JP2005508134A - 天然アレルゲンの免疫原性を保持する、アレルゲン性が低下した組み換えハイブリッドアレルゲン構築体 - Google Patents

天然アレルゲンの免疫原性を保持する、アレルゲン性が低下した組み換えハイブリッドアレルゲン構築体 Download PDF

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Abstract

本来の立体配座を保持しており、骨格タンパク質に導入された少なくとも1つの抗原ペプチド配列を有する、組み換えハイブリッドタンパク質を開示する。ハイブリッドタンパク質をコードしている、組み換え核酸およびベクターをさらに開示する。本発明のハイブリッドタンパク質は免疫原性を保持しているが、低下したアレルゲン性を示す。したがって、本発明のハイブリッドタンパク質は、アレルギーの療法的治療に特に有用である。

Description

【技術分野】
【0001】
本出願は、その全容が参照によってここに組み込まれている、2001年3月2日に出願された米国仮特許出願第60/272,818号の、米国特許法第119条の下の優先権を特許請求するものである。
【0002】
本発明は、本来の立体配座を有し、骨格タンパク質に導入された少なくとも1つの抗原ペプチド配列を含む、組み換えハイブリッドタンパク質を対象とする。さらに本発明は、組み換え体であるスズメバチ類(vespid)のハイブリッドタンパク質をコードする組み換え核酸およびベクター、および組み換えベクターを含む細胞を対象とする。このような組み換えハイブリッドタンパク質は、アレルギー応答を誘導せずに免疫応答を誘導するのに有用であり、したがってアレルギーの療法的治療に特に有用である。
【背景技術】
【0003】
遺伝的素因がある個体は、さまざまな環境源に由来する抗原、個体が曝されるそのアレルゲンに対して敏感(アレルギー)になる。アレルギー反応は、以前に感作された個体が同じであるか相同のアレルゲンに再度曝されるときに起こる。アレルギー応答は、花粉症、鼻結膜炎(rhinoconductivitis)、鼻炎および喘息から、全身性アナフィラキシー、ならびにたとえばハチまたはスズメバチの針または昆虫の噛みつきに応答する死に及ぶ。この反応は早急であり、芝生、樹木、雑草、昆虫、食物、薬剤、化学物質および香料に由来する化合物などの、さまざまなアレルゲンによって引き起こされる可能性がある。
【0004】
アレルゲンの生化学的側面
ハチおよびスズメバチ類に対する昆虫針アレルギーは、普通に起きる。スズメバチ類にはスズメバチ、クロスズメバチおよびジガバチがある(Golden他、1989、Am.Med.Assoc.262:240)。敏感な人々は、微量の毒液タンパク質に曝すことによって感作される可能性があり、わずかの2〜10μgのタンパク質が、スズメバチ類によって一針で皮膚に注射される(Hoffman and Jacobson、1984、Ann.Allergy.52:276)。
【0005】
北アメリカには、多くの種類のスズメバチ(Dolichovespula属)、クロスズメバチ(genus Vespula属)、およびジガバチ(Polistes属)が存在する(Akre他、1980、"Yellowjackets of America North of Mexico"、Agriculture Handbook No.552、US Department of Agriculture)。スズメバチ類は、類似した毒性組成物を有する(King他、1978、Biochemistry 17:5165;King他、1983、Mol.Immunol.20:297;King他、1984、Arch.Biochem.Biophys.230:1;King他、1985、J.Allergy and Clin.Immunol.75:621;King、1987、J.Allergy Clin.Immunol.79:113;Hoffman、1985、J.Allergy and Clin.Immunol.75:611)。これらの毒はそれぞれ、3つの主要な毒液アレルゲン、ホスホリパーゼ(37kD)、ヒアルロニダーゼ(43kD)、および生物学的機能が依然として知られていない抗原5(23kD)を含む。
【0006】
前に記載した昆虫の毒液アレルゲンに加えて、種々の草(Perez他、1990、J.Biol.Chem.265:16210;Ansari他、1989、Biochemistry 26:8665;Silvanovich他、1991、J.Biol.Chem.266:1204)、樹木の花粉(Breiteneder、1989、EMBO J.8:1935;Valenta他、1991、Science、253:557)、雑草の花粉(Rafnar他、1991、J.Biol.Chem.266:1229;Griffith他、1991、Int.Arch.Allergy Appl.Immunol.96:296)、ダニ(Chua他、1988、J.Exp.Med.167:175)、ネコの鱗屑(Griffith他、1992、Gene.113:263)、およびカビ(Aruda他、1990、J.Exp.Med.172:1529;Han他、1991、J.Allergy Clin.Immunol.87:327)からの、いくつかの主要なアレルゲンの完全なアミノ酸配列が報告されてきている。これらの主要なアレルゲンは10〜40kDのタンパク質であり、これらは広く異なる生物学的機能を有する。ほぼすべてのアレルゲンの知られている配列は、我々の環境において他のタンパク質とさまざまな程度の配列類似性を有する。ほぼすべての知られているアレルゲンの包括的なリストは、世界保健機構(WHO)およびInternational Union of Immunological Standards(IUIS)Sub-Committee for Allergen Nomenclatureの保護の下に維持されており、インターネットのサイトallergen.org on the World Wide Webで入手可能である。
【0007】
アレルゲンのTおよびB細胞エピトープ
タンパク質に対する抗体応答には、Tヘルパーリンパ球、Bリンパ球および抗原提示細胞(APC)の協力が必要である。B細胞の抗原受容体は、免疫原を直接認識しこれに結合する膜結合抗体(Ab)分子である。T細胞の抗原受容体(TCR)は、抗原ペプチド-MHCクラスII分子の複合体のみを認識し、これに結合する。免疫原は、MHCクラスII分子と関連があるAPCの表面上で提示されるペプチドへと、APCによって最初にプロセッシングされる(Unanue、1992、Current Opinion in Immunol 4:63)。MHC分子は個体中で非常に多形であるので、これらは抗原ペプチドに結合する異なる特異性を有する(Rothbard and Gefter、1991、Ann.Rev.Immunol.9:527)。これは免疫応答の遺伝的調節に関する1つの機構である。
【0008】
Tヘルパー細胞は、抗原受容体がAPCの表面上でペプチド-MHC複合体に結合すると活性化される。活性化したT細胞はリンフォカインを分泌する。マウスにおいて(Street and Mosmann、1991、FASEB J.5:171)、ならびにヒトにおいて明らかに(Wierenga他、1990、J.Immunol.144:4651;Parronchi他、1991、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.88:4538)、Tヘルパー細胞は、リンフォカイン産生のそのパターンに基づいて異なるタイプに分類することができる。第一にTヘルパー細胞は、2つのグループ:IL-2およびIFN-γを産生するThl細胞、およびIL-4およびIL-5を産生するTh2細胞に分かれる。したがってこれらのリンフォカインは、抗原活性化B細胞に影響を与えて、異なるイソタイプのAbsを分泌するプラズマ細胞へと分化および増殖させる。IL-4は、IgE合成に影響を与えることが知られている、1つのリンフォカインである(Finkelman他、1990、Ann.Rev.Immunol.8:303)。
【0009】
タンパク質分子の完全に接触可能である表面は、B細胞の抗原受容体によってエピトープとして認識される可能性があると考えられるが、すべてのエピトープが必ずしも同じ確率で認識されるわけではない(Benjamin他、1984、Ann.Rev.Immunol.2:67)。タンパク質のB細胞エピトープは、地形図(topographic)および線状の2タイプである。地形図タイプは、空間的に隣接しているが、順次に隣接していてよいかあるいは隣接してないアミノ酸残基からなる。線状タイプは、順次に隣接していている残基のみからなる。Ag-Ab複合体のX線による結晶学的データによって、それらの相補的な結合領域のサイズが16〜17個のアミノ酸残基を有することが示される(Amit他、1986、Science 233:747)。他のタンパク質抗原と同様に、ホスホリパーゼは両方のタイプのB細胞エピトープ、または1つのみを有することができる。スズメバチ類の抗原5sは両方のタイプを有する。ハチの毒性メリチンは、線状タイプの1つのB細胞エピトープのみを有しているようである(King他、1984、J.Immunol.133:2668)。
【0010】
タンパク質のT細胞エピトープは、線状タイプのみからなる。なぜならこれらは、プロテアーゼによってAPCのリソソーム中でプロセッシングされたペプチドだからである(Unanue、1992、Curr.Op.Immunol.4:63)。MHCクラスII分子に結合した自然にプロセッシングされた抗原ペプチドを分析することによって、これらのサイズが約13〜17個のアミノ酸残基の範囲であることが示されるが、合成ペプチド-MHCクラスII分子複合体をそのT細胞増殖応答に関して分析することによって、約8個のアミノ酸残基という最小サイズが示唆される(Cf.Rudensky他、1991、Nature 353:622)。T細胞エピトープはタンパク質分子全体に分布しており、エピトープは、免疫処置した宿主のMHCハプロタイプに応じて、主要または少数の抗原決定基として働くことができることが、研究によって示唆されている(Roy他、Science 244:572;Gammon他、1987、Immunol.Rev.98:53;O'Hehir他、1991、Ann.Rev.Immunol.9:67)。
【0011】
即効型の過敏症は、アレルゲン特異的IgEの存在によって引き起こされることが知られている。IgEは循環中に発見され、マスト細胞および好塩基球上の特異的なIgE-Fc受容体に結合する。アレルゲンによる細胞に結合したIgEの架橋によって、ヒスタミン、ロイコトリエン、およびアレルギー症状を引き起こす他の化学的仲介物質の放出がもたらされる。IgEは、免疫グロブリンの異なるイソタイプの1つである。前に示したように、T細胞によって分泌されるリンフォカインは、B細胞中のイソタイプの変化事象に影響を与える。
【0012】
B細胞のイソタイプの変化事象を決定する際のTh2細胞の主要な役割のために、いくつかのアレルゲンのT細胞エピトープは地図化されている(Cf.O'Hehir他、上記)。これらのアレルゲンにはブタクサAmbIII、ライグラスLolpI、ネコFeldI、マウス尿のMusmI、ミッジChitI、ハチの毒性ホスホリパーゼA2(Dhillon他、1992、J.Allergy Clin.Immunol.90:42)、およびメリチン(Fehlner他、1991、J.Immunol.146:799)がある。これらのデータは、いかなる異常または普通の構造的特徴も明らかにしていない。しかしながら、これらのデータからの任意の結論は適切なものである。なぜならこれらのデータは、異なるハプロタイプのヒトおよびマウスから回収されるからである。
【0013】
TおよびB細胞応答の調節
正常では宿主は、クローン排除およびアネルギーによって、自己タンパク質の優性なBおよびT細胞エピトープに対して寛容である。しかしながらこの寛容は、ある状況の下では成立しない可能性がある(Gammon他、1991、Immunol.Today 12:193;Basten他、1991、Immunol.Rev.122:5)。宿主タンパク質に類似した外来性タンパク質との接触によって、自己免疫疾患では自己寛容が成立しないことが示唆されてきている。したがって、アレルゲンと自己タンパク質の配列類似性は、一層の調査のために興味深い。
【0014】
成熟B細胞は、細胞表面のIg受容体と架橋することができる多価抗原に応答して活性化され(DeFranco、1987、Ann.Rev.Cell Biol.3:143)、一価抗原に応答してアネルギー性になる(Basten他、1991、上記)。T細胞の抗原活性化には、TCRとペプチド-MHC複合体の融合だけでなく、APCの表面上での他の同時刺激シグナルとの融合も必要とされる(Schwartz、1990、Science 248:1349;Jenkins and Miller、1992、FASEB J.6:2428)。同時刺激シグナルの不在下でのTCRとペプチド-MHC複合体の相互作用は、T細胞アネルギーをもたらす可能性がある。
【0015】
マウスまたはラットの実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)は、多発性硬化症に関する充分研究されているモデルである。多くの研究によって、ミエリン塩基性タンパク質の主要抗原T細胞の抗原決定基が同定されてきており、これを使用してこの状態を誘導する。ミエリン塩基性タンパク質の主要抗原エピトープに対応するペプチドは、同じペプチド抗原または無欠のミエリン塩基性タンパク質に対する寛容を誘導することができる。寛容を誘導した同じペプチドは、進行中の自己免疫応答においてT細胞アネルギーも誘導すると思われる(Gaur他、1992、Science 259:1491〜1494)。
【0016】
初期の研究によって、免疫原の物理的状態および免疫処置の経路は、免疫応答の結果を判定する際の重要な変数であることが示されている。我々の現在の理解に照らしてみると、これらの変数が抗原提示に影響を与えて、TおよびB細胞を活性化またはアネルギー状態にする可能性もある。
【0017】
免疫療法
アレルギー性疾患を治療するための1つの方法は免疫療法によるものであり、免疫療法は不快なアレルゲンを患者に繰り返し皮下注射することを含む。大部分の患者に関して、免疫療法後に、アレルゲン特異的なIgGのレベルが最初に上昇する。IgGの上昇に続き、アレルゲン特異的なIgEのレベルが段階的に低下する(Norman、1993、Current Op.Immunol.5:968)。また治療された患者は、そのT細胞のサイトカインの概略の変化、IL-4およびIL-5レベルが低下し、IFN-γのレベルが増大したことを示す(Secrist他、1993、J.Exp.Med.178:2123.)。
【0018】
多量のアレルゲンを用いる免疫療法は、症状を低下させるためには少量のアレルゲンを用いる免疫療法より有効であることが研究によって示されてきている。しかしながら、患者の望ましくない全身性アレルギー反応という潜在的な危険によって、アレルゲンの有効な用量は制限される。天然のアレルゲンを用いる免疫療法による望ましくない全身性反応のために、免疫療法用のアレルギー活性が低下した改変型アレルゲンの開発に関する関心が引き続き存在している(T.P.King、1993、in"Bronchial Asthma"、edited by E.B.Weiss and M.Stein、Little Brown、Boston、pp.43〜49;R.E.O'Hehir他、1991、上記)。
【0019】
アレルゲン性は、多価アレルゲンと好塩基球またはマスト細胞結合型IgE抗体の相互作用に依存する。したがって、タンパク質のアレルゲン性は、そのB細胞エピトープ密度を低下させることによって低下させることができる。タンパク質のB細胞エピトープ密度の低下は、いくつかの手法によって行うことができる。1つの手法は、化学的処理または断片化によって、アレルゲンを部分的または完全に変性させることによるものである(Takatsu他、1975、J Immunol 115:1469;Pesce他、1990、Int Arch Allergy Appl Immunol 92:88;Vrtala他、1997、J Clin Invest 99:1673)。なぜなら、大部分のB細胞エピトープは不連続タイプ、すなわちタンパク質の本来の立体配座に依存するからである。たとえば、ブタクサ花粉からの主要なアレルゲンを尿素処理することによって、不連続なB細胞エピトープは失われるが、連続したBおよびT細胞のエピトープは保持される不可逆的な変性がもたらされる(Takatsu他、1975、JImmunol 115:1469)。完全に変性したブタクサアレルゲンを用いた患者の免疫療法によって、元のアレルゲンに関する特異的なIgEおよびIgGレベルの変化が示されることはなかったが、治療した患者の末梢血単核細胞は、抗原の刺激に対する増殖応答の低下を示した(Norman他、1980、J Allergy Clin Immunol 66:336)。部分的に変性アレルゲンの使用も提案されてきている。これは組み換えダニアレルゲンによって例証され、このアレルゲンは、タンパク質の元の構造の維持に関連があるシステイン残基が欠けている(Smith他、1996、Mol Immunol 33:399;T.Takai他、1997、Nature Biothechnology 15:754)。
【0020】
T細胞エピトープペプチドを使用してアレルゲン特異的な免疫応答を調節することに関する、2つの報告が現れてきている。1つの報告は、主要なネコアレルゲンFeldIからの2つのペプチドをマウスに皮下注射して、完全なFeldI分子に対するT細胞応答を低下させることに関するものである(Briner他、1993、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:7608〜12)。もう1つは、元のマウスまたは感作されたマウスにおけるアレルゲン特異的な応答を抑制するための、主要なダニアレルゲンDerpIからのペプチドを用いる鼻腔内療法に関するものである(Hoyne他、1993、J.Exp.Med.178:1783〜1788)。
【0021】
これらの発見によって、免疫療法試薬としてのT細胞ペプチドの使用が示唆された。なぜならT細胞ペプチドは、不連続なB細胞エピトープが欠けている点で、変性アレルゲンと同様であるからである。患者のいくつかのアレルゲンの、主要なT細胞ペプチドを試験した。抗体レベルの変化ではなくサイトカインレベルの変化を観察した(Muller他、1998、J Allergy Clin Immunol 101:747;Simons他、1996、Int Immunol 8:1937;Creticos他、1997、J Allergy Clin Immunol 99:401;Marcotte他、1997、J Allergy Clin Immunol 99:405)。重要なことに、尿変性アレルゲンおよびT細胞ペプチドに関するこれらの臨床的発見によって、不連続なB細胞エピトープおよび連続的なBおよびT細胞エピトープが保持されることが、抗体および細胞の免疫応答を調節する際に変性アレルゲンが有効であるために、必要とされることが示唆される。
【0022】
アレルゲンのB細胞エピトープの接触性を低下させるための第2の手法は、ホルムアルデヒドまたはグルタルアルデヒド処理による(Marsh、1971、Int Arch Allergy Appl Immunol 41:199;Patterson他、1973、J Immunol 110:1413)、あるいは非免疫原ポリマーの結合による(King他、1979、J Exp Med 149:424)アレルゲンの重合を含む。グルタルアルデヒド重合抗原は、マウスでは天然の抗原とは異なって処理され、これらはTh1応答を助長するサイトカインを分泌する抗原提示細胞によって処理されることが見出された(Gieni他、1993、J Immunol 150:302)。免疫療法を改善するためのこの第2の手法は、ブタクサ花粉アレルゲンに関して試されており、天然のアレルゲンに関する発見と類似の免疫学的発見があった(Norman他、1982、J Allergy Clin Immunol 70:248;Norman、1984、J Allergy Clin Immunol 73:787)。この手法の1つの制限は、アレルゲンを改変してアレルゲン性の100倍を超える低下が達成されると、不連続なB細胞エピトープのほぼ完全な損失が普通に生じることであった。
【0023】
第3の手法は、アレルゲンのB細胞エピトープの接触アミノ酸残基を選択的に変化させるための、位置指定突然変異導入法によるものである。B細胞エピトープの主要な接触残基が知られている場合、これは有用な手法である可能性がある。たとえば、主要なカバノキアレルゲンにおいてGlu〜Serの1つの残基の突然変異によって、ネズミ抗体とのその結合が失われ、アレルギー患者の血清プールからのIgEとのその結合が結果として40%低下した(Mirza他、2000、J Immunol.165:331)。異なる低下率は、ネズミ抗体およびヒトIgEが、それぞれモノクローナルおよびポリクローナル起源であることを、おそらくは反映するものである。
【0024】
任意の1ハプロタイプのMHCクラスII分子は、その結合溝で広範囲のペプチドに結合することができるので、アレルゲン由来のT細胞エピトープの、他のペプチドを有するMHC分子への結合を阻害することによって、T細胞応答を調節することができる可能性がある。たとえば、H-2kマウス中ではそれ自体は免疫原性ではないマウスのリゾチームペプチドは、ニワトリ卵白リゾチームに対するT細胞応答を阻害する(Adorini and Nagy、1990、Immunol.Today 11:21)。他の例は、インフルエンザHAペプチドによる、ダニアレルゲンに対するT細胞応答のin vitroでの阻害である(O'Hehir他、1991、J.Allergy Clin.Immunol.87:1120)。
【0025】
したがって、免疫原/アレルゲンに対する免疫応答は、宿主の遺伝的構成、免疫処置の経路および形態、および免疫原/アレルゲンに部分的には依存する。アレルゲンがIgE応答の結果を決定する程度は知られていない。それぞれのアレルゲンは何個のBおよびT細胞エピトープを有していなければならないのか。アレルゲンの主要抗原のBまたはT細胞エピトープは、異なる個体または感受性のあるすべての個体によって認識されるのか。B細胞中のIgEクラスの変化事象を助長するT細胞エピトープは存在するのか。アレルゲンと宿主タンパク質の抗原交差反応性は役割を果たしており、何故いくつかのタンパク質は他のタンパク質よりアレルゲン性であるのか。多価アレルゲンに対する寛容は、単一または組合せのBまたはT細胞エピトープを用いる処理によって誘導することができるのか。
