関連出願
本出願は英国特許出願GB 0126157.7号(2001年10月31日出願)に関連する(また、法により許される場合には、その優先権を主張する)。該英国出願の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は一般に、骨疾患の処置のための治療化合物の分野に関し、より特定すれば、アルカンジオール誘導体、特に破骨細胞の生存、生成、および/もしくは活性を阻害し、そして/または骨吸収を阻害するものに関する。本発明はまた、それらの化合物を含む医薬組成物に関し、更に、in vitroおよびin vivoでそれらの化合物および組成物を使用して破骨細胞の生存、生成、および/または活性を阻害し、そして、破骨細胞が仲介する、および/もしくは骨吸収を特徴とする症状(例えば骨粗鬆症、慢性関節リウマチ、癌関連骨疾患、パジェット病など);および/または炎症もしくは免疫系の活性化を伴う症状を阻害することに関する。
本明細書(上記の特許請求の範囲を含む)の全体を通して、特に状況的に必要とされない限り、「含む」という言葉、および「含んで」のようなその変化形は、理解されるように、記載する整数もしくは段階、または整数もしくは段階の群を含むことを意味するが、他の整数もしくは段階、または整数もしくは段階の群を除外することを意味するものではない。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形の記載は、特に明記しない限り、複数の指示物を含むことに留意しなければならない。従って、例えば「医薬担体」という記載は、2つ以上のそれらの担体の混合物などを含む。
本明細書において多くの場合、範囲は、「約」(ある特定値)から、および/または、「約」(別の特定値)まで、で表す。それらの範囲を表す場合、別の実施形態は、(ある特定値)から、および/または(他の特定値)まで、を含む。同様に、値を「約」という先行詞を使用して近似値で表す場合、理解されるように、特定の値は別の実施形態をなす。
骨の機能
骨の機能は、関節、腱、および靱帯の機械的サポートの提供、損傷からの生体器官の保護、および正常な無機質ホメオスタシスの保持におけるカルシウムおよびリンのレザバーとしての作用である。骨の疾患はこれらの機能を損い、骨痛、骨変形、骨折、そしてカルシウムおよびリンのホメオスタシスの異常を引き起こす。
骨のタイプ
正常な骨格は以下の2つのタイプの骨を含有する:皮質骨または緻密骨(大腿骨および脛骨のような長骨の幹(骨幹)のほとんどを構成する)、および骨梁骨または海綿骨(椎体および長骨の末端のほとんどを構成する)。
骨梁骨は皮質骨より広い表面積を有し、このため、より迅速に再形成される。これは骨交替の増加を伴う症状が皮質骨より骨梁骨に、より迅速かつ重度に影響を及ぼす傾向があることを意味する。皮質骨はいわゆるハヴァーズ系に配置されており、この系は血管を含む中心管を取り巻く一連のコラーゲン線維の同心円状骨層からなる。栄養素は、骨基質内に深く埋在する骨細胞と骨表面上の被覆細胞(lining cells)の間をめぐる小管の相互連絡系によって、骨の中心部に到達する。骨梁骨は同様の構造を有するが、層板は皮質骨の場合のように同心円状ではなく、骨表面と平行に広がっている。
骨の組成
骨基質の有機成分は主にI型コラーゲンを含むが、これは巻き合わされて三重らせんとなった3つのタンパク質鎖から形成されるフィブリル状タンパク質である。I型コラーゲンには組織的なパラレルシート(層板)になった骨形成細胞(骨芽細胞)が積層しており、次いで、コラーゲン鎖が特殊な共有結合によって架橋構造を形成し、これが骨に抗張力を与える助けとなっている。骨が迅速に形成される場合(例えばパジェット病、または骨転移)、層板は病的に積層し、機械的に脆弱で容易に骨折する「網状骨」を生成させる。骨基質は少量の他のコラーゲン、並びにいくつかの非コラーゲンタンパク質および糖タンパク質も含有する。これらの中には、例えばオステオカルシンのように骨に特異的なものもあれば、例えばオステオポンチンおよびフィブロネクチン、および種々のペプチド成長因子のように、他の結合組織にも見られるものもある。非コラーゲン骨タンパク質の機能は明かではないが、骨形成過程における骨基質への骨細胞の結合の仲介および骨細胞活性の調節に関与すると考えられている。骨の有機成分は無機質化が起こる際の骨組みを形成する。骨形成の際、骨芽細胞は上記の成分および少量の他のタンパク質を含有する非石灰化骨基質(類骨)に積層するが、これらは細胞外液から吸収される。約10日間の誘導期の後、ヒドロキシアパタイト((Ca10(PO4)6(OH)2)結晶がコラーゲンフィブリル間の空隙に沈着することによって、基質は無機質化する。無機質化は骨に機械的硬性(抗張力を補足する)、および骨コラーゲン由来の弾性を与える。
骨細胞機能および骨リモデリング
骨格の機械的完全性(integrity)は、損傷した骨を新しい骨と置き換えることができるように生涯にわたって起こる、骨の再形成過程によって保持される。再形成は4つの相、すなわち吸収、逆転、形成、および休止に分類できる(例えばRaisz, 1988;Mundy, 1996参照)。一度に、成人骨格の骨表面の約10%が活動的に再構築され、残りの90%が休止している。
破骨細胞の生成および分化
リモデリングは、吸収されるべき部位への骨吸収細胞(破骨細胞)の誘引で始まる。これらは酵素、酒石酸耐性酸ホスファターゼの含有量が多い多核食細胞であり、単球/マクロファージ系細胞から誘導される前駆体の融合によって生成される。最近の研究で、破骨細胞分化の調節において重要な鍵となるいくつかの分子が同定されている(例えばRalston, 1997参照)。転写因子PU-1は初期の破骨細胞前駆体で発現されるが、これは破骨細胞および単球の分化の初期段階に必要であり、一方、c-fosおよびNFkBを含む他の転写因子は委任された前駆体(committed precursors)の成熟破骨細胞への分化の刺激において本質的な役割を果たす。また、破骨細胞の生成および活性化は破骨細胞前駆体と骨髄間質細胞間の密な接触に依存する。間質細胞はサイトカインM-CSF(マクロファージコロニー刺激因子)を分泌するが、これは破骨細胞およびマクロファージの両方が共通の前駆体から分化するのに必須である。また、間質細胞は細胞表面上のRANKリガンド(RANKL)と呼ばれる分子を発現し、これはRANK((Receptor Activator of Nuclear Factor Kappa B(核因子κBの受容体活性化物質))と呼ばれる破骨細胞前駆体上に存在する別の細胞表面受容体と相互作用して、破骨細胞前駆体から成熟破骨細胞への分化を促進する。RANK-RANKL相互作用はオステオプロテゲリン(OPG)と呼ばれる別の分子で阻害されるが、これはRANKの「おとり(decoy)」リガンドであり、破骨細胞生成の有効な阻害剤として作用する(例えばKong ら, 1999;Yasuda ら, 1998参照)。最近の研究で示唆されているところによれば、破骨細胞の生成および骨吸収を促進する多くの因子は、これらの分子の発現を調節することによってそれを行っている。
成熟破骨細胞は、骨表面上に密着し、「波状縁(ruffled border)」を通して塩酸およびタンパク分解酵素を破骨細胞下の空隙(ハウシップ窩)に分泌することによって骨を吸収する。この波状縁の生成はc-src(細胞膜に関係するシグナリングタンパク質)の存在に強く依存する。破骨細胞から分泌される塩酸はヒドロキシアパタイトを溶解し、これによってタンパク分解酵素(主にカテプシンKおよび基質メタロプロティナーゼ)によるコラーゲンおよび他の基質タンパク質の分解が可能となる。破骨細胞活性の調節に重要であることが確認されている分子には以下がある:炭酸脱水酵素II(Ca-II)(破骨細胞内での水素イオンの生成を触媒する);TCIRG1(破骨細胞プロトンポンプのサブユニットをコードする);およびカテプシンK(コラーゲンおよび他の非コラーゲンタンパク質を分解する)。これらのタンパク質が欠乏すると大理石骨病(骨密度の上昇および破骨細胞機能不全を伴う疾患)が起こる。吸収が完了すると、破骨細胞はいわゆる逆転期において、プログラム細胞死(アポトーシス)を起こし、これが骨形成の開始の前触れとなる。最近、骨吸収を阻害するために臨床的に使用される多くの薬剤(例えばビスホスホネートおよびエストロゲン)は、破骨細胞のアポトーシスを促進することによってそれを行っていることが発見された(例えばHughes ら, 1997参照)。
骨芽細胞の生成と分化
骨形成は骨芽細胞前駆体(骨髄中の間葉幹細胞から誘導される)の骨表面への誘引で開始される。これらの細胞は多くの型の細胞(脂肪細胞、筋細胞、および軟骨細胞を含む)へ分化する可能性があるが、骨芽細胞分化の重要な引き金は前骨芽細胞におけるCbfa1と呼ばれる調節分子の発現であることが、現在知られている(例えばRodan ら, 1997参照)。Cbfa1は骨芽細胞の表現型(例えばオステオカルシン、I型コラーゲン、およびアルカリホスファターゼ)に特徴的な遺伝子の協調発現(co-ordinated expression)を活性化する転写因子である。これに対して転写因子PPARgの発現は、細胞を脂肪細胞分化の方へ促進する。現在のところ、骨粗鬆症の症例のいくつかは、骨における骨芽細胞と脂肪細胞の分化の比率の平衡異常によって起こりうると考えられている。成熟骨芽細胞はふくよかな(plump)立方細胞であり、骨基質の生成に関与する。それらは酵素、アルカリホスファターゼ、およびタンパク質、オステオカルシンの含量が高く、臨床では骨芽細胞活性の血清マーカーとして使用される。骨芽細胞は骨基質に積層し、これは初め無機質化されていないが(類骨)、その後約10日後に石灰化されて成熟骨となる。骨形成の際、骨芽細胞の中には基質内に捕捉されて骨細胞へ分化するものもあれば、骨表面を覆う平らな「被覆細胞(lining cells)」に分化するものもある。骨細胞は、骨基質の小管系をめぐる細胞質内過程の複雑なネットワークによって、互いに、また、骨表面上の被覆細胞と結合する。骨細胞は骨格における機械的な引っ張りのセンサーとして作用し、近隣の骨細胞の機能を調節するシグナリング分子(例えばプロスタグランジンおよび酸化窒素(NO))を放出する。
骨リモデリングの調節
骨リモデリングは非常に組織化された過程であるが、いつどこでリモデリングが起こるかを決定する機構は十分理解されていない。機械的刺激および微小損傷部分は、正常な骨格においてリモデリングが起こる部位の決定に重要であると考えられる。骨リモデリングの増加は、炎症性疾患におけるインターロイキン-1および腫瘍壊死因子のような炎症性サイトカインの局所的または全身性放出に起因しうる。カルシウム向性(calciotropic)ホルモン、例えば副甲状腺ホルモン(PTH)および1,25-ジヒドロキシビタミンDは共に作用して、全身の骨リモデリングを増加し、これによって骨格カルシウムを血漿カルシウムホメオスタシスの保持に動員することが可能となる。骨リモデリングは他のホルモン、例えば甲状腺ホルモンおよび成長ホルモンによっても増加するが、エストロゲン、アンドロゲン、およびカルシトニンによって抑制される。
一般的な骨疾患
骨粗鬆症は骨密度の低下、骨組織の劣化、および骨折リスクの増加を特徴とする一般的な疾患である。多くの因子が骨粗鬆症の病因に関与しており、それらには不十分な摂食、運動の不足、喫煙、および過剰なアルコール摂取がある。骨粗鬆症は炎症性疾患(例えば慢性関節リウマチ)、内分泌性疾患(例えば甲状腺中毒症)、およびある種の薬物治療(例えばグルココルチコイド)に関連しても起こりうる。しかしながら、骨粗鬆症の病因論における最も重要な因子の一つは遺伝である。
骨のパジェット病は原因が知られていない一般的な症状であり、破骨細胞および骨芽細胞活性が増加した部分を伴う、骨の代謝回転(turnover)の増加および異常な骨リモデリングを特徴とする。パジェット病の骨は多くの場合正常より密度が高く、異常な構築によって骨が機械的に脆弱になり、骨奇形および病的骨折の罹病性が増加する。
多発性骨髄腫は形質細胞の癌である。他のほとんどの血液学的悪性病変と異なり、腫瘍細胞は血液中を循環せずに骨髄に蓄積し、そこで高レベルのサイトカインを生成させ、これは破骨細胞の骨吸収を活性化する(例えばインターロイキン-6)。疾患は血液癌の約20%を占め、主に高齢者の疾患である。
骨吸収阻害剤
いくつかの一般的な疾患、例えば骨粗鬆症および慢性関節リウマチは、破骨細胞による過剰な骨吸収を原因とする骨の損失を特徴とする。現在、これらの疾患において破骨細胞活性を抑制するのに使用される薬剤の最も一般的に使用される型は、ビスホスホネート(BP)および非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)である。
ビスホスホネート(ジホスホネートとしても知られる)は、過剰な骨の破壊および吸収に関与する骨疾患(例えばパジェット病、腫瘍関連骨溶解、および閉経後骨粗鬆症)の治療に使用される、重要な種類の薬剤である。ビスホスホネートは天然に存在するピロリン酸の構造類似体である。ピロリン酸は酸素原子によって結合する2つのリン酸基から成るのに対し(P-O-P)、ビスホスホネートは炭素原子によって結合する2つのリン酸基を有する(P-C-P)。これによってビスホスホネートは非常に安定となり、分解耐性となる。更に、ピロリン酸と同様に、ビスホスホネートはカルシウムに対して非常に高い親和性を有し、そのためin vivoにおいて骨無機質を標的とする。2つのリン酸基を結合させる炭素原子はそれに結合する2つの側鎖を有し、これは構造中で変更できる。これによって種々の抗吸収能を有する多数のビスホスホネート化合物が生じる。骨吸収には高度に特殊化した多核破骨細胞が仲介する。ビスホスホネート剤はこれらの細胞の活性および生存を特異的に阻害する。まず、静脈または経口投与後、ビスホスホネートは循環中から迅速に排出され、骨無機質に結合する。その後、無機質は破骨細胞によって吸収および分解されるので、薬剤が骨無機質から放出され、破骨細胞によって内在化されると考えられる。薬剤の細胞内蓄積は(おそらくはシグナル変換経路または細胞代謝に干渉することによって)細胞の骨吸収能力を阻害し、破骨細胞のアポトーシスを引き起こす。
NSAIDは炎症性疾患の治療に広く使用されるが、多くの場合、重度の胃腸(GI)副作用を誘引する。Nicox SA(Sophia Antipolis, フランス)が開発した、酸化窒素ドナー基(NO-NSAID)を含有するNSAIDは、GI副作用を起こさずに抗炎症性を示す。それらの化合物の例はHCT 1026であり、これはNSAIDフルルビプロフェンのニトロシル化誘導体である(例えばArmourら, 2001参照)。
例えば以下の利点を1つ以上提供する、これらおよび他の骨関連疾患のための、より多くの、より優れた治療が必要とされている:
(a)改善された活性;
(b)改善された有効性;
(c)改善された特異性;
(d)より低い毒性(例えば細胞障害性);
(e)他の治療(例えば化学療法薬)の活性の補足;
(f)望ましくない副作用の強度がより低いこと;
(g)望ましくない副作用がより少ないこと;
(h)より簡便な投与法(例えば経路、タイミング、コンプライアンス);
(i)必要投与量の低下;
(j)必要投与頻度の低下;
(k)合成、精製、取り扱い、保存などがより容易なこと;
(l)合成、精製、取り扱い、保存などがより低コストなこと。
従って、本発明の1つの目的は、上記の利点を1つ以上提供する活性化合物の提供である。
発明の概要
本発明の一態様は、in vitroまたはin vivoにおける破骨細胞の生存、生成、および活性を阻害する方法に関し、方法は破骨細胞を有効量のここに記載する活性化合物と接触させることを含む。
本発明の別の態様は、in vitroまたはin vivoにおける骨吸収を阻害する方法に関し、方法は骨の微小環境(microenvironment)中の細胞を治療上有効な量のここに記載する活性化合物と接触させることを含む。
本発明の別の態様は、ここに記載するような、破骨細胞が仲介し、そして/または骨吸収を特徴とする症状の処置方法に関し、方法は該症状に罹患した被験動物に治療上有効な量のここに記載する活性化合物を、好ましくは医薬組成物の形態で、投与することを含む。
本発明の別の態様は、ここに記載するような、炎症または免疫系の活性化に関係する症状の処置方法に関し、方法は該症状に罹患した被験動物に治療上有効な量のここに記載する活性化合物を、好ましくは医薬組成物の形態で、投与することを含む。
本発明の別の態様は、ここに記載するような、破骨細胞が仲介する、そして/または骨吸収を特徴とする症状の処置に使用する医薬品の製造のための、ここに記載する活性化合物の使用に関する。
本発明の別の態様は、ここに記載するような破骨細胞が仲介する症状の処置に使用する医薬品の製造のための、ここに記載する活性化合物の使用に関する。
本発明の別の態様は、ここに記載するような骨吸収を特徴とする症状の処置に使用する医薬品の製造のための、ここに記載する活性化合物の使用に関する。
本発明の別の態様は、骨粗鬆症、慢性関節リウマチ、癌関連骨疾患、またはパジェット病の処置に使用する医薬品の製造のための、ここに記載する活性化合物の使用に関する。
本発明の別の態様は、ここに記載するような炎症または免疫系の活性化に関係する症状の処置に使用する医薬品の製造のための、ここに記載する活性化合物の使用に関する。
本発明の別の態様は、ヒトまたは動物の処置方法に使用するための、ここに記載する活性化合物に関する。
本発明の別の態様は、ヒトまたは動物の、ここに記載するような、破骨細胞が仲介する、そして/または骨吸収を特徴とする症状の処置方法に使用するための、ここに記載する活性化合物に関する。
本発明の別の態様は、ヒトまたは動物の、ここに記載するような破骨細胞が仲介する症状の処置方法に使用するための、ここに記載する活性化合物に関する。
本発明の別の態様は、ヒトまたは動物の、ここに記載するような骨吸収を特徴とする症状の処置方法に使用するための、ここに記載する活性化合物に関する。
本発明の別の態様は、ヒトまたは動物の、骨粗鬆症、慢性関節リウマチ、癌関連骨疾患、またはパジェット病の処置方法に使用するための、ここに記載する活性化合物に関する。
本発明の別の態様は、ヒトまたは動物の、ここに記載するような炎症または免疫系の活性化に関係する症状の処置方法に使用するための、ここに記載する活性化合物に関する。
本発明の別の態様は、ここに記載するような活性化合物、特にある種のアルカンジオール誘導体(例えばアルカンジオールのエステル)に関する。
本発明の別の態様は、ここに記載する活性化合物および薬学上許容し得る担体または希釈剤を含む組成物に関する。
本発明の別の態様は、以下を含むキットに関する:(a)ここに記載する活性化合物で、好ましくは医薬組成物として好適な容器および/または好適なパッケージに入れたもの;および(b)例えば活性化合物の投与の仕方について書かれた、使用説明書。
本発明の別の態様は、ここに記載する合成法、またはここに記載する合成法を含む方法によって得ることができる化合物に関する。
本発明の別の態様は、ここに記載する合成法、またはここに記載する合成法を含む方法によって得られた化合物に関する。
本発明の別の態様は、ここに記載する合成法に使用するのに好適な、ここに記載する新規の中間体に関する。
本発明の別の態様は、ここに記載する合成法における、ここに記載するそれら新規の中間体の使用に関する。
当業者に認識されるように、本発明の一態様の特徴および好ましい実施形態は本発明の他の態様にも関する。
本発明の一態様は、アルカンジオール誘導体として記載し得る化合物、およびその驚くべき意外な破骨細胞阻害および吸収阻害効果に関する。
アルカンジオール誘導体
本発明の一態様は、上記のアルカンジオールの誘導体(すなわちアルカンジオール誘導体)と記載してもよく、以下の式を有する化合物:
[式中、
AはC2-10アルキレン基であり;
R1は独立して第一のヒドロキシ保護基であり;そして
R2は独立して-Hまたは第二のヒドロキシ保護基である。]
および、薬学上許容し得るその塩、溶媒和物、アミド、エステル、エーテル、化学的に保護された形態、またはプロドラッグに関する。
一実施形態において、R2は-Hではなく、化合物はジ-保護されている。
一実施形態において、R2は-Hではなく、R1およびR2は同じである。
一実施形態において、R2は-Hではなく、R1およびR2は異なる。
一実施形態において、R
2は-Hであり、化合物はモノ-保護された化合物で、以下の式を有する:
アルカンジオール
本発明の化合物はアルカンジオール誘導体として記載することができる。この点で、アルカンジオールは以下の式を有する:
[式中、AはC2-10アルキレン基であり、場合により置換される。]
アルキレン基A
アルキレン基AはC2-10アルキレン基であり、場合により置換される。
本明細書で使用する「C2-10アルキレン」という用語は、2つの水素原子を除去することによって得られる二座(bidentate)部分に関し、2つの水素原子は2から10炭素原子を有する炭化水素化合物の同じ炭素原子から除去しても、または2つの異なる炭素原子のそれぞれ1つずつから除去してもよい。炭化水素化合物は脂肪族もしくは脂環式、またはそれらの組み合わせであってもよく、飽和、部分的不飽和、または完全不飽和であってもよい。接頭辞(すなわち「C2-10」)は部分中の炭素原子の数を示す。
一実施形態において、アルキレン基は未置換である。
一実施形態において、2つの水素原子が異なる炭素原子から除去されている。
一実施形態において、2つの水素原子が異なる炭素原子から除去されており、これらの炭素原子は隣接しない。
一実施形態において、アルキレン基はC3-10アルキレン基である。
一実施形態において、アルキレン基はC4-10アルキレン基である。
一実施形態において、アルキレン基はC2-8アルキレン基である。
一実施形態において、アルキレン基はC3-8アルキレン基である。
一実施形態において、アルキレン基はC4-8アルキレン基である。
一実施形態において、アルキレン基はC2-7アルキレン基である。
一実施形態において、アルキレン基はC3-7アルキレン基である。
一実施形態において、アルキレン基はC4-7アルキレン基である。
一実施形態において、アルキレン基はC2-6アルキレン基である。
一実施形態において、アルキレン基はC3-6アルキレン基である。
一実施形態において、アルキレン基はC4-6アルキレン基である。
一実施形態において、アルキレン基はC3アルキレン基である。
一実施形態において、アルキレン基はC4アルキレン基である。
一実施形態において、アルキレン基はC5アルキレン基である。
一実施形態において、アルキレン基はC6アルキレン基である。
一実施形態において、アルキレン基は脂肪族基である。
一実施形態において、アルキレン基は分枝鎖基である。
一実施形態において、アルキレン基は直鎖基である。
一実施形態において、アルキレン基は部分的不飽和脂肪族基である。
一実施形態において、アルキレン基は完全飽和脂肪族基である。
一実施形態において、アルキレン基は部分的不飽和分枝鎖基である。それらの基の例には、限定される訳ではないが、以下がある:
-C(Me)=CH-、-CH=C(Me)-、-C(Me)=C(Me)-、-C(Et)=CH-、-CH=C(Et)-、-C(Et)=C(Et)-、-C(Me)=CH-CH2-、-CH=C(Me)-CH2-、-CH=CH-CH(Me)-、-C(Et)=CH-CH2-、-CH=C(Et)-CH2-、-CH=CH-CH(Et)-、-C(Me)=CH-CH2CH2-、-CH=C(Me)-CH2CH2-、-CH=CH-CH(Me)CH2-、-C(Et)=CH-CH2CH2-、-CH=C(Et)-CH2CH2-、および-CH=CH-CH(Et)CH2-。
一実施形態において、アルキレン基は完全飽和分枝鎖基である。それらの基の例には、限定される訳ではないが、以下がある:
-CH(Me)-、-CH(Et)-、-CH(Me)CH2-、-CH(Et)CH2-、-CH2CH(Me)-、-CH2CH(Et)-、-CH(Me)CH2CH2-、-CH2CH(Me)CH2-、-CH2CH2CH(Me)-、-CH(Et)CH2CH2-、-CH2CH(Et)CH2-、-CH2CH2CH(Et)-、-CH(Me)CH2CH2CH2-、-CH2CH(Me)CH2CH2-、-CH(Et)CH2CH2CH2-、および-CH2CH(Et)CH2CH2-。
一実施形態において、アルキレン基は部分的不飽和直鎖基である。それらの基の例には、限定される訳ではないが、以下がある:
-CH=CH-(ビニレン)、-CH=CH-CH2-、-CH2-CH=CH-、-CH=CH-CH2-CH2-、-CH2-CH-CH=CH-、-CH=CH-CH=CH-、-CH=CH-CH2-CH2-CH2-、-CH=CH-CH=CH-CH2-、-CH=CH-CH2-CH=CH-、-CH=CH-CH=CH-CH2-CH2-、および-CH=CH-CH2-CH2-CH=CH-。
一実施形態において、アルキレン基は完全飽和直鎖基である。それらの基の例には、限定される訳ではないが、式-(CH2)n-(式中nは2から10の整数である)の基、例えば以下がある:
-(CH2)2-(エチレン)、-(CH2)3-(プロピレン)、-(CH2)4-(ブチレン)、-(CH2)5-(ペンチレン)、-(CH2)6-(ヘキシレン)、-(CH2)7-(へプチレン)、-(CH2)8-(オクチレン)、-(CH2)9-(ノニレン)、および-(CH2)10-(デシレン)。
一実施形態において、アルキレン基は-(CH2)n-(式中nは3〜10の整数である)である。
一実施形態において、アルキレン基は-(CH2)n-(式中nは4〜10の整数である)である。
一実施形態において、アルキレン基は-(CH2)n-(式中nは2〜8の整数である)である。
一実施形態において、アルキレン基は-(CH2)n-(式中nは3〜8の整数である)である。
一実施形態において、アルキレン基は-(CH2)n-(式中nは4〜8の整数である)である。
一実施形態において、アルキレン基は-(CH2)n-(式中nは2〜7の整数である)である。
一実施形態において、アルキレン基は-(CH2)n-(式中nは3〜7の整数である)である。
一実施形態において、アルキレン基は-(CH2)n-(式中nは4〜7の整数である)である。
一実施形態において、アルキレン基は-(CH2)n-(式中nは2〜6の整数である)である。
一実施形態において、アルキレン基は-(CH2)n-(式中nは3〜6の整数である)である。
一実施形態において、アルキレン基は-(CH2)n-(式中nは4〜6の整数である)である。
一実施形態において、アルキレン基は-(CH2)3-である。
一実施形態において、アルキレン基は-(CH2)4-である。
一実施形態において、アルキレン基は-(CH2)5-である。
一実施形態において、アルキレン基は-(CH2)6-である。
特に好ましい一実施形態において、アルキレン基は-(CH
2)
4-である。
一実施形態において、アルキレン基は、例えばハロゲン、ヒドロキシ、エーテル(例えばC1-7アルコキシ)、アミノ、及びアミドから選択される1以上の置換基で置換されている。
一実施形態において、アルキレン基は、例えば-F、-Cl、-Br、及び-Iから選択される1以上の置換基で置換されている。
一実施形態において、アルキレン基は、例えば1以上の-F基で置換されている。
アルカンジオールのヒドロキシ基-OH
アルカンジオールのヒドロキシ基-OHは、第一級、第二級、または第三級であってよい。
一実施形態において、ヒドロキシ基は第一級または第二級である。
一実施形態において、ヒドロキシ基の少なくとも1つが第一級ヒドロキシ基である。
一実施形態において、ヒドロキシ基のそれぞれが第一級ヒドロキシ基である。
一実施形態において、ヒドロキシ基はジェミナルではない。
一実施形態において、ヒドロキシ基はジェミナルでなく、ビシナルでない。
数種の好ましいアルカンジオール
一実施形態において、アルカンジオールは式HO-(CH
2)n-OHを有し、nは2から10の整数である。
一実施形態において、アルカンジオールは1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、または1,6-ヘキサンジオールである。
一実施形態において、アルカンジオールは1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、または1,6-ヘキサンジオールである。
一実施形態において、アルカンジオールは1,4-ブタンジオールまたは1,6-ヘキサンジオールである。
特に好ましい一実施形態において、アルカンジオールは1,4-ブタンジオールである。
ヒドロキシ保護基
いずれの特定の理論によっても拘束されることを望むものではないが、ヒドロキシ保護基(あるいは、このような基が2個ある場合、それらの一方若しくはそれぞれ)は、得られる化合物に1以上の有利な特性(例えば溶解性、親油性、ターゲッティング)を更に付与すると考えられる。
例えば、化合物は好ましくは関連する媒体(水、培地、生体内)に十分に可溶性であり、例えばその有益な治療的特性の実現を可能なものとし得る。従って、一実施形態において、ヒドロキシ保護基(あるいは、このような基が2個ある場合、それらの一方若しくはそれぞれ)は、得られる化合物が許容し得る溶解特性を有するように選択される。
同様に、化合物は好ましくは細胞膜、より具体的には治療が求められる細胞の膜、を容易に通過し得るものである。従って、一実施形態において、ヒドロキシ保護基(あるいは、このような基が2個ある場合、それらの一方若しくはそれぞれ)は、得られる化合物が細胞膜をより通過し易いように疎水性基であるか、またはこれを含むように選択される。
また、一実施形態において、化合物は骨及び/または骨環境を標的とする。従って一実施形態において、ヒドロキシ保護基(あるいは、このような基が2個ある場合、それらの一方若しくはそれぞれ)は骨ターゲッティング基であるか、またはこれを含むものが選択される。
本明細書において使用される用語「骨ターゲッティング基」は、骨及び/または骨環境に対する親和性を有し、化合物に結合した場合にターゲッティング部分として作用して、化合物の骨及び/または骨環境への送達を手助けするする化学的部分に関する。このような骨ターゲッティング基の例として、後述のホスホン酸基、及びその塩、エステル、及びアミドが挙げられる。
ヒドロキシ保護基としてのエステル
