JP2005510467A - プロテアーゼ阻害剤中間体の調製方法 - Google Patents

プロテアーゼ阻害剤中間体の調製方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、環状アルコールの調製方法を包含する。本方法は、還元、脱保護、および転位スキームを包含する。本発明は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のアスパルチルプロテアーゼ酵素の阻害剤として機能する化合物の合成に有用な中間体の調製方法をさらに提供する。

Description

本発明は、一般的には、HIVアスパルチルプロテアーゼの阻害剤の調製に有用な環状アルコール中間体の調製に関する。より特定的には、本発明は、(3α,3aβ,6aβ)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールの調製方法を包含する。
ヒト免疫不全ウイルス(「HIV」)は、後天性免疫不全症候群(「AIDS」)およびその前駆症AIDS関連症候群(「ARC」)の原因因子である。AIDSは、日和見感染に付随的に罹患しやすくする免疫系の破壊(とくに、CD4+T細胞の破壊)により特性づけられる疾患である。ARCは、持続性全身性リンパ節腫、発熱、および体重減少のような症状により特性づけられる症候群である。
ヒトのHIV感染症を処置するのに現在使用されている薬物の中には、HIVアスパルチルプロテアーゼ酵素を阻害するものがある。プロテアーゼ阻害剤として使用される薬物は一般的には、化学的に複雑であり、費用効果的かつ効率的な方法で調製するのが困難である。
たとえば、WO 94/26749には、中間体ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールの調製およびHIVアスパルチルプロテアーゼの有効な阻害剤である化合物の調製におけるその使用が開示されている。ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールサブユニットを調製すべく開示されたこの方法は、出発物質のシトレート誘導体に依存するマルチステップ法である。この方法では、エナンチオマーとして純粋な出発物質を最初に調製した後、さらに6つの化学ステップが必要とされる。時間、材料、および他の貴重な資源を削減するために、より効率的な方法が好ましいであろう。
中間体ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールサブユニットの他の合成については、Ghoshらにより、HIVプロテアーゼ阻害剤の非ペプチド性P2リガンド:構造に基づくデザイン、合成、および生物学的評価(Nonpeptidal P2 Ligands for HIV Protease Inhibitors: Structure-Based Design, Synthesis and Biological Evaluation), J. Med. Chem., 39(17), p.3278, 1996に記載されている。ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン環系のこの調製で重要なステップは、ラジカル環化条件下における2-(2-プロピニルオキシ)テトラヒドロフラニル誘導体の環化である。たとえば、水素化ホウ素ナトリウムとコバロキシムとの混合物のようなラジカル開始剤として作用することのできる化学量論量の化合物を用いて3-ヨード-2-(2-プロピニルオキシ)テトラヒドロフランを所望の3-メチレンヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン誘導体に環化することが可能である。他の選択肢として、水素化トリブチルスズのような化学量論量の水素化トリアルキルスズを用いて、同一の環化反応を行うことができる。しかしながら、医薬中間体を合成するうえで、そのような方法には欠点がある。たとえば、コバルトやスズのような金属は痕跡量で毒性があるため、そのような方法の欠点となるおそれがある。
プロテアーゼ阻害剤中間体を生成させるための現用の方法には欠点があるため、それらを調製するための新しいより効率的な方法には価値がある。好ましくは、新しい方法では、いずれも、容易に入手できるアキラルな出発物質が使用されるであろう。さらに、該方法は、好ましくは、これまでに発表された方法よりも少ない化学ステップからなり、したがって、スケールアップ合成により適している。
以下の概要スキームに示されるように、本発明は、環状アルコール、好ましくは、(3α,3aβ,6aβ)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールの調製方法を包含する。本発明の方法は、光化学付加環化反応によるオキセタン中間体の調製を包含する。本方法はまた、還元、脱保護、および転位スキームをも包含する。
本発明は、式(IV)
Figure 2005510467
で示される環状アルコールを調製する方法であって、
非水性テレスコーピング(telescoping)条件下で、式(II)
Figure 2005510467
〔式中、
Aは、-CH2-であり、そして
R1は、
-C(R2)3(ここで、各R2は、独立して、H、アルキル、およびアリールよりなる群から選択される)、
-C(O)R3(ここで、R3は、アルキルおよびアリールよりなる群から選択される)、または
-Si(R3)3(ここで、各R3は、独立して、先に定義したとおりである)、
である〕
で示されるオキセタンを還元し、脱保護し、転位させることを含む上記方法を包含する。本明細書中で使用する場合、「非水性」という表現は、当業者であればわかるであろうが、試薬としての水の使用を避けることを意味するが、溶媒としての水の使用または仕上げ処理における水の使用を包含する。
好ましい一実施形態では、R1は-C(R2)3であり、R2の1つは-CH3であり、R2の1つは-CH3であり、かつR2の1つはフェニルであり、さらに還元、脱保護、および転位を、パラジウム担持カーボンを用いて、かつギ酸、ギ酸アンモニウム、または水素のうちの1つを用いて、in situで行う。より好ましくは、in situ反応作用剤(reaction agent)は、水素と併用されるパラジウム担持カーボンである。より好ましくは、触媒は10%Pd/Cである。好ましくは、還元、脱保護、および転位は、メタノール、エタノール、酢酸エチル、ジメトキシエタン、およびTHFよりなる群から選択される溶媒を用いてin situで行われる。より好ましくは、溶媒はTHFである。
他の好ましい実施形態では、R1は-Si(R3)3であり、かつ各R3はC1〜8アルキルである。
本発明の他の態様は、さらに、環状アルコールを分割してエナンチオマー濃縮混合物を得ること、より好ましくは、環状アルコールを分割してエナンチオマーとして純粋な環状アルコールを得ることを包含する。
本発明の他の態様は、ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールを調製する方法であって、
a) 光の存在下で、式(I)
Figure 2005510467
〔式中、
Aは-CH2-または-C(O)-であり、ただし、
Aが-CH2-である場合、
R1は、
-C(R2)3(ここで、各R2は、独立して、H、アルキル、およびアリールよりなる群から選択される)、
-C(O)R3(ここで、R3は、アルキルおよびアリールよりなる群から選択される)、または
-Si(R3)3(ここで、各R3は、独立して、先に定義したとおりである)、
から選択され、
Aが-C(O)-である場合、
R1は、アルキルまたはアリールから選択される〕
で示される化合物をフランと反応させて、2,7-ジオキサビシクロ[3.2.0]ヘプタ-3-エン誘導体を生成させること、および
非水性テレスコーピング(telescoping)条件下で、該2,7-ジオキサビシクロ[3.2.0]ヘプタ-3-エン誘導体を還元し、脱保護し、転位させて、ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールを生成させることを含む上記方法を包含する。
