1~2個といった数のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドも、インテグリンαL細胞外ドメインの変異体に包含される。
また、インテグリンβ2の細胞外ドメインのアミノ酸配列において1又は複数個の、例えば1~210個、1~140個、1~70個、1~60個、1~50個、1~40個、1~30個、1~25個、1~20個、1~15個、1~10個、1~5個、1~3個、1~2個といった数のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドも、インテグリンβ2細胞外ドメインの変異体に包含される。
置換はいわゆる保存的置換が好ましく、そのような例としては、グリシン(Gly)とプロリン(Pro)、グリシンとアラニン(Ala)又はバリン(Val)、ロイシン(Leu)とイソロイシン(Ile)、グルタミン酸(Glu)とグルタミン(Gln)、アスパラギン酸(Asp)とアスパラギン(Asn)、システイン(Cys)とスレオニン(Thr)、スレオニンとセリン(Ser)又はアラニン、リジン(Lys)とアルギニン(Arg)等のアミノ酸の間での置換を挙げることができる。
アミノ酸配列の同一性は、アラインメント長に対する同一アミノ酸残基数の割合で表され、比較される2つのアミノ酸配列のアラインメントは、同一となるアミノ酸残基の数が最も多くなるように常法に従って行われる。配列同一性は、当業者に公知の任意の方法により、例えばBLAST等の配列比較プログラムを用いて決定することができる。
別の実施形態において、神経突起伸長促進剤は、前記a)のヘテロダイマーにおいて一方又は両方のポリペプチドに他のペプチドが融合されてなる、神経突起伸長促進活性を有するヘテロダイマーである。本発明との関連で、このヘテロダイマーをb)のヘテロダイマーとも呼ぶ。
b)のヘテロダイマーにおける他のペプチドとしては、例えば、ヒトIgGのFc領域(Fcタンパク質)、Hisタグ、GSTタグ、HAタグ、FLAGタグ等を挙げることができる。前記他のポリペプチドは、ヘテロダイマーが神経突起伸長促進活性を有するかぎり、ダイマーを構成するいずれか一方のポリペプチドに融合されてもよく、両方のポリペプチドに融合されてもよい。また前記他のペプチドは、ヘテロダイマーが神経突起伸長促進活性を有するかぎり、ダイマーを構成するポリペプチドのN末端及びC末端の一方に融合されてもよく、両方に融合されてもよい。好ましくは、前記他のペプチドは、ダイマーを構成するポリペプチドのC末端に融合され、N末端には融合されない。
前記a)のヘテロダイマー及びb)のヘテロダイマーは、これらを構成する2つのポリペプチドの各々をコードする核酸を含む発現ベクターを適当な宿主細胞、例えば大腸菌その他の微生物、昆虫細胞又は動物細胞等に導入し発現させることを含む遺伝子工学的生産方法によって作製することができる。核酸の作製、宿主細胞の種類と核酸の導入方法、タンパク質の発現及び精製等を含む、遺伝子工学的生産方法における各操作は、種々の遺伝子工学的操作を詳細に解説した実験操作マニュアル書の指示に基づいて、当業者に公知の方法により行うことができる。本発明は、前記a)のヘテロダイマーを構成する2つのポリペプチドの各々をコードする核酸、前記b)のヘテロダイマーを構成する2つのポリペプチドの各々をコードする核酸、これらの核酸を含む発現ベクター及びこれらの核酸又は発現ベクターで形質転換された宿主細胞も提供する。
また、前記a)のヘテロダイマー及び前記b)のヘテロダイマーのそれぞれを構成する2つのポリペプチドの各々をコードする核酸を利用した無細胞系の合成方法も、前記a)のヘテロダイマー及びb)のヘテロダイマーの遺伝子工学的な生産方法の1つである。無細胞タンパク質合成系としては、大腸菌、コムギ胚芽、酵母、ウサギ網状赤血球、昆虫細胞及び哺乳類培養細胞といった細胞の抽出液を利用する系や、タンパク質合成に必要な因子を組み合わせて構成した再構成型の系が挙げられる。
さらに、前記a)のヘテロダイマー及びb)のヘテロダイマーは、種々の保護基で修飾されたアミノ酸を原料として、例えばFmoc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)やtBoc法(t-ブチルオキシカルボニル法)等の有機化学的合成方法によって作製することもできるが、遺伝子工学的技術によって、前記の核酸、特に発現ベクターに組み込まれたDNAを原核生物又は真核生物から選択される適当な宿主細胞を用いた好適な発現系に導入することによって生産することが好ましい。
さらに別の実施形態において、神経突起伸長促進剤は、前記a)のヘテロダイマー又はb)のヘテロダイマーにおいて一方又は両方のポリペプチドに含まれる1又は複数のアミノ酸残基が化学修飾されてなる、神経突起伸長促進活性を有するヘテロダイマーである。本発明との関連で、このヘテロダイマーをc)のヘテロダイマーとも呼ぶ。
c)のヘテロダイマーにおける化学修飾としては、例えば、アミノ酸残基のアミノ基の修飾(ビオチン化、ミリストイル化、パルミトイル化、アセチル化、マレイミド化、メチル化、マロニル化等)、カルボキシル基の修飾(アミド化、エステル化等)、チオール基の修飾(ファルネシル化、ゲラニル化、メチル化、パルミトイル化等)、水酸基の修飾(リン酸化、硫酸化等)、PEG化、グリコシル化等を挙げることができる。