一実施形態において、ヒドロキシ保護基(あるいは、このような基が2個ある場合、それらの一方若しくはそれぞれ)はアシル基(すなわちRA-C(=O)-)であり、保護されたヒドロキシ基はエステル基(すなわちRA-C(=O)-O-)である。より具体的には、ヒドロキシ基はエステル基として保護される。
一実施形態において、R
2は-Hではなく、ヒドロキシ保護基のそれぞれは、同じでも異なっていてもよいアシル基(それぞれR
A1-C(=O)-及びR
A2-C(=O)-)であり、化合物は以下の式(本明細書中でアルカンジオールの「ジエステル」と呼ぶこともある)を有する。
一実施形態において、R2は-Hではなく、RA1及びRA2は同じである。
一実施形態において、R2は-Hではなく、RA1及びRA2は異なっている。
一実施形態において、R
2は-Hであり、ヒドロキシ保護基はアシル基(すなわちR
A1-C(=O)-)であり、化合物は以下の式(本明細書中でアルカンジオールの「モノエステル」と呼ぶこともある)を有する。
アシル基R A1 -C(=O)-及びR A2 -C(=O)-
一実施形態において、RA1は独立してC1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基であり、場合によって置換されている。そしてRA2は、存在する場合には、独立してC1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基であり、場合によって置換されている。
特に好ましい一実施形態において、RA1は独立してC3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基であり、場合によって置換されている。
特に好ましい一実施形態において、RA1は独立して、下記の場合によって置換されているC5-20アリール基である。
上記のように、部分RA1及びRA2の一方または双方は、得られる化合物が(a)改善された溶解性を有し、(b)細胞膜をより容易に通過することができ、または(c)骨ターゲッティング部分であるか、若しくはこれを含む、またはこれらの組み合わせであるように選択することができる。
場合により置換されるアリールとしてのR A1
一実施形態において、RA1(及び場合によってRA2も)は独立して、場合により置換されるC5-20アリール基である。
一実施形態において、RA1(及び場合によってRA2も)は独立して、場合により置換されるフェニル、ナフチル、ピリジル、フラニル、チオフラニル、インドリル、ピロリル、イミダゾリル、ナフチル、キノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチオフラニル、フルオレニル、アクリジニル、またはカルバゾリルである。
一実施形態において、RA1(及び場合によってRA2も)は独立して、場合により置換されるC5-6アリール基である。
一実施形態において、RA1(及び場合によってRA2も)は独立して、場合により置換されるフェニル、ピリジル、フラニル、チオフラニル、インドリル、ピロリル、またはイミダゾリルである。
場合により置換されるフェニルとしてのR A1
一実施形態において、R
A1(及び場合によってR
A2も)は独立して、以下の式の場合により置換されるフェニル基である。
[式中、それぞれのRPは独立してフェニル置換基であり、pは0から5の整数である。]
一実施形態において、pは0から4の整数である。
一実施形態において、pは0から3の整数である。
一実施形態において、pは0から2の整数である。
一実施形態において、pは0または1である。
場合により置換されるビフェニルとしてのR A1
一実施形態において、R
A1(及び場合によってR
A2も)は独立して、以下の式の場合により置換されるビフェニル基である。
[式中、それぞれのRPは独立してフェニル置換基であり、qは0から4の整数であり、そしてrは0から5の整数である。]
一実施形態において、qは0から3の整数である。
一実施形態において、qは0から2の整数である。
一実施形態において、qは0または1である。
一実施形態において、qは0である。
一実施形態において、rは0から4の整数である。
一実施形態において、rは0から3の整数である。
一実施形態において、rは0から2の整数である。
一実施形態において、rは0または1である。
一実施形態において、rは0である。
一実施形態において、qは0であり、R
A1(及び場合によってR
A2も)は、以下の式の場合により置換されるビフェニル基である。
場合により置換されるビフェニル-4-イルとしてのR A1
一実施形態において、R
A1(及び場合によってR
A2も)は、以下の式の場合により置換されるビフェニル-4-イル基である。
一実施形態において、R
A1(及び場合によってR
A2も)は、以下の式の場合により置換されるビフェニル-4-イル基である。
一実施形態において、R
A1(及び場合によってR
A2も)は、以下の式の場合により置換されるビフェニル-4-イル基である。
4'-置換ビフェニル-4-イルとしてのR A1
一実施形態において、R
A1(及び場合によってR
A2も)は、以下の式の置換されたビフェニル-4-イル基である。
[式中、sは0から4の整数である。]
一実施形態において、sは0から3の整数である。
一実施形態において、sは0から2の整数である。
一実施形態において、sは0または1である。
一実施形態において、sは0である。
一実施形態において、R
A1(及び場合によってR
A2も)は、以下の式の置換されたビフェニル-4-イル基である。
一実施形態において、R
A1(及び場合によってR
A2も)は、以下の式の置換されたビフェニル-4-イル基である。
一実施形態において、R
A1(及び場合によってR
A2も)は、以下の式の置換されたビフェニル-4-イル基である。
3'-置換ビフェニル-4-イルとしてのR A1
一実施形態において、R
A1(及び場合によってR
A2も)は、以下の式の置換されたビフェニル-4-イル基である。
一実施形態において、R
A1(及び場合によってR
A2も)は、以下の式の置換されたビフェニル-4-イル基である。
一実施形態において、R
A1(及び場合によってR
A2も)は、以下の式の置換されたビフェニル-4-イル基である。
一実施形態において、R
A1(及び場合によってR
A2も)は、以下の式の置換されたビフェニル-4-イル基である。
3',4'-二置換ビフェニル-4-イルとしてのR A1
一実施形態において、R
A1(及び場合によってR
A2も)は、以下の式の置換されたビフェニル-4-イル基である。
[式中、tは0から3の整数である。]
一実施形態において、tは0から2の整数である。
一実施形態において、tは0または1である。
一実施形態において、tは0である。
一実施形態において、R
A1(及び場合によってR
A2も)は、以下の式の置換されたビフェニル-4-イル基である。
一実施形態において、R
A1(及び場合によってR
A2も)は、以下の式の置換されたビフェニル-4-イル基である。
一実施形態において、R
A1(及び場合によってR
A2も)は、以下の式の置換されたビフェニル-4-イル基である。
2'-置換ビフェニル-4-イルとしてのR A1
一実施形態において、R
A1(及び場合によってR
A2も)は、以下の式の置換されたビフェニル-4-イル基である。
一実施形態において、R
A1(及び場合によってR
A2も)は、以下の式の置換されたビフェニル-4-イル基である。
一実施形態において、R
A1(及び場合によってR
A2も)は、以下の式の置換されたビフェニル-4-イル基である。
一実施形態において、R
A1(及び場合によってR
A2も)は、以下の式の置換されたビフェニル-4-イル基である。
2',4'-二置換ビフェニル-4-イルとしてのR A1
一実施形態において、R
A1(及び場合によってR
A2も)は、以下の式の置換されたビフェニル-4-イル基である。
一実施形態において、R
A1(及び場合によってR
A2も)は、以下の式の置換されたビフェニル-4-イル基である。
一実施形態において、R
A1(及び場合によってR
A2も)は、以下の式の置換されたビフェニル-4-イル基である。
一実施形態において、R
A1(及び場合によってR
A2も)は、以下の式の置換されたビフェニル-4-イル基である。
非置換のビフェニル-4-イルとしてのR A1
一実施形態において、R
A1(及び場合によってR
A2も)は、以下の式の置換されていないビフェニル-4-イル基である。
R
A2が-Hである、好ましいアルカンジオール誘導体のいくつかの例を以下に示す。
R
A2が-Hであり、アルカンジオールが1,4-ブタンジオールである、好ましいアルカンジオール誘導体のいくつかの例を以下に示す。
フェニル置換基R P
フェニル置換基RPの例としては、限定するものではないが、「置換基」の表題で以下に記載するものが挙げられる。
好ましいフェニル置換基RPのいくつかの例には、限定するものではないが、以下が挙げられる:
C1-7アルキル(場合により置換されたもの)(例えば非置換C1-7アルキル、C1-7ハロアルキル、C1-7ヒドロキシアルキル、C1-7カルボキシアルキル、C1-7アミノアルキル、C5-20アリール-C1-7アルキルを含む)、
C3-20ヘテロシクリル(場合により置換されたもの)、
C5-20アリール基(場合により置換されたもの)(例えばC5-20カーボアリール、C5-20ヘテロアリール、C1-7アルキル-C5-20アリール及びC5-20ハロアリールを含む)、
ハロ、
ヒドロキシ、
エーテル(例えばC1-7アルコキシ)、
アシル(例えばC1-7アルキルアシル、C5-20アリールアシル)、
カルボキシ、
エステル、
アシルオキシ、
オキシカルボニルオキシ、
アミド、
アシルアミド、
チオアミド、
テトラゾリル、
アミノ、
ニトロ、
シアノ、
スルフヒドリル、
チオエーテル(例えばC1-7アルキルチオ)、
スルホン酸、
スルホネート、及び
スルホンアミド。
一実施形態において、フェニル置換基RPは以下のものから選択される:
C1-7アルキル(場合により置換されたもの)、
C3-20ヘテロシクリル(場合により置換されたもの)、
C5-20アリール基(場合により置換されたもの)、
ハロ、
ヒドロキシ、
エーテル(例えばC1-7アルコキシ)、
アシル(例えばC1-7アルキルアシル、C5-20アリールアシル)、
カルボキシ、
エステル、
アシルオキシ、
アミド、
アシルアミド、
アミノ、
ニトロ、
シアノ、及び
スルホネート。
一実施形態において、フェニル置換基RPは以下のものから選択される:
-Me、-Et、-iPr、-nPr、-tBu、
-Ph、
-F、-Cl、-Br、-I、
-OH、
-OMe、-OEt、-O(iPr)、-O(nPr)、-O(tBu)、-OPh、-OBn、
-C(=O)OH、
-C(=O)OMe、-C(=O)OEt、-C(=O)O(tBu)、-C(=O)OPh、
-OC(C=O)Me、-OC(C=O)Et、-OC(C=O)(tBu)、-OC(C=O)Ph、
-OC(C=O)OMe、-OC(C=O)OEt、-OC(C=O)O(tBu)、-OC(C=O)OPh、
-C(=O)NH2、-C(=O)NHMe、-C(=O)NMe2、-C(=O)NHPh、
-NHC(=O)Me、-NHC(=O)Et、-NHC(=O)Ph、
-NH2、-NHMe、-NMe2、-NHEt、-NEt2、
-NO2、
-CN、及び
-S(=O)2OMe、-S(=O)2OEt、-S(=O)2OPh。
一実施形態において、フェニル置換基RPは、-Me、-F、-Cl、-Br、-I、-OH、-OMe、-NH2、-NMe2、-NO2、及び-CNから選択される。
一実施形態において、フェニル置換基RPは、-Me、-F、-Cl、-OH、-OMe、-NH2、-NMe2、-NO2、及び-CNから選択される。
一実施形態において、フェニル置換基RPは、-F、-Cl、-Br、-I、-NO2、及び-OHから選択される。
一実施形態において、フェニル置換基RPは、-F、-Cl、-Br、及び-I、-NO2から選択される。
一実施形態において、フェニル置換基RPは、-F、-Cl、-Br、-Iから選択される。
一実施形態において、フェニル置換基RPは、-F及び-Brから選択される。
一実施形態において、フェニル置換基RPは-Fである。
好ましいフルオロ-置換フェニルR A1 基の例
R
A1(及び場合によってR
A2も)として好適な置換フェニル基の例として、以下が挙げられる。
R
A1(及び場合によってR
A2も)として好適な特に好ましい置換フェニル基の一つは以下のものである。
好ましい置換ビフェニル-4-イルR A1 基の例
R
A1(及び場合によってR
A2も)として好適な置換ビフェニル-4-イル基の例として、以下が挙げられる。
好ましいフルオロ-置換ビフェニル-4-イルR A1 基の例
R
A1(及び場合によってR
A2も)として好適な置換ビフェニル-4-イル基の例として、以下が挙げられる。
場合によって置換されるアリール-アルキルとしてのR A
一実施形態において、RA1単独、RA2単独、またはRA1及びRA2のそれぞれは場合によって置換されていてもよいC5-20アリール-C1-7アルキル基である。
一実施形態において、RA1単独、RA2単独、またはRA1及びRA2のそれぞれは場合によって置換されていてもよいC5-6アリール-C1-7アルキル基である。
一実施形態において、RA1単独、RA2単独、またはRA1及びRA2のそれぞれは場合によって置換されていてもよいC5-6アリール-C1-3アルキル基である。
このような基の例として、限定するものではないが、以下のものが挙げられる。
場合によって置換されるシクロアルキルを含むR A
一実施形態において、RA1単独、RA2単独、またはRA1及びRA2のそれぞれは場合によって置換されていてもよいC3-7シクロアルキル基であるか、またはこれを含む。
一実施形態において、RA1単独、RA2単独、またはRA1及びRA2のそれぞれは、場合によって置換されていてもよいC3-7シクロアルキル基、または場合によって置換されていてもよいC3-7シクロアルキル-C1-7アルキル基である。
このような基の例として、限定するものではないが、以下のものが挙げられる。
ホスホン酸基を含むR A2 :骨ターゲッティング部分
一実施形態において、RA2は独立してホスホン酸基であるか、またはこれを含む。
一実施形態において、RA2は独立して、ホスホン酸、及びその塩(例えばホスホネート)及びエステル(例えばホスホネートエステル)から選択されるホスホン酸基であるか、またはこれを含む。
いずれの特定の理論によっても拘束されることを望むものではないが、このような基は骨ターゲッティング部分として作用し、化合物の骨環境への送達を改善すると考えられる。
このような置換基の例を以下に示す。ホスホネートエステルの場合、基R
1及びR
2は独立してC
1-7アルキル、C
3-20ヘテロシクリル、またはC
5-20アリールであり、好ましくはC
1-7アルキルである。
基が(-1)または(-2)の電荷を有するホスホネートである場合、この基は適切な電荷を有する適切な数のカチオンと関係するであろう。適切なカチオンの例を以下に述べる。
従って、一実施形態において、RA2は、ビスホスホネート化合物に由来する置換されたC1-7アルキル基であるか、またはこれを含む。
骨粗鬆症、パジェット病、及び癌関連骨疾患の治療のために現在使用されているビスホスホネート化合物の例として、以下のものが挙げられる。
現在開発中のビスホスホネート化合物の例として、以下のものが挙げられる。
一実施形態において、RA2は、ホスホン酸、及びその塩(例えばホスホネート)及びエステル(例えばホスホネートエステル)から独立して選択される1以上の基で置換されるC1-7アルキル基であるか、またはこれを含む。
一実施形態において、RA2は、ホスホン酸、及びその塩(例えばホスホネート)及びエステル(例えばホスホネートエステル)から独立して選択される1つの基で置換されるC1-7アルキル基であるか、またはこれを含む。
一実施形態において、RA2は、ホスホン酸、及びその塩(例えばホスホネート)及びエステル(例えばホスホネートエステル)から独立して選択される2つの基で置換されるC1-7アルキル基であるか、またはこれを含む。
一実施形態において、RA2は、ビスホスホン酸基、またはその塩若しくはエステルで置換されるC1-7アルキル基であるか、またはこれを含む。
C1-7アルキル基は、場合によって更に1以上の他の基で置換されていてもよい。
一実施形態において、R
A2は独立して、以下の式のビスホスホン酸基、またはその塩若しくはエステルを含むC
1-7アルキル基であるか、またはこれを含む。
一実施形態において、R
A2は独立して以下の式の基、またはこれらの塩若しくはエステルから選択される基である。
一実施形態において、R
A2は独立して以下の式の基、またはその塩若しくはエステルである。
一実施形態において、R
A2は独立して以下の式の基、またはその塩若しくはエステルであり、式中R
BPはビスホスホネート置換基、例えば-H、-OH、-Cl、及びC
1-7アルキル(例えば非置換C
1-7アルキル、C
1-7ハロアルキル、C
1-7ヒドロキシアルキル、C
1-7アルコキシアルキル、C
1-7カルボキシアルキル、C
1-7アミノアルキル、C
5-20アリール-C
1-7アルキルを含む)である。
一実施形態において、R
A2は独立して以下の式の基、またはその塩若しくはエステルである。
一実施形態において、R
A2は独立して以下の式の基、またはその塩若しくはエステルである。
Ca 2+ 結合基を含むR A2 :骨ターゲッティング部分
一実施形態において、RA2は独立してCa2+結合基であるか、またはこれを含む。
本明細書において使用する用語「Ca2+結合基」は、1個以上のCa2+イオンに結合する(例えば複合体を形成する)部分に関する。いずれの特定の理論によっても拘束されることを望むものではないが、このようなCa2+結合基は骨ターゲッティング部分として作用し、化合物の骨環境への送達を改善すると考えられる。
Ca2+結合基の例としては、限定するものではないが、テトラサイクリン由来のものが挙げられる。
アルカンジオールの組み合わせの誘導体
一実施形態において、R1及びR2のいずれも-Hではなく、R1及びR2は異なり、そしてR1及びR2のそれぞれが独立して上記の(-Hでない)基である。このような化合物を便宜的に「非対称」化合物と呼ぶことができる。
一実施形態において、R1及びR2のいずれも-Hではなく、R1及びR2は異なり、R1は式-C(=O)RA1(式中RA1は上記の場合によって置換されていてもよいアリール基である)の基であり、R2は独立して上記の(-Hでない)基である。
一実施形態において、R1及びR2のいずれも-Hではなく、R1及びR2は異なり、R1は式-C(=O)RA1(式中RA1は上記の場合によって置換されていてもよいアリール基である)の基であり、R2は式-C(=O)RA2(式中RA2は上記の通りである(例えばC1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、またはC5-20アリール基であり、場合によって置換されている))の基である。
例えば、一実施形態において、R
A1は場合によって置換されていてもよいアリールであり、R
A2はC
1-7アルキル基である。このような実施形態の例は以下のものである。
一実施形態において、R1及びR2のいずれも-Hではなく、R1及びR2は異なり、R1は式-C(=O)RA1(式中RA1は上記の場合によって置換されていてもよいアリール基である)の基であり、R2は式-C(=O)RA2(式中RA2は骨ターゲッティング部分、例えば上記のホスホン酸基またはCa2+結合基を含む)の基である。
例えば、一実施形態において、化合物は以下の式を有するか、またはその塩若しくはエステルである。
アルカンジオールの他の誘導体
一実施形態において、化合物は、基-OR2が別の基で置き換わった他は本明細書に記載ものである。
従って、本明細書の一態様は以下の式を有する化合物:
[式中、R1及びAは上記したとおりであり、Jは独立して水素、ハロゲン、ニトロオキシ(-ONO2)、エーテル基(例えばC1-7アルコキシ)、(上記の)ホスホン酸基であるか若しくはこれを含む基、(上記の)Ca2+結合基であるか若しくはこれを含む基、から選択される。]
及びその薬学上許容し得る塩、溶媒和物、アミド、エステル、エーテル、化学的に保護された形態、またはプロドラッグに関する。
[式中、RA1、A及びJは上記した通りである]。
一実施形態において、Jは水素、ハロゲン、ニトロオキシ(-ONO2)及びC1-7アルコキシから選択される。
一実施形態において、Jは-H、-F、-Cl、-Br、-I、-ONO2、-OMe、及び-OEtから選択される。
一実施形態において、Jは-Hである。
一実施形態において、Jは-F、-Cl、-Br、及び-Iから選択される。
一実施形態において、Jは-ONO2である。
一実施形態において、JはC1-7アルコキシである。
一実施形態において、Jは-OMe及び-OEtから選択される。
一実施形態において、Jは(上記の)ホスホン酸基であるか、またはこれを含む基から選択される。
一実施形態において、Jは(上記の)Ca2+結合基であるか、またはこれを含む基から選択される。
特定の実施形態の例
本発明の個々の実施形態のあるものは以下の化合物を含む。
本発明の特に好ましい一実施形態は以下のものである。
本発明の特に好ましいもう一つの実施形態は以下のものである。
化学用語
本明細書で使用される「カルボ」、「カルビル」、「ヒドロカルボ」および「ヒドロカルビル」という用語は、炭素原子および水素原子のみを有する化合物および/または基に関する(ただし下記の「カルボサイクリック(炭素環)」を参照されたい)。
本明細書で使用される「ヘテロ」という用語は、少なくとも1つのヘテロ原子、たとえば多価ヘテロ原子(これは環のヘテロ原子としてもふさわしい)、その例としては、ホウ素、ケイ素、窒素、リン、酸素、硫黄、およびセレン(なかでも窒素、酸素および硫黄が一般的)、ならびに一価ヘテロ原子、たとえばフッ素、塩素、臭素およびヨウ素、を有する化合物および/または基に関する。
本明細書で使用される「飽和」という用語は、炭素-炭素二重結合もしくは炭素-炭素三重結合のまったくない化合物および/または基に関する。
本明細書で使用される「不飽和」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合もしくは炭素-炭素三重結合を有する化合物および/または基に関する。
本明細書で使用される「脂肪族」という用語は、直鎖状もしくは分岐状であるが、環状ではない化合物および/または基に関する(「非環式」もしくは「鎖式」の基としても知られている)。
本明細書で使用される「環」という用語は、共有結合した3から10個までの原子、より好ましくは3から8個までの原子、更に好ましくは5から6個までの原子からなる閉じた環に関する。環は脂環もしくは芳香環であっても良い。本明細書で使用される「脂環」という用語は、芳香環でない環に関する。
本明細書で使用される「炭素環」という用語は、環原子がすべて炭素原子である環に関する。
本明細書で使用される「複素環」という用語は、環原子の少なくとも1つが多価の環ヘテロ原子、たとえば窒素、リン、ケイ素、酸素もしくは硫黄、より一般的には窒素、酸素もしくは硫黄である環に関する。複素環は1から4個までのヘテロ原子を有することが好ましい。
本明細書で使用される「環状化合物」という用語は、少なくとも1つの環を有する化合物に関する。本明細書で使用される「シクリル」という用語は、環状化合物の環原子から1個の水素原子を除去することによって得られる一価の部分に関する。
環状化合物が2以上の環を有する場合、これらの環は縮合環(たとえば、ナフタレン)、架橋環(たとえば、ノルボルナン)、スピロ環(たとえば、スピロ[3,3]ヘプタン)もしくはそれらの組み合わせであり得る。1つの環を有する環状化合物を「単環式(monocyclic)」もしくは「単環式(mononuclear)」と称することができるのに対して、2以上の環を有する環状化合物を「多環式(polycyclic)」もしくは「多環式(polynuclear)」と称することができる。
本明細書で使用される「炭素環式化合物」という用語は、炭素環のみを有する環状化合物に関する。
本明細書で使用される「複素環式化合物」という用語は、少なくとも1つの複素環を有する環状化合物に関する。
本明細書で使用される「芳香族化合物」という用語は、少なくとも1つの芳香環を有する環状化合物に関する。
本明細書で使用される「炭素芳香族化合物」という用語は、炭素芳香環のみを有する環状化合物に関する。
本明細書で使用される「複素環式芳香族化合物」という用語は、少なくとも1つの芳香族複素環を有する環状化合物に関する。
本明細書で使用される「単座(monodentate)置換基」という用語は、1箇所の共有結合を有する置換基に関する。
本明細書で使用される「一価単座置換基」という用語は、単結合による1箇所の共有結合を有する置換基に関する。こうした置換基の例としては、ハロ、ヒドロキシ、およびアルキルがある。
本明細書で使用される「多価単座置換基」という用語は、1箇所の共有結合を有する置換基に関するが、二重結合もしくは三重結合を介する。こうした置換基の例には、オキソ、イミノ、アルキリデン、およびアルキリジンがある。
本明細書で使用される「二座(bidentate)置換基」という用語は、2箇所の共有結合を有し、2つの異なる部分の間を連結する基として機能する置換基に関する。こうした置換基の例としては、アルキレンおよびアリーレンが挙げられる。
置換基
本明細書で使用される「場合によって置換される」という語法は、置換されなくても良い、または置換されても良い、親基に関するものである。
特に明記しない限り、本明細書で使用される「置換された」という用語は、1または複数の置換基を有する親基に関する。「置換基」という用語は、本明細書では、従来どおりの意味で使用され、親基に共有結合する、付加する、または適切な場合、縮合する、化学的部分を指す。種々様々な置換基がよく知られており、そうした置換基を生成して様々な親基へ導入する方法も既知である。
以下にさらに詳細に置換基を説明する。
アルキル:本明細書で使用される「アルキル」という用語は、(特に明記しない限り)1から20個までの炭素原子を有する炭化水素化合物の炭素原子から1つの水素原子を除去することによって得られる一価の部分に関するが、この炭化水素化合物は脂肪族もしくは脂環式であって良く、および飽和、部分的に不飽和、もしくは完全に不飽和であって良い。したがって、「アルキル」という用語は、その下位分類である下記のアルケニル、アルキニル、シクロアルキルなどを包含するものである。
このような関連から、接頭辞(たとえば、C1-4、C1-7、C1-20、C2-7、C3-7など)は、炭素原子の数、または炭素原子数の範囲を示す。たとえば、本明細書で使用される「C1-4アルキル」という用語は、1から4個までの炭素原子を有するアルキル基に関する。アルキル基群の例としては、C1-4アルキル(「低級アルキル」)、C1-7アルキル、およびC1-20アルキルが挙げられる。
(非置換)飽和アルキル基の例には、メチル(C1)、エチル(C2)、プロピル(C3)、ブチル(C4)、ペンチル(C5)、ヘキシル(C6)、ヘプチル(C7)、オクチル(C8)、ノニル(C9)、デシル(C10)、n-ウンデシル(C11)、ドデシル(C12)、トリデシル(C13)、テトラデシル(C14)、ペンタデシル(C15)、およびエイコデシル(C20)があるが、これらに限定されない。
(非置換)飽和直鎖アルキル基の例としては、メチル(C1)、エチル(C2)、n-プロピル(C3)、n-ブチル(C4)、n-ペンチル(アミル)(C5)、n-ヘキシル(C6)、およびn-ヘプチル(C7)が挙げられるが、これらに限定されない。
(非置換)飽和分枝アルキル基の例には、イソプロピル(C3)、イソブチル(C4)、sec-ブチル(C4)、tert-ブチル(C4)、イソペンチル(C5)、およびネオペンチル(C5)があるが、これらに限定されない。
シクロアルキル:本明細書で使用される「シクロアルキル」という用語は、シクリル基でもあるアルキル基に関する;すなわち、環状炭化水素(炭素環)化合物の脂環原子から1つの水素原子を除去することによって得られる一価の部分であって、この部分は3から20個までの環原子を有する(特に明記しない限り)。1つの環は3から7個までの環原子を有することが望ましい。
(非置換)飽和シクロアルキル基の例としては、シクロプロパン(C3)、シクロブタン(C4)、シクロペンタン(C5)、シクロヘキサン(C6)、シクロヘプタン(C7)、ノルボルナン(C7)、ノルピナン(C7)、アダマンタン(C10)、およびデカリン(デカヒドロナフタレン)(C10)から誘導される基があるが、これらに限定されない。
(置換された)飽和シクロアルキル基は、本明細書では「アルキル−シクロアルキル」基とも称され、その例には、メチルシクロプロピル、ジメチルシクロプロピル、メチルシクロブチル、ジメチルシクロブチル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、およびジメチルシクロヘキシルがあるが、これらに限定されない。
(置換された)不飽和環状アルケニル基は、本明細書では「アルキル-シクロアルケニル」基とも称され、その例としては、メチルシクロプロペニル、ジメチルシクロプロペニル、メチルシクロブテニル、ジメチルシクロブテニル、メチルシクロペンテニル、ジメチルシクロペンテニル、メチルシクロヘキセニル、およびジメチルシクロヘキセニルが挙げられるが、これらに限定されない。
1または複数の他の環が親シクロアルキル基に縮合した(置換された)シクロアルキル基の例としては、インデン(C9)、インダン(たとえば、2,3-ジヒドロ-1H-インデン)(C9)、テトラリン(1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン)(C10)、フルオレン(C13)、フェナレン(C13)から誘導される基があるが、これらに限定されない。たとえば、2H-インデン-2-イルは、置換基(フェニル)が縮合したC5シクロアルキル基である。
アルケニル:本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、1または複数の炭素-炭素二重結合を有するアルキル基に関する。アルケニル基群の例としては、C2-4アルケニル、C2-7アルケニル、C2-20アルケニルがある。
