JP2005503321A - カベオリンペプチド及び治療薬としてのそれらの使用 - Google Patents

カベオリンペプチド及び治療薬としてのそれらの使用 Download PDF

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Abstract

本発明は一般的に、炎症及び癌のような種々の状態及び苦痛の処置のために有用な組成物及び方法に関する。さらに特定的に本発明は、少なくとも1つのカベオリンスカフォールディングドメインを含むペプチドを利用している組成物及び処置法に関する。さらにもっと特定的に本発明は、カベオリンスカフォールディングドメインに融合したアンテナペディアホメオドメインを含む融合ペプチドの組成物ならびに種々の状態及び苦痛の処置のためのこれらのペプチドの使用の方法に関する。

Description

【0001】
[発明者]
William C.Sessa
[関連出願へのクロス・リファレンス]
本出願は、米国暫定出願60/231,327(2000年9月8日申請)及び米国出願09/731,023(2001年12月7日申請)の利益を特許請求するものであり、それらの両方は引用することによりその記載事項全体が本明細書の内容となる。
【0002】
[米国政府支持]
この研究はNational Institute of Healthからの承認により支持された(HL61371;HL64793)。
【0003】
[発明の分野]
本発明は一般的に、炎症及び癌のような種々の状態及び苦痛の処置のために有用な組成物及び方法に関する。さらに特定的には、本発明は少なくとも1つのカベオリンスカフォールディングドメインを含むペプチドを利用している組成物及び処置の方法に関する。さらにもっと特定的には、本発明はカベオリンスカフォールディングドメインに融合したアンテナペディアホメオドメインを含む融合ペプチドの組成物及び種々の状態及び苦痛の処置のためのこれらのペプチドの使用の方法に関する。
【0004】
[発明の背景]
カベオリンは多様なシグナル変換経路を潜在的に調節することができるコレステロール結合タンパク質である(Smart et al.(1999)Mol.Cell.Biol.19,7289−7304;Kurzchalia & Parton(1999)Curr.Opin.Cell.Biol.11,424−431)。例えば多数の研究者が小胞中におけるタンパク質の局在、これらのタンパク質のカベオリンとの相互作用ならびに過剰発現されたカベオリン又はカベオリンから誘導されるペプチドがインビトロもしくは培養細胞内でシグナリング機能を抑制もしくは刺激する能力を示した(Li et al.(1996)J.Biol.Chem.271,29182−29190;Razani et al.(1999)J.Biol.Chem.274,26353−26360;Nasu et al.(1998)Nat.Med.4,1062−1064;Garcia−Cardena et al.(1997)J.Biol.Chem.272,25437−25440)。しかしながら、インビボにおけるシグナル変換の調節物質としてのカベオリンの重要性は議論の的であり、それはカベオリン−1及び−3がそれ自体、コレステロールを小胞体から原形質膜に送達し、それにより脂質ラフトドメイン(lipid raft domains)及び小胞のコレステロール含有率を調節することによってシグナル変換を間接的に調節するコレステロール結合タンパク質だからである(Roy et al.(1999)Nat.Cell Biol.1,98−105;Stemberg et al.(1999)Nat.Cell Biol.1,E35−37)。
【0005】
最近の研究は、内皮酸化窒素シンターゼ(eNOS)の細胞下輸送(subcellular trafficking)及び調節に焦点を当ててきた。eNOS誘導NOは、全身血圧、血管再造形、脈管形成及び傷の治癒の保持に必要である(Huang et al.(1995)Nature 377,239−242;Murohara et al.(1988)J.Clin.Invest.101,2567−2578;Rudic et al.(1998)J.Clin.Invest.101,731−736;Lee et al.(1999)Am.J.Physiol.277,H1600−1608)。eNOSは、脂質ラフトドメイン及び小胞を標的とする二重にアシル化された末梢膜タンパク質である(Garcia−Cardena et al.(1996)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93,6448−6453;Liu et al.(1997)J.Cell Biol.137,1525−1535)。小胞中でeNOSはカベオリン−1及び−3と、アミノ酸82−101の間に位置するそれらの推定スカフォールディングドメインに結合することにより物理的に相互作用することができ(Li et al.(1996)J.Biol.Chem.271,29182−29190)、この相互作用はeNOSをその「活性がより低い」状態にする(Garcia−Cardena et al.(1997)J.Biol.Chem.272,25437−25440;Ju et al.(1997)J.Biol.Chem.272,18522−18525;Michel et al.(1997)J.Biol.Chem.272,25907−25912)。このモデルに関するデータは、過剰発現系、融合タンパク質又は相互作用ドメインをマッピングするための酵母ツーハイブリッドスクリーニングのいずれかを用いてインビトロで大きく明らかにされた。
【0006】
eNOSの負の調節物質としてのカベオリンの支持において、カベオリン−1のスカフォールディングドメインから誘導されるペプチドがeNOSのカベオリンへの結合を分裂させ、NOSのレダクターゼからオキシゲナーゼドメインへの電子流速を低下させることによりインビトロにおけるNOS活性を用量−依存的に抑制する(IC50=1〜3μM)ことを示す研究がある(Garcia−Cardena et al.(1997)J.Biol.Chem.272,25437−25440;Ju et al.(1997)J.Biol.Chem.272,18522−18525;Ghosh et al.(1988)J.Biol.Chem.273,22267−22271)。
【0007】
本発明は、少なくとも1つのカベオリンスカフォールディングドメインを含むペプチドを用いる1つもしくはそれより多い細胞の処置が、処置された組織、器官又は生物の1つもしくはそれより多い状態もしくは苦痛の軽減及び/又は除去を生ずることを示す。例えば少なくとも1つのカベオリンスカフォールディングドメインを含むペプチドを用いる処置は、炎症ならびに腫瘍細胞脈管形成及び増殖の軽減もしくは除去を生ずる。
【0008】
本発明は、インビトロおよびインビボにおいて生物活性ペプチドを血管系の細胞に送達するためのアンテナペディア融合ペプチド(「AP融合体」)の使用も示す。この送達法を用いている以前の研究は、培養中の細胞の処置のためにオリゴヌクレオチド及び小ペプチドとのAPの融合に焦点を当ててきた。AP結合の積荷の細胞中への吸収は速く、膜流動性に無関係であり、温度における極端な状態に影響されない(Derossi et al.(1996)J.Biol.Chem.271,18188−18193)。
【0009】
本実験では、カベオリン−1スカフォールディングドメイン−アンテナペディア融合ペプチド(「AP−Cav」)をそれらのビオチニル化もしくはローダミン標識された形態で、内皮によりインターナリゼーションした。さらに、インビボにおけるAP−Cavの抗−炎症作用に基づき、融合ペプチドは肝臓及び肺回路における第1経路代謝に生き残り、活性ペプチドを炎症の部位に送達するのに十分に安定であるに相違ない。予備的な証拠は、本発明のAP−Cavペプチドがインビボに送達される時に血圧を上昇させないことを示している。かくして本発明の組成物及び方法は、インビボにおける治療的心臓血管遺伝子ターゲティングのためのアンチセンスオリゴヌクレオチドの送達のため又はウィルス送達の一部として有用な方法を提供する。
【0010】
特定の理論に縛られることは望まないが、本発明の融合ペプチドはカベオリンと相互作用するか又は相互作用する可能性を有する1つもしくはそれより多いタンパク質を遮断していると思われる。そのようなカベオリン結合タンパク質の例にはeNOS、チロシンキナーゼの「Srcファミリー」(例えばSrc、Fyn、Lck、Yes、Lyn、Blk、Hick、Fgr、Yrk)、Scr−様キナーゼ、Rasタンパク質(例えばRho、Rac、Rab)、Rafタンパク質(例えばRaf−1、A−Raf、B−Raf)、EGFレセプター及びMAPキナーゼ(例えばFus3)が含まれるがそれらに限られるわけではない(Couet et al.(1997)J.Biol.Chem.272,6525−6533;Lewin(2000)Genes vii,Signal Transduction,pp.801−834,Oxford University Press;Smith et al.(1997)Oxford Dictionary of Biochemistry & Molecular Biology,Oxford University Press)。
【0011】
[発明の概略]
本発明はインビボでタンパク質とのカベオリンの相互作用を遮断するための方法を提供し、ここでその方法はカベオリンスカフォールディングドメインを含むペプチドの有効量を投与することを含む。さらに特定的に本発明は、相互作用がタンパク質のカベオリンへの結合を含む、そのような方法を提供する。
【0012】
本発明は、インビボでカベオリン−結合タンパク質をダウンレギュレーションするための方法も提供し、ここでその方法はカベオリンスカフォールディングドメインを含むペプチドの有効量を投与することを含む。
【0013】
本発明はさらに動物において炎症を抑制するための方法を提供し、ここでその方法はカベオリンスカフォールディングドメインを含むペプチドの有効量を投与することを含む。
【0014】
本方法は、動物において腫瘍細胞脈管形成及び増殖を抑制するための方法も提供し、ここでその方法はカベオリンスカフォールディングドメインを含むペプチドの有効量を投与することを含む。
【0015】
本発明は、カベオリンスカフォールディングドメインが配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:4より成る群から選ばれる前記の方法のそれぞれを提供する。さらに本発明は、ペプチドがさらに膜輸送ドメインを含むそのような方法を提供する。さらに特定的に本発明は、膜輸送ドメインがアンテナペディアホメオドメインの第3ヘリックスを含むそのような方法を提供する。さらにもっと特定的に本発明は、膜輸送ドメインが配列番号:10に与えられる配列を有するそのような方法を提供する。そのような方法における代表的な標的タンパク質はeNOSである。本発明において有用な融合ペプチドの特定の例は、配列番号:11及び配列番号:13において与えられるものである。
【0016】
本発明は、少なくとも1つのカベオリンスカフォールディングドメイン及び少なくとも1つの膜輸送ドメインを含む融合ペプチドを提供する。本発明において有用なカベオリンスカフォールディングドメインの例には配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:4より成る群から選ばれるものが含まれるが、これらに限られるわけではない。さらに本発明は、膜輸送ドメインがインビボにおいて膜輸送を促進する融合ペプチドを提供する。さらに特定的に本発明は、膜輸送ドメインがアンテナペディアホメオドメインの第3ヘリックスを含むそのような融合ペプチドを提供する。さらにもっと特定的に本発明は、配列番号:11及び配列番号:13において与えられる配列を有する融合ペプチドを提供する。
【0017】
本発明は、(a)配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:4より成る群から選ばれるアミノ酸配列を含む単離ペプチド;(b)配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:4より成る群から選ばれるアミノ酸配列の少なくとも3つのアミノ酸のフラグメントを含む単離ペプチド;(c)配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:4より成る群から選ばれるアミノ酸配列の保存的なアミノ酸置換を含む単離ペプチド;ならびに(d)配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:4より成る群から選ばれるアミノ酸配列の天然に存在するアミノ酸配列変異型を含む単離ペプチドを提供する。
【0018】
本発明はさらに、本明細書で議論する融合ペプチドを含む組成物を提供する。さらに、本発明は1種もしくはそれより多い担体をさらに含むそのような組成物を提供する。
【0019】
本発明は、配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4又は配列番号:11及び配列番号:13のアミノ酸配列より成る単離ペプチドも提供する。
【0020】
本発明はさらに、eNOSの少なくとも1つの活性をダウンレギュレーションするペプチドの有効量を投与することを含む、細胞におけるeNOS活性をダウンレギュレーションするための方法を提供する。さらに特定的に本発明は、ペプチドが少なくとも1つのカベオリンスカフォールディングドメインを含んでいる、そのような方法を提供する。さらにもっと特定的に本発明は、ペプチドが少なくとも1つの膜輸送ドメインをさらに含む、そのような方法を提供する。本発明の方法において有用なペプチドには配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:4において与えられるものが含まれるが、それらに限られるわけではない。
【0021】
本発明はeNOS活性をダウンレギュレーションする方法を提供し、ここでそのような活性にはNOの合成及び/又は生成が含まれる。さらに、本発明の方法はeNOS活性のダウンレギュレーションが血管拡張の阻止をもたらすそのような方法を提供する。
【0022】
本発明は、eNOSの少なくとも1つの活性をダウンレギュレーションするペプチドの有効量を投与することを含む、哺乳類において炎症を抑制する方法を提供する。
【0023】
本発明は、eNOSの少なくとも1つの活性をダウンレギュレーションするペプチドの有効量を投与することを含む、哺乳類において腫瘍細胞脈管形成及び増殖を抑制する方法も提供する。さらに、本発明は化学療法薬剤と組み合わせてペプチドを投与するそのような方法を提供する。
【0024】
本発明は、eNOSの少なくとも1つの活性をダウンレギュレーションするペプチドの有効量を投与することを含む、哺乳類においてeNOS−依存性血管拡張を抑制する方法も提供する。
【0025】
本発明は:(a)eNOSを発現する細胞を薬剤に暴露し;(b)薬剤がeNOSに結合するかどうかを決定し、それによりeNOSと相互作用する薬剤を同定することを含む、eNOSと相互作用する薬剤を同定する方法を提供する。
【0026】
本発明はさらに:(a)eNOSを発現する細胞を薬剤に暴露し;(b)薬剤がeNOSの活性を調節するかどうかを決定し、それによりeNOSの活性を調節する薬剤を同定する段階を含む、eNOSの少なくとも1つの活性を調節する薬剤を同定する方法を提供する。本発明の方法は、アセチルコリン−誘導血管拡張、プロスタサイクリン生成及びNO生成のような、しかしこれらに限られないeNOS活性を調節するために有用である。
【0027】
[図面の説明]
本特許出願はカラーで作成される少なくとも1つの図面を含有している。カラーの図面を有する特許公告のコピーは、Patent and Trademark Officeにより、請求して必要な料金を支払うと与えられるであろう。
【0028】
