JP2008056669A - 細菌性アドヘシンにおける、融合配列、hr1配列およびhr2配列に基づくインヒビター - Google Patents

細菌性アドヘシンにおける、融合配列、hr1配列およびhr2配列に基づくインヒビター Download PDF

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Abstract

【課題】髄膜炎菌性感染に対する非免疫的基礎によるインヒビターの提供。
【解決手段】髄膜炎菌の表面上のNadAアドヘシンのヘプタッドリピート配列HR1および/またはHR2に結合して、それによって、髄膜炎菌が宿主生物に感染するかまたは既存の感染を拡大するいずれかの能力を阻害し得る、化合物であって、HR1配列は、残基117〜152であり、HR2配列は、残基261〜299である、化合物。ヘモフィルス属細菌の表面上のHadAアドヘシンのヘプタッドリピート配列HR1および/またはHR2に結合して、それによって、ヘモフィルス属細菌が宿主生物に感染するかまたは既存の感染を拡大するいずれかの能力を阻害し得る、化合物であってHR1配列が71〜91であり、かつ、HR2配列が、残基120〜183である、化合物。
【選択図】なし

Description

本明細書中で引用されるすべての文献は、その全体が参考として援用される。
(技術分野)
本発明は、抗菌剤、特に、髄膜炎菌性感染を防ぐための抗菌剤の分野である。
Neisseria meningitidisは、ヒトの集団の約10%における上気道でコロニー形成するグラム陰性被包性細菌である。コロニーが形成されているヒトの10,000名のうちおよそ1名(すなわち、100,000の集団に1名)において、その細菌が、血流に入り込み、そこで増殖して敗血症を引き起こしている。その血流により、その細菌が、血液脳関門を通過して、髄膜炎を引き起こす。その疾患の両方は、甚大な被害をもたらすものであり、有効な抗生剤が利用可能であるのにもかかわらず、数時間にうちに感染した子供および若年層の成人の5〜15%を死に至らしめる。生存したものうち25%は、永続的な後遺症が残ってしまう。
髄膜炎菌性感染を防ぐためのワクチンの製造に関する広範な研究が存在するが{1}、非免疫学的基礎による感染のインヒビターを提供することに関する研究はほとんどない。本発明の目的は、髄膜炎菌性感染に対するこのような非免疫的基礎によるインヒビターを提供することである。
本発明によって以下が提供される:
(1)髄膜炎菌の表面上のNadAアドヘシンのヘプタッドリピート配列HR1および/またはHR2に結合して、それによって、髄膜炎菌が宿主生物に感染するかまたは既存の感染を拡大するいずれかの能力を阻害し得る、化合物。
(2)項目1に記載の化合物であって、配列番号1の番号付けを参照するときに、HR1配列は、残基117〜152であり、HR2配列は、残基261〜299である、化合物。
(3)ヘモフィルス属細菌の表面上のHadAアドヘシンのヘプタッドリピート配列HR1および/またはHR2に結合して、それによって、ヘモフィルス属細菌が宿主生物に感染するかまたは既存の感染を拡大するいずれかの能力を阻害し得る、化合物。
(4)項目3に記載の化合物であって、配列番号35の番号付けを参照したときに、前記HR1配列が71〜91であり、かつ、HR2配列が、残基120〜183である、化合物。
(5)オリゴペプチドである、項目1〜4に記載の化合物。
(6)50以下のアミノ酸からなる、項目5に記載のオリゴペプチド。
(7)項目5または6に記載のオリゴペプチドであって、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号39および配列番号40からなる群より選択されるアミノ酸配列に由来する5以上の連続したアミノ酸のフラグメントを含む、オリゴペプチド。
(8)項目7に記載のオリゴペプチドであって、前記フラグメントが、前記配列番号のものと比較したときに、m個のアミノ酸の置換を含み、mが1以上である、オリゴペプチド。
(9)項目4〜6のいずれか1項に記載のオリゴペプチドであって、アミノ酸である、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号37および配列番号38のうちの1つ以上を含む、オリゴペプチド。
(10)式 NH2−A−(B−C)n−D−COOHのポリペプチドであって、ここで、nが、1と5との間の整数であり;−A−が、1以上のアミノ酸からなる必要に応じたN末端配列であり;各々の−B−が、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16および/または配列番号17に由来する5以上の連続したアミノ酸のフラグメントを含み;各々の−C−が、1以上のアミノ酸からなる必要に応じたリンカー配列であり;そして、−D−が、1以上のアミノ酸からなる必要に応じたC末端配列である、ポリペプチド。
(11)抗髄膜炎菌活性および/または抗ヘモフィルス属菌活性を有する、項目3〜9のうちのいずれか1項に記載のオリゴペプチドのペプチド模倣化合物。
(12)(a)1〜11のいずれか1項に記載の化合物および(b)薬学的キャリアを含む、薬学的組成物。
(13)髄膜炎菌感染および/またはヘモフィルス属菌感染に罹患する患者を治療する方法であって、項目12に記載の薬学的組成物を該患者に投与する工程を包含する、方法。
(14)医薬品としての使用のための、項目1〜11のいずれか1項に記載の化合物。
(15)患者を処置するための医薬品の製造における、項目1〜11のいずれか1項に記載の化合物の使用。
(16)HR1配列、HR2配列または融合配列のうちの1つ以上を欠く、変異NadAタンパク質。
(17)項目16に記載の変異NadAタンパク質であって、
該タンパク質が、以下の(i)〜(iv):(i)配列番号3に対して少なくとも50%同一性を有する配列;(ii)配列番号5に対して少なくとも50%同一性を有する配列;(iii)配列番号7に対して少なくとも50%の同一性を有する配列;(iv)配列番号10に対して少なくとも50%の同一性を有する配列
を含まない、変異NadAタンパク質。
(18)アミノ酸配列(i)、(ii)、(iii)および(iv)が、各々、少なくとも10のアミノ酸長である、項目17に記載の変異体。