(非置換)不飽和アルケニル基の例は、エテニル(ビニル、-CH=CH2)、1-プロペニル(-CH=CH-CH3)、2-プロペニル(アリル、-CH-CH=CH2)、イソプロペニル(-C(CH3)=CH2)、ブテニル(C4)、ペンテニル(C5)、およびヘキセニル(C6)を包含するが、これらに限定されない。
(非置換)不飽和環状アルケニル基は、本明細書では「シクロアルケニル」基とも称され、その例には、シクロプロペニル(C3)、シクロブテニル(C4)、シクロペンテニル(C5)、およびシクロヘキセニル(C6)があるがこれらに限定されない。
アルキニル:本明細書で使用される「アルキニル」という用語は、1または複数の炭素-炭素三重結合を有するアルキル基に関する。アルキニル基群の例としては、C2-4アルキニル、C2-7アルキニル、C2-20アルキニルがある。
(非置換)不飽和アルキニル基の例は、エチニル(ethynyl)(エチニル(ethinyl)、-C≡CH)および2-プロピニル(プロパルギル、-CH2-C≡CH)を包含するが、これらに限定されない。
アルキリデン:本明細書で使用される「アルキリデン」という用語は、(特に明記しない限り)1から20個までの炭素原子を有する炭化水素化合物の1つの炭素原子から2つの水素原子を除去することによって得られる二価単座部分に関する。ここで、この炭化水素化合物は、脂肪族もしくは脂環式、またはその組み合わせであって良く、飽和、部分飽和、完全不飽和であり得る。
アルキリデン基群の例には、C1-4アルキリデン、C1-7アルキリデン、C1-20アルキリデンが含まれる。
アルキリデン基の例は、メチリデン(=CH2)、エチリデン(=CH-CH3)、ビニリデン(=C=CH2)、およびイソプロピリデン(=C(CH3)2)を包含するが、これらに限定されない。
アルキリジン:本明細書で使用される「アルキリジン」という用語は、(特に明記しない限り)1から20個までの炭素原子を有する炭化水素化合物の1つの炭素原子から3つの水素原子を除去することによって得られる三価単座部分に関する。ここで、この炭化水素化合物は、脂肪族もしくは脂環式、またはその組み合わせであって、飽和、部分飽和、完全不飽和であり得る。
アルキリジン基群の例には、C1-4アルキリジン、C1-7アルキリジン、C1-20アルキリジンが含まれる。
アルキリジン基の例は、メチリジン(≡CH)およびエチリジン(≡C-CH3)を包含するがこれらに限定されない。
カルボシクリル:本明細書で使用される「カルボシクリル」という用語は、炭素環式化合物の環原子から1つの水素原子を除去することによって得られる一価部分に関する。ここで、この部分は、(特に明記しない限り)3から20個までの環原子を有する。望ましくは、1つの環は3から7個までの環原子を有する。
これに関連して、接頭辞(たとえば、C3-20、C3-7、C5-6など)は、環原子の数、もしくは環原子の数の範囲を示す。たとえば、本明細書で使用される「C5-6カルボシクリル」という用語は、5または6個の環原子を有するカルボシクリル基に関する。カルボシクリル基群の例としては、C3-10カルボシクリル、C5-10カルボシクリル、C3-7カルボシクリル、およびC5-7カルボシクリルが挙げられる。
カルボシクリル基の例は、上記のシクロアルキル基と称される基;下記のカルボアリール基と称される基、を包含するがこれらに限定されない。
ヘテロシクリル:本明細書で使用される「ヘテロシクリル」という用語は、複素環式化合物の環原子から1つの水素原子を除去することによって得られる一価部分に関する。ここで、この部分は(特に明記しない限り)3から20個の環原子を有するが、そのうち1から10個は環ヘテロ原子である。1つの環が3から7個の環原子を有し、そのうち1から4個が環ヘテロ原子であることが望ましい。
これに関連して、接頭辞(たとえば、C3-20、C3-7、C5-6など)は、炭素原子であろうとヘテロ原子であろうと、環原子の数、もしくは環原子の数の範囲を示す。たとえば、本明細書で使用される「C5-6ヘテロシクリル」という用語は、5または6個の環原子を有するヘテロシクリル基に関する。ヘテロシクリル基群の例としては、C3-20ヘテロシクリル、C3-7ヘテロシクリル、およびC5-7ヘテロシクリルが挙げられる。
(非芳香族)単環式ヘテロシクリル基の例は、下記から誘導される基を包含するがこれらに限定されない:
N1: アジリジン(C3)、アゼチジン(C4)、ピロリジン(テトラヒドロピロール)(C5)、ピロリン(たとえば、3-ピロリン、2,5-ジヒドロピロール)(C5)、2H-ピロールもしくは3H-ピロール(イソピロール、イソアゾール)(C5)、ピペリジン(C6)、ジヒドロピリジン(C6)、テトラヒドロピリジン(C6)、アゼピン(C7);
O1: オキシラン(C3)、オキセタン(C4)、オキソラン(テトラヒドロフラン)(C5)、オキソール(ジヒドロフラン)(C5)、オキサン(テトラヒドロピラン)(C6)、ジヒドロピラン(C6)、ピラン(C6)、オキセピン(C7);
S1: チイラン(C3)、チエタン(C4)、チオラン(テトラヒドロチオフェン)(C5)、チアン(テトラヒドロチオピラン)(C6)、チエパン(C7);
O2: ジオキソラン(C5)、ジオキサン(C6)、およびジオキセパン(C7);
O3: トリオキサン(C6);
N2: イミダゾリジン(C5)、ピラゾリジン(ジアゾリジン)(C5)、イミダゾリン(C5)、ピラゾリン(ジヒドロピラゾール)(C5)、ピペラジン(C6);
N1O1: テトラヒドロオキサゾール(C5)、ジヒドロオキサゾール(C5)、テトラヒドロイソオキサゾール(C5)、ジヒドロイソオキサゾール(C5)、モルホリン(C6)、テトラヒドロオキサジン(C6)、ジヒドロオキサジン(C6)、オキサジン(C6);
N1S1: チアゾリン(C5)、チアゾリジン(C5)、チオモルホリン(C6);
N2O1: オキサジアジン(C6);
O1S1: オキサチオール(C5)およびオキサチアン(チオキサン)(C6);ならびに、
N1O1S1: オキサチアジン(C6)。
置換された(非芳香族)単環式ヘテロシクリル基の例としては、環状の糖、たとえば、アラビノフラノース、リキソフラノース、リボフラノースおよびキシロフラノースといったフラノース類(C5)ならびに、アロピラノース、アルトロピラノース、グルコピラノース、マンノピラノース、グロピラノース、イドピラノース、ガラクトピラノースおよびタロピラノースといったピラノース類(C6)がある。
ヘテロアリール基でもあるヘテロシクリル基の例は、アリール基として下記に記載される。
アリール:本明細書で使用される「アリール」という用語は、芳香族化合物の1つの芳香環原子から1つの水素原子を除去することによって得られる、一価部分に関する。ここで、この部分は(特に明記しない限り)3から20個の環原子を有する。1つの環は5から7個の環原子を有することが好ましい。
これに関連して、接頭辞(たとえば、C3-20、C5-7、C5-6など)は、炭素原子であろうと、ヘテロ原子であろうと、環原子の数、もしくは環原子の数の範囲を示す。たとえば、本明細書で使用される「C5-6アリール」という用語は、5または6個の環原子を有するアリール基に関する。アリール基群の例としては、C3-20アリール、C3-12アリール、C5-12アリール、C5-7アリール、およびC5-6アリールがあげられる。
環原子は、「カルボアリール基」の場合のように、すべて炭素原子であり得る(たとえば、C5-20カルボアリール)。
カルボアリール基の例は、ベンゼン(C6)、ナフタレン(C10)、アズレン(C10)、アントラセン(C14)、フェナントレン(C14)、ナフタセン(C18)、およびピレン(C16)から誘導された基(すなわち、ベンゼンからはフェニル)を包含するがこれらに限定されない。
縮合環を含んでなるアリール基であって、その縮合環のうち少なくとも1つが芳香環であるアリール基の例は、インデン(C9)、イソインデン(C9)およびフルオレン(C13)から誘導される基を包含するがこれらに限定されない。
あるいはまた、環原子は、「ヘテロアリール基」の場合のように、1または複数のヘテロ原子を含めることができる(たとえば、C5-20ヘテロアリール)。
単環式ヘテロアリール基の例は、下記から誘導される基を包含するが、これらに限定されない:
N1:ピロール(アゾール)(C5)、ピリジン(アジン)(C6);
O1:フラン(オキソール)(C5);
S1:チオフェン(チオール)(C5);
N1O1:オキサゾール(C5)、イソオキサゾール(C5)、イソキサジン(C6);
N2O1:オキサジアゾール(フラザン)(C5);
N3O1:オキサトリアゾール(C5);
N1S1:チアゾール(C5)、イソチアゾール(C5);
N2:イミダゾール(1,3-ジアゾール)(C5)、ピラゾール(1,2-ジアゾール)(C5)、ピリダジン(1,2-ジアジン)(C6)、ピリミジン(1,3-ジアジン)(C6)(たとえば、シトシン、チミン、ウラシル)、ピラジン(1,4-ジアジン)(C6);
N3:トリアゾール(C5)、トリアジン(C6);および、
N4:テトラゾール(C5)。
縮合環を含んでなる複素環基(その一部はヘテロアリール基でもある)の例は、下記を包含するがこれらに限定されない:
ベンゾフラン(O1)、イソベンゾフラン(O1)、インドール(N1)、イソインドール(N1)、プリン(N4)(たとえば、アデニン、グアニン)、ベンゾイミダゾール(N2)、ベンゾオキサゾール(N1O1)、ベンゾイソオキサゾール(N1O1)、ベンゾジオキソール(O2)、ベンゾフラザン(N2O1)、ベンゾトリアゾール(N3)、ベンゾチオフラン(S1)、ベンゾチアゾール(N1S1)、ベンゾチアジアゾール(N2S1)から誘導される、C9複素環基(2個の縮合環を有する);
ベンゾジオキサン(O2)、キノリン(N1)、イソキノリン(N1)、ベンゾオキサジン(N1O1)、ベンゾジアジン(N2)、ピリドピリジン(N2)、キノキサリン(N2)、キナゾリン(N2)、フタラジン(N2)、プテリジン(N4)から誘導される、C10複素環基(2個の縮合環を有する);
カルバゾール(N1)、ジベンゾフラン(O1)、ジベンゾチオフェン(S1)から誘導される、C13複素環基(3個の縮合環を有する);および、
アクリジン(N1)、キサンテン(O1)、フェノキサチイン(O1S1)、フェナジン(N2)、フェノキサジン(N1O1)、フェノチアジン(N1S1)、チアントレン(S2)、フェナントリジン(N1)、フェナントロリン(N2)、フェナジン(N2)から誘導される、C14複素環基(3個の縮合環を有する)。
-NH-基の形で窒素の環原子を有する複素環基(ヘテロアリール基を包含する)をN置換、すなわち-NR-、であり得る。たとえば、ピロールをN-メチル置換として、N-メチルピロールを与えることができる。N-置換基の例はC1-7アルキル、C3-20ヘテロシクリル、C5-20アリールおよびアシル基を含めるがこれらに限定されない。
-N=基の形で窒素の環原子を有する複素環基(ヘテロアリール基を包含する)を置換してN-オキシド、すなわち-N(→O)=(-N+(→O-)=とも表記される)、の形であり得る。たとえば、キノリンを置換してキノリンN-オキシドに;ピリジンをピリジンN-オキシドに;ベンゾフラザンをベンゾフラザンN-オキシド(ベンゾフロキサンとも称される)にすることができる。
環基は、さらに、環の炭素原子に1または複数のオキソ(=O)基を有することができる。こうした基のうち単環式の例は、下記から誘導された基を包含するが、これらに限定されない:
C5:シクロペンタノン、シクロペンテノン、シクロペンタジエノン;
C6:シクロヘキサノン、シクロへキセノン、シクロヘキサジエノン;
O1:フラノン(C5)、ピロン(C6)、
N1:ピロリドン(ピロリジノン)(C5)、ピペリジノン(ピペリドン)(C6)、ピペリジンジオン(C6);
N2:イミダゾリドン(イミダゾリジノン)(C5)、ピラゾロン(ピラゾリノン)(C5)、ピペラジノン(C6)、ピペラジンジオン(C6)、ピリダジノン(C6)、ピリミジノン(C6)(たとえば、シトシン)、ピリミジンジオン(C6)(たとえば、チミン、ウラシル)、バルビツル酸(C6);
N1S1:チアゾロン(C5)、イソチアゾロン(C5);
N1O1:オキサゾリノン(C5)。
上記のような基のうち多環式の例としては、下記から誘導された基があるが、これらに限定されない:
C9:インデンジオン;
C10:テトラロン、デカロン;
N1:オキシンドール(C9);
O1:ベンゾピロン(たとえば、クマリン、イソクマリン、クロモン)(C10);
N1O1:ベンゾオキサゾリノン(C9)、ベンゾオキサゾリノン(C10);
N2:キナゾリンジオン(C10);
N4:プリノン(C9)(たとえば、グアニン)。
環の炭素原子に1または複数のオキソ(=O)基を有する環基の、このほかの例としては、下記から誘導された基が挙げられるが、これらに限定されない:
環状無水物(-C(=O)-O-C(=O)- を環に含む)、これは無水マレイン酸(C5)、無水コハク酸(C5)およびグルタル酸無水物(C6)を包含するがこれらに限定されない;
環状カーボネート(-O-C(=O)-O- を環に含む)、たとえば、炭酸エチレン(C5)および炭酸1,2-プロピレン(C5);
イミド(-C(=O)-NR-C(=O)- を環に含む)、これはスクシンイミド(C5)、マレイミド(C5)、フタルイミド、およびグルタルイミド(C6)を包含するがこれらに限定されない;
ラクトン(環状エステル、-O-C(=O)- を環に含む)、これはβ-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン(2-ピペリドン)、およびε-カプロラクトンを包含するがこれらに限定されない;
ラクタム(環状アミド、-NR-C(=O)-を環に含む)、これはβ-プロピオラクタム(C4)、γ-ブチロラクタム(2-ピロリドン)(C5)、δ-バレロラクタム(C6)、およびε-カプロラクタム(C7)を包含するがこれらに限定されない;
環状カルバメート(-O-C(=O)-NR- を環に含む)、たとえば、2-オキサゾリドン(C5);
環状尿素(-NR-C(=O)-NR- を環に含む)、たとえば、2-イミダゾリドン(C5)およびピリミジン-2,4-ジオン(たとえば、チミン、ウラシル)(C6)。
上記アルキル、アルキリデン、アルキリジン、ヘテロシクリル、およびアリール基は、単独であろうと別の置換基の一部であろうと、それ自身を状況に応じて1または複数の基で修飾することができるが、この基はさらにそれ自身、および下記の追加の置換基から選択される。
水素:-H。 ここで留意すべきは、ある特定の位置の置換基が水素である場合、便宜的に、その化合物はその位置で「置換されていない」と称することができるということである。
ハロゲン:-F, -Cl, -Br, および-I。
ヒドロキシ:-OH。
エーテル:-OR、ここで、Rはエーテル置換基、たとえばC1-7アルキル基(下記のC1-7アルコキシ基とも称される)、C3-20ヘテロシクリル基(C3-20ヘテロシクリルオキシ基とも称される)、もしくはC5-20アリール基(C5-20アリールオキシ基とも称される)であるが、望ましくはC1-7アルキル基である。
C1-7アルコキシ基:-OR、ここで、RはC1-7アルキル基である。C1-7アルコキシ基の例は、-OMe(メトキシ), -OEt(エトキシ), -O(nPr)(n-プロポキシ), -O(iPr)(イソプロポキシ), -O(nBu)(n-ブトキシ), -O(sBu)(sec-ブトキシ), -O(iBu)(イソブトキシ), -O(tBu)(tert-ブトキシ)を包含するがこれらに限定されない。
アセタール:-CH(OR1)(OR2)、ここで、R1およびR2はそれぞれに独自のアセタール置換基、たとえば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、 C1-7アルキル基が望ましい。あるいは、「環状」アセタール基の場合には、R1 および R2は、それらが結合している2つの酸素原子、およびそれらが結合している炭素原子とともに、4から8までの環原子を有する複素環を形成する。 アセタール基の例には-CH(OMe)2, -CH(OEt)2, および -CH(OMe)(OEt)があるがこれらに限定されない。
ヘミアセタール:-CH(OH)(OR1)、ここで、R1 は、ヘミアセタール置換基、たとえば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、C1-7アルキル基が望ましい。ヘミアセタール基の例には-CH(OH)(OMe) および-CH(OH)(OEt)があるがこれらに限定されない。
ケタール:-CR(OR1)(OR2)、ここで、R1 および R2 はアセタールについて定義されたとおりであって、R は水素以外のケタール置換基、たとえば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、C1-7アルキル基が望ましい。ケタール基の例は、-C(Me)(OMe)2、-C(Me)(OEt)2、-C(Me)(OMe)(OEt)、-C(Et)(OMe)2、-C(Et)(OEt)2、および-C(Et)(OMe)(OEt)を包含するがこれらに限定されない。
ヘミケタール:-CR(OH)(OR1)、ここで、R1はヘミアセタールに関して定義された通りであって、Rは、水素以外のヘミケタール置換基、たとえば、 C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、C1-7アルキル基が望ましい。ヘミケタール基の例は、-C(Me)(OH)(OMe)、-C(Et)(OH)(OMe)、-C(Me)(OH)(OEt)、および-C(Et)(OH)(OEt)を包含するがこれらに限定されない。
オキソ(ケト、-オン):=O
チオン(チオケトン):=S
イミノ(イミン):=NR、ここにおいて、R はイミノ置換基、たとえば、水素、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、水素もしくはC1-7アルキル基が望ましい。イミノ基の例には、=NH、=NMe、=Net、および=NPhがあるがこれらに限定されない。
ホルミル(カルバルデヒド、カルボキサルデヒド):-C(=O)H
アシル(ケト):-C(=O)R、ここにおいて、R はアシル置換基、たとえば、C1-7アルキル基(C1-7アルキルアシル、もしくはC1-7アルカノイルとも称される)、C3-20ヘテロシクリル基 (C3-20ヘテロシクリルアシルとも称される)、またはC5-20アリール基(C5-20アリールアシルとも称される)であるが、C1-7アルキル基が望ましい。アシル基の例は-C(=O)CH3 (アセチル)、-C(=O)CH2CH3 (プロピオニル)、-C(=O)C(CH3)3 (t-ブチリル)、および-C(=O)Ph (ベンゾイル、フェノン)を包含するがこれらに限定されない。
カルボキシ(カルボン酸):-C(=O)OH
チオカルボキシ(チオカルボン酸):-C(=S)SH
チオロカルボキシ(チオロカルボン酸):-C(=O)SH
チオノカルボキシ(チオノカルボン酸):-C(=S)OH
イミド酸:-C(=NH)OH
ヒドロキサム酸:-C(NOH)OH
エステル(カルボキシレート、カルボン酸エステル、オキシカルボニル):-C(=O)OR、ここにおいて、Rはエステル置換基、たとえば C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、C1-7アルキル基が望ましい。エステル基の例には、-C(=O)OCH3、-C(=O)OCH2CH3、-C(=O)OC(CH3)3、および -C(=O)OPhがあるが、これらに限定されない。
アシルオキシ(逆転エステル):-OC(=O)R、ここにおいて、Rはアシルオキシ置換基、たとえば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、C1-7アルキル基が望ましい。アシルオキシ基の例としては、-OC(=O)CH3 (アセトキシ)、-OC(=O)CH2CH3、-OC(=O)C(CH3)3、-OC(=O)Ph、および -OC(=O)CH2Phがあるが、これらに限定されない。
オキシカルボニルオキシ:-OC(=O)OR、ここで、Rは、エステル置換基、たとえば C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、C1-7アルキル基が望ましい。エステル基の例としては、-OC(=O)OCH3、-OC(=O)OCH2CH3、-OC(=O)OC(CH3)3、および -OC(=O)OPhがあるがこれらに限定されない。
アミド(カルバモイル、カルバミル、アミノカルボニル、カルボキサミド):-C(=O)NR1R2、ここにおいて、R1 および R2 は、アミノ基について定義されたように、それぞれ別個のアミノ置換基である。アミド基の例は、-C(=O)NH2、-C(=O)NHCH3、-C(=O)N(CH3)2、-C(=O)NHCH2CH3、および -C(=O)N(CH2CH3)2、ならびにR1 および R2が、それが結合している窒素原子とともに、たとえばピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、チオモルホリノカルボニル、およびピペラジノカルボニルのような複素環構造をとるアミド基を包含するが、これらに限定されない。
アシルアミド(アシルアミノ):-NR
1C(=O)R
2、ここにおいてR
1 はアミド置換基、たとえば水素、C
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基、もしくはC
5-20アリール基であるが、水素もしくはC
1-7アルキル基が望ましく、さらにR
2 はアシル置換基、たとえばC
1-7アルキル基、C
3-20ヘテロシクリル基、もしくはC
5-20アリール基であるが、水素もしくはC
1-7アルキル基が望ましい。アシルアミド基は、-NHC(=O)CH
3, -NHC(=O)CH
2CH
3, および -NHC(=O)Phを包含するがこれらに限定されない。R
1および R
2 は、たとえばスクシンイミジル、マレイミジル、およびフタルイミジルに見られるような環構造をともに形成することができる:
チオアミド(チオカルバミル):-C(=S)NR1R2、ここにおいて、R1 およびR2 は、アミノ基に関して定義されているように、それぞれ別個のアミノ置換基である。アミド基の例は、-C(=S)NH2, -C(=S)NHCH3, -C(=S)N(CH3)2, および -C(=S)NHCH2CH3を包含するがこれらに限定されない。
ウレイド:-N(R1)CONR2R3、ここで、R2 および R3 は、アミノ基について定義されているように、それぞれ別個のアミノ置換基であり、R1 はウレイド置換基、たとえば、水素、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、水素もしくはC1-7アルキル基が望ましい。ウレイド基の例には、-NHCONH2、-NHCONHMe、-NHCONHEt、-NHCONMe2、-NHCONEt2、-NMeCONH2、-NMeCONHMe、-NMeCONHEt、-NMeCONMe2、および -NMeCONEt2があるがこれらに限定されない。
グアニジノ:-NH-C(=NH)NH
2
テトラゾリル:4個の窒素原子および1個の炭素原子を有する5員環芳香環、
アミノ:-NR1R2、ここにおいて、R1 およびR2 はそれぞれ別個にアミノ置換基であって、たとえば、水素、C1-7アルキル基(C1-7アルキルアミノ、もしくはジ-C1-7アルキルアミノとも呼ばれる)、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、水素もしくはC1-7アルキル基が望ましい。あるいは、「環状」アミノ基の場合には、R1 および R2は、それが結合している窒素原子とともに、4から8までの環原子を有する複素環を形成する。アミノ基は、第一級(-NH2)、第二級(-NHR1)、もしくは第三級(-NHR1R2)であるが、カチオン型として、第四級(-+NR1R2R3)とすることもできる。 アミノ基の例は、 -NH2, -NHCH3, -NHC(CH3)2, -N(CH3)2, -N(CH2CH3)2, および -NHPhを包含するがこれらに限定されない。環状アミノ基の例としては、アジリジノ、アゼチジノ、ピロリジノ、ピペリジノ、ピペラジノ、モルホリノ、およびチオモルホリノがあるが、これらに限定されない。
アミジン(アミジノ):-C(=NR)NR2、ここにおいて、それぞれのRはアミジン置換基、たとえば、水素、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、水素もしくはC1-7アルキル基が望ましい。アミジン基の例には、-C(=NH)NH2, -C(=NH)NMe2, および -C(=NMe)NMe2があるが、これらに限定されない。
ニトロ:-NO2
ニトロソ:-NO
アジド:-N3
シアノ(ニトリル、カルボニトリル):-CN
イソシアノ:-NC
シアナト:-OCN
イソシアナト:-NCO
チオシアノ(チオシアナト):-SCN
イソチオシアノ(イソチオシアナト):-NCS
スルフヒドリル(チオール、メルカプト):-SH
チオエーテル(スルフィド):-SR、ここにおいて、Rは、チオエーテル置換基、たとえば、C1-7アルキル基(C1-7アルキルチオ基とも称される)、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、C1-7アルキル基が望ましい。C1-7アルキルチオ基の例は、-SCH3 および -SCH2CH3を包含するがこれらに限定されない。
ジスルフィド:-SS-R、ここにおいて、Rはジスルフィド置換基、たとえば、 C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、C1-7アルキル基(C1-7アルキルジスルフィドとも称される)が望ましい。C1-7アルキルジスルフィド基の例は、-SSCH3 および -SSCH2CH3を包含するがこれらに限定されない。
スルホン酸(スルホ):-S(=O)2OH, -SO3H
スルホネート(スルホン酸エステル):-S(=O)2OR、ここにおいて、Rは、スルホネート置換基、たとえば C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、C1-7アルキル基が望ましい。スルホネート基の例には、-S(=O)2OCH3 および -S(=O)2OCH2CH3があるが、これらに限定されない。
スルフィン酸:-S(=O)OH, -SO2H
スルフィネート(スルフィン酸エステル):-S(=O)OR、ここにおいて、Rは、スルフィネート置換基、たとえば C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、C1-7アルキル基が望ましい。スルフィネート基の例としては、-S(=O)OCH3 および -S(=O)OCH2CH3があるがこれらに限定されない。
硫酸エステル:-OS(=O)2OR、ここにおいて、Rは硫酸エステル置換基、たとえば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、C1-7アルキル基が望ましい。硫酸エステル基には、たとえば-OS(=O)2OCH3 および -SO(=O)2OCH2CH3があるが、これらに限定されない。
スルホン(スルホニル):-S(=O)2R、ここにおいて、Rはスルホン置換基、たとえば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、C1-7アルキル基、たとえば、フッ素化、もしくは全フッ素置換C1-7アルキル基が好ましい。スルホン基の例には、-S(=O)2CH3 (メタンスルホニル、メシル), -S(=O)2CF3 (トリフリル), -S(=O)2CH2CH3 (エシル), -S(=O)2C4F9 (ノナフリル), -S(=O)2CH2CF3 (トレシル), -S(=O)2Ph (フェニルスルホニル、ベシル), 4-メチルフェニルスルホニル (トシル), 4-クロロフェニルスルホニル (クロシル), 4-ブロモフェニルスルホニル (ブロシル), 4-ニトロフェニル(ノシル), 2-ナフタレンスルホネート (ナプシル), および 5-ジメチルアミノ-ナフタレン-1-イルスルホネート(ダンシル)があるが、これらに限定されない。
スルフィン(スルフィニル、スルフォキシド):-S(=O)R、ここにおいて、Rは、スルフィン置換基、たとえば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、C1-7アルキル基が望ましい。スルフィン基の例は、-S(=O)CH3 および -S(=O)CH2CH3を包含するがこれらに限定されない。
スルホニルオキシ:-OS(=O)2R、ここにおいて、Rは、スルホニルオキシ置換基、たとえば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、C1-7アルキル基が望ましい。スルホニルオキシ基の例は、-OS(=O)2CH3 (メシレート) および -OS(=O)2CH2CH3 (エシレート)を包含するがこれらに限定されない。
スルフィニルオキシ:-OS(=O)R、ここにおいて、Rはスルフィニルオキシ置換基、たとえば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、C1-7アルキル基が望ましい。スルフィニルオキシ基の例は、-OS(=O)CH3 および -OS(=O)CH2CH3を包含するがこれらに限定されない。
スルファミノ:-NR1S(=O)2OH、ここにおいて、R1 はアミノ置換基であって、アミノ基について定義されたとおりである。スルファミノ基の例は、-NHS(=O)2OH および -N(CH3)S(=O)2OHを包含するがこれらに限定されない。
スルホンアミノ:-NR1S(=O)2R、ここにおいてR1 は、アミノ基について定義されたように、アミノ置換基であって、R はスルホンアミノ置換基、たとえば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、C1-7アルキル基が望ましい。スルホンアミノ基の例は、-NHS(=O)2CH3 および -N(CH3)S(=O)2C6H5を包含するがこれらに限定されない。
