JP2005505301A - 形質転換細胞の作出、検出及び使用 - Google Patents
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Abstract
生物活性化合物又は化合物のファミリーが、多数の酵素活性を用いて細胞により生合成される。我々は、実質的に生物活性を欠くが、少なくとも1の第一の酵素活性(又は対応する酵素をコードする核酸)を有する宿主細胞を提供する。上記細胞は、上記細胞が生物活性化合物を産生することを可能にする少なくとも1の第二の酵素活性を提供するために発現可能である核酸で形質転換される。細胞のファミリーは多様な異なる核酸で形質転換されることができ、異なる生物活性産物を産生する細胞、及び生物活性産物を産生しない細胞を含む細胞ライブラリーをもたらす。形質転換された細胞は生物活性についてスクリーニングされうる。活性細胞は単離され、及び培養されることができ、及び生物活性化合物は単離されうる。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は形質転換細胞の作出、検出及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
過去50年間にわたり、製薬会社は、多くの重要な薬物の豊かな源として細菌、真菌、無脊椎動物及び植物により産生された天然産物のスクリーニングを使用してきた。これらの生物により産生された多くの化学物質は生物学的に活性であり、及び比較的高い割合がさらなる臨床試験制度を好結果で完了し及び商業的に売られている。実際、ワクチン及びモノクローナル抗体の如き生物製剤を無視した場合、認可された及び前NDA候補薬物の60%超が、天然産物である又はそれらに関連する。これらは、ヒトの健康用途においては;エリスロマイシン、テトラサイクリン、ペニシリン、プリスチナマイシン及びストレプトマイシンの如き抗菌剤、アムフォテリシン及びニスタチンの如き抗真菌剤、FK506、シクロスポリン及びラパマイシンの如き免疫抑制剤、タキソール、及びドキソルビシンの如き抗癌剤、ラミヴヂンの如き抗ウイルス剤及びロヴァスタチン及びプラヴィスタチンの如き抗コレステロール剤;農業用途においては;スピノシンの如き殺虫剤、アヴェルメクチンの如き抗寄生虫剤、バイアラフォスの如き除草剤及びモネンシン及びタイロシンの如き抗球虫成長促進剤を含む。企業は、新規生物学的活性のためにそれらの培養所蔵物及び天然産物ライブラリーをスクリーニングし続けているが、特に抗感染性の発見においては収穫逓減の感がある(Biotechnology of Antibiotics (1997), Ed. W. R Strohl)。活性を示す多くの新規化合物は広く同様の化学構造を有し、及び顕著に異なる活性スペクトルなしに現存の天然産物のクラスに属する(Bindseil K.U. et al. (2001) DDT, 6, 840)。より多くの天然産物又は天然分子に基づいた生成物を発見する必要があり、これは新規生物活性物質の発見を導くであろう(Abel, U. et al. (2002)Curr. Opin. Chem Biol, 6, 453−458)。
【0003】
最近の抗生剤支配に耐性な細菌株の出現は試験のためのより広い範囲の化合物を作出する必要性を増大させた。病原性細菌がこの耐性を獲得するスピードは商業的代替物の発展及び試験を大いにしのいでいる。同時に、薬物−タンパク質標的及び細胞プロセスについての私たちの理解における進歩は、製薬会社が自由に使える(多くの異なる生物活性にわたる)スクリーニングの数及び方法における指数関数的な増大をもたらした。典型的なスクリーニングプログラムはタンパク質標的又は全細胞分析若しくは全生物分析を含むであろう。薬物発見スクリーニングプログラムに加えて、同様の技術は農薬又はタンパク質を含むいくつかの他の商業的に有用な製品についても発展されてきた。ほとんどのこのスクリーニング研究はコンビナトリアルケミストリープログラムにおける調査により行われており、その多くは短期間に大量の化合物を作出する。しかしながら、今のところ、これらの化合物のほとんどは市場性の高い存在をもたらしていない。
【0004】
伝統的なアプローチでは上記変化に遅れをとらないために天然産物の多様性を作出することは難しくなっている;コンビナトリアルケミストリープログラムは多数の化合物を作出しているが;天然産物発見グループはハイスループットスクリーニング装置を養うために必要とされる数を供給できていない。より大きな割合の天然産物候補物質が生物学的活性を示すであろうことがいつも認識されている一方で、科学者はコンビナトリアル化学者と同じようには数を作出することができていない。これらの企業により開発された勢力的な医薬スクリーニング系を利用するために天然産物ライブラリーにおいてより多くの化合物を作出する方法を開発する必要がある。さらに、天然産物はコンビナトリアルケミストリーを行うための鋳型に相当しうるので、それらは現存するコンビナトリアルケミストリープログラムにさらなる多様性の度合いを加えうる。
【0005】
天然産物多様性の作出のための1のアプローチは地理学的及び生物学的なより広い範囲の源を研究することであった。例えば、植物により産生される天然産物の総数は500,000超であると見積もられ、その一部のみしか単離されていない。細菌及び無脊椎動物の両方である、海洋生物からの化合物もあまり提示されていない。しかしながら、これらの系から化合物生成についての条件を見つけることは困難であり、及び代替のアプローチが並行して必要とされる。現存の生物からより大きな範囲の物質の産生を誘発する媒体条件を操作することは、より多くの化合物数を作出するために使用されるもう一つの技術である。
【0006】
これらの生物がなぜ研究室で培養されえないのかを決定する分子的相違は、異なるクラスの化合物を産生する可能性をも示しうるということを信じると、もう一つの鍵となる焦点は「培養不可能な」又は(海洋を含む)「環境の」生物の研究に基づいている。これらの化合物はより慣用の背景からのものとは異なる範囲の生物学的活性を示しうる。典型的に、上記プロセスはDNAの大きな区画を抽出すること又は土壌若しくは他の環境又は異常なサンプルから抽出したDNAの一部を増幅すること、及び培養されうる宿主内でそれらを発現させることを含む。これらの技術はいくつかの場合、元の生物の化合物生成を制御する制御カスケードを克服した。
【0007】
しかしながら、生化学及び分子生物学における進歩、及び特に、天然産物産生を引き起こすin vivo生合成プロセスについての私たちの理解における進歩は、いくつかの新規薬物発見アプローチを導いてきた。二次代謝物生合成酵素の産生を担う遺伝子のクローニング及びシークエンシング、及び多くの場合これらの酵素は共にクラスターを形成するという発見は、新規構造を作出するために経路を操作する私たちの能力に広く影響し、及びしたがって、構造及び機能における多様性を増大させた。この仕事のほとんどはポリケタイド又は非リボソームペプチドの生合成に集中されてきた;これは部分的に、それらの広い範囲の生物学的活性とは別に、利害関係をもつ集団に強い収入の流れを提供し続ける、これらの化合物への商業的な興味を反映する。しかしながら、これらの特定の分野における研究者により開発された原理及び方法論は、原核細胞若しくは真核細胞微生物又はより高等な生物からの他の天然産物生合成系に同様に適用可能であることは明白である。
【0008】
新規構造アナログ又は天然産物の多様性をもたらす、及びそのようにして作出された分子の多様性を製薬会社のスクリーニングプログラム及びハイスループット装置により利用されうる容易にスクリーニングできるフォーマットに移行しうる遺伝学的な理解及び方法論を利用しうる技術を開発する明白な必要性がある。私たちはポリケタイドの操作及びスクリーニングを本発明の背景にある原理の例示として使用するが、上記技術をこれらの系に限定することは意図されない。開示された方法論はいかなる種からのいかなる生合成経路にも適用可能である。
【0009】
ポリケタイドはエリスロマイシン、テトラサイクリン、ラパマイシン、アヴェルメクチン、モネンシン、エポチロン及びFK506の如き、抗生性または他の薬理学的特性を有する多くの化合物を含む天然産物の大きな及び構造的に多様なクラスである。特に、ポリケタイドはStreptomyces及び関連する放線菌の如き土壌生物により豊富に産生される。それらは脂肪酸生合成のそれと類似の様式でアシルチオエステルの繰り返される段階的な縮合により合成される。天然ポリケタイドの間で見られる構造的多様性は、それぞれの縮合の後に形成されるβ−ケト基のプロセッシングの異なる程度からはもちろん、一部は「スターター」又は「エクステンダー」単位としての(通常)酢酸(マロニル−CoA)又はプロピオン酸(メチルマロニル−CoA)の選択から生ずる(他の型の単位の変形の1が場合により選択されうるが)。プロセッシング段階の例はβ−ヒドロキシアシル−への還元、還元後2−エノイル−への脱水、及び飽和アシル−チオエステルへの完全な還元を含む。これらのプロセッシング段階の立体化学的結果は鎖伸長のそれぞれのサイクルについても特定される。α−炭素での又は酸素置換基でのメチル化もときどき観察される。
【0010】
ポリケタイドの生合成はポリケタイド合成酵素として知られる一群の鎖形成酵素により行われる。上記用語「ポリケタイド合成酵素」(PKS)は、本明細書中で使用されるとき、ポリケタイドの生合成を担う酵素活性の複合体をいう。これらの酵素活性はβ−ケトアシルACP合成酵素(KS)、アシルトランスフェラーゼ(AT)、アシル担体タンパク質(ACP)、β−ケト還元酵素(KR)、脱水酵素(DH)、エノイル還元酵素(ER)及びチオエステラーゼ(TE)を含むが、これらの活性に限定されない。ポリケタイド合成酵素(PKS)の2の広範なクラスは放線菌において示されている。マクロライドエリスロマイシン、オレアンドマイシン、アヴェルメクチン、及びラパマイシンのためのPKSsにより及びポリエーテルモネンシンのためのPKSにより代表される、I型PKSsと呼ばれる1のクラスは、ポリケタイド鎖伸長のそれぞれのサイクルのための酵素の異なるセット又は「モヂュール」から成るマルチドメインタンパク質である。例えば、図1を参照のこと(Cortes, J. et al. Nature(1990)348:176−178;Donadio, S. et al. Science (1991) 2523:675−679; Swan, D.G. et al. Mol. Gen. Genet. (1994) 242:358−362; MacNeil, D. J. et al. Gene (1992) 115:119−125; Schwecke, T. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1995) 92:7839−7843;また、特許出願 WO 98/01546)。多数のI型PKSsをコードする遺伝子はシークエンスされ、及びこれらの配列はGenbank、Swissprot及びEMBLを含む、公に入手可能なDNA及びタンパク質配列データベース中に開示される。例えば、配列は、数ある中で、それぞれ、エリスロマイシン(Cortes, J. et al. Nature (1990) 348:176−178;アクセス番号 X62569、Donadio, S. et al. Science (1991) 252:675−679;アクセス番号 M63677又はUS 5824513);ラパマイシン(Schwecke, T. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. (1995) 92:7839−7843;アクセス番号 X86780);リファマイシン(August, P. et al. Chem. Biol. (1998) 5:69−79;アクセス番号 AF040570)及びタイロシン(Eli Lilly, アクセス番号 U78289)の合成を支配するPKSsについて入手可能である。
【0011】
II型PKSsと呼ばれる第二のクラスのPKSは芳香族化合物のための合成酵素により代表される。II型PKSsは鎖伸長のための単一のセットの酵素活性のみを含み、及びこれらは連続するサイクルにおいて適切に再使用される(Bibb, M. J. et al. EMBO J. (1989)8:2727−2736;Sherman, D. H. et al. EMBO J. (1989)8:2717−2725;Fernandez−Moreno, M. A. et al. J. Biol. Chem. (1992) 267:19278−19290)。II型PKSsについての「エクステンダー」単位は通常酢酸(マロニル−CoA)単位であり、及び特定のサイクレースの存在は完了した鎖が環状化して芳香族生成物になるための好ましい経路を決定する(Hutchinson, C. R. 及び Fujii, I. Annu. Rev. Microbiol, (1995) 49:201−238)。場合により、特にオキシテトラサイクリン、フレノリシン及びダウノルビシンの生合成において、異常なスターター単位がII型PKSにより導入され、及びこれらの場合、別々のATがスターター単位を上記PKSに移すために使用される。ハイブリッドポリケタイドは、クローニングされたII型PKS遺伝子を含むDNAを異なるII型PKS遺伝子クラスターを含む他の鎖へ組み込むことにより、例えば、Streptomyces coelicolorからの青色−色素ポリケタイドである、アクチノロヂンについての遺伝子クラスターに由来するDNAをStreptomyces galileusのアントラキノンポリケタイド−産生鎖に導入することにより得られている(Bartel, P. L. et al. J. Bacteriol. (1990) 172:4816−4826)。
【0012】
他の型のポリケタイド合成酵素は存在するが、あまりよく研究されていない、しかし、多くの同様の生合成機構原理が適用するように見え、及びそれらは同様に遺伝子操作に影響を受けやすいようである。これらは、酵母の6−メチルサリチル酸合成酵素又はこれらの分子のポリケタイド部分の合成に必要とされる活性のほとんどを含む単一のマルチ−ドメインポリペプチドから成るAspergillus terreusのロヴァスタチンPKSの如き、真菌のPKSを含む(Hutchinson C. R. and Fujii I. Annu. Rev. Microbiol. (1995) 49:201−238)。II型真菌PKSも知られる。細菌を含む、他の生物のうち植物において多くのポリケタイドの生合成を担う、III型ポリケタイド合成酵素又はカルコン合成酵素も知られる。最近、ポリケタイド及び脂肪酸生合成の間の類似は、微生物及び真核生物において不飽和脂肪酸生合成を担うPKS様脂肪酸合成酵素の発見でさらに強められた(Metz J. G. et al(2001) Science, 293, 290−293)。Liu, W. et al. (2002) Science, 297, 1170、Alhert J. et al. (2002) Science 297, 1173及びKwon, H.−J. et al. Science 297, 1327を含めて、さらなる型のPKSが示されている。
【0013】
グラミシヂン、プリスチナマイシン及びバチトラシンの如きペプチド抗生物質、及び免疫抑制シクロスポリンの多様な配列を産生する非リボソームペプチド合成酵素(NRPS)はI型ポリケタイド合成酵素と概念的に同様である。それらはチオ鋳型機構をとおした共通のモードの生合成を共有する大きなマルチドメインタンパク質を含む。I型PKSについては、それらはモヂュールで配置され、それぞれのモヂュールは上記ペプチドの1のアミノ酸の活性化、縮合及びプロセッシング(例えば、エピ異性化)を担う。それぞれのモヂュールは最終ペプチド生成物についてのアミノ酸配列に対応する。数ある中で、I型PKSsのものについて使用されるのと同様の様式でのNRPSの遺伝子工学によるモヂュールの操作は、産生される最終的なペプチドの改変をもたらした(Marahiel M., et al. (1997) Chem. Rev. 97, 2651−2673, Mootz, H. D. et al. (2000) PNAS, 97, 5848−5853)。NRPSは広い範囲の原核生物及び真核生物において見られる。混合されたNRPS−PKS系(すなわち、ポリケタイド及び非リボソームペプチドの成分を含むもの)はエポチロン、ブレオマイシン及び典型遺伝子クラスターラパマイシンの1を含んで存在する。
【0014】
他の生合成系は、数ある中で、アルカロイド、テルペン、アミノグリコシド、シキミ酸誘導体、ポリサッカライド、フラボン及び他のフラボノイド、インドール及びピロールの如き窒素を含む化合物、ステロイド及び他のホルモン、アントラキノン、リグナン、クマリン、スチルベン、デプシペプチド並びにペプチド及びタンパク質を含む。これらの及び他の天然産物生合成系は同様に本明細書中に示される技術の使用に影響を受けやすい。
【0015】
多数の治療的に重要なポリケタイドが同定されているが、高められた特性を有する又は完全に新規な生物活性を有する新規ポリケタイドを得る必要性が残っている。I型PKSsにより産生される複合体ポリケタイドは、それらが駆虫薬、殺虫剤、免疫抑制剤、抗真菌又は抗菌剤のような既知の利用性を有する化合物を含む点で、特に価値がある。それらの構造的な複雑さのために、上記新規ポリケタイドは全部化学合成により又は既知のポリケタイドの化学的改変により容易に入手することはできない。所望される特定の変化は、組み込まれたスターター/エクステンダー単位の性質を変化させることによる炭素骨格についての変化、鎖伸長の後に起こる一連の還元段階を変化させることによるβ−ケト炭素の酸化レベルについての変化及びそれゆえ酸素置換基のパターン及び又は立体化学の変化、及び一般的に、例えば、ポリケタイド分子の水酸化、メチル化又はグリコシル化を含むPKS後「改変」段階についての変化である。
【0016】
元の天然産物の新規構造アナログを作出するためにI型PKSを操作するいくつかの方法が示されている。上記合成酵素により形成されるポリケタイド鎖の長さは、エリスロマイシン生合成の場合には、鎖放出チオエステラーゼ/サイクレース活性を含むエリスロマイシン産生PKSの酵素ドメインの遺伝子工学を用いた特定の再配置により変えられている(Cortes, J. et al. Science (1995) 268:1487−1489; Kao, C.M. et al. J. Am. Chem. Soc. (1995) 117:9105−9106)。
【0017】
(6−デオキシエリスロノリド B合成酵素、DEBSとしても知られる)エリスロマイシ産生PKSのモヂュール5におけるケト還元酵素ドメインの部分をコードするDNAのフレーム内欠失は、エリスロマイシンアナログ5,6−ヂデオキシ−3−オマイカロシル−5−オキソエリスロノリドB及び5,6−ヂデオキシ−5−オキソエリスロノリドBの形成を引き起こすことが示されている(Donadio, S. et al. Science (1991) 252:675−679)。同様に、対応するPKSをコードするDNAの遺伝子工学による、DEBSにおけるモヂュール4のエノイル還元酵素ドメインにおける活性部位残基の変換及びそのSaccharopolyspora erythraeaへの導入は6,7−アンヒドロエリスロマイシンCの産生を引き起こす(Donadio, S. et al. Proc Natl. Acad. Sci. USA (1993) 90:7119−7123)。新規ポリケタイド構造を与えるポリケタイド合成酵素の工学の多くの他の例は公に入手可能な文献において示される。
【0018】
特許公開WO 98/01546及び米国特許第5824513号はI型PKS酵素を操作するさらなる方法を示す。特許公開WO/00/01827はPKSを操作し、β−炭素の酸化状態を変化させるさらなる方法を示す。エリスロマイシン産生PKSのモヂュール2の還元ドメインをラパマイシンPKSモヂュール10及び13由来のドメインで置換することはそれぞれ、C10−C11オレフィン−エリスロマイシンA及びC10−C11ヂヒドロエリスロマイシンAの形成を引き起こす。米国特許第6200813号はポリケタイド骨格を操作する方法を示す。特許公開WO 00/00500は特定のスターター単位でマクロライドを作出する新規方法を示す。特許公開WO 02/14482は上記ATドメインの基質特異性を変換する方法を示す。数ある中で、米国特許第5998194号、及びGaisser S. et al. (2000) Mol. Microbiol, 36, 391−401は完了したポリケタイド鎖をプロセスするさまざまな酵素の操作方法を開示する。生化学経路の同様の操作は非リボソームペプチド合成酵素系について示されている。
【0019】
PKSの組換え作出及び続くポリケタイドの産生が示されている;多くの例が異種の又は天然の系において入手可能である。初期研究においては、エリスロマイシンPKSのDEBSタンパク質のそれぞれはE. coliにおいて発現されたが、この場合、ACPは不活性であったようだ(Roberts G. A. et al. Eur J. Biochem, 214, 305−311)。関連する方法が、上記ACPを活性化するためのホロ−ACP合成酵素を伴う、全ての3のDEBSタンパク質の共発現、及び追加的に細胞を単純な前駆分子を提供するよう操作することにより、操作されたE. coli細胞においてエリスロマイシンアグリコン6DEBを作出するために、最近使用されている(Pfiefer, B.A. et al. (2001) Science 291, 1790−1792)。米国特許第6033883号は細菌及び酵母における産生方法を示す。Kennedy et al. (1999)(Science, 284, 1368−72)はロヴァスタチンPKSの異種の産生及びAspergillus nidulansにおける生合成中間体の産生を示す。
【0020】
指定突然変異及びクローニングされたPKS遺伝子の発現を許容する宿主ベクター系が開発されている(McDaniel et al. 1993, Science 262:1546−1550;Kao et al 1994 Science 265:509−512)。このベクター系はactI/actII−orf4プロモーター系の使用に頼り、及びS. coelicolorにおいて使用される。このベクター系はポリケタイド、特にII型ポリケタイドのより効率のよい作出方法を開発するために使用されている(米国特許第5672491号,特許公開WO95/08548, 米国特許第5712146号、米国特許第5830750号、米国特許第5843718号、米国特許第5962290号、米国特許第6022731号、米国特許第6077696号)。この系はI型ポリケタイド産生のために使用されている、しかしながら、それは(通常不活性な)ポリケタイド骨格の産生にのみ関与している。
【0021】
actI/actII−orf4プロモーターは、WO98/01546及びRowe et al.(1998) Gene, 216, 215−223中に示されるように、Saccharopolyspora erythraeaにおいて異種でも使用されている。
【0022】
特許公開WO 98/49315、PCT/US98/08792及びWO 00/63361及びXue, Q. et al. (1999) PNAS, 96, 11740−11745は、ポリケタイド合成酵素遺伝子を操作してポリケタイドのコンビナトリアルライブラリーを作出する新規方法を示し、これもまた単に不活性なポリケタイド骨格の作出に関連する。これらの発現方法論の特定の欠点は、ほとんどの場合、単離されたPKS産物は生物学的に活性な種を作出するためにさらに形質転換されなければならないことである。
【0023】
遺伝的に形質転換された生物の作出及びスクリーニングについてのいくつかの方法が開示されている。特許公開WO99/67374及びSosio, M. F. et al. (2000) Nat. Biotech. 18, 343−345は天然宿主から代替の生物への、天然産物の産生を担う全遺伝子クラスターの移行と特に関連する。これは、二次代謝物を産生する能力を元の産生者から所望の特性、例えば、形質転換又は培養の容易さを有する他の産生宿主に移すことによる、天然産物の作出及び操作方法を開示する。上記発明は、便利な中性のクローニング宿主と産生宿主との間で往復しうるBacterial Artificial Chromosomes (BACs)(BSACsと呼ばれる、E. coli−Streptomyces Artificial Chromosomes)の使用に特に関連する。これらのベクターはDNAの大きな(例えば、生合成クラスター全部の)断片を含む能力を有する。高分子量ゲノムDNAのライブラリーがこれらの染色体において産生され、及びE. coli及び天然産物の合成を方向付けるクローンについて選択するStreptomyces産生宿主の間で往復される。あるいは、天然産物の合成を方向付けるDNAの大きなセグメントは人工染色体を利用してドナー生物のゲノムから再構築される。米国特許第5824485号、同第5783431号、及び同第6242211号(Chromaxome)は分子多様性を作出する及びスクリーニングするための薬物発見系を示す。上記特許は遺伝子発現ライブラリーを作出する及び操作する方法を示す。それらは薬物リード、特に天然では実質的な量で回収されえない又は研究室で培養されえない(「培養不可能な」)ものの、予想される源である生物の遺伝子材料の主にランダムな部分の捕獲及び分析に主に関連する。例えば、ランダムな連鎖又は再結合による、これらのライブラリーにおける多様性をバイアスさせる又は作出する方法も開示される。米国特許第5958672号、同第5939250号、同第6057103号、同第6030779号、及び同第6174673号はライブラリー構築、DNA、またここでも主に培養不可能な生物に由来するゲノムDNAのスクリーニング及び操作についての同様の技術を開示する。米国特許第5837470号、同第5773221号、及び同第5908765号は環境サンプルを用いて作出された組換え生物からの生物学的分子の回収方法を示す。Seow et al. (1997) J. Bact. 179, 7360−8は土壌DNAからのランダムPKS遺伝子のクローニング及び発現方法を議論する。
【0024】
これらの方法は「超宿主」法と呼ばれうるものに頼っており、そこでは生合成クラスター全部が産生のための代替の、ときには(例えば、代替のクラスターの除去により)遺伝的に「きれいにされた」株に移される。上記株の使用は培養不可能な生物からの全経路の発現を多いに助ける又は競合する化合物の産生を減少させる。上記宿主細胞は単に導入された遺伝子材料が機能しうる「バッグ」として使用され、上記細胞は主要な代謝経路から共因子又は単純な前駆分子を提供しうるが、上記活性分子の生合成にはあまり参加しない。
【0025】
宿主細胞へのDNAのランダムクローニングを利用した、開示された技術は欠点を有する。天然産物クラスターの大きさはしばしば最近のクローニング/発現ベクターの天然の限界を超え、そのため、系の開発は、より大量のDNAを有しうる細菌の人工染色体を利用する。しかしながら、例えば、独特の制限酵素部位がまれであるために、それらの全体の大きなサイズが上記経路の容易な遺伝子操作を阻害するので、上記分野において開発された技術を利用した多くの所望の生合成経路操作は上記ベクターにおいて可能ではない。さらに、いくつかの生合成経路は宿主細胞におけるゲノムDNAの単一の断片からの完全にクラスター化された除外再構成ではない。それゆえ、活性生成物を作出するが単一のベクター上の全生合成経路の挿入に頼らない薬物発見又はスクリーニング方法はかなりの利点がある。
【発明の開示】
【0026】
発明の要約
本発明は、生合成経路からの遺伝情報を利用した、新規でありうる生物活性物質の調製及び検出方法に関する。
【0027】
(それが生物活性物質を発現するために)所望の生物活性を有する細胞を作出するために、所望の生物活性を有しない(又は少なくとも、実質的な程度で有しない)が、少なくとも1の所望の生物活性の作出に寄与しうる第一の活性を有する細胞が選択される又は調製される。この第一の活性は上記細胞が所有する核酸の発現から生じうる。上記第一の活性は、例えば、グリコシル化活性でありうる。少なくとも1の第二の活性をコードする遺伝子材料は上記細胞を形質転換するために使用され、それによりそれが上記第二の活性を獲得する。上記第二の活性は直接的に又は間接的に上記第一の活性の基質である材料の産生を引き起こし、(直接的に又は間接的に)前記生物活性物質をもたらしうる。細胞は生物活性について直接的にスクリーニングされうる。上記宿主細胞は標的生物活性を全く有しないことが好ましいが、形質転換の効果(すなわち、上記第二の活性の導入)が明らかに区別可能である場合は低いバックグラウンド値は許容可能でありうる。
【0028】
上記第二の活性は生物活性物質又はその前駆体の構成部分(例えば、ペプチド又はタンパク質成分)である種の産生を直接的に引き起こしうる。あるいは、それは1以上の(例えば、ポリケタイド合成酵素又はその部分である)酵素活性を有する種の産生を引き起こすことができ、その酵素活性は構成部分又は前駆体の産生に関連する。もちろん、既に上記細胞が所有する活性及び導入された活性の役割は逆にされうる。
【0029】
典型的に、1以上の天然に産生される物質の生合成を担うタンパク質をコードするいくつかの(又は全ての)遺伝子は単一のベクター上におかれる。その後上記経路を遺伝子操作する及びそれを又は操作された誘導体を他の系に移すことが可能である。導入された遺伝子材料と共にはたらきうる生合成経路酵素をコードする遺伝子を有する相補的な宿主への移行は生物学的に活性な物質の産生を引き起こす。そうでなければ上記生物学的活性を有する物質を産生しない相補的な宿主細胞の使用は、形質転換された細胞が直接的にこの生物学的に活性な物質の産生についてスクリーニングされることを許容する。この方法論は新規化学種を作出するための多くの型の天然産物の生合成又は他の生合成経路の操作、分析及びスクリーニング、及び特にさまざまな分子生物学的方法により生合成クラスターに導入されうる多様性のスクリーニングのために適用可能である。上記多様性を生合成経路に導入する新規方法も提供される。
【0030】
天然産物の新規構造アナログをもたらす及び上記方法により作出される分子的多様性をさまざまなバイオテクノロジー又は製薬会社により開発されているスクリーニングプログラム及びハイスループット装置を利用しうる容易にスクリーニングできるフォーマットに移行しうる、遺伝的理解及び方法論を利用しうる技術を開発する必要性がある。実際に、これは顕著なさらなる操作なしに、直接的に遺伝子操作された細胞からの生物学的に活性な化合物の作出及び分析を意味する。これは生合成経路を遺伝子操作すること、操作された経路を導入された経路酵素と一斉にはたらく細胞に導入すること、及び新規生物活性について形質転換された細胞を直接的にスクリーニングすることにより容易に達成されうる。
【0031】
天然産物生合成の領域においては、特に遺伝学的又は分子生物学的技術を用いて新規分子を作出する方法が開発されている領域、及び特に非リボソームペプチド及びポリケタイドの生合成においては、新規生物活性を作出する及びスクリーニングするための新規方法を開発するこの必要性は急激である。この場合、全ての又は大きな断片のハイブリッドPKS遺伝子が生存可能であり、及び所望の完全にプロセスされた及びそれゆえさらなる形質転換の必要性なしに形質転換された細胞において直接的にスクリーニング可能な活性産物を産生するように、実際に個々のモヂュールを展開させる信頼できる及び特定の方法を開発する必要性がある。特に背景の分野において示されるような組換えDNA技術及びde novo生合成を利用した、これらのハイブリッドPKSsを作出するためのさまざまな及び多くの策が示されている。しかし、通常、これらの技術を用いて作出される化合物は伝統的な発酵及び化学的/可視的分析を用いて分析されている;化合物の活性を評価する生物学的分析は上記プロセスのもっと後に行われる。したがって、本発明はこれらの技術における新規改良及び特に実用可能な様式で上記分野においてこれらの大きな進歩を利用する方法を示す。(ランダムに又はそうではなく)操作されたPKS又は他の生合成経路を含む何百、何千もの株を含む全ライブラリーを発酵させる及び化学的にスクリーニングすることは実行可能ではない。活性産物の直接的な産生について設計された系は、真正のコンビナトリアル様式で作出された経路が容易な及び速い様式で分析されることを可能にする。活性種にするためのさらなる生物形質転換の段階を必要としないで、操作された生成物の直接的なスクリーニングを許容する方法を開発する必要性が特にある。多くのポリケタイドは、例えば、プロセッシング酵素により改変されるまでは生物学的に活性ではない。ポリケタイド生合成機構の理解又は「コンビナトリアル生合成」と呼ばれているものをとおした新規ポリケタイド構造の開発における多くの発展は、さらなる精製及び生物形質転換を伴わない活性についてのそれらのスクリーニングを効果的に除外する、不活性なマクロライド核のみを利用して又はあるいは形質転換体を発酵させること及びバイオアッセイ及びLCMS分析のための粗い抽出物を作出することにより行われてきた(Tang L. and McDaniel R. (2001) 97, 1−9)ということに特に注目すべきである。これらの方法との特別な相違は、本発明がPKS産物の直接的なin vivo改変を許容し、活性化合物を与え、したがって細胞の直接的なスクリーニングを許容する点である。スクリーニングの容易さは使用可能なコンビナトリアルライブラリーの死活に関わる特性である。それらが産生後に生物活性を与えるために生物形質転換されなければならない場合、可能ではあるが、株ライブラリーからの大量の化合物をスクリーニングすることはあまり実行可能ではない。直接的な活性スクリーニングは既に開発されているハイスループット法を利用して、新規に作出された株が標準のフォーマットで分析されることを許容する。生物学的スクリーニングは伝統的な化学分析法より敏感でありうる。