図1−カベオリンスカフォールディングドメインペプチドは、単離されたマウス大動脈のアセチルコリン(Ach)−誘導弛緩を抑制し、フェニレフリン−誘導収縮に力を与える。マウス大動脈を10μMのAP−Cav−X(A)又はAP−Cav(B)と一緒に20時間インキュベーションし、器官浴室中に置いた。フェニレフリン(PE)予備収縮に続き、血管を増加する濃度のAch(対数モル濃度として表される30nM〜30μM)に供した。(C)は(A)及び(B)に示されたデータのまとめを示す。APのみでは(30μM)Ach誘導弛緩に影響しないことに注意されたい。(D)は単離されたマウス大動脈におけるフェニレフリン濃度応答曲線への10μMのAP−Cav−X又はAP−Cavペプチドの影響を示す(ビヒクルのみと比較して*p<0.05;n=処置当たり6〜8つの環)。
【0029】
図2−eNOSが無損傷の血管におけるカベオリンスカフォールディングドメインペプチドの一次的な生物学的標的である証拠。(A−B)はそれぞれAP−Cav−X(10μM)及びAP−Cav(10μM)処置血管のL−NAME(100μM)誘導収縮の典型的な記録を示す。PEを用いて血管を予備収縮させて類似のレベルの緊張を得、続いてAchを加えた。血管を洗浄し(w)、再びPE予備収縮させ、続いてL−NAMEを加えた。AP−Cav予備処置は、マウス大動脈のL−NAME誘導収縮を減衰させる。(C)は(A)及び(B)においてL−NAMEにより引き出された張力におけるさらなる増加のまとめを示す。(D)は、マウス大動脈環からのAch−誘導プロスタサイクリン放出にAP−Cav−X及びAP−Cavが影響しないことを示す。プロスタサイクリン放出は、血管のAch刺激(30分間)の前及び後に、AP−Cav、AP−Cav−X又はイブプロフェンで処置された環において、プロスタサイクリンの安定な代謝産物、6−ケト−PGFの量をEIAにより測定することを介して評価された(基礎的プロスタサイクリン量に対して*p<0.05、ビヒクルのみに比較して*p<0.05、n=処置当たり5〜7つの環)。
【0030】
図3−ビオチニル化AP−カベオリンペプチドは血管の弛緩を抑制し、マウス大動脈の内皮及び外膜に局在する。パネルAは、AP−Cav−X及びAP−Cavペプチドのビオチニル化変形(それぞれ100mM)がそれらの生物活性を保持していたことを示す。(A)マウス大動脈をビオチニル化(biot)AP−Cav又はbiot−AP−Cav−Xと一緒に20時間インキュベーションし、Ach濃度−応答曲線に供した(biotAP−Cav−Xに対して*p<0.05、n=処置当たりに5つの環)。(B)biot−AP−Cav及びbiot−AP−Cav−X処置され、HRP−ストレプタビジンを用いて染色されたマウス大動脈の断面図(Eは内皮を示し、Aは外膜を示す)。
【0031】
図4−培養内皮細胞における細胞吸収及びAP−カベオリンスカフォールディングドメインペプチドによる酸化窒素放出の抑制。(A)ローダミン標識されたAP−Cav−X又はAP−Cav(1μM)と一緒に6時間インキュベーションされたウシ大動脈内皮細胞(BAEC)の同焦点顕微鏡イメージング。標識されたペプチドと一緒のインキュベーションに続き、細胞を洗浄し、蛍光(左のパネル)及び位相差(右のパネル)イメージングのために固定した。(B)AP−Cav−X又はAP−Cav(それぞれ1μM)と一緒に6時間インキュベーションされた培養BAECからの酸化窒素(NO)放出(放出される硝酸塩の培地中の量として測定)。細胞を洗浄し、イオノマイシン(1μM)で刺激し、NO特異的化学ルミネセンス分析器(Sievers)を用いてNO放出を測定した(基礎的NO量に比較すると*p<0.05、n=5)。
【0032】
図5−カベオリンスカフォールディングドメインペプチドはカラギーナン−誘導水腫を抑制する。(A)1%カラギーナンの足底下注射(subplantar injections)(50μl)を両方の後足において注射し、足の体積における増加を24時間及び48時間に監視した。AP−Cav−X(0.3もしくは1mg/kg)及びAP−Cav(1mg/kg)を、ゼロ時点、カラギーナン注射の後の24時間及び48時間に腹腔内(i.p.)に投与した(左のパネル)。別の実験において、AP−Cavの抗−炎症効果をデキサメタゾンに比較した(0.1mg/kg;右のパネル)(ビヒクルに対して*p<0.05、n=群当たり6匹のマウス)。(B)標準(上の左のパネル)又は注射後48時間のカラギーナン注射されたマウスの足からの代表的なヘマトキシリン/エオシン染色断面図。カラギーナン注射されたマウスを上記のとおりビヒクル(上の右のパネル)、AP−Cav−X(1mg/kg;下の左のパネル)又はAP−Cav(1mg/kg;下の右のパネル)で処置した。断面図は足の足底領域が各パネルの右側になるように向けられている。アウトライン字体の矢印は増加した細胞浸潤を示し、ゴシック字体の矢印は間質の(interstitial)水腫を示す。
【0033】
図6−カラギーナン−誘導水腫のカベオリンスカフォールディングドメインペプチド抑制は融合ペプチドに依存しない。1%カラギーナンの足底下注射(50μl)を両方の後足において注射し、足の体積における増加を24時間及び48時間に監視した。DR−Cav(0.6もしくは1mg/kg)及びDR−Cav−X(1mg/kg)をゼロ時点、カラギーナン注射後の24及び48時間において腹腔内(i.p.)に投与した(左のパネル)。
【0034】
図7−単離されたマウス大動脈におけるカベオリンスカフォールディングドメインペプチドによるアセチルコリン−誘導弛緩の濃度−依存性抑制。(A)単離された血管をAP−Cav(1、3、10μM)又はAP−Cav−X(10μM)の存在下で20時間インキュベーションした(AP−Cav−Xに対して*p<0.05、n=処置あたりに6〜8個の環)。(B)単離されたマウス大動脈のアセチルコリン−誘導弛緩へのAP−Cavペプチドの時間−依存性効果。血管をAP−Cavペプチド(10μM)と一緒に1、6,12及び20時間インキュベーションし、次いでフェニレフリン(PE)予備収縮に続いて血管を増加する濃度のアセチルコリン(Ach)(モル濃度の対数として表される30nM〜30μM)に供した(標準に対して*p<0.05、n=時点当たりに6〜8個の環)。(C)カベオリンペプチドはマウス大動脈の内皮依存性血管弛緩に影響しない。PE予備収縮させた血管のナトリウムニトロプルシド(10μM)誘導弛緩を、標準の単離マウス大動脈において又はビヒクル(V)、アンテナペディアのみ(AP;30μM)、AP−Cav(10μM)もしくはAP−Cav−X(10μM)と一緒に血管を20時間インキュベーションした後に評価した(n=処置当たりに6〜8個の環)。
【0035】
図8−カベオリンスカフォールディングドメインペプチド処置されたHepG−2を保有するヌードマウスにおける腫瘍負荷量の減少。処置されないヌードマウス又はビヒクル、AP−Cav(2.5mg/kg)もしくはAP−Cav−X(2.5mg/kg)を用いて処置されたヌードマウス内に移植されたHepG−2腫瘍の毎日の腫瘍の進行(AP−Cav−Xに対して*p<0.05)。
【0036】
図9−AP−Cav処置マウスにおける分裂した腫瘍形態。AP−カベオリン(2.5mg/kg;右のパネル)又はAP−Cav−X(2.5mg/kg;左のパネル)のいずれかで処置されたヌードマウスにおける、成長の14日目におけるHepG−2腫瘍のヘマトキシリン及びエオシン染色。写真は2種の動物からのものである(上及び下)。
【0037】
図10−培養された内皮細胞及びeNOSトランスフェクションされた細胞における細胞吸収及びAP−カベオリンスカフォールディングドメインペプチドによる酸化窒素放出の抑制。(A)ローダミン標識されたAP−Cav−X又はAP−Cav(1μM)と一緒に6時間インキュベーションされたウシ大動脈内皮細胞(BAEC)の同焦点顕微鏡イメージング。標識されたペプチドと一緒にインキュベーションした後、細胞を洗浄し、蛍光(左のパネル)及び位相差(右のパネル)イメージングのために固定した。(B)AP−Cav−X又はAP−Cav(それぞれ1μM)と一緒に6時間予備インキュベーションされた培養BAECからの酸化窒素(NO)放出(放出されるNO の培地中の量として測定)。細胞を洗浄し、イオノマイシン(1μMで30分間)で刺激し、NO特異的化学ルミネセンス分析器(Sievers)を用いてNO 放出を測定した(基礎的NO量に比較すると*p<0.05、n=5)。(C)iNOS(白抜きの棒)又はeNOS(黒塗りの棒)cDNAを用いてトランスフェクションされたCOS−7細胞からの酸化窒素放出。細胞をトランスフェクションし、次いでビヒクル、AP−Cav、AP−Cav−Xを用いて6時間、あるいはアルギニン類似物、L−NAME(1mM)を用いて30分間処置し、iNOSトランスフェクションされた細胞に関して基礎的NO 堆積又はeNOSトランスフェクションされた細胞に関してイオノフォア誘導NO を測定した。NO バックグラウンド量に関して標準化するために、−ガラクトシダーゼに関するcDNAを用いてCOS細胞をトランスフェクションし、培地中のNO の量をNOSトランスフェクションされた細胞において測定される量から引き去った。データは追加の時間繰り返されて三重に行われた1回の実験の代表的データである(ビヒクル処置された細胞からのNO量に比較すると*p<0.05)。
【0038】
図11−AP−カベオリンペプチドは血管の漏れを減少させる。マウスをAP−Cav、AP−Cav−X(それぞれ2mg/kg、i.p.)又はL−NAME(30mg/kg、i.p.)を用いて45分間予備処置し、続いてエバンスブルーを投与した(30mg/kg、静脈内)。エバンスブルー注射から1分後に右耳の腹側及び背側にマスタード油を適用した。30分後にエバンスブルーの管外遊出の程度を評価した(ビヒクル及びL−NAME処置マウスの場合、n=群当たり4匹のマウスならびにAP−Cav及びAP−Cav−X処置マウスの場合、n=5;*p=<0.05)。(D)マスタード油誘導炎症に供されたマウスの代表的な写真。AP−Cav処置されたマウス(上のパネル)に比較して下のパネル(AP−Cav−X)中の右耳の周辺における拡張した血管及び拡散した青い色素の出現に注目されたい。
【0039】
[詳細な記述]
I.一般的記述
本発明は一般的に、カベオリンスカフォールディングドメイン配列に融合した膜輸送配列を含む融合ペプチドを用いる、インビトロ及びインビボの両方でのeNOSの選択的阻害のための組成物及び方法に関する。特定的に本発明は、カベオリン−1スカフォールディングドメインに融合したアンテナペディアホメオドメインを含む融合ペプチドの組成物及びこれらのペプチドを用いる方法に関する。これらの方法は、炎症ならびに腫瘍細胞脈管形成及び増殖のようなeNOSに関連するインビボにおける生理学的活性の阻害を含む。
【0040】
本発明は、膜輸送ドメインを含む第2の別のペプチドにペプチドを連結させることにより、ペプチドの細胞中への進入を助長するためのインビボにおける方法にも関する。
【0041】
本発明はさらに、eNOSと相互作用し、それによりNOの生成を阻止することができる薬剤のスクリーニング及び同定のための方法を含む。本発明はeNOSによるNO生成の調節と関連する障害の処置におけるこれらの薬剤の使用も含む。
II.定義
他に断らなければ、本明細書で用いられるすべての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野における通常の熟練者により普通に理解されると同じ意味を有する。本明細書に記載するものと類似もしくは同等のいずれの方法及び材料も本発明の実施もしくは試験において用いられ得るが、好ましい方法及び材料を記載する。
【0042】
本明細書で用いられる場合、「結合」という用語は分子の互いの接着、例えばこれらに限られるわけではないが基質への酵素の、抗原への抗体の、DNA鎖のそれらの相補的鎖への接着を指す。結合は、分子表面の一部の形及び化学的性質が相補的であるために起こる。通常の比喩は、いかにして酵素がそれらの基質の周りに適合するかを記述するために用いられる「錠と鍵」である。カベオリンタンパク質の結合はeNOSの1つもしくはそれより多いドメイン、例えばこれらに限られるわけではないがeNOSのオキシゲナーゼドメイン及び/又はeNOSのレダクターゼドメインにおいて起こり得る。
【0043】
本明細書で用いられる場合、「融合ペプチド」又は「融合ポリペプチド」又は「融合タンパク質」又は「融合擬似ペプチド」又は「融合非−ペプチド−類似物」という用語は、膜輸送ドメインに連結した異種ペプチド、異種ポリペプチド、異種タンパク質、擬似ペプチド又は非−ペプチド類似物を指す。
【0044】
本明細書で用いられる場合、本明細書で用いられる「保存的な改変(conservative variation)」又は「保存的な置換(conservative substitution)」という用語は、アミノ酸残基の別の生物学的に類似の残基による置き換えを指す。
保存的な改変又は置換は、ペプチド鎖の形を変化させると思われない。保存的な変動もしくは置換の例には、1つの疎水性残基、例えばイソロイシン、バリン、ロイシン又はメチオニンの別の疎水性残基に代わる置き換えあるいは1つの極性残基の別の極性残基に代わる置換、例えばリシンに代わるアルギニンの、アスパラギン酸に代るグルタミン酸の又はアスパラギンに代るグルタミンの置換などが含まれる。
【0045】
本明細書で用いられる場合、「カベオリンスカフォールディングドメイン(caveolin scaffolding domain)」という用語は、いずれかのカベオリンタンパク質の推定スカフォールディングドメインを含むドメインを指す。かくして該用語は、それが本明細書で用いられる場合、推定スカフォールディングドメインに限られない。カベオリンスカフォールディングドメインの例には、これらに限られるわけではないが、以下が含まれる:
(a)ヒトカベオリン−1のアミノ酸82−101
82DGIWKASFTTFTVTKYWFYR101)(配列番号:1)又はイヌ同等物。ヒトCav−1の完全配列はGenBank Accession No.Z18951において見出され得、配列番号:5に示されている。
【0046】
(b)ヒトカベオリン−1のアミノ酸135−178
135KSFLIEIQCTSRVYSIYVHTVCDPLFEAVGKIFSNVRINLQLEI178)(配列番号:2)又はイヌ同等物。
【0047】
(c)ラットカベオリン−3のアミノ酸55−74
65DGVWRVSYTTFTVTKYWCYR84)(配列番号:3)又はヒト同等物。ラットCav−3に関する完全配列は配列番号:7に示されている。ヒトCav−3の完全配列はGenBank Accession No.AF036366.1;39−152,32−373において見出され得る。ヒトCav−3に関する完全タンパク質コードは、GenBank Accession No.AAC39758.1において見出され得る。
【0048】
(d)ラットカベオリン−3のアミノ酸108−129
109KSYLIEIQCISHIYSLCIRTFC130)(配列番号:4)又はヒト同等物。
【0049】
本明細書で用いられる場合、「ドメイン」という用語は、共通の物理化学的特徴を共有する分子もしくは構造の一部、例えばこれらに限られるわけではないが疎水性、極性、球状及びヘリックス状ドメインもしくは性質を指す。結合ドメインの特定の例には、DNA結合ドメイン及びATP結合ドメインが含まれるが、これらに限られるわけではない。
【0050】
本明細書で用いられる場合、「eNOS」又は「内皮酸化窒素シンターゼ」又は「酸化窒素シンターゼIII」という用語は、L−アルギニン、NADPH及び酸素のシトルリン、酸化窒素及びNADP+への転換を触媒する酵素を指し、内皮細胞中で発現される。
【0051】
本明細書で用いられる場合、「異種ペプチド」という用語は、その配列が、この配列の膜輸送ドメインとの融合の産物がいずれの膜輸送ドメインにフランキングする野生型配列とも異なる配列を有するように選ばれているいずれかのペプチド、ポリペプチド又はタンパク質を指す。
【0052】
