JP2005507340A - ステアリングシステム - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
本発明は、水陸両用車のステアリングシステム、及びこのようなステアリングシステムを有する水陸両用車に関する。
【背景技術】
【0002】
陸上及び水上で作動可能なステアリングシステムを備えた水陸両用車を提供することは、既知である。最も単純には、このようなシステムは、2つの別個のステアリング装置、例えば、従来のラックアンドピニオン機構に連結された陸上動作用のステアリングホイールと、舵(ラダー)の頭部に連結された水上動作用のティラーとから構成される。
【0003】
より進歩したステアリングシステムでは、ステアリングホイールが陸用ステアリングと水用ステアリングとの両方を制御する。例えば、米国特許第5,727,494号には、シャフトによって固定式ギアボックスに連結されたステアリングホイールを有する水陸両用車が開示されている。この固定式ギアボックスは可動式ギアボックスに伸縮自在に連結されており、この可動式ギアボックスに連結されたステアリングロッドによって車両の前輪を回転させることができる。ステアリングシャフトは、ラダーの回転を制御する機械的ケーブルステアリングシステムにも連結されている。これらの陸用ステアリング装置と水用ステアリング装置は両方とも、永久的にステアリングホイールに連結されている。既知のケーブルステアリングシステムは、その力と距離の関係において柔軟性がないと考えられる。路上モードにおいて海用ステアリングシステムが動くことは、望ましくないことであり得る。
【特許文献1】
米国特許第5,727,494号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、従来技術のシステムの限界を克服するような、水陸両用車のステアリングシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、水陸両用車のステアリングシステムであって、車両の少なくとも1つの路面用車輪を操縦するためのアクチュエータであって、ステアリング移動するアクチュエータと、海用ステアリング手段とを備え、さらに、該路用ステアリングアクチュエータの動きを該海用ステアリング手段の動きに変換する手段を備え、該路用ステアリングアクチュエータの移動と該海用ステアリング手段の移動との比が変更可能であることを特徴とするステアリングシステムが提供される。
【0006】
第1の好適な構造では、前記路用ステアリングアクチュエータの移動と前記海用ステアリング手段の移動との前記比が選択的に変更可能である。これは、前記路用ステアリングアクチュエータの動きを前記海用ステアリング手段の動きに変換する前記手段が旋回可能レバーを含むステアリングシステムであって、該レバーの旋回軸を調節して前記路用ステアリングアクチュエータの移動と前記海用ステアリング手段の移動との前記比を変更する手段をさらに備えるステアリングシステムによって達成し得る。
【0007】
好ましくは、前記レバーの第1端部が前記路用ステアリングアクチュエータと連動するように連結されていると共に、前記レバーの第2端部が前記海用ステアリング手段と連動するように連結されており、前記レバーが、該第1端部と該第2端部との間に配置された支点部材周りを旋回し、前記システムが、前記レバーの両端部に対する該支点部材の位置を調節して前記路用ステアリングアクチュエータの移動と前記海用ステアリング手段の移動との前記比を変更する手段を有する。
【0008】
特に好適な構造では、前記支点部材の位置を調節する前記手段が、モータの形態であり得るアクチュエータを含む。前記支点部材は、ねじ切りボアを有する調節ナットに取り付けられていてもよく、前記モータは、該ねじ切りボアと係合したスクリューシャフトを回転させて前記支点部材を動かすように構成されていてもよい。
【0009】
第2の好適な構造では、前記路用ステアリングアクチュエータの移動と前記海用ステアリング手段の移動との前記比が、直線前位置からの前記路用ステアリングアクチュエータの動きによって変化する。これは、前記路用ステアリングアクチュエータの動きを前記海用ステアリング手段の動きに変換する前記手段が、前記路用ステアリング手段が前記直線前位置から移動する第1の範囲に関して、前記路用ステアリングアクチュエータの移動と前記海用ステアリング手段の移動との第1の比を規定するように構成されていると共に、前記路用ステアリング手段が該第1の範囲を越えて移動するときには、前記路用ステアリングアクチュエータの移動と前記海用ステアリング手段の移動との第2の異なる比を規定するように構成されている、ステアリングシステムによって達成し得る。