【0026】
米国特許第5,593,877号、5,612,209号、5,804,201号、6,106,844号、6,270,763号および6,287,559号、およびKingへの米国出願第09/166,205号は、スズメバチ類の毒液タンパク質をコードするcDNA、およびこのcDNAによってコードされているタンパク質の推定アミノ酸配列の単離を開示している。このcDNAにより、免疫療法で使用する多量のスズメバチ類の毒液タンパク質とポリペプチドの発現および精製が可能になる。しかしながら配列は、スズメバチ類のハチ毒の元の構造に関する情報を与えることはできない。したがって、cDNAおよび推定アミノ酸配列が、不連続なエピトープに関する情報を与えるわけではない。スズメバチ類のハチ毒の推定アミノ酸配列によって、組み換えによって生成されたスズメバチ類毒液タンパク質の、表面上に存在するであろうエピトープが予測されるわけでもない。したがって、cDNAおよび推定アミノ酸配列単独では、スズメバチ類の毒液タンパク質のどの領域またはペプチドが、B細胞仲介の免疫応答を刺激するための有効な免疫原として働くかを正確に予測することはできない。cDNAおよび推定アミノ酸配列単独では、表面のIgE分子の架橋の可能性、すなわちスズメバチ類の毒液タンパク質のアレルゲン性の重要な決定要素である、スズメバチ類の毒液タンパク質の表面のエピトープ密度を予測することもできない。
【特許文献1】
米国仮特許出願第60/272,818号
【非特許文献1】
Golden他、1989、Am.Med.Assoc.262:240
【非特許文献2】
Hoffman and Jacobson、1984、Ann.Allergy.52:276
【非特許文献3】
Akre他、1980、"Yellowjackets of America North of Mexico"、Agriculture Handbook No.552、US Department of Agriculture
【非特許文献4】
King他、1978、Biochemistry 17:5165
【非特許文献5】
King他、1983、Mol.Immunol.20:297
【非特許文献6】
King他、1984、Arch.Biochem.Biophys.230:1
【非特許文献7】
King他、1985、J.Allergy and Clin.Immunol.75:621
【非特許文献8】
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【特許文献22】
PCT特許公開No.WO95/18863
【特許文献23】
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【特許文献24】
米国特許第5,459,127号
【特許文献25】
PCT特許公開No.WO95/21931
【特許文献26】
PCT特許公開No.WO96/25508
【特許文献27】
PCT特許公開No.WO95/21931
【非特許文献117】
Wu他、J.Biol.Chem.1992、267:963〜967
【非特許文献118】
Wu and Wu、J.Biol.Chem.1988、263:14621〜14624
【特許文献28】
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【非特許文献119】
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【非特許文献120】
Curiel他、Hum.Gene Ther.1992、3:147〜154
【非特許文献121】
Wu and Wu、J.Biol.Chem.1987、262:4429〜4432
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米国特許第5,580,859号
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【非特許文献122】
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【特許文献31】
PCT Publication No.WO99/01157
【特許文献32】
PCT Publication No.WO99/01158
【特許文献33】
PCT Publication No.WO99/01175
【非特許文献123】
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【非特許文献124】
Lu他、1993、J.Immunol.150:2823
【非特許文献125】
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【非特許文献126】
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【非特許文献127】
Lu他、1993、J.Immunol.150:2823
【非特許文献128】
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【非特許文献129】
Monsalve他、1999、Protein Expr.Purif.16:410
【非特許文献130】
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【非特許文献131】
King他、1987、Mol.Immunol 24:857
【非特許文献132】
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【非特許文献133】
Crothers and Metzger、1972、Immunochemistry 9:341
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【非特許文献135】
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【非特許文献136】
Davies他、1996、Proc.Natl Acad.Sci USA、93:7
【非特許文献137】
Newmann他、1992、J.Immunol.149:3260
【非特許文献138】
Novotny他、1996、Adv Prot Chem 49:149
【非特許文献139】
Davies他、1996、Proc.Natl Acad.Sci USA、93:7
【非特許文献140】
Maliszewski他、1994、J.Immunol 153:3574
【非特許文献141】
Larsen他、1996、J Allergy Clin Immunol 97:577
【非特許文献142】
Chothia他、1990、Annual Review Biochem 59:1007
【非特許文献143】
Russell他、1994、J.Mol.Biol.244:332
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
したがって、アレルゲンタンパク質の元の構造のB細胞エピトープのどのような改変によって、改善された治療法の設計が可能であるかを決定する必要性が、当分野で存在する。
【0028】
IgE仲介のアレルギー応答を刺激せずにB細胞仲介の免疫応答を刺激する、アレルゲンタンパク質を提供する必要性も当分野で存在する。特に、B細胞中でIgG産生を刺激する際に有効であるが、たとえば非制限的にマスト細胞および好塩基球の表面に結合した元のアレルゲンに特異的なIgE抗体の架橋においては不充分である、エピトープの密度が低下したアレルゲンを提供する必要性が当分野で存在する。
【0029】
免疫療法において有効であり、非交差反応性B細胞エピトープを有する、ハイブリッドタンパク質を提供する必要性も当分野で存在する。特に、免疫細胞および可溶性タンパク質、特に抗体の表面上の受容体に接触可能である立体配座の、アレルゲンのペプチドエピトープ配列を示す、ハイブリッドタンパク質の必要性が存在する。
【0030】
したがって必要とされているのは、アナフィラキシーショックなどのアレルギー反応を誘導せずに、アレルゲンに対する保護をもたらすIgGB細胞応答を生み出すための、作用物質、薬剤組成物、および方法である。
【0031】
本明細書中の参照の引用は、それらが本発明のための従来技術であることを認めるものとして解釈すべきではない。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明は、改変型アレルゲンを調製するための新しい手法を提供する。改変型アレルゲンは、少量の当該の「寄生」アレルゲン、および相同であるがほとんど交差反応しない多量の「宿主」タンパク質からなるハイブリッドである。相同である宿主タンパク質は、当該の寄生アレルゲンの元の構造を維持するための骨格として機能し、したがって当該の寄生アレルゲンの立体配座依存性のB細胞エピトープは、低い密度ではあるがハイブリッド中に保存される。配列同一性が30%より大きく機能が類似である相同であるタンパク質は、非常に類似した三次元構造を有することが知られており(Chothia他、1990、Annual Review Biochem 59:1007;Russell、1994、J Mol Biol 244:332)、したがって過剰の寄生/宿主タンパク質が与えられる。
【0033】
したがって本発明は、アレルゲン性は低下しているが免疫原性を保持している、組み換えアレルゲン、たとえばスズメバチ類の毒液アレルゲンを対象とする。したがって本発明は、アレルゲンタンパク質、表面接触可能なアレルゲンの一部分に対応するペプチド性エピトープ配列、宿主の骨格の対応する構造領域中に挿入されたペプチド性エピトープ配列を含むハイブリッドタンパク質、このようなハイブリッド構築体をコードする核酸、および低いアレルギー応答性でアレルゲンに対する治療的免疫応答を刺激するために使用することができる方法、すなわちアレルギーの免疫療法を提供する。特に、本発明の組み換えハイブリッドタンパク質、核酸および方法によって、急性アナフィラキシーなどのIgE系のアレルギー応答を誘発することなく、アレルゲンに対するB細胞系の応答の刺激がもたらされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明のハイブリッドタンパク質は、本来の立体配座で存在する。一実施形態では、ハイブリッドタンパク質は、少なくとも1つのアレルゲンペプチド性エピトープ配列を本来の立体配座で含む。より具体的には、アレルゲンペプチド性エピトープ配列が由来する骨格タンパク質および元のタンパク質は、同一の本来の立体配座を有する。
【0035】
いくつかの実施形態では、本発明のハイブリッドタンパク質は、シグナルペプチドなどの融合ペプチド、または精製用ハンドルを含む。他の実施形態では、本発明のハイブリッドタンパク質は、たとえば精製用ハンドルを開裂させるために、プロテアーゼによるプロセッシング部位を含むことができる。したがって、本発明のハイブリッドタンパク質は、アレルゲンペプチド性エピトープ配列、骨格タンパク質の配列、および場合によっては、融合配列とプロテアーゼによるプロセッシング部位を別々かあるいは組み合わせて含む。
【0036】
組み換えペプチド性エピトープ配列は、その配列が由来する元のタンパク質の表面上で発見される。特定の実施形態では、アレルゲンペプチドは元のタンパク質の環状領域である。
【0037】
ハイブリッドタンパク質が、骨格タンパク質の配列に導入された2つ以上のペプチド性エピトープ配列を含むことができることは、理解されるであろう。
【0038】
本発明は、ペプチド抗原がアレルゲンタンパク質からのものであり、骨格タンパク質が元のアレルゲンタンパク質と30%以上の配列同一性を有する異種タンパク質である、ハイブリッドタンパク質に及ぶ。特定の態様では、それぞれのペプチド抗原および骨格タンパク質が、スズメバチ類の毒液タンパク質に由来する。より具体的には、ペプチド抗原および骨格タンパク質は、スズメバチ類の毒性Ag5sに由来するものであってよい。
【0039】
一実施形態では、本発明のペプチド性エピトープ配列は、約6〜50個の間のアミノ酸を有し、B細胞応答(B細胞エピトープ)に関してマウス中で抗原性であることによって特徴付けられる。より詳細には、本発明の実施例では、本発明のアレルゲンペプチド性エピトープ配列は、以下のものからなる群から選択されるAg5ペプチドに由来する。
【0040】
「配列表2」
Figure 2005508134
【0041】
本発明はさらに、本発明の核酸と作動的に結合したプロモーターを含む、単離された発現ベクターに及ぶ。当業者により商業的に入手可能な多数のプロモーターを、本発明のこの態様で使用することができる。この例をいくつかだけ挙げれば、hCMVの極初期プロモーター、SV40の初期プロモーター、アデノウイルスの初期プロモーター、ワクシニアの初期プロモーター、ポリオーマの初期プロモーター、SV40の後期プロモーター、アデノウイルスの後期プロモーター、ワクシニアの後期プロモーター、ポリオーマの後期プロモーター、the lac the trp系、the TAC系、TRC系、ファージラムダの主要なオペレーターおよびプロモーター領域、fd外殻タンパク質の調節領域、3-ホスホグリセリン酸キナーゼプロモーター、酸性ホスファターゼプロモーター、または酵母菌αの交配因子のプロモーターなどがあるが、これらだけには限られない。本明細書において用途があり、当業者にとって容易に利用可能でもある発現ベクターの多数の例を、以下に記載する。
【0042】
本発明は、本発明のアレルゲンのハイブリッドタンパク質をコードする核酸を調製するための方法も提供する。この方法は、アレルゲンタンパク質のペプチド性エピトープ配列をコードするヌクレオチド配列を、アレルゲンタンパク質と構造上相同の骨格タンパク質をコードするヌクレオチド配列に導入することを含む。ペプチド性エピトープ配列をコードするヌクレオチド配列は、アレルゲンのハイブリッドタンパク質中において、アレルゲンタンパク質中のその位置に対応する、ハイブリッドタンパク質の接近可能な表面領域にペプチド性エピトープ配列が存在するような位置に、骨格タンパク質をコードするヌクレオチド配列とインフレームで導入する。1つのこのような実施形態では、骨格タンパク質をコードするヌクレオチド配列を突然変異させて、ペプチド性エピトープ配列をコードするヌクレオチド配列を導入する。他のこのような実施形態では、ペプチド性エピトープ配列をコードするヌクレオチドを、ペプチド性エピトープ配列をコードするヌクレオチド配列を含む核酸からの断片と、エンドヌクレアーゼで処理した骨格タンパク質をコードするヌクレオチド配列を連結させることによって導入する。必要な場合、エンドヌクレアーゼ制限部位を、当分野の標準的な技法を使用して、このような配列を含む核酸に導入することができる。
【0043】
さらに本発明は、本発明の単離した核酸分子を発現させることによって、本発明のハイブリッドタンパク質を生成するための方法に及ぶ。このような生成によって、診断および治療用のハイブリッドタンパク質の豊富な源が与えられる。ハイブリッドタンパク質を生成するための、本発明のこのような方法の一例は、宿主細胞が本発明のハイブリッドタンパク質を生成するように、本発明の発現ベクターを用いて形質転換またはトランスフェクトした宿主細胞を培養することである。培養物、宿主細胞、またはこの両方からこのようにして生成された、本発明のハイブリッドタンパク質は、回収することが好ましい。
【0044】
さらに本発明は、アレルゲン特異的なアレルギー状態を治療するのに有効な薬剤組成物に及ぶ。特に本発明は、本発明のハイブリッドタンパク質、またはこのようなハイブリッドタンパク質をコードする核酸、好ましくは発現ベクター、および薬剤として許容されるその担体を含む薬剤組成物に及ぶ。さらに本発明は、複数の本発明のハイブリッドタンパク質を含むか、あるいは複数のこのようなハイブリッドタンパク質をコードする1つまたは複数の核酸を含む薬剤組成物を含む。
【0045】
当然ながら本発明は、治療上有効量の本発明の薬剤組成物を投与することを含む、アレルゲン特異的なアレルギー状態を治療するための方法に及ぶ。本発明の薬剤組成物の投与は、任意の経路によって、特に経口的に、肺に、鼻に、局所的に、あるいは非経口的に行うことができる。他の投与の経路も考えられる。
【0046】
本発明の他の特異的な目的は、被験者のアレルゲン特異的なアレルギーを治療するための方法であって、アレルゲン特異的なアレルギー状態を治療するための薬剤組成物を被験者に投与する方法を提供することである。
【0047】
さらに本発明は、免疫原に対する哺乳動物の免疫応答を調節するための薬剤組成物に及び、この薬剤組成物は、前述のように哺乳動物の免疫原に対する免疫応答を調節するために、本発明のアレルゲンのハイブリッドタンパク質(またはこのようなタンパク質をコードする核酸)、および薬剤として許容されるその担体を含む。
【0048】
結果として、このような薬剤組成物を投与することによって、免疫原を認識し攻撃する免疫系の能力が調節される。特定の実施形態では、免疫原を認識し攻撃する哺乳動物の免疫系の能力は、薬剤組成物を投与することによって、本発明の薬剤組成物を投与する前の免疫原を認識し攻撃する被験者の免疫系の能力と比べて高まる。
【0049】
略語
Dol m Dolichovespula maculata シロガオスズメバチ
Dol a D.arenaria キイロスズメバチ
Pol a Polistes annularis ジガバチ
Pol e P.exclamans ジガバチ
Ves m Vespula maculifrons クロスズメバチ
Ves v V.vulgaris クロスズメバチ
PCR ポリメラーゼ連鎖反応
RACE cDNA端の迅速な増幅
TCR 抗原のT細胞受容体
【0050】
本発明は、アレルゲン性は低下しているが免疫原性を保持している組み換えアレルゲンのハイブリッドタンパク質構築体、このようなアレルゲンをコードする核酸分子、およびアレルギーの診断および治療におけるこのようなアレルゲンの使用法を対象とする。本発明のハイブリッドタンパク質は、表面、たとえば環状または隅部領域の、骨格タンパク質配列に導入されたペプチド性エピトープ配列を含む。本発明のハイブリッドタンパク質、核酸および方法によって、IgE系のアレルギー応答を誘発せずに、アレルゲンに対するB細胞系の応答が刺激される。特定の実施形態では、組み換えハイブリッドタンパク質は、スズメバチ類のハチ毒の表面または環状ペプチド抗原、特にVes v5からの、骨格タンパク質に融合した、特にPol a5を含む。
【0051】
さらに本発明は、アレルゲン性が低下しており免疫原性を保持しているアレルゲンのハイブリッドタンパク質を含む、核酸分子を含む発現ベクター、およびこのようなハイブリッドタンパク質を発現および回収することによって、このような本発明のハイブリッドタンパク質を生成するための方法を対象とする。
【0052】
本発明は、本発明のハイブリッドタンパク質またはこのようなハイブリッドタンパク質をコードする核酸ベクターを含む、アレルゲン特異的なアレルギー状態を治療するのに有効な薬剤組成物、および治療上有効量のこのような薬剤組成物を投与することを含む、このようなアレルギー状態を治療するための方法も提供する。
【0053】
本発明のハイブリッドタンパク質は、アレルゲン特異的なアレルギー状態の診断に関しても有用である可能性がある。
【0054】
本発明は、クロスズメバチ(Vespula vulgaris)抗原5の接近可能な表面領域からの配列を、Polistes annularis抗原5の対応する領域に挿入することによって、親タンパク質の免疫原性を保持しているが著しく低下したアレルゲン性を示すハイブリッド構築体が生成したという発見に、部分的に基づくものである。さらに、配列を導入するのに最も有利な位置は、Ves v5の結晶構造から決定されたように、表面の接触可能な部位、特に環状または隅部領域であった。
【0055】
初期の研究によって、アレルゲンタンパク質の1/4〜1/3が相同の骨格タンパク質の対応する領域に導入された、ハイブリッド構築体が確立された。しかしながら、これらのハイブリッド構築体には、本発明の利点および改良点が欠けている。
【0056】
患者の臨床研究および実験動物を用いた試験によって、クロスズメバチおよびアシナガバチ属のハチの毒液タンパク質に特異的な抗体の交差反応性は限られていることが示されてきている(Lichtenstein他、1979、J Allergy Clin Immunol 64:5;Lu他、1993、J Inmunol 150:2823)。これらの観察結果が、本発明の好ましい実施形態の基盤を形成する。好ましい寄生アレルゲン抗原5は、Ves v5、23kdのクロスズメバチの毒液タンパク質である。骨格タンパク質として働く好ましい相同の宿主アレルゲンは、Pol a5、類似のサイズのアシナガバチ属のハチの毒液タンパク質である。Ves v5とPol a5は、59%の配列同一性を有する(図3)。この2つは酵母菌中で発現される可能性があり、その組み換えタンパク質は、天然タンパク質の本来の立体配座を有することが示された(Monsalve他、1999、Protein Expr.Purif 16:410)。
【0057】
Ves v5およびPol a5のハイブリッドに関して、免疫化学的な発見が報告されている。これらのハイブリッドの配列の代表例を、図4に概略的に示す。ハイブリッドPV1〜46、PV109〜155およびPV156〜204はそれぞれ、Ves v5分子の第1の1/4区分(すなわちアミノ酸1〜46)、第3の1/4区分(すなわちアミノ酸109〜155)、最後の1/4区分(すなわちアミノ酸156〜204)、およびPol a5分子の一部分を含み、ハイブリッドAg5分子を完成させる。Ves v5分子の第2の1/4区分を含むハイブリッドは作製されなかった。なぜならこれは、Ves v5とPol a5の配列同一性が高い領域だからである(図3)。ハイブリッドPV1〜155は、PV156〜204と比較すると、Ves v5とPol a5のアミノ末端およびカルボキシ末端断片が正反対である配置を有する。
【0058】
