JP2005506034A - 植物gaba産生を調節する方法 - Google Patents

植物gaba産生を調節する方法 Download PDF

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Abstract

本発明はGABA産生を調節する方法および組成物に関する。より具体的には、本発明は産生するための植物の能力を促進するための機能的GAD酵素をコードするポリヌクレオチドの使用に関する。各種の側面において、本発明は植物を処理する方法、処理に有用なベクターおよび核酸分子、ならびに環境または他の植物ストレスによりよく耐えることができる形質転換植物を提供する。

Description

【0001】
関連する特許出願
本特許出願は“植物GABA産生を調節する方法”という標題の、2000年11月7日に出願された、米国特許仮出願第60/246,367号に基づく利点を主張し、これをそのまま本明細書中に参照として援用する。
【0002】
発明の背景
本発明は植物GABA産生のための方法および材料に関する。GABAを産生するための促進された能力を有し、そして形態学的および/または農学的特徴、環境ストレス耐性などを有する植物が植物遺伝子工学により提供される。より具体的には、グルタミン酸からGABAへの変換を触媒する蛋白質をコードすることにより、GABAを産生する植物の能力を促進し、それによってストレスに耐える植物の能力を促進するか、または他の望ましい特性を与える遺伝子による植物の形質転換に関する。
【0003】
本発明の背景として、酵素GAD(グルタミン酸デカルボキシラーゼ)はグルタミン酸(Glu)からγ‐アミノ酪酸(GABA)の生成を触媒することが示されていて、この10年の間にいくつかの植物GAD遺伝子がクローニングされている。他の界のGADsの推定アミノ酸配列に比較した場合、植物GADsはC末端に22〜25の付加的なアミノ酸を有し、これらのアミノ酸はカルモジュリン結合ドメイン(CaM‐BD)を構成することが最近報告されている。これらのドメインはCa2+の存在下におけるカルモジュリン(CaM)の結合に十分であることが示されている。最近、本発明者らはシロイヌナズナ(Arabidopsis)の2種の組換えGAD(rGAD)イソ型、rGAD1およびrGAD2がCa2+の存在下でCaMに結合すること、およびCa2+/CaM複合体がGAD活性を刺激することを示している。
【0004】
CaM‐BDはGAD酵素を非活性化するための自己阻害ドメインとして機能する。CaM‐BDの除去による非阻害GAD活性はトランスジェニックタバコに形態学的、生化学的、および再生的変化を生じることが示されている。CaM‐BDのないGAD遺伝子を構成的に発現する、遺伝子工学的に操作されたタバコは、成長が停止し、不稔であり、そして対照植物と比較してGABAを高レベルで、Gluを低レベルで含んでいた。
【0005】
ストレスに暴露後、植物細胞にGABAが速やかに蓄積することは詳細に証明されている。植物では、GABAを生じる少なくとも3種の代謝経路がある。第1の経路は、ポリアミンの異化に関連する。第2の経路はGABAシャント、可逆的なGABAアミノトランスフェラーゼ反応の部分である。第3の経路は、グルタメートの脱カルボキシル化を介する。後者の反応がストレス後のGABA蓄積の主要な供与源であると提案されている。さらに、GABAの迅速な蓄積はin vitroGAD活性の増大と共に観察されている。
【0006】
いくつかの実験の結果は、放射標識した14C‐Gluが14C‐GABAに合成されることを示している。14C‐Gluと10分間インキュベートしたアスパラガス細胞は速やかにGABAを産生する。しかし、その系におけるGABAの産生は懸濁培養中の細胞に対する非生理的な反応であると主張されるかもしれない。さらに、14C‐Gluを注入された成長中の分離ダイズ子葉は14C‐GABAを産生する。先に述べた実験と同様に、結果は分離子葉の非生理的な反応であるかもしれない。しかしこの研究は、GABAが成長中のダイズ子葉におけるGlu代謝の通常の経路であり、これらの状況下ではGABA生合成がストレスに対する反応ではないことを示唆する。
【0007】
14C‐Glu実験の結果は、単離した植物細胞および分離器官においてGADによりGluがGABAに変換されることを示す。サイトゾルCa2+濃度を上昇させることが示されている機械刺激、低温ショックおよび熱ショック状態を受けた植物において、GABAが速やかに蓄積することが示されている。この背景のために、植物におけるGABA合成およびGAD酵素活性の研究にかなりの努力が向けられていると考えられる;しかし、植物におけるGABAの直接の役割はいままで証明されていない。本発明はこの分野における著しい進歩である。
【0008】
発明の概要
本発明は植物GABA産生を調節するための方法および組成物に関する。より具体的には、本発明は機能的植物GAD酵素をコードするポリヌクレオチドの使用に関する。各種の側面において、本発明は植物を形質転換する方法、それに有用なベクターおよび核酸分子を提供し、そして形質転換植物は促進されたGABA産生の利点、たとえば環境または他の植物ストレスに耐えるための促進された能力を有する。
【0009】
本発明の一側面において、機能的植物GAD酵素をコードするポリヌクレオチドは細胞を形質転換するため、および植物を形質転換するために使用される。発明された方法は、成長停止または他の有害な形態の変化を起こさずに、促進されたGABA産生の利点を有する、たとえば促進された植物成長特性、生存特性および/または環境または他の植物ストレスへの耐性を有する植物を生む。植物は本発明に従って遺伝子工学的に操作され、植物において増大した量のGABAを産生するように機能するGAD酵素をコードするポリヌクレオチドが植物に導入される。ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの転写を制御、あるいは調節するプロモータ配列に5′末端で操作可能に結合する。
【0010】
本発明のある形態において、自己阻害カルモジュリン結合ドメインを欠如する、構成的に活性化される、そうでない場合は脱調節されるGAD酵素をコードする、改変されたポリヌクレオチドが提供される。自己阻害カルモジュリン結合ドメインを含む、野生型の、調節可能なGADをコードするポリヌクレオチドが本発明の他の形態において使用される。脱調節されたまたは他のGAD(たとえば野生型GAD)の過剰産生の結果は、植物においてGABA合成を増加させる。GABAの増大した濃度は、たとえば植物ストレスの有害な影響を低下させることにより植物に有益である。
【0011】
植物を処理する方法、処理に有用なベクターおよび他の核酸分子、および改変されたGABA産生を特徴とする形質転換植物を提供することが本発明の目的である。
【0012】
本発明の別の目的、利点および特徴は本明細書の詳細な説明から明らかであろう。
【0013】
発明の詳細な説明
本発明の原理の理解を深めるために、本発明の具体的な態様について説明し、そしてそれらを記載するために具体的な言語を使用する。しかし、本発明の範囲がそれによって限定されることを意図せず、本発明が関連する技術分野の専門家が通常気づくような、本発明の変更および別の修正、ならびに本明細書に記載の本発明の原理の別の応用を企図する。
【0014】
本発明は植物GABA産生を調節する方法および組成物に関する。本発明はとりわけ増大したGABA産生を特徴とする形質転換植物、およびそれに関する利点、たとえば環境または他の植物ストレスによりよく耐えることができること、および/または価値の高い農学的特徴を有することに関する。本発明はまた、形質転換植物を作製するためのDNA構築物、ベクターおよび他の核酸分子、ならびに方法に関する。
【0015】
本発明に従って、植物は、ポリヌクレオチドの転写を制御するか、または調節するプロモータに5′末端が操作可能に結合した機能的植物GAD酵素をコードするポリヌクレオチドを植物宿主細胞に導入することにより遺伝的に改変される。本明細書で使用する“植物GAD酵素”は、植物においてグルタミン酸をγ‐アミノ酪酸(GABA)に変化させる機能を果たすグルタミン酸デカルボキシラーゼ酵素を表す。植物GAD酵素は当業者に公知であり、例としてはSEQ ID NOS:2、4、6、8、10、12、14、16および18で示されたアミノ酸配列を有するポリペプチドが挙げられる。SEQ ID NOS:2、4、6、8および10はシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)GAD1、GAD2、GAD3、GAD4およびGAD5をそれぞれ示し;SEQ ID NOS:12および14はそれぞれタバコNtGAD1およびNtGAD2を示し;SEQ ID NO:16はペチュニアGADを示し;そしてSEQ ID NO:18はトマトGADを示す。
【0016】
植物GADsは、他の界のGADsの推定アミノ酸配列に存在しない、C末端の22〜25の付加的なアミノ酸からなるカルモジュリン結合ドメイン(CaM‐BD)を含むことが最近報告されている。これらのドメインはCa2+の存在下でカルモジュリン(CaM)の結合に十分であることが示されている。現在、CaM‐BDはGAD酵素を非活性化するための自己阻害ドメインとして機能することが報告されている。最近、本発明者らはシロイヌナズナの2種の組換えGAD(rGAD)イソ型、rGAD1およびrGAD2がCa2+の存在下でCaMに結合すること (Turano, F. J. and Fang, T. K. (1998) Characterization of two glutamate decarboxylase cDNA clones from Arabidopsis thaliana. Plant Physiol. 117: 1411−1421)およびCa2+/CaM複合体がGAD活性を刺激することを証明している。
【0017】
CaM‐BDの除去は非阻害GAD活性を示すGAD酵素を生じ、阻害されないGABA産生が起こることが示されている。“植物GAD酵素”という用語はまた、カルモジュリン結合ドメインを欠如するGADペプチドを包含する。実際、本発明のある形態において、GAD酵素の発現中のGABAの阻害されない産生は好都合で望ましい特徴である。
【0018】
またGADのカルモジュリン結合ドメインを他の方法(たとえば完全に除去される以外のこと)により改変できることは本発明に従って想像され、そのような改変がカルモジュリン結合ドメインの自己阻害機能を除去する。そのような改変されたGAD酵素は本発明により明白に企図される。
【0019】
“植物GAD酵素をコードするポリヌクレオチド”に関連する本明細書の説明では、“ポリヌクレオチド”という用語は、デオキシリボ核酸、リボ核酸、およびそれらの誘導体を含む、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオシドの天然の、または合成の線状および連続アレイを表す。“エンコーディング”および“コーディング”という用語は、転写および翻訳機序によりポリヌクレオチドが細胞に情報を提供する過程を表し、それに基づいて一連のアミノ酸が、たとえば活性酵素または具体的な機能を有する他の蛋白質のような機能的ポリペプチドを生じる具体的アミノ酸配列に会合することができる。
【0020】
本発明に従った使用に適切なポリヌクレオチドは、市販品、または当技術分野で公知の標準法を使用して構築することができるシロイヌナズナのcDNAまたはゲノムライブラリーを使用して、クローニング技術により得ることができる。適切なヌクレオチド配列は、プローブまたはプライマーとして本発明に従って選択されるヌクレオチド配列、たとえばSEQ ID NOS:1、3、5、7、9、11、13、15および17に示されたもの、本明細書に記載の他のポリヌクレオチド、またはそれらの部分を使用して、核酸ハイブリダイゼーションまたはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法の手段により多様な種から得られるDNAライブラリーから単離することができる。本発明の好ましい形態において、本明細書に提供されるポリヌクレオチドはcDNA配列である。
【0021】
あるいは、適切な配列を当技術分野で公知の技術により作製してもよい。たとえば、本明細書に記載の植物蛋白質をコードするポリヌクレオチドは組換えDNA技術により、たとえば制限酵素およびDNAリガーゼを使用して核酸を切断またはスプライシングすることにより構築することができる。さらに、固相ホスホロアミダート技術、またはPCRのような化学合成を使用して核酸配列を構築してもよい。また、PCRは産生される核酸の量を増やすために使用してもよい。さらに、具体的な核酸配列が、全長を化学合成することが不可能な長さのものである場合、当技術分野で公知の方法により配列を小部分に分けて合成し、一緒に連結して所望する全配列を形成することができる。
【0022】