(19)項目16に記載のNadAタンパク質であって、アミノ酸配列−A−B−C−D−E−F−G−H−I−を含み、ここで、−A−は、配列番号1のアミノ酸26〜116に対して少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列であり;−B−は、配列番号1のアミノ酸117〜152に対して少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列であり;−C−は、配列番号1のアミノ酸153〜180に対して少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列であり;−D−は、配列番号1のアミノ酸181〜199に対して少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列であり;−E−は、配列番号1のアミノ酸200〜260に対して少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列であり;−F−は、配列番号1のアミノ酸261〜275に対して少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列であり;−G−は、配列番号1のアミノ酸276〜277に対して少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列であり;−H−は、配列番号1のアミノ酸278〜299に対して少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列であり;Iは、配列番号1のアミノ酸300〜364に対して少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸配列であり;但し、−B−、−D−、−F−または−H−のうちの少なくとも1つは、該タンパク質において存在していない、NadAタンパク質。
(20)HR1配列、HR2配列、または融合配列のうち1つ以上を欠く、変異HadAタンパク質。
(21)項目16または20のいずれか1項に記載の変異タンパク質をコードする核酸。
(22)項目21に記載の核酸を発現する、細菌。
(本発明の開示)
標的宿主細胞(ホスト細胞)にエンベロープを有するウイルス(エンベロープウイルス)が侵入するためには、その脂質二重膜が融合することを必要とする。HIV侵入の機構は、詳細に説明されてきており、すなわち、ヒトの標的細胞上のCD4+レセプターにHIVエンベロープ糖タンパク質gp120が結合することで、コンフォメーション変化が誘導され、それにより、gp120がその宿主細胞上のケモカインレセプターと相互作用することが可能となり;gp120がそのコレセプター(coreceptor)に結合
することにより、ウイルス性膜貫通糖タンパク質gp41においてコンフォメーションを変化させ、gp41の「融合ペプチド」を露出させて、その細胞膜内に挿入する;ついで、HR1と呼ばれるgp41のヘリックス領域が、gp41上で、似たようなヘリックス領域であるHR2と相互作用して、その結果、その2つのヘリックスが一緒になって「締め上げ(zipping)」、細胞膜とウイルス性膜との融合を媒介する。
エンフュヴァタイド(Enfuvirtide)(これはまた、「T−20」または「FuzeonTM」{2}として知られている)は、原始的な「融合インヒビター」型抗HIV剤である。これは、直鎖状の36アミノ酸の合成ペプチドであって、これにより、gp41におけるHR1ヘプタッドリピート領域に結合して、細胞融合に必要とされるコンフォメーション変化を妨げることによってHIV/T細胞相互作用を阻害する。エンフュヴァタイドは、HR2の配列に基づくものであり、天然のHR1/HR2相互作用の競合的インヒビターとして作用すると考えられている。
この膜融合機構は、ウイルスに典型的なものであるが、本願の発明者らは、Neisseria meningitidis菌{3}における既知の表面アドヘシン(NadA)がその融合ペプチド、すなわち、HR1リピートおよびHR2リピートに対応する配列を含むことを発見した(図1参照)。NadAにおける配列は、そのウイルス配列に対して有意な配列類似性を有していないが、それもよることなく、SARSコロナウイルススパイクタンパク質に対するNadAの構造類似性に基づくことにより同定された。この驚くべき発見によって、融合インヒビターが髄膜炎菌性感染を阻害するために使用され得ることが示唆される。
(NadA HR1およびHR2のバインダー)
したがって、本発明は、髄膜炎菌の表面上のNadAアドヘシンのヘプタッドリピート(heptad repeat)配列であるHR1および/またはHR2に結合し得、それによって、髄膜炎菌が宿主生物に感染する能力または既存の感染を拡大する能力を阻害し得る化合物を提供する。
NadA内のHR1領域は、基準としてMC58株配列(配列番号(SEQ ID NO:)1)を使用した場合、残基117〜152の間に位置づけられる。このHR2領域は、ここでもMC58株を基準とすると、残基261〜299の間に位置づけられる。他の株における対応する位置(coordinates)は、上述のMC58配列と単純にアライメントをすることによって同定され得る。
したがって、本発明は、髄膜炎菌の表面に存在するNadAアドヘシンのHR1領域および/またはHR2領域に結合し得る化合物も提供する。ここで、このHR1配列は、MC58株のNadA配列に従って番号付けされた場合に、残基117〜152の間に位置づけられ、また、このHR2配列は、MC58株のNadA配列に従って番号付けされた場合に、残基261〜299の間に位置づけられる。MC58株は、その血清群(血清型)Bゲノム{4}の配列決定のために使用された株であり、このMC58株は、広く利用可能である(例えば、ATCC BAA−335)。
(ヘモフィルス インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)生物型(biogroup)アエジプチウス(aegyptius))
N.meningitidisに由来するNadAアドヘシンにおけるHR1配列およびHR2配列を同定するのと同様に、発明者らは、ブラジル紫斑熱(BPF)の発生因子である、ヘモフィルス インフルエンザ菌 生物型アエジプチウスに由来する、HadAアドヘシン{{5};本願明細書における、配列番号35}におけるHR1配列およびHR2配列を見出した。HadAの配列は、上述のウイルス性配列に対する有意な配列類似
性をなんら有さなかったものの、NadAに対する構造類似性に基づいて同定した。このウイルス性HR配列に対する驚くべき類似性によって、融合インヒビターがH.influenzaeによる感染を阻害するのに使用され得ることを示唆する。
したがって、本発明は、ヘモフィルス属細菌(特にH.influenzae、およびより具体的には、生物型アエジプチウス)の表面に存在するHadAアドヘシンのヘプタッドリピート配列HR1および/またはHR2に結合して、それによって上述のヘモフィルス属菌が宿主生物体に感染するかまたは既存の感染を拡大する能力のいずれかを阻害し得る化合物を提供する。
HadAにおけるHR1領域は、F3031株配列(配列番号35)を基準として使用した場合、残基71〜91の間に位置づけられる。そのHR2領域は、ここでもF3031株のものを基準として使用した場合、残基120〜183の間に位置づけられる。他の株における対応する位置(coordinates)は、単純に上述のF3031配列とアライメントをすることによって同定され得る。
したがって、本発明はまた、ヘモフィルス属菌の表面上に存在するHadAアドヘシンのHR1および/またはHR2の領域に結合し得る化合物も提供し、このHR1配列は、F3031株におけるHadAに従って番号付けされた場合、残基71〜91の間に位置づけられ、かつ、上述のHR2配列が、F3031株におけるHadAに従って番号付けされた場合、残基120〜183の間に位置づけられる。F3031株は、BPFクローン{6}であり、これは、広範に利用可能である(例えば、ATCC 49252)。
(オリゴペプチド)
