JP2005505569A - 感冒の治療のための組成物 - Google Patents

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Abstract

局所作用性血管収縮剤および局所作用性抗コリン作動剤の組み合わせを含む新規の安定組成物を開示する。好ましくは、当組成物は、塩酸キシロメタゾリンおよびその塩と配合したイプラトロピウムまたはその塩を含む。このような組成物を感冒患者の鼻粘膜に局所的に投与すると、鼻漏の症状が著しく軽減する。

Description

【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、鼻上皮のアルファアドレナリン受容体に対する局所刺激作用を持つ活性物質群、および鼻上皮に対する局所抗コリン作動性効果を持つ活性物質群の、2種類の治療上活性を有する物質の組み合わせに関する。対象とする物質は、キシロメタゾリンまたはその塩、およびイプラトロピウムまたはその塩である。さらに、本発明はこれらの物質を用いた感冒の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
感冒症状の症状緩和のための医薬品は、数十年間、広く使用されている。感冒は自己限定性疾患であり、一般に期間は短く、通常は軽度の症状が数日間から重症の場合で約2週間まで持続する。感冒の症状には、くしゃみ、鼻漏(鼻汁)、鼻閉、咽喉痛または喉のチクチク感、咳嗽、嗄声、ならびに頭痛、さむけ、および全身倦怠のような全身症状が含まれる。
【0003】
200種類を超える異なるウイルスが感冒の症状を惹起することが知られている。これらの内、ライノウイルスは成人における30%を超える感冒の原因である。その他の感冒誘発ウイルスは、コロナウイルス、ならびにA型、B型、およびC型のインフルエンザウイルスである。ウイルスによる感染症は、中耳炎、副鼻腔炎、喘息および慢性肺疾患の悪化、ならびに小児における下気道疾患に関連する可能性がある。
【0004】
しかし、現時点で感冒の治療に有効な抗ウイルス薬はない。従って、治療は感冒に伴う症状の管理を中心とする。
【0005】
鼻の交感神経系におけるアドレナリン作動性受容体の刺激、またはコリン作動性受容体の拮抗的阻害を介して感冒に伴う症状を治療するための多くの医薬品が開発されている。
【0006】
例えばキシロメタゾリンなどのイミダゾリンアルファアドレナリン作動性アゴニストのような局所交感神経興奮性うっ血除去剤(血管収縮剤)は、鼻閉の緩和および副鼻腔炎の予防のために鼻スプレーまたは点鼻薬として投与されている。市場において広く使用されているキシロメタゾリン含有医薬品は、鼻スプレーのZymerin(登録商標)である。その他の局所鼻部うっ血除去剤には、フェニレフリン、オキシメタゾリン、ナファゾリン、テトラヒドロジリン、エフェドリン、エタフェドリン、クロナゾリン、ジメプロピオン、フェノキサゾリン、およびインダナゾリンが含まれる。
【0007】
N-イソプロピルノルアトロピンの誘導体であるイプラトロピウムのように、上気道において局所抗コリン活性を持つ薬剤も感冒の症状の治療に有用である。臭化イプラトロピウムは、今日、通年性鼻炎に伴う鼻漏の患者における鼻分泌の正常化および感冒患者の鼻分泌の減少に有効な薬剤として用いられている。臭化イプラトロピウムは通年性鼻炎に伴う鼻漏の対症療法のための鼻スプレーであるアトロベント(Atrovent)(登録商標)として市販されている。その他の局所鼻部抗コリン作動薬には、臭化オキシトロピウム、臭化メチルアニソトロピン、臭化クリジニウム、グリコピロレート、および臭化メペンゾラートが含まれる。
【0008】
塩酸キシロメタゾリンを鼻内投与すると、血管収縮効果は一般に5〜10分以内に発現して、5〜6時間および12時間まで持続することが可能である。同様に、臭化イプラトロピウム投与後の最大効果は、0.5〜1.5時間後に到達して、平均持続時間は6時間である。
【0009】
臭化イプラトロピウムは鼻粘膜を乾燥させることによって鼻粘膜を刺激し、そのために臭化イプラトロピウム含有医薬品の使用者に不快感を惹起することも報告されている。
【0010】
鼻腔投与用の一つの薬剤にキシロメタゾリンおよびイプラトロピウムまたはそれらの適切な誘導体もしくは塩を配合することは、2種類以上の症状を同時に治療することが可能であり、それによって患者が感冒から受ける影響の度合いを一層軽減することができることを意味する。さらに、感冒に対する緩和作用の達成に必要な投与回数および/または一日投与量を抑えることができる。
【0011】
しかし、現時点でこのような医薬品は存在しない。イプラトロピウムまたはその塩およびキシロメタゾリンまたはその塩の両剤とも、それぞれ、水溶液中での安定性が低いことが文献に報告されている。文献データの示すところによると、塩酸キシロメタゾリンおよび臭化イプラトロピウムの水溶液は、それぞれ、pH 2およびpH 3.5において至適安定性を示す(Grabowska Iら、Acta, Polon Pharm XLI, 359-363, 1984、およびBell Gら、Pharm Res 7: 補遺 S129, 1990)。塩酸キシロメタゾリンは酸性媒質中において高い安定性を示すが、中性およびアルカリ媒質中では分解速度が著しく亢進する。臭化イプラトロピウムはエステルであり、水溶液中で加水分解されて、トロパ酸およびアルコールを生成する。この加水分解は、pHがpH 3.5を上回る値およびpH 3.5を下回る値に増減すると、亢進する。この2種類の有効薬剤を含有する医薬品を提供するためには、pHが鼻腔適用に有利でなければならない。従って、鼻腔適用用医薬品は、臭化イプラトロピウムおよび塩酸キシロメタゾリンのそれぞれについて報告された至適安定性に近いpHではなく、約pH 6〜7のpHでなければならない。残念ながら、このpH範囲において、この二薬剤は分解される。
【0012】
臭化イプラトロピウム含有製剤は既に存在しており、例えば、5%までの臭化イプラトロピウム含有剤(重量比)または非水溶性懸濁液のいずれかのエアロゾルとして製剤化されている(米国特許第5,955,058号、および国際公開公報第99/65464号)。
【0013】
さらに、鼻部疾患の治療または予防において異なる薬理学的活性を持つ薬剤の配合が鼻スプレーの剤形で開示されている(国際公開公報第94/05330号)。好ましくは、このような薬剤は、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、抗コリン剤、抗アレルギー剤、または血管収縮剤である。また、国際公開公報第98/48839号は、血管収縮剤、ノイラミニダーゼ阻害剤、ロイコトリエン阻害剤、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、抗コリン剤、麻酔剤、および粘液溶解剤からなる群より選択される局所鼻部投与に適した少なくとも1種類の薬剤を配合した局所抗炎症剤を含む局所適用可能な鼻用組成物を開示する。この組成物は鼻および副鼻腔症状の治療のために鼻スプレーまたは点鼻薬として投与することができる。国際公開公報第93/09764号には、感冒および関連する疾患の治療のための抗ウイルス剤および抗炎症剤の配合が開示されている。その一つの態様において、この配合は液体噴霧剤に溶解または懸濁したイプラトロピウムおよびキシロメタゾリンを含む。
【0014】
イプラトロピウムおよびキシロメタゾリンの併用投与については、Borumらによって検討されている。Borumらの試験では、イプラトロピウムを鼻上皮に確実に十分に分布させるために、イプラトロピウムの投与5分前に各鼻孔をキシロメタゾリンで先行刺激した(Borum Pら、Am Rev Res Dis, 123, 418-420, (1981)、およびBorum Pら、European Journal of Respiratory Diseases, 64, 補遺 1281, 65-71, (1983))。
【発明の開示】
【0015】
発明の概要
本発明者らは、抗コリン作動薬、特にイプラトロピウムまたはその適切な塩、およびα-アドレナリン作動薬、特にキシロメタゾリンまたはその適切な塩の有効用量を鼻腔に同時に投与するための新規組成物が、塩酸キシロメタゾリンを唯一の有効成分として含有する組成物よりも感冒患者における鼻汁を減少させるために有効であることを見い出した。
【0016】
驚くべきことに、イプラトロピウムおよびキシロメタゾリンまたはそれらの塩の治療上有効な二薬剤のこのような組み合わせは、組成物が非常に安定であって、25℃において少なくとも9カ月間保存できるような、鼻腔投与可能な組成物として製剤化することができる。さらに、このような調製組成物は鼻粘膜の刺激を引き起こさない。
【0017】
従って、第一の局面において、本発明は、水溶液中に(a)イプラトロピウムまたはその塩、および(b)キシロメタゾリンまたはその塩を含有する安定化組成物および/または安定化投与単位に関する。重要な点として、このような組成物はpHが約4〜7の範囲であり、かつ/または1種類もしくは複数の複合結合剤および/または1種類もしくは複数の抗酸化剤を含有することができる。好ましくは、組成物は2種類より多くの治療上有効な薬剤を含まない。
【0018】
呼吸器における局所作用性α-アドレナリン作動性刺激剤および抗コリン剤、特に臭化イプラトロピウムおよびキシロメタゾリンの組み合わせは、感冒の原因に関わらず、感冒に伴う症状の軽減、緩和または治癒を目的とすることが可能である。従って、本発明の第二の局面は、感冒および鼻炎に伴う症状の治療においてイプラトロピウムまたはその塩およびキシロメタゾリンまたはその塩の有効な量を粘膜に送達するために製剤化される医薬品の調製に際して、局所的に活性なα-アドレナリン作動性刺激剤および局所的に活性な抗コリン剤、特にイプラトロピウムまたはその塩、およびキシロメタゾリンまたはその塩の組み合わせの使用に関する。
【0019】
また、本発明は、水溶液中のイプラトロピウムまたはその塩およびキシロメタゾリンまたはその塩の治療上有効な量を投与することによって、感冒および鼻炎に伴う症状を治療するための方法に関する。重要な点として、この二薬剤の投与は同時に行うことができる。つまり、同時投与である。
【0020】
最後に、本発明は、pH調整剤、抗酸化剤、ラジカル捕獲剤、および複合結合剤からなる群より選択される少なくとも1種類の物質を使用する、イプラトロピウムまたはその塩およびキシロメタゾリンまたはその塩の安定化法に関する。
【0021】
発明の詳細な説明
「イプラトロピウムまたはその塩」という用語は、イプラトロピウム、薬学的に許容されるその塩、イプラトロピウムおよび1種類もしくは数種類の薬学的に許容されるその塩の混合物、または薬学的に許容されるイプラトロピウムの塩の混合物に関連するものを意味する。
【0022】
同様に、「キシロメタゾリンまたはその塩」という用語は、キシロメタゾリン、薬学的に許容されるその塩、キシロメタゾリンおよび1種類もしくは数種類の塩の混合物、または薬学的に許容されるキシロメタゾリンの塩の混合物に関連するものを意味する。
【0023】
