JP2005502579A - 新生血管形成に関連する状態を処置するための方法および組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明はまた、有効量のゴシポールまたはその薬学的に受容可能な塩、誘導体もしくはプロドラッグを、細胞または組織に送達することによる、組織における新生血管形成を阻害する方法を提供する。本明細書において、有効量のゴシポールまたはその薬学的に受容可能な塩、誘導体もしくはプロドラッグを、被験体に投与することによる、内皮細胞の過剰増殖(hyproliferation)および/または新生血管形成に関連する疾患を処置するための方法がまた提供される。患者を処置するためのキットも同様に提供される。
Description
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、米国仮出願60/255,876(2000年12月15日出願)(その内容は、本明細書によって本開示の中に参考として援用される)の35U.S.C.第119(e)の下での利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、薬学分野の発明である。詳細には、本発明は、疾患を予防および処置するための抗脈管形成医薬の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
新脈管形成は、新規脈管構造が既に存在する毛細血管からの成長によって生じるプロセスである。このプロセスにおいて、内皮細胞は、基底膜の支持がタンパク質分解酵素によって分解されるときに、この基底膜からはがされる。次いでこれらの細胞は、親血管から出て移動し、分裂し、そして新しく分化した脈管構造を形成する(Risau,(1997)Nature 386:671−674;Wiltingら(1995)Cell.Mol.Biol.Res.41(4):219−232)。種々の異なる生物学的因子が、血管形成の制御において機能することが見出されている(Bussolinoら(1997)Trends in Biochem Sci 22(7):251−256;FolkmanおよびD’Amore(1996)Cell 87:1153−1155)。これらとしては、種々の機能を有するタンパク質、例えば、増殖因子、細胞表面レセプター、プロテアーゼ、プロテアーゼインヒビター、および細胞外マトリックスタンパク質が挙げられる(AchenおよびStacker(1998)Int.J.Exp.Pathol.79:255−265;DevalarajaおよびRichmond(1999)Trends in Pharmacol.Sci.20(4):151−156;Hanahan(1997)Science 277:48−50;Maisonpierreら(1997)Science 277:55−60;Suriら(1996)Cell 87:1171−1180;Satoら(1995)Nature 376:70−74;MignattiおよびRifkin(1996)Enzyme Protein 49:117−137;Pintucciら(1996)Semin Thromb Hemost 22(6)517−524;VernonおよびSage(1995)Am.J.Pathol.147(4):873−883;Brooksら(1994)Science 264:569−571;Kochら(1995)Nature 376:517−519)。脈管形成プロセスの複雑性およびその発達を制御する因子の多様性によって、インビボにおいて血管形成を制御するための治療介入に対する、有用な多くの点が提供される。
【0004】
新脈管形成は、通常、胚発生の間、増殖の間、および特別な場合(例えば、創傷治癒および女性の生殖周期)に、慎重に制御された様式で生じる(WiltingおよびChrist(1996)Naturwissenschaften 83:153−164;GoodgerおよびRogers(1995)Microcirculation 2:329−343;Augustinら(1995)Am.J.Pathol.147(2):339−351)。新脈管形成プロセスにおけるいくつかの重要な工程は、以下である:1)増殖因子(すなわち、血管内皮増殖因子、VEGF)シグナル伝達;2)マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)およびVEGFレセプター相互作用;3)増殖因子シグナル伝達の部位への内皮細胞移動;ならびに4)内皮細胞細管形成。病的な新脈管形成は、腫瘍増殖および転移癌、糖尿病性網膜症、慢性関節リウマチ、および他の炎症性疾患(例えば、乾癬)を含む、多数のヒト疾患において中心的な役割を果たす(Folkman(1995)Nature Med.1(1):27−31;Polverini(1995)Rheumatology 38(2):103−112;Healyら(1998)Hum.Reprod.Update 4(5):736−396)。これらの場合、疾患の進行は、持続性の無秩序な新脈管形成によって駆動される。例えば、慢性関節リウマチにおいて、新規毛細血管は、間接を侵略し、そして軟骨を破壊する。糖尿病性網膜症において、網膜中の毛細血管は、硝子液を侵略し、出血させ、そして失明を引き起こす。重要なことに、腫瘍増殖および転移(metastisis)は、新脈管形成依存性である。最も原発性の固形腫瘍は、長い無血管状態を経る(この間に、増殖は、約1〜2mmの直径に制限される)。この大きさまで、腫瘍細胞は、受動拡散によって必要な酸素および栄養分の供給を得ることができる。これらの微視的な腫瘍塊は、最終的に新脈管形成へと切り替わり、腫瘍塊を血管新生する毛細血管の出芽(sprouting capillary)を開始するために周囲の血管を補充し、離れた位置への腫瘍の拡大および悪性細胞の転移の持続可能性を提供する。病的な新脈管形成の間に生じる生物学的事象の理解は大いに前進したが、脈管形成をインビボで制御するために有用である有効な薬学的化合物は、現在存在しない。従って、新脈管形成を制御し得る有効な治療は、多数のヒト疾患を軽減する可能性を有する。
【0005】
従来より、薬学的化合物は、所望の薬学的特性について合成化学化合物をスクリーニングし、次いでそれらをインビボで毒性および効果について試験することによって、開発されてきた。この方法で選択された化合物は、しばしば、インビボで毒性の副作用を有し、そしてこのアプローチは、疾患治療のための有効な新脈管形成インヒビターの開発において成功していない。より最近では、分子生物学の技術が、新脈管形成インヒビターを開発するために適用されている。実験モデルにおいて脈管形成を制御する新脈管形成のタンパク質インヒビターが発見されている:例えば、アンジオスタチン(O’Reillyら(1994)Cell 79(2):315−328)およびエンドスタチン(O’Reillyら(1997)Cell 88(2):277−285)。それにもかかわらず、このようなタンパク質治療は実施するのに費用がかかり、そしてこのようなタンパク質治療は、処方することおよび被験体に送達することが難しいことが見出されている。現在、タンパク質新脈管形成インヒビターはなお、疾患患者のための治療医薬に開発される必要がある。従って、患者に安全に投与され得、そして脈管内皮細胞の病的増殖を阻害するのに有効であり得る治療化合物に対する必要性が存在する。本発明は、この目的のために有用である組成物および方法を提供し、そして関連する利点も同様に提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の開示)
ゴシポールおよびその誘導体は、内皮細胞の成長および増殖ならびに血管新生の過程を阻害することが見い出された。従って、本発明は、内皮細胞および特定の細胞(病態の程度または組織により分類される)の増殖を阻害する方法を提供する。本発明はまた、組織における新生血管形成を阻害する方法を提供する。各方法は、有効量のゴシポールまたは薬学的に受容可能なその塩、誘導体、もしくはプロドラッグを、細胞または組織に送達することを必要とする。
【0007】
被験体に、有効量のゴシポールまたは薬学的に受容可能なその塩、誘導体、もしくはプロドラッグを投与することにより、内皮細胞の過剰増殖および/または新生血管形成に関連する疾患を処置するための方法もまた、本明細書中で提供される。患者を処置するためのキットも同様に提供される。
【0008】
さらに、ゴシポールまたは薬学的に受容可能なその塩、誘導体、もしくはプロドラッグと同一、類似、またはそれより良好な治療効果を有する新規の治療薬剤を同定するためのスクリーニングが提供される。このスクリーニングは、ゴシポールまたは薬学的に受容可能なその塩、誘導体、もしくはプロドラッグの抗増殖効果と、薬剤の抗増殖効果とを比較する工程を必要とする。
【0009】
(発明を実行するための様式)
本開示を通して、種々の刊行物、特許および公開された特許明細書が、同定した引用によって参照される。これらの刊行物、特許および公開された特許明細書の開示は、本発明が属する技術分野の状態をより完全に記載するために、本明細書によって参考として本開示に援用される。
【0010】
本発明の実施は、他に示されない限り、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、有機化学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来の技術(これらは、それらの当業者の範囲内である)を利用する。このような技術は、文献に完全に説明される。
【0011】
(定義)
本明細書中に使用される場合、特定の用語は、以下に規定される意味を有し得る。
【0012】
本明細書および特許請求の範囲に使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、その文脈が他に明確に記載しない限り、複数形の参照を含む。例えば、用語「細胞(a cell)」は、複数の細胞(これらの混合を含む)を含む。
【0013】
本明細書中に使用される場合、用語「含む(comprising)」は、組成物および方法が言及された要素を含む(include)が、他のものを除外しないことを意味することが、意図される。「本質的に〜からなる」は、組成物および方法を規定するために使用される場合、その組み合わせに対して本質的に有意な他の要素を除外することを意味するべきである。従って、本明細書中に規定される要素から本質的になる組成物は、単離方法および精製方法に由来する微量の夾雑物および薬学的に受容可能なキャリア(例えば、リン酸緩衝化生理食塩水、防腐剤など)を除外しない。「〜からなる」は、他の成分および本発明の組成物を投与するための実質的な方法の工程の微細な構成要素さえも排除することを意味するべきである。これらの変換用語の各々によって規定される実施形態は、本発明の範囲内である。
【0014】
全ての数値指定(例えば、pH、温度、時間、濃度、および分子量)(範囲を含む)は近似であり、0.1の漸増で(+)または(−)に変化する。必ずしも明確に示されるわけではないが、全ての数値指定は、用語「約」が先行することが、理解されるべきである。必ずしも明確に示されるわけではないが、本明細書中に記載される試薬が、単に例示であり、それらの等価物が当該分野で周知であることもまた、理解されるべきである。
【0015】
用語「単離された」は、その化合物が通常、自然状態で関連している構成要素(細胞性またはその他の構成要素)から分離された状態を意味する。
【0016】
「被験体」または「宿主」は、脊椎動物、好ましくは動物または哺乳動物、より好ましくはヒト患者である。哺乳動物としては、マウス、サル、ヒト患者、家畜動物、競技用動物、および愛玩動物を含むがこれらに限定されない。
