JP2005506321A - ヒドロキシステロイドの予防的および治療的使用 - Google Patents

ヒドロキシステロイドの予防的および治療的使用 Download PDF

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Abstract

3−ヒドロキシ−7−ヒドロキシステロイドおよび3−オキソ−7−ヒドロキシステロイド(特に、その7β異性体)ならびにその薬学的に許容可能なエステルは、心臓または腎臓などの周辺器官に対する虚血誘導性障害からの保護ならびに脊髄損傷の治療に有用である。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、3−ヒドロキシ−7−ヒドロキシステロイド化合物およびその一定のケトン誘導体の一定の新規の予防的および治療的使用、詳細には、心臓または腎臓などの周辺(peripheral)器官の虚血性ストレスに起因する障害の予防もしくは治療、ならびに脊髄損傷の治療のためのこれらの化合物の使用に関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
特定の神経保護モデルを使用して、本発明者らは、この型の化合物が神経保護活性を有することを証明した。本発明者らは、この度、この神経保護効果が得られるこの作用様式が、心臓および腎臓などの周辺器官の組織でも作用し、それによりこの化合物が、心臓保護効果および虚血性腎障害から保護する能力を有することを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0003】
それゆえ、本発明は、周辺器官の組織(すなわち、脳および脊髄を除く身体の任意の機能的組織)に対する虚血性障害、特に心臓または腎障害からの保護のため、および脊髄損傷誘導性障害の治療に関する薬物製造のための3−ヒドロキシ−7−ヒドロキシステロイドもしくは3−オキソ−7−ヒドロキシステロイドまたはその薬学的に許容可能なエステルの使用を提供する。
【0004】
本発明での使用に好ましい化合物の特定のクラス(class)は、7β−ヒドロキシステロイドであり、これらのうち、本発明にとって特に興味深い化合物は、3β、7β−ジヒドロキシステロイドおよびその薬学的に許容可能なエステルである。
【0005】
好ましいエステルは、カルボン酸エステルおよびアミノ酸エステルである。
【0006】
本発明で使用することができる任意に置換された3β,7β−ジヒドロキシステロイドならびにその薬学的に許容可能なエステルおよび他の誘導体の例は、式(I):
【0007】
【化1】
Figure 2005506321
【0008】
(式中、RおよびRは同一であるか互いに異なり、それぞれ、以下に定義するような、水素原子、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基、2〜6個の炭素原子を有するアルキニル基、6〜10個の炭素原子を有するアリール基、ホルミル基、2〜7個の炭素原子を有するアルキルカルボニル基、3〜7個の炭素原子を有するアルケニルカルボニル基、3〜7個の炭素原子を有するアルキニルカルボニル基、7〜11個の炭素原子を有するアリールカルボニル基、8〜15個の炭素原子を有するアラルキルカルボニル基、9〜15個の炭素原子を有するアラルケニルカルボニル基、アミノ酸残基、または複素環カルボニル基を示し、
およびRの一方は、好ましくはβ型配座の式−R基を示し、他方は、水素原子を示すか、またはRおよびRは共にオキソ基を示し、
は、以下に定義するような、1〜6個の炭素原子を有するアルカノイル基、アリール部分が6〜10個の環炭素原子を有する芳香族炭素環基であるアリールカルボニル基、複素環カルボニル基、または式−OR(式中、Rは、RおよびRについて上記で定義された基および原子の任意の1つを示す)を示し、
環A:
【0009】
【化2】
Figure 2005506321
【0010】
は、ベンゼン環またはシクロヘキサン環であり、
環Aがシクロヘキサン環である場合、環B中の破線は炭素−炭素単結合または炭素−炭素二重結合を示し、は1であり、または環Aがベンゼン環である場合、環B中の破線は炭素−炭素単結合を示し、は0であり、
上記複素環カルボニル基は、式R−COの基(式中、Rは3〜7個の環原子を含む複素環基を示し、そのうちの1〜3個が窒素原子、酸素原子、および硫黄原子から選択されるヘテロ原子であり、残りの原子の少なくとも1つが炭素原子である)であり、
上記アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基ならびにアルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、およびアルキニルカルボニル基のアルキル、アルケニル、およびアルキニル部分は置換されていないか、少なくとも1つの以下の置換基Ψを有し、
置換基Ψは、水酸基、メルカプト基、ハロゲン原子、アミノ基、1〜6個の炭素原子を有するアルキルアミノ基、各アルキル基が1〜6個の炭素原子を有するジアルキルアミノ基、カルバモイル基、ニトロ基、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基、1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、および6〜10個の炭素原子を有する非置換アリール基であり、
上記アリール基、複素環基、ならびに上記アリールカルボニル基および上記アラルキルカルボニル基のアリール部分は置換されていないか、少なくとも1つの以下の置換基ξ他を有し、
置換基ξは、任意の置換基Ψ、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、1〜6個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基、および1〜6個の炭素原子を有するハロアルキル基である)の化合物である。
【0011】
本発明の化合物の活性を、添付の図面によって例示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
上記の式(I)の化合物では、7位の基−ORは、αまたはβ型配座であってよいが、β型配座が好ましい。
【0013】
より好ましくは、式(I)の化合物において、
およびRは同一であるか互いに異なり、それぞれ、以下に定義するような、水素原子、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、任意に置換されたフェニル基、ホルミル基、2〜5個の炭素原子を有するアルキルカルボニル基、7〜11個の炭素原子を有するアリールカルボニル基、8〜15個の炭素原子を有するアラルキルカルボニル基、アミノ酸残基、または複素環カルボニル基を示し、RおよびRは共に水素原子であることが特に好ましく、
およびRの一方は、1〜6個の炭素原子を有するアルカノイル基または好ましくはβ型配座の式−ORの基(式中、Rは、RおよびRについて上記で定義された基および原子の任意の1つを示す)を示し、他方は、水素原子を示すか、またはRおよびRは共にオキソ基を示し、特に好ましくは、RおよびRは共にオキソ基を示すか、またはRおよびRの一方は、水素基を示し、他方は、水素原子または1〜4個の炭素原子を有する水酸基またはアルカノイル基、特に水酸基またはアセチル基を示し、
上記複素環カルボニル基は、式R−COの基(式中、Rは3〜7個の環原子を有する複素環基を示し、そのうちの1〜3個が窒素原子、酸素原子、および硫黄原子から選択されるヘテロ原子であり、残りの原子の少なくとも1つが炭素原子である)である。
【0014】
最も好ましい式(I)の化合物は、
およびRは共に水素原子を示し、かつ
およびRは、共にオキソ基を示すか、またはRおよびRの一方は水素原子を示し、他方は水酸基または1〜4個の炭素原子を有するアルカノイル基、特に水酸基またはアセチル基を示す化合物およびその薬学的に許容可能なエステルである。
【0015】
本発明で使用することができる3−オキソ−7β−ヒドロキシステロイドの例は、式(II):
【0016】
【化3】
Figure 2005506321
【0017】
(式中、R、R、およびRは上記で定義した通りであり、好ましくは、RおよびRは、共にオキソ基を示すか、RおよびRの一方は水素原子を示し、他方は好ましくはβ型配座での水酸基、またはアセチル基を示す)の化合物およびその薬学的に許容可能なエステルである。
【0018】
上記の式(II)の化合物では、7位の基−ORは、αまたはβ型配座であってよいが、β型配座が好ましい。
【0019】
より好ましくは、式(II)の化合物において、
は、以下に定義するような、水素原子、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、任意に置換されたフェニル基、ホルミル基、2〜5個の炭素原子を有するアルキルカルボニル基、7〜11個の炭素原子を有するアリールカルボニル基、8〜15個の炭素原子を有するアラルキルカルボニル基、または複素環カルボニル基を示し、特に、Rが水素原子を示すことを好ましく、
およびRの一方は、1〜6個の炭素原子を有するアルカノイル基または好ましくはβ型配座の式−ORの基(式中、Rは、Rについて上記で定義された基および原子の任意の1つを示す)を示し、他方は、水素原子を示すか、RおよびRは共にオキソ基を示し、RおよびRは共にオキソ基を示すか、またはRおよびRの一方は水素原子を示し、他方は、水酸基または1〜4個の炭素原子を有するアルカノイル基、特に水酸基またはアセチル基を示すことを好ましく、
