JP3633629B2 - ポリケチドの無細胞合成 - Google Patents
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Description
本発明は、国立衛生研究所からの研究費援助(GM22172およびCA66736−01)の形で、米国政府の援助を受けてなされた。
技術分野
本発明は、一般に、ポリケチド(polyketide)およびポリケチドシンターゼに関する。さらに特定すると、本発明は、無細胞系(cell−free system)を用いる、ポリケチドおよびポリケチドのライブラリーを生成する新規な方法に関する。
発明の背景
ポリケチドは、天然生成物の大きな、構造的に多様なファミリーである。ポリケチドは、抗生物質的特性および薬理学的特性を含む広範な生物学的活性を有する。例えば、ポリケチドは、テトラサイクリンおよびエリスロマイシンのような抗生物質、ダウノマイシン(daunomycin)を含む抗ガン剤、免疫抑制剤(例えば、FK506およびラパマイシン(rapamycin))、ならびに獣医学用の生成物(例えば、モネンシン(monensin)およびアベルメクチン(avermectin))により代表される。
ポリケチドは、生物体の殆どの種類に存在し、そして菌糸型細菌の1クラスである放線菌に特に豊富である。この放線菌は、種々のポリケチドを産生する。ポリケチドシンターゼ(PKS)は、脂肪酸シンターゼ(FAS)に関連する多機能の酵素である。PKSは、アシルチオエステル(通常、アセチル、プロピオニル、マロニルまたはメチルマロニル)の間の(脱カルボキシル化)クライゼン(Claisen)縮合の繰り返しを介して、ポリケチドの生合成を触媒する。各縮合に続いて、これらは、成長するポリケチド鎖のβ−ケト基におけるケト還元、脱水、およびエノイル還元を含む還元サイクルの全て、または一部を触媒するか、あるいは全く触媒しないことにより、生成物に構造的可変性を導入する。PKSは、縮合サイクルの変更に加えて、全鎖長、プライマーおよび延長ユニットの選択、ならびに特に芳香族ポリケチドの場合は、発生期ポリケチド鎖の位置特異的環化を制御することにより、その生成物内に、多大な構造的多様性を導入する。炭素鎖が各特定の産生物の特徴的な長さまで成長した後、これは、チオリシス(thiolysis)またはアシル転移により、シンターゼから放出される。それゆえ、PKSは、所定のポリケチドを産生するために共に働く酵素のファミリーから構成される。天然に生じるポリケチドに見られる変化に寄与するのは、各PKSに遺伝的にプログラム化された、鎖長、鎖構成ユニットの選択、および還元サイクルの制御された変化である。
2つのPKSの一般的クラスが存在する。これらの分類は周知である。例えば、Hopwood,D.A.およびKhosla,C.,Secondary Metabolites:Their Function and Evolution(1992)Wiley Chichester(Ciba Foundation Symposium 171)pp.88−112を参照されたい。
1つのクラスは、タイプIまたはモジュラー(modular)PKSとして知られ、エリスロマイシンおよびアベルメクチンのような複合ポリケチドの生合成を触媒するPKSにより代表される。これらの「モジュラー」PKSは、いくかの多機能の大型タンパク質のアセンブリを含み、これらの大型タンパク質の間には、炭素鎖のアセンブリおよび修飾の各工程のための別々の活性部位のセットを有する(Cortes,J.ら、Nature(1990)348:176;Donadio,S.ら、Science(1991)252:675;MacNeil,D.J.ら、Gene(1992)115:119)。縮合および還元の1サイクルに必要な活性部位は、「モジュール」としてクラスター形成される(Donadioら、Science(1991),上記;Donadio,S.ら、Gene(1992)111:51)。例えば、6−デオキシエリスロノライドBシンターゼ(DEBS)は、3つの多機能性のタンパク質、DEBS1、DEBS2、およびDEBS3から構成され(Caffrey,P.ら、FEBS Letters(192)304:225)、これらのそれぞれが2つのモジュールを有する。(図1参照)。
以下に記載するように、モジュールは、少なくとも、成長するポリケチド鎖上への延長ユニットの縮合に必要な、最小の活性を含む。必要な最小の活性は、ケトシンターゼ(KS)、アシルトランスフェラーゼ(AT)、およびアシルキャリアタンパク質(ACP)である。還元サイクルまたは環化のような、更なる改変反応のための付加的な活性もまた、モジュールに包含され得る。構造的多様性は、これらのPKS中の活性部位の数およびタイプの変化からこのクラスのPKSに生じる。このクラスのPKSは、PKSの1次配列中の活性部位の数およびクラスタリングとポリケチド骨格の構造との間において、一対一の相互関係を示す。
第2のクラスのPKS、芳香族またはタイプII PKSは、単一のセットの反復して使用される活性部位を有する(Bibb,M.J.ら、EMBO J.(1989)8:2727;Sherman,D.H.ら、EMBO J.(1989)8:2717;Fernandez−Moreno,M.A.ら、J.Biol.Chem.(1992)267:19278)。Streptomycesは、芳香族ポリケチドの大量生産者である放線菌である。現在までに研究された各Streptomyces芳香族PKSでは、炭素鎖アセンブリは、3つのオープンリーディングフレーム(ORF)の産生物を必要とする。(図2参照)。ORF1は、ケトシンターゼ(KS)およびアシルトランスフェラーゼ(AT)の活性部位(KS/AT)をコードする;ORF2は、鎖長決定因子(CLF)、ORF1の産生物と類似したタンパク質をコードするが、KSおよびATモチーフを欠く;そしてORF3は、別のアシルキャリアタンパク質(ACP)をコードする。いくかの遺伝子クラスターはまた、発生期のポリケチド骨格の環化に関与するケトレダクターゼ(KR)およびシクラーゼ(cyclase)をコードする。しかし、同定可能なポリケチドを産生するためには、KS/AT、CLF、およびACPのみが存在する必要があることが見出された。
6−メチルサリチル酸PKSのような真菌類のPKSは、6−メチルサリチル酸の生合成に必要な活性部位をすべて含む単一の多領域ポリペプチドから構成される(Beck,J.ら、Eur.J.Biochem.(1990)192:487−498;Davis,R.ら、Abstr.of the Genetics of Industrial Microorganism Meeting,Montreal,abstr.P288(1994))。真菌類のPKSは、モジュラーおよび芳香族PKSの両方の特徴を取り込む。
Streptomyces coelicolorは、ブルーに着色したポリケチドであるアクチノロジン(actinorhodin)を産生する。アクチノロジン遺伝子クラスター(act)は、クローン化され(Malpartida,F.およびHopwood,D.A.Nature(1984)309:462;Malpartida,F.およびHopwood,D.A.Mol.Gen.Genet.(1986)205:66)、そして完全に配列決定された(Fernandez−Morenoら、J.Biol.Chem.(1992),上記:Hallam,S.E.ら、Gene(1988)74:305;Fernandez−Moreno,M.A.ら、Cell(1991)66:769;Caballero,J.ら、Mol.Gen.Genet.(1991)230:401)。このクラスターは、上記のPKS酵素、シクラーゼおよびアクチノロジンを導く連続する修飾反応に関わる一連の調整酵素、ならびにこの抗生物質の搬出に関わるタンパク質およびこの遺伝子クラスターの転写を特異的に活性化させる少なくとも1つのタンパク質をコードする。抗生物質の生合成の全体的な制御、ならびにポリケチド生合成の出発ユニット(アセチルCoA)および延長ユニット(マロニルCoA)の供給のために必要とされる他の遺伝子は、ゲノム中の他の部位に位置する。
S.coelicolor由来のact遺伝子クラスターは、S.parvulusでアクチノロジンを産生するために使用されている。Malpartida,F.およびHopwood,D.A.Nature(1984)3 09:462)。
Bartelら(J.Bacteriol.(1990)172:4816−4826)は、4つの遺伝子座act I、act III、act IVおよびact VIIからなるS.coelicolor act遺伝子クラスターで形質転換されたS.galilaeusを用いて、アロエサポナリン(aloesaponarin)IIを組換えにより産生した。基本act遺伝子を含むが、グラナチシン(granaticin)、オキシテトラサイクリン、テトラセノマイシン(tetracenomycin)およびフレノリシン(frenolicin)のPKS由来のACP遺伝子を有するハイブリッドPKSもまた、設計され、これらは、機能性のシンターゼを発現し得る。Khosla,Cら、J.Bacteriol.(1993)175:2197−2204.Hopwood,D.A.ら(Nature(1985)314:642−644)は、組換え技術を用いるハイブリッド芳香族ポリケチドの産生を記載している。Sherman,D.H.ら(J.Bacteriol.(1992)174:6184−6190)は、トランスで、S.violaceoruber由来の対応するグラナチシン(gra)遺伝子を用いる、act PKS遺伝子クラスターの異なる成分を欠いている種々のS.coelicolor変異体の形質転換を報告している。
モジュラー(タイプI)PKSによる複合体ポリケチド生合成のための上記モデルは、放射性同位体および安定同位体標識実験、異種の発現、定方向突然変異誘発、ならびに部分的に活性なタンパク質に関するインビトロでの研究によって実証されているが、複合体ポリケチドの無細胞の酵素学的合成は、30年以上にわたる尽力(Caffreyら、FEBS Letters(1992)、上記;Aparicio,J.F.ら、J.Biol.Chem.(1994)269:8524;Bevitt,D.J.ら、Eur.J.Biochem.(1992)204:39;Caffrey,P.ら、Eur.J.Biochem.(1991)195:823);Leadlay,P.F.ら、Biochem.Soc.Trans.(1993)21:218;Marsden,A.F.A.ら、Science(1994)263:378;Wawszkiewicz,E.J.ら、Biochemische Z.(1964)340:213;Corcoran,J.W.ら、Proc.5th Int.Congr.Chemother.(Vienna,1967),Abstracts of Communications,p.35;Corcoran,J.W.ら、Antibiotics IV.Biosynthesis(1982)Corcoran.J.W.編(Springer−Verlag,New York)p.146;Roberts,G.FEBS Lett.(1983)159:13;Roberts,G.ら、Biochemical Soc.Trans.(1984)12:642;Hunaiti,A.A.ら、Antimicrob.Agents.Chemother.(1984)25:173))にもかかわらず未だに成功していない。これは、これらの大型で発現しにくい多機能タンパク質の完全活性型(fully active form)を天然に存在する生産者生物体から単離することの困難さに一部起因し、また、ポリケチド生合成の際に形成される中間体(intermediates)の相対的な不安定さに一部起因する。例えば、上記3つのDEBSタンパク質は、これまでに、天然の生産者生物体であるSaccharopolyspora erythraesからそれぞれ精製されている(Caffreyら、FEBS Letters(1992)、上記;Aparicioら、J.Biol.Chem.(1994)、上記;Bevittら、Eur.J.Biochem.(1992)、上記;Caffreyら、Eur.J.Biochem.(1991)、上記;Leadlayら、Biochem.Soc.Trans.(1993);Marsdenら、Science(1994)、上記)。上記精製された酵素の研究は、それらの酵素の立体特異性の解明を促進し、2S−メチルマロニル−CoAが6つのアシルトランスフェラーゼ部位の全てに対する延長基質であることを示し(Marsdenら、Science(1994)、上記)、これにより、メチル分岐センター(methyl−branched centers)の異なる構成が、特異的な酵素結合中間体の選択的なエピマー化に起因することを示唆した。しかし、完全な代謝回転アッセイ(full turnover assay)の欠如により、これらの研究者は、酵素複合体のメカニズムをより詳細に精査することができなかった。
これらの制限のいくつかを克服すべく、E.coli(Aparicioら、J.Biol.Chem.(1994)、上記;Bevittら、Eur.J.Biochem.(1992)、上記;Caffreyら、Eur.J.Biochem.(1991)、上記;Leadlayら、Biochem.Soc.Trans.(1993);)およびS.coelicolor(Kao,C.M.ら、Science(1994)265:509;国際公開第WO 95/08548号(1995年3月30日公開))のような異種宿主中でモジュラーPKSサブユニットが発現されている。E.coli中で発現したタンパク質は完全には活性でないが、インビボでの6−デオキシエリスロノリド(「6−DEB」)の産生によって実証されるように、S.coelicolor中での異種発現によって活性タンパク質の産生が行われた。6−メチルサリチレートシンターゼ(Dimroth,P.ら、Eur.J.Biochem.(1970)1 3:98;Beck,J.ら、Eur.J.Biochem.(1990)192:487);Spencer J.B.ら、Biochem.J.(1992)288:839)、カルコンシンターゼ(Lanz,T.ら、J.Biol.Chem.(1991)266:9971(1991))およびテトラセノマイシンシンターゼ(Shen,B.ら、Science(1993)262:1535)のようなより単純なPKSからのポリケチドの無細胞の酵素学的合成が報告されている。
しかし、今日に至るまで、モジュラーPKSからのポリケチドの無細胞の酵素学的合成を記載した者、あるいは無細胞系を用いて異なるポリケチドの多様性を含むライブラリーを生成した者はいない。
発明の要旨
本発明は、新規および公知の両方のポリケチドを生成する方法を提供する。1つの実施態様において、モジュラーPKSを含む無細胞系は、適切な基質セットとインキューベートすると、ポリケチドの合成を達成する。
他の実施態様において、本発明は、無細胞系を用いることによって複数の異なるポリケチドを含むライブラリーを合成する方法、およびこれらのライブラリーを生成するための無細胞サブ系のマトリックスに関する。
従って、1つの局面において、本発明は、無細胞系内にモジュラーポリケチドシンターゼの少なくとも2つのモジュールを含む1つまたはそれ以上のタンパク質を提供する工程と、少なくとも1つの開始ユニットおよび少なくとも1つの延長ユニットを該系に添加する工程と、該開始ユニットおよび該延長ユニットを含む該無細胞系を、該ポリケチドが合成される条件下でインキュベートする工程と、該ポリケチドを該無細胞系から必要に応じて回収する工程とを包含する方法に関する。
他の局面において、本発明は、それぞれが、少なくとも1つの延長ユニットの開始ユニット(成長ポリケチド鎖を含む)へのカップリングを達成する酵素活性を含む1つまたはそれ以上のポリケチドシンターゼタンパク質を含む一連の無細胞サブ系を含むポリケチドライブラリーを生成するためのマトリックスであって、該サブ系のそれぞれは、少なくとも1つの開始ユニットおよび少なくとも1つの延長ユニットを含み、ここで、少なくとも1つの酵素活性または少なくとも1つの延長ユニットまたは少なくとも1つの開始ユニットが該遺伝子内の各サブ系間で異なるマトリックスに関する。
他の局面において、本発明は、これらのマトリックスを用いてポリケチドのライブラリーを調製する方法に関する。