「約・・・の量の臭化イプラトロピウムと同等量の」という用語は、イプラトロピウムまたはその塩の容積、濃度または量によって規定される臭化イプラトロピウムの特定の容積、濃度または量に関連することを意味し、該イプラトロピウムまたはその塩のモル含有量または重量含有量は該臭化イプラトロピウムの含有量に相当する。最も好ましい態様において、本発明の組成物、投与単位、方法または使用は臭化イプラトロピウムの使用を伴う。
【0024】
「約・・・の量の塩酸キシロメタゾリンと同等量の」という用語は、キシロメタゾリンまたはその塩の容積、濃度または量によって規定される塩酸キシロメタゾリンの特定の容積、濃度または量に関連することを意味し、該キシロメタゾリンまたはその塩のモル含有量または重量含有量は塩酸キシロメタゾリンに相当する。最も好ましい態様において、本発明の組成物、投与単位、方法または使用は塩酸キシロメタゾリンを含む。
【0025】
「製剤化」という用語は、該組成物を用いた医薬品の調製における賦形剤、担体、溶剤、溶媒、共溶媒、防腐剤、着色剤、着香剤およびその他の選択に関することを意味する。「製剤化」という用語は、その組成物を送達するための装置の選択またはその組成物の投与もしくは保管のための閉じ込め装置の選択に関連することを意味する。
【0026】
「投与量」という用語は、1回の送達操作によって粘膜に投与される有効薬剤の量に関する。有効薬剤が鼻粘膜への投与用に製剤化されている態様の場合、「投与量」という用語は1回の送達操作によって一方の鼻孔に投与される有効薬剤の量に関する。
【0027】
「送達操作」という用語は、投与量を粘膜に送達する操作である。送達操作が投与量を鼻粘膜に送達するためである態様の場合、「送達操作」という用語は投与量を一方の鼻孔に送達する操作である。好ましくは、送達操作は両方の鼻孔に対して実施される。一態様において、送達操作とは鼻スプレーまたは当業者に既知のその他の方法などの送達システムを用いて投与量を鼻腔に投与することである。適切な装置が市販されている。
【0028】
「投与単位」という用語は、1回または数回の送達操作によって投与される組成物に関する。組成物が液体である態様において、投与単位は1回または数回の送達操作によって投与される組成物の容積である。
【0029】
「一日投与量」という用語は、1回または数回の送達操作によって24時間の期間に粘膜に投与される有効物質の量に関する。有効物質が鼻腔に投与される態様において、一日投与量は24時間の期間に両方の鼻孔に投与される有効物質の量に関する。
【0030】
「薬学的に許容される塩」という用語は、粘膜への投与後に本質的に無毒であり、しかも、特定の化学的または微生物学的品質を満たす物質を意味することを示す。薬学的に許容される塩は、一般に、USP(米国薬局方)および欧州薬局方のようなガイドラインに示される医薬品の仕様を満たさなければならない。
【0031】
「湿潤剤」という用語は、適用される標的に対して保湿効果をもたらす物質に関する。
【0032】
「有効期間」という用語は、組成物中の治療上活性な物質が例えば25℃および60%相対湿度(RH)などの環境条件において安定であり、該物質の初期量の少なくとも90%、好ましくは95%、さらに好ましくは97.5%が特定の有効期間内に引き続き組成物中に存在する期間を意味することを意図する。
【0033】
「安定化組成物」という用語は、臭化イプラトロピウムおよび塩酸キシロメタゾリンなどの治療上有効な物質の含有量が安定であり、25℃、60%RHの暗所にて少なくとも9カ月間の保管後に特定の成分の少なくとも90% w/w、好ましくは95% w/w、さらに好ましくは98% w/wが該組成物中に存在することを意味することを意図する。
【0034】
「粘膜送達」という用語は、頬粘膜もしくは口唇粘膜などの粘膜、または鼻粘膜などの呼吸器の粘膜への組成物の送達に関する。
【0035】
既述の通り、本発明の第一の局面は、水溶液中に(a)イプラトロピウムまたはその塩、および(b)キシロメタゾリンまたはその塩を含む安定組成物に関する。この点に関するさらなる局面は、水溶液中に(a)イプラトロピウムまたはその塩、および(b)キシロメタゾリンまたはその塩を有効化合物として含む、安定投与単位である。
【0036】
本発明による特徴的な点は、水溶液中にイプラトロピウムまたはその塩およびキシロメタゾリンまたはその塩を含む組成物ならびに投与単位が安定であり、40℃、25%RHの暗所において少なくとも6カ月間の保存後に該組成物または投与単位中に少なくとも80% w/wのイプラトロピウムまたはその塩が存在することである。好ましくは、少なくとも85% w/w、より好ましくは90% w/w、さらに好ましくは少なくとも95% w/w、最も好ましくは少なくとも98% w/wのイプラトロピウムまたはその塩が上記条件下での少なくとも6カ月間保存後に該組成物または投与単位中に存在する。このような組成物または投与単位も安定であり、少なくとも80% w/wのキシロメタゾリンまたはその塩が40℃、25%RHの暗所において少なくとも6カ月間の保存後に該組成物または投与単位中に存在することができる。好ましくは少なくとも85% w/w、より好ましくは90% w/w、さらに好ましくは少なくとも95% w/w、最も好ましくは少なくとも98% w/wのキシロメタゾリンまたはその塩が該条件下において少なくとも6カ月間保存後に該組成物または投与単位中に存在する。
【0037】
さらに、本発明の特徴的な点として、組成物および投与単位が有効化合物の少量の分解産物を含有することも含まれる。
【0038】
このように、臭化イプラトロピウムおよび塩酸キシロメタゾリンを含む水溶液は安定であり、40℃、25%RHの暗所において少なくとも4カ月間保存後にイプラトロピウムまたはその塩から形成されるトロパ酸は5% w/w以下である。40℃、25%RHの暗所において少なくとも4カ月間保存後にイプラトロピウムまたはその塩から生成されるトロパ酸は、好ましくは4% w/w以下、3% w/w以下、より好ましくは2%、1.5%または1% w/w以下のように2.5% w/w以下、さらに好ましくは0.4% w/w以下および0.3% w/w以下のように0.5% w/w以下、さらに好ましくは0.2% w/wおよび0.1% w/w以下である。
【0039】
適切には、医薬品としての使用の場合は特に、イプラトロピウムまたはその塩およびキシロメタゾリンまたはその塩を含む組成物および投与単位は、例えば25℃、60%RHなどの環境条件において日光から保護して少なくとも6カ月間といったような長期保存において安定である。しかし、本発明の好ましい態様は、25℃、60%RHの物理的条件において日光から保護して少なくとも1年間、より好ましくは少なくとも2年間、さらに好ましくは少なくとも3年間保存後に安定である。さらに、典型的態様は、温度がより低い場合またはより高い場合、および相対湿度がより高い場合またはより低い場合にも安定であることを含む。例えば、40℃、25%RHでの暗所において、少なくとも1年間保存後のように、少なくとも6カ月後に安定である可能性がある。同様に、本発明の典型的態様は、散乱太陽光に少なくとも1年間暴露後のように、少なくとも6カ月後にも安定である。従って、典型的態様は、散乱太陽光下で25℃/60%RHにおいて、少なくとも1年間保存後のように、同様に少なくとも6カ月後に安定である。
【0040】
本発明者らは、本明細書において、酸性pH値ならびに抗酸化剤および複合結合剤の群に属する物質が、水溶液中での臭化イプラトロピウムおよび塩酸キシロメタゾリンの安定性を高めることを示す具体例を提供する。本発明による安定性を向上させる物質とは、組成物または投与単位中でイプラトロピウムもしくはその塩の分解を阻害もしくは低下させ得る、および/またはキシロメタゾリンもしくはその塩の分解を低下させ得る任意の種類の物質であって、その分解が何らかの物理的および/または化学的作用である可能性のある物質を意味することを示す。従って、このような物質は組成物の有用性および耐久性を高めることができる。
【0041】
既述の通り、イプラトロピウムもしくはその塩および/またはキシロメタゾリンもしくはその塩を含む組成物または投与単位の適切な有効期間を達成するためには、少なくともある程度は、pHが重要な因子である。従って、一態様において、組成物または投与単位はpH 7以下のpHを示す。好ましくは、pHはpH 6.5以下、例えばpH 5.8のような約pH 6以下であり、より好ましくは約pH 5.5以下、約pH 5.3または約pH 5.0以下である。組成物または投与単位が粘膜、特に鼻粘膜に投与される可能性があると仮定すると、pHはpH 3を上回るpH 3.5、またはより好適であるpH 4を上回るなど、pHがこの目的に適した値でなければならない。従って、組成物または投与単位がpH 3または4未満においてより安定であり得るにも関わらず、好ましくはpHは約pH 3〜7の範囲内である。以上により、本発明のいくつかの態様において、pHは約pH 3〜7であり、好ましくは約pH 4〜7である。本発明の興味深い態様において、pHはpH 4〜pH 6.5のように約pH 4〜pH 6.8であり、好ましくは約pH 4〜6.0またはpH 4.2〜5.8のように約pH 4〜6.2である。最も好ましくは、pHは約pH 4.0〜5.5である。
【0042】
理解される通り、臭化イプラトロピウムおよび/または塩酸キシロメタゾリンを含む水溶液ではpHを調整しなければならない可能性がある。よって、本発明の適切な態様は、pHが調整される態様に関する。従って、イプラトロピウムまたはその塩およびキシロメタゾリンまたはその塩を含む組成物、投与単位および任意の水溶液は、pH調整物質をさらに含むことができる。pH調整物質は、一つまたは複数のpKa値を持つ酸および塩基を含む適切な任意の無機塩基、無機酸、有機塩基、または有機酸とすることができる。一般に無機酸は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、またはフッ化水素酸であり、有機酸は一般に、ギ酸、酢酸、シュウ酸、プロピオン酸、クエン酸、またはアスコルビン酸などの水溶性の有機酸である。この組成物は有機酸および無機酸の混合物を含むこともできる。pH調整剤が塩酸である本発明の態様は特に興味深い。
【0043】
本発明の状況において、物質の適切な効果とは、所望の限度内の安定したpHの達成に寄与することである。臭化イプラトロピウムおよび/または塩酸キシロメタゾリンの分解キネティクスから理解できる通り(実施例1を参照されたい)、pHが上昇すると分解は飛躍的に亢進する。このように、pHの軽微な変化が治療上有効物質のより多くの分解を招く場合があり、そのため、pHが適切に管理されない限り、信頼性のある有効期間を達成することは困難となる。しかし、医薬品の法律下での取り締まり規定のため、生理学的範囲を逸脱するpHを持つ鼻腔投与が意図される調製剤に緩衝物質を入れることは許容されない。従って、鼻粘膜への医薬品の使用に関して、組成物は緩衝物質を含まない、即ち、本質的に緩衝剤フリーである。
【0044】
pH安定性が重要であることから、本発明の興味深い態様は、水溶液中のイプラトロピウムまたはその塩、およびキシロメタゾリンまたはその塩の組成物、投与単位または任意の組み合わせに関連して、該態様は40℃、25%RHでの暗所において少なくとも4カ月間の保存後に0.2pH単位を超えてpHを増加または減少させないように安定である。