【0032】
さらに、上記アプローチの他の利点がある。例えば、遺伝子置換は困難である及び時間を費やすものである又はありうるので、どの所望の変化のためにも遺伝子置換を必要としない様式でPKS/ハイブリッドPKSsを作出する及び発現する方法を開発する必要性が特にある。活性についての直接的なスクリーニング形質転換体は、上記形質転換体を選択するために使用されるマーカーに加えて、さらに遺伝子構築物を実証する方法を提供する。それは変異を蓄積した又は組換え若しくは欠失を経験した遺伝子構築物、PKS又はNRPS遺伝子クラスターにおいて遭遇されるような高い反復性のDNAを用いるときの特別な問題の速い検出を許容する。直接的に形質転換体をスクリーニングすることは、生物活性産物を単離するための発酵の前に、よりよく産生する細胞又はコロニーがより不十分な生産者からスクリーニングされることを許容する利点を有する。形質転換の多くの方法(特に、プロトプラスティング)は追加の遺伝子破壊及びその結果としての生成物収率における減少又は実際に増大を引き起こしうるということが一般的に認識されているので、これは、例えば、放線菌の分野において特に有用性がある。したがって、多くの操作された形質転換体からの産生値についての速い生物学的スクリーニングを許容する方法は、問題のある株をスクリーニングアウトするのを助けうるので、大きな有用性がある。
【0033】
本発明は、DNAの全部又は大部分が相補的な宿主−ベクター対系の使用によるスクリーニングのために代替の、しばしば遺伝的にきれいにされた株に移される点で、「超宿主」型技術とは異なる。私たちの系では、上記ベクターは一般的に上記経路又は操作された誘導体の一部を含み、及び上記株はスクリーニングされうる生物活性化合物を産生する生合成経路の化学生成物を活性化することができるよう特異的に選ばれる。さらに、本発明の特に好ましい態様においては、導入されたDNAの性質についてのより高いレベルの情報が知られているであろうということが予見される、すなわち、単にランダムなゲノムDNA又はバイアスされたゲノムライブラリーでなく。例えば、多くの場合、上記導入された経路の遺伝子材料は、それが宿主細胞中で活性であるために選択される特異的なプロモーターの後ろに設計されているであろう。それは指定された様式で、例えば、ドメインの置換又は部位特異的突然変異により又はランダムな様式で、例えば、エラーしやすいPCR、トランスポゾン等を用いたランダム突然変異の導入により、しかしこれらの技術に限定されないで、いくつかの方法で操作されたものでありうる。多くの場合、上記DNA配列の多くは既知であるようである。さらに、導入された材料が宿主細胞中に含まれる生合成酵素と一斉にはたらくことの必要性は、導入されたDNAのもっともらしい機能についてのより大きなレベルの知識を意味する。また、本発明の必須事項ではないが、いくつかの態様において上記DNAは染色体統合により導入される。転写産物又は下流の極性効果との問題を避けるために、シングルクロスによりDNAを導入するときは、実験設計においてかなりの注意が払われなければならないことは当業者に周知である。挿入するDNA上にホモロジー領域を提供する必要性もある。逆に、本発明においては、宿主細胞は活性化合物の産生において役割を果たすよう特異的に選ばれる;「超宿主」技術を利用して研究者により最近使用されているよりも、非常に広い範囲の宿主細胞が利用されるであろうということが予見される。本発明に必要なことは、宿主細胞が少なくとも1の酵素活性をスクリーニングされる生物活性に寄与させることである。この必要性は、クローニングベクターの大きさの限界又は生合成経路が2の遺伝子座にわたって分かれている状況を克服することを助けるのみでなく、操作された経路がそれぞれ異なる調節酵素(単数)又は酵素(複数)を有するある範囲の細胞に導入されうることが意図されるので、本発明を用いた多様性についての可能性を多いに増大させる。それゆえ、生合成経路の一部を含む多様なライブラリーは上記ライブラリーをある範囲の細胞に移すことによりさらに多様性を与えられることができ、その細胞のそれぞれのセットは活性について直接的にスクリーニングされうる。
【0034】
したがって、第一の局面において、本発明は核酸を細胞に移し、及び直接的に生物活性についてその細胞をスクリーニングすることにより、生物学的に活性な生成物を作出する方法:
a)標的生物活性を欠くが、その活性を示すであろう分子の生合成に寄与するであろういくつかの酵素活性を有する宿主細胞の選択又は創出
b)この細胞への、生合成経路の一部をコードするDNAの導入
c)上記細胞の生育及び標的生物活性についてのスクリーニング
d)場合により、例えば、化学分析のための、生産的な又は問題の細胞からの標的生物活性の単離
を含む方法を提供する。
【0035】
さらなる局面において、本発明は生物活性についてスクリーニングされうる核酸で形質転換された宿主細胞を提供し、ここで、移された核酸上にコードされる生合成経路構成成分は生物活性を有する化学構造の1部分を産生する、及び上記宿主細胞内にコードされる生合成経路構成成分は上記化学構造の代替の部分を産生する。宿主細胞は生物活性分子の生合成に寄与する特定の酵素活性の存在について選択される。好ましい宿主細胞はユーバクテリア及び古細菌の如き原核細胞微生物、真菌、藻類及び原生動物の如き下等な真核細胞微生物、及び植物及び動物の如き高等な真核生物を含む。宿主細胞は単細胞の又は多細胞の生物に由来しうる。in vivoで培養され又は遺伝子操作された細胞を含むどんな細胞型も使用されうるが、ただし、上記細胞は所望の生物活性の生合成に寄与する酵素活性を有しなければならない、及び標的生物活性を欠いていなければならない。特に好ましい細胞は原核生物又は真菌細胞又は哺乳類細胞である。好ましい宿主細胞は原核生物、より好ましくはPseudomonas、myxobacteria、E. coli.の如き宿主細胞株である。さらにより好ましくは、上記宿主細胞は放線菌、さらにより好ましくはSaccharopolyspora erythraea、Streptomyces coelicolor、Streptomyces avermitilis、Streptomyces griseofuscus、Streptomyces cinnamonensis、Streptomyces fradiae、Streptomyces eurythermus、Streptomyces longisporoflavus、Streptomyces hygroscopicus、Saccharopolyspora spinosa、Micromonospora griseorubida、Streptomyces lasaliensis、Streptomyces venezuelae、Streptomyces antibioticus、Streptomyces lividans、Streptomyces rimosus、Streptomyces albus、Streptomyces rochei、Actinoplanes Sp.、Amycolatopsis mediterranei、Nocardia Sp.及びStreptomyces t sukubaensisの如き株である。好ましい宿主細胞の代替のシリーズは真核生物であり、特に好ましい宿主は哺乳類、植物、酵母又は真菌細胞である。さらにより特に好ましい真核宿主細胞は真菌株、より好ましくはA. terreus及びA. nidulansの如き株である。
【0036】
宿主細胞が有する酵素活性を考慮すると、典型的にマロニル−CoA又はアミノ酸の如き前駆分子、主要な又は中心的な代謝の酵素により典型的に作出される成分の産生を引き起こす酵素活性を含むことは意図されない。私たちは、典型的に二次代謝経路に寄与する活性、例えば、グリコシル化、酸化、デオキシ糖生合成等、しばしば、しかし必然的ではなく、その経路の他の成分とクラスター化される活性に関与する。これはポリケタイドの異常なスターター単位生合成又は異常なエクステンダー単位の活性(すなわち、メトキシマロニルCoA合成)を含むであろう。
【0037】
さらに宿主細胞選択プロセスは、さらに上記宿主細胞内の遺伝子を欠失する若しくは不活性化する又は追加する若しくは操作する任意の段階を含む。これらの遺伝子はいくつかの生物活性の産生に関与し又は所望の生物活性のプロセッシングに関与しうる。
【0038】
さらなる局面において、本発明は生物活性を産生するプロセスを提供し、そのプロセスは上記に定義されるプロセスにより同定された形質転換された宿主細胞を培養すること及びそのようにして産生された生成物を単離することを含む。好ましい生物活性は生物学的にスクリーニングされうる活性である。特に好ましい生物活性は、数ある中で、抗細菌、抗真菌、抗癌、抗ウイルス、モチライド、殺虫、駆虫、除草、抗球虫、抗凝血、抗炎症、抗原生動物、抗血小板、抗高血圧、抗増殖、増殖、神経発生、毛髪成長促進、抗線維症、抗マラリア、抗プラスモディウム、抗脈管形成、抗コレステロール、細胞毒性、タンパク質阻害、タンパク質合成阻害及び免疫抑制を含む。
【0039】
さらなる局面において、本発明は本明細書中に開示されるプロセスのいずれかにより得られうる新規生物活性生成物を提供する。これらの新規生物活性分子は生物学的にスクリーニングされうる生物学的に活性な分子を含む。特に好ましい生物学的に活性な分子は小分子又は巨大分子である。好ましい小分子は天然産物、さらにより好ましくは二次代謝物である。特に好ましい二次代謝物はポリケタイド、非リボソームペプチド、混合されたポリケタイド−非リボソームペプチド、脂肪酸、テルペン、アルカロイド、アミノグリコシド、シキミ酸誘導体、フラボノイド、クマリン、タキソール、ステロイド及び他のホルモンを含む。好ましいポリケタイドはI型若しくはII型又は真菌のポリケタイド合成酵素により産生されるものである。I型PKSにより産生されるポリケタイドの例はエリスロマイシン又はピクロマイシンの如き14−員のマクロライド、タイロシンの如き16−員のマクロライド又はアヴェルメクチン、ラパマイシン、リファマイシン、ソラフェン、スピノシン、FK506、FK520、ボレリヂン、ジェルダナマイシン、アンサミトシン、メイタンシン、ハービマイシンの如きマクロライド又はアムフォテリシン、ニスタチン若しくはピマリシンの如きエポチロンポリエン、モネンシン若しくはサリノマイシンの如きポリエーテルを含む。II型PKSにより産出されるポリケタイドの例はダウノルビシン、オキシテトラサイクリン又はミトマイシンを含む。真菌のPKSにより産生されるポリケタイドの例はロヴァスタチンを含む。好ましい巨大分子はタンパク質、酵素、ペプチド、ポリサッカライド、ポリグリコシド、核酸を含む。強調のために、本発明の必要事項は、宿主細胞及び形質転換DNAの両方が最終的な生物学的活性に寄与することである。巨大分子の場合、これは、例えば、グリコシル化、メチル化、リン酸化、アセチル化又はサブユニットの追加により達成されうる。これらの活性は上記細胞にあり、及び上記巨大分子は挿入されるDNAの発現により導入されうる又はその逆でありうる。
【0040】
さらなる局面において、本発明は本発明を行うのに好適なベクター系を提供する。上記DNAを上記細胞に導入するために好ましい宿主ベクター系及び方法は当業者に知られる。これらは数ある中で、プラスミドベクター、BACs及びコスミドを含む。ベクター系は上記宿主と融和性でなければならない。複数の生物において維持されうるシャトルベクターの使用は有益でありうる。1以上の遺伝子が前記宿主細胞において発現されることが必要とされるとき、どのようにして全ての必要とされる遺伝子産物の調和した発現を引き起こす方法でこの目的を達成するかについて、多くの方法が当業者に容易に生ずるであろう。これらのベクターに挿入される好ましい核酸は、ポリケタイド合成酵素、非リボソームペプチド合成酵素、グリコシルトランスフェラーゼ、メチルトランスフェラーゼ、チトクロームP450、デオキシ糖生合成経路、テルペンサイクレース及びシキミ酸経路酵素をコードする遺伝子の如き、生合成経路に参加する酵素をコードする核酸である。
【0041】
さらなる局面において、本発明はライブラリーを作出する及びそれを1以上の所望の生物活性についてスクリーニングする方法:
a)その又はそれぞれの標的生物活性を欠くが、その活性の生合成に寄与するであろういくつかの酵素活性を有する宿主細胞の選択又は創出
b)核酸ライブラリーの作出
c)それぞれ異なる核酸を含む多数の細胞を作出するための、核酸の上記細胞への導入
d)上記細胞の生育及びその又はそれぞれの標的生物活性についてのスクリーニング
e)場合により、上記細胞の培養及び標的生物活性を産生する細胞からの生物活性産物の単離
を含む方法を提供する。
【0042】
好ましい態様において、上記ライブラリーは、一般的にそれぞれの異なる細胞又は細胞集団から、少なくとも2の生物活性産物、より好ましくは少なくとも10の生物活性産物、より好ましくは少なくとも50の生物活性産物及びさらにより好ましくは少なくとも100の生物活性産物を産生する。上記ライブラリーにおける細胞は生物活性の量、強度又は型においても異なりうる。
【0043】
プロセスは所望の生物活性を産生する宿主細胞を単離すること及びそれをさらに上記生成物が大量に作出されうるように処理する(例えば、上記細胞を培養する及び産生された生成物を単離する)ことを含む。
【0044】
特に好ましい型の態様において、本発明は組換え合成によりケタイド、特に12−、14−、16−又はより大きな員の環状マクロライドの如き新規ポリケタイド、ポリエーテル又はポリエンを調製する及び検出するための(酵素系、核酸、宿主細胞、ベクター及び培養物を含む)プロセス及び材料に、及びそのようにして作出される新規ポリケタイドに関する。異なるポリケタイド生合成遺伝子クラスターに由来しうる、ポリケタイド生合成クラスター遺伝子又はその部分は、通常予想される構造の、及び生物学的活性を与えるようにポリケタイド鎖を作出する又は調節することのできる株において発現される12−、14−及び16−員のマクロライドの如き、特定の新規ポリケタイドの産生を許容するように操作される。
【0045】
1の好ましい型の態様において、本発明は(a)クラスター又は誘導体のPKS遺伝子を含むベクター及び(b)上記ベクターにコードされた生合成経路遺伝子と共に発現されたとき、所望の生物活性を与えるであろう、生合成経路酵素を有する相補的であるが特異的に調製された又は選択された宿主株の使用に関する。しかしながら、いくつかの他の潜在的な組み合わせは当業者に容易に起こるであろう。例えば、一般的にポリケタイド鎖形成の後にはたらく酵素、例えば、1以上のグリコシルトランスフェラーゼ、TDP−糖への経路、チトクロームP450、及びメチラーゼを含むベクターは、それらがはたらくであろうポリケタイドを産生するPKSを発現する宿主株と共に使用されうる。あるいは、逆の場合、上記株はポリケタイド合成酵素又は操作された誘導体を作出することができ、及び上記ベクターは一般的にポリケタイド骨格形成の後にはたらく生合成経路酵素を含む。あるいは、株はPKSの一部を、及び上記形質転換ベクターは上記PKSの他の部分を有しうる。これはいくつかの形態をとりうる;上記株は1以上のPKSオープンリーディングフレームにおいて欠失し、及びベクターはこれらのリーディングフレーム(又は誘導体)を発現するために使用されうる。上記株はPKSの退化した部分、あるいは不完全な部分を有し、及び上記ベクターは上記PKSの残りの部分を発現するために使用されうる。あるいは、上記株は上記形質転換PKSに改変されない又は関与されないこともありうる。リーディングフレームを維持する、並びに転写を維持する及び極性効果を避けるために、上記株及び導入される遺伝子材料の正確な設計の必要性はしばしば特定の細胞型に因るであろう、上記考慮は当業者に知られるであろう。
【0046】
本発明のある態様において、上記株は上記ベクター上の領域に対するホモロジー領域を有し、染色体統合を許容しうる。例えば、このホモロジー領域は上記PKSの小部分、例えば、チオエステラーゼドメインでありうる。あるいは、上記挿入されたDNAは上記染色体上の中間部位又は結合部位に方向付けられうる。あるいは、上記株が許容する場合、上記ベクターは自己複製可能でありうる。PKSをコードするベクターがこの株に移され、及び上記PKSが発現される場合、ポリケタイド生成物は完全にプロセスされて生物学的に活性な材料を与えることができ、形質転換体が新規活性について又は生成物収率について直接的にスクリーニングされることを許容する。あるいは、反対の場合、(例えば、グリコシル化又は水酸化により)そのPKSを含む細胞により産生されるポリケタイドを活性化することのできるベクターでの、PKSを含む株の形質転換は生物学的に活性な材料の産生を引き起こす。
【0047】
この株の特別な特徴は、それが上記生合成経路により形質転換されるまでは生物学的活性を有しないということである。例えば、紫外線又は化学突然変異及び上記活性をもはや示さない生物についてのスクリーニングを用いて、ランダム突然変異を含む株の使用の前に、いくつかの方法が「不要の生物学的活性」を除去するために使用されうることは本分野において周知である。いくつかの場合、生物活性生成物をもたらす生合成経路はより正確に欠失されることができ(Rowe et al. (1998) Gene, 216, 215−223 又は McDaniel et al. (1993) Science, 262, 1546)、上記目的が操作された経路を元の宿主に再結合することである場合、それは遺伝子置換による実験を行う必要性を除去しうるので、これは必要であり及び有益でありうる。媒体開発技術は競合する活性の産生を引き起こす経路を閉ざす条件を見つけるために使用されうる。全ての場合、導入された経路酵素の生成物を作出する又は活性化する、上記株の能力に影響しないよう注意を払わなければならない。上記株が標的生物活性を全く示さないことが所望されるが、低いバックグラウンド値は上記発現された生物活性が上記バックグラウンドに対して容易に区別されうる限りは許容可能である。形質転換プロトコール及び生物活性生成、例えば、形質転換体について選択するために使用される抗生物質により影響されない分析の使用又は上記形質転換体を上記選択媒体から除去するための追加の単純な段階の使用と矛盾しない条件を決定することが必要でありうる。しかしながら、96ウェルプレートに取る複製プレーティング又は生育及び上記生物活性の発現のための同様の方法を行うことは本発明の範囲内である。このことは、いくつかの場合、上記生物活性スクリーニングに影響しうる、上記形質転換体の選択に使用される抗生物質を除去する追加の利点有しうる。上記段階は現存のハイスループットスクリーニング系における本明細書中に示される本発明の使用をもかなり助けうる。
【0048】
さらに、本発明は、単一のベクター上で全PKS又はその部分をとること、及び標的化された方法を利用して今般上記分野の研究者によりよく確立されている慣用の方法により上記PKSを操作することが可能であることを教示する。例えば、便利な制限酵素部位は選択されたドメインを交換するために使用されうる又はランダム法は、例えば、方向付けられた進化に使用しうる。したがって、上記全PKSは、活性生成物を与えるよう操作されたPKSの化学生成物を改変するために特に選択された/設計された株を形質転換するために使用される。通常、上記選択された株は上記ポリケタイドが有しうる特定の生物活性を有しないであろう。このことは形質転換体(上記ベクター上に含まれる抗生物質耐性によりはじめに選択されたクローン)が直接的に生物活性についてスクリーニングされることを許容する。例えば、特定の生物活性を有する組換えコロニーは、上記プレートを影響されやすい生物で覆うことにより新規抗微生物活性について上記プレート(又は複製)上で選択されうる。本発明を、上記形質転換された細胞又は複製物が直接的に試験生物で覆われうる、抗微生物スクリーニングに限定することは意図されない。抽出物は形質転換プレート又は同様のもの上で生育する形質転換コロニーから取られ、及びバイオアッセイに使用されうることは当業者に周知である−これはタンパク質に基づいた分析スクリーニングに特に適用しうる。
【0049】
本発明の他の使用が構想されうる。例えば、より高い収率のコロニーは形質転換の後直接的に選択されうる;これは、放線菌形質転換の多くの慣用の方法(特にプロトプラスト形成を利用するもの)はおそらく二次的な有害な突然変異のために収率において顕著な下落をもたらすので、特に有用である。これらの突然変異は高い産生値をもたらしうる、及び産業的なスケールアッププロセスに特に有益でありうる、より高い産生株は開示された方法論により直接的に検出されうる。
【0050】
特に好ましい態様において、操作されたPKSを含むベクターは、上記株自体が、例えば、元のポリケタイドの産生を担うオープンリーディングフレーム及び改変されるべきベクター上に置かれる遺伝子又は改変された変形のほとんどの欠失により、操作された後、上記PKSが由来した株に戻されるであろう。しかしながら、これは必須ではないが、上記株が有する酵素活性(すなわち、この場合PKS後酵素)が上記ベクターが有するタンパク質の化学生成物にはたらく触媒能力を有しやすいことを確実にすることを助ける。さらに、上記株は所望の分子を構築するための好適な基質供給をより有しやすい。しかしながら、本発明は、ベクターにコードされたPKS/遺伝子操作されたPKSに関連する株の使用に限定されない。例えば、上記PKSは特定の生物形質転換能力を有するように特に選択された株に挿入され、上記ポリケタイドの不活性形を活性、及びそれゆえ直接的にスクリーニングできる化合物に変換しうる。上記株により寄与される酵素活性を考慮して、本発明を上記生成物を活性化して生物活性を与える生合成活性、例えば、活性エリスロマイシンを与えるためのエリスロノリドのグリコシル化に限定することは意図されない。反対の場合が適用しうる:上記株が有する生合成活性はPKSそれ自体であり、及び導入された遺伝子材料はグリコシルトランスフェラーゼ又は代替物又は改変された糖経路でありうる。本発明の鍵となる局面は、生ずる株が上記株の形質転換後生物活性について直接的にスクリーニングされることである。強調のために、示される多くの態様において、私たちはPKSを株に導入する及び上記細胞内の生合成酵素の活性により上記ポリケタイド上に与えられた活性についてスクリーニングする例を使用するが、それぞれの場合において、反対のこと、すなわち、生合成酵素をPKSを有する株に導入する及びその活性により上記細胞上に与えられる生物活性についてスクリーニングすることが適用しうる。
【0051】
本発明は、同じプロモーター領域下の単一のベクター上での改変されたPKS若しくは生合成経路又はPKS若しくは生合成経路の部分の調製を許容する。全PKSが通常同じプロモーターから転写される場合、このことは特に有用である。しかしながら、これはより複雑でありうるが、同様の技術が同じ転写産物から発現されないPKSsについて使用されうることが当業者に周知であろう。あるいは、上記遺伝子は単一のプロモーターの制御下にあるように操作されうる。可能な方法は当業者に知られるであろう、Gaisser S, et al.(2000)Mol. Microbiol, 36, 391−401は遺伝子が1のプロモーターの制御下に置かれうる代替の方法を例示する。本発明の特別な利点は、改変された/異種のPKSを調製するために必要とされる全ての変化は宿主株への移行及び続くスクリーニングの前に、E. coliにおいて作出されうることである。本発明の利点は、形質転換体が生物活性についてスクリーニングされるため、操作されたプラスミド構築物(又は他のベクター)が正確であり及び機能的であることは容易な検査であるということである。これは、プラスミド忠実度についての慣用のスクリーニング方法が困難である又は包括的である、上記プラスミドが非常に大きい又は本質的に組換えに不安的である系において特別な利点である。この状況は特に上記モヂュールの反復性の高い性質が欠失又は再配置を引き起こしうるPKS又はNRPSを含む構築物に適用する。本発明のさらなる利点は、それが、時間がかかり及び困難であり、実際にいくつかの株では特にPKS領域において不可能でありうるプロセスである、二重クロスオーバーによる経路における全ての遺伝子置換実験を行う必要性を効果的に避けることである。変化は本分野において使用される標準の分子生物学的方法を用いてE. coliにおいて作出され、最終的なベクターは上記宿主に移され、及び生物活性についてスクリーニングされうる。移行ベクターを設計する/選択することにおける考慮は、染色体に統合されたベクターを含む組換え株は特にラージスケールの発酵において、自己複製ベクターを含む株に優って、顕著な利点を有することが医薬産業における多くの者により考えられているという点である。しかしながら、染色体統合に関連する系にのみ本発明を限定することは意図されない。研究目的のために、自己複製ベクターがその宿主株について使用可能である場合は、導入されたDNAが自己複製ベクター上に導入されうる場合、速さ及び使用の容易さにおけるかなりの利益がありうる。あるいは、上記DNAは、選択の範囲がある結合部位にしばしば方向付けられた結合により導入されうる。このことは当業者に周知であろう。自己複製ベクターの使用はしばしば極性効果又は転写産物への変化のための染色体統合の効果を考慮する必要性を避ける。実際に、本発明の多くの態様において、操作されたクラスターを含むベクターは元の株の誘導体に戻されるので、商業的に関連する利益がある。しばしば医薬産業は、生成物収率を最適化すること及び副生成物、分路代謝物等を制限することの両方について、特定の株を発酵させることにおける広範囲な経験を有する。形質転換の容易さ又は他の好ましい特性を利用するために、元の実験は研究室の株において行われうることが構想されるが、多くの場合、上記大きなベクター系は続いて最小限の追加の努力で産業生成株の誘導体に適用されうることが意図される。DNAを宿主に導入する可能性のある方法は宿主に因る及び、当業者に知られるであろう。
【0052】
他の局面において、本発明はその産生を担う遺伝子を操作することによりポリケタイド鎖に変化を作出する方法を提供する。上記遺伝子は通常、しかし必然的にではないが同じ転写産物上の、1以上のプロモーターの下で単一のベクター上に置かれる。変化は便利な生物、例えば、E. coliにおけるPKS遺伝子の所望の領域に作出され、及び最終的なベクターは一回の統合により宿主株に移される。上記宿主はその後活性についてスクリーニングされる。この方法は、通常、一回の統合によるよりも苦労して遺伝子置換により作出されなければならない変化である、プロモーター領域/終末領域から離れたところにあるPKSモヂュールにおける変化を作出するために特に有用である。PKSへの変化は、例えば:ローディングモヂュール交換、エクステンダーモヂュール交換、ドメイン交換(アシルトランスフェラーゼ、還元ドメイン)、複数ドメイン交換、部分的ドメイン交換、欠失又は挿入、切除又は伸長、部位特異的突然変異を含む交換を含む。
【0053】
他の局面において、本発明は特異的にPKSのオープンリーディングフレーム全体を欠いた宿主株を提供する。通常、残る部分がホモロジー領域としてはたらきうるので、PKS全体を欠くことは有益ではない。いくつかのシナリオが構想されうる、i)オープンリーディングフレーム全体の欠失、及びii)オープンリーディングフレームの全体より少ない欠失。これらの株は上記特定のポリケタイドを産生することができないが、PKS後プロセッシング活性を保持する及びしたがって上記株が上記PKSの欠失した部分を置換するよう設計された構築物で形質転換されたとき産生される分子をプロセスすることができる。PKSの大きな部分の欠失はベクター及び染色体上の相同領域間の所望されない組換えの危険性を避け又は減少させ、したがって、所望の組換え事件に方向付ける。PKSの欠失は株の生物学的活性を除去する効果をも有し、上記生物が直接的にスクリーニングされることを許容しうる。これらの株は、例えば、上記ポリケタイドにスクリーニング可能な活性を与えるようにはたらくであろう特定の所望のPKS後活性を高める又は与えるために、オープンリーディングフレーム(単数又は複数)の欠失の後さらに改変されうる。
【0054】
他の局面において、本発明は、新規グリコシル化又は酸素化誘導体を作出するための異なるグルコシルトランスフェラーゼ又はチトクロームP450の操作の如き、代替のPKS後プロセッシング経路を利用するためにPKSを1の宿主から他に移動させることの効果を分析する単純な方法を提供する。さらに、この方法論は、操作されたPKSにより産生されたポリケタイドの構造が、通常PKS後プロセッシング酵素により利用されるものと顕著に異なる場合、重要でありうる。
【0055】
他の局面において、本発明は、効率/改善された酵素機能/特異性又は生成物収率について、(例えば、これらの技術に限定されないが、コンビナトリアル生合成又は方向付けられた進化/遺伝子シャッフリングにより産生された)ランダムに産生されたPKS酵素を速くスクリーニングする方法を提供する。ランダムな変化は、おそらく1のヌクレオチドのみ異なる又は全く異なるモヂュール、ドメイン若しくはオープンリーディングフレーム若しくは挿入若しくは欠失等を有する、異なるPKS遺伝子のライブラリーを作出するためにPKSを含むベクターに作出される。このライブラリーは宿主株に移され、ベクターを含む宿主は耐性マーカーにより選択され、及び形質転換体は生物活性について直接的にスクリーニングされる。そのようにして作出された分子を活性化しうる株への移行後の直接的な生物活性についてのスクリーニングは、生産的な変化についてスクリーニングする。上記ライブラリーを作出する新規方法は以下に概略される。異なる調節酵素を有するある範囲の異なる宿主株への上記ライブラリーの移行は、異なる活性を有する、異なってプロセスされた分子を産生する。
【0056】
他の局面において、本発明は生物活性のライブラリーを作出する新規方法を提供する。この方法は、特に上記タンパク質/ドメインの順序がそのクラス内で同様であるとき、ポリケタイド、非リボソームペプチド及び多くの他の二次代謝物又は天然産物に適用可能である。上記方法は特に、特定のオープンリーディングフレームのN−末端及びC−末端を除いては、PKSクラスターのオープンリーディングフレームの全部又は一部を特異的に欠く又はあるいはドメインの全部/一部において欠失する一連の株の作出に関する。これらのドメイン間での、異種の源に由来する同等の部位のクローニングによる、1又は多数のモヂュール又はドメインを含むDNAによる失われた部分の特定の補完は、オープンリーディングフレームを再形成し、その結果として活性を回復する。上記株における活性は直接的にスクリーニングされうる。複数の断片又は断片のライブラリーは最も有効なものを決定するためにスクリーニングされうる。これらの断片の源はある範囲の既知のクラスターから又は未知の源、例えば、環境サンプルからでありうる。有用な断片は他の関係においてはあまり効果的にはたらかない場合があるので、ある範囲の断片を速く及び容易に試験する能力は研究者にかなりの利点を与えるということが当業者に知られる。この局面の延長において、ライブラリーを作出する他の方法として、未知のPKSのランダムな断片は強いホモロジー領域を用いて及び好適な制限酵素部位を導入して作出された変性したプライマーを用いた増幅によりクローニングされうる。上記変性した断片を上記系に置くことにより、新規ポリケタイドは作出され、及び直接的にスクリーニングされうる。PKSに関連して、上記増幅された生成物はドメイン、モヂュール又は複数のモヂュールであることができ、及び実際に上記遺伝子構成が維持される場合は、置換された断片が単一のリーディングフレームでないかどうかは問題ではない。本発明に係るベクター−宿主株の組み合わせの方法論は、研究者が生物学的活性により成功の形質転換体を速くスクリーニングすることを可能にし、及びそれゆえ、研究者に最も効果的な交換を決定させる道具である。最も適切な交換を決定することは不正確な科学であるということは本分野において周知である;多くの場合、異なる置換は異なる収率を与える。生物学的活性の直接的なスクリーニングは、本発明が形質転換されたコロニーから直接的に、複数の(原則として何千もの)交換をスクリーニングするために使用され、新規活性/生成物収率について形質転換されたコロニーをスクリーニングすることにより交換の成功を判断しうることを意味する。