その後、好ましくは、本方法は、ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールを分割することをさらに包含する。より好ましくは、分割は、
i) (3α,3aβ,6aβ)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールをアシル化剤と反応させてアシル誘導体を得ること、および
ii) 該アシル誘導体をエステラーゼ酵素と反応させて(3R,3aS,6aR)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールを得ることをさらに含む。
一実施形態では、R1は-Si(R3)3であり、本方法は、該シリル基を切断することをさらに包含する。
他の実施形態では、R1は-C(O)R3-であり、本方法は水素化物還元をさらに包含する。好ましくは、水素化物還元は、水素化アルミニウム、水素化ジ-イソブチルアルミニウム、水素化アルミニウムリチウム、ボラン、および変性(modified)水素化ホウ素ナトリウムよりなる群から選択される作用剤を使用することを含む。
好ましい一実施形態は、2,7-ジオキサビシクロ[3.2.0]ヘプタ-6-イルメタノールの反応により、中間体ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールのようにプロテアーゼ阻害剤の調製に有用な中間体であるアルコールを提供することを包含する。
本発明は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のアスパルチルプロテアーゼ酵素の阻害剤として機能する化合物の合成に有用な中間体の調製方法をさらに提供する。本発明により誘導されるヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールを分割することにより、HIVアスパルチルプロテアーゼの阻害剤として有効な化合物の合成にとくに有用な中間体である(3R,3aS,6aR)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールを提供することが可能である。
本明細書全体にわたり、単独でまたは任意の他の用語と組み合わせて用いられる「アルキル」という用語は、直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素基(好ましくは、指定数の炭素原子を含有する)を意味する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソアミル、n-ヘキシルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
単独でまたは任意の他の用語と組み合わせて用いられる「アリール」という用語は、炭素環式芳香族基(好ましくは、指定数の炭素原子を含有する)を意味する。アリール基の例としては、フェニル、ベンジル、ナフチル、インデニル、インダニル、アズレニル、フルオレニル、アントラセニルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本明細書中で使用される「アリール」という用語は、ベンジルのようなアルキルアリールを包含する。このほか、アリール環は、場合により、ハロゲン、C1〜8アルキル、-CF3、複素環、-OCH3、アリール、C1〜8アルキルアリール、およびC1〜8アルキル複素環よりなる群から独立して選択される1つ以上の基で置換されていてもよい。
「ハロゲン」という用語は、塩素、臭素、またはヨウ素の基を意味する。本明細書中で一般的に使用される「アルデヒド」という用語は、式(I):
Figure 2005510467
〔式中、Aは-CH2-であっても-C(O)-であってもよく、R1は以下に定義されているとおりである〕
で示される化合物を意味する。したがって、本明細書中で使用する場合、この用語は、アセトアルデヒド類とグリオキシレート類の両方を包含する。したがって、本明細書中で使用する場合、アルデヒドという用語は、たとえば、tert-ブチルジメチルシリルオキシアセトアルデヒド、(1-メチル-1-フェニルエトキシ)アセトアルデヒド、tert-ブトキシアセトアルデヒド、ベンジルオキシアセトアルデヒド、およびエチルグリオキシレートを包含する。
「触媒」または「水素化触媒」という用語は、本明細書に記載の還元を行うのに好適な任意の触媒を包含する。触媒の例としては、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウムなどのような遷移金属触媒が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「環式」という用語は、単環式および多環式環系を包含し、さらに、縮合および架橋多環式環系をも包含する。
「ラセミ混合物」および「ラセミ体」という用語は、エナンチオマーの混合物を意味する。「エナンチオマー」という用語は、少なくとも1つの立体化学中心を含有しかつ「R」または「S」配置のいずれかをとる化合物を意味する。エナンチオマーは、反対の立体配置のエナンチオマー(すなわち、対掌体)との混合物の状態であってもよい。2つのエナンチオマーが等しい割合の混合物の状態である場合、混合物は「ラセミ混合物」と呼ばれる。他の選択肢として、2つのエナンチオマーが混合物の状態で存在し、一方のエナンチオマーが他方のエナンチオマーよりも多量(50%以上)に存在する場合、混合物は「エナンチオマー濃縮混合物」と呼ばれる。2つのエナンチオマーが混合状態で存在し、一方のエナンチオマーが混合物の95%以上を占める場合、混合物は「エナンチオマーとして純粋な混合物」と呼ばれる。
「フローセル反応器」という用語は、化学反応に使用するのに好適である容器を意味する。一般的には、光分解化学反応用のフローセル反応器として使用するのに好適な容器は、好適な材料(好ましくは、ステンレス鋼)から作製された平滑な反射内面と、化学反応混合物の導入および除去に好適な入口および出口と、反応混合物に光を提供することのできる光源と、を備えた中空容器を含む。好ましくは、光は、約290〜320ナノメートル、好ましくは約300〜320ナノメートル、より好ましくは約300〜315ナノメートル、最も好ましくは約300〜310ナノメートルの波長を有する。
本発明の好ましい一態様は、(3α,3aβ,6aβ)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールの調製方法に関する。本発明はさらに、好ましくは、続いて、それを分割することにより、HIVアスパルチルプロテアーゼの阻害剤の合成に有用な中間体である(3R,3aS,6aR)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールを得ることを包含する。
本発明は、以下のスキーム1〜3のようにまとめられる。
スキーム1
Figure 2005510467
スキーム2
Figure 2005510467
スキーム3
Figure 2005510467
上記式中、それぞれの記載箇所に対して、Aは-CH2-または-C(O)-であってよく、ただし、
Aが-CH2-である場合、
R1は、
-C(R2)3(ここで、各R2は、独立して、H、C1〜8アルキル、およびC6〜14アリールよりなる群から選択される)、
-C(O)R3(ここで、R3は、C1〜8アルキルおよびC6〜14アリールよりなる群から選択される)、または
-Si(R3)3(ここで、各R3は、独立して、先に定義したとおりである)、
から選択され、
Aが-C(O)-である場合、
R1は、C1〜8アルキルまたはC6〜14アリールから選択される。
一実施形態では、Aが-CH2-である場合、好ましくは、R1は-C(R2)3でありかつ各R2はCH3である。他の選択肢として、Aが-CH2-である場合、好ましくは、R1は-C(R2)3であり、R2の1つはCH3であり、第2のR2はCH3であり、かつ第3のR2はアリールである。他の選択肢として、Aが-CH2-である場合、好ましくは、R1は-Si(R3)3であり、R3の1つはtert-ブチルであり、第2および第3のR3はそれぞれCH3である。
式(I)で示されるとくに好ましい化合物としては、tert-ブチルジメチルシリルオキシアセトアルデヒド、(1-メチル-1-フェニルエトキシ)アセトアルデヒド、tert-ブトキシアセトアルデヒド、およびベンジルオキシアセトアルデヒドが挙げられる。