【0010】
好ましくは、前記路用ステアリングアクチュエータの動きを前記海用ステアリング手段の動きに変換する前記手段が、前記路用ステアリングアクチュエータが前記第1の範囲を越えて移動するときには、前記海用ステアリング手段が実質的に移動しないように構成されている。
【0011】
好ましくは、前記変換手段が、前記路用ステアリングアクチュエータが一部の距離を移動すると、前記海用ステアリング手段がそのステアリング移動の最大範囲にわたって移動するように構成されたカム手段を含む。
【0012】
有益なことには、前記カム手段が、前記路用ステアリングアクチュエータに対して固定された第1の軸周りを旋回可能であると共に、カム面を有するカムプレートと、前記路用ステアリングアクチュエータと共に動くように構成されていると共に、該カム面と連動して、前記路用ステアリングアクチュエータが移動すると該カムプレートが該第1の軸周りを旋回するようにするカム従動子とを含み、前記システムが、前記カムプレートの動きを前記海用ステアリング手段に伝達する手段をさらに備える。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、水陸両用車のステアリングシステムであって、車両の少なくとも1つの路面用車輪を操縦するためのアクチュエータであって、最大路用ステアリング移動距離が予め決められているアクチュエータと、海用ステアリング手段とを備え、さらに、該路用ステアリングアクチュエータの動きを該海用ステアリング手段の動きに変換する変換手段を備え、該変換手段が、前記路用ステアリングアクチュエータが前記予め決められた最大路用ステアリング移動距離よりも小さな一部の距離を移動すると、前記海用ステアリング手段がそのステアリング移動の最大範囲にわたって移動できるように構成されていることを特徴とするステアリングシステムが提供される。
【0014】
本発明の第3の態様によれば、本発明の第1の態様又は本発明の第2の態様によるステアリングシステムを有する水陸両用車が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、添付の図面を単なる例として参照しながら、本発明のいくつかの実施形態を説明する。
【0016】
まず図1を参照すると、陸上モード及び海上モードにおいて動力で動くことのできる水陸両用車が、概略的に10で示されている。この車両10は、一組の操縦可能な前輪12及び14と、一組の後輪16及び18と、ウォータージェット装置20とを備える。前輪12及び14は、車輪支柱22及び24に取り付けられたサスペンション部材(図示せず)によって、従来の方式で支持されている。
【0017】
この車両は、陸上で車両を操縦するためのラックアンドピニオン・アセンブリ26と、ウォータージェット20に取り付けられた、水上で車両を操縦するための可動ノズル28とを含む、ステアリングシステムを有する。
【0018】
陸上及び水上の両方において、車両の操縦は、ステアリングコラム32の一方の端部に取り付けられた共通のステアリングホイール30によって制御される。このコラムのもう一方の端部は、ラックアンドピニオン・アセンブリのピニオン34に取り付けられており、これによって、ステアリングホイールの回転運動が、既知の方式でステアリングラック36の直線運動に変換される。ラックの端部38及び40は、前輪12及び14の車輪支柱からそれぞれ突出したステアリングアーム42及び44に取り付けられている。このステアリングラック36は、車両の前輪を操縦するためのアクチュエータと考えることができる。
【0019】
プッシュ−プル・ケーブル48の一方の端部46は、ノズル28のステアリングアーム50に取り付けられている。このケーブル48のもう一方の端部52は、(図1で概略的に54で示されている)機構に取り付けられており、この機構54は、ステアリングラック36の動きをケーブル48の動き、即ちノズル28の動きに変換する。この機構54は、図2に詳細に示されている。
【0020】
機構54は、支点ピン60を受容するための長尺スロット58を有するレバー56を備え、このレバー56は、支点ピン60周りを旋回する。レバー56の第1端部62は、リンク64の一方の端部に旋回可能に連結されており、リンクのもう一方の端部は、旋回軸66によってステアリングラック36に旋回可能に連結されている。このような構造によって、ラック36の直線的な動きはリンク64を介してレバー56の第1端部62に伝達され、レバーが支点ピン60周りを旋回する。レバーの第2端部68は、クレビスピン65又はその他のあらゆる適当な部材によって、ケーブル48の端部52に旋回可能に連結されている。参照番号49は、固定された外側ケーブルシースを示している。