【0057】
本発明は広い潜在的な有用性を有し、及びポリケタイドに又は実際に微生物天然産物に限定されない。上記方法は生物学的にスクリーニングされうる生成物を産生する複数の段階の生合成経路に適用可能である。多くの生物活性代謝物の産生を担う生合成装置をコードする遺伝子は急速に発見されており、多くは共にクラスター化されることがわかったという事実により作業はより簡単にされた。しかしながら、全ゲノムのシークエンシング又はSanti D.V., et al(2000)Gene, 247, 97−102により示されるような遺伝子発見法を含む、ハイスループットDNAスクリーニング法における進歩は、クラスター化されない生合成装置でさえも容易に同定されうることを意味する。いったん同定されたら、私たちがPKSについて例示したように、これらの遺伝子をベクター上に、おそらく発現レベルを高める又はよりよく制御するためにより強いプロモーターを利用してカセット内へ置くことは可能である。しかしながら、問題の生合成装置がクラスター化されないときでさえも、上記遺伝子を単一のベクター上に置くための入手可能な方法はある。i)それらがベクターにコードされるタンパク質と共に産生される所望の新規生物活性産物の生合成に参加しうる(おそらく上記宿主細胞は同定された遺伝子とクラスターを形成しない上記クラスターの残りのものを有する)ために、及びii)それらが特定の生物活性を(又は実質的な程度では)有しないので、形質転換された細胞が直接的にスクリーニングされることを許容するために選択された宿主細胞に、このベクターは移されうる。私たちがPKSについて例示したように、上記宿主細胞ははじめに特定の生合成装置を除去するよう操作されうる。このことは生物学的活性をも除去しうる。あるいは、上記細胞は特定の所望の経路酵素を含むよう操作されうる。これらの細胞を元の遺伝子(又はその操作された誘導体)を含むベクターで形質転換することは生物学的活性を復帰させ、上記細胞が生成事件及び生物活性についてスクリーニングされることを許容する。
【0058】
本発明の範囲を「伝統的な」天然産物に限定することは意図されない。本発明の背景にある原理は非常に広いクラスの生合成生成物に適用する。これらは、例えば、タンパク質ライブラリーを含みうる。私たちは、所望のタンパク質の発現がベクターの制御の下に置かれ、そのベクターは続いて、形質転換体から直接的にスクリーニングされうる生合成タンパク質を産生する導入されたコードされたタンパク質のグリコシル化又はアセチル化を担う酵素を含む宿主株に移される方法を構想しうる。あるいは、上記宿主株はタンパク質の第二のサブユニットを合成することができ、プラスミド上の他のサブユニットの発現はスクリーニング可能な生物活性産物を与えうる。
【0059】
本発明の態様は添付の図を引用して、例として及び限定なしに、示されるであろう。
【実施例】
【0060】
実施例1
プラスミドpHP020の構築
プラスミドpHP020はactIプロモーターの制御の下にDEBS1、DEBS2及びDEBS3を含むpCJR24を基礎としたプラスミドである。DEBS2(モヂュール4)のATドメインはラパマイシンモヂュール2のATドメインと交換されている。プラスミドpHP020は以下のようにいくつかの中間体プラスミドにより構築された。DEBS1、DEBS2及びDEBS3を含むプラスミドpIB023をMscIで消化し、及び4.7kb断片をゲル電気泳動により単離し、及び上記ゲルから精製した(MscI部位はdcm感受性ではない)。[プラスミドpIB023は、pCJR65を含む株Sacch, erythraea CJR65のゲノムDNAから単離されたEcoRI断片のプラスミドレスキューにより作出された(DEBS1TE in pCJR24, Rowe C. J et al. (1998)Gene 216 215−223)。プラスミドpHP010は(EcoRI−XbaIクローニングされた)TEドメインの下流からの1kb配列を含むこのプラスミドの誘導体であり、Sacch, erythraea JC2内への形質転換のための追加のホモロジーを提供する。]上記MscI断片を、SmaIで直鎖にされ、及びアルカリフォスファターゼで処理されたプラスミドpUC19にライゲーションした。E. coli DH10Bへの形質転換及びプラスミドpHP001の同定の後、4.7kb断片をEcoRI及びXbaIで切断し、及びpCJR24のEcoRI及びSpeIの消化により形成された3.3kb断片とライゲーションした。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpHP005についてチェックした。
【0061】
pHP001を鋳型として用いて、2のオリゴヌクレオチドプライマー、5’−TTTTTCTGCAGCGCCCTGGCCAGGGAAGACCAGGACCG−3’及び5’−TTTTTAAGCTTCCTGCGAGGCACCGACACCGGCG−3’を、ヌクレオチド27227〜28493までのSac. erythraea eryAII遺伝子からDNAを増幅するために使用した。上記プライマーの設計は、上記ヌクレオチド27231にMscIサイト及びMscIサイトの直前に位置されたPstIサイト並びにSfIIサイトにわたってプライミングする第二のHindIIIサイトを導入した。上記1276bpPCR産物をPstI及びHindIIIで消化し、及び同じ酵素で消化されたpUC19にライゲーションした。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpHP004の存在についてチェックした。プラスミドpHP004を制限酵素パターンにより同定し、及び配列分析により確認した。
【0062】
2のオリゴヌクレオチドプライマー、5’−TTTTTGAATTCCGTCCTCCGGCGGCCACTGCTCGG−3’及び5’−TTTTTCTGCAGCCTAGGGGGACGGCCGGCCGAGCTGCCCACC−3’をヌクレオチド26269〜25751までのSac. erythraea eryAII遺伝子からDNAを増幅するために使用した。上記プライマーの設計はヌクレオチド26273にAvrIIサイト及びAvrIIサイトの直前に位置するPstIサイトを導入し、及び第二にEcoRIサイトを25749で上記ヌクレオチド配列に加えた。上記545bpPCR産物をPstI及びEcoRIで消化し、及び同じ酵素で消化されたpUC19とライゲーションした。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpHP003の存在についてチェックした。プラスミドpHP003を制限酵素分析及び配列分析により同定した。
【0063】
プラスミドpHP003をPstI及びHindIIIで直鎖状にし、及びゲル電気泳動により精製した。〜3kbの断片をアルカリフォスファターゼで処理し、及びPstI及びHindIIIで消化されたpHP004の〜1.2kb断片とライゲーションし、及びゲル精製した。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpHP007の存在についてチェックした。プラスミドpHP007を制限酵素パターンにより同定した。プラスミドpHP007をSfiIで消化し、及び2.2kb断片をゲル電気泳動により精製し、及びゲルから精製した。この断片をpHP005からのSfiI断片を置換するために使用し、及び生ずるベクターはAT4の存在を伴わない置換カセットである、pHP012と呼ばれる。代替のATsは独自のMscI及びこのプラスミドの操作の間に導入されたAvrIIサイトに導入されうる。
【0064】
マロン酸エクステンダー単位を特定するラパマイシンAT2をSac. erythraea eryAII遺伝子からのAT4を置換するために使用した。プラスミドpCJR26はラパマイシンAT2の源であった(Rowe C.J et al.(1998) Gene 216 215−223)。脱メチル化DNAを、E. coli株ET12567をプラスミドpCJR26で形質転換することにより作出した。このDNAをMscI及びAvrIIで消化し、及びラパマイシンAT2を含む〜0.9kb断片をゲル電気泳動により精製し、及び事前に同じ酵素で消化され、アルカリフォスファターゼで処理され、及びゲル電気泳動で精製された脱メチル化pHP012とライゲーションした。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpHP014についてチェックした。プラスミドpHP014を制限酵素パターンにより同定した。
【0065】
プラスミドpHP014をSfiIで消化し(dcm非感受性)、及び2.2kb断片をゲル電気泳動により単離し、及びゲルから精製した。この断片を、事前にSfiIで消化されて直鎖状にされ、アルカリフォスファターゼで処理され、及びフェノール抽出及びエタノール沈殿により精製されたpHP010とライゲーションした。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを制限酵素分析により所望のプラスミドpHP020の存在についてチェックした。
【0066】
実施例2
Sacch. erythraea NRRL2338 JC2 (pHP020)の構築及び新規生物活性エリスロマイシンの産生についてのそのスクリーニング
プラスミドpHP020を標準の技術を用いてSacch. erythraea NRRL2338 JC2プロトプラストを形質転換するために使用した。Sacch. erythraea NRRL2338 JC2はPKSプラスミドの統合のためのホモロジー領域としてTEを残して、事前にDEBS1+2+3全体について欠失されていた(Rowe C. J et al. (1998) Gene 216 215−223)。上記形質転換混合物をR2T20プレート上に置き、及び24時間回復させ、その後40μg/mlチオストレプトンで覆った。コロニーを約7〜10日間生育させ、胞子形成させ、その後胞子を回収し、及び希釈物を40μg/mlチオストレプトンを含むR2T20アガー上に置き、30℃で7日間生育させた。個々のチオストレプトン耐性コロニーを大きな(25×25cm)正方形のR2T20アガープレート(アガーの深さが同じであることを確実にするために水平な面で注がれた)上で1cm2領域で、それぞれのパッチの間に妥当な間隔を残してパッチにし、及び約5日間生育させ、二次代謝物の産生を許容した。この段階で、アガーの小さなプラグをそれぞれのパッチから取り、及びインジケーター生物M. luteus.の培養物で覆われた(25×25cm)LBプレート上に等間隔で置いた。JC2のパッチをコントロールとして使用した。上記LBプレートをその後4℃で4時間置き、プラグからLBアガーへの天然産物の拡散を許容し、その後上記プレートを37℃に移し、スクリーニング生物の生育を許容した。個々のプラグを阻害領域の大きさによりスクリーニングし、非生産者対生産者生物のスクリーニング、しかし追加的によりよく産生するコロニーについてのスクリーニングを許容した。
【0067】
正しい構築物の導入をさらに実証するために、生産者クローンを、ラパマシイシンAT2の〜1kb MscI/AvrII断片を含むDIG標識されたDNAでのそれらのゲノムDNAのサザンブロットハイブリダイゼーションにより、TE領域内に統合されたpHP020の存在について試験した。試験された全ての生産者クローンは、生物活性産物の形成により予想されうるように、pHP020の正しく統合されたコピーを含むことがわかった。上記スクリーニング方法により同定された活性産物の正確な化学的性質を実証するために、2の試験が行われた。はじめに、複製物の残余物を利用して、上記スクリーニング生物のためのプラグを作出するために使用されたコロニーをまいた。第二のプラグ(〜0.5cm2)を取り、及び〜pH9(アンモニア)に調節された2×1ml酢酸エチルで抽出した。これらの抽出物からの溶媒を蒸発により除去し、及び残留物をHPLC/MSにより分析した。ピークは6−デスメチルエリスロマイシンDについての分子マスm/z[M+H]+=690で観察された。第二に、S. erythraea NRRL 2338(pHP020)を5μg/mlチオストレプトンを含む5ml TSBを接種するために使用した。3日間の生育後、1.5mlのこの培養物を250mlフラスコ内の5μg/mlにチオストレプトンを含む30mlのEryP培地を接種するために使用した。上記フラスコを30℃、250rpmで6日間インキュベートした。このとき、上清をアンモニアでpH9に調整し、及び等量の酢酸エチルで2回抽出した。上記溶媒を蒸発により除去し、及び残留物をHPLC/MSにより分析した。ピークは6−デスメチルエリスロマイシンDについての分子マスm/z[M+H]+=690で観察された。さらなる分析は不完全なPKS後プロセッシングのための産物、B、C及びA形、及び生成物崩壊のための化合物の存在を示した。6−デスメチルエリスロマイシンDに対応するピークの定量は、上記生成物が使用されたフラスコ条件の下で約1mg/Lで産生されたことを示した。
【0068】
実施例3
Sacch. erythraea NRRL2338 JC2(pHP020)の発酵によるポリケタイドの産生
上記プレートスクリーニング手順により同定された生成物の化学的性質をさらに実証するために、私たちはラージスケールで上記培養物を生育させた。−80℃で貯蔵された、Sacch. erythraea JC2/pHP020のグリセロールワーキングストックを5μg/mlチオストレプトンを伴う50ml TSBを含む源を有する2の250mlフラスコを接種するために使用し、及び2インチの振りで2日間シェーカー上で30℃及び240rpmで生育させた。この種培養物を5%v/vで、5μg/mlを伴う300ml TSBを含む源を有する3の2Lフラスコを接種するために使用した。これらの培養物は2インチの振りでさらなる2日間シェーカー上で30℃及び240rpmで生育され、発酵器のための種培養物を提供した。上記種培養物を5%v/vで、20L Applikon fermentor系内の12L EryP培地を接種するために使用した。
【0069】
EryP 培地(Pacey, M.S., et al. (1998) J. Antibiotics 51, 1029−1034)。
【0070】
グルコース 50g/L
Nutrasoy flour 30g/L
硫酸アンモニウム 3g/L
塩化ナトリウム 5g/L
カルシウムカーボネート 6g/L
PPG 抗泡立ち剤 0.1g/L
NaOHを用いてpH7.0に調整。123℃で30分間滅菌。
【0071】
上記培養液を200rpmで攪拌し、発酵の間最大350rpmまで増大させながら、6L/分の通気速度で30℃でインキュベートした。発酵を約120時間続けた。このとき、所望の化合物、6−デスメチルエリスロマイシンDの存在を、培養液サンプルのpHをアンモニアでpH9.0に調節すること及び等量の酢酸エチルで抽出することにより確認した。上記溶媒を蒸発により除去し、及び残留物をHPLC/MSにより分析した。細胞材料を10Lの透明な上清を残す遠心分離により除去した。
【0072】
実施例4
6−デスメチルエリスロマイシンDの精製及び特徴付け
上記上清(10L)を水酸化ナトリウムでpH10に調節し、及びAmberlight XAD−16樹脂(100g)と共に室温で30分間攪拌した。上記樹脂をろ過により単離し、水(200ml)で洗浄し、及び化合物をメタノール(3×200ml)で溶離した。この段階を2回繰り返し、及び生ずるメタノール抽出物を混合し、及び上記溶媒を水性残留物(〜50ml)を残すためにin vacuoで除去した。上記抽出物を水で希釈し、及び酢酸エチル(3×100ml)で抽出した。上記抽出物を混合し、及び溶媒を油(6.9g)を与えるためにin vacuoで除去した。上記油を酢酸/酢酸塩(1:1、100ml、pH5)及び酢酸エチル(100ml)の間で分割した。上記水相のpHを水性アンモニアでpH9.5に調整し、及び酢酸エチル(100ml)で抽出しなおした。上記溶媒を濃縮された抽出物(〜0.5g)を与えるために除去した。顕著な損失は純度を確実にするためにこの段階では許容された。上記抽出物をさらにGilson 315系及び21mm×250mm 5μm Hypersil BDS C18カラムを利用して逆相(C18)調製済みHPLCにより精製した。21ml/分の流速で19分にわたる25%〜75%アセトニトリル/20mM酢酸アンモニウムの直線勾配溶離を使用した。画分を6−デスメチルエリスロマイシンDを含むものを同定するためにLCMSにより分析し、集め及び溶媒をin vacuoで除去した。他の6−デスメチルエリスロマイシンは他の画分において同定された。上記6−デスメチルエリスロマイシンDを含む残留物を等溶離ENV+カートリッヂ(200mg)に結合させ、緩衝液を除去するために水で洗浄し、及びメタノール(6ml)で溶離し、6−デスメチルエリスロマイシンD(4.2mg)を作出した。6−デスメチルエリスロマイシンDの構造はNMRスペクトロスコピーにより確認された(表Iを参照のこと)。
【0073】
【表1】
【0074】
実施例5
プラスミドpLS025及びpSGK047の構築
プラスミドpLS025はDEBS1、DEBS2及びDEBS3を含むpCJR24を基礎としたプラスミドであり、ここでDEBS1のローディングドメインはアヴェルメクチン生合成クラスターのローディングドメインにより置換されている。プラスミドpSGK047は同じ遺伝子を含むSCP2を基礎としたプラスミドである。
【0075】
プラスミドpLS025を以下のように構築した。プラスミドpIG1(Marsden et al. (1998) Science 279, 199−202)をNdeI及びXbaIで消化し、及び〜12kbのPKSを含む断片をゲル電気泳動により単離し、及び上記断片をゲルから精製した。この断片を、同じ酵素で消化され、及び同じ方法で精製されたpCJR24とライゲーションした。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10Bを形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpLS005の存在についてチェックした。プラスミドpLS005を制限酵素パターンにより同定した。プラスミドpLS005をScaIで消化し、及び〜10kb断片をゲル電気泳動により単離し、及びゲルから精製した。プラスミドpHP010をScaIでさらに消化して直鎖状にし、及び上記断片が再ライゲーションすることができないように脱リン酸化した。この段階で、DNAの全ての移行をDNAのシアリングを避けるために広い穴のチップで行った。消化されたpHP010をpLS005に由来する断片とライゲーションした。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10Bを形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpLS025の存在についてチェックした。1のScaIサイトは断片の方向があらかじめ定められるアンピシリン耐性遺伝子内に位置されるので、プラスミドpLS025を制限酵素パターンにより同定し、及び確認した。
【0076】
プラスミドpSG047は以下のように構築された。プラスミドpLS025をNdeI及びXbaIで消化し、及び上記断片が再ライゲーションすることができないように脱リン酸化した。プラスミドpCJR29(Rowe et al., (1998) Gene 216, 215)を、ポリリンカーを除去するためにNdeI及びXbaIで消化し、ゲル電気泳動で単離し、及びゲルから精製した。消化されたpLS025をこの断片とライゲーションした。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10Bを形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpSGK047の存在についてチェックした。プラスミドpSGK047を制限酵素パターンにより同定し、及び確認した。
【0077】
実施例6
Sacch. erythraea NRRL2338 JC2 (pLS025)の構築並びに新規エリスロマイシンを作出するためのその使用及びスクリーニング
プラスミドpLS025を標準の技術を用いてSacch. erythraea NRRL2338 JC2プロトプラストを形質転換するために使用した。上記形質転換混合物をR2T20プレート上におき、及び24時間回復させ、その後40μg/mlチオストレプトンで覆った。コロニーを約7〜10日間生育させて胞子形成させ、その後胞子を回収し、及び希釈物を40μg/mlチオストレプトンを含むR2T20アガー上におき、及び30℃で7日間生育させた。この追加の段階はS. erythraeaを形質転換するときに観察されるいくつかの擬陽性コロニーを避けるが、上記活性スクリーニングもこれらのコロニーをスクリーニングアウトとするであろうから省かれうる。個々のチオストレプトン耐性コロニーを10μg/mlのチオストレプトンを含む大きな(25×25cm)正方形のR2T20アガープレート上に、それぞれのパッチの間に妥当な間隔を残して、1cm2領域でパッチにし、及び約5日間生育させ、二次代謝物産生を許容した。この段階で、アガーの小さなプラグをそれぞれのパッチから取り、及びインジケーター生物B. subtilisのチオストレプトン耐性株の培養物で覆った(25×25cm)LBプレート上に等間隔でおいた。JC2のパッチをコントロールとして使用した。上記LBプレートをその後4℃で4時間おき、プラグからLBアガーへの天然産物の拡散を許容し、その後上記プレートを37℃に移し、スクリーニング生物の生育を許容した。個々のプラグを阻害の領域の大きさによりスクリーニングし、非生産者対生産者生物のスクリーニング、しかし追加的に、よりよく産生するコロニーのスクリーニングを許容した。
【0078】
上記生物活性産物の正確な化学的性質を実証するために、S. erythraeaNRRL 2338(pLS025)の(生物活性スクリーニングにより決定された)最もよく産生するコロニーを5μg/mlチオストレプトンを含む5mlのTSBを接種するために使用した。3日間の生育の後、1.5mlのこの培養物を250mlのフラスコ内の5μg/mlのチオストレプトンを含む30mlのEryP培地を接種するために使用した。上記フラスコを30℃、250rpmで7日間インキュベートした。このとき、上清をアンモニアでpH9.0に調節し、及び等量の酢酸エチルで2回抽出した。上記溶媒を蒸発により除去し、及び上記残留物をHPLC/MSにより分析した。ピークは、13−イソプロピルエリスロマイシンB及び13−第二ブチルエリスロマイシンBについて予想されるマスと一致する分子マスm/z(M=H)=732及び746で観察された。他のエリスロマイシンを観察することができた。
【0079】
実施例7
S. avermitilis SGK−DELO/HP275の構築
S. avermitilis株SGK−DELOは抗微生物活性を示さない(おそらくオリゴマイシン産生の欠落のために)。SGK−DELOを以下のように作出した。S. avermitilis ATCC31272の株の胞子を紫外光を用いて慣用的に突然変異させた。上記胞子の希釈物を単一のコロニーのために広げ、パッチ化し、及び10日間生育させ、その後パッチの近くにM. luteusを置き、及び30℃で24時間生育させた。19の単一のコロニーを、それらが上記試験生物の生育を阻害しないように見えたので、選択した。これらのコロニーをガラスピペットを用いて取り、及び100μg/mlナリヂクス酸を含むYEMEアガー上に置いた。3日間の生育後、上記株を、追加の形態学的変化についてチェックするために胞子形成培地を含むある範囲の培地上に再び置いた。液体培地を用いたさらなる試験を、抗微生物活性が存在しないことを確認するために使用した。株S. avermitilis SGK−DELOをさらなる操作のために選択した。この株を、WO 01/79520中に示されるようにXbaI(メチル化された)−XbaI技術を用いて、ピクロマイシンクラスターからのデソアミン生合成遺伝子DesI−VIII及びDesRがActI−ActII−Orf4プロモーター−アクチベーター系の後ろにタンデムに挿入されたpSet152の誘導体である、脱メチル化(E. coli ET12567)pHP275で形質転換した。株を標準の技術を利用して形質転換し、及び100μg/mlアプラマイシンを含むRM14培地上で選択した。
【0080】
実施例8
S. avermitilis DELO/HP275 +pSGK047の構築及び新規エリスロマイシンを作出する及びスクリーニングするためのその使用
プラスミドpSGK047を脱メチル化DNAを与えるためにE. coli ET12567から調製し、及び標準の技術を利用してS. avermitilis−DELO/HP275を形質転換するために使用した。チオストレプトン耐性コロニーを10μg/mlチオストレプトンを含むRM14培地上で選択した。個々のチオストレプトン耐性コロニーを大きな(25×25cm)正方形アガープレート上に1cm2領域でパッチにし、約6日間生育させ、二次代謝物産生を許容した。この段階で、アガーの小さなプラグをそれぞれのパッチから取り、及びインジケーター生物M. luteusの培養物を注いだ(25×25cm)LBプレート上に等間隔で置いた。S. avermitilis DELOのパッチをコントロールとして使用した。上記LBプレートをその後4℃で4時間置き、プラグからLBアガーへの天然産物の拡散を許容し、その後上記プレートを37℃に移して上記スクリーニング生物の生育を許容した。個々のプラグを阻害領域の大きさによりスクリーニングした。
【0081】
阻害領域の大きさにより判断される最もよく産生するコロニーを活性産物の化学的性質を実証するために使用した。上記株を6ml YEME培地を接種するために使用し、及び30℃で2日間生育させた。1.5mlのこの培養物をYEME培地を接種するために使用し、及びさらなる7日間生育させた。細胞を遠心分離により除去し、及び上清を酢酸エチルで3回抽出した。上記抽出物を混合し、及び乾燥するまで蒸発させた。上記抽出物のHPLC−MS分析は5−O−デソアミニル−13−イソプロピル−6−デオキシエリスロノリド、5−O−デソアミニル−13−(第二ブチル)−6−デオキシエリスロノリドの予想されたマスに一致するピークを示し、5−O−デソアミニル−13−メチル−6−デオキシエリスロノリド及び5−O−デソアミニル−6−デオキシエリスロノリドについて予想されるマスに一致するものを含むマイナーピークが観察された。
【0082】
実施例9
S. avermitilis SK−Lの構築
S. avermitilis SK−Lは、AVES1及びAVES2をコードする遺伝子が正確に欠失した、S. avermitilis DELOの誘導体である。
プラスミドpSGK246はaves1遺伝子の5’末端及びaveCを含むpCJR24を基礎としたプラスミドである。2の合成オリゴヌクレオチド、5’−TCACGACATGGCGGGCGCGGCGAGGAAGGCC−3’及び5’−TTTGCTAGCCTCGTCGGCCACTCCGAGGACCTCCCCTGCCG−3’をaveF及びaveD及びaves1の170nt5’末端にわたり増幅するために使用した。2の合成オリゴヌクレオチド、5’−TTTGCTAGCGAAACCGGACACACCACACACACGAAGGTG−3’及び5’−GTGATGTCCCAGTCGACGAGCAGCATTCCCG−3’をaveC及びaveE及びaves2の40nt3’末端にわたり増幅するために使用した。増幅された生成物をキナーゼで処理し、及びNheIで一晩消化した。上記生成物を電気泳動により単離し、及び上記ゲルから精製した。上記2の断片をスリーウェイライゲーションとして、SmaIで消化され及びアルカリフォスファターゼで処理されたpUC19と共にライゲーションした。上記ライゲーションをエレクトロコンピテントE. coli DH10B内に導入し、及びクローンを所望のプラスミドpSGK240の存在についてチェックした。プラスミドpSGK240を広範な制限酵素消化により同定し、及びエラーが増幅の間に導入されていないこと及び内部のNheIサイトが正しく形成されたことを確認するためにシークエンスした。プラスミドpSGK240をEcoRI及びXbaIで消化し、及び〜5kb断片をゲル電気泳動により単離し、及び上記ゲルから精製した。この断片を以前に示されたpCJR24の〜3.3kb EcoRI−SpeI断片とライゲーションした。上記ライゲーションをエレクトロコンピテントE. coli DH10B内に導入し、及びクローンを制限酵素消化により所望のプラスミドpSGK246の存在についてチェックした。
【0083】
プラスミドpSGK246を脱メチル化DNAを与えるためにE. coli ET12567から調製し、及び標準の技術を利用してS. avermitilis DELOを形質転換するために使用した。チオストレプトン耐性コロニーを5μg/mlチオストレプトンを含むRM14培地上で選択した。コロニーを正しい統合事件を有するものについてサザンハイブリダイゼーションによりチェックした。1のコロニーを遺伝子置換を完了するために選択した。この株の胞子をチオストレプトンを有しないYEME培地に接種し、及び3日間の4回をとおしてサブ培養した。このとき、細胞を標準の技術を用いてプロトプラスト化し、及び単一のコロニーのために胞子形成培地上においた。約3千コロニーをチオストレプトン感受性について取り上げた。感受性を示すコロニーをマーカーの欠失を実証するために再び取り上げ、及びサザンハイブリダイゼーションにより正しい置換事件についてスクリーニングした。S. avermitilisはこの様式でなされる遺伝子置換の間にクラスターの一部を容易に欠失するということが留意されるので、他のave PKS及びクラスタープローブを利用したサザンブロッティングを上記クラスターの残余が完璧であることを実証しようとするために使用した。S. avermitilis SK−Lと呼ばれる1のクローンをさらなる形質転換のために選択した。この株を生育させ、HPLC分析によりアヴェルメクチン産生の欠損を確認した。
【0084】
実施例10
プラスミドpSGK375及びpSGK376の構築
プラスミドpSGK375はアヴェルメクチンポリケタイド合成酵素の第一の2のタンパク質(AVES1及びAVES2)をコードする遺伝子及びAveCを含むpCJR24を基礎としたプラスミドである。プラスミドpSGK376は同じ遺伝子を含むpCJR29(SCP2を基礎としたプラスミド)である。
【0085】
プラスミドpSGK375を以下のように構築した。2のオリゴヌクレオチドプライマー、5’−CACAGCTCATATGCAGAGGATGGACGGCGG−3’及び5’−TCCAAAGCGTCACCACGCGTGCGGCGT−3’をヌクレオチド91から伸びるS. avermitilis AVES1遺伝子からDNAを増幅するために使用した。上記オリゴヌクレオチドの設計は開始コドンにNdeIサイトを導入し、及び内部のMluIサイトにわたり伸びた。上記増幅された生成物を、SmaI切断され及び脱リン酸化されたpUC18内にクローニングし、及びエラーが増幅の間に導入されていないことを確認するためにシークエンスした。上記増幅された生成物をNdeI及びMluIでの消化によりpUCから除去し、ゲル電気泳動により単離し、及び上記ゲルから精製した(断片O)。オリゴヌクレオチドの第二のペア、5’−CCGACACGCACACGGACGCGTGCCTTGGCGGGAGC−3’及び5’−CCCCTTCTCCGTCTAGACCGACCTGCCC−3’を、内部のMluIサイト〜AveCの末端を越えて伸びるヌクレオチド28023〜31863まで伸びるAVES2及びAveCのDNAを増幅し、及びXbaIサイトを導入するために使用した。再び、上記増幅された生成物を、SmaI切断され及び脱リン酸化されたpUC18内にクローニングし、及びエラーが増幅の間導入されなかったことを確認するためにシークエンスした。上記増幅された生成物をMluI及びXbaIでの消化によりpUCから除去し、ゲル電気泳動により単離し、及びゲルから精製した(断片P)。プラスミドpCJR24をNdeI及びXbaIで消化し、及びゲル電気泳動により単離し、及び上記ゲルから精製した(断片Q)。断片O、P及びQをDNAライゲースを用いてライゲーションした。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10Bを形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpSGK374の存在についてチェックした。プラスミドpSGK374を制限酵素パターンにより同定した。
