JP2005506890A - 建物、ボーリングプラットフォーム、船舶等のような建築物から人を救出するための装置 - Google Patents
建物、ボーリングプラットフォーム、船舶等のような建築物から人を救出するための装置 Download PDFInfo
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Abstract
火災またはその他の危険な状況の際に、建築物から人を迅速に避難させるために、ロープ下降器具を備えた装置が提案されていて、このロープ下降器具は、垂下されたロープに沿って、固定後に重力によって下方に滑動し、この場合、ロープ下降器具の滑動速度は、ブレーキ装置によって、最大速度を超過せず、ロープは、建築物に堅固に結合され旋回可能に枢着されたブームに固定されている、または固定可能である。ロープ下降器具は急速緊締装置によって固定可能および固定解除可能である。
Description
【技術分野】
【0001】
多くの人が存在している、高層ホテル、高層オフィスビル、マンションのような高層ビルは、常に、例えば火災、テロ攻撃、地震などのような危険な状況で避難が十分迅速かつ確実に行われないという危険をはらんでいる。エレベータは、電力遮断の危険があるため、使用できない、もしくは使用すべきではない。階段で下りることは、極めて時間がかかるだけではなく、特に歩行障害のある人、子供、高齢者には極めて困難なものでもある。それどころか、階段避難路も煙で遮断されてしまう。
【0002】
多数の人が存在している高層ビルには、階段による短時間での避難は殆ど不可能である。1つの建物が避難される速さは、決定的な基準として、建物内に存在する人の数と、最も遅い人の進行速度にかかっている。消防隊または専門的な救出業者が所有しているような、引き伸ばし可能な梯子による救出もやはり、救出すべき人の数を考慮すると手間がかかり時間のかかるものである。さらに、多くの人が、高所恐怖症や目眩に苦しむことになり、これは救出作業を困難にし、場合によっては妨げさえする。
【0003】
選択肢としてはロープ下降による救出が残っている。この目的で、ロープを建物の外壁に固定することができる。しかしながら、ロープをつたって人が、特に高いところから降りることは、スポーツとして訓練された人にしか不可能である。さらに、建物の外壁に固定された1つのロープは、異なる階層からの複数の人のために到達可能であるので、多数の人が同時にロープを掴むという恐れがあり、場合によってはロープはこの負荷に耐えられない。さらに、窓の開口部から外部に漏れる炎は、可燃性のロープを破断する。対策を講じるために、ドイツ連邦共和国実用新案第20203970号明細書には、ロープ収納部から引き出し可能なロープを有したロープ下降装置が提案されている。このロープの端部には、据え付けられた対応装置にひっかけるための固定装置が設けられている。このロープはドラムに巻き付けられていて、このドラムはカプセルに回転可能に配置されていて、このカプセルには、中央の柱を備えた起立プラットフォームと、ここに配置されたグリップとが固定されている。これらのグリップの1つは、ブレーキの操作のための回転グリップとして形成されている。しかしながらこの装置は、一人の人しかロープで降ろすことができないという欠点を有している。
【0004】
似たようなロープ下降装置が、例えば、DE3546429号明細書、ドイツ連邦共和国特許第3922825号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3924218号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3826401号明細書に記載されている。
【0005】
本発明の課題は、機能的に確実に作動し、救助が必要な人を危険なく、上記建築物から救出できるような、建築物に設置された装置を提供することである。
【0006】
この課題は、請求項1に記載の装置により解決された。この装置の主要部分は、建築物に堅固に結合され、旋回可能に枢着されたブームであって、このブームにはロープが固定されている、または固定可能である。ブームの長さにより、救出が必要な人をロープで降ろす際に、建物に対して十分な間隔が得られ、これにより、風またはその他の影響により、ロープで降ろされる人が建物壁で負傷する恐れを回避できる。ロープ下降器具は、有利にはシート面として形成されている支持面を有している。このシート面に、人を安全ベルトまたはその他のハーネスによって拘束することができる。さらにロープ下降器具は、急速緊締装置によって、固定可能又は固定解除可能である。この急速緊締装置により、ロープ下降器具をロープに、ロープ下降過程のために結合することができる。救出すべき人を適度な速度でロープで降ろすことを保証するために、ロープ下降器具はブレーキ装置を有している。このブレーキ装置は有利には制御装置を有していて、種々異なる体重の、滑り速度に対する影響を補償し、速度に比例したブレーキ力を生ぜしめる。これにより最高速度は超過されない。本発明による装置の利点は、その簡単な構成と簡単な取り扱い性にある。ブームは、各階に、または一階おきに、外部の天候的な影響にさらされないように配置することができる。手間のかかる保守整備、または機械的なもしくは電気的な制御装置は不要である。経験的に、危険にさらされた人は本能的に、外側正面の方向で窓の方に逃げ、建物内部の階段またはエレベータシャフトの方には逃げない。その階にいる人を救出するためにブームは外方に旋回し、その端部に巻き取られている耐火性の、有利には鋼製のロープが繰り出される。ロープ長さは階ごとに規定されている。予想される階の配置に応じて、救出すべき人を縛り付けるロープ下降器具が十分な数、設けられている。ロープ下降の前に、ブームは再び内方に旋回され、これによりロープがその階においてアクセス可能になり、その後、場合によっては救援者によって、ロープ下降器具のクイックロックがロープに結合される。これが行われたら、ブームは再び外方に旋回され、これにより、下降過程が速度制御されながら全自動で行われる。有利には、後で詳しく述べるが、ロープ下降滑動速度を、地面への到達前に著しく減じる、もしくは緩衝することのできる補助手段が設けられている。これにより衝突時の負傷は回避される。ロープで降ろされた人が地面に達したら、急速緊締装置が解除され、その後、次の人が、ブームが相応に再び内方旋回してから、ロープで降ろされるために固定される。この固定もしくは固定解除を除けば、救出すべき人によるいかなる操作も不要である。