c)のヘテロダイマーは、前記a)のヘテロダイマー又はb)のヘテロダイマーの一方又は両方のポリペプチドに含まれる1又は複数のアミノ酸残基を、当業者に知られた方法によって化学修飾することにより調製することができる。
前記a)~c)のヘテロダイマー(以下、まとめて単にヘテロダイマーとも呼ぶ)は、神経細胞に対して、その神経突起の伸長を促進する活性(神経突起伸長促進活性)を有する。神経突起伸長促進活性は、例えば、ヘテロダイマーの存在下で培養した神経細胞の伸長神経細胞率、平均神経突起長又は最長神経突起長が、ヘテロダイマーの非存在下で培養した神経細胞のそれと比べて高く又は長くなることによって確認することができる。また、神経を損傷した動物にヘテロダイマーを投与し、損傷神経における軸索再生率が、ヘテロダイマーを投与していない損傷神経のそれと比べて高くなることによって確認することもできる。
ヘテロダイマーの使用
このように、前記a)~c)のヘテロダイマーは神経突起伸長促進活性を有することから、神経細胞に対する神経突起伸長促進剤の有効成分として、神経突起の伸長を促進するために用いることができる。後述の実施例に示されるように、LFA-1の神経突起伸長促進作用は細胞間接着分子1(Intercellular Adhesion Molecule 1; ICAM-1)依存性であることから、本発明における神経細胞は、ICAM-1を発現するかぎり、末梢神経系の神経細胞であっても中枢神経系の神経細胞であってもよい。末梢神経系の神経細胞は、体性神経系(感覚神経及び運動神経)、自律神経系(交感神経及び副交感神経)いずれの神経細胞であってもよい。
前記a)~c)のヘテロダイマーは、適用される神経細胞と同じ動物種由来のものであっても、異なる動物種由来のものであってもよい。例えば、ラットの神経細胞に対しては、ラットインテグリンαLの細胞外ドメイン及びラットインテグリンβ2の細胞外ドメインに基づいたヘテロダイマーを用いてもよく、他の動物種、例えばヒトインテグリンαLの細胞外ドメイン及びヒトインテグリンβ2の細胞外ドメインに基づいたヘテロダイマー、又はマウスインテグリンαLの細胞外ドメイン及びマウスインテグリンβ2の細胞外ドメインに基づいたヘテロダイマー等を用いてもよく、2つの動物種に由来するヘテロダイマー、例えばマウスインテグリンαLの細胞外ドメイン及びヒトインテグリンβ2の細胞外ドメインに基づいたヘテロダイマーを用いてもよい。ヒトの神経細胞に対しては、ヒトインテグリンαLの細胞外ドメイン及びヒトインテグリンβ2の細胞外ドメインに基づいたヘテロダイマーを用いることが好ましい。
前記a)~c)のヘテロダイマーは、それぞれ単独で又はa)~c)のうちの2つ以上のヘテロダイマーを組み合わせて、あるいは他の成分と組み合わせて、神経突起伸長促進剤として用いることができる。2以上の物質を含む神経突起伸長促進剤は、神経突起伸長促進用組成物と表すこともできる。
前記a)~c)のヘテロダイマーは、担体に保持された状態(固定化状態)で用いられても遊離している状態(遊離状態)で用いられてもよい。ヘテロダイマーが保持される担体としては、例えば、細胞培養において一般的に利用されるウェルプレートやシャーレ等の培養基材、神経再生誘導用の医療材料、マイクロビーズやリポソーム等の粒子を挙げることができる。ヘテロダイマーを担体に保持させる方法は任意であり、例えば、ヘテロダイマーを担体に直接固定してもよく、適当なリンカー分子やアダプター分子を介して固定してもよく、またバインダーやコーティング材を用いて固定してもよい。ヘテロダイマーは、非特異的吸着によって担体に保持されてもよい。また、担体がゲル状材料である場合、ゲルの作製過程で溶液にヘテロダイマーを含ませることによって、ヘテロダイマーを担体に保持させてもよい。
遊離状態のヘテロダイマーは、例えば、細胞培養用培養液、緩衝液、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水等の液体中で用いることができる。
神経突起伸長促進剤は、生体外、生体内のいずれにおいても用いることができる。生体外で用いられる神経突起伸長促進剤は、インビトロで神経突起の伸長や神経再生に関する研究のためのリサーチツールとして好適に用いることができる。また生体内で用いられる神経突起伸長促進剤は、生体内に存在する損傷を受けた神経細胞の軸索再生を促進して神経機能の回復をもたらし得る。
このように、前記a)~c)のヘテロダイマーは、神経再生誘導用医薬組成物の有効成分として、神経損傷の治療のために用いることができる。本発明との関連において、用語「治療」は、疾患又は状態の治癒、一時的寛解等を目的とする医学的に許容される全てのタイプの治療的介入を包含する。したがって、神経損傷の治療とは、損傷した神経の再生促進、神経損傷による機能障害の改善、機能障害の進行の遅延又は停止、発症の予防等を含む、種々の目的の医学的に許容される介入を包含する。
神経損傷は、末梢神経、中枢神経いずれの損傷であってもよく、また創傷による開放損傷であっても、圧迫、皮下骨折、打撲、牽引損傷、電撃損傷、薬物注入、放射線障害等の閉鎖損傷であってもよい。医薬組成物は、軸索断裂が生じた神経損傷に対して用いることができるが、自然回復が見込めない重度の神経損傷に対して用いることが好ましい。