スルフィンアミノ:-NR1S(=O)R、ここにおいて、R1 は、アミノ基について定義されたように、アミノ置換基であって、R はスルフィンアミノ置換基、たとえば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、C1-7アルキル基が望ましい。スルフィンアミノ基の例は、-NHS(=O)CH3 および -N(CH3)S(=O)C6H5を包含するがこれらに限定されない。
スルファミル:-S(=O)NR1R2、ここにおいて、R1 およびR2 はそれぞれ別個に、アミノ基について定義されたように、アミノ置換基である。スルファミル基の例は、-S(=O)NH2, -S(=O)NH(CH3), -S(=O)N(CH3)2, -S(=O)NH(CH2CH3), -S(=O)N(CH2CH3)2, および -S(=O)NHPhを包含するがこれらに限定されない。
スルホンアミド:-S(=O)2NR1R2、ここにおいて、 R1 およびR2 はそれぞれ別個に、アミノ基について定義されたように、アミノ置換基である。スルホンアミド基の例は、-S(=O)2NH2, -S(=O)2NH(CH3), -S(=O)2N(CH3)2, -S(=O)2NH(CH2CH3), -S(=O)2N(CH2CH3)2, および -S(=O)2NHPhを包含するがこれらに限定されない。
ホスフィノ(ホスフィン):-PR2、ここにおいてRはホスフィノ置換基であって、たとえば、-H、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、-H、C1-7アルキル基もしくはC5-20アリール基が望ましい。ホスフィノ基の例は、-PH2, -P(CH3)2, -P(CH2CH3)2, -P(t-Bu)2, および -P(Ph)2を包含するがこれらに限定されない。
ホスホ:-P(=O)2
ホスフィニル(ホスフィンオキシド):-P(=O)R2、ここにおいて、Rはホスフィニル置換基であって、たとえば、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、C1-7アルキル基もしくはC5-20アリール基が望ましい。ホスフィニル基の例は、-P(=O)(CH3)2, -P(=O)(CH2CH3)2, -P(=O)(t-Bu)2, および -P(=O)(Ph)2を包含するがこれらに限定されない。
ホスホン酸(ホスホノ):-P(=O)(OH)2
ホスホン酸エステル(ホスホノエステル):-P(=O)(OR)2、ここにおいてRは、ホスホン酸エステル置換基であって、たとえば、 -H、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、-H、C1-7アルキル基もしくはC5-20アリール基が望ましい。ホスホン酸エステル基の例は、-P(=O)(OCH3)2, -P(=O)(OCH2CH3)2, -P(=O)(O-t-Bu)2, および -P(=O)(OPh)2を包含するがこれらに限定されない。
リン酸(ホスホノオキシ):-OP(=O)(OH)2
リン酸エステル(ホスホノオキシエステル):-OP(=O)(OR)2、ここでRは、リン酸エステル置換基であって、たとえば-H、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、-H、C1-7アルキル基もしくはC5-20アリール基が望ましい。リン酸エステル基の例は、-OP(=O)(OCH3)2, -OP(=O)(OCH2CH3)2, -OP(=O)(O-t-Bu)2, および -OP(=O)(OPh)2を包含するがこれらに限定されない。
亜リン酸:-OP(OH)2
亜リン酸エステル:-OP(OR)2、ここでRは亜リン酸エステル置換基であって、たとえば、-H、C1-7アルキル基、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、-H、C1-7アルキル基もしくはC5-20アリール基が望ましい。亜リン酸エステル基の例は、-OP(OCH3)2, -OP(OCH2CH3)2, -OP(O-t-Bu)2, および -OP(OPh)2を包含するがこれらに限定されない。
亜ホスホルアミド酸エステル:-OP(OR1)-NR2 2、ここでR1 およびR2 は亜ホスホルアミド酸エステル置換基であって、たとえば、-H、C1-7アルキル基(場合によっては置換されていてもよい)、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、-H、C1-7アルキル基もしくはC5-20アリール基が望ましい。亜ホスホルアミド酸エステル基の例は、-OP(OCH2CH3)-N(CH3)2, -OP(OCH2CH3)-N(i-Pr)2, および -OP(OCH2CH2CN)-N(i-Pr)2を包含するがこれらに限定されない。
ホスホルアミド酸エステル:-OP(=O)(OR1)-NR2 2、ここでR1 およびR2 はホスホルアミド酸エステル置換基であって、たとえば、-H、C1-7アルキル基(場合によっては置換されていてもよい)、C3-20ヘテロシクリル基、もしくはC5-20アリール基であるが、-H、C1-7アルキル基もしくはC5-20アリール基が望ましい。ホスホルアミド酸エステル基の例は、-OP(=O)(OCH2CH3)-N(CH3)2、-OP(=O)(OCH2CH3)-N(i-Pr)2、および -OP(=O)(OCH2CH2CN)-N(i-Pr)2 を包含するがこれらに限定されない。
ほとんどの場合、置換基は、それ自身置換されていると考えられる。たとえば、C1-7アルキル基は、たとえば、ヒドロキシ(C1-7ヒドロキシアルキル基とも称される)、C1-7アルコキシ(C1-7アルコキシアルキル基とも呼ばれる)、アミノ(C1-7アミノアルキル基とも称される)、ハロ(C1-7ハロアルキル基とも称される)、カルボキシ(C1-7カルボキシアルキル基とも呼ばれる)、およびC5-20アリール(C5-20アリール-C1-7アルキル基とも言う)によって置換されると考えられる。
同様に、C5-20アリール基も、たとえば、ヒドロキシ(C5-20ヒドロキシアリール基とも称される)、ハロ(C5-20ハロアリール基とも呼ばれる)、アミノ(たとえばアニリンの場合のように、C5-20アミノアリール基とも称される)、C1-7アルキル(C1-7アルキル-C5-20アリール基とも呼ばれる、たとえばトルエンの場合のように)、およびC1-7アルコキシ(C1-7アルコキシ-C5-20アリール基とも称される、たとえばアニソールの場合のように)によって置換することができる。
このような置換された置換基に関する、上記の、および他の具体例を下記に示す。
C1-7ハロアルキル基:本明細書で使用される「C1-7ハロアルキル基」という用語は、少なくとも1つの水素原子(たとえば、1, 2, 3個)がハロゲン原子(たとえば、F, Ci, Br, I)で置換されたC1-7アルキル基に関するものである。2個以上の水素原子がハロゲン原子で置換された場合、そのハロゲン原子は相互に無関係で、同一でも異なっていてもよい。すべての水素原子をハロゲン原子で置換することができるが、その場合には当該の基を便宜的にC1-7ペルハロアルキル基と称することができる。C1-7ハロアルキル基には、たとえば、-CF3, -CHF2, -CH2F, -CCl3, -CBr3, -CH2CH2F, -CH2CHF2, および -CH2CF3があるがこれらに限定されない。
C1-7ハロアルコキシ:-OR、ここにおいてRは、C1-7ハロアルキル基である。C1-7ハロアルコキシ基の例は、-OCF3, -OCHF2, -OCH2F, -OCCl3, -OCBr3, -OCH2CH2F, -OCH2CHF2, および -OCH2CF3を包含するがこれらに限定されない。
C1-7ヒドロキシアルキル:本明細書で使用される「C1-7ヒドロキシアルキル基」という用語は、少なくとも1つの水素原子がヒドロキシ基で置換されたC1-7アルキル基に関するものである。C1-7ヒドロキシアルキル基の例は、-CH2OH, -CH2CH2OH, および -CH(OH)CH2OHを包含するがこれらに限定されない。
C1-7カルボキシアルキル:本明細書で使用される「C1-7カルボキシアルキル基」という用語は、少なくとも1つの水素原子がカルボキシ基で置換されたC1-7アルキル基に関するものである。C1-7カルボキシアルキル基の例は、-CH2COOH および -CH2CH2COOHを包含するがこれらに限定されない。
C1-7アミノアルキル:本明細書で使用される「C1-7アミノアルキル」という用語は、少なくとも1つの水素原子がアミノ基で置換されたC1-7アルキル基に関するものである。C1-7アミノアルキル基の例は-CH2NH2, -CH2CH2NH2, および -CH2CH2N(CH3)2を包含するがこれらに限定されない。
C1-7アミノアルキルアミノ:本明細書で使用される「C1-7アミノアルキルアミノ」という用語は、アミノ基、-NR1R2、に関するものであって、ここにおいて、置換基の1つであるR1 もしくは R2は、それ自身C1-7アミノアルキル基である(-C1-7アルキル-NR1R2)。C1-7アミノアルキルアミノは、たとえば、構造式 -NR1-C1-7アルキル-NR1R2によって表すことができる。アミノ-C1-7アルキルアミノ基の例は、構造式-NR1(CH2)nNR1R2(nは1から6まで)である基、たとえば、-NHCH2NH2, -NH(CH2)2NH2, -NH(CH2)3NH2, -NH(CH2)4NH2, -NH(CH2)5NH2, -NH(CH2)6NH2, -NHCH2NH(Me), -NH(CH2)2NH(Me), -NH(CH2)3NH(Me), -NH(CH2)4NH(Me), -NH(CH2)5NH(Me), -NH(CH2)6NH(Me), -NHCH2NH(Et), -NH(CH2)2NH(Et), -NH(CH2)3NH(Et), -NH(CH2)4NH(Et), -NH(CH2)5NH(Et), および -NH(CH2)6NH(Et) を包含するがこれらに限定されない。
C3-7シクロアルキル-C1-7アルキル:本明細書で使用される「C3-7シクロアルキル-C1-7アルキル」という用語は、C3-7シクロアルキル基で置換された特定のC1-7アルキル基を表す。このような基の例は、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、およびシクロヘキシルメチルを包含するがこれらに限定されない。
C3-7シクロアルケニル-C1-7アルキル:本明細書で使用される「C3-7シクロアルケニル-C1-7アルキル」という用語は、C3-7シクロアルケニル基で置換された特定のC1-7アルキル基を表す。このような基の例は、シクロプロペニルメチル、およびシクロヘキセニルメチルを包含するがこれらに限定されない。
C1-7アルキル-C5-20アリール:本明細書で使用される「C1-7アルキル-C5-20アリール」という用語は、C1-7アルキル基で置換された特定のC5-20アリール基を表す。このような基の例は、トリル(トルエンの場合)、キシリル(キシレンの場合)、メシチル(メシチレンの場合)、およびクメニル(クメンの場合)を包含するがこれらに限定されない。
C1-7アルキル-C5-20アリールオキシ:本明細書で使用される「C1-7アルキル-C5-20アリールオキシ」という用語は、C1-7アルキル基で置換された特定のC5-20アリールオキシ基を表す。こうした基の例は、トリルオキシ、キシリルオキシ、メシチルオキシ、およびクメニルオキシを包含するがこれらに限定されない。
C5-20アリール-C1-7アルキル:本明細書で使用される「C5-20アリール-C1-7アルキル」という用語は、C5-20アリール基で置換された特定のC1-7アルキル基を表す。このような基の例は、ベンジル(フェニルメチル)、トリルメチル、フェニルエチル、トリフェニルメチル(トリチル)、およびシンナミル(3-フェニル-2-プロペニル、C6H5-CH=CH-CH2-)を包含するがこれらに限定されない。
C5-20アリール-C1-7アルコキシ:本明細書で使用される「C5-20アリール-C1-7アルコキシ」という用語は、C5-20アリール基で置換された特定のC1-7アルコキシ基を表す。こうした基の例は、ベンジルオキシ、トリルメトキシ、およびフェニルエトキシを包含するがこれらに限定されない。
C5-20ハロアリール:本明細書で使用される「C5-20ハロアリール」という用語は、1以上のハロ基で置換された特定のC5-20アリール基を表す。このような基の例は、ハロフェニル (たとえば、フルオロフェニル、クロロフェニル、ブロモフェニル、もしくはヨードフェニル、これらは、オルト-、メタ-、パラ-置換のいずれでも), ジハロフェニル、トリハロフェニル、テトラハロフェニル、およびペンタハロフェニルを包含するがこれらに限定されない。
他の形を包含する
特に明記しない限り、上記置換基の既知のイオン、塩、溶媒和、および保護された形態が上記に包含されるものとする。たとえば、カルボン酸(-COOH)への言及はまた、陰イオン(カルボキシレート)型(-COO-)、その塩もしくは溶媒和物、ならびに従来の保護された形態を含める。同様に、アミノ基への言及は、そのアミノ基の、プロトン化型(-N+HR1R2)、塩もしくは溶媒和物、たとえば塩酸塩、ならびにアミノ基の従来の保護された形態を包含する。同様に、ヒドロキシル基への言及は、陰イオン型(-O-)、その塩もしくは溶媒和物、ならびにヒドロキシル基の従来の保護された形態も含めるものとする。
異性体、塩、溶媒和物、保護された形態、およびプロドラッグ
一部の化合物は、1以上の特有の幾何異性体、光学異性体、鏡像体、ジアステレオマー、立体異性体、互変異性体、立体配座異性体、もしくはアノマーの形で存在することができる。これは、シス- およびトランス-型; E- および Z-型; c-, t-, および r- 型; エンド- およびエキソ型; R-, S-, およびメソ型; D- および L-型; d- および l-型; (+) および (-) 型; ケト-, エノール-, およびエノレート型; シン- およびアンチ-型; シンクリナル- およびアンチクリナル-型; α- および β-型; アキシアルおよびエクアトリアル型; 舟形, 椅子形, ねじれ型, エンベロープ型, および半椅子形; ならびにそれらの組み合わせを包含するがこれらに限定されない。以下、ひとまとめにして、「異性体」(もしくは「異性体型)と呼ぶ。
ここで留意すべきは、互変異性型について下記に論じられる場合を除き、本明細書で使用される「異性体」という用語から特に除外されるのが、構造(structural)(もしくは構造(constitutional))異性体(すなわち、単に空間における原子の位置が異なるだけではなくて、原子の間の結合関係が異なる異性体)である、ということである。たとえば、メトキシ基、-OCH3、への言及は、その構造異性体、ヒドロキシメチル基、-CH2OHに対する言及として解釈されるべきではない。同様に、オルト-クロロフェニルに対する言及は、その構造異性体であるメタ-クロロフェニルへの言及として解釈されるべきでない。しかしながら、構造分類への言及は、構造的な異性体型をその分類に含めることができる(たとえば、C1-7アルキルはn-プロピルおよびイソプロピルを包含する;ブチルは、n-、イソ-、sec-、およびtert-ブチルを包含する;メトキシフェニルは、オルト-、メタ-、およびパラ-メトキシフェニルを包含する)。
上記の除外は、たとえば下記の互変異性対において見られるような、互変異性型、たとえば、ケト-, エノール-, およびエノレート型には関係しない:ケト/エノール(下図)、イミン/エナミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/アミジン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エンチオール、N-ニトロソ/ヒドロキシアゾ、およびニトロ/aci-ニトロ。
ここで留意すべきことは、1以上の同位体置換基を有する化合物が「異性体」という用語に明確に包含されることである。たとえば、Hは、1H, 2H(D), および3H(T)を含めたあらゆる同位体型をとることができる;Cは、12C, 13C, および14Cを含めたあらゆる同位体型をとることができる;Oは16Oおよび18Oを含めたあらゆる同位体型をとることができる;など。
特に明記しない限り、特定の化合物への言及は、すべてのこうした異性体型を包含するものであり、それらの(全体もしくは部分的)ラセミ混合物および他の混合物を包含する。このような異性体型を調製(たとえば、不斉合成)、分離(たとえば、分別再結晶およびクロマトグラフ法)する方法は、当技術分野で既知であり、本明細書で教示された方法、もしくは既知の方法を既知の手順で適用することによっても容易に得られる。
特に明記しない限り、特定の化合物への言及はまた、そのイオン、塩、溶媒和物および保護された形態、たとえば下記、を包含する。
活性化合物に対応する塩、たとえば、薬学上許容し得る塩、を調製、精製、および/または処理することは好都合であり、望ましいと考えられる。薬学上許容し得る塩の例は、Berge ら、1977, 「薬学上許容し得る塩(Pharmaceutically Acceptable Salts)」 J. Pharm. Sci., Vol. 66, pp. 1-19に記載されている。
たとえば、化合物が陰イオン性である場合、または陰イオンとなりうる官能基(たとえば、-COOHは-COO-となりうる)を有する場合には、適当な陽イオンと塩を形成することができる。適当な無機陽イオンとしては、たとえば、Na+およびK+のようなアルカリ金属イオン、Ca2+およびMg2+のようなアルカリ土類金属陽イオン、ならびにAl3+のような他の陽イオンがあるがこれらに限定されない。適当な有機陽イオンの例は、アンモニウムイオン(すなわち、NH4 +)および置換されたアンモニウムイオン(たとえば、NH3R+, NH2R2 +, NHR3 +, NR4 +)を包含するがこれらに限定されない。若干の適当な置換アンモニウム基の例は、下記に由来する基である:エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン、およびトロメタミン、ならびにアミノ酸、たとえばリジンおよびアルギニン。一般的な第4級アンモニウムイオンの例は、N(CH3)4 +である。
化合物が陽イオン性である、または陽イオンとなりうる官能基(たとえば、-NH2は-NH3 +となりうる)を有する場合には、適当な陰イオンと塩を形成することができる。適当な無機陰イオンの例としては、下記の無機酸に由来する陰イオンがあるが、これらに限定されない:塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、および亜リン酸。
適当な有機陰イオンの例は、下記の有機酸に由来する陰イオンを包含するがこれらに限定されない:2-アセチルオキシ安息香酸、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、ケイ皮酸、クエン酸、エデト酸、エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルケプタオン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフタレン カルボン酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、粘液酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、フェニルスルホン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、および吉草酸。適当な高分子有機陰イオンの例としては、下記の高分子酸に由来する陰イオンがあるが、これらに限定されない:タンニン酸、カルボキシメチルセルロース。
活性化合物に対応する溶媒和物を調製、精製、および/または処理することは好都合であり、望ましいと考えられる。「溶媒和物」という用語は、本明細書では、溶質(たとえば、活性化合物、活性化合物の塩)および溶媒の複合体を指す、従来の意味として使用される。溶媒が水である場合には、溶媒和物を便宜的に水和物、たとえば一水和物、二水和物、三水和物などと呼ぶことができる。
化学的に保護された形態の活性化合物を調製、精製、および/または処理することは好都合であり、望ましいと考えられる。「化学的に保護された形態」という用語は、従来の化学的な意味として本明細書で使用され、1または複数の反応性官能基が特定の条件(たとえば、pH、温度、放射線、溶媒、など)下で好ましくない化学反応から保護されるような化合物に関わる。実際、よく知られた化学的方法が、官能基を可逆的に不活性にするために使用されるが、その官能基はそうしなければ、特定の条件下で反応性であると思われる。化学的に保護された形態では、1または複数の反応性官能基が、保護された、もしくは保護する基の形をとる(遮蔽された、もしくは遮蔽する基、または封鎖された、もしくは封鎖する基)。反応性官能基を保護することによって、保護された基に影響を及ぼすことなく他の保護されていない反応性官能基の反応を行うことができる;通常、その次のステップで、その分子の残りの部分に実質的な影響を及ぼすことなく、保護している基を外すことができる。たとえば、「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」 (T. Green および P. Wuts; 第3版; John Wiley and Sons, 1999)を参照されたい。
多種多様な、こうした「保護」「封鎖」もしくは「遮蔽」法が、有機合成において、広く用いられ、よく知られている。たとえば、2つの、いずれも特定の条件下で反応性である、均等でない反応性官能基を有する化合物を誘導体化して、この官能基の一方を「保護された」状態、したがって特定の条件下で不活性な状態とする;保護されているので、この化合物を、事実上1つの反応性官能基のみを有する反応物質として使用することができる。好ましい反応(他の官能基に関する)が完了した後、保護基を「脱保護」して、この化合物を元の官能性に戻すことができる。
たとえば、エーテル(-OR)もしくはエステル(-OC(=O)R)として、たとえば、t-ブチルエーテル;ベンジル、ベンズヒドリル(ジフェニルメチル)、もしくはトリチル(トリフェニルメチル)エーテル;トリメチルシリルもしくはt-ブチルメチルシリルエーテル;またはアセチルエステル(-OC(=O)CH3, -OAc)として、ヒドロキシ基を保護することができる。
たとえば、アセタール(R-CH(OR)2)もしくはケタール(R2C(OR)2)として、それぞれアルデヒドもしくはケトン基を保護することができるが、この場合、カルボニル基(>C=O)は、たとえば、第1級アルコールとの反応によって、ジエーテル(>C(OR)2)に変換される。アルデヒドもしくはケトン基は、酸の存在下で大過剰の水を用いた加水分解によって容易に再生される。
たとえば、アミノ基を、たとえば、アミド(-NRCO-R)もしくはウレタン(-NRCO-OR)として保護することができるが、その例としては、メチルアミド(-NHCO-CH3); ベンジルオキシアミド (-NHCO-OCH2C6H5, -NH-Cbz); t-ブトキシアミド(-NHCO-OC(CH3)3, -NH-Boc); 2-ビフェニル-2-プロポキシアミド (-NHCO-OC(CH3)2C6H4C6H5, -NH-Bpoc), 9-フルオレニルメトキシアミド(-NH-Fmoc), 6-ニトロベラトリルオキシアミド(-NH-Nvoc), 2-トリメチルシリルエチルオキシアミド (-NH-Teoc), 2,2,2-トリクロロエチルオキシアミド(-NH-Troc), アリルオキシアミド(-NH-Alloc), 2(-フェニルスルホニル)エチルオキシアミド (-NH-Psec); または、適切な場合には (たとえば、環状アミン)、ニトロキシドラジカル (>N-O・)がある。
たとえば、カルボン酸基をエステルとして、またはアミドとして、保護することができるが、ここでエステルはたとえば、C1-7アルキルエステル(例としては、メチルエステル; t-ブチルエステル); C1-7ハロアルキルエステル(たとえば、C1-7トリハロアルキルエステル); トリC1-7アルキルシリル-C1-7アルキルエステル; またはC5-20アリール-C1-7アルキルエステル(たとえば、ベンジルエステル; ニトロベンジルエステル)であり、アミドはたとえば、メチルアミドである。
たとえば、チオール基をチオエーテル(-SR)として保護することができる:たとえばベンジルチオエーテル;アセトアミドメチルエーテル (-S-CH2NHC(=O)CH3)。
プロドラッグの形をとる活性化合物を調製、精製、および/または処理することは好都合であり、望ましいと考えられる。本明細書で使用される「プロドラッグ」という用語は、(たとえば、in vivoで)代謝されたときに、好ましい活性化合物を生じる化合物に関する。一般的に、プロドラッグは不活性、もしくは活性化合物より低活性であるが、取り扱いやすさ、投与しやすさ、または有利な代謝特性を与えることができる。
たとえば、ある種のプロドラッグは活性化合物のエステルである(たとえば、生理学的に許容され、代謝で変化しやすいエステル)。代謝の間に、エステル基(-C(=O)OR)が切断されて、活性薬物が生成する。こうしたエステルの形成は、たとえば、親化合物のあらゆるカルボン酸基(-C(=O)OH)のエステル化によって行うことができるが、適切な場合には、その親化合物にある他の反応性の基をいずれも事前に保護し、その後必要ならば脱保護する。
このような代謝で変化しやすいエステルの例としては、Rが下記のとおりである、構造式-C(=O)ORのエステルが挙げられる:
C1-7アルキル
(たとえば、 -Me, -Et, -nPr, -iPr, -nBu, -sBu, -iBu, -tBu);
C1-7アミノアルキル
(たとえば、アミノエチル; 2-(N,N-ジエチルアミノ)エチル; 2-(4-モルホリノ)エチル); ならびに
アシルオキシ-C1-7アルキル
(たとえば、アシルオキシメチル;
アシルオキシエチル;
ピバロイルオキシメチル;
アセトキシメチル;
1-アセトキシエチル;
1-(1-メトキシ-1-メチル)エチル-カルボニルオキシエチル;
1-(ベンゾイルオキシ)エチル; イソプロポキシ-カルボニルオキシメチル;
1-イソプロポキシ-カルボニルオキシエチル; シクロヘキシル-カルボニルオキシメチル;
1-シクロヘキシル-カルボニルオキシエチル;
シクロヘキシルオキシ-カルボニルオキシメチル;
1-シクロヘキシルオキシ-カルボニルオキシエチル;
(4-テトラヒドロピラニルオキシ) カルボニルオキシメチル;
1-(4-テトラヒドロピラニルオキシ) カルボニルオキシエチル;
(4-テトラヒドロピラニル) カルボニルオキシメチル; および
1-(4-テトラヒドロピラニル) カルボニルオキシエチル)。
また、一部のプロドラッグは、酵素によって活性化されて、活性化合物を生じ、または追加の化学反応で活性化合物を生じる化合物を生じる(たとえば、ADEPT, GDEPT, LIDEPTなどの場合)。たとえば、プロドラッグを糖誘導体もしくは他のグリコシド複合体であり得る。あるいは、アミノ酸エステル誘導体であり得る。
頭字語
便宜上、多数の化学的部分をよく知られた略号を用いて示している。そのような略号としては、限定はされないが、メチル(Me)、エチル(Et)、n-プロピル(nPr)、イソプロピル(iPr)、n-ブチル(nBu)、sec-ブチル(sBu)、イソブチル(iBu)、tert-ブチル(tBu)、n-ヘキシル(nHex)、シクロヘキシル(cHex)、フェニル(Ph)、ビフェニル(biPh)、ベンジル(Bn)、ナフチル(naph)、メトキシ(MeO)、エトキシ(EtO)、ベンゾイル(Bz)、およびアセチル(Ac)が含まれる。
便宜上、多数の化合物をよく知られた略号を用いてして示している。そのような略号としては、限定はされないが、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、イソプロパノール(i-PrOH)、メチルエチルケトン(MEK)、エーテルまたはジエチルエーテル(Et2O)、酢酸(AcOH)、ジクロロメタン(塩化メチレン、DCM)、アセトニトリル(ACN)、トリフルオロ酢酸(TFA)、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、およびジメチルスルホキシド(DMSO)が含まれる。
アルカンジオール誘導体の合成
本発明での使用に適した化合物は既知の方法を用いて合成することができる。適切な試薬および中間体は市販されている。それ以外の追加の化合物。さらに、本発明での使用に適切な化合物(例えば、アルカンジオールエステル)の化学合成のためのいくつかの方法について本明細書中に記載する。これらの方法は本発明での使用に適した追加の化合物の合成を容易なものとするために既知の方法で改変および/または適合させることができる。
アルカンジオールモノエステルの合成に適した方法のいくつかについてその例を下記に示す。
1方法では、アルカンジオールのエステルは、アルカンジオールをハロゲン化アシル(例えば塩化アシル)と、任意で塩基(例えばピリジン)を共存させて、反応させることによって調製される。例えば、アルカンジオールはまずピリジン中に溶解し、ついでハロゲン化アシルを添加することができる。アルカンジオールの過剰量を用いる場合には、主として保護基が1つの生成物が得られ、ハロゲン化アシルの過剰量を用いる場合には、主として保護基が2つの生成物が得られる。そのような方法の1例を次のスキームに示す。
別の1方法では、アルカンジオールのエステルは、アルカンジオールをカルボン酸と、強酸(例えばH
2SO
4)の存在下で反応させて調製される。例えば、少量の(触媒量の)強酸を用いることができる。アルカンジオールの過剰量を用いる場合には、主として保護基が1つの生成物が得られ、カルボン酸の過剰量を用いる場合には、主として保護基が2つの生成物が得られる。そのような方法の1例を次のスキームに示す。
別の1方法では、アルカンジオールのエステルは、アルカンジオールを無水アシルの過剰量と、塩基(例えばピリジン)の存在下で反応させて調製される。アルカンジオールの過剰量を用いる場合には、主として保護基が1つの生成物が得られ、無水アシルの過剰量を用いる場合には、主として保護基が2つの生成物が得られる。そのような方法の1例を次のスキームに示す。