上記複素環カルボニル基は、式R−COの基(式中、Rは3〜7個の環原子を含む複素環基を示し、そのうちの1〜3個が窒素原子、酸素原子、および硫黄原子から選択されるヘテロ原子であり、残りの原子の少なくとも1つが炭素原子であって、またその薬学的に許容可能なエステルである。
【0020】
最も好ましい式(II)の化合物は、
は水素原子を示し、
およびRは、共にオキソ基を示すか、あるいはRおよびRの一方は水素原子を示し、他方は、水酸基または1〜4個の炭素原子を有するアルカノイル基、特に水酸基またはアセチル基を示す
化合物およびその薬学的に許容可能なエステルである。
【0021】
本発明の化合物では、R、R、R、または置換基ξは、アルキル基であり、これは、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基であってよく、例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、2−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、t−ヘキシル基、および1,1−ジメチルペンチル基が含まれ、これらの基のうちで1〜4個の炭素原子を含むものが好ましく、メチル基およびエチル基が最も好ましい。
【0022】
、R、またはRがアルケニル基を示す場合、これは2〜6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルケニル基であってよく、例には、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、メタリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、イソブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、および1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、3−ヘキシニル基、4−ヘキシニル基、5−ヘキシニル基が含まれ、これらの基のうちで2〜4個の炭素原子を有するアルケニル基が好ましく、ビニル基およびアリル基が最も好ましい。
【0023】
、R、またはRがアルキニル基を示す場合、これは2〜6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキニル基であってよく、例には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、イソブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、3−ペンチニル基、4−ペンチニル基、および1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、3−ヘキシニル基、4−ヘキシニル基、5−ヘキシニル基が含まれ、これらの基のうちで2〜4個の炭素原子を有するアルキニル基が好ましい。
【0024】
、R、R、または置換基Ψがアリール基を示す場合、これは、6〜10個の炭素原子を有する芳香族炭素環基である。このような基の例には、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、およびインデニル基が含まれ、これらの基のうちでフェニル基が好ましい。置換基Ψの場合を除いて、これらの基は置換されていても置換されていなくてもよい。基が置換されている場合、置換基の数は置換可能な位置の数およびおそらくいくつかの場合は立体障害によってのみ制限される。したがって、フェニル基の場合、置換基の最大数は5であり、ナフチル基の場合、置換基の最大数は7であり、以下同様である。しかし、好ましい置換基数は1〜3であり、置換基は本明細書中で後述する通りである。
【0025】
、R、またはRがアルキルカルボニル基を示す場合、これは2〜7個の炭素原子を有する(すなわち、アルキル部分に1〜6個の炭素原子を含む)直鎖または分岐鎖の基であり得るアルカノイル基であり、例には、アセチル基、プロピニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、およびヘプタノイル基が含まれ、これらの基のうちで2〜5個の炭素原子を有する基が好ましく、アセチル基およびプロピニル基が最も好ましい。この基のアルキル部分は、置換されていても置換されていなくてもよく、置換されている場合、置換基は置換基Ψから選択される。このような置換された基の例には、アラニル基、β−アラニル基、フェニルアラニル基、アスパラギニル基、システイニル基、グリコロイル基、グリシル基、メチオニル基、オルニチル基、グリセロイル基、トロポイル基、グルタミニル基、グルタミル基、ホモシステイニル基、セリル基、ホモセリル基、トレオニル基、ラクトイル基、ロイシル基、イソロイシル基、ノルロイシル基、リシル基、バリル基、ノルバリル基、およびサルコシル基が含まれる。
【0026】
、R、またはRがアルケニルカルボニル基を示す場合、これは3〜7個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルケニルカルボニル基であってよく、例には、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、3−ブテノイル基、ペンテノイル基、およびヘキセノイル基が含まれ、これらの基のうちで3〜5個の炭素原子を有するアルケニルカルボニル基が好ましく、アクリロイル基およびメタクリロイル基が最も好ましい。
【0027】
、R、またはRがアルキニルカルボニル基を示す場合、これは3〜7個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキニルカルボニル基であってよく、例には、プロピオロイル基、3−ブチニルカルボニル基、ペンチニルカルボニル基、およびヘキシニルカルボニル基が含まれ、これらの基のうちで3〜5個の炭素原子を有するアルキニルカルボニル基が好ましい。
【0028】
、R、R、またはRがアリールカルボニル基を示す場合、このアリール部分は上記で定義および例示された任意のアリール基であってよい。好ましいアリールカルボニル基には、ベンゾイル、o−トルオリル基、m−トルオリル基、p−トルオリル基、o−アニソイル基、m−アニソイル基、p−アニソイル基、o−ヒドロキシベンゾイル基、m−ヒドロキシベンゾイル基、p−ヒドロキシベンゾイル基、ピクリル基、ガロイル基、プロトカテクオイル基、バニロイル基、ベラトロイル基、アントラニロイル基、1−ナフトイル基、および2−ナフトイル基が含まれる。
【0029】
、R、またはRがアラルキルカルボニル基またはアラルケニルカルボニル基を示す場合、アリール基および場合によってはアルキル基またはアルケニル基は、上記で定義および例示された任意の基であってよい。このような基の特定の例には、フェニルアセチル基、3−フェニルプロピオニル基、ベンジロイル基、チロシル基、アトロポイル基、ヒドラトロポイル基、およびシンナモイル基が含まれる。
【0030】
、R、R、またはRが複素環カルボニル基を示す場合、これは、式R−CO−の基(式中、Rは3〜7個の環原子を有する複素環基を示し、そのうちの1〜3個が窒素原子、酸素原子、および硫黄原子であり、残りが炭素原子である)である。少なくとも1つの環原子は、炭素原子であるべきである。3個のヘテロ原子が存在する場合、少なくとも1つが窒素原子であることが好ましい。このような基の例には、2−フロイル基および3−フロイル基、2−テノイル基および3−テノイル基、2−ピリジンカルボニル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、プロリル基、ピペリジンカルボニル基、ピペラジンカルボニル基、およびモルホリノカルボニル基が含まれる。
【0031】
および/またはRがアミノ酸残基を示す場合、これは、カルボキシル基(−COOH)基から水酸基が除去された任意のアミノ酸であってよい。このようなアミノ酸残基の例には、アラニル基、β−アラニル基、シスタチオニル基、シスチル基、グリシル基、ヒスチジル基、ホモセリル基、イソロイシル基、ランチオニル基、ロイシル基、リシル基、メチオニル基、ノルロイシル基、ノルバリル基、オルニチル基、プロリル基、サルコシル基、セリル基、トレオニル基、チロニル基、チロシル基、バリル基、システイニル基、ホモシステイニル基、トリプトフィル基、α−アスパルチル基、β−アスパルチル基、アスパルトイル基、アスパラギニル基、α−グルタミル基、γ−グルタミル基、およびグルタミニル基が含まれる。
【0032】
がアルカノイル基を示す場合、これは、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖の基であってよく、例には、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、およびヘプタノイル基が含まれ、これらの基のうちで2〜5個の炭素原子を有する基が好ましく、アセチル基およびプロピオニル基がより好ましく、アセチル基が最も好ましい。
【0033】
置換基Ψまたは置換基ξが1〜6個の炭素原子を有するアルキルアミノ基である場合、アルキル部分は、上記で定義および例示された任意のアルキル基であってよい。このようなアルキルアミノ基の好ましい例には、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、イソペンチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、t−ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、およびイソヘキシルアミノ基が含まれ、これらの基のうちで1〜4個の炭素原子を有する基が好ましく、メチルアミノ基およびエチルアミノ基が最も好ましい。