上記のように、本発明のDNA構築物は植物GAD酵素をコードするポリヌクレオチドに操作可能に結合した、植物細胞において転写を行うプロモータを含む。本明細書に記載の本発明の各種側面において、各種の異なる型のプロモータが記載され、使用される。本明細書で使用するように、ポリヌクレオチドがプロモータまたは他のヌクレオチド配列と機能的な関係にある場合、それはプロモータまたは他のヌクレオチド配列に“操作可能に結合”している。プロモータと所望するポリヌクレオチド挿入物間の機能的関係は一般に、ポリヌクレオチド配列の転写が促進されるように隣接したポリヌクレオチドとプロモータを意味する。2つの核酸配列間の結合の性質が以下と異なる場合、それらの配列はさらに操作可能に結合していると判断される:(1)フレームシフト突然変異を導入する;(2)所望するヌクレオチド配列の転写を行うプロモータ領域配列の能力を妨害する、または(3)プロモータ配列領域により転写される所望するヌクレオチド配列の能力を妨害する。一般に、プロモータエレメントは通常核酸挿入物コーディング配列の上流(すなわち5′末端)である。
【0023】
プロモータ配列はベクターへの挿入前にコーディング配列に結合することができるが、他の態様において、ベクターが挿入される宿主細胞において操作可能なプロモータ(すなわち、宿主細胞のRNAポリメラーゼにより認識されるプロモータ)を含むベクターが選択される。さらに、ある好ましいベクターはリボソーム結合部位をコードする領域を有し、かかる領域は、プロモータと、一度挿入されると本発明のDNA配列と適切に結合するようにDNA配列が挿入される部位(それとともに正しい翻訳リーディングフレーム)間に位置する。ベクターは宿主細胞のリボソームにより認識されるリボソーム結合部位をコードする領域を提供するために選択されるべきであり、そこにベクターが挿入されることになる。“植物プロモータ”は、植物細胞において転写を開始することができるプロモータである。
【0024】
単独で、またはプロモータと組み合わせて使用することができる他の調節エレメントと同様に、多様なプロモータが当技術分野で公知であり、植物細胞において転写を行う多様なプロモータが本発明に関連して使用されてもよい。本発明を説明するために、プロモータは2種の型、すなわち構成プロモータ、および、たとえば組織優先プロモータ、組織特異的プロモータ、細胞特異的プロモータおよび誘導プロモータを含む非構成プロモータに分割される。
【0025】
成長制御下にあるプロモータの例としては、葉、根、種子、ひげ根、木部道管、仮道管、または厚膜組織のようなある組織において優先的に転写を開始するプロモータが挙げられる。そのようなプロモータは“組織優先”と呼ばれる。ある組織においてだけ転写を開始するプロモータは“組織特異的”と呼ばれる。“細胞型”特異的プロモータは、主に1以上の器官のある細胞型、たとえば根または葉の維管束細胞において発現を行う。“誘導”プロモータは環境管理下にあるプロモータである。誘導プロモータによる転写に影響を与えることができる環境条件の例としては、機械的ショック、熱、慣例、塩、冠水、乾燥、外傷、無酸素、病原体、紫外線B、栄養欠乏およびそれらの組合せが挙げられる。組織特異的、組織優先、細胞型特異的、および誘導プロモータは、“非構成”プロモータのクラスを構成する。“構成”プロモータは、たとえばCaMV35Sプロモータおよびノパリンシンターゼターミネータのような大部分の環境条件下で活性であるプロモータである。
【0026】
本発明のある態様において、誘導プロモータがとりわけ興味の対象であり、かかるプロモータは、たとえば機械的ショック、熱、冷気、塩、冠水、乾燥、塩、無酸素、病原体、たとえば細菌、真菌、およびウイルス、ならびに開花および/または結実期間中の欠乏を含む栄養欠乏を含む各種形状の環境ストレス、または他の刺激および植物ストレスの他の形状に反応する。たとえば、本発明の代わりの形態において選択されるプロモータは、以下のような非生物的ストレスにより誘導されるプロモータであってもよい:外傷、冷気、乾燥、紫外線B[van Der Krol et al. (1999) Plant Physiol. 121:1153−1162]、熱ショック[Shinmyo et al., (1998) Biotechnol. Bioeng. 58:329−332]もしくは他の熱ストレス、乾燥ストレスまたは水ストレス。プロモータはさらに以下のものを含む生物学的ストレスにより誘導されるものであってもよい:病原体ストレス、たとえばウイルス[Sohal et al. (1999) Plant Mol. Biol. 41:75−87]もしくは真菌[Eulgem (1999) EMBO. J. 18:4689−4699]により誘導されるストレス、植物防御経路[Lebel (1998) Plant J. 16:223−233]の一部として誘導されるストレス、または他の環境シグナル、たとえば光[Ngai et al. (1997) Plant J. 12:1021−1034; Sohal et al. (1999) Plant Mol. Biol. 41:75−87]、二酸化炭素[Kucho et al. (1999) Plant Physiol 121:1329−1338]、ホルモンもしくは他のシグナル伝達分子、たとえばオーキシン、過酸化水素およびサリチル酸[Chen and Singh (1999) Plant J. 19:667−677]、砂糖およびジベレリン[Lu et al. (1998) J. Biol. Chem. 273:10120−10131]もしくはアブシジン酸およびエチレン[Leubner−Metzger et al. (1998) Plant Mol. Biol. 38:785−795]。
【0027】
本発明の他の態様において、組織特異的プロモータが使用される。組織または段階特異的プロモータによって制御される組織特異的発現パターンの例としては、繊維特異的、緑色組織特異的、根特異的、茎特異的、および花特異的が挙げられる。葉病原体に対する植物の保護のためには、葉における発現が好ましく;花および果実病原体に対する植物の保護のためには花序(たとえば、穂、円錐花序、穂軸など)における発現が好ましく;根病原体に対する植物の保護のためには、根における発現が好ましく;土壌病原体に対する実生の保護のためには、根および/または実生における発現が好ましい。しかし、多くの場合、1以上の型の植物病原体に対する保護が求められ、したがって複数の組織における発現が望ましいであろう。
【0028】
双子葉植物由来の多くのプロモータは単子葉植物でも機能し、逆も同様であることが示されているが、理想的には双子葉植物プロモータが双子葉植物における発現のために選択され、単子葉植物プロモータが単子葉植物における発現のために選択される。しかし、選択されるプロモータの由来に対する制限はなく;それらが形質転換植物または細胞において植物GAD遺伝子の発現に機能を果たせば十分である。緑色組織における発現に適切なプロモータは光合成に関与する遺伝子を調節する多くのものを含み、これらの多くは単子葉植物および双子葉植物の両方からクローニングされている。適切なプロモータはホスフェノールカルボキシラーゼ遺伝子のトウモロコシPEPCプロモータである(Hudspeth et al. 1989. Plant Molec. Biol. 12: 579−589)。根特異的発現のために適切なプロモータはde Framond (1991. FEBS 290: 103−106)またはHudspeth et al. (1996. Plant Molec. Biol. 31: 701−705)により記載されたものである。適切な茎特異的プロモータは特許出願WO 93/07278 (Ciba−Geigyに属する)に記載されたものであり、そしてそれはトウモロコシtrpA遺伝子を発現させる。
【0029】
さらにプロモータは当技術分野で既知の他のエレメントによる活性化を必要とするように選択してもよく、その結果核酸配列挿入物によりコードされる蛋白質の産生を所望したとおりに調節することができる。
【0030】
本発明の構築物における使用のために選択されるプロモータは内因性プロモータ、すなわち形質転換される種および/または細胞型に生来のプロモータであってもよい。あるいは、プロモータは外来プロモータであってもよい。“外来プロモータ”は本明細書では、生来、または天然のプロモータ以外のプロモータを意味するように定義し、それは植物および植物ウイルス由来のDNAを含む、ウイルス、細菌または真核細胞起原のDNAの転写を促進する。たとえば、ある好ましい態様において、プロモータは、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)、たとえばCaMV35Sまたは19S、ゴマノハグサモザイクウイルスプロモータ(FMV5S)、またはタバコモザイクウイルスのコート蛋白質プロモータを含むウイルス起原のものであってもよい。さらにプロモータはたとえば、リブロース‐1,3‐ジホスフェートカルボキシラーゼの小サブユニットであってもよい。細菌起原のプロモータは、オクトピンシンターゼプロモータ、ノパリンシンターゼプロモータおよびHerrera−Estrella et al., Nature, 303:209−213 (1983)に記載の天然のTiプラスミド由来の他のプロモータを含む。
【0031】
適切なプロモータの選択に加え、植物における植物GAD蛋白質発現のためのDNA構築物は植物GAD遺伝子の下流に結合する適切な転写ターミネータを必要とする。そのようなターミネータのいくつかは入手可能であり、当技術分野で公知である(たとえば、CaMVのtml、rbcSのE9)。植物において機能することが既知の、多様な入手可能なターミネータを本発明において使用してもよい。
【0032】
本発明の一形態において、機能的植物GAD酵素をコードするポリヌクレオチドに操作可能に結合した非構成プロモータを含むDNA構築物は、シグナルに反応して選択的にGABAの産生を増す形質転換植物を作製するために使用される。本明細書で使用する“シグナル”という用語は、非構成プロモータに操作可能に結合したコーディング配列の発現を行うためのプロモータを生じさせる、またはもたらす状態、ストレスまたは刺激を表すために使用される。本発明に従ってそのような植物を作製するために、機能的植物GAD酵素をコードするポリヌクレオチドに操作可能に結合した非構成プロモータを含むDNA構築物が提供される。構築物は植物ゲノムに組み込まれ、シグナルに反応するポリヌクレオチドを発現する形質転換植物を提供する。本発明の代わりの態様において、選択されるプロモータは、組織優先プロモータ、組織特異的プロモータ、細胞型特異的プロモータ、誘導プロモータまたは他の型の非構成プロモータである。
【0033】
そのようなDNA構築物はそれによって形質転換される植物を生み、特定の条件下、またはある組織または細胞型において、選択的にGAD酵素を発現するか、またはGADの発現を増大させることが明らかである。植物におけるGABA産生に関するこの発現の結果は、コードされたGAD酵素の活性、および場合によっては細胞の状態またはそれが発現される細胞に依存する。一態様において、ポリヌクレオチドは自己阻害カルモジュリン結合ドメインを欠如するGAD酵素をコードする切断ポリヌクレオチドである。したがって、発現される切断GAD酵素は構成的に活性化されるか、または脱調節される。もちろん、本態様においてコードされた酵素は構成的に活性化されるが、非構成プロモータは継続して切断GAD酵素を産生しない。むしろ、プロモータへの包含のために選択されるプロモータは、好都合には、たとえば生物的および/または非生物的ストレス、または他の状態を含む、環境または他の植物ストレスの存在下において、シグナルに反応して植物における切断GAD酵素の転写を誘導するか、または増加させる。
【0034】
本発明の他の態様において、自己阻害カルモジュリン結合ドメインを含む野生型の調節可能なGADをコードするポリヌクレオチドが使用される。非構成プロモータおよびカルモジュリン結合ドメインを含むGAD酵素を含む態様において、2種の状態が非形質転換植物に比較して増大したGABA産生を生じるであろうということを当業者は理解するであろう。とりわけ、そのような構築物により形質転換植物において増大したGABA産生は、初めに選択されたプロモータが反応するシグナルの発生により調整され、それがGADの増大した発現を生じる。さらに、発現されたGAD酵素の活性が、GAD酵素を活性化するために効果的な状態の発生により調整される。当業者は容易に理解するように、この状態はGAD酵素に接近してカルモジュリンおよびカルシウムイオンが共に存在することにより、または他の状態の出現により達成することができる。そのような構築物により形質転換植物は好都合には、記載された状態において増大したGABA産生を示し、その利点は、たとえばストレスに耐えるための促進された能力である。
【0035】
本発明の別の形態において、機能的な植物GAD酵素をコードするポリヌクレオチドに操作可能に結合した構成プロモータを含み、形質転換植物においてGABA産生を構成的に増大させるDNA構築物が形質転換植物を作製するために使用される。本発明に従ってそのような植物を作製するために、機能的な植物GAD酵素をコードするポリヌクレオチドに操作可能に結合した構成プロモータを含むDNA構築物が提供される。構築物は植物ゲノムに組み込まれ、ポリヌクレオチドを発現する形質転換植物を提供する。
【0036】