別の1方法では、アルカンジオールのエステルの混合物は、モノエステルをアシル無水物の過剰量と、塩基(例えばピリジン)の存在下で反応させて調製される。そのような方法の1例を次のスキームに示す。
適切なカルボン酸は、例えば、三塩化アルミニウム(AlCl
3)および塩化アセチル(CH
3COCl)を反応させて対応するメチルケトンを得た後、NaOBr(Br
2をNaOHと反応させて形成させる)と反応させて対応するカルボン酸を得る。そのような方法の1例を次のスキームに示す。
適切なカルボン酸はまた、グリニャール試薬を形成させた後、ホウ酸塩、例えばB(OMe)
3と反応させてボランを形成させ、次いでそれを適切なハロゲン化物と適切な触媒、例えばPdCl
2の存在下で反応させることにより所望のカルボン酸が得られる。そのような方法の1例を次のスキームに示す。
適切なハロゲン化アシルは、例えば、対応するカルボン酸をハロゲン化スルホニル、例えば塩化スルホニル(SOCl
2)と反応させることによって調製することができる。そのような方法の1例を次のスキームに示す。
1,4-ブタンジオールモノ(フルオロビフェニル-4-カルボン酸)エステルは、市販のボロン酸(例えば、フッ素化フェニルボロン酸)およびヨード安息香酸を用いて類似の方法で合成することができる。
市販のフッ素化フェニルボロン酸としては、限定はされないが、2,3-ジフルオロ-;2,4-ジフルオロ-;2,5-ジフルオロ-;2,6-ジフルオロ-;3,4-ジフルオロ-;3,5-ジフルオロ-;2,3,6-トリフルオロ-;および2,4,6-トリフルオロフェニルボロン酸(Sigma, Aldrich);ならびに2-フルオロ-4-ヨード;4-フルオロ-3-メチル-;および3,5-ジブロモフェニルボロン酸(Lancaster)が含まれる。そのような方法の1例を下記のスキームに示す。1方法では、ヨード安息香酸(1.75ミリモル)、3,4-ジフルオロフェニルボロン酸(3.5ミリモル)、およびK
2CO
3(2.6ミリモル)をトルエン(17mL)中で撹拌する。Pd(PPh
3)
4 (0.05ミリモル)を添加し、その混合物を85℃で2時間撹拌する。冷却後、その混合物を酢酸エチル(17mL)で希釈し、飽和Na
2CO
3(20mL)、水(20mL)、10% クエン酸(20mL)、水(20mL)、および飽和NaCl(20mL)で洗う。溶媒を蒸発させ、生成物をカラムクロマトグラフィーで精製する。別の1方法では、ジメトキシエタノール(20mL)中のPd(PPh
3)
4(0.05ミリモル)の懸濁液を調製する。ヨード安息香酸(2ミリモル)を添加し、その混合物を10分間撹拌する。エタノール(2mL)中の3,4-ジフルオロフェニルボロン酸(3ミリモル)を添加した後、2M Na
2CO
3(4ミリモル)を添加する。この混合物を18時間還流し、ろ過し、蒸発させる。その残査を飽和NaCl(20mL)で洗い、生成物をカラムクロマトグラフィーで精製する。例えば、Miyauraら, 1995を参照せよ。
ホスホン酸基を有する化合物の調製方法としては、例えば下記のものが含まれる。
1方法では、ビスホスホン酸エテニリデン (CH
2=C(P(=O)(OR)
2)
2)を、パラホルムアルデヒド、ジエチルアミン、及びビスホスホン酸テトラアルキルメチレン (H
2C(P(=O)(OR)
2)
2)から、例えば、DegenhardtとBurdsall, 1986が報告している方法を用いて調製する。ついでビスホスホン酸エテニリデンを、例えば、塩化メチレン中のABD-0056(4BP)と、トリエチルアミンの存在下で、例えば、Herczeghら, 2002が報告している方法を用いて反応させる。ホスホン酸エステル基、例えばエチル基は、例えばトリメチルシリルブロミドで除去されるか、またはそのまま残される。そのような方法の1例を下記のスキームに示す。
別の1方法では、ABD-0056は、例えば、オルトギ酸トリエチルおよびジエチルホスファイト(HP(=O)(OEt)
2)と、例えば、Herczeghら, 2002が報告している方法を用いて、加熱する。ここでも、ホスホネートエステル基、例えばエチル基は、例えばトリエチルシリルブロミドで除去されるか、またはそのままの残される。そのような方法の1例を下記のスキームに示す。
別の1方法では、4-ブロモブタノール(例えば、本明細書に記載の方法9で調製したもの)を無水酢酸/ピリジン中でアセチル化する。得られた4-アセトキシブチルブロミドを、例えばEberhardとWestheimer, 1965が報告している方法を用いて、亜リン酸トリエチルと共に加熱してホスホン酸ジエチル-4-アセトキシブチルを得る。硫酸を用いて加水分解してアセチル基とエチル基を除去してホスホン酸4-ヒドロキシブチルを得る。次いでこれを、テトラヒドロフラン及びジメチルホルムアミドの混合物中のN-メチルモルホリンおよびクロロギ酸イソブチルを用いて、ビフェニル-4-カルボン酸に結合させる。そのような方法の1例を下記のスキームに示す。
別の1方法では、1,4-ジブロモブタンを、例えば、EberhardとWestheimer, 1965が報告している方法を用いて、亜リン酸トリエチルと共に加熱してホスホン酸ジエチル-4-ブロモブチルを得る。次いで得られたブロミドを例えば、ジメチルホルムアミド中のビフェニル-4-カルボン酸と、炭酸カリウムの存在下で反応させる。ここでも、ホスホン酸エステル基、例えばエチル基は、例えばトリメチルシリルブロミドで除去されるか、またはそのまま残される。そのような方法の1例を下記のスキームに示す。
別の1方法においては、ABD-0086(4BP-Br)は、例えば、亜リン酸トリイソプロピルと穏和に還流させてホスホニル化生成物を得る。残存する亜リン酸トリイソプロピルを減圧下で蒸発させて除去し、残査をカラムクロマトグラフィーで生成して澄明な油を得る。イソプロピル基をジクロロメタン中のトリメチルシリルブロミドを用いて除去するか、またはそのまま残される。このような方法の1例を下記のスキームに示す。
別の1方法においては、アクリル酸メチルエステル(メチルアクリレート)とメチレンジホスホン酸テトラエチルエステルを混合し、飽和ナトリウムエトキシドを滴下して添加する。その混合物を加熱し(例えば、90℃2時間)、減圧下で蒸発させて生成物を得る。エステル基を濃HCl中での加水分解によって除去する。例えば、Blumら, 1978を参照せよ。このような方法の1例を下記のスキームに示す。
生成物は、例えばカラムクロマトグラフィーによって精製することができる。
アルカンジオール誘導体の使用
本発明は活性化合物、具体的には、本明細書に記載の活性アルカンジオール誘導体(例えば、アルカンジオールのエステル)を提供し、それは破骨細胞の阻害、例えば、破骨細胞の生存、形成、および/もしくは活性を阻害する、ならびに/または骨吸収を阻害する。従って、該化合物は「破骨細胞阻害剤」、および/または、「骨吸収阻害剤」と呼ぶことができる。
本明細書で用いている「活性」という用語は、破骨細胞の生存、形成、および/もしくは活性を阻害することができる、ならびに/または骨吸収を阻害することができる化合物を意味し、具体的には固有の活性(薬剤)を有する化合物ならびにそのような化合物のプロドラッグが含まれ、そのプロドラッグはそれ自体は固有の活性をほとんどまたは全く示さないものである。
当業者であれば、候補化合物が破骨細胞の生存、形成、および/もしくは活性を阻害する、ならびに/または骨吸収を阻害するか否かを容易に決定することができる。例えば、ある特定の化合物によって示される阻害効果を評価するために都合よく用いることのできる適切な方法については下記の実施例中に述べる。
本発明の化合物はまた、破骨細胞によって仲介される状態の処置(「破骨細胞阻害剤」として)、および/または骨吸収によって特徴付けられる状態の処置(「骨吸収阻害剤」として)においても有用である。そのような状態の例としては、限定はされないが、下記のものが含まれる:
骨格の疾病としては、限定はされないが、骨粗鬆症(例えばステロイドで誘発された骨粗鬆症を含む)などの病的に低い骨ミネラル密度;大理石骨病;変形性関節症;異所性骨形成;骨のパジェット病(変形性骨炎);および慢性関節リウマチが含まれる。
骨の腫瘍、それには原発性腫瘍と転移したものとがあるが、そのようなものとしては、限定はされないが、骨肉腫および骨腫(Zhengら, 1998, J. Cell Biochem., 第70巻p121)ならびに癌関連骨疾患(例えば、多発性骨髄腫)が含まれる。
好ましい状態の例としては、骨粗鬆症、慢性関節リウマチ、癌関連骨疾患、およびパジェット病が含まれる。
本発明の化合物はまた、マクロファージ阻害作用を有しており、そのため炎症または免疫系の活性化に伴う状態の処置に有用である。そのような状態の例としては、限定はされないが、下記のものが含まれる:
炎症性または自己免疫性成分を伴う疾患、そのような疾患としては、アレルギー疾患、例えば、アトピー、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、アナフィラキシー、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症、および過敏性肺炎(鳩飼病、農夫肺、加湿器肺、麦芽労働者肺)などが含まれ;アレルギー、これには例えばイヌおよびネコなどの家畜などの哺乳類のノミアレルギー性皮膚炎、接触性アレルゲン、それには蚊による刺傷、またはその他の昆虫の刺傷によるアレルギー、ウルシかぶれ(poson ivy、poison oak、poison sumac)、またはその他の皮膚のアレルゲン;自己免疫性疾患、そのような疾患としては限定はされないが、I型糖尿病、クローン病、多発性硬化症、関節炎、慢性関節リウマチ(Ogataら, 1997, J. Pathol. Vol.182, p106;Gongら, 1997, J. Exp. Med. Vol.186, p.131)、全身性エリテマトーデス、自己免疫性(橋本)甲状腺炎、肝炎および原発性胆汁性肝硬変などの自己免疫性肝疾患、甲状腺機能亢進症(グレーブ病;甲状腺中毒症)、インスリン抵抗性糖尿病、自己免疫性副腎機能障害(アジソン病)、自己免疫性卵巣症、自己免疫性精巣炎、自己免疫性溶血性貧血、発作性寒冷血色素尿症、自己免疫性血小板減少症、自己免疫性好中球減少症、悪性貧血、真正赤血球性貧血、自己免疫性凝固障害、重症筋無力症、実験的アレルギー性脳脊髄炎、自己免疫性多発性神経炎、天疱瘡およびその他の水疱性疾患、リウマチ性心臓炎、グッドパスチャー症候群、心術後症候群、シェーグレン症候群、多発筋炎、皮膚筋炎、および強皮症が含まれ; 不適切な炎症によって引き起こされる疾病状態で、局所的または全身的で、例えば、過敏性または炎症性腸疾患(Mazzucchelliら, 1996, J. Pathol., Vol.178, p.201)、乾癬および扁平苔癬などの皮膚疾患、遅延型過敏症、慢性の肺の炎症、例えば肺胞炎および肺肉芽腫症、歯肉炎、またはその他の歯周病、ならびに、歯内を起源とする病変に伴う骨の炎症(Volejnikovaら, 1997, Am.J. Pathol. Vol.150, p1711)、過敏性肺炎などの過敏性肺疾患(Sugiyamaら, 1995, Eur. Respir. J. Vol.8, p.1084)、ならびに枯草熱などの好塩基球からのヒスタミン放出に関連する炎症(Dvorakら, 1996, J. Allergy Clin., Vol.98, p.355)、肥満細胞からのヒスタミンの放出(Galliら, 1989, Ciba Foundation Symposium, Vol.147, p.53)、または肥満細胞腫瘍、I型過敏反応の各種のもの(アナフィラキシー、皮膚アレルギー、蕁麻疹、アレルギー性鼻炎、およびアレルギー性胃腸炎);潰瘍性大腸炎が含まれる。
従って、本発明の1態様は、in vitroまたはin vivoでの破骨細胞の生存、形成、および活性を阻害する方法に関し、その方法は本明細書に記載のとおり破骨細胞と有効量の活性化合物とを接触させることを含んでなる。
本発明の別の1態様はin vitroまたはin vivoでの骨吸収を阻害する方法に関し、その方法は本明細書に記載のとおり、骨の微小環境中の細胞を治療上有効な量の活性化合物とを接触させることを含んでなる。
本明細書で用いている「骨の微小環境中の細胞」という用語は、骨芽細胞、破骨細胞、骨細胞、および骨髄ストローマ細胞などの細胞を意味し、それらは骨に非常に近接して位置している(例えば骨の表面の100μm以内)。
本発明の別の1態様は、本明細書に記載の、破骨細胞で仲介される、および/または骨吸収で特徴付けられる状態の処置方法に関し、その方法は該状態にある被験動物に対して治療上有効な量の、本明細書に記載の活性化合物を、好ましくは医薬組成物の形態で投与することを含んでなる。
本発明の別の1態様は、本明細書に記載の、炎症または免疫系の活性化に伴う状態の処置方法に関し、その方法は該状態にある被験動物に対して治療上有効な量の、本明細書に記載の活性化合物を、好ましくは医薬組成物の形態で投与することを含んでなる。
本発明の別の1態様は、本明細書に記載の活性化合物のヒトまたは動物の体の処置方法における使用に関する。
本発明の別の1態様は、本明細書に記載の活性化合物の、破骨細胞で仲介される、および/または骨吸収で特徴付けられる、本明細書に記載の状態の、ヒトまたは動物の体の処置方法における使用に関する。
本発明の別の1態様は、本明細書に記載の活性化合物の、破骨細胞で仲介される、本明細書に記載の状態の、ヒトまたは動物の体の処置方法における使用に関する。
本発明の別の1態様は、本明細書に記載の活性化合物の、骨吸収で特徴付けられる、本明細書に記載の状態の、ヒトまたは動物の体の処置方法における使用に関する。
本発明の別の1態様は、本明細書に記載の活性化合物の、骨粗鬆症、慢性関節リウマチ、癌関連骨疾患、またはパジェット病のヒトまたは動物の体の処置方法における使用に関する。
本発明の別の1態様は、本明細書に記載の活性化合物の、炎症または免疫系の活性化に伴う状態のヒトまたは動物の体の処置方法における使用に関する。
本発明の別の1態様は、本明細書に記載の活性化合物の、破骨細胞で仲介される、および/または骨吸収で特徴付けられる、本明細書に記載の状態の処置方法における使用のための医薬品の製造での使用に関する。
本発明の別の1態様は、本明細書に記載の活性化合物の、破骨細胞で仲介される状態の、本明細書に記載の処置方法における使用のための医薬品の製造での使用に関する。
本発明の別の1態様は、本明細書に記載の活性化合物の、骨吸収を特徴とする状態の、本明細書に記載の処置方法における使用のための医薬品の製造での使用に関する。
本発明の別の1態様は、本明細書に記載の活性化合物の、骨粗鬆症、慢性関節リウマチ、癌関連骨疾患、またはパジェット病の処置における使用のための医薬品の製造での使用に関する。
本発明の別の1態様は、本明細書に記載の活性化合物の、炎症または免疫系の活性化に伴う状態の処置における使用のための医薬品の製造における使用に関する。
本明細書である状態を処置するという文脈で用いている「処置」という用語は、一般的に処置と治療を意味し、ヒトまたは動物(例えば獣医学的適用において)のいずれかで、何らかの所望の治療的効果、例えば該状態の進行の阻害が達成されることを意味し、治療的効果としては該状態の進行速度の低下、進行速度の停止、該状態の改善、および該状態の治癒が含まれる。予防的方策(すなわち予防)としての処置も含まれる。
本明細書で用いている「治療上有効な量」という用語は、活性化合物、または活性化合物を含んでいる物質、組成物、もしくは投与形態の量であって、所望の処置方式に従って投与されたときに、何らかの所望の治療的効果を生み出すために有効な量を意味する。
「処置」という用語には組み合わせ処置および治療が含まれ、それらの組み合わせでは2種以上の処置または治療が、例えば、順次または同時に組み合わされる。処置および治療の例としては、限定はされないが、化学療法(活性作用物、それには例えば薬剤、抗生物質(例えば免疫治療における使用のように)、プロドラッグ(例えば、光線力学的治療、GDEPT、ADEPT、その他);手術;放射線療法;および遺伝子治療が含まれる。
活性化合物は、破骨細胞の阻害、例えば破骨細胞の生存、形成、および/または活性を阻害するために、細胞培養の添加物として用いることもできる。
活性化合物はまた、in vitroアッセイの一部として、例えば、候補宿主が対照の化合物を用いた処置から利益を得られるかを調べるために用いることもできる。
活性化合物はまた、標準品として、例えばアッセイにおいて、他の活性化合物、他の破骨細胞阻害剤、その他を同定するために用いることもできる。
キット
本発明の1態様は、(a)好ましくは例えば適切な容器に容れて、および/または適切なパッケージングと共に供給される、本明細書に記載の活性化合物、または本明細書に記載の活性化合物を含んでなる組成物;ならびに(b)使用説明書、例えば該活性化合物または組成物の投与方法の説明書、を含んでなるキットに関する。
その使用説明書には該活性成分の投与が適切な処置であるような適応症のリストを含ませることができる。
投与経路
該活性化合物、または該活性化合物を含んでいる医薬組成物は、全身的/末梢的または局所的のいずれかで(すなわち、所望の作用部位に)、好都合なものであるならばどのような経路によっても、被験動物に投与することができる。
投与経路としては、限定はされないが、経口(例えば摂取);バッカル;舌下;経皮(例えば、パッチ、プラスター、その他によるものを含む);経粘膜(例えば、パッチ、プラスター、その他によるものを含む);経鼻(例えば、経鼻スプレーによるもの);眼(例えば点眼液による);肺(例えばエアロゾルを介して、例えば口または鼻を経由させる吸入または通気療法などによる);直腸(例えば坐剤または浣腸剤によって);経膣(例えばペッサリーによって);腸管外(例えば、皮下、皮内、筋肉内、静脈内、動脈内、心臓内、鞘内、髄腔内、被膜内、被膜下、眼窩内、腹腔内、気管内、表皮下、関節内、くも膜下、および胸骨内を含む注射による);デポまたはレザバーの、例えば皮下または筋肉内へのインプラントが含まれる。
被験動物
被験動物は、脊索動物、脊椎動物、哺乳類、鳥類、は虫類(例えばヘビ、トカゲ、ワニ)、両生類(例えばカエル、ヒキガエル)、硬骨魚類(例えば、サケ、ツノガレイ、ウナギ、肺魚)、軟骨魚類(例えば、サメ、エイ)、または無顎魚類(例えば、ヤツメウナギ、メクラウナギ)とすることができる。
被験動物は哺乳類、胎盤性の哺乳類、有袋類(例えば、カンガルー、ウォンバット)、単孔類(例えば、カモノハシ)、げっ歯類(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス)、ネズミ類(例えば、マウス)、ウサギ類(例えば、ウサギ)、鳥類(例えば、トリ)、イヌ類(例えばイヌ)、ネコ類(例えば、ネコ)、ウマ類(例えば、ウマ)、ブタ類(例えば、ブタ)、ヒツジ類(例えば、ヒツジ)、ウシ類(例えば、ウシ)、霊長類、類人猿(例えば小型サルまたは大型サル)、小型サル類(例えば、マーモセット、ヒヒ)、大型サル(例えば、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザル)、またはヒトとすることができる。
さらに、被験動物はその発達の形態のいずれのもの、例えば、胎児であっても良い。
好ましい1実施形態においては、被験動物はヒトである。
製剤
該活性化合物を単独で投与することが可能な場合には、その化合物を、少なくとも1種の上記で定義した活性化合物を、1種以上の薬学上許容し得る、当業者にはよく知られた成分、そのようなものとしては限定はされないが、担体、希釈剤、賦形剤、アジュバント、充填剤、バッファー、保存剤、抗酸化剤、滑沢剤、安定剤、可溶化剤、界面活性剤(例えば、湿潤化剤)、マスキング剤、着色剤、香料、および甘味剤が含まれるが、それらの成分と共に含んでなる医薬品の形態(例えば、組成物、製剤、薬)で提示することが好ましい。
本発明はさらに、上記で定義した医薬組成物および医薬組成物を作成する方法を提供し、その方法は、少なくとも1種の上記で定義した活性化合物を、1種以上の他の薬学上許容し得る、当業者にはよく知られた成分、例えば担体、希釈剤、賦形剤、その他と共に混合することを含んでなる。個別の単位(例えば錠剤その他)として製剤化される場合には、各単位はあらかじめ定められた量(投与量)の活性化合物を含有する。
本明細書で用いている「薬学上許容し得る」という用語は、化合物、成分、材料、組成物、投与形態のもの、その他であって、健全な医学的判断で認めうる範囲内にあり、過剰な毒性、刺激性、アレルギー反応、またはその他の問題もしくは合併症をもたらさず、対象の被験動物(例えばヒト)の組織との接触のための使用に適しており、妥当な利益/危険性比を示すものであることを意味する。担体、希釈剤、賦形剤、その他のそれぞれもその製剤中の他の成分と両立しうるという意味で「許容し得る」ものでなければならない。
適切な担体、希釈剤、賦形剤、その他については、標準的な製薬の教科書、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第18版, Mack Publishing Company, Easton, PA., 1990;およびHandbook of Pharmaceutical Excipients, 第2版, 1994中に記載されている。
該製剤は製薬業界でよく知られた何らかの方法を用いて調製することができる。そのような方法としては、該活性化合物を1種以上の補助成分からなっている担体と会合させるステップを含んでいる。一般的には、該製剤は、該活性化合物を担体(例えば、液状担体、微細末化した固体担体、その他)と均一に直接的に会合させ、次いで必要に応じて生成物を成形することによって調製される。
該製剤は急速なもしくは緩徐な放出;即時、遅延、時間を定めた、もしくは徐放性の放出;またはそれらの組み合わせを行うように調製することができる。
製剤は、適切に、液体、溶液(例えば、水性、非水性)、懸濁液(例えば、水性、非水性)、乳剤(例えば、水中油滴型、油中水滴型)、エリキシル、シロップ、舐剤、含嗽剤、ドロップ、錠剤(コーティングした錠剤を含む)、顆粒剤、粉末剤、ロゼンジ、トローチ、カプセル(例えば、硬ゼラチンカプセルおよび軟ゼラチンカプセル)、カシェ剤、丸剤、アンプル剤、丸塊、坐剤、ペッサリー、チンキ、ゲル、ペイスト、軟膏、クリーム、ローション、オイル、フォーム、スプレー、ミスト、またはエアロゾルの形態とすることができる。
製剤は、適切に、パッチ、接着性プラスター、包帯、包帯剤、または類似のものとして提供することができ、それらは1種以上の活性化合物と、任意で1種以上の薬学上許容し得る成分、そのような成分としては例えば、浸透、透過、および吸収のエンハンサーが含まれるが、そのような成分とをしみこませたものである。製剤は適切に、デポまたはレザバーの形態で提供することができる。
該活性化合物は、1種以上の薬学上許容し得る他の成分の、成分中に溶解する、成分中に懸濁する、またはその成分と混合することができる。該活性化合物が例えば血液成分または1種以上の臓器を標的とするようにデザインされているリポソームまたはその他の微粒子中に入れた形で該活性化合物を提示することができ、それは。
経口投与(例えば、摂取による)に適した製剤としては、液体、溶液(例えば、水性、非水性)、懸濁液(例えば、水性、非水性)、乳剤(例えば、水中油滴型、油中水滴型)、エリキシル、シロップ、舐剤、錠剤、顆粒剤、粉末剤、カプセル、カシェ剤、丸剤、アンプル剤、丸塊が含まれる。
バッカル投与に適した製剤としては、含嗽剤、ロゼンジ、トローチ、ならびにパッチ、接着性プラスター、デポ、レザバーが含まれる。ロゼンジは典型的には、着香したベース、通常はショ糖およびアラビアゴムもしくはトラガカント中に、該活性化合物を含んでいる。トローチは典型的には、ゼラチンおよびグリセリンなどの不活性のマトリクス、またはショ糖およびアラビアゴムなどの中に該活性化合物を含んでいる。含嗽剤は典型的には適切な液状担体中に該活性化合物を含んでいる。
舌下投与に適した製剤としては、錠剤、ロゼンジ、トローチ、カプセル、および丸剤が含まれる。
経口経粘膜投与に適した製剤としては、液体、溶液(例えば、水性、非水性)、懸濁液(例えば、水性、非水性)、乳剤(例えば、水中油滴型、油中水滴型)、含嗽剤、ロゼンジ、トローチ、ならびにパッチ、接着性プラスター、デポ、およびレザバーが含まれる。
非経口経粘膜投与に適した製剤としては、液体、溶液(例えば、水性、非水性)、懸濁液(例えば、水性、非水性)、乳剤(例えば、水中油滴型、油中水滴型)、坐剤、ペッサリー、ゲル、ペイスト、軟膏、クリーム、ローション、オイル、ならびにパッチ、接着性プラスター、デポ、およびレザバーが含まれる。
経皮投与に適した製剤としては、ゲル、ペイスト、軟膏、クリーム、ローション、およびオイル、ならびにパッチ、接着性プラスター、包帯、包帯剤、デポ、およびレザバーが含まれる。
錠剤は、例えば圧縮または成形などの従来法で任意で1種以上の補助成分と共に作成することができる。圧縮錠剤は、適切な機械中で、粉末や顆粒などの自由流動体とした該活性化合物を、任意で1種以上の結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、アラビアゴム、ソルビトール、トラガカント、ヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤もしくは希釈剤(例えば、乳糖、微結晶性セルロース、リン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ);崩壊剤(例えば、グリコール酸ナトリウムデンプン、架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム);界面活性剤または分散剤または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム);保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、ソルビン酸);香料、着香増強剤および甘味料と混合して圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、不活性の液状希釈剤で湿潤化した粉末の該化合物の混合物を適切な機械中で成形することによって作成することができる。錠剤は任意でコーティングまたは割線を施すことができ、また、錠剤に含まれる該活性化合物の緩徐なもしくは制御された放出が行われるように、例えば、所望の放出プロフィールを得るためにヒドロキシプロピルメチルセルロースを様々な割合で用いることによって製剤化することができる。錠剤は任意でコーティングを施したものとすることができ、例えば、放出に影響を及ぼすために、例えば腸溶性コーティングで、胃ではなく腸の一部で放出するようにすることができる。
軟膏は典型的には該活性化合物およびパラフィン性、または水と混和性の軟膏基剤から調製される。
クリームは典型的には、該活性化合物および水中油滴型クリーム基剤から調製される。所望により、そのクリーム基剤の水相には、例えば、少なくとも約30 % w/wの多価アルコール、すなわち、プロピレンクリコール、ブタン-1,3-ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、およびポリエチレングリコール、ならびにそれらの混合物などの2つ以上のヒドロキシル基を有するアルコールを含ませることができる。局所用の製剤には所望により該活性化合物の皮膚またはその他の適用部分を通過する吸収または浸透を増強する化合物を含めることができる。そのような皮膚浸透増強剤の例としては、ジメチルスルホキシド、および関連の類似体が含まれる。
乳剤は典型的には、該活性化合物および油相から調製され、乳剤には任意で単一の乳化剤(emulgentとしても知られている)を含むものとすることができ、または少なくとも1種の乳化剤と脂肪もしくは油または脂肪と油の双方との混合物を含むものとすることができる。好ましくは、親水性の乳化剤を、安定剤として作用する親油性の乳化剤と共に含む。また、油と脂肪の双方を含むものであることが好ましい。乳化剤は安定剤と共に、または安定剤を伴わずにいわゆる乳化ワックスを作り、そのワックスは該油および/または脂肪と共にいわゆる乳化軟膏基剤を作り、それがクリーム製剤の油性分散層を形成する。
適切な乳化剤および乳剤安定剤としては、Tween 60、Span 80、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、およびラウリル硫酸ナトリウムが含まれる。該製剤のための適切な油または脂肪の選択は、所望の外見上の性質が得られるか否かに基づいて行われるが、それは医薬品の乳剤に用いられると考えられる大部分の油では、該活性化合物の溶解性は非常に低い可能性があるためである。従って、該クリームは好ましくは、チューブやその他の容器からの漏れを避けうる適切な粘度を有する、油っぽくなく、シミを作らず、洗い流せる製品としなければならない。直鎖状のまたは分枝した、一塩基または二塩基アルキルエステル、例えばジイソアジペート、ステアリン酸イソセチル、ココナッツ脂肪酸のプロピレングリコールエステル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、またはCrodamol CAPとして知られている分枝したエステルの混合物を用いることができ、最後の3つのものが好ましいエステルである。これらは求める性質によって単独でまたは組み合わせて用いることができる。あるいはまた、白色軟パラフィンおよび/または液状パラフィンなどの高融点の脂質、またはその他の鉱油を用いることができる。
経鼻投与に適した製剤としては、担体が液体である場合には、例えば、鼻スプレー、点鼻剤、またはネブライザーによるエアロゾルの投与が含まれる、該活性化合物の水性または油性溶液が含まれる。
経鼻投与に適した製剤としては、担体が固体である場合には、例えば、粒子径が例えば、約20ミクロンから約500ミクロンの範囲の粗粉末が含まれ、それは鼻から吸い込む様式で、すなわち鼻に近接して保持された容器からの該粉末の鼻腔を経由する急速な吸入によって投与される。
肺への投与(例えば、吸入または通気療法による)に適した製剤としては、適切な高圧ガス、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、またはその他の適切な気体を用いた加圧パックからのエアロゾルスプレーとして提供されるものが含まれる。