【0045】
しかし、それにも関わらず、pH変動の耐性が大きいと安定した態様が得られるので、40℃、25%RHでの暗所において少なくとも4カ月間保存後にpHは1pH単位を超えて増加または減少すべきではなく、例えば0.5pH単位以下であり、好ましくは例えば0.3pH単位以下のように0.4pH単位以下を超えて増加または減少してはならない。既述の通り、より好ましくは、pHは40℃、25%RHでの暗所における4カ月以上保存後に0.2pH単位を超えて増加または減少せず、より好ましくは0.1pH単位を超えて増加または減少せず、最も好ましくは0.05pH単位を超えて増加または減少しない。
【0046】
本発明者らは、応用範囲の広い安定化物質が複合結合剤としても分類される物質を含むことを示している。従って、本発明の態様は、組成物または投与単位が少なくとも1種類または数種類の複合結合剤をさらに含む態様を含む。複合結合剤の代表的な例は、無機の金属イオン、即ち、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、または重金属イオンの結合能を持つ複合結合剤である。本発明の具体的態様において、複合結合剤は、エデト酸、ペンテト酸、ニトリロ三酢酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、酒石酸、リンゴ酸、コーティックアシッド(cortic acid)、クエン酸、および/またはそれらの塩である。それらの興味深い態様において、一種類または数種類の複合結合剤は、エデト酸、その塩、および金属の複合体;ペンテト酸、その塩、および金属の複合体;ニトリロ三酢酸およびその塩;もしくはクエン酸とその塩、または一種類もしくは数種類の該複合結合剤の混合物である。好ましくは、複合結合剤は、例えばエデト酸二ナトリウムなどの塩の形である。しかし、複合結合剤の安定化作用は専ら他の分子同士を結合させ得るという複合結合剤特有の性質に関連するという理論は成り立たない場合がある。従って、本発明の状況において、水溶液中のイプラトロピウムまたはその塩およびキシロメタゾリンまたはその塩の組み合わせを安定化させる複合結合剤の性質を併せ持つ安定剤は本発明の好ましい態様に含まれる。最も好ましい態様において、複合結合剤は、エデト酸、その塩、および金属の複合体であり、好ましくはエデト酸は、エデト酸二ナトリウムのようにその塩および/または金属の複合体である。
【0047】
既述の通り、抗酸化剤も安定化作用を示すことができる。従って、本発明のいくつかの態様は少なくとも一種類または複数の抗酸化剤を含む。抗酸化剤の代表的な例は、アスコルビン酸のような水溶性ビタミン類に属し、そうでない場合は水溶性アミノ酸(システイン、N,N-ジメチルグリシン、またはN-アセチルシステインなど)およびフラボノイドのようなラジカル捕獲剤に関することもある。好ましい態様において、抗酸化剤はアスコルビン酸である。
【0048】
本発明の状況において、安定化作用は、上記の要因であるpH、複合結合剤、抗酸化剤の単独または組み合わせによって達成され得る。よって、本発明の興味深い態様は、約4〜7の範囲のpH、および/または一種類もしくは複数の複合結合剤および/または一種類もしくは複数の抗酸化剤を含む態様に関する。pH、複合結合剤および抗酸化剤は上記と同様とすることができる。
【0049】
本発明のさらなる重要な局面は、少なくとも一種類の安定剤の使用を伴うイプラトロピウムもしくはその塩および/またはキシロメタゾリンもしくはその塩の水溶液を安定させるための方法に関する。一つの態様において、安定剤はpH調整物質である。その他の態様において、安定剤は複合結合剤であり、さらにその他の態様において、安定剤は抗酸化剤またはラジカル捕獲剤である。さらに興味深い態様において、組成物は少なくとも2種類の安定剤、特にpH調整剤および複合結合剤を含む。従って、イプラトロピウムもしくはその塩、および/またはキシロメタゾリンもしくはその塩の水溶液を安定させるための方法は、pH調整剤、抗酸化剤、ラジカル捕獲剤、および複合結合剤からなる群より選択される少なくとも一種類の物質を加える工程を含む。本発明の状況において、このようなpH調整剤、抗酸化剤、ラジカル捕獲剤、および複合結合剤は上記のそれらに関する。
【0050】
必要な安定効果を得るために、例えば複合結合剤または複合結合剤の混合物など安定剤として作用し得る少なくとも一種類の賦形剤の濃度は一定範囲内である。このように、本発明による好ましい態様は、一種類もしくは複数の複合結合剤および/または一種類もしくは複数の抗酸化剤が、約0.05mg/ml〜30mg/mlの濃度で存在する態様に関する。好ましくは、安定剤として作用し得る少なくとも一種類の賦形剤の濃度は、約0.1mg/ml〜10mg/mlであり、より好ましくは約0.2mg/ml〜4mg/mlであり、さらに好ましくは約0.3mg/ml〜2mg/mlであり、最も好ましくは0.4mg/ml〜0.8mg/mlである。
【0051】
さらに、安定効果は、例えば複合結合剤または複合結合剤の混合物などの安定剤と、イプラトロピウムまたはその塩の適切なモル比に依存する可能性がある。従って、一種類もしくは複数の複合結合剤および/または一種類もしくは複数の抗酸化剤の安定剤が、イプラトロピウムまたはその塩に対して約0.0004〜10のモル比で存在し、好ましくは約0.01〜5、より好ましくは約0.1〜2、さらに好ましくは約0.3〜0.8のモル比で存在する。同様に、安定剤はキシロメタゾリンまたはその塩に対して約0.0004〜10のモル比で存在し、好ましくは約0.01〜5、より好ましくは約0.1〜2、さらに好ましくは約0.3〜0.8のモル比で存在する。
【0052】
既述の通り、イプラトロピウムまたはその塩およびキシロメタゾリンまたはその塩を含む組成物および投与単位は水溶液の状態である。本発明の状況において、この水溶液は少なくとも10% w/wの水を含む溶液に関する。しかし、鼻腔適用での使用に適した好ましい態様において、水の含有量は少なくとも約95% w/wである。但し、少なくとも20% w/w、または少なくとも30% w/wのように、少なくとも10% w/wを上回る任意の水分含有量が使用に適している。より好ましくは、水分含有量は、少なくとも50% w/wまたは少なくとも60% w/wのように、少なくとも40% w/wである。さらに好ましくは、水分含有量は、少なくとも80% w/wまたは少なくとも90% w/wのように、少なくとも70% w/wである。最も好ましくは、当組成物は、少なくとも97% w/wまたは少なくとも99% w/wのように、少なくとも95% w/wの水分を含む。本発明の組成物の調製に適した水は、任意の化学的純度ならびに微生物学的な純度および無菌性を持つ任意の種類の水である。
【0053】
本発明に従って、イプラトロピウムの適切な塩は薬学的に許容される任意の塩とすることができる。イプラトロピウムの適切な塩は、臭化イプラトロピウム、塩化イプラトロピウム、ヨウ化イプラトロピウム、フッ化イプラトロピウム、または水酸化イプラトロピウムによって具体化される。しかし、本発明の好ましい態様は、臭化イプラトロピウムを含む。
【0054】
キシロメタゾリンは、酸付加塩反応を受けることのできるイミダゾリンであり、これによってこの化合物はイオン化して水溶性が亢進し、これが鼻粘膜を含む粘膜組織の局所治療において医薬品の送達に有利である可能性がある。従って、キシロメタゾリンの好ましい塩は、キシロメタゾリン酸付加塩である。適切な態様において、この塩は無機または有機であり得る。このような酸付加塩は薬学的に許容される任意の酸から製造することができ、従って、塩酸キシロメタゾリン、臭化水素酸キシロメタゾリン、ヨウ化水素酸キシロメタゾリン、フッ化水素酸キシロメタゾリン、硫酸キシロメタゾリン、硝酸キシロメタゾリン、ギ酸キシロメタゾリン、酢酸キシロメタゾリン、クエン酸キシロメタゾリン、酒石酸キシロメタゾリン、またはフマル酸キシロメタゾリンが形成される。
【0055】
本発明の好ましい態様は塩酸キシロメタゾリンを含む。
【0056】
本発明に従って、局所的に活性を示すその他の鼻用抗コリン作用薬は、エフェドリン、フェニレフリン、ナファゾリン、オキシメタゾリン、テトラヒドロゾリン、エタフェドリン、クロナゾリン、ジメプロピオン、フェノキサゾリン、インダナゾリンまたはそれらの塩を含めて、イプラトロピウムまたはそれらの塩と組み合わせて使用することができる。従って、さらなる局面において、本発明は、水溶液中に(a)イプラトロピウムまたはその塩;および(b)エフェドリン、フェニレフリン、ナファゾリン、オキシメタゾリン、テトラヒドロゾリン、エタフェドリン、クロナゾリン、ジメプロピオン、フェノキサゾリン、インダナゾリンおよびそれらの塩からなる群より選択される血管収縮剤を含む組成物に関する。好ましくは、塩酸キシロメタゾリンは、エフェドリン、フェニレフリン、ナファゾリン、オキシメタゾリン、またはそれらの塩、例えば塩酸塩または臭化水素塩によって代替することができる。臭化イプラトロピウムとの併用投与において使用することのできる適用可能な用量は、単独投与によって鼻閉の治療に有効であることが知られている用量である。しかし、好ましくは、用量は単独投与において通常適用される量の約半分である。
【0057】
さらに、イプラトロピウムまたはその塩の代替となる抗コリン作用薬は、キシロメタゾリン、またはオキシトロピウム、アニソトロピン、クリジニウム、グリコピロレート、メペンゾレートもしくはそれらの塩のようなキシロメタゾリンの塩と組み合わせて使用することができる。従って、さらなる局面において、本発明は水溶液中の(a)キシロメタゾリンまたはその塩;ならびに(b)オキシトロピウム、アニソトロピウム、クリジニウム、グリコピロレート、メペンゾレート、およびそれらの塩からなる群より選択される抗コリン作用薬を含む組成物に関する。その興味深い態様において、抗コリン作用薬はオキシトロピウムまたは臭化オキシトロピウムのようなその塩である。キシロメタゾリンまたはその塩との併用投与として用いることのできる適用可能な用量は、単独投与によって鼻閉の治療に有効であることが知られている用量である。
【0058】
本発明に従って、組成物における二医薬品の量は、イプラトロピウムまたはその塩が該組成物の1ml当たり約0.05mg〜約30mg、好ましくは約0.1mg〜約10mg、より好ましくは約0.15mg〜約5mg、さらに好ましくは約0.2mg〜約2mg、最も好ましくは約0.3mg〜約1.2mgの量で存在する。キシロメタゾリンまたはその塩は、該組成物の1ml当たり約0.05mg〜約30mg、好ましくは約0.2mg〜約10mg、より好ましくは約0.4mg〜約5mg、さらに好ましくは約0.5mg〜約2mg、最も好ましくは該組成物1ml当たり約0.7mg〜約1.5mgの量で存在する。
【0059】