本明細書で用いられる場合、「膜輸送ドメイン(membrane translocation domain)」という用語は、細胞の膜を透過することができ、くっついたペプチドをインビボで細胞中に輸送するために用いられるペプチドを指す。膜輸送ドメインには、アンテナペディアホメオドメインタンパク質の第3ヘリックス(Derossi et al.(1994)J.Biol.Chem.269,10444−10450;米国特許第5,888,762及び6,015,787号);Tat由来ペプチド(Fawell et al.(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.91,664−668);アルファヘリックス両親媒性ペプチド(Oehlke et al.(1988)Biochim.Biophya.Acta 1414,127−139;ならびにSKP又はSN50(Lin et al.(1995)J.Biol.Chem.270.14255−14258)あるいはSP1608(Rojas et al.(1996)J.Biol.Chem.271,27456−27461)と呼ばれるペプチドが含まれるがこれらに限られるわけではない。
【0053】
本明細書で用いられる場合、「野生型」という用語は、天然に存在する種のメンバーのほとんどに特徴的であり、突然変異体の遺伝子型及び表現型と対照的である遺伝子型及び表現型を指す。
II.特定の態様
A.eNOSと相互作用する薬剤
カベオリンスカフォールディングドメインのeNOSとの相互作用の同定は、eNOSの活性をダウンレギュレーションできる、例えばその酸化窒素(NO)の生成を調節できる化合物の発見を可能にする。カベオリンのeNOSへの結合は、eNOSによるNOの生成を減少させる。従ってNOのeNOS−依存性生成をダウンレギュレーションする分子は本発明の一部である。ダウンレギュレーションは本明細書で、NOの活性化、機能もしくは合成における低下と定義される。それはさらに、eNOS遺伝子、そのタンパク質産物、リガンド又はアクチベータの分解における増加を含むと定義される。従ってダウンレギュレーションは複数の方法で達成される。例えばカベオリンのeNOSへの結合を安定化することができる分子の投与。そのような分子は、カベオリン−1のDNA配列又は種々の突然変異を含有するDNA配列によりコードされるものを含むペプチド産物を包含する。これらの突然変異はカベオリンスカフォールディングドメインをコードするいずれかのカベオリン遺伝子の点突然変異、挿入、欠失又はスプライシングされた変異型であることができる。本発明は上記のDNA分子によりコードされる切断ペプチド(truncated peptides)も含む。これらのペプチドはeNOSと相互作用し、NOのeNOS−依存性生成を減少させることができる。
【0054】
eNOSと相互作用し、続くNOの生成を減少させる分子は本発明の範囲内である。カベオリンのeNOSとの相互作用はeNOSによるNOの生成を減少させ、内皮細胞における血管拡張応答の低下を生ずる。従ってeNOSと相互作用する分子をeNOS機能のダウンレギュレーションのために用いることができる。eNOSのダウンレギュレーションは、eNOSに対して向けられたポリクローナルもしくはモノクローナル抗体又はそれらのフラグメントの使用によっても達成され得る。好ましい態様において、これらの抗体はeNOS上でカベオリンスカフォールディングドメインと同じドメインにおいて結合し、特許請求される本発明内である。本発明はさらに、eNOS上でカベオリンスカフォールディングドメインと同じドメイン(例えばオキシゲナーゼドメイン)において十分な親和性を以って結合するのに必要な三次元構造を有する小分子を含む。NOの生成を減少させ、炎症の急性期の間に血管透過性を低下させるeNOS遮断は、これらの分子を炎症の阻止における治療薬として有用なものとする。
【0055】
本発明はさらに、eNOS上でカベオリンスカフォールディングドメインと同じドメイン(例えばオキシゲナーゼドメイン)において結合し、eNOSの活性を変えることによりNOの生成を調節することができる、eNOSに特異的な結合薬を提供する。そのような薬剤には基質、アゴニスト、アンタゴニスト、天然の細胞内結合標的などが含まれる。本発明はそのような薬剤の同定及び製造の方法ならびに診断、治療及び医薬品開発におけるそれらの使用も提供する。例えば特異的結合薬は多様な診断及び治療的用途において、特に疾患もしくは疾患の予後が問題となるタンパク質を含む経路の不適当な使用、例えばNO−依存性血管拡張のeNOS調節、を伴う場合に有用である。
【0056】
新規な結合薬は、ラット、イヌ及びヒトにおいて見出されるカベオリンスカフォールディングドメインを含むがこれらに限られない、いずれかの動物において見出されるカベオリンスカフォールディングドメインを含有する単離ペプチドを含む。さらに特定的に新規な結合薬は、いずれかの動物のカベオリン−1スカフォールディングドメイン又はカベオリン−3スカフォールディングドメインを含有する単離ペプチドを含む。新規な薬剤は、eNOS−特異的レセプターもしくはそれらのフラグメント、特異的抗体又はT−細胞抗原レセプター(Harlow & Lane,(1988)Antibodies−A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press)ならびに一、二及び三−ハイブリッドスクリーニングのようなアッセイを用いて同定される他の天然の細胞内結合薬、下記に記載するような化学ライブラリのスクリーニングにおいて同定される非−天然の細胞内結合薬なども含む。本発明のペプチドは好ましくは単離された形態にある。本明細書で用いられる場合、ペプチドは、物理的、機械的又は化学的方法を用いて、通常タンパク質に伴っている細胞成分からタンパク質を取り出した時に単離されたと言われる。熟練者は、容易に標準的精製法を用いて単離タンパク質を得ることができる。
【0057】
特に興味のある薬剤はeNOS機能、例えばNOの生成を調節する。例えばeNOS活性の阻害剤を用い、NO−媒介血管拡張のようなeNOSに依存する生理学的活性を調節することができる。代表的eNOS阻害剤にはカベオリンスカフォールディングドメインが結合するeNOS上の部位(例えばオキシゲナーゼドメイン)におけるカベオリン結合の競争的阻害剤、例えば配列番号:1−4に示されるペプチド及びそれらの保存的な置換物が含まれる。
【0058】
従って、本発明はeNOS活性を調節する段階を含む、インビトロ及びインビボの両方において細胞中のNO生成を調節するための方法を提供する。例えばeNOに結合する薬剤、例えばカベオリンスカフォールディングドメインと細胞を接触させることにより、eNOS機能を阻害することができる。あるいはまた、eNOSに結合する薬剤と細胞を接触させることにより、eNOS機能を刺激することができる。そのような薬剤の例にはカルモジュリン、熱ショックタンパク質−90及びダイナミン−2(dynamin−2)が含まれるがこれらに限られるわけではない。さらに、キナーゼAktはセリン1179(ウシ)又は1177(ヒト)上のeNOSをリン酸化し、eNOSの活性を増加させることができる。かくして本発明はeNOS活性のアゴニスト及びアンタゴニストの両方を含む。用いられる細胞は培養中又はその場、すなわち自然の宿主内にあることができる。好ましいeNOSの阻害剤及び刺激剤は動物宿主において、より好ましくは哺乳類宿主において、さらにもっと好ましくはヒト宿主において経口的に活性である。診断的用途のために、阻害剤、刺激剤又は他のeNOS結合薬は多くの場合、結合薬に直接共役させて、又は結合薬に特異的なプローブに結合させて、例えばビオチニル化標識を用いて、あるいは蛍光、放射性、化学ルミネセンス又は他の容易に検出され得る分子を用いて標識される。
【0059】
上記で議論した薬剤は、eNOS相互作用の調節及びかくしてNO−媒介プロセスの調節における種々の有効な治療的化合物となる。かくして出願人は、eNOSをダウンレギュレーションできるアンタゴニスト及びアンタゴニストの同定の方法を提供してきた。
B.スクリーニングアッセイ
さらに本発明はeNOS及び/又は他のカベオリン−結合タンパク質の機能を遮断する、合成を妨げる又は生物学的安定性を低下させる化合物及び化合物に関するスクリーニングの方法も提供する。生物学的安定性は、分子の合成とその分解の間の時間の尺度である。例えばタンパク質、ペプチド又は擬似ペプチド(Kauvar,Nature Biotech.(1996)14,709)治療薬の安定性を、その配列を変えてそれを酵素分解に対してより敏感にすることにより、短縮することができる。
【0060】
本発明は、eNOS機能及び/又は他のカベオリン−結合タンパク質の複数もしくは単数の機能を不活性化するか、もしくはそれらのアンタゴニストとして作用する薬剤に関するスクリーニングの方法も含む。そのような薬剤は、eNOS及び/又は他のカベオリン−結合タンパク質の量における変化に関連する病理学的状態の調節において有用であり得る。
【0061】
本発明の別の態様は、本発明のタンパク質の結合パートナーの単離及び同定において用いるための方法を提供する。例えばeNOS及び/又は他のカベオリン−結合タンパク質と相互作用し、それによりeNOSによるNO生成を阻止するか、又は他のカベオリン−結合タンパク質による他の産物の生成を阻止する薬剤。詳細に記述すると、本発明のタンパク質を結合パートナーの可能性のあるものあるいは細胞の抽出物もしくは画分と、結合パートナーの可能性のあるものと本発明のタンパク質の会合を可能にする条件下で混合する。混合後、本発明のタンパク質と会合したペプチド、ポリペプチド、タンパク質又は他の分子を混合物から分離する。次いで本発明のタンパク質に結合した結合パートナーを取り出し、さらに分析することができる。結合パートナーの同定及び単離のために、全タンパク質、例えば全カベオリン−1タンパク質を用いることができる。あるいはまた、タンパク質のフラグメントを用いることができる。例えばカベオリン−1スカフォールディングドメインペプチドを含むフラグメントを用い、オキシゲナーゼドメインにおけるeNOSとのカベオリン−1の相互作用を遮断することができる。
【0062】
細胞の抽出物を得るために多様な方法を用いることができる。物理的又は化学的崩壊法のいずれかを用いて細胞を崩壊させることができる。物理的崩壊法の例には、音波適用及び機械的剪断が含まれるがこれらに限られるわけではない。化学的ライシス法の例には、洗剤ライシス及び酵素ライシスが含まれるがこれらに限られるわけではない。熟練者は、本方法で用いるための抽出物を得るために、細胞抽出物の調製法を用意に適応させることができる。
【0063】
細胞の抽出物が調製されたら、抽出物を結合パートナーとのタンパク質の会合が起こり得る条件下でeNOSと混合する。多様な条件を用いることができ、最も好ましい条件はヒト細胞の細胞質において見られる条件と厳密に似た条件である。用いられる細胞抽出物の容量オスモル濃度、pH、温度及び濃度のような特徴を変化させて結合パートナーとのタンパク質の会合を最適化することができる。
【0064】
適した条件下で混合した後、結合複合体を混合物から分離する。混合物を分離するために多様な方法を用いることができる。例えば本発明のタンパク質に特異的な抗体を用い、結合パートナー複合体を免疫沈降させることができる。あるいはまた、クロマトグラフィー及び密度−沈降遠心法(density−sediment centrifugation)のような標準的な化学的分離法を用いることができる。
【0065】
抽出物中に見られる非−会合細胞成分の除去の後、通常の方法を用いて結合パートナーを複合体から解離させることができる。例えば混合物の塩濃度又はpHを変えることにより、解離を行わせることができる。
【0066】
混合された抽出物から会合した結合パートナー対を分離するのを助けるために、本発明のタンパク質を固体支持体上に固定化することができる。例えばタンパク質をニトロセルロースマトリックス又はアクリルビーズに付着させることができる。固体支持体へのタンパク質の付着は、抽出物中に見られる他の成分からペプチド−結合パートナー対を分離するのを助ける。同定される結合パートナーは、単一のタンパク質又は2種もしくはそれより多いタンパク質で構成される複合体のいずれであることもできる。あるいはまた結合パートナーを、Takayama et al.(1997)Methods Mol.Biol.69,171−184又はSauder et al.(1996)J.Gen.Virol.77,991−996の方法に従うFar−Westernアッセイを用いて同定することができ、あるいはエピトープ標識タンパク質又はGST融合タンパク質の使用を介して同定することができる。
【0067】
あるいはまた、本発明のペプチドをコードする核酸分子を酵母二−ハイブリッド系において用いることができる。酵母二−ハイブリッド系は他のタンパク質パートナー対の同定に用いられてきており、本明細書に記載する核酸分子を用いるために容易に適応させることができる(例えばStratagene,Hybrizap two−hybrid systemを参照されたい)。
【0068】
本発明の他の態様は、eNOS及び/又は他のカベオリン−結合タンパク質の少なくとも1つの活性を調節する薬剤の同定のための方法を提供する。そのような方法又はアッセイは、所望の活性を監視もしくは検出するいずれの手段を利用することもできる。
【0069】
1つの型において、暴露されない標準の細胞集団に比較して、調べられるべき薬剤に暴露された細胞集団の間で本発明のタンパク質の相対的量をアッセイすることができる。この型では、種々の細胞集団におけるタンパク質の示差的な(differential)発現を監視するために特異的抗体のようなプローブが用いられる。細胞系又は集団を適した条件下で、適した時間、調べられるべき薬剤に暴露する。暴露された細胞系又は集団及び標準の暴露されない細胞系又は集団から細胞ライセートを調製することができる。次いでプローブを用いて細胞ライセートを分析する。
【0070】
抗体プローブは、適した免疫化案において、ペプチドを用いて適した哺乳類宿主を免疫化することにより調製される。カベオリンスカフォールディングドメインを含むペプチド又はタンパク質は十分な長さのものであるか、あるいは所望なら、免疫原性を強化するために必要な場合、適した担体に共役させる。BSA、KLH又は他の担体タンパク質のような担体との免疫原性共役体の調製法は、当該技術分野において周知である。いくつかの状況では、例えばカルボジイミド試薬を用いる直接共役が有効であり得;他の場合にはPierce Chemical Co.により供給されるもののような結合試薬がハプテンへの接近能を与えるために望ましいかも知れない。ハプテンペプチドをアミノもしくはカルボキシ末端においてシステイン残基を用いて拡張するか、あるいはシステイン残基を散在させ、例えば担体への結合を助長することができる。免疫原の投与は一般に、当該技術分野において一般的に理解されているとおり、適した時間に及んで且つ適したアジュバントを用いる注射により行われる。免疫化スケジュールの間に抗体の力価を計り、抗体生成の十分さを決定する。
【0071】
この方法で作られるポリクローナル抗血清はいくつかの用途のために満足され得るが、製薬学的組成物のためにはモノクローナル調剤の使用が好ましい。一般に既知のとおりリンパ球又は脾臓細胞の不死化を行うKohler & Milstein,(1992)Biotechnology 24,524−526の標準的方法又は修正法を用い、所望のモノクローナル抗体を分泌する不死化細胞系を調製することができる。所望の抗体を分泌する不死化細胞系を、抗原がペプチドハプテン、ペプチド又はタンパク質であるイムノアッセイによりスクリーニングすることができる。所望の抗体を分泌する適した不死化細胞培養が同定されたら、細胞をインビトロで、又は腹水中における生成により培養することができる。
【0072】
所望のモノクローナル抗体は、培養上澄み液から又は腹水上澄み液から回収され得る。免疫学的に有意な部分を含有するモノクローナル又はポリクローナル抗血清のフラグメントを無損傷の抗体と同様にアンタゴニストとして用いることができる。免疫学的に反応性のフラグメント、例えばF(ab)フラグメントのFab、Fab’の使用が多くの場合に、特に治療の状況では好ましく、それはこれらのフラグメントが一般に全免疫グロブリンより免疫原性が低いからである。
【0073】
組換え手段による現在の方法を用いて抗体又はフラグメントを作ることもできる。複数の種の起源を有するキメラに関係して、タンパク質の所望の領域に特異的に結合する抗体領域を作ることもできる。
【0074】
上記の方法においてアッセイされる薬剤は、無作為に選ばれるか、あるいは合理的に選ばれるかもしくは設計され得る。本明細書で用いられる場合、単独の又はその会合した基質、結合パートナーなどと一緒の本発明のタンパク質の会合に含まれる特定の配列を考慮せずに、無作為に薬剤が選ばれる場合に、薬剤が無作為に選ばれると言われる。無作為に選ばれる薬剤の例は、化学ライブラリ又はペプチド組合せライブラリあるいは生物の生育ブロスの使用である。
