JP2005502309A - オリゴヌクレオチドトランスフェクションスクリーニング方法 - Google Patents

オリゴヌクレオチドトランスフェクションスクリーニング方法 Download PDF

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Abstract

異なる配列のペプトイド(脂質結合体化ペプトイドおよびステロール結合体化ペプトイドを含む)が、オリゴヌクレオチドを用いる細胞のトランスフェクションにおいて有効であることが見出される。このようなペプトイドのコンビナトリアルライブラリーは、ハイスループット形式で効率的にスクリーニングされ得、そして選択されたペプトイドが、スクリーニング後に同定される。本出願は、オリゴヌクレオチドを用いて細胞をトランスフェクトする際の有効性についてペプトイドをスクリーニングするための方法を提供し、この方法は、別個の区画において複数の異なる配列のペプトイドを提供する工程;この区画のうちの少なくとも1つにおいてペプトイド−オリゴヌクレオチド混合物を形成する工程;この混合物を細胞と接触させる工程;このオリゴヌクレオチドによるこの細胞のトランスフェクションの程度を決定する工程;を包含する。

Description

【0001】
(発明の分野)
本発明は、オリゴヌクレオチドでの細胞のトランスフェクションにおける有効性について、異なる配列のペプトイド(脂質結合体化ペプトイドおよびステロール結合体化ペプトイドを含む)(特に、このような化合物のコンビナトリアルライブラリー)をスクリーニングするための方法に関する。
【0002】
(参考文献)
【0003】
【化3】
Figure 2005502309
Figure 2005502309
Figure 2005502309
(発明の背景)
遺伝子同定における最近の急増に伴い、機能的ゲノミックスのための効率的なツールを開発することが重要となっている。最も価値あるものの1つは、細胞ベースのアッセイにおいて遺伝子機能を確認するためのアンチセンスオリゴヌクレオチド技術の使用である。細胞性メッセージを減少させるアンチセンスオリゴヌクレオチドの能力は、現在、十分に証明されている。しかし、これらの効力は、達成される細胞濃度および細胞内のオリゴヌクレオチドの位置に、一部依存する(Garcia−Chaumont、2000;Marcusson、1998)。多くの薬剤が、DNAの送達のために開発されており、そしてこれらのいくつかは、インビトロで核酸を細胞に送達することが示されている。これらの薬剤としては、カチオン性ポリマー(例えば、ポリリジン)およびカチオン性脂質が挙げられる。例えば、リポソーム組成物Lipofectin(登録商標)(Felgnerら、1987)(これは、カチオン性脂質DOTMA(N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド)および中性リン脂質DOPE(ジオレイルホスファチジルエタノールアミン)を含む)が、広範に使用されている。Benimetskaya、1998;Bennett、1992;Cao、2000;DeLong、1999;Kang、1999;Morris、1997;Lewis、1996;およびYoo、2000もまた参照のこと。
【0004】
しかし、オリゴヌクレオチドについて最適化されたキャリアの開発については、ほとんど注目されていなかった。この点は、特に重要である。なぜなら、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、機能的ゲノミックスおよび薬物開発における標的の検証の不可欠な部分となっているからである。理想的には、トランスフェクション薬剤は、使用が容易であり、かつ生物学的系に対する最小限の干渉で、細胞へのオリゴヌクレオチドの再現可能な効率的なトランスフェクションを与えなければならない。不幸にも、多くの公知のトランスフェクション薬剤は、機能的送達の乏しさ、細胞毒性、またはトランスフェクション媒体中の血清との不適合性などの問題に陥っている。
【0005】
増大する数の細胞株における、このようなビヒクルによる毒性および/または非効率的な送達は、新しい候補送達ビヒクルが、一般に、および細胞特異的送達についての両方で、調製され、そしてそれらの活性について試験されることを必要とする。しかし、当該分野で公知のキャリアのようなポリカチオン性キャリアは、個々に合成され、精製され、そして試験されなければならず、そして多くのカチオン性脂質は、最適な活性のためにDOPEとの調合を必要とする。従って、これらは、コンビナトリアル合成による構造的検証または高スループットスクリーニングに受け入れられない。今日まで、このような化合物のスクリーニングは、限られた数の既知の予め選択された組成物について行われてきた。例えば、Bykら、1998;van de Weteringら、1999を参照のこと。従って、候補トランスフェクション薬剤のより効率的な高スループット合成およびスクリーニングの必要性が存在する。
【0006】