本明細書中のスキームは好ましい相対立体化学を表しているが、本発明は、特定の絶対立体化学に限定されるべきものでない。本明細書に示されるように、太線および破線を用いて構造を表すことが可能である。そのような場合、太線および破線は、記載の相対立体化学を有する好ましいエナンチオマー混合物を表す。たとえば、式IVで示される化合物は、(3α,3aβ,6aβ)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールのエナンチオマー混合物を示す。しかしながら、対掌体のラセミ混合物およびエナンチオマー濃縮混合物は、本発明の範囲内に含まれる。
本明細書中に例示されるように、太線および破線の楔記号は、記載の立体化学を有する好ましい単一のエナンチオマーを表し、たとえば、式Vで示される化合物は、(3R,3aS,6aR)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールを表わすものである。先に示したように、キラル中心への結合が「楔記号」を用いて描かれている式(V)で示される化合物は、エナンチオマーとして純粋な(3R,3aS,6aR)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールまたはエナンチオマー濃縮混合物のいずれかを表す。
先に参照したスキームに示されるように、本発明は、保護されたアルデヒド(式(I))の光付加反応によりオキセタン(式(II))を得ることを包含する。続いて、オキセタンを還元して式(III)を得る。次に、本発明は、脱保護および転位により環状アルコール(式(IV))を得ることを包含する。本発明の他の実施形態は、オキセタン(式(II))を還元/脱保護/転位反応に付すことにより環状アルコール(式(IV))を得ることを包含する。
より特定的には、スキーム1により例示されるように、第1の実施形態は、光の存在下でフランと反応させることにより式(II)で示される化合物(すなわち、オキセタン)を提供しうるアルデヒド(式(I))を包含する。以上には特定の保護基が規定されているが(R1に関連して)、本発明の範囲は、任意の適切な保護基にまで拡張されるものとする。好ましい保護基は、t-ブチル基、クミル基、および置換シリル基を含む。
光の波長は、好ましくは、約290〜320ナノメートル、より好ましくは約300〜320ナノメートル、さらに好ましくは約300〜315ナノメートル、最も好ましくは約300〜310ナノメートルである。反応は、好ましくは、テトラヒドロフラン、トルエン、またはフランのような溶媒中で行われるが、フランが好ましい。反応は、好ましくは、約0℃〜20℃、好ましくは約10℃の温度で行われる。反応は、好ましくは、フローセル反応器として機能することのできる反応容器中で行われる。
式(I)で示される化合物は、市販されているか、または当技術分野で公知の方法により調製することができる。たとえば、M.J. Shiao, et. al. Synthetic Communications 1988, Vol. 18, No. 4, pp. 359-366、C.K.F. Shen, et. al. J. Org. Chem. 1996, Vol. 61, pp. 9242-9244、T.M. Yuan, et. al. Synlett 1996, pp. 53-54、およびW.L. Cheng, et. al. J. Org. Chem. 1999, Vol. 64, pp. 532-539、M.J. Brown, L.E. Overman J. Org. Chem. 1991, Vol. 56, pp. 1933を参照されたい。これらの各文献は、ヒドロキシアセトアルデヒドの調製に関して、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
先にスキーム2により例示したように、本発明は、式(II)で示されるオキセタンのオレフィン性結合の還元により式(III)で示される化合物を調製する方法を包含する。そのような還元は、先に述べたように、水素および塩基と組み合わせて水素化触媒(たとえば、白金担持カーボンまたはパラジウム担持カーボンのいずれか)を用いて行うことが可能である。1つの好ましい還元では、水素と組み合わせて白金担持カーボンを含む作用剤の組合せが用いられる。これらの反応は、任意の適切な溶媒中で行うことが可能である。好ましい溶媒の例としては、酢酸エチル、メタノール、エタノール、より好ましくはテトラヒドロフランが挙げられる。このほか、望ましくない生成物の生成を防止するために、塩基として作用することのできる作用剤を使用することが好ましい。塩基として作用することのできる任意の作用剤、いいかえれば、他の物質からプロトンを受容または収容することのできる任意のイオン種または分子種を使用することが可能であるが、好ましい作用剤としては、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウム、より好ましくは炭酸カリウムが挙げられる。
先に述べたように、本発明は、式(II)で示されるオキセタンのオレフィン性結合の還元により式(III)で示される化合物を調製する方法を包含する。当業者であればわかるであろうが、本発明の範囲内に含まれた化合物のいくつかはエステルである。Aが-C(O)-である場合またはR1が-C(O)R3-である場合、そのような化合物は、オキセタンのオレフィン性結合の還元前に還元することが可能である。したがって、そのようにエステルを還元すれば、AがCH2でありかつR1はHである式(II)で示される化合物が得られるであろう。
たとえば、Aが-C(O)-である場合、本発明は、水素化アルミニウム、水素化ジ-イソブチルアルミニウム、水素化アルミニウムリチウム、ボラン、または変性水素化ホウ素ナトリウムのような塩基との反応のような水素化物還元を包含しうる。たとえば、S Daluge; M. Martin; B Sickles; D. Livingston Nucleosides, Nucleotide &Nucleic Acids 19 (1&2), 297-327 (2000)を参照されたい。そのような反応に関して、この文献は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。これらの反応は、ジエチルエーテルまたは好ましくはテトラヒドロフランのような溶媒中で行うことが可能である。好ましくは、これらの反応は、約-78℃〜50℃、より好ましくは約0℃〜10℃の温度で行うことが可能である。
同様に、R1が-C(O)R3-である場合、そのような水素化物還元を使用することが可能である。他の選択肢として、塩基加水分解ステップを使用することも可能である。任意の塩基を塩基加水分解に使用することが可能であるが、好ましい塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、水酸化アンモニウム、ナトリウムエトキシドが挙げられ、そのとき、メタノール、エタノール、またはメタノールと水、エタノールと水、もしくはテトラヒドロフランと水との混合物のような溶媒が用いられる。
その後、オキセタンのオレフィン性結合を還元することにより、式(III)で示される化合物が得られる。
次に、式(III)で示される化合物の脱保護および転位を行って、式(IV)で示される化合物を得る。脱保護反応および転位反応は、(i)水素を併用するパラジウム試薬のような触媒、または(ii)ルイス酸として作用することのできる作用剤、または(iii)ブレンステッド酸として作用することのできる作用剤、のいずれかを用いて行われる。本明細書中で使用する場合、ルイス酸およびブレンステッド酸という用語は、当技術分野で認められている意味を有する。すなわち、「ルイス酸」とは、塩基から電子対を受容することのできる物質を意味し、「ブレンステッド酸」とは、プロトン源として作用することのできる種を意味する。