【0034】
置換基Ψおよび置換基ξがジアルキルアミノ基である場合、各アルキル部分は、1〜6個の炭素原子を有し、2つのアルキル基は同一であっても互いに異なっていてもよい。アルキル基は、上記で定義および例示された任意のアルキル基であってよい。このようなジアルキルアミノ基の好ましい例には、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、エチルブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジ−t−ブチルアミノ基、メチルペンチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ジイソペンチルアミノ基、およびジヘキシルアミノ基が含まれ、これらの基のうちで各アルキル基中に1〜4個の炭素原子を有する基が好ましく、ジメチルアミノ基およびジエチルアミノ基が最も好ましい。
【0035】
置換基Ψまたは置換基ξがアルコキシ基である場合、これは、1〜6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルコキシ基であってよく、例には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、t−ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、およびイソヘキシルオキシ基が含まれ、これらの基のうちで1〜4個の炭素原子を有する基が好ましく、メトキシ基およびエトキシ基が最も好ましい。
【0036】
置換基Ψおよび置換基ξが1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオ基である場合、アルキル部分は、上記で定義および例示された任意のアルキル基であってよい。このようなアルキルチオ基の好ましい例には、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、ネオペンチルチオ基、t−ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、およびイソヘキシルチオ基が含まれ、これらの基のうちで1〜4個の炭素原子を有する基が好ましく、メチルチオ基およびエチルチオ基が最も好ましい。
【0037】
置換基Ψおよび置換基ξがアルコキシカルボニル基である場合、これは、2〜7個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルコキシカルボニル基であってよく、例には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、t−ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、およびイソヘキシルオキシカルボニル基が含まれ、これらの基のうちで1〜4個の炭素原子を有する基が好ましく、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基が最も好ましい。
【0038】
置換基ξが1〜6個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基である場合、アルキル部分は、上記で定義および例示された任意のアルキル基であってよい。このようなヒドロキシアルキル基の好ましい例には、ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基および2−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、および3−ヒドロキシプロピル基、1,2−ジヒドロキシエチル基、1,2,3−トリヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、5−ヒドロキシペンチル基、および6−ヒドロキシヘキシル基が含まれる。
【0039】
置換基ξが1〜6個、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するハロアルキル基である場合、アルキル部分は、上記で定義および例示されたアルキル部分であってよく、ハロゲン原子は、好ましくは、塩素、フッ素、臭素、またはヨウ素である。このような基の例には、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、ジクロロメチル基、ジフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2−クロロエチル基、2−フルオロエチル基、2−ブロモエチル基、2−ヨードエチル基、2,2−ジブロモエチル基、2,2,2−トリブロモエチル基、3−フルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、4−ブロモブチル基、4−フルオロブチル基、5−フルオロペンチル基、および6−フルオロヘキシル基が含まれる。
【0040】
化合物が式−ORの基(式中、RはRなどに関して上記で定義された任意の基および原子である)を含む場合、活性種は遊離水酸基を含む化合物である可能性が高いことが認識される。したがって、in vivoで水酸基に変換することができる任意の基を、水酸基の代わりに使用することができる。
【0041】
本発明で使用することができる化合物の特定の例には、以下のものが含まれる。
【0042】
【化4】
Figure 2005506321
【0043】
【化5】
Figure 2005506321
【0044】
上記で列挙した化合物のうち、7β異性体が好ましい。
【0045】
本発明の化合物が水酸基を含む場合、当該技術分野でよく知られているように、化合物を対応する塩またはエステルに変換することができ、生成された塩またはエステルの性質は特に限定されない。これらの塩またはエステルを患者に投与する場合、これらは薬学的に許容可能でなければならない。しかし、化合物がいくつかの他の目的(例えば、別の合成の中間体として)を意図する場合、この制限でさえ必要ない。このタイプの化合物について当該技術分野でよく知られているものから塩およびエステルを選択することができる。好ましいエステルは、カルボン酸エステルおよびアミノ酸エステル(例えば、アラニン、β−アラニン、シスタチオニン、シスチン、グリシン、ヒスチジン、ホモセリン、イソロイシン、ランチオニン、ロイシン、リジン、メチオニン、ノルロイシン、ノルバリン、オルニチン、プロリン、サルコシン、セリン、トレオニン、チロニン、チロシン、バリン、システイン、ホモシステイン、トリプトファン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、およびグルタミンなど)である。
【0046】
本発明の化合物を、親(parent)ステロイドから開始するそれ自体が既知の種々のプロセスによって調製することができる。例えば、化合物を、7βおよび対応する7α化合物の混合物が得られる上記文献に記載の方法によって調製し、所望ならばその後既知の技術によって分離することができる。しかし、いくつかの環境では、7α異性体と7β異性体との混合物を分離せずに使用することが望ましいか都合がよい。
【0047】
例として、従来の方法を使用して3β−ヒドロキシ基および17−ケトン基の保護の後のアリル酸化によってDHEAから7α−ヒドロキシEPIAおよび7β−ヒドロキシEPIAを得ることができる。次いで、生成物を可溶性金属化合物触媒(水素化ナトリウムなど)で還元し、3β−ヒドロキシ基および17−ケトン基を脱保護する。次いで、7α−ヒドロキシおよび7β−ヒドロキシエピマーを、従来の手段(例えば、カラムクロマトグラフィ)によって分離し、7α−ヒドロキシEPIAおよび7β−ヒドロキシEPIAを晶析させて精製することができる。
【0048】
以下の反応スキームに別の合成方法を示す。
【0049】
【化6】
Figure 2005506321
【0050】
上記の式では、TBDMSOは、t−ブチルジメチルシリルオキシを示し、Acは、アセチルを示す。これらの省略形は、本明細書中以下で用いる場合、同じ意味を有する。
【0051】
上記の反応スキームの第1の工程では、式(III)の化合物(エストロン)を、従来の様式でt−ブチルジメチルシリルオキシ基によって保護して、式(IV)の保護化合物を得る。次いで、これを、酸触媒(p−トルエンスルホン酸など)の存在下でエチレングリコールと反応させて、17位のケト基を保護して、式(V)の化合物を得る。次いで、実施例3で後述するように、6位に水酸基を導入して式(VI)の化合物を得て、その後脱水して式(VII)の化合物を得ることができる。これをエポキシ化して式(VIII)の化合物を得て、7α水酸基を有する式(IX)の化合物に還元する。t−ブチルジメチルシリル保護基を除去して式(X)の化合物を得て、これを触媒量の酸と共に加熱して、本発明で使用することができる7α−ヒドロキシ−エストロン(XI)を得る。次いで、これを、例えば、クロム酸/硫酸を使用して酸化して7−ケト−エストロン(XII)を得て、これを無水酢酸と反応させて式(XIII)の化合物を得る。この化合物を、例えば、パラジウム触媒の存在下で水素を使用して水素化して式(XIV)の化合物を得て、最後にアセチル基を除去して7β−ヒドロキシ−エストロン(XV)(本発明の化合物)を得る。所望ならば、これを還元して、7β−ヒドロキシ−エストラジオール(XVI)(同様に本発明の化合物)を得ることができる。類似の様式で、7α−ヒドロキシ−エストロン(XI)から対応する7α化合物を調製することができる。