眼への投与に適した製剤としては、点眼剤が含まれ、点眼剤では、該活性化合物は適切な担体、特に該活性化合物の水性溶剤中に溶解または懸濁される。
直腸投与に適した製剤は、例えば、天然油または硬化油、ロウ、脂肪、半液状または液状のポリオール、例えばカカオ脂またはサリチル酸塩を含んでなる適切なベースの坐剤として;または浣腸による治療用の溶液または懸濁液として提供することができる。
経膣投与に適した製剤は、該活性化合物に加えて当業界で適切であることが知られている担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペイスト、フォーム、またはスプレーの剤型で提供することができる。
腸管外投与(例えば注射)に適した製剤としては、水性または非水性で、等張、発熱性物質不含の無菌の液体(例えば、溶液、懸濁液)が含まれ、そのような液体中に該活性化合物は溶解、懸濁、またはその他の形で入れられている(例えば、リポソームまたはその他の微粒子中に入った形で)。そのような液体はさらに、その他の薬学上許容し得る成分、例えば抗酸化剤、バター(butters)、保存剤、安定剤、静菌剤、懸濁剤、濃化剤、および溶剤などを含有することができ、それらは該製剤を、意図しているレシピエントの血液(またはその他の関連する体液)と等張とする。賦形剤の例としては、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油、および類似のものが含まれる。このような製剤中に用いられる適切な等張の担体の例としては、注射用塩化ナトリウム水溶液、リンゲル液、または乳酸加リンゲル注射液が含まれる。典型的には、その液体中の該活性化合物の濃度は約1ng/mLから約10μg/mL、例えば約10ng/mLから約1μg/mLである。該製剤は単位投与量または多数回投与量の密封容器、例えば、アンプルおよびバイアルに入れた形で提供することができ、無菌の液状担体、例えば注射用水を使用直前に添加することのみを必要とする凍結乾燥条件で保存することができる。すぐに用いることのできる注射用溶液および懸濁液は無菌の粉末、顆粒、および錠剤から調製することができる。
投与量
当業者であれば、該活性化合物、および該活性化合物を含んでいる組成物の適切な投与量は、患者毎に異なることが理解されよう。最適な投与量の決定は、通常は治療上の有益性のレベルと有害な副作用の危険性とのバランスを取ることを必要とする。選択された投与量のレベルは様々な因子によって変わり、そのような因子としては、限定はされないが、その特定の化合物の活性、投与経路、投与時間、該化合物の排泄速度、治療期間、組み合わせて用いられるその他の薬剤、化合物、および/または物質、病状の重篤度、ならびに患者(被験動物)の種、性別、年齢、体重、体調、全身の健康状態、および病歴が含まれる。一般的には投与量は作用部位で所望の効果を有害な副作用を起こすことなく達成できるような局所濃度が選択されるが、化合物の量と投与経路は究極的には医師、獣医師、または臨床医の自由裁量で決定されることとなる。
投与は1回の投与で、持続的投与で、または治療のコースを通じて間欠的に(例えば、適切な間隔をおいて分割した投与量で)行うことができる。最も効果的な投与方法と投与量を決定するための方法は当業者にはよく知られており、治療に用いる製剤、治療の目的、治療しようとする標的の細胞、および治療しようとする被験動物によって異なる。単回または複数回の投与は治療担当医師、獣医師、または臨床医によって選択された投与量とパターンで行うことができる。
通常は、該活性化合物の適切な投与量は、被験動物の体重1kgあたり1日に約100μgから約250mg(より典型的には、約100μgから約25mg)の範囲である。該活性化合物が塩、エステル、アミド、プロドラッグ、または類似のものである場合には、投与量は親の化合物の量に基づいて計算され、用いられる実際の重量は比例して増加する。
実施例
以下の実施例は本発明を説明するためにのみ提供するもので、本明細書に記載の本発明の範囲を制限することを意図していない。
化合物の同定と純度は13Cと1H NMRを用いて、正確な融点または沸点を得ることができるモデル文献化合物(ABD-0006およびABD-0009)(4Aおよび4B)と比較して調べた。多くの化合物はまた、ガスクロマトグラフィー-マススペクトロメトリー(GC-MS)を用いても確認した。
一般的方法
方法1:酸塩化物およびアルコールを用いたエステル化
アルコール(0.1モル)を無水ピリジン(50mL)中に溶解し、氷浴中で冷却した。酸塩化物(0.02モル)を激しく撹拌しつつ滴下して添加し、その混合物を室温で一晩撹拌した。その混合物を水(200mL)に注ぎ入れ、塩化メチレン(100mL)で抽出した。有機相を2M HCl(3 x 100mL)、水、飽和NaHCO3、および水で順次洗った。その溶液をNa2SO4上で乾燥させ、油または非晶質固形物となるまで蒸発させた。生成物を塩化メチレン(<5mL)中に溶解し、カラム(シリカゲル 60, Merck)上に吸収させ、石油エーテルと酢酸エチルの混合物(通常は1:1の混合物で十分である)を用いて精製した。溶媒を蒸発させて油または固形物を得た。
方法2:酸とアルコールを用いたエステル化
アルコール(0.2モル)を沸騰水浴中で加熱した。酸(0.02モル)を添加した後、激しく撹拌しつつ濃H2SO4を20滴添加した。撹拌を3時間または酸が全て溶解するまで続けた。その溶液を水(200mL)中に注ぎ入れ、塩化メチレンで抽出した。有機相を水、飽和NaHCO3、および水で洗った。その溶液をNa2SO4上で乾燥し、方法1に記載のとおり精製した。
方法3:酸無水物とアルコールを用いたエステル化
ピリジン(25mL)および無水酢酸(25mL)を0℃で撹拌した。ピリジン(10mL)中のアルコール(4ミリモル)を滴下して添加した。その混合物を室温で一晩撹拌し、次いで、2時間、沸騰水浴させた。次いでその混合物を水(200mL)中に注ぎ入れ、塩化メチレン(100mL)で抽出した。有機相を水、2M HCl(2 x 100mL)、水、飽和NaHCO3(100mL)、および水で順次洗った。有機相をNa2SO4上で乾燥し、蒸発させて、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル、3:1)で精製した。
方法4:Friedel-Craftsアシル化によるカルボン酸ビフェニルの調製
ビフェニル(0.03モル)を、ニトロベンゼン(40mL, 0.04モル)中の1M AlCl3に、氷浴で冷却しつつ添加した。塩化アセチル(0.06モル)を滴下して添加し、その混合物を室温で一晩撹拌した。その暗色の溶液を砕いた氷(150mL)、水(25mL)、および濃HCl(50mL)の混合物中に注ぎ入れた。有機相を分離し、ニトロベンゼンを蒸留で除去して暗色で低融点の固形物を得た。その固形物をメタノール水溶液から再結晶させた。
方法5:酢酸基の遊離酸への酸化
水(25mL)中にNaOH(7g)を溶解し、氷浴中で冷却した。臭素(7.8g)を滴下して添加しNaOBrの溶液を得た。方法4から酢酸ビフェニル(0.01モル)を得てジオキサン(35mL)中に溶解し、水浴中で50℃に加温した。そのNaOBr溶液を酢酸ビフェニルの撹拌溶液中に緩徐に添加し、50℃でさらに20分間撹拌を続けた。その溶液を冷却し、メタ亜硫酸水素ナトリウム(Na2S2O5)(40mLの水中に8g)の溶液を添加した後、水(170mL)を添加した。その液体の50mLを減圧下で加熱しつつ蒸発させた。残存物を濃HCl(5mL)で酸性化し、冷却すると白色沈殿が形成された。その沈殿をろ過し、酢酸から再結晶させた。
方法6:Suzukiカプリングによるビフェニルの調製
置換のある臭化ベンジル(例えば4-ブロモトルエン)(16ミリモル)を無水エーテル(15mL)中に溶解し、マグネシウム(0.4g, 16ミリモル)と反応させてグリニャール試薬を形成させた。その反応を開始させるには穏和な加熱がおそらく必要であろう。ホウ酸トリメチル(0.42g, 4ミリモル)をエーテル(5mL)中に溶解した。該グリニャール試薬をこの溶液に激しく撹拌しつつ滴下して添加した。その反応混合物を15分間煮沸してアリールボランを得た。水(70mL)中にNaOH(2g)、4-ヨード安息香酸(10ミリモル)、およびPdCl2(0.1ミリモル)を含有する溶液を調製し、該アリールボランに激しく撹拌しつつ滴下して添加した。添加後、その混合物を1時間煮沸し、冷却し、エーテルで抽出した。水相を塩化メチレンで抽出した。次いでその水相をHClで酸性化し、塩化メチレンで抽出した後、ジエチエルエーテルで抽出した。最後の2つの画分を飽和NaHCO3溶液と水で洗った。4つの画分を全て併せ、Na2SO4上で乾燥し、蒸発させて非晶質の固形物を得た。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル, 1:1)で精製して所望の生成物を白色粉末として得た。
方法7:アセチル化
ピリジン(25mL)中にアルコール(10mL)を溶解し、無水酢酸(10mL)を滴下して添加した。その混合物を一晩撹拌し、水(200mL)中に注ぎ入れ、塩化メチレン(100mL)で抽出した。有機相を水、2M HCl(2 x 100mL)、水、飽和NaHCO3(100mL)、および水で順次洗った。その有機相をNa2SO4上で乾燥し、蒸発させ、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル, 3:1)で精製した。
方法8:酸塩化物の調製
酸(10ミリモル)を塩化チオニル(SOCl2)(30mL)中に溶解し、3時間還流した。その混合物を酢酸(100mL)中に注ぎ入れ、発泡が止まるまで静置した。揮発性の成分を真空下で除去し、その混合物を一晩静置して結晶化させた。所望の酸塩化物をろ過して集めた。
方法9:4-ブロモブタノールの調製
還流させているテトラヒドロフラン(400mL)に1時間かけて48% 臭化水素酸(200mL)を添加した。還流を4時間続けた。その溶液を冷却し、過剰のHBrをNaHCO3で中和し、水で分配した。有機相を分離し、塩水で洗い、MgSO4上で乾燥した。溶媒を蒸発させて4-ブロモブタノールを油として得た。
1,4-ブタンジオール ジ(酢酸)エステル (ABD-0006)(4A)
標題の化合物を無水酢酸および1,4-ブタンジオールから方法3を用いて調製し、減圧下で蒸留して精製して澄明な油を得た(収率60%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 20.96, 25.3, 63.9 および 171.1 δH(CDCl3, 250 MHz): 1.70 (4H, m), 2.02 (6H, m) および 4.10 (4H, m)
1,4-ブタンジオール ジ(酪酸)エステル (ABD-0007)(4BU)
標題の化合物を酪酸および1,4-ブタンジオールから方法2を用いて調製し、澄明な油を得た(収率85%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 13.6, 18.4, 25.4, 36.2, 63.7, および 173.7 δH (CDCl3, 250 MHz): 0.92 (6H, t, J 7.3), 1.58-1.70 (8 H, m), 2.26 (4H, t, J 7.3) および 4.07 (4 H, m)
1,4-ブタンジオール ジ(シクロヘキサンカルボン酸)エステル (ABD-0019)(4C)
標題の化合物をシクロヘキサンカルボニルクロリドおよび1,4-ブタンジオールから方法1を用いて調製し、時間と共に固化する澄明な油を得た(収率30%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 25.5, 25.8, 29.0, 43.2, 63.6 および 176.1
1,4-ブタンジオール ジ(安息香酸)エステル (ABD-0009)(4B)
標題の化合物を安息香酸および1,4-ブタンジオールから方法2を用いて調製し、白色の結晶性固形物を得た(収率80%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 25.6, 64.5, 128.4, 129.6, 130.3, 133.0 および 166.6 δH (CDCl3, 250 MHz): 1.95 (4H, m), 4.40 (4H, m), 7.43 (4H, t, J 7.3), 7.54 (2H, d, J 7.0) および 8.04 (4H, d, J 7.0)
1,4-ブタンジオール ジ(フェニル酢酸)エステル (ABD-0014)(4P)
標題の化合物をフェニル酢酸および1,4-ブタンジオールから方法2を用いて調製し、白色の固形物を得た(収率50%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 19.8, 23.8, 36.3, 57.1, 59.5, 121.9, 123.4, 124.1, 128.9, 157.4 および 166.5 δH (CDCl3, 250 MHz): 1.64 (4H, m), 3.61 (4H, s), 4.08 (4H, m) および 7.29 (10H, m)
1,6-ヘキサンジオール ジ(フェニル酢酸)エステル (ABD-0017)(6P)
標題の化合物をフェニル酢酸および1,6-ヘキサンジオールから方法2を用いて調製し、澄明な油を得た(収率90%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 25.5, 28.4, 41.5, 64.7, 127.1, 128.6, 129.3, 134.2, および 171.6
1,4-ブタンジオール ジ(ペンタフルオロ安息香酸)エステル (ABD-0085)(10F)
標題の化合物をペンタフルオロベンゾイルクロリドおよび1,4-ブタンジオールから方法1を用いて調製し、白色の固形物を得た。カラムクロマトグラフィーを行って標題の化合物を最初の画分として得た(収率20%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 25.0 および 66.0
1,4-ブタンジオール ジ(2,4-ジフルオロ安息香酸)エステル (ABD-0111)(D2,4FB)
標題の化合物を2,4-ジフルオロベンゾイルクロリドおよび1,4-ブタンジオールから方法1を用いて調製し、澄明な油を得た。カラムクロマトグラフィーを行って標題の化合物を最初の画分として得た(収率20%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 25.4, 64.9, 105.2 (t, J 26.4), 111.6 (dd, J 21.5, 2.9) および 133.9 (d, J 10.7)
2,2,3,3-テトラフルオロブタン-1,4-ジオール ジ(ビフェニル-4-カルボン酸)エステル (ABD-0096)(DBP-4F)
標題の化合物を2,2,3,3-テトラフルオロブタン-1,4-ジオールおよびビフェニルカルボニルクロリドから方法1を用いて調製し、白色の生成物を得た(収率20%)。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル, 1:1)で精製して標題の化合物を最初の画分として得た。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 127.3, 127.3, 128.4, 129.0, 130.6, 139.8, 146.5 および 165.4
ビフェニル-4-カルボン酸(4-アセトキシ)ブチルエステル (ABD-0049)(4BP-アセテート)
標題の化合物をABD-0056から方法7を用いて調製し、白色の固形物を得た(収率90%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 21.0, 25.4, 25.5, 64.0, 64.5, 127.1, 127.3, 128.2, 129.0, 130.1, 140.0, 145.7, 166.5 および 171.2 δH (CDCl3, 250 MHz): 1.8 (4H, s, 2xCH2), 2.0 (3H, s, COCH3), 4.1 (2H, t, J 6.3), 4.4 (2H, t, J 6.3), 7.4 (3H, m), 7.6 (4H, 2 x d) および 8.1 (2H, d, J 8.8)
1,4-ブタンジオール モノ(安息香酸)エステル (ABD-0008)(4MB)
標題の化合物をベンゾイルクロリドおよび1,4-ブタンジオールから方法1を用いて調製し、青白色の油を得た(収率40%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 25.2, 29.1, 62.4, 64.8, 128.4, 129.6, 132.9, 133.0, および 164.1
1,4-ブタンジオール モノ(4-ヨード安息香酸)エステル (ABD-0069)(4IB)
標題の化合物を4-ヨードベンゾイルクロリドおよび1,4-ブタンジオールから方法1を用いて調製し、澄明な油を得た(収率90%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 25.2, 29.2, 62.3, 65.1, 100.7, 129.8, 131.0, 137.7 および 166.2
1,4-ブタンジオール モノ(ペンタフルオロ安息香酸)エステル (ABD-0077)(4FB)
標題の化合物をペンタフルオロベンゾイルクロリドおよび1,4-ブタンジオールから方法1を用いて調製し、澄明な油を得た。カラムクロマトグラフィーを行って標題の化合物を2番目の画分として得た(収率55%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 25.0, 28.9, 62.2 および 66.7 δH (CDCl3, 250 MHz): 1.46 (1H, s, OH), 1.72 (2H, m), 1.86 (2H, m), 3.73 (2H, t, J 6.4) および 4.42 (2H, t, J 6.4)
1,4-ブタンジオール モノ(2,3,6-トリフルオロ安息香酸)エステル (ABD-0106)(2,3,6-FB)
標題の化合物を2,3,6-トリフルオロ安息香酸および1,4-ブタンジオールから方法2を用いて調製し、澄明な油を得た。カラムクロマトグラフィーを行って標題の化合物を2番目の画分として得た(収率60%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 25.0, 29.0, 62.3, 66.2, 111.6 および 119.6
1,4-ブタンジオール モノ(3,4-ジフルオロ安息香酸)エステル (ABD-0107)(3,4-FB)
標題の化合物を3,4-ジフルオロベンゾイルクロリドおよび1,4-ブタンジオールから方法1を用いて調製し、澄明な油を得た。カラムクロマトグラフィーを行って標題の化合物を2番目の画分として得た(収率70%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 25.2, 29.1, 62.3, 65.4, 117.4 (d, J 17.6), 118.9 (d, J 18.6), 126.5 (d, J 3.9) および 127.3
1,4-ブタンジオール モノ(2,3,4-トリフルオロ安息香酸)エステル (ABD-0108)(2,3,4-FB)
標題の化合物を2,3,4-トリフルオロ安息香酸および1,4-ブタンジオールから方法2を用いて調製し、澄明な油を得た。カラムクロマトグラフィーを行って標題の化合物を2番目の画分として得た(収率85%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 25.1, 29.1, 62.3, 65.7, 112.3 および 126.1
1,4-ブタンジオール モノ(2,4,5-トリフルオロ安息香酸)エステル (ABD-0109)(2,4,5-FB)
標題の化合物を2,4,5-トリフルオロベンゾイルクロリドおよび1,4-ブタンジオールから方法1を用いて調製し、白色の固形物を得た。カラムクロマトグラフィーを行って標題の化合物を2番目の画分として得た(収率65%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 25.1, 29.0, 62.1, 65.7, 107.1 および 120.0
1,4-ブタンジオール モノ(2,4-ジフルオロ安息香酸)エステル (ABD-0110)(2,4-FB)
標題の化合物を2,4-ジフルオロベンゾイルクロリドおよび1,4-ブタンジオールから方法1を用いて調製し、澄明な油を得た。カラムクロマトグラフィーを行って標題の化合物を2番目の画分として得た(収率70%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 25.1, 29.2, 62.3, 65.3, 105.2 (t, J 26.4), 111.6 (dd, J 21.5, 2.9) および 133.9 (d, J 10.7)
1,3-プロパンジオール モノ[2-(4-イソブチルフェニル)プロピオン酸]エステル (ABD-0037)(3I)
標題の化合物をイブプロフェンおよび1,3-プロパンジオールから方法2を用いて調製し、澄明な油を得た(収率70%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 18.4, 22.4, 30.2, 31.7, 45.0, 45.2, 59.1, 61.7, 127.1, 129.4, 137.7, 140.7 および 175.3
1,4-ブタンジオール モノ[2-(4-イソブチルフェニル)プロピオン酸]エステル (ABD-0036)(4I)
標題の化合物をイブプロフェンおよび1,4-ブタンジオールから方法2を用いて調製し、澄明な油を得た(収率75%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 18.4, 22.4, 25.0, 29.0, 30.2, 45.0, 62.2, 64.5, 127.2, 129.3, 137.8, 140.6 および 174.9
1,5-ペンタンジオール モノ[2-(4-イソブチルフェニル)プロピオン酸]エステル (ABD-0038)(5I)
標題の化合物をイブプロフェンおよび1,5-ペンタンジオールから方法2を用いて調製し、澄明な油を得た(収率70%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 18.5, 22.1, 22.4, 28.3, 30.2, 32.2, 45.0, 45.2, 62.7, 64.6, 127.2, 129.3, 137.9, 140.5 および 174.9
1,6-ヘキサンジオール モノ[2-(4-イソブチルフェニル)プロピオン酸]エステル (ABD-0039)(6I)
標題の化合物をイブプロフェンおよび1,6-ヘキサンジオールから方法2を用いて調製し、澄明な油を得た(収率75%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 18.5, 22.4, 25.3, 25.6, 28.5, 30.2, 32.5, 45.0, 45.2, 62.7, 64.6, 127.2, 129.3, 137.9, 140.5 および 174.9
1,4-ブタンジオール モノ(4-ベンジル安息香酸)エステル (ABD-0034)(4PT)
標題の化合物を4-ベンジル安息香酸および1,4-ブタンジオールから方法2を用いて調製し、澄明な油を得た(収率45%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 25.1, 29.1, 39.7, 62.4, 64.8, 126.0, 128.9, 129.1, 131.7, 132.9, 130.1, 140.8, 143.4 および 172.8
1,4-ブタンジオール(ビフェニル-2-カルボン酸)エステル (ABD-0059)(4BPX)
標題の化合物をビフェニル-2-カルボン酸および1,4-ブタンジオールから方法2を用いて調製し、澄明な油を得た(収率40%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 24.6, 28.9, 62.3, 64.9, 127.3, 128.1, 128.5, 129.9, 130.6, 130.7, 131.2, 131.9, 141.2, 141.7, 142.3, 143.2 および 169.2
1,3-プロパンジオール モノ(ビフェニル-4-カルボン酸)エステル (ABD-0057)(3BP)
標題の化合物をビフェニル-4-カルボニルクロリドおよび1,3-プロパンジオールから方法1を用いて調製し、白色の固形物を得た(収率80%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 14.2, 30.9, 32.0, 127.1, 127.3, 128.2, 129.3, 130.1, 140.0, 145.8 および 166.9
1,4-ブタンジオール モノ(ビフェニル-4-カルボン酸)エステル (ABD-0056)(4BP)
標題の化合物をビフェニル-4-カルボニルクロリドおよび1,4-ブタンジオールから方法1を用いて調製し、白色の固形物を得た(収率85%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 25.3, 29.3, 62.4, 64.8, 127.1, 127.3, 128.2, 129.0, 129.1, 130.1, 130.7, 140.0, 145.7 および 166.6 δH (CDCl3, 250 MHz): 1.74-1.77 (2H, m), 1.86-1.89 (2H, m), 2.63 (1H, s, OH), 3.74 (2H, t, J 6.3), 4.38 (2H, t, J 6.3), 7.45 (3H, m), 7.63 (4H, m) および 8.10 (2H, d, J 8.5). m/z (実験から得られた分子量値, 270. C17H18O3 からの計算値 270)
1,5-ペンタンジオール モノ(ビフェニル-4-カルボン酸)エステル (ABD-0055)(5BP)
標題の化合物をビフェニル-4-カルボニルクロリドおよび1,5-ペンタンジオールから方法1を用いて調製し、白色の固形物を得た(収率80%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz) 22.4, 28.6, 32.4, 62.7, 65.0, 127.1, 127.3, 128.2, 129.0, 129.1, 130.1, 140.0, 145.6 および 166.7; m/z (実験から得られた分子量値, 284. C18H20O3 からの計算値 284)
1,6-ヘキサンジオール モノ(ビフェニル-4-カルボン酸)エステル (ABD-0054)(6BP)
標題の化合物をビフェニル-4-カルボニルクロリドおよび1,6-ヘキサンジオールから方法1を用いて調製し、白色の固形物を得た(収率85%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz) 25.5, 25.9, 28.8, 32.7, 62.9, 65.0, 127.1, 127.3, 128.2, 129.0, 129.2, 130.1, 140.1, 145.7 および 166.7. m/z (実験から得られた分子量値, 298. C19H22O3 からの計算値 298)
2,2,3,3-テトラフルオロブタン-1,4-ジオール モノ(ビフェニル-4-カルボン酸)エステル (ABD-0095)(BP-4F)
標題の化合物をビフェニル-4-カルボニルクロリドおよび2,2,3,3-テトラフルオロブタン-1,4-ジオールから方法1を用いて調製し、澄明な油を得た(収率65%)。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル, 1:1)で精製して標題の化合物を2番目の画分として得た。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 60.4 (t, J 26.4), 127.3, 127.3, 128.4, 129.0, 130.6, 139.8, 146.5 および 165.4
1,4-ブタンジオール モノ(4'-メチルビフェニル-4-カルボン酸)エステル (ABD-0070)(Me4BP)
標題の化合物を4'-メチルビフェニル-4-カルボン酸(4-ブロモトルエンから方法6を用いて調製したもの)および1,4-ブタンジオールから方法2を用いて調製し、白色の固形物を得た(収率20%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 21.2, 25.3, 29.3, 62.4, 64.8, 126.8, 127.1, 128.8, 129.7, 130.1, 137.1, 138.2, 145.6 および 166.7
1,4-ブタンジオール モノ(4'-ヒドロキシビフェニル-4-カルボン酸)エステル (ABD-0072)(HO4BP)
標題の化合物を4'-ヒドロキシビフェニル-4-カルボン酸(これは4'-tert-ブチルクロロジフェニルシリルエーテルとしてまず最初に保護されたもの)および1,4-ブタンジオールから、方法2を用いて調製し(シリル保護基は反応中に除去された)、標題の化合物を白色の粉末として得た(収率15%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 25.1, 29.0, 60.3, 64.6, 115.9, 126.0, 127.6, 128.2, 129.5, 144.7, 158.0 および 165.7
