JP2012065671A - Macacafascicularis由来のP−糖タンパク質およびその使用 - Google Patents

Macacafascicularis由来のP−糖タンパク質およびその使用 Download PDF

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Abstract

【課題】カニクイザル(cynomologous monkey)(Macaca fascicularis)のP−糖タンパク質を提供すること。
【解決手段】本発明は、カニクイザルP−糖タンパク質およびカニクイザル特異的アミノ酸を含む関連P−糖タンパク質、ならびにこれらのポリペプチドをコードする核酸に関する。本発明はまた、カニクイザルP−糖タンパク質のフラグメントおよび生物学的に機能的な改変体を含む。本発明はさらに、このようなカニクイザルP−糖タンパク質の核酸およびポリペプチドを用いる方法、特に、薬物のバイオアベイラビリティを決定するための方法およびカニクイザルPGPのインヒビターをスクリーニングするための方法に関する。カニクイザルPGPの発現または機能を阻害することによって、カニクイザルPGP活性を阻害するカニクイザルPGPインヒビターがまた、含まれる。
【選択図】なし

Description

(発明の分野)
本発明は、カニクイザル(cynomologous monkey)(Macaca fascicularis)のP−糖タンパク質に関する。
(発明の背景)
P−糖タンパク質(PGP;多剤トランスポーター、MDR1としてもまた公知)は、ABCトランスポータースーパーファミリーのメンバーであり、そしてヒトの腸、肝臓および他の組織で発現される。この酵素は、細胞膜を渡って低分子を輸出する流出ポンプとしてはたらく。数年間、高レベルのPGP発現が癌化学療法に対する腫瘍耐性に関する機構であることが知られている。PGPの腸発現は、このトランスポーターの基質である薬物分子の経口バイオアベイラビリティに影響を及ぼし得る。PGPは、流出薬物を効率的に腸管腔へ戻し得、このようにして循環へ侵入する薬物の量を減少する。
PGPとの相互作用の測定は、特定の薬物が低いまたは高いバイオアベイラビリティを示す理由のより良い理解を提供し得る。PGPとの相互作用は、極性が与えられた細胞系における薬物輸送の直接的アッセイまたは薬物刺激ATPase活性および蛍光基質輸送の阻害のような間接的アッセイのいずれかを用いて研究され得る。
従って、上記の薬物アッセイにおける使用のための、さらなるPGPポリペプチド(好ましくは、これは、ヒトPGPに密接に関連する)に関する必要性がある。
(発明の要旨)
カニクイザル(Macaca fascicularis)のP−糖タンパク質をコードする核酸が、ここで、同定され、単離され、クローン化され、そして配列決定された。このPGPは、ヒトPGPと非常に関連している(高い割合の同一性を有する)。本発明は、単離された核酸分子、これらの分子の特有のフラグメント、上記のものを含む発現ベクター、およびこれらの分子を用いてトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。本発明はまた、単離されたポリペプチドならびに薬物輸送を減少する上記の核酸およびポリペプチドのインヒビターを提供する。このPGPの核酸およびポリペプチドは、薬物のバイオアベイラビリティを評価するためのアッセイ、ならびにこの薬物の最適化または発見のためのアッセイにおいて有用である。さらに、上記のものは、PGP活性によって特徴付けられる状態の診断または処置において使用され得、そしてPGP活性を増加または減少するための治療的に有用である方法に使用され得る。
本発明の1つの局面に従って、(a)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列をコードする核酸分子、(b)(a)の対立遺伝子改変体、および(c)(a)または(b)の相補体からなる群より選択される単離された核酸分子が提供される。特定の実施形態において、単離された核酸分子は、配列番号2または配列番号4をコードする。他の実施形態において、単離された核酸分子は、配列番号2または配列番号4のヌクレオチド配列を含む。
本発明の別の局面に従って、配列番号2のアミノ酸12、24、30、74、78、86、89、90、91、92、95、97、99、102、103、104、185、324、363、518、635、650、656、659、677、730、738、742、745、761、765、835、851、921、967、1003、1027、1038、1048、1103、1128、1168および1277ならびに配列番号4のアミノ酸93、94および95からなる群より選択されるカニクイザルP−糖タンパク質の少なくとも1つのアミノ酸を含む、単離されたP−糖タンパク質ポリペプチドまたはそのフラグメント(ここで、P−糖タンパク質は、カニクイザルP−糖タンパク質の少なくとも1つのアミノ酸以外はヒトP−糖タンパク質に同一である)が提供される。特定の実施形態において、ヒトP−糖タンパク質は、配列番号5および配列番号6の群から選択される。
本発明のさらに別の局面に従って、配列番号2のアミノ酸3、6、8、10、13、17、19、20、21、26、30、36、38、48、52、56、64、74、78、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、98、100、101、102、103、104、105、106、110、113、145、190、197、210、231、319、324、327、345、363、395、451、455、456、468、473、494、518、530、631、641、642、648、650、655、656、664、665、672、673、674、675、683、687、689、691、692、694、701、705、715、729、730、734、742、743、745、754、757、765、835、912、918、921、940、941、944、966、967、968、970、972、981、1008、1015、1023、1024、1048、1093、1096、1103、1128、1142、1146、1147、1156、1160、1163、1166、1250および1271ならびに配列番号4のアミノ酸93および94からなる群より選択されるカニクイザルP−糖タンパク質の少なくとも1つのアミノ酸を含む、単離されたP−糖タンパク質ポリペプチドまたはそのフラグメント(ここで、P−糖タンパク質は、カニクイザルP−糖タンパク質の少なくとも1つのアミノ酸以外はイヌP−糖タンパク質に同一である)が提供される。いくつかの実施形態において、イヌP−糖タンパク質は、配列番号7および配列番号8の群から選択される。
好ましい実施形態において、単離されたP−糖タンパク質ポリペプチドまたはそのフラグメントは、配列番号2、配列番号2のフラグメント、配列番号4および配列番号4のフラグメントからなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。さらに他のポリペプチドとしては、上記のイヌPGPポリペプチド、ヒトPGPポリペプチドおよびカニクイザルPGPポリペプチドの組み合わせが挙げられる。
本発明のさらに他の実施形態に従って、上記の単離されたP−糖タンパク質ポリペプチドまたはそのフラグメントをコードする単離された核酸分子が提供される。さらに、プロモーターに作動可能に連結された上記の単離された核酸分子を含む発現ベクター、ならびにこの発現ベクターを用いて形質転換されたかまたはトランスフェクトされた宿主細胞が含まれる。
本発明の別の局面において、単離されたPGPポリペプチドを選択的に結合する因子が、提供される。好ましくは、この因子は、本明細書中に提供されるもの以外はヒトP−糖タンパク質またはイヌP−糖タンパク質に結合しない。特定の実施形態において、この因子は、ポリペプチド、好ましくはモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、Fab抗体フラグメント、F(ab)2抗体フラグメントおよびCDR3領域を含む抗体フラグメントからなる群より選択されるものである。上記の単離された核酸分子に選択的に結合する因子、好ましくは単離された核酸分子に選択的に結合するアンチセンス核酸分子がまた提供される。
本発明の別の局面に従って、化合物のバイオアベイラビリティを予測するための方法が提供される。この方法は、第1のP−糖タンパク質による試験化合物の膜貫通輸送を測定する工程、この第1のP−糖タンパク質および第2のP−糖タンパク質によるこの試験化合物の膜貫通輸送を比較し、この試験化合物のバイオアベイラビリティを予測する工程であって、ここで、第1のP−糖タンパク質および第2のP−糖タンパク質による相対的な輸送量または輸送速度が、この試験化合物のバイオアベイラビリティの予測である工程、を包含する。特定の実施形態において、第1のP−糖タンパク質は、イヌP−糖タンパク質および霊長類P−糖タンパク質からなる群より選択され、好ましくは上記のポリペプチドのうちの1つである。他の実施形態において、この第2のP−糖タンパク質は、ヒトP−糖タンパク質である。
本発明のさらに他の局面において、哺乳動物細胞においてP−糖タンパク質トランスポーター活性を阻害するための方法が、提供される。この方法は、哺乳動物細胞を、この哺乳動物細胞におけるP−糖タンパク質トランスポーター活性を阻害するのに効果的な量の上記因子のうちの1つと接触させる工程を包含する。
被験体中の因子のバイオアベイラビリティを増加するための方法がまた、本発明に含まれる。この方法は、そのような処置が必要な被験体に、薬物のバイオアベイラビリティを増加するのに有効な量で上記因子のうちの1つを投与する工程を包含する。このインヒビターは、この薬物を投与する前またはこの薬物と同時に投与され得る。
細胞中のP−糖タンパク質トランスポーター活性を増加するための方法がまた、提供される。この方法は、この細胞を、上記核酸分子からなる群より選択される分子とこの細胞におけるP−糖タンパク質トランスポーター活性を増加するに有効な量で接触させる工程を包含する。この細胞は、P−糖タンパク質が発現される条件下で接触され得る。
本発明のなお別の局面に従って、P−糖タンパク質トランスポーター活性と関連する疾患の処置において有用な薬理学的因子に関するリード化合物を同定するための方法が提供される。この方法は、本明細書中に提供されるようなP−糖タンパク質を含む、細胞または他の膜包囲空間を提供する工程;この細胞または他の膜包囲空間を、候補薬理学的因子の非存在下でP−糖タンパク質トランスポーター活性の第1の量をもたらす条件下で、この候補薬理学的因子と接触させる工程;および、P−糖タンパク質トランスポーター活性に対する該薬理学的因子の効果の尺度として、P−糖タンパク質トランスポーター活性の第2の量を決定する工程であって、ここで、第1の量よりも少ないP−糖タンパク質トランスポーター活性の第2の量は、候補薬理学的因子がP−糖タンパク質トランスポーター活性を減少する薬理学的因子に関するリード化合物であることを示し、そしてここで、第1の量よりも多いP−糖タンパク質トランスポーター活性の第2の量は、候補薬理学的因子がP−糖タンパク質トランスポーター活性を増加するする薬理学的因子に関するリード化合物であることを示す工程、を包含する。この方法は、検出可能な化合物でこの細胞または他の膜包囲空間を充填する工程であって、ここで、この化合物は、P−糖タンパク質トランスポーター活性の尺度として検出される工程をさらに包含し得る。
P−糖タンパク質を選択的に結合する化合物を同定するための方法がまた、含まれる。この方法は、本明細書中に提供されるP−糖タンパク質を化合物と接触させる工程、およびこの化合物のP−糖タンパク質への結合を決定する工程を包含する。この方法は、このP−糖タンパク質のP−糖タンパク質トランスポーター活性に対する化合物の効果を決定する工程、またはこのP−糖タンパク質のATPase活性に対する化合物の効果を決定する工程をさらに包含し得る。
本発明に従って提供されるさらなる方法は、P−糖タンパク質のATPase活性を決定するための方法を含む。この方法は、上記に提供されるような宿主細胞またはその膜画分を、試験薬物と接触させる工程、およびこのP−糖タンパク質のATPase活性を測定する工程を包含する。特定の実施形態において、このATPase活性を測定する工程は、異なる時間に少なくとも2回実施される。P−糖タンパク質による化合物の膜貫通輸送を決定するための方法がまた、提供される。この方法は、上記に提供される宿主細胞またはその膜画分を、試験薬物と接触させる工程、および頂端側(apical)から側底側(basolateral)の方向および側底側から頂端側の方向からなる群より選択される少なくとも1つの輸送方向の傾斜条件下において、試験薬物の輸送を測定する工程を包含する。特定の実施形態において、この試験薬物の輸送を測定する工程は、異なる時間に少なくとも2回実施される。
本発明のこれらおよび他の局面は、より詳細に以下に記載される。
(配列の簡単な説明)
配列番号1は、カニクイザルP−糖タンパク質をコードするヌクレオチド配列である。
配列番号2は、配列番号1によってコードされるカニクイザルP−糖タンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号3は、配列番号1と比較して9ヌクレオチド挿入を有するカニクイザルP−糖タンパク質対立遺伝子のヌクレオチド配列である。
配列番号4は、配列番号3によってコードされるカニクイザルP−糖タンパク質対立遺伝子のアミノ酸配列であり、3アミノ酸挿入を有する。
配列番号5は、Genbank登録番号M14758を有するヒトP−糖タンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号6は、Genbank登録番号AF016535またはNM_000927を有するヒトP−糖タンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号7は、Genbank登録番号AF045016を有するイヌP−糖タンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号8は、Genbank登録番号AF092810を有するイヌP−糖タンパク質のアミノ酸配列である。
配列番号9は、ヒトPGPヌクレオチド配列に基づくプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号10は、ヒトPGPヌクレオチド配列に基づくプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号11は、ヒトPGPヌクレオチド配列に基づくプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号12は、カニクイザルPGPヌクレオチド配列に基づくプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号13は、カニクイザルPGPヌクレオチド配列に基づくプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号14は、T7プロモーターヌクレオチド配列に基づくプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号15は、カニクイザルおよびヒトのPGPヌクレオチド配列に基づくプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号16は、カニクイザルおよびヒトのPGPヌクレオチド配列に基づくプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号17は、カニクイザルPGPヌクレオチド配列に基づくプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号18は、カニクイザルPGPヌクレオチド配列に基づくプライマーのヌクレオチド配列である。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1) 単離された核酸分子であって、以下:
(a)配列番号2または配列番号4のアミノ酸配列をコードする核酸分子、
(b)(a)の対立遺伝子改変体、および
(c)(a)または(b)の相補体、
からなる群より選択される、単離された核酸分子。
(項目2) 前記単離された核酸分子が配列番号2をコードする、項目1に記載の単離された核酸分子。
(項目3) 前記単離された核酸分子が配列番号4をコードする、項目1に記載の単離された核酸分子。
(項目4) 前記単離された核酸分子が配列番号1または配列番号3のヌクレオチド配列を含む、項目1に記載の単離された核酸分子。
(項目5) 単離されたP−糖タンパク質ポリペプチドまたはそのフラグメントであって、配列番号2のアミノ酸12、24、30、74、78、86、89、90、91、92、95、97、99、102、103、104、185、324、363、518、635、650、656、659、677、730、738、742、745、761、765、835、851、921、967、1003、1027、1038、1048、1103、1128、1168および1277ならびに配列番号4のアミノ酸93、94および95からなる群より選択されるカニクイザルP−糖タンパク質の少なくとも1つのアミノ酸を含み、ここで、該P−糖タンパク質は、カニクイザルP−糖タンパク質の少なくとも1つのアミノ酸以外はヒトP−糖タンパク質に同一であり、そしてここで、該P−糖タンパク質ポリペプチドまたはそのフラグメントは、少なくとも10アミノ酸長である、単離されたP−糖タンパク質ポリペプチドまたはそのフラグメント。
(項目6) 前記ヒトP−糖タンパク質が、配列番号5および配列番号6の群から選択される、項目5に記載の単離されたP−糖タンパク質ポリペプチドまたはそのフラグメント。
(項目7) 単離されたP−糖タンパク質ポリペプチドまたはそのフラグメントであって、配列番号2のアミノ酸3、6、8、10、13、17、19、20、21、26、30、36、38、48、52、56、64、74、78、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、98、100、101、102、103、104、105、106、110、113、145、190、197、210、231、319、324、327、345、363、395、451、455、456、468、473、494、518、530、631、641、642、648、650、655、656、664、665、672、673、674、675、683、687、689、691、692、694、701、705、715、729、730、734、742、743、745、754、757、765、835、912、918、921、940、941、944、966、967、968、970、972、981、1008、1015、1023、1024、1048、1093、1096、1103、1128、1142、1146、1147、1156、1160、1163、1166、1250および1271ならびに配列番号4のアミノ酸93および94からなる群より選択されるカニクイザルP−糖タンパク質の少なくとも1つのアミノ酸を含み、ここで、該P−糖タンパク質は、カニクイザルP−糖タンパク質の少なくとも1つのアミノ酸以外はイヌP−糖タンパク質に同一であり、そしてここで、該P−糖タンパク質ポリペプチドまたはそのフラグメントは、少なくとも10アミノ酸長である、単離されたP−糖タンパク質ポリペプチドまたはそのフラグメント。
(項目8) 前記イヌP−糖タンパク質が、配列番号7および配列番号8の群から選択される、項目7に記載の単離されたP−糖タンパク質ポリペプチドまたはそのフラグメント。
(項目9) 項目5または項目7に記載の単離されたP−糖タンパク質ポリペプチドまたはそのフラグメントであって、ここで、該ポリペプチドまたはそのフラグメントのアミノ酸配列は、配列番号2、配列番号2のフラグメント、配列番号4および配列番号4のフラグメントからなる群より選択されるアミノ酸配列である、単離されたP−糖タンパク質ポリペプチドまたはそのフラグメント。
(項目10) 項目5〜9のいずれかに記載の単離されたP−糖タンパク質ポリペプチドまたはそのフラグメントをコードする、単離された核酸分子。
(項目11) プロモーターに作動可能に連結された、項目1に記載の単離された核酸分子を含む、発現ベクター。
(項目12) プロモーターに作動可能に連結された、項目10に記載の単離された核酸分子を含む、発現ベクター。
(項目13) 項目11に記載の発現ベクターを用いて形質転換されたかまたはトランスフェクトされた、宿主細胞。
(項目14) 項目12に記載の発現ベクターを用いて形質転換されたかまたはトランスフェクトされた、宿主細胞。
(項目15) ヒトP−糖タンパク質を結合セズ、項目5に記載の単離されたポリペプチドを選択的に結合する因子。
(項目16) 前記因子がポリペプチドである、項目15に記載の因子。
(項目17) 項目16に記載の因子であって、ここで、前記ポリペプチドは、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、Fab抗体フラグメント、F(ab) 2 抗体フラグメントおよびCDR3領域を含む抗体フラグメントからなる群より選択される、因子。
(項目18) 項目1または項目10に記載の単離された核酸分子を選択的に結合する因子であって、ここで、該因子は、配列番号1のヌクレオチド88〜111またはヌクレオチド100〜117からなる核酸分子を結合しない、因子。
(項目19) 化合物のバイオアベイラビリティを予測する方法であって、該方法は、以下:
第1のP−糖タンパク質による試験化合物の膜貫通輸送を測定する工程、
該第1のP−糖タンパク質および第2のP−糖タンパク質による該試験化合物の膜貫通輸送を比較し、該試験化合物のバイオアベイラビリティを予測する工程であって、ここで、該第1のP−糖タンパク質および該第2のP−糖タンパク質による相対的な輸送量または輸送速度は、該試験化合物のバイオアベイラビリティを予測する、工程、
を包含する、方法。
(項目20) 前記第1のP−糖タンパク質が、イヌP−糖タンパク質および霊長類P−糖タンパク質からなる群より選択される、項目19に記載の方法。
(項目21) 前記第1のP−糖タンパク質が、項目5または項目7に記載のポリペプチドである、項目19に記載の方法。
(項目22) 前記第2のP−糖タンパク質が、ヒトP−糖タンパク質である、項目19に記載の方法。
(項目23) 哺乳動物細胞中のP−糖タンパク質トランスポーター活性を阻害するための方法であって、該方法は、該哺乳動物細胞を、該哺乳動物細胞におけるP−糖タンパク質トランスポーター活性を阻害するに有効な量の項目18に記載の因子と接触させる工程を包含する、方法。
(項目24) 被験体中の薬物のバイオアベイラビリティを増加するための方法であって、該方法は、このような処置が必要な被験体に、薬物のバイオアベイラビリティを増加するに有効な量で項目18に記載の因子を投与する工程を包含する、方法。
(項目25) インヒビターが前記薬物を投与する前に投与される、項目24に記載の方法。
(項目26) インヒビターが前記薬物と同時に投与される、項目24に記載の方法。
(項目27) 細胞中のP−糖タンパク質トランスポーター活性を増加するための方法であって、該方法は、該細胞を、項目1に記載の核酸分子および項目10に記載の核酸分子からなる群より選択される分子と、該細胞におけるP−糖タンパク質トランスポーター活性を増加するに有効な量で接触させる工程を包含する、方法。
(項目28) P−糖タンパク質トランスポーター活性と関連する疾患の処置において有用な薬理学的因子に関するリード化合物を同定するための方法であって、該方法は、以下:
項目5または項目7に記載のP−糖タンパク質を含む、細胞または他の膜包囲空間を提供する工程;
該細胞または他の膜包囲空間を、候補薬理学的因子の非存在下でP−糖タンパク質トランスポーター活性の第1の量をもたらす条件下で、該候補薬理学的因子と接触させる工程;
該P−糖タンパク質トランスポーター活性に対する該薬理学的因子の効果の尺度として、P−糖タンパク質トランスポーター活性の第2の量を決定する工程であって、ここで、該第1の量よりも少ないP−糖タンパク質トランスポーター活性の第2の量は、該候補薬理学的因子がP−糖タンパク質トランスポーター活性を減少する薬理学的因子に関するリード化合物であることを示し、そしてここで、該第1の量よりも多いP−糖タンパク質トランスポーター活性の第2の量は、該候補薬理学的因子がP−糖タンパク質トランスポーター活性を増加する薬理学的因子に関するリード化合物であることを示す、工程、
を包含する、方法。
(項目29) 項目28に記載の方法であって、該方法は、検出可能な化合物で前記細胞または他の膜包囲空間を充填する工程であって、ここで、該化合物は、前記P−糖タンパク質トランスポーター活性の尺度として検出される工程をさらに包含する、方法。
(項目30) P−糖タンパク質を選択的に結合する化合物を同定するための方法であって、
項目5または項目7に記載のP−糖タンパク質を化合物と接触させる工程、
該化合物の該P−糖タンパク質への結合を決定する工程、
を包含する、方法。
(項目31) 前記P−糖タンパク質のP−糖タンパク質トランスポーター活性に対する前記化合物の効果を決定する工程をさらに包含する、項目30に記載の方法。
(項目32) 前記P−糖タンパク質のATPase活性に対する前記化合物の効果を決定する工程をさらに包含する、項目30に記載の方法。
(項目33) P−糖タンパク質のATPase活性を決定するための方法であって、該方法は、以下:
項目12もしくは項目14に記載の宿主細胞、またはその膜画分を、試験薬物と接触させる工程、および
該P−糖タンパク質のATPase活性を測定する工程、
を包含する、方法。
(項目34) 前記ATPase活性を測定する工程が、異なる時間に少なくとも2回実施される、項目33に記載の方法。
(項目35) P−糖タンパク質による化合物の膜貫通輸送を決定するための方法であって、該方法は、以下:
項目12または項目14に記載の宿主細胞、またはその膜画分を、試験薬物と接触させる工程、および
頂端側から側底側の方向および側底側から頂端側の方向からなる群より選択される少なくとも1つの輸送方向の傾斜条件下において、該試験薬物の輸送を測定する工程、
を包含する、方法。
(項目36) 前記試験薬物の輸送を測定する工程が、異なる時間に少なくとも2回実施される、項目35に記載の方法。
(発明の詳細な説明)
本発明は、1つの局面において、カニクイザルのP−糖タンパク質(本明細書中でカニクイザルPGPという)をコードするcDNAの同定を含む。カニクイザルPGPのヌクレオチド配列は、配列番号1および配列番号3として示され、そしてカニクイザルPGPのアミノ酸配列は、配列番号2および配列番号4として示される。カニクイザルPGPの対立遺伝子改変体のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列(配列番号3および配列番号4)は、それぞれ9ヌクレオチドおよび3アミノ酸の挿入を有するが、さもなければ配列番号1および配列番号2と同一である。密接に関連したヒトPGPは、GenBankにアクセッション番号M14758として寄託された。本明細書中に示されるポリペプチドのほとんどがヒトPGPに同一であるが、カニクイザルPGPは、いくつかの単一のアミノ酸差異およびヒトPGPに約36〜58%同一である約19〜34アミノ酸のN末端ドメインを有する。上記(配列番号3および4)でいわれる対立遺伝子改変体に存在する挿入物は、このカニクイザル特異的ドメインの末端付近に位置される。驚くことに、ヒトアミノ酸配列とは異なるカニクイザルPGPのN末端ドメインは、カニクイザルアミノ酸配列およびヒトアミノ酸配列がさもなくば100%同一である分子の一部に位置される。P−糖タンパク質の非常に高度に保存されたタンパク質ドメインにおける、種でのこの差異は、全く予想されない。
本発明は、1つの局面において、カニクイザルPGP核酸およびポリペプチド、ならびにこれらが関する治療を含む。本発明はまた、前述の核酸およびポリペプチド;前述の核酸の相補体;および前述の核酸およびポリペプチドに選択的に結合する分子の、単離された機能的に等価な改変体、有用なアナログおよびフラグメントを含む。
本発明のカニクイザルPGP核酸およびポリペプチドは単離される。本明細書中で核酸に関して使用される場合、用語「単離された(される)」は:(i)例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によってインビトロで増幅された(される);(ii)クローニングによって組換え的に産生された(される);(iii)切断およびゲル分離によるように精製された(される);または(iv)例えば、化学合成によって合成された(される)、ことを意味する。単離された核酸は、当該分野において周知の組換えDNA技術によって容易に操作可能であるものである。従って、5’制限部位および3’制限部位が公知であるベクターまたはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマー配列が開示されたベクターに含まれるヌクレオチド配列は、単離されたと認識されるが、その天然の宿主中にそのネイティブな状態で存在する核酸配列は、単離されたと認識されない。単離された核酸は、実質的に精製され得るが、実質的に精製される必要はない。例えば、クローニングベクターまたは発現ベクター内に単離された核酸は、その核酸の存在する細胞中にその物質のほんの少しのパーセントを含み得るという点で純粋ではない。しかし、この用語が本明細書中で使用される場合、このような核酸は、単離された(される)である。なぜなら、当業者に公知の標準技術によって容易に操作可能であるからである。本明細書中で使用される場合、単離された核酸は、天然に存在する染色体ではない。
ポリペプチドに関して本明細書中で使用される場合、「単離された(される)」は、そのネイティブの環境から分離され、そしてその同定または使用を可能にするに十分な量で存在することを意味する。タンパク質またはポリペプチドに関していわれる場合、単離された(される)は、例えば:(i)発現クローニングによって選択的に産生された(される)、または(ii)クロマトグラフィーまたは電気泳動によるように精製された(される)、ことを意味する。単離されたタンパク質またはポリペプチドは、実質的に純粋であり得るが、実質的に純粋である必要はない。用語「実質的に純粋」は、タンパク質またはポリペプチドが、その意図された使用に実用的および適切である範囲で、天然にかまたはインビボの系で見出され得る他の物質が本質的にないことを意味する。実質的に純粋なポリペプチドは、当該分野において周知の技術によって産生され得る。単離されたタンパク質は薬学的調製物中に薬学的に受容可能なキャリアと混合され得るので、タンパク質は、調製物の少ない重量%のみを含み得る。にもかかわらず、タンパク質は、生存系において関与し得る物質から分離された(すなわち、他のタンパク質から単離された)という点で、単離された(される)である。
本明細書中で使用される場合、カニクイザルPGP核酸は、単離された核酸分子をいう。これは、カニクイザルPGPポリペプチドをコードする。このような核酸分子は、配列番号2および配列番号4ならびにこれらのフラグメントの配列を含む、カニクイザルPGPポリペプチドをコードする。核酸分子は、配列番号1および配列番号3の核酸配列、ならびに、遺伝コードの縮重に起因するコドン配列において配列番号1および配列番号3の配列とは異なる核酸配列を含む。本発明のカニクイザルPGP核酸はまた、前述の核酸および前述の核酸のフラグメントの対立遺伝子を含む。このようなフラグメントは、例えば、ハイブリダイゼーションアッセイにおけるプローブとして、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)におけるプライマーとして、使用され得る。好ましいカニクイザルPGP核酸は、配列番号1または配列番号3の核酸配列を含む。前述の核酸の相補体はまた、本発明によって含まれる。