本発明において、神経損傷の治療とは、損傷した軸索の再生を誘導し、これによって軸索損傷を伴う疾患を治療することを包含する。軸索損傷を伴う疾患としては、例えば、外傷性疾患(脳外傷、脊髄損傷、視神経損傷、顔面神経損傷、末梢神経障害)、梗塞(脳梗塞、脊髄梗塞)、炎症性神経疾患(多発性硬化症)、神経変性疾患(パーキンソン病、アルツハイマー病、ALS)、代謝性神経障害、薬物・中毒性神経障害、遺伝性神経障害等を挙げることができる。
医薬組成物は、神経損傷を有する対象、例えばマウス、ラット、ハムスター、モルモットを含むげっ歯類、ヒト、チンパンジー、アカゲザルを含む霊長類、ブタ、ウシ、ヤギ、ウマ、ヒツジを含む家畜、イヌ、ネコを含む愛玩動物等の哺乳動物個体に投与される。好ましい対象はヒトである。
医薬組成物は、神経損傷の治療のために有効な量の前記a)~c)のヘテロダイマーのうちの少なくとも1つのヘテロダイマーを含む。有効量は、用法、対象の年齢、性別、体重、神経損傷の部位及び程度その他の要因に応じて適宜決定される。
医薬組成物は、神経損傷の治療のための他の薬剤、又は薬学的に許容される添加剤、例えば緩衝剤、安定剤、保存剤、賦形剤等を含むことができる。薬学的に許容される添加剤は当業者に周知であり、当業者が通常の実施能力の範囲内で適宜選択して使用することができる。
医薬組成物の剤形に制限はないが、非経口製剤、例えば注射剤等であることが好ましい。また医薬組成物の投与経路は、有効成分が神経損傷部位に送達可能であるかぎり制限はないが、神経損傷部位又はその近傍への局所投与が好ましい。
医薬組成物中のヘテロダイマーは、細胞表面に保持された形態であってもよい。ヘテロダイマーをその表面に保持した細胞は、例えば、前記a)のヘテロダイマーを構成する2つのポリペプチドの各々をコードする核酸又は前記b)のヘテロダイマーを構成する2つのポリペプチドの各々をコードする核酸を、医薬組成物が投与される対象と同種の細胞(同種異系細胞)又は当該対象自身の細胞(自己細胞)に導入し、細胞表面上で2つのポリペプチドを発現させてヘテロダイマーを形成させることで作製することができる。細胞の例としては、線維芽細胞、骨髄間質細胞、脂肪幹細胞、間葉系幹細胞等を挙げることができる。
ヘテロダイマーをその表面に保持した細胞を含む医薬組成物は、生体内の神経損傷部位に移植することで、神経損傷の治療のために用いることができる。
医薬組成物中のヘテロダイマーは、基材、例えば生体適合性の医療材料に保持された形態であってもよい。このような医薬組成物は、前記a)~c)のヘテロダイマーのうちの少なくとも1つのヘテロダイマーを保持した神経再生誘導用医療材料と表すこともできる。
生体適合性医療材料の例としては、ポリフッ化エチレン、ポリスチレン等の合成高分子材料;シリカ等の無機化合物;及び天然高分子材料を挙げることができる。生体適合性医療材料は、生分解性ポリマーであることが好ましく、その例としては、例えば合成高分子材料ではポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、乳酸-グリコール酸共重合体といった共重合体等;無機材料ではβ-りん酸三カルシウム、炭酸カルシウム等;天然高分子材料ではコラーゲン、ゼラチン、アルギン酸、ヒアルロン酸、アガロース、キトサン、フィブリン、フィブロイン、キチン、セルロース、シルク等が挙げられる。
神経再生誘導用医療材料は、神経損傷の治療のために有効な量の前記a)~c)のヘテロダイマーのうちの少なくとも1つのヘテロダイマーを保持し、また特定の実施形態において他の神経損傷の治療のための医薬をさらに保持する。それぞれの有効量は、対象の年齢、性別、体重、神経損傷の部位及び程度その他の要因に応じて適宜決定される。なお、ヘテロダイマーを生体適合性医療材料に保持させる方法は、神経突起伸長促進剤の担体への保持に関連して述べたとおりである。
神経再生誘導用医療材料は、生体内の神経損傷部位に移植することで、神経損傷の治療のために用いることができる。神経再生誘導用医療材料により治療される神経損傷、神経再生誘導用医療材料が移植される対象、及び神経再生誘導用医療材料に保持される他の薬剤又は添加剤は、医薬組成物に関連して述べたとおりである。
神経再生誘導用医療材料の形状は、神経損傷部位又はその近傍に移植可能であるかぎり制限はなく、例えばチューブ状、シート状、ゲル状である。チューブ状の神経再生誘導用医療材料は、神経損傷部位に縫合固定して用いることができ、その例としては、東洋紡株式会社が製造する神経再生誘導チューブ(ナーブリッジ(登録商標))や、ニプロ株式会社が製造する神経再生誘導材(リナーブ(登録商標))が挙げられる。シート状の神経再生誘導用医療材料は、神経損傷部位を被覆固定して用いることができる。ゲル状の神経再生誘導用医療材料は、神経損傷部位への充填や、チューブ状の神経再生誘導用医療材料内を充填することで用いることができる。ゲル状の神経再生誘導用医療材料の例としては、フィブリン糊やアルギン酸が挙げられる。
本発明は、哺乳動物個体に、有効量の前記a)~c)のヘテロダイマーのうちの少なくとも1つのヘテロダイマーを含む医薬組成物を投与することを含む、神経損傷を治療する方法を提供する。本発明はまた、哺乳動物個体に、有効量の前記a)~c)のヘテロダイマーのうちの少なくとも1つのヘテロダイマーを保持した神経再生誘導用医療材料を移植することを含む、神経損傷を治療する方法を提供する。
核酸の使用