さらに他の局面において、本発明は、所望のポリケチドを生成する方法であって、機能性モジュラーポリケチドシンターゼ(PKS)、またはその機能性部分を提供する工程であって、ここで、該PKSは、天然の第1モジュール開始ユニットでロードされ得ず、または一旦ロードされると、該PKSは、延長ユニットの該第1モジュール開始ユニットへの縮合を触媒し得ずポリケチド中間体を生成し得ない、工程と、該PKSの基質である開始ユニットを該系に添加する工程と、該ポリケチドが合成される条件下で、該PKSおよび該開始ユニット基質を含む該系をインキュベートする工程と、該ポリケチドを必要に応じて回収する工程とを包含する方法に関する。
さらに別の局面において、本発明は、天然の第1モジュール開始ユニットでロードされ得ず、または一旦ロードされると、延長ユニットの該第1モジュール開始ユニットへの縮合を触媒し得ず、ポリケチド中間体を生成し得ない、機能性モジュラーポリケチドシンターゼ系またはその機能性部分に関する。
【図面の簡単な説明】
図1は、6−DEB(1)の生成を触媒するモジュラーPKSクラスターの組織化(organization)の図である。
図2は、典型的な芳香族PKS遺伝子クラスターの図である。
図3Aは、pCK12由来のDEBS 1+2+チオエステラーゼ(DEBS 1+2+TE)あるいはpCK7由来のDEBS1,2,および3の複合体を含むタンパク質画分のクーマシーブルー染色した5%アクリルアミドゲルを図示する。レーンI a、I bおよびI cは、精製工程1の後(a)、工程2の後(b)、および工程3の後(c)のDEBS 1+2+TEを示す。レーンII a、II b、II c、II dおよびII eは、工程1の後(a)、工程2の後(b)、工程3の後(c)、(d)および(e)のDEBS 1,2,および3を溶出量の昇順で示す。
図3Bは、14Cで標識した開始ユニット[1−14C]プロピオニル−CoA(20μM)(レーンI aおよびII a)、[1−14C]ブチリル−CoA(160μM)(レーンI bおよびII b)、[1−14C]アセチル−CoA(40μM)(レーンI cおよびII c)、ならびにヨードアセトアミド(1Mm)を用いた30分間のプレインキュベーションの後の[1−14C]プロピオニル−CoA(20μM)(レーンI d)による、DEBS 1,2,および3(レーンI a〜I d)またはDEBS 1+2+TE(レーンII a〜II c)の共有結合改変(covalent modification)を示すオートラジオグラムを図示する。
図4は、14Cで標識した6−DEB(1)およびトリケチドラクトン(2)のインビトロ合成を示すオートラジオグラムを図示する。
図5は、DEBS 1+2+TEによる[1−13C]プロピオニル−CoAのトリケチドラクトン(2a)への変換(a)およびDEBS 1+2+TEによる[2,3−13C2]−(2S,3R)−2−メチル−3−ヒドロキシペンタノイル−NACチオエステル(3)トリケチドラクトン(2b)の変換(b)を図式化したものである。
図6Aは、別の基質(substrates)のポリケチド産物への組込みを示す薄層クロマトグラフィー−オートラジオグラムを図示する。レーンI bは、推定上のC10−ラクトンホモログ(5)(図5B参照)、Rf=0.36(矢印1で示す)を含む。レーンII bは(4)(図5B参照)、化合物(4)の標準サンプルのRfと同一のRf=0.23(矢印2で示す)を含む。
図6Bは、DEBS 1+2+TEによるアセチル−CoAの化合物(4)への変換(a)、およびDEBS 1+2+TEによるブチリル−CoAの化合物(5)への提案された変換(b)を図式化したものである。
発明の詳細な説明
本発明は、新規かつ公知のポリケチド(polyketide)の合成ならびにポリケチドライブラリーの合成のために無細胞(cell−free)系を提供する。モジュラーポリケチド合成の場合、これらの酵素を用いたポリケチドの無細胞生成は、今まで達成されていなかった。しかし、上記のように、特定の芳香族合成によるポリケチドの無細胞合成は達成されているが、これらの系はポリケチドのライブラリーを構築するのには使用されていない。このライブラリーは、薬理学的または他の活性についてスクリーニングされるべき化合物の供給源として有用である。
このようなライブラリーの構築のための無細胞系の使用は、いくつかの利点を有する。第1に、透過性の問題が排除され、その結果、そうでなければ細胞を透過しないため有効でない基質を使用することができる。第2に、差動的(differential)な透過性により生成物の可変性が排除される。第3に、別の代謝事象(metabolic event)が最小化されるか、または除去され、その結果反応はきれいに進行して、基質をポリケチド生成物に変換する。第4に、ポリケチドシンターゼ遺伝子が発現されそしてポリケチドが生成される条件を調節する、より大きな可能性がある。例えば、所定のポリケチドの合成に通常は有用であるコファクター(例えば、NADPH)が、供給されてもよく、または抑制されてもよい。最後に、基質をシンターゼに提供するための細胞メカニズムが排除されるため、所定のシンターゼについて「非天然」の基質を使用可能である。ライブラリーを作製するために無細胞系を使用することの結果、産生(生成)が細胞内合成に限定される場合に可能なよりも多くの種類のポリケチドが、合成され得る。
ポリケチドシンターゼタンパク質を含む特定の無細胞系が与えられると、最終的に生成されるポリケチドの性質は、提供される基質に依存し、そしてコファクターに関する条件などに依存する。所定のPKSタンパク質の補体により所定の無細胞系についての可能性を探索するためには、無細胞系をこれらの因子の変化により「サブ系」に細分することが有利である。作動可能にするために、無細胞系またはサブ系は、「開始ユニット」上への「延長ユニット」の縮合を達成するのに十分な酵素的活性とともに、ポリケチドシンターゼタンパク質を含まなければならない。ここで、「開始ユニット」は、成長ポリケチド鎖を含み得る。無細胞系は、開始および延長ユニットのより大きな乱交雑性(promiscuity)を提供するので、様々な開始および延長ユニットを含むたくさんのサブ系ならびに様々な(differing)条件により、対応する様々なポリケチドをもたらし得る。
本出願に使用する、「開始ユニット」は、付加的なClaisen縮合が達成され得る物質をいう。開始ユニットは、本来的(natively)に開始ユニット(starter)とみなされるものであってもよく、またはネイティブな状態では中間体成長ポリケチド鎖であるものであってもよい。「第1モジュール開始ユニット」は、PKSの第1のモジュールの適切な活性部位上にロードされ得るアシルチオエステルである。「天然の開始ユニット」は、PKSによる延長の際に、天然のポリケチド生成物を生成するアシルチオエステルである。「非天然開始ユニット」は、PKSによる延長の際に、通常は、代謝の間にPKSにより生成されるもの以外のポリケチド生成物を生成するアシルチオエステルである。
インビトロ条件下における開始ユニットについてのモジュラーPKSの緩和された特異性は、Pieperら、Nature(1995)378:263−266により報告されている。公知の開始ユニットには、例えば、アセチル−CoA、プロピオニル−CoA、ブチリル−CoA、イソブチリル−CoA、シクロヘキサノイル−CoA、アミノヒドロキシベンゾイル−CoA、および中間体ポリケチド鎖が含まれる。さらに、延長ユニットは、開始ユニットの供給源として使用され得る(Pieperら、Biochem.(1996)35:2054〜2060を参照のこと)。従って、ポリケチドを生成し得る系において、その系で使用される開始ユニットおよび延長ユニットは、同じであってもよく、違ってもよい。
次いで、開始ユニットは、無細胞系またはサブ系に含まれるシンターゼの活性により延長される。延長ユニットは、成長ポリケチドのカルボキシ末端に付加され、そして延長ユニットの性質は、アシルトランスフェラーゼ(AT)活性により決定される。適切な延長ユニットは、マロニル−CoA、メチルマロニル−CoA、およびエチルマロニル−CoAを含む。配列の比較により、マロニル−CoA−特異的ATおよびメチルマロニル−CoA−特異的ATの特性が同定されている(Haydockら、FEBS Lett.(1995)3 74:246−248)。メチルマロニル−CoAまたはエチルマロニル−CoAが延長ユニットとして使用される場合、キラル中心は縮合(condensation)中に生成される。
芳香族のまたはモジュラーPKS系のいずれかにおいて発生する還元性サイクルは、適切なケトレダクターゼ(KR)活性の存在ならびにインビトロ系中での反応条件の両方に依存する。還元性活性の非存在により、ケトンを得;還元は、キラル中心を含むアルコールを生成する。デヒドラターゼ(DH)活性も存在する場合、アルケンがもたらされ、これはキラル中心を排除する。加えて、エノイル(enoyl)レダクターゼ活性が存在してもよく、これはβ−ケト基をメチレン基に還元する。従って、延長ユニットの単一の縮合について5つの理論的に可能な還元性サイクルが得られる。このバリエーションは、用いられるべき無細胞系におけるコファクター条件、およびタンパク質の性質の両方により達成される。
環化、芳香族化、鎖長限定などをもたらす、様々な他の触媒的活性は、主に、シンターゼタンパク質の性質により決定される。
従って、ケチドの生成についての無細胞系のアベイラビリティーは、シンターゼの性質、延長ユニットの性質、開始ユニットの性質および条件の性質を変化させることによりポリケチドのライブラリーを生成する独特の機会を提供する。単純なマトリックスが想定され、それにより、様々のシンターゼ触媒的活性を有するが、最低でも開始ユニット(さらなるClaisen縮合を介する成長ポリケチド鎖を含む)を延長する能力を有する無細胞系が、用いられ得る。これらの無細胞系はそれぞれ、サブ系に細分され得、ここで残りの変数が操作されて、合成の最終的な結果を達成する。従って、同一のポリケチドシンターゼ活性を有する一連のサブ系は、ポリケチドの多様性をもたらすように、異なる開始ユニット、異なる延長ユニットを供給され得、そして異なる条件下でインキュベートされ得る。類似のバリエーションが、異なるPKS活性を有する無細胞系のサブ系に関して用いられ得、そしてマトリックスをもたらし、ここで1つの次元は、無細胞系そのものの性質を変化させるとして想定され得、そして他の次元は、基質および条件のバリエーションを含む。
A.定義
本発明を記載する際に、次の用語が使用され、そして以下に示すように定義されることが意図される。
「無細胞系」とは、細胞溶解物、細胞抽出物または他の調製物を意図し、ここで、調製物中の実質的に全ての細胞が破壊されまたはそうでなければ処理され、その結果すべてもしくは選択された細胞成分(例えば、オルガネラ、タンパク質、核酸、細胞膜自身(またはそれらのフラグメントもしくは成分)など)が細胞から放出され、または適切な培地中に再懸濁され、そして/または細胞環境(cellular milieu)から精製される。無細胞系は、もちろん、精製もしくは単離されたタンパク質および適切な試薬および緩衝液から調製された反応混合物を含む。
「無細胞サブ系」とは、無細胞系の一部のいずれか(すなわち、所定の組成物が、独立した触媒のために2つかそれより多くの別々のコンパートメントに効果的に細分化される際にもたらされるか、あるいはポリケチドシンターゼ酵素活性の同じ補体を含む反応混合物である際にもたらされる無細胞系)を意味する。従って、所定の「無細胞系」の「サブ系」は、異なる基質もしくは条件による比較において異なり得るが、同じ触媒ポリケチドシンターゼ活性を含む。
「精製された」もしくは「単離された」とは、ポリペプチドまたはヌクレオチド配列についていうときは、示された分子が、自然において分子が通常集合(associate)している生物体の全体から分離してそれして個別であることを意味する。従って、無細胞抽出物に含まれるタンパク質は、無細胞抽出物からタンパク質がさらに精製されるように、「精製された」もしくは「単離された」タンパク質を構築する。加えて、「精製された」または「単離された」タンパク質とは、合成によりもしくは組換えにより生成され、そして必要に応じて、宿主細胞から精製された、タンパク質をいう。「単離された」ヌクレオチド配列は、自然において見出される配列を有する生物体の全体から分離しそして個別であるヌクレオチド配列;あるいは自然において通常それと会合する配列の全体もしくは一部を欠く配列;あるいはそれが自然に存在しながらも、異種の配列(以下に定義する)がそれと会合する配列である。
モジュラーPKS遺伝子クラスターまたはモジュラーポリケチドシンターゼの単一の「モジュール」とは、コードするために十分な遺伝子クラスターの部分または単一の延長ユニットの開始ユニットもしくは成長ポリケチド鎖への縮合を達成するために必要な活性を少なくとも有するために十分なポリケチドシンターゼの部分をいう。従って、必要な最小活性は、ケトシンターゼ(KS)、アシルトランスフェラーゼ(AT)およびアシルキャリアタンパク質(ACP)を含む。これらの3つの活性のすべては、単一の延長ユニットの成長ポリケチド鎖上への縮合に必要である。ポリケチドの効果的な合成のための少なくとも1つのモジュールは、濃縮開始(initial condensation)を達成するために、さらなるATおよびACPを含まなければならない。加えて、そして必要に応じて、モジュールはケトレダクターゼ活性(KR)、シクラーゼ、デヒドラターゼ(DH)、エノイルレダクターゼ(ER)および/またはチオエステラーゼ(TE)を含み得る。
芳香族ポリケチド合成のネイティブな形態において、必要な活性の部分は、異なるタンパク質に発生し得る。芳香族ポリケチドシンターゼの場合もまた、単一の延長ユニットの開始ユニットもしくは成長ポリケチド上への縮合を達成するために、ケトシンターゼ(KS)、アシルトランスフェラーゼ(AT)およびアシルキャリアタンパク質(ACP)は、存在しなければならない。還元、環化、芳香族化およびさらなる誘導体化に関連する様々な活性もまた存在し得る。少なくとも1つの鎖長制限因子(CLF)もまたなければならない。
「PKS遺伝子クラスター」および「PKS遺伝子セット」という表現は、交換可能に(interchangeably)使用されて、宿主細胞において、以下に定義される1つまたはそれ以上の適合性制御エレメントの支配下にある場合に、機能性PKSを生成し得るPKS遺伝子のあらゆるセットを意味する。機能性PKSは、少なくとも1つの延長ユニットの成長ポリケチド上への縮合を触媒するもの、すなわち、少なくとも1つの機能性モジュールを有するものであるか、あるいはインビボもしくはインビトロのいずれかにおける延長機能を触媒するものである。従って、「PKS遺伝子クラスター」は、対応する天然クラスターに見出される全ての遺伝子を包含する必要はない。
さらに、クラスターは、単一種由来のPKS遺伝子を含み得、または例えば、別のポリケチドの合成のためのクラスター由来の対応するコーディング配列で置換された特定のポリケチドの合成のためのクラスター由来のコーディング配列との天然のハイブリッドであり得る。ハイブリッドクラスターは、モジュラーおよび芳香族のPKSのいずれかもしくは両方の由来の遺伝子を含み得る。遺伝子クラスターに含まれる遺伝子はネイティブな遺伝子である必要はないが、これらの変異体またはアナログであり得る。変異体またはアナログは、コーディング配列の1つまたはそれ以上のヌクレオチドの欠失、挿入または置換により調製され得る。ヌクレオチド配列を改変する技術(例えば、部位特異的変異誘発)は、例えば、Sambrookら、前出;DNA Cloning,第IおよびII巻、前出;Nucleic Acid Hybridization,前出に記載されている。
「PKS遺伝子クラスター」はまた、PKSにより生成されるコアポリケチドへの改変をコードする遺伝子を含有し得、これらの遺伝子には、例えば、天然の生成物経路からのポスト−ポリケチド合成酵素(例えば、O−メチルトランスフェラーゼおよびグリコシルトランスフェラーゼ)をコードする遺伝子が挙げられる。「PKS遺伝子クラスター」は、さらに、ヒドロキシラーゼ、メチラーゼまたは他のアルキラーゼ、オキシダーゼ、レダクターゼ、グリコトランスフェラーゼ、リアーゼ、エステルシンターゼまたはアミドシンターゼ、および種々のヒドロラーゼ(例えば、エステラーゼおよびアミダーゼ)をコードする遺伝子が挙げられ得る。
以下にさらに説明されるように、PKS遺伝子クラスターに含まれる遺伝子は、同じプラスミドに存在する必要がないか、または同じプラスミドに存在するならば、同じまたは異なる制御配列により制御され得る。