ハイブリッドPV1〜8、PV1〜18、PV1〜24、PV1〜32、PV22〜32、PV115〜125、PV142〜150、PV176〜182およびPV195〜204は、Ves v5の表面、環状または隅部領域を含むように設計された。これらのハイブリッドは、PolaAg5の相同領域で置換されたVesvAg5の7〜32個のアミノ酸を含む。
【0059】
相同タンパク質の対応する領域、特に表面の接触可能な、たとえば環状および隅部領域を変えても、元の構造が保存されると予測される。接近可能な表面領域、特に環状および隅部領域は、より柔軟性を示し、構造を保持しながら、変化をより良好に許容する傾向がある。この手法は進化分子工学(directed evolution)において同等物を発見し、この場合、相同酵素を組み換えて、新規の機能的な酵素キメラを生成する。
【0060】
「アレルゲンのハイブリッドタンパク質」という語は、骨格タンパク質の元の構造を有するが、アレルゲンからの1つまたは複数の配列を含む、組み換えまたは合成タンパク質を指す。このアレルゲンは骨格タンパク質の構造相同体であり、したがってアレルゲン配列を骨格タンパク質中の対応する位置に導入することができる。「対応する位置」とは、主要配列中の同じ位置、または元の構造中の同じ位相位置のことである。アレルゲン配列はアレルゲンの接近可能な表面領域から選択され、骨格タンパク質の対応する接近可能な表面領域中に挿入される。本来の立体配座であるタンパク質のB細胞エピトープは表面接触可能であり、骨格タンパク質中に導入されるアレルゲンからの配列は、B細胞エピトープとして作用することができるので、したがってこれらはアレルゲンタンパク質の「ペプチド性エピトープ配列」と呼ばれる。
【0061】
本発明に関しては、「低下したアレルゲン性」という表現は、このようなアレルゲン性を測定するために設計したin vitroアッセイにおいて、分子または抗原が著しく低下したアレルゲン活性を示すことを意味する。このようなin vitroアッセイは当分野ではよく知られており、たとえばアレルゲン感受性患者または実験動物の好塩基球からのヒスタミン放出のアッセイ、その後の攻撃を非制限的に含む。さらに、本明細書で使用する「活性」は、たとえば非制限的に、アッセイで得られる最大応答、またはアッセイにおける明確な結果を誘導するために必要とされる抗原の量または濃度などの、分子または抗原のアレルゲン性を示す任意の測定可能なパラメータまたは結果を指すことができる。
【0062】
「免疫原性を保持している」という語は(任意の文法形で)、ハイブリッドタンパク質が免疫応答、特にIgG優勢のヒト免疫応答を誘導し、これが元のアレルゲンまたは骨格タンパク質(または両方)によって誘導される免疫応答に匹敵し、ハイブリッドタンパク質が誘導するアレルギー(IgE)免疫応答より大きいことを意味する。ハイブリッド特異的なIgGは、アレルゲンおよび骨格タンパク質上に存在するエピトープと交差反応するであろう。このIgG応答によってIgEの結合が阻害され、したがってアレルギー応答が低下するかあるいは妨げられる可能性がある。さらにハイブリッドタンパク質は、T細胞アネルギー、および他のアレルギー抑制免疫応答を誘導することができる。
【0063】
本発明によると、アラインメントに従ってタンパク質が、非制限的な例としてプログラムGap、BestfitおよびBLASTを含めた当分野でよく知られているプログラムによって決定され、少なくとも約30%のアミノ酸同一性を示す場合、タンパク質は「相同」である。より好ましいのは、相同タンパク質が、少なくとも50%のアミノ酸同一性を示す場合である。しかしながら、特定の実施形態では、アレルゲンタンパク質と骨格タンパク質は、70%を超える配列同一性は有しておらず、許容不可能な程度のハイブリッドタンパク質のアレルゲン性をもたらす可能性がある高度の交差反応性の可能性が低下する。骨格タンパク質中に挿入されるペプチド性エピトープ配列が、置換される骨格タンパク質からの対応する配列と非常に相違する、たとえば50%未満同一であるか、好ましくは30%未満同一である場合は特に、さらに高い配列同一性を寛容することができる。
【0064】
主要配列の類似性のために、タンパク質が類似の中心二次および三次構造をとっており、その結果タンパク質の三次元構造をほぼ完全な重複度(70%より大きい)で重ね合わせることができるとき、タンパク質は構造的に相同である。しかしながら、その表面の三次構造は変わる可能性がある。
【0065】
本発明の好ましい実施形態では、アレルゲンからのペプチド性エピトープ配列は、「骨格」タンパク質中の配列に挿入されるか、あるいはこれを置換する。したがって、本発明の「骨格タンパク質」は、骨格タンパク質の相同(対応する)配列用の挿入配列または置換配列として、アレルゲンのエピトープ配列を含むタンパク質である。骨格タンパク質は本来の立体配座をとっている。アレルゲンと骨格は位置を交替することが可能である。「骨格」に導入された(「アレルゲン」からの)配列の源を示すために、これらの語を使用する。「アレルゲン」と「骨格」は相同であるので、これらは異なる個体群であるが、両方共アレルゲンとして作用する可能性がある。したがって、その表面接触可能な配列が他の構造的に相同のタンパク質に導入される場合、「骨格」は「アレルゲン」であってよい。
【0066】
「本来の立体配座」という表現は、その天然環境またはその後の精製において、前記天然環境でとられている機能的な立体配座を維持する条件下で、非組み換え、すなわち天然タンパク質、ポリペプチド、または抗原によってとられている機能的な立体配座を含む。たとえば非制限的に、タンパク質のCDスペクトルを決定することによって、本来の立体配座を測定することができる。本来の立体配座は、酵素活性を測定することによって決定することもできる。天然の非組み換えタンパク質の機能的な立体配座が知られていない場合、「本来の立体配座」は、正確に折りたたまれた機能的なタンパク質中で典型的に見られる二次要素、たとえば非制限的にαヘリックスおよびβシート要素などを含む、ランダムでない明確な立体配座を再現的に示す組み換えタンパク質の形を包含するであろうことは、当業者によって理解されるであろう。組み換え技法を使用することによって、タンパク質の本来の立体配座を害することなく、追加のアミノ酸をタンパク質のアミノまたはカルボキシル端に結合させることができることも、よく知られている。このような追加のアミノ酸は、典型的には1〜25個のアミノ酸長であり、典型的には無秩序である短いポリペプチド「タグ」、または異なるドメインを形成することができ、それ自体は整然としているかあるいは無秩序であってよい長いポリペプチドであってよい。
【0067】
「表面露出アミノ酸」という表現は、アレルゲンが溶媒中に存在するとき、少なくとも1つのアミノ酸残基原子の少なくとも一部分が周囲の溶媒との接触用に接触可能であるような形式で、アミノ酸残基が三次元構造の表面に位置していることを意味する。三次元構造のアミノ酸残基は、少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、さらに好ましくは少なくとも40%、最も好ましくは少なくとも50%の溶媒(水)露出度を有することが好ましい。
【0068】
「溶媒露出度」という表現は、溶媒分子に匹敵する半径(水、r=1.4Å)を有する球体に接触可能である、分子の領域として定義する。「アレルゲン」は、その通常の意味を有する。すなわちアレルゲンは、アレルゲン応答、たとえばアナフィラキシーショックに対するヒスタミン放出を誘導する、任意のタンパク質分子である。アレルゲンはよく知られており、代表的なグループは本明細書の表8に挙げる。本発明のアレルゲンの例は適切には、たとえば樹木、芝生、薬草、真菌、チリダニ、ゴキブリ、および動物の髪の毛およびフケに由来する吸入アレルゲンであってよい。樹木、芝生および薬草からの重要な花粉アレルゲンは、カバノキ(Betula)、ハンノキ(Alnus)、ハシバミ(Corylus)、シデ(Carpinus)およびオリーブ(Olea)を含めたFagales、Oleales、Pinales分類目、Lolium、Phleum、Poa、Cynodon、DactylisおよびSecale属のi.a芝生を含めたPoales目、AmbrosiaおよびArtemisia属の薬草を含めたAsteralesおよびUrticales目に由来するものなどである。真菌からの重要な吸入アレルゲンは、AlternariaおよびCladosporium属に由来するものなどである。他の重要な吸入アレルゲンは、Dermatophagoides属のチリダニからのアレルゲン、ゴキブリからのアレルゲン、およびネコ、イヌおよびウマなどの哺乳動物からのアレルゲンである。さらに、本発明の組み換えアレルゲンは、ハチ(Apidae上科)、ジガバチ(Vespidea上科)、およびアリ(Formicoidae上科)を含めた分類目Hymenopteraの昆虫などの、針で刺すかあるいは噛みつく昆虫に由来するものなどを含めた、毒液アレルゲンの突然変異体であってよい。特異的なアレルゲン成分には、たとえばFagales目のBetv1(B.verrucosa、カバノキ)、Alng1(Alnus glutinosa、ハンノキ)、Cora1(Corylus avelana、ハシバミ)およびCarb1(Carpinus betulus、シデ)がある。他のものには、Cryj1(Pinales)、Amba1および2、Artv1(Asterales)、Parj1(Urticales)、Olee1(Oleales)、Avee1、Cynd1、Dacg1、Fesp1、Holl1、Lolp1および5、Pasn1、Phlp1および5、Poap1、2および5、Secc1および5、およびSorh1(さまざまな芝生花粉)、Alta1およびClahI(真菌)、Derf1および2、Derp1および2(それぞれチリダニ、D.farinaeおよびD.pteronyssinus)、Lepd1および2(Lepidoglyphus destructor、貯蔵庫ダニ)、Blag1および2、Pera1(それぞれゴキブリ、Blatella germanicaおよびPeriplaneta americana)、Feld1(ネコ)、Canf1(イヌ)、Equc1、2および3(ウマ)、Apism1および2(ミツバチ)、Vesv1、2および5、Pola1、2および5(すべてジガバチ)、およびSoli1、2、3および4(フシアリ)がある。この語は、上記の「Background」に記載したすべての例も含む。
【0069】
たとえば、「スズメバチ類の毒液アレルゲン」という語は、スズメバチ類の毒中で発見されるタンパク質を指し、敏感な人々はこの昆虫の針に曝されると感作される。大部分の抗原は特異的なIgGクラスの抗体と反応性があることによって特徴付けられるが、アレルゲンはIgE型の抗体とも反応性があることを特徴とする。IgE型の抗体は、アレルギー状態、すなわち即効型である過敏症の症状の仲介を担う。
【0070】
本明細書で使用するように、「スズメバチ類」という語は、アレルギーの分野の慣習に従って使用し、世界のVespidae科に属する昆虫、すなわちスズメバチ、クロスズメバチ、およびアシナガバチ属のハチを含めた群生スズメバチのことを指す。特に、スズメバチ類は、VespinaeおよびPolistinae亜科を含む。より詳細には、スズメバチ類には、Vespa Linnaeus、Vespula Thomson、Dolichovespula Rohwer、およびPolistes Latreille属がある。Vespula属の種類にはV.germanica(Fab.)、V.squamosa(Drury)、V.maculifrons(Buysson)、V.flavopilosa(Jacobson)、V.vulgaris(L.)、およびV.pensylvanica(Saussure)があるが、これらだけには限られない。Polistes属の種類にはP.annularis(Linnaeus)、P.exclamans(Viereck)、P.metricus(Say)、P.fuscatus(Fabricius)、およびP.apachus(Saussure)があるが、これらだけには限られない。Dolichovespula属の種類にはD.maculata(L.)およびD.arenaria(Fab.)があるが、これらだけには限られない。Vespa属の種類にはV.crabro(L.)およびV.orientalis(Linnaeus)があるが、これらだけには限られない。
【0071】
Vespula vulgarisの分類学的分類は、以下の通りである。
目: Hymenoptera
亜目:Apocrita
門: Aculeata
上科:Vespoidea
科: Vespidae
亜科:Vespinae
属: Vespula
種属:Vespula vulgaris種属
種:vulgaris
【0072】
Polistes annularisの分類学的分類は、以下の通りである。
目: Hymenoptera
亜目:Apocrita
門: Aculeata
上科:Vespoidea
科: Vespidae
亜科:Polistinae
族: Polistini
属: Polistes
亜属:Aphanilopterus
種: annularis
【0073】
本明細書で使用するように、「免疫調節」という語は、B細胞またはT細胞レベルのいずれかで、抗原特異的な免疫応答を増大または低下させる能力を指す。免疫調節活性は、たとえばT細胞増殖アッセイにおいて、抗体生成、リンフォカイン生成またはT細胞の応答性を測定することによって、検出することができる。特に、B細胞応答に対する影響に加えて、本発明の免疫調節ポリペプチドは、T細胞の表面上の分子に結合し、T細胞応答に影響を与えることもできる。
【0074】
本明細書で使用するように、「免疫系関連の疾患または障害」という語句は、被験者の免疫応答を誘起するか、あるいは免疫系が免疫原に応答する能力に影響を与える疾患または障害のことを指す。したがって、免疫系関連の疾患または障害の例は、病原性疾患または障害、ウイルス性疾患または障害、たとえばHIV、単純疱疹ウイルス、またはパピローマウイルスによるもの、自己免疫疾患、たとえば関節炎または狼そうを含む。
【0075】
アレルゲン構造の決定
タンパク質の三次元構造は、X線結晶学法、nmr分光法、および電子結晶学法を非制限的に含めた、当分野でよく知られている物理的方法によって決定することができる。タンパク質の三次元構造は、X線結晶学法によって決定することが好ましい。このような技法によって5Å以上の分解能が生み出され、この分解能において、タンパク質のポリペプチド骨格中の微量のα炭素を得ることができ、タンパク質の二次構造の特徴、たとえばαヘリックスおよびβシート要素を決定することができることも好ましい。より好ましいのは、タンパク質の三次元構造が2Å以上の分解能で決定される場合であり、この分解能において、アミノ酸側鎖の位置を確認することができる。表9に示すような、特異的なアレルゲンの構造はよく知られている。これらおよび他の構造は、前述の標準的な技法を使用して決定することができる。
【0076】
タンパク質の三次元構造は、その構造が物理的方法によって、たとえばアミノ酸配列を整列させ比較することなどによって実験的に決定されている、相同タンパク質との比較によって推測することもできる。アミノ酸配列を比較および整列するための方法は当分野でよく知られており、これらには非制限的にPileup、Gap、BestFitおよびCompare programs(Genetic Computer Group、Madison、WI)がある。このようなアラインメントおよび比較によって、相同タンパク質と類似あるいは同一の立体配座をとっている可能性がある、アミノ酸同一性または類似性が高い領域を同定することができる。このようにして、1つのタンパク質に関する三次元構造がひとたび決定されると、多くの相同タンパク質に関する三次元構造を決定することができ、これによって相同タンパク質の表面および環状領域を同定することができる。
【0077】
タンパク質の三次元構造および機能は典型的には、内部に位置するアミノ酸の変化によって観察される影響と比較すると、タンパク質の表面および環状領域に位置するアミノ酸の変化によってはあまり影響を受けない。したがって、表面および環状領域のアミノ酸残基は、内部残基と比較すると、相同タンパク質の間で典型的にはあまり保存されていない。しかしながら、表面および環状領域が相同タンパク質の本来の立体配座中で同じ相対的な位置を占めることは、当業者によって理解されるであろう。したがって、表面および環状領域は、相同タンパク質中の「保存要素」または「相同要素」を表す。
【0078】
さらに、構造を評価するために、特にハイブリッドタンパク質がアレルゲンおよび骨格タンパク質の元の構造を保持していることを確認するために、さまざまな分光技法を使用することができる。これらの技法には、非制限的に円二色性分光法、nmr分光法(特に低い分解能での)、中性子回析、蛍光分光法(および他の光吸収および透過分光技法)などがある。特に、スペクトルの同一性を評価することによって、ハイブリッドタンパク質が本来の立体配座をとる程度を示すことができる。円二色性分光法によって、この型の評価のための好ましいツールが与えられる。
【0079】
分子生物学的技法
本発明に従って、使用することができる従来の分子生物学的、微生物学的、および組み換えDNA技法が当分野に存在する可能性がある。このような技法は文献中で充分に説明されている。たとえばSambrook,Fritsch & Maniatis、"Molecular Cloning:a Laboratory Manual"、Second Edition(1989)Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、New York(本明細書では"Sambrook他、1989");"DNA Cloning:a Practical Approach"、Volumes I and II(D.N.Glover ed.1985);"Oligonucleotide Synthesis"(M.J.Gait ed.1984);"Nucleic Acid Hybridization"[B.D.Hames & S.J.Higgins eds.(1985)];"Transcription And Translation"[B.D,Hames & S.J.Higgins、eds.(1984)];"Animal Cell Culture"[R.I.Freshney、ed.(1986)];"Immobilized Cells And Enzymes"[IRL Press、(1986)];B.Perbal、"A Practical Guide To Molecular Cloning"(1984)を参照のこと。本発明に従った他の技法は、米国特許第5,593,877号、5,612,209号、5,804,201号、6,106,844号および米国出願第08/484,388号、08/474;853号、およびKingへの09/166,205号中、およびMonsalve他、(1999、Protein Expr.Purif.16:410)中で発見することができる。
【0080】
「核酸分子」とは、一本鎖形または二本鎖ヘリックスのいずれかである、リン酸エステルのポリマー形であるリボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジンまたはシチジン、「RNA分子」)、またはデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、またはデオキシシチジン、「DNA分子」)のことを指す。二本鎖DNA-DNA、DNA-RNAおよびRNA-RNAヘリックスが可能である。核酸分子、特にDNAまたはRNA分子という語は、分子の一次および二次構造のみを指し、それをいずれか特定の三次形に制限するわけではない。したがってこの語は、特に線状または環状DNA分子、制限断片、ウイルス、プラスミド、および染色体中で見られる二本鎖DNAを含む。特定の二本鎖DNA分子の構造を考察すると、DNAの非転写鎖(すなわち、mRNAと相同的な配列を有する鎖)に沿って5'〜3'方向にのみ配列を与える通常の慣習に従って、本明細書に配列を記載することができる。「組み換えDNA分子」とは、分子生物学的操作を施されたDNA分子である。
【0081】
一本鎖形の核酸分子が、温度および溶液のイオン強度が適切である条件下で他の核酸分子にアニールすることができるとき、核酸分子はcDNA、ゲノムDNA、またはRNAなどの他の核酸分子に「ハイブリダイズ可能」である(Sambrook他、上記を参照のこと)。温度およびイオン強度の条件によって、ハイブリダイゼーションの「厳密度」が決定される。相同的な核酸分子の予備スクリーニングのために、55°のTmに対応する厳密度が低いハイブリダイゼーション条件、たとえば5×SSC、0.1%SDS、0.25%無脂肪乾燥ミルク、およびホルムアミドなし、または30%ホルムアミド、5×SSC、0.5%SDS)を使用することができる。厳密度が適度なハイブリダイゼーション条件はより高いTmに対応し、たとえば40%ホルムアミド、および5×または6×SSCである。厳密度が高いハイブリダイゼーション条件は最も高いTmに対応し、たとえば50%ホルムアミド、5×または6×SSCである。ハイブリダイゼーションには、2つの核酸分子が相補的な配列を含むことが必要であるが、ハイブリダイゼーションの厳密度に応じて、塩基間のミスマッチが考えられる。核酸分子がハイブリダイズするための適切な厳密度は、当分野でよく知られている変数である、核酸分子の長さおよび相補性の程度に依存する。2つのヌクレオチド配列間の類似性または相同性の程度が大きくなるほど、これらの配列を有する核酸分子のハイブリッドに関するTmの値が大きくなる。核酸ハイブリダイゼーションの相対的安定性(より高いTmに対応する)は以下の順:RNA:RNA、DNA:RNA、DNA:DNAで低下する。100ヌクレオチド長を超えるハイブリッドに関しては、Tmを計算するための等式が誘導されている(Sambrook他、上記9.50〜0.51を参照)。より短い核酸分子、すなわちオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションに関しては、ミスマッチの位置がさらに重要になり、オリゴヌクレオチドの長さがその特異性を決定する(Sambrook他、上記11.7〜11.8を参照)。ハイブリダイズ可能である核酸分子の最小の長さは、少なくとも約10ヌクレオチドであることが好ましく、より好ましくはその長さは少なくとも約20ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも約30ヌクレオチド、最も好ましくは少なくとも約40ヌクレオチドである。