【0021】
長尺スロット58は、レバーの長手方向中心軸と位置合わせされており、レバーの長さの大部分にわたって延びている。このスロット内における支点ピン60の位置は調節可能であり、レバー56の第1端部62と第2端部68の支点ピン60周りにおける移動比を変更することができる。この実施形態では、支点ピンの位置を調節する手段は、スクリューシャフト74を駆動する電気モータ70及びギアボックス72から構成される。スクリューシャフト74は、支点ピン60が取り付けられている調節ナット(図4の76)のねじ切りボアに受容されている。このような構造によって、スクリューシャフト74が回転すると支点ピン60が直線的に動き、スロット58内における支点ピン60の位置が変更される。支点ピン60の動きは、機構54のハウジング77内に形成された一組の軌道(図4の98及び102)によって導かれる。
【0022】
支点ピンの位置を調節するのにその他多数の機構を用いてもよい、ということは当業者には理解されるであろう。例えば、支点ピン60をスライダ機構に取り付けて、油圧又は空気圧アクチュエータによって動かしてもよい。
【0023】
支点ピン60は、スロットの長さに沿ったいずれの所望の位置にも調節することができるが、図2のA、B、Cで示されている3つの主な位置に関して、ステアリングシステムの動作を説明する。
【0024】
車両の運転者は、車両を操縦しようとするとき、従来の方式でステアリングホイール30を用いる。既に上述したように、ステアリングホイール30が回転すると、ステアリングラックが直線的に動く。ステアリングラックの最大直線運動は、既知の方式で路用ステアリングストップ(図示せず)によって、図2にxで示された距離に制限されている。一般的に、路上ステアリング比は、ステアリングホイールを2〜3回転させることによって、ステアリングラックがロックからロックまでの最大距離xを移動するような比である。
【0025】
ステアリングラック36の直線的な動きは、リンク64を介してレバーの第1端部62に伝達され、これにより、第1端部62が支点ピン60周りを旋回する。図2に示されているように、ステアリングラックが最大距離xを移動すると、レバーの第1端部62は支点ピン周りを距離x’旋回する。これに対して、ステアリングラックが最大距離の一部を移動すると、レバーの第1端部62はより小さな距離yだけ旋回する。
【0026】
支点ピン60が位置Aにある場合、ステアリングラックが最大距離xを移動すると、レバーの第2端部は支点ピン60周りをごくわずかな距離だけ移動し、このためケーブル48及びノズル28は動かない。従って、支点ピンが位置Aにある場合には、海用ステアリングシステムは事実上動作停止状態となり、ステアリングホイール、即ちステアリングラック36が動いても、ノズル28は動かない。
【0027】
支点ピン60が位置Bにある場合、てこ比は1:1であり、このことは、レバーの第1端部62が支点ピン60周りを旋回すると、レバーの第2端部68も同じだけ旋回するということを意味する。図2に示されているように、ステアリングラック36が最大距離xを移動すると、レバーの第2端部68もこれに対応する最大距離zを移動する。このシステムは、レバーの第2端部68が最大距離zを移動すると、ノズル28をそのステアリング移動の最大範囲にわたって動かすのに十分な距離だけケーブル48が移動するように構成されている。
【0028】
支点ピン60を位置Cに移動させると、てこ比は高くなり、ステアリングラック36が最大距離の一部を移動すると、レバーの第1端部62は最大距離の一部yを移動し、レバーの第2端部68は最大距離zを移動する。レバーの第2端部68の移動距離zは、ハウジング77に設けられた海用ステアリングストップ78及び80によって制限されている。支点ピンがこの位置にある場合には、海用ステアリング手段の総ステアリング比が高くなり、例えばステアリングホイールを1回転させることによって、ノズル28はそのステアリング移動の最大範囲にわたって動くことができる。一般的には、支点ピンが位置Cにある場合、てこ比は1:2程度であるが、適当な比であればどんな比を選択してもよい。
【0029】
