JP2005505708A - 他の製紙用添加剤の存在下で改良された量の炭酸カルシウム充填材を含むセルロース製品 - Google Patents
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Abstract
【課題】改良された量の炭酸カルシウム充填材を含むセルロース製品を提供すること。
【解決手段】セルロースファイバーと、このセルロースファイバーに堆積した、製紙プロセス中にその場で製造された、析出炭酸カルシウムとを含み、前記析出炭酸カルシウムは、様々なサイズ、形状、及び形態で存在し、セルロースファイバーのすべての物理的形体のセルロース製品内に存在し、前記析出炭酸カルシウムの少なくとも一部は、製紙プロセスに使用される1種又はそれ以上の化学物質と相互作用するファイバーを伴って存在するセルロース製品。
【解決手段】セルロースファイバーと、このセルロースファイバーに堆積した、製紙プロセス中にその場で製造された、析出炭酸カルシウムとを含み、前記析出炭酸カルシウムは、様々なサイズ、形状、及び形態で存在し、セルロースファイバーのすべての物理的形体のセルロース製品内に存在し、前記析出炭酸カルシウムの少なくとも一部は、製紙プロセスに使用される1種又はそれ以上の化学物質と相互作用するファイバーを伴って存在するセルロース製品。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にセルロース製品に係り、特に、改良された量の炭酸カルシウム充填材を含む製品に関する。
【背景技術】
【0002】
セルロースは、紙を製造するための基本的な原料である。主要なセルロース源は、木材、非木材、及びリサイクルファイバーにグループ分けすることが出来る。木材は、世界のバージンファイバー必要量の約93%を提供する。製紙の際に挑戦されている問題の1つは、リグニンのような製紙に有害な成分からセルロースを分離することである。パルプ形成及び漂白のプロセスは、その多くはリグニンである有機結合材の多くを除去し、更なる処理のためにファイバーを露出させる。
【0003】
一般に、パルプ形成及び漂白の後に、ファイバーが精製される。精製に際し、ファイバーは、作られた製品に関し、それらの最適な製紙特性を発展させるために、機械的作用に供される。総じて、化学的及び機械的分離プロセス中に、セルロースファイバーは変性され、品位が低下する。紙の特性は、シートを構成する様々なファイバーの構造に大きく依存する。また、所定のシート特性を付与又は強化するため、又は他の必要な目的に役立たせるために、製紙の完成紙料に使用される広範な化学物質が知られている。脱水促進剤、脱泡剤、歩留り向上剤、ピッチ分散剤、スライム防止剤、及び腐食抑制剤のような、制御目的の化学物質が、プロセス及び品質の要求に基づき、必要に応じて添加される。
【0004】
炭酸カルシウムは、アルカリ製紙に際し添加されるこれらの化学物質の1つであり、「充填材」の分類に含まれる。炭酸カルシウムは、紙の光学的及び表面の特性を改善するため、及び製造コストを減少させるために、ファイバー間の空隙に充填するために添加される。これは、充填材は、ある特定の顔料を除いて、一般にファイバーよりも安価であるためである。ファイバーの形態及び炭酸カルシウムの特性が、最終製品における炭酸カルシウムの析出メカニズムを大きく決定する。
【0005】
ファイバーの形態を議論する上で、木材中のファイバーの発生及び製紙工程中に生ずるファイバーへの転換を考慮することが基本である。樹木は、広葉樹と針葉樹とに分類される。その相違は、樹木細胞の発達及び成長の結果である。その細胞は細長い細胞であり、幹の長手方向に配向している。針葉樹の木材は、ファイバーとしても知られている仮動管(90−95%)と、放射組織細胞(5−10%)の2種類の細胞からなる。広葉樹は、仮動管(55%)、動管要素(30%)を含み、残りは放射組織細胞及び柔細胞である。細胞の主要な機能は、a)液体の輸送の機能を果たすこと、b)機械的強度を提供すること、及びc)養分を貯蔵することである。この主要な機能は、細胞の型により変化する。隣接するファイバー又は細胞間の「細胞ピット」は、水溶液及び養分の分散を達成する。J. Gullichsen, H. Paulapuro, Paper Science and Technology, Book 3, TAPPI, Ed.2000, page 22を参照のこと。ピットの型は、ピットが形成される細胞の型に依存する。樹木は、細胞の分裂を通して生長する。細胞の分裂及び樹木の生長は、連続プロセスであり、成長速度は、種及び環境の条件に依存する。
【0006】
ファイバーの形態に関し、典型的な仮動管又は「ファイバー」の壁は、幾つかの層からなる。仮動管は、基本的には針葉樹に形成されている、長い、先細の細胞である。細胞が分裂すると、最初に細胞プレートを発達させる。2つの新しい細胞のそれぞれは、セルロース、ヘミセルロース、ペクチン、及びタンパクからなる、薄い、伸長可能な一次壁内に包まれる。概して、セルロースは、ヘミセルロース及びリグニンにより囲まれたスケルトンを形成する。分化の局面に際し、すべてのファイバーは、非常に薄い外側一次壁から内側に成長し、薄い外側境界(SI)を順次形成し、次いで、ファイバーの主要部である厚い内側二次(S2)壁を形成し、最後に、細胞内腔の回りに、非常に薄い第3の(T)壁及びより薄い、通常はいぼ状の膜を形成する。
【0007】
SI及びT壁は、相互に類似であり、双方は、ミクロン厚のフラクションである。木材ファイバーのSi壁における要素は、ファイバー軸に対し急な角度で双方向に螺旋状に巻かれており、S2壁における要素は、通常、ファイバーアクセスに対し小さい角度でのZ巻きを有する。
【0008】
天然ファイバーは、0.2ミクロン以上の幅を有するフィブリルに分割され得る。これらの視認可能なものはフィブリルと呼ばれ、約30ナノメートルまでの小さいものは、マイクロフィブリルと呼ばれ、更に小さい30〜約3ナノメートルのものは、提案により、ナノフィブリルと呼ばれるべきである。これらは順に、約35オングストローム径である要素フィブリルの束であり、それぞれは恐らく16個の横方向に結合したセルロース分子の鎖からなる。(d' A Clark, James, Pulp Technology and Treatment for Paper, Miller Freeman Publications, Ed. 1985, page 6.11を参照のこと。)
製紙プロセスにおける精製プロセスは、一次壁の部分的除去を行う。一次壁の除去は、精製のため二次壁を露出させる。更に二次壁の精製は、フィブリル化を誘引し、水和を促進させる。(Smook, G. A., Hnadbook for Pulp and Paper Technologies, TAPPI, Ed.1989, page 181を参照のこと。)フィブリル化は、既に存在するフィブリルを緩めること、ファイバーの表面により細いマイクロフィブリルを持ち上げることを含み、精製ファイバーの表面積の非常に大きな増加をもたらす。
【0009】
典型的には、炭酸カルシウム源は、粉砕された炭酸カルシウム(GCC)又は析出した炭酸カルシウム(PCC)のいずれかである。GCCは、天然の石灰岩を粉砕することにより製造され、PCCは、製紙プロセスの外部で合成により製造される。様々な型の水溶性ポリマーが、充填材を保持するために添加される。あるポリマーもまた、セルロース物質からの排水を改良するために添加される。一般に、これらすべての化学物質は、抄紙機の操作性及び紙質を改善するために添加される。しかし、非常に頻繁に、化学物質の過剰の使用は、抄紙機の湿った端部において化学的不均衡を生ずる問題に導く。このことは、操作性及び紙質にマイナスに働く。
【0010】
ファイバーの形態性及びこれらの化学物質の機能の大きな変化において、これらの化学物質の添加量及び添加の時期を制御することが重要である。化学的不均衡をモニターし、制御する好ましい方法は、電荷の測定を用いることである。ツェータ電位は、電荷測定に使用される手段である。
【0011】
パルプ又はセルロースファイバーに炭酸カルシウムを直接添加する最近の方法は、重大な欠点を持っている。この最近の方法は、工場に輸送する際又はその場で製造される際に、水で希釈されたスラリーとして、セルロースパルプに炭酸カルシウムを添加することである。その欠点は、以下の通りである。
【0012】
(a)現在使用されている歩留り向上剤に基づく最終製品の20−30%以上の充填材含量を達成することは困難である。
【0013】
(b)低レベルのシングルパス(single-pass)歩留りとなる。シングルパス歩留りは、(シートに保持された量/ヘッドボックスからの量)として表わされる。低レベルのシングルパス歩留りは、シートの断面における充填材粒子の不均一な分散を生ずる。
【0014】
(c)それは、システムに応じて正又は負の電荷の変化に導き、電荷の不均衡を生じさせる。
【0015】
(d)産業は、抄紙機のスピードの増加、洗浄水の使用量の減少、及び流出廃棄物の減少を要求し、それらはすべて、改良された充填材保持方法を有する必要性により制限される。
【0016】
数年来、幾つかの製紙会社は、「析出された炭酸カルシウム」(PCC)のインシトゥー製造に関心を持っており、これらの会社は、自らテストを行うか、又は新しい技術を発明している。
【0017】
米国特許第4,510,020号は、ファイバーの細胞内腔が充填材で充填されるまで、パルプと充填材の懸濁液を攪拌し、充填されたファイバーから残留する懸濁充填材を分離し、ファイバー外表面の実質的にすべての充填材が除去されるまでパルプを激しく洗浄することにより、充填材がファイバー内に選択的に充填されるパルプから得られた改良された特性を有する紙について記載している。
【0018】
米国特許第5,275,699号及び第5,096,539号は、2つの塩からの充填材のインシトゥー製造のプロセスについて記載している。この塩は、ファイバーの細胞壁内又はファイバー自体の中に、炭酸カルシウムを析出させるために合体する。使用されたファイバーは、乾燥ファイバー又はウエットファイバーのいずれかである。ファイバーは、細胞壁の外から炭酸カルシウムを除去するために、更に洗浄され得る。
【0019】
米国特許第5,158,646号及び第5,122,230号は、ファイバースラリーに水溶性無機化合物を添加することにより生成されたファイバーについて記載している。ファイバーは、次いで、水溶性化合物のみがフィバー壁に留まるようにプレスされる。高濃度ファイバーは、次いで、無機化合物を水不溶性とする沈殿剤ガスにさらされる。
【0020】
米国特許第5,223,090号は、ファイバースラリーに水酸化カルシウムを添加し、次いで二酸化炭素を吹き付けつつ、スラリーを高剪断ミキシングに供することにより、炭酸カルシウムが生成される、炭酸カルシウムのインシトゥー製造プロセスについて記載している。
【0021】
米国特許第5,731,080号及び第5,824,364号は、マイクロフィブリルを含むファイバーを提供することからなる炭酸カルシウムのインシトゥー製造プロセスについて記載している。カルシウムイオンは、次いで、ファイバーの懸濁液に添加され、更に炭酸イオンが添加される。この手順は、多くの炭酸カルシウムが析出され、マイクロフィブリルにグラフト反応される製品を生ずる。この特許は、20%を越える充填材を含む製品を提供することをクレームしている。
【0022】
米国特許第5,679,220号は、酸化カルシウムの溶液をファイバー流に添加し、次いで軽い混合条件の下で二酸化炭素を添加して、インシトゥー炭酸カルシウムを生成する方法について記載している。二酸化炭素と酸化カルシウムの添加の順序は、スラリーの添加のpHを良好に制御するために変えることが出来る。このプロセスは、低粘度(5%未満)で行われる。