【0086】
プラスミドpSGK374をMluIで消化し、及びアルカリフォスファターゼで処理し、及びコスミドcosAVE15−2をMluIで消化することにより作出された27521bp断片とライゲーションした。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10Bを形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpSGK375の存在及び正しい方向について制限酵素消化によりチェックした。
【0087】
プラスミドpSGK375をNdeI及びXbaIで消化し、AVE1及びAVE2並びにaveCを含む約30kBの断片を放出した。この消化からの断片を、再ライゲーションを止めるために脱リン酸化し、及び同じ酵素で消化され及びゲル電気泳動により精製されたSCP2を基礎としたプラスミドpCJR29とライゲーションした。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及びかなりの数の個々のクローンを制限酵素消化により所望のプラスミドpSGK376の存在についてチェックした。広範な制限酵素消化は上記構築物を実証した。
【0088】
実施例11
プラスミドpSGK390、pSGK391及びpSGK392の構築
プラスミドpSGK390、pSGK391及びpSGK392はアヴェルメクチンポリケタイド合成酵素のローディングモヂュール及びモヂュール1〜6をコードするAVE1及びAVE2に基づいたハイブリッドポリケタイド合成酵素を含むpCJR24を基礎としたプラスミド(すなわち、非複製)である。プラスミドpSGK390、pSGK391及びpSGK392において、モヂュール2の還元ループは、それぞれ、DEBSモヂュール4並びにRAPSモヂュール1及び13の還元ループで置換されている。
【0089】
プラスミドpSGK381はヌクレオチド101〜12480のAVE1ポリケタイド合成酵素全体を含むpUC19を基礎としたプラスミドである。pUC19についての新規ポリリンカー領域は2のリン酸化されたオリゴヌクレオチド、5’−TATGTTCGAAG−3’及び5’−AATTCTTCGAACA−3’を共にゆっくりアニーリングすることにより作出された。上記オリゴヌクレオチドの設計はクローニングを許容するBstBIサイト並びにNdeI及びEcoRIの「粘着性末端」を導入した。pUC19をNdeI及びEcoRIで消化し、及び大きな断片をゲル電気泳動により単離し、及び上記ゲルから精製した。この断片を新規ポリリンカー領域と共にライゲーションした。上記ライゲーション混合物をE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを制限酵素消化及び挿入されたオリゴヌクレオチドの正確さを確認するためのシークエンス分析により所望のプラスミドpSGK380の存在についてスクリーニングした。
【0090】
プラスミドpSGK380をNdeI及びBstBIで消化し、及び大きな断片をゲル電気泳動により単離し、及び上記ゲルから精製した。プラスミドpSGK375をNdeI及びBstBIで消化し、AVE1を含む約12kBの断片を放出させた。この断片をゲル電気泳動により単離し、上記ゲルから精製し、及びpSGK380から単離したpUCに基づいた断片と共にライゲーションした。上記ライゲーション混合物をE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpSGK381の存在についてスクリーニングした。プラスミドpSGK381の同一性を広範な制限酵素分析により確認した。
【0091】
2の合成オリゴヌクレオチド、5’−CACGGCAGGTACCACGCAGGCGATCGCGGACACCGAACGGC−3’及び5’−CCCTCTAGAGGTGGGGAGATCTAGGTGGGTGTGGGTGTGGGGTTGGTTGTCGTGGTGGGTGTA−3’をpSGK375を鋳型として用いてヌクレオチド5860〜9030のAVE1 DNAを増幅するために使用した。上記オリゴヌクレオチドの設計はSgfIサイトにわたり増幅し、及びクローニングのためのKpnI及びXbaIサイトを導入し、及び還元ループのはじめにBglIIサイトを導入した。上記増幅された断片をKpnI及びXbaIで消化し、ゲル電気泳動により単離し、上記ゲルから精製し、及び同じ酵素で消化されたpUC18とライゲーションした。上記ライゲーション混合物をE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpSGK382の存在についてスクリーニングした。オリゴヌクレオチドの第二のペア、5’−TCTAGAGCCCGGCTAGCCGGCCAGACACACGAACAACAGC−3’及び5’−TCCAAGCTTGCCCTGTTCGAACGTTTCCCAAGTGGTTTCG−3’をヌクレオチド11507〜12490のAVE DNAを増幅するために使用し、これらのオリゴヌクレオチドの設計はクローニングのためのXbaI及びHindIIIサイト、及び還元ループの末端にNheIサイトを導入した。上記増幅された断片をHindIII及びXbaIで消化し、ゲル電気泳動により単離し、上記ゲルから精製し、及びHindIII、及びXbaIで消化され及びゲル電気泳動により単離され及び上記ゲルから精製された以前の構築物pSGK382内にライゲーションした。上記ライゲーション混合物をE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpSGK383の存在についてスクリーニングした。pSGK282の同一性を制限酵素分析及びエラーが増幅の間に導入されていないことを確認するためのDNA配列分析により確認した。
プラスミドpSGK383をBglII及びNheIで消化し、及びゲル電気泳動により単離し、及び大きな断片を上記ゲルから精製した。プラスミドpJLK41、pJLK141、pJLK28(特許GB99/02158を参照のこと)は、それぞれ、DEBSモヂュール4並びにRAPSモヂュール1及び13からの還元ループ交換を含む。これらのプラスミドをBglII及びNheIで消化し、及び〜3kb断片をゲル電気泳動により単離し、上記ゲルから精製し、及びそれぞれの断片をpSGK383から単離された断片と共にライゲーションした。pJLK141は内部のNheIサイトのために部分消化として処理された。個々のライゲーション混合物をE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpSGK384及びpSGK385及びpSGK386の存在についてスクリーニングした。これらのプラスミドの同一性を制限酵素消化により確認した。プラスミドpSGK384及びpSGK385及びpSGK386をSgfI及びBstBIで消化し、及び上記断片をライゲーションによりpSGK381における相当する断片を置換するために使用した。個々のライゲーション混合物をE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpSGK387及びpSGK388及びpSGK389の存在についてスクリーニングした。これらのプラスミドの同一性を制限酵素分析により確認した。これらのプラスミドは還元ループDH−ER−KRにより置換されたモヂュール2の還元ループを伴うAVE1全体を含む。
【0092】
二タンパク質PKSを再生するために、プラスミドpSGK387、pSGK388及びpSGK389をNdeI及びBstBIで消化し、及び大きな断片をゲル電気泳動により単離し、及び上記ゲルから精製した。プラスミドpSGK375をNdeI及びBstBIで消化し(完全な消化を確実にするために注意が払われた)、及び大きな断片をゲル電気泳動により単離し、及び上記ゲルから精製した。DNAのシアリング又は精製樹脂への不可逆的な結合を避けるためにゲル精製の間、かなりの注意が払われた。この断片をpSGK387、pSGK388及びpSGK389から単離した断片と共にライゲーションした。上記ライゲーション混合物をE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpSGK390、pSGK391及びpSGK392の存在についてスクリーニングした。これらのプラスミドの同一性を広範な制限酵素分析により確認した。
【0093】
実施例12
プラスミドpSGK393、pSGK394及びpSGK395の構築
プラスミドpSGK393、pSGK394及びpSGK395は、アヴェルメクチンポリケタイド合成酵素のローディングモヂュール及びモヂュール1〜6をコードする、AVE1及びAVE2に基づいたハイブリッドポリケタイド合成酵素を含むpCJR29を基礎としたプラスミドである(すなわち、複製する)。プラスミドpSGK393、pSGK394及びpSGK395において、モヂュール2の還元ループは、それぞれ、DEBSモヂュール4並びにRAPSモヂュール1及び13の還元ループで置換されている。
複製するPKSを再生するために、プラスミドpSGK387、pSGK388及びpSGK389をNdeI及びBstBIで消化し、及び大きな断片をゲル電気泳動により単離し、及び上記ゲルから精製した。プラスミドpSGK376をNdeI及びBstBIで消化し(完全な消化を確実にするために注意が払われた)、及び大きな断片をゲル電気泳動により単離し、及び上記ゲルから精製した。再び、DNAのシアリング又は精製樹脂への不可逆的な結合を避けるためにゲル精製の間、かなりの注意が払われた。この断片をpSGK387、pSGK388及びpSGK389から単離された断片と共にライゲーションした。上記ライゲーション混合物をE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを導入されたサイトを利用して所望のプラスミドpSGK393、pSGK394及びpSGK395の存在についてスクリーニングした。これらのプラスミドの同一性を制限酵素分析により確認した。
【0094】
実施例13
S. avermitilis SK−L/pSGK375、pSGK376、PSGK390、pSGK391、pSGK392、pSGK393、pSGK394、pSGK395の構築及び新規アヴェルメクチン産生のための駆虫活性についての使用及びスクリーニング
プラスミドpSGK375、pSGK376、pSGK390、pSGK391、pSGK392、pSGK393、pSGK394、及びpSGK395をE. coli ET12567から調製し、脱メチル化DNAを与え、及び標準の技術を利用してS. avermitilis SK−Lを形質転換するために使用した。チオストレプトン耐性コロニーを5〜10μg/mlチオストレプトンを含むRM14培地上で選択した。耐性コロニーは駆虫分析のためにマイクロタイタープレート上に複製を置かれた。S. avermitilis及びS. avermitilis−SK−Lをコントロールとして使用した。それぞれのウェルは1リットル当たりデンプン80g、炭酸カルシウム7g、Pharmamedia 5g、リン酸水素二カリウム1g、硫酸マグネシウム1g、グルタミン酸0.6g、硫酸鉄(II)七水化物0.01g、硫酸亜鉛0.001g、硫酸マンガン(II)0.001g、bactoagar 15gを含む産生培地を含んだ。最終容積を水道水で1リットルに調節し、pHを7.2に調整し、及び上記培地を121℃で25分間オートクレーブし、その後上記マイクロタイタープレートに等分した。複製物を分析前に湿度を制御した静止インキュベーター内で30℃で2週間生育させた。1週齢のCaenorhaditis elegansに対する駆虫活性をParasitology、 (1979) 79、 19中でSimpkin and Colesにより示されるスクリーニング試験の改変を用いてアガープレート上で直接的に評価した。麻痺/死の程度を解剖顕微鏡を用いて分析した。この分析は、私たちに、統合がさらなる再配置/増幅なしに正しい位置で起こり、及び生物活性化合物の産生の成功をもたらしたかどうかを評価することを許容し、私たちに最も効果的な還元ループ交換を決定することを許容した。形質転換体の全てが生産者であったわけではない。続いての慣用のHPLCによる陽性産生コロニーのスクリーニングは、駆虫標準との比較による通常のアヴェルメクチンに加えて予想されたC−22−C23脱水素アヴェルメクチンシリーズの産生を確実にした。
【0095】
実施例14
新規生物活性ポリケタイドのための改変されたPKSライブラリーの作出及びスクリーニング
マロニル−CoA特異的エクステンダーATsをS. fradiae、S. hygroscopicus、S. cinnamonensis、及びS. venezulae、S.coelicolor、S. avermitilis、及びS. antibioticusを含むさまざまな生物のある範囲のPKSから増幅した。それぞれの場合、ゲノムDNA又は利用可能な場合コスミドを鋳型として使用した。それぞれのエクステンダーについてのオリゴヌクレオチドの設計は実施例1及びOliynyk et al.(Chem. Biol. (1996) 3, 833−839)において例示されるように正確にMscI及びAvrIIサイトを導入した。増幅された生成物をMscI及びAvrIIで消化し、ゲル電気泳動により単離し、及び上記ゲルから適切なバンド(〜1kb)を切断した。いくつかの場合、上記バンドは代替のサイトで結合する設計されたオリゴヌクレオチドとの混合物であることが明らかであった。いくつかの場合、これはSmaI切断したpUC18内に増幅された生成物をライゲーションし、及び上記生成物をシークエンスすることにより確認され、いくつかの場合、上記生成物はクラスター内のどこかからのATを示し、他の場合、増幅されたATは未知であった。上記増幅された生成物を上記ゲルから精製し、及び濃度(〜10ng/μl)について正規化し、その後増幅された生成物の全てを混合してエクステンダーATsのライブラリーを形成した。pHP012を脱メチル化し、及びMscI及びAvrIIで消化し、及びゲル電気泳動により単離し、及び上記ゲルから精製した。この断片(〜20ng)を20ngのATライブラリーと共にライゲーションした。上記ライゲーション混合物全体(5μl)をエレクトロコンピテントE. coli DH10B内に導入した(5形質転換)。それぞれの場合、形質転換体全部をLBプレート(100μl/プレート)上に広げ、コロニーを37℃で一晩生育させた。コロニーを0.5ml LB培養液をそれぞれのプレート上にピペッティングし、及び上記プレートからコロニーを洗浄することにより回収した。DNAをこれらの菌コロニーから直接的に調製し、SfiIで消化し、及び(ライブラリーから成る)〜2.2kb断片をゲル電気泳動により単離し、及び上記ゲルから精製した。この断片を、事前にSfiIで消化されて直鎖状にされ、アルカリフォスファターゼで処理され、及びフェノール抽出及びエタノール沈殿により精製されたpHP010とライゲーションした。広範なコントロールはこのベクターが完全に消化され、及びバックグラウンドコロニー形成は本質的にゼロであることを確認するために行われた。上記ライゲーション混合物を以前のようにエレクトロコンピテントE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用した。形質転換後に上記細胞を室温で2時間回復させ、及び30℃で一晩生育させることが重要である。いったん、コロニーが妥当な大きさまで生育したら、それらを以前のように回収し、及び混合した。以前のようにこれらのコロニーから直接的にDNAを調製することはうまくいったが、顕著な数のコロニーを与えるためのSacch. erythraea JC2への形質転換のための十分なDNAは必ずしもなかった。したがって、上記ライブラリーを増幅することが必要であった。100ml LB+アンピシリンを含む5のフラスコを上記プレートから洗浄された1mlの混合された培養物で接種し、及び約6時間生育させた。細胞を回収し、及びDNAを Qiagen Tip100カラムを用いて調製した。DNAを混合し、及びスペクトロフォトメーターにより定量した。このDNAはDEBS1+2+3のライブラリーを含み、ここで、AT4は全てactプロモーターの制御の下で代替のATにより置換されている。
【0096】
標準の条件下で及び標準の技術を用いてプロトプラスト化されたとき30ml S. erythraea JC2の成長から生ずるプロトプラストを形質転換するために約60μgのDNAを使用し、プロトプラスト化されないままの細胞を最小限にすることを確実にするために注意を払ったが、JC2は抗微生物物質を産生しないので、これらの細胞のための擬陽性(すなわち、チオストレプトンを含むプレート上で生育する非耐性コロニー)は生物学的スクリーニングを妨害しない。形質転換された細胞を複数の(40)R2T20プレート上におき、及び24時間回復させ、その後40μg/mlチオストレプトンで覆った。これらのプレートを30℃で十分な胞子形成及び概して個々の形質転換されたコロニー(プレート当たり約50)が視認できるまで生育させた。10μg/mlチオストレプトンを含むR2T20上にコロニーの複製をおき、及び二次代謝物産生を確実にするためにさらなる7日間生育させた。これらのプレートをチオストレプトン耐性B. subtilisの1mlの希釈された培養物で覆い、その後上記プレートを37℃に移し、スクリーニング生物の生育を許容した。コロニーを最も効果的なAT交換を決定するために阻害領域の大きさによりスクリーニングした。特に上記コロニーが近すぎるときに観察される不明確さは上記複製プレートから再パッチ化し、及び再スクリーニングすることにより解決された。このスクリーニング段階の後、所望の6−デスメチル化合物よりもむしろ、天然エリスロマイシンのみを産生するものに対して区別するために、産生された化合物の化学的性質をチェックすることが必要であった。私たちは、おそらく私たちがこの実験において使用した特定のATライブラリーにおける過剰(すなわち、マロニル−又はメチルマロニル−CoAのためのエクステンダーATsの混合物)のためである、天然エリスロマイシンAのいくらかの産生を観察した。
【0097】
実施例15
プラスミドpLSB136はactIプロモーターの制御の下でDEBS1、DEBS2及びDEBS3を含むpCJR24を基礎としたプラスミドである。DEB1のATドメイン(モヂュール1)はラパマイシンモヂュール2のATドメインと交換されている。プラスミドpLSB136は以下のようにいくつかの中間体プラスミドにより構築された。DEBS1−TEのモヂュール1の天然ATドメインの代わりにラパマイシンPKSのモヂュール2からのマロニル−CoA−特異的ATドメインを含むプラスミドpCJR26(Rowe et al. (1998) Gene 216, 215−223)をNdeI及びBstBIで消化し、rap AT2を含む4596bp断片を作出した。この断片をNdeI及びBstBIで消化されたpHP010からの〜19kb断片とライゲーションした(実施例1を参照のこと)。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpLSB134の存在についてチェックした。pHP010をBstBIで消化し、及び〜14.4kb断片をゲル電気泳動により単離し、及び上記ゲルから精製した。この断片を、BstBIで消化され及びアルカリフォスファターゼで処理されたpLSB134とライゲーションした。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンをBstBI断片の正しい方向について及びそれゆえ所望の最終的なプラスミドpLSB136の存在についてチェックした。
【0098】
実施例16
Sacch. erythraea NRRL2338 JC2(pLSB136)の構築及び新規生物活性エリスロマイシンの作出のためのそのスクリーニング
プラスミドpLSB136を標準の技術を用いてSacch. erythraea NRRL2338 JC2プロトプラストを形質転換するために使用した。Sacch. erythraea NRRL2338 JC2はPKSプラスミドの統合のためのホモロジー領域としてTEを残してDEBS1+2+3全体を正確に欠いている(Rowe et al. (1998) Gene 216, 215−223)。上記形質転換混合物をR2T20プレート上におき、及び24時間回復させ、その後40μg/mlチオストレプトンで覆った。コロニーを約7〜10日間生育させ、胞子形成を許容し、その後胞子を回収し、及び希釈物を40μg/mlチオストレプトンを含むR2T20アガー上におき、及び30℃で7日間生育させた。個々のチオストレプトン耐性コロニーを、それぞれのパッチの間に妥当な空間を残して、大きな(25×25cm)正方形のR2T20アガープレート上に1cm2領域でパッチ化し、及び約5日間生育させ、二次代謝物産生を許容した。この段階で、アガーの小さなプラグをそれぞれのパッチから取り、及びインジケーター生物M. luteusの培養物を注いだ(25×25cm)LBプレート上に等間隔でおいた。JC2のパッチをコントロールとして使用した。上記LBプレートをその後4℃で4時間置き、プラグからLBアガーへの天然産物の拡散を許容し、その後上記プレートを37℃に移し、スクリーニング生物の生育を許容した。個々のプラグを阻害領域の大きさによりスクリーニングした。活性産物の生成から、私たちは、上記ベクター構築が正しかったこと、及び特に最後の段階(BstBI断片)が正しい方向に挿入されたことを確認した。
【0099】
上記スクリーニングにより同定された活性産物の正確な化学的性質を実証するために、S. erythraea NRRL 2338(pLSB136)を5μg/mlチオストレプトンを含む5mlのTSBを接種するために使用した。単離物のうち、私たちは生物活性により判断される最もよい生産者を選択した。3日間の生育の後、0.5mlのこの培養物を25mlのフラスコ内の5μg/mlチオストレプトンを含む10mlのEryP培地を接種するために使用した。上記フラスコを30℃、250rpmで6日間インキュベートした。このとき、1mlの上清をアンモニアで〜pH9に調整し、及び等量の酢酸エチルで抽出した。上記溶媒を蒸発により除去し、及び上記残留物をHPLC/MSにより分析した。顕著なピークは12−デスメチルエリスロマイシンBについての分子マスm/z [M+H]+=704で観察された。
【0100】
実施例17
上記GPS−LSリンカースキャニングシステムはin vitroでトランスポゾンを標的DNA内にランダムな位置で置くことにより15bp挿入物を作出するための道具としてNew England Biolabsにより市販される。上記キットはタンパク質構造を研究するための道具として市販される「埋まっている又は活性部位の一部であるセグメントは一般的に上記挿入に耐性でない一方で、三次元構造の表面に又は連結領域内に位置するタンパク質配列のセグメントはしばしば数アミノ酸の挿入に耐性であり、機能的なままであろう」。私たちは、私たちがこのキットを、DEBS遺伝子内に15bp挿入物を含むエリスロマイシンPKSのランダムライブラリーを作出するために使用しうると考えた。これらの挿入物のうち、あるサブセットはフレーム内であり、及び機能的なPKSをもたらすであろう、及びあるサブセットはPKS全体は機能的なままである一方で、上記ドメインを非機能的にするドメイン中に挿入物を有するであろう。この特許に示される技術を用いて、なおも活性産物を産生する改変されたPKS(すなわち、挿入物を含む)について上記ライブラリーをスクリーニングすることが可能である。本明細書中に示される実施例において、LCMSにより調べられた全ての活性であるが、改変されたPKSは、いくつかは通常よりも非常に低い値であるが、新規エリスロマイシンよりもむしろエリスロマイシンAを産生する。この実験はPKSの挿入に耐える能力を示す。しかしながら、私たちがより多くの数の活性産物を生成することがわかっているPKSをスクリーニングするなら、私たちが新規エリスロマイシンを産生するPKSを発見するであろうことは当業者に明らかであろう。例えば、ケト還元酵素の機能性の(挿入のための)破壊のために変化された酸化状態を有する又はあるいはアシルトランスフェラーゼ特異性の(挿入による)破壊のために変化された側鎖を有するエリスロマイシン。
【0101】
上記トランスポゾンライブラリーは供給されるプロトコールに密接にしたがって作出された。標的DNAはpHP010(実施例1、actプロモーターの制御の下でDEBS1、DEBS2及びDEBS3を含むpCJR24誘導体)であった。約100ngの標的DNAを37℃で20μlの反応(すなわち、2μl GPS緩衝液、30ng pGPS5、1μl TnsABC* トランスポゼース、1μl 開始溶液)内で使用した。1時間後、上記反応を75℃でインキュベートすることにより停止した。上記反応混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10B内に導入し、及びアンピシリン(100μg/ml)及びカナマイシン(20μg/ml)を含むLBアガー上で選択し、及び30℃で一晩生育させた。これらのコロニーの一晩の培養物を5mlのスケールで生育させ、及びDNAをそれぞれから調製し、及びPmeIで消化し、トランスポゾンを除去した。PmeIを65℃で不活性化し、及び上記反応混合物を5倍希釈し、及びDNAライゲースで処理して再び環状にした。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli細胞内に導入し、及びLBプラスアンピシリン上にまいた。耐性コロニーをアンピシリン(100μg/ml)及びカナマイシン(20μg/ml)を含むLB上にすじ状にすることにより、カナマイシンマーカーの欠損についてチェックした。これらのコロニーからのDNA(それぞれ〜2−5μg)を標準の技術を用いてSacch. erythraea NRRL2338 JC2プロトプラストを形質転換するために使用した。上記形質転換混合物をR2T20プレート上にまき、及び24時間回復させ、その後40μg/mlチオストレプトンで覆った。コロニーを約7〜10日間生育させ、胞子形成を許容し、その後胞子を回収し、及び希釈物を40μg/mlチオストレプトンを含むR2T20アガー上にまき、及び30℃で7日間生育させた。個々のチオストレプトン耐性コロニーをR2T20アガー上に1cm2領域でパッチ化し、及び約5日間生育させ、二次代謝物産生を許容した。この段階で、アガーの小さなプラグをそれぞれのパッチから取り、及びインジケーター生物M. luteusの培養物を注いだ(25×25cm)LBプレート上に等間隔でまいた。上記LBプレートをその後4℃で2時間おき、プラグからLBアガーへの天然産物の拡散を許容し、その後上記プレートを37℃に移し、スクリーニング生物の生育を許容した。少量の挿入物は(PKSの妨害として)上記ベクター系内に含まれることができ、これらの多くは非機能的プラスミド/プロモーター/耐性機能をもたらし、及び最終的なライブラリーまで持ちこされないであろうが、このこのことは機能性を維持する(すなわち、生物活性産物を産生する)トランスポゾン挿入物を含むPKSの同定を許容した。上記PKSにより産生された生成物の性質を実証するために、いくつかの生物活性培養物の小さなプラグを酢酸エチル(pH9)を用いて抽出し、及びLCMSにより分析した。それぞれの場合、上記抽出物は(ライブラリーのごく小部分が分析されたのみであるが、新規エリスロマイシンよりむしろ)エリスロマイシンAを含むことが示された。上記PKSが改変されていることを確認するために、JC2を形質転換するために使用されたいくらかのDNAのサンプルをキット中に供給されるプライマーNを用いてシークエンスした。約70%はエリスロマイシンPKSのそれに対応する配列を与えた(例えば、私たちは、トランスポゾンがこれらの領域内に又はその近くに挿入されたことを示す、KS2、AT0、TE及びKR2に対応する配列を得た)。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】図1は、エリスロマイシンAの前駆体である、6−デオキシエリスロノリドBを産生する6−デオキシエリスロノリド合成酵素(DEBS)モヂュラーPKSのはたらきの図式である。
【図2】図2は、6−デオキシエリスロノリドBをエリスロマイシンAに変換する酵素段階を示す。
【0001】
本発明は形質転換細胞の作出、検出及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
過去50年間にわたり、製薬会社は、多くの重要な薬物の豊かな源として細菌、真菌、無脊椎動物及び植物により産生された天然産物のスクリーニングを使用してきた。これらの生物により産生された多くの化学物質は生物学的に活性であり、及び比較的高い割合がさらなる臨床試験制度を好結果で完了し及び商業的に売られている。実際、ワクチン及びモノクローナル抗体の如き生物製剤を無視した場合、認可された及び前NDA候補薬物の60%超が、天然産物である又はそれらに関連する。これらは、ヒトの健康用途においては;エリスロマイシン、テトラサイクリン、ペニシリン、プリスチナマイシン及びストレプトマイシンの如き抗菌剤、アムフォテリシン及びニスタチンの如き抗真菌剤、FK506、シクロスポリン及びラパマイシンの如き免疫抑制剤、タキソール、及びドキソルビシンの如き抗癌剤、ラミヴヂンの如き抗ウイルス剤及びロヴァスタチン及びプラヴィスタチンの如き抗コレステロール剤;農業用途においては;スピノシンの如き殺虫剤、アヴェルメクチンの如き抗寄生虫剤、バイアラフォスの如き除草剤及びモネンシン及びタイロシンの如き抗球虫成長促進剤を含む。企業は、新規生物学的活性のためにそれらの培養所蔵物及び天然産物ライブラリーをスクリーニングし続けているが、特に抗感染性の発見においては収穫逓減の感がある(Biotechnology of Antibiotics (1997), Ed. W. R Strohl)。活性を示す多くの新規化合物は広く同様の化学構造を有し、及び顕著に異なる活性スペクトルなしに現存の天然産物のクラスに属する(Bindseil K.U. et al. (2001) DDT, 6, 840)。より多くの天然産物又は天然分子に基づいた生成物を発見する必要があり、これは新規生物活性物質の発見を導くであろう(Abel, U. et al. (2002)Curr. Opin. Chem Biol, 6, 453−458)。
【0003】
最近の抗生剤支配に耐性な細菌株の出現は試験のためのより広い範囲の化合物を作出する必要性を増大させた。病原性細菌がこの耐性を獲得するスピードは商業的代替物の発展及び試験を大いにしのいでいる。同時に、薬物−タンパク質標的及び細胞プロセスについての私たちの理解における進歩は、製薬会社が自由に使える(多くの異なる生物活性にわたる)スクリーニングの数及び方法における指数関数的な増大をもたらした。典型的なスクリーニングプログラムはタンパク質標的又は全細胞分析若しくは全生物分析を含むであろう。薬物発見スクリーニングプログラムに加えて、同様の技術は農薬又はタンパク質を含むいくつかの他の商業的に有用な製品についても発展されてきた。ほとんどのこのスクリーニング研究はコンビナトリアルケミストリープログラムにおける調査により行われており、その多くは短期間に大量の化合物を作出する。しかしながら、今のところ、これらの化合物のほとんどは市場性の高い存在をもたらしていない。
【0004】