本明細書中で使用される場合、「カニクイザルPGP活性」は、細胞膜を横切って低分子を運び出すPGPポリペプチドの能力をいう。カニクイザルPGP活性を阻害する分子(アンタゴニスト)は、PGPを介して低分子の運び出しを阻害するものであり、そしてカニクイザルPGP活性を増加する分子(アゴニスト)は、PGPを介して低分子の運び出しを増加するものである。カニクイザルPGP活性における変化は、細胞からの蛍光化合物の流出を含む、本明細書中に記載されるようなアッセイによって測定され得る。
本発明のカニクイザルPGP核酸の対立遺伝子は、慣用的な技術によって同定され得る。例えば、カニクイザルPGPの対立遺伝子は、cDNAライブラリーとストリンジェントな条件下で、配列番号1または配列番号3のフラグメントを少なくとも含むプローブをハイブリダイズすること、および陽性クローンを選択することによって単離され得る。従って、本発明の1つの局面は、カニクイザルPGPポリペプチドをコードする核酸配列およびストリンジェントな条件下で配列番号1または配列番号3からなる核酸分子にハイブリダイズする核酸配列である。本明細書中で使用される場合、用語「ストリンジェントな条件」は、当業者が精通するパラメーターをいう。核酸ハイブリダイゼーションパラメーターは、このような方法を編集する参考文献中(例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,J.Sambrookら編、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,1989、または、Current Protocols in Molecular
Biology,F.M.Ausubelら編、John Wiley&Sons,Inc,New York)に見出され得る。より特定には、本明細書中で使用される場合、ストリンジェントな条件は、例えば、ハイブリダイゼーション緩衝液(3.5×SSC、0.02% Ficoll、0.02% ポリビニルピロリドン、0.02% ウシ血清アルブミン、2.5mM NaH2PO4(pH7)、0.5% SDS、2mM EDTA)中で65℃でのハイブリダイゼーションをいう。SSCは、0.15M 塩化ナトリウム/0.15M クエン酸ナトリウム(pH7)であり;SDSは、ドデシル硫酸ナトリウムであり;およびEDTAは、エチレンジアミン3酢酸である。ハイブリダイゼーション後、その上にDNAが転写される膜は、2×SSCで室温にて洗浄され、次いで、室温〜68℃までの0.1〜0.5×SSC/0.1×SDSで洗浄される。
同程度のストリンジェンシーを生じる、使用され得る他の条件、試薬、などが存在する。当業者は、このような条件に精通しており、従って、本明細書中で示されない。しかし、当業者が、これらの条件を、本発明のカニクイザルPGP核酸の対立遺伝子の明瞭な同定を可能にする様式で操作し得ることは明白である。当業者はまた、このような分子の発現のための細胞およびライブラリーのスクリーニング、次いで慣用的な単離、引き続く適切な核酸分子の単離および配列決定についての方法論に精通している。
カニクイザルPGP核酸についてのスクリーニングにおいて、サザンブロットは、放射活性なプローブとともに前述のストリンジェントな条件を使用して実施され得る。DNAが最終的に転写された膜の洗浄後に、この膜は、放射活性なシグナルを検出するためにX線フィルムに対して置かれ得る。
本発明のカニクイザルPGP核酸はまた、ネイティブな物質中に存在する核酸に対して代替的なコドンを含む縮重核酸を含む。例えば、セリン残基は、コドンTCA、AGT、TCC、TCG、TCTおよびAGCによってコードされる。これら6つのコドンの各々は、セリン残基をコードする目的について等価である。従って、セリンをコードする核酸トリプレット(triplet)のいずれもが、伸長するカニクイザルPGPポリペプチドにセリン残基を組み込むための、インビトロまたはインビボでタンパク質合成装置を指向するために使用され得る。同様に、他のアミノ酸残基をコードする核酸トリプレットとして、以下が挙げられるがこれらに限定されない:CCA、CCC、CCGおよびCCT(プロリンコドン)、CGA、CGC、CGG、CGT、AGAおよびAGG(アルギニンコドン)、ACA、ACC、ACGおよびACT(スレオニンコドン)、AACおよびAAT(アルギニンコドン);ならびにATA、ATCおよびATT(イソロイシンコドン)。他のアミノ酸残基は、多様なヌクレオチド配列によって同様にコードされ得る。従って、本発明は、遺伝コードの縮重に起因するコドン配列において、生物学的に単離された核酸とは異なる縮重核酸を含む。
本発明はまた、改変された核酸分子を提供する。これは、1つ以上のヌクレオチドの付加、置換および欠失を含む。好ましい実施形態において、これらの改変されなかった核酸分子および/またはこれら核酸分子がコードするポリペプチドは、改変された核酸分子および/またはポリペプチドの少なくとも1つの活性または機能(例えば、トランスポーター活性など)を保持する。特定の実施形態において、改変された核酸分子は、改変されたポリペプチド、好ましくは、本明細書中の他の場所で記載されるような保存的アミノ酸置換を有するポリペプチドをコードする。改変された核酸分子は、改変されない核酸分子に構造的に関し、好ましい実施形態において、改変されない核酸分子に十分に構造的に関し、その結果、改変された核酸分子および改変されない核酸分子は、当業者に公知のストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。
例えば、単一のアミノ酸変化を有するポリペプチドをコードする改変された核酸分子は、調製され得る。これらの核酸分子の各々は、本明細書中で記載されるような遺伝コードの縮重に対応するヌクレオチド変化を除いて、1、2または3ヌクレオチド置換を有し得る。同様に、2アミノ酸変化を有するポリペプチドをコードする改変された核酸分子は、例えば2〜6ヌクレオチド変化を有して調製され得る。これらのような多数改変された核酸分子は、当業者によって容易に想像され得、例えば、アミノ酸2および3、2および4、2および5、2および6などをコードするコドン中のヌクレオチド置換を含む。前述の実施例において、2アミノ酸の各組合せは、改変された核酸分子ならびにアミノ酸置換をコードするヌクレオチド置換のセット中に含まれる。さらなる置換(すなわち、3以上)、付加、または欠失(例えば、停止コドンもしくはスプライシング部位の導入によって)を有するポリペプチドをコードするさらなる核酸分子はまた、調製され得、そして当業者によって容易に想像されるように本発明によって含まれる。前述の核酸またはポリペプチドのいずれもが、本明細書中に開示される核酸および/またはポリペプチドに対する構造的な関係または活性の保持について慣用的な実験によって試験され得る。
本発明はまた、配列番号1および配列番号3の単離されたフラグメントを提供する。これらのフラグメントは、このような核酸を同定するためのサザンブロット分析におけるプローブとして使用され得るか、またはこれらを利用するPCRのような増幅アッセイにおいて使用され得る。より小さいフラグメントは、12、13、14、15、16、17、18、20、22、25、30、40、50または75およびこれらの間の全ての整数のヌクレオチドを含むフラグメントであり、例えば、核酸増幅手順についてのプライマーとして有用である。当業者に公知であるように、200、250、300、400以上のヌクレオチドのような大きいプローブは、サザンブロットのような特定の使用に好ましいが、小さいフラグメントは、PCRのような使用に好ましい。フラグメントはまた、抗体を作製するかまたはポリペプチドフラグメントの結合を決定するための融合タンパク質を産生するために使用され得る。同様に、フラグメントは、例えば、抗体の調製、免疫アッセイなどにおいて有用なカニクイザルPGPポリペプチドの融合されないフラグメントを産生するために利用され得る。前述の核酸フラグメントはさらに、カニクイザルPGP核酸およびポリペプチドの発現を阻害するためのアンチセンス分子として、以下により詳細に記載されるように、特に治療目的に使用され得る。
本発明はまた、カニクイザルPGPの機能的に等価な改変体を含む。これは、カニクイザルPGPの1以上の機能的な特性を残す改変体核酸およびポリペプチドを含む。好ましくは、このような改変体は、カニクイザル特異的N末端ドメイン(例えば、配列番号2のアミノ酸86〜104または配列番号4のアミノ酸86〜101)を含む。例えば、改変体は、分子を輸送する能力を保持するカニクイザルPGPの細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインを含む融合タンパク質を含む。なお他の機能的に等価な改変体は、配列番号2または配列番号4の配列に対するアミノ酸の短縮、欠失、点変異または付加を含み、これらは、配列番号2または配列番号4の機能を保持する。機能的に等価な改変体はまた、除去されたかまたは別のP−糖タンパク質からの同様のドメインによって置換されたN末端の一部を有するカニクイザルPGP(例えば、「ドメイン交換(swapping)」改変体)を含む。他の機能的に等価な改変体は、このような改変体を調製する方法と同様に、当業者に公知である。機能的に等価な改変体の活性は、本明細書中および他の種のP−糖タンパク質を使用するアッセイを記載した参考文献中に提供される方法を使用して決定され得る。このような改変体は、カニクイザルPGPの輸送機能を結合および/または調節する化合物の同定についてのアッセイにおいて、薬物のバイオアベイラビリティを評価するために、そして輸送活性が要求されるカニクイザルPGPの部分を決定するためにとりわけ有用である。
非機能的である改変体はまた、上記されるように調製され得る。このような改変体は、例えば、トランスポーター活性を試験する実験におけるネガティブコントロールとして有用である。
1つの実施形態において、カニクイザルPGP核酸は、真核生物細胞または原核生物細胞内にカニクイザルPGP核酸の発現を指向する遺伝子発現配列に作動可能に連結される。「遺伝子発現配列」は、任意の調節核酸配列(例えば、プロモーター配列またはプロモーター−エンハンサー組合わせ(これは、作動可能に連結されるカニクイザルPGP核酸の効果的な転写および翻訳を容易にする))である。遺伝子発現配列は、例えば、哺乳動物またはウイルスのプロモーター(例えば、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーター)であり得る。構成的哺乳動物プロモーターとしては、以下の遺伝子についてのプロモーターが挙げられるがこれらに限定されない:ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPTR)、アデノシンデアミナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、β−アクチンプロモーターおよび他の構成的プロモーター。真核生物細胞に構成的に機能するウイルスプロモーターの例示としては、以下が挙げられる:例えば、シミアンウイルス、パピローマウイルス、アデノウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ラウス肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、モロニーマウス白血病ウイルスおよび他のレトロウイルスの長末端反復(LTR)由来のプロモーター、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼプロモーター。他の構成的プロモーターは、当業者に公知である。本発明の遺伝子発現配列として有用なプロモーターはまた、誘導性プロモーターを含む。誘導性プロモーターは、誘導剤の存在下で発現される。例えば、メタロチオネインプロモーターは、特定の金属イオンの存在下で転写および翻訳を促進するように誘導される。他の誘導性プロモーターは、当業者に公知である。
一般には、遺伝子発現配列は、必要ならば、それぞれ転写の開始および翻訳の開始に関与する、5’非転写配列および5’非翻訳配列(例えば、TATAボックス、キャッピング配列、CAAT配列など)を含む。特に、このような5’非転写配列は、作動可能に連結されたカニクイザルPGP核酸の転写制御についてのプロモーター配列を含むプロモーター領域を含む。遺伝子発現配列は、必要ならば、所望される場合エンハンサー配列または上流のアクチベーター配列を含む。
カニクイザルPGP核酸配列および遺伝子発現配列は、これらが共有結合されてこの遺伝子発現配列の影響下または制御下でカニクイザルPGPコード配列を転写および/または翻訳する方向に置かれる場合、「作動可能に連結される(された)」といわれる。カニクイザルPGP配列が機能的タンパク質に翻訳されることが所望される場合、2つのDNA配列は、5’遺伝子発現配列中のプロモーターの誘導がカニクイザルPGP配列の転写を生じる場合、および2つのDNA配列の間の連結の特性が以下ではない場合、作動可能に連結されるといわれる:(1)フレームシフト変異の導入を生じる、(2)カニクイザルPGP配列の転写を指向するプロモーター領域の能力を緩衝する、または(3)対応するRNA転写物がタンパク質中に翻訳される能力を緩衝する。従って、遺伝子発現配列がカニクイザルPGP核酸配列の転写を影響し得その結果生じる転写物が所望のタンパク質またはポリペプチドに翻訳され得る場合、遺伝子発現配列は、カニクイザルPGP核酸配列に作動可能に連結される。
本発明のカニクイザルPGP核酸分子およびカニクイザルPGPポリペプチド(以下に記載されるカニクイザルPGPインヒビターを含む)は、真核生物細胞または原核生物細胞に単独でかまたはベクターと組合わせて送達され得る。その最も広い意味において、「ベクター」は、以下を容易にし得る任意のビヒクルである:(1)標的細胞へのカニクイザルPGP核酸またはポリペプチドの送達、(2)標的細胞によるカニクイザルPGP核酸またはポリペプチドの取り込み、または(3)標的細胞でのカニクイザルPGP核酸またはポリペプチドの発現。好ましくは、減少した分解を伴う、カニクイザルPGP核酸分子もしくはポリペプチドの標的細胞へのベクター輸送は、ベクターの非存在を生じる分解の範囲に関する。必要ならば、「標的リガンド」は、ベクターに付着して、その標的リガンドに対する同属のレセプター(例えば、レセプター、抗体によって認識される抗原)をその表面上に発現する細胞に選択的にベクターを送達し得る。この様式において、ベクター(カニクイザルPGP核酸またはカニクイザルPGPポリペプチドを含む)は、特定の細胞に選択的に送達され得る。一般には、本発明において有用なベクターは、2つのクラスに分けられる:生物学的ベクターおよび化学的/物理的ベクター。生物学的ベクターは、標的細胞へのカニクイザルPGP核酸の送達、標的細胞によるカニクイザルPGP核酸の取り込みについてより有用である。化学的/物理的ベクターは、標的細胞へのカニクイザルPGP核酸またはカニクイザルPGPタンパク質の送達、標的細胞によるカニクイザルPGP核酸またはカニクイザルPGPタンパク質の取り込みについてより有用である。
生物学的ベクターとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:プラスミド、ファージミド、ウイルス、本発明の核酸配列の挿入または組み込みによって操作されたウイルスまたは細菌の供給源由来の他のビヒクル、および本発明の核酸配列に連結され得る遊離核酸フラグメント。ウイルスベクターは、生物学的ベクターの好ましい型であり、以下のウイルス由来の核酸配列を含むがこれらに限定されない:モロニーマウス白血病ウイルスのようなレトロウイルス;Harveyマウス肉腫ウイルス;マウス哺乳動物腫瘍ウイルス;ラウス肉腫ウイルス;アデノウイルス;アデノ随伴ウイルス;SV40型ウイルス;ポリオーマウイルス;ポックスウイルス;レトロウイルス;エプスタイン−バーウイルス;パピローマウイルス;ヘルペスウイルス;ワクシニアウイルス;およびポリオウイルス。当該分野において名前はないが公知である他のベクターは、容易に利用され得る。