上述の神経突起伸長促進剤、及び神経再生誘導用医療材料を包含する神経再生誘導用医薬組成物において、前記a)のヘテロダイマー及びb)のヘテロダイマーに代えて、それぞれ前記a)のヘテロダイマーを構成する2つのポリペプチドの各々をコードする2つの核酸、及び前記b)のヘテロダイマーを構成する2つのポリペプチドの各々をコードする2つの核酸を用いることもできる。
これらの核酸は各々独立して、DNA、RNA又はそれらの安定性が高められた核酸修飾体のいずれでもよく、また直鎖状であっても環状であってもよい。核酸がDNAである場合は発現ベクターに組み込まれた形態であるものが好ましく、RNAである場合はmRNAが好ましい。核酸が発現ベクターに組み込まれた形態のDNAである場合、両方の核酸が一緒に1つの発現ベクターに組み込まれてもよく、各核酸が各々1つの発現ベクターに組み込まれてもよい。
例示的実施形態において、神経突起伸長促進剤及び神経再生誘導用医薬組成物は、インテグリンαLの細胞外ドメイン又はインテグリンαL細胞外ドメインの変異体をコードする核酸と、インテグリンβ2の細胞外ドメイン又はインテグリンβ2細胞外ドメインの変異体をコードする核酸とを含むことができ、ここでインテグリンαLの細胞外ドメイン又はインテグリンαL細胞外ドメインの変異体とインテグリンβ2の細胞外ドメイン又はインテグリンβ2細胞外ドメインの変異体とから構成されるヘテロダイマーは、神経突起伸長促進活性を有する。
別の例示的実施形態において、神経突起伸長促進剤及び神経再生誘導用医薬組成物は、インテグリンαLの細胞外ドメイン若しくはインテグリンαL細胞外ドメインの変異体又はこれらに他のペプチドが融合されてなるポリペプチドをコードする核酸と、インテグリンβ2の細胞外ドメイン若しくはインテグリンβ2細胞外ドメインの変異体又はこれらに他のペプチドが融合されてなるポリペプチドをコードする核酸とを含むことができ、ここでインテグリンαLの細胞外ドメイン若しくはインテグリンαL細胞外ドメインの変異体又はこれらに他のペプチドが融合されてなるポリペプチドと、インテグリンβ2の細胞外ドメイン若しくはインテグリンβ2細胞外ドメインの変異体又はこれらに他のペプチドが融合されてなるポリペプチドとから構成されるヘテロダイマーは、神経突起伸長促進活性を有する。
評価方法
本発明は、シュワン細胞におけるLFA-1の発現を増強する活性を指標とした、被験物質の神経突起伸長促進活性を評価する方法を提供する。
ある実施形態において、評価方法は、例えば、被験物質をシュワン細胞とインキュベートするステップ;インキュベート後のシュワン細胞におけるLFA-1の発現量を測定するステップ;測定されたLFA-1の発現量を被験物質非存在下でのLFA-1の発現量と比較するステップ;及びLFA-1の発現量を増加させた被験物質を、神経突起伸長促進活性を有すると判定するステップを含み得る。
インキュベーションは、適当な容器内の培地又は緩衝液中で、シュワン細胞と被験物質とを共存させることにより行うことができる。インキュベーションの温度、時間等の条件は、シュワン細胞がLFA-1を発現することができる条件であればよい。
LFA-1の発現量は、例えば、抗インテグリンαL特異抗体及び抗インテグリンβ2特異抗体を用いてシュワン細胞を免疫染色し、これらの抗体のいずれによっても染色される領域の染色強度を定量することによって測定することができる。また、LFA-1の発現量は、LFA-1のダイマー構造が維持される条件下でシュワン細胞から細胞溶解液を調製し、抗インテグリンαL特異抗体及び抗インテグリンβ2特異抗体を用いたウェスタンブロッティングを行い、これらの抗体のいずれによっても染色されるバンドの染色強度を定量することによって測定することもできる。
以下の実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
材料と方法
・材料
LFA-1は、特に記載がないかぎり、Recombinant Mouse Integrin alpha L beta 2 Protein, CF(7825-AB, R&D Systems)を購入して使用した。これは、UniProtKB/Swiss-ProtにAccession No. P24063として登録されているマウスインテグリンαL(CD11a)のTyr24-Glu1084(細胞外ドメイン部の一部、配列番号5に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドのC末端側のアミノ酸残基が3個欠失したもの)のC末端にリンカーを介して活性最適化のためのAcidic Tailペプチド及びHis-Tagを結合させた融合ポリペプチドと、UniProtKB/Swiss-ProtにAccession No. P11835として登録されているマウスインテグリンβ2(CD18)のGln24-Asn702(細胞外ドメイン、配列番号7)のC末端にリンカーを介して活性最適化のためのBasic Tailペプチドを結合させた融合ポリペプチドとのヘテロダイマーである。