伝統的なアプローチでは上記変化に遅れをとらないために天然産物の多様性を作出することは難しくなっている;コンビナトリアルケミストリープログラムは多数の化合物を作出しているが;天然産物発見グループはハイスループットスクリーニング装置を養うために必要とされる数を供給できていない。より大きな割合の天然産物候補物質が生物学的活性を示すであろうことがいつも認識されている一方で、科学者はコンビナトリアル化学者と同じようには数を作出することができていない。これらの企業により開発された勢力的な医薬スクリーニング系を利用するために天然産物ライブラリーにおいてより多くの化合物を作出する方法を開発する必要がある。さらに、天然産物はコンビナトリアルケミストリーを行うための鋳型に相当しうるので、それらは現存するコンビナトリアルケミストリープログラムにさらなる多様性の度合いを加えうる。
【0005】
天然産物多様性の作出のための1のアプローチは地理学的及び生物学的なより広い範囲の源を研究することであった。例えば、植物により産生される天然産物の総数は500,000超であると見積もられ、その一部のみしか単離されていない。細菌及び無脊椎動物の両方である、海洋生物からの化合物もあまり提示されていない。しかしながら、これらの系から化合物生成についての条件を見つけることは困難であり、及び代替のアプローチが並行して必要とされる。現存の生物からより大きな範囲の物質の産生を誘発する媒体条件を操作することは、より多くの化合物数を作出するために使用されるもう一つの技術である。
【0006】
これらの生物がなぜ研究室で培養されえないのかを決定する分子的相違は、異なるクラスの化合物を産生する可能性をも示しうるということを信じると、もう一つの鍵となる焦点は「培養不可能な」又は(海洋を含む)「環境の」生物の研究に基づいている。これらの化合物はより慣用の背景からのものとは異なる範囲の生物学的活性を示しうる。典型的に、上記プロセスはDNAの大きな区画を抽出すること又は土壌若しくは他の環境又は異常なサンプルから抽出したDNAの一部を増幅すること、及び培養されうる宿主内でそれらを発現させることを含む。これらの技術はいくつかの場合、元の生物の化合物生成を制御する制御カスケードを克服した。
【0007】
しかしながら、生化学及び分子生物学における進歩、及び特に、天然産物産生を引き起こすin vivo生合成プロセスについての私たちの理解における進歩は、いくつかの新規薬物発見アプローチを導いてきた。二次代謝物生合成酵素の産生を担う遺伝子のクローニング及びシークエンシング、及び多くの場合これらの酵素は共にクラスターを形成するという発見は、新規構造を作出するために経路を操作する私たちの能力に広く影響し、及びしたがって、構造及び機能における多様性を増大させた。この仕事のほとんどはポリケタイド又は非リボソームペプチドの生合成に集中されてきた;これは部分的に、それらの広い範囲の生物学的活性とは別に、利害関係をもつ集団に強い収入の流れを提供し続ける、これらの化合物への商業的な興味を反映する。しかしながら、これらの特定の分野における研究者により開発された原理及び方法論は、原核細胞若しくは真核細胞微生物又はより高等な生物からの他の天然産物生合成系に同様に適用可能であることは明白である。
【0008】
新規構造アナログ又は天然産物の多様性をもたらす、及びそのようにして作出された分子の多様性を製薬会社のスクリーニングプログラム及びハイスループット装置により利用されうる容易にスクリーニングできるフォーマットに移行しうる遺伝学的な理解及び方法論を利用しうる技術を開発する明白な必要性がある。私たちはポリケタイドの操作及びスクリーニングを本発明の背景にある原理の例示として使用するが、上記技術をこれらの系に限定することは意図されない。開示された方法論はいかなる種からのいかなる生合成経路にも適用可能である。
【0009】
ポリケタイドはエリスロマイシン、テトラサイクリン、ラパマイシン、アヴェルメクチン、モネンシン、エポチロン及びFK506の如き、抗生性または他の薬理学的特性を有する多くの化合物を含む天然産物の大きな及び構造的に多様なクラスである。特に、ポリケタイドはStreptomyces及び関連する放線菌の如き土壌生物により豊富に産生される。それらは脂肪酸生合成のそれと類似の様式でアシルチオエステルの繰り返される段階的な縮合により合成される。天然ポリケタイドの間で見られる構造的多様性は、それぞれの縮合の後に形成されるβ−ケト基のプロセッシングの異なる程度からはもちろん、一部は「スターター」又は「エクステンダー」単位としての(通常)酢酸(マロニル−CoA)又はプロピオン酸(メチルマロニル−CoA)の選択から生ずる(他の型の単位の変形の1が場合により選択されうるが)。プロセッシング段階の例はβ−ヒドロキシアシル−への還元、還元後2−エノイル−への脱水、及び飽和アシル−チオエステルへの完全な還元を含む。これらのプロセッシング段階の立体化学的結果は鎖伸長のそれぞれのサイクルについても特定される。α−炭素での又は酸素置換基でのメチル化もときどき観察される。
【0010】
ポリケタイドの生合成はポリケタイド合成酵素として知られる一群の鎖形成酵素により行われる。上記用語「ポリケタイド合成酵素」(PKS)は、本明細書中で使用されるとき、ポリケタイドの生合成を担う酵素活性の複合体をいう。これらの酵素活性はβ−ケトアシルACP合成酵素(KS)、アシルトランスフェラーゼ(AT)、アシル担体タンパク質(ACP)、β−ケト還元酵素(KR)、脱水酵素(DH)、エノイル還元酵素(ER)及びチオエステラーゼ(TE)を含むが、これらの活性に限定されない。ポリケタイド合成酵素(PKS)の2の広範なクラスは放線菌において示されている。マクロライドエリスロマイシン、オレアンドマイシン、アヴェルメクチン、及びラパマイシンのためのPKSsにより及びポリエーテルモネンシンのためのPKSにより代表される、I型PKSsと呼ばれる1のクラスは、ポリケタイド鎖伸長のそれぞれのサイクルのための酵素の異なるセット又は「モヂュール」から成るマルチドメインタンパク質である。例えば、図1を参照のこと(Cortes, J. et al. Nature(1990)348:176−178;Donadio, S. et al. Science (1991) 2523:675−679; Swan, D.G. et al. Mol. Gen. Genet. (1994) 242:358−362; MacNeil, D. J. et al. Gene (1992) 115:119−125; Schwecke, T. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1995) 92:7839−7843;また、特許出願 WO 98/01546)。多数のI型PKSsをコードする遺伝子はシークエンスされ、及びこれらの配列はGenbank、Swissprot及びEMBLを含む、公に入手可能なDNA及びタンパク質配列データベース中に開示される。例えば、配列は、数ある中で、それぞれ、エリスロマイシン(Cortes, J. et al. Nature (1990) 348:176−178;アクセス番号 X62569、Donadio, S. et al. Science (1991) 252:675−679;アクセス番号 M63677又はUS 5824513);ラパマイシン(Schwecke, T. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. (1995) 92:7839−7843;アクセス番号 X86780);リファマイシン(August, P. et al. Chem. Biol. (1998) 5:69−79;アクセス番号 AF040570)及びタイロシン(Eli Lilly, アクセス番号 U78289)の合成を支配するPKSsについて入手可能である。
【0011】
II型PKSsと呼ばれる第二のクラスのPKSは芳香族化合物のための合成酵素により代表される。II型PKSsは鎖伸長のための単一のセットの酵素活性のみを含み、及びこれらは連続するサイクルにおいて適切に再使用される(Bibb, M. J. et al. EMBO J. (1989)8:2727−2736;Sherman, D. H. et al. EMBO J. (1989)8:2717−2725;Fernandez−Moreno, M. A. et al. J. Biol. Chem. (1992) 267:19278−19290)。II型PKSsについての「エクステンダー」単位は通常酢酸(マロニル−CoA)単位であり、及び特定のサイクレースの存在は完了した鎖が環状化して芳香族生成物になるための好ましい経路を決定する(Hutchinson, C. R. 及び Fujii, I. Annu. Rev. Microbiol, (1995) 49:201−238)。場合により、特にオキシテトラサイクリン、フレノリシン及びダウノルビシンの生合成において、異常なスターター単位がII型PKSにより導入され、及びこれらの場合、別々のATがスターター単位を上記PKSに移すために使用される。ハイブリッドポリケタイドは、クローニングされたII型PKS遺伝子を含むDNAを異なるII型PKS遺伝子クラスターを含む他の鎖へ組み込むことにより、例えば、Streptomyces coelicolorからの青色−色素ポリケタイドである、アクチノロヂンについての遺伝子クラスターに由来するDNAをStreptomyces galileusのアントラキノンポリケタイド−産生鎖に導入することにより得られている(Bartel, P. L. et al. J. Bacteriol. (1990) 172:4816−4826)。
【0012】
他の型のポリケタイド合成酵素は存在するが、あまりよく研究されていない、しかし、多くの同様の生合成機構原理が適用するように見え、及びそれらは同様に遺伝子操作に影響を受けやすいようである。これらは、酵母の6−メチルサリチル酸合成酵素又はこれらの分子のポリケタイド部分の合成に必要とされる活性のほとんどを含む単一のマルチ−ドメインポリペプチドから成るAspergillus terreusのロヴァスタチンPKSの如き、真菌のPKSを含む(Hutchinson C. R. and Fujii I. Annu. Rev. Microbiol. (1995) 49:201−238)。II型真菌PKSも知られる。細菌を含む、他の生物のうち植物において多くのポリケタイドの生合成を担う、III型ポリケタイド合成酵素又はカルコン合成酵素も知られる。最近、ポリケタイド及び脂肪酸生合成の間の類似は、微生物及び真核生物において不飽和脂肪酸生合成を担うPKS様脂肪酸合成酵素の発見でさらに強められた(Metz J. G. et al(2001) Science, 293, 290−293)。Liu, W. et al. (2002) Science, 297, 1170、Alhert J. et al. (2002) Science 297, 1173及びKwon, H.−J. et al. Science 297, 1327を含めて、さらなる型のPKSが示されている。
【0013】
グラミシヂン、プリスチナマイシン及びバチトラシンの如きペプチド抗生物質、及び免疫抑制シクロスポリンの多様な配列を産生する非リボソームペプチド合成酵素(NRPS)はI型ポリケタイド合成酵素と概念的に同様である。それらはチオ鋳型機構をとおした共通のモードの生合成を共有する大きなマルチドメインタンパク質を含む。I型PKSについては、それらはモヂュールで配置され、それぞれのモヂュールは上記ペプチドの1のアミノ酸の活性化、縮合及びプロセッシング(例えば、エピ異性化)を担う。それぞれのモヂュールは最終ペプチド生成物についてのアミノ酸配列に対応する。数ある中で、I型PKSsのものについて使用されるのと同様の様式でのNRPSの遺伝子工学によるモヂュールの操作は、産生される最終的なペプチドの改変をもたらした(Marahiel M., et al. (1997) Chem. Rev. 97, 2651−2673, Mootz, H. D. et al. (2000) PNAS, 97, 5848−5853)。NRPSは広い範囲の原核生物及び真核生物において見られる。混合されたNRPS−PKS系(すなわち、ポリケタイド及び非リボソームペプチドの成分を含むもの)はエポチロン、ブレオマイシン及び典型遺伝子クラスターラパマイシンの1を含んで存在する。
【0014】
他の生合成系は、数ある中で、アルカロイド、テルペン、アミノグリコシド、シキミ酸誘導体、ポリサッカライド、フラボン及び他のフラボノイド、インドール及びピロールの如き窒素を含む化合物、ステロイド及び他のホルモン、アントラキノン、リグナン、クマリン、スチルベン、デプシペプチド並びにペプチド及びタンパク質を含む。これらの及び他の天然産物生合成系は同様に本明細書中に示される技術の使用に影響を受けやすい。
【0015】
多数の治療的に重要なポリケタイドが同定されているが、高められた特性を有する又は完全に新規な生物活性を有する新規ポリケタイドを得る必要性が残っている。I型PKSsにより産生される複合体ポリケタイドは、それらが駆虫薬、殺虫剤、免疫抑制剤、抗真菌又は抗菌剤のような既知の利用性を有する化合物を含む点で、特に価値がある。それらの構造的な複雑さのために、上記新規ポリケタイドは全部化学合成により又は既知のポリケタイドの化学的改変により容易に入手することはできない。所望される特定の変化は、組み込まれたスターター/エクステンダー単位の性質を変化させることによる炭素骨格についての変化、鎖伸長の後に起こる一連の還元段階を変化させることによるβ−ケト炭素の酸化レベルについての変化及びそれゆえ酸素置換基のパターン及び又は立体化学の変化、及び一般的に、例えば、ポリケタイド分子の水酸化、メチル化又はグリコシル化を含むPKS後「改変」段階についての変化である。
【0016】
元の天然産物の新規構造アナログを作出するためにI型PKSを操作するいくつかの方法が示されている。上記合成酵素により形成されるポリケタイド鎖の長さは、エリスロマイシン生合成の場合には、鎖放出チオエステラーゼ/サイクレース活性を含むエリスロマイシン産生PKSの酵素ドメインの遺伝子工学を用いた特定の再配置により変えられている(Cortes, J. et al. Science (1995) 268:1487−1489; Kao, C.M. et al. J. Am. Chem. Soc. (1995) 117:9105−9106)。
【0017】
(6−デオキシエリスロノリド B合成酵素、DEBSとしても知られる)エリスロマイシ産生PKSのモヂュール5におけるケト還元酵素ドメインの部分をコードするDNAのフレーム内欠失は、エリスロマイシンアナログ5,6−ヂデオキシ−3−オマイカロシル−5−オキソエリスロノリドB及び5,6−ヂデオキシ−5−オキソエリスロノリドBの形成を引き起こすことが示されている(Donadio, S. et al. Science (1991) 252:675−679)。同様に、対応するPKSをコードするDNAの遺伝子工学による、DEBSにおけるモヂュール4のエノイル還元酵素ドメインにおける活性部位残基の変換及びそのSaccharopolyspora erythraeaへの導入は6,7−アンヒドロエリスロマイシンCの産生を引き起こす(Donadio, S. et al. Proc Natl. Acad. Sci. USA (1993) 90:7119−7123)。新規ポリケタイド構造を与えるポリケタイド合成酵素の工学の多くの他の例は公に入手可能な文献において示される。
【0018】
特許公開WO 98/01546及び米国特許第5824513号はI型PKS酵素を操作するさらなる方法を示す。特許公開WO/00/01827はPKSを操作し、β−炭素の酸化状態を変化させるさらなる方法を示す。エリスロマイシン産生PKSのモヂュール2の還元ドメインをラパマイシンPKSモヂュール10及び13由来のドメインで置換することはそれぞれ、C10−C11オレフィン−エリスロマイシンA及びC10−C11ヂヒドロエリスロマイシンAの形成を引き起こす。米国特許第6200813号はポリケタイド骨格を操作する方法を示す。特許公開WO 00/00500は特定のスターター単位でマクロライドを作出する新規方法を示す。特許公開WO 02/14482は上記ATドメインの基質特異性を変換する方法を示す。数ある中で、米国特許第5998194号、及びGaisser S. et al. (2000) Mol. Microbiol, 36, 391−401は完了したポリケタイド鎖をプロセスするさまざまな酵素の操作方法を開示する。生化学経路の同様の操作は非リボソームペプチド合成酵素系について示されている。
【0019】
PKSの組換え作出及び続くポリケタイドの産生が示されている;多くの例が異種の又は天然の系において入手可能である。初期研究においては、エリスロマイシンPKSのDEBSタンパク質のそれぞれはE. coliにおいて発現されたが、この場合、ACPは不活性であったようだ(Roberts G. A. et al. Eur J. Biochem, 214, 305−311)。関連する方法が、上記ACPを活性化するためのホロ−ACP合成酵素を伴う、全ての3のDEBSタンパク質の共発現、及び追加的に細胞を単純な前駆分子を提供するよう操作することにより、操作されたE. coli細胞においてエリスロマイシンアグリコン6DEBを作出するために、最近使用されている(Pfiefer, B.A. et al. (2001) Science 291, 1790−1792)。米国特許第6033883号は細菌及び酵母における産生方法を示す。Kennedy et al. (1999)(Science, 284, 1368−72)はロヴァスタチンPKSの異種の産生及びAspergillus nidulansにおける生合成中間体の産生を示す。
【0020】
指定突然変異及びクローニングされたPKS遺伝子の発現を許容する宿主ベクター系が開発されている(McDaniel et al. 1993, Science 262:1546−1550;Kao et al 1994 Science 265:509−512)。このベクター系はactI/actII−orf4プロモーター系の使用に頼り、及びS. coelicolorにおいて使用される。このベクター系はポリケタイド、特にII型ポリケタイドのより効率のよい作出方法を開発するために使用されている(米国特許第5672491号,特許公開WO95/08548, 米国特許第5712146号、米国特許第5830750号、米国特許第5843718号、米国特許第5962290号、米国特許第6022731号、米国特許第6077696号)。この系はI型ポリケタイド産生のために使用されている、しかしながら、それは(通常不活性な)ポリケタイド骨格の産生にのみ関与している。
【0021】
actI/actII−orf4プロモーターは、WO98/01546及びRowe et al.(1998) Gene, 216, 215−223中に示されるように、Saccharopolyspora erythraeaにおいて異種でも使用されている。
【0022】
特許公開WO 98/49315、PCT/US98/08792及びWO 00/63361及びXue, Q. et al. (1999) PNAS, 96, 11740−11745は、ポリケタイド合成酵素遺伝子を操作してポリケタイドのコンビナトリアルライブラリーを作出する新規方法を示し、これもまた単に不活性なポリケタイド骨格の作出に関連する。これらの発現方法論の特定の欠点は、ほとんどの場合、単離されたPKS産物は生物学的に活性な種を作出するためにさらに形質転換されなければならないことである。
【0023】
遺伝的に形質転換された生物の作出及びスクリーニングについてのいくつかの方法が開示されている。特許公開WO99/67374及びSosio, M. F. et al. (2000) Nat. Biotech. 18, 343−345は天然宿主から代替の生物への、天然産物の産生を担う全遺伝子クラスターの移行と特に関連する。これは、二次代謝物を産生する能力を元の産生者から所望の特性、例えば、形質転換又は培養の容易さを有する他の産生宿主に移すことによる、天然産物の作出及び操作方法を開示する。上記発明は、便利な中性のクローニング宿主と産生宿主との間で往復しうるBacterial Artificial Chromosomes (BACs)(BSACsと呼ばれる、E. coli−Streptomyces Artificial Chromosomes)の使用に特に関連する。これらのベクターはDNAの大きな(例えば、生合成クラスター全部の)断片を含む能力を有する。高分子量ゲノムDNAのライブラリーがこれらの染色体において産生され、及びE. coli及び天然産物の合成を方向付けるクローンについて選択するStreptomyces産生宿主の間で往復される。あるいは、天然産物の合成を方向付けるDNAの大きなセグメントは人工染色体を利用してドナー生物のゲノムから再構築される。米国特許第5824485号、同第5783431号、及び同第6242211号(Chromaxome)は分子多様性を作出する及びスクリーニングするための薬物発見系を示す。上記特許は遺伝子発現ライブラリーを作出する及び操作する方法を示す。それらは薬物リード、特に天然では実質的な量で回収されえない又は研究室で培養されえない(「培養不可能な」)ものの、予想される源である生物の遺伝子材料の主にランダムな部分の捕獲及び分析に主に関連する。例えば、ランダムな連鎖又は再結合による、これらのライブラリーにおける多様性をバイアスさせる又は作出する方法も開示される。米国特許第5958672号、同第5939250号、同第6057103号、同第6030779号、及び同第6174673号はライブラリー構築、DNA、またここでも主に培養不可能な生物に由来するゲノムDNAのスクリーニング及び操作についての同様の技術を開示する。米国特許第5837470号、同第5773221号、及び同第5908765号は環境サンプルを用いて作出された組換え生物からの生物学的分子の回収方法を示す。Seow et al. (1997) J. Bact. 179, 7360−8は土壌DNAからのランダムPKS遺伝子のクローニング及び発現方法を議論する。
【0024】
これらの方法は「超宿主」法と呼ばれうるものに頼っており、そこでは生合成クラスター全部が産生のための代替の、ときには(例えば、代替のクラスターの除去により)遺伝的に「きれいにされた」株に移される。上記株の使用は培養不可能な生物からの全経路の発現を多いに助ける又は競合する化合物の産生を減少させる。上記宿主細胞は単に導入された遺伝子材料が機能しうる「バッグ」として使用され、上記細胞は主要な代謝経路から共因子又は単純な前駆分子を提供しうるが、上記活性分子の生合成にはあまり参加しない。
【0025】
宿主細胞へのDNAのランダムクローニングを利用した、開示された技術は欠点を有する。天然産物クラスターの大きさはしばしば最近のクローニング/発現ベクターの天然の限界を超え、そのため、系の開発は、より大量のDNAを有しうる細菌の人工染色体を利用する。しかしながら、例えば、独特の制限酵素部位がまれであるために、それらの全体の大きなサイズが上記経路の容易な遺伝子操作を阻害するので、上記分野において開発された技術を利用した多くの所望の生合成経路操作は上記ベクターにおいて可能ではない。さらに、いくつかの生合成経路は宿主細胞におけるゲノムDNAの単一の断片からの完全にクラスター化された除外再構成ではない。それゆえ、活性生成物を作出するが単一のベクター上の全生合成経路の挿入に頼らない薬物発見又はスクリーニング方法はかなりの利点がある。
【発明の開示】
【0026】
発明の要約
本発明は、生合成経路からの遺伝情報を利用した、新規でありうる生物活性物質の調製及び検出方法に関する。
【0027】
(それが生物活性物質を発現するために)所望の生物活性を有する細胞を作出するために、所望の生物活性を有しない(又は少なくとも、実質的な程度で有しない)が、少なくとも1の所望の生物活性の作出に寄与しうる第一の活性を有する細胞が選択される又は調製される。この第一の活性は上記細胞が所有する核酸の発現から生じうる。上記第一の活性は、例えば、グリコシル化活性でありうる。少なくとも1の第二の活性をコードする遺伝子材料は上記細胞を形質転換するために使用され、それによりそれが上記第二の活性を獲得する。上記第二の活性は直接的に又は間接的に上記第一の活性の基質である材料の産生を引き起こし、(直接的に又は間接的に)前記生物活性物質をもたらしうる。細胞は生物活性について直接的にスクリーニングされうる。上記宿主細胞は標的生物活性を全く有しないことが好ましいが、形質転換の効果(すなわち、上記第二の活性の導入)が明らかに区別可能である場合は低いバックグラウンド値は許容可能でありうる。
【0028】
上記第二の活性は生物活性物質又はその前駆体の構成部分(例えば、ペプチド又はタンパク質成分)である種の産生を直接的に引き起こしうる。あるいは、それは1以上の(例えば、ポリケタイド合成酵素又はその部分である)酵素活性を有する種の産生を引き起こすことができ、その酵素活性は構成部分又は前駆体の産生に関連する。もちろん、既に上記細胞が所有する活性及び導入された活性の役割は逆にされうる。
【0029】
典型的に、1以上の天然に産生される物質の生合成を担うタンパク質をコードするいくつかの(又は全ての)遺伝子は単一のベクター上におかれる。その後上記経路を遺伝子操作する及びそれを又は操作された誘導体を他の系に移すことが可能である。導入された遺伝子材料と共にはたらきうる生合成経路酵素をコードする遺伝子を有する相補的な宿主への移行は生物学的に活性な物質の産生を引き起こす。そうでなければ上記生物学的活性を有する物質を産生しない相補的な宿主細胞の使用は、形質転換された細胞が直接的にこの生物学的に活性な物質の産生についてスクリーニングされることを許容する。この方法論は新規化学種を作出するための多くの型の天然産物の生合成又は他の生合成経路の操作、分析及びスクリーニング、及び特にさまざまな分子生物学的方法により生合成クラスターに導入されうる多様性のスクリーニングのために適用可能である。上記多様性を生合成経路に導入する新規方法も提供される。
【0030】
天然産物の新規構造アナログをもたらす及び上記方法により作出される分子的多様性をさまざまなバイオテクノロジー又は製薬会社により開発されているスクリーニングプログラム及びハイスループット装置を利用しうる容易にスクリーニングできるフォーマットに移行しうる、遺伝的理解及び方法論を利用しうる技術を開発する必要性がある。実際に、これは顕著なさらなる操作なしに、直接的に遺伝子操作された細胞からの生物学的に活性な化合物の作出及び分析を意味する。これは生合成経路を遺伝子操作すること、操作された経路を導入された経路酵素と一斉にはたらく細胞に導入すること、及び新規生物活性について形質転換された細胞を直接的にスクリーニングすることにより容易に達成されうる。
【0031】
天然産物生合成の領域においては、特に遺伝学的又は分子生物学的技術を用いて新規分子を作出する方法が開発されている領域、及び特に非リボソームペプチド及びポリケタイドの生合成においては、新規生物活性を作出する及びスクリーニングするための新規方法を開発するこの必要性は急激である。この場合、全ての又は大きな断片のハイブリッドPKS遺伝子が生存可能であり、及び所望の完全にプロセスされた及びそれゆえさらなる形質転換の必要性なしに形質転換された細胞において直接的にスクリーニング可能な活性産物を産生するように、実際に個々のモヂュールを展開させる信頼できる及び特定の方法を開発する必要性がある。特に背景の分野において示されるような組換えDNA技術及びde novo生合成を利用した、これらのハイブリッドPKSsを作出するためのさまざまな及び多くの策が示されている。しかし、通常、これらの技術を用いて作出される化合物は伝統的な発酵及び化学的/可視的分析を用いて分析されている;化合物の活性を評価する生物学的分析は上記プロセスのもっと後に行われる。したがって、本発明はこれらの技術における新規改良及び特に実用可能な様式で上記分野においてこれらの大きな進歩を利用する方法を示す。(ランダムに又はそうではなく)操作されたPKS又は他の生合成経路を含む何百、何千もの株を含む全ライブラリーを発酵させる及び化学的にスクリーニングすることは実行可能ではない。活性産物の直接的な産生について設計された系は、真正のコンビナトリアル様式で作出された経路が容易な及び速い様式で分析されることを可能にする。活性種にするためのさらなる生物形質転換の段階を必要としないで、操作された生成物の直接的なスクリーニングを許容する方法を開発する必要性が特にある。多くのポリケタイドは、例えば、プロセッシング酵素により改変されるまでは生物学的に活性ではない。ポリケタイド生合成機構の理解又は「コンビナトリアル生合成」と呼ばれているものをとおした新規ポリケタイド構造の開発における多くの発展は、さらなる精製及び生物形質転換を伴わない活性についてのそれらのスクリーニングを効果的に除外する、不活性なマクロライド核のみを利用して又はあるいは形質転換体を発酵させること及びバイオアッセイ及びLCMS分析のための粗い抽出物を作出することにより行われてきた(Tang L. and McDaniel R. (2001) 97, 1−9)ということに特に注目すべきである。これらの方法との特別な相違は、本発明がPKS産物の直接的なin vivo改変を許容し、活性化合物を与え、したがって細胞の直接的なスクリーニングを許容する点である。スクリーニングの容易さは使用可能なコンビナトリアルライブラリーの死活に関わる特性である。それらが産生後に生物活性を与えるために生物形質転換されなければならない場合、可能ではあるが、株ライブラリーからの大量の化合物をスクリーニングすることはあまり実行可能ではない。直接的な活性スクリーニングは既に開発されているハイスループット法を利用して、新規に作出された株が標準のフォーマットで分析されることを許容する。生物学的スクリーニングは伝統的な化学分析法より敏感でありうる。
【0032】
さらに、上記アプローチの他の利点がある。例えば、遺伝子置換は困難である及び時間を費やすものである又はありうるので、どの所望の変化のためにも遺伝子置換を必要としない様式でPKS/ハイブリッドPKSsを作出する及び発現する方法を開発する必要性が特にある。活性についての直接的なスクリーニング形質転換体は、上記形質転換体を選択するために使用されるマーカーに加えて、さらに遺伝子構築物を実証する方法を提供する。それは変異を蓄積した又は組換え若しくは欠失を経験した遺伝子構築物、PKS又はNRPS遺伝子クラスターにおいて遭遇されるような高い反復性のDNAを用いるときの特別な問題の速い検出を許容する。直接的に形質転換体をスクリーニングすることは、生物活性産物を単離するための発酵の前に、よりよく産生する細胞又はコロニーがより不十分な生産者からスクリーニングされることを許容する利点を有する。形質転換の多くの方法(特に、プロトプラスティング)は追加の遺伝子破壊及びその結果としての生成物収率における減少又は実際に増大を引き起こしうるということが一般的に認識されているので、これは、例えば、放線菌の分野において特に有用性がある。したがって、多くの操作された形質転換体からの産生値についての速い生物学的スクリーニングを許容する方法は、問題のある株をスクリーニングアウトするのを助けうるので、大きな有用性がある。
【0033】
本発明は、DNAの全部又は大部分が相補的な宿主−ベクター対系の使用によるスクリーニングのために代替の、しばしば遺伝的にきれいにされた株に移される点で、「超宿主」型技術とは異なる。私たちの系では、上記ベクターは一般的に上記経路又は操作された誘導体の一部を含み、及び上記株はスクリーニングされうる生物活性化合物を産生する生合成経路の化学生成物を活性化することができるよう特異的に選ばれる。さらに、本発明の特に好ましい態様においては、導入されたDNAの性質についてのより高いレベルの情報が知られているであろうということが予見される、すなわち、単にランダムなゲノムDNA又はバイアスされたゲノムライブラリーでなく。例えば、多くの場合、上記導入された経路の遺伝子材料は、それが宿主細胞中で活性であるために選択される特異的なプロモーターの後ろに設計されているであろう。それは指定された様式で、例えば、ドメインの置換又は部位特異的突然変異により又はランダムな様式で、例えば、エラーしやすいPCR、トランスポゾン等を用いたランダム突然変異の導入により、しかしこれらの技術に限定されないで、いくつかの方法で操作されたものでありうる。多くの場合、上記DNA配列の多くは既知であるようである。さらに、導入された材料が宿主細胞中に含まれる生合成酵素と一斉にはたらくことの必要性は、導入されたDNAのもっともらしい機能についてのより大きなレベルの知識を意味する。また、本発明の必須事項ではないが、いくつかの態様において上記DNAは染色体統合により導入される。転写産物又は下流の極性効果との問題を避けるために、シングルクロスによりDNAを導入するときは、実験設計においてかなりの注意が払われなければならないことは当業者に周知である。挿入するDNA上にホモロジー領域を提供する必要性もある。逆に、本発明においては、宿主細胞は活性化合物の産生において役割を果たすよう特異的に選ばれる;「超宿主」技術を利用して研究者により最近使用されているよりも、非常に広い範囲の宿主細胞が利用されるであろうということが予見される。本発明に必要なことは、宿主細胞が少なくとも1の酵素活性をスクリーニングされる生物活性に寄与させることである。この必要性は、クローニングベクターの大きさの限界又は生合成経路が2の遺伝子座にわたって分かれている状況を克服することを助けるのみでなく、操作された経路がそれぞれ異なる調節酵素(単数)又は酵素(複数)を有するある範囲の細胞に導入されうることが意図されるので、本発明を用いた多様性についての可能性を多いに増大させる。それゆえ、生合成経路の一部を含む多様なライブラリーは上記ライブラリーをある範囲の細胞に移すことによりさらに多様性を与えられることができ、その細胞のそれぞれのセットは活性について直接的にスクリーニングされうる。