任意の適切なパラジウム試薬を用いてこの反応を行うことが可能であるが、好ましくはパラジウム担持カーボン、より好ましくは10重量%パラジウム担持カーボンが使用される。パラジウム試薬を用いて式(III)で示される化合物から式(IV)で示される化合物に変換する反応は、水素のような還元剤として作用することのできる追加の化合物の存在下で行わなければならない。さらに、その反応は、メタノール、エタノール、またはテトラヒドロフランのような溶媒中で行うことが可能である。より好ましくは、テトラヒドロフランを使用する。
同様に、ルイス酸として作用することのできる任意の作用剤を使用することが可能であるが、好ましい作用剤は、三フッ化ホウ素エーテラート、塩化鉄(III)担持シリカ、塩化スズ(IV)、または塩化アルミニウム(III)から選択される。ルイス酸を用いて式(III)で示される化合物から式(IV)で示される化合物に変換する反応は、非プロトン性溶媒中で行うことが可能である。好ましい非プロトン性溶媒の例としては、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、またはクロロホルムが挙げられる。
同様に、ブレンステッド酸として作用することのできる任意の作用剤を使用することが可能であるが、好ましい作用剤としては、酢酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、または最も好ましくは塩酸が挙げられる。ブレンステッド酸を用いて式(III)で示される化合物から式(IV)で示される化合物に変換する反応は、メタノール、エタノール、またはテトラヒドロフランのような溶媒中で行うことが可能である。より好ましくは、テトラヒドロフランを使用する。
R1が-Si(R3)4である場合、シリル保護基を切断することのできる任意の適切な作用剤を使用することができるが、好ましくは、フッ化物イオン源を使用する。とくに好ましい化合物は、式+N(R3)4X-(ここで、各R3は、同一であっても異なっていてもよく、C1〜8アルキルおよびC6〜14アリールよりなる群から選択され、Xは、ハロゲン、好ましくはフッ素である)で示される化合物である。これらの作用剤は、市販されているか、または当技術分野で公知の方法により調製することができる。これらの切断反応は、典型的には、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、クロロホルム、またはより好ましくはジクロロメタンのような溶媒中で行われる。切断反応は、約0℃〜50℃の温度、より好ましくはほぼ周囲温度で行われる。
以下に本発明のいくつかの実施形態の例を示す。
例I
式(III):
Figure 2005510467
〔式中、R1は-C(CH3)3である〕
で示される化合物を、ルイス酸またはブレンステッド酸として作用することのできる作用剤と反応させることにより、式(IV)で示される化合物が得られる。
好ましいルイス酸としては、三フッ化ホウ素エーテラート、塩化鉄(III)担持シリカ、塩化スズ(IV)、臭化亜鉛(II)、または塩化アルミニウム(III)が挙げられ、好ましい溶媒は、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、またはクロロホルムである。
好ましいブレンステッド酸としては、トリフルオロ酢酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、または最も好ましくは塩酸が挙げられる。好ましい溶媒としては、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、水、テトラヒドロフランと水との混合物、または最も好ましくは2,2,2-トリフルオロエタノールが挙げられる。
例II
式(III):
Figure 2005510467
〔式中、R1は-Si(R3)4であり、R3はC1〜8アルキルである〕
で示される化合物を、シリル保護基を切断することのできる作用剤と反応させることにより、式(III)中、R1が水素である化合物が得られる。シリル保護基を切断することのできる任意の適切な作用剤を使用することが可能であるが、好ましくは、テトラヒドロフランおよび水中で塩酸を用いて切断を行うことにより、式(IV)で示されるアルコールが得られる。
さらに、式+N(R3)4X-(ここで、各R3は、同一であっても異なっていてもよく、C1〜8アルキルおよびC6〜14アリールよりなる群から選択され、Xはフッ素である)で示される化合物を使用することも可能である。これらの作用剤は、市販されているか、または当技術分野で公知の方法により調製することができる。切断反応は、典型的には、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、クロロホルム、テトラヒドロフランと水、クロロホルム、またはジクロロメタンのような溶媒中で行われる。切断反応は、約0℃〜50℃の温度、より好ましくはほぼ周囲温度で行われる。その後、式(III)(ここで、R1は水素である)で示される化合物を、(i)水素と併用されるパラジウム試薬、または(ii)ルイス酸として作用することのできる作用剤、または(iii)ブレンステッド酸として作用することのできる作用剤、のいずれかと反応させる。
先に述べたように、好ましいパラジウム試薬は、還元剤として作用することのできる追加の化合物(好ましくは、水素)の存在下の10重量%パラジウム担持カーボンである。さらに、パラジウム反応は、好ましくは、テトラヒドロフランと水との混合物中で行われる。
この実施形態では、好ましいルイス酸としては、三フッ化ホウ素エーテラート、塩化鉄(III)担持シリカ、塩化スズ(IV)、または塩化アルミニウム(III)が挙げられ、好ましい溶媒は、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、またはクロロホルムである。
この実施形態では、好ましいブレンステッド酸としては、酢酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、またはより好ましくは塩酸が挙げられ、好ましい溶媒は、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、水、またはより好ましくはテトラヒドロフランと水との混合物である。
例III
先に述べたように、本発明の他の実施形態は、オキセタン(式(II))を還元/脱保護/転位反応に付すことにより環状アルコール(式(IV))を直接得ることを包含する。したがって、ギ酸、ギ酸アンモニウム、または好ましくは水素と組み合わせて、5重量%パラジウム担持カーボンを用いて、式(II)
Figure 2005510467
〔式中、Aは-(CH2)-であり、R1は-C(R2)3であり、R2の2つはHであるかまたはR2の2つはCH3であり、R2の1つはC6〜14アリールである〕
で示される化合物と反応させる。より好ましくは、水素と組み合わせて10重量%パラジウム担持カーボンを使用する。これらの反応は、好ましくは、メチルアルコール、エチルアルコール、またはより好ましくはテトラヒドロフランのような溶媒中で行われる。このほか、これらの反応は、好ましくは約0℃〜50℃の温度、より好ましくはほぼ周囲温度で行われる。
例IV
先に述べたように、オキセタン中間体上の特定の置換基は、本発明に係る還元、脱保護、および転位反応の前に処理しなければならない。したがって、たとえば、式(II)
Figure 2005510467
〔式中、Aは-C(O)-であり、R1は、独立して、C1〜8アルキルまたはC6〜10アリールから選択される〕
で示される化合物は、好ましくは、水素化アルミニウム、水素化ジ-イソブチルアルミニウム、水素化アルミニウムリチウム、ボラン、または変性水素化ホウ素ナトリウムのような塩基と反応させる。たとえば、S Daluge; M. Martin; B Sickles; D. Livingston Nucleosides, Nucleotide &Nucleic Acids 19 (1&2), 297-327 (2000)を参照されたい。そのような反応に関して、この文献は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。これらの反応は、ジエチルエーテルまたは好ましくはテトラヒドロフランのような溶媒中で行うことが可能である。好ましくは、これらの反応は、約-78℃〜50℃、より好ましくは約0℃〜10℃の温度で行うことが可能である。