また、実施例2においては、Recombinant Human Integrin alpha L beta 2 Protein, CF(3868-AV, R&D Systems)も使用した。これは、UniProtKB/Swiss-ProtにAccession No. P20701として登録されているヒトインテグリンαL(CD11a)のTyr26-Met1089(細胞外ドメイン部の一部、配列番号6に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドのC末端側のアミノ酸残基が1個欠失したもの)のC末端にリンカーを介して活性最適化のためのAcidic Tailペプチド及びHis-Tagを結合させた融合ポリペプチドと、UniProtKB/Swiss-ProtにAccession No. P05107として登録されているヒトインテグリンβ2(CD18)のGln23-Asn700(細胞外ドメイン、配列番号8)のC末端にリンカーを介して活性最適化のためのBasic Tailペプチドを結合させた融合ポリペプチドとのヘテロダイマーである。
CD11aは、Rat ITGAL/CD11a Protein (Recombinant His-T7)(LS-G24363, LSBio)を購入して使用した。これは、ラットCD11aの788-1004位のアミノ酸配列にHis-Tagが付加されたポリペプチドである。加えて、コントロールタンパク質として、ヒトIgG(1-001-A, R&D Systems)を使用した。
・後根神経節(Dorsal root ganglion : DRG)神経細胞の調製及び培養
Lewisラット(雄、12-16週齢)から採取した後根神経節をそれぞれ3-5片に細断し、0.5% collagenase XI(Sigma-Aldrich)を加え37℃で1時間酵素処理することで、DRG神経細胞を分離した。DRG神経細胞は、10,000 cell/cm2の細胞密度となるように48 well plateに播種し、DMEM/Ham’s F12に2% B27 supplement(Thermo Fisher Scientific)、1% penicillin-streptomycin(Themo Fisher Scientific)、1% GlutaMax(Themo Fisher Scientific)を加えた培養液を使用して培養した。
・シュワン細胞の調製
Lewisラット(雄、12-16週齢)から坐骨神経を摘出し、神経上膜を除去した後に1-2mmの神経片に細断した。神経片を1% collagenase I(Sigma-Aldrich)及び0.125% trypsin(Wako)含有DMEM/Ham’s F-12(Wako)に入れて37℃で1時間酵素処理し、その後に機械的攪拌及びPercoll密度勾配遠心分離を行ってシュワン細胞を分離した。
・シュワン細胞培養用プレートの作製
48 well plateの各ウェルに50 μg/mlのPoly-L-lysine(PLL, Sigma-Aldrich)を加え、室温で1時間静置し、PBSで1回洗浄したPLLコーティングプレートを作製した。また、PLLコーティングプレートに、5μg/mlのマウスEHS肉腫基底膜由来Laminin(L2020, Sigma-Aldrich)を加え、37℃で1日間静置することで、PLL+Lamininコーティングプレートを作製した。
・免疫細胞化学染色及び免疫組織化学染色
培養細胞は、4% PFAに15分間浸して固定した。ラットから採取した坐骨神経は、4% PFA 中に4℃で一晩固定した後、30% Sucrose/PB 溶液に移して24時間以上静置した。クライオスタットで10 μm厚の坐骨神経縦断切片を作成した。細胞又は切片を5% Normal horse serum(Thermo Fisher Scientific)及び0.25% Triton X-100(Sigma-Aldrich)を含有したTBS(pH 8.4)で1時間ブロッキングした後、一次抗体含有TBSに4℃で一晩、さらに二次抗体含有TBSに室温で1時間浸し染色を行った。染色後、組織を、蛍光顕微鏡BZ-X710(KEYENCE)を用いて観察した。
使用した一次抗体
抗pan neurofilament (pNF) 抗体(mouse anti pan neurofilament, Biolegend, 1:1000)
抗β3-tubrin抗体(rabbit anti β3-tubulin, Covance, 1:1000)
抗CD11a抗体(mouse CD11a antibody, GeneTex, 1:200)
抗S100β抗体(rabbit anti-S100 beta抗体, abcam, 1:200)
二次抗体は、一次抗体の宿主動物種及び分子種に応じて、多重染色を考慮して適宜選択したものを使用した。
・神経突起長の測定
抗pNF抗体又は抗β3-tubrin抗体で染色後の細胞を蛍光顕微鏡BZ-X710(KEYENCE)を用いて観察し、画像解析ソフトウェアImage J(Schneider et al., 2012)を用いて各神経細胞の神経突起の平均長(平均神経突起長、Average of neurite length)を測定した。また、最大神経突起長が50 μm以上の細胞を伸長神経細胞として、全神経細胞に占める伸長神経細胞の割合(伸長神経細胞率、% of elongating neuron)を算出した。
・軸索密度及び軸索再生率の測定
坐骨神経切片のβ3 tubulin免疫染色画像において、損傷部遠位方向に5 mm間隔で垂直線を設定し、各々の線を横切る軸索数を当該線の長さで割って軸索密度を算出した。各位置における軸索密度を、損傷部から1.5 mm近位にある無損傷部位における軸索密度で割って、軸索再生率を算出した。