【0017】
用語「癌」、「新生物」、および「腫瘍」は交換可能に使用され、単数または複数のいずれかの形態で、悪性の形質転換を受け、宿主生物に対して病原性となった細胞をいう。原発性の癌細胞(すなわち、悪性形質転換部位付近から獲得された細胞)は、十分に確立された技術(特に、組織学的試験)により、非癌性細胞と容易に識別され得る。本明細書中で使用される場合、癌細胞の定義は、原発性の癌細胞だけでなく、癌細胞祖先から誘導された任意の細胞も含む。これらとして、転移した癌細胞、ならびに癌細胞から誘導されたインビボ培養物および細胞株が挙げられる。通常、固形腫瘍として表される型の癌をいう場合、「臨床的に検出可能」な腫瘍は、腫瘍塊に基づき、例えば、CATスキャン、磁気共鳴画像法(MRI)、X線、超音波、または触診法のような手順により検出可能な腫瘍である。この定義を満たすために、生化学的知見または免疫学的知見は単独では不十分であり得る。
【0018】
本明細書中で使用される場合、「阻害」は、組織中の内皮細胞の成長、増殖、または細胞分裂、あるいは血管形成を停止、遅延、または緩慢にすることを意味する。阻害をモニターするための方法として、内皮細胞増殖アッセイ、血液含量の決定および血管構造の密度の定量的な決定による血管床(vascular bed)の容量の測定が挙げられるがこれらに限定されない。培養物が細胞の混合物である場合、新生血管形成は、内皮細胞特異的マーカー(例えば、脈管形成因子、タンパク質分解酵素、および内皮細胞特異的細胞接着分子)を発現する細胞の定量的な測定によりモニタリングされる。
【0019】
「組成物」は、活性因子と別の化合物または組成物(不活性(例えば、検出可能因子または標識)でも活性でもよい)(例えば、アジュバント)との組み合わせを意味することを意図とする。
【0020】
「薬学的組成物」は、その組成物をインビトロ、インビボ、またはエキソビボでの診断用途または治療用途に適するようにするキャリア(不活性でも活性でもよい)と、活性因子との組み合わせを含むことを意図する。
【0021】
本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に受容可能なキャリア」は、任意の標準的な薬学的キャリア(例えば、リン酸緩衝生理食塩水溶液、水、およびエマルジョン(油/水エマルジョンまたは水/油エマルジョン)、ならびに種々の型の湿潤剤を含む。組成物はまた、安定化剤および防腐剤を含み得る。キャリア、安定化剤、およびアジュバントの例として、Martin、REMINGTON’S PHARM.SD.第15版(Mack Publ.Co.、Easton(1975))を参照のこと。
【0022】
「有効量」は、有益な結果または所望の結果をもたらすのに十分な量である。例えば、治療量は、所望の治療効果を達成する量である。この量は、予防有効量(疾患または疾患の徴候が発症するのを予防するのに必要とされる量)と同一であるかまたは異なり得る。有効量は、1以上の投与、適用、または投薬量で投与され得る。
【0023】
ゴシポール(フェノールアルデヒド)は、通常、綿として一般に公知であるGossypium属の黄色色素として存在する。性腺摘除と類似の様式で生殖系のステロイド生合成を変更することにより、多くの補助的器官の変性を引き起こすことが示されている。しかし、最近、ゴシポールは、ステロイド応答性腫瘍のための潜在的な抗癌剤として注目されている(例えば、Linら(1995)Proc.Ann.Mtg.Am.Assoc.Cancer Res.36:A2329)。ゴシポールは、ステロイド合成系へのその効果と異なる機構を介して細胞増殖におけるその阻害効果を発揮することが考えられる。
【0024】
本発明者らは、ゴシポールが、内皮細胞増殖を阻害し、そして抗脈管形成特性を有することを発見した。これらの知見に従って、本発明は、増殖を阻害する量のゴシポールまたは薬学的に受容可能なその塩、誘導体もしくはプロドラッグを、細胞に送達することにより、内皮細胞の増殖を阻害するための方法を提供する。本発明はまた、抗血管新生量のゴシポールまたは薬学的に受容可能なその塩、誘導体もしくはプロドラッグを、組織に送達することにより、組織における血管新生を阻害する方法を提供する。
【0025】
本方法は、インビトロまたはインビボで実施され得る。インビトロで実施される場合、内皮細胞または血管形成した組織は、例えば、以下に例示するような当業者に周知の条件下で培養される。細胞および/または組織は、構築された細胞株由来であり得るか、または被験体から獲得した生検サンプルから培養され得る。次いで、ゴシポールまたは薬学的に受容可能なその誘導体、塩、もしくはプロドラックは、培養培地に直接添加されるか、または薬学的組成物の成分として送達される。
【0026】
1つの局面において、ゴシポールの誘導体は、酢酸ゴシポールである。本明細書中で使用される場合、用語「ゴシポール」は、他に明確に示されない限り、種々の別個の実施形態を包含することを意図する。この用語は、ラセミ化合物およびその純粋な鏡像異性形態(±)および(−)、酢酸ゴシポールのような誘導体、それらの薬学的に受容可能な塩ならびにプロドラッグを包含する。ラセミゴシポールの精製は、以下に記載される。1つの局面において、精製されたゴシポールは、その(−)形態のみである。さらなる局面において、精製されたゴシポールは、その(+)形態のみである。ラセミ、(+)、または(−)形態は、各々市販されており、そして各々の単離方法は当該分野で公知である。例えば、使用するHPLCカラムクロマトグラフィー(例えば、CHIRAL−AGP、CHIRAL−CBHおよびCHIRAL−HAS)は、Chrom Tech International,ABから入手可能である。Perkins−Elmerもまた、Sulfadex Chiral Separation Kitの名で、キラル分離キットを販売している。
【0027】
塩の例としては、以下が挙げられる:酢酸塩、アジビン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、フルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサノエート、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パーモエート(palmoate)、ペクチネート、過硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバレート(pivalate)、プロピオン酸塩、スクシネート、酒石酸塩、チオシアネート、トシレート(tosylate)およびウンデカン酸塩。塩の他の例は、適切なカチオン(例えば、Na+、NH4 +およびNW4 +(ここで、Wは、C1〜4アルキル基である)を有する本発明の化合物のアニオンを含む。
【0028】
治療用途のために、本発明の化合物は、薬学的に受容可能であるべきである。しかし、薬学的に受容可能ではない酸および塩基の塩もまた、例えば、薬学的に受容可能な化合物の調製または精製において使用可能である。
【0029】
全ての治療が、各個人に対して有効というわけではないので、各患者に対する効果を評価するインビトロアッセイが有効である。本発明の方法は、ゴシポール治療が、内皮細胞の病的な増殖に関連する個々の被験体特異的な疾患を処置するか否かを決定する手段を提供する。その例を本明細書中に提供する。例えば、組織生検が、患者から単離され、そして有効量の薬学的組成物または本明細書中で定義されるような治療と、細胞の成長および増殖に有効な条件下で接触される。従来手順(例えば、本明細書中に記載されるCPAEアッセイ)により決定される病理学的な細胞の成長の阻害は、本発明の組成物および/または治療が患者を効果的に処置し得ることを示す。
【0030】
脈管形成または新規の脈管構造の形成は、新規の血管を形成する基本的なプロセスである。これは、必須の生理学的現象(例えば、生殖系の発達および創傷治癒)に関与している。通常の条件下では、新脈管形成は、高度に調節されている。しかし、多くの疾患は、持続的な調節されていない新脈管形成により引き起こされる。慢性関節リウマチにおいて、新規の毛細血管は、関節に侵入し、軟骨組織を破壊する。糖尿病性網膜症において、網膜における新規の毛細血管は、硝子体に侵入し、出血し、そして失明の原因となる。腫瘍の増殖および転移は新脈管形成依存性である。ほとんどの原発性の固形腫瘍は、長期の無血管状態、見かけ上の休眠、および増殖(到達可能な最大の大きさは直径約1〜2mmである)を経る。この大きさまで、腫瘍細胞は、単純な受動性拡散により必要な酸素および栄養素を獲得し得る。これらの微視的な腫瘍塊は、腫瘍塊に向かって成長し、最終的に腫瘍塊に浸入する新規の毛細血管の発生(sprouting)を開始するために、周囲の成熟宿主血管を補充することによって最終的に脈管形成を開始し得る。これによって、腫瘍塊の容赦のない拡張および血行性転移的拡散の可能性が生じる。新脈管形成の開始は、異所性生成物および「腫瘍新脈管形成因子」(TAF)と呼ばれる増殖因子の腫瘍細胞による同化により誘導されると、当初仮定されていた。
【0031】
本発明はまた、被験体に治療有効量のゴシポール(ラセミ化合物、(+)または(−))またはこれらの1つ以上を含有する薬学的組成物を投与することにより、被験体における病理学的な新生血管形成に関連する障害を処置する方法を提供する。この文脈で使用する場合、「処置する」こととは、病理的な新生血管形成および新生血管形成の減少に関連する症候を緩和することを意味する。このような状態として、関節炎状態、新生血管形成に基づく皮膚状態、糖尿病性網膜症、カポージ肉腫、加齢性黄斑変性、毛細管拡張症(telangectasia)、緑内障、ケロイド、角膜移植拒絶、創傷肉芽化(granularization)、血管線維腫、オスラー−ウェバー症候群、心筋新脈管形成、および強皮症が挙げられるがこれらに限定されない。関節炎状態の例は、慢性関節リウマチおよび変形性関節炎からなる群より選択される。癌および固形腫瘍の処置のために、「処置」することとは、血管の成長を阻害することを含む。血管の成長の阻害により成長のために腫瘍により必要とされる腫瘍および/または癌細胞のためのの栄養素が欠乏する。腫瘍および成長は、大きさの面で減少し、消失する可能性がある。関節炎状態を処置するための投与は、軟骨(特に、関節)における血管形成の減少を引き起こす。これにより、これらの領域における運動性および可撓性が増加する。乾癬の処置については、投与は、皮膚学的な症状(例えば、瘡蓋形成(scabbing)、剥離(flaking)、および皮膚表面下の目に見える血管)を減少させる。糖尿病性網膜症において、活性画分の投与は、網膜における外来血管の形成を減少させる。これにより、視覚が妨害されない。カポージ肉腫の処置において、活性画分の投与は、成長および/またはさらなる血管形成を阻害し、それによって、病巣および/または腫瘍の形成が生じるのを阻害する。
【0032】
本出願人らは、(−)ゴシポールが主要な器官(例えば、心臓、脾臓、および筋肉)に濃縮されていることを予期せず発見した。従って、1つの局面において、本発明は、被験体または目的の器官の細胞に有効量の(−)ゴシポールを送達することにより、これらの器官における新生血管形成の症状を処置または緩和するための手段を提供する。その(+)形態は、腎臓内に濃縮されている。従って、別の局面において、本発明は、被験体または腎臓細胞に有効量の(+)ゴシポールを送達することにより、腎臓における新生血管形成の症状を処置または緩和するための手段を提供する。
【0033】