【0034】
したがって、第一の局面において、本発明は核酸を細胞に移し、及び直接的に生物活性についてその細胞をスクリーニングすることにより、生物学的に活性な生成物を作出する方法:
a)標的生物活性を欠くが、その活性を示すであろう分子の生合成に寄与するであろういくつかの酵素活性を有する宿主細胞の選択又は創出
b)この細胞への、生合成経路の一部をコードするDNAの導入
c)上記細胞の生育及び標的生物活性についてのスクリーニング
d)場合により、例えば、化学分析のための、生産的な又は問題の細胞からの標的生物活性の単離
を含む方法を提供する。
【0035】
さらなる局面において、本発明は生物活性についてスクリーニングされうる核酸で形質転換された宿主細胞を提供し、ここで、移された核酸上にコードされる生合成経路構成成分は生物活性を有する化学構造の1部分を産生する、及び上記宿主細胞内にコードされる生合成経路構成成分は上記化学構造の代替の部分を産生する。宿主細胞は生物活性分子の生合成に寄与する特定の酵素活性の存在について選択される。好ましい宿主細胞はユーバクテリア及び古細菌の如き原核細胞微生物、真菌、藻類及び原生動物の如き下等な真核細胞微生物、及び植物及び動物の如き高等な真核生物を含む。宿主細胞は単細胞の又は多細胞の生物に由来しうる。in vivoで培養され又は遺伝子操作された細胞を含むどんな細胞型も使用されうるが、ただし、上記細胞は所望の生物活性の生合成に寄与する酵素活性を有しなければならない、及び標的生物活性を欠いていなければならない。特に好ましい細胞は原核生物又は真菌細胞又は哺乳類細胞である。好ましい宿主細胞は原核生物、より好ましくはPseudomonas、myxobacteria、E. coli.の如き宿主細胞株である。さらにより好ましくは、上記宿主細胞は放線菌、さらにより好ましくはSaccharopolyspora erythraea、Streptomyces coelicolor、Streptomyces avermitilis、Streptomyces griseofuscus、Streptomyces cinnamonensis、Streptomyces fradiae、Streptomyces eurythermus、Streptomyces longisporoflavus、Streptomyces hygroscopicus、Saccharopolyspora spinosa、Micromonospora griseorubida、Streptomyces lasaliensis、Streptomyces venezuelae、Streptomyces antibioticus、Streptomyces lividans、Streptomyces rimosus、Streptomyces albus、Streptomyces rochei、Actinoplanes Sp.、Amycolatopsis mediterranei、Nocardia Sp.及びStreptomyces t sukubaensisの如き株である。好ましい宿主細胞の代替のシリーズは真核生物であり、特に好ましい宿主は哺乳類、植物、酵母又は真菌細胞である。さらにより特に好ましい真核宿主細胞は真菌株、より好ましくはA. terreus及びA. nidulansの如き株である。
【0036】
宿主細胞が有する酵素活性を考慮すると、典型的にマロニル−CoA又はアミノ酸の如き前駆分子、主要な又は中心的な代謝の酵素により典型的に作出される成分の産生を引き起こす酵素活性を含むことは意図されない。私たちは、典型的に二次代謝経路に寄与する活性、例えば、グリコシル化、酸化、デオキシ糖生合成等、しばしば、しかし必然的ではなく、その経路の他の成分とクラスター化される活性に関与する。これはポリケタイドの異常なスターター単位生合成又は異常なエクステンダー単位の活性(すなわち、メトキシマロニルCoA合成)を含むであろう。
【0037】
さらに宿主細胞選択プロセスは、さらに上記宿主細胞内の遺伝子を欠失する若しくは不活性化する又は追加する若しくは操作する任意の段階を含む。これらの遺伝子はいくつかの生物活性の産生に関与し又は所望の生物活性のプロセッシングに関与しうる。
【0038】
さらなる局面において、本発明は生物活性を産生するプロセスを提供し、そのプロセスは上記に定義されるプロセスにより同定された形質転換された宿主細胞を培養すること及びそのようにして産生された生成物を単離することを含む。好ましい生物活性は生物学的にスクリーニングされうる活性である。特に好ましい生物活性は、数ある中で、抗細菌、抗真菌、抗癌、抗ウイルス、モチライド、殺虫、駆虫、除草、抗球虫、抗凝血、抗炎症、抗原生動物、抗血小板、抗高血圧、抗増殖、増殖、神経発生、毛髪成長促進、抗線維症、抗マラリア、抗プラスモディウム、抗脈管形成、抗コレステロール、細胞毒性、タンパク質阻害、タンパク質合成阻害及び免疫抑制を含む。
【0039】
さらなる局面において、本発明は本明細書中に開示されるプロセスのいずれかにより得られうる新規生物活性生成物を提供する。これらの新規生物活性分子は生物学的にスクリーニングされうる生物学的に活性な分子を含む。特に好ましい生物学的に活性な分子は小分子又は巨大分子である。好ましい小分子は天然産物、さらにより好ましくは二次代謝物である。特に好ましい二次代謝物はポリケタイド、非リボソームペプチド、混合されたポリケタイド−非リボソームペプチド、脂肪酸、テルペン、アルカロイド、アミノグリコシド、シキミ酸誘導体、フラボノイド、クマリン、タキソール、ステロイド及び他のホルモンを含む。好ましいポリケタイドはI型若しくはII型又は真菌のポリケタイド合成酵素により産生されるものである。I型PKSにより産生されるポリケタイドの例はエリスロマイシン又はピクロマイシンの如き14−員のマクロライド、タイロシンの如き16−員のマクロライド又はアヴェルメクチン、ラパマイシン、リファマイシン、ソラフェン、スピノシン、FK506、FK520、ボレリヂン、ジェルダナマイシン、アンサミトシン、メイタンシン、ハービマイシンの如きマクロライド又はアムフォテリシン、ニスタチン若しくはピマリシンの如きエポチロンポリエン、モネンシン若しくはサリノマイシンの如きポリエーテルを含む。II型PKSにより産出されるポリケタイドの例はダウノルビシン、オキシテトラサイクリン又はミトマイシンを含む。真菌のPKSにより産生されるポリケタイドの例はロヴァスタチンを含む。好ましい巨大分子はタンパク質、酵素、ペプチド、ポリサッカライド、ポリグリコシド、核酸を含む。強調のために、本発明の必要事項は、宿主細胞及び形質転換DNAの両方が最終的な生物学的活性に寄与することである。巨大分子の場合、これは、例えば、グリコシル化、メチル化、リン酸化、アセチル化又はサブユニットの追加により達成されうる。これらの活性は上記細胞にあり、及び上記巨大分子は挿入されるDNAの発現により導入されうる又はその逆でありうる。
【0040】
さらなる局面において、本発明は本発明を行うのに好適なベクター系を提供する。上記DNAを上記細胞に導入するために好ましい宿主ベクター系及び方法は当業者に知られる。これらは数ある中で、プラスミドベクター、BACs及びコスミドを含む。ベクター系は上記宿主と融和性でなければならない。複数の生物において維持されうるシャトルベクターの使用は有益でありうる。1以上の遺伝子が前記宿主細胞において発現されることが必要とされるとき、どのようにして全ての必要とされる遺伝子産物の調和した発現を引き起こす方法でこの目的を達成するかについて、多くの方法が当業者に容易に生ずるであろう。これらのベクターに挿入される好ましい核酸は、ポリケタイド合成酵素、非リボソームペプチド合成酵素、グリコシルトランスフェラーゼ、メチルトランスフェラーゼ、チトクロームP450、デオキシ糖生合成経路、テルペンサイクレース及びシキミ酸経路酵素をコードする遺伝子の如き、生合成経路に参加する酵素をコードする核酸である。
【0041】
さらなる局面において、本発明はライブラリーを作出する及びそれを1以上の所望の生物活性についてスクリーニングする方法:
a)その又はそれぞれの標的生物活性を欠くが、その活性の生合成に寄与するであろういくつかの酵素活性を有する宿主細胞の選択又は創出
b)核酸ライブラリーの作出
c)それぞれ異なる核酸を含む多数の細胞を作出するための、核酸の上記細胞への導入
d)上記細胞の生育及びその又はそれぞれの標的生物活性についてのスクリーニング
e)場合により、上記細胞の培養及び標的生物活性を産生する細胞からの生物活性産物の単離
を含む方法を提供する。
【0042】
好ましい態様において、上記ライブラリーは、一般的にそれぞれの異なる細胞又は細胞集団から、少なくとも2の生物活性産物、より好ましくは少なくとも10の生物活性産物、より好ましくは少なくとも50の生物活性産物及びさらにより好ましくは少なくとも100の生物活性産物を産生する。上記ライブラリーにおける細胞は生物活性の量、強度又は型においても異なりうる。
【0043】
プロセスは所望の生物活性を産生する宿主細胞を単離すること及びそれをさらに上記生成物が大量に作出されうるように処理する(例えば、上記細胞を培養する及び産生された生成物を単離する)ことを含む。
【0044】
特に好ましい型の態様において、本発明は組換え合成によりケタイド、特に12−、14−、16−又はより大きな員の環状マクロライドの如き新規ポリケタイド、ポリエーテル又はポリエンを調製する及び検出するための(酵素系、核酸、宿主細胞、ベクター及び培養物を含む)プロセス及び材料に、及びそのようにして作出される新規ポリケタイドに関する。異なるポリケタイド生合成遺伝子クラスターに由来しうる、ポリケタイド生合成クラスター遺伝子又はその部分は、通常予想される構造の、及び生物学的活性を与えるようにポリケタイド鎖を作出する又は調節することのできる株において発現される12−、14−及び16−員のマクロライドの如き、特定の新規ポリケタイドの産生を許容するように操作される。
【0045】
1の好ましい型の態様において、本発明は(a)クラスター又は誘導体のPKS遺伝子を含むベクター及び(b)上記ベクターにコードされた生合成経路遺伝子と共に発現されたとき、所望の生物活性を与えるであろう、生合成経路酵素を有する相補的であるが特異的に調製された又は選択された宿主株の使用に関する。しかしながら、いくつかの他の潜在的な組み合わせは当業者に容易に起こるであろう。例えば、一般的にポリケタイド鎖形成の後にはたらく酵素、例えば、1以上のグリコシルトランスフェラーゼ、TDP−糖への経路、チトクロームP450、及びメチラーゼを含むベクターは、それらがはたらくであろうポリケタイドを産生するPKSを発現する宿主株と共に使用されうる。あるいは、逆の場合、上記株はポリケタイド合成酵素又は操作された誘導体を作出することができ、及び上記ベクターは一般的にポリケタイド骨格形成の後にはたらく生合成経路酵素を含む。あるいは、株はPKSの一部を、及び上記形質転換ベクターは上記PKSの他の部分を有しうる。これはいくつかの形態をとりうる;上記株は1以上のPKSオープンリーディングフレームにおいて欠失し、及びベクターはこれらのリーディングフレーム(又は誘導体)を発現するために使用されうる。上記株はPKSの退化した部分、あるいは不完全な部分を有し、及び上記ベクターは上記PKSの残りの部分を発現するために使用されうる。あるいは、上記株は上記形質転換PKSに改変されない又は関与されないこともありうる。リーディングフレームを維持する、並びに転写を維持する及び極性効果を避けるために、上記株及び導入される遺伝子材料の正確な設計の必要性はしばしば特定の細胞型に因るであろう、上記考慮は当業者に知られるであろう。
【0046】
本発明のある態様において、上記株は上記ベクター上の領域に対するホモロジー領域を有し、染色体統合を許容しうる。例えば、このホモロジー領域は上記PKSの小部分、例えば、チオエステラーゼドメインでありうる。あるいは、上記挿入されたDNAは上記染色体上の中間部位又は結合部位に方向付けられうる。あるいは、上記株が許容する場合、上記ベクターは自己複製可能でありうる。PKSをコードするベクターがこの株に移され、及び上記PKSが発現される場合、ポリケタイド生成物は完全にプロセスされて生物学的に活性な材料を与えることができ、形質転換体が新規活性について又は生成物収率について直接的にスクリーニングされることを許容する。あるいは、反対の場合、(例えば、グリコシル化又は水酸化により)そのPKSを含む細胞により産生されるポリケタイドを活性化することのできるベクターでの、PKSを含む株の形質転換は生物学的に活性な材料の産生を引き起こす。
【0047】
この株の特別な特徴は、それが上記生合成経路により形質転換されるまでは生物学的活性を有しないということである。例えば、紫外線又は化学突然変異及び上記活性をもはや示さない生物についてのスクリーニングを用いて、ランダム突然変異を含む株の使用の前に、いくつかの方法が「不要の生物学的活性」を除去するために使用されうることは本分野において周知である。いくつかの場合、生物活性生成物をもたらす生合成経路はより正確に欠失されることができ(Rowe et al. (1998) Gene, 216, 215−223 又は McDaniel et al. (1993) Science, 262, 1546)、上記目的が操作された経路を元の宿主に再結合することである場合、それは遺伝子置換による実験を行う必要性を除去しうるので、これは必要であり及び有益でありうる。媒体開発技術は競合する活性の産生を引き起こす経路を閉ざす条件を見つけるために使用されうる。全ての場合、導入された経路酵素の生成物を作出する又は活性化する、上記株の能力に影響しないよう注意を払わなければならない。上記株が標的生物活性を全く示さないことが所望されるが、低いバックグラウンド値は上記発現された生物活性が上記バックグラウンドに対して容易に区別されうる限りは許容可能である。形質転換プロトコール及び生物活性生成、例えば、形質転換体について選択するために使用される抗生物質により影響されない分析の使用又は上記形質転換体を上記選択媒体から除去するための追加の単純な段階の使用と矛盾しない条件を決定することが必要でありうる。しかしながら、96ウェルプレートに取る複製プレーティング又は生育及び上記生物活性の発現のための同様の方法を行うことは本発明の範囲内である。このことは、いくつかの場合、上記生物活性スクリーニングに影響しうる、上記形質転換体の選択に使用される抗生物質を除去する追加の利点有しうる。上記段階は現存のハイスループットスクリーニング系における本明細書中に示される本発明の使用をもかなり助けうる。
【0048】
さらに、本発明は、単一のベクター上で全PKS又はその部分をとること、及び標的化された方法を利用して今般上記分野の研究者によりよく確立されている慣用の方法により上記PKSを操作することが可能であることを教示する。例えば、便利な制限酵素部位は選択されたドメインを交換するために使用されうる又はランダム法は、例えば、方向付けられた進化に使用しうる。したがって、上記全PKSは、活性生成物を与えるよう操作されたPKSの化学生成物を改変するために特に選択された/設計された株を形質転換するために使用される。通常、上記選択された株は上記ポリケタイドが有しうる特定の生物活性を有しないであろう。このことは形質転換体(上記ベクター上に含まれる抗生物質耐性によりはじめに選択されたクローン)が直接的に生物活性についてスクリーニングされることを許容する。例えば、特定の生物活性を有する組換えコロニーは、上記プレートを影響されやすい生物で覆うことにより新規抗微生物活性について上記プレート(又は複製)上で選択されうる。本発明を、上記形質転換された細胞又は複製物が直接的に試験生物で覆われうる、抗微生物スクリーニングに限定することは意図されない。抽出物は形質転換プレート又は同様のもの上で生育する形質転換コロニーから取られ、及びバイオアッセイに使用されうることは当業者に周知である−これはタンパク質に基づいた分析スクリーニングに特に適用しうる。
【0049】
本発明の他の使用が構想されうる。例えば、より高い収率のコロニーは形質転換の後直接的に選択されうる;これは、放線菌形質転換の多くの慣用の方法(特にプロトプラスト形成を利用するもの)はおそらく二次的な有害な突然変異のために収率において顕著な下落をもたらすので、特に有用である。これらの突然変異は高い産生値をもたらしうる、及び産業的なスケールアッププロセスに特に有益でありうる、より高い産生株は開示された方法論により直接的に検出されうる。
【0050】
特に好ましい態様において、操作されたPKSを含むベクターは、上記株自体が、例えば、元のポリケタイドの産生を担うオープンリーディングフレーム及び改変されるべきベクター上に置かれる遺伝子又は改変された変形のほとんどの欠失により、操作された後、上記PKSが由来した株に戻されるであろう。しかしながら、これは必須ではないが、上記株が有する酵素活性(すなわち、この場合PKS後酵素)が上記ベクターが有するタンパク質の化学生成物にはたらく触媒能力を有しやすいことを確実にすることを助ける。さらに、上記株は所望の分子を構築するための好適な基質供給をより有しやすい。しかしながら、本発明は、ベクターにコードされたPKS/遺伝子操作されたPKSに関連する株の使用に限定されない。例えば、上記PKSは特定の生物形質転換能力を有するように特に選択された株に挿入され、上記ポリケタイドの不活性形を活性、及びそれゆえ直接的にスクリーニングできる化合物に変換しうる。上記株により寄与される酵素活性を考慮して、本発明を上記生成物を活性化して生物活性を与える生合成活性、例えば、活性エリスロマイシンを与えるためのエリスロノリドのグリコシル化に限定することは意図されない。反対の場合が適用しうる:上記株が有する生合成活性はPKSそれ自体であり、及び導入された遺伝子材料はグリコシルトランスフェラーゼ又は代替物又は改変された糖経路でありうる。本発明の鍵となる局面は、生ずる株が上記株の形質転換後生物活性について直接的にスクリーニングされることである。強調のために、示される多くの態様において、私たちはPKSを株に導入する及び上記細胞内の生合成酵素の活性により上記ポリケタイド上に与えられた活性についてスクリーニングする例を使用するが、それぞれの場合において、反対のこと、すなわち、生合成酵素をPKSを有する株に導入する及びその活性により上記細胞上に与えられる生物活性についてスクリーニングすることが適用しうる。
【0051】
本発明は、同じプロモーター領域下の単一のベクター上での改変されたPKS若しくは生合成経路又はPKS若しくは生合成経路の部分の調製を許容する。全PKSが通常同じプロモーターから転写される場合、このことは特に有用である。しかしながら、これはより複雑でありうるが、同様の技術が同じ転写産物から発現されないPKSsについて使用されうることが当業者に周知であろう。あるいは、上記遺伝子は単一のプロモーターの制御下にあるように操作されうる。可能な方法は当業者に知られるであろう、Gaisser S, et al.(2000)Mol. Microbiol, 36, 391−401は遺伝子が1のプロモーターの制御下に置かれうる代替の方法を例示する。本発明の特別な利点は、改変された/異種のPKSを調製するために必要とされる全ての変化は宿主株への移行及び続くスクリーニングの前に、E. coliにおいて作出されうることである。本発明の利点は、形質転換体が生物活性についてスクリーニングされるため、操作されたプラスミド構築物(又は他のベクター)が正確であり及び機能的であることは容易な検査であるということである。これは、プラスミド忠実度についての慣用のスクリーニング方法が困難である又は包括的である、上記プラスミドが非常に大きい又は本質的に組換えに不安的である系において特別な利点である。この状況は特に上記モヂュールの反復性の高い性質が欠失又は再配置を引き起こしうるPKS又はNRPSを含む構築物に適用する。本発明のさらなる利点は、それが、時間がかかり及び困難であり、実際にいくつかの株では特にPKS領域において不可能でありうるプロセスである、二重クロスオーバーによる経路における全ての遺伝子置換実験を行う必要性を効果的に避けることである。変化は本分野において使用される標準の分子生物学的方法を用いてE. coliにおいて作出され、最終的なベクターは上記宿主に移され、及び生物活性についてスクリーニングされうる。移行ベクターを設計する/選択することにおける考慮は、染色体に統合されたベクターを含む組換え株は特にラージスケールの発酵において、自己複製ベクターを含む株に優って、顕著な利点を有することが医薬産業における多くの者により考えられているという点である。しかしながら、染色体統合に関連する系にのみ本発明を限定することは意図されない。研究目的のために、自己複製ベクターがその宿主株について使用可能である場合は、導入されたDNAが自己複製ベクター上に導入されうる場合、速さ及び使用の容易さにおけるかなりの利益がありうる。あるいは、上記DNAは、選択の範囲がある結合部位にしばしば方向付けられた結合により導入されうる。このことは当業者に周知であろう。自己複製ベクターの使用はしばしば極性効果又は転写産物への変化のための染色体統合の効果を考慮する必要性を避ける。実際に、本発明の多くの態様において、操作されたクラスターを含むベクターは元の株の誘導体に戻されるので、商業的に関連する利益がある。しばしば医薬産業は、生成物収率を最適化すること及び副生成物、分路代謝物等を制限することの両方について、特定の株を発酵させることにおける広範囲な経験を有する。形質転換の容易さ又は他の好ましい特性を利用するために、元の実験は研究室の株において行われうることが構想されるが、多くの場合、上記大きなベクター系は続いて最小限の追加の努力で産業生成株の誘導体に適用されうることが意図される。DNAを宿主に導入する可能性のある方法は宿主に因る及び、当業者に知られるであろう。
【0052】
他の局面において、本発明はその産生を担う遺伝子を操作することによりポリケタイド鎖に変化を作出する方法を提供する。上記遺伝子は通常、しかし必然的にではないが同じ転写産物上の、1以上のプロモーターの下で単一のベクター上に置かれる。変化は便利な生物、例えば、E. coliにおけるPKS遺伝子の所望の領域に作出され、及び最終的なベクターは一回の統合により宿主株に移される。上記宿主はその後活性についてスクリーニングされる。この方法は、通常、一回の統合によるよりも苦労して遺伝子置換により作出されなければならない変化である、プロモーター領域/終末領域から離れたところにあるPKSモヂュールにおける変化を作出するために特に有用である。PKSへの変化は、例えば:ローディングモヂュール交換、エクステンダーモヂュール交換、ドメイン交換(アシルトランスフェラーゼ、還元ドメイン)、複数ドメイン交換、部分的ドメイン交換、欠失又は挿入、切除又は伸長、部位特異的突然変異を含む交換を含む。
【0053】
他の局面において、本発明は特異的にPKSのオープンリーディングフレーム全体を欠いた宿主株を提供する。通常、残る部分がホモロジー領域としてはたらきうるので、PKS全体を欠くことは有益ではない。いくつかのシナリオが構想されうる、i)オープンリーディングフレーム全体の欠失、及びii)オープンリーディングフレームの全体より少ない欠失。これらの株は上記特定のポリケタイドを産生することができないが、PKS後プロセッシング活性を保持する及びしたがって上記株が上記PKSの欠失した部分を置換するよう設計された構築物で形質転換されたとき産生される分子をプロセスすることができる。PKSの大きな部分の欠失はベクター及び染色体上の相同領域間の所望されない組換えの危険性を避け又は減少させ、したがって、所望の組換え事件に方向付ける。PKSの欠失は株の生物学的活性を除去する効果をも有し、上記生物が直接的にスクリーニングされることを許容しうる。これらの株は、例えば、上記ポリケタイドにスクリーニング可能な活性を与えるようにはたらくであろう特定の所望のPKS後活性を高める又は与えるために、オープンリーディングフレーム(単数又は複数)の欠失の後さらに改変されうる。
【0054】
他の局面において、本発明は、新規グリコシル化又は酸素化誘導体を作出するための異なるグルコシルトランスフェラーゼ又はチトクロームP450の操作の如き、代替のPKS後プロセッシング経路を利用するためにPKSを1の宿主から他に移動させることの効果を分析する単純な方法を提供する。さらに、この方法論は、操作されたPKSにより産生されたポリケタイドの構造が、通常PKS後プロセッシング酵素により利用されるものと顕著に異なる場合、重要でありうる。
【0055】
他の局面において、本発明は、効率/改善された酵素機能/特異性又は生成物収率について、(例えば、これらの技術に限定されないが、コンビナトリアル生合成又は方向付けられた進化/遺伝子シャッフリングにより産生された)ランダムに産生されたPKS酵素を速くスクリーニングする方法を提供する。ランダムな変化は、おそらく1のヌクレオチドのみ異なる又は全く異なるモヂュール、ドメイン若しくはオープンリーディングフレーム若しくは挿入若しくは欠失等を有する、異なるPKS遺伝子のライブラリーを作出するためにPKSを含むベクターに作出される。このライブラリーは宿主株に移され、ベクターを含む宿主は耐性マーカーにより選択され、及び形質転換体は生物活性について直接的にスクリーニングされる。そのようにして作出された分子を活性化しうる株への移行後の直接的な生物活性についてのスクリーニングは、生産的な変化についてスクリーニングする。上記ライブラリーを作出する新規方法は以下に概略される。異なる調節酵素を有するある範囲の異なる宿主株への上記ライブラリーの移行は、異なる活性を有する、異なってプロセスされた分子を産生する。
【0056】
他の局面において、本発明は生物活性のライブラリーを作出する新規方法を提供する。この方法は、特に上記タンパク質/ドメインの順序がそのクラス内で同様であるとき、ポリケタイド、非リボソームペプチド及び多くの他の二次代謝物又は天然産物に適用可能である。上記方法は特に、特定のオープンリーディングフレームのN−末端及びC−末端を除いては、PKSクラスターのオープンリーディングフレームの全部又は一部を特異的に欠く又はあるいはドメインの全部/一部において欠失する一連の株の作出に関する。これらのドメイン間での、異種の源に由来する同等の部位のクローニングによる、1又は多数のモヂュール又はドメインを含むDNAによる失われた部分の特定の補完は、オープンリーディングフレームを再形成し、その結果として活性を回復する。上記株における活性は直接的にスクリーニングされうる。複数の断片又は断片のライブラリーは最も有効なものを決定するためにスクリーニングされうる。これらの断片の源はある範囲の既知のクラスターから又は未知の源、例えば、環境サンプルからでありうる。有用な断片は他の関係においてはあまり効果的にはたらかない場合があるので、ある範囲の断片を速く及び容易に試験する能力は研究者にかなりの利点を与えるということが当業者に知られる。この局面の延長において、ライブラリーを作出する他の方法として、未知のPKSのランダムな断片は強いホモロジー領域を用いて及び好適な制限酵素部位を導入して作出された変性したプライマーを用いた増幅によりクローニングされうる。上記変性した断片を上記系に置くことにより、新規ポリケタイドは作出され、及び直接的にスクリーニングされうる。PKSに関連して、上記増幅された生成物はドメイン、モヂュール又は複数のモヂュールであることができ、及び実際に上記遺伝子構成が維持される場合は、置換された断片が単一のリーディングフレームでないかどうかは問題ではない。本発明に係るベクター−宿主株の組み合わせの方法論は、研究者が生物学的活性により成功の形質転換体を速くスクリーニングすることを可能にし、及びそれゆえ、研究者に最も効果的な交換を決定させる道具である。最も適切な交換を決定することは不正確な科学であるということは本分野において周知である;多くの場合、異なる置換は異なる収率を与える。生物学的活性の直接的なスクリーニングは、本発明が形質転換されたコロニーから直接的に、複数の(原則として何千もの)交換をスクリーニングするために使用され、新規活性/生成物収率について形質転換されたコロニーをスクリーニングすることにより交換の成功を判断しうることを意味する。
【0057】
本発明は広い潜在的な有用性を有し、及びポリケタイドに又は実際に微生物天然産物に限定されない。上記方法は生物学的にスクリーニングされうる生成物を産生する複数の段階の生合成経路に適用可能である。多くの生物活性代謝物の産生を担う生合成装置をコードする遺伝子は急速に発見されており、多くは共にクラスター化されることがわかったという事実により作業はより簡単にされた。しかしながら、全ゲノムのシークエンシング又はSanti D.V., et al(2000)Gene, 247, 97−102により示されるような遺伝子発見法を含む、ハイスループットDNAスクリーニング法における進歩は、クラスター化されない生合成装置でさえも容易に同定されうることを意味する。いったん同定されたら、私たちがPKSについて例示したように、これらの遺伝子をベクター上に、おそらく発現レベルを高める又はよりよく制御するためにより強いプロモーターを利用してカセット内へ置くことは可能である。しかしながら、問題の生合成装置がクラスター化されないときでさえも、上記遺伝子を単一のベクター上に置くための入手可能な方法はある。i)それらがベクターにコードされるタンパク質と共に産生される所望の新規生物活性産物の生合成に参加しうる(おそらく上記宿主細胞は同定された遺伝子とクラスターを形成しない上記クラスターの残りのものを有する)ために、及びii)それらが特定の生物活性を(又は実質的な程度では)有しないので、形質転換された細胞が直接的にスクリーニングされることを許容するために選択された宿主細胞に、このベクターは移されうる。私たちがPKSについて例示したように、上記宿主細胞ははじめに特定の生合成装置を除去するよう操作されうる。このことは生物学的活性をも除去しうる。あるいは、上記細胞は特定の所望の経路酵素を含むよう操作されうる。これらの細胞を元の遺伝子(又はその操作された誘導体)を含むベクターで形質転換することは生物学的活性を復帰させ、上記細胞が生成事件及び生物活性についてスクリーニングされることを許容する。
【0058】
本発明の範囲を「伝統的な」天然産物に限定することは意図されない。本発明の背景にある原理は非常に広いクラスの生合成生成物に適用する。これらは、例えば、タンパク質ライブラリーを含みうる。私たちは、所望のタンパク質の発現がベクターの制御の下に置かれ、そのベクターは続いて、形質転換体から直接的にスクリーニングされうる生合成タンパク質を産生する導入されたコードされたタンパク質のグリコシル化又はアセチル化を担う酵素を含む宿主株に移される方法を構想しうる。あるいは、上記宿主株はタンパク質の第二のサブユニットを合成することができ、プラスミド上の他のサブユニットの発現はスクリーニング可能な生物活性産物を与えうる。
【0059】
本発明の態様は添付の図を引用して、例として及び限定なしに、示されるであろう。
【実施例】
【0060】
実施例1
プラスミドpHP020の構築