好ましいウイルスベクターは、必須ではない遺伝子が目的の遺伝子と置換されている、非細胞傷害性真核生物ウイルスベースである。非細胞傷害性ウイルスは、レトロウイルスを含み、このウイルスの生活環は、引き続くプロウイルスの宿主細胞のDNAへの組み込みを有する、ゲノムウイルスRNAのDNAへの逆転写を含む。一般には、レトロウイルスは、複製欠損(すなわち、所望のタンパク質の合成を指向し得るが、感染性粒子を製造し得ない)である。このような遺伝的に改変されたレトロウイルス発現ベクターは、インビボで高効率の遺伝子導入について一般的な有用性を有する。複製欠損レトロウイルスを産生するための標準的プロトコール(プラスミドへの外因性遺伝物質の組み込み工程、プラスミドでのパッケージング細胞株のトランスフェクション工程、パッケージング細胞株による組換えレトロウイルスの産生工程、組織培養培地からのウイルス粒子の回収工程、およびウイルス粒子での標的細胞の感染工程を包含する)は、Kriegler,M.,“Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual,”W.H.Freeman C.O.,New York(1990)およびMurry,E.J.編、“Methods in Molecular Biology,”第7巻、Humana Press,Inc.,Clifton,New Jersey(1991)に提供される。
特定の適用についての別の好ましいウイルスは、二本鎖DNAウイルスであるアデノ随伴ウイルスである。アデノ随伴ウイルスは、複製欠損であるように操作され得、そして広範な範囲の細胞型および種を感染し得る。これは、利点(例えば、熱安定性および脂質溶媒安定性;多様な系統の細胞における高頻度の形質転換;および複数の一連の形質転換を可能にする重複感染阻害の欠失)をさらに有する。すでに報告されるように、アデノ随伴ウイルスは、部位特異的様式でヒト細胞性DNA中に組み込まれ得、これにより、挿入性変異の可能性および挿入された遺伝子の発現の可変性を最小化し得る。さらに、野生型アデノ随伴ウイルス感染は、選択的圧力の非存在下で100パッセージを超える組織培養を継代した。このことは、アデノ随伴ウイルスのゲノム組み込みは、比較的安定な事象であることを意味する。アデノ随伴ウイルスはまた、染色体外様式で機能し得る。
発現について必要な要素を全て含む発現ベクターは、市販されており、そして当業者に公知である。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989を参照のこと。細胞は、一般的に、カニクイザルPGPポリペプチドまたはそのフラグメントもしくは改変体をコードする異種DNA(RNA)の細胞への形質導入によって操作される。この異種DNA(RNA)は、転写要素の作動可能な制御下に置かれ、宿主細胞での異種DNAの発現を可能にする。
哺乳動物細胞におけるmRNA発現についての好ましい系は、pRc/CMV(Invitrogen,Carsbad,CAから入手可能)のような系である。pRc/CMVは、G418耐性を与える遺伝子のような選択マーカー(安定にトランスフェクトされた細胞株の選択を容易にする)およびヒトサイトメガロウイルス(CMV)エンハンサー−プロモーター配列を含む。さらに、pCEP4ベクターは(Invitrogen)は、霊長類細胞株またはイヌ細胞株における発現について適切である。これは、多コピーの染色体外要素としてプラスミドの維持を容易にする、エプスタインバーウイルス(EBV)複製起点を含む。別の発現ベクターは、インビトロでの効率的な転写を刺激するポリペプチド延長因子1αのプロモーターを含むpEF−BOSプラスミドである。このプラスミドは、MishizumaおよびNagata(Nuc.Acids Res.18:5322,1990)に記載され、トランスフェクション実験におけるその使用は、例えば、Demoulin(Mol.Cell.Biol.16:4710−4716,1996)によって開示される。なお別の好ましい発現ベクターは、Stratford−Perricaudetによって記載されるアデノウイルスであり、E1タンパク質およびE3タンパク質を欠損する(J.Clin.Invest.90:626−630,1992)。
生物学的ベクターに加えて、化学的/物理的ベクターは、カニクイザルPGP核酸またはポリペプチドを標的細胞に送達してそれにより取り込みを容易にするために使用され得る。本明細書中で使用される場合、「化学的/物理的ベクター」は、単離されたカニクイザルPGP核酸またはポリペプチドを細胞に送達し得る、細菌性供給源またはウイルス性供給源由来の分子以外の天然の分子または合成分子をいう。
本発明の好ましい化学的/物理的ベクターは、膠様分散系である。膠様分散系は、水中油乳濁液、ミセル、混合ミセル、およびリポソームを含む脂質ベースの系を含む。本発明の好ましい膠様系は、リポソームである。リポソームは、インビボまたはインビトロでの送達ベクターとして有用である人工膜ビヒクルである。これは、サイズが0.2〜4.0μの範囲である巨大な多層状のビヒクル(LUV)が巨大分子を包囲し得ることを示した。RNA、DNAおよびインタクトなビリオンは、水性の内部に包囲され得、そして生物学的に活性な形態で細胞中に送達され得る(Fraleyら、Trends Biochem.Sci.,第6巻第77頁(1981))。リポソームが効果的な核酸輸送ベクターであるためには、1以上の以下の特性が存在すべきである:(1)生物学的活性の保持を有する、目的の核酸の高効率での包囲;(2)非標的細胞に比べて、標的細胞に対する優先的および実質的な結合;(3)ビヒクルの水性内容物の標的細胞細胞質への高効率での送達;ならびに(4)遺伝情報の正確かつ効果的な発現。
リポソームは、特異的なリガンド(例えば、モノクローナル抗体、糖、糖脂質、またはタンパク質)へのリポソームの連結によって特定の組織に標的化され得る。特定の細胞へリポソームを標的化するために有用であり得るリガンドは、特定の細胞型または組織型に依存する。さらに、ベクターが核酸を包囲する場合、ベクターは、カニクイザルPGP核酸を宿主細胞の核へ指向する核標的化ペプチドと連結され得る。
リポソームは、例えば、LIPOFECTINTMおよびLIPOFECTACETMとしてGibco BRLから市販される。これらは、N−[1−(2,3
ジオレイルオキシ)−プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)およびジメチルジオクタデシルアンモニウム臭化物(DDAB)のようなカチオン性脂質で形成される。リポソームを作製するための方法は、当該分野において公知であり、そして多くの刊行物に記載されている。
標的細胞によるカニクイザルPGP核酸の取り込みを容易にするために使用され得る他の例示的組成物としては、リン酸カルシウムおよび細胞内輸送の他の化学的メディエーター、マイクロインジェクション組成物、エレクトロポーレーションならびに(例えば、カニクイザルPGP核酸を標的細胞染色体内の予め選択された位置に組み込むための)相同組換え組成物が挙げられる。
本発明はまた、いわゆる発現キットを包含し、これは、技術者が所望の発現ベクターを調製することを可能にする。このような発現キットは、以前議論されたコード配列の少なくとも別個の部分を含む。必要とされる、以前に述べられた配列が含まれる限り、所望の場合、他の成分が添加され得る。
本発明は、発現ベクターにおけるカニクイザルのPGP cDNA配列の使用、ならびに宿主細胞および細胞株(これらは、原核(例えば、E.coli)、または真核(例えば、COS細胞、酵母発現系および、昆虫細胞における組換えバキュロウイルス発現)である)をトランスフェクトすることを包含する。哺乳動物細胞(例えば、ヒト、ブタ、ヤギ、霊長類など)が、特に有用である。それらは、広範な種々な型であり得、そして始原細胞および細胞株を含む。特定の例としては、腸細胞および肝細胞が挙げられる。この発現ベクターは、適切な配列(すなわち、前記されるそれらの核酸)が、プロモーターに作動可能に連結されることを必要とする。
本発明はまた、配列番号2および配列番号4のアミノ酸配列およびそれらのフラグメントを含む、単離されたカニクイザルのPGPポリペプチド(これは、上記カニクイザルのPGP核酸によりコードされる)を提供する。カニクイザルのPGPポリペプチドはまた、対立遺伝子、機能的に等価な改変体およびアナログ(1、2、3、4、5、またはそれ以上のアミノ酸により、開示されたカニクイザルのPGPポリペプチド由来のアミノ酸配列において変化するそれらの非対立遺伝子ポリペプチド)を包含し、但し、このようなポリペプチドは、カニクイザルのPGP活性を保持する。非機能的改変体もまた、本発明により包含され;これらは、輸送体機能のアンタゴニストとして、アッセイにおけるネガティブコントロールとしてなどに有用である。このような対立遺伝子、改変体、アナログおよびフラグメントは、アッセイの成分として含む種々の目的のための、例えば、単独または融合タンパク質として有用である。
ポリペプチドのフラグメントは、カニクイザルのPGPポリペプチドの異なる機能的能力、特に種々の分子の輸送体として保持するそれらのフラグメントである。カニクイザルのPGPポリペプチドのフラグメントにおいて保持され得る他の機能的能力としては、抗体との相互作用および他のポリペプチドとの相互作用(例えば、タンパク質複合体において見出される)が挙げられる。当業者は、カニクイザルのPGPの機能的能力を保持するフラグメントを選択するための方法において十分に精通する。このフラグメントの機能的能力の確認は、標準的な方法に従って、フラグメントの合成および能力を試験することにより行われ得る。例えば、カニクイザルのPGPフラグメントの輸送体活性を試験するために、分子輸送体が、測定され得る細胞において、フラグメントを挿入または発現する。当該分野において標準的であるこのような方法が、本明細書中にさらに記載される。
本発明は、上記のカニクイザルのPGPポリペプチドの改変体を包含する。本明細書中に記載されるように、カニクイザルのPGPポリペプチドの「改変体」は、カニクイザルのPGPポリペプチドの主なアミノ酸配列に対する1つ以上の改変を含むポリペプチドである。カニクイザルのPGP改変体を作製する改変は、種々の理由のためにカニクイザルのPGPポリペプチドに対して作製され得、これは以下を含む:1)カニクイザルのPGPポリペプチドの活性(例えば、輸送)を低減するかまたは除去すること;2)カニクイザルのPGPポリペプチドの特性(例えば、発現系におけるタンパク質安定性またはタンパク質−タンパク質結合の安定性)を増強すること;3)カニクイザルのPGPポリペプチドに対する新規の活性または特性(例えば、抗原エピトープの添加または検出可能部分の添加)を提供すること;または4)アミノ酸置換が分子輸送体活性に影響するかまたはしないことを確立すること、を含む。カニクイザルのPGPポリペプチドに対する改変は、カニクイザルのPGPポリペプチドをコードする核酸に対して代表的に作製され、そしてアミノ酸部分または非アミノ酸部分の欠失、点変異、短縮、アミノ酸置換および付加が挙げられ得る。あるいは、改変は、例えば、切断、リンカー分子の付加、検出可能部分の付加(例えば、ビオチン)、脂肪酸の付加などにより、ポリペプチドに直接作製され得る。改変はまた、カニクイザルのPGPアミノ酸配列の全てまたは1部を含む融合タンパク質を含む。当業者は、タンパク質配列における変化のタンパク質構造に関する効果を予測するための方法に精通し、従って、公知の方法に従って、改変体カニクイザルのPGPを「設計」し得る。このような方法の1つの例は、DahiyatおよびMayo、Science 278:82−87,1997に記載され、これにより、タンパク質は、新規に設計され得る。方法は、ポリペプチド配列の1つの部分のみを変更するために公知のタンパク質に適用され得る。DahiyatおよびMayoの計算方法を適用することにより、カニクイザルのPGPポリペプチドの特異的な改変体が提案され、そして改変体が所望の構造を保持するか否かを決定することが試験される。
改変体としては、特に、その生理学的活性に関連しないポリペプチドの特徴を変更するために改変されるカニクイザルのPGPポリペプチドが挙げられる。例えば、システイン残基は、所望しないジスルフィド結合を防ぐために置換され得るかまたは欠失され得る。同様に、特定のアミノ酸は、発現系におけるプロテアーゼによるタンパク質分解を除去することにより、カニクイザルのPGPポリペプチドの発現を増強するために変化され得る(例えば、KEX2プロテアーゼ活性が存在する酵母発現系における二塩基性アミノ酸残基)。
カニクイザルのPGPポリペプチドをコードする核酸の変異は、コード配列のアミノ酸読み取り枠を好ましくは保存し、そして2次構造(例えば、ヘアピンまたはループ)を形成するためにハイブリダイズしそうな核酸における領域(これは、改変体ポリペプチドの発現に対して有害であり得る)を好ましくは作製しない。
変異は、アミノ酸置換を選択することによるか、またはこのポリペプチドをコードする核酸において選択される部位の無作為な変異誘発により作製され得る。次いで、改変体ポリペプチドは、どの変異体が所望の特性を有する改変体ポリペプチドを提供するかを決定するために発現され、そして1つ以上の活性について試験される。さらなる変異体が、ポリペプチドのアミノ酸配列に関してサイレントであるが、特定の宿主における翻訳のために好ましいコドンを提供する改変体に対して(または、非改変体カニクイザルのPGPポリペプチド)に対して作製され得る。例えば、E.coliにおける核酸の翻訳のために好ましいコドンが、当業者に周知である。なお他の変異が、このポリペプチドの発現を増強するためにカニクイザルのPGP遺伝子またはcDNAクローンの非コード配列に対して作製され得る。
カニクイザルのPGPポリペプチドの改変体の活性は、改変体カニクイザルのPGPポリペプチドをコードする遺伝子を、細菌または哺乳動物発現ベクターへクローニングし、適切な宿主細胞中にこのベクターを導入し、改変体カニクイザルのPGPポリペプチドを発現し、そして本明細書中に開示されるようなカニクイザルのPGPポリペプチドの機能的能力について試験することにより、試験され得る。例えば、改変体カニクイザルのPGPポリペプチドは、以下の例に示されるように、分子輸送体(例えば、流出)を提供する能力について試験され得る。他の改変体ポリペプチドの調製は、他の活性の試験に好まれ得、これは当業者に公知である。
当業者はまた、保存的アミノ酸置換が、カニクイザルのPGPポリペプチドにおいて、前述のポリペプチドの機能的に等価な改変体(すなわち、カニクイザルのPGPポリペプチドの機能的能力を保持する改変体)を提供するために作製され得る。本明細書中で使用される場合、「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸置換が作製されるポリペプチドに特徴的な、相対的な電荷または相対的なサイズを変更しないアミノ酸置換をいう。改変体は、このような方法を集めた参考文献(例えば、Molecular Cloning:A Laboartory Manual,J.Sambrookら、編、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York,1989、またはCurrent Protocols in Molecular Biology,F.M.Ausubelら、編、John Wiley & Sons,Inc.,New York)において見出されるような、当業者に公知のポリペプチド配列を変更するための方法に従って、調製され得る。カニクイザルのPGPポリペプチドの例示的な機能的に等価な改変体としては、配列番号2または配列番号4の保存的アミノ酸置換が挙げられる。アミノ酸の保存的置換は、以下の群内のアミノ酸の中で作製される置換を含む:(a)M、I、L、V;(b)F、Y、W;(c)K、R、H;(d)A、G;(e)S、T;(f)Q、N;および(g)E、D。