【0007】
有利には、ロープ下降器具の支持面は、背もたれを備えたシート面である。その外壁には、ロープガイドのための装置と急速緊締装置とが固定されている。このような措置によってのみ、ロープで降ろされる人が誤って急速緊締装置を解除してしまう恐れを保証できる。
【0008】
本発明の別の構成によれば、ロープ下降器具は、複数の変向ローラを備えたロープガイドまたは、巻き掛け手段を有した滑動ガイドを有している。これらのガイドは、有利には重量に応じた摩擦力を生ぜしめる。特にロープガイドは、ロープ下降器具が下方へ滑る際に、減速するためにロープに押しつけられるローラまたは滑り手段を有している。これに対して選択的に、ロープガイドが、液圧的に作用するブレーキロータを有していても良い。このブレーキロータは、液体および/または固体・液体混合物から成る粘弾性的な質量体内に配置されている。ブレーキ装置は、ロープ下降時の滑動速度を制限するために働く。この場合、救出すべき人自身が介入する必要はなく、もしくは介入することはできない。
【0009】
本発明の別の構成では、ロープ端部に、衝突を緩衝する、膨張可能な又は液体充填可能な救出島が固定されている。「強制的に」軽く脚を開いて座るようになっているシートシェルの構造と、「軟らかい」救出島とにより、脚の負傷がほぼ回避されることが保証される。有利には救出島は、巻き取られたロープと一緒に、パッケージとしてブームに固定されていて、ブームの最初の外方旋回後に、ロープの繰り出しが始められる。ロープが繰り出されると、例えば、引張ばね、レバー、またはこれに類似のものを介して、救出島内部に固定されている動力ガスのボトルが開かれる。これにより、流出した動力ガスが、救出島を自動的に膨張させる。選択的には、勿論、本発明の範囲では、地面に設けられた液圧装置または空気圧装置によって、救出島を膨張させることもできる。本発明の別の構成によれば、ロープは、ブームと、建物の横の地面に固定されたフックとの間で張設可能である。このことは、ロープが救出島の重量だけによって張られているのではないという利点を有している。
【0010】
本発明の別の構成によれば、建築物には階ごとに、外方にフラップ開放可能なまたは外方旋回可能な足場が結合されている。この足場は、外方にフラップ開放または外方旋回された後、救出すべき人と救援者のための起立面として利用される。救援者はロープ下降器具をロープに固定し、その後ブームを水平に外方旋回させる。その後、ロープ下降が自動的に始まる。この足場には、救出すべき人が、ロープ下降器具の固定時に、まだ不動の場所を有しているという利点がある。不安をさらに抑えるために、付加的に、ブームに少なくとも2つの鉛直な、ヒンジによって互いに結合された視界カバー壁が結合されている。この視界カバー壁は足場とともに、上方にしか開かれていない、その他は見えないように閉じられている室を形成する。したがって、その都度ロープで降ろされる人は、建物から、側方および下方で閉じられている室へと入る。この室は、ブームが外方に旋回されて初めて開かれる。即ち、救出すべき人が、ロープ下降器具を介してロープに既に結合された時点で初めて開かれる。
【0011】
別の構成によれば、下方のロープ端部には、ばね緩衝ユニットが配置されている。これにより、ロープ下降器具の滑動速度が減じられる。
【0012】
急速緊締装置を簡単に形成するために、この急速緊締装置は有利には、旋回レバーによって操作可能なローラシステムを有している。ローラシステムがロープに結合されていると付加的に、ロープがロープガイドから滑脱するのを防止する安全レバーが折り返される。
【0013】
有利には、ロープ端部の領域では、即ち、地面の近傍もしくは救出島の近傍に、カムのような、ロープ分岐部またはロープ拡大部等が設けられている。これは、急速緊締装置の自動的な開放を行わせ、救出された人が、救出島をできるだけ迅速に離れることができ、もしくはここでできるだけ迅速に保護されるようにする。
【0014】
ロープ下降器具自体が、付加的なブレーキローラを有していて良い。このブレーキローラは、伝動装置を介して別の変向ローラに結合されていて、変向ローラとは逆方向にロープに沿って転動し、ロープに相応に押圧当接することよってブレーキ作用を行う。
【0015】
理想的には、ブームと足場とは、折り畳まれた、プラップ展開可能なユニットを形成している。このユニットは建物の階の内室に、有利には、少なくとも1階おきに配置されていて、機械的、液圧的、及び/又は電気的に操作可能である。既に説明したように、ロープは螺線状に、ロープドラムに巻き付けられていて、有利には端部で堅固にブームに結合されている。緊急時には相応の非常スイッチを介して、システム全体がフラップ開放される。この場合、ブームの外方旋回と同時に、足場、鉛直な視界カバー壁、ロープドラムもしくは、ローラに巻き付けられたロープが解放され、これにより、ロープが完全に繰り出され、救出島が膨張されたら、ブームが相応に戻し旋回され、これにより、救援者のためにロープ端部が把持可能であって、最初の人がロープ下降器具に固定可能となる。
【0016】
本発明の別の利点およびその他の構成は、図面に基づき示されている。
【0017】
図1には、高層建築物10の上層階11が示されている。この階11には、本発明による装置が配置されている。同様のことが、この建物10の別の階、有利には各階について該当する。この場合、個々の装置はそれぞれ互いに安全な水平方向の間隔をおいて配置されている。図1には、本発明による装置12が、拡開されたブームを有した展開された状態で示されていて、ブームの端部にはロープ13が固定されている。このロープ13は救出島14に結合されている。救出島14はロープ13に結合されていて、その自重によりロープをぴんと張るように保持する。救出島14の相応に大きい直径により救出ロープ13は、建物壁から間隔をおいて保持される。