【0052】
本発明の他の7α−ヒドロキシ−化合物および7β−ヒドロキシ−化合物を、類似の方法で調製することができ、例えば、7β−ヒドロキシ−DHEAを、以下の反応スキームによって例示されるように調製することができる。
【0053】
【化7】
Figure 2005506321
【0054】
この反応スキームでは、DHEA(XVII)をアセチル化して式(XVIII)の対応するアセテートを得て、その後エチレングリコールと反応させて式(XIX)のケタールを得る。次いで、実施例16に記載のようにケタール(XIX)を酸化させて、対応する7−ケト化合物(XX)を得て、その後これを脱アセチル化して式(XXI)の化合物を得る。これを還元して式(XXII)の7−ヒドロキシ−17−ケタール−EPIAを得て、次いで、酸で処理してケタール基を除去して7−ヒドロキシ−EPIAを得て、最後にこれをクロマトグラフィによって7β異性体と7α異性体とに分離して、7α−ヒドロキシ−EPIA(XXIV)および7β−ヒドロキシ−EPIA(XXV)を得る。
【0055】
上記反応スキームの各工程は、それぞれよく知られていおり、既知の溶媒および触媒(適切な場合)ならびに既知の反応条件(例えば、時間および温度条件)を使用して行うことができる。
【0056】
上記で定義された化合物は、神経保護効果を有する。本発明によれば、本発明者らは、これらの化合物が心臓保護効果も有するので、虚血性障害(例えば、心筋梗塞)に起因する心疾患の予防または治療に使用することができることを見出した。これらの化合物は虚血性腎障害(例えば、糸球体腎炎または急性腎障害)から保護する能力も有する。一般に、示した活性に基づいて、これらの化合物は他の周辺器官の組織に対して類似の保護効果を有することが予想される。
【0057】
実際、本発明の化合物を使用して、脊髄損傷を治療することもできる。
【0058】
虚血事象(特に、心筋梗塞または虚血性腎障害)の危険性を有すると疑われる患者に本発明の化合物を適用することができる。このような予防的適用は、非常に有用であり得る。しかし、本発明の化合物は虚血事象後に適用した場合でさえも有用な活性を有することも証明されたが、心筋または腎臓組織の障害をできるだけ回避するために化合物をできる限り早期に投与することが好ましいと認識される。いくつかの状況では、特に患者が依然として虚血事象の危険性がある場合に、反復して薬を投与することが望ましい。
【0059】
化合物は、脊髄損傷を予想して予防的に投与してもよく、または化合物を使用してこのような損傷が起こった後に治療することができる。
【0060】
できるだけ所望の結果を達成するための適切な投与方法は、一般に、注射である。したがって、静脈内注射が特に好ましい。
【0061】
本発明の化合物の用量は、患者の年齢、体重、および全体的な健康状態ならびに投与の様式、頻度、および経路を含む多数の要因に依存して変化する。しかし、0.01〜50mg/kg体重の用量が一般に推奨され、0.05〜20mg/kg体重の容量がより好ましい。これを、単回用量または分割用量で投与することができる。
【実施例】
【0062】
本発明を、以下の制限されない実施例によってさらに例示し、実施例1〜20は本発明の化合物の調製を例示し、実施例21〜23はその活性を例示する。実施例1〜20では、ローマ数字は上記の反応スキーム中の式を指す。
(実施例1)
【0063】
3−t−ブチルジメチルシリル−エストロン(IV)
4.25gのt−ブチルメチルシリルクロリド(28.2mmol、3等量)を、100ml三口フラスコ中の2.54gのエストロン(III)(9.41mmol、1当量)および3.84gのイミダゾール(56.5mmol、6当量)を含む50mlのジメチルホルムアミド(DMF)溶液に添加した。次いで、混合物を、窒素雰囲気下で室温にて一晩静置した。10%W/V炭酸カリウム水溶液を反応媒体に添加し、その後酢酸エチルで抽出した。有機相を水で洗浄し、その後無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾燥させた。3.76gの3−t−ブチルジメチルシリル−エストロン(IV)(9.41mmol、100%)を得た。
(実施例2)
【0064】
17−ケタール−3−t−ブチルジメチルシリル−エストロン(V)
3gの3−t−ブチルジメチルシリル−エストロン(IV)(7.50mmol)、3mlのエチレングリコール、および触媒量のp−トルエンスルホン酸を含む60mlのトルエン溶液を、Dean−Stark装置を使用して24時間水蒸気蒸留しながら加熱還流した。次いで、反応媒体を50mlの10%W/V炭酸カリウム水溶液に注いだ。有機相を別の容器に移した。水相を酢酸エチルで抽出した。有機相を合わせ、蒸発乾燥させた。3.16gの17−ケタール−3−t−ブチルジメチルシリル−エストロン(V)(7.12mmol、95%)が得られた。
(実施例3)
【0065】
6α−ヒドロキシ−17−ケタール−3−t−ブチルジメチルシリル−エストロン(VI)
1リットルの三口フラスコ中で、100mlの無水テトラヒドロフラン(THF)溶液を窒素フラッシング(flushing)によって脱気し、−80℃に冷却した。ジイソプロピルアミン(20ml、143.30mmol)を、反応媒体に添加した。15%W/Vブチルリチウムのシクロヘキサン(89.9ml、143.30mmol)溶液を、反応媒体に滴下した。10分後、17.5gのt−酪酸カリウムを含む予め脱気した100mlの無水THFを、反応媒体に滴下した。さらに15分後、12.27gの17−ケタール−3−t−ブチルジメチルシリル−エストロン(V)(27.63mmol)を含む予め脱気した50mlの無水THFを、反応媒体に滴下した。反応混合物を、−80℃で2時間静置した。その後、−80℃で48mlのホウ酸トリメチル(429.90mmol)を反応媒体に滴下し、0℃で1時間静置した。次いで、100mlの30%V/V過酸化水素水溶液を添加した。反応混合物を室温で1時間静置し、その後500mlの水を添加した。反応媒体を、酢酸エチルで抽出した。有機相を10%W/Vチオ硫酸ナトリウム水溶液で洗浄し、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾燥させた。残渣を、フラッシュクロマトグラフィ(SiO/酢酸エチル:シクロヘキサン1/9、その後2/8)によって精製した。6.35gの6α−ヒドロキシ−17−ケタール−3−t−ブチルジメチルシリル−エストロン(VI)(13.81mmol、50%)が得られた。
(実施例4)
【0066】
17−ケタール−3−t−ブチルジメチルシリル−6−デヒドロエストロン(VII)
1.54gの6α−ヒドロキシ−17−ケタール−3−t−ブチルジメチルシリル−エストロン(VI)(3.35mmol)、4mlのエチレングリコール、および触媒量のp−トルエンスルホン酸を含む40mlのトルエン溶液を、Dean−Stark装置を使用して24時間水蒸気蒸留しながら加熱還流した。次いで、反応媒体を50mlの10%W/V炭酸カリウム水溶液に注いだ。有機相を別の容器に移した。水相を酢酸エチルで抽出した。有機相を合わせ、蒸発乾燥させた。1.48gの17−ケタール−3−t−ブチルジメチルシリル−6−デヒドロエストロン(VII)(3.35mmol、100%)が得られた。
(実施例5)
【0067】
17−ケタール−3−t−ブチルジメチルシリル−6α,7α−エポキシエストロン(VIII)
1.16gのm−クロロ安息香酸(55%、3.69mmol、1.1当量)を含む20mlのジクロロメタン溶液を、0℃で、1.85gの17−ケタール−3−t−ブチルジメチルシリル−6−デヒドロエストロン(VII)(3.36mmol、1当量)を含む20mlのジクロロメタン溶液に滴下した。2時間後、反応媒体を、10%W/V炭酸水素ナトリウム水溶液に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、その後蒸発乾燥させた。残渣を、フラッシュクロマトグラフィ(SiO/酢酸エチル:シクロヘキサン1/9)によって精製した。769mgの17−ケタール−3−t−ブチルジメチルシリル−6α,7α−エポキシエストロン(VIII)(1.68mmol、50%)を得た。
(実施例6)
【0068】
7α−ヒドロキシ−17−ケタール−3−t−ブチルジメチルシリル−エストロン(IX)
200mgの水素化リチウムアルミニウム(5.40mmol、2当量)を、1.13gの17−ケタール−3−t−ブチルジメチルシリル−6α,7α−エポキシエストロン(VIII)(2.60mmol、1当量)を含む50mlの無水THFに添加した。反応媒体を、2時間加熱還流し、その後冷却し、氷中に注ぎ、Celite(商標)濾過助剤によって濾過し、酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、次いで蒸発乾燥させた。残渣を、フラッシュクロマトグラフィ(SiO/酢酸エチル:シクロヘキサン1/9)によって精製した。837mgの7α−ヒドロキシ−17−ケタール−3−t−ブチルジメチルシリル−エストロン(IX)(1.82mmol、70%)を得た。
(実施例7)
【0069】
7α−ヒドロキシ−17−ケタール−エストロン(X)