その後、式(III)で示される化合物を、(i)パラジウム試薬、または(ii)ルイス酸として作用することのできる作用剤、または(iii)ブレンステッド酸として作用することのできる作用剤、のいずれかと反応させる。
例V
式(II)
Figure 2005510467
〔式中、Aは-(CH2)-であり、R1は-C(O)R3であり、R3は、C1〜8アルキルおよびC6〜14アリールよりなる群から選択される〕
で示される化合物を、水素化アルミニウム、変性水素化ホウ素ナトリウム(S Daluge; M. Martin; B Sickles; D. Livingston Nucleosides, Nucleotide &Nucleic Acids 19 (1&2), 297-327 (2000)を参照されたい)、または水素化アルミニウムリチウムのような塩基と反応させる。これらの反応は、ジエチルエーテルまたは好ましくはテトラヒドロフランのような溶媒中で行うことが可能である。このほか、これらの反応は、-78℃〜50℃、好ましくは0℃〜10℃の温度で行うことが可能である。
他の選択肢として、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、水酸化アンモニウム、ナトリウムエトキシドのような塩基を含む好ましい作用剤を用いて、塩基性加水分解によるエステルからアルコールへの加水分解を行うことが可能である。好ましくは、メタノール、エタノール、またはメタノールと水、エタノールと水、もしくはテトラヒドロフランと水との混合物のようなプロトン性溶媒中で、炭酸カリウムを使用する。好ましくは、メタノールが溶媒である。これらの反応は、約0℃〜60℃で行うことが可能であるが、より好ましくは約25℃で行われる。
その後、式(III)で示される化合物を、(i)パラジウム試薬、または(ii)ルイス酸として作用することのできる作用剤、または(iii)ブレンステッド酸として作用することのできる作用剤、のいずれかと反応させる。
本発明の他の態様は、スキーム3に一般的に示されるごとく、(3α,3aβ,6aβ)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールのラセミ混合物(IVa)を分割することにより、それぞれのエナンチオマーのエナンチオマー濃縮混合物をもたらす。混合物を分割する任意の適切な方法を使用することが可能であるが、好ましい一方法には、ジアステレオマー混合物への変換およびそれに続く分離が含まれる。より特定的には、エナンチオマーの混合物からジアステレオ異性体の混合物への変換およびそれに続くシリカクロマトグラフィーのような伝統的分離方法により、(3α,3aβ,6aβ)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールのラセミ混合物(スキーム3の式(IVa))を分割することができる。たとえば、ラセミ体アルコールをキラル非ラセミ化合物のような分割剤と反応させることにより、ジアステレオマー混合物を生成させることが可能である。好ましくは、キラル非ラセミ化合物は、酸クロリドまたはクロロホルメートのいずれかであり、これにより、それぞれ、エステルまたはウレアのジアステレオマー混合物が得られる。キラル非ラセミ分割剤の選択は、当業者に公知の因子に依存するであろう。たとえば、E.L. Eliel, L.N. Mander Stereochemistry of Organic Compounds 1994, Wiley and Sons, p. 322を参照されたい。この文献は、ラセミ混合物の分割に関して、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
代替分割法は、アルコールの一方のエナンチオマーをエステルに変換することができるリパーゼ酵素とアルコールのラセミ混合物(式(IV))とを反応させることを含む。次に、当業者に公知の方法により、エステルと残存するアルコールとを分離することができる。より詳細に関しては、Eliel, p. 413を参照されたい。この文献は、ラセミ混合物の分割に関して、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
さらなる分割法は、アルコールのラセミ混合物(IV)を適切なエステル誘導体(たとえば酢酸塩)に変換することを含む。続いて、エステラーゼ酵素を用いて、2つのエナンチオマー濃縮混合物に分割することが可能である。任意の適切なエステル化反応を使用することが可能であるが、好ましくは、塩基として作用することのできる作用剤の存在下でアルコールを酸塩化物または酸無水物と反応させることにより、所望のエステル誘導体が得られる。これらの反応は、非プロトン性溶媒(たとえば、テトラヒドロフラン)中で、かつ塩基として作用することのできる化合物(たとえば、炭酸ナトリウム)の存在下で、行うことが可能である。このほか、好ましくは、触媒として作用することのできる化合物(たとえば、4-N,N-ジメチルアミノピリジン)を使用することが可能である。
次に、こうして得られたエステルのラセミ混合物を、エステルの一方のラセミ体が優先的に反応しうる条件下で適切なエステラーゼ酵素と反応させることにより、一方の立体化学配置のエナンチオマー濃縮アルコールと、他方の立体化学配置のエナンチオマー濃縮エステルとの混合物を得ることが可能である。次に、当業者に公知の方法(たとえば、シリカゲルクロマトグラフィー)を用いて、アルコールとエステルとの混合物を分離することが可能である。適切なエステラーゼ酵素の選択および適切な反応条件は、当業者に公知のいくつかの因子に依存するであろう。たとえば、Eliel, p. 409を参照されたい、この文献は、エステラーゼ酵素反応に関して、参照により本明細書に組み入れられるものとする。たとえば、スキーム4に示したように、テトラヒドロフランと塩化メチレンとの混合物中で、かつ炭酸ナトリウムおよび4-N,N-ジメチルアミノピリジンの存在下で、ラセミ体(3α,3aβ,6aβ)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールを無水酢酸と反応させることにより、ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン3-イルアセテートを生成させることが可能である。次に、必要に応じて15%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを約6.2と7.2の間に保持しながら、リン酸水素ナトリウムの緩衝混合物中で、得られたアセテートをPS-800と反応させることにより、(3R,3aS,6aR)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-イルアセテートと(3S,3aR,6aS)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールとの混合物を得た。
スキーム4
Figure 2005510467
以下の実施例は、例示を目的として示したにすぎず、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
実施例1: (3α,3aβ,6aβ)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オール
Figure 2005510467
ステップA: 2,7-ジオキサビシクロ[3.2.0]ヘプタ-3-エン-6-イルメトキシ](トリメチル)シラン
Figure 2005510467
循環ポンプと、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製チューブと、1L石英製ジャケット付き丸底フラスコと、石英製浸漬ウェルと、4つの15W UVBランプと、からなるフローセルを組み立てた。市販のtert-ブチルジメチルシリルオキシアセトアルデヒド(19.44g、0.112mol)および新たに蒸留したフラン(550mL)をフローセル中に配置した。得られた混合物を冷却し、窒素下で攪拌し、計量ポンプを用いて石英製セルに通して循環させた。48時間後、混合物を丸底フラスコに移し、反応装置をジクロロメタンで洗浄し、洗液を反応混合物に添加した。次に、混合物を真空下で濃縮して黄色の油状物(28.07g粗製物、104%)として化合物(2)を取得し、これをテトラヒドロフラン(THF)で希釈し、冷蔵保存した。溶液を真空下で濃縮して黄色の油状物を得た。ヘキサン(1L)を添加して沈殿を生成させた。活性炭(3g)およびセライト(Celite)(3g)を混合物に添加し、20分間攪拌し、次に、PTFEフリット(0.45□m)に注いで濾過し、固体をヘキサン(100mL)ですすぎ、得られた溶液を真空下で濃縮して無色の油状物(26.5g、98%)として化合物(2)を得た。