もう一つの選択肢として、イプラトロピウムまたはその塩が、組成物の重量で約0.005%〜約3%、好ましくは約0.01%〜約1%、より好ましくは約0.015%〜約0.5%、さらに好ましくは約0.02%〜約0.2%、最も好ましくは約0.03%〜約0.12%の量で存在し、キシロメタゾリンまたはその塩が、組成物の重量で約0.05%〜約30%、好ましくは約0.1%〜約10%、より好ましくは約0.4%〜約5%、さらに好ましくは約0.5%〜約2%、最も好ましくは約0.7%〜約1.5%の量で存在する。
【0060】
好ましくは、薬学的組成物は、粘膜、好ましくは鼻粘膜への投与のために適切に製剤化される。本発明によると、好ましくは投与単位も、有効化合物を鼻粘膜に送達する粘膜投与のために製剤化される。適切な製剤化とは、製薬業者が粘膜への投与、特に鼻粘膜上に送達するために設計することのできるこのような調製物を意味することを示す。
【0061】
このように、本発明の特に適切な態様は、張性調節能を持つ少なくとも一種類の賦形剤をさらに含有する態様を含む。このような賦形剤は、塩化ナトリウム、または例えばデキストロースなどの既知の塩化ナトリウム同等物、様々な有機酸、ならびにシュウ酸、クエン酸、酒石酸およびリン酸のようなそれらの無機の塩である。有利なことに、張性は等張化賦形剤の混合物により調整される。得られる溶液は約100〜500mOsm/kg H2Oの範囲の浸透圧重量モル濃度を採ることができる。好ましくは、浸透圧重量モル濃度は約150〜450mOs/kg H2Oの範囲であり、より好ましくは約200〜400mOsm/kg H2Oの範囲であり、さらに好ましくは約220〜350mOs/kg H2Oの範囲である。最も適切には、浸透圧重量モル濃度は、約250〜300mOsm/kg H2Oの範囲のように、約230〜320mOsm/kg H2Oの範囲内である。さらに適切なそれらの態様において、浸透圧重量モル濃度は約275mOsm/kg H2Oのように約260〜290mOsm/kg H2Oの範囲内である。
【0062】
前述の通り、イプラトロピウムまたはその塩の鼻粘膜への投与はその粘膜の乾燥を来すことがある。従って、本発明の好都合な態様は、少なくとも一種類の湿潤剤をさらに含有する。湿潤剤は、水などの湿り気を吸収または保持する能力を持つ薬学的に許容される賦形剤であることが示されている。適切な湿潤剤は、鉱油、植物油、平滑剤、セルロース誘導体、糖、アルコール、ポリマー、または膜軟化剤である。
【0063】
本発明による典型的な湿潤剤は、ソルビトール、プロピレングリコール、グリセロール、グリセリン、ポリエチレングリコール、トリアセチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポロキサマーである。本発明の特に適切な態様において、湿潤剤はグリセロールである。
【0064】
この調製物は水を少なくとも10%含有する水溶液からの有効物質の送達に有利なように製剤化されて、好ましい態様において組成物は本質的に噴霧剤を含まない。理解される通り、噴霧剤は水とほとんど混和しない。従って、当組成物は液体噴霧剤のような噴霧剤を含まないか、または当組成物の該噴霧剤含有率が5% w/w未満、好ましくは1% w/w未満、より好ましくは0.5% w/w未満、最も好ましくは0.1% w/w未満であるなど、少なくとも本質的には液体噴霧剤を含まない。さらに、湿潤剤などの賦形剤の選択は、鼻腔に投与した際にゲルを作らない組成物とすることを意図する。
【0065】
さらに、本発明の適切な態様において、本組成物および/または投与単位は防腐剤を含まない。例えば、塩化ベンザルコニウムは使用に適さない可能性がある。
【0066】
本発明の好ましい局面は、(a)イプラトロピウムまたはその塩のように局所的に作用する抗コリン作用薬、および(b)キシロメタゾリンまたはその塩のように局所的に作用する血管収縮剤の治療上有効な量の組み合わせであって、好ましくは2つの薬剤が水溶液中に溶解または懸濁している組み合わせを投与することによって、感冒に伴う症状および鼻炎に伴うからなる群より選択される状態を治療するための方法に関する。治療は好ましくはヒトを対象とするが、例えば一頭の動物のような任意の哺乳動物が、局所的に作用する抗コリン作用薬および局所的に作用する血管収縮剤の組み合わせで治療される可能性もある。さらに興味深い態様において、この方法は、15歳以下、好ましくは12歳以下、より好ましくは10歳以下の小児に対する組成物の投与を含む。
【0067】
最終的に、イプラトロピウムまたはその塩およびキシロメタゾリンまたはその塩の組成物が感冒の治療または緩和に使用するように最終的な医薬品に製剤化される場合、本発明のさらなる局面は、感冒に伴う症状および鼻炎に伴う症状からなる群より選択される状態の治療のためにイプラトロピウムまたはその塩およびキシロメタゾリンまたはその塩の有効量を粘膜に送達するために製剤化される医薬品の調製に際して、(a)イプラトロピウムまたはその塩のように局所的に作用する抗コリン作用薬、および(b)キシロメタゾリンまたはその塩のように局所的に作用する血管収縮剤の組み合わせの使用に関する。
【0068】
本明細書に示す実施例から分かる通り、局所的に作用する抗コリン作用薬および局所的に作用する血管収縮剤の組み合わせは、臭化イプラトロピウムおよび塩酸キシロメタゾリンの組み合わせにより示される通り、局所的に作用する血管収縮剤の単独投与よりもはるかに効果的に鼻汁を軽減することができる。
【0069】
本発明の状況において、局所的に作用を示す任意の適切な血管収縮剤をイプラトロピウムまたはその塩と配合することができる。同様に、局所的に作用を示す任意の適切な抗コリン作用薬をキシロメタゾリンまたはその塩と組み合わせることができる。従って、本発明のさらなる興味深い局面において、治療の実施または方法は、(a)イプラトロピウムまたはその塩;ならびにエフェドリン、フェニレフリン、ナファゾリン、オキシメタゾリン、テトラヒドロゾリン、エタフェドリン、クロナゾリン、ジメプロピオン、フェノキサゾリン、インダナゾリン、またはそれらの塩からなる群より選択することのできる血管収縮剤の組み合わせに関する。加えて、本発明のもう一つの興味深い局面は、(a)キシロメタゾリンまたはその塩;ならびにオキシトロピウム、アニソトロピン、クリジニウム、グリコピロレート、メペンゾラート、またはそれらの塩からなる群より選択することのできる局所的に作用する抗コリン作用薬の組み合わせに関する。
【0070】
本発明の好ましい態様において、治療に適した状態は鼻閉、くしゃみ、および/または分泌過多(鼻漏)である。
【0071】
感冒に伴うこれらの状態は、ウイルス感染、アレルギー性鼻炎、非アレルギー性鼻炎、および/または通年性鼻炎によって引き起こされる可能性がある。しかし、感冒は、ウイルス感染の存在を示すさらなる徴候をまったく伴わずに偶発的に罹患する可能性がある。
【0072】
鼻炎はウイルス刺激に対する鼻粘膜の炎症を伴う状態を示し、アレルギー性または非アレルギー性の季節性または通年性のいずれかと考えることができる。通年性鼻炎は、季節とは無関係に一年を通して環境中に存在する様々なアレルゲンによって引き起こされるアレルギー介在性の鼻炎に関連する。
【0073】
本発明に従って、イプラトロピウムまたはその塩のような局所的に作用する抗コリン作用薬、およびキシロメタゾリンまたはその塩のように局所的に作用する血管収縮剤を、鼻粘膜に同時期に、つまり同時投与することによって感冒の様々な状態を治療することは好都合である。都合の良いことに、例えば鼻漏の重症度および期間が軽減する可能性がある。この軽減は、症状スコア、鼻をかむ回数、および/または分泌物重量の減少に基づいて認めることができる。
【0074】
さらに、イプラトロピウムまたはその塩およびキシロメタゾリンまたはその塩の同時期の同時投与によって感冒症状の治療の有効性が向上して、その結果、例えばキシロメタゾリンまたはその塩などの二薬剤の一方または双方についてより低い用量で済む可能性がある。従って、副作用のリスクが低下する可能性があり、また小児における使用についてさらに適切となる可能性がある。重要な点として、二種類の薬剤を一つの医薬品に組み合わせることは、患者がその医薬品を服用しなければならない回数が減少するために、服薬遵守が向上する可能性がある。
【0075】
従って、本発明に従って、イプラトロピウムまたはその塩およびキシロメタゾリンまたはその塩の組成物の投与は、粘膜、好ましくは鼻粘膜に対して行われる。
【0076】
感冒症状の軽減、緩和または治癒に十分な一日投与量は、感冒の重症度および各患者における症状のそれぞれの緩和の必要性によって異なると思われる。従って、イプラトロピウムまたはその塩の一日投与量は約50μg〜約1500μgの臭化イプラトロピウムに相当する。一般に、一日投与量は、約75μg〜約1100μgの臭化イプラトロピウム、好ましくは約75μg〜約900μg、より好ましくは約100μg〜約650μg、最も好ましくは約156μg、約312μgまたは約468μgのように約150μg〜約500μgの臭化イプラトロピウムに相当する。同様に、キシロメタゾリンまたはその塩の十分な一日投与量も変えることができる。キシロメタゾリンまたはその塩の一日投与量は、約40μg〜約1300μgの塩酸キシロメタゾリンに相当する。好ましくは、一日投与量は約80μg〜約1100μgの塩酸キシロメタゾリンであり、より好ましくは約100μg〜約1000μg、最も好ましくは約120μg〜約800μgであり、典型的には約260μg、約390μg、約520μgまたは約780μgの塩酸キシロメタゾリンである。
【0077】
さらに、二群の治療上有効な薬剤の適切なモル比は感冒の症状を軽減することのできる度合いに対して影響を及ぼす可能性がある。このため、キシロメタゾリンまたはその塩に対するイプラトロピウムまたはその塩の一日投与量におけるモル比または重量比は約0.2〜10とすることができ、例えば約0.3〜5であり、より好ましくは例えば0.6〜1.5のように約0.4〜3、0.5〜2である。
【0078】
感冒の症状を緩和するためには、鼻粘膜が頻繁に抗コリン作用性の血管収縮剤に曝露されることが重要である可能性がある。従って、上記の局所的に作用する抗コリン作用性血管収縮剤の投与は、感冒の重症度に応じて、一方または両方の鼻孔に一日1回または数回実施することができる。好ましくは、この投与は一方または双方の鼻孔に一日3回または4回を限度として実施する。
【0079】
一方または両方の鼻孔に一日一回または数回投与することのできる典型的投与量も変動させることができる。従って、一方の鼻孔に対してイプラトロピウムまたはその塩を一回投与すると、約5μg〜約800μgの臭化イプラトロピウム、好ましくは約10μg〜約400μg、より好ましくは約39μg、約78μgおよび約156μgのように約25μg〜約220μgの臭化イプラトロピウムと同等量が送達される。同様に、一方の鼻孔に対してキシロメタゾリンまたはその塩を一回投与すると、約5μg〜約700μgの塩酸キシロメタゾリン、好ましくは約10μg〜約350μg、より好ましくは約32μg、約65μgおよび約130μgのように約20μg〜約200μgの塩酸キシロメタゾリンと同等量が送達される。
【0080】
イプラトロピウムまたはその塩およびキシロメタゾリンまたはその塩の有効量は、一般に、約10〜500μLの液量を送達する投与単位によって送達される。しかし、200μLを超える液量を鼻腔に投与すると製剤の喉頭への流出または鼻孔からの流出のリスクがあることから、好ましくは液量は多くても200μLである。従って、投与量の液量は好ましくは約10〜200μLであり、最も好ましくは130μL〜140μLのように約50〜150μLである。