【0075】
本明細書で用いられる場合、標的部位の配列及び/又は薬剤の作用と関連するそのコンフォーメーションを考慮に入れる非−無作為な基準で薬剤が選ばれる場合に、薬剤が合理的に選択もしくは設計されると言われる。カベオリン上のカベオリンスカフォールディングドメインと相互作用するeNOSドメインを含むペプチド配列を使用することにより、薬剤を合理的に選ぶか、又は合理的に設計することができる。例えば合理的に選ばれるペプチド薬は、そのアミノ酸配列が配列番号:1−4のアミノ酸配列に同一であるペプチド又はそれらの保存的な置換を有するペプチドであることができる。
【0076】
本発明の薬剤は、例としてペプチド、小分子、ビタミン誘導体ならびに炭水化物であることができる。熟練者は、本発明の薬剤の構造的性質に関して制限がないことを容易に認識できる。
【0077】
当該技術分野において既知の標準的固相(もしくは溶液相)ペプチド合成法を用いて本発明のペプチド薬を製造することができる。さらに、これらのペプチドをコードするDNAを、商業的に入手可能なオリゴヌクレオチド合成器を用いて合成し、標準的組換え生成システムを用いて組換え的に生成することができる。非−遺伝子−コードアミノ酸が含まれるべき場合には、固相ペプチド合成を用いる製造が必要である。
【0078】
本発明はさらに、本発明の融合ペプチドを有するペプチドをコードする単離された核酸分子及び好ましくは単離された形態におけるそれらの保存的なヌクレオチド置換物を提供する。保存的なヌクレオチド置換物は、特定のアミノ酸に関するコーディングに影響しないヌクレオチド置換を含み、それはほとんどのアミノ酸が1つより多いコドンを有するからである(King & Stansfield(1997),A Dictionary of Genetics,Oxford University Pressを参照されたい)。従って保存的なヌクレオチド置換はサイレント突然変異及び示差的コドン使用(differential codon usage)も含む。例えば本発明は配列番号:1−4に示される単数のペプチドをコードする単数の核酸及びそれらの保存的なヌクレオチド置換物を含む。本発明は、配列番号:1−4に示される複数のペプチドをコードする複数の核酸及びそれらの保存的なヌクレオチド置換物も含む。配列番号:1−4に示されるペプチドをコードするヌクレオチド配列の可能な複数の順列が与えられ、これらのペプチドをコードするいずれの核酸も本発明に包含される。
【0079】
本明細書で用いられる場合、核酸の供給源からの他のポリペプチドをコードする汚染核酸から核酸分子が実質的に分離される時に、核酸分子は「分離される」と言われる。翻訳の間にタンパク質配列中に導入されるアミノ酸の欠失、付加又は改変による核酸自身の一次構造への修正は、ペプチドの活性を破壊せずに成され得る。そのような置換又は他の改変は、本発明の意図されている範囲内に含まれる核酸によりコードされるアミノ酸配列を有するペプチドを生ずる。
【0080】
本発明の他の種類の薬剤は、本発明のタンパク質の決定的位置と免疫反応性である抗体である。抗体薬は、抗体により標的とされるべきことが意図されているタンパク質の部分を抗原性領域として含有するペプチドを用いて適した哺乳類被験者(subjects)を免疫化することにより得られる。
C.高処理量のアッセイ
序論−カベオリンスカフォールディングドメインと相互作用するeNOS上のドメイン又は他のカベオリン−結合タンパク質上のドメインと相互作用できる新規な化合物の探索のために、高処理量のスクリーニングの力を利用する。高−処理量スクリーニングについての一般的情報に関し、例えばDevlin,(1996)High Throughput Screening,Marcel Dekker 1998;米国特許第5,763,263号を参照されたい。高処理量アッセイは1種もしくはそれより多いアッセイ法を利用する。
【0081】
免疫診断法(Immunodiagnostics)及びイムノアッセイ−これらは体液(biological fluids)のような複雑な混合物中の、通常は低濃度における特定の生物化学的物質の測定のために用いられる1群の方法であり、それは適切に調製され且つ選択された抗体によりそれらの相補的抗原に関して示される特異性及び高い親和性に依存している。尺度となる物質は当然抗原性でなければならず−免疫原性の巨大分子又はハプテン性の小分子である。各試料に既知の限られた量の特異的抗体が加えられ、多くの場合に結合:遊離比として表される、それと結びついた抗原の画分を、放射性同位体(ラジオイムノアッセイ)、蛍光分子(フルオロイムノアッセイ)、安定なラジカル(スピンイムノアッセイ)、酵素(酵素イムノアッセイ)又は他の容易に区別されえる標識を用いて標識された形態の抗原を指示薬として用いて見積もる。
【0082】
酵素−結合イムノソルベントアッセイ(ELISA);ラジオイムノアッセイ(RIA);蛍光イムノアッセイ(FIA);化学ルミネセントイムノアッセイ(CLIA);及びコロイド金粒子を用いる抗体の標識(イムノゴールド(immunogold))を含む種々の方法で抗体を標識することができる。
【0083】
通常のアッセイフォーマット(assay formats)は、サンドイッチアッセイ、競争的もしくは競争アッセイ、ラテックス凝集アッセイ、均一アッセイ(homogeneous assay)、マイクロタイタープレートフォーマット及びマイクロ粒子に基づくアッセイを含む。
【0084】
酵素−結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)−ELISAは、放射性化学品の危険及び蛍光検出系の出費を避ける免疫化学的方法である。代わりに該アッセイは指示薬として酵素を用いる。ELISAは不溶性担体表面に結合する抗体(もしくは抗原)の使用に基づく1つの形態の定量的イムノアッセイであり、不溶性担体表面が次いで試験溶液中の関連する抗原(もしくは抗体)の「捕獲」に用いられる。次いであらかじめ抗原(もしくは抗体)に共有結合させてある適した酵素の活性を測定することにより、抗原−抗体複合体を検出する。
【0085】
ELISA法についての情報に関し、例えばCrowther,(1995)ELISA:Theory and Practice(Mehtods in Molecular Biology,Vol.42),Humana Press;Challacombe & Kemeny,(1988)ELISA and Other Solid Phase Immunoassays:Theoretical and Practical Aspects,John Wiley;Kemeny,(1991)A Practical Guide to ELISA,Perganon Press;Ishikawa,(1991)Ultrasensitive and Rapid Enzyme Immunoassay(Laboratory Techniques in Biochemstry and Molecular Biology,Vol.27),Elsevierを参照されたい。
【0086】
酵素に関する比色アッセイ−比色法は標準量及び試験量の化合物の両方との試薬の反応により発生する色を比較することにより、化合物の濃度又は量を決定する定量的化学分析の方法であり、多くの場合に比色計を用いる。比色計は、視覚的もしくは光電的に色の強度又は色の強度における差を測定するための装置である。
【0087】
ベータ−ガラクトシダーゼ酵素活性の標準的比色アッセイは当該技術分野における熟練者に周知である(例えばNorton et al.(1985)Mol.Cell.Biol.5,281−190を参照されたい)。比色アッセイはO−ニトロフェニル−ベータ−D−ガラクトピラノシド(ONPG、Sigma)を基質として用い、標準的比色ベータ−ガラクトシダーゼアッセイにおいて全細胞ライセートについて行われ得る(Sambrook et al.(1989)Molecular Cloning−A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press)。米国特許第5,733,720号に記載されているとおり、自動化比色アッセイもベータ−ガラクトシダーゼ活性の検出に利用できる。
【0088】
免疫蛍光アッセイ−免疫蛍光法又は免疫蛍光鏡検法は、蛍光色素への共役により抗原又は抗体を蛍光性とし、次いで組織切片もしくはスミア中の相補的抗体又は抗原と反応させる方法である。次いで紫外光下における鏡検法によって蛍光を観察することにより、抗原又は抗体の位置を決定することができる。
【0089】
免疫蛍光法についての一般的情報に関し、例えばKnapp et al.(1978)Immunofluorescence and Related Staining Techniques,Elsevier;Allan,(1999)Protein Localizaiotn by Fluorescent Microscopy:A Practical Approach(The Practical Approach Series,Vol.218)Oxford University Press;Beutner,(1983)Defined Immunofluorescence and Related Cytochemical Methods,New York Academy of Science;Caul,(1993)Immunofluorescence Antigen Detection Technoques in Diagnostic Microbiology,Cambridge Uninersity Pressを参照されたい。本発明に適用可能な免疫蛍光法の詳細な説明に関し、米国特許第5,912,176;5,869,264;5,866,319;及び5,861,259号を参照されたい。
【0090】
バイオチップ(Biochips)−本発明の核酸又はそれらの対応するタンパク質と相互作用する薬剤に関する高−処理量スクリーニングのために、本発明のペプチドをアレー又はマイクロアレー(micorarray)上で用いることができる。
【0091】
「アレー」又は「マイクロアレー」は一般的に、オリゴヌクレオチドとしても知られる規定された核酸フラグメントにより占められた位置又はプローブセルをそれぞれに有するグリッドシステムを指す。アレー自身は「チップ」又は「バイオチップ」と呼ばれることもあり、それは多くの場合に多様なグリッドの型の中に数千個のプローブセルを有する高−密度の核酸及びペプチドマイクロアレーである。
【0092】
典型的な分子検出チップは基質を含み、その上に認識部位、結合部位又はハイブリッド形成部位のアレーが配置されている。核部位はそれぞれの分子レセプターを有し、それはあらかじめ決められた構造を有する分子と結合もしくはハイブリッド形成する。アレー又はチップの表面の形成のために用いられ得る固体支持体基質には有機及び無機基質、例えばガラス、ポリスチレン、ポリイミド、二酸化ケイ素及び窒化ケイ素が含まれる。電極にプローブを直接取り付けるために、プローブと共役体を形成できる材料を用いて電極表面を二次加工しなければならない。
【0093】
アレーが二次加工されたら、試料溶液が分子検出チップに適用され、試料中の分子は1つもしくはそれより多い部位において結合もしくはハイブリッド形成する。結合が起こった部位を検出し、続いて試料中の1つもしくはそれより多い分子構造を推定する。標識されたバッチの検出は通常の検出戦略であり、放射性同位体、蛍光及びビオチン標識を含むが、電子シグナル変換を含む他の選択肢が利用可能である。
【0094】
本発明の方法は、試料の高処理量が必要な場合にいつも特別な用途を見出すであろう。特に本発明はリガンドスクリーニング設定において、ならびに複雑な混合物の組成の決定のために有用である。
【0095】
ポリペプチドは、生物学において構造と機能の間の関係を探求するための代表的なシステムである。20種の天然に存在するアミノ酸をポリマー分子中に濃縮する(condensed)と、それらはそれぞれ特定のアミノ酸配列及び溶媒条件から生ずる多様な三次元立体配置を形成する。例えば5個のアミノ酸の長さのポリマーの場合、20種の天然に存在するアミノ酸を用いて可能なポリペプチド立体配置の数は三百万を超える。典型的なタンパク質は長さが百個のアミノ酸より長い。
【0096】
典型的な用途においては、特性化されるべき1種もしくはそれより多い物質を含有する複雑な溶液を、ポリペプチドを含むポリマーアレーに接触させる。本発明のポリペプチドは当該技術分野において既知の古典的な方法により、例えば標準的固相法の使用により調製され得る。標準的方法は排他的固相合成、部分的固相合成法、フラグメント縮合、古典的溶液合成及び組換えDNA法を含む(Merrifield,(1963)Am.Chem.Soc.85,2149−2152を参照されたい)。
【0097】
好ましい態様において、アレーのポリペプチド又はタンパク質を他のコ−レセプターに結合させ、アレー上にヘテロ二本鎖(heteroduplex)を形成することができる。さらに別の態様において、アレーのポリペプチド又はタンパク質をペプチド又は小分子に結合させることができる。
D.eNOS及び/又は他のカベオリン−結合タンパク質と相互作用する薬剤に関する使用
実施例において示すとおり、eNOS及び/又は他のカベオリン−結合タンパク質の発現を調節又はアップ−もしくはダウン−レギュレーションする薬剤あるいはeNOS及び/又は他のカベオリン−結合タンパク質の少なくとも1つの活性のアゴニストもしくはアンタゴニストのような薬剤を用い、生物学的及び病理学的プロセス(例えばNO−依存性機能及び活性と関連するもの)を調節することができる。特にこれらの薬剤は、eNOSとの相互作用によりNO−媒介プロセスに影響を与え、NOと関連する生物学的もしくは病理学的プロセスを調節するために用いられ得る。
【0098】
本明細書で用いられる場合、哺乳類が本発明のタンパク質により媒介される病理学的もしくは生物学的プロセスの調節を必要としている限り、患者はいずれの哺乳類であることもできる。「哺乳類」という用語は、哺乳類の綱に属する個体を同定するものとする。本発明はヒトの患者の処置において特に有用である。
【0099】
病理学的プロセスは、有害な影響を生ずる生物学的プロセスの範囲を指す。例えば調節されないeNOSの発現は、ある種の病理学的プロセスの基礎となる(underlying)前−炎症プロセスと関連する。本明細書で用いられる場合、薬剤がプロセスの程度又は重度を低下させる時、薬剤は病理学的プロセスを調節すると言われる。例えばeNOSの発現もしくは少なくとも1つの活性を何らかの方法で減少、促進もしくは調節する薬剤の投与により、前−炎症応答を予防するか又は病理学的プロセスを調節することができる。従ってNO−依存性炎症要素を有する疾患を処置するために薬剤を用いることができ、そのような疾患には;骨粗しょう症、慢性関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、喘息(Ray & Cohn,(1999)J.Clin.Invest.104,985−993;Christman et al.(2000)Chest 117,1482−1487)及びアルツハイマー病が含まれるが、これらに限られるわけではない。
【0100】
処置のために本発明の薬剤が有用である前−炎症応答と関連する病理学的プロセスには喘息、アレルギー、例えばアレルギー性鼻炎、じんま疹、アナフィラキシー、薬物過敏症、食物過敏症など;皮膚炎症、例えば皮膚炎、湿疹、乾癬、接触皮膚炎、日焼け、老化など;関節炎、例えば変形性関節症、乾癬性関節炎、狼瘡、脊椎関節炎などが含まれるが、これらに限られるわけではない。これらの薬剤は慢性閉塞性肺疾患及び慢性炎症性腸疾患の処置にも有用である。移植片における免疫抑制及び癌治療を含む、コルチコステロイドが用いられるいずれかの用途においてコルチコステロイドと置き換えるために、本発明のペプチドを用いることができる。
【0101】
本発明の薬剤を単独で、又は特定の病理学的プロセスを調節する他の薬剤と組み合わせて与えることができる。例えば本発明の薬剤を1種もしくはそれより多い抗−炎症薬又はより普通には癌と呼ばれる悪性新生物の処置において用いられる薬剤と組み合わせて投与することができる。本明細書で用いられる場合、2種の薬剤が同時に投与されるか、又は薬剤が同時に作用するようなやり方で独立して投与される時に、2種の薬剤は組み合わせて投与されると言われる。