1H NMR (300 MHz) δ6.61 (dt, 1 H, J = 1.0, 3.1 Hz), 6.27 (dt, 1 H, J = 1.0, 4.2 Hz), 5.32 (dd, 1 H, J = 3.0, 3.1 Hz), 4.57 (dt, 1 H, J = 1.0, 3.1 Hz), 3.81 (dd, 1 H, J = 3.1, 11.9 Hz), 3.73 (dt, 1 H, J = 3.1, 11.9 Hz), 3.67 (m, 1 H), 0.93 (s, 6 H), 0.11 (s, 3 H), 0.09 (s, 3 H); 13C NMR (75 MHz, DEPT) 148.0 (3°), 108.0 (3°), 104.0 (3°), 91.5 (3°), 64.8 (2°), 46.0 (3°), 25.9 (1°), -5.32 (1°), -5.46 (1°); IR: 2960, 2924, 2858, 1609, 1470, 1254, 1137, 1049, 982, 837, 782 cm-1; HRMS C12H23O3Si (M+1)に対する計算値, 243.14158, 実測値 243.14158; LRMS m/z (相対強) 243 (M+1), 226 (20), 225 (100), 185 (16), 175 (20), 169 (13), 159 (20), 117 (51), 111 (15), 103 (10), 73 (11)。
ステップB: 2,7-ジオキサビシクロ[3.2.0]ヘプタ-6-イルメトキシ](トリメチル)シラン
Figure 2005510467
化合物(2)(25.82g、0.1065mol)、テトラヒドロフラン(THF、410mL)、5%w/w白金担持カーボン(約50%水)、および炭酸カリウム(7.85g)を、1L Schottフラスコ中に配置した。水素でフラスコを3回パージングし、最後に水素で0.26 barrまで加圧し、周囲温度で一晩攪拌した。次に、混合物は窒素でパージングし、セライト(Celite)(2.9g)を添加し、混合物をPTFE膜(0.45□m)に通して濾過し、濾液をTHF(100mL)で洗浄した。得られた化合物(3)の溶液を、さらなる精製をまったく用いることなく後続反応で使用した。
ステップC:
化合物(3)のTHF溶液をフラスコに入れ、さらに、水(5mL)および濃塩酸(3mL)を添加した。得られた混合物を周囲温度で1時間攪拌し、その後、固体炭酸ナトリウム(37g)を添加することによりpH7に中和した。次に、混合物を濾過し、真空下で濃縮して粗製油(1)を取得し、これをフラッシュクロマトグラフィーにかけて精製することにより、透明な油状物(1.8g、82%)として(1)を得た。1H NMRは、文献(Ghosh, et. al., J. Med. Chem. 1996, 39(17), p. 3278)に見いだされるものと同一であった。
実施例2: (3R,3aS,6aR)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オール
Figure 2005510467
ステップA: (3α,3aβ,6aβ)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン3-イルアセテート
Figure 2005510467
炭酸ナトリウム(2.5eq.、2.0 wt)、化合物(1)(上記)、および4,4-N,N-ジメチルアミノピリジン(0.05eq.、0.04 wt)を、反応器に仕込んだ。得られた混合物を氷浴中で冷却し、反応混合物が10℃未満に保持されるような速度で無水酢酸(1.5eq.、1.1 vol)を添加した。次に、混合物を室温まで加温し、一晩攪拌した。得られたスラリーを粗いフリット漏斗に通して濾過し、濾過ケーキを塩化メチレン(2 vol)で洗浄した。濾液と洗液を合わせ、さらに1N HCl(1 vol)で抽出した。次に、混合物を真空下で濃縮し、油状物としてヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-イルアセテートを得た。1H NMRは、文献(Ghosh, et. al., J. Med. Chem. 1996, 39(17), p. 3278)に見いだされるものと同一であった。
他の選択肢では、中間体を単離する必要がない。すなわち、化合物(1)、炭酸カリウム、ジクロロメタン(25mL)、DMAP(0.11g、0.09mmol)、および無水酢酸(15mL、0.159mol)を、式(IV)で示される反応混合物を含有するフラスコに、一度に直接添加した。得られた混合物を周囲温度で一晩攪拌した。追加分の無水酢酸(5mL、0.053mol)を添加し、混合物を周囲温度で3時間攪拌した。セライト(Celite)を混合物に添加し、次に、それを真空下でセライト(Celite)のパッドに通して濾過し、濾液をジクロロメタン(4×100mL)で洗浄し、濾液を真空下で濃縮してベージュ色の油状物を得た。数回にわけてトルエン(3×50mL)を油状物に添加し、それを真空下で除去した(35mmHg、約50℃)。次に、Kugelrohr装置(2mmHg、160℃)を用いて油状物を蒸留し、淡黄色の油状物として上記の化合物(5)を得た。分析データは、文献値(Ghosh, et. al., J. Med. Chem. 1996, 39(17), p. 3278)と同一であった。
ステップB: (3R,3aS,6aR)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-イルアセテート
Figure 2005510467
0.1N NaHPO4(pH=7.0、7.5 vol)および(3α,3aβ,6aβ)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-イルアセテート(化合物(5))(1eq、1 wt)を反応器に仕込んだ。次に、15%水酸化ナトリウムを添加することにより溶液のpHを7.0に調整し、溶液を35±3℃に加熱した。次に、PS-800(500単位/mmol)を添加し、15%水酸化ナトリウムを周期的に添加することによりpHを6.8と7.2の間に保持した。望ましくないアセテートがすべて加水分解されるまで、キラルガスクロマトグラフィーにより反応の進行を追跡した。次に、セライト(Celite)(0.5 wt)を添加し、続いて、塩化メチレン(4.0 vol)を添加し、得られたスラリーを15分間攪拌した。次に、混合物をセライトパッドに通して濾過し、続いて、塩化メチレンでセライトパッドを数回洗浄した。有機層を分離し、有機層を水(3×1 vol)、10%塩化ナトリウム(2 vol)で洗浄し、次に、真空下で濃縮し、油状物として化合物(6)を得た。標題化合物の1H NMRは、文献(Ghosh, et. al., J. Med. Chem. 1996, 39(17), p. 3278)に見いだされるものと同一であった。得られた(3R,3aS,6aR)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-イルアセテートの典型的な光学純度は、>98% eeであった。
光学純度は、以下の概略条件下でキラルGCを用いて決定した。
カラム: Astec Chiraldex ベータシクロデキストリントリフルオロアセチル(B-TA) 20m×0.25mm;
キャリヤーガス: He @ 1mL/分;
メイクアップガス: He @ 30mL/分
検出: FID @ 300℃
注入: 1μL @ 250℃(スプリット)
スプリットフロー: 100 ml/分
全実行時間: 30分間
温度プログラム: 等温 @ 115℃