上述したような構造により、水陸両用車の陸上モード及び海上モードの両方において信頼性及び柔軟性のあるステアリングシステムが提供される。支点ピンが位置Aにある場合、この水陸両用車は、例えばステアリングホイールをロックからロックまで2〜3回転させるというような、通常の自動車ステアリング比を用いて陸上で操縦することができる一方で、海用ステアリングノズル28(又は、ラダーのようなその他の海用ステアリング手段)は、ニュートラルセンターに保持される。車両が切り替えモードにおいて水に入るとき又は水から出るとき、支点ピン60は位置Bに移動し、この場合、自動車ステアリング比は車輪と海用ステアリングシステムとの両方に適用される。水陸両用車が完全に海上モードであるとき、支点ピンは位置Cに移動し、この場合、例えばロックからロックまでの1回転というような、より高いステアリング比が海用ステアリングシステムに適用される一方で、路面用車輪は、海用ステアリングストップによって制限される部分ステアリング運動に限定される。
【0030】
車両が路上モードと海上モードとで切り替わるときに行われる支点ピン60の位置の調節は、適当な制御システム(図示せず)によって自動的に制御されるのが好ましい。この制御システムは、車両が水域に入っていくとき又は水域から出ていくときを検出してステアリングモードの切り替えが必要なときを決定するセンサを備えていてもよいし、ステアリングモードの切り替えが必要だという車両の運転者からの入力コマンドに応答して作動してもよい。或いは、この支点ピンの位置の調節は、車両の運転者が手動で行ってもよい。
【0031】
図3及び図4は、本発明によるステアリングシステムの第2の実施形態を示している。図3及び図4のステアリングシステムは、図1及び図2のステアリングシステムと非常に似ており、同様に作動し、以下の点のみが異なる。リンク64は、ステアリングラック36から突出した駆動ラグ90に取り付けられており、レバー56の第1端部62の動きは、リンク64をレバーの第1端部62に連結している旋回ピン92と、機構54のハウジング77内に形成されたガイドトラック94との係合によって導かれる。
【0032】
ガイドトラック94は、ハウジング77の上部96に形成されており、旋回ピン92の端部を受容する。このガイドトラック94は、図3を見れば最も良くわかるように、レバーの第1端部62が支点ピン60周りを旋回するときの旋回ピン92の軌跡と一致するような形状にされている。このような構造によって、確実にレバー56が適切に動くようになり、機構全体の安定性が向上する。
【0033】
図4は、また、図3の線A−Aによる断面図として、支点ピン60の調節機構をより詳細に示している。調節ナット76が、ねじ切りボアを介してスクリューシャフト74に取り付けられている。支点ピン60は、この調節ナットからレバー56のスロット58を通って上方に延び、ハウジング77の上部に設けられたスライド軌道98に係合している。ピン下部100は、この調節ナットから下方に延び、ハウジング77の下部104に形成されたさらなるスライド軌道102に受容されている。
【0034】
本発明の第3の実施形態が、図5〜図7に示されている。この実施形態では、ステアリングラックアセンブリ26は動力式であり、旋回可能レバー56の動きは、必要に応じて1つ以上の旋回可能リンク108を含む、概略的に106で示されたロッドシステムによって、ジェットノズルに伝達される。
【0035】
ステアリングラック36の動きをロッド、即ちノズルの動きに変換する機構54については、図7を見れば最も良くわかる。この実施形態では、旋回可能レバー56は、第1の実施形態のように旋回可能リンクを介してではなく、ステアリングラック36に直接取り付けられている。このために、1組のラグ110及び112がクランプ部材114から突出しており、このクランプ部材114は、ステアリングラック36にしっかりとクランプすることによって、強制的にラックと共に動くようにすることができる。レバーの第1端部62は、この2つのラグの間に受容されており、旋回ピン116が、これらのレバーとラグの対応する穴を貫通して、1つ以上のサークリップ又はその他のあらゆる適当な手段によって適所に保持されている。第1ロッド部材106aの端部は、クレビスピン又はその他のあらゆる適当な部材によって、レバー56の第2端部68に旋回可能に取り付けられている。
【0036】
前述した実施形態と同様に、レバー56は、調節可能な支点ピン60を受容する長尺スロット58を有し、このレバー56は、支点ピン60周りを旋回する。支点ピン60は、ねじ切りボアによってスクリューシャフト74に取り付けられた調節ナット76から突出している。このシャフト74は、電気モータ70及びギアボックス72によって回転される。支点ピンの動きは、上部ガイド部材118及び下部ガイド部材120にそれぞれ形成されて、支点ピン60の上方突起122及び下方突起(図示せず)並びに/又は調節ナット76を受容する、スライド軌道98及び102によって導かれる。