【0023】
米国特許第5,665,205号は、最終製品の白色度及び清浄度を改善するために、再生ファイバーにアルカリ性塩を添加し、次いでガスを加えて充填材を析出させるプロセスについて記載している。
【0024】
EP特許第791,685号及び国際特許出願W097/01670は、パルプが流動化されることを特徴とする、セルロースファイバーに基づくパルプに充填材を添加する手順について記載している。この場合、水酸化カルシウムが添加され、炭酸カルシウムが二酸化炭素により析出される。国際特許出願W097/01670は、充填材として添加される微細ファイバーへのPCCの析出について記載している。
【0025】
国際特許出願W099/42657は、重炭酸カルシウムの1つの組成と水酸化カルシウムの1つの組成を調製し、次いでこれら2つの組成をファイバーの存在下で混合して、インシトゥー炭酸カルシウムを生成するプロセスについて記載している。ファイバー自体にグラフト反応された単結晶からなる製品についても記載されている。最後に、古紙中の炭酸カルシウムを溶解し、古紙から炭酸カルシウムを除去するための二酸化炭素の使用についても記載されている。
【0026】
国際特許出願W001/12899は、アルカリ及びアルカリ土類金属(K、Ca、Na、Mg)の重炭酸塩、炭酸塩、または珪酸塩が添加され、次いで水酸化物化合物が添加されて、珪酸塩又は炭酸塩が析出される、セルロースファイバーを用いるプロセスについて記載している。
【0027】
以上の特許において説明したように、充填材は、典型的には、最終製品の品質を改善するために、製紙プロセス中に添加される。充填材としての炭酸カルシウムの添加は、紙の光学特性を改善し、製紙に必要な高価なファイバーの量を減少させる。白のコート紙(又は)非コート紙のグレードにおける炭酸カルシウムの典型的含量は、20−30%の範囲にある。炭酸カルシウムは、粉砕炭酸カルシウム(GCC)又はその場で析出された、いわゆる析出炭酸カルシウム又はPCCのいずれかとして得られる。紙に炭酸カルシウムを含ませるために、ポリマー化合物が歩留り向上剤としてしばしば用いられる。
【0028】
国際特許出願W099/42657を参照して上述したように、炭酸カルシウムを製造する1つの別の方法は、ファイバー上に又はファイバー内にインシトゥー析出することによる。この方法では、インシトゥーPCCは、炭酸カルシウムを生成するに必要な反応体を直接ファイバーパルプと混合することにより製造される。’657特許文献において説明したそのような方法は、石灰及び二酸化炭素とともに、反応体として炭酸カルシウムを用いることによる。
【0029】
インシトゥー炭酸カルシウムを析出する改良された方法が考えられるならば、それは好ましいであろう。公知のインシトゥー析出方法を含む、公知の製紙方法に存在する炭酸カルシウムは、ファイバーの細胞内腔内外に均一に分布する傾向にある。更に、この傾向は、結合剤及び歩留り向上剤を避けることである。
【0030】
上記方法のすべてにおいて、20重量%を越える最終紙シート中の炭酸カルシウムを増加させる要望、及び歩留り向上剤の使用を止めることの要望があった。例えば、米国特許第5,824,364号において、炭酸カルシウム結晶は、マイクロフィブリルと粒子との間の界面に結合剤及び歩留り向上剤が存在することなく、粒子としてマイクロフィブリルに直接グラフト反応しているものとして開示されている。また、析出した炭酸カルシウムは、マイクロフィブリルに直接グラフト反応しているときに、均一に分布している。多くの報告は、信頼性のある安定な機械的結合によりマイクロフィブリルを捕捉している。本発明者らにより定義されたファイバーの表面積は、マイクロフィブリルの数の関数である。この複合体のファイバーの表面積は、グラム当り3−200平方メートルである。シートに含まれる炭酸カルシウムは、グラム当り3−200平方メートルの範囲内で本発明者らにより特定されているように、利用可能なマイクロフィブリルの表面積に制限されており、ファイバー源により変化し得る。
【0031】
上述した米国特許第4,510,020号では、ファイバーの細胞内腔がファイバーで充填されるまで、ファイバーの細胞内腔内に炭酸カルシウムが生成され、更に、マイクロフィブリルを含む、ファイバーの外表面に充填材の実質的にすべてを除去するために、洗浄が使用される。フィブリル化されたパルプの場合、フィブリル化された外面から充填材を除去する際に、かなりの困難に遭遇する。本発明はまた、「微細な毛羽立ち」として記載されている、延長した叩解によりフィブリルを生成することが可能であることも示している。それらの発明者らはまた、高度に叩解された化学パルプ及び多くの機械パルプのようなフィブリル化されたパルプが、自らの発明に課題を提起していることを開示している。フィブリル化された外面は、洗浄処理中にも、頑強に顔料を保持する。更に、それらの発明者らにより説明されているように、細胞内腔が潰れるときに、苛酷なプレス又は乾燥による炭酸カルシウムの析出の可能性を制限する場合があり得る。フィブリル化されたパルプは、炭酸カルシウムと競合し、細胞内腔内の利用可能性を最小にする。
【0032】
米国特許第4,892,590号は、別々に製造された、炭酸カルシウム、及び充填材の保持、不透明度、並びに製紙中の強度を改善するためのカチオン性スターチを用いる方法について説明している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
上記従来技術の方法のすべては、細胞内腔、細胞壁、またはマイクロフィブリルのようなファイバーの個々の部分に焦点をあてることにより、高い充填材保持性を達成している。最終シートに含まれる全炭酸カルシウムは、これらの個々の部分の利用可能性及び表面積に制限される。従来技術の方法を用いる紙シートに含まれる炭酸カルシウムは、歩留り向上剤及び結合剤を用いることなく製造される。これらの方法は、目標部位における炭酸カルシウムの存在を達成するための制御された条件を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明によると、従来技術とは明確に異なる方法を用いて、セルロース製品が製造され、従来技術とは異なるセルロース製品が得られる。本発明のセルロース製品は、ファイバーの利用可能な全領域に炭酸カルシウムを含んでおり、従来技術のように単一の位置に制限されない。炭酸カルシウムの形成は、サイズ、形状、位置、及び結晶形態に関し、ランダム(不均一)であることが見出されている。製紙プロセスに際し、業界において「損紙」として一般に知られている販売不能な紙が再使用される。販売不能な紙は、製紙プロセスに際し、乾燥前、又は乾燥後であるが巻き取り前、又は乾燥及び巻き取り後に発生する。損紙を加える量は、操作条件及び好みにより変化する。損紙は既に紙であるので、それは製紙プロセス中に添加されるすべての化学物質を含んでいる。損紙は、無視することが出来ない、製紙プロセスの基本的部分である。これらの「損紙中の化学物質」は、炭酸カルシウムの形成を妨害及び干渉し、ファイバーと炭酸カルシウムの間の化学結合を提供するものと考えられる。それはまた、リサイクル紙、例えばオフィスの混合廃棄物を完成紙料の一部として用いる工場の場合に有効である。損紙と同様、リサイクル紙は、リサイクルされる前に製紙プロセス中に使用された化学物質及び添加剤を含んでいる。
【0035】
本発明によると、改良されたパーセントの炭酸カルシウムを含むセルロース製品について説明される。本発明の製品は、ファイバー構造の内部及び周辺、内腔、細胞壁、マイクロフィブリルの内側、ピット内に析出した、内腔の外側にある不均一に分布した炭酸カルシウムにより特徴づけられる。言い換えると、本発明の技術を用いることにより、炭酸カルシウムを含むファイバーにおいて利用可能な実際の部分、即ち全表面領域を有するセルロース製品を製造することが可能である。更に、本発明のセルロース製品を製造するために使用されるプロセスは、製紙機械の湿式端部に位置するので、炭酸カルシウム及びファイバーは、炭酸カルシウム及びセルロース化学構造の間の化学結合を生成する製紙プロセスに典型的に用いられる化学物質と相互作用する。本発明の技術によると、本発明のセルロース製品は、改良された炭酸カルシウムの添加を有し、この改良された添加は製紙プロセス中に生ずる。
【0036】
本明細書における「製紙プロセス」とは、紙のシートの形成中のファイバー体内に存在する条件を意味する。市販の紙シート形成機械では、希釈、乱れ、及び配列されたせん断の3つの例示的形成操作があり、そのすべては、最終のシートの品質を最適化するための試みにおいて、種々の程度で適用される。(Smook, G. A., Hnadbook for Pulp and Paper Technologies, TAPPI, Ed.1989, page 219を参照のこと。)実質的な結合エネルギーは、基本的シート形成プロセス中のこれらの力によりファイバーが緩く壊れないように、ファイバーに添加される化学物質間及び及びファイバー自体の間に予定されている。
【0037】
製紙プロセス中にその場で製造されたPCCを含む本発明のセルロース製品は、重炭酸塩と石灰とを、及びファイバーを含む希釈されたパルプとを混合するすることにより製造される。この場合、析出した炭酸カルシウムは、単結晶、結晶の凝集体 結晶の結合した凝集体、非晶質粉末、又はそれらの組合せのいずれかとして、ファイバーのすべての物理的位置の上に不均一な形で、最終製品中に位置する。PCC結晶は、製紙プロセスに使用された様々な他の化学物質残さを有するシートに含まれており、PCCの多くは、化学結合に基づくファイバー表面に付着され、PCCは、セルロース製品の全固形分に基づき少なくとも15重量%、より好ましくは少なくとも40重量%を含む。
【0038】
本発明の好ましい製品は、製紙プロセス中のツェータ電位が−5〜約+5、より好ましくは−2〜約+2、更に好ましくはゼロであるようなものである。ゼロからのツェータ電位のかなりの隔たりは、セルロース製品の製造及び品質に影響を与える。パルプファイバーへの炭酸カルシウムの保持はまた、ゼロツェータ電位からの隔たりにより(負に)影響される。
【0039】
本発明の紙製品の製造に好ましくは、希釈されたパルプのろ水度は、約300csf〜約900csfであり、より好ましくは約400csf〜約500csfであり、パルプは特別の機械装置を用いて叩解又は精製される。カナダの標準ろ水度(csf)は、ろ水度を制御するために使用される測定値である。「叩解」又は「精製」なる語は、この分野及び本明細書では、交換可能に使用される。精製のプロセスは、ファイバーの表面積及びパルプファイバーにより保持された水の量を増加させる。このことはまた、最終製品のより多いPCC充填に貢献する。ある最適値を越える精製のプロセスを延長することは、生成物の品質及び紙の製造を減少させる。
【0040】
本発明の製品は、好ましくは約0.1〜約10ミクロンのサイズを有するPCC結晶を有し、ファイバーは、木材、非木材(例えば、サトウキビガラ、ナッツの殻、トウモロコシの穂軸)、再生セルロース材料、及びその混合物からなる群から選ばれた材料から誘導される。好ましい態様では、これらは任意のみであるが、本発明の製品にとって、ガラス粒子、有機又は無機顔料、被覆等にような他の成分を含むことも可能である。例えば、d' A Clark, James, Pulp Technology and Treatment for Paper, Miller Freeman Publications, Ed. 1985を参照のこと。
【0041】