サンプル調製: アセトニトリル10mL中にサンプル約25〜50mg(1〜2滴)。1μLのサンプル調製物を注入。当業者には公知のごとく、適切な感度が得られるようにまたはカラムの過負荷を防止するために、必要に応じて、サンプル濃度を調節することが可能である。
保持時間: (3S,3aR,6aS)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-イルアセテート = 11.43分間; (3R,3aS,6aR)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-イルアセテート = 12.20分間。
ステップC:
(3R,3aS,6aR)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-イルアセテート(化合物(6))(1eq.、1 wt)、メタノール(3 vol)、および炭酸カリウム(0.001 eq、0.001 wt)を反応器に仕込んだ。混合物を室温で18〜20時間攪拌し、その後、反応混合物を濃縮し、(3R,3aS,6aR)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールを油状物として得た。1H NMRは、文献(Ghosh, et. al., J. Med. Chem. 1996, 39(17), p. 3278)に見いだされるものと同一であった。以下の概略条件下でガスクロマトグラフィーを用いて反応の進行を追跡した。
カラム: DB-624, 30m×0.53mm×3ミクロン(膜厚);
キャリヤーガス: He @ 5mL/分;
メイクアップガス: He @ 25mL/分;
検出器: FID @ 300℃;
初期オーブン温度: 100℃, 0分;
温度変化: 20℃/分で250℃まで昇温、続いて、7.5分間保持。
(3R,3aS,6aR)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールの保持時間 = 6.55分間。
実施例3: (3α,3aβ,6aβ)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オール
Figure 2005510467
ステップA: (1-メチル-1-フェニルエトキシ)アセトアルデヒド
市販の(+)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-メタノール(Soketal)(213mL、1.7mol)およびキシレン(700mL)をフラスコ中に配置した。フェニルマグネシウムブロミド(THF中の1.0M溶液4L)をストリーム中に添加した。添加が終了した後、混合物を100℃まで加熱し、蒸留により溶媒を除去した。混合物の温度を42時間にわたり100℃に保持し、その後、30℃まで冷却し、リン酸水素カリウムの冷却溶液(3.6Lの水中に800g)を添加した。混合物をエチルアセテート(それぞれ2×1L)で抽出し、有機層を合わせ、セライト(Celite)のパッドに通して濾過し、真空下で濃縮した。残渣をメタノール(300mL)に溶解させ、ヘキサン(それぞれ2×200mL)を用いて抽出し、メタノール相をシリカゲル(700mL)と混合し、真空下で濃縮した。9:1〜1:9ヘキサン/酢酸エチルのグラジエントを用いてシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーで中間体付加生成物を精製することにより、中間体付加生成物(126g、36%)を得た。
ジクロロメタン(1.4L)に加えて付加生成物をフラスコに添加し、氷浴で冷却した。追加のシリカゲル(50g)、水(45mL)、およびメタ過ヨウ素酸ナトリウム(180g)をフラスコに添加した。過ヨウ素酸塩の添加時、得られた混合物を40℃に加温した。90分後、混合物を濾過し、残留する固体をジクロロメタン(それぞれ2×200mL)ですすいだ。有機層を合わせ、真空下で濃縮し、粗製アルデヒドを得た。ショートパス蒸留装置(2mmHg、83〜87℃)を用いて粗製アルデヒドを精製し、所望のアルデヒド(92g、78%)を得た。
ステップB: 6-[(1-メチル-1-フェニルエトキシ)メチル]-2,7-ジオキサビシクロ[3.2.0]ヘプタ-3-エン
Figure 2005510467
{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}アセトアルデヒドの代わりに(1-メチル-1-フェニルエトキシ)アセトアルデヒドを使用した以外は化合物(2)の調製に対して記載したとおりに、化合物(7)を調製した。
1H NMR (300 MHz) δ7.5-7.4 (m, 5 H), 6.61 (dt, 1 H, J = 1.0, 2.9 Hz), 6.32 (dt, 1 H, J = 0.8, 4.2 Hz), 5.33 (t, 1 H, J = 2.9 Hz), 4.58 (dt, 1 H, J = 0.8, 3.8 Hz), 3.66 (dddd, 1 H, J = 0.8, 1.0, 2.9, 4.2 Hz), 3.55 (dd, 1 H, J = 3.8, 10.7 Hz), 3.42 (dd, 1 H, J = 3.8, 10.7 Hz), 1.68 (s, 6 H); 13C NMR (75 MHz, DEPT) 147.9 (3°), 145.8 (4°), 128.1 (3°), 126.9 (3°), 125.7 (3°), 108.0 (3°), 104.0 (3°), 90.0 (3°), 76.6 (4°), 64.7 (2°), 46.5 (3°), 28.2 (1°), 28.0 (1°); IR: 2980-2850, 1604, 1504, 1443, 1265, 1160, 1048, 942 cm-1; HRMS C15H18O3Na (M+ Na)に対する計算値, 269.11547, 実測値 269.11548; LRMS m/z (相対強度) 119 (100), 91 (70), 68 (65)。
ステップC: 6-[(1-メチル-1-フェニルエトキシ)メチル]-2,7-ジオキサビシクロ[3.2.0]ヘプタン
Figure 2005510467
化合物(2)からの化合物(3)の調製に対して記載したとおりに化合物(7)を還元し、化合物(8)を得た。
ステップD:
化合物(3)からの化合物(1)の調製に対して記載したのと同じ方法により濃塩酸またはamberlyst触媒で(8)を処理することにより、化合物(8)から化合物(1)を調製した。
実施例4: (3α,3aβ,6aβ)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オール
Figure 2005510467
ステップA: 6-(tert-ブトキシメチル)-2,7-ジオキサビシクロ[3.2.0]ヘプタ-3-エン
Figure 2005510467
{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}アセトアルデヒドの代わりにtert-ブトキシアセトアルデヒド(M.J. Brown, L.E. Overman, J. Org. Chem. 1991, Vol. 56. P. 1933の方法に従って調製した)を使用した以外は化合物(2)の調製方法を用いて、化合物(9)を調製した。
1H NMR (300 MHz) δ6.61 (dt, 1 H, J = 1.2, 2.9 Hz), 6.28 (dt, 1 H, J = 1.0, 4.6 Hz), 5.33 (t, 1 H, J = 2.9 Hz), 4.60 (dt, 1 H, J = 1.0, 3.5 Hz), 3.63 (dddd, 1 H, J = 1.0, 1.2, 2.9, 4.6 Hz), 3.59 (dt, 1 H, J = 3.5, 10.6 Hz), 3.52 (dd, 1 H, J = 3.5, 10.6 Hz), 1.22 (s, 9 H); 13C NMR (75 MHz, DEPT) 147.9 (3°), 108.0 (3°), 104.1 (3°), 90.3 (3°), 73.0 (4°), 63.7 (2°), 46.5 (3°), 27.4 (1°); IR: 2980, 2930, 1609, 1470 (br), 1370, 1199, 976, 948 cm-1; HRMS C10H17O3Na (M+1)に対する計算値, 185.11764, 実測値 185.11764; LRMS m/z (相対強度) 185 (M+1), 167 (100), 149 (14), 145 (9), 129 (19), 117 (17), 111 (9)。