プラスミドpHP020はactIプロモーターの制御の下にDEBS1、DEBS2及びDEBS3を含むpCJR24を基礎としたプラスミドである。DEBS2(モヂュール4)のATドメインはラパマイシンモヂュール2のATドメインと交換されている。プラスミドpHP020は以下のようにいくつかの中間体プラスミドにより構築された。DEBS1、DEBS2及びDEBS3を含むプラスミドpIB023をMscIで消化し、及び4.7kb断片をゲル電気泳動により単離し、及び上記ゲルから精製した(MscI部位はdcm感受性ではない)。[プラスミドpIB023は、pCJR65を含む株Sacch, erythraea CJR65のゲノムDNAから単離されたEcoRI断片のプラスミドレスキューにより作出された(DEBS1TE in pCJR24, Rowe C. J et al. (1998)Gene 216 215−223)。プラスミドpHP010は(EcoRI−XbaIクローニングされた)TEドメインの下流からの1kb配列を含むこのプラスミドの誘導体であり、Sacch, erythraea JC2内への形質転換のための追加のホモロジーを提供する。]上記MscI断片を、SmaIで直鎖にされ、及びアルカリフォスファターゼで処理されたプラスミドpUC19にライゲーションした。E. coli DH10Bへの形質転換及びプラスミドpHP001の同定の後、4.7kb断片をEcoRI及びXbaIで切断し、及びpCJR24のEcoRI及びSpeIの消化により形成された3.3kb断片とライゲーションした。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpHP005についてチェックした。
【0061】
pHP001を鋳型として用いて、2のオリゴヌクレオチドプライマー、5’−TTTTTCTGCAGCGCCCTGGCCAGGGAAGACCAGGACCG−3’及び5’−TTTTTAAGCTTCCTGCGAGGCACCGACACCGGCG−3’を、ヌクレオチド27227〜28493までのSac. erythraea eryAII遺伝子からDNAを増幅するために使用した。上記プライマーの設計は、上記ヌクレオチド27231にMscIサイト及びMscIサイトの直前に位置されたPstIサイト並びにSfIIサイトにわたってプライミングする第二のHindIIIサイトを導入した。上記1276bpPCR産物をPstI及びHindIIIで消化し、及び同じ酵素で消化されたpUC19にライゲーションした。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpHP004の存在についてチェックした。プラスミドpHP004を制限酵素パターンにより同定し、及び配列分析により確認した。
【0062】
2のオリゴヌクレオチドプライマー、5’−TTTTTGAATTCCGTCCTCCGGCGGCCACTGCTCGG−3’及び5’−TTTTTCTGCAGCCTAGGGGGACGGCCGGCCGAGCTGCCCACC−3’をヌクレオチド26269〜25751までのSac. erythraea eryAII遺伝子からDNAを増幅するために使用した。上記プライマーの設計はヌクレオチド26273にAvrIIサイト及びAvrIIサイトの直前に位置するPstIサイトを導入し、及び第二にEcoRIサイトを25749で上記ヌクレオチド配列に加えた。上記545bpPCR産物をPstI及びEcoRIで消化し、及び同じ酵素で消化されたpUC19とライゲーションした。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpHP003の存在についてチェックした。プラスミドpHP003を制限酵素分析及び配列分析により同定した。
【0063】
プラスミドpHP003をPstI及びHindIIIで直鎖状にし、及びゲル電気泳動により精製した。〜3kbの断片をアルカリフォスファターゼで処理し、及びPstI及びHindIIIで消化されたpHP004の〜1.2kb断片とライゲーションし、及びゲル精製した。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpHP007の存在についてチェックした。プラスミドpHP007を制限酵素パターンにより同定した。プラスミドpHP007をSfiIで消化し、及び2.2kb断片をゲル電気泳動により精製し、及びゲルから精製した。この断片をpHP005からのSfiI断片を置換するために使用し、及び生ずるベクターはAT4の存在を伴わない置換カセットである、pHP012と呼ばれる。代替のATsは独自のMscI及びこのプラスミドの操作の間に導入されたAvrIIサイトに導入されうる。
【0064】
マロン酸エクステンダー単位を特定するラパマイシンAT2をSac. erythraea eryAII遺伝子からのAT4を置換するために使用した。プラスミドpCJR26はラパマイシンAT2の源であった(Rowe C.J et al.(1998) Gene 216 215−223)。脱メチル化DNAを、E. coli株ET12567をプラスミドpCJR26で形質転換することにより作出した。このDNAをMscI及びAvrIIで消化し、及びラパマイシンAT2を含む〜0.9kb断片をゲル電気泳動により精製し、及び事前に同じ酵素で消化され、アルカリフォスファターゼで処理され、及びゲル電気泳動で精製された脱メチル化pHP012とライゲーションした。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpHP014についてチェックした。プラスミドpHP014を制限酵素パターンにより同定した。
【0065】
プラスミドpHP014をSfiIで消化し(dcm非感受性)、及び2.2kb断片をゲル電気泳動により単離し、及びゲルから精製した。この断片を、事前にSfiIで消化されて直鎖状にされ、アルカリフォスファターゼで処理され、及びフェノール抽出及びエタノール沈殿により精製されたpHP010とライゲーションした。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを制限酵素分析により所望のプラスミドpHP020の存在についてチェックした。
【0066】
実施例2
Sacch. erythraea NRRL2338 JC2 (pHP020)の構築及び新規生物活性エリスロマイシンの産生についてのそのスクリーニング
プラスミドpHP020を標準の技術を用いてSacch. erythraea NRRL2338 JC2プロトプラストを形質転換するために使用した。Sacch. erythraea NRRL2338 JC2はPKSプラスミドの統合のためのホモロジー領域としてTEを残して、事前にDEBS1+2+3全体について欠失されていた(Rowe C. J et al. (1998) Gene 216 215−223)。上記形質転換混合物をR2T20プレート上に置き、及び24時間回復させ、その後40μg/mlチオストレプトンで覆った。コロニーを約7〜10日間生育させ、胞子形成させ、その後胞子を回収し、及び希釈物を40μg/mlチオストレプトンを含むR2T20アガー上に置き、30℃で7日間生育させた。個々のチオストレプトン耐性コロニーを大きな(25×25cm)正方形のR2T20アガープレート(アガーの深さが同じであることを確実にするために水平な面で注がれた)上で1cm2領域で、それぞれのパッチの間に妥当な間隔を残してパッチにし、及び約5日間生育させ、二次代謝物の産生を許容した。この段階で、アガーの小さなプラグをそれぞれのパッチから取り、及びインジケーター生物M. luteus.の培養物で覆われた(25×25cm)LBプレート上に等間隔で置いた。JC2のパッチをコントロールとして使用した。上記LBプレートをその後4℃で4時間置き、プラグからLBアガーへの天然産物の拡散を許容し、その後上記プレートを37℃に移し、スクリーニング生物の生育を許容した。個々のプラグを阻害領域の大きさによりスクリーニングし、非生産者対生産者生物のスクリーニング、しかし追加的によりよく産生するコロニーについてのスクリーニングを許容した。
【0067】
正しい構築物の導入をさらに実証するために、生産者クローンを、ラパマシイシンAT2の〜1kb MscI/AvrII断片を含むDIG標識されたDNAでのそれらのゲノムDNAのサザンブロットハイブリダイゼーションにより、TE領域内に統合されたpHP020の存在について試験した。試験された全ての生産者クローンは、生物活性産物の形成により予想されうるように、pHP020の正しく統合されたコピーを含むことがわかった。上記スクリーニング方法により同定された活性産物の正確な化学的性質を実証するために、2の試験が行われた。はじめに、複製物の残余物を利用して、上記スクリーニング生物のためのプラグを作出するために使用されたコロニーをまいた。第二のプラグ(〜0.5cm2)を取り、及び〜pH9(アンモニア)に調節された2×1ml酢酸エチルで抽出した。これらの抽出物からの溶媒を蒸発により除去し、及び残留物をHPLC/MSにより分析した。ピークは6−デスメチルエリスロマイシンDについての分子マスm/z[M+H]+=690で観察された。第二に、S. erythraea NRRL 2338(pHP020)を5μg/mlチオストレプトンを含む5ml TSBを接種するために使用した。3日間の生育後、1.5mlのこの培養物を250mlフラスコ内の5μg/mlにチオストレプトンを含む30mlのEryP培地を接種するために使用した。上記フラスコを30℃、250rpmで6日間インキュベートした。このとき、上清をアンモニアでpH9に調整し、及び等量の酢酸エチルで2回抽出した。上記溶媒を蒸発により除去し、及び残留物をHPLC/MSにより分析した。ピークは6−デスメチルエリスロマイシンDについての分子マスm/z[M+H]+=690で観察された。さらなる分析は不完全なPKS後プロセッシングのための産物、B、C及びA形、及び生成物崩壊のための化合物の存在を示した。6−デスメチルエリスロマイシンDに対応するピークの定量は、上記生成物が使用されたフラスコ条件の下で約1mg/Lで産生されたことを示した。
【0068】
実施例3
Sacch. erythraea NRRL2338 JC2(pHP020)の発酵によるポリケタイドの産生
上記プレートスクリーニング手順により同定された生成物の化学的性質をさらに実証するために、私たちはラージスケールで上記培養物を生育させた。−80℃で貯蔵された、Sacch. erythraea JC2/pHP020のグリセロールワーキングストックを5μg/mlチオストレプトンを伴う50ml TSBを含む源を有する2の250mlフラスコを接種するために使用し、及び2インチの振りで2日間シェーカー上で30℃及び240rpmで生育させた。この種培養物を5%v/vで、5μg/mlを伴う300ml TSBを含む源を有する3の2Lフラスコを接種するために使用した。これらの培養物は2インチの振りでさらなる2日間シェーカー上で30℃及び240rpmで生育され、発酵器のための種培養物を提供した。上記種培養物を5%v/vで、20L Applikon fermentor系内の12L EryP培地を接種するために使用した。
【0069】
EryP 培地(Pacey, M.S., et al. (1998) J. Antibiotics 51, 1029−1034)。
【0070】
グルコース 50g/L
Nutrasoy flour 30g/L
硫酸アンモニウム 3g/L
塩化ナトリウム 5g/L
カルシウムカーボネート 6g/L
PPG 抗泡立ち剤 0.1g/L
NaOHを用いてpH7.0に調整。123℃で30分間滅菌。
【0071】
上記培養液を200rpmで攪拌し、発酵の間最大350rpmまで増大させながら、6L/分の通気速度で30℃でインキュベートした。発酵を約120時間続けた。このとき、所望の化合物、6−デスメチルエリスロマイシンDの存在を、培養液サンプルのpHをアンモニアでpH9.0に調節すること及び等量の酢酸エチルで抽出することにより確認した。上記溶媒を蒸発により除去し、及び残留物をHPLC/MSにより分析した。細胞材料を10Lの透明な上清を残す遠心分離により除去した。
【0072】
実施例4
6−デスメチルエリスロマイシンDの精製及び特徴付け
上記上清(10L)を水酸化ナトリウムでpH10に調節し、及びAmberlight XAD−16樹脂(100g)と共に室温で30分間攪拌した。上記樹脂をろ過により単離し、水(200ml)で洗浄し、及び化合物をメタノール(3×200ml)で溶離した。この段階を2回繰り返し、及び生ずるメタノール抽出物を混合し、及び上記溶媒を水性残留物(〜50ml)を残すためにin vacuoで除去した。上記抽出物を水で希釈し、及び酢酸エチル(3×100ml)で抽出した。上記抽出物を混合し、及び溶媒を油(6.9g)を与えるためにin vacuoで除去した。上記油を酢酸/酢酸塩(1:1、100ml、pH5)及び酢酸エチル(100ml)の間で分割した。上記水相のpHを水性アンモニアでpH9.5に調整し、及び酢酸エチル(100ml)で抽出しなおした。上記溶媒を濃縮された抽出物(〜0.5g)を与えるために除去した。顕著な損失は純度を確実にするためにこの段階では許容された。上記抽出物をさらにGilson 315系及び21mm×250mm 5μm Hypersil BDS C18カラムを利用して逆相(C18)調製済みHPLCにより精製した。21ml/分の流速で19分にわたる25%〜75%アセトニトリル/20mM酢酸アンモニウムの直線勾配溶離を使用した。画分を6−デスメチルエリスロマイシンDを含むものを同定するためにLCMSにより分析し、集め及び溶媒をin vacuoで除去した。他の6−デスメチルエリスロマイシンは他の画分において同定された。上記6−デスメチルエリスロマイシンDを含む残留物を等溶離ENV+カートリッヂ(200mg)に結合させ、緩衝液を除去するために水で洗浄し、及びメタノール(6ml)で溶離し、6−デスメチルエリスロマイシンD(4.2mg)を作出した。6−デスメチルエリスロマイシンDの構造はNMRスペクトロスコピーにより確認された(表Iを参照のこと)。
【0073】
【表1】
【0074】
実施例5
プラスミドpLS025及びpSGK047の構築
プラスミドpLS025はDEBS1、DEBS2及びDEBS3を含むpCJR24を基礎としたプラスミドであり、ここでDEBS1のローディングドメインはアヴェルメクチン生合成クラスターのローディングドメインにより置換されている。プラスミドpSGK047は同じ遺伝子を含むSCP2を基礎としたプラスミドである。
【0075】
プラスミドpLS025を以下のように構築した。プラスミドpIG1(Marsden et al. (1998) Science 279, 199−202)をNdeI及びXbaIで消化し、及び〜12kbのPKSを含む断片をゲル電気泳動により単離し、及び上記断片をゲルから精製した。この断片を、同じ酵素で消化され、及び同じ方法で精製されたpCJR24とライゲーションした。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10Bを形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpLS005の存在についてチェックした。プラスミドpLS005を制限酵素パターンにより同定した。プラスミドpLS005をScaIで消化し、及び〜10kb断片をゲル電気泳動により単離し、及びゲルから精製した。プラスミドpHP010をScaIでさらに消化して直鎖状にし、及び上記断片が再ライゲーションすることができないように脱リン酸化した。この段階で、DNAの全ての移行をDNAのシアリングを避けるために広い穴のチップで行った。消化されたpHP010をpLS005に由来する断片とライゲーションした。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10Bを形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpLS025の存在についてチェックした。1のScaIサイトは断片の方向があらかじめ定められるアンピシリン耐性遺伝子内に位置されるので、プラスミドpLS025を制限酵素パターンにより同定し、及び確認した。
【0076】
プラスミドpSG047は以下のように構築された。プラスミドpLS025をNdeI及びXbaIで消化し、及び上記断片が再ライゲーションすることができないように脱リン酸化した。プラスミドpCJR29(Rowe et al., (1998) Gene 216, 215)を、ポリリンカーを除去するためにNdeI及びXbaIで消化し、ゲル電気泳動で単離し、及びゲルから精製した。消化されたpLS025をこの断片とライゲーションした。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10Bを形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpSGK047の存在についてチェックした。プラスミドpSGK047を制限酵素パターンにより同定し、及び確認した。
【0077】
実施例6
Sacch. erythraea NRRL2338 JC2 (pLS025)の構築並びに新規エリスロマイシンを作出するためのその使用及びスクリーニング
プラスミドpLS025を標準の技術を用いてSacch. erythraea NRRL2338 JC2プロトプラストを形質転換するために使用した。上記形質転換混合物をR2T20プレート上におき、及び24時間回復させ、その後40μg/mlチオストレプトンで覆った。コロニーを約7〜10日間生育させて胞子形成させ、その後胞子を回収し、及び希釈物を40μg/mlチオストレプトンを含むR2T20アガー上におき、及び30℃で7日間生育させた。この追加の段階はS. erythraeaを形質転換するときに観察されるいくつかの擬陽性コロニーを避けるが、上記活性スクリーニングもこれらのコロニーをスクリーニングアウトとするであろうから省かれうる。個々のチオストレプトン耐性コロニーを10μg/mlのチオストレプトンを含む大きな(25×25cm)正方形のR2T20アガープレート上に、それぞれのパッチの間に妥当な間隔を残して、1cm2領域でパッチにし、及び約5日間生育させ、二次代謝物産生を許容した。この段階で、アガーの小さなプラグをそれぞれのパッチから取り、及びインジケーター生物B. subtilisのチオストレプトン耐性株の培養物で覆った(25×25cm)LBプレート上に等間隔でおいた。JC2のパッチをコントロールとして使用した。上記LBプレートをその後4℃で4時間おき、プラグからLBアガーへの天然産物の拡散を許容し、その後上記プレートを37℃に移し、スクリーニング生物の生育を許容した。個々のプラグを阻害の領域の大きさによりスクリーニングし、非生産者対生産者生物のスクリーニング、しかし追加的に、よりよく産生するコロニーのスクリーニングを許容した。
【0078】
上記生物活性産物の正確な化学的性質を実証するために、S. erythraeaNRRL 2338(pLS025)の(生物活性スクリーニングにより決定された)最もよく産生するコロニーを5μg/mlチオストレプトンを含む5mlのTSBを接種するために使用した。3日間の生育の後、1.5mlのこの培養物を250mlのフラスコ内の5μg/mlのチオストレプトンを含む30mlのEryP培地を接種するために使用した。上記フラスコを30℃、250rpmで7日間インキュベートした。このとき、上清をアンモニアでpH9.0に調節し、及び等量の酢酸エチルで2回抽出した。上記溶媒を蒸発により除去し、及び上記残留物をHPLC/MSにより分析した。ピークは、13−イソプロピルエリスロマイシンB及び13−第二ブチルエリスロマイシンBについて予想されるマスと一致する分子マスm/z(M=H)=732及び746で観察された。他のエリスロマイシンを観察することができた。
【0079】
実施例7
S. avermitilis SGK−DELO/HP275の構築
S. avermitilis株SGK−DELOは抗微生物活性を示さない(おそらくオリゴマイシン産生の欠落のために)。SGK−DELOを以下のように作出した。S. avermitilis ATCC31272の株の胞子を紫外光を用いて慣用的に突然変異させた。上記胞子の希釈物を単一のコロニーのために広げ、パッチ化し、及び10日間生育させ、その後パッチの近くにM. luteusを置き、及び30℃で24時間生育させた。19の単一のコロニーを、それらが上記試験生物の生育を阻害しないように見えたので、選択した。これらのコロニーをガラスピペットを用いて取り、及び100μg/mlナリヂクス酸を含むYEMEアガー上に置いた。3日間の生育後、上記株を、追加の形態学的変化についてチェックするために胞子形成培地を含むある範囲の培地上に再び置いた。液体培地を用いたさらなる試験を、抗微生物活性が存在しないことを確認するために使用した。株S. avermitilis SGK−DELOをさらなる操作のために選択した。この株を、WO 01/79520中に示されるようにXbaI(メチル化された)−XbaI技術を用いて、ピクロマイシンクラスターからのデソアミン生合成遺伝子DesI−VIII及びDesRがActI−ActII−Orf4プロモーター−アクチベーター系の後ろにタンデムに挿入されたpSet152の誘導体である、脱メチル化(E. coli ET12567)pHP275で形質転換した。株を標準の技術を利用して形質転換し、及び100μg/mlアプラマイシンを含むRM14培地上で選択した。
【0080】
実施例8
S. avermitilis DELO/HP275 +pSGK047の構築及び新規エリスロマイシンを作出する及びスクリーニングするためのその使用
プラスミドpSGK047を脱メチル化DNAを与えるためにE. coli ET12567から調製し、及び標準の技術を利用してS. avermitilis−DELO/HP275を形質転換するために使用した。チオストレプトン耐性コロニーを10μg/mlチオストレプトンを含むRM14培地上で選択した。個々のチオストレプトン耐性コロニーを大きな(25×25cm)正方形アガープレート上に1cm2領域でパッチにし、約6日間生育させ、二次代謝物産生を許容した。この段階で、アガーの小さなプラグをそれぞれのパッチから取り、及びインジケーター生物M. luteusの培養物を注いだ(25×25cm)LBプレート上に等間隔で置いた。S. avermitilis DELOのパッチをコントロールとして使用した。上記LBプレートをその後4℃で4時間置き、プラグからLBアガーへの天然産物の拡散を許容し、その後上記プレートを37℃に移して上記スクリーニング生物の生育を許容した。個々のプラグを阻害領域の大きさによりスクリーニングした。
【0081】
阻害領域の大きさにより判断される最もよく産生するコロニーを活性産物の化学的性質を実証するために使用した。上記株を6ml YEME培地を接種するために使用し、及び30℃で2日間生育させた。1.5mlのこの培養物をYEME培地を接種するために使用し、及びさらなる7日間生育させた。細胞を遠心分離により除去し、及び上清を酢酸エチルで3回抽出した。上記抽出物を混合し、及び乾燥するまで蒸発させた。上記抽出物のHPLC−MS分析は5−O−デソアミニル−13−イソプロピル−6−デオキシエリスロノリド、5−O−デソアミニル−13−(第二ブチル)−6−デオキシエリスロノリドの予想されたマスに一致するピークを示し、5−O−デソアミニル−13−メチル−6−デオキシエリスロノリド及び5−O−デソアミニル−6−デオキシエリスロノリドについて予想されるマスに一致するものを含むマイナーピークが観察された。
【0082】
実施例9
S. avermitilis SK−Lの構築
S. avermitilis SK−Lは、AVES1及びAVES2をコードする遺伝子が正確に欠失した、S. avermitilis DELOの誘導体である。
プラスミドpSGK246はaves1遺伝子の5’末端及びaveCを含むpCJR24を基礎としたプラスミドである。2の合成オリゴヌクレオチド、5’−TCACGACATGGCGGGCGCGGCGAGGAAGGCC−3’及び5’−TTTGCTAGCCTCGTCGGCCACTCCGAGGACCTCCCCTGCCG−3’をaveF及びaveD及びaves1の170nt5’末端にわたり増幅するために使用した。2の合成オリゴヌクレオチド、5’−TTTGCTAGCGAAACCGGACACACCACACACACGAAGGTG−3’及び5’−GTGATGTCCCAGTCGACGAGCAGCATTCCCG−3’をaveC及びaveE及びaves2の40nt3’末端にわたり増幅するために使用した。増幅された生成物をキナーゼで処理し、及びNheIで一晩消化した。上記生成物を電気泳動により単離し、及び上記ゲルから精製した。上記2の断片をスリーウェイライゲーションとして、SmaIで消化され及びアルカリフォスファターゼで処理されたpUC19と共にライゲーションした。上記ライゲーションをエレクトロコンピテントE. coli DH10B内に導入し、及びクローンを所望のプラスミドpSGK240の存在についてチェックした。プラスミドpSGK240を広範な制限酵素消化により同定し、及びエラーが増幅の間に導入されていないこと及び内部のNheIサイトが正しく形成されたことを確認するためにシークエンスした。プラスミドpSGK240をEcoRI及びXbaIで消化し、及び〜5kb断片をゲル電気泳動により単離し、及び上記ゲルから精製した。この断片を以前に示されたpCJR24の〜3.3kb EcoRI−SpeI断片とライゲーションした。上記ライゲーションをエレクトロコンピテントE. coli DH10B内に導入し、及びクローンを制限酵素消化により所望のプラスミドpSGK246の存在についてチェックした。
【0083】
プラスミドpSGK246を脱メチル化DNAを与えるためにE. coli ET12567から調製し、及び標準の技術を利用してS. avermitilis DELOを形質転換するために使用した。チオストレプトン耐性コロニーを5μg/mlチオストレプトンを含むRM14培地上で選択した。コロニーを正しい統合事件を有するものについてサザンハイブリダイゼーションによりチェックした。1のコロニーを遺伝子置換を完了するために選択した。この株の胞子をチオストレプトンを有しないYEME培地に接種し、及び3日間の4回をとおしてサブ培養した。このとき、細胞を標準の技術を用いてプロトプラスト化し、及び単一のコロニーのために胞子形成培地上においた。約3千コロニーをチオストレプトン感受性について取り上げた。感受性を示すコロニーをマーカーの欠失を実証するために再び取り上げ、及びサザンハイブリダイゼーションにより正しい置換事件についてスクリーニングした。S. avermitilisはこの様式でなされる遺伝子置換の間にクラスターの一部を容易に欠失するということが留意されるので、他のave PKS及びクラスタープローブを利用したサザンブロッティングを上記クラスターの残余が完璧であることを実証しようとするために使用した。S. avermitilis SK−Lと呼ばれる1のクローンをさらなる形質転換のために選択した。この株を生育させ、HPLC分析によりアヴェルメクチン産生の欠損を確認した。
【0084】
実施例10
プラスミドpSGK375及びpSGK376の構築
プラスミドpSGK375はアヴェルメクチンポリケタイド合成酵素の第一の2のタンパク質(AVES1及びAVES2)をコードする遺伝子及びAveCを含むpCJR24を基礎としたプラスミドである。プラスミドpSGK376は同じ遺伝子を含むpCJR29(SCP2を基礎としたプラスミド)である。
【0085】
プラスミドpSGK375を以下のように構築した。2のオリゴヌクレオチドプライマー、5’−CACAGCTCATATGCAGAGGATGGACGGCGG−3’及び5’−TCCAAAGCGTCACCACGCGTGCGGCGT−3’をヌクレオチド91から伸びるS. avermitilis AVES1遺伝子からDNAを増幅するために使用した。上記オリゴヌクレオチドの設計は開始コドンにNdeIサイトを導入し、及び内部のMluIサイトにわたり伸びた。上記増幅された生成物を、SmaI切断され及び脱リン酸化されたpUC18内にクローニングし、及びエラーが増幅の間に導入されていないことを確認するためにシークエンスした。上記増幅された生成物をNdeI及びMluIでの消化によりpUCから除去し、ゲル電気泳動により単離し、及び上記ゲルから精製した(断片O)。オリゴヌクレオチドの第二のペア、5’−CCGACACGCACACGGACGCGTGCCTTGGCGGGAGC−3’及び5’−CCCCTTCTCCGTCTAGACCGACCTGCCC−3’を、内部のMluIサイト〜AveCの末端を越えて伸びるヌクレオチド28023〜31863まで伸びるAVES2及びAveCのDNAを増幅し、及びXbaIサイトを導入するために使用した。再び、上記増幅された生成物を、SmaI切断され及び脱リン酸化されたpUC18内にクローニングし、及びエラーが増幅の間導入されなかったことを確認するためにシークエンスした。上記増幅された生成物をMluI及びXbaIでの消化によりpUCから除去し、ゲル電気泳動により単離し、及びゲルから精製した(断片P)。プラスミドpCJR24をNdeI及びXbaIで消化し、及びゲル電気泳動により単離し、及び上記ゲルから精製した(断片Q)。断片O、P及びQをDNAライゲースを用いてライゲーションした。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10Bを形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpSGK374の存在についてチェックした。プラスミドpSGK374を制限酵素パターンにより同定した。
【0086】
プラスミドpSGK374をMluIで消化し、及びアルカリフォスファターゼで処理し、及びコスミドcosAVE15−2をMluIで消化することにより作出された27521bp断片とライゲーションした。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10Bを形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpSGK375の存在及び正しい方向について制限酵素消化によりチェックした。
【0087】
プラスミドpSGK375をNdeI及びXbaIで消化し、AVE1及びAVE2並びにaveCを含む約30kBの断片を放出した。この消化からの断片を、再ライゲーションを止めるために脱リン酸化し、及び同じ酵素で消化され及びゲル電気泳動により精製されたSCP2を基礎としたプラスミドpCJR29とライゲーションした。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及びかなりの数の個々のクローンを制限酵素消化により所望のプラスミドpSGK376の存在についてチェックした。広範な制限酵素消化は上記構築物を実証した。
【0088】
実施例11
プラスミドpSGK390、pSGK391及びpSGK392の構築
プラスミドpSGK390、pSGK391及びpSGK392はアヴェルメクチンポリケタイド合成酵素のローディングモヂュール及びモヂュール1〜6をコードするAVE1及びAVE2に基づいたハイブリッドポリケタイド合成酵素を含むpCJR24を基礎としたプラスミド(すなわち、非複製)である。プラスミドpSGK390、pSGK391及びpSGK392において、モヂュール2の還元ループは、それぞれ、DEBSモヂュール4並びにRAPSモヂュール1及び13の還元ループで置換されている。
【0089】
プラスミドpSGK381はヌクレオチド101〜12480のAVE1ポリケタイド合成酵素全体を含むpUC19を基礎としたプラスミドである。pUC19についての新規ポリリンカー領域は2のリン酸化されたオリゴヌクレオチド、5’−TATGTTCGAAG−3’及び5’−AATTCTTCGAACA−3’を共にゆっくりアニーリングすることにより作出された。上記オリゴヌクレオチドの設計はクローニングを許容するBstBIサイト並びにNdeI及びEcoRIの「粘着性末端」を導入した。pUC19をNdeI及びEcoRIで消化し、及び大きな断片をゲル電気泳動により単離し、及び上記ゲルから精製した。この断片を新規ポリリンカー領域と共にライゲーションした。上記ライゲーション混合物をE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを制限酵素消化及び挿入されたオリゴヌクレオチドの正確さを確認するためのシークエンス分析により所望のプラスミドpSGK380の存在についてスクリーニングした。
【0090】
プラスミドpSGK380をNdeI及びBstBIで消化し、及び大きな断片をゲル電気泳動により単離し、及び上記ゲルから精製した。プラスミドpSGK375をNdeI及びBstBIで消化し、AVE1を含む約12kBの断片を放出させた。この断片をゲル電気泳動により単離し、上記ゲルから精製し、及びpSGK380から単離したpUCに基づいた断片と共にライゲーションした。上記ライゲーション混合物をE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpSGK381の存在についてスクリーニングした。プラスミドpSGK381の同一性を広範な制限酵素分析により確認した。
【0091】