【0018】
図2には、本発明による装置12が、折り畳まれた組み込み状態で示されている。この状態では、装置全体が、建物10の上層階11に配置されている。非常時には、先端にロープドラム16が固定されているブーム15が図3のように外方旋回される。同時に、足場17が下ろされて、これは後に起立面として利用される。
【0019】
図4に示されているように、ブームが外方に旋回した後、ロープ13が繰り出され、繰り出しが完全に行われるとすぐに救出島14が膨らむ。最初の人を救出するために、ブーム15が再び内方に旋回し、これにより足場17に立っている人18を、ロープで降ろすために固定できる。図5及び図6には示されていないロープ下降器具の相応の固定が行われた後、ブーム15は再び外方に旋回し、これと同時に若しくはこの後、人18は救出のために下方に滑る。ロープ下降器具の原則的な図は図7及び図8に示されている。図7及び図8には、背もたれ19とシート面20とを備えたシートシェルが示されている。このシートシェルは、救出すべき人18が、ここで強制的に、軽く脚を開いて座らされるように成形されている。救出すべき人18に接触して、シート19,20に位置固定する安全ベルトと保持ストラップは図示されていない。背もたれの後壁には、ロープガイドのための装置と、急速緊締装置とが固定されている。この装置は3つのローラ21,22,23を有しており、これらのローラ21,22,23はレール24に固定されている。まず最初に、再び内方に旋回されたブーム15において、ロープ13が、ローラ21と22との間に配置される。その後、このレールは、把持部25を介して、矢印26の方向に90°旋回される。これによりロープ13は、3つのローラ21,22,23によってガイドされている。この後、枢着された安全レバー26が、矢印27の方向で上方に旋回され、この後、レバー26は位置26´をとる(図7参照)。その後、実際の下降過程が、ブーム15の外方旋回により開始される。ローラのうち少なくとも1つは、例えば液圧的に作用するブレーキ装置28に結合されている。
【0020】
鉛直方向の視界カバー壁は、図示されていないが、ブーム15に結合されていて、図5のようにブーム15が(再び)内方旋回された状態で外観に対する視界カバーを形成する。
【0021】
ブーム15の外方旋回とともに、救出すべき人18のロープによる下降が始まる。この人18は、この時点で初めて、どのような高さから救出されるのかを視覚的に知覚する。従って、パニック反応や、ロープに結びつけられることに対する拒絶はほぼ回避される。ロープ下降器具を、背もたれ19の背面に急速緊締装置とともに固定することにより、ロープ下降過程にある人がパニック状態で、急速緊締装置の保持部を探し、これを誤って解除してしまうことも回避される。図7及び図8に示したロープ下降器具の実施例では、最後まで残っている救援者が操作しなければならない。この救援者もロープで降りることができるように、別の構成では、ロープ下降器具が、側方または前方に固定されている急速緊締装置を有している。これにより救援者が自分でロックすることができる。このために場合によっては、シート面20が180°ずらされた配置であって、場合によっては中央に、ロープ13を貫通させることができるようにスリットが設けられている。閉じられたシート面20の代わりに、2つの別個の脚シェルを設けることができる。
【0022】
ロープ下降器具の落下速度は、本発明によれば例えば、ガイド装置21〜24が、レバーシステムまたはその他にクランプ装置を介して自動的にロープ13に、救出すべき人18の重さに比例する力で押し付けられることにより制限されている。ロープとガイドの摩擦対は、この場合、摩耗が生じないかまたはごく僅かな部分でだけ生じ、その大部分がガイド21〜23自体に生じるように選択されている。何故ならば、ガイドは1度しか使用されないが、ロープは別の複数の人のために維持されなければならないからである。従って、ロープ材料としては、有利には鋼が選択される。鋼は、繊維のロープまたはプラスチックのロープのように、裂断されたり、火によって燃えてしまうことがない。ロープ下降器具の落下速度を制限するために、ロープ下降器具は遠心ブレーキを有していてもよい。
【0023】
特に有利な構成では、速度に比例した摩擦力が生じるような摩耗特性が選択されている。これにより、落下高さとは関係なく、ロープ下降時に、所定の制限速度を超過しない定常的な落下状態が得られる。
【0024】
本発明の別の構成では、ガイドがローラを介して支持され、ローラ回転数が液圧ブレーキ28において最大の回転数に、ひいては最大の下降速度に制動される。この場合、付加的に、救出ロープ13はループ状にガイドによって案内されてもよい。
【0025】
選択的には、特に建物高さが低い場合には、救出島14に衝突する前に安全な高さで減速されることにより、所定のブレーキ作用が得られる。この場合、救出ロープ13は下方の領域で太くされていて、これにより摩擦力が増大するようになっている。救出ロープ13には、特別な摩擦パッドがこの制動区域に設けられていてもよい。付加的に、ばね緩衝装置が、下方のロープ端部に設けられていても良い。これにより、ロープ下降器具の到達時に、この領域で下降速度が僅かな値に減じられる。
【0026】
ガイド装置には場合によっては、粘弾性的な液体が充填されていても良い。この液体は、下降運動中、ガイドとロープとの間で流出し、これによりほぼ速度に比例した摩擦力が生じる。この摩擦力はオイル塗布された滑り軸受と同様に作用する。場合によっては、ロープ下降時の落下は、エアブレーキ傘によって速度制限することもできる。このようなブレーキ傘はガイドに固定されている。しかしながら、救出すべき人が自分でジャンプし、落下傘を作動させなければならない落下傘救出とは異なり、ロープへの結合は維持され、これにより、風の影響で、落下する人が建物壁方向へと流されることは回避される。
【0027】