【0082】
特定の実施形態では、「標準的ハイブリダイゼーション条件」という語は55℃のTmを指し、前述した条件を使用する。好ましい実施形態ではTmは60℃であり、より好ましい実施形態ではTmは65℃である。
【0083】
DNAの「コード配列」または「エンコード配列」は、適切な調節配列の調節下に置かれると、in vivoでポリペプチドに転写および翻訳される二本鎖DNA配列である。コード配列の境界は、5'(アミノ)末端の開始コドンおよび3'(カルボキシ)末端の翻訳停止コドンによって決定される。コード配列は、原核生物の配列、真核生物のmRNAからのcDNA、真核生物(たとえば哺乳動物)DNAからのゲノムDNA配列、さらに合成DNA配列だけには限られないが、これらを含むことができる。コード配列が真核細胞中での発現を目的とする場合、ポリアデニル化シグナルおよび転写停止配列は通常、コード配列に対して3'に位置しているであろう。
【0084】
転写および翻訳調節配列は、宿主細胞中のコード配列の発現をもたらす、プロモーター、エンハンサー、ターミネーターなどのDNA調節配列である。真核細胞中では、ポリアデニル化シグナルが調節配列である。
【0085】
「プロモーター配列」は、細胞中でRNAポリメラーゼと結合し、下流(3'方向)コード配列の転写を開始させることができるDNA調節領域である。本発明を明確にするために、プロモーター配列を、転写開始部位の近くのその3'末端に結合させ、上流(5'方向)に伸張させて、基底を超える検出可能なレベルで転写を開始させるのに必要な最少数の塩基または要素を含ませる。プロモーター配列中では、転写開始部位(たとえばヌクレアーゼS1を用いた地図化によって定義されることが好都合である)、およびRNAポリメラーゼの結合を担うタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)が発見されるであろう。真核生物のプロモーターは、常にではないが、「TATA」ボックスおよび「CAT」ボックスを含むことが多いであろう。
【0086】
コード配列は、RNAポリメラーゼがコード配列をmRNAに転写し、次いでこれがコード配列をコードするタンパク質に翻訳されるとき、細胞中の転写および翻訳調節配列の「調節下にある」か、あるいはこれらと「作動的に結合した」。「シグナル配列」は、コード配列の前に含まれてよい。この配列はポリペプチドに対するN末端に、ポリペプチドを細胞表面に運ぶかあるいは媒体中にポリペプチドを分泌するように宿主細胞に指示する、「シグナルペプチド」をコードしている。このシグナルペプチドは通常、輸送時に細胞によって選択的に分解される。シグナル配列が、原核生物および真核生物に備わっているさまざまなタンパク質と関連があることを、見出すことができる。
【0087】
「核酸分子」とは、一本鎖形または二本鎖ヘリックスのいずれかである、リン酸エステルのポリマー形であるリボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジンまたはシチジン、「RNA分子」)、またはデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、またはデオキシシチジン、「DNA分子」)のことを指す。二本鎖DNA-DNA、DNA-RNAおよびRNA-RNAヘリックスが可能である。核酸分子、特にDNAまたはRNA分子という語は、分子の一次および二次構造のみを指し、それをいずれか特定の三次形に制限するわけではない。したがってこの語は、特に線状または環状DNA分子、制限断片、ウイルス、プラスミド、および染色体中で見られる二本鎖DNAを含む。特定の二本鎖DNA分子の構造を考察すると、DNAの非転写鎖(すなわち、mRNAと相同的な配列を有する鎖)に沿って5'〜3'方向にのみ配列を与える通常の慣習に従って、本明細書に配列を記載することができる。「組み換えDNA分子」とは、分子生物学的操作を施されたDNA分子である。
【0088】
一本鎖形の核酸分子が、温度および溶液のイオン強度が適切である条件下で他の核酸分子にアニールすることができるとき、核酸分子はcDNA、ゲノムDNA、またはRNAなどの他の核酸分子に「ハイブリダイズ可能」である(Sambrook他、上記を参照のこと)。温度およびイオン強度の条件によって、ハイブリダイゼーションの「厳密度」が決定される。相同的な核酸分子の予備スクリーニングのために、55°のTmに対応する厳密度が低いハイブリダイゼーション条件、たとえば5×SSC、0.1%SDS、0.25%無脂肪乾燥ミルク、およびホルムアミドなし、または30%ホルムアミド、5×SSC、0.5%SDS)を使用することができる。厳密度が適度なハイブリダイゼーション条件はより高いTmに対応し、たとえば40%ホルムアミド、および5×または6×SSCである。厳密度が高いハイブリダイゼーション条件は最も高いTmに対応し、たとえば50%ホルムアミド、5×または6×SSCである。ハイブリダイゼーションには、2つの核酸分子が相補的な配列を含むことが必要であるが、ハイブリダイゼーションの厳密度に応じて、塩基間のミスマッチが考えられる。核酸分子がハイブリダイズするための適切な厳密度は、当分野でよく知られている変数である、核酸分子の長さおよび相補性の程度に依存する。2つのヌクレオチド配列間の類似性または相同性の程度が大きくなるほど、これらの配列を有する核酸分子のハイブリッドに関するTmの値が大きくなる。核酸ハイブリダイゼーションの相対的安定性(より高いTmに対応する)は以下の順:RNA:RNA、DNA:RNA、DNA:DNAで低下する。100ヌクレオチド長を超えるハイブリッドに関しては、Tmを計算するための等式が誘導されている(Sambrook他、上記9.50〜0.51を参照)。より短い核酸分子、すなわちオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションに関しては、ミスマッチの位置がさらに重要になり、オリゴヌクレオチドの長さがその特異性を決定する(Sambrook他、上記11.7〜11.8を参照)。ハイブリダイズ可能である核酸分子の最小の長さは、少なくとも約10ヌクレオチドであることが好ましく、より好ましくはその長さは少なくとも約20ヌクレオチド、さらに好ましくは少なくとも約30ヌクレオチド、最も好ましくは少なくとも約40ヌクレオチドである。
【0089】
特定の実施形態では、「標準的ハイブリダイゼーション条件」という語は55℃のTmを指し、前述した条件を使用する。好ましい実施形態ではTmは60℃であり、より好ましい実施形態ではTmは65℃である。
【0090】
DNAの「コード配列」または「エンコード配列」は、適切な調節配列の調節下に置かれると、in vivoでポリペプチドに転写および翻訳される二本鎖DNA配列である。コード配列の境界は、5'(アミノ)末端の開始コドンおよび3'(カルボキシ)末端の翻訳停止コドンによって決定される。コード配列は、原核生物の配列、真核生物のmRNAからのcDNA、真核生物(たとえば哺乳動物)DNAからのゲノムDNA配列、さらに合成DNA配列だけには限られないが、これらを含むことができる。コード配列が真核細胞中での発現を目的とする場合、ポリアデニル化シグナルおよび転写停止配列は通常、コード配列に対して3'に位置しているであろう。
【0091】
転写および翻訳調節配列は、宿主細胞中のコード配列の発現をもたらす、プロモーター、エンハンサー、ターミネーターなどのDNA調節配列である。真核細胞中では、ポリアデニル化シグナルが調節配列である。
【0092】
「プロモーター配列」は、細胞中でRNAポリメラーゼと結合し、下流(3'方向)コード配列の転写を開始させることができるDNA調節領域である。本発明を明確にするために、プロモーター配列を、転写開始部位の近くのその3'末端に結合させ、上流(5'方向)に伸張させて、基底を超える検出可能なレベルで転写を開始させるのに必要な最少数の塩基または要素を含ませる。プロモーター配列中では、転写開始部位(たとえばヌクレアーゼS1を用いた地図化によって定義されることが好都合である)、およびRNAポリメラーゼの結合を担うタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)が発見されるであろう。真核生物のプロモーターは、常にではないが、「TATA」ボックスおよび「CAT」ボックスを含むことが多いであろう。
【0093】
コード配列は、RNAポリメラーゼがコード配列をmRNAに転写し、次いでこれがコード配列をコードするタンパク質に翻訳されるとき、細胞中の転写および翻訳調節配列の「調節下にある」か、あるいはこれらと「作動的に結合した」。「シグナル配列」は、コード配列の前に含まれてよい。この配列はポリペプチドに対するN末端に、ポリペプチドを細胞表面に運ぶかあるいは媒体中にポリペプチドを分泌するように宿主細胞に指示する、「シグナルペプチド」をコードしている。このシグナルペプチドは通常、輸送時に細胞によって選択的に分解される。シグナル配列が、原核生物および真核生物に備わっているさまざまなタンパク質と関連があることを、見出すことができる。
【0094】
ハイブリッドタンパク質をコードする核酸分子
本発明は、組み換えアレルゲンのハイブリッドタンパク質をコードする単離した核酸分子に関する。さらに本発明は、アレルゲンのハイブリッドタンパク質をコードする組み換え核酸分子を安定的に含み、このような核酸分子を発現させてハイブリッドタンパク質を生成させることができる細胞株に関する。核酸は、たとえば表8中、および本明細書で開示したいくつかの特許または特許出願中に挙げた、アレルゲンから生成させることができる。
【0095】
具体例として、本開示は、スズメバチ類の毒液タンパク質の完全な核酸配列を提供する。特に本開示は、スズメバチ類のAg5の核酸配列、特にVesvAg5(配列番号14、図1を参照)およびPolaAg5(配列番号15、図2を参照)を提供する。VesvAg5(配列番号16、図1を参照)およびPolaAg5(配列番号17、図2を参照)のアミノ酸配列も提供する。
【0096】
特定の実施形態では、本発明の核酸分子を得るために、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってDNA断片を増幅させて、アレルゲンペプチド性エピトープ配列または骨格タンパク質を含む配列をコードする断片を増幅させる。本発明のアレルゲンタンパク質または骨格タンパク質を表すオリゴヌクレオチドプライマーを、PCRにおけるプライマーとして使用することができる。一般にこのようなプライマーは、合成的に作製される。たとえばPerkin-Elmer CetusサーマルサイクラーおよびTaqポリメラーゼ(Gene Amp(商標))を使用することによって、PCRを行うことができる。
【0097】
本発明の核酸は、制限断片をクローニングすることによっても得ることができる。あるいは、本発明の核酸は、in vivoまたはin vitroでの核酸の組み換えによって得ることができる。組み換えが、組み換え事象と関連がある核酸間の配列相同性に依存する場合もあるが、他の場合、たとえば「非正統的な」組み換え事象の場合、組み換えを施されている核酸は著しい相同性を含む必要はない。当業者は、核酸の組み換えは分子内または分子外事象であってよいことを理解するであろう。
【0098】
アレルゲンタンパク質または骨格DNAまたはcDNAを単離するための代替法には、本明細書で与えた配列から遺伝子配列そのものを化学的に合成することがあるが、これだけには限られない。
【0099】
前述の方法は、本発明のDNAを得ることができる方法を、制限することを意味するものではない。
【0100】
本発明の核酸を得るために使用される方法、組み換えまたは他の技法によって、核酸が接合する接合部でのヌクレオチドの挿入または欠失がもたらされる可能性がある。一実施形態では、抗原ペプチドをコードする核酸と骨格タンパク質をコードする核酸の接合部で、ヌクレオチドを挿入または欠失させることができる。このような核酸は、完全に本発明の範囲内にある。したがって本発明は、ペプチド性エピトープ配列と骨格タンパク質配列の接合部においてアミノ酸が挿入されているかあるいは欠失している、ハイブリッドタンパク質を包含する。
【0101】
クローニングされたハイブリッドタンパク質の核酸配列、またはその出発物質は、当分野で知られている任意の多数の戦略によって改変することができる(Maniatis,T.、1990、Molecular Cloning、A Laboratory Manual、2d ed.、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、New York)。制限エンドヌクレアーゼ、次にさらなる酵素による改変によって、配列を適切な部位で開裂させることができ、望むならば単離し、in vitroで連結させることができる。ハイブリッドタンパク質をコードする核酸の生成では、翻訳停止シグナルによって害されていない骨格タンパク質と同じ翻訳読み枠内に、改変された核酸が存在することを確実にするために、注意を払わなければならない。
【0102】
さらに、アレルゲンペプチド性エピトープ配列または骨格タンパク質をコードする核酸をin vitroまたはin vivoで突然変異させて、翻訳、開始、および/または停止配列を生み出すかつ/あるいは害する、あるいはコード領域の変化を生み出す、かつ/あるいは新しい制限エンドヌクレアーゼ部位を形成するかあるいは既存の部位を破壊して、in vitroでの改変をさらに容易にすることができる。in vitroでの位置指定突然変異導入法(Hutchinson他、1978、J.Biol.Chem.253:6551;Zoller and Smith、1984、DNA3:479〜488;Oliphant他1986、Gene44:177;Hutchinson他、1986、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.83:710)、TAB(登録商標)リンカー(Pharmacia)の使用などだけには限らないがこれを含めた、当分野で知られている突然変異導入に関する任意の技法を使用することができる。位置指定突然変異導入法に関してはPCR技法が好ましい(Higuchi、1989、"Using PCR to Engineer DNA"、in PCR Technology:Principles and Applications for DNA Amplification、H.Erlich、ed.、Stockton Press、Chapter6、pp.61〜70を参照のこと)。
【0103】
当分野で知られている多数のベクター宿主系を使用して、本発明のDNAを発現させることができる。考えられるベクターには、プラスミドまたは改変ウイルスがあるがこれらだけには限られない。しかしながら、ベクター系は使用する宿主細胞と適合性がなければならない。このようなベクターには、ラムダ誘導体などのバクテリオファージ、またはさまざまなpBR322誘導体などのプラスミド、たとえばpUC、CR、pGEXベクター、pmal-c、pFLAGなどがあるが、これらだけには限られない。クローニングベクター中への挿入は、たとえば相補的な粘着末端を有するクローニングベクターにDNA断片を連結させることによって行うことができる。本発明の好ましい態様では、PCRによって増幅させた本発明の核酸分子は3'-突出A-ヌクレオチドを含み、適合性があるT-ヌクレオチド突出部を有するpCRベクターへのクローニング用に、これを直接使用することができる(Invitrogen Corp.、San Diego、CA)。しかしながら、DNAを断片化するために使用される相補的な制限部位がクローニングベクター中に存在しない場合は、DNA分子の端を酵素によって改変することができる。あるいは、ヌクレオチド配列(リンカー)をDNA末端に連結させることによって、任意の所望の部位を生成させることができる。これらの連結リンカーは、制限エンドヌクレアーゼ認識配列をコードする化学的に合成された特異的なオリゴヌクレオチドを含んでよい。代替法では、本発明の開裂ベクターおよびDNAを、ホモポリマー尾部の近くで改変することができる。組み換え分子は、遺伝子配列の多くのコピーが生成するように、形質転換、トランスフェクション、感染、エレクトロポレーションなどによって宿主細胞中に導入することができる。
【0104】
特定の実施形態では、本発明のDNAを取り込んだ組み換えDNA分子を用いて宿主細胞を形質転換することによって、DNAの多数のコピーを生成することができる。したがってDNAは、形質転換体を増殖させ、その形質転換体から組み換えDNA分子を単離し、必要なときは単離した組み換えDNAから挿入配列を探索することによって多量に得ることができる。
【0105】
配列番号1〜13および93〜95であるVes v5ポリペプチド性エピトープ配列をコードするヌクレオチド配列を、配列番号18〜30および96〜98でそれぞれ与える。
【0106】
アレルゲンのハイブリッドタンパク質の発現
ハイブリッドタンパク質または免疫調節断片、またはこれらの誘導体または類似体をコードするヌクレオチド配列を、適切な発現ベクター、すなわち挿入タンパク質をコードする配列を転写および翻訳するために必要な要素を含むベクター中に挿入することができる。このような要素を、本明細書では「プロモーター」と呼ぶ。したがって、ハイブリッドタンパク質をコードする核酸分子は、プロモーターと作動的に結合した。発現ベクターは、複製起点も含むことが好ましい。必要な転写および翻訳シグナルは、アレルゲンまたは骨格タンパク質および/またはそのフランキング領域をコードする元の遺伝子によって供給される可能性もある。考えられる宿主ベクター系には、たとえばウイルス(たとえばワクシニアウイルス、アデノウイルスなど)に感染した哺乳動物細胞系、たとえばウイルス(たとえばバキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系、酵母菌ベクターを含む酵母菌などの微生物、またはバクテリオファージを用いて形質転換させた細菌、DNA、プラスミドDNA、またはコスミドDNAがあるが、これらだけには限られない。ベクターの発現要素は、その強度および特異性がさまざまである。使用する宿主ベクター系に応じて、いくつかの適切な転写および翻訳要素のいずれか1つを使用することができる。
【0107】
代替実施形態では、本発明の組み換えハイブリッドタンパク質、または免疫調節断片、またはこれらの誘導体または類似体を、組み換えによってハイブリッドタンパク質をコードする配列を組み込ませた後に、染色体的に発現させる。この点において、いくつかの増幅系のいずれかを使用して、高レベルの安定した遺伝子発現を得ることができる(Sambrook他、1989、上記、Section16 28を参照のこと)。
【0108】
ハイブリッドタンパク質をコードする核酸分子を含む組み換えベクターを含む細胞を、細胞によってハイブリッドタンパク質の発現をもたらす条件下において、適切な細胞培養基中で培養する。次いで、発現したハイブリッドタンパク質を、当分野でよく知られている方法に従って、培養物から回収することができる。このような方法は、以下に詳細に記載する。
【0109】
他の実施形態では、ハイブリッドタンパク質から後に開裂するアミノ酸を有するハイブリッドタンパク質を、最初に発現させることができる。除去される配列は、ハイブリッドタンパク質配列に対するアミノまたはカルボキシル末端であってよい。配列はin vivoまたはin vitroのいずれかで除去することができる。プロテアーゼ、たとえばシグナルペプチダーゼ、因子Xa、Kex2またはジペプチジルアミノペプチダーゼにより、特異的な部位での開裂によって、配列を除去することが好ましい。プロテアーゼによって開裂するポリペプチドを含む、このようなハイブリッドタンパク質をコードする組み換えDNA分子は、アレルゲンハイブリッドのコード配列にインフレームで結合した、ハイブリッドタンパク質から開裂するペプチドをコードする配列を含む。
【0110】
特定の実施形態では、ハイブリッドタンパク質を、たとえばpQEベクター(QIAGEN、Chatsworth、CA)を使用して、約6個のヒスチジン残基を含む追加的な配列と共に発現させる。ヒスチジンの存在によって、Ni-キレートカラム上での組み換えタンパク質の選択的な単離が可能である。他のこのようなハンドルには、FLAG、mycタグ、GSTなどがあるが、これらだけには限られない。
【0111】
他の実施形態では、タンパク質を酵母菌原形質または培養基に輸送するための、原形質形のハイブリッドタンパク質(シグナル配列を含む)を生成することができる。原形質または培地への輸送によって、発現されるタンパク質の正確な折りたたみが助長される可能性がある。
【0112】
DNA断片をベクターに挿入するための、以前に記載された任意の方法を使用して、適切な転写/翻訳調節シグナルおよびタンパク質コード配列からなる遺伝子を含む発現ベクターを構築することができる。これらの方法は、in vitroでの組み換えDNAおよび合成技法、およびin vivoでの組み換え(遺伝的組み換え)を含んでよい。
【0113】
ハイブリッドタンパク質、またはその免疫調節断片をコードする核酸配列の発現は、組み換えDNA分子を用いて形質転換された宿主中でハイブリッドタンパク質が発現されるように、第2の核酸配列によって調節することができる。たとえば、ハイブリッドタンパク質の発現は、当分野で知られている任意のプロモーター/エンハンサー要素によって調節することができるが、これらの調節要素は発現用に選択した宿主中で機能的でなければならない。ハイブリッドタンパク質のコード配列の発現を調節するために使用することができるプロモーターには、CMVプロモーター、SV40初期プロモーター領域(Benoist and Chambon、1981、Nature 290:304310)、ラオス肉腫ウイルスの3'長末端繰り返し体中に含まれるプロモーター(Yamamoto他、1980、Cell 22:787〜797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner他.1981、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:1441〜1445)、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinster他、1982、Nature 296:39〜42)、β-ラクタマーゼプロモーターなどの原核生物の発現ベクター(Villa-Kamaroff他、1978、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.75:3727〜3731)、またはtacプロモーター(DeBoer他、1983、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.80:21〜25)、"Useful proteins from recombinant bacteria"in Scientific American、1980、242:74〜94も参照のこと、Gal 4プロモーターなどの酵母菌または他の真菌からのプロモーター要素、ADC(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーター、PGK(ホスホグリセロールキナーゼ)プロモーター、アルカリホスファターゼプロモーター、および組織特異性を示しトランスジェニック動物に使用されている動物の転写調節領域などがあるが、これらだけには限られない。