【0081】
本発明に従って、感冒に伴う症状の軽減、緩和または治癒は、本明細書に記載される特徴を備えた安定組成物へと製剤化されるイプラトロピウムまたはその塩およびキシロメタゾリンまたはその塩の組み合わせを用いて達成される。従って、治療の方法は本発明による組成物の使用に関する。
【0082】
本発明の少なくとも一つの有利な局面は、感冒の治療を向上させる可能性のあることである。これは、少なくとも一因は、治療上有効な二種類の薬剤を含む水溶液では二薬剤の分解が生じると予測されていたのに対して、本発明者らは水溶液中に治療上有効な二種類の薬剤を含む鼻腔投与用の安定な医薬品を提供していることに起因する。この医薬品は長期間の使用および保管に適している。感冒患者の一方または双方の鼻孔にこの医薬品を単回鼻腔投与することによって、二種類の薬剤が鼻腔に同時に送達され、両薬剤はそこで交感神経およびコリン作動性神経にそれぞれ作用して、その結果、鼻汁分泌過多(鼻漏)および鼻閉を緩和する。従って、本医薬品の主な利点は、それぞれの薬剤を別々に鼻腔に投与する場合に比して一日の投与回数が減少することに起因する服薬遵守の向上に関する。
【0083】
本医薬品のもう一つの利点は、有効成分間の正の相乗作用であり、その結果、それぞれの薬剤を別々に鼻に投与する場合に比して、一方または双方の薬剤の用量を減少させることができる。さらに、治療の向上に伴って、少なくともある程度は、適切な湿潤剤が医薬品に添加されるために鼻粘膜の乾燥のリスクが軽減される。また、この向上は、少なくともある程度は、例えば個々の使用者がこの医薬品が感冒の症状を長期にわたって緩和することを経験するなど、二薬剤の治療効果が同時であるためにこの医薬品の各使用者が経験し得る緩和の程度に関連する。
【0084】
実施例
実施例1:異なるpH条件での安定性
次のスキーム(表1)に従って、4種類の組成物が調製された。pHを調整するため、0.1M リン酸カリウム緩衝液が加えられた。
【0085】
【表1】
Figure 2005505569
【0086】
試験液を気密栓付きのガラスバイアルに収容して、40℃/75%相対湿度(RH)にて保管した。0カ月、1カ月および4カ月保存後に、臭化イプラトロピウムの主要分解物であるトロパ酸、および塩酸キシロメタゾリンの主要分解物であるN-(2-アミノエチル)-2-(4-1,1-ジメチルエチル-2,6-ジメチルフェニル)-アセトアミド(NADDA)の含有量を、逆相HPLC(Xterra RP18カラム)を用いて、206nmでUVを検出して定量した。二種類の溶媒による勾配を用いて、pH 5.5のリン酸緩衝液を溶媒1とし、pH 5.5に調整したアセトニトリル加リン酸緩衝液(45:55)を溶媒2とした。臭化イプラトロピウムまたは塩酸キシロメタゾリンについて得られた保持時間は、それぞれ、約12分および約21.5分である。pHはpHメーターを用いて測定した。
【0087】
親化合物の初期量の百分率として求めた分解産物であるNADDAおよびトロパ酸の含有量を以下の表2および表3に示す。
【0088】
【表2】
Figure 2005505569
【0089】
【表3】
Figure 2005505569
【0090】
結果は、pHが上昇すると、形成される双方の分解物の量が増加することを示している。特に、臭化イプラトロピウムの分解は40℃において顕著であり、中性に近いpH値では特に顕著であることが示されている。
【0091】
実施例2:pH 4.5およびNa2-EDTAを含む組成物の安定性
次の成分を含む組成物が調製された:
臭化イプラトロピウム: 1.2mg/ml
塩酸キシロメタゾリン: 1mg/ml
85%グリセロール: 2.70%(w/v)
エデト酸二ナトリウム: 0.5mg/ml
希塩酸: 適量を用いて、pH 4.5に調整
精製水: 1mlに調整
【0092】
組成物は、気密栓付き褐色ガラス瓶に収容して、40℃/25%RHにて保存した。
【0093】
0カ月、1.5カ月、3カ月、4.5カ月および6カ月保存後に、実施例1に記載したHPLC法を用いて、臭化イプラトロピウムおよび同分解物であるトロパ酸、ならびに塩酸キシロメタゾリンおよび同分解物であるN-(2-アミノエチル)-2-(4-1,1-ジメチルエチル-2,6-ジメチルフェニル)-アセトアミド(NADDA)を定量した。
【0094】
表4は、親化合物の初期量に対する親化合物の回収量および分解物の百分率を示す。
【0095】
【表4】
Figure 2005505569
【0096】
実施例3:pH 4.5および/または複合結合剤を含む組成物の安定性
以下のスキームに従って、pH 4.5、複合結合剤、またはpH 4.5および複合結合剤双方のいずれかを含む4種類の組成物を調製した:
【0097】
【表5】
Figure 2005505569
【0098】
組成物は40℃/nmt25%RHにて保存した。それぞれ、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月および6カ月保存後に試料を採取して、実施例1に示すHPLC法を用いてpH、アッセイおよび分解物について分析を行った。
【0099】
安定性の指標である分解物の含有量を表6および表7に示す。含有量は、トロパ酸およびNADDAの量として、それぞれ、臭化イプラトロピウムおよび塩酸キシロメタゾリンの初期量の百分率にて示す。
【0100】
【表6】
Figure 2005505569
【0101】
【表7】
Figure 2005505569
【0102】
データは、pH 4.5および/またはエデト酸二ナトリウムを含む組成物中では安定性の指標である分解物がほとんど生成されないことを示している。40℃での4カ月間保存後に、組成物2、3、および4は含まれる分解物の量が明らかに少ない。従って、pHをやや酸性側のpHに調整するための物質を含む組成物および/または複合結合剤を含む組成物は、複合結合剤またはpH調整物質が添加されていない組成物1よりも高い安定性を持つことを示している。
【0103】
実施例4:様々な複合結合剤または抗酸化剤を含む組成物の安定性
多くの異なる物質について、臭化イプラトロピウムおよび塩酸キシロメタゾリンを含む組成物中でのそれらの安定化作用を調べた。
【0104】
基本組成物は、その他の物質を加えた際に有効成分および賦形剤の最終濃度が以下の通りとなるように調製した:
・ 0.6mg/ml臭化イプラトロピウム
・ 1.0mg/ml塩酸キシロメタゾリン
・ 27.3mg/ml 85%グリセロール
・ 精製水に溶解。
【0105】
次の物質のいずれか1つを加えた:
・ 0.125mg/mlエデト酸二ナトリウム
・ 0.125mg/mlエデト酸カルシウム二ナトリウム
・ 0.125mg/mlエデト酸二カリウム
・ 0.125mg/mlエデト酸三ナトリウム
・ アスコルビン酸を加えてpHを4.5に調整
・ クエン酸を加えてpHを4.5に調整
【0106】
添加物質自体では(即ち、アスコルビン酸およびクエン酸を用いて)pH調整が行われない組成物に対しては、0.1M HClを加えてpHを4.5に調整した。この調製物を40℃/75%RHにて保存して、4カ月保存後に試料を分析した。分解物のアッセイおよび含有量は、実施例1に示したHPLC法により分析して、pHはpHメーターを用いて測定した。
【0107】
結果は、塩酸キシロメタゾリンおよび臭化イプラトロピウムの回収量として、それぞれの初期量の百分率にて示す。分解物含有量に関しては、それぞれの親化合物の初期量の百分率で示す。
【0108】
【表8】
Figure 2005505569
【0109】
表8の結果は、基本組成物に上記の物質を添加すると、塩酸キシロメタゾリンおよび臭化イプラトロピウムの双方の分解物の生成が明らかに阻害されることを示す。参照組成物は基本組成物に0.1M HClを加えてpHを4.5に調整したものである。特に、添加された物質は、臭化イプラトロピウムの分解を著しく阻害した。従って、エデト酸塩、アスコルビン酸、またはクエン酸を含む組成物は、安定性が向上していた。
【0110】
実施例5:臭化イプラトロピウムと組み合わせたその他の血管収縮剤を含む組成物の安定性
エフェドリンおよびオキシメタゾリンのようにキシロメタゾリンに代わる血管収縮剤を含む組成物は、次のスキームに従って調製された。
【0111】
【表9】
Figure 2005505569
【0112】
調製物を栓をした透明なガラスバイアルに収容して、それぞれ、40℃/75%RHおよび60℃/高湿度状態で保存した。HPLCにより、親組成物および分解物の含有量について試料をアッセイした。臭化イプラトロピウム、エフェドリン、および不純物は、実施例1で記載したHPLC法により測定した。オキシメタゾリンは、Waters Symmetry C18カラムおよび220nmでのUV検出器を用いた逆相HPLCにより分析した。方法は、リン酸緩衝液、トリエタノールアミンおよびアセトニトリルの混合物を移動相として用いた、無勾配条件とした。
【0113】
初期含有量の百分率で示したエフェドリンおよびオキシメタゾリンのそれぞれの含有量を表10に示す。臭化イプラトロピウムの初期量の百分率として示したトロパ酸の量を表11に示す。
【0114】
【表10】
Figure 2005505569
【0115】
これらの安定性データは、明らかに、エフェドリンおよびオキシメタゾリンをそれぞれ含む組成物が、促進条件下での保存時に安定であることを示している。
【0116】
【表11】
Figure 2005505569
【0117】
これらの結果から、臭化イプラトロピウムのトロパ酸への分解は、エデト酸二ナトリウムを含む組成物中では減少または阻害されることが明らかであり、従って、エデト酸塩の臭化イプラトロピウムに対する安定化作用を明確に示している。
【0118】
実施例6:様々な湿潤剤を含む組成物
異なる組成物の調製のため、次の有効物質および賦形剤を使用した:
I 臭化イプラトロピウム 0.05〜30mg
II 塩酸キシロメタゾリン 0.05〜30mg
III エデト酸二ナトリウム 0〜10mg
IV 湿潤剤 0〜50mg
V その他の賦形剤 0〜50mg
VI 希塩酸/希水酸化ナトリウム 適量(pH 4.0〜7.0)
VII 精製水 1mlとする
【0119】
IV群の賦形剤(湿潤剤)は個々にまたは組み合わせて組成物に加えることができる。IV群の好ましい賦形剤は、組成物の投与時に鼻粘膜の刺激を減少させる賦形剤または賦形剤の組み合わせである。何らかの化学的または微生物学的特性を持つ賦形剤は上記の実施例での使用に適している。IV群の賦形剤の例は下記の通りであるが、これに限定されるものではない。
【0120】
セルロース誘導体:
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース。
【0121】
糖:
ブドウ糖、無水ブドウ糖、ソルビトール、マンニトール、グリセロール/グリセリン、トリアセチン(1,2,3-プロパントリオール三酢酸)、デキストラン70。
【0122】