別の構成では、ブレーキ装置が、いわゆるポンピングブレーキとして形成されていても良い。この場合、ローラシステムと滑りシステムが共振に関してずらされる。これにより所定の時間的または空間的な間隔をおいて、周期的なブレーキが発動される。図7及び図8に示されたガイド装置によれば、救出すべき人が、下降時に意図せずロープに接触することも保証されている。
【0028】
既に説明したように、自動的な固定解除装置が設けられていても良い。この固定解除装置は、例えばロープ13上のカム、肉厚部等を介して制御される。これにより、地面もしくは救出島に到着した後、後続の人が衝突することがないように、できるだけ速やかにロープ端部の領域を離れることができる。
【0029】
不安な人、高齢の人、スポーツの苦手な人、障害者、子供などを救出することができるように、2人またはそれ以上の人のための保持ストラップが設けられていてもよく、もしくは、シート面19,20が、パラシュートタンデムジャンプの際に補助する人のように別の人がこのような人と一緒に付加的に、ロープで下降されるように形成されても良い。
【0030】
有利には、本発明による救出システムはモジュールとして形成されるのが望ましい。これにより、救出システムを、窓枠のはめ込みにより、完成したユニットとして、場合によっては既に存在している建物に後から装備することができる。ブームおよびロープローラが室内に位置していて、非常時に初めて外部にフラップ旋回されるので、システムは、天候的な腐食に対しても保護されており、ほぼ保守整備作業は不要である。各階のブームもしくは救出ロープの位置は、隣接する階のものに対してずらされて配置されている。これにより、異なる階からの救出動作が互いに妨げ合うことはない。さらに足場17は、救出すべき人と建物壁との間隔が、下降過程の開始時に既に、始めから拡大されるという利点がある。。
【0031】
ロープ終端部における高い衝突速度、ひいては高い負傷の危険を回避するために、種々様々な手段によって、ロープ下降速度もしくは落下速度が制限されることが保証されている。救出ロープは非常時に自動的に繰り出されるように巻き取られている。ロープ下降器具のブレーキ装置としては、機械的に働くシステムが有利である。即ち、ブレーキ作用を有するロープガイド、巻き掛け手段、滑動エレメント、間欠的に働く「ポンピングブレーキ」、液体またはガスまたはビスコース緩衝手段、下方で拡大された、または分岐されたロープなどである。
【0032】
救出島は、衝突時に自動的に膨張し、従って自動的に作動するように形成されていると望ましい。これにより、救援者(消防士など)の到着までの貴重な時間が得られる。タンデムロープ下降器具としては、場合によっては、大きな制動特性を有する別のロープガイドシステムを使用することができる。
【0033】
本発明の範囲では、ブームに設けられたロープガイドが、救出すべき人が、鉛直のロープに達する前に、まず最初に、水平又は軽く傾斜してガイドされたロープを介して下方に滑るように形成されていても良い。
【0034】
ロープには、ロープが完全に繰り出されているかどうかを制御することのできるパルス発信器が設けられていても良い。
【0035】
本発明は、原則的には、高層ビルのような全ての建物のために使用可能であるが、ボーリングプラットフォーム、又は船舶のためにも使用することができる。船舶の場合には、水面へのロープ下降の場合、ロープ端部の緩衝手段は不要である。
【0036】
1つの階の人を避難させた後、特に、ロープ端部が地面に固定されている場合、張設されたロープは、上方の階の消火作業などをするために、モータ駆動されるリフト装置による救出力がロープを使用するためにも働く。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明による救出装置を備えた高層ビルを概略的に示した図である
【図2】本発明による救出装置を組み込み状態で示した図である
【図3】本発明による救出装置をブームが外方旋回した状態で示した図である
【図4】本発明による救出装置をロープが繰り出された状態で示した図である
【図5】本発明による救出装置をブームが再び内方旋回された状態で示した図である
【図6】本発明による救出装置をブームが再び外方旋回された状態で示した図である
【図7】ロープ下降器具を示した図である
【図8】ロープ下降器具を側方から示した図である
【0001】
多くの人が存在している、高層ホテル、高層オフィスビル、マンションのような高層ビルは、常に、例えば火災、テロ攻撃、地震などのような危険な状況で避難が十分迅速かつ確実に行われないという危険をはらんでいる。エレベータは、電力遮断の危険があるため、使用できない、もしくは使用すべきではない。階段で下りることは、極めて時間がかかるだけではなく、特に歩行障害のある人、子供、高齢者には極めて困難なものでもある。それどころか、階段避難路も煙で遮断されてしまう。
【0002】
多数の人が存在している高層ビルには、階段による短時間での避難は殆ど不可能である。1つの建物が避難される速さは、決定的な基準として、建物内に存在する人の数と、最も遅い人の進行速度にかかっている。消防隊または専門的な救出業者が所有しているような、引き伸ばし可能な梯子による救出もやはり、救出すべき人の数を考慮すると手間がかかり時間のかかるものである。さらに、多くの人が、高所恐怖症や目眩に苦しむことになり、これは救出作業を困難にし、場合によっては妨げさえする。
【0003】
選択肢としてはロープ下降による救出が残っている。この目的で、ロープを建物の外壁に固定することができる。しかしながら、ロープをつたって人が、特に高いところから降りることは、スポーツとして訓練された人にしか不可能である。さらに、建物の外壁に固定された1つのロープは、異なる階層からの複数の人のために到達可能であるので、多数の人が同時にロープを掴むという恐れがあり、場合によってはロープはこの負荷に耐えられない。さらに、窓の開口部から外部に漏れる炎は、可燃性のロープを破断する。対策を講じるために、ドイツ連邦共和国実用新案第20203970号明細書には、ロープ収納部から引き出し可能なロープを有したロープ下降装置が提案されている。このロープの端部には、据え付けられた対応装置にひっかけるための固定装置が設けられている。このロープはドラムに巻き付けられていて、このドラムはカプセルに回転可能に配置されていて、このカプセルには、中央の柱を備えた起立プラットフォームと、ここに配置されたグリップとが固定されている。これらのグリップの1つは、ブレーキの操作のための回転グリップとして形成されている。しかしながらこの装置は、一人の人しかロープで降ろすことができないという欠点を有している。