「宿主細胞」は、単細胞統一体として培養される原核微生物または真核細胞株由来の細胞および子孫ならびにそれらの培養物(culture)であり、これは、本発明のPKS遺伝子クラスターを有する組換えベクターの受容体として使用され得るか、または使用されてきた。単一の親細胞の子孫は、偶発的または故意の変異のため、その形態学またはゲノムDNAもしくは全DNA相補物が、必ずしも元の親細胞と完全に同一であり得ないことが理解される。関連の特性(例えば、所望のPKSをコードするヌクレオチド配列の存在)により特徴づけられる親細胞と十分に類似するこの親細胞の子孫は、この定義に含まれ、そして上記用語によりカバーされる。
用語「異種の」は、これがコーディング配列および制御配列のような核酸配列に関する場合には、通常なら組換え構築物の領域と会合しない配列、および/または、通常なら特定の細胞と会合しない配列を示す。それゆえ、核酸構築物の「異種の」領域は、他の分子と天然に会合している状態で見出されていない他の核酸分子内の、あるいはこの核酸分子に結合した核酸の同定可能なセグメントである。例えば、構築物の異種の領域は、コーディング配列と天然に会合している状態で見出されていない配列により隣接されるコーディング配列を包含し得る。異種のコーディング配列の他の例は、このコーディング配列自体が自然には見出されない構築物(例えば、ネイティブな遺伝子とは異なるコドンを有する合成配列)である。同様に、宿主細胞に通常存在しない構築物で形質転換された宿主細胞は、本発明の目的のための異種であると考えられる。本明細書中で使用されるように、対立遺伝子変化または天然に起こる変異事象は、異種DNAを生成しない。
「コーディング配列」またはタンパク質もしくはペプチドを「コードする」配列は、適切な調節配列の制御下に置かれるときに、インビトロまたはインビボで、mRNAに転写されるか(DNAの場合)、またはポリペプチドに翻訳される(mRNAの場合)核酸配列である。
「制御配列」とは、プロモーター配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化シグナル、転写終結配列、上流調節ドメイン、エンハンサーなどを集合的に意味し、これらは、宿主細胞において、コーディング配列の転写および/または翻訳を集合的に提供する。所望の遺伝子が転写かつ翻訳され得る限り、これらの制御配列の全ては必ずしも組換えベクターに存在する必要がない。
「作動可能に連結される」とは、エレメントの配置を意味し、ここで、このように記載される成分がこれらの通常の機能を果たすように配置される。それゆえ、コーディング配列に作動可能に連結される制御配列は、このコーディング配列の発現をもたらし得る。制御配列は、これらがその発現を指向するのに機能する限り、コーディング配列と隣接する必要はない。それゆえ、例えば、翻訳されていないが転写はされた介在配列がプロモーター配列とコーディング配列との間に存在し得、そしてプロモーター配列はなお、コーディング配列に「作動可能に連結されている」と考えられ得る。
ポリケチドの「ライブラリー」または「組合わせライブラリー」は、複数の異なるポリケチドの集合(collection)を意味することを意図する。ライブラリーのメンバーの相違は、それらが、芳香族の、モジュラーの、または真菌のPKSからの変異体遺伝子、相同遺伝子、またはネイティブ遺伝子の任意の組み合わせを含む、異なるPKS無細胞系により生成されたことから生じ得る。ライブラリーのメンバーの相違はまた、異なる開始ユニット、延長ユニットおよび条件の使用から生じ得る。ライブラリーを生成するために使用される、無細胞系におけるPKSは、単一の系(例えば、act、fren、gra、tcm、whiE、gris、eryなど)からの由来であり得、そして必要に応じてさらなるポリケチドの改変を触媒する能力のある、改変酵素をコードする遺伝子を含み得る。あるいは、シンターゼ活性の組み合わせは、合理的にまたは確立論的に、シンターゼの近縁(assortment)からの由来であり得る。例えば、シンターゼ系は、act PKSからのKS/AT成分、gra PKSからのCLF成分、およびfren PKSからのACP成分を含むように構築され得る。シンターゼは、必要に応じて、他の酵素的活性も同様に含み得る。
従って、ライブラリー中のポリケチドの多様性は、シンターゼの性質を変化させることまたはポリケチドを構築するために使用される基質の性質を変化させること、あるいはそれらの両方から生じ得る。好ましくは、ライブラリーは、シンターゼ系の性質を1つの次元において変更させ、そして基質の性質および/またはインキュベート条件を他方の次元において変更させるマトリックスの培養の結果として生成される。このように生成されるポリケチドのライブラリーは、生物学的、薬理学的または他の活性についてテストまたはスクリーニングされ得る。
「任意の」または「任意に(必要に応じて)」とは、次に記載される事象または情況が起こり得るかまたは起こり得ないこと、およびその記載は上記事象または情況が起こる例および起こらない例を含むことを意味する。例えば、表現「さらに任意に精製される」とは、さらなる精製が行われてもまたは行われなくてもよく、そしてその記載はそのようなさらなる精製の実施および不実施の両方を包含することを意味する。
B.一般的方法
本発明の方法により生成されたポリケチドは、問題のポリケチドのタイプに依存して、多くの障害を処置するための治療薬としての使用のためにスクリーニングされ得る。例えば、本発明の方法により生成されたポリケチドのいくつかは、免疫抑制剤、抗腫瘍剤としての用途、ならびにウイルス、細菌、および寄生虫感染の処置のための用途が見出され得る。
本発明の、無細胞系の使用により、広範囲の種々のポリケチドが候補として合成され得る。上記で説明したように、無細胞技術の使用は、基質の選択における、より大きな柔軟性、および所望のポリケチドの合成における、代謝反応の競合からのより少ない干渉を可能にする。無細胞系でポリケチドを生成する能力はまた、PKSおよびそれらの作用の機構の特徴付けのための強力な道具を提供する。
本発明の実施は、他に指示がない限り、化学、微生物学、分子生物学および組換えDNA技術の当該分野の技術範囲内で慣用の方法を利用する。このような技術は、文献に十分に説明されている。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(最新版);DNA Cloning:A Practical Approach,第I巻およびII巻(D.Glover編);Oligonucleotide Synthesis(N.Gait編、最新版);Nucleic Acid Hybridization(B.HamesおよびS.Higgins編、最新版);Transcription and Translation(B.HamesおよびS.Higgins編、最新版);H.O.House,Modern Synthetic Reactions,第2版(Menlo Park,CA:The Benjamin/Cummings Publishing Company,1972);およびJ.March,Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechnisms and Structure,第4版(New York:Wiley−Interscience,1992)を参照のこと。
前出または後出に関わらず、本明細書中で引用されている全ての出版物、特許および特許出願は、その全体が本明細書中で参考として援用されている。
本明細書および添付の請求の範囲で用いられるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈にて他に明らかに指示がない限り、複数形を包含する。従って、例えば、「ポリケチドシンターゼ(a polyketide synthase)」との表示は、ポリケチドシンターゼの混合物を包含し、「PKS酵素(a PKS enzyme)」との表示は、このような酵素の混合物を包含する、などである。
1.PKSの組換え産生
本発明は、特に機能的モジュラーPKS酵素の有為な量の産生および単離のために、これらの酵素の産生のために組換えベクターで形質転換された宿主細胞を使用する。芳香族およびハイブリッドのPKSもまた、このような方法で産生し得る。宿主細胞は、それらの天然に存在するPKS遺伝子を実質的に欠失した、遺伝子的に操作された細胞であり得る。
無細胞系で効果的な機能的PKS酵素の産生のための宿主細胞は、組換えPKS遺伝子クラスターを宿す能力を有する任意の生物に由来し得、原核生物または真核生物のいずれにも由来し得る。しかし、好ましい宿主細胞は、多くのポリケチドの大量産生株である菌糸型細菌の1クラスである放線菌から構築される宿主細胞である。PKSの産生における使用のための特に好ましい属は、Streptomycesである。従って、例えば、S.ambofaciens、S.avermitilis、S.azureus、S.cinnamonensis、S.coelicolor、S.curacoi、S.erythraeus、S.fradiae、S.galilaeus、S.glaucescens、S.hygroscopicus、S.lividans、S.parvulus、S.peucetius、S.rimosus、S.roseofulvus、S.thermotolerans、S.violaceoruberは、とりわけ、都合の良い宿主細胞を提供し、中でも、S.coelicolorが好ましい。(例えば、Hopwood,D.A.およびSherman,D.H.Ann.Rev.Genet.(1990)24:37−66;O'Hagan,D.The Polyketide Metabolites(Ellis Horwood Limited,1991)の種々のポリケチド産生生物およびこれらの天然産物に関する記載を参照のこと)。
上記の細胞は、標準の技術(例えば、相同組換え)を用いて、この細胞から天然に生じるPKS遺伝子を欠失させることにより、遺伝子操作され得る。(例えば、Khosla,C.ら、Molec.Microbiol.(1992)6:3237を参照のこと)。例えば、S.coelicolorのネイティブ株は、芳香族ポリケチドアクチノロジン(actinorhodin)の生合成を触媒するPKSを産生する。S.coelicolor CH999株(WO 95/08548(前出)に記載されている)は、内因性プラスミドを欠き、そして他の色素性S.coelicolor抗生物質であるウンデシルプロジギオシン(undecylprodigiosin)の生合成をブロックする安定な変異を有する株であるS.coelicolor CH1の染色体から、天然actクラスター全てを相同組換えによって欠失させることにより構築された(Khoslaら、Molec.Microbiol.(1992)、前出)。
上記の宿主細胞は、1つまたはそれ以上のベクターで形質転換され得、延長ユニット(extender unit)の縮合をもたらすのに十分な少なくとも1セットの機能的なPKS活性、またはこの活性を有するPKSに関連した配列のランダムな組合せを含むカクテルを集合的にコードする。このベクターは、PKSのサブユニットまたはカクテル成分のネイティブまたはハイブリッドの組み合わせ、あるいはそれらの変異体を包含し得る。
無細胞合成の実施のためのPKSの産生のために、組換えベクターが構築され得、これは、単一のPKS芳香族またはモジュラー遺伝子クラスター由来の遺伝子を含むか、または、例えば別の遺伝子クラスターからの対応する部分により置換された1つのクラスターからの遺伝子または遺伝子の一部を有する、ハイブリッドPKS遺伝子クラスターを含み得る。例えば、ACPは、産物の構造に影響を及ぼすことなく、異なる芳香族シンターゼの間で容易に交換可能であることが見出されている。さらに、与えられたKRは、異なる鎖長のポリケチド鎖を認識し、そして還元し得る。従って、これらのコード配列は、本明細書中の記載の構築物において自由に交換可能である。それゆえ、PKS酵素を産生するために用いられるPKS遺伝子クラスターは、少なくとも1つの延長ユニットを成長しているポリケチドへ縮合するPKSを産生するために最終的には機能するPKS遺伝子配列の任意の組合せ由来であり得る。
ハイブリッドクラスターの例には、とりわけ、2つまたはそれ以上の、act遺伝子クラスター、whiE遺伝子クラスター、フレノリシン(fren)、グラナチシン(gra)、テトラセノマイシン(tcm)、6−メチルサリチル酸(6−msas)、オキシテトラサイクリン(otc)、テトラサイクリン(tet)、エリスロマイシン(ery)、グリセウシン(griseusin)(gris)、ナナオマイシン(nanaomycin)、メデルマイシン(medermycin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、チロシン(tylosin)、カルボマイシン(carbomycin)、スピラマイシン(spiramycin)、アベルメクチン(avermectin)、モネンシン(monensin)、ノナクチン(nonactin)、クラマイシン(curamycin)、リファマイシン(rifamycin)およびカンジシジン(candicidin)シンターゼ遺伝子クラスターに由来するコード配列を有するクラスターが挙げられる。多くのハイブリッド遺伝子クラスターが、構築され、これらはact、fren、tcm、gris、およびgra遺伝子クラスターに由来する成分を有する(WO 95/08548を参照のこと)。いくつかのハイブリッドクラスターが、新規および公知のポリケチドの両方をS.coelicolor CH999において機能的に発現し得る。しかし、他のハイブリッド遺伝子クラスターが、上記のように、本明細書中の開示を用いて、容易に産生され得、そして同定可能なポリケチドの生成についてスクリーニングされ得る。
上記の遺伝子クラスター、またはPKS遺伝子、モジュール、活性部位もしくはそれらの部分のランダムな組合せを有する組換えベクターは、当該分野で公知の技術を用いて都合よく生成され得る。例えば、目的のPKSサブユニットは、PKSサブユニットを発生する生物から、組換え法を用いて、例えばこの遺伝子を発現する細胞由来のcDNAまたはゲノムライブラリーをスクリーニングすることにより、あるいはこの遺伝子を含むことが知られているベクターからこの遺伝子を得ることにより、得られ得る。次いでこの遺伝子は、標準の技術を用いて、単離されそしてその他の所望のPKSサブユニットと組み合わされ得る。問題の遺伝子がすでに、適切な発現ベクター中に存在する場合、それは、例えば、その他のPKSサブユニットとインサイチュで所望のように組み合わされ得る。目的の遺伝子はまた、クローン化よりもむしろ合成的に産生され得る。ヌクレオチド配列は、所望の特定のアミノ酸配列に対する適切なコドンを用いて設計され得る。一般に、その配列が発現される目的の宿主に好適なコドンが選択される。標準的な方法により調製された重複するオリゴヌクレオチドから完全な配列がアセンブリされ得、そして完全なコーディング配列にアセンブルされる。例えば、Edge(1981)Nature292:756;Nambairら、(1984)Science223:1299;Jayら、(1984)J.Biol.Chem.259:6311参照。
ネイティブのPKSサブユニット配列に対して変異が作成され得、そしてそのような変異体は、この変異体がその他のPKSサブユニットとともに機能し得、同定可能なポリケチドの合成を集合的に触媒し得る限り、ネイティブの配列の代わりに使用され得る。そのような変異は、例えば、変異を含む合成オリゴヌクレオチドを調製し、そして制限エンドヌクレアーゼ消化を用いてPKSサブユニットをコードする遺伝子中に変異した配列を挿入することによる従来技術を用いてネイティブな配列に作成され得る。(例えば、Kunkel,T.A.(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA82:448;Geisselsoderら、(1987)BioTechniques5:786を参照)。あるいは、変異は、ミスマッチプライマー(一般に長さ10〜20のヌクレオチド)を用いてなされ得、このプライマーは、ミスマッチした二本鎖の融解温度以下の温度で、ネイティブなヌクレオチド配列(一般にRNA配列に対応するcDNA)にハイブリダイズする。このプライマーは、プライマーの長さおよび塩基組成を比較的狭い限度内に保つことにより、および変異体塩基を中心に位置させることにより特異的に成し得る。ZollerおよびSmith、Methods Enzymol.(1983)100:468。プライマー伸長は、DNAポリメラーゼを用いて行われ、生成物はクローン化され、そしてプライマーが伸長した鎖の分離から得た変異DNAを含むクローンが選択される。選択は、ハイブリダイゼーションプローブとして変異体プライマーを用いて達成され得る。この技術はまた、複数の点変異を生成するために適用し得る。例えば、Dalbie−McFarlandら、Porc.Natl.Acad.Sci USA(1982)79:6409を参照。PCR変異誘発もまた、所望の変異をもたらすための使用を見い出す。