脂質−カチオン性ペプトイド結合体(「リピトイド(lipitoid)」および「コレステロイド(cholesteroid)」とも呼ばれる)は、インビトロでの細胞へのプラスミドDNAの送達のための有効な試薬であることが示されている。これらの薬剤は、プラスミドDNAを小さい粒子に凝縮し、それをヌクレアーゼ分解から保護し、そしていくつかの細胞株のトランスフェクションを効率的に媒介し得る(Murphy,1998)。例えば、共有に係るPCT公開WO98/06437およびWO99/08711(Zuckermannら)(これは、共有にかかる米国特許出願08/910,647および09/132,808に対応する)(これらは、参考として本明細書中に援用される)を参照のこと。プラスミドDNAとの脂質−ペプトイド結合体の複合体化は、Huangら、1998に記載される。共有に係る同時係属米国特許出願09/648,254に記載されるように、このような化合物はまた、種々の初代細胞株および腫瘍細胞株へオリゴヌクレオチド(すなわち、より短い長さのDNAまたはDNAアナログ)を効率的に送達することが示されている。これは、プラスミドDNAの送達よりもオリゴヌクレオチドの送達には効果的でない、多くの市販のトランスフェクション薬剤とは対照的である。脂質−ペプトイド結合体は、固相上での自動合成によって合成され得、そして使用前に他の脂質と調合されることを要しない。従って、このような化合物は、本明細書中にさらに記載されるように、コンビナトリアル合成および高スループットスクリーニングに十分に適している。
【0007】
(発明の要旨)
1つの局面において、本発明は、オリゴヌクレオチドでの細胞のトランスフェクションにおける有効性について、ペプトイド(例えば、リピトイドまたはコレステロイド)をスクリーニングするための方法を提供する。この方法は、以下の工程を包含する:別々の区画に複数の異なる配列のペプトイドを提供する工程;これらの区画のうちの少なくとも1つにおいてペプトイド−オリゴヌクレオチド混合物を形成する工程;この混合物を細胞と接触させる工程;およびこのオリゴヌクレオチドによる細胞のトランスフェクションの程度を決定する工程。トランスフェクションの程度は、例えば、オリゴヌクレオチド(これは、その細胞において発現される配列に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドである)を使用して、そしてその細胞中のその配列のレベルにおける変化を検出することによって決定され得る。次いで、ペプトイドが、特に、それが、トランスフェクトペプトイドである場合に、同定される。非トランスフェクトペプトイドもまた、同定され得る。
【0008】
1つの実施形態において、ペプトイドは、固体粒子上で支持され;好ましくは、各区画は、単一の粒子を含み、そして各粒子が、単一のペプトイドを含み;つまり、これらに結合されたペプトイドは、同じ配列を有する。次いで、この方法は、少なくとも1つのペプトイド−オリゴヌクレオチド混合物の形成の前に、その粒子からペプトイドを遊離するさらなる工程を含む。
【0009】
選択される実施形態において、異なる配列のペプトイドは、以下の一般式I:
【0010】
【化4】
Figure 2005502309
を有し、ここで、
は、アルキル、アリール、アラルキル、アラルケニルおよびアラルキニル(これらのいずれかは、1以上の基Xで置換され得る);水素、−OH、−SH、−COOH、スルホニルおよび脂質部分からなる群より選択され、ここで、この脂質部分は、リンカー部分に結合体化され得;
各Rは、アルキル、アリール、アラルキル、アラルケニルおよびアラルキニル(これらのいずれかは、1以上の基Xで置換され得る);および水素からなる群より独立して選択され;
ここで、少なくとも1つの基Rは、水素ではなく;
は、アルキル、アリール、アラルキル、アラルケニルおよびアラルキニル(これらのいずれかは、1以上の基Xで置換され得る);水素、−OH、−SH、−NH、−NHR、−NH(C=O)R(ここで、Rは、低級アルキルである);スルホニル、ヒドラジンおよび脂質部分からなる群より選択され、ここで、この脂質部分は、リンカー部分に結合体化され得;
およびRは、水素、低級アルキルおよび低級アルコキシから独立して選択され;
Xは、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、グアニジノ、アミジノ、アルキルアミノ、アルキルチオ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ケト、アルデヒド、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド、スルホン酸およびスルホン酸エステルから選択され;そして
mは、2〜約50から選択される整数である。
【0011】
さらなる選択される実施形態において、Rは、脂質部分を含み、そしてRは、−NH、−NHRおよび−NH(C=O)R(ここで、Rは、低級アルキルである)から選択される。1つの実施形態において、この脂質部分は、ステロールである。式Iとしては、ポリ(N−置換)グリシン(すなわち、RおよびRの各々が、水素である)が挙げられる。
【0012】
好ましい実施形態において、少なくとも1つのRは、生理学的に適切なpHにおいてカチオン性である基を含み、そして少なくとも1つのRは、生理学的に適切なpHにおいて荷電されていない基である。このカチオン性の基は、例えば、アミノアルキル、アンモニウム(例えば、四級アルキルアンモニウム)、グアニジノ、アミジノ、イミダゾリウム、ピリジニウム、および天然に存在するアミノ酸に見出されるカチオン性側鎖から選択され得る。この荷電されていない基は、例えば、アラルキル(例えば、ベンジルまたはフェネチル)(これは、メトキシ置換型であり得る)、および天然に存在するアミノ酸に見出される中性側鎖から選択され得る。
【0013】
本発明はまた、関連する局面において、オリゴヌクレオチドでの細胞のトランスフェクションにおける有効性について、異なる配列のペプトイドのライブラリーを効率的にスクリーニングするための方法を提供する。この方法は、以下の工程を包含する:
(i)このようなライブラリーの各メンバーをオリゴヌクレオチドと接触させて、複数のペプトイド−オリゴヌクレオチド混合物を形成する工程;