カニクイザルのPGPの機能的に等価な改変体を産生するためのカニクイザルのPGPポリペプチドのアミノ酸配列における保存的アミノ酸置換は、代表的に、カニクイザルのPGPポリペプチドをコードする核酸配列(例えば、配列番号1または3)の変更により作製される。このような置換は、当業者に公知の種々の方法により作製され得る。例えば、アミノ酸置換は、Kunkelの方法(Kunkel、Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.82:488−492、1985)に従って、PCR指向性変異、部位指向性変異誘発により、またはカニクイザルのPGPポリペプチドをコードする遺伝子の化学合成により作製される。カニクイザルのPGPポリペプチドの機能的に等価なフラグメントの活性が、化合物の膜貫通輸送を媒介するために、変更されたカニクイザルのPGPポリペプチドをコードする遺伝子を、細菌性発現ベクターまたは哺乳動物発現ベクター中にクローニングし、このベクターを適切な宿主細胞中に導入し、この変更されたカニクイザルのPGPポリペプチドを発現し、そしてカニクイザルのPGPポリペプチドの能力を試験することにより、試験され得る。化学的に合成されるペプチドが、機能について直接試験され得る。
当業者に周知の種々の方法論が、単離されたカニクイザルのPGP分子を得るために利用され得る。ポリペプチドは、クロマトグラフィー手段または免疫学的認識により、このポリペプチドを天然に産生する細胞から精製され得る。あるいは、発現ベクターは、このポリペプチドの産生を引き起こすために細胞に導入され得る。別の手段において、mRNA転写物が、コードされたポリペプチドの産生を引き起こすために、細胞に微小注入されてもよいし、またはその他の手段で細胞導入されてもよい。無細胞系抽出物(例えば、網状赤血球溶解産物系)におけるmRNAの翻訳もまた、ポリペプチドを産生するために使用され得る。当業者はまた、カニクイザルのPGPポリペプチドを単離するための公知の手段に容易に従い得る。これらとしては、免疫クロマトグラフィー、HPLC、サイズ排除クロマトグフィー、イオン交換クロマトグラフィーおよび免疫親和性クロマトグラフィーが挙げられるがこれらに限定されない。
本明細書中に記載されるような発明は、多数の使用を有し、そのいくつかは、その他で本明細書中に記載される。例えば、本発明は、例えば、標準的なプロトコールを使用して単離され得る多量のポリペプチドを産生するための組換え核酸の発現により、カニクイザルのPGPポリペプチド分子の単離を可能にする。別の例として、カニクイザルのPGP遺伝子の単離は、カニクイザルのPGPが、分子輸送のアッセイのための方法(例えば、薬物のバイオアベイラビリティ研究)において使用されることを可能にする。これらの方法は、この薬物のバイオアベイラビリティを決定または予測するための方法として、最初の種のPGP(例えば、カニクイザルの、イヌ)による薬物の輸送を、他の種のPGP(例えば、ヒト)による薬物の輸送に対する比較において、決定することを含む。従って、薬物の代謝における動物研究全体の結果が、薬物のP糖タンパク質輸送の、相対的速度または量の点で評価され得る。例えば、イヌに投与される薬物が、優れた経口バイオアベイラビリティおよびイヌPGPによる低い輸送を有する場合、ヒトPGPによる輸送もまた低い場合に、ヒトにおける薬物の経口バイオアベイラビリティは優れていることが予測され得る。逆に、ヒトPGPによる薬物の輸送が高い場合、次いで、薬物のバイオアベイラビリティは、低いことが予測される。
本発明はまた、カニクイザルのPGP核酸分子またはペプチドに選択的に結合する因子ならびに本明細書中に記載されるようなポリペプチドおよび核酸の改変体およびフラグメントに結合する因子を包含する。この因子は、カニクイザルのPGP、およびアンチセンス核酸に結合するポリペプチドを含み、この両方が、以下により詳細に記載される。この因子は、カニクイザルのPGP活性を阻害または増大し得る(それぞれ、アンタゴニストおよびアゴニスト)。
この因子のいくつかは、インヒビターである。カニクイザルのPGPインヒビターは、細胞膜を横切る分子のカニクイザルのPGP媒介輸送を阻害する因子である。流出アッセイは、カニクイザルのPGPインヒビターが、カニクイザルのPGP活性を阻害する能力を有するか否か、およびこの阻害が選択的であるか否かを、スクリーニングおよび/または決定するために実施され得る。流出の例示的アッセイは、実施例において、以下に記載される。
1つ実施形態において、カニクイザルのPGPインヒビターは、細胞におけるカニクイザルのPGP(または他の種のPGP)の発現を低減するために、カニクイザルのPGP核酸分子に選択的に結合するアンチセンスオリゴヌクレオチドである。これは、実質的に任意の医学的条件において所望され、ここで、PGP輸送活性の低減は、例えば、細胞における細胞傷害性因子の維持を増加するために所望される。
本明細書中に使用される場合、用語「アンチセンスオリゴヌクレオチド」または「アンチセンス」は、生理学的条件下で、特定の遺伝子を含むDNAまたはその遺伝子のmRNA転写物にハイブリダイズし、そしてそれにより、その遺伝子の転写および/またはそのmRNAの翻訳を阻害する、オリゴヌクレオチド、オリゴデオキシリボヌクレオチド、改変されたオリゴヌクレオチド、または改変されたオリゴデオキシリボヌクレオチドであるオリゴヌクレオチドを記載する。このアンチセンス分子が設計され、その結果、標的遺伝子または転写物とのハイブリダイゼーションに関して、標的遺伝子の転写または翻訳を仲介する。当業者は、そのアンチセンスオリゴヌクレオチドの正確な長さおよびその標的との相補性のその程度は、選択された特定の標的に依存し、これは、この標的の配列およびその配列を含む特定の塩基を含む。アンチセンスオリゴヌクレオチドが、構築されかつ配置され、その結果、生理学的条件下で、標的と選択的に結合する(すなわち、生理学的条件下で、標的細胞における任意の他の配列に対してより多く、標的配列に実質的にハイブリダイズする。配列番号1もしくは3、または対立遺伝子もしくはホモログゲノム配列および/もしくはcDNA配列に基づいて、当業者は、本発明に従って、使用のために多数の適切なアンチセンス分子のいずれかを容易に選択し、かつ合成し得る。阻害に関して、十分選択的であり、かつ強力であるために、このようなアンチセンスオリゴヌクレオチドが、この標的に相補的である、少なくとも10、およびより好ましくは、少なくとも15の保存的塩基を含むべきであるが、特定の場合、7塩基長と同じくらい短い改変されたオリゴヌクレオチドが、アンチセンスオリゴヌクレオチドとして首尾よく使用された(Wagnerら、Nature Biotechnol.14:840−844、1996)。最も好ましくは、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、20〜30塩基の相補的な配列を含む。その遺伝子またはmRNA転写物の任意の領域に対するアンチセンスであるオリゴヌクレオチドが選択され得るが、好ましい実施形態において、このアンチセンスオリゴヌクレオチドは、N末端部位または5’上流部位(例えば、翻訳開始部位、転写開始部位、またはプロモーター部位)に対応する。さらに、3’上流領域が、標的化され得る。mRNAスプライシングに対する標的化もまた、当該分野において使用されていたが、代替のmRNAスプライシングが生じる場合、あまり好まれ得ない。さらに、このアンチセンスは、好ましくは、mRNA2次構造が期待されない部位(例えば、Sainioら、Cell Mol.Neurobiol.14(5):439−457、1994を参照のこと)およびポリペプチドが結合することが期待されない部位に、好ましくは、標的化される。従って、本発明はまた、配列番号1または3を含むカニクイザルのPGP核酸に対応する対立遺伝子または相同なcDNAおよびゲノムDNAに相補的であるアンチセンスオリゴヌクレオチドもまた提供する。
実施形態の1つの組において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、「天然の」デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、またはその任意の組み合わせからなり得る。つまり、あるネイティブなヌクレオチドの5’末端および別のネイティブなヌクレオチドの3’末端が、ホスホジエステルヌクレオシド内連結を介して、天然の系として共有結合され得る。これらのオリゴヌクレオチドは、手動または自動合成により実施され得る、当該分野で認識される方法により、調製され得る。それらはまた、ベクターにより、組換え的に産生され得る。
しかし、好ましい実施形態において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドはまた、「改変された」オリゴヌクレオチドを含み得る。つまり、このオリゴヌクレオチドは、これらが、これらの標的にハイブリダイズすることを妨げないが、それらの安定性または標的化を増強するか、またはその他に、それらの治療的有効性を増強する多数の方法で改変され得る。
本明細書中で使用されるような、用語「改変されたオリゴヌクレオチド」は、(1)そのヌクレオチドの少なくとも2つが、合成ヌクレオシド内連結(すなわち、1つのヌクレオチドの5’末端と別のヌクレオチドの3’末端との間のホスホジエステル連結以外の連結)を介して共有結合され、そして/または(2)核酸と通常会合しない化学基が、このオリゴヌクレオチドに共有結合されたオリゴヌクレオチドを記載する。好ましい合成ヌクレオシド内連結は、ホスホロチオエート、アルキルホスホネート、ホスホロジチオエート、ホスフェートエステル、アルキルホスホロチオエート(alkylphosphonothioate)、ホスホラミデート、カルバメート、カルボネート、ホスフェートトリエステル、アセトアミデート、カルボキシメチルエステルおよびペプチドである。
用語「改変されたオリゴヌクレオチド」はまた、共有結合的に、改変された塩基および/または糖を有するオリゴヌクレオチドを含む。例えば、改変されたオリゴヌクレオチドは、3’位置のヒドロキシル基以外および5’位置のリン酸基以外の低分子量有機基に共有結合される骨格糖を有するオリゴヌクレオチドを含む。従って、改変されたオリゴヌクレオチドが、2’−O−アルキル化リボース基を含み得る。さらに、改変されたオリゴヌクレオチドは、リボースの代わりに、アラビノースのような糖を含み得る。従って、本発明は、生理学的条件下で、薬学的に受容可能なキャリアと一緒に、カニクイザルのPGPポリペプチドをコードする核酸と相補的であり、そしてそれとハイブリダイズする改変されたアンチセンス分子を含む薬学的調製物を、企図する。
カニクイザルのPGPを結合する因子はまた、結合ペプチド、ならびにカニクイザルのPGPポリペプチドおよびカニクイザルのPGPポリペプチドを含む複合体に結合する他の分子を含む。この結合分子がインヒビターである場合、この分子は、カニクイザルのPGPに結合し、その活性を阻害する。カニクイザルのPGP結合因子が、カニクイザルのPGPに結合するか否かを決定するために、任意の公知の結合アッセイが使用され得る。例えば、この結合因子は、表面に固定され得、次いで標識されたカニクイザルのPGPポリペプチドと接触され得る。次いで、カニクイザルのPGP結合因子と相互作用するカニクイザルのPGPの量またはカニクイザルのPGP結合因子に結合しない量は、カニクイザルのPGP結合因子が、カニクイザルのPGPに結合するか否かを決定するために定量され得る。
カニクイザルのPGP結合因子は、カニクイザルのPGPポリペプチドに選択的または優先的に結合する多数のサイズおよび型の分子、ならびにカニクイザルのPGPポリペプチドおよびそれらの結合パートナーの両方の複合体を含む。これらの分子は、種々の供給源に由来し得る。例えば、カニクイザルのPGP結合因子は、固定された形態において、またはファージディスプレイライブラリーとして、溶液中で容易に調製され得る変性ペプチドライブラリーをスクリーニングすることにより提供され得る。1つ以上のアミノ酸を含むペプチドのコンビナトリアルライブラリーもまた、合成され得る。ペプチド合成部分および非ペプチド合成部分のライブラリーが、さらに合成され得る。
ファージディスプレイが、本発明にしたがった有用な結合ペプチドを同定することにおいて特に有効であり得る。簡潔には、ファージライブラリー(例えば、m13、fd、またはλファージを使用する)を調製し、従来の方法を使用して、4〜約80個のアミノ酸残基由来の挿入物をディスプレイする。この挿入物は、例えば、完全に変性したか、または偏ったアレイを示し得る。次いで、カニクイザルのPGPポリペプチドに結合するファージ保有挿入物を選択し得る。このプロセスは、カニクイザルのPGPポリペプチドに結合するファージの再選択のいくつかのサイクルを介して繰り返され得る。繰り返されるラウンドは、特定の配列を保有しているファージの富化に導く。DNA配列分析は、発現されたポリペプチドの配列を同定するために行われ得る。カニクイザルのPGPポリペプチドに結合する配列の最小の線形部分が、決定され得る。1つ以上のさらなる変性残基をその上流または下流に加えた最小の線形部分の一部または全てを含む挿入物を含む偏ったライブラリーを使用して、この手順を繰り返し得る。酵母ツーハイブリッドスクリーニング法はまた、カニクイザルのPGPポリペプチドに結合するポリペプチドを同定するために使用され得る。従って、本発明のカニクイザルのPGPポリペプチドまたはそのフラグメントが、ペプチドライブラリー(ファージディスプレイライブラリーを含む)をスクリーニングするために、本発明のカニクイザルのPGPポリペプチドのペプチド結合パートナーを同定かつ選択するために、使用され得る。このような分子は、記載されるように、スクリーニングアッセイのために、精製プロトコールのために、カニクイザルのPGPの機能と直接干渉するために、および当業者に明らかである他の目的のために使用され得る。
従って、本発明は、一般的に、薬理学的因子または異常なPGP活性と関連する状態の処置に有用である因子についてのリード化合物ならびにそこで同定される化合物および因子を同定する有効な方法を提供する。一般的に、スクリーニング方法は、カニクイザルのPGPを介した分子の輸送を阻害または増強する化合物についてのアッセイを包含する。このような方法は、化合物の、自動化されたハイスループットスクリーニングに適合される。このような方法の例は、米国特許第5,429,921号において記載される。
薬理学的因子についての種々のアッセイが、提供され、これには、標識されたインビトロタンパク質結合アッセイ、検出可能な分子を使用した流出アッセイなどが含まれる。例えば、タンパク質結合スクリーニングが、カニクイザルのPGPへの候補薬理学的因子の結合を迅速に調べるために使用される。この候補薬理学的因子は、例えば、コンビナトリアルペプチドライブラリーに由来し得る。このようなアッセイのための従来の試薬は、当該分野で公知である。流出の例示的細胞ベースアッセイは、検出可能に標識された分子の流出が生じ得る条件下で、候補薬理学的因子と、カニクイザルのPGPを有する細胞とを接触することを含む。特定の条件は、当該分野で周知であり、そして例えば、Sharomら、Biochem.Pharmacol.58:571−586、1999およびそこで引用される参考文献に記載される。候補薬理学的因子の存在における流出の低減は、この候補薬理学的因子が、カニクイザルのPGPの流出活性を低減することを示す。候補薬理学的因子の存在における流出の増加は、候補薬理学的因子が、カニクイザルのPGPの流出活性を増大することを示す。