当業者は、そのようなDNA構築物がそれによって形質転換されてGAD酵素を構成的に発現する植物をもたらし、植物におけるGABA産生に関して、その結果は、コードされたGAD酵素の活性、およびある場合には発現される細胞または複数の細胞の状態に依存する、ということを容易に理解するであろう。一態様において、ポリヌクレオチドは自己阻害カルモジュリン結合ドメインを欠如するGAD酵素をコードする切断ポリヌクレオチドである。したがって、発現される切断GAD酵素は構成的に活性化されるか、または脱調節される。構成プロモータはGAD酵素の構成発現を行い、そして本態様においてコードされた酵素は構成的に活性化されるため、そのような構築物によって形質転換植物はGABA含有量の全体的な増加を示す。
【0037】
植物における過度のGABA過剰産生は成長を停止し、他の好ましくない農学的および/または形態学的特徴を生じることが報告されているが、本発明は植物におけるGABAの過度でない過剰産生が有益な特徴、たとえば促進されたストレス耐性または他の好ましい形態学的および/または農学的特徴を生じることを認識する。したがって、本発明は、1以上の植物の形質転換後、1以上の所望する形態学的および/または農学的特徴を有する形質転換植物を選択することにより、または好ましくない成長停止、不稔、収穫高の損失、植物の丈の減少、または他の好ましくない特徴を示す形質転換植物を取り除くことにより、所望するレベルのGABA産生を示す形質転換植物を選択することを提供する。一態様において、選択される望ましい特徴は、非‐不稔性である。別の態様において、選択される植物は、対応する条件下で非形質転換植物に比べ、著しく成長が停止しない。別の態様において、植物は非形質転換植物に比べた適切な収量特性の維持に基づき選択される。
【0038】
別の態様において、植物は約0.28ミリグラムGABA/グラム乾燥重量(mg/GDW)までの、非ストレス条件におけるGABA濃度に基づき選択される。さらに別の態様において、植物は約0.24ミリグラムGABA/グラム乾燥重量(mg/GDW)までの、非ストレス条件におけるGABA濃度に基づき選択される。さらに別の態様において、植物は約0.20ミリグラムGABA/グラム乾燥重量(mg/GDW)までの、非ストレス条件におけるGABA濃度に基づき選択される。さらに別の態様において、植物は約0.10〜約0.28ミリグラムGABA/グラム乾燥重量(mg/GDW)までの、非ストレス条件におけるGABA濃度に基づき選択される。さらに別の態様において、植物は約0.10〜約0.24ミリグラムGABA/グラム乾燥重量(mg/GDW)までの、非ストレス条件におけるGABA濃度に基づき選択される。さらに別の態様において、植物は約0.10〜約0.20ミリグラムGABA/グラム乾燥重量(mg/GDW)までの、非ストレス条件におけるGABA濃度に基づき選択される。
【0039】
自己阻害カルモジュリン結合ドメインを含む野生型の調節可能なGADをコードするポリヌクレオチドが、構成プロモータと共に本発明の他の態様において使用される。構成プロモータおよびカルモジュリン結合ドメインを含むGAD酵素を含む態様において、形質転換植物が構成的にGAD酵素を発現することを当業者は理解するであろう。しかし、酵素自体は、GAD酵素を活性化するために効果的な状態の出現まで、実質的に阻害されたコンホメーションのままであると考えられる。当業者は容易に理解するように、この状態はGAD酵素に接近してカルモジュリンおよびカルシウムイオンが共に存在することにより、または他の状態により達成することができる。
【0040】
脱調節または他のGAD(野生型GAD)の過剰産生はGABAの増大した産生を提供し、GABAの増大したレベルは、たとえば植物ストレスの作用を低下させることにより植物に有益である。適切なベクター中に導入されたポリヌクレオチドは、好都合には植物ゲノム中に統合されるが、本発明の他の形態においてはエピゾームのままである。
【0041】
本発明に従って作製または選択された構築物により植物、作物細胞または他の細胞を形質転換するために多様なベクターが使用されてもよく、そのようなベクターにはプラスミド(高および低コピー数プラスミドを含む)、ファージベクター(λZapおよびpBluescriptを含む)およびコスミドが挙げられる。他のベクターと同様にそのようなベクターは当技術分野で公知である。代表的なT‐DNAベクター系は以下の刊行物に記載される:An et al., (1986) EMBO J. 4:277; Herrera−Estrella et al., (1983) EMBO J. 2:987; Herrera−Estrella et al., (1985) in Plant Genetic Engineering, New York: Cambridge University Press, p. 63。ベクターは、本明細書に記載のプロモータに操作可能に結合したGAD遺伝子が植物のゲノムに組み込まれるように選択されてもよい。
【0042】
一態様において、所望する組換えベクターは当技術分野で公知のように、所望するヌクレオチド挿入物の5′および3′末端にDNAリンカー配列を連結し、リンカー配列に存在する配列および所望するベクターを特異的に認識する制限酵素により挿入物を切断し、同じ制限酵素によりベクターを切断し、切断されたベクターと切断された挿入物を混合し、DNAリガーゼを使用してベクターに挿入物を組み込ませることにより構築してもよい。
【0043】
ベクターは他のポリヌクレオチド、たとえば抗生物質耐性または色選択のためのものを含む、選択可能なマーカーをコードするものを含んでいてもよい。ベクターはさらに他の調節エレメント、たとえば核酸挿入物コーディング配列の転写を行うためのプロモータと一緒に作用するエンハンサ配列を含んでいてもよい。“エンハンサ”は、たとえば植物宿主細胞のような、細胞におけるプロモータ活性を促進することができるヌクレオチド配列エレメントを意味する。ベクターはさらに、たとえば転写されたRNAの安定性を増すような、当技術分野で公知の3′調節配列エレメントを含んでいてもよい。
【0044】
さらに、ベクターは、所望するヌクレオチド配列によりコードされる所望する蛋白質の精製の助けとなるタグとして使用されるペプチドまたはポリヌクレオチドをコードする、他のポリヌクレオチド挿入物を含んでいてもよい。付加的なポリヌクレオチド挿入物は、融合、またはキメラ蛋白質が得られるようにベクター内に位置する。たとえば、本明細書に記載の蛋白質は、当技術分野で公知のように、タグとして作用する、他の蛋白質に結合したリンカーアミノ酸をそのC末端に持つように作製してもよい。当業者に公知の精製手順後、付加的なポリヌクレオチド挿入物アミノ酸配列は適切な酵素により切断される。当技術分野で公知の方法により、蛋白質を他の蛋白質、またはそのフラグメントから単離してもよい。別の態様において、ベクターは、本発明者らの同時係属中の米国特許出願第09/517,438号に記載の、植物GABA受容体蛋白質をコードする別のポリヌクレオチドを含む。あるいは、植物は本発明に従って、2種の異なるベクター、GAD酵素の発現のためのDNA構築物を含むもの、および植物GABA受容体蛋白質または他のポリペプチドの発現のためのものにより形質転換されてもよい。植物におけるGAD酵素およびGABA受容体蛋白質の過剰発現が、優れた特徴、たとえば促進されたストレス耐性を持つ植物を生じると期待される。
【0045】
宿主植物または細胞を形質転換するための本発明の組換えベクターの使用に関して、本発明の方法は、本明細書に記載のヌクレオチド配列を有する核酸を植物細胞に導入することを含む。植物を形質転換する方法は当技術分野で公知であり、たとえば以下のような参考文献において見出すことができる:Maniatis et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Springs Laboratory, Cold Springs Harbor, N.Y. (1982)およびCurrent Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, edited by Ausubel et al. (1988)。植物遺伝子導入技術も以下のものを含む参考文献中に見出すことができる:Fromm et al., (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82:5824−5828 (リポフェクション)、Crossway et al., (1986) Mol. Gen. Genet. 202:179 (マイクロインジェクション)、Hooykaas−Van Slogtem et al., (1984) Nature 311:763−764)(単子葉植物のT−DNA媒介形質転換)、Rogers et al., (1986) Methods Enzymol. 118:627−641 (双子葉植物のT−DNA媒介形質転換)、Bevan et al., (1982) Ann. Rev. Genet. 16:357−384) (双子葉植物のT−DNA媒介形質転換); Klein et al., (1988) Proc. Natl. Acad. Sci USA 85:4305−4309 (パーティクルガン法)およびFromm et al., Nature (1986) 319:791−793 (エレクトロポレーション)。所望する核酸が一度宿主細胞に導入されると、宿主細胞は上記のように、蛋白質またはその変異体を発現する。したがって、さらに別の態様において、上記の本発明の組換えDNA構築物を含む宿主細胞が提供される。
原核細胞および真核細胞宿主細胞を含む、多様な宿主細胞を本発明において使用してもよい。好ましい宿主細胞は真核細胞であり、そしてさらに好ましくは植物細胞、たとえばウキクサ、トウモロコシ、シバ(ライグラス、ギョウギシバ、イチゴツナギ、ウシノケグサを含む)のような単子葉植物、レタス、コムギのような穀類、十字花科植物(たとえばナタネ、ダイコンおよびキャベツ)、ナス科植物(ピーマン、トウガラシ、ジャガイモおよびトマトを含む)、ならびにダイズおよびツルナシインゲンを含むマメ科植物を含む双子葉植物由来のものである。
【0046】
以下に記載の分子生物学の標準技術を使用して、ポリヌクレオチドを植物に導入してもよい:たとえばCurrent Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, edited by Ausubel et al. (1988) and Maniatis, et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory (1989)。たとえば、本明細書に記載のプロモータ配列またはポリヌクレオチドをはじめにベクターに導入してもよく、そして以下のものを含む、当技術分野で公知の多様な技術を使用してベクターを細胞に導入することができる:たとえばエレクトロポレーション法、リポフェクション法、アグロバクテリウム媒介遺伝子導入技術、マイクロインジェクション技術、およびパーティクルガン法。多くの遺伝子導入技術および他の方法は以下に見出すことができる:たとえば、Ausubel et al. (1988) and Maniatis, et al.,上記刊行物およびFromm et al., (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82:5824−5828 (リポフェクション)、Crossway et al., (1986) Mol. Gen. Genet. 202:179 (マイクロインジェクション)、Hooykaas−Van Slogtem et al., (1984) Nature 311:763−764)(単子葉植物のT−DNA媒介形質転換)、Rogers et al., (1986) Methods Enzymol. 118:627−641 (双子葉植物のT−DNA媒介形質転換)、Bevan et al., (1982) Ann. Rev. Genet. 16:357−384) (双子葉植物のT−DNA媒介形質転換); Klein et al., (1988) Proc. Natl. Acad. Sci USA 85:4305−4309 (パーティクルガン法)およびFromm et al., Nature (1986) 319:791−793 (エレクトロポレーション)。さらに、ポリヌクレオチドを単一または複数のベクターに導入してもよい。
【0047】
本発明の一態様において、形質転換細胞を当技術分野で公知のように培養し、形質転換植物を作製してもよい。この点に関して、形質転換植物を以下のように作製することができる:たとえば、本発明のDNA構築物により宿主植物の細胞、組織または器官を形質転換し、形質転換細胞、細胞カルス、体細胞胚、またはDNA構築物を含む種子を選択すること;形質転換細胞、細胞カルス、体細胞胚、または種子から完全な植物を再生すること;およびポリヌクレオチドを発現する、再生された完全な植物を選択すること。
【0048】
本明細書で作製された形質転換細胞は、構成的にまたは選択された条件下でGABAを酵素的に産生することができる能力を有する。したがって、形質転換植物は、機能的なカルモジュリン結合ドメインを持つか、または持たないGAD酵素を含む、グルタミン酸をGABAに変換する機能的な植物GAD酵素をコードするポリヌクレオチドを含む。GABA産生機能を果たす酵素をコードする他のポリヌクレオチドも本発明により企図される。