本発明の製品は、好ましくは、歩留り向上剤、凝集剤、排水助剤、樹脂、分散剤、キレート剤、スケール防止剤、腐蝕抑制剤、及びスライム防止剤からなる群から選ばれた化学物質残さを採用する。
【0042】
本発明の他の好ましい製品は、約0.05%〜約50%、より好ましくは約5%〜約10%の粘度を有する希釈されたファイバー水性懸濁液から誘導されたものである。
【0043】
本発明の好ましいセルロース製品は、建物製品及び紙製品を含む。好ましくは、本発明の製品におけるファイバーは、好ましくはクラフトプロセスから誘導された、漂白ファイバーである。本発明の製品は、好ましくは、アモルファス、結晶性、粉末状、及びその組合せからなる群から選ばれたPCC形態を有する。結晶性であるならば、方解石、あられ石、バテライト(vaterite)、菱面体、スクレノヘドラル(sclenohedral)、プリズム状、及びその混合からなる群から選ばれた結晶形態を有する。
【0044】
本発明の他の好ましい製品は、ファイバーが、約1ppb〜約1ppmの量で存在する天然カルシウムを有するようなものであり、PCCが、非析出炭酸カルシウムと二酸化炭素との反応から誘導された製品である。より好ましいのは、PCCが重炭酸塩と二酸化炭素との反応から誘導された製品である。
【0045】
本発明の他の態様及び効果は、図面の簡単な説明及び好ましい形態の説明から理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
図1を参照すると、この図は、本発明の好ましいセルロース製品におけるファイバー2を形成する複数の仮動管細胞の透視図を示す。上述したように、仮動管は、針葉樹のセルロース細胞に見られる細胞の多くを構成している。図2には、主細胞壁4、第2細胞壁6、第3細胞壁8、及び膜10が示されている。更に、細胞内腔12及び単ピット14が示されている。ピットは、あるパイン種におけるように、円形の境界18を有するピット16で描かれているように、ある種では円形境界を有している。
【0047】
図1に示すように、そして更に図2−11に示すように、ファイバーのすべての利用可能な位置に、例えば、20における細胞内腔12の内側に、22における第2の細胞壁6の内側に、24においてファイバー2の外側に、及び26においてフィブリル25上に、PCCが析出する。フィブリル25は、精製の際に露出され、隆起し、そこで、種細胞壁の一部が除去され、第2の壁6及びそれに付随するフィブリルが露出する。図示しない、精製の際に隆起したマイクロフィブリルは、その上に析出したPCCを有してもいる。PCCは、好ましくは、24において示すように単結晶として、27におけるように複合結晶として、28において示すように複合結晶の凝集として析出される。
【0048】
図2−11は、以下の実施例において更に説明する、本発明の製品の、走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【0049】
実施例
実施例1−10
図2−11の画像に示された、図1−10のそれぞれにおけるファイバーは、50%が広葉樹、50%が針葉樹であり、それぞれは、Vally Iron Works, Appleton, Wiから製造され、Testing Machines Incorporated社から市販されている、商標「Vally Beater」,Serial No. 109-F-1093の下で知られている実験フィブリル化装置を用いて、300CSFに精製されている。Econotech Services 社Delta, BC, Canadaにより行われた標準TAPPIテスト法に従って、テストが行われた。
【0050】
製造
すべての実施例のための試料は、文献に記載の化学物質の測定された添加によりCaCO3析出物を形成して製造され、最終のpHは、反応が完了したことを保証した。すべての反応がファイバーの存在下で行われ、そのため析出はインシトゥーであった。
【0051】
図2−11のすべての画像におけるファイバーは、Lightin, Rochester, NY.から市販されている商標“Lightin Mixer”として知られている実験室混合装置を用いて、上述したように製造されたパルプとCO3 2−イオン含有試薬を、水中8.4%のファイバー粘度にまで混合することにより製造された。
【0052】
Ca2+イオン含有試薬をそれに混合し、図2−7について2.5%のファイバー粘度、図8−11について5.6%のファイバー粘度とした。それぞれの試料におけるCa2+イオン含有試薬は、米国ミルウォーキー、WIのAldrich Chemical社から95%として得られた水酸化カルシウムCa(OH)2であった。
次いで、ガス状CO2を、それぞれの実施例において大気圧下で導入して、それぞれの実施例のpHを7.5に減少した。
【0053】
実施例8−11のそれぞれでは、同一のCa2+イオン含有試薬の第2の部分は混合されて、4.1%のファイバ−粘度を提供し、次いで、大気圧下でガス状CO2が再び加えられて、pHが7.0に低下された。Ca2+が2つの部分に添加され、a)Na2+レベルが最小にされ、b)Ca2+の2段階添加の利点が得られ、c)水酸化物からCO3 2−のインシトゥー析出が達成された。
【0054】
すべての実施例について、TAPPI標準T205om−88により、手すき紙を製造した。このシートは、TAPPI標準T211の灰分テストに供され、無機部分が定量化された。この無機部分は、灰とHClとを反応させ、発生したCO2をガスクロマトグラフィーにより測定することにより、同定された。
【0055】
走査型電子顕微鏡の詳細
走査型電子顕微鏡(SEM)は、エネルギー分散分光分析(EDS)を用いて定性元素分析を行うことが出来る能力を有するものである。この分析法は、図8、9、10、及び11における試料に存在する粒子に対し行われた。この分析法は、カルシウム、炭素、及び酸素のみを検出した。
【0056】
使用されたSEMは、Amray Corporationから市販されている商標"1600 Turbo Scanning Electron Micrometer"、シリアルナンバーAMR16014008として知られている。Princeton Gamma Tech (PGT)から市販されている商標"Prism Digital Spetrometer"、モデルナンバーTN1/389140、シリアルナンバー52439として知られているデジタル分光計もまた使用された。この分光計は、Noran Corporationから市販されている商標"Pioneer"として知られているX線検出器である。これは、デジタルパルス処理を行うためにPGTによりアップグレードされており、きわめて薄いリチウム−ベリリウム窓を備えている。
【0057】
アナライザーワークステーション
使用されたアナライザーワークステーションは、PGTから市販されている、商標“IMIX−PC” アナライザーワークステーションとして知られており、以下の特徴を有するコンピューターを備えている。
【0058】
64MBメモリー
32ビット、200MHzクロックスピード
ウインドウズNTワークステーション
ウインドウズNTオペレイティングシステム
ウインドウズ95ウインドウイングシステム
マスストレッジ:2Gバイトディスクドライブ、1Gバイトテープドライブ、1.44Mバイトフロッピー(登録商標)、CD−ROM
3ボタンマウス、ウインドウズ95キーボード
17インチモニター
エサーネットカード
このワークステーションは、M427デジタルパルスプロセシングエレクトロニクス、オートシャットオフ/ターンオンのためのインテグラルLNモニターを有する検出器バイアス供給、及びビームドライビング/イメージキャプチャーサブシステムを備える、PGTから市販されている、データ収集ハードウエア、セリアルナンバー61619を用いた。これは、商標"IMIX-PC"ソフトウエアパッケージをして知られているソフトウエアパッケージを含み、このソフトウエアパッケージは、X線収集及び解析パッケージ、位置のタグを付けた分光計(PTS)パッケージ、イメージング、マッピング、及びビーム制御パッケージ、高解像度SEMイメージングパッケージを含む。
【0059】
すべてのサンプルは、商標"SPI Module Sputter Coater"として知られている、モデルナンバー11430、セリアルナンバー001683のスパッタコーター、及び商標"SPI-Module Control Unit"として知られている、モデルナンバー11425、セリアルナンバー001682のスパッタコントロールモジュールを用いて、約367オングストロームの金を含む金ターゲットを用いてスパッタコートされた。
【0060】
ツェータ電位測定手順
図2−11のサンプルをオーブンで乾燥し、別々にプラスチックの容器に7ヶ月貯蔵した。プラスチックの容器は、商標"Saran"として知られている材料の被覆を有するポリエチレン容器であった。次いで、紙試料は、250mlのキッチンブレンダーを用いて脱イオン水中で再パルプ化された。再パルプ化された微細物の粘度は0.5%であった。BTG Industries, Norcross, GAから市販されている商標"Mutek SZP-06"として知られている専用装置を用いて、試料について、システムツェータ電位(SZP)を測定した。
【0061】
測定結果を下記表1に示す。
【表1】
【0062】
図9−11は、ピットに析出したPCCを示す。図2−11において、ファイバーにおけるある特定の物理的位置の代わりに、利用可能なすべての領域では、PCCは不均一に分布していることに注意すべきである。また、例えば、図9において、PCCの異なる形態に注意すべきである。この図は、写真の左側にPCCの大きな凝集、ピット内に小さい組み合わせを示す。一方、図10は、ピット内の凝集を示している。一般に、本発明の製品におけるPCCの凝集は、ピットの内部に位置し、フィブリル(マイクロフィブリルにもまた)及びファイバー自体の表面に付着する。ファイバー上に観察された炭酸カルシウムは、特異的であり、時には相互に結合している。炭酸カルシウムの分布は、他に比較して多くを含むピットにより変化するように見えた。このように、位置により、結晶サイズ、形、分布は異なり、一貫していない。
【0063】
本発明の製品は、好ましくは、歩留り向上剤、凝集剤、排水助剤、樹脂、分散剤、キレート剤、スケール防止剤、腐蝕抑制剤、及びスライム防止剤等からなる群から選ばれた1種又はそれ以上の化学物質残さを含む。これらの化学物質残さは、ファイバーの内部及び上、ピット内、内腔の内側等の利用可能な表面領域に、PCCの少なくとも一部を結合するのを助ける。適切な化学物質のリストを下記表2に挙げる。多くの場合、1種、2種又はそれ以上の様々な化学物質、例えば、広範囲にわたって防菌又は殺菌するように、2種又はそれ以上のスライム防止剤が使用される。
【0064】
表2 適切な化学物質残さ
腐蝕抑制剤:実際に使用した抑制剤は、まれに純粋な物質であるが、しかし、通常、例えば、活性成分が知られていない工業的化学プロセスの副産物である混合物である。工業的防止剤パッケージは、防止剤のための活性成分に加え、界面活性剤、非エマルジョン化剤、キャリア、及び殺生剤を含む他の化学物質を含んでいてもよい。有機抑制剤の活性成分は、1種又はそれ以上のヘテロ原子、N、O、S、P、又はSeを含む、1種又はそれ以上の官能基を例外なく含む。それらのヘテロ原子を通して、抑制剤が主鎖(バックボーンに結合し、抑制剤分子が大きな表面積を覆う能力を増加させる。主鎖の共通の繰り返し単位は、メチル基及びフェニル基である。(R. Winston Revive, UTLIG’S Corrosion Handbook, John Wiley & Sons, Inc., 2000, page no. 1097.)