本発明の方法において使用されるカニクイザルのPGPは、単離されたポリペプチドとして(ここで候補薬理学的因子の結合が、測定されるべきである)、またはカニクイザルのPGPポリペプチドを含む細胞または他の膜で包囲された空間として、アッセイ混合物に添加され得る。後者のアッセイ構成において、細胞または他の膜で包囲された空間は、予め装填されるポリペプチドとして、または核酸としてカニクイザルのPGPを含み得る(例えば、カニクイザルのPGPを含む発現ベクターでトランスフェクトされた細胞)。本明細書中に記載されたアッセイにおいて、カニクイザルのPGPポリペプチドが、組換え的に産生され得るか、または生物学的抽出物から単離され得るが、好ましくは、インビトロで合成される。カニクイザルのPGPポリペプチドは、別のポリペプチド(例えば、タンパク質−タンパク質結合を提供もしくは増強するか、またはアッセイ条件下で、カニクイザルのPGPポリペプチドの安定性を増強することが可能なポリペプチド)との、カニクイザルのPGPポリペプチドの融合物を含むキメラタンパク質を含む。カニクイザルのPGPポリペプチドに融合されたポリペプチドまたはそのフラグメントはまた、例えば、免疫学的認識によるか、または蛍光標識により、融合タンパク質を容易に検出する手段を提供し得る。
アッセイ混合物はまた、候補薬理学的因子を含む。代表的には、複数のアッセイ混合物が、種々の濃度に対して異なる応答を得るために、異なる因子の濃度と平行して行われる。代表的に、これらの濃度の1つは、ネガティブコントロール(すなわち、因子のゼロ濃度で、または、アッセイ検出の限度以下の因子の濃度で)として働く。候補因子は、多数の化学クラスを含むが、代表的に、それらは有機化合物である。好ましくは、候補薬理学的因子は、小さい有機化合物であり、すなわち、それらは、50より大きいが、約2500未満の分子量を有する化合物)である。候補因子は、ポリペプチドと構造的な相互作用に必要である官能基の化学基を含み、そして代表的には、少なくとも1つのアミン基、カルボニル基、ヒドロキシル基またはカルボキシル基、好ましくは少なくとも2つの官能基の化学基およびより好ましくは少なくとも3つの官能基の化学基を含む。この候補因子は、1つ以上の上記同定された官能基で置換された環状炭素または複素環式構造および/または芳香族構造もしくは多芳香族構造を含み得る。候補因子はまた、生体分子(例えば、ペプチド、サッカリド、脂肪酸、ステロール、イソプレノイド、プリン、ピリミジン、上記の誘導体もしくは構造的アナログ、またはそれらの組み合わせなど)であり得る。この因子が核酸である場合、この因子は、代表的にはDNAまたはRNA分子であるが、非天然結合またはサブユニットを有する改変された核酸もまた、企図される。
候補因子は、合成化合物または天然化合物のライブラリーを含む広範な種々の供給源から得られる。例えば、多数の手段が、広範な種々の有機化合物および生体分子の無作為および指向された合成に利用可能であり、これは、無作為化されたオリゴヌクレオチドの発現、合成有機コンビナトリアルライブラリー、無作為ペプチドのファージディスプレイライブラリーなどを含む。あるいは、細菌抽出物、真菌抽出物、植物抽出物および動物抽出物の形態における天然の化合物のライブラリーが、利用可能であるかまたは容易に産生される。さらに、天然にそして合成的に産生されるライブラリーおよび化合物が、従来の化学的手段、物理学的手段、および生化学的手段を通じて容易に改変され得る。さらに、既知の薬理学的因子は、指向されるかまたは無作為の化学的改変(例えば、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化(amidification)などに供され、その因子の構造的アナログを産生し得る。
従って、候補因子の供給源は、公知のP−糖タンパク質インヒビターに基づいた分子のライブラリーであり、ここで、このインヒビターの供給源は、より多くもしくはより少ない化学的部分または異なった化学的部分を保有するように、分子の1以上の位置において変化している。アナログインヒビターのライブラリーを作成する際に分子を作製するために行なわれる構造的変化は、方向付けられるか、無作為であるか、あるいは、方向付けられるかまたは無作為の組み合わせの置換であり得るかそして/または付加であり得る。組換えライブラリーの調製の当業者は、既存のP−糖タンパク質インヒビターに基づいたこのようなライブラリーを容易に調製する。
種々の他の試薬はまた、混合物中に含まれ得る。これらとしては、塩、緩衝液、中性タンパク質(例えば、アルブミン)、界面活性剤などの試薬が挙げられ、これらは、最適なタンパク質−タンパク質および/またはタンパク質−核酸結合を容易にするために使用され得る。このような試薬はまた、反応物成分の非特異的またはバックグラウンドの相互作用を低減し得る。プロテアーゼインヒビター、ヌクレアーゼインヒビター、抗微生物剤などのようなアッセイの効率を改善する他の試薬もまた使用され得る。
前述のアッセイ材料の混合物は、候補薬学的因子の存在を除き、カニクイザルPGPが、薬物としての化合物の制御量の流出を媒介する条件下でインキュベートされる。候補薬学的因子のカニクイザルPGPへの結合を決定するために、混合物を結合を可能にする条件下でインキュベートする。成分の添加の順序、インキュベーション温度、インキュベーションの時間、およびアッセイの他のパラメーターは、容易に決定され得る。このような実験法は単にアッセイパラメーターの最適化を含むのではなく、アッセイの基本的な組成物をも含む。インキュベーション温度は、代表的には、約4℃と40℃の間である。インキュベーション時間は、好ましくは、迅速な高度なスループットスクリーニングを容易にするために最小化され、そして代表的には、1分と10時間との間である。
インキュベーション後、流出のレベル、またはカニクイザルPGPポリペプチドと候補薬学的因子との間の特異的な結合のレベルを、使用者に利用可能な任意の簡便な方法によって検出する。細胞遊離結合型アッセイについて、分離段階はしばしば、非結合成分から結合成分を分離するために使用される。この分離段階は、種々の方法によって達成され得る。簡便には、少なくとも1つの成分が固体基板上に固定され、そこから非結合成分は簡単に分離され得る。固体基板は、広範な種々の材料から作製され得、そして広範な種々の形状(例えば、マイクロタイタープレート、マイクロビーズ、ディップスティック、ビーズ粒子など)であり得る。この基板は、好ましくは、ノイズに対するシグナル率を最大にするために、主にバックグラウンド結合を最小化するため、ならびに、分離の緩和および費用のために選択される。
分離は、例えば、リザーバからビーズまたはディップスティックを除去することによって、マイクロタイタープレートウェルなどのリザーバを空にするかもしくは希釈することによって、ビーズ、粒子、クロマトグラフィーカラムをリンスすることによって、または洗浄溶液または溶媒を使用してろ過することによって、影響され得る。分離段階は、好ましくは、多数のリンスまたは洗浄を含む。例えば、固体支持体がマイクロタイタープレートである場合、ウェルは洗浄溶液を使用して数回洗浄され得、この洗浄溶液は、代表的には、塩、緩衝液、界面活性剤、非特異的タンパク質などの特定の結合において沈殿しないインキュベーション混合物のこれらの成分を含む。固体基板が磁性ビーズである場合、このビーズは、洗浄液を使用して1回以上洗浄され得、そして磁石を使用して単離され得る。
膜貫通輸送アッセイなどの細胞ベースのアッセイのための任意の簡便な方法において、検出は影響され得る。直接的または間接的に検出可能な産物(例えば、カルセイン(calcein)AMまたはローダミン123のような蛍光性分子)の輸送が好ましい。細胞遊離結合アッセイについて、成分の1つは、通常、検出可能な標識を含むかまたはこれに結合される。直接的検出(例えば、放射性活性、ルミネセンス、光学または電子密度など)または間接的検出(例えば、FLAGエピトープなどのエピトープタグ、西洋ワサビペルオキシダーゼなどの酵素タグなど)を提供するような広範な種々の標識が使用され得る。この標識は、カニクイザルPGPポリペプチドまたは候補薬学的因子に結合し得る。
種々の方法が標識を検出するために使用され得、標識の性質および他のアッセイ成分に依存する。例えば、固体基板に結合される間かまたは固体基板から続いて分離される間、標識は検出され得る。標識は、光学密度または電子密度、放射性排出物、非放射性エネルギー伝達などを介して直接的に検出され得るかまたは抗体結合体、ストレプトアビジン結合体などを使用して間切的に検出され得る。これらの標識を検出する方法は、当該分野で周知である。
カニクイザルPGP結合因子はまた、抗体であり得るかまたは機能的に活性な抗体フラグメントである。抗体は、免疫学の科学の当業者にとって周知である。本明細書で使用される場合、用語「抗体」は、インタクトな抗体分子だけではなく、カニクイザルPGP結合能力を保持する抗体分子のフラグメントも意味する。このようなフラグメントはまた、当該分野で周知であり、インビトロおよびインビボの両方において調節的に使用される。特に、本明細書中で使用される場合、用語「抗体」は、インタクトな免疫グロブリン分子だけでなく、周知の活性フラグメントF(ab’)2、およびFabをも意味する。インタクトな抗体のFcフラグメントを欠くF(ab’)2およびFabフラグメントは、循環からより迅速にクリアーし、そして、インタクトな抗体のより非特異的でない組織結合を有し得る(Wahlら、J.Nucl.Med.24:316−325(1983))。
モノクローナル抗体は、免疫原としてカニクイザルPGPまたはそのフラグメントを利用して当該分野で公知の任意の方法を使用して作成され得る。あるいは、抗体は、カニクイザルPGP活性を阻害するカニクイザルPGPに特異的なポリクローナル抗体であり得る。ポリクローナル抗体の調製および使用はまた、当業者に公知である。
当該分野で公知のように、抗体分子のごく一部;パラトープが、そのエピトープに対する抗体の結合に有意に関与している(一般的には、Clark,W.R.(1986)The Experimental Foundations of Medern Immunology Wiley&Sons,Inc.,New York;Roitt,I.(1991)Essential Immunology,第7版、Blackwell Scientific Publications,Oxfordを参照のこと)。pFc’およびFc領域は、例えば、相補体カスケードのエフェクターであるが、抗原結合に関与していない。pFc’領域が酵素学的に切断されているかまたはpFc’領域なしで産生された抗体、F(ab’)2フラグメントと命名される、は、インタクトな抗体の抗原結合部位の両方を保持する。同様に、Fc領域が酵素学的に切断されたかまたはFc領域なしで産生された抗体、Fabフラグメントと命名される、は、インタクトな抗体分子の抗原結合部位の1つを保持する。さらに進むと、Fabフラグメントは、共有結合した抗体軽鎖およびFdと示される抗体重鎖の一部からなる。Fdフラグメントは、抗体特異性の主要な決定因子であり(単一のFdフラグメントは、抗体特異性を変更することなく10までの異なった軽鎖と関連し得る)そしてFdフラグメントは単離の際、エピトープ結合能力を保持する。
抗体の抗原結合部位内には、当該分野で周知のように、相補性決定領域(CDR)が存在し、これは、抗原のエピトープおよび枠組み領域(FR)と直接的に相互作用し、この枠組み領域は、パラトープの三次構造を維持する(一般的には、Clark,1986;Roitt,1991を参照のこと)。IgG免疫グロブリンの重鎖Fdフラグメントおよび軽鎖の両方において、3つの相補性決定領域(CDR1からCDR3)によってそれぞれ分離された4つの枠組み領域が存在する(FR1からFR4)。CDR、特にCDR3領域、より特定には重鎖CDR3が、抗体特異性について責任がある。
一般的には、インタクトな抗体は、「Fc」および「Fab」領域を含むといわれている。このFc領域は、相補体活性化に関与しており、そして、抗原結合に関与していない。Fc’領域が酵素学的に切断されたかまたはFc’領域なしで産生された抗体、「F(ab’)2」として命名される、は、インタクトな抗体の抗原結合部位の両方を保持する。同様に、Fc領域が酵素学的に切断されたかまたはFc領域なしで産生された抗体、「Fab’」フラグメントとして命名される、は、インタクトな抗体の抗原結合部位の1つを保持する。Fab’フラグメントは、共有結合した抗体軽鎖および抗体重鎖の一部からなり、「Fd」と示される。Fdフラグメントは、抗体特異性の主要な決定因子である(単一のFdフラグメントは、抗体特異性を変更することなく10までの異なった軽鎖と関連し得る)。単離されたFdフラグメントは、抗原エピトープに特異的に結合する能力を保持する。
上記に提供されたアッセイにおいて本発明に従って有用であると同定された抗カニクイザルPGPモノクローナル抗体の抗原結合Fab’部分、ならびに関連したFRおよびCDR領域の配列は、当該分野で慣例的なアミノ酸配列決定方法を使用して決定され得る。哺乳動物抗体の非CDR領域は、元の抗体のエピトープ特異性を保持する限り、非特異的または異種特異的抗体の対応する領域と置換され得ることが確立されている。非ヒトCDRがヒトFRおよび/またはFc/pFc’領域に共有結合され機能的な抗体を産生する「ヒト化」抗体の開発および使用のために、この技術は有用である。カニクイザルPGP活性を阻害する非ヒト動物(例えば、マウス)抗体が同定される場合、抗体をヒト化する技術は特に有用である。これらの非ヒト化動物抗体は、本発明に従う方法において、ヒト被験体の処置における使用のためにヒト化され得る。マウス抗体をヒト化するための方法の例は、米国特許第4,816,567号、同5,225,539号、同5,585,089号、同5,693,762号および同5,859,205号において提供される。他の抗体(抗原結合能力を有するインタクトな抗体のフラグメントを含む)は、しばしば、「キメラ」抗体としていわれる。
従って、当業者に明らかなように、本発明はまた、抗カニクイザルPGPモノクローナル抗体のF(ab’)2、およびFabフラグメント;抗カニクイザルPGP抗体のFcおよび/またはFRおよび/またはCDR1および/またはCDR2および/または軽鎖CDR3領域が相同なヒトまたは非ヒト配列によって置換されたキメラ抗体;抗カニクイザルPGP抗体のFRおよび/またはCDR1および/またはCDR2および/または軽鎖CDR3領域が、相同なヒトまたは非ヒト配列によって置換されたキメラF(ab’)2フラグメント;ならびにFRおよび/またはCDR1および/またはCDR2および/または軽鎖CDR3領域が相同なヒトまたは非ヒト配列によって置換されたキメラFabフラグメント抗体を提供する。
本発明に従って、カニクイザルPGPインヒビターはまた、配列番号2または4由来の「ドミナントネガティブな」ポリペプチドを含む。ドミナントネガティブなポリペプチドは、細胞性機構と相互作用することにより、活性ポリペプチドが細胞性機構と相互作用することを妨げるかまたは活性ポリペプチドと競合する、ポリペプチドの不活性な改変体であり、これによって、活性ポリペプチドの効果を減少する。例えば、リガンドと結合するが、リガンドの結合に応答してシグナルを伝達しないドミナントネガティブなレセプターは、リガンド発現の生物学的効果を減少し得る。
本発明のドミナントネガティブなカニクイザルPGPポリペプチドの細胞中における発現の最終結果は、分子輸送のようなPGP活性の減少である。当業者は、1つ以上のドミナントネガティブな改変体ポリペプチドを作製する標準的な変異誘発技術を使用して、カニクイザルPGPポリペプチドのドミナントネガティブ改変体の能力を評価し得る。例えば、カニクイザルPGPポリペプチドの本明細書中に含まれる教示を考えれば、当業者は、部位特異的変異誘発、走査変異誘発、部分的な遺伝子欠損または短縮などによって、カニクイザルPGPポリペプチドの配列を改変し得る。例えば、米国特許第5,580,723号およびSambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring
Harbor Laboratory Press,1989を参照のこと。次いで、当業者は、変異誘発されたポリペプチドの集団を、カニクイザルPGP活性における減少および/またはこのような活性の保持について試験し得る。カニクイザルPGPポリペプチドのドミナントネガティブな改変体を作製および試験するための方法は、当業者に明らかである。
本発明の組成物の各々は、種々の治療目的または非治療目的に有用である。例えば、本発明のカニクイザルPGP核酸は、オリゴヌクレオチドプローブとして有用である。このようなオリゴヌクレオチドプローブは、同一または実質的に類似の核酸配列を有するゲノムライブラリークローンまたはcDNAライブラリークローンを同定するために、本明細書中で使用される。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で所望の配列にハイブリダイズし得る、適切なオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドのセット、そのようなオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドのセットの改変体もしくはそのフラグメントあるいはアンチセンス相補体は、当該分野で周知の手段によって合成され得(例えば、Synthesis and Application of DNA and
RNA,S.A.Narang編、1987、Academic Press,San Diego,CAを参照のこと)、そして当該分野で公知の技術によって、その所望の配列、その改変体またはフラグメントを同定および単離するためのプローブとして使用され得る。核酸ハイブリダイゼーションおよびクローン同定の技術は、Sambrookら、Molecular Cloning、A
Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press,Plainview、NY(1989)に開示される。所望の核酸配列、あるいはその改変体またはフラグメントの検出を容易にするために(クローニング目的または配列の存在の単なる検出のいずれの目的に関わらず)、上記のプローブは、検出可能な基で標識され得る。このような検出可能な基は、検出可能な物理的または化学的特性を有する任意の物質であり得る。このような物質は、核酸ハイブリダイゼーションの分野で良く開発されており、一般に、このような方法において有用な多くの標識が、本発明に適用され得る。特に有用なのは、放射性標識である。十分なシグナルを提供しそして十分な半減期を有する任意の放射性標識が、使用され得る。一本鎖の場合、オリゴヌクレオチドは、キナーゼ反応を使用して放射性標識され得る。あるいは、オリゴヌクレオチドはまた、ビオチン、酵素または蛍光基のような非放射性マーカーで標識された場合にも、核酸ハイブリダイゼーションプローブとして有用である。例えば、Leary,J.J.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)80:4045(1983);Renz,M.ら、Nucl.Acids Res.12:3435(1984);およびRenz,M.EMBO J.6:817(1983)を参照のこと。
さらに、カニクイザルPGP核酸の相補体が、アンチセンスオリゴヌクレオチドとして有用であり得る。例えば、これは、カニクイザルPGP「ノックアウト」表現型を誘導するために、このアンチセンスオリゴヌクレオチドを動物に送達することによる。遺伝子発現をブロックするためのアンチセンスRNAプローブの投与は、Lichtenstein,C.,Nature 333:801−802(1988)に議論される。
あるいは、本発明のカニクイザルPGP核酸は、非ヒトトランスジェニック動物を作製するために使用され得る。「トランスジェニック動物」は、細胞内に人工的に挿入されたDNAを含む細胞を有する動物であり、DNAは、その細胞から発生する動物のゲノムの一部となる。好ましいトランスジェニック動物は、霊長類、マウス、ラット、ウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、イヌおよびネコである。トランスジェニック実験に適切な動物は、Charles River(Wlimington,MA)、Taconic(Germantown,NY)、Harlan Sprague Dawley(Indianapolis,IN)などの標準的な商業的供給源から入手され得る。特定の疾患に関連する特定の特性を有するトランスジェニック動物は、それらの疾患に対する種々の薬物および処置方法の影響を研究するために使用され得、従って、多くのヒト疾患の研究の遺伝モデルとして機能し得る。従って、本発明は、細胞膜を通過する分子の輸送に関与する障害の研究のためのモデルとしての、カニクイザルPGPノックアウト動物およびトランスジェニック動物の使用を意図する。当業者に公知の種々の方法が、本発明に関連するトランスジェニック動物の作製に利用可能である。
内因性PGP/MDR1の不活性化または置換は、胚性幹細胞を使用する相同組換え系によって達成され得る。PGP-/-ノックアウト表現型を有する、得られたトランスジェニック非ヒト哺乳動物は、カニクイザルPGPについてトランスジェニックにされ得、そしてカニクイザルPGPのモジュレーター(アゴニストまたはアンタゴニスト/インヒビター)としての化合物のスクリーニングのモデルとして使用され得る。この様式で、このような治療薬物が同定され得る。
さらに、カニクイザルPGPの正常または変異体バージョンを生殖系列に挿入し、カニクイザルPGPの正常または変異体形態を構成的または誘導的に発現するトランスジェニック動物を作製し得る。これらの動物は、細胞におけるカニクイザルPGPの役割および機能を規定するための研究において有用である。
本発明の組成物はまた、治療目的に有用である。従って、本発明は、哺乳動物細胞においてカニクイザルPGP活性を阻害するための方法を包含する。本発明はさらに、細胞におけるカニクイザルPGP活性を減少または増加するための方法を提供する。1つの実施形態において、この方法は、哺乳動物細胞に、その哺乳動物細胞の分子輸送を阻害するのに有効な量のカニクイザルPGPの核酸またはポリペプチドを接触させる工程を包含する。このような方法は、例えば、薬物耐性および薬物バイオアベイラビリティの減少に関与する機構を解明する目的のために、インビトロで有用である。
本発明はまた、細胞または被験体においてPGP発現を増加するための方法を包含する。カニクイザルPGPの量は、細胞または被験体における膜貫通輸送を増加するのに有効な量の本発明のPGP核酸またはPGPポリペプチドを、細胞に接触させるかまたは被験体に投与することによって、このような細胞または被験体において増加され得る。PGP活性の増加は、本明細書中に記載のアッセイ(例えば、膜貫通輸送のアッセイ)によって測定され得る。
本発明の調製物は、有効量で投与され得る。有効量とは、単独でかまたはさらなる用量と共に、所望の応答を生成する薬学的調製物の量である。もちろん、このような量は、処置される特定の状態、その状態の重篤度、個々の患者のパラメーター(年齢、身体的条件、サイズおよび体重を含む)、処置の継続時間、併用治療(もしあれば)の特性、特定の投与経路、およびこのような医療従事者の知識および技術内の因子に依存する。最大用量(すなわち、正確な医学的判断に従う、最も高い安全用量)が使用されることが、一般的に好ましい。しかし、患者が、医学的理由、心理学的理由または実質的に任意の他の理由のために、より低用量または許容可能な用量を要求し得ることは、当業者に理解される。
一般に、活性化合物の用量は、約0.01mg/kg/日〜1000mg/kg/日である。50〜500mg/kgの範囲の用量が適切であり、そして1日あたり1回または数回で投与される。より低い用量は、他の投与形態(例えば、静脈内投与)から生じる。被験体における応答が適用した初回用量で不十分である場合には、より高い用量(すなわち、異なるより局在化した送達経路による、効果的なより高い用量)が、患者の耐性が許容する程度に使用され得る。1日あたり複数回の用量が、適切な全身の化合物レベルを達成するために意図されるが、化合物が、徐放性医薬または持続放出医薬として調製される場合には、より少数回の用量が与えられる。
投与される場合、本発明の薬学的調製物は、薬学的に受容可能な量でかつ薬学的に受容可能な組成物において適用され得る。このような調製物は、塩、緩衝化剤、保存剤、適合性のキャリア、および必要に応じて他の治療剤を、慣用的に含み得る。医薬において使用される場合、塩は、薬学的に受容可能であるが、薬学的に受容可能でない塩が、その薬学的に受容可能な塩を調製するために都合よく使用され、そして本発明の範囲から排除されない。このような薬理学的かつ薬学的に受容可能な塩としては、以下の酸から調製される塩が挙げられるが、これらに限定されない:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸など。また、薬学的に受容可能な塩は、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩またはカルシウム塩)として調製され得る。
本発明に従う有用なカニクイザルPGPインヒビターまたはカニクイザルPGPの核酸およびポリペプチドは、必要に応じて、薬学的に受容可能なキャリアと合わせられ得る。本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に受容可能なキャリア」とは、ヒトへの投与に適切な、1以上の適合性の固体充填剤または液体充填剤、希釈剤あるいは包囲物質を意味する。用語「キャリア」とは、適用を容易にするために活性成分と合わせられる、有機成分または無機成分(天然性または合成性)を示す。薬学的組成物の成分は、所望の薬学的効力を実質的に損なう相互作用が存在しない様式で、本発明の分子と、および互いに、混合され得る。
薬学的組成物は、適切な緩衝化剤を含み得、これらとしては、酢酸(塩);塩クエン酸(塩);およびリン酸(塩)が挙げられる。
薬学的組成物はまた、必要に応じて、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、パラベンおよびチメロサールのような、適切な保存剤を含み得る。
種々の投与経路が利用可能である。もちろん、選択される特定の様式は、選択される特定の化合物、処置される状態の重篤度、および治療効力に必要とされる投薬に依存する。一般的に言うと、本発明の方法は、医学的に受容可能な任意の投与様式を使用して行われ、この様式は、臨床的に受容可能でない有害な効果を引き起こすことなく効果的なレベルの活性化合物を生成する任意の様式を意味する。このような投与様式としては、経口経路、直腸経路、局所経路、鼻内経路、経皮(interdermal)経路または非経口経路が挙げられる。用語「非経口」とは、皮下、静脈内、髄腔内、筋内または注入が挙げられる。静脈内経路または筋内経路が、特にではないが、長期の治療および予防に適切である。
薬学的組成物は、単位投薬形態で都合よく存在し得、そして薬学分野で周知の任意の方法によって調製され得る。全ての方法は、活性因子を、1以上の補助的成分を構成するキャリアと会合させる工程を包含する。一般に、組成物は、活性化合物を、液体キャリア、細粒固体キャリアまたは両方と、均一かつ密接に会合させ、次いで、必要に応じて、生成物を形付けることによって調製される。
経口投与に適切な組成物は、個別の単位(例えば、カプセル剤、錠剤、ロゼンジ)として存在して、これらは各々、所定の量の活性化合物を含む。他の組成物としては、水性の液体または非水性の液体(例えば、シロップ、エリキシルまたはエマルジョン)中の懸濁液が挙げられる。
非経口投与に適切な組成物は、都合よくは、カニクイザルPGPインヒビターまたはカニクイザルPGPの核酸およびポリペプチドの滅菌水性調製物を含み、この調製物は、好ましくは、レシピエントの血液と等張性である。この水性調製物は、適切な分散剤または湿潤剤、および懸濁剤を使用して、公知の方法に従って処方され得る。滅菌注射用調製物はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒中の滅菌の注射可能な溶液または懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液)であり得る。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒としては、とりわけ、水、リンゲル溶液、および等張性の塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌の不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として都合よく使用される。この目的のために、任意の無菌の(bland)不揮発性油が使用され、これには、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドが挙げられる。さらに、オレイン酸のような脂肪酸が、注射剤の調製物に使用され得る。経口投与、皮下投与、静脈内投与、髄腔内投与、筋内投与などに適切なキャリア処方物は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack
Publishing Co.,Easton,Paに見い出され得る。
他の送達系としては、時限放出(time−release)、遅延放出(delayed release)または持続放出(sustained release)送達系(例えば、上記で議論される生物学的/化学的ベクター)が挙げられ得る。このような系は、活性化合物の繰り返しの投与を回避し得、これが、被験体および主治医に対する簡便性を増加する。多くの型の放出送達系が利用可能であり、当業者に公知である。長期持続放出移植片の使用が所望され得る。本明細書中で使用される長期放出とは、その移植片が、少なくとも30日間、そして好ましくは60日間、治療レベルの活性成分を送達するように構築および配置されることを意味する。長記持続放出移植片は、当業者に周知であり、そしてこれらには、上記の放出系のいくらかが含まれる。
本発明は、以下の実施例を参照してより完全に理解される。しかし、これらの実施例は、本発明の実施形態を例示するために単に意図され、本発明の範囲を限定すると解釈されない。
(実施例)
(実施例1:カニクイザルP−糖タンパク質の単離)
cDNAライブラリーを、標準的なプロトコールに従って、カニクイザル(Macaca fascicularis)mRNAを使用して調製した。ヒトP−糖タンパク質DNAプローブを用いて、P−糖タンパク質クローンについて、このライブラリーをスクリーニングした。クローンを、標準的な手順に従って、単離し、精製し、そして配列決定した。
(ライブラリーの調製)
カニクイザル肝臓由来のカスタムλZAP II cDNAライブラリーは、Stratageneによって調製された。このテンプレートを用いて、クローン72/73および79/77 1500を得た。
サルが、ヒトPGPに対して実質的な相同性を示すと予期して、初回プライマーを、ヒトPGP(Genbank登録番号M14758)から設計した。プライマーはまた、λZAP IIベクター配列に基づいた。後期のプライマーを、サル配列またはサル/ヒト配列の組み合わせに基づいて設計した。使用されたすべてのプライマーを以下に列挙する。
Figure 2012065671
すべてのPCR反応を、Perkin Elmer 9700サーモサイクラーを使用して実施した。PCR産物を、アガロースゲルにおいて分析し、そして有望なバンドを、製造業者の指示に従ってQiaquick Gel Extraction Kit(Qiagen)を使用して精製した。これらのバンドを、pCR2.1中に連結し、そして製造業者の指示に従ってInvitrogenのTA Cloningプロトコールを使用してINVaFに形質転換した。白色コロニーを拾い、そして制限消化によって分析した。製造業者の指示に従ってPromega Wizard Plus Miniprep DNA Purification Systemを用いて、有望なクローンからDNAを調製し、そしてABI 377シークエンサーで配列決定した。