活性画分を被験体(例えば、マウス、ラット、またはヒト患者)に投与する場合、この薬剤は、薬学的に受容可能なキャリアに添加され得、そして被験体に全身投与、経口投与、経皮投与、または局所投与される。治療量は、経験的に決定され得、処置される病理、処置される被験体、および治療方法において使用される画分の形態の毒性と共に変化する。活性画分は、経口送達、静脈内送達、腹膜内送達、または経皮送達され得る。動物に投与される場合、この方法は、活性画分の効果をさらに確認するのに有用である。
【0034】
動物モデルの例として、ヌードマウス(Balb/c NCR nu/nu雌、Simonsen、Gilroy、CA)の群は、各々、本明細書中に規定されるような約105〜約109の過剰増殖細胞を皮下接種される。移植片が確立した場合、この化合物は、例えば、移植片付近に皮下注入することにより投与される。移植片の大きさの減少を決定するための測定は、1週間に2回、ベニアはさみ(venier caliper)を用いて二次元的に実施される。
【0035】
Jackson Labs(Maine)由来のMRL/lprマウス(MRL/MpJ−Faslpr)は、関節炎状態における効果を試験またはモニタリングするのに有用である。ポジティブな治療上の利益として、動物の関節および後足の減少した膨張ならびに減少した軟骨の分解が挙げられ、これらはX線によってモニタリングされ得る。
【0036】
インビボ投与は、処置過程を通して、単一用量で、複数用量で、連続的に、または断続的にもたらされ得る。投与の最も有効な手段および投薬量を決定する方法は、当業者に周知であり、治療に使用される組成物、治療の目的、処置される標的細胞、および処置される被験体と共に変化する。単一の投与または複数の投与は、処置専門医により選択された用量レベルおよびパターンで実施され得る。適切な投薬処方物および薬剤を投与する方法は、以下で見出され得る。
【0037】
本発明の組成物および薬学的処方物は、医薬および健康食品サプリメントの製造において、そして従来手順に従って投与することによりヒトおよび他の動物を処置するために(例えば、薬学的組成物中の活性成分)使用され得る。
【0038】
薬学的組成物は、経口投与、鼻腔内投与、非経口投与され得るか、または吸入療法により投与され得、錠剤、ロセンジ、顆粒、カプセル剤、丸剤、アンプル、坐薬、またはエアロゾル形態の形態を取り得る。これらはまた、水性または非水性の希釈剤、シロップ、顆粒、または粉末中の活性成分の懸濁物、溶液、およびエマルジョンの形態を取り得る。本発明の化合物に加えて、薬学的組成物はまた、他の薬学的活性成分を含み得る。
【0039】
より詳細には、本明細書中で活性成分とも言われる活性画分は、任意の適切な経路(経口、直腸、経鼻、局所(経皮、エアロゾル、頬側および舌下を含む)、膣、非経口(parental)(皮下、筋内、静脈内および皮内を含む)および肺が挙げられる)によって、治療のために投与され得る。好ましい経路は、レシピエントの状態および年齢、ならびに処置される疾患によって変更されることがまた、理解される。
【0040】
この方法がインビボで実施される場合、病的な内皮細胞の増殖または新生血管形成が、被験体において阻害される。治療有効量のゴシポール(ラセミ化合物、(+)または(−))、または薬学的に受容可能なそれらの誘導体、塩、もしくはプロドラッグが、その意図する結果を誘導するのに有効量で被験体に送達される。本発明はまた、治療有効量または増殖阻害量のゴシポール(ラセミ化合物、(+)、または(−))または薬学的に受容可能なその誘導体、塩、もしくはプロドラッグを被験体に投与することにより、被験体における病的な新生血管形成に関連する障害を処置する方法を提供する。このような状態として、関節炎状態、新生血管形成に基づく皮膚状態、糖尿病性網膜症、再狭窄、カポージ肉腫、加齢性黄斑変性、毛細管拡張症(telangectasia)、緑内障、ケロイド、角膜移植拒絶、創傷肉芽化(granularization)、血管線維腫、オスラー−ウェバー症候群、心筋新脈管形成、および強皮症が挙げられるがこれらに限定されない。関節炎状態の例は、慢性関節リウマチ、乾癬関節炎および変形性関節炎からなる群より選択される。
【0041】
ゴシポールを被験体(例えば、マウス、ラット、またはヒト患者)に投与する場合、この薬剤は、薬学的に受容可能なキャリアに添加され得、そして被験体に全身投与、経口投与、経皮投与、または局所投与され得る。治療量は、経験的に決定され得、処置される病理、処置される被験体、および処置される状態と共に変化する。
【0042】
全ての治療が、各個人に対して有効というわけではないので、各患者に対する効果を評価するインビトロアッセイが有効である。本発明の方法は、組成物または治療が、内皮細胞の病的な増殖または脈管形成に関連する被験体特異的な疾患を処置するか否かを決定する手段を提供する。例えば、組織生検が、患者から単離され、そして有効量の薬学的組成物または本明細書中で定義されるような治療と、細胞の成長および増殖に有効な条件下で接触される。従来手順(例えば、本明細書中に記載されるCPAEアッセイ)により決定される病理学的な細胞の成長の阻害は、本発明の組成物および/または治療が患者を効果的に処置し得ることを示す。
【0043】
薬物成分は単独で投与される可能性があるが、この薬物成分のための1つ以上の薬学的に受容可能なキャリアおよび必要に応じて他の治療剤と一緒に、上に規定した少なくとも1つの活性成分を含む薬学的処方物として示されることが好ましい。各キャリアは、処方物の他の成分と適合性であり、患者に対して有害でないという意味で「受容可能」でなければならない。
【0044】
処方物には、経口、直腸、経鼻、局所(経皮、頬側および舌下を含む)、膣、非経口(皮下、筋内、静脈内および皮内を含む)および肺投与にとって適切な処方物が含まれる。処方物は、単位投薬形態で都合よく示され得、そして薬学の分野において周知の任意の方法によって調製され得る。このような方法は、活性成分を、1つ以上の補助的成分を構成するキャリアと結合させる工程を包含する。一般的に、処方物は、活性成分と液体キャリアまたは細かく粉砕した固体キャリアあるいはそれら両方とを結合させて、均一かつ密に調製され、次いで必要に応じて、その製品を成形する。
【0045】
経口投与に適切な本発明の処方物は、例えば、カプセル、カシェ剤または錠剤のような別個の単位(これらの各々は所定の量の活性成分を含んでいる)として;粉末または顆粒として;水性または非水性の液体中の溶液または懸濁液として;あるいは水中油液体エマルジョンもしくは油中水液体エマルジョンとして示され得る。これらの活性成分はまた、ボーラス、舐剤またはペーストで示され得る。
【0046】
錠剤は、必要に応じて1つ以上の補助成分と共に、圧縮または成形によって作製され得る。圧縮錠剤は、自由流動形態(例えば、必要に応じて結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、グリコール酸ナトリウムデンプン(sodium starch glycolate)、架橋したポビドン、架橋したカルボキシルメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤と混合された粉末または顆粒)の活性成分を適切な機械で圧縮することによって調製され得る。成形された錠剤は、不活性液体希釈剤を用いて湿らせた粉末化化合物の混合物を、適切な機械で成形することによって作製され得る。錠剤は必要に応じてコートされ得るか、または刻み目を付けられ(score)得、そして例えば、種々の割合のヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いて、その中に活性成分の徐放または制御放出を提供するように処方されて、所望の放出プロフィールを提供し得る。錠剤は、必要に応じて、腸溶性コーティングと共に提供され、胃以外の消化管の部分での放出を提供し得る。
【0047】
口における局所投与のために適切な処方物としては、ロゼンジ(通常、ショ糖およびアラビアゴムまたはトラガカントゴムである風味付けした基剤中に活性成分を含む);香錠(ゼラチンおよびグリセリンまたはショ糖およびアラビアゴムのような不活性な基剤中に活性成分を含む);ならびにマウスウォッシュ(適切な液体キャリア中に活性成分を含む)が挙げられる。
【0048】
本発明に従う局所投与のための薬学的組成物は、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉末、溶液、ペースト、ゲル、噴霧、エアロゾルまたは油として処方され得る。あるいは、処方物は、活性成分および必要に応じて、1つ以上の賦形剤もしくは希釈剤に浸漬させた包帯または接着ギブスのようなパッチまたは包帯を含み得る。
【0049】
眼または他の外部組織(例えば、口および皮膚)の疾患のために、処方物は、好ましくは、活性成分を含む、局所的な軟膏またはクリームとして適用される。軟膏にて処方される場合、薬物は、パラフィン系または水混和性の軟膏基剤のいずれかと共に使用され得る。あるいは、薬物成分は、水中油クリーム基剤と共にクリーム中に処方され得る。
【0050】
所望の場合、クリーム基剤の水相は、例えば、少なくとも約30% w/wの多価アルコール(すなわち、2つ以上のヒドロキシル基を有するアルコール(例えば、プロピレングリコール、ブタン−1,3−ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロールおよびポリエチレングリコールならびにそれらの混合物))を含み得る。局所処方物は、望ましくは、皮膚または他の病気に冒された領域を通る薬物成分の吸収または浸透を増強する化合物を含み得る。このような真皮浸透増強剤の例としては、ジメチルスルホキシドおよび関連するアナログが挙げられる。
【0051】
本発明のエマルジョンの油相は、任意の公知の様式において、公知の成分から構成され得る。この相は、乳化剤(他には、排出促進剤として公知)のみを含み得るが、望ましくは、脂肪または油か、あるいは脂肪および油の両方と、少なくとも1つの乳化剤の混合物を含む。好ましくは、親水性乳化剤が、安定化剤として作用する親油性乳化剤と共に含まれる。油および脂肪の両方が含まれることもまた、好ましい。同時に、安定化剤を伴うか、または伴わない乳化剤は、いわゆる乳化ワックスを構成し、そしてこのワックスは、油および/もしくは脂肪と一緒に、いわゆる乳化軟膏基剤(これは、クリーム処方物の油性分散相を形成する)を構成する。
【0052】
本発明の処方物における使用のために適切な排出促進剤およびエマルジョン安定化剤としては、Tween60、Span80、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、グリセリルモノステアレートおよびラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0053】
薬学的エマルジョン処方物においておそらく使用される大部分の油状物における活性化合物の可溶性は、非常に低いので、処方のために適切な油または脂肪の選択は、所望の美的特性の達成に基づく。従って、クリームは、好ましくは、チューブまたは他の容器からの漏出を避けるために適切な粘稠度を有する、非脂肪性、非着色性および洗浄可能な製品であるべきである。直鎖または分枝鎖の、一塩基性アルキルエステルまたは二塩基性アルキルエステル(例えば、ジ−イソアジペート、ステアリン酸イソセチル、ココナツ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、2−エチルへキシルパルミテート、またはCrodamol CAPとして公知の分枝鎖エステルの混合物が使用され得る。最後の3つが好ましいエステルである。これらは、必要とされる特性に依存して、単独または組み合わせて使用され得る。あるいは、融点の高い脂質(例えば、白色ソフトパラフィンおよび/または液体パラフィン)または他の鉱物油が使用され得る。