本発明の化合物は、代表的に、オリゴペプチドであり、例えば、「z」個のアミノ酸以下からなるペプチドであって、このzは、50以下である(例えば、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6など)である。
本発明は、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号39および配列番号40からなる群より選択されるアミノ酸配列のフラグメントを含むオリゴペプチドを提供し、ここで、上述のフラングメントは、上述の配列番号から選択された、「n」個の連続したアミノ酸からなり、このnは、5以上である(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45など)。
本発明は、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号39および配列番号40からなる群より選択されるアミノ酸配列のフラグメントを含むオリゴペプチドを提供し、ここで、上述のフラングメントは、上述の配列番号から選択された、「n」個の連続したアミノ酸からなり、このnは、5以上である(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45など)であるが、但し、このフラグメントは、上述の配列番号のものと比較して、「m」個のアミノ酸置換を含み、このmは、1とn/4との間の整数である。
mという値は、好ましくは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。このm個のアミノ酸は、代表的には、A、C、D、E、F、G、H、I、K、L、M、N、P、Q、R、S、T、V、W、またはYにより置換される。このm個の置換の各々は、他のものと同じであっても異なっていてもよい。この置換は、好ましくは、Gによるものであり、また、より好ましくは、Aによるものである。この置換アミノ酸は、L−アミノ酸でもよく、D−アミノ酸でもよいが、この他の「n−m」個のアミノ酸の全てが、1通りの立体配置をとっている(すなわち、全てがD体であるか、全てがL体である)場合、好ましくは、その置換アミノ酸もまた、その立体配置をとる(当然、Gについては、立体異性体は存在しない)。
nアミノ酸のフラグメントがCを含む場合、そのmの値は、好ましくは、そのCが別のアミノ酸(例えばS)のかわりに置換されるように、少なくとも1である。この方法でCを取り除くことで、酸化に対する耐性を改善し得る。
配列番号12の好ましいフラグメントはまた、配列番号5のフラグメントである。配列番号13の好ましいフラグメントはまた、配列番号6のフラグメントである。配列番号14の好ましいフラグメントはまた、配列番号7のフラグメントである。配列番号15の好ましいフラグメントはまた、配列番号8のフラグメントである。配列番号16の好ましいフラグメントはまた、配列番号10のフラグメントである。配列番号17の好ましいフラグメントはまた、配列番号11のフラグメントである。配列番号39の好ましいフラグメントはまた、配列番号37のフラグメントである。配列番号40の好ましいフラグメントはまた、配列番号38のフラグメントである。
特に好ましいオリゴペプチドは、以下のアミノ酸配列のうちの1つからなる:配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号37および配列番号38。
(ポリペプチド)
本発明の化合物は、ポリペプチドであり得、例えば、これは、2と1000との間のアミノ酸からなる。このポリペプチドは、好ましくは、250以下(例えば、225以下、200以下、190以下、180以下、170以下、160以下、150以下、140以下、130以下、120以下、110以下、100以下、95以下、90以下、80以下、70以下、60以下、あるいは50以下)のアミノ酸からなる。
このポリペプチドは、以下の式、すなわち、NH−A−(B−C)−D−COOHを有しており、ここで、nは、1と5との間の整数であり、Aは、必要に応じた「a」個のアミノ酸からなるN末端配列であり;(各々の)Bは、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号39および/または配列番号40に由来する、「b」個の連続したアミノ酸のフラグメントを含むアミノ酸であり;(各々の)Cは、「c」個のアミノ酸からなる必要に応じたリンカー配列であり;そして、Dは、「d」個のアミノ酸からなる必要に応じたC末端配列である。上述の値bは、5以上である(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45など)。好ましいフラグメントは、上述のように規定される(すなわち、配列番号4〜11および29〜31である)。
いくつかのポリペプチドにおいて、B部分(−B−)のアミノ酸配列(または、1以上のB部分の各々のアミノ酸配列)は、m個のアミノ酸置換含んでもよく、mは、これまで
定義したように、1とn/4との間の整数である。
B部分のnの例の各々は、別のBと同じものであっても異なるものであってもよい。
aの値は、一般に少なくとも1(例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450、少なくとも500など)であるが、このaの値は、ゼロ(0)(すなわち、−A−が存在しない)であってもよい。代表的なA部分(−A−)としては、タンパク質輸送を方向付けるリーダー配列、またはクローニングまたは精製を容易にするための短いペプチド配列(例えば、ヒシチジンタグであり、すなわち、His(n=3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上である)である)が挙げられる。他の適切なN末端アミノ酸は、当業者によって明らかである。
dとの値は、一般的に、少なくとも1(例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450、少なくとも500など)であるが、ゼロ(すなわち、−D−が存在しない)であってもよい。代表的なD部分(−D−)としては、タンパク質輸送を方向付けるリーダー配列、またはクローニングまたは精製を容易にするための短いペプチド配列(例えば、ヒシチジンタグであり、すなわち、His(n=3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上である)である)、あるいはタンパク質の溶解度を上げる為の配列が挙げられる。他の適切なC末端アミノ酸は、当業者によって明らかである。
「a+d」の値は、0以上であり得る(例えば、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450、少なくとも500など)。この値a+dは、最大で1000であることが好ましい(例えば、最大で900、最大で800、最大で700、最大で600、最大で500、最大で450、最大で400、最大で350、最大で300、最大で250、最大で200、最大で190、最大で1