(ii)各混合物を細胞と接触させる工程;
(iii)このオリゴヌクレオチドのトランスフェクションについて各細胞をスクリーニングする工程;および
(iv)トランスフェクトされた細胞を接触された混合物において、トランスフェクトペプトイドを同定する工程。
【0014】
ペプトイドのライブラリーは、最も簡便には、物理的に分離された区画のアレイにおいて提供される。代表的に、これらのペプトイドは、固体粒子上に支持される。この場合、これらのペプトイドは、接触工程(i)の前に粒子から遊離される。好ましい実施形態において、各区画は、単一の粒子を含み、そして各粒子は、単一のペプトイドを含む。
【0015】
スクリーニングは、トランスフェクトされた細胞において、そのオリゴヌクレオチド上の標識を検出することか、またはそのオリゴヌクレオチドが、その細胞における発現された配列に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドである場合、その細胞中のその細胞のレベルにおける変化を検出することを含み得る。
【0016】
これらの複数のペプチドの2連のアレイを、オリゴヌクレオチドとの接触前に作製され、これらは、その後の同定目的に有用である。代表的には、この工程は、固体支持体からのペプトイドの遊離後に行う。スクリーニング後、スクリーニングによって同定された、トランスフェクトペプトイドに対応する位置に配置されている2連のアレイを、適切な方法および材料を使用して(例えば、質量分析法(例えば、タンデム質量分析法(MS−MS))によって)特徴付ける。
【0017】
これらの方法の他の実施形態において、これらの細胞は、異なる細胞型を含み、そして同定工程は、選択されない細胞型(例えば、非腫瘍細胞または上皮細胞)と比較して選択される細胞型(それぞれ、腫瘍細胞または内皮細胞)に対してオリゴヌクレオチドを選択的に送達し得るペプトイドを同定するために効果的である。
【0018】
本発明の方法は、スクリーニング後の効果的なペプトイドの同定を可能にし、そしてペプトイド(例えば、コンビナトリアルライブラリー中のペプトイド)の配列が予め既知であることを必要としない。本明細書中に記載されるペプトイド(リピトイドおよびコレステロイドを含む)は、オリゴヌクレオチドの効率的な輸送のための良好な候補であり、そしてコンビナトリアル合成および高スループットスクリーニングに受け入れられるという利点を提示する。
【0019】
タンデム質量分析法によって分析物ペプトイドの配列を決定する方法もまた提供され、ここで、ペプトイドのN置換基は、既知の置換基の集団から選択される。この方法は、以下を包含する:(a)少なくとも1つの理論的ペプトイドにおいてアミド結合を切断することによって生成されるフラグメントの推定分子量を決定する工程であって、この理論的ペプトイドは、上記の既知のN置換基の集団の1つの組み合わせに基づく配列を有する、工程;(b)この分析物ペプトイドをMS−MSフラグメント化に供し、種々の分子量の分析物フラグメントイオンの集団を生成する工程;および(c)これらの分析物フラグメントの分子量が、その推定分子量に対応するか否かを決定し、そして従って、その分析物ペプトイドが、(b)の理論的ペプトイドの配列を有するか否かを決定する工程。好ましくは、フラグメントの推定分子量は、上記の既知のN置換基の集団の異なる組み合わせに基づく配列を有する、複数の理論的ペプトイドについて決定される。1つの実施形態において、分析物ペプトイドにおける1以上の選択された位置のN置換基が、予め決定される。
【0020】
本発明のこれらおよび他の目的および特徴は、本発明の以下の詳細な説明を添付の図面と共に読む場合に、より完全に明らかとなる。
【0021】
(発明の詳細な説明)
(I.定義)
以下の用語は、他に示されない限り、以下の意味を有する。
【0022】
「コンビナトリアルライブラリー」は、一般に、独立して種々の置換基、官能基または他の構造エレメントを有するコア構造に基づく、化合物のコレクションである。各独立した種々のエレメントについて選択される化学部分の範囲について、これらのエレメントの全ての可能な順列を含む化合物が、ライブラリーに存在し得る。ライブラリーの多様なメンバーの全てまたは任意の組み合わせが、同時に合成され得るような、コンビナトリアルライブラリーを調製するための方法が、好ましい。
【0023】
本明細書中で議論されるペプトイドライブラリーは、代表的には、2〜約1000個、好ましくは、約10〜500個、そして最も好ましくは、約10〜100個の異なる配列のペプトイドを含む。
【0024】
ライブラリーまたはアレイの「複数」のメンバーは、ライブラリーまたはアレイの全てまたは任意の2以上のメンバーを含み、代表的には、そのアレイの少なくとも半分を含む。
【0025】
用語「固相」、「樹脂」、「ビーズ」、および「粒子」は、任意の固体支持体または基材をいい、これらの上で、一連の反応工程を含む化学合成の反応工程が実施され得る。従って、この用語は、標準的なFmoc化学合成において従来利用されているポリスチレン樹脂(例えば、Nova Biochem製の「Rinkアミド」樹脂)のような、粒子基材を含む。
【0026】