【0054】
眼への局所投与のために適切な処方物はまた、点眼剤を含み、ここで、活性成分は、適切なキャリア(特に、活性成分用の水性溶媒)に溶解されるか、または懸濁される。直腸投与のための処方物は、適切な基剤(例えば、ココアバターまたはサリチル酸塩を含む)と共に坐剤として示され得る。
【0055】
膣投与のために適切な処方物は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡剤または噴霧処方物として示され得、これらは、活性成分と併せて、当該分野において適切であることが公知のキャリアを含む。
【0056】
経鼻投与のために適切な処方物(キャリアは固体である)は、例えば、約20〜約500ミクロンの範囲の粒子サイズを有する、粗い粉末を含み、これは、鼻から吸い込む様式(すなわち、鼻に密着させた、粉末の容器から鼻腔を通って迅速に吸入される)により投与される。適切な処方物は、プロドラッグ成分の水性溶液または油性溶液を含み、ここで、キャリアは、例えば、鼻内噴霧、点鼻剤としての投与、またはネブライザーによるエアロゾル投与による投与のための液体である。
【0057】
非経口投与のために適切な処方物は、処方物を、意図されたレシピエントの血液と等張性にする水性および非水性の滅菌注射溶液(これらは、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤および溶質を含み得る);ならびに水性および非水性の滅菌懸濁液(これらは、懸濁剤および増粘剤を含み得る)、およびリポソームまたは他の微粒子系(これらは、化合物が血液成分もしくは1つ以上の器官を標的化するように設計される)を含む。これらの処方物は、単回用量または複数回用量の密封容器(例えば、アンプルおよびバイアル)中に示され得、そして使用の直前に、滅菌液体キャリア(例えば、注射用水)の添加だけを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存され得る。即席の注射溶液および懸濁液は、先に記載した種類の滅菌の粉末、顆粒および錠剤から調製され得る。
【0058】
好ましい単位投薬量の処方物は、本明細書中で上に列挙されるような、薬物成分の、一日用量または単位、一日準用量(subdose)またはそれらの適切な画分を含む処方物である。
【0059】
特に上記された成分に加えて、本発明の処方物が、問題の処方物を考慮して当該分野で従来的な他の薬剤を含み得ること、例えば、経口投与に適切な処方物は、甘味料、増粘剤および香料のようなさらなる薬剤を含み得ることが、理解されるべきである。これらはまた、さらなる活性薬剤(例えば、抗腫瘍剤、抗癌剤、抗新血管形成剤または免疫増強剤)を含み得る。
【0060】
ゴシポール、(ラセミ化合物または必要に応じて純粋な組成物)、そのプロドラッグ、塩または誘導体およびこれらの組成物はまた、獣医学の処方物(これは、例えば、当該分野の従来方法によって調製され得る)の形態での使用のために示され得る。
【0061】
本発明は、さらに、新生血管形成または内皮細胞増殖を阻害するための治療剤についてスクリーニングするための方法を提供する。このスクリーニングは、以下:
(a)薬剤を、適切な細胞サンプルまたは組織サンプルと接触させる工程;
(b)この適切な細胞サンプルまたは組織サンプルの別個のサンプルを、治療有効量のゴシポールまたはその薬学的に受容可能な誘導体、塩もしくはプロドラッグと接触させる工程;ならびに
(c)工程(a)のサンプルの増殖を、工程(b)のサンプルの増殖と比較する工程であって、工程(b)のサンプルと同じかまたは類似の程度まで増殖を阻害する工程(a)の任意の薬剤が、新生血管形成または内皮細胞増殖を阻害するための治療剤である、工程、
を包含する。
【0062】
本明細書中に記載されるさらなる治療剤および薬剤は、必要に応じて、これらのサンプルと組み合わされ得る。
【0063】
被験体における病理学的な新生血管形成に関連する疾患を処置するためのキットもまた、本発明によって提供される。このキットは、治療有効量のゴシポール(ラセミ化合物、(+)もしくは(−))またはその薬学的に受容可能な誘導体、塩もしくはプロドラッグ、および使用のための指示書を含む。このキットは、以下からなる群より選択される障害を処置するために有用である:関節炎状態、新生血管形成に基づく皮膚状態、糖尿病性網膜炎、再狭窄、カポージ肉腫、加齢性黄斑変性、毛細管拡張症(telangectasia)、緑内障、ケロイド、角膜移植拒絶、創傷の肉芽化(granularization)、血管線維腫、オスラー−ウェバー(Osler−Webber)症候群、心筋新脈管形成、強皮症、慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎および変形性関節炎。
【0064】
以下の実施例は説明の目的であり、本発明を限定しない。
【実施例】
【0065】
(実施例1)
(ゴシポールの単離および精製)
ゴシポールおよび酢酸ゴシポールは、Hronおよび共同研究者ら(Hron,R.J.,Srら(1987)J.Am Oil Chem Soc.64:1315;Hron,R.J.,Srら(1992)米国特許第5,112,637号;Hron,R.J.,Srら(1987)J.Am.Chem Soc.69:950)、ならびにKukおよび共同研究者ら(Kuk,M.S.ら(1992)米国特許第5,077,441号;Kuk,M.S.ら(1993)J.Am.Oil Chem Soc.70:209;Kuk,M.S.ら(1994)J.Am.Oil Chem Soc.71:417)に従って調製される。いくつかのサンプルは、Texas Agriculture Experimental Station、Texas A&M University、San Angelo、TexasのM.C.Calhoun博士の厚意の寄贈である。
【0066】
(実施例2)
(ゴシポールによる、内皮細胞アッセイの阻害)
(内皮細胞アッセイ)
これらのアッセイを、改変(LiangおよびWong(1999)ANGIOGENESIS:FROM THE MOLECULAR TO INTEGRATIVE PHARMACOLOGY(Maradoudakis編、Kluwer Academic/Plenum.Publishers、New York))を伴う、Connallyら(1986)Anal.Biochem.152:136−4の手順に従って実行した。
【0067】
(結果および考察)
(表I.ゴシポールによる、内皮細胞アッセイの阻害)
【0068】
【表1】
本発明者らの内皮細胞培養アッセイの結果を、上記表Iに示す。純粋なゴシポールは、細胞増殖を阻害する。内皮細胞アッセイの結果は、内皮細胞アッセイへのゴシポールの添加が、内皮細胞増殖の有意な阻害を提供することを示す。このアッセイにおいて、純粋なゴシポールサンプルは、内皮細胞増殖の97.6%の増殖速度を誘発した。酢酸ゴシポール(ゴシポールの安定な誘導体)由来のサンプルはまた、濃度に依存して、21.3%阻害〜46.2%阻害の範囲の有意な阻害を示した。このことは、ゴシポールが、非常に有効な内皮細胞増殖インヒビターであることを強力に示す。コントロールのみは、10%の阻害を示した。
【0069】
脈管形成の阻害についての濃度依存研究もまた実施され、そして純粋なゴシポールについては図1に、酢酸ゴシポールについては図2に示される。非常に低い濃度(僅かミリモル濃度)でさえ、ゴシポールは、内皮細胞増殖の非常に強力なインヒビターであることが明らかである。
【0070】
上述の発明を、理解を明確にするための例示および例として、いくらか詳細に記載してきたが、特定の変化および改変が実行されることは、当業者に明らかである。例えば、当業者に明らかなように、本発明の方法は、1以上の既知の抗腫瘍、抗脈管形成および免疫増強の治療剤および組成物(例えば、サメ軟骨、チロスフィンゴシンまたはスフィンゴシン)と組み合わされ得る。従って、記載および実施例は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定するとは解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は、内皮細胞アッセイにおける純粋なゴシポールの%阻害を示すグラフである。
【図2】図2は、内皮細胞アッセイにおける酢酸ゴシポールの細胞阻害性を示すグラフである。
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、米国仮出願60/255,876(2000年12月15日出願)(その内容は、本明細書によって本開示の中に参考として援用される)の35U.S.C.第119(e)の下での利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、薬学分野の発明である。詳細には、本発明は、疾患を予防および処置するための抗脈管形成医薬の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
新脈管形成は、新規脈管構造が既に存在する毛細血管からの成長によって生じるプロセスである。このプロセスにおいて、内皮細胞は、基底膜の支持がタンパク質分解酵素によって分解されるときに、この基底膜からはがされる。次いでこれらの細胞は、親血管から出て移動し、分裂し、そして新しく分化した脈管構造を形成する(Risau,(1997)Nature 386:671−674;Wiltingら(1995)Cell.Mol.Biol.Res.41(4):219−232)。種々の異なる生物学的因子が、血管形成の制御において機能することが見出されている(Bussolinoら(1997)Trends in Biochem Sci 22(7):251−256;FolkmanおよびD’Amore(1996)Cell 87:1153−1155)。これらとしては、種々の機能を有するタンパク質、例えば、増殖因子、細胞表面レセプター、プロテアーゼ、プロテアーゼインヒビター、および細胞外マトリックスタンパク質が挙げられる(AchenおよびStacker(1998)Int.J.Exp.Pathol.79:255−265;DevalarajaおよびRichmond(1999)Trends in Pharmacol.Sci.20(4):151−156;Hanahan(1997)Science 277:48−50;Maisonpierreら(1997)Science 277:55−60;Suriら(1996)Cell 87:1171−1180;Satoら(1995)Nature 376:70−74;MignattiおよびRifkin(1996)Enzyme Protein 49:117−137;Pintucciら(1996)Semin Thromb Hemost 22(6)517−524;VernonおよびSage(1995)Am.J.Pathol.147(4):873−883;Brooksら(1994)Science 264:569−571;Kochら(1995)Nature 376:517−519)。脈管形成プロセスの複雑性およびその発達を制御する因子の多様性によって、インビボにおいて血管形成を制御するための治療介入に対する、有用な多くの点が提供される。
【0004】