セルロース製品の製造方法
インシトゥー析出した炭酸カルシウム、カルシウムカチオン(Ca2+)を含有する試薬、及び炭酸塩アニオン(CO3 2−)を含有する試薬を含む、本発明のセルロース製品を製造するための好ましい方法が、習得される。これらのイオン源は、固体、液体、又はガス状のいずれかの入手可能な幾つかの源から誘導され得る。1つの好ましい方法は、石灰及び重炭酸塩を用いることにより炭酸カルシウムを製造することである。重炭酸塩は、好ましくは、幾つかの源から派生し、例えば、それらは購入するか又はその場で製造される。2つの例は、充分な重炭酸イオンと溶液を生成する、約8.4のpHでの重炭酸カルシウムと二酸化炭素との反応、及び重炭酸ナトリウムと石灰との反応を含む。
【0065】
本発明者らは、インシトゥーPCCを析出するために、幾つかのプロセスの内の1つの使用を選択する。例えば、1つの好ましい方法として、引用することにより本明細書に含まれる、前述した世界特許WO99/42657に記載された方法がある。5つの他の好ましい方法は、図12−16に示すものである。例えば、図12は、「iPCC別法」という名のプロセスを摸式的に示す。この方法では、ファイバーは、第1のミキサーで炭酸カルシウム及び二酸化炭素と混合され、次いで、第2のせん断操作で混合物に水酸化カルシウムが添加される。この方法は、少なくとも15重量%の固体含量を有する水酸化カルシウムの第1のスラリーを調製する工程、及び約3〜約6重量%の間を変化する固体含量を有するファイバーの第2のスラリーを調製する工程を具備する。第2のスラリーに約0.5重量%の量の炭酸カルシウムを添加して、第3のスラリー及び他の工程を形成すること、加圧下で第3のスラリーに二酸化炭素を導入して第4のスラリーを形成することは、第4の工程である。第1及び第4のスラリーが混合されると、終点のpHが約7.5〜約8.5の範囲内にあるように、第1のスラリーに存在する水酸化カルシウムの化学量論的量に等しい量の二酸化炭素の導入を調整することが好ましい。二酸化炭素を完全に溶解し、炭酸カルシウムを部分的に溶解して重炭酸ナトリウムを形成するために、第4のスラリーを攪拌することもまた好ましい。最終的に、例えばインラインミキサーを用いることにより、軽い混合条件の下で、第1及び第4のスラリーを混合し、ファイバーに物理的に析出、付着した炭酸カルシウムの均一なスラリーを形成することが好ましい。
【0066】
「化学物質の同時添加を伴うiPPC」として記載された、本発明の製品を形成する第2の方法は、図13に示されている。これは、図12のプロセスを多少修正したものであり、少なくとも15重量%の塩含量を有する水酸化カルシウムの第1のスラリーを調製する工程、約3〜約6重量%の間を変化する固体含量を有するファイバーの第2のスラリーを調製する工程、加圧下で約0.5重量%の量の炭酸カルシウムと二酸化炭素からなる第3のスラリーを調整する工程、及び3つのスラリーが混合されるときに、終点のpHが約7.5〜約8.5の範囲内にあるように、第1のスラリーに存在する水酸化カルシウムの化学量論的量に等しい量の二酸化炭素の導入を調整する工程を具備する。最終的に、二酸化炭素を完全に溶解し、炭酸カルシウムを部分的に溶解して重炭酸ナトリウムを形成するために、第3のスラリーが攪拌される。例えばインラインミキサーを用いることにより、軽い混合条件の下で、第1、第2及び第3のスラリーを加え、ファイバーに物理的に析出、付着した炭酸カルシウムの均一なスラリーの形成を促進する。
【0067】
「非ガス状CO2を伴うiPCC別法」と示された図12のプロセスの修正は、他の方法であり、図16に示されている。図16は、ファイバースラリーとの混合前の炭酸カルシウムと二酸化炭素との混合を示し、重炭酸塩含有溶液をファイバースラリーと混合させる。
【0068】
「分留を伴うiPPC」として記載された、本発明のセルロース製品を形成する第4の方法は、図14に示されている。図14に摸式的に示すように、このプロセス態様は、最初に低強度寄与ファイバーのスラリーを調製する工程、及び炭酸カルシウムが低強度寄与ファイバーに物理的に付着するように、この低強度寄与ファイバーのスラリーを炭酸カルシウムインシトゥー析出プロセスに供する工程を具備する。付着したPCCを有する低強度寄与ファイバーは、次いで、好ましくは最終のセルロース製品に所望の障害と強度特性を付与する割合で、高強度寄与ファイバーと混合される。低強度寄与ファイバーに添加されるカルシウムの量は、好ましくは最終セルロース製品中の充填材の所望の量に達するのに充分な量である。
【0069】
図15は、「層形成を伴うiPPC」と名づけられた、本発明のセルロース製品を製造する第5の方法を示す。この方法は、最初に低強度寄与ファイバーのスラリーを調製する工程、及びこの場合も炭酸カルシウムが低強度寄与ファイバーに物理的に付着するように、このスラリーを炭酸カルシウムインシトゥー析出プロセスに供する工程を具備する。高平滑性、高輝度、及び高強度特性を有する紙を製造するため、多層製紙機で、第1及び第2のスラリーを用いて、高強度寄与ファイバーの第2のスラリーが調製される。内層と外層とからなる多層紙が形成される。内層は、高輝度及び平滑性を付与する充填材に物理的に付着した短ファイバーを含み、外層は、紙に高強度を付与する長いたか強度ファイバーからなる。低強度寄与ファイバーに添加されるカルシウムの量は、好ましくは最終セルロース製品中の充填材の所望の充填材の量に達するのに充分な量である。
【0070】
上述したように、本発明の実施の主要な利点は、炭酸カルシウム充填材の最大の析出のため、ファイバーの内外の実際の全領域、即ち、利用可能な全表面領域の利用である。本発明の1つの制限は、ファイバーの所定の部分に析出を選択的に制御することが困難であることである。しかし、これは本発明の方法が高価ではなく、実施が容易であるという事実により補償される。
【0071】
炭酸カルシウムの形成を促進するために、好ましくは、カルシウムイオン(Ca2+)を含有する反応体は、炭酸イオン(CO3 2−)を生成し得る他の反応体と接触させられる。本発明のセルロース製品を形成する好ましい方法を実施する際に、反応体の任意の1つは正に又は負に荷電しており、最初にパルプスラリーに溶解される。パルプは充分な量の水を含んでいるので、このことは、ファイバーの全断面及び利用可能な全領域の内部又は周辺への荷電イオンの移動を可能とする。ファイバー内、特に細胞内腔へのイオンの移動の挙動は、一杯の水中のストローに比較することが出来る。系の滞留時間、混合、及び温度は、パルプファイバー内のイオンの溶解性及び移動を制御するために使用することが出来る変数である。これらの3つのパラメーターの1つ又はそれ以上の増加は、イオンの移動量を増加させる傾向にある。イオンの充分な移動が生ずると、析出を促進させるために対イオンが導入される。ここでも、これは、系の滞留時間、混合、及び温度のような変数を調整することにより達成するすることが出来、これらのパラメーターの1つ又はそれ以上の増加は、対イオンの移動、結局はイオンと対イオンとの反応を増加させる傾向にあるであろう。これは、一般に、パルプファイバーに堆積又は析出した炭酸カルシウムの量を増加させるであろう。そして、明らかなように、本発明の製品を製造するために使用された方法は、炭酸カルシウムを析出させるファイバーの部分又は位置を選ばない。
【0072】
製紙の技術分野では、炭酸カルシウムの存在がパルプ製造及び製紙装置にスケールを形成させることは周知である。このスケールの形成のための主要なカルシウム源は、水からの栄養として生じ、ファイバー構造内に貯蔵される。炭酸イオンを生成し得る反応体が導入されるとき、ファイバー中のこれらの自由カルシウムイオンのある程度は反応して炭酸カルシウムを生成する。この現象により形成される炭酸カルシウムの量は、種類、プロセス、水質等に依存する。
【0073】
インシトゥー炭酸カルシウム形成は、炭酸カルシウム製造の他の合成法に比較して、製紙プロセスの湿式製紙端部内に存在する条件により優先して支配される。本発明の製品を製造するために使用するようなインシトゥープロセスでは、反応体をパルプスラリーと混合することにより、パルプファイバーの存在下で炭酸カルシウムが形成される。この事実は、本発明の重要な点である、炭酸カルシウムの特性及びファイバー内のその位置を調整する機会が殆ど無いことを保障する。
【0074】
充填材粒子は、ファイバーウエブ内に「機械的に」捕捉されるか、又は化学添加剤(ポリマー)により助けられる。実際、他の紙特性及びプロセス条件を考慮に入れなければならないが、もちろん、炭酸カルシウムを良好に保持することが望ましい。充填材粒子の機械的捕捉は、濾過が生じ得るファイバーマットの形成前には非常に低い。ファイバーマットの形成後、充填材の捕捉はサイズに依存するメカニズムであり、粒子サイズが増加するに従って保持は増加する。化学的添加剤の導入により、保持はかなり改善され得る。
【0075】
製紙プロセスに関し、炭酸カルシウムとファイバーとの組み合わせはない。幾つかの他の化学物質が、生産性及び品質を改善するために、製紙プロセス中に添加される必要がある。一般にプロセス助剤と呼ばれている添加された化学物質(例えば、湿潤強度添加剤、サイジング、スライムコントロール、排水助剤、染料、分散剤等)間に相互作用があり、それまでの処理からの残留化学物質、炭酸カルシウム、及びファイバーはすべて、炭酸カルシウムがパルプファイバーに付着するメカニズムに優先して影響を与えるであろう。これらの状況の下では、積極的に証明することは困難であるが、本発明者らは、本明細書において、機械的結合のみよりも、粒子/ファイバー界面において化学的付着があることを主張した。エコロジーとエコノミーの両者の要求を満たすために、再使用可能なファイバー及びプロセス助剤が、更に化学的結合を強化する機械完成紙料に再利用され、循環される。
【0076】
本発明の好ましい製品及びその製造方法の上記説明は、本発明を代表するものではあるが、それらは特許請求の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】ファイバーのすべての利用可能な表面領域における炭酸カルシウムの堆積を示す、本発明の製品のセルロースファイバーの一部切り欠き透視図。
【図2】本発明の製品についてのファイバー上の炭酸カルシウムの分布の走査型電子顕微鏡写真を示す図。
【図3】本発明の製品についてのファイバー上の炭酸カルシウムの分布の走査型電子顕微鏡写真を示す図。
【図4】本発明の製品についてのファイバー上の炭酸カルシウムの分布の走査型電子顕微鏡写真を示す図。
【図5】本発明の製品についてのファイバー上の炭酸カルシウムの分布の走査型電子顕微鏡写真を示す図。
【図6】本発明の製品についてのファイバー上の炭酸カルシウムの分布の走査型電子顕微鏡写真を示す図。
【図7】本発明の製品についてのファイバー上の炭酸カルシウムの分布の走査型電子顕微鏡写真を示す図。
【図8】本発明の製品についてのファイバー上の炭酸カルシウムの分布の走査型電子顕微鏡写真を示す図。
【図9】本発明の製品についてのファイバー上の炭酸カルシウムの分布の走査型電子顕微鏡写真を示す図。
【図10】本発明の製品ファイバーのピット内に堆積した炭酸カルシウムの走査型電子顕微鏡写真を示す図。
【図11】本発明の製品ファイバーのピット内に堆積した炭酸カルシウムの走査型電子顕微鏡写真を示す図。
【図12】本発明の製品を製造する適切な方法のプロセスフローダイヤグラムを示す図。
【図13】本発明の製品を製造する適切な方法のプロセスフローダイヤグラムを示す図。
【図14】本発明の製品を製造する適切な方法のプロセスフローダイヤグラムを示す図。
【図15】本発明の製品を製造する適切な方法のプロセスフローダイヤグラムを示す図。
【図16】本発明の製品を製造する適切な方法のプロセスフローダイヤグラムを示す図。
【0001】
本発明は、一般にセルロース製品に係り、特に、改良された量の炭酸カルシウム充填材を含む製品に関する。
【背景技術】
【0002】
セルロースは、紙を製造するための基本的な原料である。主要なセルロース源は、木材、非木材、及びリサイクルファイバーにグループ分けすることが出来る。木材は、世界のバージンファイバー必要量の約93%を提供する。製紙の際に挑戦されている問題の1つは、リグニンのような製紙に有害な成分からセルロースを分離することである。パルプ形成及び漂白のプロセスは、その多くはリグニンである有機結合材の多くを除去し、更なる処理のためにファイバーを露出させる。