・統計処理
実験データは、平均値±標準誤差で表した。統計解析は統計解析ソフトJMP Pro 11.0(SAS Institute)を用いて行った。2群間の比較にはStudentのt検定を用いた。多群間の比較にはTukey検定を用いた。p値0.05未満を有意とした。
実施例1.LFA-1による神経突起伸長促進の評価(インビトロ)
48 wellプレートに、LFA-1(濃度5μg/ml又は10μg/ml)、コントロールタンパク質(濃度5μg/ml又は10μg/ml)、又はPBSを加え、4℃で1日間静置した。各プレートをPBSで1回洗浄した後、1%BSAを加え、室温で3時間静置した。各プレートにDRG神経細胞を播種し、37℃で2日間培養した(n = 3)。培養後、抗β3-tubrin抗体を用いて免疫細胞化学染色を行い、伸長神経細胞率及び平均神経突起長を算出した。
LFA-1をコーティングしたプレート上で培養したDRG神経細胞は、コントロールタンパク質又はBSAをコーティングしたプレート上で培養した細胞と比較して、平均神経突起長及び伸長神経細胞率が有意に高く(図1)、LFA-1による神経突起の伸長促進が示された。
なお、DRG神経細胞は、末梢組織のみならず脊髄及び脳幹部にも軸索を伸ばしている細胞である。したがって、LFA-1がDRG神経細胞に対して神経突起伸張促進作用を有することは、LFA-1が末梢神経系だけでなく脊髄等の中枢神経系の神経細胞に対しても神経突起伸張促進作用を発揮し得ることを示す。
実施例2.LFA-1の種交差性の評価
48 wellプレートに、マウスLFA-1(Recombinant Mouse Integrin alpha L beta 2 Protein, CF(7825-AB, R&D Systems)、濃度10μg/ml)、ヒトLFA-1(Recombinant Human Integrin alpha L beta 2 Protein, CF(3868-AV, R&D Systems)、濃度10μg/ml)、又はコントロールタンパク質(濃度10μg/ml)を加え、4℃で1日間静置した。各プレートをPBSで1回洗浄した後、1%BSAを加え、室温で3時間静置した。各プレートにDRG神経細胞を播種し、37℃で2日間培養した(n = 3、コントロールタンパク質添加はn = 1)。培養後、抗β3-tubrin抗体を用いて免疫細胞化学染色を行い、伸長神経細胞率及び平均神経突起長を算出した。
マウス、ヒトいずれのLFA-1も、ラットDRG神経細胞に対して神経突起伸長効果を示したことから、LFA-1の種交差性が確認された(図2)。
実施例3.LFA-1による軸索再生効果の評価(インビボ)
Endo et. al., Front Cell Neurosci. 2019; 13: 280に記載の方法に従って、坐骨神経圧挫損傷ラットを作成した。簡潔には、麻酔下のLewisラット(雄、12-16週齢)を腹臥位に置き、左臀部から左大腿遠位部まで縦方向の皮膚切開を行い、坐骨神経全体を露出させた。PVCチューブで被覆した2つのマイクロモスキート鉗子(Fine Science Tools, No.13010-12)を用いて坐骨神経を25mm間隔で2箇所圧挫して保持した。鉗子で境界された25 mm長の坐骨神経を、液体窒素を含有したスワブを軽く叩くことで凍結し、次いで室温で融解した。この凍結融解処理を5回繰り返すことで、処理範囲内の坐骨神経の全軸索を損傷させた。鉗子を外し、圧挫部の神経上膜に8-0 Nylon糸をかけ、マーキングした後、閉創した。
圧挫損傷作成の直後(day 0)及び7日後(day 7)に、凍結融解処理範囲内の2ヶ所(近位側圧挫部から10 mm及び20 mm遠位)に、1ヶ所あたり4 μg/10 μL PBSのLFA-1又はコントロールタンパク質を局所投与した(n=3)。圧挫損傷作成から14日後(day 14)、麻酔下でラットの右心耳を切開して放血を行うとともに左心にPBS溶液を流して脱血を行った。4%パラホルムアルデヒド添加PBSを還流して経心的に還流固定を行った後、坐骨神経を摘出した。坐骨神経の切片に対して抗β3-tubrin抗体を用いた免疫組織化学染色を行い、軸索再生率を算出した。
坐骨神経の代表的な免疫染色画像を図3に、近位側圧挫部からの距離と軸索再生率との関係を図4に示す。LFA-1投与群ではコントロールタンパク質投与群と比較して軸索再生が良好であり、LFA-1の軸索再生促進効果が確認された。
試験例1.修復型シュワン細胞及び神経損傷部におけるLFA-1の発現解析
前処置として1週間前に坐骨切痕部で神経を切断したLewisラットからシュワン細胞を分離し、修復型シュワン細胞として用いた。同様に前処置を行わないLewisラットからシュワン細胞を分離し、非修復型シュワン細胞として用いた。これら2種類のシュワン細胞から、TRIzol reagent (Thermo Fisher Scientific)及びRNeasy plus mini kit(Qiagen)を製造業者のプロトコールに従って用いてRNAを抽出した。RNA抽出液からTruSeq Stranded mRNA LT Sample Prep Kit(Illumina)を用いてライブラリーを調製し、NovaSeq6000(Illumina)を用いて100bpのペアエンドシーケンス条件でRNAシーケンシングを行った。