【0004】
似たようなロープ下降装置が、例えば、DE3546429号明細書、ドイツ連邦共和国特許第3922825号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3924218号明細書、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3826401号明細書に記載されている。
【0005】
本発明の課題は、機能的に確実に作動し、救助が必要な人を危険なく、上記建築物から救出できるような、建築物に設置された装置を提供することである。
【0006】
この課題は、請求項1に記載の装置により解決された。この装置の主要部分は、建築物に堅固に結合され、旋回可能に枢着されたブームであって、このブームにはロープが固定されている、または固定可能である。ブームの長さにより、救出が必要な人をロープで降ろす際に、建物に対して十分な間隔が得られ、これにより、風またはその他の影響により、ロープで降ろされる人が建物壁で負傷する恐れを回避できる。ロープ下降器具は、有利にはシート面として形成されている支持面を有している。このシート面に、人を安全ベルトまたはその他のハーネスによって拘束することができる。さらにロープ下降器具は、急速緊締装置によって、固定可能又は固定解除可能である。この急速緊締装置により、ロープ下降器具をロープに、ロープ下降過程のために結合することができる。救出すべき人を適度な速度でロープで降ろすことを保証するために、ロープ下降器具はブレーキ装置を有している。このブレーキ装置は有利には制御装置を有していて、種々異なる体重の、滑り速度に対する影響を補償し、速度に比例したブレーキ力を生ぜしめる。これにより最高速度は超過されない。本発明による装置の利点は、その簡単な構成と簡単な取り扱い性にある。ブームは、各階に、または一階おきに、外部の天候的な影響にさらされないように配置することができる。手間のかかる保守整備、または機械的なもしくは電気的な制御装置は不要である。経験的に、危険にさらされた人は本能的に、外側正面の方向で窓の方に逃げ、建物内部の階段またはエレベータシャフトの方には逃げない。その階にいる人を救出するためにブームは外方に旋回し、その端部に巻き取られている耐火性の、有利には鋼製のロープが繰り出される。ロープ長さは階ごとに規定されている。予想される階の配置に応じて、救出すべき人を縛り付けるロープ下降器具が十分な数、設けられている。ロープ下降の前に、ブームは再び内方に旋回され、これによりロープがその階においてアクセス可能になり、その後、場合によっては救援者によって、ロープ下降器具のクイックロックがロープに結合される。これが行われたら、ブームは再び外方に旋回され、これにより、下降過程が速度制御されながら全自動で行われる。有利には、後で詳しく述べるが、ロープ下降滑動速度を、地面への到達前に著しく減じる、もしくは緩衝することのできる補助手段が設けられている。これにより衝突時の負傷は回避される。ロープで降ろされた人が地面に達したら、急速緊締装置が解除され、その後、次の人が、ブームが相応に再び内方旋回してから、ロープで降ろされるために固定される。この固定もしくは固定解除を除けば、救出すべき人によるいかなる操作も不要である。
【0007】
有利には、ロープ下降器具の支持面は、背もたれを備えたシート面である。その外壁には、ロープガイドのための装置と急速緊締装置とが固定されている。このような措置によってのみ、ロープで降ろされる人が誤って急速緊締装置を解除してしまう恐れを保証できる。
【0008】
本発明の別の構成によれば、ロープ下降器具は、複数の変向ローラを備えたロープガイドまたは、巻き掛け手段を有した滑動ガイドを有している。これらのガイドは、有利には重量に応じた摩擦力を生ぜしめる。特にロープガイドは、ロープ下降器具が下方へ滑る際に、減速するためにロープに押しつけられるローラまたは滑り手段を有している。これに対して選択的に、ロープガイドが、液圧的に作用するブレーキロータを有していても良い。このブレーキロータは、液体および/または固体・液体混合物から成る粘弾性的な質量体内に配置されている。ブレーキ装置は、ロープ下降時の滑動速度を制限するために働く。この場合、救出すべき人自身が介入する必要はなく、もしくは介入することはできない。
【0009】
本発明の別の構成では、ロープ端部に、衝突を緩衝する、膨張可能な又は液体充填可能な救出島が固定されている。「強制的に」軽く脚を開いて座るようになっているシートシェルの構造と、「軟らかい」救出島とにより、脚の負傷がほぼ回避されることが保証される。有利には救出島は、巻き取られたロープと一緒に、パッケージとしてブームに固定されていて、ブームの最初の外方旋回後に、ロープの繰り出しが始められる。ロープが繰り出されると、例えば、引張ばね、レバー、またはこれに類似のものを介して、救出島内部に固定されている動力ガスのボトルが開かれる。これにより、流出した動力ガスが、救出島を自動的に膨張させる。選択的には、勿論、本発明の範囲では、地面に設けられた液圧装置または空気圧装置によって、救出島を膨張させることもできる。本発明の別の構成によれば、ロープは、ブームと、建物の横の地面に固定されたフックとの間で張設可能である。このことは、ロープが救出島の重量だけによって張られているのではないという利点を有している。
【0010】