(クローン72/73)
プライマーps072およびps073を用いて、約1.8kbのフラグメントを、Klentaqを使用する38サイクルのPCR(94℃にて5分間;次いで、94℃にて30秒間、63℃にて45秒間、72℃にて60秒間の38サイクル;72℃にて7分間で終了)後に得た。これを、m13Fおよびm13Rプライマーを使用して配列決定した。さらなる配列決定プライマーであるps074およびps075を、得られた配列に基づいて設計した。これにより、ヒトPGP 1553〜3361に対応する、配列決定された合計約1.85kbが生じた。
(クローン79/77C1500)
プライマーps079およびps077を用いて、約1.5kbのフラグメントを、Klentaqを使用する38サイクルのPCR(94℃にて5分間;次いで、94℃にて30秒間、63℃にて45秒間、72℃にて60秒間の38サイクル;72℃にて7分間で終了)後に得た。これを、プライマーとしてm13Fおよびm13Rを使用して配列決定した。さらなる配列決定プライマーであるps080およびps081を、得られた配列に基づいて設計した。ヒトpgp
3102〜4525に対応する配列が得られた。この配列は、カニクイザルPGP cDNAについての停止コドンを含んだ。
(クローン70/78C)
ClontechからのNucleobond RNA Maxi kitを、製造業者に従って使用して、カニクイザル肝臓由来の総RNAを調製した。一本鎖cDNAをこのRNAから、製造業者の指示に従ってGIBCO BRL Life TechnologiesからのSuperscript Kitを使用して調製した。これを、クローン70/78Cについてのテンプレートとして使用した。プライマーps070およびps078を用いて、約1.0kbのフラグメントを肝臓cDNAから、Klentaqを使用する38サイクルのPCR(94℃にて5分間;次いで、94℃にて30秒間、65℃にて45秒間、72℃にて60秒間の38サイクル;72℃にて7分間で終了)後に得た。これを、プライマーとしてm13Fおよびm13Rを使用して配列決定した。ヒトpgpに対応する配列が得られた。この配列は、ヒトpgp 670〜1638に対応する。
(クローン88/U750)
ClontechからのNucleobond RNA Maxi kitを、製造業者の指示に従って使用して、カニクイザル肝臓由来の総RNAを調製した。ClontechからのSMART Race cDNA Amplification Kitを使用して、このRNAから第一鎖cDNAを調製した。このキットに提供されたUniversal Primerおよび遺伝子特異的プライマー(ps088)をこのテンプレートと共に、Advantage 2
Taqを使用する40サイクルのTouchdown PCR(94℃にて5分間:次いで、94℃にて30秒間、72℃にて120秒間、94℃にて30秒間の5サイクル;94℃にて30秒間、70℃にて45秒間、72℃にて120秒間の5サイクル;94℃にて30秒間、68℃にて45秒間、72℃にて120秒間の30サイクル;72℃にて7分間で終了)に用いた。750ヌクレオチドのフラグメントが得られ、m13Fおよびm13Rプライマーで配列決定された。これは、開始コドンを含むcDNAの5’末端を表した。これは、ヒト配列275〜775(ヒト配列についての開始コドンは、433位である)に対する良好な相同性を示した。
(完全cDNAのアセンブリ)
(クローンAB)
クローン88/U750を、NaeI/SacIで消化した。339ヌクレオチドのフラグメントを、ゲルにおいて単離し、そして製造業者の指示に従ってQiaquick Gel Extraction Kit(Qiagen)を使用して精製した。クローン70/78Cを、SacI/EcoRIで消化し、916ヌクレオチドのフラグメントを、ゲルにおいて単離し、そして製造業者の指示に従ってQiaquick Gel Extraction Kit(Qiagen)を使用して精製した。これらを、pUC19 SmaI/EcoRI/SAP中に一緒に連結した。
(クローンCD)
クローン72/73を、EcoRI/KpnIで消化した。1.6kbのフラグメントを、ゲルにおいて単離し、そして製造業者の指示に従ってQiaquick Gel Extraction Kit(Qiagen)を使用して精製した。クローン79/77C1500を、KpnI/DraIで消化した。1.1kbのフラグメントを、ゲルにおいて単離し、そして製造業者の指示に従ってQiaquick Gel Extraction Kit(Qiagen)を使用して精製した。これらを、pUC19 EcoRI/SmaI/SAP中に連結した。
(完全cDNA)
クローンABを、HincII/EcoRIで消化した。1.3kbのフラグメントを、ゲルにおいて単離し、そして製造業者の指示に従ってQiaquick Gel Extraction Kit(Qiagen)を使用して精製した。
クローンCDを、EcoRI/EheIで消化した。5.2kbのフラグメントを、ゲルにおいて単離し、そして製造業者の指示に従ってQiaquick Gel Extraction Kit(Qiagen)を使用して精製した。
これらを一緒に連結し、製造業者の指示に従ってSCS−1コンピテント細胞(Stratagene)中に形質転換した。有望なクローンを、制限消化によって同定した。最終的なクローンの正体を、配列決定によって確認した。
カニクイザルP−糖タンパク質のヌクレオチド配列を、配列番号1として表す。このコード配列は、ヌクレオチド100〜3940からなり、1280アミノ酸のポリペプチド(配列番号2)を生成する。
個々のカニクイザルのライブラリー由来のさらなるクローンの配列決定によって、cDNA中における予想外の9塩基対挿入物を含む多型性の存在が示された。この多型性は、同一個体のサル由来のゲノム配列中においても存在する。この多型性は、アミノ酸92の後ろに3つのアミノ酸の挿入を生じた。この対立遺伝子改変体のヌクレオチド配列を、配列番号3として表す。このコード配列は、ヌクレオチド100〜3949からなり、1283アミノ酸のポリペプチド(配列番号4)を生成する。プラスミドpUC19中にクローン化されたカニクイザルPGP cDNA(配列番号3)を、ATCCに寄託した(受託番号PTA−809)。
(実施例2:カニクイザルP−糖タンパク質の活性)
(材料および方法)
カニクイザルPGP cDNA(配列番号3)を、ハイグロマイシンBに対する耐性を付与するベクター中のLLC−PK1細胞のクローン化集団中に導入する。LLC−PK1細胞を、American Type Culture Collectionsから得て、そして7%胎仔ウシ血清を補充した培地199中で増殖した。LLC−PK1細胞を、トランスフェクション前に再クローン化して、細胞集団の均質性を確証する。簡潔には、カニクイザルPGP cDNAを、p222CMVベクター中に組み込む。このベクターは、エプスタインバーウイルスについてのOriP配列およびEBNA−1遺伝子産物に基づいたp220.2エピソームベクター系に由来する(Sugdenら、Mol.Cell
Biol.5:410−413、1985;Yatesら、Nature(Lond.)313:812−815、1985)。PGP cDNAを、サイトメガロウイルス(CMV)極初期プロモーターの制御下におく。このベクターは、ハイグロマイシンBに対する耐性を付与する。細胞(0.4mL中)およびDNA(10〜20μg)を、2mmギャップ(gap)細胞、100V、2500μFキャパシタンスおよび72ohm抵抗を使用して、BTX Electro cell manipulator model 600を用いるエレクトロポレーションによってトランスフェクトした。エレクトロポレーション後、細胞を、10%コンフルエンスでマルチウェルプレート(48ウェル、Corning Costar)にプレーティングした。トランスフェクションの1〜2日後、ハイグロマイシンBを、最終濃度400〜600μg/mlで導入する。細胞に、2〜4日おきに再給餌し、そして400〜600μg/mlハイグロマイシンB中で6〜8日間増殖させ、この時点で野生型細胞のバルクを剥離した。ハイグロマイシンBを、100μg/mlまで減少させ、そしてこの濃度のハイグロマイシンB中で維持する。14〜18日後、このウェルを検査し、そして単一コロニーを含むウェルをトリプシン処理し、そしてバルク培養物へとスケールアップする。PGPの発現を、TranswellsTM中のビンブラスチン(0.1uM)輸送の分極(polarization)によって測定する。
LLC−PK1細胞に基づく輸送研究を、24ウェルTranswellsTM(Corning Costar、カタログ番号3415)中で実施する。TranswellsTMを、側底側空間に0.6mL培地を添加し、そして頂端側空間に0.1mL培地を添加することによって調製する。細胞を、1挿入物あたり4×104細胞で播種し(代表的に0.05mL〜0.15mL中)、2〜4日おきに新鮮培地で再給餌し、そして播種後4〜8日目に輸送研究に使用する。輸送アッセイを、10mM HEPESで緩衝化したハンクス平衡生理食塩水(HBSS)中で実施する(pH7〜7.2)。細胞単層を、輸送アッセイにおいて使用する前に、HBSSでリンスする。輸送を、頂端側から側底側(A→B)および側底側から頂端側(B→A)の方向の両方の傾斜条件下で測定する。1回の決定につき、少なくとも二連の単層を使用する。所望される時点で、サンプルを、レシーバーチャンバー(頂端側チャンバーまたは側底側チャンバー)から回収する。輸送された化合物の量の定量は、UVまたは質量分析検出での液体シンチレーション計数(ビンブラスチン)またはHPLCによる。
カニクイザルPGP cDNAを、バキュロウイルスベクターを用いて、昆虫細胞中で発現させる。(Sarkadiら、J.Biol.Chem.267:4854−4858、1992)の方法に従って、膜を調製し、そして使用まで−80℃で保存する。ATPaseアッセイを、96ウェルマイクロタイタープレートにおいて実施する。アッセイを、(Sarkadiら、1992、およびDruekesら、Anal.Biochem.230:173−177、1995)の方法の改変版を使用して実施する。
96ウェルプレートの各ウェルについての詳細な方法は、以下を包含する:
50mM Tris−MES、2mM EGTA、50mM KCl、2mMジチオトレイトール、および5mMアジ化ナトリウムを含有する緩衝液中に40μg膜、20μMベラパミル(ポジティブコントロール)または試験薬物、および3〜5mM MgATPを含む0.06mlの反応混合物を、37℃で20分間インキュベートする。100μMオルトバナジン酸ナトリウムを含む最初の反応混合物を、並行してアッセイする。オルトバナジン酸塩は、ヌクレオチド結合部位にMgADPを補足することによって、PGPを阻害する。従って、オルトバナジン酸塩の存在下で測定されるATPase活性は、非PGP ATPase活性を表し、そしてオルトバナジン酸塩なしで生成された活性から差し引かれて、バナジン酸塩感受性ATPase活性を生成し得る。30μlの10%SDS+消泡剤Aの添加によって、反応を停止する。2つのさらなる反応混合物(オルトバナジン酸塩+および−)(しかし、MgATPを含まない)もまた調製し、そして他のものと共にインキュベートし、次いで、SDSおよびMgATPを補充して、時間=0分目の反応を表す。インキュベーションに次いで、15mM酢酸亜鉛:10%アスコルビン酸(1:4)中の35mMモリブデン酸アンモニウムを200μl添加し、そしてさらに20分間37℃にてインキュベートする。無機ホスフェートの遊離を、800nmでのその吸光度によって検出し、そしてホスフェートの検量線に対してこの吸光度を比較することによって、定量する。
リガンド結合アッセイおよび蛍光色素取り込みの阻害を測定するためのアッセイを、Sharomら(Biochem.Pharmacol.58:571−586、1999)によって記載されたように実施する。
(I.LLC−PK1細胞における安定なPGP発現)
カニクイザルPGPの機能的発現を、ビンブラスチンの輸送の分極によって測定する。コントロール細胞は、代表的に、1と3との間のB→A/A→B比を示す。PGPトランスフェクト細胞は、より高い比率を示す。cDNA由来のカニクイザルの発現は安定である。
(II.PGP膜におけるATPase活性の活性化)
ATPaseアッセイの刺激によって、薬物とPGPとの任意の相互作用の濃度依存性の迅速な測定が提供される。遊離の無機ホスフェートを、マイクロタイタープレート形式で実施される単純な分光光度学的アッセイによって測定する。複数の薬物濃度を試験することによって、PGPに対する薬物の親和性を推定すること、およびその応答の飽和が観察されたか否かを推定することが可能となる。
(III.細胞単層を横断する薬物輸送)
ATPaseアッセイは、直接的には、薬物輸送を測定しない。ATPase活性と実際の輸送との間の一致を試験するために、薬物の輸送速度を、コントロールLLC−PK1およびカニクイザルPGP細胞単層において測定する。各薬物濃度について、4つの測定をなす:
A:A→B コントロール細胞
B:B→A コントロール細胞
C:A→B PGP細胞
D:B→A PGP細胞。
輸送の分極を、コントロール細胞(B/A)およびPGP細胞(D/C)において算出する。PGPの内因的活性(IA)を、コントロール細胞と比較してPGP細胞中でPGPがB→A輸送を容易にした量(D−B)と、コントロール細胞と比較してPGP細胞中でPGPがA→B輸送を妨害した量(A−C)との合計として算出する。PGPの内因的クリアランスを、非飽和条件下の線のスロープを算出することか、または飽和が観察された場合に算出された見かけ上のKmおよびVmax値からのいずれかによって、濃度依存性データのプロットから算出する。内因的クリアランスを、mL/m2/分として表す。
ATPaseデータは、有用な濃度応答データを表す。例えば、いくつかの化合物についての見かけ上のKm値は、ATPaseと輸送系との間で良好な一致する。しかし、他の薬物はATPase活性を活性化するが、PGPによる輸送は検出可能ではない。少なくとも、ATPaseアッセイは、下回るとPGPによる輸送に対する応答が薬物濃度に対して線形となる濃度範囲を同定し得る。これは、PGPの内因的クリアランスを測定するための実験設計の単純化を可能にし、これは、大量の化合物を試験する場合に重要な考慮事項となる。
(IV.バイオアベイラビリティ)
バイオアベイラビリティ研究を、2つ以上の異なるPGP型を用いる上記アッセイの1つ以上を実施することによって行う。異なるPGP型は、異なる種(例えば、イヌおよびヒト、カニクイザルおよびヒト、イヌおよびカニクイザルなど)により得るか、または同一種の異なる対立遺伝子であり得る。これらのアッセイの結果を比較して、異なる種の個体または異なるPGP対立遺伝子を発現する個体における薬物のバイオアベイラビリティを決定または測定する。1つの決定の結果はまた、過去の(historical)コントロールとして、例えば、ATPaseまたは輸送に関して以前に決定された値に対して比較され得る。
前述の特許、特許出願、および参考文献の各々がここに、本明細書中で参考として援用される。本発明を、特定の実施形態に関して記載してきたが、多くの改変および変更が、本発明の意図から逸脱することなく当業者によってなされ得ることが理解されるべきである。このような改変、変更、および等価物は、以下の特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。
(配列表)
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  1. 明細書に記載の発明。
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