【0102】
本発明の薬剤を組み合わせることができる癌の処置のための薬剤には、より通例の天然の製品、例えばパクリタキセル(paclitaxel)(タキソール(Taxol))、半合成製品、例えばエトポシド(etoposide)(VP−16)ならびに多くのもっと新しい多様な薬剤、例えばIL−2及び全−トランス−レチノイン酸が含まれる。本発明の薬剤と組み合わせて用いられ得る癌の処置において有用な他の薬剤にはアラ C(ara C)、ドキソルビシン(Doxorubicin)、5−フルオロウラシル、イリノテカン(Irinotecan)(CPT−11)、タモキシフェン(Tamoxifen)、メトトレキセート(Methotrexate)、ベータ−L−ジオキソラン−シチジン(OddC)、カルボプラチン(Carboplatin)及びシスプラチン(Cisplatin)が含まれるが、これらに限られるわけではない。
【0103】
本発明は、生物学的系における細胞脈管形成、増殖、侵襲性及び転移のプロセスを含む腫瘍成長の抑制のための薬剤も含む。好ましくは薬剤は、哺乳類のような生存動物における癌細胞の増殖、侵襲性、転移又は腫瘍発生を抑制もしくは軽減するために用いられる。方法は、例えば癌細胞成長及びそれらの性質をアッセイするアッセイシステムにおける使用にも容易に適応可能である。
【0104】
腫瘍又は新生物は、細胞の増殖が調節されず且つ進行性である組織の新しい成長を含む。そのような成長のいくらかは良性であるが、他は「悪性」と呼ばれ、生物の死に導く。悪性新生物又は「癌」は、侵略的な細胞増殖を示す他に、周りの組織に侵襲し、転移することで良性の成長から区別される。さらに悪性新生物は、それらが分化のより大きな喪失(より大きな「脱分化」)ならびに互いに対する及びそれらの周りの組織に対するそれらの組織化のより大きな喪失を示すことを特徴とする。この性質は退形成とも呼ばれる。
【0105】
本発明により処置可能な新生物にはすべての充実性腫瘍、すなわち癌及び肉腫が含まれる。癌は周りの組織に浸潤(侵襲)し、転移を生ずる傾向がある上皮細胞に由来する悪性新生物を含む。腺癌は、腺組織に由来するか又は腫瘍細胞が認識され得る腺構造を形成している癌である。肉腫は広くは、その細胞が胚結合組織のような筋原線維状もしくは均一な物質中に埋め込まれている腫瘍を含む。
【0106】
本発明の手段により処置可能な癌は哺乳類において起こる。哺乳類には例えばヒトならびにペット動物、例えばイヌ及びネコ、実験動物、例えばラット及びマウスならびに農場動物、例えばウマ及びウシが含まれる。処置可能な癌には例えば結腸癌、膀胱癌、乳癌、黒色腫、卵巣癌、前立腺癌又は肺癌ならびに多様な他の癌が同様に含まれる。本発明は、例えば前立腺、乳房、腎臓、卵巣、精巣及び結腸の癌を含む腺癌における癌成長の妨害において特に有用である。本発明はさらに、皮膚及び他の器官におけるメラノサイト系に由来する黒色腫に対して有用である。
【0107】
本発明の薬剤を非経口的、皮下的、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮的又は頬的経路を介して投与することができる。あるいはまた、もしくは同時に、投与は経口的経路によることができる。投与される投薬量は受容者の年令、健康及び体重、もしあれば同時の処置の種類、処置の頻度ならびに所望の効果の性質に依存するであろう。
E.製薬学的調製物
本発明は、製薬学的に許容され得る担体と一緒に本発明の薬剤を含む製薬学的組成物も含む。製薬学的に許容され得る担体は無菌の液体、例えば水ならびに石油、動物、植物もしくは合成起源のものを含む油、例えば落花生油、大豆油、鉱油、ごま油などであることができる。製薬学的組成物が静脈内に投与される場合、水が好ましい担体である。食塩水及びデキストロース水溶液及びグリセロール溶液も液体担体として、特に注射用溶液のために用いられ得る。適した製薬学的担体はGennaro et al.(1995)Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Companyに記載されている。薬理学的に活性な薬剤の他に、本発明の組成物は、作用の部位への送達のために、活性化合物を製薬学的に用いられ得る調製物に加工するのを容易にする賦形剤及び助剤を含む適した製薬学的に許容され得る担体を含有することができる。非経口的投与に適した調剤には水溶性の形態、例えば水溶性の塩の形態における活性化合物の水溶液が含まれる。さらに適した油性注射用懸濁剤のような活性化合物の懸濁液を投与することができる。適した親油性溶媒もしくはビヒクルには脂肪油、例えばごま油又は合成脂肪酸エステル類、例えばオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドが含まれる。水性注射用懸濁剤は、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、ソルビトール及びデキストランを含む、懸濁剤の粘土を向上させる物質を含有することができる。場合により、懸濁剤は安定剤も含有することができる。
【0108】
細胞中への送達のために薬剤、特に疎水性薬剤をカプセル封入るために、リポソームを用いることもできる。1つの態様において本発明は、製薬学的に適合性のビヒクルもしくは担体中にペプチド−リポソーム複合体を含む製薬学的組成物を提供する。リポソームは、内部の水相が1つもしくはそれより多いリン脂質二重層により囲まれている球状コロイド性構造である。薬剤送達系としてのリポソームの使用は米国特許第3,993,754;4,235,871;4,356,167号に開示されている。組成物は、好ましくは薬剤の有効な送達を必要としているヒトの患者への静脈内投与のために調製される。これらの複合体は、静脈内投与の後に体全体にそれらが分布するように適切な寸法とされる。さらに、米国特許第5,785,976号に記載されているとおり、これらのリポソームは特殊な薬剤の送達にそれらが独特に適しているように修正され得る。
【0109】
他の態様において本発明は、製薬学的に許容され得るビヒクル中のリポソーム複合体中にペプチドを含む製薬学的組成物の治療的に有効な量を患者に投与することを含む治療法に関する。本明細書に詳細に示すとおり、AP−Cavペプチドを含むリポソーム複合体の全身的(例えば静脈内)投与を介する腫瘍の処置は、本発明のこの側面の重要な態様である。
【0110】
他の態様において、本発明のペプチドの有効な送達のために、多様な方法により、同様に多様な群の化合物を用いて、ミセルを調製することができる。ペプチドの有効な送達のためのミセルの形成に多くの形態のポリマーが用いられてきた。これらのポリマーは一般にブロックコポリマーであった。そのようなミセル形成ポリマー性調剤は一般にpH非依存的方法で挙動するように設計され、非イオン性ポリマーもしくはコポリマーを含んだ(Ropert et al.(1992)Biochem.Biophys.Res.Commun.187,379−885;Seki et al.(1984)Macromolecules,17,1692−1698;Kwon & Kazunori,(1995)Adv.Drug Deliv.Rev.16,295−309)。好ましい態様において本発明は、投与の後にミセルから放出されるカベオリンペプチドを含むミセルを含有する調剤を与えることによる、カベオリンペプチドの有効な送達のための方法及び組成物を含む。
【0111】
本発明に従う全身的投与のための製薬学的調剤は、腸内、非経口的もしくは局所的投与のために調製され得る。実際には、活性成分の全身的投与を達成するためにすべての3つの型の調剤を同時に使用することができる。
【0112】
経口的投与に適した調剤には硬質もしくは軟質ゼラチンカプセル、丸薬、コーティング錠を含む錠剤、エリキサー、懸濁剤、シロップ又は吸入剤ならびにそれらの放出制御形態が含まれる。
【0113】
本発明の薬剤を非経口的、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮的もしくは頬的経路を介して投与することができる。あるいはまた、もしくは同時に、投与は経口的経路によるか、又は直接肺への吸入もしくは洗浄によることができる。投与される投薬量は受容者の年令、健康及び体重、もしあれば同時の処置の種類、処置の頻度ならびに所望の効果の性質に依存するであろう。
【0114】
本発明の処置法において用いられる薬剤は、処置されるべき状態、部位−特異的処置の必要性、投与されるべき薬剤の量及び類似の考慮事項のような考慮事項に依存して、全身的もしくは局所的に投与され得る。
【0115】
局所的投与を用いることができる。溶液、懸濁剤、ジェル、軟膏(ointment)又は軟膏(salve)などのようないずれの通常の局所用調剤を用いることもできる。そのような局所用調剤の調製は、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciencesにより例示されているように、製薬学的調剤の技術分野において十分に記載されている。局所的適用のために、これらの化合物を粉剤又は特にエアゾール形態におけるスプレーとして投与することもできる。活性成分を全身的投与に適応させた製薬学的組成物において投与することができる。既知のとおり、薬剤が全身的に投与されるべき場合、それを経口的投与のための粉剤、丸薬、錠剤などとして又はシロップもしくはエリキサーとして調製することができる。静脈内、腹腔内又は病巣内投与のためには、化合物は注射により投与され得る溶液もしくは懸濁剤として調製されるであろう。ある場合には、座薬の形態で又は皮膚下のデポジット(deposit)又は筋肉内注射用の持続放出性調剤としてこれらの化合物を調製するのが有用であり得る。好ましい態様において、本発明の化合物を吸入により投与することができる。吸入治療のために、化合物は計量投薬吸入器による投与に有用な溶液中あるいは乾燥粉末吸入器に適した形態にあることができる。
【0116】
有効な量は、標的タンパク質の活性を調節するか又はその量を変えるであろう量である。与えられる有効な量は状態から状態へ変化するであろうし、ある場合には処置されている状態の重度及び処置に対する患者の感受性と共に変わり得る。従って与えられる有効な量は、日常的実験を介してその時期及び場所において最良に決定されるであろう。しかしながら、本発明に従う腫瘍の処置において、0.001〜5重量パーセント、好ましくは約0.01〜1重量パーセントを含有する調剤が通常治療的に有効な量を構成するであろうと思われる。全身的に投与される場合、1日につき体重のkg当たり0.01〜100mg、しかし好ましくは約0.1〜10mg/kgの量がほとんどの場合に治療的結果を達成するであろう。
【0117】
本発明の方法の実施において、本発明の化合物を単独で又は組み合わせて、あるいは他の治療薬もしくは診断薬と組み合わせて用いることができる。ある好ましい態様において、一般に受け入れられている医学的習慣に従ってこれらの状態のために典型的に処方される他の化合物と一緒に、本発明の化合物を共投与することができる。本発明の化合物をインビボで、通常は哺乳類において、好ましくはヒトにおいて用いることができる。
【0118】
さらに別の態様において、治療的利益のために、標的タンパク質の機能もしくは調節を変えるタンパク質を含む化学的部分に本発明の化合物をカップリングさせることができる。これらのタンパク質は、炎症に関連する障害の処置における追加の治療的利益を与ええる他のサイトカインの阻害剤及び成長因子を組み合わせて含むことができる。さらに本発明の分子を、当該技術分野において周知の架橋試薬のいずれかを用い、リン酸化を介してビオチニレート、チオエート、アセチレート、ヨージネートに共役させることもできる。
【0119】
本発明のペプチドを、レセプター結合種の貫膜輸送を開始させるビオチンもしくはフォレートレセプターを有する膜を横切るペプチドの貫膜輸送を強化する分子にカップリングさせることもできる。該方法は、(1)ほとんどの細胞の膜表面上におけるビオチン及びフォレートレセプターの存在及び多数性、ならびに(2)関連するレセプター媒介の貫膜プロセスを利用する。方法の実施は、ビオチンもしくは他のビオチンレセプター−結合化合物及び/又は葉酸もしくは他のフォレートレセプター−結合化合物から選ばれるリガンドとペプチドの間の複合体の形成を含む。ビオチン又はフォレートレセプターを保有する細胞膜をこの複合体と接触させ、それにより複合体のレセプター媒介貫膜輸送を開始させる。複合体の貫膜輸送を開始させ、可能にするのに十分な時間、対応するレセプターを保有する膜表面に複合体を接触させる。ペプチドの貫膜輸送を植物、哺乳類及びバクテリア細胞において促進することができる。
【0120】
本発明の1つの態様において、本発明の方法のための標的レセプターはビオチンレセプターである。ビオチンは必要な細胞栄養であり、それは細胞膜と関連するビオチンレセプタータンパク質により優先的に結合されることが見出されている。ビオチンとポリヌクレオチド、タンパク質又は他の所望の外因性の分子の間の共有結合複合体の形成のために、商業的に入手可能な試薬が用いられる。本発明の1つの好ましい態様に従うと、ビオチニル化ペプチドを、膜中の対応するビオチンレセプターへの複合体のビオチン部分の結合を可能にするのに十分な時間、関連ビオチンレセプターを有する膜と接触させる。この結合は、複合体の貫膜輸送を生ずる細胞プロセスの開始の引き金を引く。
【0121】
代わりの、しかし同様に好ましい本発明の態様において、外因性分子の細胞吸収を増進させるためにフォレートレセプターが標的とされる。フォレート結合レセプターはほとんどの型の細胞において見出され、それらはフォレートに結合し、その細胞インターナリゼーションの引き金を引くことが示されている。かくして当該技術分野において認識されているカップリング法を用い、葉酸及び他の当該技術分野において認識されているフォレートレセプター−結合リガンドを本発明のペプチドに化学的に結合させ、生存細胞中に容易にエンドサイトーシスされ得るフォレートレセプター−結合複合体を得ることができる。本発明のこの態様に従うと、フォレート−ペプチド複合体を、対応するフォレートレセプターへの複合体のフォレート部分の結合を可能にするのに十分な時間、関連フォレートレセプターを有する膜と接触させる。フォレートレセプター結合は、複合体の貫膜輸送を生ずる細胞プロセスの開始の引き金を引く。
【0122】
ビオチン及びフォレートレセプターの使用は、通常は細胞インターナリゼーションに抵抗性であるペプチドのインターナリゼーション効率(細胞吸収)を向上させるために特に有用である。以前には細胞膜を横切って移動することが困難であると認識されていたペプチドを、ビオチン及びフォレートレセプターの使用を介して細胞によりインターナリゼーションすることができる。例えばカベオリンペプチドをビオチン又はフォレートのいずれかにカップリングさせ、細胞インターナリゼーションを促進するのに十分な時間、得られる複合体と細胞を接触させることにより、カベオリンペプチドを用いるeNOSの遮断を行うことができる。複合体化された外因性分子の細胞吸収を増進させるためのビオチン及びフォレート複合体の使用は、インビボおよびインビトロで示されている(米国特許第5,635,382号を参照されたい)。
F.分子生物学、微生物学及び組換えDNA法
上記のとおり又は下記の実施例で議論するとおり、本発明に従い、通常の分子生物学、微生物学及び組換えDNA法を用いることができる。そのような方法は文献において十分に説明されている。例えばSambrook et al.(1989)Molecular Cloning−A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press;Glover,(1985)DNA Cloning:A Practical Approach;Gait,(1984)Oligonucleotide Synthesis;Harlow & Lane,(1988)Antibodies−A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press;Roe et al.(1996)DNA Isolation and Sequencing:Essential Techniques,John Wiley;及びAusubel et al.,(1995)Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishingを参照されたい。