【0037】
前述した実施形態と同様に、機構54は、ステアリングラック36の横方向運動を、レバー56の支点ピン60周りにおける旋回運動に変換する。レバーの第2端部68が動くと、それに対応してロッドシステム106が動き、続いて、ウォータージェットノズル、又はラダーのようなその他何らかの海用ステアリング手段が動く。
【0038】
図5及び図6はそれぞれ、路上モード及び海上モードにおけるシステムを示している。明瞭にするため、これらの図面には上部ガイド部材118が省略されている。
【0039】
図5は、支点ピン60が位置Aにある場合のシステムを示している。支点ピンがこの位置にある場合、ステアリングラックの横方向運動が最大距離xであると、レバーの第2端部68の動きは最小となる。図5に示されているように、ロッドシステムの第1ロッド106aは、旋回可能リンク108との連結部124周りを少し旋回するだけであるため、ロッドシステムの第2ロッド106b、即ちノズルには何の動きも伝達されない。
【0040】
図6では、支点ピン60が位置Cに移動されている。この位置では、ステアリングラックが最大距離の一部yを移動すると、レバー56の第2端部68は支点ピン60周りを最大距離z移動する。その結果、第1ロッド106aは、矢印で示されているように長手方向に動き、この動きは、旋回可能リンク108を介して第2リンク部材106b、即ちノズルに伝達される。レバーの移動距離zは、海用ステアリングストップ78及び80によって制限され、このシステムは、レバーの第2端部68のこの移動距離が、ノズルをその最大ステアリング移動距離にわたって動かすのに十分な距離であるように構成されている。
【0041】
この第3の実施形態における支点ピン60は、図5及び図6に示されている位置Aと位置Cの間であればいずれの地点に配置してもよく、特に、レバー56の第1端部と第2端部の移動比が1:1となる地点に配置することができる。車両の使用モードが海上モードと路上モードとで切り替わるとき、この第3の実施形態も第1の実施形態と同様に作動することができる。
【0042】
図8は、本発明による、水陸両用車のステアリングシステムのさらなる実施形態を示している。このさらなる実施形態は、従来の方式で車両の路面用前輪を操縦するためのステアリング・ラックアンドピニオン・アセンブリ226と、ウォータージェットの可動ノズルやラダーのような海用ステアリング手段(図示せず)とを備える。海用ステアリング手段の動きは、後述するように、ラックアンドピニオン・アセンブリ226のステアリングラック236の動きに応答して、ケーブル248によって制御される。
【0043】
レバーアーム/カムプレート256の第1端部262は、旋回軸292によって、ステアリング・ラックアセンブリ226のケーシング/本体237に旋回可能に連結されている。カムプレートのもう一方の端部268は、クレビスピン265によって、ケーブル248の端部に取り付けられている。このカムプレートは、略S字形のスロット258を有しており、このスロット258は、ステアリングラック236と共に動くように固定された、ピン又はペグの形態をしたカム従動子260を受容する。スロット236の端面はカム面を形成し、このカム面がカム従動子と連動することによって、ステアリングラック236が横方向に動くと、カムプレートが旋回軸292周りを回転する。カムプレート256が旋回軸292周りを回転することにより、海用ステアリング手段のステアリングアーム(図示せず)に取り付けられたケーブル248が動く。
【0044】
ステアリングラック236は、図8にxで示された最大ステアリング移動距離が予め決められており、このステアリング移動距離は、当業界では周知のように、路用ステアリングストップによって制限されている。この路用ステアリングシステムの自動車ステアリング比は一般的であり、ステアリングホイールをロックからロックまで2〜3回転させると、ステアリングラックがその最大ステアリング移動距離にわたって動く。しかしながら、海上使用に関しては、このステアリング比は適当ではなく、このシステムは、ステアリングホイールをより少なく、例えばロックからロックまで1回転させると、海用ステアリング手段がその最大ステアリング移動距離にわたって動くように設計されている。これは、ステアリングラック236が図8にyで示された一部を移動するだけで、カムプレート256が旋回軸292周りを回転するように、スロット258を成形することによって実現される。このようにステアリングラック236が一部yを移動することによってカムプレートの第2端部268が移動する距離は、図8にzで示されており、このシステムは、カムプレートの第2端部268が距離zを移動すると、海用ステアリング手段をそのステアリング移動の最大範囲にわたって動かすのに十分な距離だけケーブル248が移動するように構成されている。