「ペプトイド」は、例えば、PCT公開WO 94/06451、WO 98/06437、WO 99/08711、および米国特許第5,877,278号(Zuckermannら)に記載されるように、ポリ(N−置換アミド)、好ましくはポリ(N−置換グリシン)である。ペプトイドの調製について、以下の参考文献も参照のこと:Bartlett,Santiら、1991;Horwell,Pritchardら、1992;Haenel 1994;ZuckermannおよびKerr 1994;HadasおよびHornik 1995;Desai,Nussら、1996;KobyleckiおよびGardner 1996;Ng,Warneら、1996;Zuckermann,Siegmundら、1998;Zuckermann,Troungら、1998;Zuckermann,Chinnら、1998;Zuckermann,Goffら、1999;2000;ならびにDE Utility Model Pubn.第20005738号、上記に引用される参考文献全て(これらの各々は、本明細書中に参考としてその全体が全ての目的のために援用される)。
【0027】
ペプトイドの1つの型は、一般式I:
【0028】
【化5】
Figure 2005502309
を有する。ここで、
は、アルキル、アリール、アラルキル、アラルケニル、およびアラルキニル(これらのいずれかは、1つ以上の基X;水素、−OH、−SH、−COOH、スルホニルおよび脂質部分(ここで、この脂質部分は、リンカー部分と結合され得る)と置換され得る)からなる群より選択され;
各Rは、アルキル、アリール、アラルキル、アラルケニル、およびアラルキニル(これらのいずれかは、1つ以上の基X;および水素と置換され得る)からなる群より独立して選択され、少なくとも1つの基Rは水素ではなく;
は、アルキル、アリール、アラルキル、アラルケニル、およびアラルキニル(これらのいずれかは、1つ以上の基X;水素、−OH、−SH、−NH、−NHR、−NH(C=O)R(ここで、Rは低級アルキルである);スルホニル、ヒドラジン、および脂質部分(ここで、この脂質部分は、リンカー部分と結合され得る)と置換され得る)からなる群より選択され;
およびRは、水素、低級アルキル、および低級アルコキシから独立して選択され;
Xは、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、グアニジノ、アミジノ、アルキルアミノ、アルキルチオ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ケト、アルデヒド、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド、スルホン酸およびスルホン酸エステルから選択され;そして
mは、2〜約50から選択される整数である。
【0029】
選択された実施形態において、Rは、−NH、−NHR、および−NH(C=O)R(ここで、Rは低級アルキルである)から選択される。RおよびRの各々が水素である場合、この分子は、ポリ(N−置換グリシン)である。選択された実施形態において、ペプトイドN側鎖に関して、少なくとも1つのRは、生理学的に適切なpHにてカチオン性である基(例えば、アミノアルキル、4級アンモニウム、グアニジノ、アミジノ、イミダゾリウム、ピリジニウム)を含み、そして少なくとも1つのRは、生理学的に適切なpHにて荷電していない。例としては、アルキルおよびアラルキルが挙げられ;特別の例は、イソプロピルおよび(p−メトキシフェニル)エチルである。天然に存在する酸のカチオン性側鎖および中性側鎖もまた、使用され得る。好ましくは、各R基は、カチオン性の基および非荷電の基のいずれかを含む。特に好ましい構造は、Rに1つのカチオン性の基および2つの非荷電の基の反復配列を含む。
【0030】
「脂質部分」は、実質的な炭化水素成分を有する疎水性部分であり、好ましくは、以下から選択される基を含む:C10〜C50の分枝または非分枝のアルキル、アルケニルもしくはアルキニル、C14〜C50のアリール、アラルキル、アラルケニル、もしくはアラルキニル、またはステロイド核。脂質部分の例としては、ジアルキルリン脂質またはジアルケニルリン脂質(例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、およびホスファチジルイノシトール)、糖脂質(例えば、セレブロシドおよびガングリオシド)、脂肪ジアシルグリセリド、グリコシルグリセリド、スフィンゴリピド、およびステロイド(ステロールを含む)が挙げられる。
【0031】
リピトイド(lipitoid)は、脂質置換ペプトイド(例えば、Rが脂質部分を含む上記の式Iの化合物)である。「コレステロイド」は、コレステロール置換ペプトイド(例えば、Rがコレステロール部分を含む上記の式Iの化合物)である。コレステロールが好ましいが、ステロイド−ペプトイド結合体に組込むのに有用なステロイドのさらなる開示は、PCT公開WO 97/46223(Fasbenderら)および対応米国特許第5,935,936号(これらは、本明細書中に参考として援用される)に見出される。本明細書中に使用される場合、用語「ペプトイド」は、リピトイドおよびコレステロイドを含む。
【0032】
リピトイドの1つの一般的に望ましいクラスとしては、式:L−リンカー−[N(CHCHNH)CH(C=O)−N(CHCHR)CH(C=O)−N(CHCHR)CH(C=O)]−NHの化合物が挙げられ、ここで、脂質基Lは、脂肪酸誘導基(例えば、リン脂質基(すなわち、約8と24との間の炭素原子長の脂肪アルキル鎖またはアルケニル鎖を有する、ROOCCHCH(COOR)CHOP(O)O−))であるか、またはステロイド誘導基(例えば、コレステリル基であり、そしてこの分子のリンカーから右側の部分がペプトイド部分である。このリンカーは直接の結合であってもよいし、またはこのリンカーは、任意の有効な長さの実質的に線状の連結基(例えば、オリゴペプチドまたはアルキル鎖)であってもよい。リンカーはまた、鎖のいずれかの末端に1つ以上のヘテロ原子含有連結基(エステル、アミド、カルボネート、カルバメート、ジスルフィド、ペプチドおよびエーテルからなる群より選択される)を有するか、またはアルキル結合間に介在するアルキル鎖であり得る。選択された実施形態において、リンカーは、2〜約30原子または3〜約15原子の長さである。ペプトイドセグメントにおいて、Rは、アルキル(分枝または非分枝)、アミノアルキル、およびアラルキルから選択される。アラルキル基(例えば、ベンジルまたはp−メトキシフェニルエチル)が好ましい。単一リピトイドは、異なる基Rを含み得るか、または分子内で同じであり得る。