【0114】
さらに、所望の特異的な方式で挿入配列の発現を調節するか、あるいは遺伝子産物を改変およびプロセッシングする、宿主細胞菌株を選択することができる。異なる宿主細胞は、タンパク質の翻訳および翻訳後プロセッシングおよび改変(たとえばグリコシル化、開裂[たとえばシグナル配列の])に関して、特徴的で特異的な機構を有している。適切な細胞株または宿主系を選択して、発現される外来性タンパク質の所望の改変およびプロセッシングを確実にすることができる。たとえば、細菌系での発現を使用して、非グリコシル化核タンパク質産物を生成することができる。しかしながら、細菌中で発現される酵素タンパク質を、正確に折りたたむことはできない。酵母菌中での発現によって、グリコシル化産物を生成することができる。昆虫細胞中での発現を使用して、異種アレルゲンハイブリッドタンパク質の本来のグリコシル化および折りたたみの可能性を高めることができる。さらに、異なるベクター/宿主発現系は、タンパク質開裂などのプロセッシング反応に、異なる程度で影響を与える可能性がある。
【0115】
当分野で知られている方法、たとえばトランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、形質導入、細胞ハイブリッド、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション(リソゾーム融合)、遺伝子ガン、またはDNAベクターのトランスポーターの使用によって、ベクターを所望の宿主細胞に導入する(たとえばWu他、1992、J.Biol.Chem.267:963〜967;Wu and Wu、1988、J.Biol.Chem.263:14621〜14624;1990年3月15日に出願されたHartmut他、カナダ特許出願第2,012,311号を参照のこと)。
【0116】
cDNAおよびゲノム配列の両方を、クローニングし発現させることができる。
【0117】
本発明のハイブリッドタンパク質、または断片、その誘導体または類似体を合成的に、たとえば固相ペプチド合成によって作製することができることが、さらに企図される。
【0118】
ひとたび組み換えハイブリッドタンパク質が同定されると、クロマトグラフィ(たとえばイオン交換、親和性、サイズ排除、および逆相クロマトグラフィ)、遠心分離、溶解度の違いを含めた標準的な方法によって、あるいはタンパク質を精製するための任意の他の標準的な技法によって、それを単離および精製することができる。
【0119】
特定の実施形態では、ハイブリッドタンパク質、およびその断片を工学処理して、約6個のヒスチジン残基を含ませることができ、これによってNi-キレートカラム上での組み換えタンパク質の選択的な単離が可能になる。好ましい態様では、逆相クロマトグラフィによってタンパク質をさらに精製する。
【0120】
他の実施形態では、組み換えハイブリッドタンパク質は、ハイブリッドタンパク質をFLAG、MYC、またはGST(グルタチオン-S-トランスフェラーゼ)などの親和性による精製の標的にすることができる、追加的な配列を含むことができる。たとえば、ハイブリッドタンパク質の追加的な配列に特異的な抗体を、固形担体、たとえば臭化シアン活性化Sepharose上に固定し使用して、ハイブリッドタンパク質を精製することができる。他の実施形態では、受容体またはリガンドなどの、追加的な配列の結合パートナーを固定し使用して、ハイブリッドタンパク質を親和性によって精製することができる。
【0121】
一実施形態では、好ましくは精製されているハイブリッドタンパク質を、さらに改変せずに、すなわち開裂させずに、あるいはそれ以外の場合は、存在する可能性がある任意の配列、さらにペプチド性エピトープ配列および骨格タンパク質を除去せずに使用する。好ましい実施形態では、ハイブリッドタンパク質を治療的に、たとえば免疫応答を調節するために使用することができる。
【0122】
他の実施形態では、精製されたハイブリッドタンパク質を処理して、骨格タンパク質に加えられていた可能性がある任意の配列を開裂および除去する。たとえば、ハイブリッドタンパク質が調製されてプロテアーゼ感受性の開裂部位を含んでいる場合、ハイブリッドタンパク質をプロテアーゼで処理して、そのプロテアーゼ特異的な部位を開裂させ、ハイブリッドタンパク質を切り離すことができる。特定の実施形態では、Factor Xaを用いた処理によってハイブリッドタンパク質を開裂させる。
【0123】
特定の実施形態では、本発明の組み換えハイブリッドタンパク質には、スズメバチ類の毒性抗原として、配列番号1〜13または93〜95のVes v5ペプチドを含むタンパク質があるが、これらだけに限られることは確かにない。
【0124】
特定の実施形態では、本発明の組み換え体であるスズメバチ類のハイブリッドタンパク質には、骨格タンパク質として、配列番号17のPol a5タンパク質を含むタンパク質があるが、これらだけに限られることは確かにない。
【0125】
ハイブリッドタンパク質は、機能的に均等なアミノ酸残基が保存アミノ酸の置換をもたらす配列中の残基に置換されている、変化したエピトープまたは骨格、あるいはこの両方の配列を含むことができる。たとえば、配列中の1つまたは複数のアミノ酸残基は、サイレント変異をもたらす機能的に均等なものとして作用する、類似の極性の他のアミノ酸で置換することができる。配列中のアミノ酸用の置換体は、アミノ酸が属するクラスの他のメンバーから選択することができる。たとえば、非極性(疎水性)アミノ酸には、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンがある。極性の中性アミノ酸には、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンがある。正に帯電した(塩基性の)アミノ酸には、アルギニン、リシンおよびヒスチジンがある。負に帯電した(酸性の)アミノ酸には、アスパラギン酸およびグルタミン酸がある。
【0126】
組み換えハイブリッドタンパク質の操作は、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、還元およびカルボキシメチル化、知られている保護/ブロック基による誘導体化、タンパク質開裂、抗体分子または他の細胞リガンドへの結合などの、タンパク質レベルで行うことができる。多数の化学的改変のいずれかを、臭化シアン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、V8プロテアーゼ、NaBH4による特異的な化学的開裂、アセチル化、ホルミル化、酸化、還元、ツニカマイシンの存在下での代謝合成などだけには限られないがこれらを含めた、知られている技法によって行うことができる。
【0127】
特定の実施形態では、昆虫細胞の発現系で、たとえばバキュロウイルス発現ベクターを使用して、ハイブリッドタンパク質を発現させる。好ましい実施形態では、酵母菌、たとえば非制限的にPicchia pastoris中で、適切な発現系を使用して、ハイブリッドタンパク質を発現させる。前に指摘したように、これらの発現系によって、発現するポリペプチドの「本来の」グリコシル化および構造、特に二次および三次構造がもたらされるはずである。
【0128】
本発明のハイブリッドタンパク質に関する活性アッセイ
抗原の免疫調節活性を評価するための多数のアッセイが、免疫学において知られている。たとえば、アレルゲンまたは骨格に特異的な抗体に結合する能力に関して、ハイブリッドタンパク質を試験することができる。診断アッセイで検出されるこのような抗体は、IgGまたはIgEクラスであることが好ましい。真核生物の発現系、特に酵母菌細胞の発現系で生成されるハイブリッドタンパク質は、抗体結合用の正確な構造を有することができる。細菌の発現系で発現されるハイブリッドタンパク質は正確な構造を有することができず、したがって抗体結合に関する診断アッセイでの使用前に、再度折りたたまれることが必要であると思われる。
【0129】
他の実施形態では、本発明のハイブリッドタンパク質を、T細胞応答に関する増殖アッセイにおいて試験することができる。このようなT細胞応答アッセイに関しては、タンパク質を生成するために使用される発現系が、タンパク質の免疫調節活性に影響を与えることはないようである。一般に、感作された宿主からのリンパ球が得られる。宿主は、アレルゲン、骨格またはハイブリッドタンパク質、組み換えによって生成させたスズメバチ類の毒性Ag5などで免疫処置したマウスであってよい。
【0130】
好ましい実施形態では、末梢血液リンパ球を、アレルゲンに対して感受性があるヒトから得る。当分野でよく知られている技法を使用して、タンパク質に対するTリンパ球応答をin vitroで測定することができる。以下の特定の実施形態では、T細胞応答を、増殖と関連があるDNA合成と共に増大する、3H-チミジンの取り込みを測定することによって検出する。
【0131】
細胞増殖は、MTTアッセイ(Mossman、1983、J.Immunol.Methods 65:55;Niks and Otto、1990、J.Immunol.Methods 130:140)を使用して検出することもできる。当分野で知られているT細胞増殖を検出するための任意の方法は、本発明に従って生成されるスズメバチ類のタンパク質に関して使用することができる。
【0132】
同様に、リンフォカイン生成アッセイを本発明に従って実施することができる。一実施形態では、リンフォカイン生成を、免疫学的または同時刺激アッセイ(たとえばFehlner他、1991、J.Immunol.146:799を参照のこと)を使用して、あるいはELISPOT技法(Czerkinsky他、1988、J.Immunol.Methods 110:29)を使用してアッセイすることができる。あるいは、リンフォカインのmRNAを、たとえば増幅(Brenner他、1989、BioTechniques 7:1096を参照のこと)またはin situハイブリダイゼーション(たとえばKasaian and Biron、1989、J.Immunol.142:1287を参照のこと)によって検出することができる。特に興味深いのは、そのT細胞がIgEイソ型の変化事象と関連があるリンフォカイン、たとえばIL-4およびIL-5を生成する個体である(Purkeson and Isakson、1992、J.Exp.Med.175:973)。
【0133】
したがって好ましい態様では、本発明に従って生成させたハイブリッドタンパク質を、アレルゲン感受性である個体から得た、末梢血液リンパ球、またはより好ましくは末梢血液リンパ球に由来する細胞株に関するin vitroアッセイで使用して、アレルギー応答と通常関連があるリンフォカイン、たとえばIL-4の分泌を検出することができる。このようなアッセイによって、ハイブリッドタンパク質のどの(諸)成分がアレルギー状態の原因であるかを示すことができる。
【0134】
ハイブリッドタンパク質および核酸ベクターの治療用途
本発明は、たとえば組み換え技法によって生成される、多数の源のハイブリッドタンパク質を提供する。あるいはペプチド合成によって、ハイブリッドタンパク質を生成することができる。
【0135】
本発明は、アレルゲン特異的なアレルギー状態の療法、アレルゲン特異的なアレルギー状態、免疫系関連の状態の治療、および免疫原に対する哺乳動物の免疫応答の調節において使用するための治療(薬剤)組成物中に、ハイブリッドタンパク質を使用することを企図するものである。特定の実施形態では、Ves v5およびPol a5ハイブリッドタンパク質、またはその誘導体または類似体を、本発明に従って診断、療法、治療、および免疫応答の調節における使用用に企図する。
【0136】
本明細書では「治療上有効量」という語句は、治療するのに充分な量、好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも90%の増大、被験者の免疫系が免疫原と効果的に戦う能力を意味するために使用する。さらに研究を行うと、さまざまな患者における免疫原に対する免疫系応答の調節に関して、適切な用量レベルに関する情報が生じ、当業者は、レシピエントの治療背景、年齢および一般的な健康を考慮して、適切な用量を確認することができるであろう。
【0137】
治療法
本発明の治療用組成物(以下参照)は、過敏症療法とも呼ばれる免疫療法において使用することができる。免疫療法は、アレルギー性疾患、特に昆虫アレルギーにおいて有効であることが分かっている。アレルゲンは、段階的に大きな用量で、長時間かけて非経口的に投与する。患者が感受性がある1種または複数種のアレルゲンが具体的に同定されており、療法がこれらのアレルゲンを標的とするとき、このような療法は特に有効である可能性がある。しかしながらこの手法は、アレルギー反応、特にアナフィラキシーを引き起こす可能性があるという欠点に苦しんでいる。したがって、多量のハイブリッドタンパク質の利用は、アレルギーの免疫療法にとって重要である。なぜならハイブリッドタンパク質は、アレルギー反応なしで、アレルゲンに対する有効なIgG応答を誘導するからである。
【0138】
発明の背景で論じたように、アレルゲンを免疫療法用に使用するとき、アレルゲン上にB細胞エピトープが存在することによって、望ましくない全身性の反応が引き起こされる可能性がある。したがって、本発明の固有の利点は、望ましくない全身性の影響を引き起こさないアレルゲンポリペプチドを提供することができることである。
【0139】
たとえばBrine他(1993、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.90:7608〜12)によって記載されたように、一実施形態では、1つまたは複数のハイブリッドタンパク質を皮下に注射して、元の分子に対するT細胞応答を低下させることができる。
【0140】
他の実施形態では、1つまたは複数のハイブリッドタンパク質を鼻腔内に投与して、元の被験者および感作された被験者のアレルゲン特異的な応答を抑制することができる(たとえばHoyne他、1993、J.Exp.Med.178:1783〜88を参照のこと)。
【0141】
本発明のハイブリッドタンパク質を投与することによって、IgE抗体を妨げる強力な抗アレルゲンB細胞(抗体)、IgG応答が誘導され、したがって治療効果があることが予想される。
【0142】
これらの結果は、ハイブリッドタンパク質を発現させることができるベクターを投与することによって、すなわち遺伝子治療によって得ることもできる。特にin vitroおよびin vivoでの細胞アッセイに好ましいベクターは、レンチウイルス、レトロウイルス、疱疹ウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス、アルファウイルス(特にシンドビスウイルスおよびセムリキ森林ウイルス)、および所望の細胞親和性を有する他の組み換えウイルスなどのウイルスベクター、および非ウイルスベクターである。in vivoまたはex vivoでの遺伝子治療に関しては、複製不完全ウイルスベクターなどの、薬剤として許容されるベクターが好ましい。本発明の核酸を含む薬剤として許容されるベクターは、一過性または安定した発現用にさらに改変することができる。本明細書で使用するように、「薬剤として許容されるベクター」には、選択的に標的化し核酸を細胞中に導入する能力を有する、ベクターまたは送達媒体があるが、これらだけには限られない。
【0143】
したがって、機能的または突然変異タンパク質、またはそのポリペプチドドメイン断片をコードする遺伝子は、ウイルスベクターを使用して、あるいはDNAを直接導入することによって、in vivo、ex vivo、あるいはin vitroで導入することができる。特定の細胞に対するトランスジェニックベクターを、ウイルスベクターまたは受容体リガンドなどを用いて標的化することによって、あるいは組織特異的なプロモーターを使用することによって、あるいはこの両方によって、標的組織中での発現に影響を与えることができる。標的化された遺伝子送達は、PCT Publication No.WO95/28494中に記載されている。
【0144】
in vivoまたはex vivoでの標的化および治療手順用に一般的に使用されるウイルスベクターは、DNA系ベクターおよびレトロウイルスベクターである。ウイルスベクターを構築および使用するための方法は、当分野で知られている(たとえばMiller and Rosman、BioTechniques 1992、7:980〜990を参照のこと)。ウイルスベクターは複製欠損型であること、すなわち標的細胞中で自律的に複製することができないことが好ましい。複製欠損ウイルスは最小のウイルスであること、すなわちゲノムをキャプシドで覆ってウイルス粒子を生成させるために必要な、そのゲノムの配列のみを保持していることが好ましい。
【0145】
DNAウイルスベクターには弱毒化または欠損DNAウイルスなどがあり、単純疱疹ウイルス(HSV)、パピローマウイルス、エプスタインバーウイルス(EBV)、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス(AAV)、アルファウイルス(特にシンドビスウイルス)などがあるが、これらだけには限られない。完全あるいはほぼ完全にウイルス遺伝子が欠けている、欠損ウイルスが好ましい。欠損ウイルスは、細胞への導入後には感染性ではない。欠損ウイルスベクターを使用することによって、ベクターが他の細胞を冒す可能性があることを懸念せずに、細胞の特定の局所領域への投与が可能である。したがって、特定の組織を特異的に標的化することができる。個々のベクターの例には、欠損疱疹ウイルス1(HSV1)ベクター、(Kaplitt他、Molec.Cell.Neurosci.1991、2:320〜330)、糖タンパク質L遺伝子が欠けている欠損疱疹ウイルスベクター、または他の欠損疱疹ウイルスベクター(PCT Publication Nos.WO94/21807およびWO92/05263)、Stratford-Perricaudet他によって記載されたベクターなどの弱毒化アデノウイルスベクター(J.Clin.Invest.1992、90:626〜630;La Salle他、Science 1993、259:988〜990も参照のこと)、欠損アデノ関連ウイルスベクター(Samulski他、J.Virol.、1987、61:3096〜3101;Samulski他、J.Virol.1989、63:3822〜3828;Lebkowski他、Mol.Cell.Biol.1988、8:3988〜3996)、およびシンドビスウイルスおよびセムリキ森林ウイルス系ベクターを含めたアルファウイルスベクター(米国特許第5,091,309号、PCT Publication No.WO98/44132、Schlesinger and Dubensky、Curr.Opin.Biotechnol.1999、5:434〜9;Zaks他.、Nat.Med.1999、7:823〜7)があるが、これらだけには限られない。
【0146】
Avigen,Inc.(Alameda、CA;AAVベクター)、Cell Genesys(Foster City、CA;レトロウイルス、アデノウイルス、AAV、およびレンチウイルスベクター)、Clontech(レトロウイルスおよびバキュロウイルスベクター)、Genovo,Inc.(Sharon Hill、PA;アデノウイルスおよびAAVベクター)、Genvec(フランス、アデノウイルスベクター)、IntroGene(Leiden、オランダ、アデノウイルスベクター)、Molecular Medicine(レトロウイルス、アデノウイルス、AAV、および疱疹ウイルスベクター)、Norgen(アデノウイルスベクター)、Oxford BioMedica(Oxford、英国、レンチウイルスベクター)、およびTransgene(Strasbourg、フランス、アデノウイルス、ワクシニア、レトロウイルス、およびレンチウイルスベクター)だけには限られないが、これらを含めたさまざまな企業が、ウイルスベクターを工業的に生成している。
【0147】
他の実施形態では、リポフェクションによって裸のDNAとして、あるいは他のトランスフェクション促進剤(ペプチド、ポリマーなど)を用いて、in vivoでベクターを導入することができる。合成カチオン性脂質を使用して、マーカーをコードする遺伝子のin vivoトランスフェクション用にリポソームを調製することができる(Felgner他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1987、84:7413〜7417;Felgner and Ringold、Science 1989、337:387〜388;Mackey他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1988、85:8027〜8031;Ulmer他、Science 1993、259:1745〜1748を参照のこと)。核酸を導入するための有用な脂質化合物および組成物は、PCT特許公開Nos.WO95/18863およびWO96/17823中、および米国特許第5,459,127号中に記載されている。標的化の目的で、脂質を他の分子に化学的に結合させることができる(Mackey他、上記を参照のこと)。標的化ペプチド、たとえばホルモンまたは神経伝達物質、および抗体などのタンパク質、または非ペプチド分子を、リポソームに化学的に結合させることが可能であると思われる。