G.アンチセンスRNA
アンチセンス分子は、特定のmRNAに相補的なヌクレオチド配列を有するRNA又は1本鎖DNA分子である。実験室で調製されたアンチセンス分子を、研究中の遺伝子により転写された正常なmRNAを含有する細胞中に注入すると、アンチセンス分子はmRNAと塩基対形成することができ、タンパク質へのmRNAの翻訳を妨げることができる。得られる2本鎖RNA又はRNA/DNAを、そのような分子に特異的に結合する酵素により消化する。従ってmRNAの枯渇が起こり、遺伝子産物の翻訳が阻止され、アンチセンス分子は有害なタンパク質の生成の阻止のための医薬品において用途を見出す。アンチセンスRNAの調製及び使用の方法は当該技術分野における通常の熟練者に周知である(例えばLichtenstein & Nellen(1997),Antisense Technology:A Practical Approach,Oxford University Pressを参照されたい。
【0123】
本発明のアンチセンス分子及びリボザイムは、核酸分子の合成のための当該技術分野において既知のいずれの方法によっても調製され得る。これらには、固相ホスホルアミダイト化学合成のような化学的にオリゴヌクレオチドを合成するための方法が含まれる。あるいはまた、DNA配列のインビトロ及びインビボ転写によりRNA分子を生成させることができる。そのようなDNA配列をT7又はSP6のような適したRNAポリメラーゼプロモーターを有する多様なベクター中に導入することができる。あるいはまた、構成的又は誘導的方法でアンチセンスRNAを合成するこれらのcDNA構築物を細胞系、細胞又は組織中に導入することができる。
【0124】
細胞内安定性及び半減期を向上させるためにRNA分子を修正することができる。可能な修正には分子の5’及び/又は3’末端におけるフランキング配列の付加あるいは分子の主鎖内におけるホスホジエステラーゼ結合ではないホスホロチオエートもしくは2’O−メチルの使用が含まれるが、これらに限られるわけではない。内因性エンドヌクレアーゼにより容易に認識されないイノシン、クエオシン及びウィブトシン(wybutosine)のような通常でない(nontraditional)塩基ならびにアデニン、シチジン、グアニン、チミン及びウリジンのアセチル−、メチル−、チオ−及び類似して修正された形態を含ませることにより、この概念を拡大することができる。
H.融合タンパク質
比較的一般に知られているとおり、融合タンパク質は2種の遺伝子の融合から生ずる発現産物である。そのようなタンパク質は、例えば組換えDNA発現研究において、あるいは当然、癌遺伝子がgagに融合しているある種のウィルス性癌遺伝子において生成され得る。本明細書で用いられる場合、それはより特定的に、膜輸送ドメインを含むペプチドが異種ペプチドに連結しているペプチド、ポリペプチド又はタンパク質を指す。
【0125】
融合タンパク質の形成は、クローニングされた真核遺伝子をバクテリア系における発現のためにバクテリア性プロモーターの制御下に置く必要から生ずることがある。そうすると多くの場合、バクテリア系の配列が真核タンパク質に連結して発現される。融合タンパク質は、異種遺伝子産物の構造、精製、機能及び発現の分析のために用いられる。
【0126】
融合タンパク質は、問題の核酸が組換えDNA法により受容プラスミド中に導入され、プラスミド遺伝子のための停止コドンを置き換えると形成され得るハイブリッドタンパク質分子である。融合タンパク質はプラスミドタンパク質配列の一部を有するアミノ末端において始まり、問題のタンパク質を以って終わる。
【0127】
融合タンパク質の形成は当該技術分野における熟練者に周知である(例えば米国特許第5,908,756b;5,907,085;5,906,819;5,905,146;5,895,813;5,891,643;5,891,628;5,891,432;5,889,169;5,889,150;5,888,981;5,888,773;5,886,150;5,886,149;5,885,833;5,885,803;5,885,779;5,885,580;5,883,124;5,882,941;5,882,894;5,882,864;5,879,917;5,879,893;5,876,972;5,874,304;及び5,874,290号を参照されたい)。臨床及び研究医学において用いられる特定の型の融合分子に関連する構築、性質、用途及び問題の一般的概覧に関し、Chamow et al.(1999)Antibody Fusion Proteins,John Wileyを参照されたい。
I.擬似ペプチド
本発明は、カベオリンスカフォールディングドメインの三次元構造を模しており、eNOSに結合する擬似ペプチドも含む。本明細書で用いられる場合、既知のポリペプチドの「擬似ペプチド」は、ペプチド又はポリペプチドの活性を模しているが、アミノ酸以外の又はそれに加えられる分子から構成される化合物を指す。そのような擬似ペプチドは、例えばより経済的な製造、より大きい化学的安定性、強化された薬理学的性質(半減期、吸収、力価、有効性など)、改変された特異性(例えば広い範囲の生物活性)、抗原性の低下及び他を含む、天然に存在するペプチドを越える優位な利点を有し得る。
【0128】
1つの形態において、擬似物はタンパク質の二次構造の要素を模したペプチド−含有分子である。例えばJohnson et al.(1993)Peptide Turn Mimetics in Biotechnology and Pharmacy,Pezzuto et al.(Editors)Chapman & Hallを参照されたい。擬似ペプチドの使用の後にある基礎となる理論的根拠は、タンパク質のペプチド主鎖が主に分子相互作用、例えば抗体と抗原の相互作用を助長するようなやり方でアミノ酸側鎖を配向させて存在することである。擬似ペプチドは、天然の分子に類似した分子相互作用を許すと予想される。
【0129】
他の形態において、鋳型のペプチドの性質と類似の性質を有する非−ペプチド薬剤としてペプチド類似物が通常製薬産業において用いられる。これらの型の非−ペプチド化合物も「擬似ペプチド(peptide mimetics)」又は「擬似ペプチド(peptidemimetics)」と呼ばれ(Fauchere,(1986)Adv.Drug Res.15,29−69;Veber & Freidinger,(1985)Trends Neurosci.8,392−396;及びEvans et al.(1987)J.Med.Chem.30,1229−1239、これらは引用することによりその記載事項が本明細書の内容となる)、通常コンピューター化された分子モデリングを用いて開発される。
【0130】
治療的に有用なペプチドに構造的に類似している擬似ペプチドを用い、同等の治療的もしくは予防的効果を生ずることができる。一般に擬似ペプチドはパラダイムポリペプチド(すなわち生物化学的性質又は薬理学的活性を有するポリペプチド)、例えばカベオリンスカフォールディングドメインに構造的に類似しているが、1つもしくはそれより多いペプチド結合が場合によって−CHNH−、−CHS−、−CH−CH−、−CH=CH−(シス及びトランス)、−COCH−、−CH(OH)CH−及び−CHSO−より成る群から選ばれる結合で、当該技術分野において既知であり且つさらに以下の参照文献中に記載されている方法により置き換えられていることができる:それぞれ引用することによりその記載事項が本明細書の内容となるWeinstein,(1983)Chemistry and Biochemstry of Amino Acids,Peptides and Proteins,Marcel Dekker;Morley,(1980)Trends Pharmacol.Sci.1,463−468(一般的総説);Hudson et al.(1979)Int.J.Pept.Protein Res.14,177−185(−CHNH−、CHCH−);Spatola et al.(1986)Life Sci.38,1243−1249(−CH−S);Hann,(1982)J.Chem.Soc.Perkin Trans,1,307−314(−CH−CH−、シス及びトランス);Almquist et al.(1980)J.Med.Chem.23,1392−1398(−COCH−);Jennings−White et al.(1982)Tetrahedron Lett.23,2533(−COCH−);米国特許出願第4,424,207号(−CH(OH)CH−);Holladay et al.(1983)Tetrahedron Lett.24,4401−4404(−C(OH)CH−);及びHruby,(1982)Life Sci.31,189−199(−CH−S−)。
【0131】
擬似ペプチドの標識は通常、定量的構造−活性データ及び/又は分子モデリングにより予示される擬似ペプチド上の妨げにならない単数もしくは複数の位置に直接又はスペーサー(例えばアミド基)を介して、1つもしくはそれより多い標識を共有結合させることを含む。そのような妨げにならない位置は一般に、治療的効果を生むために擬似ペプチドが結合する単数もしくは複数の巨大分子と直接接触しない(例えばカベオリン−eNOS複合体の接触点ではない)位置である。擬似ペプチドの誘導体化(例えば標識)は擬似ペプチドの所望の生物学的もしくは薬理学的活性を実質的に妨げてはならない。
【0132】
擬似カベオリンスカフォールディングドメインペプチドは、有機部分によるアミノ酸の置き換えを介して構造に基づく薬剤設計により構築され得る(例えばHughes,(1980)Philos.Trans.R.Soc.Lond.290,387−394;Hodgson,(1991)Bioetchnol.9,19−21;Suckling,(1991)Sci.Prog.75,323−359を参照されたい)。
【0133】
薬剤ライブラリを作るための組合せ化学の使用を介して擬似ペプチドの使用を強化することができる。カベオリンのeNOSへの結合を増加又は減少させるアミノ酸突然変異の同定により擬似ペプチドの設計を助けることができる。用いられ得る方法は、酵母二ハイブリッド法(Chien et al.(1991)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88,9578−9582を参照されたい)及びファージディスプレー法(phage display method)の使用を含む。二ハイブリッド法は酵母におけるタンパク質−タンパク質相互作用を検出する(Fields et al.(1989)Nature 340,245−246)。ファージディスプレー法は固定化されたタンパク質とラムダ及びM13のようなファージの表面上で発現されるタンパク質の間の相互作用を検出する(Amberg et al.(1993)Strategies 6,2−4;Hogrefe et al.(1993)Gene 128,119−126)。これらの方法はタンパク質−タンパク質相互作用に関する正及び負の選択ならびにこれらの相互作用を決定する配列の同定を可能にする。
【0134】
ペプチド合成及び擬似ペプチドについての一般的情報に関し、例えばそれぞれ引用することによりその記載事項全体が本明細書の内容となるJones,(1992)Amino Acid and Peptide Synhesis,Oxford University Press;Jung,(1997)Combinatorial Peptide and NonPeptide Libraries:A Handbook,John Wiley;及びBodanszky et al.(1993)Peptide Chemistry:A Practical Textbook,2nd Revised Edition,Springer Verlagを参照されたい。
J.トランスジェニック動物
トランスジェニック動物は遺伝的に改変された動物であり、その中に組換え外因性遺伝物質又はクローニングされた遺伝物質が実験的に転移させられている。そのような遺伝物質は多くの場合にトランスジーンと呼ばれる。トランスジーンの核酸配列をゲノムの、その特定の核酸配列が組込まれなければ通常は見出されない遺伝子座又はトランスジーンのための通常の遺伝子座において組込むことができる。トランスジーンは標的動物の種と同じ種の、又はそれと異なる種のゲノムに由来する核酸配列から成ることができる。
【0135】
「生殖細胞系トランスジェニック動物」という用語は、遺伝的改変又は遺伝情報が生殖系細胞中に導入されており、それにより遺伝情報を子孫に転移させるトランスジェニック動物の能力を与えるトランスジェニック動物を指す。そのような子孫が実際にその改変又は遺伝情報のいくらか又はすべてを有していたら、それらもトランスジェニック動物である。
【0136】
改変又は遺伝情報は、受容動物が属する動物の種にとって異種であるか、特定の個々の受容動物とってのみ異種であるか、又は受容動物がすでに保有している遺伝情報であることができる。最後の場合、改変されたもしくは導入された遺伝子は本来の遺伝子と異なって発現され得る。
【0137】
トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、胚幹細胞における遺伝子ターゲティングならびに組換えウィルス及びレトロウィルス感染を含む多様な異なる方法によりトランスジェニック動物を作ることができる(例えば米国特許第4,736,866号;米国特許第5,602,307号;Mullins et al.(1993)Hypertension 22,630−633;Brenin et al.(1997)Surg.Oncol.6,99−110;Tuan,(1997)Recombinant Gene Expression Protocols,Methods in Molecular Biology No.62,Humana Pressを参照されたい)。
【0138】
活性化癌遺伝子を発現するもの(米国特許第4,736,866号);サルSV40 T−抗原を発現するもの(米国特許第5,728,915号);インターフェロン調節因子1(IRF−1)の発現が欠けているもの(米国特許第5,731,490号);ドパミン作用性機能不全を示すもの(米国特許第5,723,719号);血圧コントロールに関与する少なくとも1つのヒト遺伝子を発現するもの(米国特許第5,731,489号);自然に起こるアルツハイマー病に存在する状態への比較的大きな類似性を示すもの(米国特許第5,720,936号);細胞接着を媒介する能力が低下しているもの(米国特許第5,602,307号);ウシ成長ホルモン遺伝子を有するもの(Clutter et al.(1996)Genetics 143,1753−1760)あるいは完全にヒト抗体応答を生ずることができるもの(Zou et al.(1993)Science 262,1271−1274)を含む複数の組換え又はトランスジェニックマウスが作られてきた。
【0139】
ほとんどのトランスジェニック実験のためにマウス及びラットは選択される動物として残っているが、いくつかの場合には代わりの動物種を用いるのが好ましいか又は必要でありさえする。トランスジェニック法は、ヒツジ、ヤギ、ブタ、イヌ、ネコ、サル、チンパンジー、ハムスター、ウサギ、ウシ及びモルモットを含む多様な非−ネズミ動物において用いられて成功してきた(Kim et al.(1997)Mol.Reprod.Dev.46,515−526;Houdebine,(1995)Reprod.Nutr.Dev.35,609−617;Petters,(1994)Reprod.Fertil.Dev.6,643−645;Schnieke et al.(1997)Science 278,2130−2133;Amoah,(1997)J.Animal Science 75,578−585を参照されたい)。
【0140】
組換え感応哺乳類細胞中への核酸フラグメントの導入法は、複数の核酸分子の共−形質転換に有利ないずれの方法によることもできる。トランスジェニック動物を作るための詳細な手順は、米国特許第5,489,743号及び米国特許第5,602,307号における開示を含んで、当該技術分野における熟練者にとって容易に利用可能である。
【0141】