【0033】
有用なペプトイドの構造は、当然、上記の型に限定されず、そして固相での合成によって容易に変更されて、本明細書中に記載される方法によってスクリーニングされ得る化合物のライブラリーを生成し得る。
【0034】
「アルキル」は、炭素および水素を含む完全に飽和した非環式の一価の基をいい、これは、分枝鎖であっても直鎖であってもよい。アルキル基の例は、メチル、エチル、n−ブチル、t−ブチル、n−ヘプチル、およびイソプロピルである。「アルケニル」は、炭素および水素を含む非環式の一価の基をいい、これは、分枝鎖であっても直鎖であってもよく、そして少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む。アルケニル基は、一箇所が不飽和であっても多数の箇所が不飽和であってもよい。同様に、「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有するような基をいう。「低級」アルキル(アルケニル、アルキニル、アルコキシなど)は、1〜6個の炭素、好ましくは1〜4個の炭素を有する基をいう。
【0035】
「アリール」は、1つの環(例えば、ベンゼン)または2もしくは3個の縮合環(例えば、ナフチル;フェナンチル)を有する、置換または非置換の一価の芳香族基をいう。1つの環(単環式)または2つの縮合した環(二環式)を有する基が一般的に好ましく、単環式基が特に好ましい。この用語は、ヘテロアリール基を含み、このヘテロアリール基は、1つ以上の窒素原子、酸素原子、または硫黄原子をその環に有する芳香族環基(例えば、フラン、ピロール、ピリジン、イミダゾール、およびインドール)である。「置換(置換された)」は、アリール基中の1つ以上の環水素が、水素以外の基(好ましくは、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ニトロ、アミド、3級アミノ、ヒドロキシ、およびハロ(低級アルキル)から選択される)と交換されていることを意味する。
【0036】
「アラルキル」は、アリール基でさらに置換されるアルキル置換基(好ましくは低級アルキル置換基)(1つの例は、ベンジル基である)をいう。同様に、「アラルケニル」および「アラルキニル」は、アリール基でさらに置換される、アルケニル置換基またはアルキニル置換基をいう。
【0037】
本発明のスクリーニング方法において使用される「オリゴヌクレオチド」は、好ましくは約10ヌクレオチドと50ヌクレオチドとの間の長さであり、より好ましくは約15ヌクレオチドと30ヌクレオチドとの間の長さである。
【0038】
ペプトイド−オリゴヌクレオチド混合物を「細胞と」接触させるとは、この混合物をこのような細胞を含む組織と接触させることを含む。
【0039】
「トランスフェクトペプトイド」とは、本発明に従って実行される所定のスクリーニングアッセイにおいて、試験細胞または試験組織を試験オリゴヌクレオチドでトランスフェクトしたものである。
【0040】
「生理学的に適切なpH」は、代表的に約5.5と約8.5との間であり;より代表的には約6.0と約8.0との間であり、そして最も代表的には、約6.5と約7.5との間である。
【0041】
(II.ペプトイドベースの薬剤を用いたオリゴヌクレオチドトランスフェクション)
プラスミドDNAを培養物中の細胞に送達するための多くのトランスフェクション薬剤が存在するが、オリゴヌクレオチドの送達に対する考慮はほとんどない。本発明者らは、以前は、プラスミドDNAのトランスフェクションについて特徴付けられた一連のペプトイドベースのトランスフェクション薬剤がまた、オリゴヌクレオチドと複合体を形成し得、そして有意な細胞毒性無しに、FITCタグ化オリゴヌクレオチドの多くの細胞型への取り込みを促進するということを見出した。DNAのトランスフェクションでの結果と類似して、細胞へのオリゴヌクレオチドのトランスフェクションは、+/−電荷比が約1.5〜2/1で最適とされ、そして血清の存在は、試験された比率においてネガティブな影響を有さなかった。
【0042】
脂質−カチオンペプトイド結合体(上記のように、リピトイドおよびコレステロイド)は、特に、プラスミドDNAおよびオリゴヌクレオチドを細胞に送達するのに有効な試薬である。例えば、図1A〜Bは、300nMのオリゴヌクレオチドを用いたSKOV3(卵巣癌種)細胞のトランスフェクションにおいて、市販のトランスフェクション試薬(Lipofectamine(登録商標)、CytofectinTM GSV、およびFuGeneTM6)と比較した、ペプトイドトランスフェクション薬剤(リピトイド1およびコレステロイド1;それぞれ、図1C〜Dに示される構造)のトランスフェクション効率および毒性を示す。オリゴヌクレオチドは、50nM Akt1 アンチセンスおよび250nM コントロールオリゴヌクレオチド(AS)または300nM コントロールオリゴヌクレオチド(RC=リバースコントロール)のいずれかからなった。市販のトランスフェクション薬剤について、製造業者のプロトコルに従った。一晩のトランスフェクション後、RNA産生についてのアッセイおよびAkt1メッセージレベルの定量リアルタイムPCR分析を細胞に実施した。