80、最大で170、最大で160、最大で150、最大で140、最大で130、最大で120、最大で110、最大で100、最大で90、最大で80、最大で70、最大で60、最大で50、最大で40、最大で30、最大で25、最大で20、最大で19、最大で18、最大で17、最大で16、最大で15、最大で14、最大で13、最大で12、最大で11、最大で10、最大で9、最大で8、最大で7、最大で6、最大で5、最大で4、最大で3、最大で2)。
−A−のアミノ酸配列は、代表的には、NadA配列(または、利用可能である場合は、HadA)(例えば、配列番号1または配列番号2または配列番号35)における配列−B−のN末端であるaアミノ酸に対してx%未満の配列同一性を有しており、−D−のアミノ酸配列は、代表的には、NadA配列(または、HadA配列)(例えば、配列番号1、配列番号2または配列番号35)における配列−B−のC末端である「d」個のアミノ酸に対してy%未満の配列同一性を有している。一般的に、このxおよびyの値は、両方とも、60以下である(例えば、50、40、30、20、10またはそれ以下である)。このxおよびyの値は、互いに同じであってもよく、または異なっていてもよい。
cの各々の値は、一般的に、少なくとも1(例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも200、少なくとも250、少なくとも300、少なくとも350、少なくとも400、少なくとも450、少なくとも500など)であってもよいが、ゼロ(0)(すなわち、Cが存在しない)であってもよい。cにおけるnの例の各々の値は、互いに同じであっても異なっていてもよい。
Cにおけるnの例の各々は、別のCの場合と同じあってもよく、また、異なっていてもよい。
−C−(すなわち、C部分の「n」番目の例)のアミノ酸は、代表的には、NadA配列(またはHadA配列)(例えば、配列番号1または配列番号2または配列番号35)における−B−配列のC末端であるcアミノ酸に対してz%未満の同一性を有している。一般的に、値zは、60未満である(例えば、50、40、30、20、10またはそれ未満)である。n>1である場合、zの各々の値は、互いに同じであっても異なっていてもよい。
nは、好ましくは、1であり、その結果、そのペプチドは、式NH−A−B−C−D−COOHを有する。
(本発明のペプチド)
本発明のポリペプチド(オリゴペプチドを含むのであり、集合的に「ペプチド」である)は、直鎖状であっても、分岐していても、または環状であってもよいが、本発明のポリペプチドは、好ましくは、アミノ酸の直鎖である。システイン残基が存在する場合、本発明のペプチドは、ジスルフィド架橋を介して他のペプチドと結合してもよい。本発明のペプチドは、L−アミノ酸および/またはD−アミノ酸を含み得る。D−アミノ酸を含むことは、哺乳動物性プロテアーゼに対する耐性を与える目的において好ましいものであり得る。
本発明のペプチドのN末端残基は、共有結合的に改変されていてもよい。適切な共有結合としては、アセチル(FuzeonTMにおけるようなもの);疎水性基;カルボベンゾキシル;ダンシル;T−ブチルオキシカルボニル;アミド;9−フルオレニルメトキシ−カルボニル(FMOC);脂質;脂肪酸;ポリエチレン;炭水化物などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
同様に、ペプチドのC末端残基も、共有結合的に改変されてもよい(例えば、FuzeonTMにおけるようにカルボキサミドなど)。適切な共有結合基としては、アセチル(FuzeonTMにおけるようなもの);疎水性基;アミド;カルボベンゾキシル;ダンシル;T−ブチルオキシカルボニル;9−フルオレニルメトキシ−カルボニル(FMOC);脂質;脂肪酸;ポリエチレン;炭水化物などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明のペプチドは、種々の方法で作製され得る。
生産するための好ましい方法としては、インビトロ化学合成法{7,8}が挙げられる。固相ペプチド合成法は、特に好ましく、例えば、t−Boc化学法またはFmoc化学法{9}に基づく方法である。酵素的合成法{10}もまた、部分的にまたは全体に亘って使用され得る。
化学合成の代替的なものとして、生合成が使用されてもよい。例えば、本発明のペプチドは、翻訳によっても産生され得る。これは、インビボまたはインビトロで実施され得る。生物学的方法は、一般に、L−アミノ酸に基づいたペプチド合成法に制限されるが、翻訳の機構(例えば、アミノアシルtRNA分子に係わる機構)を操作することが、D−アミノ酸(または、他の天然に存在しないアミノ酸(例えば、ヨードチロシン、メチルフェニルアラニン、アジドホモアラニンなど))の導入を可能にするために使用され得る{11}。しかし、Dアミノ酸が本発明のペプチドに含まれる場合、化学合成を使用することが好ましい。
生物学的手段によりペプチドを産生することにより、N末端にメチオニン残基が伴ったペプチドが得られる。本発明のペプチドのN末端がメチオニンでない場合、この残基(および他の外因性残基)は、例えば、タンパク質分解によって取り除かれなければならない。
ペプチドの生物学的合成を促進するために、本発明は、本発明のペプチドをコードする核酸を提供する。この核酸は、DNAであってもRNAであっても(あるいはこれらのハイブリッドであっても)よく、あるいはこれらのアナログ(改変骨格(例えば、ホスホルチオエート)またはペプチド核酸(PNA))であってもよい。これは、一本鎖(例えば、mRNA)であっても二本鎖であってもよく、本発明は、(例えば、アンチセンス、プライミング、またはプローブの目的のために)二本鎖核酸の個々の鎖の両方を包含する。これは、直鎖であっても環状であってもよい。これは、標識され得る。これはまた、固体支持体に結合されてもよい。
本発明の核酸は、当然のことであるが、多くの方法(例えば、化学合成法(例えば、その全体または部分に関する、DNAのホルホルアミダイト合成法、より長い分子のヌクレアーゼ消化法、短い分子の連結、ゲノムライブラリーまたはcDNAライブラリーによるもの、ポリメラーゼの使用など)により、調製され得る。
本発明は、本発明の核酸を含むベクター(例えば、プラスミド)を提供し(例えば、発
現ベクターおよびクローニングベクター)、そして、このようなベクターにより形質転換された(原核生物または真核生物の)宿主細胞を提供する。
(薬物設計およびペプチド模倣物)
本発明のペプチドは、それ自体で有用な抗菌剤である。しかし、これらは、抗菌活性を改善するかまたは薬理学的に重要な特徴(例えば、バイオアベイラビリティ、毒性、代謝、薬物動態など)を改善するために精製されてもよい。従って、このペプチドは、さらなる研究及び精製のためのリード化合物として使用されてもよい。
本発明のペプチドは、抗髄膜炎菌活性または抗ヘモフィルス属活性を有するペプチド模倣物(例えば、参考文献の{12}〜{18})を設計するために使用され得る。代表的には、これらは、本発明のペプチドに関して等配電子(isosteric)であるが、そのペプチド結合のうちの1つ以上を欠いている。例えば、このペプチド骨格は、1つの非ペプチド骨格により置換されつつも、他方で、重要なアミノ酸鎖を保持している。
このペプチド模倣物分子は、糖アミノ酸を含んでもよい{19}。ペプトイドが使用されてもよい。