【0148】
カチオン性オリゴペプチド(たとえばPCT特許公開No.WO95/21931)、DNA結合タンパク質に由来するペプチド(たとえばPCT特許公開No.WO96/25508)、またはカチオン性ポリマー(たとえばPCT特許公開No.WO95/21931)などの他の分子も、in vivoでの核酸のトランスフェクションを促進するために有用である。
【0149】
in vivoにおいて裸のDNAプラスミドとしてベクターを導入することも可能である。遺伝子治療用の裸のDNAベクターは、当分野で知られている方法、たとえばエレクトロポレーション、マイクロインジェクション、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈殿、遺伝子ガンの使用、またはDNAベクターのトランスポーターの使用によって、所望の宿主細胞中に導入することができる(たとえばWu他、J.Biol.Chem.1992、267:963〜967;Wu and Wu、J.Biol.Chem.1988、263:14621〜14624;カナダ特許出願第2,012,311号;Williams他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1991、88:2726〜2730を参照のこと)。受容体仲介のDNA送達手法も使用することができる(Curiel他、Hum.Gene Ther.1992、3:147〜154;Wu and Wu、J.Biol.Chem.1987、262:4429〜4432)。米国特許第5,580,859号および5,589,466号は、哺乳動物における、トランスフェクション促進剤なしでの外因性DNA配列の送達を開示している。近年、エレクトロトランスファーと呼ばれる、比較的低い電圧での、効率の良いin vivoでのDNA導入技法が記載されている(Mir他、C.P.Acad.Sci.1988、321:893;PCT Publication Nos.WO99/01157、WO99/01158およびWO99/01175)。
【0150】
免疫系関連の疾患の治療
前に説明したように、本発明は、免疫系関連の疾患または障害を治療するため、あるいは免疫原に対する哺乳動物の免疫応答を調節するための、ハイブリッドタンパク質に関する。特に本出願人は、本発明のハイブリッドタンパク質は、アレルギー応答を誘導せずに免疫応答を誘導する方式で、さまざまな免疫原に対する被験者の免疫応答の調節において用途があることを発見している。特定の実施形態では、本発明のハイブリッドタンパク質が被験者の免疫応答を調節して、HIV、単純疱疹ウイルス、またはパピローマウイルスだけには限られないが、これらを含めた病原体およびウイルスと戦うための能力を高める。このような方法は、本発明のDNA分子を含む単離核酸分子によってコードされたポリペプチドを含む、薬剤組成物を治療上有効量、被験者に投与することを含む。さらに、本発明のハイブリッドタンパク質、核酸およびベクターは、免疫系関連の疾患または障害、またはこれらに関連した症状の治療においても用途があることが発見されてきている。本明細書で使用するように、「免疫系関連の疾患または障害」という語句は、被験者の免疫応答を誘起するか、あるいは免疫系が免疫原に応答する能力に影響を与える疾患または障害のことを指す。本発明の作用物質および薬剤組成物を用いて治療することができる、免疫系関連の疾患または障害の例には、病原性疾患または障害、ウイルス性疾患または障害、たとえばHIV、単純疱疹ウイルス、またはパピローマウイルスによるもの、または自己免疫疾患、たとえば関節炎または狼そうがあるが、これらだけには限られない。
【0151】
さらに本発明は、免疫系関連の疾患または障害、またはこれらに関連した症状を治療するための方法であって、免疫系関連の疾患または障害を治療するのに治療上有効量の薬剤組成物を被験者に投与することを含む方法に及ぶ。したがって、たとえば免疫系関連の疾患または障害がHIVに関するものである場合、たとえば臨床上の重要な変化は、本発明の薬剤組成物が投与される被験者中の白血球細胞数が、投与前の白血球細胞数と比べて増大することを伴うと思われる。被験者中の臨床上の重要な変化が観測される他のこのような例は、当業者には容易に明らかであろう。そのうえ、さらに研究を行うと、さまざまな患者において免疫系関連の疾患または障害、またはこれらに関連した症状を治療すること関して、適切な用量レベルに関する情報が生じ、当業者は、レシピエントの治療背景、年齢および一般的な健康を考慮して、適切な用量を確認することができるであろう。薬剤として許容される組成物の例は、以下に記載する。
【0152】
薬剤として許容される組成物
本発明のin vivoでの治療用組成物は、適切な薬剤として許容される担体、賦形剤、希釈剤およびアジュバントも含むことができる。本明細書で使用するように、「薬剤として許容される」という語句は、政府、特に連邦政府または州政府の規制機関によって承認されているか、あるいは米国薬局方、または動物、より具体的にはヒトにおける使用に関する、他の一般的に認められている薬局方中に挙げられていることを意味することが好ましい。適切な薬剤担体は、E.W.Martinによる「Remington's Pharmaceutical Sciences」中に記載されている。
【0153】
このような薬剤として許容される担体は、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの、石油、動物、植物または合成源のものを含めた、水および油などの滅菌された液体であってよい。薬剤組成物を静脈内に投与するとき、水は好ましい担体である。生理食塩水溶液および水性デキストローゼおよびグリセロール溶液を、特に注射溶液用の液体担体として使用することもできる。適切な薬剤賦形剤には、マニトール、ヒト血清アルブミン(HSA)、澱粉、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリセロール、水、エタノールなどがある。これらの組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、ピル、カプセル、粉末、徐放性調合物などの形をとってよい。
【0154】
このような組成物は、有効な診断または治療量の活性化合物、および患者に適切に投与するための形を与えるのに適切な量の担体を含むであろう。静脈内注射は非常に有効な投与の形であるが、注射、または経口、鼻腔または非経口投与などによる、他の方法を使用することができる。
【0155】
本発明は、本発明を純粋に例示することを目的とする、以下の実施例によってさらに明らかになるであろう。
【実施例1】
【0156】
Ag5ハイブリッドcDNAの構築
実施例で使用したプライマー1〜24を、表1に挙げる。
【0157】
Ves v5EAおよびKR構築体を、プライマー1(配列番号31)および3(配列番号33)または2(配列番号32)および3(配列番号33)をそれぞれ用いた、Ves v5のcDNA鋳型のPCR増幅(Lu他、1993、J.Immunol.150:2823)によって作製した。Pol a5EAおよびKR構築体を、プライマー4(配列番号34)および6(配列番号24)または5(配列番号35)および6(配列番号36)をそれぞれ用いた、PolaのcDNA鋳型のPCR増幅(Lu他、1993、J.Immunol.150:2823)によって作製した。それぞれのcDNA構築体は、5'末端にEcoRIまたはXhoI部位、および3'末端にXbal部位を含んでいた。cDNAは、プラスミドベクターpPICZαA(Invitrogen Corp、San Diego、CA)中で、EcoRI-XbalまたはXhol-Xbal断片のいずれかとしてクローニングした。陽性クローンをPCRによって同定した。組み換えAg5およびpPICZαA中のハイブリッドcDNAの配列を、当該のDNAの配列決定によって確認した。他の構築体を、King他(2001、J.Immunol.166:6057〜6065)中に記載されたように作製した。
【0158】
(i)PV1〜46。PVl〜46ハイブリッドを、それぞれのタンパク質のアミノ酸47〜48および49〜50に存在するペプチド配列EHにおいて、Ves v5のアミノ末端配列とPol a5のカルボキシル末端配列を結合させることによって構築した。Ves v5中のEHペプチドをコードするヌクレオチド配列はGAGCACであり、これはBsiHKAI制限酵素開裂部位に対応する。
【0159】
PVl〜46ハイブリッドの構築を容易にするために、以下のようにPCR重複伸張法(Ho他、1989、Gene77:51)によって、アミノ酸49〜50においてPol a5EHペプチドをコードする天然のDNA配列(GAGCAT)を、BsiHKAI部位に突然変異させた。第1のステップは2つの別個のPCRからなっていた。1つのPCRでは、プライマー4(配列番号34)および8(配列番号38)を使用して、Pol a5の残基1〜53をコードするDNAを増幅させ、EHをコードする配列をBsiHKAI部位に転換した。第2のPCRでは、プライマー7(配列番号37)および6(配列番号36)を使用して、Pol a5の残基47〜205をコードするDNAを増幅させ、EHをコードする配列をBsiHKAI部位に転換した。両方のPCR共、0.2mMのdNTPおよび5単位のTaqポリメラーゼを含む100μlのPCR緩衝液中で、鋳型として1〜40ngのPolaのcDNA、およびそれぞれ50pmoleのセンスおよびアンチセンスプライマーを用いて行った。サイクル条件は、35サイクルで、95°で0.5分間変性、55°で0.5分間アニーリング、および72°で2分間伸張であった。これら2つのPCR産物は、重複領域を含んでいた。重複伸張手順の第2のステップでは、第1の2つの反応の精製産物を混合して、フランキングプライマー4(配列番号34)および6(配列番号36)を用いる第3のPCR用の鋳型として働かせ、BsiHKAI部位に転換されたEHをコードする配列を有する完全長のPol a5を生成した。
【0160】
次いでcDNAをコードするハイブリッドPVl〜46を、cDNAをコードするAg5に関して前に記載したのと同様に、Ves v5および改変されたPol a5のcDNAからの適切なBsiHKAI断片をpPICZαAに連結させることによって作製した。
【0161】
(ii)PV109〜155。PV109〜155ハイブリッドを、それぞれのタンパク質のアミノ酸106〜107および109〜110に存在するペプチド配列KYにおいて、Ves v5のアミノ末端配列とPol a5のカルボキシル末端配列を結合させることによって構築した。両方のAg5のKYペプチドは、ヌクレオチド配列AAATATによってコードされている。PV109〜155を構築するために、適切なAg5またはハイブリッドcDNAのKYコード配列を、KFのペプチド配列をコードするApoI制限酵素開裂部位(AAATTT)に突然変異させた。1回の塩基の突然変異を、実施例1に記載したようにPCR重複伸張法(Ho他、1989、Gene77:51)を使用して行った。反応の1セットでは、PV1〜155のcDNAのKYをコードするヌクレオチド配列を、突然変異誘発プライマー9(配列番号39)および10(配列番号40)を用いた、PCR重複手順を行うことによって転換した。反応の第2のセットでは、Pol a5のcDNAのKYをコードするヌクレオチド配列を、突然変異誘発プライマー11(配列番号41)および12(配列番号42)を用いた、PCR重複手順を行うことによって転換した。cDNAをコードするハイブリッドPV109〜155を、改変されたPol a5およびcDNAをコードする改変されたPV1〜155のApoI消化物からの適切な断片をpPICZαAに連結させることによって作製した。
【0162】
(iii)PV1〜155およびPV156〜204。Ves v5およびPol a5のcDNAは、アミノ酸残基154〜156をコードする共通のEaeI制限部位を有している。cDNAをコードするハイブリッドPV156〜204およびPV1〜155は、その親cDNAの適切なEaeI断片をpPICZαAに連結させることによって作製した。
【0163】
(iv)PV1〜8、PV1〜8およびPV195〜204。Pol a5のcDNAを鋳型として用いたPCRによって、これらのハイブリッドを作製した。PV1〜8は、プライマー2(配列番号32)および6(配列番号36)を使用して作製した。PV1〜18は、プライマー6(配列番号36)および13(配列番号43)を使用して作製した。PV195〜204は、プライマー4(配列番号34)および14(配列番号44)を使用して作製した。これらのハイブリッドをpPICZαAにクローニングした。
【0164】
(v)PV1〜24、PV1〜32、PV1〜39、PV1〜50、PV1〜57およびPV1〜70。これらのハイブリッドは、実施例1で与えたPCR重複伸張法(Ho他、1989、Gene77:51)を使用して構築した。PV1〜24に関しては、第1ラウンドのPCRを、Ves v5のcDNAを有するプライマー1(配列番号31)および15(配列番号45)を鋳型として、およびPol a5のcDNAを有するプライマー6(配列番号36)および16(配列番号46)を鋳型として使用して行った。次いで2つの重複PCR産物を精製し、フランキングプライマー1(配列番号31)および6(配列番号36)を使用する第3のPCRにおいて鋳型として使用して、PV1〜24を得た。PV1〜32に関しては、第1ラウンドのPCRを、Ves v5のcDNAを有するプライマー1(配列番号31)および18(配列番号48)を鋳型として、およびPol a5のcDNAを有するプライマー6(配列番号36)および17(配列番号47)を鋳型として使用して行った。次いで2つの重複PCR産物を精製し、フランキングプライマー1(配列番号31)および6(配列番号36)を使用する第3のPCRにおいて鋳型として使用して、PV1〜24を得た。PV1〜39に関しては、第1ラウンドのPCRを、Ves v5のcDNAを有するプライマー2(配列番号32)および19(配列番号49)を鋳型として、およびPol a5のcDNAを有するプライマー6(配列番号36)および20(配列番号50)を鋳型として使用して行った。次いで2つの重複PCR産物を精製し、フランキングプライマー2(配列番号32)および6(配列番号36)を使用する第3のPCRにおいて鋳型として使用して、PV1〜39を得た。PV1〜50に関しては、第1ラウンドのPCRを、Ves v5のcDNAを有するプライマー2(配列番号32)および28(配列番号58)を鋳型として、およびPol a5のcDNAを有するプライマー6(配列番号36)および27(配列番号57)を鋳型として使用して行った。次いで2つの重複PCR産物を精製し、フランキングプライマー2(配列番号32)および6(配列番号36)を使用する第3のPCRにおいて鋳型として使用して、PV1〜50を得た。PV1〜57に関しては、第1ラウンドのPCRを、Ves v5のcDNAを有するプライマー2(配列番号32)および30(配列番号60)を鋳型として、およびPol a5のcDNAを有するプライマー6(配列番号36)および29(配列番号59)を鋳型として使用して行った。次いで2つの重複PCR産物を精製し、フランキングプライマー2(配列番号32)および6(配列番号36)を使用する第3のPCRにおいて鋳型として使用して、PV1〜57を得た。PV1〜76に関しては、第1ラウンドのPCRを、Ves v5のcDNAを有するプライマー2(配列番号32)および32(配列番号62)を鋳型として、およびPol a5のcDNAを有するプライマー6(配列番号36)および31(配列番号61)を鋳型として使用して行った。次いで2つの重複PCR産物を精製し、フランキングプライマー2(配列番号32)および6(配列番号36)を使用する第3のPCRにおいて鋳型として使用して、PV1〜76を得た。ハイブリッドcDNAをpPICZαAにクローニングした。
【0165】
(vi)PV22〜32、PV115〜125、PV142〜150およびPV176〜182。これらの構築体は、短いVes v5ポリペプチドが、他の場合は無欠な完全長のPol a5中の相同的な配列と置き換わっている、ハイブリッドAg5sである。
【0166】
Pol a5配列を、実施例1で与えたPCR重複伸張法(Ho他、1989、Gene77:51)を使用してVes v5配列で置換した。2回のPCRの第1セット用に使用した鋳型DNAは、Lu他(1993、J.Innnunol.150:2823)のPolaのcDNAであった。PCR伸張プロトコルで使用した、上流および下流Polaプライマーは、それぞれプライマー4(配列番号22)および6(配列番号24)であった。最終産物をpPICZαAにクローニングした。
【0167】
挿入Ves v5配列をコードする重複プライマー対は、以下の通りであった。(a)PV22〜32-プライマー17(配列番号47)および18(配列番号)(b)PV115〜125-プライマー21(配列番号51)および22(配列番号52)(c)PV142〜150-プライマー23(配列番号53)および24(配列番号54)、および(d)PV176〜182-プライマー25(配列番号55)および26(配列番号56)。PCR反応およびサイクルの条件は、PVl〜46に関して記載した条件であった。
【0168】
【表1A】
Figure 2005508134
【表1B】
Figure 2005508134
【0169】
Ag5またはハイブリッドをコードするEAまたはKR系のcDNAを、制限酵素EcoRIまたはXhoI、およびXbaIでそれぞれ消化し、同様に切断したpPICZα-Aベクター(Invitrogen、San Diego、CA)中に次いで挿入した。組み換えプラスミドを、TOP10F'細胞中で増幅させた。組み換えプラスミドすべてのAg5コード配列を、DNAの配列決定によって確認した。Ag5コード配列は、Ves v5に関して観察された2個所でのlヌクレオチドの違い以外は、Genbankの配列データに対応した(VesvAg5に関しては受託番号M98858、PolaAg5に関しては受託番号M98857)。これらの変化は位置579および587でのものであり、サイレントG〜A突然変異およびT〜A置換がそれぞれもたらされ、アミノ酸残基196でのM〜Kのコドン変化がもたらされた。2個所でのヌクレオチドの変化は、ランダムな突然変異ではなく昆虫の多形性を示す可能性がある。なぜなら、使用したAg5のcDNAは、以前に行われた(Lu他、1993、J.Immunol.150:2823)のと同じ方法で作製したからである。
【実施例2】
【0170】
Ag5およびハイブリッドの発現および精製
組み換えプラスミド(1〜2μg)を、制限酵素SacIで切断することによって線状にし、次いでこれを使用して、エレクトロポレーションによってコンピテントPichia pastorisKM71酵母菌細胞(40μlの1Mソルビトール中に約8×109個の細胞)を形質転換した。形質転換した細胞を1Mソルビトールを用いて2mlに希釈し、攪拌せずに30°で1時間、200rpmで攪拌しながらさらに1時間、放置して回収した。次いで50μ1または100μ1のアリコートを、多数のコピー成分を選択するための1.5mg/mlのZeocin(Invitrogen Manual)を含むYPDS培地の100mmのプレート上に広げた。選択したクローンを3〜4日の培養後に取り出し、小規模な発現によってスクリーニングして、ハイブリッドタンパク質を生成するコロニーを同定した。小規模な発現は、1/30の規模ではあるが大規模な単離に関して以下に記載したものと同じ方法で、50mlのプラスチックチューブ中で行ない、分泌されたタンパク質に関するSDSゲル電気泳動によって、培養液をスクリーニングした。
【0171】
選択したクローンからの酵母菌細胞を、それぞれ酵母菌窒素ベース、ビオチン、グリセロールおよびヒスチジンを含むpH6.0のリン酸緩衝液150mlを含む、2本の500mlボトル中において30°で、10〜12のA600mmまで250rpmで軌道攪拌しながら増殖させた。次いで遠心分離によって細胞を回収し、グリセロールの代わりにメタノールを含む、同様に緩衝処理した培地100ml中に再懸濁させた。4〜6日間、250rpmで攪拌しながら30°で培養を続け、1日当たり50%メタノールを1ml加えた。
【0172】
以前に報告された手順(Monsalve他、1999、Protein Expr.Purif.16:410)を使用して、SE-セルロース(Sigma)上でのイオン交換クロマトグラフィによって、Ag5sまたはそのハイブリッドを培養液の濃縮物から精製した。主要ピークの約70%のものを集め、C18シリカ上での逆相クロマトグラフィによって脱塩し、凍結乾燥させた。組み換えAg5sまたはハイブリッドを0.01Mの酢酸アンモニウム緩衝液(pH4.6)中に溶かし、4°で保存した。チロシンおよびトリプトファン含有量から計算した分子吸光係数を使用して、280nmでの吸光度から組み換えタンパク質濃度を決定した。Ag5sまたはハイブリッドの収量は、4日目の培養物100ml当たり、典型的には1〜7mgの範囲であった。
【0173】
組み換えAg5sまたはハイブリッドを、SDSゲル電気泳動、N末端配列分析、およびMALDI質量分析法によって特徴付けした。AVIV62DS分光計中のlmm通路長の細胞の、pH4.6の0.01M酢酸緩衝液中における組み換えタンパク質0.2mg/mlでの、CDスペクトルを採取した。
【実施例3】
【0174】
組み換え体であるスズメバチ類のAg5sおよびハイブリッドの、物理-化学的特徴付け
酵母菌株KM71中で発現したAg5sおよびハイブリッドタンパク質は、分泌シグナルペプチドを含んでいた。このシグナルペプチドを、KRまたはKREAEAEF配列のペプチドを介して、発現したタンパク質に結合させた。これらの2タイプのタンパク質は、それぞれKRおよびEA系として設計した。酵母菌細胞から分泌すると、KR配列(Kex2プロテアーゼ部位)または2個所のEA配列(Ste13ジペプチジルアミノペプチド部位)(Invitrogen Manual)において、シグナルペプチドが分泌されたタンパク質から開裂した。
【0175】
組み換えタンパク質を、SE-セルロース上でのイオン交換クロマトグラフィ、次にC18シリカ上での逆相クロマトグラフィによって培養液から単離し、SDSゲル電気泳動によって特徴付けした(図6)。いくつかのハイブリッドは、天然のVes v5の移動度と類似の移動度で、間隔の狭い重複を示した。これらの重複は、ハイブリッドPV1〜155およびPV156〜204のN末端配列決定、および質量分析データ(表2)によって示されるように、タンパク質のN末端でのさまざまな程度のプロセッシングと一致する。