1.5gのテトラブチルアンモニウムクロリド(4.78mmol、1.10当量)を含む20mlのTHF溶液を、室温で、2gの7α−ヒドロキシ−17−ケタール−3−t−ブチルジメチルシリル−エストロン(IX)(4.35mmol、1当量)を含む50mlのTHF溶液に添加した。反応媒体を、70mlの10%W/V炭酸ナトリウム水溶液に注いだ。反応媒体を、酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、その後蒸発乾燥させた。1.39gの7α−ヒドロキシ−17−ケタール−エストロン(X)(4.22mmol、97%)を得た。
(実施例8)
【0070】
7α−ヒドロキシ−エストロン(XI)
1mlの水、1.0gの7α−ヒドロキシ−17−ケタール−エストロン(X)(3.03mmol)、および触媒量のp−トルエンスルホン酸を含む50mlのアセトン溶液を、2時間加熱還流した。次いで、反応媒体を、70mlの10%重量/容量炭酸ナトリウム水溶液に注いだ。反応媒体を、酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、その後蒸発乾燥させた。酢酸エチルから再結晶させた814mgの7α−ヒドロキシ−エストロン(XI)(2.85mmol、94%)を得た。
(実施例9)
【0071】
7−ケトエストロン(XII)
8Nクロム酸の硫酸溶液を、300mgの7α−ヒドロキシ−エストロン(XI)(1.05mmol)を含む0℃に冷却した40mlのアセトン溶液に黄色になるまで滴下し続けた。反応媒体を、50mlの水に注ぎ、その後酢酸エチルで抽出した。有機相を炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、その後無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾燥させた。残渣を、フラッシュクロマトグラフィ(SiO/酢酸エチル:シクロヘキサン3/7)によって精製した。200mgの7−ケトエストロン(XII)(0.70mmol、67%)を得た。
(実施例10)
【0072】
7−ヒドロキシ−6−デヒドロエストロン3,7−ジアセテート(XIII)
5gの無水酢酸ナトリウムおよび1gの7−ケト−エストロン(XII)(3.52mmol)を含む10mlの無水酢酸溶液を、1時間加熱還流した。次いで、反応媒体を冷却し、その後水を注ぎ、ジエチルエーテルで抽出した。有機相を炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、その後無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾燥させた。残渣を、フラッシュクロマトグラフィ(SiO/酢酸エチル:シクロヘキサン 1/9)によって精製した。1.25gの7−ヒドロキシ−6−デヒドロエストロン−3,7−ジアセテート(XIII)(3.41mmol、97%)を得た。
(実施例11)
【0073】
7−ヒドロキシエストロン3,7−ジアセテート(XIV)
1.0gの7−ヒドロキシ−6−デヒドロエストロン−3,7−ジアセテート(XIII)(2.72mmol)を含む80mlの氷酢酸溶液を、1barの水素圧下で200mgの10%パラジウム−炭素触媒で水素化した。2時間後に反応媒体を濾過し、蒸発乾燥させた。残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO/酢酸エチル:シクロヘキサン1/9)によって精製した。855mgの7−ヒドロキシエストロン3,7−ジアセテート(XIV)(2.31mmol、85%)を得た。
(実施例12)
【0074】
7β−ヒドロキシエストロン(XV)
1%の水酸化カリウムおよび1gの7−ヒドロキシエストロン−3,7−ジアセテート(XIV)(2.70mmol)を含む50mlのメタノール溶液を、2時間加熱還流した。反応媒体を冷却し、中和し、その後酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、続いて蒸発乾燥させた。メタノールから再結晶させた695mgの7β−ヒドロキシエストロン(XV)(2.43mmol、90%)を得た。
(実施例13)
【0075】
7β−ヒドロキシエストラジオール(XVI)
264mgの水素化ホウ素ナトリウム(7.00mmol、2当量)を、1.0gの7β−ヒドロキシエストロン(XV)(3.50mmol)を含む50mlのメタノール溶液に添加した。反応媒体を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、その後蒸発乾燥させた。メタノールから再結晶させた917mgの7β−ヒドロキシエストラジオール(XVI)(3.18mmol、91%)を得た。
(実施例14)
【0076】
DHEA−3−アセテート(XVIII)
50mlのピリジンおよび10gのDHEA(XVII)(34.72mmol)を含む50mlの無水酢酸の溶液を、4時間加熱還流した。反応媒体を冷却し、水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾燥させた。エタノールから再結晶させた11.0gのDHEA−3−アセテート(XVIII)(33.33mmol、96%)を得た。
(実施例15)
【0077】
17−ケタール−DHEA−3−アセテート(XIX)
5gのDHEA−3−アセテート(XVIII)(15.15mmol)、5mlのエチレングリコール、および触媒量のp−トルエンスルホン酸を含む100mlのトルエン溶液を、Dean−Stark装置を使用して24時間水蒸気蒸留しながら加熱還流した。反応媒体を、100mlの10%W/V炭酸カリウム水溶液に注いだ。有機相を別の容器に移した。水相を酢酸エチルで抽出した。有機相を合わせ、蒸発乾燥させた。エタノールから再結晶させた5.10gの17−ケタール−3−DHEA−アセテート(XIX)(13.64mmol、90%)を得た。
(実施例16)
【0078】
7−ケト−17−ケタール−DHEA−3−アセテート(XX)
5gの17−ケタール−DHEA−3−アセテート(XIX)(13.37mmol)および触媒量のベンガルローズ(Bengal Rose)を含む70mlのピリジン溶液を、酸素を注入しながら中圧水銀ランプを使用して照射した。24時間後、反応液に触媒量の酢酸銅を添加した。24時間後、反応液を蒸発乾燥させた。残渣を、フラッシュクロマトグラフィ(SiO/酢酸エチル:シクロヘキサン3/7)によって精製した。3.11gの7−ケト−17−ケタール−DHEA−3−アセテート(XX)(8.02mmol、60%)を得た。
(実施例17)
【0079】
7−ケト−17−ケタールDHEA(XXI)
1%水酸化カリウムおよび1gの7−ケト−17−ケタール−DHEA−3−アセテート(XX)(2.58mmol)を含む50mlのメタノール溶液を、2時間加熱還流した。次いで、反応媒体を冷却し、中和し、次いで、酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、その後蒸発乾燥させた。メタノールから再結晶させた802mgの7−ケト−17−ケタールDHEA(XXI)(2.32mmol、90%)を得た。
(実施例18)
【0080】
7−ヒドロキシ−17−ケタール−EPIA(XXII)
10gの7−ケト−17−ケタールDHEA(XXI)(28.90mmol)を、2.65gのナトリウムを含む−33℃の液体アンモニア溶液に添加した。4時間後、青色が消えるまで塩化アンモニウムを添加した。次いで、2.65gのナトリウムを添加した。4時間後、青色が消えるまで塩化アンモニウムを再度添加した。水を添加し、アンモニアを蒸発させた。反応媒体を、酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、その後蒸発乾燥させた。6.07gの7−ヒドロキシ−17−ケタール−EPIA(XXII)(17.34mmol、60%)を得た。
(実施例19)
【0081】
7−ヒドロキシ−EPIA(XXIII)
5mlの水、10gの7−ヒドロキシ−17−ケタール−EPIA(XXII)(28.57mmol、50%)、および触媒量のパラトルエンスルホン酸を含む100mlのアセトン溶液を、4時間加熱還流した。反応媒体を冷却し、100mlの10%重量/容量炭酸ナトリウム水溶液に注ぎ、次いで、酢酸エチルで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、その後蒸発乾燥させた。残渣を、フラッシュクロマトグラフィ(SiO/酢酸エチル)によって精製した。5.24gの7−ヒドロキシーEPIA(XXIII)(17.14mmol、60%)を得た。
(実施例20)
【0082】
7α−ヒドロキシ−EPIA(XXIV)および7β−ヒドロキシ−EPIA(XXV)
65/35の比率で7αおよび7βのエピマーを含む7−ヒドロキシーEPIA(XXIII)(5g)を、フラッシュクロマトグラフィ(Al/CHCl)によって精製した。7β−ヒドロキシ−EPIA(XXV)(2.5g)が最初に得られ、その後7α−ヒドロキシ−EPIA(XXIV)(1.34g)が得られた。7β−ヒドロキシ−EPIA(XXV)および7α−ヒドロキシ−EPIA(XXIV)を、酢酸エチルから再結晶した。
(実施例21)
【0083】
低酸素性神経障害( Hypoxic Neuronal Damage )の研究プロトコール
海馬器官スライス培養物を、以下のように変更したPringle et al.(1996, 1997)の基本的方法を使用して調製した。
【0084】