ペプチド模倣物分子の設計を補助するために、ファルマコフォア(pharmacophore;すなわち、活性を担う特定の特徴を示す、化学的特徴および三次元(3D)拘束の集合)が、このKMペプチドのために規定され得る。このファルマコフォアは、好ましくは、表面接触特徴を含み、より好ましくは、水素結合におけるドナーおよびアクセプター、荷電基/イオン化可能基、および/または疎水性パッチ(patche)を含む。これらは、活性を与えることにおいてその相対的な重要性に依存して重み付けされてもよい{20}。
ファルマコフォアは、CATALYST(HypoGenまたはHipHopを備える){21}、CERIUSのようなプログラムを使用して決定され得るか、または本発明のポリペプチドのコンフォメーションで分かっているものから手動により拘束をかけてもよい。このファルマコフォアは、CATALYSTのようなプログラムを使用して構造ライブラリーをスクリーニングするのに使用してもよい。CLIXプログラム{22}もまた使用され得る。このCLIXプログラムは、構造データベースにある候補分子の配向を検索して、そのレセプターと相互作用する化学基との空間的な一致を最大にする。
結合表面およびファルマコフォアは、官能基(例えば、プロトン、水酸基、アミン基、疎水性基)または低分子フラグメントについて好ましい相互作用する位置をマップするのに使用され得る。ついで、関連性のある基が、本発明のポリペプチドと実質的に同じ空間的な関係で位置づけられるような化合物が、デノボ設計される。
官能基が、正確なサイズおよび形状を有するブリッジフラグメント(bridging
fragments)または好ましい配向で官能基を支持し得るフレームワークを使用して、単一の化合物内で連結され得、それによって、本発明に従ったペプチド化合物を提供する。このように官能基を連結することは手動により行われ得るが、QUANTAまたはSYBYLのようなソフトウェアの支援により、自動化デノボ設計法または半自動化デノボ設計法もまた、利用可能であり、例として以下のようなものがある:
・MCSS/HOOK({23}、{24}、{21})。これは、データベースから取得した分子テンプレートを使用して複数の官能基を連結する。
・LUDI({25}、{21})。これは、リガンドによって理想的に充填される相互作用点を計算して、フラグメントを、そのレセプターと相互作用する能力に基づいて結合部位に置き、次いで、これらを結合することでリガンドを作り出す。
・MCDLNG{26}。これは、レセプター結合部位を最充填アレイのジェネリック原子で充填して、モンテカルロ手順を利用して、原子型、位置、結合配置および他の特性をランダムに変更する。
・GROW{27}。これは、(手動または自動的に配置された)初期「シード」フラグメントから開始して、リガンドを外側に向かって伸長させる。
・SPROUT{28}。これは、以下のようなジュールを含むスィートである:好ましい水素結合および疎水性領域を結合ポケット中で同定するモジュール(HIPPOモジュール);官能基を選択して、これらの官能基を標的部位に位置づけて構造生成のための開始フラグメントを形成するモジュール(EleFAnT);スペーサーフラグメントを開始フラグメント上へ伸ばすことによって結合ポケットの立体的な拘束を満たす骨格を生成して、その得られた部分骨格を結合するモジュール(SPIDeR);置換することでヘテロ原子をこの骨格内に導入してそのレセプター部位の特性に補完的な静電的な特性を有する分子を生成するモジュール(MARABOU)。ALLigaTORモジュールを使用することで、溶液がクラスタリングされ、スコア付けされる。
・CAVEAT{29}。これは、非環状分子に拘束をかける連結ユニットを設計する。・LEAPFROG{30}。これは、微小段階的により構造的変化をおこし、その新規の化合物の結合エネルギーを迅速に評価することによってリガンドを評価する。変化させた結合エネルギーに基づいて、変化が維持されまた棄却され、そして、その構造が、レセプターとの相互作用エネルギーを増すように変化する。
・GROUPBUILD{31}。これは、一般的な有機物テンプレートのライブラリーならびにリガンドとレセプターとの非結合性相互作用についての完全に経験的な力場による記載を使用して、化学的に合理的な構造を有しかつレセプターの結合部位に対して補完的である、立体的および静電的な特性を有するリガンドを構築する。
・RASSE{32}。
これらの方法は、抗菌性化合物を同定する。これらの化合物は、デノボ設計されてもよく、既知の化合物であってもよく、または既知の化合物に基づいたものであってもよい。この化合物は、それ自体で有用な抗菌剤であってもよく、または、この化合物が、結合親和性または薬理学的に重要な特徴(例えば、バイオアベイラビリティ、毒性、代謝、薬物動態など)を改善する目的でさらに薬学的に精製されるために使用される原型(例えば、リード化合物)であってもよい。
したがって、本発明は以下の(i)〜(iv)を提供する:(i)これらの薬物設計法を使用して同定される化合物;(ii)調合剤として使用されるために、これらの薬物設計法を使用して同定される化合物;(iii)例えば、髄膜炎菌感染またはヘモフィルス属菌感染を予防するための、抗菌剤を製造する際に、これらの薬物設計法を使用して同定される化合物の使用;(iv)患者を治療するための方法であって、これらの薬物設計法を使用して同定された有効量の化合物を投与する工程を包含する方法。
それぞれが有用な化合物であるのと同様に、構造に基づいた設計技術を使用してインシリコで同定されたリガンドもまた、「従来型」のインビトロまたはインビボでのスクリーニング法のための化合物ライブラリーを示唆するのに使用され得る。そのリガンドにおける重要な薬学的モチーフは、殺菌因子および/または抗ウイルス活性についてスクリーニングするために化合物ライブラリー(例えば、コンビナトリアルライブラリー)において同定および模倣され得る。
(弱毒化髄膜炎菌)
NadAアドヘシンは、髄膜炎菌上に表面に露出したオリゴマーを形成し、上皮細胞{41}に対する接着に関与する。接着は、髄膜炎菌における病原性周期の一部分であり、その阻害により、この細菌は弱毒化され、その結果、その細菌の全体としての免疫原性の
喪失はしていないものの、この細菌は細胞に侵入できず、そして疾患を引き起こすことができなくなる。本発明にしたがって、接着を阻害するひとつの方法は、HR1配列、HR2配列、または融合ペプチド配列のうちの1つ以上をNadAから除去することである。
したがって、本発明は、変異NadAタンパク質を提供し、ここで、この変異体は、HR1配列、HR2、または融合配列を欠く。
本発明はまた、変異NadAタンパク質を提供し、ここで、この変異体は、以下のアミノ酸配列のうち1以上を含まない:(i)配列番号3に対して少なくともp%同一性を有する配列;(ii)配列番号5に対して少なくともq%同一性を有する配列;(iii)配列番号7に対して少なくともr%の同一性を有する配列;(iv)配列番号10に対して少なくともs%の同一性を有する配列。
pは、50以上である。qは、50以上である。rは、50以上である。sは、50以上である。p、q、rおよびsの値は、互いに独立であり、代表的な値は、60、70、80、90、95、96、97、98、99または100である。
このアミノ酸配列(i)、(ii)、(iii)および(iv)は、少なくとも10アミノ酸長であり、より好ましくは、少なくとも15アミノ酸長である。