新脈管形成は、通常、胚発生の間、増殖の間、および特別な場合(例えば、創傷治癒および女性の生殖周期)に、慎重に制御された様式で生じる(WiltingおよびChrist(1996)Naturwissenschaften 83:153−164;GoodgerおよびRogers(1995)Microcirculation 2:329−343;Augustinら(1995)Am.J.Pathol.147(2):339−351)。新脈管形成プロセスにおけるいくつかの重要な工程は、以下である:1)増殖因子(すなわち、血管内皮増殖因子、VEGF)シグナル伝達;2)マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)およびVEGFレセプター相互作用;3)増殖因子シグナル伝達の部位への内皮細胞移動;ならびに4)内皮細胞細管形成。病的な新脈管形成は、腫瘍増殖および転移癌、糖尿病性網膜症、慢性関節リウマチ、および他の炎症性疾患(例えば、乾癬)を含む、多数のヒト疾患において中心的な役割を果たす(Folkman(1995)Nature Med.1(1):27−31;Polverini(1995)Rheumatology 38(2):103−112;Healyら(1998)Hum.Reprod.Update 4(5):736−396)。これらの場合、疾患の進行は、持続性の無秩序な新脈管形成によって駆動される。例えば、慢性関節リウマチにおいて、新規毛細血管は、間接を侵略し、そして軟骨を破壊する。糖尿病性網膜症において、網膜中の毛細血管は、硝子液を侵略し、出血させ、そして失明を引き起こす。重要なことに、腫瘍増殖および転移(metastisis)は、新脈管形成依存性である。最も原発性の固形腫瘍は、長い無血管状態を経る(この間に、増殖は、約1〜2mmの直径に制限される)。この大きさまで、腫瘍細胞は、受動拡散によって必要な酸素および栄養分の供給を得ることができる。これらの微視的な腫瘍塊は、最終的に新脈管形成へと切り替わり、腫瘍塊を血管新生する毛細血管の出芽(sprouting capillary)を開始するために周囲の血管を補充し、離れた位置への腫瘍の拡大および悪性細胞の転移の持続可能性を提供する。病的な新脈管形成の間に生じる生物学的事象の理解は大いに前進したが、脈管形成をインビボで制御するために有用である有効な薬学的化合物は、現在存在しない。従って、新脈管形成を制御し得る有効な治療は、多数のヒト疾患を軽減する可能性を有する。
【0005】
従来より、薬学的化合物は、所望の薬学的特性について合成化学化合物をスクリーニングし、次いでそれらをインビボで毒性および効果について試験することによって、開発されてきた。この方法で選択された化合物は、しばしば、インビボで毒性の副作用を有し、そしてこのアプローチは、疾患治療のための有効な新脈管形成インヒビターの開発において成功していない。より最近では、分子生物学の技術が、新脈管形成インヒビターを開発するために適用されている。実験モデルにおいて脈管形成を制御する新脈管形成のタンパク質インヒビターが発見されている:例えば、アンジオスタチン(O’Reillyら(1994)Cell 79(2):315−328)およびエンドスタチン(O’Reillyら(1997)Cell 88(2):277−285)。それにもかかわらず、このようなタンパク質治療は実施するのに費用がかかり、そしてこのようなタンパク質治療は、処方することおよび被験体に送達することが難しいことが見出されている。現在、タンパク質新脈管形成インヒビターはなお、疾患患者のための治療医薬に開発される必要がある。従って、患者に安全に投与され得、そして脈管内皮細胞の病的増殖を阻害するのに有効であり得る治療化合物に対する必要性が存在する。本発明は、この目的のために有用である組成物および方法を提供し、そして関連する利点も同様に提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の開示)
ゴシポールおよびその誘導体は、内皮細胞の成長および増殖ならびに血管新生の過程を阻害することが見い出された。従って、本発明は、内皮細胞および特定の細胞(病態の程度または組織により分類される)の増殖を阻害する方法を提供する。本発明はまた、組織における新生血管形成を阻害する方法を提供する。各方法は、有効量のゴシポールまたは薬学的に受容可能なその塩、誘導体、もしくはプロドラッグを、細胞または組織に送達することを必要とする。
【0007】
被験体に、有効量のゴシポールまたは薬学的に受容可能なその塩、誘導体、もしくはプロドラッグを投与することにより、内皮細胞の過剰増殖および/または新生血管形成に関連する疾患を処置するための方法もまた、本明細書中で提供される。患者を処置するためのキットも同様に提供される。
【0008】
さらに、ゴシポールまたは薬学的に受容可能なその塩、誘導体、もしくはプロドラッグと同一、類似、またはそれより良好な治療効果を有する新規の治療薬剤を同定するためのスクリーニングが提供される。このスクリーニングは、ゴシポールまたは薬学的に受容可能なその塩、誘導体、もしくはプロドラッグの抗増殖効果と、薬剤の抗増殖効果とを比較する工程を必要とする。
【0009】
(発明を実行するための様式)
本開示を通して、種々の刊行物、特許および公開された特許明細書が、同定した引用によって参照される。これらの刊行物、特許および公開された特許明細書の開示は、本発明が属する技術分野の状態をより完全に記載するために、本明細書によって参考として本開示に援用される。
【0010】
本発明の実施は、他に示されない限り、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、有機化学、細胞生物学、生化学および免疫学の従来の技術(これらは、それらの当業者の範囲内である)を利用する。このような技術は、文献に完全に説明される。
【0011】
(定義)
本明細書中に使用される場合、特定の用語は、以下に規定される意味を有し得る。
【0012】
本明細書および特許請求の範囲に使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、その文脈が他に明確に記載しない限り、複数形の参照を含む。例えば、用語「細胞(a cell)」は、複数の細胞(これらの混合を含む)を含む。
【0013】
本明細書中に使用される場合、用語「含む(comprising)」は、組成物および方法が言及された要素を含む(include)が、他のものを除外しないことを意味することが、意図される。「本質的に〜からなる」は、組成物および方法を規定するために使用される場合、その組み合わせに対して本質的に有意な他の要素を除外することを意味するべきである。従って、本明細書中に規定される要素から本質的になる組成物は、単離方法および精製方法に由来する微量の夾雑物および薬学的に受容可能なキャリア(例えば、リン酸緩衝化生理食塩水、防腐剤など)を除外しない。「〜からなる」は、他の成分および本発明の組成物を投与するための実質的な方法の工程の微細な構成要素さえも排除することを意味するべきである。これらの変換用語の各々によって規定される実施形態は、本発明の範囲内である。
【0014】
全ての数値指定(例えば、pH、温度、時間、濃度、および分子量)(範囲を含む)は近似であり、0.1の漸増で(+)または(−)に変化する。必ずしも明確に示されるわけではないが、全ての数値指定は、用語「約」が先行することが、理解されるべきである。必ずしも明確に示されるわけではないが、本明細書中に記載される試薬が、単に例示であり、それらの等価物が当該分野で周知であることもまた、理解されるべきである。
【0015】
用語「単離された」は、その化合物が通常、自然状態で関連している構成要素(細胞性またはその他の構成要素)から分離された状態を意味する。
【0016】
「被験体」または「宿主」は、脊椎動物、好ましくは動物または哺乳動物、より好ましくはヒト患者である。哺乳動物としては、マウス、サル、ヒト患者、家畜動物、競技用動物、および愛玩動物を含むがこれらに限定されない。
【0017】
用語「癌」、「新生物」、および「腫瘍」は交換可能に使用され、単数または複数のいずれかの形態で、悪性の形質転換を受け、宿主生物に対して病原性となった細胞をいう。原発性の癌細胞(すなわち、悪性形質転換部位付近から獲得された細胞)は、十分に確立された技術(特に、組織学的試験)により、非癌性細胞と容易に識別され得る。本明細書中で使用される場合、癌細胞の定義は、原発性の癌細胞だけでなく、癌細胞祖先から誘導された任意の細胞も含む。これらとして、転移した癌細胞、ならびに癌細胞から誘導されたインビボ培養物および細胞株が挙げられる。通常、固形腫瘍として表される型の癌をいう場合、「臨床的に検出可能」な腫瘍は、腫瘍塊に基づき、例えば、CATスキャン、磁気共鳴画像法(MRI)、X線、超音波、または触診法のような手順により検出可能な腫瘍である。この定義を満たすために、生化学的知見または免疫学的知見は単独では不十分であり得る。
【0018】
本明細書中で使用される場合、「阻害」は、組織中の内皮細胞の成長、増殖、または細胞分裂、あるいは血管形成を停止、遅延、または緩慢にすることを意味する。阻害をモニターするための方法として、内皮細胞増殖アッセイ、血液含量の決定および血管構造の密度の定量的な決定による血管床(vascular bed)の容量の測定が挙げられるがこれらに限定されない。培養物が細胞の混合物である場合、新生血管形成は、内皮細胞特異的マーカー(例えば、脈管形成因子、タンパク質分解酵素、および内皮細胞特異的細胞接着分子)を発現する細胞の定量的な測定によりモニタリングされる。
【0019】
「組成物」は、活性因子と別の化合物または組成物(不活性(例えば、検出可能因子または標識)でも活性でもよい)(例えば、アジュバント)との組み合わせを意味することを意図とする。
【0020】
「薬学的組成物」は、その組成物をインビトロ、インビボ、またはエキソビボでの診断用途または治療用途に適するようにするキャリア(不活性でも活性でもよい)と、活性因子との組み合わせを含むことを意図する。
【0021】
本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に受容可能なキャリア」は、任意の標準的な薬学的キャリア(例えば、リン酸緩衝生理食塩水溶液、水、およびエマルジョン(油/水エマルジョンまたは水/油エマルジョン)、ならびに種々の型の湿潤剤を含む。組成物はまた、安定化剤および防腐剤を含み得る。キャリア、安定化剤、およびアジュバントの例として、Martin、REMINGTON’S PHARM.SD.第15版(Mack Publ.Co.、Easton(1975))を参照のこと。
【0022】
「有効量」は、有益な結果または所望の結果をもたらすのに十分な量である。例えば、治療量は、所望の治療効果を達成する量である。この量は、予防有効量(疾患または疾患の徴候が発症するのを予防するのに必要とされる量)と同一であるかまたは異なり得る。有効量は、1以上の投与、適用、または投薬量で投与され得る。
【0023】
ゴシポール(フェノールアルデヒド)は、通常、綿として一般に公知であるGossypium属の黄色色素として存在する。性腺摘除と類似の様式で生殖系のステロイド生合成を変更することにより、多くの補助的器官の変性を引き起こすことが示されている。しかし、最近、ゴシポールは、ステロイド応答性腫瘍のための潜在的な抗癌剤として注目されている(例えば、Linら(1995)Proc.Ann.Mtg.Am.Assoc.Cancer Res.36:A2329)。ゴシポールは、ステロイド合成系へのその効果と異なる機構を介して細胞増殖におけるその阻害効果を発揮することが考えられる。
【0024】
本発明者らは、ゴシポールが、内皮細胞増殖を阻害し、そして抗脈管形成特性を有することを発見した。これらの知見に従って、本発明は、増殖を阻害する量のゴシポールまたは薬学的に受容可能なその塩、誘導体もしくはプロドラッグを、細胞に送達することにより、内皮細胞の増殖を阻害するための方法を提供する。本発明はまた、抗血管新生量のゴシポールまたは薬学的に受容可能なその塩、誘導体もしくはプロドラッグを、組織に送達することにより、組織における血管新生を阻害する方法を提供する。