【0043】
トランスフェクションデータ(図1A)は、ペプトイド送達ビヒクルが、オリゴヌクレオチドを細胞に効率的に送達し得ることを示した。Akt1メッセージレベルは、匹敵するリバースコントロールを用いてトランスフェクトした細胞と比較して、リピトイド1では95%より上に、そしてコレステロイド1では85%より上に低下した。このノックアウトレベルは、ほとんどの細胞が、アンチセンスオリゴヌクレオチドで効率的にトランスフェクトされたことを示唆する。この結論は、FITCタグ化オリゴヌクレオチドでトランスフェクトしたSKOV3細胞のFACS分析によって支持され、97%より多くの細胞が、FITC蛍光について陽性であった(データは示していない)。対照的に、試験した全ての市販の薬剤は、図1Bに示されるように、オリゴヌクレオチドの送達に有効でないか(FuGeneTM6)、または細胞を殺傷したか(Lipofectamine(登録商標)、CytofectinTMGSV)のいずれかであった。
【0044】
トランスフェクション薬剤の細胞毒性の測定として、同じトランスフェクションからの細胞を、アネキシンVおよびPIで染色し、続いてFACS分析を実施した(図1B)。アネキシンVについて陽性の細胞分画またはアネキシンおよびPIについて陽性の細胞分画は、それぞれ、初期段階のアポトーシスまたは後期段階のアポトーシスである。トランスフェクションしていないコントロール細胞およびリピトイド1、コレステロイド1、またはFugeneTM6を用いてトランスフェクトした細胞は、アネキシンVでもPIでもわずかな染色しか示さなかった。対照的に、Lipofectamine(登録商標)またはCytofectinTMGSVを用いてトランスフェクトした細胞は、アネキシンVおよびPIで重度に染色され、このことは、高いパーセンテージの細胞が、プログラムされた細胞死を引き起こしたことを示す。
【0045】
(III.スクリーニング方法)
1つの局面において、本発明は、オリゴヌクレオチドを用いて細胞をトランスフェクトする際の有効性について、ペプトイド(これは、リピトイドおよびコレステロイドを含む)をスクリーニングするための方法を提供する。この方法は、以下の工程を包含する:別々の区分に複数の異なる配列のペプトイドを提供する工程;これらの区分のうちの少なくとも1つに、ペプトイド−オリゴヌクレオチド混合物を形成する工程;この混合物を細胞と接触させる工程;ならびにそのオリゴヌクレオチドによる細胞のトランスフェクトの程度を決定する工程。次いで、ペプトイドの同一性が決定され得る。一般的に、トランスフェクトペプトイドの同定に対して一般的により大きな力が注がれるが、非トランスフェクトペプトイドの同定もまた、有用であり得る。
【0046】
図2は、オリゴヌクレオチドの送達のためのペプトイドベースのトランスフェクション薬剤のライブラリーをスクリーニングする際の工程を示す、流れ図である。これらの工程(以下により詳細に記載される)は、以下:a)1つの実施形態において、このような化合物のライブラリーを混合−および−分離(mix−and−split)プロトコルによって合成する;b)単一のビーズ(単一の化合物を示す)を、マルチウェルプレートの各ウェルに配置し、切断し、そして水に溶解する;c)各化合物を、さらなるオリゴヌクレオチドとの複合体を形成するために使用する;d)各ペプトイド/オリゴヌクレオチド複合体を、類似のマルチウェル形式で細胞に添加し、そして複数の可能性のある読出しによって判定されるように、細胞へオリゴヌクレオチドをトランスフェクトする能力について試験すること(例えば、FITC取り込み(e)またはアンチセンス標的メッセージの減少(f))のような工程であり;次いでこの化合物は、1つの実施形態において、タンデム質量分析法(MS−MS)を用いて、切断されたペプトイドのアレイから同定される(g)。
【0047】
(A.ペプトイド合成)
上記に規定されるようなペプトイドは、US出願番号60/023,867、60/054,743、07/950,853、および09/132,808に基づく、共有に係るPCT公開WO 94/06451、WO 98/06437、およびWO 99/08711(Zuckermannら)(これらは、本明細書によって参考として援用される)に記載される。段階的サブユニット添加によるペプトイドの調製は、上記に参照されるPCT刊行物に記載され;Murphyら,1998およびHuangら、1998、ならびにこれらの中の参考文献もまた参照のこと。簡単に言うと、アミン誘導体化固相支持体(好ましくは、「Rinkアミド」樹脂((4−(2’,4’−ジメトキシフェニル−Fmoc−アミノメチル)−フェノキシ樹脂;Nova Biochem))は、ブロモアセチル化され(Fmoc基の除去後)、そして第1の所望の側鎖を有する一級アミンが添加され、臭素を置換する。ペプトイドを構築するために、ブロモ酢酸(ポリ−NSGペプトイドに対して)および選択された一級アミンのさらなる添加が交互にされる。
【0048】
ペプトイドの調製はまた、Bartlett,Santiら、1991;Horwell,Pritchardら、1992;Haenel 1994;ZuckermannおよびKerr 1994;HadasおよびHornik 1995;Desai,Nussら、1996;KobyleckiおよびGardner 1996;Ng,Warneら、1996;Zuckermann、Siegmundら、1998;Zuckermann,Troungら、1998;Zuckermann,Chinnら、1998;Zuckermann,Goffら、1999;2000;およびDE Utility Model Pubn.第20005738号、上記に引用される文献全て(これらの各々が、本明細書によって参考としてその全体が全ての目的のために援用される)に機論される。