【0049】
上記の方法は、装飾用またはレクリエーション用の植物または作物を含む多様な植物を形質転換するために適用することができるが、商業用作物を処理するためにとりわけ有用である。本発明において形質転換植物を形成するために形質転換することができる植物、およびとりわけ作物の例としては、たとえばウキクサ、トウモロコシ、シバ(ライグラス、ギョウギシバ、イチゴツナギ、ウシノケグサを含む)のような単子葉植物、レタス、コムギのような穀類、十字花科植物(たとえばナタネ、ダイコンおよびキャベツ)、ナス科植物(ピーマン、トウガラシ、ジャガイモおよびトマトを含む)、ならびにダイズおよびツルナシインゲンを含むマメ科植物を含む双子葉植物が挙げられる。さらに、そのような植物から収穫される作物およびそれらを含む食品は本発明に包含される。本発明の一態様において、本発明に従った形質転換植物はウキクサ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、トウモロコシ、ギョウギシバ、イチゴツナギ、ウシノケグサ、アブラナ、ジャガイモ、ニンジン、サツマイモ、インゲン、エンドウ、チコリー、レタス、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、カブ、ダイコン、ホウレンソウ、アスパラガス、タマネギ、ニンニク、ナス、トウガラシ、セロリ、スクワッシュ、カボチャ、ズッキーニ、キュウリ、リンゴ、洋ナシ、マルメロ、メロン、プラム、チェリー、モモ、ネクタリン、アンズ、イチゴ、ブドウ、ラズベリー、ブラックベリー、パイナップル、アボカド、パパイヤ、マンゴー、バナナ、ダイズ、ツルナシインゲン、タバコ、トマト、ピーマン、モロコシおよびサトウキビからなる群から選択される。
【0050】
いったん形質転換すれば、さらに植物ストレスの作用を低下させるために、植物のストレスに対する暴露前、またはその間のいずれかに植物を他の“活性剤”で処理してもよい。本明細書で使用する“活性剤””は、植物に有益な作用を有するか、または植物によるGABA産生を増大させる作用物質を表す。たとえば、作用物質は栄養、および植物ストレスの作用に対する耐性または軽減に関して植物に有益な作用を有していてもよい。
【0051】
したがって、活性剤は当技術分野で公知の多様な肥料、病虫害防除剤および除草剤を含んでいてもよい。適切な肥料はたとえば、Kirk−Othmer,Concise encyclopedia of chemical Technology,4th Ed.v.10,pp.433−514(1993)に開示される。マグネシウムおよび鉄のような無機物を含む他の緑化剤も同様に“活性剤”に含まれる。病虫害防除剤は害虫または病気から植物を保護し、化学的または生物学的であってもよく、そして当技術分野で公知の抗真菌剤、抗菌剤、殺虫剤および抗ウイルス剤であってもよい。
【0052】
本明細書では、本明細書に添付の配列表に示されたアミノ酸配列を有する代表的な植物GAD酵素およびカルモジュリン結合ドメインを欠如するその形状について言及するが、本発明はこれらの具体的なアミノ酸配列に限定されないと判断される。突然変異および/または進化を通じて、たとえばアミノ酸挿入、置換、欠失などを持つ、異なる長さおよび異なる成分を有するポリペプチドが生じてもよいということを当業者は認識するであろう。そしてかかるポリペプチドは、本明細書に記載のアミノ酸相同性および好都合な機能性に基づいて本明細書に示された配列に関連するか、または十分に類似する。本明細書に記載のように、グルタミン酸からGABAへの変換に機能を果たすポリペプチドの変異体も本発明の範囲内に包含される。
【0053】
多様な種の植物が通例、上記の挿入、置換および/または欠失を含み、さらに類似した機能を効果的に提供する相同性蛋白質を発現し、利用することは公知である。たとえば、他の種から単離されたアミノ酸配列が、SEQ ID NOS:2、4、6、8、10、12、14、16および18に示された配列からある程度異なり、それにもかかわらず触媒および調節機能に関して類似した機能を有していてもよい。そのような変化を含むアミノ酸配列は本発明の範囲内に含まれ、そして参照アミノ酸配列に実質的、または十分に類似すると考えられる。本発明は、それによって好都合な結果を達成するいずれかの理論により限定されることを意図しないが、適切な機能性を維持するために必要なアミノ酸配列間の同一性がポリペプチドの三次構造の維持に関連し、その結果特定の相互作用配列が適切に位置すると考えられ、そして適切な空間関係においてこれらの相互作用配列を含むポリペプチドが、たとえそれの他の部分に変化が存在しても、優れた活性を有するということを企図する。
【0054】
この点に関して、本明細書に記載の蛋白質の変異体が、たとえば多様な植物種間に保存されるアミノ酸を含む場合、または本明細書に記載の蛋白質を発現する別の植物種の与えられた位置に存在する非保存アミノ酸を含む場合、それらはSEQ ID NOS:2、4、6、8、10、12、14、16および18に示された配列に機能的に類似すると予想される。
【0055】
類似性が2つのアミノ酸配列間に存在しているかもしれない別の様式は、1群(たとえば、非極性アミノ酸、非荷電極性アミノ酸、荷電極性アミノ酸または荷電極性塩基性アミノ酸)の与えられたアミノ酸が同じアミノ酸群の別のアミノ酸により置換される場合である。たとえば、非荷電極性アミノ酸セリンはポリペプチドの機能を実質的に変化させずに、一般にポリペプチド中の非荷電極性アミノ酸トレオニンに置換されてもよいことは既知である。与えられた置換が酵素の機能に影響を与えるか否かは、不適当な実験をせずに、当技術分野で公知の合成技術およびスクリーニングアッセイを使用して決定することができる。
【0056】
本発明の一態様において、本発明のDNA構築物における使用のために選択されるポリペプチドは、本明細書に記載のアミノ酸配列に少なくとも約60%同一性を有するアミノ酸配列を含む機能的植物GADをコードし、そしてグルタミン酸からGABAへの変換を触媒するために効果的である。別の態様において、構築物は本明細書に記載のアミノ酸配列に少なくとも約70%同一性を有するアミノ酸配列を含む機能的植物GADをコードするポリヌクレオチドを含む。さらに別の態様において、構築物は本明細書に記載のアミノ酸配列に少なくとも約80%同一性を有するアミノ酸配列を含む機能的植物GADをコードするポリヌクレオチドを含む。さらに別の態様において、構築物は本明細書に記載のアミノ酸配列に少なくとも約90%同一性を有するアミノ酸配列を含む機能的植物GADをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0057】
同一性の割合は、たとえばOxford Molecular Group,Inc.(Beaverton,OR)から入手可能な、MacVector computer program,version6.0.1を使用して、配列情報を比較することにより決定してもよい。手短に述べると、MacVector programは、2つの配列の短い方における記号の総数により割り算された、位置合せされた同一の記号(すなわちヌクレオチドまたはアミノ酸)の数として同一性を定義する。プログラムは比較する蛋白質全長にわたる同一性の割合を決定するために使用してもよい。MacVector programのための好ましいデフォルトパラメータは以下のものを含む:ペアワイズのアラインメントに対して:(1)マトリックス=BLOSUM30;(2)アラインメントスピード‐速;(3)Ktuple=1;(4)ギャップペナルティー=1;トップダイアゴナル(Top diagonals)=5;ウィンドウサイズ=5;マルチプルアラインメントに対して:マトリックス=BLOSUMシリーズ、オープンギャップペナルティー=10;エクステンディッドギャップペナルティー=0.1,ディレイダイバージェント(delay divergent)=40%;蛋白質ギャップパラメータ:ギャップ分離距離(separation distance)=8;残基特異的ペナルティー=yesまたはon;親水性残基=GPSNDQEKR。
【0058】
配列表はまた、SEQ ID NOS:2、4、6、8、10、12、14、16および18に示されたアミノ酸配列をコードする、SEQ ID NOS:1、3、5、7、9、11、13、15および17として同定される9ヌクレオチド配列を示す。本発明はまた、本明細書に具体的に記載された核酸配列と異なるが、機能的植物GAD酵素をコードする代わりのポリヌクレオチドを企図すると判断される。とりわけ、本発明は代わりの態様において、上記の同一性パラメータ内にアミノ酸配列を有する蛋白質をコードするポリヌクレオチドを含むDNA構築物を特に企図する。
【0059】
具体的なアミノ酸配列をコードする手順は、1以上の塩基変化(すなわち、挿入、欠失、置換)を有するDNA配列を含んでいてもよく、それはコードされたアミノ酸における変化を引き起こさないか、または1以上のアミノ酸を変化させてもよい塩基変化を含むが、DNA配列によりコードされたポリペプチドの機能的性質を除去しない。
【0060】
したがって、本発明は、本明細書に記載の蛋白質をコードする1以上の具体的な代表的なポリヌクレオチドを包含すると理解すべきである。たとえば、配列の欠失、挿入、または置換のような配列の改変は、得られたポリペプチド分子の機能的性質に実質的な影響を与えない“サイレント”な変化を生むが、それらは本発明により明確に企図される。たとえば、遺伝コードの縮退を反映するか、または与えられた部位における化学的に等価のアミノ酸を産生する、ヌクレオチド配列の変化が企図されると判断される。したがって、疎水性アミノ酸である、アミノ酸アラニンのコドンは、別の疎水性の低い残基、たとえばグリシン、またはより疎水性である残基、たとえばバリン、ロイシン、もしくはイソロイシンをコードするコドンにより置換されてもよい。同様に、他に対して負に荷電した1残基、たとえばグルタミン酸に対するアスパラギン酸、または他に対して正に荷電した1残基、たとえアルギニンに対するリジンの置換を生じる変化も、生物学的に等価な産物を産生すると期待してもよい。
【0061】
コードされたポリペプチド分子のN末端およびC末端部分の変化を生じるヌクレオチド変化も、一般にポリペプチドの活性を変化させると期待されないであろう。いくつかの場合には、実際ポリペプチドの生物学的活性に対する変化の影響を研究するために、配列の突然変異を作製することが望ましくてもよい。意図した改変のそれぞれは十分に当技術分野の常法の範囲内である。
【0062】
一態様において、本発明に従ってDNA構築物を使用するために選択されるポリヌクレオチドは機能的植物GAD酵素をコードする配列を有する。別の態様において、ポリヌクレオチドは機能的植物GAD酵素をコードする配列を有し、適度にストリンジェントな条件下でそれとハイブリダイズするであろう参照ポリヌクレオチドのコーディング領域に十分類似した配列を有する。類似性を決定するこの方法は、本発明が関連する技術分野で公知である。手短に述べると、適度にストリンジェントな条件はSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.Vol.1,pp.101−104,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)に定義され、5X SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム溶液)、0.5% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1.0mM エチレンジアミン四酢酸(EDTA)(pH8.0)の前洗浄溶液ならびにハイブリダイゼーションおよび55℃、5X SSCの洗浄条件の使用を含む。
【0063】
さらに別の態様において、機能的植物GAD酵素をコードするポリヌクレオチドが選択され、そしてSEQ ID NOS:1、3、5、7、9、11、13、15および17で示されるヌクレオチド配列のコーディング領域に少なくとも約70パーセントの同一性を有する。別の態様において、機能的植物GAD酵素をコードするポリヌクレオチドが選択され、そしてSEQ ID NOS:1、3、5、7、9、11、13、15および17で示されるヌクレオチド配列のコーディング領域に少なくとも約80パーセントの同一性を有する。別の態様において、機能的植物GAD酵素をコードするポリヌクレオチドが選択され、そしてSEQ ID NOS:1、3、5、7、9、11、13、15および17で示されるヌクレオチド配列のコーディング領域内の指定の長さに少なくとも約90パーセントの同一性を有する。代わりの態様において、指定された長さは、約100,約200,約300,約800または約900ヌクレオチド、または全コーディング配列である。同一性の割合はたとえば、アミノ酸同一性に関連して先に記載されたMacVector programを使用した配列情報を比較することにより決定してもよい。好ましいデフォルトパラメータは以下のものを含む:(1)ペアワイズのアラインメントに対して:(a)Ktuple=1;(b)ギャップペナルティー=1;(c)ウィンドウサイズ=4;および(2)マルチプルアラインメントに対して:(a)オープンギャップペナルティー=10;(b)エクステンディッドギャップペナルティー=5,(c)ディレイダイバージェント=40%;および(d)トランジション=重み付き(weighted)。