上記のように得られたヌクレオチド配列のランダム変異誘発は、当該分野で公知のいくつかの異なる技術、例えば制限エンドヌクレアーゼ部位内で配列を変えることにより、オリゴヌクレオチドリンカーをランダムにプラスミドに挿入することにより、X線または紫外線で照射することにより、インビトロDNA合成の間に不正確なヌクレオチドを取り込むことにより、誤りがちなPCR変異誘発により、合成の変異体を調製することにより、またはインビトロでプラスミドDNAを化学物質で損傷させることにより、達成され得る。化学的変異原には、例えば、重亜硫酸ナトリウム、亜硝酸、ヒドロキシルアミン、塩基を損傷または除去し、それにより正常な塩基対形成を妨害する試薬(例えば、ヒドラジンまたはギ酸)、ヌクレオチド前駆体のアナログ(例えば、ニトロソグアニジン、5−ブロモウラシル、2−アミノプリン)、またはアクリジンをインターカレートする試薬(例えば、プロフラビン、アクリフラビン、キナクリン)などが含まれる。一般的に、プラスミドDNAまたはDNAフラグメントは、化学物質で処置され、E.coli中に形質転換されそして変異プラスミドのプールまたはライブラリーとして増殖される。
ランダム酵素の変異型の大きな集団は、米国特許第5,521,077号(Khoslaら)に記載の「組換え増強変異誘発」を用いてインビボで構築され得る。
延長ユニットの縮合を触媒するのに少なくとも十分なPKSタンパク質を集合的にコードする遺伝子配列は、ネイティブなものであれ変異体であれ、当業者に公知の方法を用いて1つまたはそれ以上の発現ベクター中に挿入され得る。PKS遺伝子、モジュール、活性部位、またはそれらの部分のランダムな組合せを、発現ベクターに取り込むために、これらのカクテルが調製され得、そして当該分野で周知で、以下に詳細が記載される技術により、発現ベクターを生成するために調製され用いられ得る。発現ベクターは、所望のPKSコーディング配列に作動可能に連結された制御配列を含む。本発明に使用するための適切な発現系は、真核生物宿主細胞および原核生物宿主細胞において機能する系を含む。しかし、上記で説明したように、原核生物系が好適であり、そして特に、Streptomyces spp.と適合する系が特に重要である。そのような系で使用するための制御要素は、任意にオペレーター配列を含むプロモーター、およびリボソーム結合部位を含む。特に有用なプロモーターは、機能的PKS酵素が産生する結果となる、1つまたはそれ以上のactプロモーター、tcmプロモーター、スピラマイシンプロモーターなどのような、PKS遺伝子クラスター由来の制御配列を含む。しかし、ガラクトース、ラクトース(lac)およびマルトースのような糖代謝酵素由来のプロモーターのような、その他の細菌プロモーターもまた、本発明の構築物における使用を見い出す。さらなる例は、トリプトファン(trp)、βラクタマーゼ(bla)プロモーター系、バクテリオファージλPL、およびT5のような生合成酵素由来のプロモーター配列を含む。さらに、tacプロモーター(米国特許第4,551,433号)のような、合成のプロモーターもまた、天然には生じないが、細菌宿主細胞で機能する。
他の調節配列もまた所望され得、この配列は宿主細胞の成長に相関してPKS遺伝子の発現の調節を可能にする。調節配列は当業者に公知であり、そしてこの例としては、遺伝子の発現を、化学的または物理的刺激(調節化合物の存在を含む)に応答して開始(turn on)または停止(turn off)させる調節配列を含む。その他のタイプの調節エレメント(例えば、エンハンサー配列)もまたベクター中に存在し得る。
選択マーカーもまた、組換え発現ベクター中に含まれ得る。形質転換細胞株の選択において有用であり、そして一般に、細胞が適切な選択培地中で成長するとき、その発現が形質転換細胞上の選択可能な表現型を与える遺伝子を含む種々のマーカーが公知である。そのようなマーカーは、例えば、プラスミドに抗生物質の耐性または感受性を付与する遺伝子を含む。あるいは、いくつかのポリケチドは、本来着色されており、この特徴は、本発明の構築物により首尾良く形質転換された細胞(すなわち、これは単離され得、そして無細胞系でポリケチドを触媒的に調製するために用いられ得る機能的PKSを発現する)を選択するための生来の(built−in)マーカーを提供する。
目的の種々のPKSサブユニット、またはPKS遺伝子、モジュール、活性部位、またはそれらの部分のカクテルが、別個の制御エレメントとともに、または例えば単一プロモーターの制御下で1個のカセットとして、1つまたはそれ以上の組換えベクター中にクローン化され得る。PKSサブユニットまたはカクテル成分は、ハイブリッドPKSが生成され得るように、その他のPKSサブユニットまたはカクテル成分の容易な欠失および挿入を可能にするための隣接する制限部位を含み得る。そのような独特の制限部位の設計は当業者に公知であり、そして部位特異的変異誘発およびPCRのような、上記の技術を用いて達成され得る。
これらの技術を用いて、本明細書に記載の無細胞系での使用のためのPKS酵素の産生のためのシャトルベクターとして、プラスミドpRM5が構築された。プラスミドpRM5は、Pac IおよびNsi I制限部位に隣接するアクチノロジンPKSサブユニットをコードする遺伝子を含む。Pac IおよびNsi I部位に隣接するPKSをコードする新しいヌクレオチド配列は、アクチノロジンPKS遺伝子を容易に置換し得る。シャトルプログラムはまた、act KR遺伝子(act III)、シクラーゼ遺伝子(act VII)、および推定のデヒドラターゼ遺伝子(act IV)、ならびにColE Iレプリコン(E.coliの形質転換を可能にする)、適切な短縮型(truncated)SCP2*(低コピー数)Streptomycesレプリコン、およびactクラスター由来のact II−ORF4アクティベーター遺伝子(栄養菌糸において成長期から定常期への移行の間にactプロモーターからの転写を誘導する)を含む。pRM5は、多様なact I/act IIIプロモーター対を有する。
本発明の組換えベクターを適切な宿主中に導入する方法は、当業者に公知であり、そして代表的には、CaCl2または2価のカチオンおよびDMSOのようなその他の薬剤の使用を包含する。DNAはまた、エレクトロポレーションにより細菌細胞中に導入され得る。
次いで、機能的PKSタンパク質の発現系を含むように改変された細胞は、これらのタンパク質が産生される条件下で培養される。
2.無細胞系の調製
無細胞系で使用するためのポリケチドシンターゼタンパク質が、上記のように組換え的に調製されるべきである場合、関連のPKSタンパク質を産生する細胞は、所望のタンパク質が細胞内で産生される場合、必要に応じて収集されそして破壊される。しかし、発現系が、タンパク質を増殖培地に分泌する場合、タンパク質は、直接培地から精製され得る。
タンパク質が分泌されない場合、タンパク質は細胞溶解物から単離され得る。これは、一般的に、細胞成分およびいくつかの外来性のタンパク質を欠く粗製の抽出物を最初に調製することにより達成される。次いで、所望のタンパク質は、さらに(すなわち、カラムクロマトグラフィー、HPLC、免疫吸着剤技術、または当該分野で周知の他の従来の方法により)精製され得る。適切な増殖条件および回収方法の選択は、当該分野の技術範囲内である。
例えば、目的のPKSを発現する細胞は、所定の数の細胞を産生するために増殖され得る。細胞は、超音波処理、凍結融解サイクルなどの技術(これらにより、細胞膜が、破砕されて、粗製の無細胞の調製物を形成する)により、破壊され得る。粗製の無細胞の調製物は、この段階でPKSの供給源として用いられ得るか、またはさらに遠心分離、濾過などにより処理されて細胞上清を形成し得る。必要に応じて、核酸が、例えば、ポリエチレンイミンまたは他のPKSの酵素活性を妨害しない同様の試薬で沈澱させることにより、細胞上清から除去され得る。調製物は、この段階でPKSの供給源として用いられ得る。必要に応じて、PKSは、当業者に公知の技術によりさらに精製され得る。
ポリケチドのライブラリーの構築における使用のために、組換え的に産生されたポリケチドシンターゼタンパク質に加えて、単離されたネイティブ型が、いくつかの場合に用いられ得る。
単離されたPKSは、以下に例示するように、無細胞系でポリケチドを触媒的に合成するために用いられ得る。無細胞系は、適切な緩衝液中に、精製したPKSおよびポリケチドの触媒的合成に必要な基質を含む。PKSに依存して、開始基質ユニットは、例えば、アセチルCoA、マロンアミルCoA、プロピオニルCoA、ブチリルCoA、イソブチリルCoA、イソバレリルCoA、芳香族コエンザイムAチオエステル(例えば、ベンゾイルCoA、アミノベンゾイルCoA、アミノヒドロキシベンゾイルCoAなど)、ヘテロ環(例えば、チオフェンカルボキシルCoAなど)、および部分的に合成されたポリケチドを含み得る。あるいは、コエンザイムAチオエステルは、対応するN−アセチルシステアミンチオエステルによって置換され得る。延長ユニットには、例えば、マロニルCoA、メチルマロニルCoA、エチルマロニルCoA、および当業者に周知の他の同様の分子が含まれる。
単離または精製されたモジュラーポリケチドシンターゼを用いたポリケチドの合成のための無細胞系を提供することは、いままで不可能であった。本発明によれば、このような無細胞系が、これらの複合シンターゼにより生成されるポリケチドの生成のためにさえ提供される。
本明細書中で開示される無細胞系を用いて調製されるポリケチドは、薄膜クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、分析用および/または調整用ゲル電気泳動、カラムクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、核磁気共鳴(「NMR」)、質量分析、または当該分野で周知の他の従来の方法を含む当該分野で公知の任意の種々の技術(例えば、WO 95/08548を参照のこと)を用いて単離および同定され得る。
3.PKSおよびライブラリー設計における使用に関するさ らなる背景情報
上記の無細胞の調製物は、多数の異なるポリケチドを含むポリケチドライブラリーの構築において特に有用である。合成に必要なPKS触媒活性を含むタンパク質の変化によって含まれ得る変化を概説することは有用である。芳香族およびモジュラーおよび真菌のPKS由来のコーディング配列を組み合わせるハイブリッド系は得られ得るが、より詳細にこれらのPKSの作用の様態、および組合せの可能性を記載することは有益であり得る。説明を簡単にするために、芳香族、モジュラー、および真菌のPKS系は、別々に議論される。
一般的に、ポリケチド合成は、3つの段階で起こる。第一の段階において、PKSにより触媒されて、新生のポリケチド骨格が単体のCoAチオエステルから生成される。第2の段階において、この骨格は位置特異的に環化される。いくつかの環化反応がPKS自体によって制御されるが、他は下流の酵素の活性により生じる。最後の段階で、環化された中間体は、機械論的に多様な「テイラーリング(tailoring)酵素」の作用によりさらに改変されて、天然の産物を生じる。
a)芳香族PKS
背景:芳香族PKSについては、ポリケチド生合成は、縮合酵素であるβ−ケトアシルシンターゼ/アシルトランスフェラーゼ(KS/AT)の活性部位上にロードするプライマーユニットで開示する。次いで、延長ユニット(通常マロネート)が、アシルキャリアタンパク質(ACP)のパンテテイニルアームに転移する。KS/ATは、ACP結合マロネートと開始ユニットとの間の縮合を触媒する。さらなる延長ユニットを、新生のポリケチド鎖がタンパク質鎖長因子(CLF)とおそらくKS/ATとによって決定される所望の鎖長まで成長するまで、逐次付加される。従って、KS、CLF、およびACPは、ポリケチド骨格を生成するための最少のセットを形成する。次いで、新生のポリケチド鎖を、(もし存在すれば)ケトレダクターゼ(KR)により位置特異的ケト還元に供する。シクラーゼ(CYC)およびアロマターゼ(ARO)は、後で、分子内アルドール縮合による位置特異的な環形成事象を触媒する。次いで、環化された中間体は、下流のテイラーリング酵素で制御されるさらなる位置特異的および/または立体特異的修飾(例えば、O−メチル化、ヒドロキシル化、グリコシル化など)を受けることがある。
アセチルCoAは、ほとんどの芳香族ポリケチドの通常の開始ユニットである。しかし、マロンアミルCoA(Gatenbeck,S.Biochem.Biophy.Res.Commun.(1961)6:422−426)およびプロピオニルCoA(Paulick,R.C.ら、J.Am.Chem.Soc.(1976)98:3370−3371)は、それぞれ、ポリケチドのテトラサイクリンクラスおよびアンスラサイクリンクラスの多くのメンバーのプライマーである。ダウノルビシンPKSはまた、アセチルCoA、ブチリルCoA、およびイソブチリルCoAを開始ユニットとして許容し得る(Oki,T.ら、J.Antibiot.(1981)38:783−790;Yoshimoto,A.ら、J.Antibiot.(1993)46:1758−1761)。
act KRは、これまで研究された全ての最小のPKSと生産的に相互作用し得、C−9ケト還元を触媒するのに必要かつ十分である。相同なKRは、他のPKSクラスターにおいて見出されているが、これらは、同一の位置特異性でケト還元を触媒する。しかし、フレノリシン(frenolicin)、グリセウシン、およびダウノルビシンの構造は、これらの生合成の経路においてさらなるC−17ケト還元が起こることを示唆する。同様に、いくつかのアングサイクリン(angucycline)は、新生ポリケチド鎖が環化される前に起こるC−15ケト還元を受ける(Gould,S.J.ら、J.Am.Chem.Soc.(1992)114:10066−10068)。C−15およびC−17還元を担うケト還元酵素は、未だ同定されていない;しかし、2つの相同のKRがダウノルビシンPKSクラスターにおいて見出されている(Grimm,A.ら、Gene(1994)151:1−10;Ye,J.ら、J.Bacteriol.(1994)176:6270−6280)。これらはC−9およびC−17還元を触媒するようである。
ほとんどの天然に存在する細菌性芳香族ポリケチドの生合成における最初の2つの6員環の形成は、PKSサブユニットにより制御される;さらなる閉環は、さらなるシクラーゼおよび修飾酵素により制御される。これらの反応により導入される構造の多様性は、最初の2つの環化によるものよりも大きいようである。しかし、特定の好ましいパターンが観察される。これは、これらの下流のシクラーゼの少なくともいくつかは、組合せライブラリーの構築にとって有用であり得ることを示唆する。例えば、イソクロマンキノンのピラン環は、いつもC−3とC−15との間の環化を介して形成される;生成物の2つの立体化学的に異なるクラスが観察される。アンスラサイクリンおよびテトラサイクリンにおいて、第三のアルドール縮合は、通常C−3とC−16との間で起こるのに対し、非還元テトラセノマイシン(tetracenomycin)および関連する化合物においては、C−15およびC−18の間で起こり、アングサイクリンにおいては、C−4とC−17との間で起こる。これらの酵素のうちいくつかをコードする代表的な遺伝子は、すでにクローン化されている(Fernandez−Moreno,M.A.ら、J.Biol.Chem.(1994)269:24854−24863;Shen,B.ら、Biochemistry(1993)32:11149−11154)。少なくともいくつかのシクラーゼが異なる長さおよび/または還元の程度の鎖を認識し得、それにより芳香族ポリケチドの組合せライブラリーの多様性を増大させる。
下流のシクラーゼの非存在下で、ポリケチド鎖は、非酵素的反応を受ける。最近、ある程度の予測性が、可能性のこのレパートリーの中に現れた。例えば、ヘミケタールおよびベンゼン環は、メチル末端に見られる2つの共通の部分である。ヘミケタールは、適切な位置のエノールで形成され、そしてその後脱水が起こり得る。ベンゼン環はより長い環化されていないメチル末端で形成される。カルボキシル末端上で、3つのケチド単位で形成されるγ−ピロン環が頻繁に観察される。自発的な脱炭酸が、β−カルボニルの存在によって活性化される遊離のカルボキシル末端で起こる。