本発明はまた、変異NadA タンパク質を提供し、このタンパク質は、アミノ酸配列−A−B−C−D−E−F−G−H−I−を含み、ここで、−A−は、配列番号1のアミノ酸26〜116に対して少なくともa%の配列同一性を有するアミノ酸配列であり;−B−は、配列番号1のアミノ酸117〜152に対して少なくともb%の配列同一性を有するアミノ酸配列であり;−C−は、配列番号1のアミノ酸153〜180に対して少なくともc%の配列同一性を有するアミノ酸配列であり;−D−は、配列番号1のアミノ酸181〜199に対して少なくともd%の配列同一性を有するアミノ酸配列であり;−E−は、配列番号1のアミノ酸200〜260に対して少なくともe%の配列同一性を有するアミノ酸配列であり;−F−は、配列番号1のアミノ酸261〜275に対して少なくともf%の配列同一性を有するアミノ酸配列であり;−G−は、配列番号1のアミノ酸276〜277に対して少なくともg%の配列同一性を有するアミノ酸配列であり;−H−は、配列番号1のアミノ酸278〜299に対して少なくともh%の配列同一性を有するアミノ酸配列であり;−I−は、配列番号1のアミノ酸300〜364に対して少なくともi%の配列同一性を有するアミノ酸配列であり;但し、−B−、−D−、−F−または−H−のうちの少なくとも1つは、そのタンパク質において存在していない。
aの値は、50以上である。bの値は、50以上である。cの値は、50以上である。dの値は、50以上である。eの値は、50以上である。fの値は、50以上である。gの値は、50以上である。hの値は、50以上である。iの値は、50以上である。a、b、c、d、e、f、g、hおよびiの値は、互いに独立であり、代表的には、すべての値が、60、70、80、90、95、96、97、98、99または100である。
本願発明また、これらの変異NadAタンパク質をコードする核酸を提供する。本発明はまた、この核酸(a)を発現する髄膜炎菌を提供し、この髄膜炎菌は、その表面上に上述の変異NadAタンパク質を提示し、かつ、ヒト上皮細胞に接着および/または侵入することができない。
変異が、相同組換えにより(例えば、同系除去技術(isogenic deletion technique)を使用することで)標的髄膜菌に導入され得、ネイティブnadA配列が除去され得る。
(弱毒化ヘモフィルス属菌(haemophilus))
本発明にしたがう、ヘモフィルス属菌の接着を阻害する1つの方法は、HaAからHR1配列、HR2配列または融合ペプチド配列のうちの1つ以上のものを取り除くことである。したがって、本発明は、変異HadAタンパク質を提供して、この変異タンパク質は、HR1配列、HR2配列または融合配列を欠いている。
本発明はまた、変異HadAタンパク質を提供し、ここで、この変異体は、配列番号35に対して少なくともp%の同一性を有するアミノ酸を含まない。ここで、pの値は、50以上(例えば、60、70、80、90、95、96、97、98、99または100)である。このアミノ酸配列は、好ましくは、少なくとも10アミノ酸長であり、より好ましくは、少なくとも15アミノ酸長である。
本発明はまた、変異HadAタンパク質を提供し、このタンパク質は、アミノ酸配列−A−B−C−D−E−F−G−を含み、ここで、−A−は、配列番号35のアミノ酸27〜50に対して少なくともa%の配列同一性を有するアミノ酸配列であり;−B−は、配列番号35のアミノ酸51〜67に対して少なくともb%の配列同一性を有するアミノ酸配列であり;−C−は、配列番号35のアミノ酸68〜70に対して少なくともc%の配列同一性を有するアミノ酸配列であり;−D−は、配列番号35のアミノ酸71〜91に対して少なくともd%の配列同一性を有するアミノ酸配列であり;−E−は、配列番号35のアミノ酸92〜119に対して少なくともe%の配列同一性を有するアミノ酸配列であり;−F−は、配列番号35のアミノ酸120〜183に対して少なくともf%の配列同一性を有するアミノ酸配列であり;−G−は、配列番号35のアミノ酸184〜256に対して少なくともg%の配列同一性を有するアミノ酸配列であり;但し、B、DまたはFのうちの少なくとも1つは、そのタンパク質において存在していない。
aの値は、50以上である。bの値は、50以上である。cの値は、50以上である。dの値は、50以上である。eの値は、50以上である。fの値は、50以上である。gの値は、50以上である。a、b、c、d、e、fおよびgの値は、互いに独立であり、代表的には、すべての値が、60、70、80、90、95、96、97、98、99または100である。
本願発明また、これらの変異HadAタンパク質をコードする核酸を提供する。本発明はまた、この核酸(a)を発現するヘモフィルス属菌を提供し、このヘモフィルス属菌は、その表面上に上述の変異HadAタンパク質を提示し、かつ、ヒト上皮細胞に接着および/または侵入することができない。
変異が、相同組換えにより(例えば、同系除去技術(isogenic deletion technique)を使用することで)標的ヘモフィルス属に導入され得、ネイティブhadA配列が除去され得る。
(薬学的組成物)
本発明は、(a)本発明のペプチドおよび(b)薬学的キャリアを含む薬学的組成物を提供する。
成分(a)は、組成物の活性成分であり、これは、治療有効量(例えば、髄膜炎菌感染またはヘモフィルス属菌感染を阻害するのに十分な量)で存在する。所定の患者に対する正確な有効量は、患者のサイズおよび健康状態、感染の性質および程度、および投与のために選択した組成物または組成物の組み合わせに依存するものである。上述の有効量は、慣用的な実験により決定され得、そして、臨床医療従事者の判断の範疇である。本発明の
目的のために、有効量は、一般的には、約0.01mg/kg〜約5mg/kg、または約0.01mg/kg〜約50mg/kgまたは約0.05mg/kg〜約10mg/kgである。ペプチドに基づく薬学的組成物は、当該分野で周知である(例えば、FUZEONTM)。ペプチドは、塩および/またはエステルの形態で組成物中に含まれていてもよい。
キャリア(b)は、それ自体で、上述の化合物を受けた患者に対して有害な抗体の産生を誘導せず、過度な毒性を伴わずに投与され得る任意の物質であり得る。適切なキャリアは、大きく、ゆっくりと代謝される高分子(例えば、タンパク質、ポリサッカリド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、アミノ酸ポリマー、アミノ酸コポリマー、および不活性化ウイルス粒子)であり得る。このようなキャリアは、当業者にとって周知のものである。薬学的に許容可能なキャリアとしては、水、生理食塩水、グリセロールおよびエタノールのような液体が挙げられる。補助的な物質(例えば、湿潤剤、乳化剤、pH緩衝物質など)もまた、このようビヒクルの中に存在し得る。リポソームは、適切なキャリアである。薬学的なキャリアの詳細な議論については、参考文献{33}が利用可能である。