本発明の別の構成によれば、建築物には階ごとに、外方にフラップ開放可能なまたは外方旋回可能な足場が結合されている。この足場は、外方にフラップ開放または外方旋回された後、救出すべき人と救援者のための起立面として利用される。救援者はロープ下降器具をロープに固定し、その後ブームを水平に外方旋回させる。その後、ロープ下降が自動的に始まる。この足場には、救出すべき人が、ロープ下降器具の固定時に、まだ不動の場所を有しているという利点がある。不安をさらに抑えるために、付加的に、ブームに少なくとも2つの鉛直な、ヒンジによって互いに結合された視界カバー壁が結合されている。この視界カバー壁は足場とともに、上方にしか開かれていない、その他は見えないように閉じられている室を形成する。したがって、その都度ロープで降ろされる人は、建物から、側方および下方で閉じられている室へと入る。この室は、ブームが外方に旋回されて初めて開かれる。即ち、救出すべき人が、ロープ下降器具を介してロープに既に結合された時点で初めて開かれる。
【0011】
別の構成によれば、下方のロープ端部には、ばね緩衝ユニットが配置されている。これにより、ロープ下降器具の滑動速度が減じられる。
【0012】
急速緊締装置を簡単に形成するために、この急速緊締装置は有利には、旋回レバーによって操作可能なローラシステムを有している。ローラシステムがロープに結合されていると付加的に、ロープがロープガイドから滑脱するのを防止する安全レバーが折り返される。
【0013】
有利には、ロープ端部の領域では、即ち、地面の近傍もしくは救出島の近傍に、カムのような、ロープ分岐部またはロープ拡大部等が設けられている。これは、急速緊締装置の自動的な開放を行わせ、救出された人が、救出島をできるだけ迅速に離れることができ、もしくはここでできるだけ迅速に保護されるようにする。
【0014】
ロープ下降器具自体が、付加的なブレーキローラを有していて良い。このブレーキローラは、伝動装置を介して別の変向ローラに結合されていて、変向ローラとは逆方向にロープに沿って転動し、ロープに相応に押圧当接することよってブレーキ作用を行う。
【0015】
理想的には、ブームと足場とは、折り畳まれた、プラップ展開可能なユニットを形成している。このユニットは建物の階の内室に、有利には、少なくとも1階おきに配置されていて、機械的、液圧的、及び/又は電気的に操作可能である。既に説明したように、ロープは螺線状に、ロープドラムに巻き付けられていて、有利には端部で堅固にブームに結合されている。緊急時には相応の非常スイッチを介して、システム全体がフラップ開放される。この場合、ブームの外方旋回と同時に、足場、鉛直な視界カバー壁、ロープドラムもしくは、ローラに巻き付けられたロープが解放され、これにより、ロープが完全に繰り出され、救出島が膨張されたら、ブームが相応に戻し旋回され、これにより、救援者のためにロープ端部が把持可能であって、最初の人がロープ下降器具に固定可能となる。
【0016】
本発明の別の利点およびその他の構成は、図面に基づき示されている。
【0017】
図1には、高層建築物10の上層階11が示されている。この階11には、本発明による装置が配置されている。同様のことが、この建物10の別の階、有利には各階について該当する。この場合、個々の装置はそれぞれ互いに安全な水平方向の間隔をおいて配置されている。図1には、本発明による装置12が、拡開されたブームを有した展開された状態で示されていて、ブームの端部にはロープ13が固定されている。このロープ13は救出島14に結合されている。救出島14はロープ13に結合されていて、その自重によりロープをぴんと張るように保持する。救出島14の相応に大きい直径により救出ロープ13は、建物壁から間隔をおいて保持される。
【0018】
図2には、本発明による装置12が、折り畳まれた組み込み状態で示されている。この状態では、装置全体が、建物10の上層階11に配置されている。非常時には、先端にロープドラム16が固定されているブーム15が図3のように外方旋回される。同時に、足場17が下ろされて、これは後に起立面として利用される。
【0019】
図4に示されているように、ブームが外方に旋回した後、ロープ13が繰り出され、繰り出しが完全に行われるとすぐに救出島14が膨らむ。最初の人を救出するために、ブーム15が再び内方に旋回し、これにより足場17に立っている人18を、ロープで降ろすために固定できる。図5及び図6には示されていないロープ下降器具の相応の固定が行われた後、ブーム15は再び外方に旋回し、これと同時に若しくはこの後、人18は救出のために下方に滑る。ロープ下降器具の原則的な図は図7及び図8に示されている。図7及び図8には、背もたれ19とシート面20とを備えたシートシェルが示されている。このシートシェルは、救出すべき人18が、ここで強制的に、軽く脚を開いて座らされるように成形されている。救出すべき人18に接触して、シート19,20に位置固定する安全ベルトと保持ストラップは図示されていない。背もたれの後壁には、ロープガイドのための装置と、急速緊締装置とが固定されている。この装置は3つのローラ21,22,23を有しており、これらのローラ21,22,23はレール24に固定されている。まず最初に、再び内方に旋回されたブーム15において、ロープ13が、ローラ21と22との間に配置される。その後、このレールは、把持部25を介して、矢印26の方向に90°旋回される。これによりロープ13は、3つのローラ21,22,23によってガイドされている。この後、枢着された安全レバー26が、矢印27の方向で上方に旋回され、この後、レバー26は位置26´をとる(図7参照)。その後、実際の下降過程が、ブーム15の外方旋回により開始される。ローラのうち少なくとも1つは、例えば液圧的に作用するブレーキ装置28に結合されている。
【0020】
鉛直方向の視界カバー壁は、図示されていないが、ブーム15に結合されていて、図5のようにブーム15が(再び)内方旋回された状態で外観に対する視界カバーを形成する。
【0021】