この保護された酸は次のとおり調製した:ピリジン(50mL)中に4'-ヒドロキシビフェニル-4-カルボン酸(4.2g, 20ミリモル)を溶解した。tert-ブチルクロロジフェニルシラン(TBDPSi-Cl)(11g, 40ミリモル)を滴下して添加した後、触媒量の4-ジメチルアミノピリジン(0.1g)を添加した。その溶液を一晩撹拌した後、水(200mL)中に注ぎ入れ、塩化メチレン(100mL)で抽出した。有機相を2M HCl(100mL)で洗うと酸の沈殿が生じた。その酸をろ過して集め、ジエチルエーテル中に溶解し、水で洗った。塩化メチレン層を水で洗い、2つの有機相を併せ、Na2SO4上で乾燥した。蒸発させ、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル, 1:1)で精製してシリル化生成物を白色の固形物として得た。
1,4-ブタンジオール モノ(3',4'-ジメチルビフェニル-4-カルボン酸)エステル (ABD-0089)(Xy4BP)
標題の化合物を3',4'-ジメチルビフェニル-4-カルボン酸(4-ブロモ-o-キシレンから方法6を用いて調製したもの)および1,4-ブタンジオールから方法2を用いて調製し、澄明な油を得た(収率15%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 19.5, 20.0, 25.3, 29.2, 62.3, 64.8, 124.6, 126.8, 128.5, 128.6, 130.0, 130.2, 136.8, 137.2, 137.5, 145.8 および 166.8
1,4-ブタンジオール モノ(4'-エチルビフェニル-4-カルボン酸)エステル (ABD-0094)(Et4BP)
標題の化合物を4'-エチルビフェニル-4-カルボン酸(4-ブロモエチルベンゼンから方法6を用いて調製したもの)および1,4-ブタンジオールから方法2を用いて調製し、白色の粉末を得た(収率25%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 15.6, 25.3, 28.6, 29.3, 62.4, 64.8, 126.9, 127.2, 128.5, 128.8, 130.1, 137.3, 144.5, 145.6 および 166.7 δH (CDCl3, 250 MHz): 1.27 (3H, t, J 7.6), 1.76 (2H, m), 1.86 (2H, m), 2.43 (1H, br s), 2.70 (2H, q, J 7.6), 3.74 (2H, t, J 6.4), 4.38 (2H, t, J 6.4), 7.29 (2H, d, J 8.2), 7.54 (2H, d, J 8.2), 7.64 (2H, d, J 8.2), 8.08 (2H, d, J 8.2)
1,4-ブタンジオール モノ(4'-メトキシビフェニル-4-カルボン酸)エステル (ABD-0097)(4-OMeBP)
標題の化合物を4'-メトキシビフェニル-4-カルボン酸(4-メトキシビフェニルから方法4および5を用いて調製したもの)および1,4-ブタンジオールから方法2を用いて調製した。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル, 1:1)で精製して標題の化合物を白色の粉末として得た(収率45%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 25.3, 29.3, 55.4, 62.3, 64.8, 114.4, 126.5, 128.4, 130.1, 132.4, 145.2, 159.8 および 166.7 δH (CDCl3, 250 MHz): 1.60 (1H, s, OH), 1.76 (2H, m), 1.85 (2H, m), 3.73 (2H, t, J 6.4), 3.85 (3H, s, OMe), 4.37 (2H, t, J 6.4), 6.98 (2H, d, J 8.8), 7.56 (2H, d, J 8.8), 7.61 (2H, d, J 8.2) および 8.06 (2H, d, J 8.5)
1,4-ブタンジオール モノ(2'-ニトロビフェニル-4-カルボン酸)エステル (ABD-0098)(2-NO
2BP)
標題の化合物を2'-ニトロビフェニル-4-カルボン酸(2-ニトロビフェニルから方法4および5を用いて調製したもの)および1,4-ブタンジオールから方法2を用いて調製した。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル, 1:1)で精製して標題の化合物を淡黄色の油として得た(収率15%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 25.3, 29.2, 62.4, 65.0, 124.4, 128.0, 128.9, 129.9, 130.1, 131.8, 132.7, 135.6, 142.2, 149.0 および 166.2 δH (CDCl3, 250 MHz): 1.62 (1H, s, OH), 1.76 (2H, m), 1.85 (2H, m), 3.73 (2H, t, J 6.4), 4.38 (2H, t, J 6.4), 7.37 (2H, d, J 8.5), 7.41 (1H, dd, J 7.9, 1.5), 7.52 (1H, J 7.9, 1.5), 7.64 (1H, td, J 7.6, 1.2), 7.91 (1H, d, 8.2) および 8.10 (2H, d, J 8.5)
1,4-ブタンジオール モノ(2'-フルオロビフェニル-4-カルボン酸)エステル (ABD-0099)(2-FBP)
標題の化合物を2'-フルオロビフェニル-4-カルボン酸(2-フルオロビフェニルから方法4および5を用いて調製したもの)および1,4-ブタンジオールから方法2を用いて調製した。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル, 1:1)で精製して生成物を澄明な油として得た(収率25%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 25.3, 29.2, 62.4, 64.9, 116.3 (d, J 23.4), 124.5, (d, J 2.9), 128.0 (d, J 13.7), 129.0 (d, J 2.0), 129.4, 129.7, 129.8 (d, J 13.7), 130.6 (d, J 2.0), 140.4, 159.6 (d, J 249.0) および 166.6 δH (CDCl3): 1.67 (1H, s, OH), 1.76 (2H, m), 1.88 (2H, m), 3.73 (2H, t, J 6.4), 4.38 (2H, t, J 6.4), 7.16 (1H, m), 7.24 (1H, dd J 8.8, 1.2), 7.33 (1H, m), 7.44 (1H, dt, J 7.6, 1.8) 7.61 (2H, dd, J 8.5, 1.8) および 8.10 (2H, d, J 8.5)
1,4-ブタンジオール モノ(4'-フルオロビフェニル-4-カルボン酸)エステル (ABD-0100)(4-FBP)
標題の化合物を4'-フルオロビフェニル-4-カルボン酸(4-フルオロビフェニルから方法4および5を用いて調製したもの)および1,4-ブタンジオールから方法2を用いて調製した。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル, 1:1)で精製して標題の化合物を白色の固形物として得た(収率50%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 25.3, 29.2, 62.4, 64.9, 115.9 (d, J 22.5), 126.9, 128.9 (d, J 8.8), 129.1, 130.2, 136.1 (d, J 2.9), 144.6, 163.0 (d, J 248.0) および 166.6 δH (CDCl3, 250 MHz): 1.58 (1H, s, OH), 1.74 (2H, m), 1.86 (2H, m), 3.74 (2H, t, J 6.4), 4.38 (2H, t, J 6.4), 7.14 (2H, t, J 8.8), 7.56 (2H, d, J 8.8), 7.59 (2H, dd, J 8.2) および 8.08 (2H, d, J 8.5)
1,4-ブタンジオール モノ(4'-ブロモビフェニル-4-カルボン酸)エステル (ABD-0102)(4-BrBP)
標題の化合物を4'-ブロモビフェニル-4-カルボン酸(4-ブロモビフェニルから方法4および5を用いて調製したもの)および1,4-ブタンジオールから方法2を用いて調製した。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル, 1:1)で精製して標題の化合物を白色の固形物として得た(収率30%)。
δC (DMSO, 62.9 MHz): 25.3, 29.3, 62.4, 64.9, 122.6, 126.9, 128.9, 129.4, 130.2, 132.1, 138.0, 144.4 および 166.4
1,4-ブタンジオール モノ(トリフェニル酢酸)エステル (ABD-0028)(4T)
標題の化合物をトリフェニルアセチルクロリド(トリフェニル酢酸から方法8を用いて調製したもの)および1,4-ブタンジオールから方法1を用いて調製し、標題の化合物を白色の粉末として得た(収率45%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 24.8, 29.0, 62.2, 65.5, 67.6, 126.9, 127.8, 130.3, 143.0 および 173.7
1,5-ペンタンジオール モノ(トリフェニル酢酸)エステル (ABD-0030)(5T)
標題の化合物をトリフェニルアセチルクロリド(トリフェニル酢酸から方法8を用いて調製したもの)および1,5-ペンタンジオールから方法1を用いて調製し、標題の化合物を白色の粉末として得た(収率35%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 22.1, 28.1, 32.1, 62.6, 65.6, 67.6, 126.9, 127.7, 130.3, 143.0 および 173.7
1,6-ヘキサンジオール モノ(トリフェニル酢酸)エステル (ABD-0031)(6T)
標題の化合物をトリフェニルアセチルクロリド(トリフェニル酢酸から方法8を用いて調製したもの)および1,6-ヘキサンジオールから方法1を用いて調製し、標題の化合物を白色の粉末として得た(収率35%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 25.2, 25.6, 28.3, 32.5, 62.8, 65.6, 67.6, 126.9, 127.7, 130.3, 143.0 および 173.7
1,3-プロパンジオール モノ(ビフェニル-4-イル-酢酸)エステル (ABD-0041)(3BPA)
標題の化合物をビフェニル-4-イル-酢酸および1,3-プロパンジオールから方法2を用いて調製し、白色の固形物を得た(収率75%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 31.7, 41.1, 59.1, 62.0, 127.1, 127.4, 128.8, 129.7, 133.0, 140.2, 140.8 および 172.1
1,4-ブタンジオール モノ(ビフェニル-4-イル-酢酸)エステル (ABD-0042)(4BPA)
標題の化合物をビフェニル-4-イル-酢酸および1,4-ブタンジオールから方法2を用いて調製し、白色の固形物を得た(収率80%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 25.1, 29.1, 41.1, 62.3, 64.8, 127.1, 127.4, 128.8, 129.7, 133.1, 140.1, 140.8 および 171.8. m/z (実験から得られた分子量値, 284. C18H20O3 からの計算値 284)
1,5-ペンタンジオール モノ(ビフェニル-4-イル-酢酸)エステル (ABD-0043)(5BPA)
標題の化合物をビフェニル-4-イル-酢酸および1,5-ペンタンジオールから方法2を用いて調製し、白色の固形物を得た(収率75%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 22.2, 28.4, 32.3, 41.1, 62.6, 65.0, 127.1, 127.3, 128.8, 129.7, 133.2, 140.1, 140.8 および 171.8
1,6-ヘキサンジオール モノ(ビフェニル-4-イル-酢酸)エステル (ABD-0044)(6BPA)
標題の化合物をビフェニル-4-イル-酢酸および1,6-ヘキサンジオールから方法2を用いて調製し、白色の固形物を得た(収率70%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 25.4, 25.7, 28.6, 32.6, 41.1, 62.8, 65.0, 127.1, 127.3, 128.8, 129.7, 133.2, 140.0, 140.8 および 171.8
1,4-ブタンジオール モノ(ナフト-1-イル-酢酸)エステル (ABD-0032)(4N)
標題の化合物をナフト-1-イル-酢酸および1,4-ブタンジオールから方法2を用いて調製し、澄明な油を得た(収率70%)。
δC (CDCl3): 25.0, 29.0, 39.3, 62.1, 64.8, 123.8, 125.6, 125.8, 126.4, 128.1, 128.1, 128.9, 130.7, 132.1, 133.8 および 171.8
1,4-ブタンジオール モノ(ホモベラトルム酸(homoveratric acid))エステル (ABD-0033)(4H)
標題の化合物をホモベラトルム酸および1,4-ブタンジオールから方法2を用いて調製し、澄明な油を得た(収率90%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 25.1, 29.0, 41.0, 55.9, 62.2, 64.7, 111.2, 112.4, 121.4, 126.5, 148.1, 148.9 および 172.0
ブチル[2-(4-イソブチルフェニル)プロピオン酸]エステル (ABD-0035)(BuI)
標題の化合物をイブプロフェンとブタノールから方法2を用いて調製し、澄明な油を得た(収率85%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 13.7, 18.5, 19.0, 22.4, 30.2, 30.6, 45.1, 45.2, 64.6, 127.2, 129.3, 137.9, 140.5 および 174.9
ブチル(ビフェニル-4-イル-酢酸)エステル (ABD-0040)(BuBPA)
標題の化合物をビフェニル酢酸およびブタノールから方法2を用いて調製し、澄明な油を得た(収率70%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 13.8, 19.1, 30.7, 41.1, 64.9, 127.1, 127.3, 128.8, 129.7, 133.3, 140.0, 140.9 および 171.7
ブチル(ビフェニル-4-カルボン酸)エステル(ABD-0053)(BuBP)
標題の化合物をビフェニル-4-カルボニルクロリドおよびブタノールから方法1を用いて調製し、白色の固形物を得た(収率85%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz) 13.8, 19.3, 30.9, 64.9, 127.1, 127.3, 128.1, 129.0, 130.1, 140.1, 145.6 および 166.6; m/z (実験から得られた分子量値, 254. C17H18O2 からの計算値 254)
ペンチル(ビフェニル-4-カルボン酸)エステル(ABD-0090)(PBP)
標題の化合物をビフェニル-4-カルボニルクロリドおよびペンタノールから方法1を用いて調製し、澄明な油を得た(収率85%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 14.1, 22.4, 28.3, 28.5, 65.2, 127.1, 127.3, 128.1, 128.9, 129.3, 130.1, 140.1, 145.6 および 166.6
4-メトキシブチル(ビフェニル-4-カルボン酸)エステル (ABD-0050)(4BP-OMe)
粉末NaOH(1.5g)を含有するアセトン(20mL)中にABD-0056(7ミリモル)を溶解した。硫酸ジメチル(1.5g, 12ミリモル)を滴下して添加し、その混合物を一晩撹拌してスラリーを得た。そのスラリーを水(200mL)中に注ぎ入れ、塩化メチレン(100mL)で洗った。有機相を澄明となるまで水で洗った。その有機相をNa2SO4上で乾燥し、溶媒を蒸発させ、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル, 1:1、その後石油エーテル:酢酸エチル, 5:1を用いて反復した)を行って標題の化合物を黄色の油として得た(収率50%)。
δC(CDCl3, 62.9 MHz): 25.6, 26.3, 58.7, 64.8, 72.2, 127.1, 127.3, 128.2, 129.0, 129.2, 130.1, 140.0, 145.6 および 166.6
4-ブロモブチル(ビフェニル-4-カルボン酸)エステル (ABD-0086)(4BP-Br)
標題の化合物をビフェニル-4-カルボニルクロリドおよび4-ブロモブタノール(方法9を用いて調製したもの)から方法1を用いて調製し、標題の化合物を淡褐色の油として得た(収率20%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 26.2, 29.3, 44.6, 64.2, 127.1, 127.3, 128.2, 129.0, 130.1, 140.0, 145.7 および 166.5
4-ニトロオキシブチル(ビフェニル-4-カルボン酸)エステル (ABD-0087)(4BP-NO
2)
標題の化合物をABD-0086(5ミリモル)から、アセトニトリル(50mL)中でAgNO3(25ミリモル)と共に24時間撹拌することによって調製した。その混合物をろ過し、ろ液を蒸発させ、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル, 4:1)で精製して標題の化合物を淡黄色の油として得た(収率55%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 23.8, 25.2, 64.0, 72.7, 127.1, 127.3, 128.2, 128.8, 129.0, 130.1, 139.9, 145.8 および 166.4
4-ニトロオキシブチル(2,2',4'-トリニトロビフェニル-4-カルボン酸)エステル (ABD-0088)(4xNO
2-BP)
ABD-0056(10ミリモル)を硝酸(50mL)中で攪拌し、温度を緩徐に上昇させて5時間で80℃とした。その混合物を水(250mL)中に注ぎ入れ、塩化メチレン(100mL)で抽出した。有機相を水、飽和NaHCO3、および水で洗い、Na2SO4で乾燥し蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:石油エーテル, 1:1)を行って標題の化合物を濃黄色の油として得た(収率20%)。
δC (CDCl3, 62.9 MHz): 23.7, 25.1, 65.3, 72.4, 120.6, 126.2, 127.9, 130.7, 131.9, 132.4, 134.5, 136.5, 139.7, 146.7, 147.0, 148.0 および 163.7 δH (CDCl3, 250 MHz): 1.95 (4H, m), 4.47 (2H, m), 4.54 (2H, m), 7.40 (1H, d, J 7.9), 7.54 (1H, d, J 8.5), 8.38 (1H, dd, J 7.9, 1.8), 8.55 (1H, dd, J 8.5, 2.4), 8.90 (1H, d, J 1.5)および 9.10 (1H, d, J 2.4)
生物学的研究
候補化合物の第1次スクリーニングは、マクロファージ細胞系統J774の培養液について、細胞の生存能のアッセイを用いて行ったが、このJ774は破骨細胞の生存のモデルシステムとして以前から用いられていたものである(例えば、Luckmanら, 1998を参照せよ)。このアッセイはJ774マクロファージ細胞系統の生存能に基づくものである;マクロファージは破骨細胞との関連性が密接であり、破骨細胞と類似の高いエステラーゼ活性を有している。
MTT マクロファージJ774生存アッセイ
J774細胞を、96ウエルのプレートに1ウエルあたり150μLのαMEM(α修飾Eagle培地)中に104個の細胞を含む液を蒔き、一晩増殖させた。翌日、その培養液に化合物を添加し、培養をさらに72時間続けた。培養の終了時に細胞の生存能を、既に報告されているテトラゾリウム色素をベースとしたMTTアッセイで調べた(例えば、MacPhersonら, 1999を参照せよ)。
MTT(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド)は橙色であり、細胞培養に用いられた培地に可溶性である。ミトコンドリアの酵素であるコハク酸デヒドロゲナーゼは生細胞中のMTTに作用して不溶性の紫色のホルマザンを生成する。生成されたホルマザンの量は、UV/可視光スペクトルで測定するとき、生細胞数に比例する。
簡潔に記せば、MTT(αMEM中の5mg/mL MTT)を各ウエルに添加し(1:10 v/v, 15μL)、細胞を4時間インキュベートした。注射針を用いて、結晶層を除去することなく、培地を注意深く除去した。100μLの酸性化したイソプロパノール(イソプロパノール中に4M HCl 1:100 v/v含有)を各ウエルに添加し、紫色の結晶を溶解させた。吸光度をプレートリーダーで540nmで、690nmを参照吸光度として測定した。対照品は濃い紫色を呈し、生細胞が非常に多数あることを示していた。各供試化合物での結果は対照での平均値に対する%で表した。
化合物の添加
調べた化合物は全てDMSO中に100mMの溶液とした。これらのストック溶液を培地中に100 x に希釈した。この1mM溶液から都合の良い量(3〜15μL)を、所望の最終化合物濃度を得るために、ウエルに直接的に添加した。
Alamar Blue マクロファージJ774 生存アッセイ
J774細胞を、96ウエルのプレートに、1ウエルあたり150μLのαMEM(α修飾Eagle培地)中に104個の細胞を含む液を蒔き、一晩増殖させた。翌日、その培養液に化合物を添加し、培養をさらに72時間続けた。培養の終了時に細胞の生存能を、既に報告されているAlamar Blueアッセイを用いて調べた(例えば、Nociariら, 1998を参照せよ)。
Alamar Blueは酸化-還元感受性インジケーターである。この色素はそれ自体は酸化型の状態であり、青色で蛍光は示さない。この色素は還元する分子種、例えばNADPHおよびFADHから電子を受け取って還元型の色素となり、それは赤色で蛍光を発する。従って、酸化型から還元型への転換は蛍光分析または比色分析で測定することができる。蛍光測定には典型的には530〜560nmの励起と590nmの発光周波数が用いられる。比色測定には、570nm(還元型)および600nm(酸化型)で吸光度を測定し、単純計算を行ってこの2つの分子種の相対量を求めた。
還元型の分子種、NADPHおよびFADHの比率が、対応する酸化型の分子種であるNADPおよびFADに対して高いことは、細胞が増殖しつつあり生きていることを示している。この比率が低いことは細胞が活動を停止しているかまたは生きていないことを示している。
簡潔に記せば、Alamar Blue(Biosource International)を希釈せずに各ウエルに添加した(1:10 v/v, 15μL)。そのプレートを37℃で3〜4時間インキュベートし、蛍光を570nmでバンド幅を25nmとして測定した。測定値が高値であることは細胞が正常な生存能であることを示し、低値である場合は細胞が傷害を受けており正常には増殖しえない状態にあることを示している。対照は蛍光が高値であり、このことは生きている健康な細胞が多数あることを示している。供試化合物で強力なものは蛍光が低値を示した。各供試化合物(n=5)の結果の平均を対照での値の平均に対する%で表した。
化合物の添加
調べた化合物は全てDMSO中に100mMの溶液とした。これらのストック溶液を培地(αMEM)中に100 x または1000 xに希釈した。この1mMまたは100μM溶液から都合の良い量(3〜15μL)を、所望の最終化合物濃度を得るために、ウエルに直接的に添加した。
このアッセイはMTTアッセイを含む他のアッセイと比較して多数の利点がある:このアッセイではより高いスループットで行うことができる;より感度が高い;細胞に傷害を与えない;より迅速である;このアッセイは通常、MTTアッセイと同一の結果を与える。比較を図1に示すが、この図はABD-0028およびABD-0042に72時間暴露させた後のマクロファージJ774の生存能を、MTTとAlamar Blueの マクロファージ生存アッセイで測定した値を、対照に対する%で化合物の濃度の関数として表したものである。MTTアッセイとAlamar Blueアッセイとの間に有意な相異が認められたのは1種類の化合物(ABD-0056)のみであった。
追加研究
いくつかの化合物についてはさらに、実際の破骨細胞の2種類のモデル系で評価した:(a)マウス共培養系、および(b)ウサギ破骨細胞培養系。
マウス共培養系
第1のモデル系であるマウス共培養系は骨髄中に存在する前駆体からの破骨細胞の形成を調べるものである。破骨細胞数およびゾウゲ質吸収量を測定した。
破骨細胞の形成と活性を、Takahashiら, 1988によって最初に報告された、骨芽細胞-骨髄共培養アッセイ法を改変した方法(例えば、van't HofとRalston, 1997を参照せよ)を用いて調べた。
共培養方法
共培養(例えば、van't Hofら, 1997を参照せよ)は破骨細胞の前駆体からの形成を調べるための方法である。このアッセイでは骨芽細胞は生後2〜3日の新生仔マウスの頭蓋骨から得た。その破骨細胞をゾウゲ質の上にプレートし、RANKLとM-CSFの発現を刺激するために1,25-ジヒドロキシビタミンD3で刺激した。成獣のマウスの骨髄中には破骨細胞の初期前駆体が認められた。その骨髄懸濁液を精製して赤血球を除去し、残存物を骨芽細胞層の上に重ねて培養した。次いで刺激因子が破骨細胞前駆体を成熟した破骨細胞へと分化させた。培養の終了時に破骨細胞をTRAcP染色で同定し、吸収活性はウサギ破骨細胞で行ったものと同じ方法で測定した。
培養液をRANKLおよびM-CSFで処理することによって骨髄細胞のみから破骨細胞を作ることは可能ではあるが、共培養系は依然として信頼性と再現性が最も高い方法の1つであると考えられている。破骨細胞の前駆体と成熟した破骨細胞の双方に対する薬剤の効果を調べるには、この方法は有用である。
ゾウゲ質の調製
該ゾウゲ質はゾウの象牙としたが、それはその表面が均一であるので骨より好ましく、骨吸収によって作られるピットを容易に見ることができる。象牙を約200μmの厚さにBuehler Isomet低速鋸にダイアモンドウェハー(wafering)した刃(シリーズ15 HC)を取り付けたものを用いてスライスした。それらのスライスを、片側の面が光るまでよく磨いた。これらのスライスから、ペーパーパンチャーを用いて96ウエルのプレートのウエルの形に合うように円盤状にパンチした。磨いたことからでた過剰な残査は超音波処理して除去した。次いでその円盤を必要とするまで70%エタノール中で保管した。次いで、それらの円盤を乾燥し、磨いて光っている面を上に向けて96ウエルのプレートのウエル中に置いた。細胞をゾウゲ質の上に蒔いた。培養の完了後、これらのゾウゲ質のスライスをプレートから注意深く取り出し、顕微鏡下で調べた。
骨芽細胞の単離
簡潔に記せば、骨芽細胞を生後2日目のマウスの頭蓋骨から連続的コラゲナーゼ消化(タイプIコラゲナーゼ, Sigma)によって単離し、10% FCS(ウシ胎児血清)ならびにペニシリンおよびストレプトマイシンを添加したαMEM中で37℃で5% CO2中で培養した。
より具体的には、骨芽細胞は生後2〜3日目の新生仔MF1マウスの頭蓋骨をコラゲナーゼで消化して得た。これらのマウスの発達過程のこのステージでは頭蓋骨は柔らかく、容易に摘出することができる。5〜6匹のマウスの頭蓋骨を注意深く切開しHBSS(ハンクスの平衡塩類溶液)中で洗った。その頭蓋骨を15mLの試験管中に入れ、4mLのコラゲナーゼ(10mg/mL)中で37℃で10分間振盪させた。このことによって過剰で不要な組織が除去される。その液体を廃棄し、さらに4mLのコラゲナーゼ(10mg/mL)を試験管に添加した。次いでその頭蓋骨をさらに30分間消化させた。その後、上清(F1)を取り除きそれを保存した。頭蓋骨を2 x 4mLのPBSで洗い、その液をF1に加えた。次いで4mL EDTA(エチレンジアミン四酢酸)(PBS中に4mM)を添加してカルシウムを錯体化させ、骨芽細胞の抽出をさらに行えるようにした。このものを37℃で10分間振盪した。上清を取り、保存した(F2)。この頭蓋骨を2 x 4mLのHBSSで再度洗い、それをF2に加えた。コラゲナーゼ(10mg/mL)の最終回の4mLを試験管に添加し、これを再度37℃で30分間振盪した。これを行っている間に、F1とF2を300gで3分間、ブレーキ3で遠心した。得られたペレットを1mLの培地(10% FCS(ウシ胎児血清)ならびにペニシリンとストレプトマイシンを添加したαMEM)中に再懸濁し、それらを併せ、75cm2のフラスコ2個に入れた10mLの培地に添加した。最終のコラゲナーゼ消化から得た液体を集め(F3)、洗った頭蓋骨および抽出液を併せたものを遠心機で遠心した。得られたペレットを1mLの培地中に再懸濁し、F1とF2を含有しているフラスコに同じ比率で添加した。それらのフラスコを4〜6時間37℃で静置した後、培地を変えて接着しなかった細胞を全て除去した。これらのフラスコは37℃、5% CO2で4日間まではそのまま静置しておいても良い。