ステップB: 6-(tert-ブトキシメチル)-2,7-ジオキサビシクロ[3.2.0]ヘプタン
Figure 2005510467
化合物(2)からの化合物(3)の調製に対して記載したとおりに化合物(9)を還元し、化合物(10)を得た。
化合物(3)からの化合物(1)の調製に対して記載したのと同じ方法により2,2,2-トリフルオロエタノール中のトリフルオロ酢酸で(10)を処理することにより、化合物(10)から化合物(1)を調製した。
実施例5: 6-[(ベンジルオキシ)メチル]-2,7-ジオキサビシクロ[3.2.0]ヘプタ-3-エン
Figure 2005510467
{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}アセトアルデヒドの代わりに市販の(ベンジルオキシ)アセトアルデヒドを使用した以外は化合物(2)の調製方法を用いて、化合物(11)を調製した。
1H NMR (300 MHz) δ7.40-7.10 (m, 5 H), 6.65 (m, 1 H), 6.35 (dd, 1 H, J = 0.7, 4.2 Hz), 5.33 (dd, 1 H, J = 2.8, 2.8 Hz), 4.69 (d, 1 H, J = 12.1 Hz), 4.66 (m, 1 H), 4.60 (d, 1 H, J = 12.1 Hz), 3.69 (m, 1 H), 3.72 (d, 1 H, J = 0.7 Hz), 3.71 (d, 1 H, J = 0.7 Hz); 13C NMR (75 MHz, DEPT) 148.0 (3°), 138.0 (4°), 128.3 (3°), 127.6 (3°), 127.5 (3°), 108.0 (3°), 104.0 (3°), 90.0 (3°), 73.5 (2°), 71.8 (2°), 46.5 (3°); IR: 3091, 2975, 2941, 2847, 1736, 1609, 1465, 1137, 1048 cm-1; HRMS C13H14O3Na (M+Na)に対する計算値, 241.08418, 実測値 241.08418。
化合物(11)については後続の還元、脱保護、および転位を行わなかったが、本発明者らは、化合物(2)からの化合物(3)に対して詳述したようにオレフィン性結合の還元が起こり、続いて、化合物(3)からの化合物(1)の調製に対して記載したとおりに、還元、脱保護、および転位が起こると予想している。
本発明の特定の実施形態について例示および説明を行ってきたが、本発明はそれらに限定されるものではない。以上の好ましい実施形態の詳細な説明は、例示を目的として提示されたものにすぎず、本発明をなんら制限するものとみなされるべきものではない。当業者であれば、変更形態は自明であろう。また、本発明の精神から逸脱することのない変更形態はすべて、添付の特許請求の範囲内に含まれるものとみなされる。

Claims (15)

  1. 式(IV)
    Figure 2005510467
    で示される環状アルコールを調製する方法であって、
    非水性テレスコーピング条件下で、式(II)
    Figure 2005510467
    〔式中、
    Aは、-CH2-であり、そして
    R1は、
    -C(R2)3(ここで、各R2は、独立して、H、アルキル、およびアリールよりなる群から選択される)、
    -C(O)R3(ここで、R3は、アルキルおよびアリールよりなる群から選択される)、または
    -Si(R3)3(ここで、各R3は、独立して、先に定義したとおりである)、
    である〕
    で示されるオキセタンを還元し、脱保護し、転位させることを含む、上記方法。
  2. R1が-C(R2)3であり、R2の1つが-CH3であり、R2の1つが-CH3であり、かつR2の1つがフェニルであり、さらに前記還元、脱保護、および転位を、パラジウム担持カーボンを用いて、かつギ酸、ギ酸アンモニウム、または水素のうちの1つを用いて、in situで行う、請求項1に記載の方法。
  3. 前記in situ反応作用剤が、水素と併用されるパラジウム担持カーボンである、請求項2に記載の方法。
  4. 前記触媒が10%Pd/Cである、請求項3に記載の方法。
  5. 前記還元、脱保護、および転位を、メタノール、エタノール、酢酸エチル、ジメトキシエタン、およびTHFよりなる群から選択される溶媒を用いてin situで行う、請求項2に記載の方法。
  6. 前記溶媒がTHFである、請求項5に記載の方法。
  7. R1が-Si(R3)3であり、かつ各R3がC1〜8アルキルである、請求項1に記載の方法。
  8. 前記環状アルコールを分割してエナンチオマー濃縮混合物を得ることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記環状アルコールを分割してエナンチオマーとして純粋な環状アルコールを得ることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  10. ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールを調製する方法であって、
    a) 光の存在下で、式(I)
    Figure 2005510467
    〔式中、
    Aは-CH2-または-C(O)-であり、ただし、
    Aが-CH2-である場合、
    R1は、
    -C(R2)3(ここで、各R2は、独立して、H、アルキル、およびアリールよりなる群から選択される)、
    -C(O)R3(ここで、R3は、アルキルおよびアリールよりなる群から選択される)、または
    -Si(R3)3(ここで、各R3は、独立して、先に定義したとおりである)、
    から選択され、
    Aが-C(O)-である場合、
    R1は、アルキルまたはアリールから選択される〕
    で示される化合物をフランと反応させて、2,7-ジオキサビシクロ[3.2.0]ヘプタ-3-エン誘導体を生成させること、および
    非水性テレスコーピング条件下で、該2,7-ジオキサビシクロ[3.2.0]ヘプタ-3-エン誘導体を還元し、脱保護し、転位させて、ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールを生成させることを含む、上記方法。
  11. 前記ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールを分割することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記分割が、
    i) (3α,3aβ,6aβ)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールをアシル化剤と反応させてアシル誘導体を得ること、および
    ii) 該アシル誘導体をエステラーゼ酵素と反応させて(3R,3aS,6aR)-ヘキサヒドロフロ[2,3-b]フラン-3-オールを得ることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
  13. R1が-Si(R3)3であり、かつ
    該シリル基を切断することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
  14. R1が-C(O)R3-であり、かつ
    水素化物還元をさらに含む、請求項10に記載の方法。
  15. 前記水素化物還元が、水素化アルミニウム、水素化ジ-イソブチルアルミニウム、水素化アルミニウムリチウム、ボラン、および変性水素化ホウ素ナトリウムよりなる群から選択される作用剤を使用することを含む、請求項14に記載の方法。
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