【0003】
一般に、パルプ形成及び漂白の後に、ファイバーが精製される。精製に際し、ファイバーは、作られた製品に関し、それらの最適な製紙特性を発展させるために、機械的作用に供される。総じて、化学的及び機械的分離プロセス中に、セルロースファイバーは変性され、品位が低下する。紙の特性は、シートを構成する様々なファイバーの構造に大きく依存する。また、所定のシート特性を付与又は強化するため、又は他の必要な目的に役立たせるために、製紙の完成紙料に使用される広範な化学物質が知られている。脱水促進剤、脱泡剤、歩留り向上剤、ピッチ分散剤、スライム防止剤、及び腐食抑制剤のような、制御目的の化学物質が、プロセス及び品質の要求に基づき、必要に応じて添加される。
【0004】
炭酸カルシウムは、アルカリ製紙に際し添加されるこれらの化学物質の1つであり、「充填材」の分類に含まれる。炭酸カルシウムは、紙の光学的及び表面の特性を改善するため、及び製造コストを減少させるために、ファイバー間の空隙に充填するために添加される。これは、充填材は、ある特定の顔料を除いて、一般にファイバーよりも安価であるためである。ファイバーの形態及び炭酸カルシウムの特性が、最終製品における炭酸カルシウムの析出メカニズムを大きく決定する。
【0005】
ファイバーの形態を議論する上で、木材中のファイバーの発生及び製紙工程中に生ずるファイバーへの転換を考慮することが基本である。樹木は、広葉樹と針葉樹とに分類される。その相違は、樹木細胞の発達及び成長の結果である。その細胞は細長い細胞であり、幹の長手方向に配向している。針葉樹の木材は、ファイバーとしても知られている仮動管(90−95%)と、放射組織細胞(5−10%)の2種類の細胞からなる。広葉樹は、仮動管(55%)、動管要素(30%)を含み、残りは放射組織細胞及び柔細胞である。細胞の主要な機能は、a)液体の輸送の機能を果たすこと、b)機械的強度を提供すること、及びc)養分を貯蔵することである。この主要な機能は、細胞の型により変化する。隣接するファイバー又は細胞間の「細胞ピット」は、水溶液及び養分の分散を達成する。J. Gullichsen, H. Paulapuro, Paper Science and Technology, Book 3, TAPPI, Ed.2000, page 22を参照のこと。ピットの型は、ピットが形成される細胞の型に依存する。樹木は、細胞の分裂を通して生長する。細胞の分裂及び樹木の生長は、連続プロセスであり、成長速度は、種及び環境の条件に依存する。
【0006】
ファイバーの形態に関し、典型的な仮動管又は「ファイバー」の壁は、幾つかの層からなる。仮動管は、基本的には針葉樹に形成されている、長い、先細の細胞である。細胞が分裂すると、最初に細胞プレートを発達させる。2つの新しい細胞のそれぞれは、セルロース、ヘミセルロース、ペクチン、及びタンパクからなる、薄い、伸長可能な一次壁内に包まれる。概して、セルロースは、ヘミセルロース及びリグニンにより囲まれたスケルトンを形成する。分化の局面に際し、すべてのファイバーは、非常に薄い外側一次壁から内側に成長し、薄い外側境界(SI)を順次形成し、次いで、ファイバーの主要部である厚い内側二次(S2)壁を形成し、最後に、細胞内腔の回りに、非常に薄い第3の(T)壁及びより薄い、通常はいぼ状の膜を形成する。
【0007】
SI及びT壁は、相互に類似であり、双方は、ミクロン厚のフラクションである。木材ファイバーのSi壁における要素は、ファイバー軸に対し急な角度で双方向に螺旋状に巻かれており、S2壁における要素は、通常、ファイバーアクセスに対し小さい角度でのZ巻きを有する。
【0008】
天然ファイバーは、0.2ミクロン以上の幅を有するフィブリルに分割され得る。これらの視認可能なものはフィブリルと呼ばれ、約30ナノメートルまでの小さいものは、マイクロフィブリルと呼ばれ、更に小さい30〜約3ナノメートルのものは、提案により、ナノフィブリルと呼ばれるべきである。これらは順に、約35オングストローム径である要素フィブリルの束であり、それぞれは恐らく16個の横方向に結合したセルロース分子の鎖からなる。(d' A Clark, James, Pulp Technology and Treatment for Paper, Miller Freeman Publications, Ed. 1985, page 6.11を参照のこと。)
製紙プロセスにおける精製プロセスは、一次壁の部分的除去を行う。一次壁の除去は、精製のため二次壁を露出させる。更に二次壁の精製は、フィブリル化を誘引し、水和を促進させる。(Smook, G. A., Hnadbook for Pulp and Paper Technologies, TAPPI, Ed.1989, page 181を参照のこと。)フィブリル化は、既に存在するフィブリルを緩めること、ファイバーの表面により細いマイクロフィブリルを持ち上げることを含み、精製ファイバーの表面積の非常に大きな増加をもたらす。
【0009】
典型的には、炭酸カルシウム源は、粉砕された炭酸カルシウム(GCC)又は析出した炭酸カルシウム(PCC)のいずれかである。GCCは、天然の石灰岩を粉砕することにより製造され、PCCは、製紙プロセスの外部で合成により製造される。様々な型の水溶性ポリマーが、充填材を保持するために添加される。あるポリマーもまた、セルロース物質からの排水を改良するために添加される。一般に、これらすべての化学物質は、抄紙機の操作性及び紙質を改善するために添加される。しかし、非常に頻繁に、化学物質の過剰の使用は、抄紙機の湿った端部において化学的不均衡を生ずる問題に導く。このことは、操作性及び紙質にマイナスに働く。
【0010】
ファイバーの形態性及びこれらの化学物質の機能の大きな変化において、これらの化学物質の添加量及び添加の時期を制御することが重要である。化学的不均衡をモニターし、制御する好ましい方法は、電荷の測定を用いることである。ツェータ電位は、電荷測定に使用される手段である。
【0011】
パルプ又はセルロースファイバーに炭酸カルシウムを直接添加する最近の方法は、重大な欠点を持っている。この最近の方法は、工場に輸送する際又はその場で製造される際に、水で希釈されたスラリーとして、セルロースパルプに炭酸カルシウムを添加することである。その欠点は、以下の通りである。
【0012】
(a)現在使用されている歩留り向上剤に基づく最終製品の20−30%以上の充填材含量を達成することは困難である。
【0013】
(b)低レベルのシングルパス(single-pass)歩留りとなる。シングルパス歩留りは、(シートに保持された量/ヘッドボックスからの量)として表わされる。低レベルのシングルパス歩留りは、シートの断面における充填材粒子の不均一な分散を生ずる。
【0014】
(c)それは、システムに応じて正又は負の電荷の変化に導き、電荷の不均衡を生じさせる。
【0015】
(d)産業は、抄紙機のスピードの増加、洗浄水の使用量の減少、及び流出廃棄物の減少を要求し、それらはすべて、改良された充填材保持方法を有する必要性により制限される。
【0016】
数年来、幾つかの製紙会社は、「析出された炭酸カルシウム」(PCC)のインシトゥー製造に関心を持っており、これらの会社は、自らテストを行うか、又は新しい技術を発明している。
【0017】
米国特許第4,510,020号は、ファイバーの細胞内腔が充填材で充填されるまで、パルプと充填材の懸濁液を攪拌し、充填されたファイバーから残留する懸濁充填材を分離し、ファイバー外表面の実質的にすべての充填材が除去されるまでパルプを激しく洗浄することにより、充填材がファイバー内に選択的に充填されるパルプから得られた改良された特性を有する紙について記載している。
【0018】
米国特許第5,275,699号及び第5,096,539号は、2つの塩からの充填材のインシトゥー製造のプロセスについて記載している。この塩は、ファイバーの細胞壁内又はファイバー自体の中に、炭酸カルシウムを析出させるために合体する。使用されたファイバーは、乾燥ファイバー又はウエットファイバーのいずれかである。ファイバーは、細胞壁の外から炭酸カルシウムを除去するために、更に洗浄され得る。
【0019】
米国特許第5,158,646号及び第5,122,230号は、ファイバースラリーに水溶性無機化合物を添加することにより生成されたファイバーについて記載している。ファイバーは、次いで、水溶性化合物のみがフィバー壁に留まるようにプレスされる。高濃度ファイバーは、次いで、無機化合物を水不溶性とする沈殿剤ガスにさらされる。
【0020】
米国特許第5,223,090号は、ファイバースラリーに水酸化カルシウムを添加し、次いで二酸化炭素を吹き付けつつ、スラリーを高剪断ミキシングに供することにより、炭酸カルシウムが生成される、炭酸カルシウムのインシトゥー製造プロセスについて記載している。
【0021】
米国特許第5,731,080号及び第5,824,364号は、マイクロフィブリルを含むファイバーを提供することからなる炭酸カルシウムのインシトゥー製造プロセスについて記載している。カルシウムイオンは、次いで、ファイバーの懸濁液に添加され、更に炭酸イオンが添加される。この手順は、多くの炭酸カルシウムが析出され、マイクロフィブリルにグラフト反応される製品を生ずる。この特許は、20%を越える充填材を含む製品を提供することをクレームしている。
【0022】
米国特許第5,679,220号は、酸化カルシウムの溶液をファイバー流に添加し、次いで軽い混合条件の下で二酸化炭素を添加して、インシトゥー炭酸カルシウムを生成する方法について記載している。二酸化炭素と酸化カルシウムの添加の順序は、スラリーの添加のpHを良好に制御するために変えることが出来る。このプロセスは、低粘度(5%未満)で行われる。
【0023】
米国特許第5,665,205号は、最終製品の白色度及び清浄度を改善するために、再生ファイバーにアルカリ性塩を添加し、次いでガスを加えて充填材を析出させるプロセスについて記載している。
【0024】
EP特許第791,685号及び国際特許出願W097/01670は、パルプが流動化されることを特徴とする、セルロースファイバーに基づくパルプに充填材を添加する手順について記載している。この場合、水酸化カルシウムが添加され、炭酸カルシウムが二酸化炭素により析出される。国際特許出願W097/01670は、充填材として添加される微細ファイバーへのPCCの析出について記載している。
【0025】
国際特許出願W099/42657は、重炭酸カルシウムの1つの組成と水酸化カルシウムの1つの組成を調製し、次いでこれら2つの組成をファイバーの存在下で混合して、インシトゥー炭酸カルシウムを生成するプロセスについて記載している。ファイバー自体にグラフト反応された単結晶からなる製品についても記載されている。最後に、古紙中の炭酸カルシウムを溶解し、古紙から炭酸カルシウムを除去するための二酸化炭素の使用についても記載されている。
【0026】
国際特許出願W001/12899は、アルカリ及びアルカリ土類金属(K、Ca、Na、Mg)の重炭酸塩、炭酸塩、または珪酸塩が添加され、次いで水酸化物化合物が添加されて、珪酸塩又は炭酸塩が析出される、セルロースファイバーを用いるプロセスについて記載している。
【0027】
以上の特許において説明したように、充填材は、典型的には、最終製品の品質を改善するために、製紙プロセス中に添加される。充填材としての炭酸カルシウムの添加は、紙の光学特性を改善し、製紙に必要な高価なファイバーの量を減少させる。白のコート紙(又は)非コート紙のグレードにおける炭酸カルシウムの典型的含量は、20−30%の範囲にある。炭酸カルシウムは、粉砕炭酸カルシウム(GCC)又はその場で析出された、いわゆる析出炭酸カルシウム又はPCCのいずれかとして得られる。紙に炭酸カルシウムを含ませるために、ポリマー化合物が歩留り向上剤としてしばしば用いられる。
【0028】