幼Wistarラット(8〜11日齢)を断頭し、海馬を迅速に4.5mg/mlのグルコースを補足した氷冷ゲイ平衡塩類溶液に切り出した。スライスを分離し、MillicellCM培養インサート(ウェルあたり4つ)にプレーティングし、37℃/5%COで14日間維持した。維持培地は、25%熱不活化ウマ血清、25%ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)、および1mMグルタミンおよび4.5mg/mlグルコースを補足したEarle塩を付加した50%最少基本培地(MEM)からなる。3〜4日毎に培地を交換した。
【0085】
以前に記載のように(Pringle et al., 1996; 1997)低酸素症実験を行った。簡単に述べれば、培養物を、5μg/mlの蛍光排除色素(fluorescent exclusion dye)であるヨウ化プロピジウム(PI)を含む無血清培地(1mMグルタミンおよび4.5mg/mlグルコースを補足したSFM−75%MEM、25%HBSS)に移した。画像化の60分前に、培養物をSFMにて平衡化した。ローダミンフィルターセットを具備したLeica倒立顕微鏡を使用して、PI蛍光を検出した。この段階でPI蛍光が検出された任意の培養物を、さらなる研究から排除した。培養物を95%N/5%COで飽和させたSFM(+PI)に移すことによって、低酸素症を誘導した。次いで、10リットル/分で10分間ガスを連続的に吹き込み、その後密封してインキュベーターに170分間置くことによって(したがって、全低酸素時間は180分間であった)、培養プレート(蓋なし)を、95%N/5%COで飽和させた気密チャンバーに密封した。低酸素期間後、培養物をPIを含む酸素正常SFMに戻し、インキュベーターに24時間戻した。
【0086】
神経障害を、以前に記載のように(Pringle et al., 1996; 1997)、Apple IIsiコンピュータで動作するNIH Image1.60またはMacintoshG4/400で動作するOpenLab2.1(Improvision)のいずれかを使用して評価した。モノクロカメラを使用して画像を取り込み、オフライン解析用の光学ディスクに保存した。薬物添加前に光透過画像を取り込み、24時間の低酸素後回復期間の終わりにPI蛍光画像を記録した。透過画像からCA1細胞層領域を同定した。CA1中のPI蛍光領域を、NIH ImageまたはOpenLab内の密度スライス機能を使用して測定し、神経障害を、バックグラウンドを超えるPI蛍光が検出されたCA1の割合として示した。
【0087】
1mg/mlのエタノール溶液を作製し、さらにSFMでさらに希釈することによって、ステロイド化合物を調製した。低酸素症前、低酸素エピソード中、および低酸素後回復期間中に45分間、培養物に化合物を添加した。コントロール実験は、賦形剤のみで処置した培養物からなった。
【0088】
結果
実験1
7αOH−EPIAおよび7βOH−EPIAが100nMの高濃度で神経保護性を示すかどうかを決定するために、最初の実験を行った。低酸素症により、CA1の25.5±6.4%が損傷した。低酸素症前、低酸素症中、および低酸素症後に存在する場合、7αOH−EPIAおよび7βOH−EPIAの両方によってこの障害は有意に減少した(表Iを参照)。
【0089】
【表1】
Figure 2005506321
【0090】
実験2
7OH−EPIAのα異性体およびβ異性体が神経保護性を示したので、本発明者らは、この効果の濃度依存性を評価した。コントロール低酸素症により、CA1の31.9±4.7%の神経障害が生じた。以下の表IIに示すように、7βOH−EPIAは、10nMおよび100nMで有意な神経保護性を示したが、濃度が1nMに減少すると失活した。
【0091】
【表2】
Figure 2005506321
【0092】
実験3
7βOH−EPIAの神経保護活性が認められたので、本発明者らは、次に、7βOH−DHEAが神経保護性を示すかどうかを調査した。低酸素症前、低酸素症中、および低酸素症後に、培養物を、100nM 7βOH−DHEAまたは賦形剤のいずれかとインキュベートした。低酸素症により、CA1の29.0±6.2%に障害が生じた。以下の表IIIに示すように、7βOH−DHEAで処置した培養物は、大規模で非常に有意な神経障害の減少が認められた。
【0093】
【表3】
Figure 2005506321
(実施例22)
【0094】
ラットの全脳虚血(4血管の閉塞)
雄Wistarラット(250〜280g)において、4血管閉塞(4VO)によって脳虚血を誘導した。ペントバルビタール麻酔(60mg/kg腹腔内)下での電気焼灼によって、両椎骨動脈を閉塞した。動物に再び24時間自由に水を与えたが、飼料は与えなかった。翌日、頚動脈を、2%ハロタンを含む30%酸素/70%亜酸化窒素麻酔に曝露し、微小血管クランプを使用して10分間閉塞した。その後、両クランプを除去し、両動脈を即時(immediate)再灌流について調査した。手術中および3時間後、直腸体温計に接続したサーモスタット制御の加熱ブランケットの使用によって動物の正常体温(37.5±0.5℃)を維持した。コントロールについて、偽手術動物では、両椎骨動脈を、ペントバルビタール麻酔下で焼灼し、翌日に共通の両総頚動脈を2%ハロタンを含む30%酸素/70%亜酸化窒素麻酔に曝露したが、クランプしなかった。創傷をリドカインゲルで処置し、縫合した。動物を、意識が回復するまで加熱ランプ下で30℃の環境温度に維持した。
【0095】
以下の7つの動物群を調査した。
1.(n=8)ステロイド化合物7β−OH EPIA(尾静脈を介した0.1mg/kg静脈内で3回注射:虚血誘導15分前、虚血時、および再灌流から5分後);
2.(n=8)ステロイド化合物7β−OH EPIA(1.に記載のように0.3mg/kg静脈内で3回注射);
3.(n=8)ステロイド化合物7β−OH EPIA(1.に記載のように1mg/kg静脈内で3回注射);
4.(n=8)基準物質としてNBQX(2ナトリウム塩、水溶性がより高くなる)および正のコントロール(TOCRIS、Germany、1.に記載のように30mg/kg腹腔内で3回注射);
5.(n=8)賦形剤の投与(1.に記載のように100μlエタノールを含む0.9%NaClで3回注射);
6.(n=8)虚血のみ;
7.(n=8)偽手術コントロール。
【0096】
NBQXは2,3−ジヒドロキシ−6−ニトロ−7−スルファモイル−ベンゾ(F)キノキサリンであり、神経保護活性を有することが既知であった(Gill, R., Nordholm, l., Lodge D.「ラット病巣虚血モデルにおける2,3−ジヒドロキシ−6−ニトロ−7−スルファモイル−ベンゾ(F)キノキサリン(NBQX)の神経保護活性」Brain Res, 580, 35-43, 1992)。
【0097】
7β−OH EPIAは、7β−ヒドロキシエピアンドロステロン(本発明の化合物)であった。
【0098】
この物質を、100μlのエタノールに溶解し、最終的に0.9%NaClで希釈した。
【0099】
虚血後の生存日数が7日で、全動物を、4%パラホルムアルデヒドで心臓から灌流して固定した。次いで、慎重に脳を取り出し、同一の固定液で2時間固定した。30%スクロース中での凍結防止後、脳をイソペンタン中で急速凍結し、−80℃で保存した。海馬形成を含む20μmの低温保持切片を、トルイジンブルーまたはNeuroTrace蛍光でNissl染色した。
【0100】
データ分析:
虚血後の海馬CA1領域中の神経障害の重症度を、Nissl染色を使用した生存ニューロン数によって評価した。各群のCA1領域中の400μm長あたりの形態学的にインタクト(intact)なニューロンの平均数を計算した。20倍の対物レンズを具備した光学顕微鏡を使用して、動物あたり3〜5個の連続切片および切片あたり6×400μmのCA1領域中の細胞を計数した。ペアドスチューデントt(paired Student's t) 検定によって、データを統計分析した。データを、平均±SEMで示した。
【0101】
結果と考察
形態学的にインタクトな海馬CA1ニューロンを、以下の基準を使用してNissl染色(トルイジンブルーおよびNeuroTrace)によって特徴付けた:明確な形状の神経細胞形質、陽性標識された核小体を有する巨大な核、陽性Nissl染色された核周辺の小さな細胞質領域(リボゾームを有するインタクトな粗面小胞体を示し、それによりインタクトなタンパク質合成機構を示す)。
【0102】
10分の全脳虚血(軽度の虚血)および7日の生存期間により、海馬CA1領域中の錐体細胞が選択的に神経保護される(図1A〜図1C)。偽手術動物のCA1中の錐体細胞の平均数は、121.5±4.3(100%として設定)であった。したがって、全脳虚血の10分後に、60%のCA1ニューロンが死滅した(図1B)。虚血および実験に記載のように適用した賦形剤(NaCl+100μlエタノール)の静脈内注射の動物群におけるニューロン数は、虚血群のみの数に匹敵した(図1A、図1B)。NBQX(実験に記載の30mg/kgで3回の静脈内注射)は、虚血群と比較してCA1錐体細胞において有意な(p=0.03)神経保護を示した。虚血のみと比較して、NBQXにより47.5%が神経保護され、偽手術動物と比較して保護効果は68.5%であった。NBQXに起因する神経保護は、Gill et al., 1992およびGill, 1994と一致し、本発明者らが実験で使用した全脳虚血モデルの有効性が証明された。7β−OH EPIAにより、10分間の全脳虚血および7日間の生存期間後に海馬CA1錐体細胞の濃度依存性神経保護が認められる(図1A)。t検定分析により、0.1mg/kg(p=0.01)および0.3mg/kg(p=0.0008)の濃度で7β−OH EPIAの非常に有意な神経保護効果が明らかとなった。偽手術群と比較して、7β−OH EPIAは、CA1錐体細胞に対して74.8%(0.1mg/kg)および83.9%(0.3mg/kg)の神経保護効果を示した(図1C)。1.0mg/kgの濃度の7β−OH EPIAは、神経保護効果を示す傾向を唯一示したが、効果は有意ではなかった。