【0025】
本方法は、インビトロまたはインビボで実施され得る。インビトロで実施される場合、内皮細胞または血管形成した組織は、例えば、以下に例示するような当業者に周知の条件下で培養される。細胞および/または組織は、構築された細胞株由来であり得るか、または被験体から獲得した生検サンプルから培養され得る。次いで、ゴシポールまたは薬学的に受容可能なその誘導体、塩、もしくはプロドラックは、培養培地に直接添加されるか、または薬学的組成物の成分として送達される。
【0026】
1つの局面において、ゴシポールの誘導体は、酢酸ゴシポールである。本明細書中で使用される場合、用語「ゴシポール」は、他に明確に示されない限り、種々の別個の実施形態を包含することを意図する。この用語は、ラセミ化合物およびその純粋な鏡像異性形態(±)および(−)、酢酸ゴシポールのような誘導体、それらの薬学的に受容可能な塩ならびにプロドラッグを包含する。ラセミゴシポールの精製は、以下に記載される。1つの局面において、精製されたゴシポールは、その(−)形態のみである。さらなる局面において、精製されたゴシポールは、その(+)形態のみである。ラセミ、(+)、または(−)形態は、各々市販されており、そして各々の単離方法は当該分野で公知である。例えば、使用するHPLCカラムクロマトグラフィー(例えば、CHIRAL−AGP、CHIRAL−CBHおよびCHIRAL−HAS)は、Chrom Tech International,ABから入手可能である。Perkins−Elmerもまた、Sulfadex Chiral Separation Kitの名で、キラル分離キットを販売している。
【0027】
塩の例としては、以下が挙げられる:酢酸塩、アジビン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、フルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサノエート、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パーモエート(palmoate)、ペクチネート、過硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバレート(pivalate)、プロピオン酸塩、スクシネート、酒石酸塩、チオシアネート、トシレート(tosylate)およびウンデカン酸塩。塩の他の例は、適切なカチオン(例えば、Na+、NH4 +およびNW4 +(ここで、Wは、C1〜4アルキル基である)を有する本発明の化合物のアニオンを含む。
【0028】
治療用途のために、本発明の化合物は、薬学的に受容可能であるべきである。しかし、薬学的に受容可能ではない酸および塩基の塩もまた、例えば、薬学的に受容可能な化合物の調製または精製において使用可能である。
【0029】
全ての治療が、各個人に対して有効というわけではないので、各患者に対する効果を評価するインビトロアッセイが有効である。本発明の方法は、ゴシポール治療が、内皮細胞の病的な増殖に関連する個々の被験体特異的な疾患を処置するか否かを決定する手段を提供する。その例を本明細書中に提供する。例えば、組織生検が、患者から単離され、そして有効量の薬学的組成物または本明細書中で定義されるような治療と、細胞の成長および増殖に有効な条件下で接触される。従来手順(例えば、本明細書中に記載されるCPAEアッセイ)により決定される病理学的な細胞の成長の阻害は、本発明の組成物および/または治療が患者を効果的に処置し得ることを示す。
【0030】
脈管形成または新規の脈管構造の形成は、新規の血管を形成する基本的なプロセスである。これは、必須の生理学的現象(例えば、生殖系の発達および創傷治癒)に関与している。通常の条件下では、新脈管形成は、高度に調節されている。しかし、多くの疾患は、持続的な調節されていない新脈管形成により引き起こされる。慢性関節リウマチにおいて、新規の毛細血管は、関節に侵入し、軟骨組織を破壊する。糖尿病性網膜症において、網膜における新規の毛細血管は、硝子体に侵入し、出血し、そして失明の原因となる。腫瘍の増殖および転移は新脈管形成依存性である。ほとんどの原発性の固形腫瘍は、長期の無血管状態、見かけ上の休眠、および増殖(到達可能な最大の大きさは直径約1〜2mmである)を経る。この大きさまで、腫瘍細胞は、単純な受動性拡散により必要な酸素および栄養素を獲得し得る。これらの微視的な腫瘍塊は、腫瘍塊に向かって成長し、最終的に腫瘍塊に浸入する新規の毛細血管の発生(sprouting)を開始するために、周囲の成熟宿主血管を補充することによって最終的に脈管形成を開始し得る。これによって、腫瘍塊の容赦のない拡張および血行性転移的拡散の可能性が生じる。新脈管形成の開始は、異所性生成物および「腫瘍新脈管形成因子」(TAF)と呼ばれる増殖因子の腫瘍細胞による同化により誘導されると、当初仮定されていた。
【0031】
本発明はまた、被験体に治療有効量のゴシポール(ラセミ化合物、(+)または(−))またはこれらの1つ以上を含有する薬学的組成物を投与することにより、被験体における病理学的な新生血管形成に関連する障害を処置する方法を提供する。この文脈で使用する場合、「処置する」こととは、病理的な新生血管形成および新生血管形成の減少に関連する症候を緩和することを意味する。このような状態として、関節炎状態、新生血管形成に基づく皮膚状態、糖尿病性網膜症、カポージ肉腫、加齢性黄斑変性、毛細管拡張症(telangectasia)、緑内障、ケロイド、角膜移植拒絶、創傷肉芽化(granularization)、血管線維腫、オスラー−ウェバー症候群、心筋新脈管形成、および強皮症が挙げられるがこれらに限定されない。関節炎状態の例は、慢性関節リウマチおよび変形性関節炎からなる群より選択される。癌および固形腫瘍の処置のために、「処置」することとは、血管の成長を阻害することを含む。血管の成長の阻害により成長のために腫瘍により必要とされる腫瘍および/または癌細胞のためのの栄養素が欠乏する。腫瘍および成長は、大きさの面で減少し、消失する可能性がある。関節炎状態を処置するための投与は、軟骨(特に、関節)における血管形成の減少を引き起こす。これにより、これらの領域における運動性および可撓性が増加する。乾癬の処置については、投与は、皮膚学的な症状(例えば、瘡蓋形成(scabbing)、剥離(flaking)、および皮膚表面下の目に見える血管)を減少させる。糖尿病性網膜症において、活性画分の投与は、網膜における外来血管の形成を減少させる。これにより、視覚が妨害されない。カポージ肉腫の処置において、活性画分の投与は、成長および/またはさらなる血管形成を阻害し、それによって、病巣および/または腫瘍の形成が生じるのを阻害する。
【0032】
本出願人らは、(−)ゴシポールが主要な器官(例えば、心臓、脾臓、および筋肉)に濃縮されていることを予期せず発見した。従って、1つの局面において、本発明は、被験体または目的の器官の細胞に有効量の(−)ゴシポールを送達することにより、これらの器官における新生血管形成の症状を処置または緩和するための手段を提供する。その(+)形態は、腎臓内に濃縮されている。従って、別の局面において、本発明は、被験体または腎臓細胞に有効量の(+)ゴシポールを送達することにより、腎臓における新生血管形成の症状を処置または緩和するための手段を提供する。
【0033】
活性画分を被験体(例えば、マウス、ラット、またはヒト患者)に投与する場合、この薬剤は、薬学的に受容可能なキャリアに添加され得、そして被験体に全身投与、経口投与、経皮投与、または局所投与される。治療量は、経験的に決定され得、処置される病理、処置される被験体、および治療方法において使用される画分の形態の毒性と共に変化する。活性画分は、経口送達、静脈内送達、腹膜内送達、または経皮送達され得る。動物に投与される場合、この方法は、活性画分の効果をさらに確認するのに有用である。
【0034】
動物モデルの例として、ヌードマウス(Balb/c NCR nu/nu雌、Simonsen、Gilroy、CA)の群は、各々、本明細書中に規定されるような約105〜約109の過剰増殖細胞を皮下接種される。移植片が確立した場合、この化合物は、例えば、移植片付近に皮下注入することにより投与される。移植片の大きさの減少を決定するための測定は、1週間に2回、ベニアはさみ(venier caliper)を用いて二次元的に実施される。
【0035】
Jackson Labs(Maine)由来のMRL/lprマウス(MRL/MpJ−Faslpr)は、関節炎状態における効果を試験またはモニタリングするのに有用である。ポジティブな治療上の利益として、動物の関節および後足の減少した膨張ならびに減少した軟骨の分解が挙げられ、これらはX線によってモニタリングされ得る。
【0036】
インビボ投与は、処置過程を通して、単一用量で、複数用量で、連続的に、または断続的にもたらされ得る。投与の最も有効な手段および投薬量を決定する方法は、当業者に周知であり、治療に使用される組成物、治療の目的、処置される標的細胞、および処置される被験体と共に変化する。単一の投与または複数の投与は、処置専門医により選択された用量レベルおよびパターンで実施され得る。適切な投薬処方物および薬剤を投与する方法は、以下で見出され得る。
【0037】
本発明の組成物および薬学的処方物は、医薬および健康食品サプリメントの製造において、そして従来手順に従って投与することによりヒトおよび他の動物を処置するために(例えば、薬学的組成物中の活性成分)使用され得る。
【0038】
薬学的組成物は、経口投与、鼻腔内投与、非経口投与され得るか、または吸入療法により投与され得、錠剤、ロセンジ、顆粒、カプセル剤、丸剤、アンプル、坐薬、またはエアロゾル形態の形態を取り得る。これらはまた、水性または非水性の希釈剤、シロップ、顆粒、または粉末中の活性成分の懸濁物、溶液、およびエマルジョンの形態を取り得る。本発明の化合物に加えて、薬学的組成物はまた、他の薬学的活性成分を含み得る。
【0039】
より詳細には、本明細書中で活性成分とも言われる活性画分は、任意の適切な経路(経口、直腸、経鼻、局所(経皮、エアロゾル、頬側および舌下を含む)、膣、非経口(parental)(皮下、筋内、静脈内および皮内を含む)および肺が挙げられる)によって、治療のために投与され得る。好ましい経路は、レシピエントの状態および年齢、ならびに処置される疾患によって変更されることがまた、理解される。
【0040】
この方法がインビボで実施される場合、病的な内皮細胞の増殖または新生血管形成が、被験体において阻害される。治療有効量のゴシポール(ラセミ化合物、(+)または(−))、または薬学的に受容可能なそれらの誘導体、塩、もしくはプロドラッグが、その意図する結果を誘導するのに有効量で被験体に送達される。本発明はまた、治療有効量または増殖阻害量のゴシポール(ラセミ化合物、(+)、または(−))または薬学的に受容可能なその誘導体、塩、もしくはプロドラッグを被験体に投与することにより、被験体における病的な新生血管形成に関連する障害を処置する方法を提供する。このような状態として、関節炎状態、新生血管形成に基づく皮膚状態、糖尿病性網膜症、再狭窄、カポージ肉腫、加齢性黄斑変性、毛細管拡張症(telangectasia)、緑内障、ケロイド、角膜移植拒絶、創傷肉芽化(granularization)、血管線維腫、オスラー−ウェバー症候群、心筋新脈管形成、および強皮症が挙げられるがこれらに限定されない。関節炎状態の例は、慢性関節リウマチ、乾癬関節炎および変形性関節炎からなる群より選択される。
【0041】