ブーム15の外方旋回とともに、救出すべき人18のロープによる下降が始まる。この人18は、この時点で初めて、どのような高さから救出されるのかを視覚的に知覚する。従って、パニック反応や、ロープに結びつけられることに対する拒絶はほぼ回避される。ロープ下降器具を、背もたれ19の背面に急速緊締装置とともに固定することにより、ロープ下降過程にある人がパニック状態で、急速緊締装置の保持部を探し、これを誤って解除してしまうことも回避される。図7及び図8に示したロープ下降器具の実施例では、最後まで残っている救援者が操作しなければならない。この救援者もロープで降りることができるように、別の構成では、ロープ下降器具が、側方または前方に固定されている急速緊締装置を有している。これにより救援者が自分でロックすることができる。このために場合によっては、シート面20が180°ずらされた配置であって、場合によっては中央に、ロープ13を貫通させることができるようにスリットが設けられている。閉じられたシート面20の代わりに、2つの別個の脚シェルを設けることができる。
【0022】
ロープ下降器具の落下速度は、本発明によれば例えば、ガイド装置21〜24が、レバーシステムまたはその他にクランプ装置を介して自動的にロープ13に、救出すべき人18の重さに比例する力で押し付けられることにより制限されている。ロープとガイドの摩擦対は、この場合、摩耗が生じないかまたはごく僅かな部分でだけ生じ、その大部分がガイド21〜23自体に生じるように選択されている。何故ならば、ガイドは1度しか使用されないが、ロープは別の複数の人のために維持されなければならないからである。従って、ロープ材料としては、有利には鋼が選択される。鋼は、繊維のロープまたはプラスチックのロープのように、裂断されたり、火によって燃えてしまうことがない。ロープ下降器具の落下速度を制限するために、ロープ下降器具は遠心ブレーキを有していてもよい。
【0023】
特に有利な構成では、速度に比例した摩擦力が生じるような摩耗特性が選択されている。これにより、落下高さとは関係なく、ロープ下降時に、所定の制限速度を超過しない定常的な落下状態が得られる。
【0024】
本発明の別の構成では、ガイドがローラを介して支持され、ローラ回転数が液圧ブレーキ28において最大の回転数に、ひいては最大の下降速度に制動される。この場合、付加的に、救出ロープ13はループ状にガイドによって案内されてもよい。
【0025】
選択的には、特に建物高さが低い場合には、救出島14に衝突する前に安全な高さで減速されることにより、所定のブレーキ作用が得られる。この場合、救出ロープ13は下方の領域で太くされていて、これにより摩擦力が増大するようになっている。救出ロープ13には、特別な摩擦パッドがこの制動区域に設けられていてもよい。付加的に、ばね緩衝装置が、下方のロープ端部に設けられていても良い。これにより、ロープ下降器具の到達時に、この領域で下降速度が僅かな値に減じられる。
【0026】
ガイド装置には場合によっては、粘弾性的な液体が充填されていても良い。この液体は、下降運動中、ガイドとロープとの間で流出し、これによりほぼ速度に比例した摩擦力が生じる。この摩擦力はオイル塗布された滑り軸受と同様に作用する。場合によっては、ロープ下降時の落下は、エアブレーキ傘によって速度制限することもできる。このようなブレーキ傘はガイドに固定されている。しかしながら、救出すべき人が自分でジャンプし、落下傘を作動させなければならない落下傘救出とは異なり、ロープへの結合は維持され、これにより、風の影響で、落下する人が建物壁方向へと流されることは回避される。
【0027】
別の構成では、ブレーキ装置が、いわゆるポンピングブレーキとして形成されていても良い。この場合、ローラシステムと滑りシステムが共振に関してずらされる。これにより所定の時間的または空間的な間隔をおいて、周期的なブレーキが発動される。図7及び図8に示されたガイド装置によれば、救出すべき人が、下降時に意図せずロープに接触することも保証されている。
【0028】
既に説明したように、自動的な固定解除装置が設けられていても良い。この固定解除装置は、例えばロープ13上のカム、肉厚部等を介して制御される。これにより、地面もしくは救出島に到着した後、後続の人が衝突することがないように、できるだけ速やかにロープ端部の領域を離れることができる。
【0029】
不安な人、高齢の人、スポーツの苦手な人、障害者、子供などを救出することができるように、2人またはそれ以上の人のための保持ストラップが設けられていてもよく、もしくは、シート面19,20が、パラシュートタンデムジャンプの際に補助する人のように別の人がこのような人と一緒に付加的に、ロープで下降されるように形成されても良い。
【0030】
有利には、本発明による救出システムはモジュールとして形成されるのが望ましい。これにより、救出システムを、窓枠のはめ込みにより、完成したユニットとして、場合によっては既に存在している建物に後から装備することができる。ブームおよびロープローラが室内に位置していて、非常時に初めて外部にフラップ旋回されるので、システムは、天候的な腐食に対しても保護されており、ほぼ保守整備作業は不要である。各階のブームもしくは救出ロープの位置は、隣接する階のものに対してずらされて配置されている。これにより、異なる階からの救出動作が互いに妨げ合うことはない。さらに足場17は、救出すべき人と建物壁との間隔が、下降過程の開始時に既に、始めから拡大されるという利点がある。。
【0031】
ロープ終端部における高い衝突速度、ひいては高い負傷の危険を回避するために、種々様々な手段によって、ロープ下降速度もしくは落下速度が制限されることが保証されている。救出ロープは非常時に自動的に繰り出されるように巻き取られている。ロープ下降器具のブレーキ装置としては、機械的に働くシステムが有利である。即ち、ブレーキ作用を有するロープガイド、巻き掛け手段、滑動エレメント、間欠的に働く「ポンピングブレーキ」、液体またはガスまたはビスコース緩衝手段、下方で拡大された、または分岐されたロープなどである。
【0032】
救出島は、衝突時に自動的に膨張し、従って自動的に作動するように形成されていると望ましい。これにより、救援者(消防士など)の到着までの貴重な時間が得られる。タンデムロープ下降器具としては、場合によっては、大きな制動特性を有する別のロープガイドシステムを使用することができる。
【0033】