髄膜炎菌感染およびヘモフィルス属菌感染は、身体における種々の領域を襲う。そのため、本発明の組成物は、種々の形態で調製され得る。例えば、この組成物は、液状である溶液または懸濁液のいずれかで注射可能であるように調製され得る。注射前に液体ビヒクル中で、溶液または懸濁液に適切な固体もまた、調製され得る。上述の組成物は、例えば、軟膏、クリームまたはパウダーのような局所投与のために使用され得る。上述の組成物は、例えば、錠剤またはカプセルあるいはシロップ(これらは、必要に応じて矯味矯臭される)として経口投与用に調製され得る。上述の組成物は、微粉または噴霧剤を使用する場合おける吸入剤として、肺投与のために調製される。上述の組成物は、坐剤またはペッサリーとして調製され得る。上述の組成物は、ドロップ、噴霧剤、または粉剤(例えば、{34})として経鼻投与、経耳投与、または経眼投与のために調製され得る。上述の組成物は、含そう薬に含めてもよい。上述の組成物は、凍結乾燥してもよい。
薬学的組成物は、好ましくは滅菌されている。薬学的組成物は、好ましくは、発熱因子を含まない。好ましくは、薬学的組成物は、例えば、pH6とpH8との間で、一般的には、約pH7で緩衝化されている。
本発明はまた、本発明の薬学的組成物を含む送達デバイスを提供する。このデバイスは、例えば、注射器であっても、また、吸入器であってもよい。
本発明のペプチドは、1以上の抗生物質、好ましくは、髄膜炎菌および/またはヘモフィルス属に対して活性である抗生物質と共投与されてもよい。従って、本発明の組成物は、1以上の抗生物質を含み得る。
(医療処置および医療における使用)
本発明は、医薬品としての使用するために本発明の化合物を提供する。本発明はまた、髄膜炎菌感染および/またはヘモフィルス属菌感染により苦しむ患者を治療するための方法を提供し、この方法は、本発明の薬学的組成物をその患者に対して投与する工程を包含する。本発明はまた、患者を治療するための医薬品を製造する際に本発明の化合物を使用することを提供する。
上述した患者は、好ましくは人間(ヒト)である。このヒトは、成人であってもよく、子供であってもよく、好ましくは、子供である。子供用の組成物はまた、例えば、安全性、投与量、免疫原性などの評価のために、成人に対して投与され得る。
本発明の組成物は、一般に、患者に対して直接的に投与され得る。直接的な送達は、非
経口的投与(例えば、皮下、腹腔内、経静脈、筋内、または組織の間隙)、または経直腸的投与、経口的投与(例えば、錠剤、噴霧剤)、経膣的投与、局所的投与、経皮的(transdermal)投与(例えば、参考文献{35})、または経皮的(transcutaneous)投与(例えば、参考文献{36}および{37})、経鼻的投与(例えば、参考文献{38})、経眼的投与、経耳的投与、経肺的投与、または他の経粘膜的投与により達成され得る。
投薬処置は、単位投与量スケジュールであっても、また、複数投与量スケジュールでもよい。
本発明の使用および方法は、治療的(例えば、既存の細菌性髄膜炎および髄膜炎菌性髄膜炎、またはBPFを処置するために)あるいは予防的(例えば、細菌との接触が期待されるような場合、感染が確立するような場合に予防されるために)使用され得る。治療的使用は好ましく、治療の効力は、本発明の組成物を投与した後に、細菌力価をモニターすることによって、または、症状をモニターすることによって試験され得る。
(プロセス)
本発明はまた、本発明のペプチドを産生するためのプロセスを提供し、このプロセスは、本発明のペプチドの発現を誘導するような条件下で、本発明の核酸で形質転換した宿主細胞を培養する工程を包含する。
本発明は、本発明のペプチドを産生するためのプロセスを提供し、このプロセスは、化学的手段でこのペプチドを合成する工程を包含する。このペプチドは、このような化学的手段によりその全体または一部分について合成され得る。
(一般事項)
用語「含む(comprising)」(または「包含する」)は、「含む(including)」、ならびに「〜からなる(consisting of)」を包含するものである。例えば、Xを含む(「comprising」)組成物は、排他的にXからなるか、または追加的ななにものかを含み得る(例えば、X+Y)。
数値xに関連して用語「約」は、例えば、x±10%を意味する。
用語「実質的に」とは、「完全」であることを排除しない。例えば、Yを「実質的に含まない」組成物は、Yを完全に含まなくともよい。必要である場合、この用語「実質的に」は、本発明の定義から省略されてもよい。
2つのアミノ酸の間の配列同一性パーセント(%)を参照することは、アライメントされたときに、アミノ酸のパーセンテージが、その2つの配列を比較において同じであることを意味する。このアライメントおよび相同性パーセントまたは配列同一性パーセントは、既知のプログラム、例えば、参考文献{39}の7.7.18節において記載されているようなプログラムを使用して決定され得る。好ましいアライメントは、オープンギャップペナルティとして12、およびギャップエクステンションペナルティーとして2、BLOSUMマトリクス62としてアフィンギャップサーチを使用するスミス−ウォーターマン(Smith−Waterman)相同性サーチアルゴリズムによって決定される。このスミス−ウォーターマン相同性検索アルゴリズムは、参考文献{40}に開示されている。
ペプチド配列中で、「NH」および「COOH」が使用されると、N末端からC末端へのペプチドの方向のみを示し、N末端残基が遊離したNH基であることを示すのでは
なく、またはそのC末端が遊離したCOOH基であることを示すものでもない(ただし、このような状況を排除するものでもない)
。逆に、このN末端およびC末端は、共有結合的に改変されていてもよい。
本発明の化合物は、好ましくは、(a)NadA HR2とのNadA HR1の相互作用または(b)HadA HR2とのHadA HR1の相互作用のいずれかを阻害し得る。
本発明の化合物とNadA/HadAとの間の結合相互作用は特異的である。この状況における特異性とは、この化合物がNadA/HadA以外のなにものにたいしても結合しないという意味ではなく(例えば、それが、他のアドヘシンまたは表面タンパク質に結合してもよい)、その化合物が、バックグラウンドレベル(すなわち、非特異的レベル)よりもNadA/HadAに結合することを意味する。例えば、この化合物は、アルブミン、グロブリンなどのようなタンパク質に結合するよりも、NadA/HadAに対してより緊密に結合する。
(配列表の簡単な説明)
(髄膜炎菌性NadA)
参考文献3は、ナイセリアアドヘシンA(Neisserial Adhesin A)、つまり、Neisseria meningitidis由来の表面タンパク質についての詳細を開示する。NadA配列を、血清群A、血清群Bおよび血清群Cに由来する株を含むような26種の異なる髄膜炎菌株から取得する。これらの配列を、3つの異なる対立遺伝子に分類した。
NadAは、N.meningitidisの超毒性株(hypervirulent
lineage)III、N.gonorrhoeae、N.lactamicaまたはN.cinereaにおいて見出されてなかった。NadAはまた、血清群Aの髄膜炎菌Z2491株について公開されている配列においても存在していない。様々な配列が、GenBankに寄託されており、参考文献{41}の配列番号1〜14においても見出
され得る。
この公開された配列および特徴に基づくと、当業者は、所定の髄膜炎菌のいずれにおいてもそのNadA配列(またはそれが存在しないこと)を同定することができる。