【0064】
別の側面において、本発明は他の目的のために本明細書に記載されたヌクレオチド配列の使用を企図する。たとえば、ある場合において、細胞の、または植物の生来のGAD酵素の発現を抑制することが望ましい。非限定的な例としては、カルモジュリン結合ドメインを持つ生来のGAD酵素の発現を抑制するが、同時にカルモジュリン結合ドメインを欠如するGAD酵素の発現を選択的に行い、それによって1以上の具体的に選択されたシグナルにだけ反応してGABAを産生する発現系を設計することが望ましい状態を含む。
【0065】
したがって、本発明はまた、GABA産生に関与する遺伝子を操作するための研究方法を提供し、したがって細胞ストレスおよび/または成長過程のより詳細な研究のための非常に貴重な手段である。たとえば、植物GAD遺伝子の操作は代謝変動、栄養利用および貯蔵、細胞分化、成長、老化、ならびにシグナル伝達に関するGABAに関連した過程の役割に関する定量的な情報を提供することができる。そのような操作はまた、生物的および非生物的ストレスに対する作物耐性を促進することにより作物生産性を向上させるための方法を提供する。作物の品質および収率は、病気を含む多様な環境ストレスに対する耐性を増大させることにより改善される。ストレスおよび病気は共に栽培植物の光合成および窒素効率の低下を引き起こし、収率の低下をもたらす。
【0066】
遺伝子プロモータもしくは過剰発現、アクティベーションタギング(Weigel D,Ahn JH,Blazquez JO,Christensen SK,Fankhauser C,Ferrandiz C,Kardailsky I,Malancharuvil EJ,Neff MN,Nguyen JT,Sato S,Wang ZY,Xia Y,Dixon RA,Harrison MJ,Lamb CJ,Yanofsky MF,Chory J.2000.Activation tagging in Arabidopsis.Plant Physiol 2000 122:1003−1014)、共抑制(Elmayan T,Balzergue S,Beon F,Bourdon V,Daubremet J,Guenet Y,Mourrain P,Palauqui JC,Vernhettes S,Vialle T,Wostrikoff K,Vaucheret H 1998.Arabidopsis mutants impaired in cosuppression.Plant Cell 10:1747−1758)(Palauqui JC.and Vaucheret H,Transgenes are dispensable for the RNA degradation step of cosuppression.1998.Proc Natl Acad Sci USA 95:9675−9680)、“ノックアウト”(Azpiroz−Leehan,R.and Feldmann,K.A.(1997)T−DNA insertion mutagenesis in Arabidopsis:going back and forth.Trends Genet 13:152−156)(Krysan,P.J.,Young,J.C.and Sussman,M.R.(1999)T−DNA as an insertional mutagen in Arabidopsis.Plant Cell 11:2283−2290) (Meissner,R.C., Jin,H.,Cominelli,E., Denekamp,M., Fuertes,A., Greco,R., Kanz,H.D., Penfield,S., Petroni,K., Urzainqui,A., Martin,C., Paz−Ares,J., Smeekens,S., Tonelli,C., Weisshaar,B., Baumann,E., Klimyuk,V., Marillonnet,S., Patel,K.,Speulman,E., Tissier,A.F., Bouchez,D., Jones,J.J.D., Pereira,A.,wisman,E.and Bevan,M,(1999) Function Search in a Large Transcription Factor Gene Family in Arabidopsis:Assessing the Potential of Reverse Genetics to Identify Insertional Mutations in R2R3MYB Genes.Plant Cell 11:1827−1840)、またはGAD相同体のアンチセンス構築物の使用によりこの過程を支配することは以下の機会を提供する:(1)遺伝子を“サイレンシング”することによりGABA産生を阻害し、それにより、植物ストレス(生物的または非生物的)シグナルを低下させることにより変化させ、サイズまたは生産性の増大のような有益な農学的特性を変化させること、および(2)植物GAD遺伝子(複数の遺伝子)を過剰発現させる方法を使用して、たとえば、シグナル伝達を導き、そしてストレスへの増大した反応を介した植物組織または細胞損傷による、病原体または環境損傷のさらにいっそうの拡散を停止させる。
【0067】
アンチセンス抑制に関して、本発明はアンチセンスポリヌクレオチドを植物細胞に導入することを含む方法を提供し、かかるポリヌクレオチドは本明細書に提供されたヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列、好ましくはそのコーディング領域、たとえばSEQ ID NO:1、3、5、7、9、11、13、15もしくは17で示されるヌクレオチド配列に相補的であるもの、またはその中に全長ヌクレオチドへの少なくとも約70%同一性、より好ましくは少なくとも80%同一性、最も好ましくは約90%同一性を有するヌクレオチド配列を有する。アンチセンスヌクレオチドは約20〜約400ヌクレオチド、約20〜約800ヌクレオチド、約20〜約1400ヌクレオチドまたは約20〜約1800ヌクレオチドの長さを有していてもよい。別の態様において、アンチセンスポリヌクレオチドはSEQ ID NO:1、3、5、7、9、11、13、15または17で示されるヌクレオチド配列のコーディング領域の全長と同じ長さである。
【0068】
アンチセンスポリヌクレオチドは鋳型鎖にハイブリダイズしてもよく、それはRNAが産生される鎖として働き、その結果転写は減少するであろう。あるいは、アンチセンスポリヌクレオチドは、mRNA配列のようなRNA配列に相補的であり、したがってそれにハイブリダイズし、本明細書に記載のヌクレオチド配列から転写されてもよく、その結果GAD酵素のようなコードされた蛋白質を発現するためのmRNA配列の翻訳が減少するであろう。アンチセンスポリヌクレオチドはDNAまたはRNAのいずれであってもよく、そしてホスホジエステル結合により結合するヌクレオチドを含んでいてもよい。安定性を増大させるために、アンチセンスポリヌクレオチドを当技術分野で公知のように改変してもよい。たとえば、アンチセンスポリヌクレオチドはホスホロチオエート結合により結合するヌクレオチドを含んでいてもよく、または当技術分野で公知の改変された塩基を含んでいてもよい。そのようなアンチセンスオリゴヌクレオチドは市販のものを購入してもよく、または自動シンセサイザーの使用を含む、当技術分野で公知の方法を使用して合成してもよい。
【0069】
好ましいアンチセンスオリゴヌクレオチドは特定のポリヌクレオチドのコーディング領域に相補的であるが、配列はさらに非コーディング領域の選択された配列に結合してもよい。本発明のさらに好ましい形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドはATG開始コドンに隣接したヌクレオチドに結合するであろう。
【0070】
本明細書の説明から当業者は理解するように、本発明の一形態はシグナルに反応して選択的にGABAの産生を増す形質転換植物を作製するための方法である。本発明の方法は、機能的植物GAD酵素をコードするポリヌクレオチドに操作可能に結合した非構成プロモータを含むDNA構築物を植物ゲノムに組み込み、形質転換植物を提供することであり;ここで形質転換植物はシグナルに反応してポリヌクレオチドを発現する。ある態様において、プロモータは組織優先プロモータ、組織特異的プロモータ、細胞型特異的プロモータおよび誘導プロモータからなる群から選択される。他の態様において、プロモータは、機械的ショック、熱、冷気、塩、冠水、乾燥、外傷、低酸素、病原体、紫外線‐B,栄養欠乏、開花シグナル、結実シグナル、細胞特殊化およびそれらの組合せからなる群から選択されるシグナルに反応する誘導プロモータである。一態様において、GAD酵素は機能的自己阻害性カルモジュリン結合ドメインを含まない、改変されたGADである。
【0071】
本発明に従って多様な標的植物が企図される。一態様において、標的植物はウキクサ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、トウモロコシ、ギョウギシバ、イチゴツナギ、ウシノケグサ、アブラナ、ジャガイモ、ニンジン、サツマイモ、インゲン、エンドウ、チコリー、レタス、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、カブ、ダイコン、ホウレンソウ、アスパラガス、タマネギ、ニンニク、ナス、トウガラシ、セロリ、スクワッシュ、カボチャ、ズッキーニ、キュウリ、リンゴ、洋ナシ、マルメロ、メロン、プラム、チェリー、モモ、ネクタリン、アンズ、イチゴ、ブドウ、ラズベリー、ブラックベリー、パイナップル、アボカド、パパイヤ、マンゴー、バナナ、ダイズ、ツルナシインゲン、タバコ、トマト、ピーマン、モロコシおよびサトウキビからなる群から選択される。
【0072】
植物の形質転換は当業者の認識範囲内の多様な方法により行うことが可能である。一態様において、DNA構築物は(i)DNA構築物により宿主植物の細胞、組織または器官を形質転換すること;(ii)DNA構築物を含む形質転換細胞、細胞カルス、体細胞胚、または種子を選択すること;(iii)選択された形質転換細胞、細胞カルス、体細胞胚、または種子から完全な植物を再生すること;(iv)ポリヌクレオチドを発現する再生された完全な植物を選択することにより、植物に組み込まれる。本発明はまた、DNA構築物がホモ接合状態で植物に組み込まれる、形質転換植物を含む、本発明に従って得られた形質転換植物、およびその子孫を提供する。
【0073】
本発明の別の形態において、植物GAD酵素をコードするポリヌクレオチドに操作可能に結合した非構成プロモータを含むDNA構築物を提供し;ここでプロモータはシグナルに反応して宿主細胞におけるポリヌクレオチドの発現を調節する。一態様において、プロモータは組織特異的植物プロモータである。別の態様において、プロモータは誘導植物プロモータである。本発明はまた、細胞の形質転換に有用なベクターを提供し、かかるベクターは上記のDNA構築物を含む。別の側面において、本発明は機能的植物GAD酵素をコードするポリヌクレオチドに操作可能に結合した非構成プロモータを含む、外来遺伝子をその中に組み込ませた細胞を提供する。一態様において、細胞は植物細胞である。本発明はまた、機能的植物GAD酵素をコードするポリヌクレオチドに操作可能に結合した非構成プロモータを含む、外来遺伝子をその中に組み込ませた植物を提供する。
【0074】
本発明の別の形態においてキメラポリヌクレオチドを提供し、それによって形質転換植物細胞に増大したGABA産生を引き起こし、かかるキメラは非構成プロモータを含む調節配列;および機能的植物GAD酵素をコードする核酸フラグメントを含む。一態様において、核酸フラグメントは以下のものからなる群から選択されるメンバーを含む:(i)SEQ ID NO:2、4、6、8、10、12、14、16または18のアミノ酸配列を有する酵素をコードする核酸フラグメント;(ii)酵素の機能を除去しないアミノ酸置換、付加および欠失を包含する、SEQ ID NO:2、4、6、8、10、12、14、16または18のアミノ酸配列を有する酵素をコードする核酸フラグメント;(iii)SEQ ID NO:1、3、5、7、9、11、13、15または17の核酸フラグメント;および(iv)コードされた酵素の機能を除去しない塩基変化を包含する、SEQ ID NO:1、3、5、7、9、11、13、15または17の核酸フラグメント。
【0075】