環化された中間体は、種々のタイプの修飾を受けて、最終の天然の産物を生成し得る。天然に存在する芳香族ポリケチドの間の特定の構造モチーフの反復は、いくつかのテイラーリング酵素、特に基トランスフェラーゼが、組合せ的に有用であり得ることを示唆する。2つの例を以下に議論する。
O−メチル化は、共通の下流修飾である。いくつかのSAM依存性O−メチルトランスフェラー遺伝子がPKS遺伝子クラスターにおいて見出されているが(Decker,H.ら、J.Bacteriol.(1993)175:3876−3886)、これらの特異性は未だ系統的に研究されていない。おそらくそれらのいくつかは、組合せの生合成にとって有用であり得る。例えば、O−11−メチル化は、芳香族のポリケチドのアンスラサイクリン、テトラセノマイシン、およびアングサイクリンのクラスのいくつかのメンバーにおいて起こる。
ライブラリー設計:以下の設計ルール(design rule)のセットは、合理的または確率論的に芳香族ポリケチド経路(これは、鎖合成、C−9ケト還元、および2つの第1芳香族環の形成を含む)における生合成の初期段階の操作を可能にする。それぞれの生合成的自由度が他の全てのものとは非依存的である場合、N1×N2×...Ni...Nn-1×Nnクローンの単一の組み合わせライブラリーを設計することが可能なはずである。ここで、Niは、i番目の自由度を利用し得る経路の数である。しかし、実際には、全ての酵素的自由度が、非依存的なわけではない。従って、重複性を最小化するためには、PKS酵素産生クローンのサブライブラリーをいくつか設計するのが好ましい。
(1)鎖長。芳香族合成では、ポリケチド炭素鎖長は最小PKSによって決まる。最小PKSの内では、アシルキャリアタンパク質は特異性に影響を及ぼすことなく相互変換され得るが、鎖長因子は重要である。いくつかのケトシンターゼ/鎖長因子の組み合わせは機能的であるが、他はそうでない;従って、特定の長さのポリケチド鎖の生合成は、最小PKSで補償され得、ここで、ケトシンターゼおよび鎖長因子は両方とも同じPKS遺伝子クラスターから生じる。これまでに、act、fren、tcm、およびwhiE PKSクラスター由来の最小PKSを用いて、それぞれ炭素が16個(オクタケチド)、18個(ノナケチド)、20個(デカケチド)および24個(ドデカケチド)を有する鎖長が生成され得る(McDanielら,Science(1993)、上記;McDanielら,J.Am.Chem.Soc.(1993)、上記);McDanielら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1994)、上記)。wheE最小PKSはまた、KRの存在下で22炭素の骨格を生成し得、これは、frin PKSに対して見出されるような緩和された鎖長制御の程度を示唆する。
(2)ケト還元。 ケト還元はケトレダクターゼを必要とする。act KRは、これまでに研究された任意の長さを有する初期のポリケチド骨格のC−9カルボニル(カルボキシル末端から数えて)の還元を触媒し得る。さらに、act KRは、上記の全ての最小PKSと適合する。ホモロガスなケトレダクターゼが、他のPKSクラスター中に同定されている(Sherman,D.H.ら、EMBO J.(1989)8:2717−2725;Yu,T.−W.ら、J.Bacteriol.(1994)176:2627−2534;Bibb,M.J.ら、Gene(1994)142:31−39)。これらの酵素は、すべての対応する天然産物がこの改変に供され得るので、同様にC−9でのケト還元を触媒し得る。稀な状況では、act KRでのC−7ケト還元もまた観察されている。
(3)第1環の環化。 最小PKSのみが第1環の形成を制御し得るが、この反応の位置特異的な進行は他のPKSタンパク質によって左右され得る。例えば、これまでに研究された最も最小PKSは、単独で存在する場合にC−7/C−12環化を伴うポリケチドを生成する。対照的に、tcm最小PKSのみは、C−7/C−12環化産物およびC−9/C−14環化産物の両方を生成する。任意の最小PKSを伴うケトレダクターゼの存在は、初期のポリケチド鎖を拘束し、ケト還元の位置に関して独占的に環化する:C−9ケト還元についてはC−7/C−12環化、およびC−7ケト還元についてはC−5/C−10環化(McDaniel,R.ら、J.Am.Chem.Soc.(1993)115:11671−11675;McDaniel,R.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1994)91:11542−11546;McDaniel,R.ら、J.Am.Chem.Soc.(1994)116:1085510859)。同様に、TcmN酵素の使用は、異なる長さの非還元ポリケチドについてはC−9/C−14環化に対する位置特異性を変化させるが、還元された分子に対する効果は有さない。
(4)第1環芳香族化。非還元ポリケチド内の第1環を非触媒的に芳香族化する。対照的に、還元ポリケチドには芳香族化サブユニットが必要とされる。異なるPKSクラスターからのこれらのサブユニットの鎖長特異性に関するヒエラルキーが存在すると思われる。例えば、act AROは、16炭素鎖のみを認識し(McDanielら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1994)、上記)、fren AROは、16炭素鎖および18炭素鎖の両方を認識するが、gris AROは、16炭素鎖、18炭素鎖および20炭素鎖を認識する。
(5)第2環の環化。還元ポリケチドの第2環のC−5/C−14環化は、適切なサイクラーゼを用いて達成され得る。act CYCは、オクタケチドおよびノナケチドを環化し得るが、これはそれより長い鎖を認識しない。デカケチド以上の鎖に対する特異性を有する、等価なC−5/C−14サイクラーゼは同定されていないが、グリセウシン(griseusin)のような天然産物の構造はこれらの存在を暗示する。C−9/C−14第1鎖を有する十分に長い非還元鎖の場合、C−7/C−16第2環の形成は、最小PKSにより触媒される(McDanielら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1994)、上記)
(6)さらなる環化。PKSのKS/AT、CLF、ACP、KR、AROおよびCYCサブユニットは、規定の鎖長を有する中間体の形成、還元パターン、および2つの第1環化を同時に触媒する。代表的には、天然に存在するポリケチドの生合成は、特徴的な生物学的活性産物を生成するために、下流のサイクラーゼおよび他の修飾酵素の活性化を必要とし、続いて本明細書および本発明者らの先の出版物に記載される操作されたポリケチドの生合成における反応は特異的酵素の非存在下で起こり、そして個々の分子の異なる物理的および化学的特性によって決定される。おそらく、このような化学的可能性および束縛を反映すると、一致パターンが観測される結果、いくらかの予測性を与える。ポリケチド鎖の非還元メチル末端により形成される2つの共通部分は、ヘミケタールおよびベンゼン環である。ヘミケタールの形成は、適切に配置されたエノールの存在下で起こり、そして、続いて、水和形態および脱水和形態の両方は単離されることが多いので、脱水和し得る(McDaniel,R.ら、Science(1993)262:15461550;McDaniel,R.ら、J.Am.Chem.Soc.(1994)116:1085510859;Fu,Hら、J.Am.Chem.Soc.(1994)116:416644170)。一方、ベンゼン環形成は、より長い非加工のメチル末端を用いて起こる(Fuら、J.Am.Chem.Soc.(1994)、上記)。その鎖のカルボキシル末端で最も頻繁に観測される部分は、3つのケチド単位により形成されるγ−ピロン環であり(McDanielら、J.Am.Chem.Soc.(1994)上記;Fuら、J.Am.Chem.Soc.(1994)、上記;Fu,Hら、Biochemistry(1994)33:9321−9326;Fu,Hら、Chem.& Biol.(1994):205−210;Zhang,H.−lら、J.Org.Chem.(1990)55:1682−1684);遊離のカルボン酸が残存する場合、β−カルボニルが存在するならば代表的には脱カルボキシル化が起こる(McDanielら、Science(1993)、上記;McDaniel,R.,Ebert−Khosla,S.,Hopwood,D.A.およびKhosla,C.,J.Am.Chem.Soc.(1993)、上記;Kao,C.M.ら、J.Am.Chem.Soc.(1994)116:11612−11613)。メチルおよびカルボキシル末端は、優先的に、非依存的に還化する傾向にあるが、替わりが存在しない場合には同時環化することを念頭において、多くのアルドール縮合も同様に予測され得る(McDanielら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1994)、上記)。インビボで観測されるこれらの非酵素的環化パターンはまた、初期のバイオミメティック研究に一致する(Griffin,D.A.ら、J.Chem.Soc.Perkin Trans.(1984)1:1035−1042)。
天然に存在する他の細菌性芳香族ポリケチドの構造を同時に用い、先に提示した設計ルールを外挿し、インビボでの組み合わせの生合成(例えば、還元ポリケチドおよび非還元ポリケチドの生合成)により生成され得る分子多様性の程度を見積もり得る。還元ポリケチドについては、同一の自由度として、鎖長、第1環の芳香族化、および第2環の芳香族化が挙げられる。非還元ポリケチドについては、これらは、鎖長および第1環の環化における位置特異性を含む。到達し得る構造の数は、各自由度が変化し得る様式の数の産物である。5つの異なる長さの鎖がこれまでに操作されている(16−、18−、20−、22−および24−炭素長)。ダイネミシンアントラキノン(Tokiwa,Y.ら、J.Am.Chem.Soc.(1994)114:4107−4110)、シマオミシン(Carter,G.T.ら、J.Org.Chem.(1989)54:4321−4323)およびベナスタチン(Aoyama,T.ら、J.Antibiot.(1992)45:1767−1772)の構造および推定される生合成経路から、それぞれ、14炭素、26炭素、およびおそらく28炭素骨格を生成する最小PKSの単離が予測され、可能な数は8に至る。このような最小PKSのクローニングは、先に単離されている最小PKSに対する遺伝子(例えば、act I遺伝子)を用いて達成され得る(Shermanら、EMBO J.(1989)、上記;Yuら、J.Bacteriol.(1994)、上記;Bibbら、Gene(1994)上記;Malpartida,F.ら、Nature(1987)325:818−821)。還元鎖は、芳香族化されるかそうでないかのいずれかであり得る;第2環サイクラーゼは第1環が芳香族化される場合に選択的である。非還元鎖の第1環化の位置特異性は、TcmNのような酵素の存在に依存して変化し得る。
例えば、還元ポリケチドについて、関連の自由度は、鎖長(これは、少なくとも7通りに操作され得る)、第1環の芳香族化(これは、少なくとも2通りに操作され得る)、および第2環の環化(これは、芳香族化された中間体のみについて少なくとも2通りに操作され得る)を含む。非還元ポリケチドについて、第1環化の位置特異性もまた操作され得る。従って、還元ポリケチドについての組み合わせの可能性は、少なくとも7×3=21である;非還元ポリケチドにおいて組み合わせの可能性は少なくとも7×2=14である。さらに、これらの数は、非酵素的または非特異的酵素触媒された工程により組換え株に産生されるさらなる少量産物(主要産物当たり5〜10のオーダー)を含まない。従って、芳香族ポリケチドの生合成における最初の数工程のみでの組み合わせ操作から生成され得るポリケチドの数は、数百のオーダーである。従って、遺伝子操作された生合成は、薬物発見のための化学的多様性に関する潜在的に無限の供給源を意味する。
b)モジュラーPKS
背景:モジュラーPKSによる合成の例として、DEBSによるポリケチドの生合成は、モジュール1縮合活性(β−ケトアシルシンセナーゼ(KS))上に開始ユニットをロードするモジュール1中の第1のアシルトランスフェラーゼ(AT)活性を用いて開始される。モジュール1の第2のATは、アシルキャリアタンパク質(ACP)活性のパンテテイニルアーム上に第1の延長ユニットをロードする。KSは、ACP−結合マロニルユニットとプライマーユニットとの間の脱カルボキシル的縮合を触媒する。次いで、得られたジケチドは、モジュール1のケトレダクターゼ(KR)活性により還元され、β−ケト基をアルコールに転換する。より複雑なモジュール(例えば、DEBSモジュール4)において、さらなる還元的サイクル活性(デヒドラターゼ(DH)およびエノイルレダクターゼ(ER))は、モジュールのKRが最初のケト還元を行った後で働き始める。次いで、モジュール1産物は、モジュール2KSに変化する。モジュール2ATは、モジュール2ACP上に第2の延長ユニットをロードし、次いで、モジュールKSは縮合を行い、還元的に加工されたトリケチドを生じる。さらなるモジュールは、成長するポリケチド鎖上に他の延長ユニットをそれぞれ追加および加工しながら働き始める。ポリケチド鎖の最終的な長さは、PKSに存在するモジュールの数(DEBSの場合は6)により決定され、そして任意の位置での還元的結果は、対応するモジュール中に存在する還元的サイクル活性の補完により決定される。ポリケチド鎖の生成後、この分子は、DEBSモジュール6の末端に融合したチオエステラーゼ(TE)活性による位置特異的環化に供される。次いで、マクロライド産物は、下流の酵素(例えば、ヒドロキシラーゼ、オキシダーゼ、メチルトランスフェラーゼ、グルコシラーゼなど)により改変され、最終的な天然産物を生成する。
ライブラリー構築:以下の設計ルールのセットは、モジュラーポリケチド生合成経路における、初期生合成工程の論理的あるいは確率論的な操作に当てはまる。操作要素は以下を包含する:
(1)開始ユニット。インビトロ条件下での開始ユニットのための、緩和された特異性のモジュラーPKSが報告されている(Pieperら、1995、前出)。
(2)延長ユニット。所与のモジュールで使用される延長ユニットの性質は、AT活性によって決定される。配列比較によって、マロニル−CoA特異的ATおよびメチルマロニル−CoA特異的ATの活性の特性が明確に同定された(Haydockら、1995、前出)。メチルマロニル−CoAまたはエチルマロニル−CoAを用いる活性において、2つの可能な立体化学のうちの1つを有するキラル中心が生じる。従って、2つの共通の延長ユニット、すなわちマロニル−CoAおよびメチルマロニル−CoAに関して、3つの可能な構造的成果が存在する。
(3)還元サイクル。KSで触媒される縮合によって形成されるβ−ケト基の還元状態は、モジュール内に存在する還元サイクル活性のセットによって支配される。従って、いかなる還元活性も存在しないとケトン官能が生じ、他方、KR活性のみが存在すると、2つの可能な立体化学のうちの1つを有するアルコール基が生じる。KR活性およびDH活性の両方が存在すると、アルケンが形成する結果となる;AT活性によって立体中心が生じていた場合、その位置のキラリティーは失われる。KR活性、DH活性、およびER活性の完全な補体が存在すると、その結果、β−ケト基からメチレン基へ完全に還元される。従って、任意のモジュールで、5つの理論的に可能な還元サイクルの成果が存在する。
(4)環化。線状ポリケチド鎖は、多くの可能な機構を通じて環化し得る。DEBSチオエステラーゼ(TE)活性は、ヒドロキシ酸をラクトン化する広範囲な能力を示す(Aggarwalら、1995、前出)。また、いくつかの既知の天然産物(例えば、アベルメクチン、メビノリン)は、複数のアルケン基を含むポリケチド鎖のディールス−アルダー環化を通じて形成されるようである。アルコールがケトン上に環化してケタールおよびスピロケタールを形成することもまた、通常観察される。
従って、任意の単一のモジュールに関して、2つの共通の延長ユニットのみを考慮した場合、少なくとも14個の理論的構造的成果が存在する。全ての操作可能な要素が同時に制御されるならば、S個の開始ユニットを用いてN個のモジュールPKSから製造され得る
S×(14)N