アルコール:
プロピレングリコール、ポリエチレングリコール400またはポリエチレングリコール300、ポリビニルアルコール、オクトキシノール(エトキシル化アルキルフェノール)。
【0123】
ポリマー:
ポリビニルピロリドン、カルボマー、チロキサポール、ポロキサマー(α-ヒドロ-ωヒドロキシポリ(オキシエチレン)ポリ(オキシプロピレン)ポリ(オキシエチレン)ブロック共重合体)。
【0124】
油類:
鉱油、植物油。
【0125】
その他:
平滑剤、膜軟化剤、トロメタモール。
【0126】
調製物には、張性調整物質(例えば、塩化ナトリウム、グリセロール、グリセリン、ソルビトール、プロピレングルコール、およびポリエチレングリコール)、調製物の感覚感受性を高める物質(例えば、甘味料、メントール、および芳香物質)、および防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、パラベン、水銀塩、フェノール)ような、当業者に既知の薬学的に許容される他の賦形剤(V群の賦形剤)を加えることができる。V群の賦形剤は個別に、または組み合わせて組成物中に存在することができる。
【0127】
様々な調製剤における活性物質および賦形剤の最も好ましい量は次の通りである:
I 臭化イプラトロピウム 0.3〜1.2mg
II 塩酸キシロメタゾリン 1mg
III エデト酸二ナトリウム 0.5mg
IV 湿潤剤 85%グリセロール27〜27.5mg
V 希塩酸 適量(pH 4.5に調整)
VI 精製水 適量を加えて1mlとする
【0128】
手順:
表12に示す臭化イプラトロピウム、塩酸キシロメタゾリン、エデト酸二ナトリウム、および一種類または複数の湿潤剤を秤量して、約480mlの蒸留水を加えて磁石撹拌機で攪拌した。0.1M HClをpH 4.5まで滴下して加えて、次に蒸留水を加えて500mlとした。固体の物質が溶解するまで調製液を磁石撹拌機で絶えず攪拌して、続いて、0.45μmのフィルターに通してろ過した。
【0129】
以下の成分はすべての組成物に存在し、表12の湿潤剤をさらに加えて、個々の異なる組成物を得た:
臭化イプラトロピウム: 600mg
塩酸キシロメタゾリン: 500mg
エデト酸二ナトリウム: 250mg
0.1M HCl: pH 4.5に調整
蒸留水: 500mlに調整
【0130】
【表12】
Figure 2005505569
【0131】
実施例7:異なる湿潤剤を含む組成物の安定性試験
二種類の活性物質(臭化イプラトロピウムおよび塩酸キシロメタゾリン)、エデト酸二ナトリウム、および異なる湿潤剤を含む多くの組成物の長期安定性試験を実施した。
【0132】
安定性試験
C〜Lの組成物をガラス容器に入れて気密栓で密栓して、25℃/60%RHの暗所および40℃/25%RHの暗所に保存した。
【0133】
0カ月、3カ月、6カ月および9カ月の時点で試料を採取して、臭化イプラトロピウム、塩酸キシロメタゾリン、および実施例1に示すそれぞれの主要分解物の含有量を定量した。
【0134】
結果
C〜Lの組成物はすべて、9カ月の保存期間中、水のように透明であった。
【0135】
活性物質である臭化イプラトロピウムおよび塩酸キシロメタゾリンの両方の含有量は、25℃および60%RHまたは40℃および最大25%RHでの2カ月保存後に、それぞれ、本質的に不変である。さらに、C〜Hの組成物は同様の条件下でのより長期間の保存後にも安定であった。I〜Lの組成物に関するデータは得られていない。また、pHも保存期間中に本質的に一定である(表13〜18を参照されたい)。
【0136】
【表13】
Figure 2005505569
【0137】
【表14】
Figure 2005505569
【0138】
【表15】
Figure 2005505569
【0139】
【表16】
Figure 2005505569
【0140】
【表17】
Figure 2005505569
【0141】
【表18】
Figure 2005505569
【0142】
実施例8:臭化イプラトロピウムの異なる用量を用いた臨床的有効性および安全性
目的:
感冒の鼻部症状の治療における塩酸キシロメタゾリンおよび臭化イプラトロピウムの組み合わせの有効性および安全性について評価するための、二重盲検法、無作為化、臨床用量設定試験。有効性および安全性は、塩酸キシロメタゾリンを単独活性物質として含有するZymelin(登録商標)鼻スプレーを用いた治療において比較する。
【0143】
試験設計:
4投与群を用いた二重盲検法、対照、無作為化、平衡群、フェーズII試験。対照群には塩酸キシロメタゾリンを投与する。治療群には対照群と同一用量の塩酸キシロメタゾリンを投与して、さらに3段階中1段階の用量の臭化イプラトロピウムを投与する。各投与期間は少なくとも2×24時間として、その後、被験者は必要があれば、さらに2×24時間にわたって引き続き投与を行うことができる。2回目来院は、試験投与の開始後8日目、9日目、または10日目に実施する。
【0144】
被験者は試験投与群に均等に割り付ける。被験者は、スクリーニング時の鼻汁のスコアに従って層別化して、即ち、一方をスコア2(中等度)とし、他方をスコア3(重度)とする。
【0145】
投与
A:1.2mg/ml臭化イプラトロピウム+1mg/ml塩酸キシロメタゾリン
B:0.6mg/ml臭化イプラトロピウム+1mg/ml塩酸キシロメタゾリン
C:0.3mg/ml臭化イプラトロピウム+1mg/ml塩酸キシロメタゾリン
D:1mg/ml塩酸キシロメタゾリン(Zymelin(登録商標))
【0146】
組み入れ基準
最も重要な組み入れ基準は以下に関する:
1.年齢 18歳から65歳
2.48時間以内の感冒症状の既往
3.直前の24時間における鼻汁症状に関する4段階評価尺度において、スクリーニング時に少なくとも中等度(2)のスコア
4.直前の24時間における鼻閉症状に関する4段階評価尺度において、スクリーニング時に少なくとも軽度(1)のスコア
【0147】
除外基準
組み入れのためには、すべての除外基準が「いいえ」と回答されなければならない。
1.塩酸キシロメタゾリンまたは臭化イプラトロピウムに対する既知の過敏症
2.本試験開始前の1カ月以内に別の薬剤の試験への参加
3.重大な心血管系疾患、腎疾患、肝疾患、内分泌疾患、代謝疾患、神経疾患、肺疾患、精神疾患、またはその他の全身性疾患
4.季節のアレルゲンによって引き起こされる通年性鼻炎またはアレルギー性鼻炎
5.鼻茸またはその他の重大な鼻の異常
6.緑内障
7.前立腺肥大
8.副鼻腔炎または気管支炎のような上気道感染を伴う頻発合併症
9.妊娠または授乳
10.薬物性鼻炎の病歴
11.インフォームドコンセント書類への署名前の1週間における鼻用のうっ血除去剤または分泌抑制剤の使用
12.インフォームドコンセント書類への署名前の1カ月におけるモノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)の使用
13.医学的な注意を要する鼻炎を発症している患者
14.投与期間中におけるスポーツ活動への参加
【0148】
被験物質
臭化イプラトロピウムおよび塩酸キシロメタゾリンの組み合わせは防腐剤を含まない鼻部反復投与用器具を用いて送達される。この器具は、ガラス瓶(19ml)、公称容量 130μlの非排気式ポンプ、およびアクチュエーターから構成される。ガラス瓶、ポンプおよびアクチュエーター、ならびに充填液量10mlの組み合わせにより、パフ1回当たり130μl±10%が送達されて、器具1個当たりの投与回数は約70回である。
【0149】
3段階の異なる濃度における塩酸キシロメタゾリンおよび臭化イプラトロピウム組み合わせの調製、ならびに対照薬(塩酸キシロメタゾリン単独)の調製を以下に示す。
Figure 2005505569
* 調製物Dは、グリセロールを含まないpH 5.5の製剤Zymelinである。
【0150】
評価:
1日目
感冒症状に関して試験に適格な被験者は、直前の24時間に鼻汁については最低2のスコアを示し、鼻閉に関しては最低1のスコアでなければならない。被験者は次の感冒症状(鼻汁;鼻閉;咳嗽;咽頭痛;頭痛)の主観的印象を4段階評価尺度で判定する。評価尺度は次の通りグレード化される:
スコア0: 症状なし(認められる徴候/症状なし)
スコア1: 軽度の症状(徴候/症状は明らかにあるが、自覚は最小限である;容易に耐容される)
スコア2: 中等度の症状(厄介ではあるが耐容可能な徴候/症状が明確に自覚される)
スコア3: 重度の症状(徴候/症状は耐え難い;日常生活の活動および/または睡眠に影響を来す)
【0151】
主たる有効性エンドポイントは、試験投与開始後1回目の24時間の期間に使用されるティッシュペーパーの数により測定されるこの期間中の鼻分泌物の変化である。副次的有効性エンドポイントは、1)試験投与開始後2回目の24時間の期間に使用されるティッシュペーパーの数により測定されるこの期間中の鼻分泌物の変化、2)投与期間中に記録される鼻分泌物に関する毎日の主観的評価、および3)投与期間中に記録される鼻閉に関する毎日の主観的評価である。安全性のエンドポイントは、心拍数、血圧、および覚醒である。有害事象は、スクリーニングから「試験終了来院」まで記録される。それぞれの安全性エンドポイントは、初回投与前の1回目来院時のベースライン、初回投与後30分および60分に評価して、ベースライン値については2回目来院時にあらためて記録する。
【0152】
薬剤投与。被験者に対して、初回投与後の少なくとも2回の24時間期間は治験薬を6時間間隔で1日3回、08:00時±3時間の午前中に1回、14:00時±3時間の午後に1回、および20:00時±3時間の夜間に1回、自己投与するように指示する。さらに、必要があれば、被験者は24時間期間をさらに2回にわたって引き続き投与することができることを被験者に伝える。
【0153】
使用したティッシュぺーパーの記録。使用したティッシュペーパーの記録は、薬剤の初回用量の投与後直ちに開始する。試験投与の正確な開示時刻をCRFおよび被験者日誌に記録する。被験者に対して、1枚のティッシュペーパーで1回だけ自身の鼻をかむように十分に指導する。1枚のティッシュペーパーは、両方の鼻孔に対して使用しなければならない。被験者は、1回目および2回目の24時間期間中にそれぞれ、ティッシュペーパーの使い方について指導を受ける。
【0154】
安全性エンドポイントは、初回用量の投与後30分および60分に、心拍数、血圧、および覚醒を含めて評価する。
【0155】
自己評価。被験者に対して、試験薬の投与期間中、即ち、2〜4日間に自宅にて自覚される鼻分泌物および鼻閉をスコア化するように指示する。これらのスコアは反射的症状スコアとして、即ち、少なくとも投与後1回目の2日間にはそれぞれ初回用量の投与時刻と同一の時刻、および次回投与前に判定する。これによって、2×24時間の各期間における全体的な症状の重症度を評価する。また、瞬間スコア、つまり、各投与の直前および各投与の3時間後にも評価を行い、これによって、各投与間隔を通じての症状の重症度を評価する。症状は4段階評価尺度を用いて評価して、日誌に記録する。
【0156】
2〜3日目