別の形態において、本発明は以下のことを含む形質転換植物を作製するための方法を提供する:(1)植物GAD酵素をコードするポリヌクレオチドに操作可能に結合した構成プロモータを含むベクターを提供すること;(2)ポリヌクレオチドを発現する1以上の形質転換植物を提供するために、ベクターにより1以上の植物を形質転換すること;および(3)(i)非ストレス状態で、植物の乾燥重量1グラムにつき約0.20ミリグラムまでのGABA濃度を示す;または(ii)非形質転換植物に比べて成長の特徴、収率、再生機能または他の形態学的もしくは農学的特性の著しい損失を示さない、形質転換植物を選択すること。一態様において、GAD酵素は機能的自己阻害性カルモジュリン結合ドメインを含まない改変されたGADである。別の態様において、形質転換植物は同じ条件下で、同じ種の非形質転換植物によりGAD酵素が産生されるより、実質的に速い速度でGAD酵素を産生する。植物は以下のことにより形質転換されてもよい:(i)DNA構築物により宿主植物の細胞、組織または器官を形質転換すること;(ii)DNA構築物を含む形質転換細胞、細胞カルス、体細胞胚、または種子を選択すること;(iii)選択された形質転換細胞、細胞カルス、体細胞胚、または種子から完全な植物を再生すること;および(iv)ポリヌクレオチドを発現する、再生された完全な植物を選択すること。本発明はまたかかる方法を使用して形質転換された植物を提供する。
【0076】
本発明の別の側面において、GAD酵素をコードするポリヌクレオチドに操作可能に結合した構成プロモータを含むベクターにより形質転換された植物、またはその子孫が提供される。植物はポリヌクレオチドを発現し;そして植物は(i)非ストレス状態で、植物の乾燥重量1グラムにつき約0.20ミリグラムまでのGABA濃度を示すか;または(ii)非形質転換植物に比べて成長の特徴、収率、再生機能または他の形態学的もしくは農学的特性の著しい損失を示さない。一態様において、植物はウキクサ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、トウモロコシ、ギョウギシバ、イチゴツナギ、ウシノケグサ、アブラナ、ジャガイモ、ニンジン、サツマイモ、インゲン、エンドウ、チコリー、レタス、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、カブ、ダイコン、ホウレンソウ、アスパラガス、タマネギ、ニンニク、ナス、トウガラシ、セロリ、スクワッシュ、カボチャ、ズッキーニ、キュウリ、リンゴ、洋ナシ、マルメロ、メロン、プラム、チェリー、モモ、ネクタリン、アンズ、イチゴ、ブドウ、ラズベリー、ブラックベリー、パイナップル、アボカド、パパイヤ、マンゴー、バナナ、ダイズ、ツルナシインゲン、タバコ、トマト、ピーマン、モロコシおよびサトウキビからなる群から選択される。
【0077】
本明細書に提供されるいずれの実験、実験的実施例、または実験結果も本発明を説明することを意図し、本発明の範囲を限定または制限するものと見なすべきではない。さらに、本明細書に記載のいずれの理論、作用機序、または発見は、本発明の理解をさらに促進することを意図し、いずれの点でも、本発明をそのような理論、機序または発見に限定することを意図しない。本明細書に引用されたすべての刊行物、特許、および特許出願は、それぞれの刊行物、特許、および特許出願が具体的に、そして個々に、まるで本明細書に参照として援用し、そしてそのまま示すために記載されたように、参照として本明細書に援用する。本発明は図面および上記の説明により詳細に説明され、そして記載されているが、同じものは特徴を説明するものとして見なし、限定するものではないと見なすべきであり、選択された態様だけが示され、記載されていること、そして本明細書に記載の本発明の意図内にあるすべての変更、等価物、および改変は保護されることが望ましいと判断される。
【0078】
次に上記の核酸分子、方法および形質転換植物を説明する具体的な実施例について説明されるであろう。実施例は好ましい態様を説明し、それによる本発明の範囲の限定を意図しないと理解すべきである。
【0079】
【実施例】
実施例1
改変されたGADを持つ植物の構築
一連のトランスジェニック植物、シロイヌナズナArabidopsis thaliana(WS生態型)は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を基にしたクローニング法を使用して開発されている。以下の遺伝子構築物の一つを発現する一連のトランスジェニック植物が開発されている。一組の植物はGAD1またはGAD2遺伝子構築物のいずれかを過剰発現し、それぞれセンスGAD1(senGAD1)またはGAD2(senGAD2)と呼ばれている。別の組の植物は、それぞれのCaM‐BDsを持たないGAD1またはGAD2を過剰発現し、それらの構築物は、CaM‐BDsの前に停止コドンを含むため、それぞれ切断GAD1(trunGAD1)またはGAD2(trunGAD2)と呼ばれる。最後の組の植物はGAD1またはGAD2のいずれかのアンチセンス構築物を過剰発現し、それらの構築物はそれぞれ、アンチセンスGAD1(antiGAD1)またはGAD2(antiGAD2)と呼ばれる。
【0080】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)が、上記の構築物:senGAD1,senGAD2,trunGAD1、trunGAD2,antiGAD1、またはantiGAD2の一つを構成的に発現する植物を設計するために使用された。各構築物の設計法は同じであった。各cDNAのヌクレオチド配列、GAD1またはGAD2のいずれかは、MacVector(Oxford Molecular Group,Inc.Beaverton,PR)ソフトウェアを使用して分析し、制限酵素を同定した。cDNA配列にはないが、植物ベクター、pPV1(以下に記載)に存在する制限酵素の核酸配列、または認識部位は遺伝子特異的プライマーの5′末端に添加された。センスおよびアンチセンスGAD1およびGAD2構築物の合成のための合成された1対の遺伝子特異的プライマーは合成されて市販されていた。5′プライマーのそれぞれは選択された制限酵素の認識配列に対応するヌクレオチド配列の前の4ヌクレオチド(GCCC)で開始し、制限分解の効率を高める。次のヌクレオチドは、遺伝子の予測された翻訳開始部位(ATG)で始まるオープンリーディングフレームのはじめの24〜29塩基に対応する。同様に、3′プライマーは選択された制限酵素の認識配列に対応するヌクレオチド配列の前の4ヌクレオチド(GCCC)で始まる。予測された翻訳終了部位(TAA、TGA、またはTAG)で開始するオープンリーディングフレームの少なくとも24〜29塩基の逆相補物がこれに続く。予測された翻訳開始および終了部位はGenbankの登録から得られた。GAD1およびGAD2のオープンリーディングフレームを含む核酸配列は増幅され、植物発現‐ベクターpPV1(以下に説明)にクローニングされた。GAD1およびGAD2構築物の配列に対して制限部位を持つ合成されたオリゴヌクレオチドプライマーを表1に示す。表1では、すべての配列は5′から3′に記載される。特有の制限部位(XbaI、ボールド体)が下線部の予測された翻訳開始部位(ATG)および下線部ストップの翻訳終了部位(TAA)の予測された逆相補物に対し、5′側に添加された。付加的な4ヌクレオチド(GCCC)が5′末端に添加され、制限酵素による完全な分解の確率を増した。
【0081】
【表1】
Figure 2005506034
【0082】
遺伝子増幅キット(PanVera Corporation,Madison,WI)を使用して、別々の増幅反応が適切なcDNAクローンと共に5′‐および3′‐GAD特異的プライマーにより行われた。増幅反応は、以下の様に行われた:94℃ 30秒、55℃ 30秒および72℃ 4分、25サイクル。増幅されたフラグメントはHindIIIにより分解され、ベクターに連結され、XL1−BlueMRF′(Stratagene,La Jolla,CA)コンピテント細胞に転換された。正しいオリエンテーションは制限エンドヌクレアーゼ、PCR、または配列解析により確認した。
【0083】
任意のGAD構築物のセンスおよびアンチセンスの増幅には、同じセットの5′‐および3′‐プライマーが使用された。DNAの両末端は類似した制限部位を持つため、挿入物は適切なカットベクターのいずれの方向においても理論的にクローン化するであろう。ベクターにおける挿入物の方向は以下の方法の一つにより決定された(a)制限酵素解析、(b)遺伝子特異的およびベクター特異的プライマーによるPCRまたは(c)DNA配列解析。
【0084】
それぞれのカセットは5′‐および3′‐末端に添加された特有の制限酵素部位を有した。増殖されたフラグメントはPCRクローニングベクターにクローニングされた。それぞれの構築物の配列は、標準クローニング技術を使用して、植物形質転換ベクター、pPV1にカセットをクローニングする前に確認した。ベクター、pPV1は、GUSがない付加的な特有の制限部位を持つ、改変されたpBII21(Clontech)ベクターである。ベクターはCaMV35Sプロモータおよびノパリンシンターゼターミネータを含む。クローン化された構築物のオリエンテーションは制限エンドヌクレアーゼおよびPCR解析により確認した。一つの修正、すなわち浸潤培地への0.02%(v/v)Silwetの添加をした真空浸潤法(Bechtold,N.and bouchez,D.(1995)In planta Agrobactetium−mediated transformation of adult Arabidopsis thaliana plants by vacuum infiltration.In Gene Transfer to Plants.I.Potrykus and G.Spangenberg Eds.Springer−Verlag,Heidelberg,pp.19−23)を使用して、クローニング完了時に、二元ベクター構築物は、アグロバクテリウム ツメファシエンスAgrobacterium tumefaciens、EHA105の安全化された系統、続いてシロイヌナズナ(Ws生態型)に移された。形質転換植物から集めた種子を発芽させ、カナマイシン耐性に関して選択した。13の別個のantiGAD2植物、13の別個のsenGAD2、20の別個のtrunGAD2および15の別個のpPV1植物がカナマイシン耐性であった。これらの植物を自己交雑し、100%カナマイシンに対して選択し、T3植物の解析を開始している。
【0085】
実施例2
機械刺激(mechanical stimulation: MS)後のシロイヌナズナにおけるGABAの迅速な蓄積
機械刺激(MS)後の野生型シロイヌナズナにおけるGABAの迅速で一過性の蓄積に関する解析が行われた。植物は別々に2インチの容器に植え、Turano and Fang(1998)が先に記載したように育てた。2週齢の植物にMS(1gm/cm)をかけ、MS後植物を異なる時間間隔(1、2、5、15分)で収穫した。試料は直ちに液体窒素で凍結し、遊離アミノ酸を測定した。図1の値は5つの試料の平均値であり、棒は±SDを表す。
【0086】
アミノ酸の量を測定するために、凍結試料を液体窒素中で粉末にした。遊離アミノ酸は凍結乾燥組織100mgから95%エタノールで抽出した。内部標準が各試料に添加され、収率が決定され、各アミノ酸の量が定量された。試料は、混合および注入に自動化システム(Millipore)を使用し、N−ヒドロキシスクシニミジル−6−アミノキノリルカーバメート(AMQ)を使用して、誘導体化された(Cohen,S.A.and Michaud,D.P.(1992)Highly accurate,high sensitivity amino acid analysis with novel carbamates as pre−column derivating reagents.)。誘導体化されたアミノ酸は逆相クロマトグラフィーにより分離し、ピークは蛍光法により検出した。
【0087】
結果は、MS後植物に迅速で一過性の遊離GABAの上昇がみられることを示す。GABA量は5分で最高になり、値はMS後15分で正常に戻る。
【0088】
実施例3
機械刺激(MS)後のantiGAD2シロイヌナズナにおけるGABA蓄積
カナマイシン耐性T3antiGAD2植物の蛋白質をいくつかの同胞から抽出し、イムノブロット法を使用してGADペプチドを同定した(図2)。同胞E1&E2およびH1、H4&H5は検出可能な量のGAD2を持たず、それらは機械刺激(MS)5分後にGABAを蓄積しなかった。MS処理の詳細は以下に説明する。antiGAD2植物の表現型は、20〜22℃で空気移動および/または振動のほとんどまたは全くないチェンバー中で、通常成長条件下で育てられる場合、正常であると考えられる。非摂動シロイヌナズナではGABAが低レベルのため、非ストレスantiGADと野生型植物におけるGABA蓄積の相対的な差を評価することは非常に難しい。
【0089】
図2は野生型およびantiGAD植物のイムノブロット解析を表す。蛋白質はウェルに等しくロード(75ug/レーン)し、SDS‐PAGE(8% ポリアクリルアミド)により分離し、ニトロセルロースにブロットし、蛋白質を染色して等しいロードを確認し、脱染色し、GAD2ペプチド(A)を化学発光検出系(SuperSignal,Pierce,Rockville,IL)を使用してイムノブロット法により検出した。図2Aのはじめのレーンは陽性対照として、組換えGAD2(rGAD、56kDa)を含む。大腸菌のrGAD2のクローニング、発現および精製の説明はTurano and Fang(1998)を参照されたい。2番目のレーンは野生型シロイヌナズナの蛋白質抽出物を含む。残りのレーンは異なるantiGAD2植物の蛋白質抽出物を含む。図2Bのはじめのレーンは試料を含まない。各レーンの下部の値はMSおよび非MS処理植物間の、MS(1gm/cm)5分後のGABAの増加(%)を表す。MS実験の説明については図1を参照されたい。図2では、n.d.=測定されない。同胞E1&E2およびH1、H4&H5は熱ショックに対する反応に関して試験されたことに注目すべきであり、antiGAD2‐H1植物は図3に写真で示す。すべての植物は野生型またはpPV1植物より熱ショックに対して耐性が低かった。