2の合成オリゴヌクレオチド、5’−CACGGCAGGTACCACGCAGGCGATCGCGGACACCGAACGGC−3’及び5’−CCCTCTAGAGGTGGGGAGATCTAGGTGGGTGTGGGTGTGGGGTTGGTTGTCGTGGTGGGTGTA−3’をpSGK375を鋳型として用いてヌクレオチド5860〜9030のAVE1 DNAを増幅するために使用した。上記オリゴヌクレオチドの設計はSgfIサイトにわたり増幅し、及びクローニングのためのKpnI及びXbaIサイトを導入し、及び還元ループのはじめにBglIIサイトを導入した。上記増幅された断片をKpnI及びXbaIで消化し、ゲル電気泳動により単離し、上記ゲルから精製し、及び同じ酵素で消化されたpUC18とライゲーションした。上記ライゲーション混合物をE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpSGK382の存在についてスクリーニングした。オリゴヌクレオチドの第二のペア、5’−TCTAGAGCCCGGCTAGCCGGCCAGACACACGAACAACAGC−3’及び5’−TCCAAGCTTGCCCTGTTCGAACGTTTCCCAAGTGGTTTCG−3’をヌクレオチド11507〜12490のAVE DNAを増幅するために使用し、これらのオリゴヌクレオチドの設計はクローニングのためのXbaI及びHindIIIサイト、及び還元ループの末端にNheIサイトを導入した。上記増幅された断片をHindIII及びXbaIで消化し、ゲル電気泳動により単離し、上記ゲルから精製し、及びHindIII、及びXbaIで消化され及びゲル電気泳動により単離され及び上記ゲルから精製された以前の構築物pSGK382内にライゲーションした。上記ライゲーション混合物をE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpSGK383の存在についてスクリーニングした。pSGK282の同一性を制限酵素分析及びエラーが増幅の間に導入されていないことを確認するためのDNA配列分析により確認した。
プラスミドpSGK383をBglII及びNheIで消化し、及びゲル電気泳動により単離し、及び大きな断片を上記ゲルから精製した。プラスミドpJLK41、pJLK141、pJLK28(特許GB99/02158を参照のこと)は、それぞれ、DEBSモヂュール4並びにRAPSモヂュール1及び13からの還元ループ交換を含む。これらのプラスミドをBglII及びNheIで消化し、及び〜3kb断片をゲル電気泳動により単離し、上記ゲルから精製し、及びそれぞれの断片をpSGK383から単離された断片と共にライゲーションした。pJLK141は内部のNheIサイトのために部分消化として処理された。個々のライゲーション混合物をE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpSGK384及びpSGK385及びpSGK386の存在についてスクリーニングした。これらのプラスミドの同一性を制限酵素消化により確認した。プラスミドpSGK384及びpSGK385及びpSGK386をSgfI及びBstBIで消化し、及び上記断片をライゲーションによりpSGK381における相当する断片を置換するために使用した。個々のライゲーション混合物をE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpSGK387及びpSGK388及びpSGK389の存在についてスクリーニングした。これらのプラスミドの同一性を制限酵素分析により確認した。これらのプラスミドは還元ループDH−ER−KRにより置換されたモヂュール2の還元ループを伴うAVE1全体を含む。
【0092】
二タンパク質PKSを再生するために、プラスミドpSGK387、pSGK388及びpSGK389をNdeI及びBstBIで消化し、及び大きな断片をゲル電気泳動により単離し、及び上記ゲルから精製した。プラスミドpSGK375をNdeI及びBstBIで消化し(完全な消化を確実にするために注意が払われた)、及び大きな断片をゲル電気泳動により単離し、及び上記ゲルから精製した。DNAのシアリング又は精製樹脂への不可逆的な結合を避けるためにゲル精製の間、かなりの注意が払われた。この断片をpSGK387、pSGK388及びpSGK389から単離した断片と共にライゲーションした。上記ライゲーション混合物をE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpSGK390、pSGK391及びpSGK392の存在についてスクリーニングした。これらのプラスミドの同一性を広範な制限酵素分析により確認した。
【0093】
実施例12
プラスミドpSGK393、pSGK394及びpSGK395の構築
プラスミドpSGK393、pSGK394及びpSGK395は、アヴェルメクチンポリケタイド合成酵素のローディングモヂュール及びモヂュール1〜6をコードする、AVE1及びAVE2に基づいたハイブリッドポリケタイド合成酵素を含むpCJR29を基礎としたプラスミドである(すなわち、複製する)。プラスミドpSGK393、pSGK394及びpSGK395において、モヂュール2の還元ループは、それぞれ、DEBSモヂュール4並びにRAPSモヂュール1及び13の還元ループで置換されている。
複製するPKSを再生するために、プラスミドpSGK387、pSGK388及びpSGK389をNdeI及びBstBIで消化し、及び大きな断片をゲル電気泳動により単離し、及び上記ゲルから精製した。プラスミドpSGK376をNdeI及びBstBIで消化し(完全な消化を確実にするために注意が払われた)、及び大きな断片をゲル電気泳動により単離し、及び上記ゲルから精製した。再び、DNAのシアリング又は精製樹脂への不可逆的な結合を避けるためにゲル精製の間、かなりの注意が払われた。この断片をpSGK387、pSGK388及びpSGK389から単離された断片と共にライゲーションした。上記ライゲーション混合物をE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを導入されたサイトを利用して所望のプラスミドpSGK393、pSGK394及びpSGK395の存在についてスクリーニングした。これらのプラスミドの同一性を制限酵素分析により確認した。
【0094】
実施例13
S. avermitilis SK−L/pSGK375、pSGK376、PSGK390、pSGK391、pSGK392、pSGK393、pSGK394、pSGK395の構築及び新規アヴェルメクチン産生のための駆虫活性についての使用及びスクリーニング
プラスミドpSGK375、pSGK376、pSGK390、pSGK391、pSGK392、pSGK393、pSGK394、及びpSGK395をE. coli ET12567から調製し、脱メチル化DNAを与え、及び標準の技術を利用してS. avermitilis SK−Lを形質転換するために使用した。チオストレプトン耐性コロニーを5〜10μg/mlチオストレプトンを含むRM14培地上で選択した。耐性コロニーは駆虫分析のためにマイクロタイタープレート上に複製を置かれた。S. avermitilis及びS. avermitilis−SK−Lをコントロールとして使用した。それぞれのウェルは1リットル当たりデンプン80g、炭酸カルシウム7g、Pharmamedia 5g、リン酸水素二カリウム1g、硫酸マグネシウム1g、グルタミン酸0.6g、硫酸鉄(II)七水化物0.01g、硫酸亜鉛0.001g、硫酸マンガン(II)0.001g、bactoagar 15gを含む産生培地を含んだ。最終容積を水道水で1リットルに調節し、pHを7.2に調整し、及び上記培地を121℃で25分間オートクレーブし、その後上記マイクロタイタープレートに等分した。複製物を分析前に湿度を制御した静止インキュベーター内で30℃で2週間生育させた。1週齢のCaenorhaditis elegansに対する駆虫活性をParasitology、 (1979) 79、 19中でSimpkin and Colesにより示されるスクリーニング試験の改変を用いてアガープレート上で直接的に評価した。麻痺/死の程度を解剖顕微鏡を用いて分析した。この分析は、私たちに、統合がさらなる再配置/増幅なしに正しい位置で起こり、及び生物活性化合物の産生の成功をもたらしたかどうかを評価することを許容し、私たちに最も効果的な還元ループ交換を決定することを許容した。形質転換体の全てが生産者であったわけではない。続いての慣用のHPLCによる陽性産生コロニーのスクリーニングは、駆虫標準との比較による通常のアヴェルメクチンに加えて予想されたC−22−C23脱水素アヴェルメクチンシリーズの産生を確実にした。
【0095】
実施例14
新規生物活性ポリケタイドのための改変されたPKSライブラリーの作出及びスクリーニング
マロニル−CoA特異的エクステンダーATsをS. fradiae、S. hygroscopicus、S. cinnamonensis、及びS. venezulae、S.coelicolor、S. avermitilis、及びS. antibioticusを含むさまざまな生物のある範囲のPKSから増幅した。それぞれの場合、ゲノムDNA又は利用可能な場合コスミドを鋳型として使用した。それぞれのエクステンダーについてのオリゴヌクレオチドの設計は実施例1及びOliynyk et al.(Chem. Biol. (1996) 3, 833−839)において例示されるように正確にMscI及びAvrIIサイトを導入した。増幅された生成物をMscI及びAvrIIで消化し、ゲル電気泳動により単離し、及び上記ゲルから適切なバンド(〜1kb)を切断した。いくつかの場合、上記バンドは代替のサイトで結合する設計されたオリゴヌクレオチドとの混合物であることが明らかであった。いくつかの場合、これはSmaI切断したpUC18内に増幅された生成物をライゲーションし、及び上記生成物をシークエンスすることにより確認され、いくつかの場合、上記生成物はクラスター内のどこかからのATを示し、他の場合、増幅されたATは未知であった。上記増幅された生成物を上記ゲルから精製し、及び濃度(〜10ng/μl)について正規化し、その後増幅された生成物の全てを混合してエクステンダーATsのライブラリーを形成した。pHP012を脱メチル化し、及びMscI及びAvrIIで消化し、及びゲル電気泳動により単離し、及び上記ゲルから精製した。この断片(〜20ng)を20ngのATライブラリーと共にライゲーションした。上記ライゲーション混合物全体(5μl)をエレクトロコンピテントE. coli DH10B内に導入した(5形質転換)。それぞれの場合、形質転換体全部をLBプレート(100μl/プレート)上に広げ、コロニーを37℃で一晩生育させた。コロニーを0.5ml LB培養液をそれぞれのプレート上にピペッティングし、及び上記プレートからコロニーを洗浄することにより回収した。DNAをこれらの菌コロニーから直接的に調製し、SfiIで消化し、及び(ライブラリーから成る)〜2.2kb断片をゲル電気泳動により単離し、及び上記ゲルから精製した。この断片を、事前にSfiIで消化されて直鎖状にされ、アルカリフォスファターゼで処理され、及びフェノール抽出及びエタノール沈殿により精製されたpHP010とライゲーションした。広範なコントロールはこのベクターが完全に消化され、及びバックグラウンドコロニー形成は本質的にゼロであることを確認するために行われた。上記ライゲーション混合物を以前のようにエレクトロコンピテントE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用した。形質転換後に上記細胞を室温で2時間回復させ、及び30℃で一晩生育させることが重要である。いったん、コロニーが妥当な大きさまで生育したら、それらを以前のように回収し、及び混合した。以前のようにこれらのコロニーから直接的にDNAを調製することはうまくいったが、顕著な数のコロニーを与えるためのSacch. erythraea JC2への形質転換のための十分なDNAは必ずしもなかった。したがって、上記ライブラリーを増幅することが必要であった。100ml LB+アンピシリンを含む5のフラスコを上記プレートから洗浄された1mlの混合された培養物で接種し、及び約6時間生育させた。細胞を回収し、及びDNAを Qiagen Tip100カラムを用いて調製した。DNAを混合し、及びスペクトロフォトメーターにより定量した。このDNAはDEBS1+2+3のライブラリーを含み、ここで、AT4は全てactプロモーターの制御の下で代替のATにより置換されている。
【0096】
標準の条件下で及び標準の技術を用いてプロトプラスト化されたとき30ml S. erythraea JC2の成長から生ずるプロトプラストを形質転換するために約60μgのDNAを使用し、プロトプラスト化されないままの細胞を最小限にすることを確実にするために注意を払ったが、JC2は抗微生物物質を産生しないので、これらの細胞のための擬陽性(すなわち、チオストレプトンを含むプレート上で生育する非耐性コロニー)は生物学的スクリーニングを妨害しない。形質転換された細胞を複数の(40)R2T20プレート上におき、及び24時間回復させ、その後40μg/mlチオストレプトンで覆った。これらのプレートを30℃で十分な胞子形成及び概して個々の形質転換されたコロニー(プレート当たり約50)が視認できるまで生育させた。10μg/mlチオストレプトンを含むR2T20上にコロニーの複製をおき、及び二次代謝物産生を確実にするためにさらなる7日間生育させた。これらのプレートをチオストレプトン耐性B. subtilisの1mlの希釈された培養物で覆い、その後上記プレートを37℃に移し、スクリーニング生物の生育を許容した。コロニーを最も効果的なAT交換を決定するために阻害領域の大きさによりスクリーニングした。特に上記コロニーが近すぎるときに観察される不明確さは上記複製プレートから再パッチ化し、及び再スクリーニングすることにより解決された。このスクリーニング段階の後、所望の6−デスメチル化合物よりもむしろ、天然エリスロマイシンのみを産生するものに対して区別するために、産生された化合物の化学的性質をチェックすることが必要であった。私たちは、おそらく私たちがこの実験において使用した特定のATライブラリーにおける過剰(すなわち、マロニル−又はメチルマロニル−CoAのためのエクステンダーATsの混合物)のためである、天然エリスロマイシンAのいくらかの産生を観察した。
【0097】
実施例15
プラスミドpLSB136はactIプロモーターの制御の下でDEBS1、DEBS2及びDEBS3を含むpCJR24を基礎としたプラスミドである。DEB1のATドメイン(モヂュール1)はラパマイシンモヂュール2のATドメインと交換されている。プラスミドpLSB136は以下のようにいくつかの中間体プラスミドにより構築された。DEBS1−TEのモヂュール1の天然ATドメインの代わりにラパマイシンPKSのモヂュール2からのマロニル−CoA−特異的ATドメインを含むプラスミドpCJR26(Rowe et al. (1998) Gene 216, 215−223)をNdeI及びBstBIで消化し、rap AT2を含む4596bp断片を作出した。この断片をNdeI及びBstBIで消化されたpHP010からの〜19kb断片とライゲーションした(実施例1を参照のこと)。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンを所望のプラスミドpLSB134の存在についてチェックした。pHP010をBstBIで消化し、及び〜14.4kb断片をゲル電気泳動により単離し、及び上記ゲルから精製した。この断片を、BstBIで消化され及びアルカリフォスファターゼで処理されたpLSB134とライゲーションした。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10B細胞を形質転換するために使用し、及び個々のクローンをBstBI断片の正しい方向について及びそれゆえ所望の最終的なプラスミドpLSB136の存在についてチェックした。
【0098】
実施例16
Sacch. erythraea NRRL2338 JC2(pLSB136)の構築及び新規生物活性エリスロマイシンの作出のためのそのスクリーニング
プラスミドpLSB136を標準の技術を用いてSacch. erythraea NRRL2338 JC2プロトプラストを形質転換するために使用した。Sacch. erythraea NRRL2338 JC2はPKSプラスミドの統合のためのホモロジー領域としてTEを残してDEBS1+2+3全体を正確に欠いている(Rowe et al. (1998) Gene 216, 215−223)。上記形質転換混合物をR2T20プレート上におき、及び24時間回復させ、その後40μg/mlチオストレプトンで覆った。コロニーを約7〜10日間生育させ、胞子形成を許容し、その後胞子を回収し、及び希釈物を40μg/mlチオストレプトンを含むR2T20アガー上におき、及び30℃で7日間生育させた。個々のチオストレプトン耐性コロニーを、それぞれのパッチの間に妥当な空間を残して、大きな(25×25cm)正方形のR2T20アガープレート上に1cm2領域でパッチ化し、及び約5日間生育させ、二次代謝物産生を許容した。この段階で、アガーの小さなプラグをそれぞれのパッチから取り、及びインジケーター生物M. luteusの培養物を注いだ(25×25cm)LBプレート上に等間隔でおいた。JC2のパッチをコントロールとして使用した。上記LBプレートをその後4℃で4時間置き、プラグからLBアガーへの天然産物の拡散を許容し、その後上記プレートを37℃に移し、スクリーニング生物の生育を許容した。個々のプラグを阻害領域の大きさによりスクリーニングした。活性産物の生成から、私たちは、上記ベクター構築が正しかったこと、及び特に最後の段階(BstBI断片)が正しい方向に挿入されたことを確認した。
【0099】
上記スクリーニングにより同定された活性産物の正確な化学的性質を実証するために、S. erythraea NRRL 2338(pLSB136)を5μg/mlチオストレプトンを含む5mlのTSBを接種するために使用した。単離物のうち、私たちは生物活性により判断される最もよい生産者を選択した。3日間の生育の後、0.5mlのこの培養物を25mlのフラスコ内の5μg/mlチオストレプトンを含む10mlのEryP培地を接種するために使用した。上記フラスコを30℃、250rpmで6日間インキュベートした。このとき、1mlの上清をアンモニアで〜pH9に調整し、及び等量の酢酸エチルで抽出した。上記溶媒を蒸発により除去し、及び上記残留物をHPLC/MSにより分析した。顕著なピークは12−デスメチルエリスロマイシンBについての分子マスm/z [M+H]+=704で観察された。
【0100】
実施例17
上記GPS−LSリンカースキャニングシステムはin vitroでトランスポゾンを標的DNA内にランダムな位置で置くことにより15bp挿入物を作出するための道具としてNew England Biolabsにより市販される。上記キットはタンパク質構造を研究するための道具として市販される「埋まっている又は活性部位の一部であるセグメントは一般的に上記挿入に耐性でない一方で、三次元構造の表面に又は連結領域内に位置するタンパク質配列のセグメントはしばしば数アミノ酸の挿入に耐性であり、機能的なままであろう」。私たちは、私たちがこのキットを、DEBS遺伝子内に15bp挿入物を含むエリスロマイシンPKSのランダムライブラリーを作出するために使用しうると考えた。これらの挿入物のうち、あるサブセットはフレーム内であり、及び機能的なPKSをもたらすであろう、及びあるサブセットはPKS全体は機能的なままである一方で、上記ドメインを非機能的にするドメイン中に挿入物を有するであろう。この特許に示される技術を用いて、なおも活性産物を産生する改変されたPKS(すなわち、挿入物を含む)について上記ライブラリーをスクリーニングすることが可能である。本明細書中に示される実施例において、LCMSにより調べられた全ての活性であるが、改変されたPKSは、いくつかは通常よりも非常に低い値であるが、新規エリスロマイシンよりもむしろエリスロマイシンAを産生する。この実験はPKSの挿入に耐える能力を示す。しかしながら、私たちがより多くの数の活性産物を生成することがわかっているPKSをスクリーニングするなら、私たちが新規エリスロマイシンを産生するPKSを発見するであろうことは当業者に明らかであろう。例えば、ケト還元酵素の機能性の(挿入のための)破壊のために変化された酸化状態を有する又はあるいはアシルトランスフェラーゼ特異性の(挿入による)破壊のために変化された側鎖を有するエリスロマイシン。
【0101】
上記トランスポゾンライブラリーは供給されるプロトコールに密接にしたがって作出された。標的DNAはpHP010(実施例1、actプロモーターの制御の下でDEBS1、DEBS2及びDEBS3を含むpCJR24誘導体)であった。約100ngの標的DNAを37℃で20μlの反応(すなわち、2μl GPS緩衝液、30ng pGPS5、1μl TnsABC* トランスポゼース、1μl 開始溶液)内で使用した。1時間後、上記反応を75℃でインキュベートすることにより停止した。上記反応混合物をエレクトロコンピテントE. coli DH10B内に導入し、及びアンピシリン(100μg/ml)及びカナマイシン(20μg/ml)を含むLBアガー上で選択し、及び30℃で一晩生育させた。これらのコロニーの一晩の培養物を5mlのスケールで生育させ、及びDNAをそれぞれから調製し、及びPmeIで消化し、トランスポゾンを除去した。PmeIを65℃で不活性化し、及び上記反応混合物を5倍希釈し、及びDNAライゲースで処理して再び環状にした。上記ライゲーション混合物をエレクトロコンピテントE. coli細胞内に導入し、及びLBプラスアンピシリン上にまいた。耐性コロニーをアンピシリン(100μg/ml)及びカナマイシン(20μg/ml)を含むLB上にすじ状にすることにより、カナマイシンマーカーの欠損についてチェックした。これらのコロニーからのDNA(それぞれ〜2−5μg)を標準の技術を用いてSacch. erythraea NRRL2338 JC2プロトプラストを形質転換するために使用した。上記形質転換混合物をR2T20プレート上にまき、及び24時間回復させ、その後40μg/mlチオストレプトンで覆った。コロニーを約7〜10日間生育させ、胞子形成を許容し、その後胞子を回収し、及び希釈物を40μg/mlチオストレプトンを含むR2T20アガー上にまき、及び30℃で7日間生育させた。個々のチオストレプトン耐性コロニーをR2T20アガー上に1cm2領域でパッチ化し、及び約5日間生育させ、二次代謝物産生を許容した。この段階で、アガーの小さなプラグをそれぞれのパッチから取り、及びインジケーター生物M. luteusの培養物を注いだ(25×25cm)LBプレート上に等間隔でまいた。上記LBプレートをその後4℃で2時間おき、プラグからLBアガーへの天然産物の拡散を許容し、その後上記プレートを37℃に移し、スクリーニング生物の生育を許容した。少量の挿入物は(PKSの妨害として)上記ベクター系内に含まれることができ、これらの多くは非機能的プラスミド/プロモーター/耐性機能をもたらし、及び最終的なライブラリーまで持ちこされないであろうが、このこのことは機能性を維持する(すなわち、生物活性産物を産生する)トランスポゾン挿入物を含むPKSの同定を許容した。上記PKSにより産生された生成物の性質を実証するために、いくつかの生物活性培養物の小さなプラグを酢酸エチル(pH9)を用いて抽出し、及びLCMSにより分析した。それぞれの場合、上記抽出物は(ライブラリーのごく小部分が分析されたのみであるが、新規エリスロマイシンよりむしろ)エリスロマイシンAを含むことが示された。上記PKSが改変されていることを確認するために、JC2を形質転換するために使用されたいくらかのDNAのサンプルをキット中に供給されるプライマーNを用いてシークエンスした。約70%はエリスロマイシンPKSのそれに対応する配列を与えた(例えば、私たちは、トランスポゾンがこれらの領域内に又はその近くに挿入されたことを示す、KS2、AT0、TE及びKR2に対応する配列を得た)。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】図1は、エリスロマイシンAの前駆体である、6−デオキシエリスロノリドBを産生する6−デオキシエリスロノリド合成酵素(DEBS)モヂュラーPKSのはたらきの図式である。
【図2】図2は、6−デオキシエリスロノリドBをエリスロマイシンAに変換する酵素段階を示す。
Claims (26)
- 既知の生物活性を有する生物活性化合物の製造方法であって、以下のステップ:
a)実質的に上記生物活性を欠くが、少なくとも1の第一の酵素活性又は上記生物活性を有する化合物をもたらす経路において機能的である少なくとも1の酵素をコードする核酸を有する宿主細胞を提供し;
b)少なくとも1の第二の酵素活性を提供するために上記宿主細胞内において発現しうる核酸を上記宿主細胞に導入し;ここで、上記第一の及び第二の活性は共に、上記形質転換された宿主細胞が、潜在的に既知の生物活性を有する化合物を産生することを可能にし;そして
c)上記生物活性についてスクリーニングする:
を含む前記方法。 - 前記ステップ(c)が、全細胞培養物について行われる、請求項1に記載の方法。
- 前記ステップ(c)が、前記培養細胞からの上清について行われる、請求項1に記載の方法。
- 前記ステップ(c)が、前記細胞に由来する溶解産物又は抽出物について行われる、請求項1に記載の方法。
- 前記生物活性が、薬理学的活性である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 前記生物活性が、抗微生物、抗真菌、抗癌、抗ウイルス、モチライド、殺虫、駆虫、除草、抗球虫、抗凝血、抗炎症、抗原生動物、抗血小板、抗高血圧、抗増殖、増殖、神経再生、毛髪成長促進、抗線維症、抗マラリア、抗プラズモディウム、抗脈管形成、抗コレステロール、細胞毒性、タンパク質阻害、タンパク質合成阻害、タンパク質活性化及び免疫抑制活性から選ばれる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- (d)上記スクリーニングにより同定された細胞を培養し;そして
(e)前記生物活性化合物を単離する:
を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。 - 前記細胞の一部が、それにより前記生物活性を有する1以上の化合物を産生することができるようになるように、多数の異なる核酸配列が、対応の多数の宿主細胞又は宿主細胞集団に導入され、前記スクリーニング・ステップは、前記細胞の同定をもたらす、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 前記の多数の形質転換された細胞が、多数の異なる生物活性化合物を産生することを可能にされる、請求項8に記載の方法。
- (a)1以上の生物活性物質の生合成に必要とされるタンパク質をコードする1以上の遺伝子を有するベクターを提供し;及び(b)前記ベクター上の1以上の前記遺伝子を遺伝子操作して、前記1以上の遺伝子の異なって操作された変形を有する多数のベクターを作出することにより、前記多数の異なる核酸配列を製造するステップを含む、請求項8又は9に記載の方法。
- 前記細胞の中の少なくともいくつかが、対応の異なる活性化合物を産生することを可能にされるように、単一の核酸配列が、対応の異なる第一の酵素活性を含む又は提供する多数の細胞に導入される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 前記少なくとも1の第一の酵素活性が、二次代謝経路に寄与する活性である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
- 前記少なくとも1の第一の酵素活性及び/又は前記少なくとも1の第二の酵素活性が、グリコシル化、メチル化、酸化、ポリケタイド合成、異性化、エステル形成、エピ異性化、脱カルボキシル化、ラクトン化、アセチル化又は他のアシル化、アミン化、還元脱水素化、デオキシ糖合成、及び(例えば、ポリケタイド合成のための)スターター単位合成から選ばれる1以上の対応の活性を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
- 第一の酵素活性及び第二の酵素活性が、グリコシル化及びポリケタイド合成を含む、請求項10に記載の方法。
- 前記少なくとも1の第二の酵素活性は、生物活性物質の産生を引き起こす、前記少なくとも1の第一の酵素活性のための基質である物質の産生を引き起こす、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
- 前記の宿主細胞を提供するステップが前駆細胞を提供し、そしてそれを前記宿主細胞を作出するために遺伝子操作するステップを含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
- 前記生物活性化合物が、ポリケタイド、非リボソームペプチド、混合されたポリケタイド−非リボソームペプチド、脂肪酸、テルペン、アルカロイド、アミノグリコシド、シキミ酸誘導体、フラボノイド、クマリン、ポリグリコシド、タンパク質、ポリサッカライド、フラボン及び他のフラボノイド、インドール及びピロールの如き窒素を含む化合物、アントラキノン、リグナン、クマリン、スチルベン、デプシペプチド、ペプチド及び核酸、ステロイド及び他のホルモンから選ばれる、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
- 前記生物活性化合物が、ポリケタイドである、請求項17に記載の方法。
- ステップbにおける前記核酸の導入が、クラスターのPKS遺伝子又はその誘導体を含むベクターを使用し;そして前記宿主細胞は、ベクターにコードされる生合成経路遺伝子と共に発現されたとき、所望の生物活性を与える生合成経路酵素を有する、相補的であるが特別に調製又は選択された宿主株の細胞である、請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
- 前記ベクターのPKS遺伝子が、遺伝子操作されている、請求項19に記載の方法。
- 前記宿主細胞の前記酵素が遺伝子操作されている、請求項19又は請求項20に記載の方法。
- 事前決定された生物活性を実質的に欠くが、少なくとも1の第一の酵素活性又は上記生物活性をもたらす経路において機能的である少なくとも1の酵素をコードする核酸を有する宿主細胞に、核酸を導入することにより作出された組換え細胞であって;ここで、前記導入された核酸は、上記宿主細胞内で発現可能であり、少なくとも1の第二の酵素活性を提供し;ここで、前記第一の及び第二の活性は共に上記宿主細胞が、潜在的に既知の生物活性を有する化合物を産生することを可能にする、前記組換え細胞。
- 前記宿主細胞が、原核細胞及び真核細胞微生物並びに高等な真核生物の細胞から選ばれる、請求項22に記載の組換え細胞。
- 前記宿主細胞が、原核細胞の、真菌の及び哺乳類の細胞から選ばれる、請求項22に記載の組換え細胞。
- 前記宿主細胞が放線菌細胞である、請求項22に記載の組換え細胞。
- 前記宿主細胞はSaccharopolyspora erythraea、Streptomyces coelicolor、Streptomyces avermitilis、Streptomyces griseofuscus、Streptomyces cinnamonensis、Streptomyces fradiae、Streptomyces eurythermus、Streptomyces longisporoflavus、Streptomyces hygroscopicus、Saccharopolyspora spinosa、Micromonospora griseorubida、Streptomyces lasaliensis、Streptomyces venezuelae、Streptomyces antibioticus、Streptomyces lividans、Streptomyces rimosus、Streptomyces albus、Streptomyces rochei、Actinoplanes Sp.、Amycolatopsis mediterranei、Nocardia Sp.及びStreptomyces tsukubaensisから選ばれる、請求項25に記載の組換え細胞。
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