【0176】
組み換えAg5sおよびハイブリッドは、天然のAg5sのものとほぼ同一であるCDスペクトルを示した(図7)。天然のVes v5およびEA-Ves v5のスペクトル、およびEA〜PVl〜46、EA〜PVl〜155およびEA〜PV156〜204のスペクトルによって、約208nmでの最小値の存在、および225nmでの肩が示された(図7)。これらの特徴は整然とした特徴を示すものである(Yang他、1986、Methods in Enzymology 130:208)。表IIに挙げた他のハイブリッドに関して、類似のCDスペクトルを観察した(データは示さず)。細菌からの組み換えVes v5のCDスペクトルは約200nmで最小値を示しており、これは無秩序な構造を示すものである(Monsalve他、1999、Protein Expr.Purif.16:410)。
【0177】
酵母菌からの組み換えAg5sおよびハイブリッドは、天然のAg5sと同様に、酸性または塩基性緩衝液中で自由に溶けた。これは、酸性緩衝液中でのみ自由に溶けた、細菌からの組み換え体であるスズメバチ類のAg5sとは反対である。
【0178】
Ag5sおよびハイブリッドの質量分析法による分析の結果を表2に与える。EA系Ag5sはKex2部位において効率よく開裂したが、2個所のSte13部位ではさまざまな開裂を示した。したがって組み換えEA系タンパク質は、アミノ末端配列EAEAEFおよびEAEFを有しており、EF配列は、cDNAをベクターに挿入するために使用したEcoRI部位によってコードされていた。これらのデータは、以前に報告された結果(Monsalve他、1999、Protein Expr.Purif.16:410)と類似していた。
【0179】
組み換えVes v5のEAEAEF配列は、強力なハプテンとして機能することが知られている(Monsalve他、1999、Protein Expr.Purif.16:410)。したがってAg5sは、KR系ハイブリッドとしても発現された。Kex2部位におけるKR系タンパク質の開裂によって、天然タンパク質のN末端配列を有する組み換えタンパク質が生じた。KR系タンパク質Ves v5、Pol a5、およびハイブリッドKR〜PVl〜24およびKR〜PV1〜46の質量分析法による分析によって、これらはさまざまな効率で、Kex2部位、およびKex2部位の残基2、7、および9上流において開裂したことが示された(表2.)。KR系の組み換えタンパク質は通常、EA系のタンパク質よりもわずかに収率が低かった。
【0180】
【表2A】
Figure 2005508134
【表2B】
Figure 2005508134
【実施例4】
【0181】
ELISAによる研究
96ウエルのプレート中で、pH8の0.05MTris-HCI緩衝液に溶けた4μg/mlのAg5で覆われたウエルにおいて、ELISAを行った。結合したIgG1を2μg/mlのビオチン化ヤギ抗マウスIgG(γ1特異的)、次に2μg/mlのアビジン-ペルオキシダーゼ結合体を用いて検出した(King他、1995、J.Inununol 154:577)。血清サンプル中の抗体濃度を、それらのELISAデータと、Ves v5特異的な抗体の免疫親和性によって精製したサンプルのデータを比較することによって決定した。
【実施例5】
【0182】
Ves v5に特異的なハイブリッドのB細胞エピトープ
天然のVes v5に特異的なネズミポリクローナル抗体を、Ves v5特異的な免疫吸着剤を用いた親和性クロマトグラフィによってBALB/c血清から単離し、Pol a5特異的な免疫吸着剤を通すことによってPol a5と交差反応する抗体を除去した。この免疫吸着剤は、CNBr活性化Sepharose2B(Pharmacia)を用いて調製した。Ves v5に特異的なネズミモノクローナル抗体を(King他、1987、Mol.Immunol 24:857)に記載されたように得た。
【0183】
Ves v5に特異的なB細胞エピトープを、マウスのVes v5特異的抗体の固相Ves v5への結合の、ハイブリッド阻害によって検出した。EAおよびKR〜Ves v5の両方を、固相抗原として試験し、類似の結果を得た。マウス抗血清の5つのサンプルを試験した。3つはBALB/c族からのものであり、他はそれぞれASW/snおよびP/J族からのものであった。1つのBALB/c血清サンプルを使用した結果を、図8Aに示す。試験した阻害剤50または500μg/mlという最高濃度で、2つのN末端ハイブリッドEA〜PVl〜46およびEA〜1〜155は、EAおよびKR〜Ves v5と同様に、100%に近い最大濃度を示した。他の2つのN末端ハイブリッドKR〜PV1〜24およびEA〜PV1〜32は約60%という最大阻害度を有しており、最も短いN末端ハイブリッドEA〜PV1〜18は約20%という最大阻害度を有していた。C末端ハイブリッドEA〜PV156〜204は、約15%という最大阻害度を有していた。ASW/sn(図8B)およびP/J(図8C)マウスからの抗血清を使用した阻害ELISAの結果に関して、類似の結果を得た。
【0184】
Ves v5に特異的なB細胞エピトープを、クロスズメバチに感受性がある6人の患者からの血清を用いた阻害分析よっても検出した。3人の患者からのデータを図9A〜Cに示す。これらの結果は、マウスIgGsに関して得られた結果と類似していた。
【0185】
マウスとヒトの両方の抗血清を使用する、ELISA阻害の研究の結果によって、Ves v5のN末端領域の主要免疫性が示された。
【0186】
観察されたハイブリッドによる阻害は、分子のPol a5部分の交差反応性エピトープによるものではなかった。なぜなら、BALB/cマウスの阻害研究用に使用したVes v5特異的抗体のサンプルはPol a5と交差反応する抗体が除去されており、Pol a5による阻害は検出されなかったからである(図8A)。Ves v5のそれと比べた、半分の最大阻害度に必要なハイブリッドの高濃度は、ハイブリッドのエピトープがVes v5の元の構造を欠いていたことを反映するものではなかった。なぜなら、元の構造が欠けていた細菌からの組み換えVes v5は、いかなる阻害も示さなかったからである(データ示さず)。
【0187】
Ves v5とハイブリッドの阻害活性の違いは、おそらくそれらのエピトープ密度と関連があった。エピトープ密度は、多価抗原および二価抗体の親和定数に強烈に影響を与えることが知られている(Hornick and Karush、1972、Immunochemistry 9:325;CrothersandMetzger、1972、Immunochemistry 9:341)。
【0188】
図8および9のデータによって、Ves v5のアミノ末端部分がVes v5の主要抗原B細胞エピトープを含むことが示唆された。この発見は、Ves v5に特異的な17のモノクローナル抗体のパネルを用いた試験によって確認された(King他、1987、Mol.Immunol 24:857)。これらのモノクローナル抗体は、天然のVes v5および酵母菌からの組み換えタンパク質に特異的であったが、変性した形の細菌からの組み換えVes v5とは結合しなかった(データ示さず)。ELISAの結果によって、1つのモノクローナル抗体が、類似の親和性および最大結合性でEA〜Ves v5およびEA〜PVl〜46に結合し、いかなる他のNまたはC末端ハイブリッドとも結合しなかったことが示された(図1OA)。4つの他のモノクローナル抗体は、EA〜PV1〜46に対して大幅に低下した最大結合性を示したが、いかなる短いN末端ハイブリッドにも結合しなかった。1つのこのような抗体に関するデータを、図10Bに示す。最後に、1つのモノクローナル抗体が、EA〜PV1〜32およびEA〜PV1〜46に対して大幅に低下した結合性、EA〜PVl〜18およびEA〜PV1〜24に対して適度な結合性を示した(図10C)。これらのデータは、試験した17のモノクローナル抗体のうちの6つが、Ves v5のN末端領域に特異的であったことを示す。
【実施例6】
【0189】
ハイブリッドに対する免疫応答
3または4匹のメスのBALB/cマウスのグループに、0.2mlのリン酸緩衝生理食塩水に溶かした2μgの免疫原および1μgのミョウバンを、隔週で腹膜内注射した。Ag5またはハイブリッドに特異的な血清を、第5週以降に回収した。第5、7、および9週に回収した血清に関して、類似の抗体レベルを観察した。
【0190】
ハイブリッドを用いて免疫処置したマウスは、ハイブリッド、Pol a5およびVes v5に特異的な抗体を産生した。血清サンプルの抗体レベルをPol a5の吸収前後に測定して、それらのVes v5に関する特異性を決定した。これらのデータを表3Aに要約する。天然、EAまたはKR〜Ves v5を用いて免疫処置したマウスはほぼ同じ抗体応答を与え、KR〜Ves v5のそれのみを表3Aに与える。EA〜PV1〜46はA組のマウスにおいて、KR〜PVl〜46がB組のマウスにおいて与えた抗体応答よりも大きな抗体応答を与えた。この違いは、異なる組のマウスを使用したことによるものである可能性がある。EA〜PV1〜18は実験の両方の組で使用し、A組のマウスにおいてB組のマウスよりも大きな抗体応答を与えた。
【0191】
表3で、Pol a5の吸収前後に、N末端ハイブリッド特異的な血清サンプル中の抗体レベルを比較することによって、固相Ves v5に関して試験すると30〜80%の抗体はVes v5に特異的であり、固相ハイブリッドに関して試験するとこれらの値は低くなったことが示された。固相Ves v5に関して検出されたVes v5特異的な抗体の含有量が、固相ハイブリッドに関するそれよりも多かったことによって、大部分のハイブリッド特異的な抗体が、ハイブリッド中のVes v5とPol a5の重複領域を認識することが示唆される。表3AのA組のデータによって、3つのN末端ハイブリッドの中では、PV1〜155はVes v5と同程度に免疫原性であり、PVl〜46はVes v5の半分の免疫原性であり、PV1〜18はVes v5の約1/9の免疫原性であることが示された。B組のデータによって、PV1〜46および1〜32はPV1〜24および1〜18よりも免疫原性であったことが示される。両方の組からのデータによって、長いN末端ハイブリッドPVl〜46および1〜32は、2つの短いハイブリッドPV1〜24および1〜18よりも、多量のVes v5特異的抗体および少量のPol a5特異的抗体を刺激することが示唆される。
【0192】
【表3A】
Figure 2005508134
【0193】
表3Aに示す結果によって、Ves v5のB細胞エピトープは、そのN末端領域中にあることが示される。Ves v5およびPol a5の追加的なハイブリッドを作製し、前に記載したようにマウス中での免疫原性を試験して、主要B細胞エピトープ領域のNおよびC末端範囲の正確な位置を示した。結果は表3Bで与え、ここにはVesv、Polaまたはハイブリッドに特異的なIgGl含有量、およびPaの吸収後に残っていた特異的IgGlの%を挙げた。
【0194】
Vesv含有量が最も低かったハイブリッドPV1〜8が、Vesv特異的な抗体応答を誘導することはなかった。他のすべてのハイブリッドは、PV22〜32以外は、0.4〜4.5mg/mlのVesv特異的Abを誘導した。PVl〜32よりVesv含有量が低かったハイブリッドは、Vesv応答に適度に特異的である。なぜなら、34〜81%のそのVesv特異的抗体および15〜27%のそのハイブリッド特異的抗体が、Pol a5によって吸収されなかったからである。PVl〜39よりVesv含有量が高かったハイブリッドは、さらに特異的である。なぜなら、66〜96%のそのVes v5特異的抗体および91〜100%のそのハイブリッド特異的抗体が、Pol a5によって吸収されなかったからである。これらの結果を一緒にして、主要エピトープ領域のC末端範囲が残基32〜39の間にあることが示唆される。
【0195】
PVl〜32よりVesv含有量が低かったハイブリッドは、2〜4mg/mlのPola特異的抗体を示し、PVl〜39よりVesv含有量が高かったハイブリッドは、0.04〜1.34mg/mlのPola特異的抗体を示した。PVl〜32から1〜76のハイブリッドのVesv含有量が増大すると、Pola特異的な応答は累進的に低下した。これらの結果を一緒にして、ハイブリッドに対するVesv特異的な応答の考慮事項によって示唆されるように、主要エピトープのC末端範囲は残基39を越えて広がっていることが示唆される。
【0196】
PV1〜32の応答と比較してPV1〜8および22〜32のVesv特異的な抗体応答が無いことによって、主要エピトープ領域のN末端範囲が残基9〜21内にあることが示唆される。
【0197】
【表3B】
Figure 2005508134
【実施例7】
【0198】
T細胞応答
増殖アッセイを、スズメバチ類の抗原5またはハイブリッドを用いて免疫処置したマウスからの脾臓細胞を用いて行い、T細胞応答の特異性を研究した。5回の隔週の免疫処置の10日後に、2〜3匹のマウスから集めた脾臓細胞を用いて、3組でアッセイを行った。脾臓細胞(4×105個)を、37℃および5%CO2で0.2mlの培養基中において、試験用抗原と共に培養した。トリチウム化チミジン(1μCi)を第3日に加え、チミジンの取り込みを第4日に決定した。これらの結果は、刺激指数値として表した。
【0199】
結果によって、ハイブリッドEA〜PVl〜46、EA〜PV1〜155およびEA〜PV156〜204が、ハイブリッド特異的およびスズメバチ類の抗原5に特異的なT細胞応答を誘導したことが示された(表4)。このデータによって、刺激抗原が免疫原であったときに、最良の増殖応答が得られたことが示された。このことは、100μg/mlという試験した最高の抗原濃度での最大の刺激指数値を比較すること、および4という刺激指数値に必要な最低の抗原濃度を比較することから明らかである。
【0200】
【表4】
Figure 2005508134
【実施例8】
【0201】
組み換え体であるスズメバチ類のAg5sおよびハイブリッドの、患者中でのアレルゲン性
クロスズメバチに対して感受性がある10人の患者の好塩基球からのヒスタミン放出アッセイ、次にAg5またはハイブリッドを用いた攻撃によって、アレルゲン性を決定した(Colombo他、1995、J Allergy Clin.Imm.95:565)。表5に示す患者/結果を、2つのグループに分ける。グループAの患者(n=7)は、Pol a5よりもVes v5に対して約1000倍の感受性があり、グループBの患者(n=3)は、両方の抗原5に対してほぼ同じ感受性であった。
【0202】
【表5】
Figure 2005508134
【0203】
それぞれグループの1人の患者からの完全なデータを図11に与える。
【0204】
試験した3つのN末端ハイブリッドの中では、EA〜PV1〜155はアレルゲン性の低下は示さなかった。EA〜PV1〜46および1〜18は、グループAの患者においてそれぞれ126および583倍の相乗平均的低下、グループBの患者においてそれぞれ0.7および24倍の低下を示した。2つのC末端ハイブリッドEA〜PV156〜204および195〜204は、グループAの患者ではそれぞれ1139および3207倍、グループBの患者ではそれぞれ3および32倍低下した。
【0205】
NおよびC末端ハイブリッドの異なる程度のアレルゲン性の低下は、それらのIgE抗体濃度およびそれらのエピトープ密度を反映するものである。図6中の阻害ELISAのデータは、Ves v5のN末端領域のヒトIgG抗体の濃度はC末端領域のそれらの濃度より高く、これはおそらくIgE抗体の場合も同様であることを示唆する。N末端ハイブリッドEA〜PV1〜46と比較して、C末端ハイブリッドEA〜PV156〜204のアレルゲン性が大幅に低下していることに対して貢献している他の要因は、おそらくはその低下したエピトープ密度によるものである。なぜなら、C末端ハイブリッドは、N末端ハイブリッドよりも少ない、Ves v5の表面接触可能な残基を有しているからである。同様に、短いNまたはC末端ハイブリッド、PV1〜18またはPV195〜204のアレルゲン性の低下が、それら個々のより長いハイブリッドと比較して大きいことは、エピトープ密度の影響も反映している。
【0206】
細菌からの組み換えVes v5のアレルゲン性を、天然のVesvおよび酵母菌からの組み換えVes v5のそれと比較した。試験した3患者において、細菌からの組み換えタンパク質は、天然のタンパク質または酵母菌からの組み換えタンパク質の、約103分の1の強度であった(データ示さず)。これらのデータによって、アレルゲンに関する大部分のB細胞エピトープは、元のアレルゲンの立体配座に依存する(King他、2000、Int Arch Allergy 123:99)という、以前の観察結果が確認される。
【0207】
細菌からの組み換えVes v5のアレルゲン性の低下は、立体配座に依存するB細胞エピトープが失われたことによるものであった。なぜなら、細菌からの組み換えタンパク質のCDスペクトルが、組み換えVes v5が無秩序な構造を有することを示したからである。しかしながら、ハイブリッドタンパク質PVl〜46またはPV156〜204のアレルゲン性の低下は、Ves v5特異的なエピトープの数および密度が減少したことによるものであった。なぜならCDスペクトルが、ハイブリッドタンパク質がVes v5の構造と類似の整然とした構造を有していたことを示したからである。ハイブリッドPVl〜46およびPV156〜204のエピトープの数および密度の減少は、実施例5〜7で与えたB細胞エピトープおよび免疫原性のデータと一致する。
【実施例9】
【0208】
組み換えVes v5の結晶化
Ves v5の結晶を蒸気拡散技法によって25℃で増大させた。結晶化のために、5μlの5mg/mlのVes v5を、5μlの18%PEG6000、0.1Mクエン酸ナトリウム、pH6.0と混合させ、1mlの18%PEG6000、0.1Mクエン酸ナトリウム、pH6.0に対して平衡化させた。X線回析データを元のVes v5の結晶から100Kにおいて回収し、重原子誘導体を取り込ませた後に、これを使用してVes v5の三次元構造を解明した。Ves v5の原子配位および構造因子は、受託番号Q05110でProtein Data Bank(PDB)に寄託した。Ves v5の原子配位を表6に与える。
【0209】
【表6−1】
Figure 2005508134
【表6−2】
Figure 2005508134
【表6−3】
Figure 2005508134
【表6−4】
Figure 2005508134
【表6−5】
Figure 2005508134
【表6−6】
Figure 2005508134
【表6−7】
Figure 2005508134
【表6−8】
Figure 2005508134
【表6−9】
Figure 2005508134
【表6−10】
Figure 2005508134
【表6−11】
Figure 2005508134
【表6−12】
Figure 2005508134
【表6−13】
Figure 2005508134
【表6−14】
Figure 2005508134
【表6−15】
Figure 2005508134
【表6−16】
Figure 2005508134
【表6−17】
Figure 2005508134
【表6−18】
Figure 2005508134
【表6−19】
Figure 2005508134
【表6−20】
Figure 2005508134
【表6−21】
Figure 2005508134
【表6−22】
Figure 2005508134
【表6−23】
Figure 2005508134
【表6−24】
Figure 2005508134
【表6−25】
Figure 2005508134
【表6−26】
Figure 2005508134
【表6−27】
Figure 2005508134
【表6−28】
Figure 2005508134
【表6−29】
Figure 2005508134
【表6−30】
Figure 2005508134
【表6−31】
Figure 2005508134
【表6−32】
Figure 2005508134
【表6−33】
Figure 2005508134
【0210】
Ves v5のアミノ酸残基の溶媒接近性を、表7に与える。
【0211】
【表7−1】
Figure 2005508134
【表7−2】
Figure 2005508134
【表7−3】
Figure 2005508134
【表7−4】
Figure 2005508134
【表7−5】
Figure 2005508134
【実施例10】
【0212】
Ag5sのアラインメント
Vespula、Dolichovespula、Vespa、PolistesおよびSolenopsis(フシアリ)からの、選択した抗原5配列のアラインメントを、図12に示す。Vespula、Dolichovespula、VespaおよびPolistesはすべて、Vespidae科に属する。この図は、Ves v5の二次構造要素も含む。Vespula抗原5sのみを考慮すると、表面保存の程度が非常に高いことが観察され(図5)、残基の保存がほぼ均一に広がっており、ごくわずかの非保存残基が分子上に散在している。
【0213】
対照的に、保存された表面は、VespulaおよびPolistes属からの配列と比較すると、それぞれ392Å2、585Å2、589Å2、673Å2および1053Å2である溶媒が接触可能な領域を有する、5つの領域に限られている。溶媒の接近し易さは、NACCESSプログラム(S.J.Hubbard and J.M.Thornton、1992、NACCESS.(v2.1.1)Department of Biochemistry and Molecular Biology、University College London)を使用して1.4Åのプローブ半径で計算した。同様に、VespulaとPolistesの間で保存されている5つの表面パッチに対応する5つの表面パッチを、VespulaとVespa/Dolichovespulaの間で保存した。後者の場合、領域はそれぞれ280Å2、496Å2、730Å2、803Å2、および1043Å2である。第1の表面パッチに貢献する残基は、主にB鎖の開始部およびヘリックスIVからのものであり、第2の表面パッチに貢献する残基は、主にA鎖およびヘリックスIIと鎖Bの間の環からのものであり、第3の表面パッチに貢献する残基は、主にヘリックスIおよびその周辺から、ヘリックスIIの端部からのものであり、第4の表面パッチに貢献する残基は、主にN末端起源のものであり、一方第5の表面パッチは、ヘリックスIの端部からの残基、およびヘリックスIとA鎖の間の環によって占められている。