【0103】
虚血前、虚血時、および虚血後に7β−OH EPIAを静脈内注射した全実験では、動物のいかなる挙動異常も認められなかった。
【0104】
図の説明:
ラットの全脳虚血から7日後および異なる化合物の影響下でのラットの形態学的にインタクトな海馬CA1錐体細胞数。
【0105】
図1A:CA1領域の400μm長あたりのインタクトなニューロンの平均数±SEMとしてデータを示した。
【0106】
図1B:100%と設定した偽手術動物と比較したCA1領域の400μm長あたりのインタクトなニューロンの割合としてデータを示した。
【0107】
図1C:虚血群中の生存ニューロン数を0に設定し、偽手術群の生存ニューロン数を100%に設定した場合の神経保護の絶対%としてデータを示した。
【0108】
上記のデータは神経保護を証明するにもかかわらず、最近、Cyp7b1(3−ヒドロキシステロイドを7−水酸化してエストラジオール(DHEAおよびEPIA)をその神経保護誘導体に変換する酵素)が心臓組織および腎臓組織を含む虚血損傷を受けやすい他の組織に存在することが示された。したがって、上記データから、本発明の化合物が虚血損傷から心臓および腎臓組織を保護することを推定することができる。
(実施例23)
【0109】
心臓保護効果
Langendorf灌流雄ラットの心臓における7β−OH EPIAの潜在的な抗虚血効果および心臓保護効果を試験するように、研究を計画した。このモデルにおける保護の評価のための終点は、梗塞サイズである(致命的損傷、細胞死からの保護)。使用した梗塞サイズモデルは、標準化した虚血傷害およびその後の再灌流に基づく。本研究では、梗塞前に30分間、30分間の局所虚血(梗塞)、および120分間の再灌流の間ex vivoで(単離した心臓の灌流溶液に)治療薬を加えた。予備的研究の結果に基づいて、100nMの濃度を使用し、賦形剤処置心臓と比較した。薬物をDMSO(賦形剤)に溶解し、灌流溶液中の最終DMSO濃度は1:10−6であった。研究結果は、濃度100nMの化合物により、虚血危険領域の梗塞サイズが46.3+/−2.49%から14.4+/−1.22%に有意に減少することを示した(p<0.001)。薬物添加と組み合わせた心臓機能も試験し、7β−OH EPIA添加のみでは検出可能な心臓機能の変化は得られなかった。7β−OH EPIAで処置した心臓は、局所虚血時の全左心室収縮期圧パラメーターのわずかな減少が認められ(25分間の局所虚血でp<0.05)、再灌流後に消滅した。
【0110】
本研究により、単離した灌流雄ラット心臓における100nMの濃度の化合物の心臓保護(抗虚血特性)が確認される。
【0111】
動物の処置
動物を、トロムセ大学の動物局(animal department)に収容し、実験およびその他の目的使用の脊椎動物保護に関する欧州条約によって策定されたガイドラインにしたがって処置した。Wistarラットは、Harland(オランダ)から供給され、実験開始前の1週間ラットを動物局に滞在させた。動物の体重を240〜380gに制限し、雄の心臓のみを使用した。これは、60〜120日齢に相当する。実験日に、ラットを動物局から実験室のフィルターキャビネットに移した。次いで、ラットを、ペントバルビタールの腹腔内注射(50〜75mg/kg)によって麻酔し、200IUのヘパリンも腹腔内に添加した。
【0112】
灌流
心臓を、灌流溶液としてKrebs Henseleits重炭酸緩衝液を使用して準備した灌流に迅速に(1〜2分以内)移した。灌流物および心臓を、37℃に維持した。
【0113】
Krebs Henseleits重炭酸緩衝液は、以下からなる。
NaCl 118.5mM/リットル
NaHCO 25.0mM/リットル
KCl 4.7mM/リットル
KHPO 1.2mM/リットル
MgSO 1.2mM/リットル
CaCl 2.4mM/リットル
グルコース 11.1mM/リットル
【0114】
緩衝液を、O中に約5%のCOを含む気体混合物で平衡化した。
【0115】
灌流圧は、100mmHOであった。ラテックスバルーンを、ポリビニルチュービングの先端に配置し、圧力変換器に接続し、左心室圧の測定のために左心室の空洞に挿入した。実験中にバルーンサイズは変化させないので、実験準備は、定積左心室調製であった。心臓の右側由来の静脈流出物(effluate)の定期回収物(肺動脈幹および右心房を介した冠状静脈洞)を、冠血流測定に使用した。圧力記録から心拍数を計算した。
【0116】
心臓機能についてコンピュータベースのデータの収集および分析を使用した(Lab Viewベースのソフトウェア)。
【0117】
実験プロトコール
安定化期間は20〜25分であり、この期間で安定なパフォーマンスに達しない心臓を廃棄した。安定化期間後のLVDP(左心室発生圧)が80mmHgと175mmHgとの間、拡張期血圧が0〜10mmHgの間、冠血流が9〜18ml/分の心臓を使用した。
【0118】
7β−OH EPIAを含む100mlのDMSOストック溶液を作製し、エッペンドルフチューブ中に等分して20℃で保存した。この溶液を、実験直前に活性な薬物が100nMとなるように灌流液でさらに希釈した。梗塞30分前に7β−OH EPIA(n=8)または賦形剤(n=8)での前処理を行い、実験終了まで維持した。
【0119】
左冠状動脈の主枝(main branch)周囲の絹縫合によって、局所虚血(梗塞)を達成した。ポリビニルチューブの小片の使用によって、可逆的結紮を行った。標準化局所虚血は30分間継続され、その後心臓を2時間再灌流した。
【0120】
梗塞サイズおよび危険領域サイズ
実験の終局に、以下の手順を行った。
1)左冠状動脈を再結紮した。
2)青色色素の懸濁液を、灌流ラインに添加した。色素を使用しない領域として虚血領域を同定した。
3)心臓を迅速に取り出し、秤量および凍結させた。
4)1日後、心臓を、厚さ2mmのスライスに切断し、テトラゾリウムで染色した。心臓スライスを、1%TTC(トリフェニル−テトラゾリウム−クロリド)を含む0.2Mリン酸緩衝液(pH7.4)中、37℃で20分間インキュベートした。梗塞組織は、いかなる呈色反応も示さないが、生きた組織は組織中のデヒドロゲナーゼおよび補因子の存在により紫色を呈する。
5)染色後、心臓を固定のためのホルマリン(4%)に入れた。
6)TTC染色は時間とともに消滅し、全心臓スライスをコンピューターでスキャンし、書類作成のためにデジタル画像として保存した。
7)コンピュータベースの面積測定を使用して心室、虚血危険領域、および梗塞の体積を計算した。結果を、虚血危険領域%における梗塞として示す。
【0121】
結果
結果を、以下の表1に示す。
【0122】
【表4】
Figure 2005506321
【0123】
結果を、添付の図面の図2〜6にも例示する。
【0124】
梗塞:
2群間で有意差が認められ(p<0.001)、薬物処置群において梗塞が著しく減少した。コントロール賦形剤処置心臓における梗塞のサイズは、30分間の局所虚血に供された未処置心臓において通常得られる標準コントロール梗塞に匹敵した。
【0125】
心臓機能:
実験期間を通して心臓機能を試験した。この実験モデルにおいて冠状動脈閉塞とともに冠血流の著しい減少が認められ、意図する冠状動脈閉塞が起こったことが確認される。冠血流は、7β−OH EPIAの添加の影響を受けなかった。2群間で心拍数は有意に異ならず、実験を通して安定であった。局所虚血時に左心室発生圧(LVDP)も減少する。この減少は、コントロールと比較して薬物処置心臓で大きかった。群間のLVDPの有意差は、25分の局所虚血で認められた。2群間で拡張期血圧の有意差は認められなかった。
【0126】
賦形剤:
賦形剤DMSOを、緩衝液灌流心臓における賦形剤として以前に使用されており、結果は、本研究の環境下でこの化合物は単独で検出可能な影響を与えないことを示す。
【0127】
結論
本研究により、7β−OH EPIAの顕著且つ有意な心臓保護効果が証明された。保護範囲は、その重要性において、いくつかの最も強力且つ十分に特徴付けられた心臓保護薬またはNHE遮断のような、または同一の実験モデルで使用した場合の虚血前提条件の処置的摂生に匹敵する範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1A】CA1領域の400μm長あたりのインタクトなニューロンの平均数±SEMとして示した、実施例22に関するデータを示す図である。
【図1B】100%と設定した偽手術動物と比較したCA1領域の400μm長あたりのインタクトなニューロンの割合として示した、実施例22のデータを示す。
【図1C】虚血群中の生存ニューロン数を0に設定し、偽手術群の生存ニューロン数を100%に設定した場合の神経保護の絶対的割合として示した、実施例22のデータを示す図である。
【図2】局所性虚血前、局所性虚血中、および局所性虚血後のコントロール賦形剤処置心臓および7β−OH EPIA処置心臓における実施例23の梗塞サイズを示す図であり、7β−OH EPIAを25分で灌流液に添加し、55分で局所性虚血が誘導され、85分で虚血領域を再灌流した。
【図3】局所性虚血前、局所性虚血中、および局所性虚血後のコントロール賦形剤処置心臓および7β−OH EPIA処置心臓における実施例23の冠状動脈の流れを示す図であり、7β−OH EPIAを25分で灌流液に添加し、55分で局所性虚血が誘導され、85分で虚血領域を再灌流した。