ゴシポールを被験体(例えば、マウス、ラット、またはヒト患者)に投与する場合、この薬剤は、薬学的に受容可能なキャリアに添加され得、そして被験体に全身投与、経口投与、経皮投与、または局所投与され得る。治療量は、経験的に決定され得、処置される病理、処置される被験体、および処置される状態と共に変化する。
【0042】
全ての治療が、各個人に対して有効というわけではないので、各患者に対する効果を評価するインビトロアッセイが有効である。本発明の方法は、組成物または治療が、内皮細胞の病的な増殖または脈管形成に関連する被験体特異的な疾患を処置するか否かを決定する手段を提供する。例えば、組織生検が、患者から単離され、そして有効量の薬学的組成物または本明細書中で定義されるような治療と、細胞の成長および増殖に有効な条件下で接触される。従来手順(例えば、本明細書中に記載されるCPAEアッセイ)により決定される病理学的な細胞の成長の阻害は、本発明の組成物および/または治療が患者を効果的に処置し得ることを示す。
【0043】
薬物成分は単独で投与される可能性があるが、この薬物成分のための1つ以上の薬学的に受容可能なキャリアおよび必要に応じて他の治療剤と一緒に、上に規定した少なくとも1つの活性成分を含む薬学的処方物として示されることが好ましい。各キャリアは、処方物の他の成分と適合性であり、患者に対して有害でないという意味で「受容可能」でなければならない。
【0044】
処方物には、経口、直腸、経鼻、局所(経皮、頬側および舌下を含む)、膣、非経口(皮下、筋内、静脈内および皮内を含む)および肺投与にとって適切な処方物が含まれる。処方物は、単位投薬形態で都合よく示され得、そして薬学の分野において周知の任意の方法によって調製され得る。このような方法は、活性成分を、1つ以上の補助的成分を構成するキャリアと結合させる工程を包含する。一般的に、処方物は、活性成分と液体キャリアまたは細かく粉砕した固体キャリアあるいはそれら両方とを結合させて、均一かつ密に調製され、次いで必要に応じて、その製品を成形する。
【0045】
経口投与に適切な本発明の処方物は、例えば、カプセル、カシェ剤または錠剤のような別個の単位(これらの各々は所定の量の活性成分を含んでいる)として;粉末または顆粒として;水性または非水性の液体中の溶液または懸濁液として;あるいは水中油液体エマルジョンもしくは油中水液体エマルジョンとして示され得る。これらの活性成分はまた、ボーラス、舐剤またはペーストで示され得る。
【0046】
錠剤は、必要に応じて1つ以上の補助成分と共に、圧縮または成形によって作製され得る。圧縮錠剤は、自由流動形態(例えば、必要に応じて結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、グリコール酸ナトリウムデンプン(sodium starch glycolate)、架橋したポビドン、架橋したカルボキシルメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤と混合された粉末または顆粒)の活性成分を適切な機械で圧縮することによって調製され得る。成形された錠剤は、不活性液体希釈剤を用いて湿らせた粉末化化合物の混合物を、適切な機械で成形することによって作製され得る。錠剤は必要に応じてコートされ得るか、または刻み目を付けられ(score)得、そして例えば、種々の割合のヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いて、その中に活性成分の徐放または制御放出を提供するように処方されて、所望の放出プロフィールを提供し得る。錠剤は、必要に応じて、腸溶性コーティングと共に提供され、胃以外の消化管の部分での放出を提供し得る。
【0047】
口における局所投与のために適切な処方物としては、ロゼンジ(通常、ショ糖およびアラビアゴムまたはトラガカントゴムである風味付けした基剤中に活性成分を含む);香錠(ゼラチンおよびグリセリンまたはショ糖およびアラビアゴムのような不活性な基剤中に活性成分を含む);ならびにマウスウォッシュ(適切な液体キャリア中に活性成分を含む)が挙げられる。
【0048】
本発明に従う局所投与のための薬学的組成物は、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉末、溶液、ペースト、ゲル、噴霧、エアロゾルまたは油として処方され得る。あるいは、処方物は、活性成分および必要に応じて、1つ以上の賦形剤もしくは希釈剤に浸漬させた包帯または接着ギブスのようなパッチまたは包帯を含み得る。
【0049】
眼または他の外部組織(例えば、口および皮膚)の疾患のために、処方物は、好ましくは、活性成分を含む、局所的な軟膏またはクリームとして適用される。軟膏にて処方される場合、薬物は、パラフィン系または水混和性の軟膏基剤のいずれかと共に使用され得る。あるいは、薬物成分は、水中油クリーム基剤と共にクリーム中に処方され得る。
【0050】
所望の場合、クリーム基剤の水相は、例えば、少なくとも約30% w/wの多価アルコール(すなわち、2つ以上のヒドロキシル基を有するアルコール(例えば、プロピレングリコール、ブタン−1,3−ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロールおよびポリエチレングリコールならびにそれらの混合物))を含み得る。局所処方物は、望ましくは、皮膚または他の病気に冒された領域を通る薬物成分の吸収または浸透を増強する化合物を含み得る。このような真皮浸透増強剤の例としては、ジメチルスルホキシドおよび関連するアナログが挙げられる。
【0051】
本発明のエマルジョンの油相は、任意の公知の様式において、公知の成分から構成され得る。この相は、乳化剤(他には、排出促進剤として公知)のみを含み得るが、望ましくは、脂肪または油か、あるいは脂肪および油の両方と、少なくとも1つの乳化剤の混合物を含む。好ましくは、親水性乳化剤が、安定化剤として作用する親油性乳化剤と共に含まれる。油および脂肪の両方が含まれることもまた、好ましい。同時に、安定化剤を伴うか、または伴わない乳化剤は、いわゆる乳化ワックスを構成し、そしてこのワックスは、油および/もしくは脂肪と一緒に、いわゆる乳化軟膏基剤(これは、クリーム処方物の油性分散相を形成する)を構成する。
【0052】
本発明の処方物における使用のために適切な排出促進剤およびエマルジョン安定化剤としては、Tween60、Span80、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、グリセリルモノステアレートおよびラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0053】
薬学的エマルジョン処方物においておそらく使用される大部分の油状物における活性化合物の可溶性は、非常に低いので、処方のために適切な油または脂肪の選択は、所望の美的特性の達成に基づく。従って、クリームは、好ましくは、チューブまたは他の容器からの漏出を避けるために適切な粘稠度を有する、非脂肪性、非着色性および洗浄可能な製品であるべきである。直鎖または分枝鎖の、一塩基性アルキルエステルまたは二塩基性アルキルエステル(例えば、ジ−イソアジペート、ステアリン酸イソセチル、ココナツ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、2−エチルへキシルパルミテート、またはCrodamol CAPとして公知の分枝鎖エステルの混合物が使用され得る。最後の3つが好ましいエステルである。これらは、必要とされる特性に依存して、単独または組み合わせて使用され得る。あるいは、融点の高い脂質(例えば、白色ソフトパラフィンおよび/または液体パラフィン)または他の鉱物油が使用され得る。
【0054】
眼への局所投与のために適切な処方物はまた、点眼剤を含み、ここで、活性成分は、適切なキャリア(特に、活性成分用の水性溶媒)に溶解されるか、または懸濁される。直腸投与のための処方物は、適切な基剤(例えば、ココアバターまたはサリチル酸塩を含む)と共に坐剤として示され得る。
【0055】
膣投与のために適切な処方物は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡剤または噴霧処方物として示され得、これらは、活性成分と併せて、当該分野において適切であることが公知のキャリアを含む。
【0056】
経鼻投与のために適切な処方物(キャリアは固体である)は、例えば、約20〜約500ミクロンの範囲の粒子サイズを有する、粗い粉末を含み、これは、鼻から吸い込む様式(すなわち、鼻に密着させた、粉末の容器から鼻腔を通って迅速に吸入される)により投与される。適切な処方物は、プロドラッグ成分の水性溶液または油性溶液を含み、ここで、キャリアは、例えば、鼻内噴霧、点鼻剤としての投与、またはネブライザーによるエアロゾル投与による投与のための液体である。
【0057】
非経口投与のために適切な処方物は、処方物を、意図されたレシピエントの血液と等張性にする水性および非水性の滅菌注射溶液(これらは、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤および溶質を含み得る);ならびに水性および非水性の滅菌懸濁液(これらは、懸濁剤および増粘剤を含み得る)、およびリポソームまたは他の微粒子系(これらは、化合物が血液成分もしくは1つ以上の器官を標的化するように設計される)を含む。これらの処方物は、単回用量または複数回用量の密封容器(例えば、アンプルおよびバイアル)中に示され得、そして使用の直前に、滅菌液体キャリア(例えば、注射用水)の添加だけを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存され得る。即席の注射溶液および懸濁液は、先に記載した種類の滅菌の粉末、顆粒および錠剤から調製され得る。
【0058】
好ましい単位投薬量の処方物は、本明細書中で上に列挙されるような、薬物成分の、一日用量または単位、一日準用量(subdose)またはそれらの適切な画分を含む処方物である。
【0059】
特に上記された成分に加えて、本発明の処方物が、問題の処方物を考慮して当該分野で従来的な他の薬剤を含み得ること、例えば、経口投与に適切な処方物は、甘味料、増粘剤および香料のようなさらなる薬剤を含み得ることが、理解されるべきである。これらはまた、さらなる活性薬剤(例えば、抗腫瘍剤、抗癌剤、抗新血管形成剤または免疫増強剤)を含み得る。
【0060】
ゴシポール、(ラセミ化合物または必要に応じて純粋な組成物)、そのプロドラッグ、塩または誘導体およびこれらの組成物はまた、獣医学の処方物(これは、例えば、当該分野の従来方法によって調製され得る)の形態での使用のために示され得る。
【0061】
本発明は、さらに、新生血管形成または内皮細胞増殖を阻害するための治療剤についてスクリーニングするための方法を提供する。このスクリーニングは、以下:
(a)薬剤を、適切な細胞サンプルまたは組織サンプルと接触させる工程;
(b)この適切な細胞サンプルまたは組織サンプルの別個のサンプルを、治療有効量のゴシポールまたはその薬学的に受容可能な誘導体、塩もしくはプロドラッグと接触させる工程;ならびに
(c)工程(a)のサンプルの増殖を、工程(b)のサンプルの増殖と比較する工程であって、工程(b)のサンプルと同じかまたは類似の程度まで増殖を阻害する工程(a)の任意の薬剤が、新生血管形成または内皮細胞増殖を阻害するための治療剤である、工程、
を包含する。
【0062】
本明細書中に記載されるさらなる治療剤および薬剤は、必要に応じて、これらのサンプルと組み合わされ得る。
【0063】