国際特許出願W099/42657を参照して上述したように、炭酸カルシウムを製造する1つの別の方法は、ファイバー上に又はファイバー内にインシトゥー析出することによる。この方法では、インシトゥーPCCは、炭酸カルシウムを生成するに必要な反応体を直接ファイバーパルプと混合することにより製造される。’657特許文献において説明したそのような方法は、石灰及び二酸化炭素とともに、反応体として炭酸カルシウムを用いることによる。
【0029】
インシトゥー炭酸カルシウムを析出する改良された方法が考えられるならば、それは好ましいであろう。公知のインシトゥー析出方法を含む、公知の製紙方法に存在する炭酸カルシウムは、ファイバーの細胞内腔内外に均一に分布する傾向にある。更に、この傾向は、結合剤及び歩留り向上剤を避けることである。
【0030】
上記方法のすべてにおいて、20重量%を越える最終紙シート中の炭酸カルシウムを増加させる要望、及び歩留り向上剤の使用を止めることの要望があった。例えば、米国特許第5,824,364号において、炭酸カルシウム結晶は、マイクロフィブリルと粒子との間の界面に結合剤及び歩留り向上剤が存在することなく、粒子としてマイクロフィブリルに直接グラフト反応しているものとして開示されている。また、析出した炭酸カルシウムは、マイクロフィブリルに直接グラフト反応しているときに、均一に分布している。多くの報告は、信頼性のある安定な機械的結合によりマイクロフィブリルを捕捉している。本発明者らにより定義されたファイバーの表面積は、マイクロフィブリルの数の関数である。この複合体のファイバーの表面積は、グラム当り3−200平方メートルである。シートに含まれる炭酸カルシウムは、グラム当り3−200平方メートルの範囲内で本発明者らにより特定されているように、利用可能なマイクロフィブリルの表面積に制限されており、ファイバー源により変化し得る。
【0031】
上述した米国特許第4,510,020号では、ファイバーの細胞内腔がファイバーで充填されるまで、ファイバーの細胞内腔内に炭酸カルシウムが生成され、更に、マイクロフィブリルを含む、ファイバーの外表面に充填材の実質的にすべてを除去するために、洗浄が使用される。フィブリル化されたパルプの場合、フィブリル化された外面から充填材を除去する際に、かなりの困難に遭遇する。本発明はまた、「微細な毛羽立ち」として記載されている、延長した叩解によりフィブリルを生成することが可能であることも示している。それらの発明者らはまた、高度に叩解された化学パルプ及び多くの機械パルプのようなフィブリル化されたパルプが、自らの発明に課題を提起していることを開示している。フィブリル化された外面は、洗浄処理中にも、頑強に顔料を保持する。更に、それらの発明者らにより説明されているように、細胞内腔が潰れるときに、苛酷なプレス又は乾燥による炭酸カルシウムの析出の可能性を制限する場合があり得る。フィブリル化されたパルプは、炭酸カルシウムと競合し、細胞内腔内の利用可能性を最小にする。
【0032】
米国特許第4,892,590号は、別々に製造された、炭酸カルシウム、及び充填材の保持、不透明度、並びに製紙中の強度を改善するためのカチオン性スターチを用いる方法について説明している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
上記従来技術の方法のすべては、細胞内腔、細胞壁、またはマイクロフィブリルのようなファイバーの個々の部分に焦点をあてることにより、高い充填材保持性を達成している。最終シートに含まれる全炭酸カルシウムは、これらの個々の部分の利用可能性及び表面積に制限される。従来技術の方法を用いる紙シートに含まれる炭酸カルシウムは、歩留り向上剤及び結合剤を用いることなく製造される。これらの方法は、目標部位における炭酸カルシウムの存在を達成するための制御された条件を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明によると、従来技術とは明確に異なる方法を用いて、セルロース製品が製造され、従来技術とは異なるセルロース製品が得られる。本発明のセルロース製品は、ファイバーの利用可能な全領域に炭酸カルシウムを含んでおり、従来技術のように単一の位置に制限されない。炭酸カルシウムの形成は、サイズ、形状、位置、及び結晶形態に関し、ランダム(不均一)であることが見出されている。製紙プロセスに際し、業界において「損紙」として一般に知られている販売不能な紙が再使用される。販売不能な紙は、製紙プロセスに際し、乾燥前、又は乾燥後であるが巻き取り前、又は乾燥及び巻き取り後に発生する。損紙を加える量は、操作条件及び好みにより変化する。損紙は既に紙であるので、それは製紙プロセス中に添加されるすべての化学物質を含んでいる。損紙は、無視することが出来ない、製紙プロセスの基本的部分である。これらの「損紙中の化学物質」は、炭酸カルシウムの形成を妨害及び干渉し、ファイバーと炭酸カルシウムの間の化学結合を提供するものと考えられる。それはまた、リサイクル紙、例えばオフィスの混合廃棄物を完成紙料の一部として用いる工場の場合に有効である。損紙と同様、リサイクル紙は、リサイクルされる前に製紙プロセス中に使用された化学物質及び添加剤を含んでいる。
【0035】
本発明によると、改良されたパーセントの炭酸カルシウムを含むセルロース製品について説明される。本発明の製品は、ファイバー構造の内部及び周辺、内腔、細胞壁、マイクロフィブリルの内側、ピット内に析出した、内腔の外側にある不均一に分布した炭酸カルシウムにより特徴づけられる。言い換えると、本発明の技術を用いることにより、炭酸カルシウムを含むファイバーにおいて利用可能な実際の部分、即ち全表面領域を有するセルロース製品を製造することが可能である。更に、本発明のセルロース製品を製造するために使用されるプロセスは、製紙機械の湿式端部に位置するので、炭酸カルシウム及びファイバーは、炭酸カルシウム及びセルロース化学構造の間の化学結合を生成する製紙プロセスに典型的に用いられる化学物質と相互作用する。本発明の技術によると、本発明のセルロース製品は、改良された炭酸カルシウムの添加を有し、この改良された添加は製紙プロセス中に生ずる。
【0036】
本明細書における「製紙プロセス」とは、紙のシートの形成中のファイバー体内に存在する条件を意味する。市販の紙シート形成機械では、希釈、乱れ、及び配列されたせん断の3つの例示的形成操作があり、そのすべては、最終のシートの品質を最適化するための試みにおいて、種々の程度で適用される。(Smook, G. A., Hnadbook for Pulp and Paper Technologies, TAPPI, Ed.1989, page 219を参照のこと。)実質的な結合エネルギーは、基本的シート形成プロセス中のこれらの力によりファイバーが緩く壊れないように、ファイバーに添加される化学物質間及び及びファイバー自体の間に予定されている。
【0037】
製紙プロセス中にその場で製造されたPCCを含む本発明のセルロース製品は、重炭酸塩と石灰とを、及びファイバーを含む希釈されたパルプとを混合するすることにより製造される。この場合、析出した炭酸カルシウムは、単結晶、結晶の凝集体 結晶の結合した凝集体、非晶質粉末、又はそれらの組合せのいずれかとして、ファイバーのすべての物理的位置の上に不均一な形で、最終製品中に位置する。PCC結晶は、製紙プロセスに使用された様々な他の化学物質残さを有するシートに含まれており、PCCの多くは、化学結合に基づくファイバー表面に付着され、PCCは、セルロース製品の全固形分に基づき少なくとも15重量%、より好ましくは少なくとも40重量%を含む。
【0038】
本発明の好ましい製品は、製紙プロセス中のツェータ電位が−5〜約+5、より好ましくは−2〜約+2、更に好ましくはゼロであるようなものである。ゼロからのツェータ電位のかなりの隔たりは、セルロース製品の製造及び品質に影響を与える。パルプファイバーへの炭酸カルシウムの保持はまた、ゼロツェータ電位からの隔たりにより(負に)影響される。
【0039】
本発明の紙製品の製造に好ましくは、希釈されたパルプのろ水度は、約300csf〜約900csfであり、より好ましくは約400csf〜約500csfであり、パルプは特別の機械装置を用いて叩解又は精製される。カナダの標準ろ水度(csf)は、ろ水度を制御するために使用される測定値である。「叩解」又は「精製」なる語は、この分野及び本明細書では、交換可能に使用される。精製のプロセスは、ファイバーの表面積及びパルプファイバーにより保持された水の量を増加させる。このことはまた、最終製品のより多いPCC充填に貢献する。ある最適値を越える精製のプロセスを延長することは、生成物の品質及び紙の製造を減少させる。
【0040】
本発明の製品は、好ましくは約0.1〜約10ミクロンのサイズを有するPCC結晶を有し、ファイバーは、木材、非木材(例えば、サトウキビガラ、ナッツの殻、トウモロコシの穂軸)、再生セルロース材料、及びその混合物からなる群から選ばれた材料から誘導される。好ましい態様では、これらは任意のみであるが、本発明の製品にとって、ガラス粒子、有機又は無機顔料、被覆等にような他の成分を含むことも可能である。例えば、d' A Clark, James, Pulp Technology and Treatment for Paper, Miller Freeman Publications, Ed. 1985を参照のこと。
【0041】
本発明の製品は、好ましくは、歩留り向上剤、凝集剤、排水助剤、樹脂、分散剤、キレート剤、スケール防止剤、腐蝕抑制剤、及びスライム防止剤からなる群から選ばれた化学物質残さを採用する。
【0042】
本発明の他の好ましい製品は、約0.05%〜約50%、より好ましくは約5%〜約10%の粘度を有する希釈されたファイバー水性懸濁液から誘導されたものである。
【0043】
本発明の好ましいセルロース製品は、建物製品及び紙製品を含む。好ましくは、本発明の製品におけるファイバーは、好ましくはクラフトプロセスから誘導された、漂白ファイバーである。本発明の製品は、好ましくは、アモルファス、結晶性、粉末状、及びその組合せからなる群から選ばれたPCC形態を有する。結晶性であるならば、方解石、あられ石、バテライト(vaterite)、菱面体、スクレノヘドラル(sclenohedral)、プリズム状、及びその混合からなる群から選ばれた結晶形態を有する。
【0044】
本発明の他の好ましい製品は、ファイバーが、約1ppb〜約1ppmの量で存在する天然カルシウムを有するようなものであり、PCCが、非析出炭酸カルシウムと二酸化炭素との反応から誘導された製品である。より好ましいのは、PCCが重炭酸塩と二酸化炭素との反応から誘導された製品である。
【0045】
本発明の他の態様及び効果は、図面の簡単な説明及び好ましい形態の説明から理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
図1を参照すると、この図は、本発明の好ましいセルロース製品におけるファイバー2を形成する複数の仮動管細胞の透視図を示す。上述したように、仮動管は、針葉樹のセルロース細胞に見られる細胞の多くを構成している。図2には、主細胞壁4、第2細胞壁6、第3細胞壁8、及び膜10が示されている。更に、細胞内腔12及び単ピット14が示されている。ピットは、あるパイン種におけるように、円形の境界18を有するピット16で描かれているように、ある種では円形境界を有している。
【0047】
図1に示すように、そして更に図2−11に示すように、ファイバーのすべての利用可能な位置に、例えば、20における細胞内腔12の内側に、22における第2の細胞壁6の内側に、24においてファイバー2の外側に、及び26においてフィブリル25上に、PCCが析出する。フィブリル25は、精製の際に露出され、隆起し、そこで、種細胞壁の一部が除去され、第2の壁6及びそれに付随するフィブリルが露出する。図示しない、精製の際に隆起したマイクロフィブリルは、その上に析出したPCCを有してもいる。PCCは、好ましくは、24において示すように単結晶として、27におけるように複合結晶として、28において示すように複合結晶の凝集として析出される。
【0048】
図2−11は、以下の実施例において更に説明する、本発明の製品の、走査型電子顕微鏡(SEM)写真である。
【0049】
実施例
実施例1−10