投与薬剤。被験者は、治験担当医師より指導された通り、治験薬をTIDで自己投与する。薬剤投与は、1回目の2×24時間の投与期間に午前、午後、および夜間に6時間間隔で行われるすべての被験者における各鼻孔の1日3回の投与を含む。この期間後、被験者は必要があればさらに2×24時間の期間について引き続き投与を行うことが許容される。
【0157】
使用したティッシュペーパーの記録。1回目および2回目の24時間期間におけるすべての未使用ティッシュペーパーは2回目来院時に返却するために別に保管して、2回目来院時にCRFに記録する。
【0158】
自己評価。被験者は、試験薬の投与期間中に自宅にて自覚する鼻分泌物および鼻閉をスコア化する。これらのスコアは反射的症状スコアとして、即ち、少なくとも投与後1回目の2日間にはそれぞれ初回用量の投与時刻と同一の時刻、および次回投与前に判定して、また、瞬間スコア、即ち、各投与の直前および各投与の3時間後にも評価を行い、これによって、各投与間隔を通じての症状の重症度を評価する。症状は4段階評価尺度を用いて評価して、日誌に記録する。
【0159】
有害事象。あらゆる有害事象を日誌に記録する。
【0160】
4〜5日目
投与薬剤。必要があれば(依然、症状が認められれば)、被験者は5日目の4回目の24時間期間まで試験薬をTIDで自己投与する。この場合、試験治療は試験薬の4×24時間の期間を満たして終了とする。
【0161】
自己評価。4日目および5日目に投与が行われる場合、被験者は自覚する鼻分泌物および鼻閉を自宅にてスコア化する。これらのスコアは反射的症状スコアとして初回用量の投与時刻と同一の時刻および次回用量の投与前に判定して、さらに瞬間スコアとして各投与の直前および各投与の3時間後にて判定して、これよって、各投与期間を通じて症状の重症度を評価する。症状は4段階評価尺度を用いて評価して、日誌に記録する。
【0162】
2回目来院/8〜10日目
被験者は医療機関に来院して、残余治験薬、未使用のティッシュペーパー、および記入済みの日誌を返却する。併用薬および有害事象の頁を記入する。バイタルサインおよび安全性(心拍数、血圧、および覚醒)を含む鼻および身体的検査が実施される。治験担当医師は薬剤量の記録の書式を記入する。
【0163】
結果:
1日目および2日目の鼻分泌物を表19に示して、鼻汁および鼻閉の主観的評価を表20に示す。
【0164】
(表19)1日目および2日目における投与群の鼻をかんだ回数(PP)
Figure 2005505569
N=患者数
【0165】
主たるエンドポイントである1回目24時間期間における鼻をかんだ平均回数は、イプラトロピウム(Ipra)0.0投与群において38回であり、イプラトロピウム0.3、0.6、および1.2の投与群ではそれぞれ35回、26回および28回であった。イプラトロピウム0.6投与群の結果は有意であった(p=0.03)。副次的エンドポイントである2回目24時間期間における鼻をかんだ平均回数は投与群間で差異を示さなかった。1日目と比べると、この値は約1/3減少した。
【0166】
(表20)鼻汁および鼻閉の主観的平均スコア(ITT)
Figure 2005505569
N=患者数
【0167】
1日目+2日目における鼻汁に関する主観的スコアの平均合計値は、イプラトロピウム0.0投与群における2.9に比して、イプラトロピウム0.6投与群およびイプラトロピウム1.2の治療群では2.4であった(p=0.07)。1日目+2日目における鼻閉に関する主観的スコアの平均合計値は2.3から2.8まで様々であった;最低値はイプラトロピウム0.0投与群で認められた。2種類の症状のスコア(0〜3)も、患者(%)に従って分散した。キシロメタゾリンにイプラトロピウムを併用すると鼻汁が減少したことが明らかである。
【0168】
有害事象の表示
1%を超える、即ち、2名またはそれ以上の患者において発現した有害事象を表21に示す。
【0169】
(表21)発生率>1%の有害事象
Figure 2005505569
N=患者数;n=有害事象を発現した患者数;%=患者全体の内、事象を発現した患者数(%);E=有害事象の件数
【0170】
表21から分かる通り、鼻刺激感および鼻灼熱感の感覚は、高濃度の臭化イプラトロピウムを含む調製剤(調製剤A)の投与を受けた患者において、または塩酸キシロメタゾリン単独を含む調製剤(調製剤D)によって発現する。調製剤Dが鼻刺激感を減少させ得る湿潤剤を含まない点に気付くであろう。
【0171】
実施例9:異なる量の塩酸キシロメタゾリンを含む組成物の臨床上の有効性および安全性について検討するための試験モデル
イプラトロピウムおよびキシロメタゾリンの2種類の組み合わせ、つまり0.6mg/ml臭化イプラトロピウムおよび0.5mg/ml塩酸キシロメタゾリン(低用量)組み合わせ、ならびに0.6mg/ml臭化イプラトロピウムおよび1.0mg/ml塩酸キシロメタゾリン(高用量)組み合わせの、感冒の鼻症状における有効性および安全性を、1種類の活性物質のみを含む調製剤(0.6mg/ml臭化イプラトロピウムを含む調製剤、および1.0mg/ml塩酸キシロメタゾリンを含む調製剤(Zymelin(登録商標))およびプラセボ(実施例2記載の調製剤。但し、治療上の活性物質は無添加)と比較して評価する二重盲検法、無作為化試験。
【0172】
試験設計:
上記の通り、イプラトロピウムおよびキシロメタゾリンの2種類の固定用量組み合わせ、Zymelin(登録商標)、ならびにプラセボを用いた、二重盲検法、無作為割り付け、平衡群試験。試験薬は、24時間およびその後は7日を限度として鼻漏および鼻閉が消失するまで、1日3回投与しなければならない。被験者は9日間、10日間または11日間にわたって日誌を記入する。被験者は投与期間中に鼻汁、鼻閉、および全体的な印象に関する各自の主観的評価をスコア化して、無作為化から試験終了までのあらゆる有害事象を日誌に記録する。被験者は5投与群に均等に割り付けられる。
【0173】
試験集団:
感冒の症状を示すが、その他の点では健康な18歳以上の男性または女性。
【0174】
評価:
主たる有効性エンドポイントは次の通りである:
・1回目24時間期間後の全体的スコアに基づく、4段階判定尺度における主観的鼻漏スコア。
・1回目24時間期間後の全体的スコアに基づく、4段階判定尺度における主観的鼻閉スコア。
【0175】
副次的有効性エンドポイントは次の通りである:
・投与期間中の各24時間期間後の全体的スコアに基づく主観的鼻漏スコア。
・投与期間中の各24時間期間後の全体的スコアに基づく主観的鼻閉スコア。
・投与期間中の各24時間期間に使用されたティッシュペーパーの数により測定される鼻漏。
・投与期間中の各24時間期間後の全体的スコアに基づく鼻漏および鼻閉複合スコア。
・1回目24時間期間後および試験終了時における5段階判定尺度の全体的印象のスコア。
【0176】
安全性のエンドポイントは次の通りである:
被験者のインフォームドコンセント書式への署名から試験終了の来院までに記録されて、必要があればフォローアップされる有害事象。
【0177】
試験薬:
試験薬は鼻スプレーボトルに入れた水溶液として配布される。5投与群に、下表に示す通り、イプラトロピウム(0.6mg/ml)およびキシロメタゾリン(0.5mg/ml(「低用量」)または1.0mg/ml(「高用量」))の2種類の組み合わせ、イプラトロピウム、Zymelin(登録商標)、またはプラセボのいずれか1つを投与する。一回投与量は、24時間ならびにその後は7日を限度として鼻漏および鼻閉が消失するまで、1日3回、各鼻孔に1回スプレーする。Zymelin(登録商標)を除くすべての調製剤が、エデト酸二ナトリウム、グリセロール、および塩酸/水酸化ナトリウムを含み、pHは4.5である。Zymelin(登録商標)はエデト酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、および塩化ナトリウムを含む。調製剤の濃度および用量を以下に示す。
Figure 2005505569
【0178】
組み入れ基準および除外基準は実施例8の通り。
【0179】
1回目来院/1日目/無作為化後
・試験投与。被験者は無作為化に応じた鼻スプレーボトル、日誌、ならびに「1日目」から「7日目」と表示された150枚入り1日分、100枚入り1日分、50枚入り3日分、および30枚入り2日分のティッシュペーパーを受領する。被験者に監督下にて1回目の試験薬を投与し、正確な時刻をCRFおよび日誌に記録する。
【0180】
・ティッシュペーパーの使用は、1回目の試験薬の投与後、必要に応じて直ちに開始する。被験者には、自身の鼻を拭かないように指導する。被験者は、ティッシュペーパー1枚を両方の鼻孔に対して1回だけ使用して鼻をかむものとする。各24時間期間用の未使用のティッシュペーパーは、2回目来院時に返却するため、別々に保管しなければならない。
【0181】
・自己評価。被験者に対して、試験投与が終了するまで、鼻漏および鼻閉をスコア化するように指示する。このスコア化は、各投与の直前および3時間後に実施しなければならない。全体スコアは各24時間の期間後に判定する。試験薬の全体的な印象は、1回目24時間期間後および試験終了時にスコア化する。
【0182】
・有害事象。被験者に対して、インフォームドコンセント書式に署名してから試験終了まで、すべての有害事象を日誌に記録するように指導する。
【0183】
2〜7日目
・試験薬は24時間およびその後は7日を限度として鼻漏および鼻閉の双方が消失するまで投与しなければならない。
【0184】
その後の24時間期間には、1回目の24時間期間における投与時刻、ならびに鼻漏および鼻閉の評価を反復実施しなければならない。
【0185】
8日目
被験者はあらゆる併用薬および有害事象を引き続き記録しなければならない。
【0186】
試験期間中
被験者に対して、治験薬を6時間間隔で1日3回、08:00時±3時間の午前中、14:00時±3時間の午後、および20:00時±3時間の夜間に自己投与するように指示する。鼻漏および鼻閉の主観的評価は、試験薬の投与終了まで、各投与の直前および3時間後にスコア化する。さらに、24時間の各期間後に鼻漏および鼻閉に関する全体的判定を行う。試験薬の使用は、鼻漏および鼻閉の双方の症状が消失した時点で中止しなければならない。鼻漏および鼻閉の実際の消失時刻を主観的に評価しなければならない。
【0187】
試験薬の全体的印象は、1回目24時間期間後および試験終了時(28)にカテゴリ化5段階判定尺度(1=不良、2=まあまあ、3=良好、4=非常に良好、5=極めて優秀)にてスコア化する。
【0188】
使用に関する指示
・試験薬は、1日3回、各鼻孔に1回スプレーとして投与する。
【0189】
有害事象(AE)
有害事象とは、医薬品を投与された臨床試験の被験者におけるあらゆる不都合な医学的発生であって、必ずしも投与との因果関係があるとは限らない。これには、ベースラインの時点で認められなかった事象、またはベースライン時に認められた場合は悪化した事象が含まれる。
【0190】
スクリーニング時に記録する場合、以下は有害事象として記録してはならない:
・予め計画された手技。但し、手技が計画された対象である状態がベースライン以降に悪化した場合は除く。
・スクリーニング手技の結果として認められた既存の状態。
・感冒症状の変化(即ち、鼻漏、鼻閉、咽頭痛、咳嗽および頭痛の悪化)。