【0214】
考察
タンパク質抗原-抗体複合体の結晶学的研究によって、エピトープの接触残基は抗原の表面に最大17個の残基を含むことができ、これらの残基はペプチド鎖中で互いに隣接しているか、あるいはそうではない可能性があることが示された(Davies他、1996、Proc.Natl Acad.Sci USA、93:7)。モノクローナル抗体を用いたリソゾームのエピトープ地図化によって、タンパク質の表面全体が抗原性である可能性があることが示された(Newmann他、1992、J.Immunol.149:3260)。したがって、クロスズメバチの抗原5の1/10〜3/4を有するハイブリッドは、親分子よりも少ないエピトープを有しているであろう。
【0215】
図7のCDスペクトルデータは、スズメバチ類の抗原5sの二次構造と同一ではなくとも非常に類似した二次構造を、ハイブリッドが有することを示唆している。Ves v5特異的なヒトおよびマウス抗体に関する図8および9の阻害データ、およびハイブリッド特異的な抗体に関する表3の抗体結合データは、Ves v5の三次構造と非常に類似しているかあるいは同一の三次構造を、ハイブリッドが有することを示唆している。なぜなら、これらの抗体は変性したVes v5には結合しないからである。そのうちの6個がN末端ハイブリッドPVl〜46に結合した、天然のVes v5に特異的な17のモノクローナルマウスIgG1抗体に関するスクリーニングから、他の証拠が浮かび上がった。したがってこれらのデータによって、ハイブリッドが不連続なVes v5のB細胞エピトープを含むことが示される。
【0216】
ポリクローナル抗体に関する阻害データ、およびモノクローナル抗体に関する結合データによって、Ves v5の主要B細胞エピトープは、そのN末端領域中に存在することが示される。Ves v5中の構造を調べることによって、N末端ハイブリッドPVl〜46中のほぼすべての残基が、表面接触可能であることが示される(表7参照)。これは、Ves v5の断片のみが表面接触可能である、C末端ハイブリッドPV156〜204とは対照的である(表7参照)。この表面接触性の違いによって、抗原5のN末端領域の主要抗原性を説明することができる。他には、タンパク質の表面全体が抗原性である可能性があるが、表面接触性および表面突出が大きい領域が主要であることが示された(Newmann他、1992、J.Inmunol 149:3260およびNovotny他、1996、Adv Prot Chem 49:149)。
【0217】
現在、不連続なエピトープを地図化するための唯一の知られている方法は、Ag-Ab複合体のX線結晶学によるものであり(Davies他、1996、Proc.Natl Acad.Sci USA、93:7)、これには特異的なモノクローナル抗体を有していることが必要である。CD39の不連続なエピトープを、一連のマウス-ヒトハイブリッドを用いて地図化した。マウスおよびヒトCD39分子は75%の配列同一性を有し、これらは限られた抗原交差反応性を共有している(Maliszewski他、1994、J.Immunol 153:3574)。CD39および抗原5に関するこれらの発見によって、2つの相同タンパク質のハイブリッドは、それらの不連続なB細胞エピトープを地図化するための有用な手法となることが示される。
【0218】
ハイブリッドAg5sに関する我々の結果によって、ハイブリッドアレルゲンは天然アレルゲンの免疫原性を保持しながら、100〜1000倍低下したアレルゲン性を有することができることが実証される。ハイブリッドのアレルゲン性のこの低下は、主にB細胞のエピトープ密度の低下によるものであると考えられる。実施例のそれぞれのハイブリッドは、Ves v5のBおよびT細胞エピトープの一部分のみを有する。しかしながら原則として、ハイブリッドの混合物によって、Ves v5の完全なエピトープライブラリーを再構成することができる。したがって、エピトープすべてを再構成して、ワクチンとして使用するための改変型アレルゲンを作製することができる。我々の結果によって、Ves v5の20〜30個の残基を有するPVハイブリッドは、Ves v5に関する免疫原性を保持しながら、最大に低下したアレルゲン性を有するであろうことが示唆される。
【0219】
多くのアレルゲンは、多様な源からのタンパク質と配列相同性がある(Larsen他、1996、J Allergy Clin Immunol 97:577)。たとえば、スズメバチ類のAg5sは、真菌からヒトまでの範囲の異なる生物からのさまざまな細胞外タンパク質と、さまざまな程度の配列相同性を有する(図12参照)。配列同一性が30%である同一源のタンパク質は、同じ構造または非常に類似した構造を有している可能性があることは知られている(Chothia他、1990、Annual Review Biochem 59:1007およびRussell他、1994、J.Mol.Biol.244:332)。したがって、さまざまな同一源の宿主タンパク質を用いてハイブリッドを作製して、当該の寄生アレルゲン断片の骨格として機能させることができる。
【0220】
本発明は、本明細書に記載した特定の実施形態による範囲内に制限されるものではない。実際、本明細書に記載したものに加えて本発明のさまざまな変更形態が、前述の記載および添付の図面から当業者には明らかになるであろう。このような変更形態は、添付の特許請求の範囲内であると考えられる。
【0221】
本明細書で引用した特許、出願、公開、試験方法、文献、および他の題材はすべて、参照によってここに取り込んである。
【0222】
【表8−1】
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【表8−2】
Figure 2005508134
【表8−3】
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【表8−4】
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【表8−5】
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【表8−6】
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【表8−7】
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【表8−8】
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【表8−9】
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【表8−10】
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【表8−11】
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【表8−12】
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【表8−13】
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【表8−14】
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【表8−15】
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[参考文献]
【0223】
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【0224】
【表9−1】
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【表9−2】
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【表9−3】
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【表9−4】
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【表9−5】
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【表9−6】
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【表9−7】
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【表9−8】
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【表9−9】
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【表9−10】
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【表9−11】
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【表9−12】
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【表9−13】
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【表9−14】
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【表9−15】
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【図面の簡単な説明】
【0225】
【図1】Ves v5のcDNA[配列番号14]およびアミノ酸[配列番号16]配列を示す図である。左側の番号はヌクレオチド位置を指し、右側の番号はアミノ酸位置を指す。
【図2】Pol a5のcDNA[配列番号15]およびアミノ酸[配列番号17]配列を示す図である。左側の番号はヌクレオチド位置を指し、右側の番号はアミノ酸位置を指す。
【図3】Ves v5(V)[配列番号16]とPol a5(P)[配列番号:17]のアミノ酸の比較を示す図である。
【図4】Ag5sおよびハイブリッドの概略的な配列を示す図である。ハイブリッドに与えられている残基の番号はVes v5の番号を指す。
【図5A】Vespula maculifrons[Vesm5、配列番号63]、Vespula vulgaris[Ves v5、配列番号64]、Vespula flavopilosa[Vesf5、配列番号65]、Vespula pensylvanica[Vesp5、配列番号66]、Vespula germanica[Vesg5、配列番号67]、Vespula vidua[Vesvi5、配列番号68]、Vespula squamosa[Vess5、配列番号69]、Dolichovespula maculata[Dolm5a、配列番号70]、Dolichovespula arenaria[Dola5、配列番号71]、Dolichovespula maculata[Dolm5b、配列番号72]、Vespa mandarinia[Vespm5、配列番号73]、Vespa crabro[Vesc5.01、配列番号74]、Vespa crabro[Vesc5.02、配列番号75]、Polistes fuscatus[Polf5、配列番号76]、Polistes exclamans[Pole5、配列番号77]、Polistes annularis[Pol a5、配列番号78]、Solenopsis invicta[Soli3、配列番号79]、およびSolenopsis richteri[Solr3、配列番号80]からの昆虫毒素からの、Ves v5と相同タンパク質のアラインメントを示す図である。
【図5B】Vespula maculifrons[Vesm5、配列番号63]、Vespula vulgaris[Ves v5、配列番号64]、Vespula flavopilosa[Vesf5、配列番号65]、Vespula pensylvanica[Vesp5、配列番号66]、Vespula germanica[Vesg5、配列番号67]、Vespula vidua[Vesvi5、配列番号68]、Vespula squamosa[Vess5、配列番号69]、Dolichovespula maculata[Dolm5a、配列番号70]、Dolichovespula arenaria[Dola5、配列番号71]、Dolichovespula maculata[Dolm5b、配列番号72]、Vespa mandarinia[Vespm5、配列番号73]、Vespa crabro[Vesc5.01、配列番号74]、Vespa crabro[Vesc5.02、配列番号75]、Polistes fuscatus[Polf5、配列番号76]、Polistes exclamans[Pole5、配列番号77]、Polistes annularis[Pol a5、配列番号78]、Solenopsis invicta[Soli3、配列番号79]、およびSolenopsis richteri[Solr3、配列番号80]からの昆虫毒素からの、Ves v5と相同タンパク質のアラインメントを示す図である。
【図6】Ag5sおよびハイブリッドの、SDSゲルのパターンを示す図である。
【図7】Ves v5およびハイブリッドの、円二色性(CD)スペクトルを示す図である。
【図8】(A)BALB/cマウスから単離しPola交差反応性抗体が欠けているVes v5特異的な抗体、(B)ASW/nマウスからの抗血清、および(C)P/Jマウスからの抗血清を使用する、天然のVes v5特異的なマウス抗体を用いたELISA阻害を示す図である。
【図9】クロスズメバチ感受性の患者からの血清を用いた、ELISA阻害を示す図である。
【図10】マウスVes v5特異的なモノクローナル抗体の、固相Ves v5またはハイブリッドへの結合を示す図である。
【図11】Ves v5、Pol a5およびハイブリッドの、ヒスタミン放出アッセイを示す図である。
【図12A】Ves v5様タンパク質のアラインメントを示す図である。整列したタンパクは、Ves v5[配列番号81]、Soli3[配列番号82]、Lycopersicon esculentum p14a[配列番号83]、Schizophyllum commune SC7[配列番号84]、ヒトトリプシン阻害剤[配列番号85]、ヒトglipr[配列番号86]、Heloderma horridum helothermine[配列番号87]、およびヒトTPX-1[配列番号88]である。
【図12B】Ves v5様タンパク質のアラインメントを示す図である。整列したタンパクは、Ves v5[配列番号81]、Soli3[配列番号82]、Lycopersicon esculentum p14a[配列番号83]、Schizophyllum commune SC7[配列番号84]、ヒトトリプシン阻害剤[配列番号85]、ヒトglipr[配列番号86]、Heloderma horridum helothermine[配列番号87]、およびヒトTPX-1[配列番号88]である。

Claims (35)

  1. 低下したアレルゲン性を有するが免疫原性を保持しているアレルゲンのハイブリッドタンパク質であって、アレルゲンタンパク質のペプチド性エピトープ配列およびアレルゲンタンパク質と構造上相同の骨格タンパク質を含み、ここでハイブリッドタンパク質が本来の立体配座を有しており、ペプチド性エピトープ配列が、アレルゲンタンパク質中のその位置に対応する、ハイブリッドタンパク質の接近可能な表面領域中に存在するハイブリッドタンパク質。
  2. ペプチド性エピトープ配列が、ハイブリッドタンパク質の環状または隅部領域中にある、請求項1に記載のハイブリッドタンパク質。
  3. 骨格タンパク質が、ペプチド性エピトープ配列が由来するアレルゲンに対して少なくとも50パーセントの配列同一性を有する、請求項1に記載のハイブリッドタンパク質。
  4. 骨格タンパク質が、ペプチド性エピトープ配列が由来するアレルゲンタンパク質に対して70パーセントを超える配列同一性は有していない、請求項1に記載のハイブリッドタンパク質。
  5. ペプチド性エピトープ配列が約6〜約55個のアミノ酸長である、請求項1に記載のハイブリッドタンパク質。
  6. ペプチド性エピトープ配列が約6〜約45個のアミノ酸長である、請求項5に記載のハイブリッドタンパク質。
  7. ペプチド性エピトープ配列が約6〜約35個のアミノ酸長である、請求項6に記載のハイブリッドタンパク質。
  8. ペプチド性エピトープ配列が約6〜約25個のアミノ酸長である、請求項7に記載のハイブリッドタンパク質。
  9. ペプチド性エピトープ配列が約6〜約15個のアミノ酸長である、請求項8に記載のハイブリッドタンパク質。
  10. シグナルペプチドをさらに含む、請求項1に記載のハイブリッドタンパク質。
  11. プロテアーゼによるプロセッシング部位をさらに含む、請求項1に記載のハイブリッドタンパク質。
  12. スズメバチ類の毒液アレルゲンのハイブリッドタンパク質である、請求項1に記載のハイブリッドタンパク質。
  13. スズメバチ類の毒液抗原5のハイブリッドタンパク質である、請求項12に記載のハイブリッドタンパク質。
  14. ペプチド性エピトープ配列がVespula属由来であり、骨格タンパク質がPolistes属由来である、請求項13に記載のハイブリッドタンパク質。
  15. ペプチド性エピトープ配列がvulgaris種由来である、請求項14に記載のハイブリッドタンパク質。
  16. 骨格タンパク質がannularis種由来である、請求項14に記載のハイブリッドタンパク質。
  17. ペプチド抗原が
    「配列表1」
    Figure 2005508134
    からなる群から選択される配列を含む、請求項13に記載のハイブリッドタンパク質。
  18. ペプチド性エピトープ配列がアミノ酸の保存的変化を含む、請求項1に記載のハイブリッドタンパク質。
  19. in vitroアッセイにおいてペプチド性エピトープ配列への抗体結合が少なくとも50パーセント低下することによって変異体ペプチドが特徴付けられ、かつ変異体がペプチド性エピトープ配列の10倍未満の濃度でアッセイ中に存在し、ペプチド性エピトープ配列を含むポリペプチドに対する抗体へのペプチド性エピトープ配列の結合をアッセイが測定する、請求項18に記載のハイブリッドタンパク質。
  20. 請求項1から19のいずれか一項に記載のアレルゲンのハイブリッドタンパク質をコードする核酸。
  21. アレルゲンのハイブリッドタンパク質をコードする核酸を調製するための方法であって、アレルゲンタンパク質のペプチド性エピトープ配列をコードするヌクレオチド配列を、アレルゲンタンパク質と構造上相同の骨格タンパク質をコードするヌクレオチド配列に導入することを含み、かつペプチド性エピトープ配列をコードするヌクレオチド配列が、骨格タンパク質をコードするヌクレオチド配列とインフレームであり、アレルゲンのハイブリッドタンパク質中において、ペプチド性エピトープ配列がアレルゲンタンパク質中のその位置に対応する、ハイブリッドタンパク質の接近可能な表面領域中に存在するような箇所にあることを含む方法。
  22. 骨格タンパク質をコードするヌクレオチド配列を突然変異させて、ペプチド性エピトープ配列をコードするヌクレオチド配列を導入する、請求項21に記載の方法。
  23. ペプチド性エピトープ配列をコードするヌクレオチドを、ペプチド性エピトープ配列をコードするヌクレオチド配列を含む核酸からの断片と、エンドヌクレアーゼで処理した骨格タンパク質をコードするヌクレオチド配列を連結させることによって導入する、請求項21に記載の方法。
  24. 請求項21に記載の方法によって調製した核酸。
  25. プロモーターと作動的に結合した、請求項20に記載の単離核酸を含む発現ベクター。
  26. 低下したアレルゲン性を有するが免疫原性を保持しているアレルゲンのハイブリッドタンパク質を生成する方法であって、細胞によってハイブリッドアレルゲンが生成されるように、請求項25に記載の発現ベクターを用いて形質転換した細胞を培養することを含む方法。
  27. ハイブリッドアレルゲンを培養物、細胞、または両方から回収することをさらに含む、請求項26に記載の方法。
  28. アレルギー状態を治療する方法であって、治療上有効量の請求項1に記載のハイブリッドタンパク質、または請求項25に記載の発現ベクターを、アレルゲンタンパク質または骨格タンパク質または両方に対してアレルギーである患者に投与することを含む方法。
  29. ハイブリッドタンパク質または発現ベクターを、経口的に、肺に、鼻に、局所的に、あるいは非経口的に投与する、請求項28に記載の方法。
  30. 請求項1に記載のハイブリッドタンパク質または請求項25に記載の発現ベクター、および薬剤として許容される希釈剤または担体を含む薬剤組成物。
  31. 低下したアレルゲン性を有するが免疫原性を保持しているハイブリッドアレルゲンを設計する方法であって、
    (a)溶媒に曝されたアレルゲンの表面を識別すること、
    (b)アレルゲンと構造上相同のタンパク質を同定すること、および
    (c)アレルゲンと構造上相同のタンパク質の配列を改変して、溶媒に曝されたアレルゲンの表面からペプチド配列を取り込ませること
    を含む方法。
  32. 前記溶媒に曝された表面を物理的手段によって識別する、請求項31に記載の方法。
  33. 前記物理的手段がX線結晶学法である、請求項32に記載の方法。
  34. 前記溶媒に曝された表面を、アレルゲンのアミノ酸配列と既知三次元構造の構造上相同のタンパク質のアミノ酸配列とを比較することによって識別する、請求項31に記載の方法。
  35. 溶媒に曝された表面が環状または隅部領域を含む、請求項31に記載の方法。
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