個の可能なポリケチド鎖が存在する。DEBSのような6−モジュールPKSに関して、単一の開始ユニットを用いて、146個または7.5×106個のポリケチド鎖が製造され得る。さらに、下流での修飾(例えば、環化、基の移動反応、酸化還元など)を触媒する酵素が、本明細書中および他で提示される内容に沿って研究され得る。従って、これらの自由度のうちの少なくともいくつかを組み合わせて利用して、天然で観察される多様性に匹敵する構造的多様性を有する合成産物のライブラリーを生成し得る。
モジュラーPKSは広範に分析されてはいないが、活性部位の産物の構造との1対1対応は、天然に生じる「複合」ポリケチドにおいて観察される信じられないほどの化学的多様性と相まって、これらの多酵素系内の組み合わせの可能性が、芳香族PKSに関しての可能性よりもかなり高いものであり得ることを示唆する。例えば、脂肪族モノマー(アセテート、プロピオネート、ブチレート、イソバレレートなど)、芳香族(アミノヒドロキシ安息香酸)、脂環族(シクロヘキサン酸)、および複素環(ピペコリン酸)を包含する、より広い範囲のプライマーユニットが、種々の巨大環式ポリケチドにおいて見出される。最近の研究は、モジュラーPKSが、その開始ユニットについて緩和された特異性を有することを示唆した(Kaoら、Science(1994)、前出)。縮合反応に続くβ−ケト還元の程度もまた、遺伝子操作によって変更され得る(Donadioら、Science(1991)、前出;Donadio,S.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1993)90:7119−7123)。同様に、ポリケチド産物のサイズは、適切な数のモジュールを有する変異体を設計することによって変更され得る(Kao,C.M.ら、J.Am.Chem.Soc.(1994)116:11612−11613)。モジュラーPKSはまた、延長ユニットの選択に関して(この特性がどの程度操作され得るのかはいまだ示されていないとはいえ)、各縮合サイクルにおいてかなりのバラエティーを示す。最後に、これらの酵素は、その産物中に広範囲な不斉中心を高度に制御された様式で生成することで、特に周知である。従って、モジュラーPKS経路内の組み合わせの可能性は、実質的に無限であり得る。
c)グリコシル化
芳香族ポリケチドおよび複合ポリケチドの両方は、しばしばグリコシル化される。多くの場合(例えば、ドキソルビシンおよびエリスロマイシン)、1つまたは複数の糖基が存在しないと、生理活性はかなり弱くなる。天然に生じるポリケチドアグリコンに付着する糖基のタイプおよび数には、途方もない多様性がある。特に、デオキシ糖およびアミノ糖が通常見出される。位置化学的優先性(regiochemical preference)が、多くのグリコシル化天然産物において検出され得る。アンスラサイクリンのうちで、O−17がしばしばグリコシル化され、他方、アングサイクリンのうちで、C−10が通例グリコシル化される。エリスロマイシンの生合成に関与するグリコシルトランスフェラーゼは、アグリコン部分に関して緩和された特異性を有し得る(Donadio,S.ら、Science(1991)252:675−679)。エロラマイシン(elloramycin)グリコシルトランスフェラーゼは、非天然のNDP糖ユニットを認識することができ、そしてそれを位置特異的に芳香族ポリケチドアグリコンに付加することができる(Decker,H.らAngew.Chem.(1995)、印刷中)。これらの初期の結果は、二次代謝経路由来のグリコシルトランスフェラーゼが独特の特性を有し、そして組み合わせライブラリーの生成において使用するための魅力的な標的であり得ることを示唆する。
d)真菌PKS
放線菌と同様に、糸状菌はポリケチド天然産物の豊富な供給源である。6−メチルサリチル酸シンターゼ(6−MSAS)およびメビノリンシンターゼのような真菌PKSが単一の多ドメインタンパク質でコードされるという事実(Beckら、Eur.J.Biochem.(1990)、前出;Davis,R.ら、Abstr.Genet.Ind.Microorg.Meeting、前出)は、これらもまた、組み合わせ変異誘発のための標的となり得ることを示す。さらに、真菌PKSは、上記で概説されかつ前出のWO 95/08548に記載された遺伝子的ストラテジーを用いて、S.coelicolor CH999において機能的に発現され得る。細菌芳香族ポリケチドにおいて観察されない鎖長(例えば、テトラケチド、ペンタケチドおよびヘキサケチド)が、真菌芳香族ポリケチドにおいて見出された(O'Hagan,D.The Polyketide Metabolites(Ellis Horwood,Chichester,U.K.,1991)。同様に、真菌芳香族ポリケチドの環化パターンは、細菌芳香族ポリケチドにおいて観測されるパターンとは非常に異なる(同上)。細菌からのモジュラーPKSと対照的に、S−アデノシルメチオニン依存性メチルトランスフェラーゼによって、分岐メチル基が真菌ポリケチド骨格中に導入される;メビノリンPKS(Davis,R.ら、Abstr.Genet.Ind.Microorg.Meeting、前出)の場合、この活性はモノシストロン性PKS内の1つのドメインとしてコードされる。真菌ポリケチドにおける化学的多様性の、これらおよび他の供給源が、実際に組み合わせ操作を受け入れやすいかどうかを実験的に評価することが、今や可能である。
e)要旨:
無細胞系においてPKS遺伝子産物によって触媒的に生産され得る、潜在的に新規なポリケチドの数は、新規な自由度を利用するにつれ、および/またはタンパク質工学ストラテジーは、天然で観察されない特異性を有する酵素サブユニットを創造する仕事に対して向けられるにつれ、幾何級数的に増加する。例えば、非アセテート開始ユニットを、ポリケチド骨格に組み込み得る(例えば、ダウノルビシンにおけるプロピオネートおよびオキシテトラサイクリンにおけるマロンアミド)。さらに、下流での環化および後の工程での修飾(例えば、天然に生じるポリケチドにおいて通常見られる基の移動反応および酸化還元)を触媒する酵素が、本明細書および他で提示される内容に沿って研究され得る。従って、これらの自由度のうちの少なくともいくつかを組み合わせて利用して、天然で観察される多様性に匹敵する構造的多様性を有する合成産物のライブラリーを生成し得る。
C.実験
以下は、本発明を実施するための具体的な実施態様の実施例である。これらの実施例は、例示の目的のためだけに提供され、どのような場合においても本発明の範囲を限定することを意図していない。
使用される数字(例えば、量、温度など)の正確さを確実にするために努力したが、いくらかの実験誤差および偏差は、当然許容されるべきである。
下記の実施例は、モジュラーPKSの組換え産生、ならびに組換えDEBSによる、および活性欠失変異体による、ポリケチドのインビトロ合成のための方法を記載する。後者の変異体は「DEBS 1+2+TE」と命名され、DEBSのモジュール6のC末端に通常見出されるチオエステラーゼメインに融合したDEBS1からの最初の2つのモジュールを含む(図1)。DEBSおよびDEBS 1+2+TEの両方がS.coelicolor CH999において成功裡に発現され、精製され、そして各々、6−dEB(1)
および(2R,3S,4S,5R)−2,4−ジメチル−3,5−ジヒドロキシ−n−ヘプタン酸δ−ラクトン(2)
のインビトロ触媒的合成のための、無細菌系において使用された。Saccharopolyspora erythraeaゲノムのery遺伝子クラスターにおいて、3つのオープンリーディングフレーム(eryA I、eryA II、およびeryA III)がDEBSポリペプチドをコードし、そして32kbにわたる。この遺伝子は、6つの繰り返しユニットで組織され、各々は「モジュール」と命名される(図1参照)。各モジュールは、ポリケチド生合成の間に追加のモノマーの伸長する鎖上への縮合を触媒する、活性部位のセットをコードする。各モジュールは、アシルトランスフェラーゼ(AT)、β−ケトアシルキャリアタンパク質シンターゼ(KS)、およびアシルキャリアタンパク質(ACP)、ならびに還元活性部位(β−ケトレダクターゼ(KR)、デヒドラターゼ(DH)、エノイルレダクターゼ(ER))のサブセットを含む。モジュール内の還元部位の数は、各縮合サイクルにおけるβ−ケト還元の程度に対応する。モジュールの末端でコードされるチオエステラーゼ(TE)は、ラクトン形成を触媒するようである。
eryA I、eryA II、およびeryA IIIの大きなサイズ、および複数の活性部位の存在のために、これらの遺伝子は、遺伝子操作された宿主細胞CH999のような宿主細胞中での発現に適したプラスミド中に、インビボ組換え技術を用いて好都合にクローン化され得る。WO 95/08548に記載されたこの技術は、プラスミドpMAK705(Hamiltonら(1989)J.Bacteriol.171:4617)の誘導体を用いて、第一の許容的な温度で複製可能であり、かつ第二の非許容的な温度で複製ができない温度感受性ドナープラスミドと、レシピエントプラスミドとの間のインビボ組換えを可能にする。このようにクローン化されたeryA遺伝子は、pRM5の誘導体であるpCK7を与える(McDanielら(1993)Science262:1546)。コントロールプラスミドであるpCK7fは、eryA Iにおけるフレームシフト変異をもたらすために構築される。pCK7およびpCK7fは、E.coliにおける遺伝子操作のためのColE Iレプリコン、ならびに短縮型SCP2*(低コピー数)Streptomycesレプリコンを有する。これらのプラスミドはまた、分岐した(divergent)act I/act IIIプロモーターペアおよびact II−ORF4、アクチベーター遺伝子(これらのプロモーターからの転写のために必要とされ、そして栄養菌糸体における成長期から定常期への遷移の間の発現を活性化する)を含む。PKS遺伝子の高レベル発現は、菌糸成長の定常期の開始時に起こる。
実施例1
S.coelicolor CH999の産生
S.coelicolor宿主細胞を遺伝子操作してネイティブなact遺伝子クラスターを除去し、そしてCH999と呼ばれる宿主細胞を、WO95/08548(本明細書中に参考として援用される)に記載のようにS.coelicolor CH1(Khoslaら、Molec.Microbiol.(1992)、前出)を用いて構築した。S.coelicolor CH999はACT遺伝子のクラスター全体を欠損する。
実施例2
組換えベクターpRM5の産生
シャトルプラスミドを用いてCH999中に組換えPKSを発現する。このようなプラスミドは、代表的には、colE Iレプリコン、適切に短縮されたSCP2*Streptomycesレプリコン、両方向のクローニングを許容する2つのact−プロモーター、増殖期から定常期への移行の間actプロモーターからの転写を誘導するact II−ORF4アクチベーターをコードする遺伝子、および適切なマーカー遺伝子を含む。制限部位はこれらのベクター中へ操作されて、天然に生じるPKSの個々のサブユニット(またはドメイン)をコードするカセットから始まるPKS遺伝子クラスターの組み合わせ構築を容易にする。この方法の数ある多くの利点には、(i)全ての関連する生合成遺伝子はプラスミド由来であり、それゆえE.coliにおける容易な操作および突然変異誘発を受け入れられる、および(ii)PKS遺伝子クラスターの全体のライブラリーは同じ細菌宿主にて発現され得る、がある。
pRM5は、CH999でPKSを発現するために用いたシャトルプラスミドであった。それは、E.coliにおいて遺伝子操作を可能にするColE Iレプコリン、適切に短縮されたSCP2*(低コピー機)Streptomycesレプコリン、および栄養菌糸体で増殖期から定常期への移行の間にactプロモーターからの転写を誘導する、actクラスター由来のact II−ORF4アクチベーター遺伝子を含む。pRM5は、多様なcat I/act IIIプロモーターペアを有し、同時に、両プロモーターの下流に種々の操作されたPKS遺伝子の挿入を容易にするために便利なクローニング部位を有する。pRM5は、SCP2*のpar遺伝子座を欠いている;その結果このプラスミドは、わずかに不安定である(チオストレプトンの非存在下で約2%が損失)。この特徴は、目的の表現型が、このプラスミド由来の変異体PKSに明確に割り当てられ得ることを、迅速に確認するために、故意に導入された。pRM5由来の組換えPKSは、ほぼ、増殖の指数的成長相から定常期への移行期に、良好な収率で発現される。
pRM5を、WO95/08548に記載されるように構築した。
実施例3
芳香族PKSに対する発現ベクターの構築、および芳香族P KSの発現
WO98/08548は、アクチノロジン(actinorhodin)(act)、グラナチシン(granaticin)(gra)およびテトラセノマイシン(tetracenomycin)(tcm)遺伝子クラスターの芳香族ポリケチド合成遺伝子クラスターの一部を用いる、pRM5宿主プラスミドを用いる発現ベクターの構築を記載する。多くのハイブリッドクラスターを記載する。これらのハイブリッドクラスターをS.coelicolor CH999に導入し、そして発現して種々のポリケチドを順に産生する関連のポリケチドシンターゼを産成した。フレノリシンB(fren)PKS遺伝子クラスター由来の遺伝子を用いるさらなる構築物もまた調製した。
実施例4
モジュラーPKSの産生
組換えモジュラーDEBS PKS遺伝子を含有する発現プラスミドを、温度感受性「ドナー」プラスミド(すなわち、第1の許容度にて複製可能であり、そして第2の非許容温度にて複製不可能であるプラスミド)から、WO95/08548、およびKaiら(Science(1994)265:509)に記載のように、二重組換え事象を介して「レシピエント」シャトルベクターへ漸増的にDNAを移転することにより構築した。pCK7は完全なeryA遺伝子を含む。eryA Iにおけるフレームシフトエラーを含むコントロールプラスミドである、pK7fを同様の様式で構築した。pCK7およびpCCK7fをE.coli ET12567(MacNeil(1988)J.Bacteriol.1 70:5607)に形質転換して非メチル化プラスミドDNAを生成し、そして続いて標準的なプロトコル(Hopwoodら(1985)Genetic manipulation of Streptomyces.A laboratory manual.The John Innes Foundation:Horwich)を用いてS.coelicolor CH999へ移入した。
R2YE培地上でのCH999/pCK7の増殖の際、2つのポリケチドを産生した。さらに、3つの高分子量タンパク質(>200kDa)、おそらくDEBS1、DEBS2およびDEBS3(Caffreyら、FEBS Lett.(1992)304:225)がまた、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動(「SDS−PAGE」)を介してCH999/pCK7の粗抽出物に観察された。ポリケチド産物はCH999/pKC7Fからは観察されなかった。
実施例5
変異体DEBS PKSの組換え産生
本実施例では、DEBS3のTEに融合したDEBS1(「DEBS 1+2+TE」)から成る欠損変異体PKSを構築した;プラスミドpCK12は、DEBS 1+2+TEをコードする遺伝子を含んだ。
DEBS 1+2+TE PKSは、モジュール6のアシルキャリアタンパク質のカルボキシターミナル末端(ACP−6)へのモジュール2のアシルキャリアタンパク質のカルボキシターミナル末端(ACP−2)の融合を含んだ(図1を参照)。従って、ACP−2は、このPKSにおいて本質的にインタクトであり、そしてACP−6とTEとの間に天然に見出されるアミノ酸配列が続く。pCK12は、ACP−2のカルボキシターミナル末端とACP−6のカルボキシターミナル末端との間の欠損を除いてpCK7と同一である(Kaoら、Science(1994)、前出)。融合はDEBS1の残基L3455とDEBS3のQ2891との間で起こる。Spe I部位はこれらの2つの残基の間に存在するので、融合におけるDNA配列はCTCACTAGTCAGである。
実施例6
pCK7およびpCK12からの無細胞DEBSの調製