【0191】
重症度の評価
軽度: 症状は一過性であり、被験者の日常の活動に影響を及ぼさない。
中等度: 症状は顕著であり、被験者の日常の活動に中等度の影響を及ぼす。
重度: 被験者の日常の活動に重大な影響を及ぼして、受容できない。
【0192】
有効性の解析
2つの主たるエンドポイントは、1回目24時間期間中の鼻漏および鼻閉である。
【0193】
試験期間中の使用ティッシュペーパー数として記録される鼻漏は対数変換して、治療、国、およびスクリーニング時の鼻漏スコアをモデルの項として加味した線形モデルを用いて解析する。その他の副次的有効性エンドポイントは、いずれも4段階評価尺度にて1日1回スコア化される鼻閉(その後の試験期間)、鼻漏(その後の期間)の主観的評価、および両症状の複合スコアである。これらの変数について、AUC(1〜7日目)を算出して、対数変換し、治療、国、およびベースライン時のそれぞれのスコアをモデルの項として加味した線形モデルを用いて解析する。2つの主たるエンドポイントと同様のアプローチを用いて、全体的な印象に関する5段階評価尺度のスコアを解析する。

Claims (44)

  1. 水溶液中に以下(a)〜(b)を含む組成物:
    (a)イプラトロピウムまたはその塩;および
    (b)キシロメタゾリンまたはその塩。
  2. pHが、約3〜7、好ましくは約4〜7、より好ましくは約4〜6.5、さらに好ましくは約4〜6、さらにより好ましくは約4.2〜5.8、最も好ましくは約4.5〜5.5である、請求項1記載の組成物。
  3. 少なくとも1種類または数種類の複合結合剤をさらに含む、上記請求項のいずれか一項記載の組成物。
  4. 少なくとも1種類または数種類の抗酸化剤をさらに含む、上記請求項のいずれか一項記載の組成物。
  5. 1種類または数種類の複合結合剤が、エデト酸、ペンテト酸、ニトリロ三酢酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、酒石酸、リンゴ酸、コーティック・アシッド(cortic acid)、クエン酸、およびそれらの塩からなる群より選択される、請求項3または請求項4記載の組成物。
  6. 1種類または数種類の複合結合剤が、エデト酸、その塩、および金属の複合体;ペンテト酸、その塩、および金属の複合体;ニトリロ三酢酸およびその塩;ならびにクエン酸およびその塩からなる群より選択される、請求項3〜5のいずれか一項記載の組成物。
  7. pHが、無機塩基、無機酸、有機塩基、および有機酸からなる群より選択されるpH調整剤によって調整される、請求項2〜6のいずれか一項記載の組成物。
  8. pHが、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、およびフッ化水素酸からなる群より選択される無機酸によって調整される、請求項2〜7のいずれか一項記載の組成物。
  9. pH調整剤が塩酸である、請求項8記載の組成物。
  10. イプラトロピウムまたはその塩が、臭化イプラトロピウム、塩化イプラトロピウム、ヨウ化イプラトロピウム、フッ化イプラトロピウム、および水酸化イプラトロピウムからなる群より選択される、上記請求項のいずれか一項記載の組成物。
  11. イプラトロピウムまたはその塩が臭化イプラトロピウムである、上記請求項のいずれか一項記載の組成物。
  12. キシロメタゾリンまたはその塩がキシロメタゾリン酸付加塩である、上記請求項のいずれか一項記載の組成物。
  13. キシロメタゾリン酸付加塩が、塩酸キシロメタゾリン、臭化水素酸キシロメタゾリン、ヨウ化水素酸キシロメタゾリン、フッ化水素酸キシロメタゾリン、硫酸キシロメタゾリン、硝酸キシロメタゾリン、ギ酸キシロメタゾリン、酢酸キシロメタゾリン、クエン酸キシロメタゾリン、酒石酸キシロメタゾリン、およびフマル酸キシロメタゾリンからなる群より選択される、請求項12記載の組成物。
  14. キシロメタゾリンまたはその塩が塩酸キシロメタゾリンである、上記請求項のいずれか一項記載の組成物。
  15. 浸透圧重量モル濃度が、約100〜500 mOsm/kgの範囲内であって、好ましくは約150〜450 mOsm/kg H2Oの範囲内、より好ましくは約200〜400 mOsm/kg H2Oの範囲内、さらに好ましくは約220〜350 mOsm/kg H2Oの範囲内、最も好ましくは約230〜320 mOsm/kg H2Oの範囲内である、上記請求項のいずれか一項記載の組成物。
  16. 張性調整能を持つ少なくとも1種類の賦形剤をさらに含む、上記請求項のいずれか一項記載の組成物。
  17. 張性調整能を持つ少なくとも1種類の賦形剤が、塩化ナトリウム、またはデキストロースのような既知の塩化ナトリウム同等物、様々な有機酸、ならびにホウ酸、クエン酸、酒石酸、およびリン酸のようなそれらの無機の塩からなる群より選択される、請求項16記載の組成物。
  18. 少なくとも1種類の湿潤剤をさらに含む、上記請求項のいずれか一項記載の組成物。
  19. 湿潤剤が、ソルビトール、プロピレングリコール、グリセロール、グリセリン、ポリエチレングリコール、トリアセチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、およびポロキサマーからなる群より選択される、請求項17記載の組成物。
  20. 粘膜、好ましくは鼻粘膜への投与用に製剤化される、上記請求項のいずれか一項記載の組成物。
  21. 医薬品製造のための、イプラトロピウムまたはその塩およびキシロメタゾリンまたはその塩の組み合わせの使用であって、該医薬品が、ヒトにおける感冒に伴う症状および鼻炎に伴う症状からなる群より選択される状態の治療のために、イプラトロピウムまたはその塩およびキシロメタゾリンまたはその塩の有効量を粘膜に送達するために製剤化される使用。
  22. 状態が、鼻閉、くしゃみ、および分泌過多(鼻漏)からなる群より選択される、請求項21記載の使用。
  23. イプラトロピウムまたはその塩およびキシロメタゾリンまたはその塩の医薬品が、粘膜、好ましくは鼻粘膜への送達のために製剤化される、請求項21記載の使用。
  24. 医薬品が、約10〜500μLの液量、好ましくは約10〜200μL、より好ましくは約50〜150μL、最も好ましくは約130μL〜140μLの液量の投与量を送達するために製剤化される、請求項21〜23のいずれか一項記載の使用。
  25. 医薬品が、約5μg〜800μgの臭化イプラトロピウム、好ましくは約25μg〜220μgの臭化イプラトロピウムの投与量と同等量のイプラトロピウムまたはその塩を含み、かつ、約5μg〜700μgの塩酸キシロメタゾリン、好ましくは約10μg〜350μg、より好ましくは約20〜200μgの塩酸キシロメタゾリンの投与量と同等量のキシロメタゾリンまたはその塩をさらに含む、請求項21〜24のいずれか一項記載の使用。
  26. 医薬品が、約50μg〜1500μgの臭化イプラトロピウム、好ましくは約75μg〜1100μgの臭化イプラトロピウム、より好ましくは約75〜900μg、さらに好ましくは約100〜650μg、最も好ましくは約150〜500μgの臭化イプラトロピウムの量と同等量のイプラトロピウムまたはその塩の一日投与量を含み、かつ、約40μg〜1300μgの塩酸キシロメタゾリン、好ましくは約80〜1100μg、より好ましくは約100〜1000μg、最も好ましくは約120〜800μgの塩酸キシロメタゾリンの量と同等量のキシロメタゾリンまたはその塩の一日投与量をさらに含む、請求項21〜25のいずれか一項記載の使用。
  27. 医薬品が一方または両方の鼻孔に投与される、請求項21〜26のいずれか一項記載の使用。
  28. 医薬品が1日1回〜4回投与される、請求項21〜27のいずれか一項記載の使用。
  29. 医薬品が請求項1〜20のいずれか一項記載の組成物を含む、請求項21〜28のいずれか一項記載の使用。
  30. 水溶液中のイプラトロピウムまたはその塩およびキシロメタゾリンまたはその塩の治療上有効な量をヒトに投与することによって、感冒に伴う症状および鼻炎に伴う症状からなる群より選択される状態を治療するための方法。
  31. 状態が、鼻閉、くしゃみ、および分泌過多(鼻漏)からなる群より選択される、請求項30記載の方法。
  32. 投与が粘膜、好ましくは鼻粘膜に対して行われる、請求項30記載の方法。
  33. 投与によって、約10〜200μL、好ましくは約50〜150μL、最も好ましくは約130μL〜140μLのような、約10〜500μLの液量の投与単位が送達される、請求項30記載の方法。
  34. 投与によって、約5〜800μgの臭化イプラトロピウム、好ましくは約25〜220μgの臭化イプラトロピウムの量と同等量のイプラトロピウムまたはその塩が送達され、かつ、約5〜700μgの塩酸キシロメタゾリン、好ましくは約10〜350μg、より好ましくは約20〜200μgの塩酸キシロメタゾリンの量と同等量のキシロメタゾリンまたはその塩がさらに送達される、請求項30記載の方法。
  35. 投与によって、約50〜1500μgの臭化イプラトロピウム、好ましくは約75〜1100、より好ましくは約75〜900μg、さらに好ましくは約100〜650μg、最も好ましくは約150〜500μgの臭化イプラトロピウムの量と同等量のイプラトロピウムまたはその塩の一日投与量が送達され、かつ、約40μg〜1300μgの塩酸キシロメタゾリン、好ましくは約80〜1100μg、より好ましくは約100〜1000μg、最も好ましくは約120〜800μgの塩酸キシロメタゾリンの量と同等量のキシロメタゾリンまたはその塩の一日投与量がさらに送達される、請求項30記載の方法。
  36. イプラトロピウムまたはその塩およびキシロメタゾリンまたはその塩の投与が同時に実施される、請求項30記載の方法。
  37. 投与が一方または両方の鼻孔に対して行われる、請求項30記載の方法。
  38. 投与が1日1回〜4回実施される、請求項30記載の方法。
  39. 投与によって、請求項1〜20のいずれか一項記載の組成物が送達される、請求項30記載の方法。
  40. pH調製剤、抗酸化剤、ラジカル捕獲剤、および複合結合剤からなる群より選択される少なくとも1種類の物質の使用を伴う、イプラトロピウムまたはその塩およびキシロメタゾリンまたはその塩の水溶液を安定化させるための方法。
  41. 水溶液のpHが、pH 6.5以下、好ましくはpH 6.0以下、より好ましくはpH 5.5以下、さらに好ましくはpH 5.0以下であるようにpHを調整する工程をさらに含む、請求項40記載の方法。
  42. 複合結合剤が、エデト酸、その塩、および金属の複合体;ペンテト酸、その塩、および金属の複合体;ニトリロ三酢酸およびその塩;ならびにクエン酸およびその塩からなる群より選択される、請求項40記載の方法。
  43. pH調製剤が、無機塩基、無機酸、有機塩基、および有機酸からなる群より選択される、請求項40記載の方法。
  44. 抗酸化剤が水溶性ビタミン類からなる群より選択される、請求項40記載の方法。
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