本発明は、カベオリンスカフォールディングドメイン融合タンパク質(AP−Cav)をコードする遺伝子を発現するトランスジェニック動物ならびに野生型の遺伝子と比較して保存的な及び非−保存的なアミノ酸置換を生ずるその遺伝子の突然変異を含む。
【0142】
当該技術分野における通常の熟練者は、さらなる記述なしで、前の記述及び続く例示的実施例を用い、本発明の化合物を製造及び利用でき、且つ特許請求する方法を実施できると思われる。従って以下の作業実施例は本発明の好ましい態様を特定的に指摘しており、開示の残りの部分を制限すると決してみなされるべきではない。
【0143】
【実施例】
実施例1−カベオリン−1スカフォールディングドメイン融合ペプチド
アンテナペディアインターナリゼーション配列(RQIKIWFQNRRMKWKK)(配列番号:10)に融合したヒトカベオリン−1の推定スカフォールディングドメイン(配列番号:1)又はかき混ぜられた(scrambled)標準ペプチドCav−X(WGIDKAFFTTSTVTYKWFRY)(配列番号:9)に対応するペプチドを合成し、カベオリン−1スカフォールディングドメイン−アンテナペディア融合ペプチド(AP−Cav;配列番号:11又はAP−Cav−X;配列番号:12)を形成した。ペプチドはYale University School of MedicineにおけるW.M.Keck Biotechnology Resource centerによって、標準的F−moc化学により合成され、精製され、逆相HPLC及び質量スペクトル分析により分析された。組織もしくは細胞インターナリゼーション研究のために、アミノヘキサン酸スペーサー及びそれに続くビオチン又はローダミンをアミノ末端に有するペプチドを合成した。
【0144】
実施例2−AP−Cavは単離血管の内皮−依存性弛緩を抑制する
単離マウス大動脈環調製のために、雄のC57ブラックマウス(5〜7週令)をメトキシフルラン(methoxyflurane)により麻酔し、放血により犠牲にした。胸郭大動脈を切開し、長さが3ミリメートルの円筒状の切片に切断した。無菌の48−ウェル組織培養プレートを用い、ペニシリン(100単位/ml)、ストレプトマイシン(100μg/ml)及びL−グルタミン(1mM)が補足されたDMEM中で希釈されたペプチド又はビヒクル(DMSO)と一緒に、1mlの合計体積において各環をインキュベーションした。5%COを用いてプレートをインキュベーションした。ペプチドと一緒にインキュベーションした後(1、6、12又は20時間)、以下の組成の酸素化(95%O−5%CO)Krebs−Henseleit重炭酸塩緩衝溶液(KHS)中で環を洗浄した(37℃において、イブプロフェン(10μM)を有するNaCl−118.3ミリモル/L、KCl−4.7ミリモル/L、CaCl−2.5ミリモル/L、MgSO−1.2ミリモル/L、KHPO−1.2ミリモル/L、NaHCO−25ミリモル/L、グルコース−5.6ミリモル/L)。内腔に挿入された2本のタングステンワイヤ(厚さ25mm)により環をつるし、血管ミオグラフシステム(5mlの室、Kent Scientific)中に取り付けた。マウス大動脈を1.5グラムの休止張力下に置き、MacLabデータ取得システムに連結された力変換器を用いて等長性張力を記録した。頻繁に洗浄しながらの60分間の平衡化時間に続き、フェニレフリン(PE)(10μM;最大未満濃度)を用いて環を予備収縮させ、Ach(1nM〜10nM)、ナトリウムニトロプルシド(10μM)又はニトロ−L−アルギニンメチルエステル(L−NAME、100mM)の濃厚液をPE収縮のプラトーにおいて注入した。いくつかの実験では、PEの収縮効果への濃度−応答曲線を監視した。
【0145】
無損傷の血管におけるeNOSの負の調節物質としてのカベオリンの重要性を調べるために、カベオリン−1の一次eNOS結合ドメイン(スカフォールディングドメイン;アミノ酸82−101)を、アンテナペディア(AP)、ドロソフィラ(Drosophila)転写因子のホメオドメインとのカルボキシ末端融合タンパク質として合成した(AP−Cav)。APタンパク質は、非−エンドサイトーシス、非−分解経路を介するペプチド又はオリゴヌクレオチドの培養哺乳類細胞内への均一な吸収を助長する(Derossi et al.(1998)Trends Cell Biol.8,84−87;Derossi et al.(1996)J.Biol.Chem.271,18188−18193;Derossi et al.(1994)J.Biol.Chem.269,10444−10450)。図1Aにおいてわかるとおり、AP−Cav(10μM)と一緒のマウス大動脈環のインキュベーションはアセチルコリン(Ach)、内皮−依存性血管拡張剤が血管の弛緩を引き出す能力を減衰させる(左のパネルにおける線)。しかしながら、かき混ぜられた変形(AP−Cav−X;10μM;図1B右のパネルにおける線)又はAPのみ(30μM)と一緒の大動脈環のインキュベーションは血管のAch−誘導弛緩に影響しなかった。このバイオアッセイデータを図1Cにまとめる。Ach−誘導弛緩へのAP−Cavの抑制効果は用量−依存性(1〜10μM)及び時間−依存性(図7を参照されたい)であった。eNOS誘導NOを阻害するAP−Cavの能力と矛盾なく、AP−Cavと一緒のマウス大動脈の予備インキュベーションはフェニレフリン(PE)、アルファ−1アドレナリン作用性レセプターアゴニストの血管収縮因子作用に力を与える結果を生じたが、AP−Cav−Xはそうでなかった(図1D)。
【0146】
実施例3−eNOSは無損傷の血管におけるAP−Cavの一次生物学的標的 である
AP−Cavの阻害作用がeNOSの阻害を介して起こっていたという仮説を調べるために、AP−Cav又はAP−Cav−Xと一緒にあらかじめ予備インキュベーションされたマウス大動脈環においてニトロ−L−アルギニンメチルエステル(L−NAME)の血管収縮因子作用を調べた(図2)。AP−Cav Xを用いて予備処置された血管において(A;左のパネル)、血管切片のAch−誘導弛緩及びL−NAME、NOSの阻害剤の添加は、基礎的NO合成の抑制の故に等長性張力発現をさらに増加させた。これはAP−Cavを用いて処置された血管と対照的である(パネルB)。AP−Cavと一緒の血管の予備インキュベーションは血管のAch−誘導弛緩を抑制し(NOS阻害と矛盾なく)、L−NAMEがさらに血管張力を増加させる能力を減少させもした。L−NAMEが等長性張力をさらに増加させ得ないことは、無損傷の血管におけるAP−Cavの一次分子標的が実際にeNOSであったことを示唆している(Cにまとめのデータ)。さらにAP−Cav、AP−Cav−X及びAPはNOドナー薬剤、ナトリウムニトロプルシド(SNP、図7を参照されたい)の直接血管弛緩薬性の効果を有していなかった。
【0147】
AP−Cavの特異性をさらに調べるために、Ach−誘導プロスタサイクリン生成を測定した。プロスタサイクリン放出を測定するために、20時間のインキュベーション時間の後、インキュベーターにおいて300μlのKHSを有する無菌の48−ウェル組織培養プレート中に大動脈切片(4〜5mm)を37℃で30分間入れた。次いでプロスタサイクリンの基礎的放出を測定するために100mlのアリコートを採取した。Ach(1μM)を加え、プレートをインキュベーター中にさらに30分間保った。次いでプロスタサイクリンのAch−刺激放出を測定するためにアリコートを採取した。この案をイブプロフェン(10μM)の不在又は存在下で実施した。アリコートを凍結し、プロスタサイクリン放出を安定な分解産物、6−ケト−PGFとしてEIA(Amersham)により測定した。
【0148】
Achは内皮上のムスカリン性レセプター(M1及びM3)に結合し、c−src、細胞質カルシウムにおけるG−タンパク質依存性増加を活性化する。カルシウムにおける増加はカルモジュリンを活性化してホスホリパーゼC及びA2、アラキドン酸放出ならびにシクロオキシゲナーゼによる続くその代謝及びプロスタサイクリン合成を刺激し、プロスタサイクリンを生成させるであろう(Smith,(1997)Adv.Exp.Med.Biol.00,989−1011)。AP−Cav−X又はAP−Cavのいずれもマウス大動脈環からの基礎的もしくはAch刺激プロスタサイクリン生成(6−ケト−PGFとして測定)に影響せず、AP−Cavがプロスタサイクリン生成に導くシグナル変換機構を妨げないが、イブプロフェン、シクロオキシゲナーゼ阻害剤はAch−誘導プロスタサイクリン生成を止める(abolished)ことを示した(図2D)。
【0149】
次に血管壁内へのAP−Cavの吸収を調べた。AP−Cav及びAP−Cav−Xのビオチニル化変形を合成した。ビオチニル化ペプチド(100μM)又はビヒクルと一緒に20時間インキュベーションした後、環を皿中に入れ、組織上に堆積してい得る過剰のバイオペプチドを除去するために、軽く振りながらPBSで2回洗浄した(各回20分)。次いで環をOCT培地中に埋め込み、アビジン−ホースラディッシュペルオキシダーゼ複合体を用いる染色のために断面(厚さ5μM)を得、3−アミノ−9−エチルカルバゾール(AEC)を用いて反応性を検出した。
【0150】
図3Aにおいてわかるとおり、ビオチニル化AP−Cav(Biot−AP−Cav)はマウス大動脈のAch誘導弛緩を抑制するがBiot−AP−Cav−Xは抑制せず、ビオチン共役体がペプチドの生物活性を妨げないことを示した。Biot−APペプチドと一緒のマウス大動脈のインキュベーションは、血管の内皮及び外膜内層中へのAP−Cav及びAP−Cav−Xの両方の吸収を生じた(図3B)。AP−Cav及びAP Cav Xの両方の吸収は同じであり、eNOSへのAP−Cavの阻害効果が実際に特異的であることを示唆した。内皮はeNOSを含有するが外膜の細胞は含有しない(Pollock et al.(1993)Am.J.Physiol.265,C1379−1387)ので、AP−Cavの阻害作用は内皮中のeNOSの阻害の故というのが最もありそうなことである。全体としてこのデータは(図2及び3)、AP−Cavが無損傷の血管においてAch−誘導eNOS依存性血管弛緩を選択的に抑制していることを示している。
【0151】
実施例4−AP−Cavは培養内皮細胞からのNO生成を減衰させる
培養内皮細胞からの酸化窒素放出の測定のために、ウシ大動脈内皮細胞(BAEC)を、10%(v/v)の胎児ウシ血清、ペニシリン、ストレプトマイシン及びL−グルタミンを含有する高グルコースDulbecco’s修正Eagle’s培地(DMEM)中で培養した。イオノマイシン刺激NO放出の測定のために、C6ウェルプレート中で密集BAECを培養した。細胞を洗浄し、培地をペプチド又はビヒクル(0.01%DMSO)を含有する無血清DMEMに変えた。6時間のインキュベーションに続き、ペプチドを洗い出し、イオノマイシン(1μM)を用いて細胞を30分間刺激した。培地を集め、水溶液中におけるNOの安定な分解産物である亜硝酸塩(NO−)のNO−特異的化学ルミネセンスによる測定のために処理した。NO−を含有する試料を、ヨウ化ナトリウムを含有する氷酢酸中で還流した。これらの条件下で、NO−はNOに定量的に還元され、それをオゾンとの反応の後にNO分析器(Sievers)において化学ルミネセンス検出器により定量した。すべての実験において、NO−放出はNOS阻害剤により抑制可能であった。
【0152】
マウス大動脈のAch誘導弛緩は主にeNOS媒介されており、それはこの応答がeNOSノックアウトマウスにおいて取り除かれるからである(Huang et al.(1995)Nature 377,239−242)。しかしながら、AP−Cavが実際にNO放出を阻止する事を確証するために、AP−Cav−X及びAP−Cavの吸収及び培養大動脈内皮細胞からのNO放出への効果を同焦点蛍光顕微鏡により調べた。簡単に記述すると、BAECをゼラチン(1%)コーティングされたカバーガラス上で成長させ(カバーガラス当たり50,000個の細胞)、無血清DMEM中の標識ペプチド(1μM)の存在下で6時間インキュベーションした。インキュベーション時間に続き、細胞を広範囲に洗浄し、パラホルムアルデヒド(3.5%)固定の前に60分間完全培地に移した。カバーガラスをスライド上に取り付け、BioRad MRC 600同焦点顕微鏡を用いてインターナリゼーションされたペプチドを視覚化した。
【0153】
図4Aにおいてわかるとおり、ローダミン標識AP−ペプチドと一緒のウシ大動脈内皮細胞のインキュベーションは、細胞質ゾル及び核中へのペプチドの有効な吸収を生じた。これらの条件下でAP−Cavは、NO特異的化学ルミネセンスにより定量されるとおり、内皮細胞からのカルシウムイオノフォア刺激NOx放出を阻止したが、AP−Cav−Xは阻止しなかった。これらのデータは単離血管における結果と結び付けられ、AP−CavがインビボにおけるeNOSの有効な阻害剤であることを示している。
【0154】
実施例5−AP−Cavはマウスにおける炎症を阻止する
インビボ炎症研究のために、ネズミカラギーナン誘導足水腫モデルを用いた。簡単に記述すると、雄のスイスマウス(25〜30グラム)を群に分け(n=6〜7)、メトキシフルランを用いて軽く麻酔した。各群の動物は50μlの1%(w/v)カラギーナンの足底下投与を受けた。カラギーナン注射の直前ならびにそれから24及び48時間後に、小体積の測定のために修正されたヒドロプレシスモメーター(Hydroplethismometer)(Ugo Basile)を用いて足の体積を測定した。足の体積における増加を各時点における足の体積と基礎的体積の間の差として評価する。AP−Cav(0.3、1mg/kg腹腔内)、AP−Cav−X(1mg/kg腹腔内)及びデキサメタゾン(0.1mg/kg皮下)をカラギーナン投与の時点(ゼロ時点)ならびに24及び48時間に投与した。別の系列の実験において、カラギーナン注射から48時間後に頸部脱臼により動物を犠牲にし、両足を切断した。右足をOCT培地中に埋め込み、ヘマトキシリン及びエオシンを用いる染色のために断面(5μlの厚さ)を得た。
【0155】
急性及び慢性炎症の種々のモデルにおいて、NOの生成は血管透過性における向上、水腫形成及び疾患の進行と結び付けられてきた。従って、我々はマウスにカラギーナンを注射し(足底下)、炎症を誘導し、続いてビヒクル、AP−Cav(0.3及び1.0mg/kg)又はAP−Cav−X(1.0mg/kg)をゼロ時点、24及び48時間において腹腔内投与した。このモデルにおいて、カラギーナン注射から後の最初の24時間は水腫の形成により特徴付けられ、滲出液中への細胞の浸潤が続く(24時間後)。図5Aにおいてわかるとおり、カラギーナン注射から後の24及び48時間において、AP−Cavの投与はカラギーナン誘導水腫形成を用量−依存的に抑制したが、AP−Cav−Xは抑制しなかった(n=群当たり5匹のマウス;*p<0.05)。興味深いことに、AP−Cavの抗−炎症的有効性は有力な抗−炎症性ステロイド、デキサメタゾン(Dex;ゼロ、24及び48時間に皮下に0.1mg/kg投与)の有効性と同等であった。カラギーナン注射された足の組織学的分析は、間質の水腫形成及び炎症細胞の存在を特徴とする拡散炎症を示した(左及び右の上のパネルにおける標準及びビヒクル処置切片を参照されたい)。AP−Cav又はAP−Cav−Xで処置されたマウスは、炎症の部位内への細胞浸潤における顕著な差を示さなかった(下の左及び右のパネル)。しかしながらAP−Cav処置されたマウスは、足の体積における減少と矛盾しない、より少ない間質の水腫を示し(左のパネル、矢印)、活性ペプチドが炎症の間に血管透過性を低下させたことを示唆している。
【0156】
これらの条件下で、AP−Cavが水腫の形成を減少させた時、AP−Cavは全身的動脈血圧又は心拍数に影響しなかった(食塩水、ビヒクル又はAP−Cav処置されたマウスに関してそれぞれ89±8、88±8及び80±7mmHgならびに分当たりに340±27、280±32及び320±29拍;n=群当たり4匹のマウス)。
【0157】
種々のペプチドインターナリゼーション配列がCavペプチドをインターナリゼーションできるかどうかを調べるために、ポリ−D−アルギニン(7アミノ酸)をCav(DR−Cav)(配列番号:13)又は標準ペプチドCav−X(DR−Cav−X)(配列番号:14)のアミノ末端に融合させた。カラギーナンの投与は足の体積を増加させた(標準)。DR−Cav(1.0及び0.6mg/kg、腹腔内)の投与はカラギーナン−誘導炎症を初期及び後期の時点に減少させたが、DR−Cav X(1mg/kg、腹腔内)は減少させなかった(図6)。興味深いことに、DR−CavはAP−Cavより有力であると思われ、それは0.6mg/kgのDR−Cavを用いて有意な抗−炎症応答が観察されたからである。