DEBSの調製を以下のように行った。S.coelicolor CH999/pCK12またはCH999/pCK7細胞を液体培養での55時間の増殖後に採集した。代表的には、8〜10グラムの細胞(湿潤細胞重量)をソニケーション(5×30 sバースト)を用いて破砕した。得られた細胞スラリーを超遠心分離(192,000×gにて2h)し、そして核酸を0.2%のポリエチレンイミンで沈殿し(工程1)、約200mgの総タンパク質を得た、すべての3つのDEBSタンパク質を55%飽和硫酸アンモニウム溶液中で沈殿した。その後、150mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.1)、15%グリセロール、2mMジチオスレイトール(「DTT」)、および2mMエチレンジアミンテトラ酢酸(「EDTA」)を含むインキュベーション緩衝液(緩衝液I)を使用した。Sephadex G25 M上での脱塩(工程2)後、約30mgのタンパク質(15〜20mg/mL)をAgarose BioGel Aサイズ排除カラム(140mL)にアプライした。DEBSタンパク質を含む画分をプールし、そしてYM 30限外濾過膜上で1mg/mLに濃縮した(工程3)。
DEBSタンパク質をSDS−PAGEにより330kDa(DEBS3)、370kDa(DEBS1)および380kDa(DEBS2)のそれらの高分子により検出した;これらのタンパク質は種々のコントロール株の細胞抽出物には存在しなかった。DEBSタンパク質の見かけの分子量をまた、高分子量マーカーとしてチログロブリン(669kDa)およびアポフェリチン(443kDa)を用いて、Superose6 HR 10/30カラム(Pharmacia)上でゲル濾過することにより評価した(図3Aを参照)。
細胞抽出物から単離した組換えDEBSタンパク質を上述のように部分的に精製した。Biogel AおよびSuperose6(それぞれ、サイズ排除上限15MDaおよび1.5MDa)上の3つのDEBSサブユニットを含む粗抽出物のサイズ排除クロマトグラフィーは、DEBS1およびDEBS
2が、DEBS3とよりもより強固に互いに会合していることを明らからした。さらに、DEBS1およびDEBS2(それぞれ、370kDaおよび380kDa)は、10MDaと1MDaとの間のMrに対応する広範な画分にわたって溶出し、これは、それらが多量体複合体(ゲル濾過の間部分的に解離する)を形成し得ることを指示する。しかし、DEBS3は、この極度に大きいMr範囲内に存在しない。Superose 6カラム上のサイズ較正実験から、DEBS3(330kDa)は、(チログロブリン、669kDaと同様に)二量体として大部分溶出する。濃縮の際、DEBS1および2のみを含むBiogelAカラム画分(図3Aを参照)は、インビトロで不活性であることが見出された。しかし、DEBS3のみを含む濃縮された画分でプールされた場合(図3A)、3つのタンパク質の再構成された複合体は、粗細胞抽出物の硫酸アンモニウム沈殿を介して得られたDEBS1、2、および3調製物に対して匹敵する活性を示した。これらの精製結果は、DEBSの活性には高分子量のオリゴマー複合体、可能であれば二量体の三量体の形成が必要であることを示唆する。精製された(しかし十分に活性ではない)DEBSサブユニットによるホモダイマーの形成が報告されている(Aparicioら、J.Biol.Chem.(1994)、前出;Bevittら、Eur.J.Biochem.(1992)、前出;Caffreyら、Eur.J.Biochem(1991)、前出;およびLeadlayら、Biochem.Soc.Trans.(1993)、前出)。
鎖伸展反応の非存在下での14C標識化開始ユニットによる無細胞DEBS調製物の共有改変を図3Bに示す。部分的に精製されたDEBS調製物(40mg総タンパク質)を、基質[1−14C]プロピオニル−CoA(20μM)、[1−14C]ブチリル−CoA(160μM)、[1−14C]アセチル−CoA(40μM)、またはヨードアセトアミド(1mM)での30分間プレインキュベーションを含む[1−14C]プロピオニル−CoA(20μM)でインキュベートした。およびSDS−PAGE(5%)におけるタンパク質の分離の後、分離したタンパク質をニトロセルロース膜上に電気転移し、14C標識化タンパク質を5日間X線フィルムに曝露した。
実施例7
6−dEBおよび(2R,3S,4S,5R)−2,4−ジメチル−3,5− ジヒドロキシn−ヘプタン酸δ−ラクトンの無細胞の合 成
ポリケチド合成のためのインビトロアッセイ系を確立するために、実施例6に記載の通りに調製された完全なDEBS1、2、および3系およびDEBS 1+2+TEの部分的に精製された調製物を、それらの天然基質である[1−14C]プロピオニル−CoA、(2RS)−メチルマロニル−CoA、およびNADPHとともにインキュベートした。
実施例6に記載のDEBS 1+2+TEおよびDEBS1、2、および3調製物(精製工程2)を、1mL緩衝液当たり8mgの総タンパク質濃度に調整した。250μLの容積の緩衝液Iに溶解させた[1−14C]プロピオニル−CoA(比活性50Ci/mol、10μM)、メチルマロニル−CoA(250μM)、およびNADPH(500μM)とともに、インキュベーションを28℃で3時間行った。その後、インキュベーション混合物を2×2mL酢酸エチルで抽出し、酢酸エチルをエバポレートし、続いて生成物を薄層クロマトグラフィー([TLC」)で60%酢酸エチル/40%ヘキサン中で分析した。TLCプレートを、X線フィルムに2日間曝露した。
オートラジオグラムのレーンI aおよびI b(図4)は、[1−14C]プロピオニル−CoAおよびNADPHを含むメチルマロニル−CoAは含まないDEBS 1+2+TE(I a)ならびに全ての3つの基質を含むDEBS 1+2+TE(I b)の抽出物を示す。オートラジオグラムのレーンII a、II b、およびII c(図4)は、[1−14C]プロピオニル−CoAおよびNADPHを含むがメチルマロニル−CoAは含まないDEBS1、2、および3(II a)のインキュベーション、全ての3つの基質を含むDEBS1、2、および3(II b)のインキュベーション、ならびにDEBS1、2、および3とセルレニン(100μM)との15分間のプレインキュベーション後の全ての3つの基質の添加(II c)を示す。溶媒系として、酢酸エチル/ヘキサン(50:50)を用いた。レーンI bにおいて、主要な標識化成分は、Rf(0.30)で標準トリケチド(2)(矢印を参照)と同一であるが、一方レーンII bにおいては、最も低い極性の標識化生成物は、Rf(0.40)で標準6−dEB(1)(矢印を参照)と同一である。レーンI bおよびII bにおいて、少数の生成物(しかし、6−dEBでもトリケチドラクトンでもない)の濃度は、反応緩衝液中でDTT濃度の関数として実質的に変化する;これらのDTT−依存性生成物の構造は、研究中である。コントロールの実験もまた、DEBS 1+2+TE、NADPH非存在下の完全DEBS、および匹敵する無細胞の、CH999およびCH999/pSEK38由来の調製物(アクチノロジンPKS遺伝子クラスターを発現する組換え株)を用いて行われた。全ての4つのコントロールにおいて、6−dEBもトリケチドラクトンも検出されなかった。強くより極性であるバンドである、明らかなレーンII a、II b、およびII cもまた、CH999単独から得られた抽出物を含む全ての上記のヌル(null)コントロール中に存在した。酵素的に産生された[14C]−(1)および[14C]−(2)の同一性はそれぞれ、標準未標識化キャリアを用いてTLCで精製された生成物のそれぞれを希釈し、そして再結晶して一定の活性にすることにより確認された。従って、DEBS1、2、および3と[1−14C]プロピオニル−CoAとのインキュベート由来の標識化6−dEBを、15.4mgの(1)と混合してエーテル/ヘキサンから4回再結晶した。各再結晶の後、各サンプルの2〜3部を液体シンチレーション計数により分析した;2132±16dpm/mg(1回目の再結晶);2117±23dpm/mg(2回目の再結晶);2125±2dpm/mg(3回目の再結晶);2141±17dpm/mg(4回目の再結晶);(平均14C act.2129±9dpm/mg)。同様に、DEBS 1+2+TEと[1−14C]プロピオニル−CoAとのインキュベーション由来の同様に標識化されたトリケチドを、20.4mgの未標識化(2)と混合し、そしてエーテル/ヘキサンから4回再結晶した:4528±306dpm/mg(1回目の再結晶);4725±80dpm/mg(2回目の再結晶);4662±74dpm/mg(3回目の再結晶);4706±60dpm/mg(4回目の再結晶);(平均14C act.4655±77dpm/mg)。
これらの結果は、TLC−オートラジオグラフィー(図4)から明らかにされるように、無細胞のDEBSタンパク質調製物の各々が、6−dEB(1)または(2R,3S,4S,5R)−2,4−ジメチル−3,5−ジヒドロキシ−n−ヘプタン酸δ−ラクトン(2)のいずれかの参照サンプルのそれぞれに同一なTLCのRf値を有する14C−標識化生成物を合成したことを示す。[14C]−(1)および[14C]−(2)の同一性を、TLCで精製した放射標識化生成物のそれぞれを、標準未標識化キャリア6−dEBまたはトリケチドラクトンとともに希釈し、そして各サンプルを繰り返し再結晶して一定の活性にすることにより確実にされた。各ラクトン生成物の形成は、関連するタンパク質調製物ならびにメチルマロニル−CoAおよびNADPHの絶対的な必要性を示し、そしてこれは、双方ともに脂肪酸生合成の縮合反応における周知のインヒビターであるN−エチルマレイミドおよびセルレニンの両方(Plate,C.A.ら、J.Biol.Chem.(1970)245:2868;D'Agnolo,G.ら、Biochim.Biophys.Acta(1973)326:155;Kauppinen,S.ら、Carlsberg Res.Commun.(1988)53:357−370)により阻害された。精製された生成物の観察された放射性化学的収量に基づき、DEBS1、2、および3により触媒される6−dEBの形成を、33pmol/mg総タンパク質であると評価した。比較によれば、DEBS 1+2+TEによる(2)の形成は、600pmol/mg総タンパク質であった。
トリケチドラクトン生成物における標識化の特異性は、メチルマロニル−CoAおよびNADPHの存在下で[1−13C]プロピオニル−CoAとDEBS 1+2+TEとの分画スケールインキュベーションにより、明確に確認された。100MHz13C NMRによる誘導体化生成物(2a)の分析(図4(a)を参照のこと)は、予想された部位(C−5、(2R,3S,4S,5R)−2,4−ジメチル−3,5−ジヒドロキシ−n−ヘプタン酸δ−ラクトン中)における富化に対応する81.3ppmでの増強されたピークを示した(Kao,C.M.ら、J.Am.Chem.Soc.(1994)、前出)。
実施例8
無細胞系におけるDEBS 1+2+TEの基質特異性
インビトロのアッセイを、実施例6に記載のように、[1−14C]プロピオニル−CoAを[1−14C]ブチリル−CoA(160μM)または[1−14C]アセチル−CoA(40μM)のいずれかで置き換えて行った。DEBS 1+2+TEのインキュベーション(精製工程2)を、メチルマロニル−CoAを除くか、または適切な14C標識プライマー基質に加えてメチルマロニル−CoAおよびNADPHを含めて行った。あるいは、全ての3つの基質を加える前に、DEBS 1+2+TEを1mMのN−エチルマレイミドとともに予めインキュベートした。NADPHの非存在下、ならびに等量のS.coelicolor CH999由来のタンパク質調製物を用いて行ったコントロール実験では、観察された標識生成物を生じなかった。酢酸エチル/ヘキサン(60:40)を溶媒系として使用した。
上記のラジオクロマトグラフィックアッセイの進歩は、これらの多機能性酵素複合体の基質特異性の予備的な分析を可能にする。例えば、DEBS 1+2+TEは、タンパク質アシル化および生成物形成の両方により示されるように、プライマーユニットアナログについて緩和した特異性を示すようである。[1−14C]プロピオニル−CoAによる期待されるアシル化に加えて、DEBS 1+2+TEおよびDEBS1(DEBS1、2、および3の混合物由来)の両方ともがまた、[1−14C]アセチル−CoAおよび[1−14C]ブチリル−CoAとともに共有付加生成物を形成する(図3Bを参照のこと)。タンパク質の標識はヨードアセトアミドのような活性部位のチオールインヒビターの存在により影響されないので、基質はおそらく、DEBS1のN末端の「ロードされている」アシルトランスフェラーゼドメインに結合する。全ての3つのアシル−CoA基質は、同等の効率でDEBS1またはDEBS 1+2+TEと反応するようである。(図3B中のブチリル−CoA標識バンドの明らかにより低い強度は[1−14C]ブチリル−CoAの10倍低い特異的活性のためである。)メチルマロニル−CoAおよびNADPHの存在下で、アセチル−CoAおよびブチリル−CoAの両方ともが、DEBS 1+2+TEの代用ポリケチド鎖イニシエーターとして作用して、それぞれ化合物(2)上記のC8アナログである化合物(4)(図6Bを参照のこと)、および(2)のC10ホモログであると想定される化合物(5)(図6Bを参照のこと)を薄層クロマトグラフィー−オートラジオグラフィーにより判断されるように生じる(図6Aを参照のこと)。
先のCoAチオエステルに加えて、DEBS 1+2+TE酵素がまた、ポリケチド鎖伸長中間体のN−アセチルシステアミンチオエステルである(2S.3R)−2−メチル−3−ヒドロキシペンタノイル−NACチオエステル(3)をプロセスし得る。それゆえ、メチルマロニル−CoAおよびNADPHの存在下で[1−14C]−(3)(Cane,D.E.ら、J.Am.Chem.Soc.(1981)103:5960;Cane,D.E.ら、Tetrahedron(1983)39:3449;Cane,D.E.ら、J.Am.Chem.Soc.(1986)108:4957;Cane,D.E.ら、J.Am.Chem.Soc.(1987)109:1255;Cane,D.E.ら、Tetrahedron Lett.(1991)32:5457;およびCane.D.E.ら、J.Antibiot.(1995)4 8:647−651(1995))とDEBS 1+2+TEとのインキュベーションは、上記のように、トリケチドラクトン(2)について期待されるクロマトグラフィーの移動度を有し、かつ未標識のトリケチドラクトンで希釈される場合に再結晶化して活性を定常化し得る標識された生成物を生じた。標識の特異性を、[2,3,−13C2]−(3)とDEBS 1+2+TE、メチルマロニル−CoAおよびNADPHとの分取スケールのインキュベーションにより明白に確認した。得られたトリケチドラクトン(2b)(図4を参照のこと)の13C NMRスペクトルは、36.7および81.3ppmを中心とする、増強されそしてカップリングされた二重線(Jcc=34.5Hz)の対を示した。これは、それぞれ、標識C−4およびC−5の予想される各部位における富化に対応する。この結果は、インタクトな細胞実験における、先に報告された[2,3,−13C2]−(3)のエリスロマイシンマクロライドへの組み込み(Caneら、J.Am.Chem.Soc.(1981)、前出;Caneら、Tetrahedron(1983)前出;Caneら、J.Am.Chem.Soc.(1986)前出;Caneら、J.Am.Chem.Soc.(1987)前出;Ceneら、Tetrahedron Lett.(1991)前出)、ならびにポリケチド鎖伸張の進行した中間体のNACチオエステルが他のポリケチドに組み込まれたことが示された多数の実験の結果と一致する。
本明細書中で提供される実施例は、これらのNACチオエステルがPKS中の適切な活性部位に直接ロードされ、そしてさらなるタンパク質またはコファクターの関与を必要としないという推測をさらに信用させる。この実験はまた、マクロライドシンターゼが外因的に付加された鎖伸長中間体を認識し、そしてそれらを天然の産物へのさらなるプロセシングのために結合対PKSモジュールに正確にロードする能力を直接確認する。
実施例9
2,4'−ジメチル−5−エチル−3−ヒドロキシ−2−ピ ロンの無細胞合成
実施例6に記載のDEBS1+2+TE調製を、実施例7に記載するように使用し、但しNADPHを反応混合物に添加しなかった(精製工程2)。この反応は、NMR分析により示されるように2,4−ジメチル−5−エチル−3−ヒドロキシ−2−ピロンを生成した。