本明細書に記載の配列番号1は、MC58株に由来するNadA配列であり、対立遺伝子(ALLELE)「1」(ALLELE−1)を有している。配列番号2は、2996株に由来するNadA配列であり、対立遺伝子(ALLELE)「3」(ALLELE−3)を有している。これらの2配列のアライメントを以下に示す:
参考文献3は、NadAが膜アンカー(membrane anchor)を有していることを示しており、そして、このタンパク質が髄膜炎菌膜において集合してオリゴマーを形成し、これはコイルドコイルドメインを解して集合することを示している。
(SARSコロナウイルススパイクタンパク質(coronavirus spike
protein))
SARSコロナウイルスのE2スパイクタンパク質が、これまでに報告されている。このタンパク質のアミノ酸配列は、本明細書において示されており、それは配列番号18で
ある。配列番号1と18と(すなわち、NadAとE2との)CLUSTALWによるアライメントによって、その同一性が6%未満であることを明らかである。
したがって、進化的な関係を判定することにおける一般的基準である一次配列にのみ基づいた場合、この1255マーのウイルス性SARSタンパク質とこの364マーの細菌性NadAタンパク質は、無関係であるように見える。
SARS E2タンパク質の2次構造予測は、以下にように与えられ、ここで、Cは、コイルを表し、Hは、へリックスを表し、そして、Eは、伸長配列を表す:
SARS E2タンパク質について(実際のところ、多くの他の被包性ウイルスの融合タンパク質について)明らかになったこの2次構造は、NadAに示されたものと類似している。
この二次構造レベルでの類似性は、本発明者にとって次のような示唆を与えるものであった。つまり、NadAは、ウイルススパイクタンパク質とその機能的特徴を共有するものである。具体的には、HR2配列は、HIVにおけるFUZEONTMにおいて見出されているように、コロナウイルスにおけるウイルス侵入および膜融合を阻害するということが最近示されており{42}、そして、本発明者らは、NadAが、起こり得る融合に関する位置を示すものであると考え、それが、HR1配列およびHR2配列であると考えた。
(NadA融合およびヘプタッドリピート配列)
様々なウイルススパイク(spike)タンパク質の関する上述の融合ペプチドを、以下に示し、その下にコンセンサス配列(consensus)を示した:
このコンセンサス配列を使用して、NadAにおける融合性配列を同定した(配列番号1および配列番号2):
このSARS融合性配列に対する類似性およびペプチド配列のへリックス配列におけるアンフィパティシティー(amphipaticity)を考慮すると、配列番号28(SEQ ID NO.28)および配列番号3(SEQ ID NO.3)の配列は、融合性配列として同定され得る。併せて、これらの2配列に、配列番号33が与えられる。
E2(残基903〜921)およびNadA(残基181〜199)のヘリクッスホイ
ール投影図(helical wheel projection)を、図2に示す。疎水性面が、明確に示されている(枠で囲った残基)。ヘプタッドリピート配列を、図1に示したように、NadA(配列番号1)において同定した。
このHR1配列を、配列番号1における残基117〜152にマッピングしており、規則的な「abcdefg」というヘプタッドリピートが示されており、適切な残基は、a位とd位に存在する。配列番号2におけるHR1配列は、Ala/Glu置換を有している点で、幾分違っている。(配列番号5および6を比較のこと;配列番号4)。
2つの可能なHR2配列が見出されており、その第一のもの(HR2a)は、その第二のもの(HR2b)よりも短い。このHR2a配列は、配列番号1の残基261〜275にマッピングされ、HR2bは、残基278〜299にマッピングされる。このHR2a配列は、NadAの対立遺伝子1(alleles 1)と対立遺伝子3(alleles 3)のアライメントがはっきりとしたギャップを示している領域に存在しており、これは、HR2a配列のC末端で影響を受けている(配列番号7と配列番号8を比較のこと)。HR2b配列は、その挿入の下流にあり、より関連性があるものである(配列番号10と11を比較のこと; 配列番号9)。
(NadAのHR1ペプチドおよびHR2ペプチド)
髄膜炎菌性NadAとSARSコロナウイルススパイクタンパク質との間のこの驚くべき関係(上記参照)、HR2ペプチドがコロナウイルス侵入を妨げる効力があるとの最近の同定結果{42}、既知であるようにHR2ペプチドがHIV活性を妨げる効力があること(すなわち、FUZEONTM)に基づき、NadAのHR1配列およびHR2配列を、髄膜炎菌を試験するためにオリゴヌクレオチドとして化学合成した。
配列を、NadA対立遺伝子「3」(allele “3”)から得た(配列番号2による)。そのHR1オリゴペプチドは、配列番号29である。そのHR2aオリゴペプチドは、配列番号30である。そのHR2bオリゴペプチドは、配列番号31である。これらのペプチドの各々は、その「コア」配列(配列番号6、配列番号8および配列番号11)をN末端方向およびC末端方向に3アミノ酸ずつ伸長したもの基づいている。
この融合性ペプチドに基づいたオリゴペプチドもまた、調製した(配列番号32)。
(HadAのHR1ペプチドおよびHR2ペプチド)
BPFクローンF3031に由来する全長HadA配列を、配列番号35として与えた。この配列を分析すると、リーダー配列(アミノ酸1〜26)、可能な融合性配列(51〜67;配列番号36)、HR1配列(71〜21;配列番号37)、HR2配列(120〜183;配列番号38)ならびに膜アンカー(186〜256)が明らかである。これらの特徴を以下に示す。ここで、下線部は、(i)融合性配列の疎水性残基または(ii)HR1およびHR2におけるヘプタッドリピート残基を示す:
インフルエンザウイルスヘマグリチニン(haemagglutinin)のpH依存性コンフォメーション変化に関するモデルを、図3Aに示し、そして、図3Bは、HadAにおける同等のコンフォメーション変化が、(NadAについてのアナロジーにより)ア
ドヘシンといかに関係があるかを示すモデルを示す。
合成配列である配列番号39および配列番号40を、融合研究のために調製した。
ここで本発明をその一例により示したが、その改変が、本発明の範囲および精神を逸脱しない限りにおいて可能であることは理解されるべきである。
参考文献(その内容は、本願明細書において参考として援用される)
図1は、MC58株からとったNadAを示しており、目的の領域は強調している。 図2は、SARS E2(図2A)およびNadA(図2B)のへリックスホイールの分析結果を示す。 図3は、インフルエンザHA(3A)およびインフルエンザHadA(3B)におけるコンフォメーション変化のモデルを示す。

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  1. 本願明細書に記載されるような、細菌性アドヘシンにおける、融合配列、HR1配列およびHR2配列に基づくインヒビター。
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