本発明の範囲では、ブームに設けられたロープガイドが、救出すべき人が、鉛直のロープに達する前に、まず最初に、水平又は軽く傾斜してガイドされたロープを介して下方に滑るように形成されていても良い。
【0034】
ロープには、ロープが完全に繰り出されているかどうかを制御することのできるパルス発信器が設けられていても良い。
【0035】
本発明は、原則的には、高層ビルのような全ての建物のために使用可能であるが、ボーリングプラットフォーム、又は船舶のためにも使用することができる。船舶の場合には、水面へのロープ下降の場合、ロープ端部の緩衝手段は不要である。
【0036】
1つの階の人を避難させた後、特に、ロープ端部が地面に固定されている場合、張設されたロープは、上方の階の消火作業などをするために、モータ駆動されるリフト装置による救出力がロープを使用するためにも働く。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明による救出装置を備えた高層ビルを概略的に示した図である
【図2】本発明による救出装置を組み込み状態で示した図である
【図3】本発明による救出装置をブームが外方旋回した状態で示した図である
【図4】本発明による救出装置をロープが繰り出された状態で示した図である
【図5】本発明による救出装置をブームが再び内方旋回された状態で示した図である
【図6】本発明による救出装置をブームが再び外方旋回された状態で示した図である
【図7】ロープ下降器具を示した図である
【図8】ロープ下降器具を側方から示した図である
Claims (14)
- 建物(10)、ボーリングプラットフォーム、船舶等のような建築物から人を救出するための装置であって、支持面を有したロープ下降器具が設けられていて、該ロープ下降器具は、垂下されたロープ(13)に沿って、固定後に、重力に基づき下方に滑動し、ロープ下降器具の滑動速度は、設けられたブレーキ装置によって減速可能である形式のものにおいて、
ロープ(13)が、建築物(10)に堅固に結合され旋回可能に枢着されたブーム(15)に固定されているか、または固定可能であって、ロープ下降器具が急速緊締装置によって固定可能および固定解除可能であって、ロープ下降器具の滑動速度は有利には、所定の最大速度を超過しないことを特徴とする、建物(10)、ボーリングプラットフォーム、船舶等のような建築物から人を救出するための装置。 - ロープ下降器具の支持面がシート面(20)であって、このシート面(20)が背もたれ(19)に結合されていて、背もたれの外壁に、ロープガイドのための装置と急速緊締装置とが固定されている、請求項1記載の装置。
- ロープ下降器具が、複数の変向ローラ(21,22,23)または、巻き掛け手段を備えた滑動ガイドを有したロープガイドを有していて、これらの変向ローラまたは滑動ガイドが、有利には速度に比例したブレーキ力を生ぜしめ、及び/又はロープ下降器具が遠心力ブレーキを有している、請求項2記載の装置。
- ロープガイドが、ローラまたは滑動手段を有していて、これらのローラまたは滑動手段は、ロープ下降器具が下方に滑動する際に、制動のためにロープに押し付けられ、及び/又はロープガイドが液圧的に作用するブレーキロータを有しており、該ブレーキロータは、液体及び/又は固体・液体混合剤から成る粘弾性的な質量体内に配置されている、請求項2記載の装置。
- ロープ端部に、膨張可能なまたは液体充填された救出島(14)が固定されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
- ロープ(13)が、ブーム(15)と、建物(10)の横の地面に固定されたフックとの間で張設可能である、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
- 建築物(10)に、フラップ開放可能な、または外方旋回可能な足場(17)が結合されていて、この足場(17)は、フラップ開放後または外方旋回後に、救出すべき人、および救援者のための支持面として利用され、この救援者はロープ下降器具をロープ(13)に固定し、その後ブーム(15)を水平に外方に旋回させる、請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
- ブーム(15)に、ヒンジによって互いに結合された鉛直方向の少なくとも2つの視界カバー壁が結合されていて、これらの視界カバー壁は、足場(17)とともに、上方にのみ開き、他の部分では密に閉鎖されている室を形成している、請求項7記載の装置。
- 下方のロープ端部に、ばね・緩衝ユニットが配置されていて、該ばね・緩衝ユニットが、ロープ下降器具の滑動速度を制動する、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
- 急速緊締装置が、旋回レバー(24)によって操作可能なローラシステムと、安全レバー(26)とから成っていて、該安全レバー(26)は、ロープを把持するために変向可能である、請求項1から9までのいずれか1項記載の装置。
- ロープ端部の領域に、急速緊締装置の自動的な開放を行わせる、カムのようなロープ分岐部またはロープ拡大部が設けられている、請求項1から10までのいずれか1項記載の装置。
- ロープ下降器具がブレーキローラを有しており、ブレーキローラは、伝動装置を介して別の変向ローラに結合されていて、変向ローラとは反対方向に回転し、ロープへの押圧当接により制動作用を行う、請求項1から11までのいずれか1項記載の装置。
- ブーム(15)と足場(17)とが、折り畳まれて、フラップ開放可能なユニットを形成しており、このユニットが、建築物の階層の室内に配置されていて、機械的及び/又は液圧的及び/又は電気的に操作可能である、請求項7から12までのいずれか1項記載の装置。
- ロープ(13)が、螺線状に、ロープドラム(16)またはコアの周りに巻き付けられているか、または自由に巻き取られていて、有利には端部で堅固にブーム(15)に結合されている、請求項1から13までのいずれか1項記載の装置。
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