被験体における病理学的な新生血管形成に関連する疾患を処置するためのキットもまた、本発明によって提供される。このキットは、治療有効量のゴシポール(ラセミ化合物、(+)もしくは(−))またはその薬学的に受容可能な誘導体、塩もしくはプロドラッグ、および使用のための指示書を含む。このキットは、以下からなる群より選択される障害を処置するために有用である:関節炎状態、新生血管形成に基づく皮膚状態、糖尿病性網膜炎、再狭窄、カポージ肉腫、加齢性黄斑変性、毛細管拡張症(telangectasia)、緑内障、ケロイド、角膜移植拒絶、創傷の肉芽化(granularization)、血管線維腫、オスラー−ウェバー(Osler−Webber)症候群、心筋新脈管形成、強皮症、慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎および変形性関節炎。
【0064】
以下の実施例は説明の目的であり、本発明を限定しない。
【実施例】
【0065】
(実施例1)
(ゴシポールの単離および精製)
ゴシポールおよび酢酸ゴシポールは、Hronおよび共同研究者ら(Hron,R.J.,Srら(1987)J.Am Oil Chem Soc.64:1315;Hron,R.J.,Srら(1992)米国特許第5,112,637号;Hron,R.J.,Srら(1987)J.Am.Chem Soc.69:950)、ならびにKukおよび共同研究者ら(Kuk,M.S.ら(1992)米国特許第5,077,441号;Kuk,M.S.ら(1993)J.Am.Oil Chem Soc.70:209;Kuk,M.S.ら(1994)J.Am.Oil Chem Soc.71:417)に従って調製される。いくつかのサンプルは、Texas Agriculture Experimental Station、Texas A&M University、San Angelo、TexasのM.C.Calhoun博士の厚意の寄贈である。
【0066】
(実施例2)
(ゴシポールによる、内皮細胞アッセイの阻害)
(内皮細胞アッセイ)
これらのアッセイを、改変(LiangおよびWong(1999)ANGIOGENESIS:FROM THE MOLECULAR TO INTEGRATIVE PHARMACOLOGY(Maradoudakis編、Kluwer Academic/Plenum.Publishers、New York))を伴う、Connallyら(1986)Anal.Biochem.152:136−4の手順に従って実行した。
【0067】
(結果および考察)
(表I.ゴシポールによる、内皮細胞アッセイの阻害)
【0068】
【表1】
本発明者らの内皮細胞培養アッセイの結果を、上記表Iに示す。純粋なゴシポールは、細胞増殖を阻害する。内皮細胞アッセイの結果は、内皮細胞アッセイへのゴシポールの添加が、内皮細胞増殖の有意な阻害を提供することを示す。このアッセイにおいて、純粋なゴシポールサンプルは、内皮細胞増殖の97.6%の増殖速度を誘発した。酢酸ゴシポール(ゴシポールの安定な誘導体)由来のサンプルはまた、濃度に依存して、21.3%阻害〜46.2%阻害の範囲の有意な阻害を示した。このことは、ゴシポールが、非常に有効な内皮細胞増殖インヒビターであることを強力に示す。コントロールのみは、10%の阻害を示した。
【0069】
脈管形成の阻害についての濃度依存研究もまた実施され、そして純粋なゴシポールについては図1に、酢酸ゴシポールについては図2に示される。非常に低い濃度(僅かミリモル濃度)でさえ、ゴシポールは、内皮細胞増殖の非常に強力なインヒビターであることが明らかである。
【0070】
上述の発明を、理解を明確にするための例示および例として、いくらか詳細に記載してきたが、特定の変化および改変が実行されることは、当業者に明らかである。例えば、当業者に明らかなように、本発明の方法は、1以上の既知の抗腫瘍、抗脈管形成および免疫増強の治療剤および組成物(例えば、サメ軟骨、チロスフィンゴシンまたはスフィンゴシン)と組み合わされ得る。従って、記載および実施例は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定するとは解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は、内皮細胞アッセイにおける純粋なゴシポールの%阻害を示すグラフである。
【図2】図2は、内皮細胞アッセイにおける酢酸ゴシポールの細胞阻害性を示すグラフである。
Claims (41)
- 内皮細胞の増殖を阻害するための方法であって、該方法は、増殖阻害量のゴシポールまたはその薬学的に受容可能な誘導体、塩もしくはプロドラッグを該細胞に送達する工程を包含する、方法。
- 前記ゴシポールが、(+)ゴシポール、(−)ゴシポールおよびこれらのラセミ化合物からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記ゴシポールの誘導体が、酢酸ゴシポールである、請求項1に記載の方法。
- 組織における血管新生を阻害する方法であって、該方法は、抗血管新生量のゴシポールまたはその薬学的に受容可能な誘導体、塩もしくはプロドラッグを該組織に送達する工程を包含する、方法。
- 前記ゴシポールが、(+)ゴシポール、(−)ゴシポールおよびこれらのラセミ化合物からなる群より選択される、請求項4に記載の方法。
- 前記ゴシポールの誘導体が、酢酸ゴシポールである、請求項4に記載の方法。
- 主要な器官における血管新生を阻害する方法であって、該方法は、抗血管新生量の(−)ゴシポールまたはその薬学的に受容可能な誘導体、塩もしくはプロドラッグを該組織に送達する工程を包含する、方法。
- 前記主要な器官が、心臓、脾臓および筋肉からなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
- 腎臓の細胞または組織における血管新生を阻害する方法であって、該方法は、抗血管新生量の(+)ゴシポールまたはその薬学的に受容可能な誘導体、塩もしくはプロドラッグを該組織に送達する工程を包含する、方法。
- 前記送達する工程が、インビトロまたはインビボである、請求項1、4、7または9のいずれか1項に記載の方法。
- 抗脈管形成、抗腫瘍および免疫増強からなる群より選択される薬剤または治療の有効量を送達する工程をさらに包含する、請求項10に記載の方法。
- 宿主における病理学的新生血管形成に関連する障害を処置する方法であって、該方法は、増殖阻害量のゴシポールまたはその薬学的に受容可能な誘導体、塩もしくはプロドラッグの治療有効量を被験体に投与する工程を包含する、方法。
- 前記ゴシポールが、(+)ゴシポール、(−)ゴシポールおよびこれらのラセミ化合物からなる群より選択される、請求項12に記載の方法。
- 抗脈管形成、抗腫瘍および免疫増強からなる群より選択される薬剤または治療の有効量を前記被験体に投与する工程をさらに包含する、請求項12に記載の方法。
- 請求項12に記載の方法であって、前記障害が、関節炎状態、新生血管形成に基づく皮膚状態、糖尿病性網膜炎、カポージ肉腫、加齢性黄斑変性、再狭窄、毛細管拡張症、緑内障、ケロイド、角膜移植拒絶、創傷肉芽化、血管線維腫、オースラー−ウェーバー症候群、心筋新脈管形成、乾癬性関節炎および強皮症からなる群より選択される、方法。
- 前記障害が、慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎および変形性関節炎からなる群より選択される関節炎状態である、請求項15に記載の方法。
- 前記ゴシポールの誘導体が、酢酸ゴシポールである、請求項12に記載の方法。
- 被験体の主要な器官における病理学的新生血管形成に関連する障害を処置する方法であって、該方法は、治療有効量の(−)ゴシポールまたはその薬学的に受容可能な誘導体、塩もしくはプロドラッグを該被験体に投与する工程を包含する、方法。
- 前記主要な器官が、心臓、脾臓および筋肉からなる群より選択される、請求項18に記載の方法。
- 抗脈管形成、抗腫瘍および免疫増強からなる群より選択される薬剤または治療の有効量を前記被験体に投与する工程をさらに包含する、請求項18に記載の方法。
- 被験体の腎臓における病理学的新生血管形成に関連する障害を処置する方法であって、該方法は、治療有効量の(+)ゴシポールまたはその薬学的に受容可能な誘導体、塩もしくはプロドラッグを該被験体に投与する工程を包含する、方法。
- 請求項9、12、15または18のいずれか1項に記載の方法であって、前記送達する工程が、経口投与、静脈内、腹腔内または経皮による、方法。
- 抗脈管形成、抗腫瘍および免疫増強からなる群より選択される薬剤または治療剤の有効量を前記被験体に投与する工程をさらに包含する、請求項21に記載の方法。
- 前記宿主または被験体が、動物である、請求項21に記載の方法。
- 前記動物が、愛玩動物、家畜またはヒト患者からなる群より選択される、請求項24に記載の方法。
- 被験体の全体的な健康または健康状態を改善するための方法であって、該方法は、有効量のゴシポールを該被験体に投与する工程を包含する、方法。
- 前記量が、健康食品補助剤として送達される、請求項26に記載の方法。
- 前記宿主または被験体が、動物である、請求項26に記載の方法。
- 前記動物が、愛玩動物、家畜またはヒト患者からなる群より選択される、請求項26に記載の方法。
- 前記ゴシポールが、(+)ゴシポール、(−)ゴシポールおよびこれらのラセミ化合物からなる群より選択される、請求項26に記載の方法。
- 前記ゴシポールの誘導体が、酢酸ゴシポールである、請求項26に記載の方法。
- 新生血管形成または内皮細胞の増殖を阻害するための治療剤についてスクリーニングするための方法であって、該方法は、以下:
a.該薬剤を、適切な細胞サンプルまたは組織サンプルと接触させる工程;
b.該適切な細胞サンプルまたは組織サンプルの別個のサンプルを、治療有効量のゴシポールまたはその薬学的に受容可能な誘導体、塩もしくはプロドラッグと接触させる工程;ならびに
c.工程(a)のサンプルの増殖を、工程(b)のサンプルの増殖と比較する工程であって、工程(b)のサンプルと同じかまたは類似の程度まで増殖を阻害する工程(a)の任意の薬剤が、新生血管形成または内皮細胞増殖を阻害するための治療剤である、工程、
を包含する、方法。 - 前記接触させる工程が、インビトロまたはインビボである、請求項32に記載の方法。
- 前記ゴシポールが、(+)ゴシポール、(−)ゴシポールおよびこれらのラセミ化合物からなる群より選択される、請求項32に記載の方法。
- 前記ゴシポールの誘導体が、酢酸ゴシポールである、請求項32に記載の方法。
- 工程aおよびbのサンプルを、抗脈管形成、抗腫瘍および免疫増強からなる群より選択される薬剤または治療の有効量と接触させる工程をさらに包含する、請求項32に記載の方法。
- 被験体における病理学的新生血管形成に関連する障害を処置するためのキットであって、該キットは、治療有効量のゴシポールまたはその薬学的に受容可能な誘導体、塩もしくはプロドラッグ、および使用のための指示書を備える、キット。
- 請求項37に記載のキットであって、前記障害が、関節炎状態、新生血管形成に基づく皮膚状態、糖尿病性網膜炎、カポージ肉腫、加齢性黄斑変性、再狭窄、毛細管拡張症、緑内障、ケロイド、角膜移植拒絶、創傷肉芽化、血管線維腫、オースラー−ウェーバー症候群、心筋新脈管形成および強皮症からなる群より選択される、キット。
- 前記障害が、慢性関節リウマチ、乾癬性関節炎および変形性関節炎からなる群より選択される関節炎状態である、請求項38に記載のキット。
- 前記ゴシポールが、(+)ゴシポール、(−)ゴシポールおよびこれらのラセミ化合物からなる群より選択される、請求項37に記載のキット。
- 前記ゴシポールの誘導体が、酢酸ゴシポールである、請求項37に記載のキット。
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