【0049】
リピトイドまたはコレステロイドの調製について、好ましくは、樹脂に結合したペプトイドのN末端が、Fmoc−アミノヘキサン酸またはFmoc−(β−アラニン)のようなスペーサーで最初にアシル化される。Fmoc基の除去後、1級アミノ基が、例えば、コレステロールクロロホルメートと反応されて、カルバメート連結を形成する。脂肪酸から誘導された脂質部分(例えば、リン脂質)は、ステロイド部分の代わりに使用され得る。ステロイドまたは他の脂質部分はまた、当業者に容易に利用可能である、任意の有効な長さの他の連結部によってペプトイド部分に連結され得る。ステロイドまたは脂質部分およびペプトイドセグメントはまた、直接的な結合によって連結され得る。
【0050】
複数の異なる配列のペプトイドは、好ましくは、ペプトイドのコンビナトリアルライブラリーである。このようなライブラリーは、以下にさらに記載されるように、公知のコンビナトリアル合成ストラテジーをペプトイドの合成に適用することによって調製され得る。例えば、Thompsonら,1996;Terrettら,1995およびBunin,1998を参照のこと。特に、多数のポリマーを含む、粒子に支持されたコンビナトリアルライブラリーが、WO 99/58476および対応する米国特許出願番号60/084,843(これらは、本明細書によって参考としてその全体が全ての目的のために援用される)に記載される方法を用いて調製され得る。
【0051】
ペプトイドの合成において変化するパラメーターとしては、N側鎖(1級アミンの付加によって取り込まれる)および脂質末端部分が挙げられる。1つの実施形態において、ペプトイドは、コレステリル末端部分ならびに中性N側鎖およびカチオン性側鎖の異なる分布を有する。このようなライブラリーの簡単な例を、図3に示す。
【0052】
ペプトイドのカチオン性の性質は、ペプトイドと負に荷電したオリゴヌクレオチドとの相互作用に寄与し、そして最終的にペプトイドと細胞リン脂質との相互作用に寄与する。荷電状態はその塩基性官能基のpKaおよび局所的な細胞pHによって調節され得るので、異なる長さ(エチル、ブチル、ベンジル)を有するペプトイド塩基性側鎖のセット(それぞれ、アニリン、一級アミンおよびグアニジン基について、pKa 4.5、9および12)が、ペプトイドライブラリーにおける側鎖置換基として選択された。これらの側鎖を合わせた組み合わせでの影響を調べるために、塩基性官能基を9マーのペプトイド中に3残基毎に取り込み、64の組み合わせを評価した。他の位置は、メトキシフェニルエチル側鎖(これは、適切なバランスの疎水性を提供することが見出されている(Huang、1998;Murphy、1998))によって占められていた。
【0053】
異なる配列のペプトイドは、これらの調製のために一般的に使用される固相合成と一致して、固相支持体上でのスクリーニングのために最も好都合に提供される。1ビーズあたりに1ペプトイドを有するペプトイドライブラリーを、上記に記載されるように、「混合および分離」プロトコルを用いることによってポリマー樹脂上に作製し得る。ビーズ支持体が高充填ビーズ(すなわち、1ビーズあたり1nmoleより多い化合物を提供する)であることが好ましい。ビーズ支持体が、実質的に均一な直径を有し、その結果、ビーズ支持体から切断される最終化合物反応容量が実質的に均一な化合物濃度を有することもまた、好ましい。
【0054】
例えば、上記および図3に示すライブラリーを、ポリマービーズに対する混合分割(mix−and−split)合成プロトコル(Furka、1991;Lam、1991;ZuckermannおよびBanville、1992)を使用して調製した。1ビーズ当たり40nMolの平均装填(標準偏差±10%)が観察され、モデル化合物の純度は、95%であった。
【0055】
代表的な手順において、このようなビーズのプールを、ジクロロエタンのような溶媒中で膨潤させ、所望の場合、ステンレス鋼のメッシュで篩にかける。各々単一のペプトイドを含む、これらのビーズを、図2に示されるように、物理的に分離した区画のアレイ(例えば、96ウェルプレート)に、1ウェル当たり1個のビーズで分配する。この分配は、ビーズ分配プローブ(WO99/58476に開示されるような)を使用して達成され得る。手短に言うと、このビーズ分配プローブは、減圧を使用して、ビーズの混合物から別々のビーズを選択肢、次いで、ガス放出を使用して、選択されたビーズを、例えば、ウェルのアレイ中の選択された位置に送達する。
【0056】
これらのペプトイドは、ペプトイドとビーズとの間の切断可能なリンカーを切断することによって、支持ビーズから遊離される。多くの化学的に切断可能な連結が、当該分野で公知であり;例としては、ジスルフィド(還元(代表的には、ジチオトレイトールを使用する)によって切断可能)、アゾ基(ジチオネートで切断可能)、スルホン(塩基性ホスフェート(ジチオトレイトールを含むかまたは含まず)で切断可能)、グリコール(過ヨウ素酸塩で切断可能)、およびエステル(加水分解によって切断可能)が挙げられる。Rinkアミド樹脂(上記のような)またはRink酸樹脂の場合、樹脂からの切断は、以下の実施例に記載されるように、トリフルオロ酢酸(TFA)を使用して達成される。切断後、切断混合物を、エバポレーションによって除去し、そして各ペプトイドを、水または水性緩衝液中に溶解して、代表的には、各々約0.5mMの濃度を有する、異なる配列のペプトイドオリゴマー溶液のライブラリーを得る。