【図4】局所性虚血前、局所性虚血中、および局所性虚血後のコントロール賦形剤処置心臓および7β−OH EPIA処置心臓における実施例23の心拍数を示す図であり、7β−OH EPIAを25分で灌流液に添加し、55分で局所性虚血が誘導され、85分で虚血領域を再灌流した。
【図5】局所性虚血前、局所性虚血中、および局所性虚血後のコントロール賦形剤処置心臓および7β−OH EPIA処置心臓における実施例23の左心室発生圧を示す図であり、7β−OH EPIAを25分で灌流液に添加し、55分で局所性虚血が誘導され、85分で虚血領域を再灌流した。
【図6】局所性虚血前、局所性虚血中、および局所性虚血後のコントロール賦形剤処置心臓および7β−OH EPIA処置心臓における実施例23の拡張末期圧を示す図であり、7β−OH EPIAを25分で灌流液に添加し、55分で局所性虚血が誘導され、85分で虚血領域を再灌流した。

Claims (20)

  1. 周辺(peripheral)器官に対する虚血性障害からの保護および脊髄損傷誘導性障害の治療に関する薬物製造のための、3−ヒドロキシ−7−ヒドロキシステロイドもしくは3−オキソ−7−ヒドロキシステロイド、またはその薬学的に許容可能なエステルの使用。
  2. 前記ステロイドは、式(I):
    Figure 2005506321
    (式中、RおよびRは同一であるか互いに異なり、それぞれ、以下に定義するような、水素原子、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、2〜6個の炭素原子を有するアルケニル基、2〜6個の炭素原子を有するアルキニル基、6〜10個の炭素原子を有するアリール基、ホルミル基、2〜7個の炭素原子を有するアルキルカルボニル基、3〜7個の炭素原子を有するアルケニルカルボニル基、3〜7個の炭素原子を有するアルキニルカルボニル基、7〜11個の炭素原子を有するアリールカルボニル基、8〜15個の炭素原子を有するアラルキルカルボニル基、9〜15個の炭素原子を有するアラルケニルカルボニル基、アミノ酸残基、または複素環カルボニル基を示し、
    およびRの一方は、好ましくはβ型配座の式−Rの基を示し、他方は、水素原子を示すか、またはRおよびRは共にオキソ基を示し、
    は、以下に定義するような、1〜6個の炭素原子を有するアルカノイル基、アリール部分が6〜10個の環炭素原子を有する芳香族炭素環基であるアリールカルボニル基、複素環カルボニル基、または式−ORの基(式中、Rは、RおよびRについて上記で定義された基および原子の任意の1つを示す)を示し、
    環A:
    Figure 2005506321
    は、ベンゼン環またはシクロヘキサン環であり、
    環Aがシクロヘキサン環である場合、環B中の破線は炭素−炭素単結合または炭素−炭素二重結合を示し、は1であり、または環Aがベンゼン環である場合、環B中の破線は炭素−炭素単結合を示し、は0であり、
    前記複素環カルボニル基は、式R−COの基(式中、Rは3〜7個の環原子を含む複素環基を示し、そのうちの1〜3個が窒素原子、酸素原子、および硫黄原子から選択されるヘテロ原子であり、残りの原子の少なくとも1つが炭素原子である)であり、
    前記アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基、ならびに前記アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、およびアルキニルカルボニル基のアルキル、アルケニル、およびアルキニル部分は置換されていないか、少なくとも1つの以下の置換基Ψを有し、
    置換基Ψは、水酸基、メルカプト基、ハロゲン原子、アミノ基、1〜6個の炭素原子を有するアルキルアミノ基、各アルキル基が1〜6個の炭素原子を有するジアルキルアミノ基、カルバモイル基、ニトロ基、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基、1〜6個の炭素原子を有するアルキルチオ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、および6〜10個の炭素原子を有する非置換アリール基であり、
    前記アリール基、前記複素環基、ならびに前記アリールカルボニル基および前記アラルキルカルボニル基のアリール部分は置換されていないか、少なくとも1つの以下の置換基βを有し、
    置換基ξは、任意の置換基Ψ、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、1〜6個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基、および1〜6個の炭素原子を有するハロアルキル基である)の化合物ならびにその薬学的に許容可能な塩およびエステルである、請求項1記載の使用。
  3. およびRは同一であるか互いに異なり、それぞれ、以下に定義するような、水素原子、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、任意に置換されたフェニル基、ホルミル基、2〜5個の炭素原子を有するアルキルカルボニル基、7〜11個の炭素原子を有するアリールカルボニル基、8〜15個の炭素原子を有するアラルキルカルボニル基、アミノ酸残基、または複素環カルボニル基を示し、
    およびRの一方は、1〜6個の炭素原子を有するアルカノイル基またはβ型配座の式−ORの基(式中、Rは、RおよびRについて上記で定義された基および原子の任意の1つを示す)を示し、他方は、水素原子を示すか、またはRおよびRは共にオキソ基を示し、
    前記複素環カルボニル基は、式R−COの基(式中、Rは3〜7個の環原子を有する複素環基を示し、そのうちの1〜3個が窒素原子、酸素原子、および硫黄原子から選択されるヘテロ原子であり、残りの原子の少なくとも1つが炭素原子である)である、請求項2記載の使用。
  4. 前記ステロイドは、式(II):
    Figure 2005506321
    (式中、Rは、以下に定義するような、水素原子、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基、任意に置換されたフェニル基、ホルミル基、2〜5個の炭素原子を有するアルキルカルボニル基、7〜11個の炭素原子を有するアリールカルボニル基、8〜15個の炭素原子を有するアラルキルカルボニル基、アミノ酸残基、または複素環カルボニル基を示し、
    前記複素環カルボニル基は、式R−COの基(式中、Rは3〜7個の環原子を含む複素環基を示し、そのうちの1〜3個が窒素原子、酸素原子、および硫黄原子から選択されるヘテロ原子であり、残りの原子の少なくとも1つが炭素原子である)であり、
    およびRの一方は、好ましくはβ型配座の式−R基を示し、他方は、水素原子を示すか、またはRおよびRは共にオキソ基を示し、Rは、以下に定義するような、1〜6個の炭素原子を有するアルカノイル基、アリール部分が6〜10個の環炭素原子を有する芳香族炭素環基であるアリールカルボニル基、複素環カルボニル基、または式−ORの基(式中、Rは、Rについて上記で定義した基および原子の任意の1つを示す)を示す)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩もしくはエステルである、請求項1記載の使用。
  5. 7位の−OR基はβ型配座である、請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の使用。
  6. 前記ステロイドは、7β−ヒドロキシ−エピアンドロステロンである、請求項1に記載の使用。
  7. 前記ステロイドは、7β−ヒドロキシ−デヒドロエピアンドロステロンである、請求項1に記載の使用。
  8. 前記ステロイドは、7β−ヒドロキシ−17β−エストラジオールである、請求項1に記載の使用。
  9. 前記ステロイドは、7β−ヒドロキシ−プレグネノロンである、請求項1に記載の使用。
  10. 前記ステロイドは、7β−ヒドロキシ−エストロンである、請求項1に記載の使用。
  11. 前記ステロイドは、7α−ヒドロキシ−エストロンである、請求項1に記載の使用。
  12. 前記周辺器官は心臓である、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の使用。
  13. 前記心臓に対する障害が心筋梗塞に起因する、請求項12に記載の使用。
  14. 前記周辺器官は腎臓である、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の使用。
  15. 前記腎臓に対する障害は糸球体腎炎または急性腎不全に起因する、請求項14に記載の使用。
  16. 脊髄損傷の治療用である、請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の使用。
  17. 有効量の請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の3−ヒドロキシ−7−ヒドロキシステロイドもしくは3−オキソ−7−ヒドロキシステロイドまたはその薬学的に許容可能なエステルを投与することによる、周囲器官の虚血誘導性組織障害または脊髄に対する脊髄損傷誘導性障害から哺乳動物を保護する方法。
  18. 前記周辺器官は心臓である、請求項17に記載の方法。
  19. 前記周辺器官は腎臓である、請求項17に記載の方法。
  20. 前記哺乳動物は、脊髄損傷に起因する障害から保護される、請求項17に記載の方法。
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