以下の実験は、このような基質が非天然の開始ユニットと競合する範囲では、天然の第1のモジュール開始ユニットからの、または延長ユニットの脱カルボキシル反応由来のこのような開始ユニットからのモジュラーPKSにおいて、ポリケチドの合成を阻害する方法を提供する。この方法は、天然の開始ユニットを有するPKSの第1のモジュールのロードを、その上に開始ユニットがロードされる鍵となる活性部位を不活化することにより(例えば、KS1を欠失させるか、またはKS1を非機能することにより、もしくはACP1を欠失させるか、またはACP1を非機能にすることにより)阻害する工程を包含する。無細胞系(ここで、非天然の開始ユニットからのポリケチドの合成が所望される)において、この方法は、天然の開始ユニットおよび/または延長ユニットの存在に基づいて、所望されない競合性ポリケチドの合成を最小化するという利点を提供する。さらに、この方法は、無細胞系において相当なコストで供給される延長ユニットを節約する。この方法はまた、非天然の基質からの所望のポリケチドの生成が天然の基質の存在により阻害され得るインビボの系において特に重要であり、それにより非天然の開始ユニットの効率的な使用を排除して所望の生成物を生じる。
実施例10
[KS1 * ]−DEBS1+2+TEの構築、発現、および分析
プロピオニル−CoAを添加しない場合、DEBS1+2+TEはメチルマロニルロード酵素の脱カルボキシル化によりプロピオニル開始ユニットを形成し得る。この反応は、機能的なモジュール1KS活性を必要とし、これは延長ユニットを開始ユニットと縮合させるために、ロードされたメチルマロネートを脱カルボキシル化する。供給されたプロピオニル−CoA開始ユニットが存在しない場合、脱カルボキシル化された延長ユニットは後方へ転移され得、第2のメチルマロニル−CoA延長のロード、および続くジケチドの形成を可能にする。別の開始ユニットがこの系に供給される場合には、プロピオニルユニットのこの後方形成(back−formation)が所望されないので、モジュール1KSが部位特異的変異誘発をを介して不活化されたDEBS1+2+TEの変異体を調製した。KS1配列は活性部位のシステイン残基(特徴的な配列cys−ser−ser−ser−leu内に存在する)がアラニンに置換されるように改変した。得られた発現プラスミド(pKAO179と名付けた)は、標準的な反応条件(プロピオニル−CoA、メチルマロニル−CoA、およびNADPH)下では不活性である2−モジュールPKSをコードする。従って、KS1の不活化はプロピオニルユニットの後方形成を妨げるが、ジケチドの形成もまた妨げる。しかし、ジケチドチオエステル(すなわち、(2S,3R)−2−メチル−3−ヒドロキシ−ペンタノイルN−アセチルシステアミンチオエステル、メチルマロニル−CoA、およびNADPH)とともにこのタンパク質が供給される場合、(2R,3S,4S,5R)−2,4−ジメチル−3,5−ジヒドロキシヘプタノン酸δ−ラクトンが生成される。この構築物は、対応するジケチドチオエステルの使用により、正常なトリケチド生成物が混入しない、異常な開始ユニットを有するトリケチドのインビトロの生成を可能にする。
実施例11
[KS1 * ]DEBS変異体を用いる発酵による新規のポリケ チドのインビボ生成
実施例10に記載するように、DEBSのモジュール1β−ケトアシルシンターゼ(KS1)活性は部位特異的変異誘発を通じて不活化され得る。この変異は、モジュールの任意の組み合わせに組み込まれて一連のDEBS後退PKSを生成し得、これは適切なジケチドチオエステル(例えば、2−メチル−3−ヒドロキシペンタノイルN−アセチルシステアミンチオエステルまたはアナログ)を供給しない限り、ポリケチド合成について無能である。実施例10に記載される方法は、[KS1*]−DEBSに基づく発現プラスミドを含むS.coelicolor CH999の培養物を活性的に増殖させるために、適切なジケチドチオエステルアナログの供給により新規のポリケチドのインビボ生成を可能にするように拡大し得る。細胞のチオエステル化系が酸に対して機能的である場合、および細胞が酸に対して浸透性である場合、遊離のカルボン酸として対応するジケチドがまた培養物に供給され得る。例えば、(2R,3S,4S,5R)−2,4−ジメチル−3,5−ジヒドロキシ−n−ヘプタン酸δ−ラクトンのインビボ生成が先に上述されている。
S.coelicolor CH999/pKAO179の培養物は、スポア(spore)を有する200mLのSMM倍値(5%のPEG−800、0.06%のMgSO4、0.2%の(NH4)2SO4、25mMのTES、pH7.2、25mMのKH2PO4、25mMのK2HPO4、1.6%グルコース、0.5%のカザミノ酸、微量元素)の播種により確立される。培養物を30℃で325rpmで振盪しながらインキュベートする。1mLのメチルスルホキシド中の(2S,3R)−2−メチル−3−ヒドロキシペンタノイルN−アセチルシステアミンチオエステル(100mg)および4−ペンチン酸(15mg)の溶液を3つの部分:50時間後(400mL);62時間後(300mL);および86時間後(300mL)に分けて培養物に添加する。全部で144時間後、培養物を遠心分離して菌糸を取り除く。発酵ブロスをNaClで飽和し、そして酢酸エチル(5×100mL)で抽出する。組み合わせた有機抽出物をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、そして濃縮する。シリカゲルクロマトグラフィーにより、(2R,3S,4S,5R)−2,4−ジメチル−3,5−ジヒドロキシ−n−ヘプタン酸δ−ラクトンが得られる。
この方法は、天然のプロピオネート開始ユニットを含むポリケチドが混入しない、非天然の開始ユニットを含む新規のモジュールポリケチドの大規模な生産のための手段を提供する。
本明細書中で報告される無細胞の結果は、容易な変異誘発手段の有用性との組み合わせて、モジュールPKS構造およびメカニズムの研究への新規のアプローチを提供する。記載された組換え起源に由来する完全に活性なタンパク質のかなりの収量は、放射性同位元素法ならびにNMR分光法および質量分析によるこの多機能性触媒の詳細な分析を可能にする。DEBSがプライマーのような種々の基質を受容し得ると仮定すると、適切に安定な状態の動力学的パラメーターの決定により基質特異性を定量的に評価すること、および機構的な詳細をさらにプローブすることが可能である。さらに、本明細書中で報告されるような無細胞系は、新規なポリケチドの合成を制御するための全く新しい経路を提供し、そうでなければこれはインビボ操作の生合成を介して利用可能ではないかもしれない。
従って、ポリケチドを生成するための新規な方法が開示される。本発明の好ましい実施態様がいくらか詳細に記載されるが、明らかな改変が添付の請求の範囲に規定されるような本発明の精神および範囲を逸脱することなく行われ得ることが理解される。
Claims (39)
- 所望のポリケチドを生成する方法であって、
(a)少なくとも第1のおよび第2のモジュールを含む、改変された機能性モジュラーポリケチドシンターゼ(PKS)を提供する工程であって、ここで、該PKSは、該第1のモジュールのケトシンターゼ(KS)の触媒的ドメインの不活性化によって改変されているが、ここで、該PKSは、ジケチド基質を組み込んで少なくともトリケチドであるポリケチドを合成し得る、工程、
(b)該改変されたPKSに、該改変されたPKSの基質であるジケチドを添加する工程、
(c)該ポリケチドが合成される条件下で、該改変されたPKSおよび該ジケチドをインキュベートする工程、ならびに
(d)必要に応じて該ポリケチドを回収する工程、
を包含する方法。 - 前記第1のモジュールケトシンターゼの前記触媒的ドメイン中の1つのアミノ酸が変更されている、請求項1に記載の方法。
- 前記アミノ酸がシステインである、請求項2に記載の方法。
- 前記システインがアラニンで置換される、請求項3に記載の方法。
- 前記改変されたPKSが、完全なセットのモジュールを有するPKSである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 前記モジュールが6−デオキシエリスロノリドB(6−dEB)シンターゼのモジュールである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 前記モジュールが、1以上のベクターに含まれるコードヌクレオチド配列から組換え産生される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 前記改変されたPKSが宿主細胞に含まれる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項8に記載の方法であって、ここで、前記細胞は、前記改変されたPKSに対して異種であり;および/または
ここで、該細胞は、Streptomycesであり;および/または
ここで、該細胞は、前記ジケチドに対して透過可能であり;および/または
ここで、該細胞は、該細胞中に含まれる天然のPKSを欠失するように改変されている、方法。 - 前記細胞がS.coelicolor CH999である、請求項9に記載の方法。
- 無細胞系中で行われる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 前記ジケチドがN−アセチルシステアミン(NAc)チオエステルの形態である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
- 前記ジケチドが(2S,3R)−2−メチル−3−ヒドロキシペンタノイル−NAcチオエステルである、請求項12に記載の方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法であって、ここで、前記ジケチドは、アセチルCo−A、マロナミルCo−A、プロピオニルCo−A、ブチリルCo−A、イソブチリルCo−A、イソバレリルCo−A、ベンゾイルCo−A、アミノベンゾイルCo−A、アミノヒドロキシベンゾイルCo−A、またはチオフェンカルボキシルCo−Aである開始ユニットと、マロニルCo−A、メチルマロニルCo−AまたはエチルマロニルCo−Aである延長ユニットとのカップリングにより得られるものである、方法。
- 請求項6に記載の方法であって、ここで、前記ジケチドは、アセチルCo−A、マロナミルCo−A、プロピオニルCo−A、ブチリルCo−A、イソブチリルCo−A、イソバレリルCo−A、ベンゾイルCo−A、アミノベンゾイルCo−A、アミノヒドロキシベンゾイルCo−A、またはチオフェンカルボキシルCo−Aである開始ユニットと、マロニルCo−A、メチルマロニルCo−AまたはエチルマロニルCo−Aである延長ユニットとのカップリングにより得られるものである、方法。
- 請求項15に記載の方法であって、ここで、前記ジケチドは、マロナミルCo−A、ブチリルCo−A、イソブチリルCo−A、イソバレリルCo−A、ベンゾイルCo−A、アミノベンゾイルCo−A、またはアミノヒドロキシベンゾイルCo−Aである開始ユニットと、メチルマロニルCo−AまたはエチルマロニルCo−Aである延長ユニットとのカップリングにより得られるものである、方法。
- 請求項16に記載の方法であって、ここで、前記ジケチドは、マロナミルCo−A、ブチリルCo−A、イソブチリルCo−A、またはイソバレリルCo−Aである開始ユニットと、メチルマロニルCo−Aである延長ユニットとのカップリングにより得られるものである、方法。
- 請求項17に記載の方法であって、ここで、前記ジケチドは、ブチリルCo−Aである開始ユニットと、メチルマロニルCo−Aである延長ユニットとのカップリングにより得られるものである、方法。
- 請求項18に記載の方法により調製されるポリケチドであって、該ポリケチドが13−プロピル−6−dEBである、ポリケチド。
- 少なくとも第1のおよび第2のモジュールを含む改変された機能性モジュラーポリケチドシンターゼ(PKS)を調製する方法であって、ここで、該改変されたPKSは、ジケチドを少なくともトリケチドであるポリケチドに組み込むことが可能であり、該改変されたPKSにおいて該第一のモジュールのケトシンターゼ(K S)の触媒的ドメインが不活性化されており、
ここで、該方法は、発現のための制御配列に作動可能に連結されている該改変された機能性モジュラーポリケチドシンターゼをコードするヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの核酸分子を含む細胞を、該少なくとも1つのコードするヌクレオチド配列が発現される条件下で培養する工程であって、ここで、該コードするヌクレオチド配列および該制御配列のうちの少なくとも1つが該細胞に対して異種である、工程、を包含する、方法。 - 前記少なくとも1つの核酸分子が、ベクター上に含まれる、請求項20に記載の方法。
- 前記第1のモジュールのケトシンターゼの触媒的ドメイン中の1つのアミノ酸が変更されている、請求項20または請求項21に記載の方法。
- 前記アミノ酸がシステインである、請求項22に記載の方法。
- 前記システインがアラニンで置換される、請求項23に記載の方法。
- 前記改変されたPKSが、完全なセットのモジュールを有するPKSである、請求項20〜24のいずれか1項に記載の方法。
- 前記モジュールが6−デオキシエリスロノリドB(6−dEB)シンターゼのモジュールである、請求項20〜25のいずれか1項に記載の方法。
- ポリケチドのライブラリーを調製する方法であって、
(a)複数の系を提供する工程であって、各系が、少なくとも第1のおよび第2のモジュールを含む、改変された機能性ポリケチドシンターゼ(PKS)を含み、ここで、該PKSは、該第1のモジュールのケトシンターゼ(KS)の触媒的ドメインの不活性化によって改変されているが、ここで、該PKSは、ジケチド基質を組み込んで少なくともトリケチドであるポリケチドを合成し得る、工程、
(b)該系のそれぞれを、ポリケチドが合成される条件下で、ジケチドおよび1つ以上の延長ユニットとともにインキュベートする工程であって、
ここで該ジケチドおよび/または延長ユニットおよび/またはポリケチドシンターゼは該系のそれぞれの中で異なる、工程、
(c)必要に応じて該ポリケチドを該系から回収する工程、
を包含する方法。 - 前記第1のモジュールケトシンターゼの前記触媒的ドメイン中の1つのアミノ酸が変更されている、請求項27に記載の方法。
- 前記アミノ酸がシステインである、請求項28に記載の方法。
- 前記システインがアラニンで置換される、請求項29に記載の方法。
- 前記改変されたPKSが完全なセットのモジュールを有するPKSである、請求項27〜30のいずれか1項に記載の方法。
- 前記モジュールが6−デオキシエリスロノリドB(6−dEB)シンターゼのモジュールである、請求項27〜31のいずれか1項に記載の方法。
- ポリケチドライブラリーを調製するためのキットであって、該キットは、以下、
複数の系であって、各系は、少なくとも第1のおよび第2のモジュールを含む、改変された機能性ポリケチドシンターゼ(PKS)を含み、ここで、該PKSは、該第1のモジュールのケトシンターゼの触媒的ドメインの不活性化によって改変されているが、ここで、該PKSは、ジケチド基質を、少なくともトリケチドであるポリケチドに組み込み得る、系、ならびに
少なくとも1つのジケチドおよび少なくとも1つの延長ユニット、
を含み、
ここで、少なくとも1つのポリケチドシンターゼタンパク質または少なくとも1つの延長ユニットまたは少なくとも1つのジケチドが、各系の間で異なる、
キット。 - 前記第1のモジュールケトシンターゼの前記触媒的ドメイン中の1つのアミノ酸が変更されている、請求項33に記載のキット。
- 前記アミノ酸がシステインである、請求項34に記載のキット。
- 前記システインがアラニンで置換される、請求項35に記載のキット。
- 前記改変されたPKSが完全なセットのモジュールを有するPKSである、請求項33〜36のいずれか1項に記載のキット。
- 前記モジュールが6−デオキシエリスロノリドB(6−dEB)シンターゼのモジュールである、請求項33〜37のいずれか1項に記載のキット。
- 前記系が、2次元アレイ内に配置され、ここで、一方の次元において、各系は、該一方の次元における任意の他の系とは異なる少なくとも1つのポリケチドシンターゼタンパク質を有し、そして同一のジケチドおよび/または延長ユニットを有し、そして、他方の次元において、各系は、他の系と同一のポリケチドシンターゼタンパク質を含み、そして少なくとも1つの異なるジケチドまたは延長ユニットを有する、請求項33〜38のいずれか1項に記載のキット。
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