【0090】
実施例4
antiGAD2植物は熱ショックに耐性でないという証拠
はじめの実験はGAD2が熱ショックに対する植物の反応において役割を果たすか否かを試験するために行われた。antiGAD2、pPV1(ベクター対照)および野生型植物は2週間常温(20〜21℃)で育て、2時間熱ショック(42℃)をかけ、そして20〜21℃に戻した。24時間後antiGAD2植物は熱ショック処理に耐えることができず、葉は淡緑色から白色に変化し(図3)、そしてクロロフィル含量は劇的に減少した。これらはGAD2が熱ショックに対する植物の反応において役割を果たしているかもしれないことを示唆する最初のデータである。
【0091】
実施例5
機械刺激、GABA蓄積および植物の生長が関連しているかもしれないという証拠
MS後の植物におけるGABA量の増加が報告され、類似した現象がシロイヌナズナにおいて示されている(図1)。長期反復MSが、植物の増殖、成長および形態変化を変化させることが報告され、接触形態形式と呼ばれている。類似した変化がシロイヌナズナにおいて観察されている。図4はシロイヌナズナの反復MSが形態変化を引き起こしたことを示す。接触された植物は対照植物より40%丈が低く、回転振とう機で刺激した植物より薹(bolt)の高さが変化しにくかった(図4a)。Turano and Fang(1998)に記載のように、植物は空気移動がほとんどないか、全くないチェンバー中で3、10または17日間育てた。植物はそれぞれ、21、14または17日間、1日2回接触(1g/cm)または100rpmで回転振とう機上で継続して振とうすることのいずれかにより機械的に刺激した。薹の高さは24日齢の植物で記録した(n=25±SD)。図4bは接触した植物と接触しないものとの差を示す。
【0092】
実施例6
trunGADの発現によるGABAの過剰発現が植物の生長を変化させることの証拠
trunGAD2植物は、イムノブロット法により確認した。カナマイシン耐性T3trunGAD2植物の蛋白質をいくつかの同胞から抽出し、GADペプチドを同定するためにイムノブロット解析を使用した。内因性GAD2およびtrunGAD2(図5)は共に多くの試料で明らかである。いくつかの試料では生来のGAD2ペプチドは見られないが、低レベルのtrunGAD2ペプチドが見られる。GAD活性はこれらの植物では測定されていない。図5Bで蛋白質に関して染色されたゲルの各レーン下部の数は、乾燥重量1グラム(GDW)あたりのGABA量を表す。図5Aのイムノブロットのはじめのレーンは、陽性対照としての組換えGAD2(rGAD、56kDa)を含む。
【0093】
trunGAD2植物の本発明者らの初めの結果は、植物を3群に分類できることを示唆する。一つの群はBaum et alにより観察されたもの(Baum,G.,Lev−Yadum,S.,Fridmann,Y.,Arazi,T.,Katsnelson,H.,Zik,M.,and Fromn,H.,(1996)Calmodulin binding to glutamate decarboxylase is required for regulation of glutamate and GABA and normal development in plants.EMBO J 15:2988−2996)に類似した。それらは対照植物に比べ高GABAおよび低Gluを有し、成長が停止し、種子をほとんどか、まったく産生しない(植物A1および同胞C1およびC2,図5など、データは示さない)。他の群は対照植物に比べ適度に多いGABAを有し、植物は対照より丈が高く、生育可能な種子を産生する(植物D1,図5など、データは示さない)。最後の群は、正常または正常以下のGABAレベルであるが、GADペプチドはほとんどないか、全くなく、そして可視量のtrunGAD2を有し、正常と考えられる(同胞G1およびG2、図5)。本発明者らは、いくつかは非常に低い収率であるが、ほとんどすべてのtrunGAD2の形質転換系統から生育可能な種子を採集できている。本発明者らの結果とBaum et al.(1996)の結果との差は、本発明者らがいくつかの異なるtrunGAD2形質転換体(20の別個の形質転換植物)を有するという事実により説明することができる。本発明者らが観察した変動性は、遺伝子挿入事象に関連した位置作用によるGAD2およびtrunGAD2の異なるレベルを表すと考えられる。GAD2およびtrunGAD2における変動性はGABA蓄積および成長、ならびにtrunGAD2植物の繁殖性に反映される。Kathiresan et al.(Kathiresan,A.,Miranda J.,Chinnappa,C.C.and Reid,D.M.(1998)γ−amino butyric acid promotes stem elongation in Stellaria longipes:the role of ethylene.Plant Growth Reg.26:131−136)およびKinnersley and Lin(Kinnersley,A.and Lin,F.(2000)Receptor modifiers indicate that 4−aminobutyric acid(GABA) is a potential modulator of ion transport in plants.Plant Growth Reg.32:65−76)は、GABAレベルと成長の特性について類似した関係を観察した。両研究において、低濃度の外来GABAは細胞伸長(Kathiresan et al.,1998)または植物成長(Kinnersley and Lin,2000)を刺激したが、高濃度の外来GABAは細胞伸長および植物成長を阻害した。
【0094】
実施例7
GAD2を過剰発現する植物は正常と考えられる。
senGAD2およびpPV1のT3植物は部分的に性状が決定された。senGAD2およびpPV1植物の表現型は、植物が通常の成長条件下にある場合、正常と考えられる。類似した観察が、全長ペチュニアGADを過剰発現するトランスジェニックタバコ植物に関して報告された(Baum et al.,1996)。
【0095】
本発明は先の説明において詳細に例証され、記載されているが、同じものは特徴を説明するものであって、限定するものではないと見なすべきであり、選択された態様だけが示され、記載されている、そして本発明の意図内にあるすべての変更、および改変は保護されることが望まれると判断される。さらに、本明細書に引用したすべての参考文献は当技術分野の技術のレベルを表し、これにより参照としてそのまま援用する。
【図面の簡単な説明】
本発明の特徴は特許請求の範囲でとりわけ示されるであろうが、本発明自体およびそれが作製され、使用される様式は、説明の一部を形成する添付の図面により理解される以下の説明を参照することにより、よりよく理解されるであろう。
【図1】図1は野生型シロイヌナズナ(Arabidopsis)におけるGABA蓄積に対する機械刺激の作用を示すグラフを表し、実施例2でより詳細に説明される。
【図2】図2は野生型および抗GAD2植物のイムノブロット解析を表し、実施例3でより詳細に説明される。蛋白質はニトロセルロース膜にブロットし、等しいロード(B)を確認するために蛋白質を染色し、脱染色し、そしてGAD2ペプチド(A)をイムノブロット解析により検出した。
【図3】図3は熱ショック処理24時間後の野生型および抗GAD2植物の画像を表し、実施例4でより詳細に説明される。
【図4】図4は機械刺激の結果を表し、実施例5でより詳細に説明される。図4Aは薹の高さの統計学的比較を表し、図4Bは実施例6に記載の植物の画像である。
【図5】図5は野生型、rGAD2およびtrunGAD2植物のイムノブロット解析を表し、実施例6でより詳細に説明される。蛋白質はニトロセルロース膜にブロットし、等しいロード(B)を確認するために蛋白質を染色し、脱染色し、そしてGADペプチド(A)をイムノブロット解析により検出した

Claims (40)

  1. 以下のことを含む、シグナルに反応してGABAの産生を選択的に増す、形質転換植物を作製するための方法:
    機能的植物GAD酵素をコードするポリヌクレオチドに操作可能に結合した非構成プロモータを含むDNA構築物を植物ゲノムに組み込んで、形質転換植物を提供すること;
    ここで該形質転換植物はシグナルに反応して前記ポリヌクレオチドを発現する。
  2. プロモータが組織優先プロモータ、組織特異的プロモータ、細胞型特異的プロモータおよび誘導プロモータからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. プロモータが組織優先プロモータである、請求項2に記載の方法。
  4. プロモータが組織特異的プロモータである、請求項2に記載の方法。
  5. プロモータが細胞型特異的プロモータである、請求項2に記載の方法。
  6. プロモータが誘導プロモータである、請求項2に記載の方法。
  7. 誘導プロモータが機械的ショック、熱、冷気、塩、冠水、乾燥、外傷、低酸素、病原体、紫外線‐B,栄養欠乏、開花シグナル、結実シグナル、細胞特殊化およびそれらの組合せからなる群から選択されるシグナルに反応する、請求項6に記載の方法。
  8. GAD酵素が、SEQ ID NO:2で示された配列;SEQ ID NO:4で示された配列;SEQ ID NO:6で示された配列;SEQ ID NO:8で示された配列;SEQ ID NO:10で示された配列;SEQ ID NO:12で示された配列;SEQ ID NO:14で示された配列;SEQ ID NO:16で示された配列;SEQ ID NO:18で示された配列およびそれらに少なくとも約60%同一性を有する配列からなる群から選択される、グルタミン酸からGABAへの反応を触媒するために有効なアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の方法。
  9. GAD酵素が機能的自己阻害性カルモジュリン結合ドメインを含まない改変されたGADである、請求項1に記載の方法。
  10. 形質転換植物が、同じ条件下で同じ種の非形質転換植物によりGAD酵素が産生される速度より早い速度でシグナルに反応してGAD酵素を産生する、請求項1に記載の方法。
  11. 標的植物が、ウキクサ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、トウモロコシ、ギョウギシバ、イチゴツナギ、ウシノケグサ、アブラナ、ジャガイモ、ニンジン、サツマイモ、インゲン、エンドウ、チコリー、レタス、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、カブ、ダイコン、ホウレンソウ、アスパラガス、タマネギ、ニンニク、ナス、トウガラシ、セロリ、スクワッシュ、カボチャ、ズッキーニ、キュウリ、リンゴ、洋ナシ、マルメロ、メロン、プラム、チェリー、モモ、ネクタリン、アンズ、イチゴ、ブドウ、ラズベリー、ブラックベリー、パイナップル、アボカド、パパイヤ、マンゴー、バナナ、ダイズ、ツルナシインゲン、タバコ、トマト、ピーマン、モロコシおよびサトウキビからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  12. ポリヌクレオチドがSEQ ID NO:1のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:3のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:5のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:7のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:9のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:11のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:13のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:15のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:17のヌクレオチド配列;および適度にストリンジェントな条件下でそれらにハイブリダイズする配列からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  13. 前記の組み込みが以下のことを含む、請求項1に記載の方法:
    (i)前記DNA構築物により宿主植物の細胞、組織または器官を形質転換すること;