【0045】
図8では、ステアリングラック236が直線前位置にあるときの、カム従動子260の位置が実線で示されている。スロット258は、ステアリングラック236がこの直線前位置から移動する第1の範囲yに関して、ステアリングラックの移動の海用ステアリング手段の移動に対する第1の比が規定されるように成形されていることがわかる。この実施形態では、この比は2:1〜3:1程度である。しかしながら、ステアリングラックがこの第1の範囲を越えて移動するときには、異なる比が適用され、この場合、海用ステアリング手段は実質的に移動しない。
【0046】
図8に示されているこの実施形態は、車両が陸上で使用されているときでさえも、常に海用ステアリング手段が作動しているという点で、前述の実施形態とは異なる。しかしながら、この構造はシンプルで信頼性があり、制御システムが海上ステアリング比の変更を行う必要がない。
【0047】
現在最も実用的で好ましい実施形態と思われるものに関して本発明を説明してきたが、本発明は、ここに開示した構造に限定されず、それどころか、本発明の精神及び範囲内に含まれる様々な変更物並びに等価構造を含むことが意図されている、ということは理解されたい。例えば、海用ステアリング手段は、ウォータージェットノズルでなくてもよく、ラダーのようなあらゆる適当な手段であってよい。さらに、本発明は、路面用車輪を操縦するためのステアリングラックを有する車両への適用に限定されない。本発明は、例えば、ステアリングボックスのようなその他いずれの路用ステアリング手段を有する車両へ適用してもよい。この場合、路用ステアリングアクチュエータの動きを海用ステアリング手段の動きに変換する機構は、適切に動く路用ステアリング手段のいずれの部分と連結させてもよい。また、油圧式又は電気式のテレモータを含む、空気圧式、機械式、電気式、又は電子式(例えば「電信操縦(steer by wire)」)によるいずれの適当な手段を用いて、レバー若しくはカムプレートの第2端部の動きを海用ステアリング手段に伝達してもよい、ということも理解されたい。上記手段はそれぞれ、例えば可変油圧バルブによって又は可変マッピングを備えた電子機器によって、路用ステアリングと海用ステアリングの比を変更する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明によるステアリングシステムの第1の実施形態を有する水陸両用車の略平面図である。
【図2】図1のステアリングシステムの一部の部分断面拡大平面図である。
【図3】図2と似ているが、本発明によるステアリングシステムの第2の実施形態を示す図である。
【図4】図3の線A−Aに沿って取り出した断面図である。
【図5】本発明によるステアリングシステムの第3の実施形態を路上使用モードにおいて示す部分断面平面図である。
【図6】図5と似ているが、海上使用モードにおけるシステムを示す図である。
【図7】図5及び図6のステアリングシステムの一部の詳細を示す拡大斜視幻影図である。
【図8】本発明によるステアリングシステムのさらなる実施形態の一部を示す部分断面平面図である。
Claims (15)
- 水陸両用車のステアリングシステムであって、車両(10)の少なくとも1つの路面用車輪(12,14)を操縦するためのアクチュエータ(36;236)であって、ステアリング移動するアクチュエータと、海用ステアリング手段(28)とを備え、さらに、該路用ステアリングアクチュエータの動きを該海用ステアリング手段の動きに変換する手段(54;248,256,258,260)を備え、該路用ステアリングアクチュエータの移動と該海用ステアリング手段の移動との比が変更可能であることを特徴とする、前記ステアリングシステム。
- 前記路用ステアリングアクチュエータの移動と前記海用ステアリング手段の移動との前記比が選択的に変更可能である、請求項1に記載のステアリングシステム。