図2−11の画像に示された、図1−10のそれぞれにおけるファイバーは、50%が広葉樹、50%が針葉樹であり、それぞれは、Vally Iron Works, Appleton, Wiから製造され、Testing Machines Incorporated社から市販されている、商標「Vally Beater」,Serial No. 109-F-1093の下で知られている実験フィブリル化装置を用いて、300CSFに精製されている。Econotech Services 社Delta, BC, Canadaにより行われた標準TAPPIテスト法に従って、テストが行われた。
【0050】
製造
すべての実施例のための試料は、文献に記載の化学物質の測定された添加によりCaCO3析出物を形成して製造され、最終のpHは、反応が完了したことを保証した。すべての反応がファイバーの存在下で行われ、そのため析出はインシトゥーであった。
【0051】
図2−11のすべての画像におけるファイバーは、Lightin, Rochester, NY.から市販されている商標“Lightin Mixer”として知られている実験室混合装置を用いて、上述したように製造されたパルプとCO3 2−イオン含有試薬を、水中8.4%のファイバー粘度にまで混合することにより製造された。
【0052】
Ca2+イオン含有試薬をそれに混合し、図2−7について2.5%のファイバー粘度、図8−11について5.6%のファイバー粘度とした。それぞれの試料におけるCa2+イオン含有試薬は、米国ミルウォーキー、WIのAldrich Chemical社から95%として得られた水酸化カルシウムCa(OH)2であった。
次いで、ガス状CO2を、それぞれの実施例において大気圧下で導入して、それぞれの実施例のpHを7.5に減少した。
【0053】
実施例8−11のそれぞれでは、同一のCa2+イオン含有試薬の第2の部分は混合されて、4.1%のファイバ−粘度を提供し、次いで、大気圧下でガス状CO2が再び加えられて、pHが7.0に低下された。Ca2+が2つの部分に添加され、a)Na2+レベルが最小にされ、b)Ca2+の2段階添加の利点が得られ、c)水酸化物からCO3 2−のインシトゥー析出が達成された。
【0054】
すべての実施例について、TAPPI標準T205om−88により、手すき紙を製造した。このシートは、TAPPI標準T211の灰分テストに供され、無機部分が定量化された。この無機部分は、灰とHClとを反応させ、発生したCO2をガスクロマトグラフィーにより測定することにより、同定された。
【0055】
走査型電子顕微鏡の詳細
走査型電子顕微鏡(SEM)は、エネルギー分散分光分析(EDS)を用いて定性元素分析を行うことが出来る能力を有するものである。この分析法は、図8、9、10、及び11における試料に存在する粒子に対し行われた。この分析法は、カルシウム、炭素、及び酸素のみを検出した。
【0056】
使用されたSEMは、Amray Corporationから市販されている商標"1600 Turbo Scanning Electron Micrometer"、シリアルナンバーAMR16014008として知られている。Princeton Gamma Tech (PGT)から市販されている商標"Prism Digital Spetrometer"、モデルナンバーTN1/389140、シリアルナンバー52439として知られているデジタル分光計もまた使用された。この分光計は、Noran Corporationから市販されている商標"Pioneer"として知られているX線検出器である。これは、デジタルパルス処理を行うためにPGTによりアップグレードされており、きわめて薄いリチウム−ベリリウム窓を備えている。
【0057】
アナライザーワークステーション
使用されたアナライザーワークステーションは、PGTから市販されている、商標“IMIX−PC” アナライザーワークステーションとして知られており、以下の特徴を有するコンピューターを備えている。
【0058】
64MBメモリー
32ビット、200MHzクロックスピード
ウインドウズNTワークステーション
ウインドウズNTオペレイティングシステム
ウインドウズ95ウインドウイングシステム
マスストレッジ:2Gバイトディスクドライブ、1Gバイトテープドライブ、1.44Mバイトフロッピー(登録商標)、CD−ROM
3ボタンマウス、ウインドウズ95キーボード
17インチモニター
エサーネットカード
このワークステーションは、M427デジタルパルスプロセシングエレクトロニクス、オートシャットオフ/ターンオンのためのインテグラルLNモニターを有する検出器バイアス供給、及びビームドライビング/イメージキャプチャーサブシステムを備える、PGTから市販されている、データ収集ハードウエア、セリアルナンバー61619を用いた。これは、商標"IMIX-PC"ソフトウエアパッケージをして知られているソフトウエアパッケージを含み、このソフトウエアパッケージは、X線収集及び解析パッケージ、位置のタグを付けた分光計(PTS)パッケージ、イメージング、マッピング、及びビーム制御パッケージ、高解像度SEMイメージングパッケージを含む。
【0059】
すべてのサンプルは、商標"SPI Module Sputter Coater"として知られている、モデルナンバー11430、セリアルナンバー001683のスパッタコーター、及び商標"SPI-Module Control Unit"として知られている、モデルナンバー11425、セリアルナンバー001682のスパッタコントロールモジュールを用いて、約367オングストロームの金を含む金ターゲットを用いてスパッタコートされた。
【0060】
ツェータ電位測定手順
図2−11のサンプルをオーブンで乾燥し、別々にプラスチックの容器に7ヶ月貯蔵した。プラスチックの容器は、商標"Saran"として知られている材料の被覆を有するポリエチレン容器であった。次いで、紙試料は、250mlのキッチンブレンダーを用いて脱イオン水中で再パルプ化された。再パルプ化された微細物の粘度は0.5%であった。BTG Industries, Norcross, GAから市販されている商標"Mutek SZP-06"として知られている専用装置を用いて、試料について、システムツェータ電位(SZP)を測定した。
【0061】
測定結果を下記表1に示す。
【表1】
【0062】
図9−11は、ピットに析出したPCCを示す。図2−11において、ファイバーにおけるある特定の物理的位置の代わりに、利用可能なすべての領域では、PCCは不均一に分布していることに注意すべきである。また、例えば、図9において、PCCの異なる形態に注意すべきである。この図は、写真の左側にPCCの大きな凝集、ピット内に小さい組み合わせを示す。一方、図10は、ピット内の凝集を示している。一般に、本発明の製品におけるPCCの凝集は、ピットの内部に位置し、フィブリル(マイクロフィブリルにもまた)及びファイバー自体の表面に付着する。ファイバー上に観察された炭酸カルシウムは、特異的であり、時には相互に結合している。炭酸カルシウムの分布は、他に比較して多くを含むピットにより変化するように見えた。このように、位置により、結晶サイズ、形、分布は異なり、一貫していない。
【0063】
本発明の製品は、好ましくは、歩留り向上剤、凝集剤、排水助剤、樹脂、分散剤、キレート剤、スケール防止剤、腐蝕抑制剤、及びスライム防止剤等からなる群から選ばれた1種又はそれ以上の化学物質残さを含む。これらの化学物質残さは、ファイバーの内部及び上、ピット内、内腔の内側等の利用可能な表面領域に、PCCの少なくとも一部を結合するのを助ける。適切な化学物質のリストを下記表2に挙げる。多くの場合、1種、2種又はそれ以上の様々な化学物質、例えば、広範囲にわたって防菌又は殺菌するように、2種又はそれ以上のスライム防止剤が使用される。
【0064】
表2 適切な化学物質残さ
腐蝕抑制剤:実際に使用した抑制剤は、まれに純粋な物質であるが、しかし、通常、例えば、活性成分が知られていない工業的化学プロセスの副産物である混合物である。工業的防止剤パッケージは、防止剤のための活性成分に加え、界面活性剤、非エマルジョン化剤、キャリア、及び殺生剤を含む他の化学物質を含んでいてもよい。有機抑制剤の活性成分は、1種又はそれ以上のヘテロ原子、N、O、S、P、又はSeを含む、1種又はそれ以上の官能基を例外なく含む。それらのヘテロ原子を通して、抑制剤が主鎖(バックボーンに結合し、抑制剤分子が大きな表面積を覆う能力を増加させる。主鎖の共通の繰り返し単位は、メチル基及びフェニル基である。(R. Winston Revive, UTLIG’S Corrosion Handbook, John Wiley & Sons, Inc., 2000, page no. 1097.)
セルロース製品の製造方法
インシトゥー析出した炭酸カルシウム、カルシウムカチオン(Ca2+)を含有する試薬、及び炭酸塩アニオン(CO3 2−)を含有する試薬を含む、本発明のセルロース製品を製造するための好ましい方法が、習得される。これらのイオン源は、固体、液体、又はガス状のいずれかの入手可能な幾つかの源から誘導され得る。1つの好ましい方法は、石灰及び重炭酸塩を用いることにより炭酸カルシウムを製造することである。重炭酸塩は、好ましくは、幾つかの源から派生し、例えば、それらは購入するか又はその場で製造される。2つの例は、充分な重炭酸イオンと溶液を生成する、約8.4のpHでの重炭酸カルシウムと二酸化炭素との反応、及び重炭酸ナトリウムと石灰との反応を含む。
【0065】
本発明者らは、インシトゥーPCCを析出するために、幾つかのプロセスの内の1つの使用を選択する。例えば、1つの好ましい方法として、引用することにより本明細書に含まれる、前述した世界特許WO99/42657に記載された方法がある。5つの他の好ましい方法は、図12−16に示すものである。例えば、図12は、「iPCC別法」という名のプロセスを摸式的に示す。この方法では、ファイバーは、第1のミキサーで炭酸カルシウム及び二酸化炭素と混合され、次いで、第2のせん断操作で混合物に水酸化カルシウムが添加される。この方法は、少なくとも15重量%の固体含量を有する水酸化カルシウムの第1のスラリーを調製する工程、及び約3〜約6重量%の間を変化する固体含量を有するファイバーの第2のスラリーを調製する工程を具備する。第2のスラリーに約0.5重量%の量の炭酸カルシウムを添加して、第3のスラリー及び他の工程を形成すること、加圧下で第3のスラリーに二酸化炭素を導入して第4のスラリーを形成することは、第4の工程である。第1及び第4のスラリーが混合されると、終点のpHが約7.5〜約8.5の範囲内にあるように、第1のスラリーに存在する水酸化カルシウムの化学量論的量に等しい量の二酸化炭素の導入を調整することが好ましい。二酸化炭素を完全に溶解し、炭酸カルシウムを部分的に溶解して重炭酸ナトリウムを形成するために、第4のスラリーを攪拌することもまた好ましい。最終的に、例えばインラインミキサーを用いることにより、軽い混合条件の下で、第1及び第4のスラリーを混合し、ファイバーに物理的に析出、付着した炭酸カルシウムの均一なスラリーを形成することが好ましい。
【0066】
「化学物質の同時添加を伴うiPPC」として記載された、本発明の製品を形成する第2の方法は、図13に示されている。これは、図12のプロセスを多少修正したものであり、少なくとも15重量%の塩含量を有する水酸化カルシウムの第1のスラリーを調製する工程、約3〜約6重量%の間を変化する固体含量を有するファイバーの第2のスラリーを調製する工程、加圧下で約0.5重量%の量の炭酸カルシウムと二酸化炭素からなる第3のスラリーを調整する工程、及び3つのスラリーが混合されるときに、終点のpHが約7.5〜約8.5の範囲内にあるように、第1のスラリーに存在する水酸化カルシウムの化学量論的量に等しい量の二酸化炭素の導入を調整する工程を具備する。最終的に、二酸化炭素を完全に溶解し、炭酸カルシウムを部分的に溶解して重炭酸ナトリウムを形成するために、第3のスラリーが攪拌される。例えばインラインミキサーを用いることにより、軽い混合条件の下で、第1、第2及び第3のスラリーを加え、ファイバーに物理的に析出、付着した炭酸カルシウムの均一なスラリーの形成を促進する。
【0067】