    (ii)前記DNA構築物を含む形質転換細胞、細胞カルス、体細胞胚、または種子を選択すること;
    (iii)選択された形質転換細胞、細胞カルス、体細胞胚、または種子から完全な植物を再生すること;
    (iv)前記ポリヌクレオチドを発現する、再生された完全な植物を選択すること。
  14. 請求項1の方法に従って得られた形質転換植物またはその子孫。
  15. DNA構築物がホモ接合状態で植物に組み込まれる、請求項14に記載の形質転換植物。
  16. GAD酵素をコードするポリヌクレオチドに操作可能に結合した非構成プロモータを含む、DNA構築物;ここで該プロモータはシグナルに反応して宿主細胞中における前記ポリヌクレオチドの発現を調節する。
  17. GAD酵素が、SEQ ID NO:2で示された配列;SEQ ID NO:4で示された配列;SEQ ID NO:6で示された配列;SEQ ID NO:8で示された配列;SEQ ID NO:10で示された配列;SEQ ID NO:12で示された配列;SEQ ID NO:14で示された配列;SEQ ID NO:16で示された配列;SEQ ID NO:18で示された配列およびそれらに少なくとも約60%同一性を有する配列からなる群から選択される、グルタミン酸からGABAへの反応を触媒するために有効なアミノ酸配列を含む、請求項16に従ったDNA構築物。
  18. ポリヌクレオチドがSEQ ID NO:1のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:3のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:5のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:7のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:9のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:11のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:13のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:15のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:17のヌクレオチド配列および適度にストリンジェントな条件下でそれらにハイブリダイズする配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項16に記載のDNA構築物。
  19. プロモータが組織特異的植物プロモータである、請求項16に記載のDNA構築物。
  20. プロモータが誘導植物プロモータである、請求項16に記載のDNA構築物。
  21. 請求項16に記載のDNA構築物を含む、細胞を形質転換するために有用なベクター。
  22. シグナルに反応してポリヌクレオチドを発現する、請求項21に記載のベクターにより形質転換された植物、またはその子孫。
  23. 植物が、ウキクサ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、トウモロコシ、ギョウギシバ、イチゴツナギ、ウシノケグサ、アブラナ、ジャガイモ、ニンジン、サツマイモ、インゲン、エンドウ、チコリー、レタス、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、カブ、ダイコン、ホウレンソウ、アスパラガス、タマネギ、ニンニク、ナス、トウガラシ、セロリ、スクワッシュ、カボチャ、ズッキーニ、キュウリ、リンゴ、洋ナシ、マルメロ、メロン、プラム、チェリー、モモ、ネクタリン、アンズ、イチゴ、ブドウ、ラズベリー、ブラックベリー、パイナップル、アボカド、パパイヤ、マンゴー、バナナ、ダイズ、ツルナシインゲン、タバコ、トマト、ピーマン、モロコシおよびサトウキビからなる群から選択される、請求項22に記載の植物。
  24. 機能的植物GAD酵素をコードするポリヌクレオチドに操作可能に結合した非構成プロモータを含む外来遺伝子をその中に組み込まれた細胞。
  25. 酵素が、SEQ ID NO:2で示された配列;SEQ ID NO:4で示された配列;SEQ ID NO:6で示された配列;SEQ ID NO:8で示された配列;SEQ ID NO:10で示された配列;SEQ ID NO:12で示された配列;SEQ ID NO:14で示された配列;SEQ ID NO:16で示された配列;SEQ ID NO:18で示された配列およびそれらに少なくとも約60%同一性を有する配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項24に記載の細胞。
  26. 細胞が植物細胞である、請求項24に記載の細胞。
  27. 機能的植物GAD酵素をコードするポリヌクレオチドに操作可能に結合した非構成プロモータを含む外来遺伝子をその中に組み込まれた植物。
  28. 酵素が、SEQ ID NO:2で示された配列;SEQ ID NO:4で示された配列;SEQ ID NO:6で示された配列;SEQ ID NO:8で示された配列;SEQ ID NO:10で示された配列;SEQ ID NO:12で示された配列;SEQ ID NO:14で示された配列;SEQ ID NO:16で示された配列;SEQ ID NO:18で示された配列およびそれらに少なくとも約60%同一性を有する配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項27に記載の植物。
  29. 以下のものを含むキメラポリヌクレオチドにより形質転換された植物細胞において増大したGABA産生を引き起こすキメラポリヌクレオチド:
    非構成プロモータを含む調節配列;および
    機能的植物GAD酵素をコードする核酸フラグメント。
  30. 核酸フラグメントが以下のものからなる群から選択されるメンバーを含む、請求項29に従ったキメラポリヌクレオチド:
    (i)SEQ ID NO:2、4、6、8、10、12、14、16または18のアミノ酸配列を有する酵素をコードする核酸フラグメント;
    (ii)酵素の機能を損なわないアミノ酸置換、付加および欠失を包含する、SEQ ID NO:2、4、6、8、10、12、14、16または18のアミノ酸配列を有する酵素をコードする核酸フラグメント;
    (iii)SEQ ID NO:1、3、5、7、9、11、13、15または17の核酸フラグメント;および
    (iv)コードされた酵素の機能を損なわない塩基変化を包含する、SEQ ID NO:1、3、5、7、9、11、13、15または17の核酸フラグメント。
  31. 以下のことを含む、形質転換植物を作製するための方法:
    植物GAD酵素をコードするポリヌクレオチドに操作可能に結合した構成プロモータを含むベクターを提供すること;
    該ベクターにより1以上の植物を形質転換して、前記ポリヌクレオチドを発現する1以上の形質転換植物を提供すること;および
    (i)非ストレス状態で、植物の乾燥重量1グラムにつき約0.20ミリグラムまでのGABA濃度を示す;または(ii)非形質転換植物に比べて成長の特徴、収率、再生機能または他の形態学的もしくは農学的特性の著しい損失を示さない形質転換植物を選択すること。
  32. GAD酵素が、SEQ ID NO:2で示された配列;SEQ ID NO:4で示された配列;SEQ ID NO:6で示された配列;SEQ ID NO:8で示された配列;SEQ ID NO:10で示された配列;SEQ ID NO:12で示された配列;SEQ ID NO:14で示された配列;SEQ ID NO:16で示された配列;SEQ ID NO:18で示された配列およびそれらに少なくとも約60%同一性を有する配列からなる群から選択される、グルタミン酸からGABAへの反応を触媒するために有効なアミノ酸配列を含む、請求項31に記載の方法。
  33. GAD酵素が機能的自己阻害性カルモジュリン結合ドメインを含まない改変されたGADである、請求項31に記載の方法。
  34. 形質転換植物が、同じ条件下で同じ種の非形質転換植物によりGAD酵素が産生される速度より実質的に早い速度でGAD酵素を産生する、請求項31に記載の方法。
  35. ポリヌクレオチドがSEQ ID NO:1のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:3のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:5のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:7のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:9のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:11のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:13のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:15のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:17のヌクレオチド配列;および適度にストリンジェントな条件下でそれらにハイブリダイズする配列からなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
  36. 前記の形質転換が以下のことを含む、請求項31に記載の方法:
    (i)前記DNA構築物により宿主植物の細胞、組織または器官を形質転換すること;
    (ii)前記DNA構築物を含む形質転換細胞、細胞カルス、体細胞胚、または種子を選択すること;
    (iii)選択された形質転換細胞、細胞カルス、体細胞胚、または種子から完全な植物を再生すること;
    (iv)前記ポリヌクレオチドを発現する再生された完全な植物を選択すること。
  37. 請求項31の方法に従って得られた形質転換植物またはその子孫。
  38. GAD酵素をコードするポリヌクレオチドに操作可能に結合した構成プロモータを含むベクターにより形質転換された植物、またはその子孫:
    ここで該植物は前記ポリヌクレオチドを発現し;そして
    該植物は(i)非ストレス状態で、植物の乾燥重量1グラムにつき約0.20ミリグラムまでのGABA濃度を示すか;または(ii)非形質転換植物に比べて成長の特徴、収率、再生機能または他の形態学的もしくは農学的特性の著しい損失を示さない。
  39. 植物が、ウキクサ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、トウモロコシ、ギョウギシバ、イチゴツナギ、ウシノケグサ、アブラナ、ジャガイモ、ニンジン、サツマイモ、インゲン、エンドウ、チコリー、レタス、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、カブ、ダイコン、ホウレンソウ、アスパラガス、タマネギ、ニンニク、ナス、トウガラシ、セロリ、スクワッシュ、カボチャ、ズッキーニ、キュウリ、リンゴ、洋ナシ、マルメロ、メロン、プラム、チェリー、モモ、ネクタリン、アンズ、イチゴ、ブドウ、ラズベリー、ブラックベリー、パイナップル、アボカド、パパイヤ、マンゴー、バナナ、ダイズ、ツルナシインゲン、タバコ、トマト、ピーマン、モロコシおよびサトウキビからなる群から選択される、請求項38に記載の植物。
  40. 機能的植物GAD酵素をコードするポリヌクレオチドに操作可能に結合したプロモータを含む外来DNA構築物をゲノムに組み込ませた非不稔植物であって、ポリヌクレオチドはSEQ ID NO:1のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:3のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:5のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:7のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:9のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:11のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:13のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:15のヌクレオチド配列;SEQ ID NO:17のヌクレオチド配列;および適度にストリンジェントな条件下でそれらにハイブリダイズする配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含み;前記ポリヌクレオチドを発現する前記植物。
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