- 前記路用ステアリングアクチュエータの動きを前記海用ステアリング手段の動きに変換する前記手段が、旋回可能レバー(56)を含み、前記システムが、該レバーの旋回軸を調節して前記路用ステアリングアクチュエータの移動と前記海用ステアリング手段の移動との前記比を変更する手段をさらに備える、請求項1又は請求項2に記載のステアリングシステム。
- 前記レバーの第1端部(62)が前記路用ステアリングアクチュエータ(36)と連動するように連結されていると共に、前記レバーの第2端部(68)が前記海用ステアリング手段と連動するように連結されており、前記レバーが、該第1端部と該第2端部との間に配置された支点部材(60)周りを旋回し、前記システムが、前記レバーの両端部に対する該支点部材の位置を調節して前記路用ステアリングアクチュエータの移動と前記海用ステアリング手段の移動との前記比を変更する手段(70,72,74,76)を有する、請求項3に記載のステアリングシステム。
- 前記支点部材の位置を調節する前記手段がアクチュエータ(70,72,74,76)を含む、請求項4に記載のステアリングシステム。
- 前記アクチュエータがモータ(70)を含む、請求項5に記載のステアリングシステム。
- 前記支点部材が、ねじ切りボアを有する調節ナット(76)に取り付けられており、前記モータが、該ねじ切りボアと係合したスクリューシャフト(74)を回転させて前記支点部材を動かすように構成されている、請求項6に記載のステアリングシステム。
- 前記路用ステアリングアクチュエータの移動と前記海用ステアリング手段の移動との前記比が、直線前位置からの前記路用ステアリングアクチュエータの動きによって変化する、請求項1に記載のステアリングシステム。
- 前記路用ステアリングアクチュエータの動きを前記海用ステアリング手段の動きに変換する前記手段(248,256,258,260)が、前記路用ステアリング手段が前記直線前位置から移動する第1の範囲(y)に関して、前記路用ステアリングアクチュエータの移動と前記海用ステアリング手段の移動との第1の比を規定するように構成されていると共に、前記路用ステアリング手段が該第1の範囲を越えて移動するときには、前記路用ステアリングアクチュエータの移動と前記海用ステアリング手段の移動との第2の異なる比を規定するように構成されている、請求項8に記載のステアリングシステム。
- 前記路用ステアリングアクチュエータの動きを前記海用ステアリング手段の動きに変換する前記手段が、前記路用ステアリングアクチュエータが前記第1の範囲を越えて移動するときには、前記海用ステアリング手段が実質的に移動しないように構成されている、請求項9に記載のステアリングシステム。
- 水陸両用車のステアリングシステムであって、車両の少なくとも1つの路面用車輪を操縦するためのアクチュエータ(236)であって、最大路用ステアリング移動距離(x)が予め決められているアクチュエータと、海用ステアリング手段とを備え、さらに、該路用ステアリングアクチュエータの動きを該海用ステアリング手段の動きに変換する変換手段(248,256,258,260)を備え、該変換手段が、前記路用ステアリングアクチュエータが前記予め決められた最大路用ステアリング移動距離よりも小さな一部の距離(y)を移動すると、前記海用ステアリング手段がそのステアリング移動の最大範囲にわたって移動できるように構成されていることを特徴とする、前記ステアリングシステム。
- 前記変換手段が、前記路用ステアリングアクチュエータが一部の距離を移動すると、前記海用ステアリング手段がそのステアリング移動の最大範囲にわたって移動するように構成されたカム手段(256,258,260)を含む、請求項8〜請求項11のいずれか一項に記載のステアリングシステム。
- 前記カム手段が、前記路用ステアリングアクチュエータに対して固定された第1の軸(292)周りを旋回可能であると共に、カム面(258)を有するカムプレート(256)と、前記路用ステアリングアクチュエータと共に動くように構成されていると共に、該カム面と連動して、前記路用ステアリングアクチュエータが移動すると該カムプレートが該第1の軸周りを旋回するようにするカム従動子(260)とを含み、前記システムが、前記カムプレートの動きを前記海用ステアリング手段に伝達する手段をさらに備える、請求項12に記載のステアリングシステム。
- 添付の図面である図1及び図2、又は図3及び図4、又は図5〜図7、又は図8に関すると共にこれらの図に示されているような、実質的に前述したステアリングシステム。
- 前記請求項のいずれか一項に記載のステアリングシステムを備えることを特徴とする、水陸両用車(10)。
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