【0158】
これらの発見は、インビボにおけるeNOS及びおそらく他のシグナリング分子の調節物質としてのカベオリンスカフォールディングドメインの重要性を強調する。本明細書に示されるデータは、AP−結合したカベオリン−1のスカフォールディングドメインが無損傷の血管及び培養内皮細胞からのNO放出の阻止に十分であるが、プロスタサイクリン放出を阻止しないことを示している。これは、カベオリン−1スカフォールディングドメインを用いる内皮の形質導入がすべてのシグナリング経路(すなわちc−src依存性カルシウム流速、ホスホリパーゼ)を広範囲に阻害するのではなく、選択的にNOSを標的としていることを示す。インビボにおけるカベオリンスカフォールディングドメインペプチドの有力な生物活性は、スカフォールディングドメインを介してeNOSに結合するカベオリンが実際にNO生成を調節し、血管機能を調節できるという考えを支持している。
【0159】
実施例6−AP−Cavは腫瘍成長を阻止する
AP−Cavペプチドがインビボにおいて腫瘍成長に影響する能力も調べた。ヌードマウスにHepG−2細胞、ヒト肝癌系を注入し、AP−Cav及びAP−Cav−Xの効果を、腹腔内にペプチドを毎日投与した後に調べた。ヌードマウスにおけるHepG−2細胞移植片のために、ヒト肝癌細胞系、HepG−2を10%の胎児ウシ血清、2mLのL−グルタミン、ペニシリン及びストレプトマイシンを有する最少必須培地中で培養した。細胞を150mmの皿上で80%密集まで成長させ、トリプシン処理し、無血清培地中に再懸濁させた。トリパンブルー排除法(trypan blue exclusion method)を用いて生存細胞を計数した。細胞懸濁液をml当たり5x10個の細胞の密度で調製した。次いでヌードマウスに100μlのHepG−2細胞懸濁液を側腹部において注射した。
【0160】
腫瘍が固体触知可能な塊に達した時に(7〜10日)、種々の薬剤を用いる処置を開始した。ペプチドを0.01%(v/v)のDMSO中に溶解し、腹腔内注射により14日間毎日投与した(20グラムのマウス当たり100μl)。幅x長さx0.52の式を用い、腫瘍の体積を毎日決定した。組織化学のために、14日に動物から腫瘍を切除し、リン酸塩緩衝食塩水中で洗浄し、70%エタノール中で固定した。次いで腫瘍組織をパラフィン埋め込みし、断面(5μM)をヘマトキシリン及びエオシン染色した。CCDカメラに連結されたZeiss顕微鏡を用いて像をとらえ、NIH Imageプログラムを用いて記録した。
【0161】
図8においてわかるとおり、AP−Cavの投与はこれらの腫瘍の成長を有意に減少させたが、AP−Cav−Xは減少させず、ペプチドが細胞分裂又は腫瘍の脈管形成を妨げることができることを示唆している。腫瘍の組織学的染色は、AP−Cav処置されたマウスが広範囲に及ぶ間質の出血を有し、血管をほとんど有していない組織化されない減少した腫瘍塊を有したが、AP−Cav−X処置されたマウスからの腫瘍は古典的な上皮の外観を有し、高度に血管形成されていることを明らかにした(図9)。予備的なデータは、AP−Cavペプチドがインビトロで直接腫瘍成長を阻止することならびにAP−Cav処置されたマウス中にはPECAM−1(内皮細胞マーカー)陽性内皮細胞がほとんどないことを示している。このデータはインビボにおけるAP−Cavペプチドの抗−脈管形成作用と矛盾しない。
【0162】
実施例7−AP−CavはeNOS依存性NO生成細胞を減衰させる
マウス大動脈のAch誘導弛緩は主にeNOS媒介されており、それはこの応答がeNOSノックウアトマウスにおいて取り除かれるからである。しかしながら、AP−Cavが実際にNO放出を阻止する事を確証するために、AP−Cav−X及びAP−Cavの吸収及び培養大動脈内皮細胞からのNO放出への効果を調べた。
【0163】
図10Aにおいてわかるとおり、ローダミン標識されたAP−ペプチドと一緒のウシ大動脈内皮細胞のインキュベーションは、細胞質及び核中へのペプチドの有効な吸収を生じた。これらの条件下で、AP−CavはNO特異的化学ルミネセンスにより定量されるとおり、内皮細胞からのカルシウムイオノフォア刺激NO放出を阻止したが、AP−Cav−Xは阻止しなかった(図10B)。AP−CavがiNOS誘導NO生成にも影響できるか否かを調べるために、COS細胞をiNOS又はeNOSのcDNAsのいずれかを用いてトランスフェクションし、eNO生成を調べた。図10Cにおいてわかるとおり、iNOSを用いるトランスフェクションはL−NAME(1mM)により遮断された効果である顕著なNO 堆積を生じたが、AP−Cav又はAP−Cav−Xにより遮断された効果を生じなかった。対照的にeNOSトランスフェクション細胞においては、L−NAME及びAP−Cavの両方により遮断された効果であるカルシウムイオノフォア刺激NO 放出があるが、AP−Cav−Xにより遮断された効果はなかった。これらのデータは、単離血管における結果と結び付いて、AP−Cavが無損傷の細胞におけるeNOSの阻害剤であるがiNOSの阻害剤ではないことを示している。
【0164】
実施例8−AP−Cavは他の炎症のモデルにおける血管透過性を低下させる
AP−ペプチドが血管の漏れに影響できるか否かを追加のモデルにおいて直接評価するために、我々はマウスをビヒクル、AP−Cav、AP−Cav−X(それぞれの場合に2mg/kg、腹腔内;45分間の予備処置)又はL−NAME(30mg/kg、腹腔内、35分間の予備処置)を用いて処置し、マスタード油が血管透過性の指標としてのエバンスブルーの管外遊出を誘導する能力を調べた。AP−Cav及びL−NAMEの両方は血管の漏れ及び全体的な間質の水腫を有意に減衰させた(図11C)。図11Dに示すとおり、AP−Cav(上のパネル)は耳の皮膚及び周りの組織におけるエバンスブルーの量をAP−Cav−X(下のパネル)に比較して減少させた。かくして2つの別のモデルにおいて、AP−CavはおそらくeNOS−依存性血流及び/又は炎症刺激により喚起される透過性変化の減衰を介して炎症を減少させる。
【0165】
本発明を上記の実施例に言及して詳細に記述してきたが、本発明の精神から逸脱することなく種々の修正が成され得ることが理解される。従って本発明は前記の特許請求の範囲のみによって制限される。本出願において言及した、引用したすべての特許及び公開文献は、引用することによりその記載事項全体が本明細書の内容となる。本明細書において開示した実験の結果は、本出願が利益を特許請求した米国暫定出願60/231,327号の申請日の後、公開され(Bucci et al.(2000)Nat.Med.6,1362−1367)、この公開文献は引用することによりその記載事項全体が本明細書の内容となる。
【図面の簡単な説明】
【図1A】
AP−Cav−Xと一緒のインキュベーションがマウス大動脈のAch−誘導弛緩に影響しないことを示す図。
【図1B】
AP−Cavと一緒のインキュベーションがマウス大動脈のAch−誘導弛緩を抑制することを示す図。
【図1C】
図1A及び1Bのデータのまとめ。
【図1D】
単離されたマウス大動脈におけるフェニレフリン濃度応答曲線への10μMのAP−Cav−X又はAP−Cavペプチドの影響を示す図。
【図2A】
AP−Cav−X(10μM)処置血管のL−NAME(100μM)誘導収縮の典型的な記録。
【図2B】
AP−Cav(10μM)処置血管のL−NAME(100μM)誘導収縮の典型的な記録。
【図2C】
図2A及び2BにおいてL−NAMEにより引き出された張力におけるさらなる増加のまとめ。
【図2D】
マウス大動脈環からのAch−誘導プロスタサイクリン放出にAP−Cav−X及びAP−Cavが影響しないことを示す図。
【図3A】
AP−Cav−X及びAP−Cavペプチドのビオチニル化変形がそれらの生物活性を保持していたことを示す図。
【図3B】
biot−AP−Cav及びbiot−AP−Cav−X処理され、HRP−ストレプタビジンを用いて染色されたマウス大動脈の断面図。
【図4A】
ローダミン標識されたAP−Cav−X又はAP−Cavと一緒に6時間インキュベーションされたウシ大動脈内皮細胞(BAEC)の同焦点顕微鏡イメージング。
【図4B】
AP−Cav−X又はAP−Cavと一緒に6時間インキュベーションされた培養BAECからの酸化窒素(NO)放出を示す図。
【図5A】
カラギーナン注射後のAP−Cav−X又はAP−Cavの投与が足の体積に与える影響及びデキサメタゾンとの比較を示す図。
【図5B】
標準又は注射後48時間のカラギーナン注射されたマウスの足からの代表的なヘマトキシリン/エオシン染色断面図。
【図6】
カラギーナン注射後の足の体積へのDR−Cav及びDR−Cav−X投与の影響を示す図。
【図7A】
マウス大動脈におけるアセチルコリン−誘導弛緩へのカベオリンスカフォールディングドメインペプチドによる濃度依存性効果を示す図。
【図7B】
単離されたマウス大動脈のアセチルコリン−誘導弛緩へのAP−Cavペプチドの時間−依存性効果を示す図。
【図7C】
カベオリンペプチドがマウス大動脈の内皮依存性血管弛緩に影響しないことを示す図。
【図8】
HePG−2保有ヌードマウスにおける腫瘍進行。
【図9】
ペプチド処置されたヌードマウスからのHepG−2腫瘍のヘマトキシリン/エオシン染色。
【図10A】
ローダミン標識されたAP−Cav−X又はAP−Cavと一緒に6時間インキュベーションされたウシ大動脈内皮細胞(BAEC)の同焦点顕微鏡イメージング。
【図10B】
AP−Cav−X又はAP−Cavと一緒に6時間予備インキュベーションされた培養BAECからの酸化窒素(NO)放出。
【図10C】
iNOS又はeNOScDNAを用いてトランスフェクションされたCOS−7細胞からの酸化窒素放出。
【図11】
AP−カベオリンペプチドが血管の漏れを減少させることを示す図。

Claims (37)

  1. カベオリンスカフォールディングドメインを含むペプチドの有効量を投与することを含む、インビボでカベオリンとタンパク質との相互作用を遮断する方法。
  2. 相互作用がタンパク質のカベオリンへの結合を含む請求項1の方法。
  3. カベオリンスカフォールディングドメインを含むペプチドの有効量を投与することを含む、インビボでカベオリン−結合タンパク質をダウンレギュレーションする方法。
  4. カベオリンスカフォールディングドメインを含むペプチドの有効量を投与することを含む、動物において炎症を抑制する方法。
  5. カベオリンスカフォールディングドメインを含むペプチドの有効量を投与することを含む、動物において腫瘍細胞脈管形成増殖を抑制する方法。
  6. カベオリンスカフォールディングドメインが配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:4より成る群から選ばれる請求項5の方法。
  7. ペプチドがさらに膜輸送ドメインを含む請求項1、2、3、4、5又は6の方法。
  8. 膜輸送ドメインがアンテナペディアホメオドメインの第3ヘリックスを含む請求項7の方法。
  9. 膜輸送ドメインが配列番号:10におけるアミノ酸配列を含む請求項7の方法。
  10. タンパク質がeNOSである請求項1、2、3、4、5又は6の方法。
  11. ペプチドが配列番号:11のアミノ酸配列を含む請求項1、2、3、4又は5の方法。
  12. 少なくとも1つのカベオリンスカフォールディングドメイン及び少なくとも1つの膜輸送ドメインを含む融合ペプチド。
  13. 膜輸送ドメインがインビボにおける膜輸送を促進する請求項12の融合ペプチド。
  14. 膜輸送ドメインがアンテナペディアホメオドメインの第3ヘリックスを含む請求項12の融合ペプチド。
  15. カベオリンスカフォールディングドメインが配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:4より成る群から選ばれる請求項12の融合ペプチド。
  16. (a)配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13及び配列番号:14より成る群から選ばれるアミノ酸配列を含む単離ペプチド;
    (b)配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13及び配列番号:14より成る群から選ばれるアミノ酸配列の少なくとも3つのアミノ酸のフラグメントを含む単離ペプチド;
    (c)配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13及び配列番号:14より成る群から選ばれるアミノ酸配列の保存的なアミノ酸置換を含む単離ペプチド;ならびに
    (d)配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13及び配列番号:14より成る群から選ばれるアミノ酸配列の天然に存在するアミノ酸配列改変体
    より成る群から選ばれる単離ペプチド。
  17. 請求項12の融合ペプチド又は請求項16のペプチドを含む組成物。
  18. さらに担体を含む請求項17の組成物。
  19. 配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13及び配列番号:14のアミノ酸配列より成る単離ペプチド。
  20. 配列番号:11のアミノ酸配列より成る単離ペプチド。
  21. eNOSの少なくとも1つの活性をダウンレギュレーションするペプチドの有効量を投与することを含む、細胞におけるeNOS活性をダウンレギュレーションする方法。
  22. ペプチドが少なくとも1つのカベオリンスカフォールディングドメインを含む請求項21の方法。
  23. ペプチドがさらに少なくとも1つの膜輸送ドメインを含む請求項22の方法。
  24. ペプチドが配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:4より成る群から選ばれる請求項21の方法。
  25. eNOS活性がNOの合成である請求項21の方法。
  26. eNOS活性のダウンレギュレーシュンが血管拡張の阻止をもたらす請求項21の方法。
  27. eNOSの少なくとも1つの活性をダウンレギュレーションするペプチドの有効量を投与することを含む、哺乳類において炎症を抑制する方法。
  28. eNOSの少なくとも1つの活性をダウンレギュレーションするペプチドの有効量を投与することを含む、哺乳類において腫瘍細胞脈管形成及び増殖を抑制する方法。
  29. ペプチドを化学療法薬剤と組み合わせて投与する請求項28の方法。
  30. eNOSの少なくとも1つの活性をダウンレギュレーションするペプチドの有効量を投与することを含む、哺乳類においてeNOS−依存性血管拡張を抑制する方法。
  31. ペプチドが少なくとも1つのカベオリンスカフォールディングドメインを含む融合ペプチドである請求項27、28、29又は30の方法。
  32. 融合ペプチドがさらに少なくとも1つの膜輸送ドメインを含む請求項31の方法。
  33. カベオリンスカフォールディングドメインが配列番号:1、配列番号:2、配列番号:3及び配列番号:4より成る群から選ばれる請求項31の方法。
  34. eNOS活性がNO生成である請求項27、28、29又は30の方法。
  35. (a)eNOSを発現する細胞を薬剤に暴露し;
    (b)薬剤がeNOSに結合するかどうかを決定し、それによりeNOSと相互作用する薬剤を同定する
    ことを含む、eNOSと相互作用する薬剤を同定する方法。
  36. (a)eNOSを発現する細胞を薬剤に暴露し;
    (b)薬剤がeNOSの活性を調節するかどうかを決定し、それによりeNOSの活性を調節する薬剤を同定する
    段階を含む、eNOSの少なくとも1つの活性を調節する薬剤を同定する方法。
  37. 活性がアセチルコリン−誘導血管拡張、プロスタサイクリン生成及びNO生成より成る群から選ばれる請求項36の方法。
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