「非ガス状CO2を伴うiPCC別法」と示された図12のプロセスの修正は、他の方法であり、図16に示されている。図16は、ファイバースラリーとの混合前の炭酸カルシウムと二酸化炭素との混合を示し、重炭酸塩含有溶液をファイバースラリーと混合させる。
【0068】
「分留を伴うiPPC」として記載された、本発明のセルロース製品を形成する第4の方法は、図14に示されている。図14に摸式的に示すように、このプロセス態様は、最初に低強度寄与ファイバーのスラリーを調製する工程、及び炭酸カルシウムが低強度寄与ファイバーに物理的に付着するように、この低強度寄与ファイバーのスラリーを炭酸カルシウムインシトゥー析出プロセスに供する工程を具備する。付着したPCCを有する低強度寄与ファイバーは、次いで、好ましくは最終のセルロース製品に所望の障害と強度特性を付与する割合で、高強度寄与ファイバーと混合される。低強度寄与ファイバーに添加されるカルシウムの量は、好ましくは最終セルロース製品中の充填材の所望の量に達するのに充分な量である。
【0069】
図15は、「層形成を伴うiPPC」と名づけられた、本発明のセルロース製品を製造する第5の方法を示す。この方法は、最初に低強度寄与ファイバーのスラリーを調製する工程、及びこの場合も炭酸カルシウムが低強度寄与ファイバーに物理的に付着するように、このスラリーを炭酸カルシウムインシトゥー析出プロセスに供する工程を具備する。高平滑性、高輝度、及び高強度特性を有する紙を製造するため、多層製紙機で、第1及び第2のスラリーを用いて、高強度寄与ファイバーの第2のスラリーが調製される。内層と外層とからなる多層紙が形成される。内層は、高輝度及び平滑性を付与する充填材に物理的に付着した短ファイバーを含み、外層は、紙に高強度を付与する長いたか強度ファイバーからなる。低強度寄与ファイバーに添加されるカルシウムの量は、好ましくは最終セルロース製品中の充填材の所望の充填材の量に達するのに充分な量である。
【0070】
上述したように、本発明の実施の主要な利点は、炭酸カルシウム充填材の最大の析出のため、ファイバーの内外の実際の全領域、即ち、利用可能な全表面領域の利用である。本発明の1つの制限は、ファイバーの所定の部分に析出を選択的に制御することが困難であることである。しかし、これは本発明の方法が高価ではなく、実施が容易であるという事実により補償される。
【0071】
炭酸カルシウムの形成を促進するために、好ましくは、カルシウムイオン(Ca2+)を含有する反応体は、炭酸イオン(CO3 2−)を生成し得る他の反応体と接触させられる。本発明のセルロース製品を形成する好ましい方法を実施する際に、反応体の任意の1つは正に又は負に荷電しており、最初にパルプスラリーに溶解される。パルプは充分な量の水を含んでいるので、このことは、ファイバーの全断面及び利用可能な全領域の内部又は周辺への荷電イオンの移動を可能とする。ファイバー内、特に細胞内腔へのイオンの移動の挙動は、一杯の水中のストローに比較することが出来る。系の滞留時間、混合、及び温度は、パルプファイバー内のイオンの溶解性及び移動を制御するために使用することが出来る変数である。これらの3つのパラメーターの1つ又はそれ以上の増加は、イオンの移動量を増加させる傾向にある。イオンの充分な移動が生ずると、析出を促進させるために対イオンが導入される。ここでも、これは、系の滞留時間、混合、及び温度のような変数を調整することにより達成するすることが出来、これらのパラメーターの1つ又はそれ以上の増加は、対イオンの移動、結局はイオンと対イオンとの反応を増加させる傾向にあるであろう。これは、一般に、パルプファイバーに堆積又は析出した炭酸カルシウムの量を増加させるであろう。そして、明らかなように、本発明の製品を製造するために使用された方法は、炭酸カルシウムを析出させるファイバーの部分又は位置を選ばない。
【0072】
製紙の技術分野では、炭酸カルシウムの存在がパルプ製造及び製紙装置にスケールを形成させることは周知である。このスケールの形成のための主要なカルシウム源は、水からの栄養として生じ、ファイバー構造内に貯蔵される。炭酸イオンを生成し得る反応体が導入されるとき、ファイバー中のこれらの自由カルシウムイオンのある程度は反応して炭酸カルシウムを生成する。この現象により形成される炭酸カルシウムの量は、種類、プロセス、水質等に依存する。
【0073】
インシトゥー炭酸カルシウム形成は、炭酸カルシウム製造の他の合成法に比較して、製紙プロセスの湿式製紙端部内に存在する条件により優先して支配される。本発明の製品を製造するために使用するようなインシトゥープロセスでは、反応体をパルプスラリーと混合することにより、パルプファイバーの存在下で炭酸カルシウムが形成される。この事実は、本発明の重要な点である、炭酸カルシウムの特性及びファイバー内のその位置を調整する機会が殆ど無いことを保障する。
【0074】
充填材粒子は、ファイバーウエブ内に「機械的に」捕捉されるか、又は化学添加剤(ポリマー)により助けられる。実際、他の紙特性及びプロセス条件を考慮に入れなければならないが、もちろん、炭酸カルシウムを良好に保持することが望ましい。充填材粒子の機械的捕捉は、濾過が生じ得るファイバーマットの形成前には非常に低い。ファイバーマットの形成後、充填材の捕捉はサイズに依存するメカニズムであり、粒子サイズが増加するに従って保持は増加する。化学的添加剤の導入により、保持はかなり改善され得る。
【0075】
製紙プロセスに関し、炭酸カルシウムとファイバーとの組み合わせはない。幾つかの他の化学物質が、生産性及び品質を改善するために、製紙プロセス中に添加される必要がある。一般にプロセス助剤と呼ばれている添加された化学物質(例えば、湿潤強度添加剤、サイジング、スライムコントロール、排水助剤、染料、分散剤等)間に相互作用があり、それまでの処理からの残留化学物質、炭酸カルシウム、及びファイバーはすべて、炭酸カルシウムがパルプファイバーに付着するメカニズムに優先して影響を与えるであろう。これらの状況の下では、積極的に証明することは困難であるが、本発明者らは、本明細書において、機械的結合のみよりも、粒子/ファイバー界面において化学的付着があることを主張した。エコロジーとエコノミーの両者の要求を満たすために、再使用可能なファイバー及びプロセス助剤が、更に化学的結合を強化する機械完成紙料に再利用され、循環される。
【0076】
本発明の好ましい製品及びその製造方法の上記説明は、本発明を代表するものではあるが、それらは特許請求の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】ファイバーのすべての利用可能な表面領域における炭酸カルシウムの堆積を示す、本発明の製品のセルロースファイバーの一部切り欠き透視図。
【図2】本発明の製品についてのファイバー上の炭酸カルシウムの分布の走査型電子顕微鏡写真を示す図。
【図3】本発明の製品についてのファイバー上の炭酸カルシウムの分布の走査型電子顕微鏡写真を示す図。
【図4】本発明の製品についてのファイバー上の炭酸カルシウムの分布の走査型電子顕微鏡写真を示す図。
【図5】本発明の製品についてのファイバー上の炭酸カルシウムの分布の走査型電子顕微鏡写真を示す図。
【図6】本発明の製品についてのファイバー上の炭酸カルシウムの分布の走査型電子顕微鏡写真を示す図。
【図7】本発明の製品についてのファイバー上の炭酸カルシウムの分布の走査型電子顕微鏡写真を示す図。
【図8】本発明の製品についてのファイバー上の炭酸カルシウムの分布の走査型電子顕微鏡写真を示す図。
【図9】本発明の製品についてのファイバー上の炭酸カルシウムの分布の走査型電子顕微鏡写真を示す図。
【図10】本発明の製品ファイバーのピット内に堆積した炭酸カルシウムの走査型電子顕微鏡写真を示す図。
【図11】本発明の製品ファイバーのピット内に堆積した炭酸カルシウムの走査型電子顕微鏡写真を示す図。
【図12】本発明の製品を製造する適切な方法のプロセスフローダイヤグラムを示す図。
【図13】本発明の製品を製造する適切な方法のプロセスフローダイヤグラムを示す図。
【図14】本発明の製品を製造する適切な方法のプロセスフローダイヤグラムを示す図。
【図15】本発明の製品を製造する適切な方法のプロセスフローダイヤグラムを示す図。
【図16】本発明の製品を製造する適切な方法のプロセスフローダイヤグラムを示す図。
Claims (25)
- セルロースファイバーと、このセルロースファイバーに堆積した、製紙プロセス中にその場で製造された、析出炭酸カルシウムとを含み、前記析出炭酸カルシウムは、様々なサイズ、形状、及び形態で存在し、セルロースファイバーのすべての物理的形体のセルロース製品内に存在し、前記析出炭酸カルシウムの少なくとも一部は、製紙プロセスに使用される1種又はそれ以上の化学物質と相互作用するファイバーを伴って存在するセルロース製品。
- 前記析出炭酸カルシウムは、不均一な形で存在する請求項1に記載のセルロース製品。
- 前記析出炭酸カルシウムは、単結晶、結晶の凝集体 結晶の結合した凝集体、非晶質粉末、及びそれらの組合せからなる群から選ばれた形で存在する請求項1に記載のセルロース製品。
- 前記セルロース製品の製紙プロセス中のツェータ電位が、−5〜約+5である請求項1に記載のセルロース製品。
- 前記セルロース製品の製紙プロセス中のツェータ電位が、−2〜約+2である請求項1に記載のセルロース製品。
- 前記ファイバーのろ水度は、約300csf〜約900csfの範囲である請求項1に記載のセルロース製品。
- 前記ファイバーのろ水度は、約400csf〜約500csfの範囲である請求項1に記載のセルロース製品。
- 結晶は、約0.1〜約10ミクロンのサイズを有する請求項1に記載のセルロース製品。
- 前記析出炭酸カルシウムは、少なくとも40重量%で存在する請求項1に記載のセルロース製品。
- 前記ファイバーは、木材、非木材、又は再生材料から派生したものである請求項1に記載のセルロース製品。
- 製紙プロセス中、ファイバーは、約0.05%〜約50%の粘度を有する水性懸濁液を含む請求項1に記載のセルロース製品。
- 製紙プロセス中、ファイバーは、約5%〜約10%の粘度を有する水性懸濁液を含む請求項1に記載のセルロース製品。
- 請求項1に記載のセルロース製品を含む建築製品。
- 請求項1に記載のセルロース製品を含む紙製品。
- 前記ファイバーは漂白されたファイバーである請求項1に記載のセルロース製品。
- 前記ファイバーはクラフトプロセスから派生したものである請求項1に記載のセルロース製品。
- 前記析出炭酸カルシウムは、アモルファス、結晶性、粉末状、及びその混合物からなる群から選ばれた形態を有する請求項1に記載のセルロース製品。
- 前記析出炭酸カルシウムは、方解石、あられ石、バテライト(vaterite)、菱面体、スクレノヘドラル(sclenohedral)、プリズム状、及びその混合からなる群から選ばれた結晶形態を有する請求項1に記載のセルロース製品。
- 前記ファイバーは、約1ppb〜約1ppmの量で存在する天然カルシウムを有する請求項1に記載のセルロース製品。
- 前記析出炭酸カルシウムは、非析出炭酸カルシウムと二酸化炭素との反応から誘導されたものである請求項1に記載のセルロース製品。
- 前記析出炭酸カルシウムは、重炭酸塩と二酸化炭素との反応から誘導されたものである請求項1に記載のセルロース製品。
- 製紙プロセスに使用される1種又はそれ以上の化学物質は、湿潤強度添加剤、歩留り向上剤、排水助剤、凝集剤、分散剤、キレート剤、スケール防止剤、腐蝕抑制剤、及びスライム防止剤からなる群から選ばれたものである請求項1に記載のセルロース製品。
- 前記ファイバーの少なくとも幾つかは、仮動管、放射組織細胞、放射組織柔細胞、上皮放射組織細胞、動管要素、縦形放射組織細胞、及びその組合せからなる群から選ばれた細胞を含む請求項1に記載のセルロース製品。
- 前記細胞の少なくとも幾つかは、ピットを有し、前記ピットの少なくとも幾つかは、その中に析出されたPCCを有する請求項23に記載のセルロース製品。
- 前記細胞の多くは、ピットを有し、実質的にすべてのピットは、その中にPCCを有する請求項23に記載のセルロース製品。
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