骨芽細胞のプレーティング
フラスコから培地を除去し、細胞をPBSで洗った。2mLのトリプシンを細胞に添加し、37℃で2分間インキュベートした。通常は細胞を十分に離ればなれとするためにそれらのフラスコを穏和に振盪する必要がある。10% FCSを添加した4mLの培地を添加して酵素作用を停止させた。細胞を取り出し、そのフラスコを培地で洗った。細胞懸濁液を300gで3分間遠心し、培地を除去し、得られたペレットを1mLの培地中に再懸濁した。細胞を計数し、ゾウゲ質のスライスを入れた96ウエルのプレートに、RANKLの発現を刺激するために1000 x 希釈のストック1,25-ジヒドロキシビタミンD3(最終濃度10nM/ウエル)を含有する100μLの培地中に1ウエルあたり8 x 103個の細胞を蒔いて、一晩培養した。
骨髄細胞の単離
簡潔に記せば、破骨細胞前駆体を含んでいる骨髄細胞集団を、3〜5ヶ月齢のマウスの長管骨から単離し、赤血球をFicoll-Hypaque密度勾配遠心で除去した。得られた骨髄細胞をPBS(リン酸塩緩衝食塩液)で洗い、培地中に再懸濁した。
より具体的には、2〜3匹の成獣のMF1マウス(3〜6ヶ月齢)から大腿骨と脛骨を取り出し、その周囲の組織を除去した。それらの骨を切って骨髄を採取できるようにした。骨髄を25Gの注射針とHBSS+10% FCSを用いて取り出した。単細胞懸濁液を細胞懸濁液を注射針のサイズを徐々に小さくして(19Gから始め、25Gまで)その針を通過させることによって得た。15mLの試験管に5mL Ficollを添加し、細胞懸濁液を注意深くその上に層間の混合を最小限に抑えて重層した。密度遠心を600gで25分間、ブレーキはオフとして行った。この遠心操作によって、赤血球を試験管の底部に集め、脂肪を液体の上部に残し、境界面にある所望の骨髄細胞を集めることができた。境界面から濁った層をピペットで厚め、新しい15mLの試験管中に入れ、HBSSを加えて12mLとした。その細胞懸濁液を300gで3分間遠心した。得られたペレットを集め、1mLの培地中に再懸濁した。骨髄細胞を計数した後、50μLの培地中の骨芽細胞を2 x 105個/ウエル含んでいる96ウエルのプレートに添加した。
骨芽細胞前駆体での実験
薬剤の破骨細胞前駆体に及ぼす影響を調べるためのタイムテーブルは次のとおり:
Day 0 −骨芽細胞のプレーティング
Day 1 −骨髄細胞のプレーティング
Day 2−供試化合物の添加
Day 4−100% 培地交換+1,25-ジヒドロキシビタミンD3(最終濃度10nM/ウエル)
Day 6−IL1(10μ/mL)および1,25-ジヒドロキシビタミンD3(最終濃度10nM/ウエル)の添加
Day 10−細胞の固定
成熟した破骨細胞での実験
薬剤の成熟した破骨細胞に及ぼす影響を調べるためのタイムテーブルは次のとおり:
Day 0 −骨芽細胞のプレーティング
Day 1 −骨髄細胞のプレーティング
Day 6−50% 培地交換+10nM IL1および1,25-ジヒドロキシビタミンD3
Day 7−薬剤の添加、およびday 7の対照のスライスの取り出しと固定
Day 10−細胞の固定
実験の完了時に、細胞を4% ホルムアルデヒド中に10分間固定し、PBS中で洗った。固定された細胞を染色して70% エタノール中に保存するか、または水もしくはPBS中で冷却するかのいずれかとした。50%の培地交換には500 x希釈の1,25-ジヒドロキシビタミンD3および250 x希釈のIL1(インターロイキン1)を含有している150μLの新鮮な培地を用いた。この培地を15分間静置した後、150μLの培地を注意深く除去した。培地交換は、骨芽細胞のコンフルエントな層は非常に乱されやすく、離れやすいので、非常に注意深く行わなければならない。層が乱され、離れると破骨細胞が失われてしまう。通常は破骨細胞と骨吸収ピットはday 6に出現した。day 7〜10の間は適度な数の破骨細胞が認められた。
培養の終了時に、破骨細胞を酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ(TRAcP)染色法での染色によって同定し、骨吸収ピットの面積を既に報告されているとおり反射型光学顕微鏡で測定した(例えば、van't HofとRalston, 1997を参照せよ)。
TRAcP染色
破骨細胞は非常に高いレベルの、酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ(TRAcP)を発現し、従ってこの酵素を例えば、下記の方法で染色することによって容易に可視化することができる。2種類の染色液(1)および(2)を下記のとおり新たに作成した:
溶液1 300μL ナフトール-AS-BI-ホスフェートストック
1.5mL Veronalバッファー
1.8mL 酢酸バッファー
1.8mL 100mM酒石酸塩を添加した酢酸バッファー
溶液2 240μL パラロザニリン
240μL NaNO2 (4% ストック溶液)
ナフトール-AS-BI-ホスフェートストック:ジメチルホルムアミド中に10mg/mLのナフトール-AS-BI-ホスフェート。
Veronalバッファー:1.17g 無水酢酸ナトリウム;2.94g Veronal(バルビツール酸ナトリウム);100mLの蒸留水中に溶解。
酢酸バッファー0.1M, pH5.2:溶液(a):0.82g 無水酢酸ナトリウムを100mLの蒸留水中に溶解;溶液(b):0.6mLの氷酢酸に蒸留水を加えて100mLとする;溶液(a)のpHを溶液(b)でpH5.2に調整。
パラロザニリン:20mLの蒸留水中に1gのパラロザニリン。5mLの濃塩酸を添加し、その溶液を注意深く水浴中で撹拌しつつ加熱した。その溶液を冷却した後、ろ過した。
溶液(1)および(2)を混合し、ろ過して染色溶液を得た。ウエルからPBSを除去し、少なくとも50μLの染色溶液を添加した。細胞を37℃で約45分間、またはゾウゲ質スライスが十分に赤色となるまでインキュベートした。どれが十分に染色されたか定めるためには、ゾウゲ質スライスを取り出し、光学顕微鏡下で破骨細胞が適度に染色されたか調べる必要があった。次いで、染色溶液を除去し70% エタノールで置き換えた。ゾウゲ質スライスは冷蔵庫で保存した。
破骨細胞の計数
計数は光学顕微鏡を用いて、各ゾウゲ質スライス上のTRAcP陽性の多核細胞数を調べた。96ウエルのプレートからスライスを細胞層を乱さないように注意深く取り出し、スライドガラス上に置いた。各スライス上に70% エタノールを2〜3滴のせた後、カバーガラスをのせた。ゾウゲ質の端から端まで赤く染色された多核細胞の数を数えた。通常、小さな赤い単核細胞が多数認められた。それらは破骨細胞の前駆体であり、数えなかった。対照のスライス上の破骨細胞は300個から1000個の範囲の数である。調べた各化合物、または各濃度について5個のスライスでの値の平均をとり、対照での平均値に対する%で表した。明らかにはずれている値は無視した。このようなことが起こる理由として最もよく見られることは、どのような種類の細胞も認められない場合、通常は骨芽細胞層が操作中に離れてしまったことを示している、ということである。
骨吸収領域の測定
破骨細胞を染色し計数した後、ゾウゲ質スライスを十分にきれいにすることが必要である。スライスは適切な表面上で擦るが、この目的にはblue roll(Scotch社製のテープ)片が理想的であった。スライスを十分にきれいにするためには、おそらく細胞の破片をほぐすために、希HClO中で2〜3秒間洗うことが必要である。骨吸収ピットはトルイジンブルーまたはクーマシーブルーなどの色素での染色、または走査型電子顕微鏡での観察、または反射型光学顕微鏡での観察のいずれかによって可視化することができる。ここでは、反射型光学顕微鏡を用いたが、それは実施が容易で、スライスを完全にきれいにする必要はあるが、染色は不要であり、得られる像は画像分析を用いてかなり容易に定量することができるからである。反射型光学顕微鏡で観察するためにはスライスは完全にフラットでなければならないので、スライスをスライドガラスに0.5kgの金属製の錘の圧で接着させた。そうすればそれらのスライスを容易に保存しうる。Zeissの反射型光学顕微鏡に2.5 xのレンズ、広視野c-マウントアダプター、およびDiagnostics Instrument Insight B/Wラージチップデジタルカメラを取り付けて用いた。このセットアップで骨のスライス全体が1つの画像内に、骨吸収ピットを同定し測定するのに十分な解像度でとらえることができた。画像分析ソフトウエアパッケージはADCIS(ADCIS SA, Herouville-Saint-Clair, France)から出されているAphelion ActiveX画像分析ツールキットを用いて開発した。ゾウゲ質スライスは明るく輝く表面を持ち、暗い骨吸収ピットが散らばって認められる。このソフトウエアで各スライスの骨吸収の起こっている面積を計算した。共培養した培養液中に存在する化合物の効果を調べる際は、薬剤を添加した時点で(例えば、Day 7)取り出したスライスから得られた値と、この研究の終了時(例えば、Day 10)に取り出した対照から得られた値の双方が必要であった。
ウサギ破骨細胞培養系
第2のモデル系はウサギの破骨細胞系であり、この系では成熟した、機能を有する破骨細胞をウサギの長管骨から単離し、ゾウゲ質スライス上で培養した。
破骨細胞の単離
破骨細胞は既に報告されている方法で(例えば、Coxsonら, 2000を参照せよ)、生後2〜10日のウサギの長管骨から単離した。ウサギの四肢を全て取り、氷冷したPBS中に置いた。軟組織と軟骨を取り除き、骨を新鮮なPBS中に移した。それらの骨は外科用メスを用いてαMEM(FCS不含)中で細片化した。培地と断片の全てを50mLの試験管に移し、3 x 10秒間ボルテックスし、1分間静置した。上清を除去し、培地をFCSを用いて終濃度が10% FCSとなるように50mL/ウサギとした。
破骨細胞のプレーティング
破骨細胞を96ウエルのプレート中のゾウゲ質スライス上に100μL/ウエル(培地:10% FCSならびにペニシリンおよびストレプトマイシンを添加したαMEM)プレーティングし、4時間静置してスライスに接着させた。その後、培地を取り除き、それとともに接着していない細胞も除去した。次いで、新しい培地を添加した。残存する細胞集団には破骨細胞が非常に多い。
培養
この時点で供試化合物を添加し、37℃, 5% CO2中で48時間場イオウした。培養終了時点で酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ(TRAcP)染色法で染色して破骨細胞を同定した。対照中の破骨細胞数として良好な数は100〜200個である。
結果は対照での破骨細胞の数の平均値に対する%で表した。骨吸収ピットの面積は、以前に報告されている方法(例えば、van't HofとRaston, 1997を参照せよ)を用いて、反射型光学顕微鏡で測定し、この結果も対照での値に対する%で表した。
生物学的データ
1,4-ブタンジオールの破骨細胞形成および活性の阻害能について、マウス共培養系で試験した;1,4-ブタンジオールは破骨細胞に対しての影響が認められなかった。
アルカンジオールのモノエステルを多数調製し、それらのうちの多くのものについてのマクロファージJ774生存アッセイでのIC
50値を表1にまとめて示している。最も強力な化合物であるABD-0056(4BP)およびABD-0085(10F)は試験した他の化合物のいずれよりもほぼ1桁活性が強い。
いくつかの化合物については、マウス共培養系とウサギ破骨細胞系を用いた評価も行った。
100μMの濃度で試験に供したビフェニル(BP)、トリチル(T)、およびイブプロフェニル(I)化合物は全て、図2に示すとおり破骨細胞の形成と活性の強力な阻害剤であることが判明した。
図3は、100μMにおいて、マクロファージJ774細胞の生存が純粋な破骨細胞と匹敵し得ることを示す。マクロファージにおいて有効な化合物は全て、マウスの共培養(co-culture)においても有効であり、一つの系においてのみ有効であるような化合物は見られなかった。化合物ABD-0057(3BP)のみが2つの系における応答で有意な差異を示した。
数種の化合物については、MTT及びAlamar BlueマクロファージJ774生存アッセイを用い、濃度を変えた評価も行った。
MTTマクロファージJ774生存アッセイを用いたビフェニルカルボキシ化合物、ABD-0053(BuBP)、ABD-0057(3BP)、ABD-0056(4BP)、ABD-0055(5BP)、及びABD-0054(6BP)についての結果を図4に示す。
化合物ABD-0056(4BP)はIC50が3.5μMであり、BP化合物中で最も活性が高い。この値は他のBP誘導体のいずれよりも、あるいは実際これまで得られた(ABD-0085(10F)以外の)他の誘導体のいずれよりも実質的に低い。次に活性が最も高いBP化合物はABD-0054(6BP)である。ブタノール化合物ABD-0053(BuBP)(末端水酸基のないもの)は活性が非常に低く、ビフェニルカルボキシ(BP)基そのものが毒性でないことが示唆される。ビフェニルカルボン酸は活性ではなかった。
MTTマクロファージJ774生存アッセイを用いたイブプロフェニル(I)化合物、ABD-0035(BuI)、ABD-0037(3I)、ABD-0036(4I)、ABD-0038(5I)、及びABD-0039(6I)についての結果を図5に示す。
この場合もブタンジオール誘導体、化合物ABD-0036(4I)が最も活性があったが、有意な差はわずかであった。しかし、イブプロフェンそのものがマクロファージの増殖及び生存に顕著な効果を有し得ることに留意すべきである。
MTTマクロファージJ774生存アッセイを用いた種々のトリチル化合物、ABD-0028(4T)、ABD-0030(5T)、及びABD-0031(6T)についての結果を図6に示す。
トリチル化合物は全て、マクロファージの機能を高度に阻害することが見出され、トリフェニルアセチル基の高い毒性が示唆された。ブタンジオール誘導体である化合物ABD-0028(4T)は、化合物ABD-0030(5T)及び化合物ABD-0031(6T)よりも効果が強い。
MTTマクロファージJ774生存アッセイを用いた種々のビフェニルアセチル(BPA)化合物、ABD-0040(BuBPA)、ABD-0041(3BPA)、ABD-0042(4BPA)、ABD-0043(5BPA)、及びABD-0044(6BPA)についての結果を図7に示す。
この場合もブタンジオール誘導体である化合物ABD-0042(4BPA)が、ヘキサンジオール誘導体である化合物ABD-0044(6BPA)と共に非常に活性が高い。BPA(Felbinacとしても知られる4-ビフェニル酢酸)はイブプロフェンと同様にCOX阻害剤であるため、その効果のうちのいくつかはプロスタグランジン合成の抑制によるものであり得る。
MTTマクロファージJ774生存アッセイを用いた種々のブタンジオール誘導体、ABD-0042(4BPA)、ABD-0028(4T)、ABD-0056(4BP)、ABD-0036(4I)についての結果は図8にも示す。
Alamar BlueマクロファージJ774生存アッセイを用いた種々のブタンジオール誘導体、ABD-0042(4BPA)、ABD-0028(4T)、ABD-0056(4BP)、ABD-0036(4I)についての結果は図9にも示す。
Alamar BlueマクロファージJ774生存アッセイを用いた種々の置換ビフェニル(BP)化合物、ABD-0098(「2NO2」)、ABD-0010(「4F」)、ABD-0099(「2F」)、ABD-0089(「Xyl」)、及びABD-0102(「4Br」)についての結果を図10に示す。
Alamar BlueマクロファージJ774生存アッセイを用いた種々の置換ビフェニル(BP)化合物、ABD-0072(「OH」)、ABD-0089(「ジメチル」)、ABD-0070(「メチル」)、ABD-0094(「エチル」)、及びABD-0097(「メトキシ」)についての結果を図11に示す。
Alamar BlueマクロファージJ774生存アッセイを用いた2種のフルオロ−置換フェニル化合物、ABD-0085(「10F」)及びABD-0077(「5F」)についての結果を図12に示す。
種々のブタンジオール誘導体(ABD-0053(BuBP)、ABD-0057(3BP)、ABD-0056(4BP)、ABD-0055(5BP)、ABD-0054(6BP))を、マウスの共培養系及びウサギ破骨細胞培養系を用いて更に評価し、破骨細胞数及び吸収ピット(pit)面積を化合物濃度の関数として記録した。
ウサギ破骨細胞培養系での破骨細胞数についての結果を図13に示す。
ウサギ破骨細胞培養系での吸収ピット面積についての結果を図14に示す。
化合物の破骨細胞前駆体に対する効果を、共培養方法の2日目の段階で試験化合物を添加することによって調べることが可能であった。試験化合物を添加し、細胞培養と2日間接触させた。次いで、試験化合物全てを除去することが望ましいため、100%の培地交換を行った。これは、細胞層に触れたり乱したりせずに非常に注意して行う必要がある。化合物が残っていると、破骨細胞並びにその前駆体を殺す可能性があるために結果が複雑なものとなり、また前駆体に対する特異的な毒性の正確な指標が得られなくなる。
試験化合物を2日目に添加し、4日目に除去して10日目(破骨細胞前駆体)までインキュベーションを継続した場合のマウス共培養系での破骨細胞数の結果を図15に示す。
試験化合物を2日目に添加し、4日目に除去して10日目(破骨細胞前駆体)までインキュベーションを継続した場合のマウス共培養系での吸収ピット面積についての結果を図16に示す。
図15は、ABD-0056(4BP)が破骨細胞前駆体形成に対して、成熟破骨細胞に対するよりずっと効果的であることを示す。過剰な骨除去が関与する疾患の潜在的治療として、ABD-0056(4BP)が破骨細胞の形成を強力に阻害し、次いで発達中の破骨細胞に対して高度な毒性を示し得る非常に強い薬剤であることが示唆される。同じパターンが、図16に示すように、破骨細胞誘導性の吸収レベルに関する研究で証明される。試験した全ての濃度において、事実上吸収は全く見られない。
試験化合物を7日目に添加し、10日目(成熟破骨細胞)までインキュベーションを継続した場合のマウス共培養系での破骨細胞数の結果を図17に示す。
試験化合物を7日目に添加し、10日目(成熟破骨細胞)までインキュベーションを継続した場合のマウス共培養系での吸収ピット面積についての結果を図18に示す。
化合物ABD-0056(4BP)及びABD-0054(6BP)はウサギの破骨細胞数と吸収活性を有意に低減させた。更に、ABD-0056(4BP)は10μM以上の濃度で有意な効果を示した。化合物ABD-0056(4BP)及びABD-0054(6BP)はまた、マウス共培養系における破骨細胞を有意に阻害した。
吸収ピット面積に対する効果は、ウサギ破骨細胞系よりもマウス共培養系においてよりはっきりしていた。ウサギの系においては、成熟した吸収能のある破骨細胞が最初から存在し、化合物が細胞に影響を及ぼし始めるまで、いずれは骨を吸収し得る。しかしながら、共培養系は、吸収能のない前駆体からの破骨細胞の実際の形成に依存する。
試験化合物(ABD-0056)(4BP)を7日目に添加し、10日目(成熟破骨細胞)までインキュベーションを継続した場合のマウス共培養系での破骨細胞数及び吸収ピット面積の結果を図19に示す。
これらの結果から、ビフェニルカルボン酸の1,4-ブタンジオールエステル(化合物ABD-0056(4BP))が破骨細胞の生存、形成及び活性の強力な阻害剤であり、この群の(ABD-0085(10F)以外の)どの化合物よりも10倍有効であることが示される。
J774生存についての比較可能な研究(例えば参考文献のLuckmanら、1998を参照のこと)において、ビスホスホネートのアレンドロネート及びパミドロネートは、それぞれ10倍及び8倍高いIC50値を有していた。
いずれの特定の理論によっても拘束されることを望むものではないが、ビフェニルカルボン酸は、化合物が細胞膜を通過するために必要な親油性を有すると考えられる。
更に別の1,4-ブタンジオールのエステル、具体的にはナフト-1-イルアセチル(化合物ABD-0032(4N))、ホモベラトリル(化合物ABD-0033(4H))、2-ビフェニルカルボキシ(化合物ABD-0059(4BPX))及び4-フェニルトルイル(化合物ABD-0034(4PT))誘導体を調製し、試験した。これらの化合物は、100μMの濃度においてほとんど活性を示さなかった。
いずれの特定の理論によっても拘束されることを望むものではないが、化合物の活性は分子の全体的な形状に関連すると考えられる。I、BP及びBPA誘導体はほぼ線状とみなし得るが、BPX及びN誘導体は線状の面から外に屈曲している。H及びPT誘導体が不活性であることから、分子標的は特定の大きさの化合物のみを収容し、ホモベラトレート化合物は小さすぎるか、あるいは親油性が不十分であり、フェニルトルエート化合物は長すぎるか、柔軟すぎることが示唆される。
好ましい一化合物群は、概して堅く、円柱状の形状をしており、ビフェニル構造に基づくと考えられる。このような化合物のサブクラスは、ビフェニル基上に更に4'-置換基を有するものである。このような化合物の別のサブクラスは、ビフェニル基上に更に2'-及び4'-置換基を有するものである。このような化合物の別のサブクラスは、ビフェニル基上に更に2-、2'-及び4'-置換基を有するものである。
以上、本発明の原理、好ましい実施形態、及び操作様式について記載した。しかしながら、本発明は、議論した特定の実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、上記の実施形態は制限的というよりは例示的なものとみなされるべきであり、添付した請求の範囲によって規定される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者がこれらの実施形態に改変を加え得ることが認識されるべきである。
参考文献
本発明、及び本発明が関連する技術分野の水準をより十分に記載及び開示するために、多数の特許及び文献を上記で引用した。これらの参考文献の完全な引用を以下で行う。これらの参考文献のそれぞれは、個々の参考文献が参照により組み込まれることを個々に特定して示されているのと同じ程度に、ここで参照することによりその全体を本明細書の開示に組み入れる。
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MTTおよびAlamar Blue マクロファージJ774生存アッセイによって測定した、ABD-0028(4T)(「28」)およびABD-0042(4BPA)(「42」)への72時間暴露後のマクロファージ生存能のグラフを、化合物の濃度の関数として対照の%で示す。
マウス共培養系における、化合物への3日間の暴露後の破骨細胞数を対照値の%で表した棒グラフを示す。ビフェニルカルボキシ(BP)、トリチル(T)、およびイブプロフェニル(I)化合物のいくつかの例:ABD-0057(3BP)、ABD-0056(4BP)、ABD-0055(5BP)、ABD-0054(6BP)、ABD-0028(4T)、ABD-0037(3I)、ABD-0036(4I)、ABD-0038(5I)、and ABD-0039(6I)に関するものである。全ての化合物は100μMの濃度で試験した。各数値は3つの実験の平均値で表してあり、各実験は5つのデータ点を有した。
マウス共培養系(A)およびMTTマクロファージJ774生存アッセイ(B)における、ビフェニルカルボキシ(BP)、トリチル(T)、およびイブプロフェニル(I)化合物などに関する、破骨細胞およびJ774の生存に対する化合物の影響を示すグラフである。共培養(A)では、グラフは破骨細胞数を対照値の%で表している。マクロファージ(B)では、グラフはMTTアッセイで測定した生存能を、対照の%で表している。全ての化合物は100μMの濃度で試験した。
MTTマクロファージJ774生存アッセイで測定した、化合物への24時間の暴露後のマクロファージ生存能を対照値の%で表したグラフを示す。ビフェニルカルボキシ(BP)化合物のいくつかの例:ABD-0053(BuBP)、ABD-0057(3BP)、ABD-0056(4BP)、ABD-0055(5BP)、ABD-0054(6BP)に関するものである。特に示さない限り、エラーバーは20%未満である。
MTTマクロファージJ774生存アッセイで測定した、化合物への24時間の暴露後のマクロファージ生存能を対照値の%で表したグラフを示す。イブプロフェニル(I)化合物のいくつかの例:ABD-0035(BuI)、ABD-0037(3I)、ABD-0036(4I)、ABD-0038(5I)、ABD-0039(6I)に関するものである。特に示さない限り、エラーバーは20%未満である。
MTTマクロファージJ774生存アッセイで測定した、化合物への24時間の暴露後のマクロファージ生存能を対照値の%で表したグラフを示す。トリチル(T)化合物のいくつかの例:ABD-0028(4T)、ABD-0030(5T)、ABD-0031(6T)に関するものである。特に示さない限り、エラーバーは20%未満である。
MTTマクロファージJ774生存アッセイで測定した、化合物への24時間の暴露後のマクロファージ生存能を対照値の%で表したグラフを示す。ビフェニルアセチル(BPA)化合物のいくつかの例:ABD-0040(BuBPA)、ABD-0041(3BPA)、ABD-0042(4BPA)、ABD-0043(5BPA)、ABD-0044(6BPA)に関するものである。特に示さない限り、エラーバーは20%未満である。
MTTマクロファージJ774生存アッセイで測定した、化合物への24時間の暴露後のマクロファージ生存能を対照値の%で表したグラフを示す。ブタンジオール化合物のいくつかの例:ABD-0042(4BPA)、ABD-0028(4T)、ABD-0056(4BP)、ABD-0036(4I)に関するものである。
Alamar Blue マクロファージJ774生存アッセイで測定した、化合物への72時間の暴露後のマクロファージ生存能を対照値の%で表したグラフを示す。ブタンジオール化合物のいくつかの例:ABD-0042(4BPA)、ABD-0028(4T)、ABD-0056(4BP)、ABD-0036(4I)に関するものである。
Alamar Blue マクロファージJ774生存アッセイで測定した、以下の化合物:ABD-0098(「2NO2」)、ABD-0100(「4F」)、ABD-0099(「2F」)、ABD-0089(「Xyl」)、およびABD-0102(「4Br」)への72時間の暴露後のマクロファージ生存能を対照値の%で表したグラフを示す。
Alamar Blue マクロファージJ774生存アッセイで測定した、以下の化合物:ABD-0072(「OH」)、ABD-0089(「ジメチル」)、ABD-0070(「メチル」)、ABD-0094(「エチル」)、およびABD-0097(「メトキシ」)への72時間の暴露後のマクロファージ生存能を対照値の%で表したグラフを示す。
Alamar Blue マクロファージJ774生存アッセイで測定した、以下の化合物:ABD-0085(10F)およびABD-0077(5F)への72時間の暴露後のマクロファージ生存能を対照値の%で表したグラフを示す。
ウサギ破骨細胞培養系における化合物の影響を示すグラフであり、化合物への3日間の暴露後のウサギ破骨細胞数を化合物の濃度の関数として対照値の%で表したプロットを示す。ビフェニルカルボキシ(BP)誘導体のいくつかの例:ABD-0053(BuBP)、ABD-0057(3BP)、ABD-0056(4BP)、ABD-0055(5BP)、ABD-0054(6BP)に関するものである。
ウサギ破骨細胞培養系における化合物の影響を示すグラフであり、化合物への3日間の暴露後の吸収ピット面積(resorption pit area)を化合物の濃度の関数として対照値の%で表したプロットを示す。ビフェニルカルボキシ(BP)誘導体のいくつかの例:ABD-0053(BuBP)、ABD-0057(3BP)、ABD-0056(4BP)、ABD-0055(5BP)、ABD-0054(6BP)に関するものである。各数値は3つの実験の平均値で表してあり、各実験は5つのデータ点を有した。
マウス共培養系における化合物の影響を示すグラフであり、ABD-0056(4BP)に関して、マウス破骨細胞数を化合物の濃度の関数として対照値の%で表したプロットを示す。2日目に化合物を添加し、4日目の後、培養液を完全に交換して化合物を除去する。実験は10日目に終了し、破骨細胞数をTRAcP染色によって確認する。各数値は3つの実験の平均値で表してあり、各実験は5つのデータ点を有した。
マウス共培養系における化合物の影響を示すグラフであり、ABD-0056(4BP)に関して、吸収ピット面積を化合物の濃度の関数として対照値の%で表したプロットを示す。2日目に化合物を添加し、4日目の後、培養液を完全に交換して化合物を除去する。実験は10日目に終了し、吸収量を光学顕微鏡によって測定する。各数値は3つの実験の平均値で表してあり、各実験は5つのデータ点を有した。
マウス共培養系における化合物の影響を示すグラフであり、7日目に添加した化合物への3日間の暴露後のマウス破骨細胞数を化合物の濃度の関数として対照値の%で表したプロットを示す。ビフェニルカルボキシ(BP)誘導体のいくつかの例:ABD-0053(BuBP)、ABD-0057(3BP)、ABD-0056(4BP)、ABD-0055(5BP)、ABD-0054(6BP)に関するものである。
マウス共培養系における化合物の影響を示すグラフであり、7日目に添加した化合物への3日間の暴露後の吸収ピット面積を化合物の濃度の関数として対照値の%で表したプロットを示す。ビフェニルカルボキシ(BP)誘導体のいくつかの例:ABD-0053(BuBP)、ABD-0057(3BP)、ABD-0056(4BP)、ABD-0055(5BP)、ABD-0054(6BP)に関するものである。各数値は3つの実験の平均値で表してあり、各実験は5つのデータ点を有した。
マウス共培養系における破骨細胞数および吸収ピット面積のグラフを示す。ABD-0056(4BP)を7日目に添加し、10日目までインキュベーションを継続した(成熟破骨細胞)。