得られたデータからインテグリンαL及びインテグリンβ2それぞれの遺伝子発現量(Fragments Per Kilobase of exon per Million mapped reads; FPKM)を算出した。修復型シュワン細胞におけるこれらの遺伝子発現量を、非修復型シュワン細胞における遺伝子発現量に対する比として表1に表す。インテグリンαL及びインテグリンβ2はいずれも修復型シュワン細胞において発現が上昇していた。
Figure 2023049978000002
また、ラットから分離した修復型シュワン細胞をPLL+Lamininコーティングプレート上でDMEM/Ham’s F-12を用いて2日間培養した後、抗CD11a抗体及び抗S100β抗体を用いて免疫細胞化学染色を行った。修復型シュワン細胞は、シュワン細胞マーカーであるS100βと同様にCD11aを発現しており(図5上段)、修復型シュワン細胞におけるLFA-1の発現上昇がタンパク質レベルでも示唆された。
さらに、実施例2と同様にしてLewisラットの坐骨神経に圧挫損傷を作成し、損傷1週間後に坐骨神経を摘出した。比較対象として、圧挫損傷を作成しないLewisラットからも同様に坐骨神経を摘出した。これらの坐骨神経の組織切片に対して抗CD11a抗体及び抗S100β抗体を用いた免疫組織化学染色を行った。正常な坐骨神経の実質内では、S100βが全体にわたって検出された一方でCD11aは検出されなかった(図5中段左側)。これに対し、圧挫損傷を受けた坐骨神経の実質内では、正常坐骨神経と比べてS100βの発現は大幅に減少した一方でCD11aの発現は上昇しており、またS100βとCD11aは重なって検出された(図5中段右側及び下段)。
正常な神経実質内には非修復型のシュワン細胞が多数存在するが、神経損傷によって非修復型のシュワン細胞は消失し、代わりに修復型のシュワン細胞がリクルートされることが知られている。したがって、本動物試験における免疫染色結果は、圧挫損傷を受けた坐骨神経実質内に集積した修復型シュワン細胞がLFA-1を発現していることを示している。
試験例2.CD11aの機能阻害下での修復型シュワン細胞による神経突起伸長促進の評価
ラットから分離した修復型シュワン細胞をPLL+Lamininコーティングプレート上でDMEM/Ham’s F-12を用いて1日間培養した。培養した修復型シュワン細胞を48wellプレートに1.0 × 106 cells/cm2の密度で培養し、3時間後にDRG神経細胞を5.0 × 103 cells/cm2の密度で加えて48時間の共培養を行った。培地としては、コントロール抗体(Mouse IgG isotype control, GeneTex, 10μg/ml)又はCD11a機能阻害抗体(CD11a antibody, GeneTex, 10μg/ml)を添加した2% B27(Thermo Fisher Scientific)及びNeuregulin(20ng/ml, Peprotech)含有DMEM/Ham’s F-12を、シュワン細胞1.0 ×106 個あたり1.2 mlの量で用いた。また、比較対象として、DRG神経細胞のみを、2% B27及びNeuregulin含有DMEM/Ham’s F-12で48時間培養した。培養後、抗pNF抗体及び抗S100b抗体を用いて免疫細胞化学染色を行い、DRG神経細胞の伸長神経細胞率及び平均神経突起長を算出した。
DRG神経細胞の神経突起の伸長は修復型シュワン細胞との共培養によって促進されるが(図6のNo. 1)、その伸長促進は抗CD11a抗体によって有意に阻害されたことから(図6のNo. 2及び3)、修復型シュワン細胞による神経突起伸長促進にCD11aが寄与していることが示された。
試験例3.CD11aによる神経突起伸長促進の評価
48 wellプレートに、ラットCD11a(濃度10μg/ml)、又はコントロールタンパク質(濃度10μg/ml)を加え、4℃で1日間静置した。各プレートをPBSで1回洗浄した後、1%BSAを加え、室温で3時間静置した。各プレートにDRG神経細胞を播種し、37℃で2日間培養した(n = 3)。培養後、抗β3-tubrin抗体を用いて免疫細胞化学染色を行い、伸長神経細胞率及び平均神経突起長を算出した。
CD11aでコーティングしたプレート上で培養したDRG神経細胞は、コントロールタンパク質をコーティングしたプレート上で培養した細胞と比較して、平均神経突起長、伸長神経細胞率ともにほとんど変わらなかったことから(図7)、CD11aは単独では神経突起の伸長促進を示さないことが確認された。
試験例4.LFA-1の神経突起伸長効果の作用機序解明
4-1.神経細胞溶解液中のLFA-1結合性分子の解析
48 wellプレートに、LFA-1(濃度10μg/ml)又はコントロールタンパク質(濃度10μg/ml)を加え、4℃で1日間静置した。各プレートをPBSで1回洗浄した後、1%BSAを加え、室温で3時間静置した。各プレートにDRG神経細胞を播種し、37℃で24時間培養した(n = 3)。上清を除去後、Lysis buffer(EzRIPA Lysis buffer, protease, phosphatase inhibitor : ATTO)を添加して培養細胞のWhole proteinを抽出し、western blotting(WB)によってICAM-1、ICAM-2及びICAM-4の発現を調べた。WBでは、Rat ICAM-1/CD54 Antibody(R&D #AF583)、ICAM2 antibody(GeneTex #GTX59758)、ICAM4 antibody(GeneTex #GTX33254)を用いた。
また使用したLFA-1がHisタグを有することを利用して、Whole protein抽出液に対してDynabeads his-tag isolation & pulldown(Thermo Fisher Scientific)を使用したLFA-1 proteinのPull-downを行い、得られたhis-tagged proteinに対して、WBによってICAM-1、ICAM-2及びICAM-4の発現を調べた。
ラットDRG神経細胞はICAM-1、ICAM-2及びICAM-4を発現しており(図8左側)、LFA-1はICAM-1に結合すること(図8右側)が明らかとなった。
4-2.ICAM-1阻害抗体存在下でのLFA-1の神経突起伸長効果
48 wellプレートに、LFA-1(濃度10μg/ml)又はコントロールタンパク質(濃度10μg/ml)を加え、4℃で1日間静置した。各プレートをPBSで1回洗浄した後、1%BSAを加え、室温で3時間静置した。各プレートにDRG神経細胞と抗ICAM1機能阻害抗体(Rat ICAM-1/CD54 Antibody(R&D #AF583)、濃度10μg/ml)又はコントロール抗体(Mouse IgG isotype control(GeneTex)、濃度10μg/ml)とを含む培養液を加え、37℃で2日間培養した(n = 3)。培養後、抗β3-tubrin抗体を用いて免疫細胞化学染色を行い、伸長神経細胞率及び平均神経突起長を算出した。
LFA-1の神経突起伸長効果は、ICAM-1阻害抗体の併用により消失したことから(図9)、LFA-1の効果はICAM-1依存性であることが確認された。
配列番号1 マウスインテグリンαLの全長アミノ酸配列
配列番号2 ヒトインテグリンαLの全長アミノ酸配列
配列番号3 マウスインテグリンβ2の全長アミノ酸配列
配列番号4 ヒトインテグリンβ2の全長アミノ酸配列
配列番号5 マウスインテグリンαLの細胞外ドメインのアミノ酸配列
配列番号6 ヒトインテグリンαLの細胞外ドメインのアミノ酸配列
配列番号7 マウスインテグリンβ2の細胞外ドメインのアミノ酸配列
配列番号8 ヒトインテグリンβ2の細胞外ドメインのアミノ酸配列

Claims (7)

  1. 以下のa)~c)のヘテロダイマーのうちの少なくとも1つのヘテロダイマーを含む、神経細胞に対する神経突起伸長促進剤。
    a) インテグリンαLの細胞外ドメイン、又はインテグリンαLの細胞外ドメインのアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドと、
    インテグリンβ2の細胞外ドメイン、又はインテグリンβ2の細胞外ドメインのアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドとから構成され、かつ神経突起伸長促進活性を有するヘテロダイマー
    b) a)のヘテロダイマーにおいて一方又は両方のポリペプチドに他のペプチドが融合されてなる、神経突起伸長促進活性を有するヘテロダイマー
    c) a)又はb)のヘテロダイマーにおいて1又は複数のアミノ酸残基が化学修飾されてなる、神経突起伸長促進活性を有するヘテロダイマー
  2. 以下のa)又はb)のヘテロダイマーを構成する2つのポリペプチドの各々をコードする核酸を含む、神経細胞に対する神経突起伸長促進剤。
    a) インテグリンαLの細胞外ドメイン、又はインテグリンαLの細胞外ドメインのアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドと、
    インテグリンβ2の細胞外ドメイン、又はインテグリンβ2の細胞外ドメインのアミノ酸配列と90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなるポリペプチドとから構成され、かつ神経突起伸長促進活性を有するヘテロダイマー
    b) a)のヘテロダイマーにおいて一方又は両方のポリペプチドに他のペプチドが融合されてなる、神経突起伸長促進活性を有するヘテロダイマー
  3. インテグリンαLの細胞外ドメインのアミノ酸配列が、配列番号5又は6に示されるアミノ酸配列である、請求項1又は2に記載の神経突起伸長促進剤。
  4. インテグリンβ2の細胞外ドメインのアミノ酸配列が、配列番号7又は8に示されるアミノ酸配列である、請求項1~3のいずれか一項に記載の神経突起伸長促進剤。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の神経突起伸長促進剤を含む、神経再生誘導用医薬組成物。
  6. 前記少なくとも1つのヘテロダイマーが生体適合性医療材料に保持された形態である、請求項5に記載の神経再生誘導用医薬組成物。
  7. シュワン細胞におけるリンパ球機能関連抗原1の発現を増強する活性を指標とした、被験物質の神経突起伸長促進活性を評価する方法。

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