【0057】
1つの実施形態において、以下に詳細に議論されるように、ペプトイド溶液の2連のアレイを、それぞれのペプトイド溶液のアリコートを取り出すことによって調製する。次いで、この2連のアレイを、その後の同定に使用する。
【0058】
(B.トランスフェクションおよびスクリーニング)
トランスフェクションがスクリーニングされるオリゴヌクレオチドを、異なる配列のペプトイドのアレイの少なくとも1つの区画に添加する。上記のように、このオリゴヌクレオチドは、好ましくは、約10〜50、そしてより好ましくは、約15〜30のヌクレオチド長である。代表的な実験において、オリゴヌクレオチドサンプルは、2部の不活性な(コントロール、例えば、逆方向コントロール)FITC結合体化オリゴヌクレオチドおよび1部の活性なアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、抗Aktlオリゴヌクレオチド)からなる。添加の条件は、トランスフェクトペプトイドが、オリゴヌクレオチドと複合体を形成するような条件である。これらの成分の適切な最終濃度は、約200nMのオリゴヌクレオチドおよび3μMのペプトイド(実施例を参照のこと)である。
【0059】
次いで、各ペプトイド−オリゴヌクレオチドの混合物を、細胞(例えば、細胞培養物または組織サンプル中の)に接触させる。細胞培養物は、代表的に、トランスフェクションの前日に1ウェル当たり10,000〜30,000個をプレートし、そしてトランスフェクション当日に、各ウェルの成分を、血清を含有する70μLの新しい組織培養培地に交換することによって、調製する。一晩のインキュベーション後、細胞を、血清を含有する新しい培養培地で2回洗浄する。
【0060】
次いで、細胞を、当該分野で公知の方法に従って、そのオリゴヌクレオチドのトランスフェクションについてスクリーニングする。1つのこのような方法は、オリゴヌクレオチド上の標識(例えば、FITC)を検出することを含む。オリゴヌクレオチド/ペプトイド複合体を取り込んだ細胞は、洗浄後、蛍光プレートリーダーを使用してFITC蛍光についてスクリーニングすることによって同定され得る。
【0061】
あるいは、オリゴヌクレオチドが、アンチセンスオリゴヌクレオチド(細胞における遺伝子産物の発現に関与するDNA配列、プレmRNA配列またはmRNA配列の部分に対する配列を有する)である場合、スクリーニングは、細胞中のその標的化された遺伝子の発現のレベルにおける変化を検出することを含む。例えば、mRNAを、トランスフェクション後の細胞から単離し、第1鎖cDNAを調製し、そして試験遺伝子についてのメッセージのレベルを測定する(例えば、リアルタイム定量的PCRによって)。
【0062】
これらの2つの方法は、上記のような、FITCタグ化コントロールオリゴヌクレオチドおよびAkt1アンチセンスオリゴヌクレオチドの混合物を使用することによって、組み合わせられ得る。トランスフェクトされた細胞を、FITC蛍光について最初に試験し、次いで、RNAの単離のために溶解する。
【0063】
1つの例において、MDA−MB−231細胞を、上記のペプトイドのライブラリーを送達ビヒクルとして使用して、FITC−オリゴヌクレオチドおよびAkt1−AS(アンチセンス)オリゴヌクレオチドの混合物でトランスフェクトした。図4A〜Bは、これらの細胞におけるFITC−オリゴヌクレオチド取り込みとAkt1メッセージの損失との間の相関を示す。FITC−オリゴヌクレオチドの良好な取り込みを示すサンプルと、Akt1メッセージの損失(例えば、これらの細胞由来のRNAから調製した第1鎖cDNAのリアルタイム定量的PCRによって定量される)を示すサンプルとの間に良好な相関があり、これは、FITCお取り込みまたは標的化されたメッセージの損失のいずれかが、活性なトランスフェクション薬剤を同定するために使用され得ることを示す。
【0064】
少数のペプトイド(例えば、ウェルH4における)が、明らかに、Akt1−ASをトランスフェクトし、そしてFITC−オリゴヌクレオチドの取り込みを伴うことなくAkt1メッセージの損失を生じることが、観察された。従って、FITC取り込みによるスクリーニングは、細胞へオリゴヌクレオチドをトランスフェクトし得る、低いパーセンテージのペプトイドを逃し得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドについては、化合物選択は、オリゴヌクレオチドの送達およびその後のメッセージのノックアウトから得られるデータに基づくことが最良である。
【0065】
(C.化合物同定)
次いで、トランスフェクトされることが示された細胞を接触させた各混合物における、各トランスフェクトペプトイドを同定し得る。上記のように、非トランスフェクトペプトイドもまた、所望の場合に同定され得る。好ましくは、この同定は、母プレートのレプリカを使用し、これは、上記のように、各ウェルの少ない割合の母プレート水溶液を移すことによって調製される。複数の化合物のスクリーニングにおいて、最も効率的な化合物のウェル位置を同定し、そしてその母プレートから保存した溶液を使用して、トランスフェクションを担うペプトイドの正体を決定する。
【0066】
ペプトイドの配列を決定するために適切な任意の方法が、本発明のこの局面に従って使用され得る。いくつかの実施形態において、質量分析法が使用される。1つの特定の例において、タンデム質量分析法(MS−MS)が、本明細書中に記載されるペプトイド化合物を特徴付けるために効果的であることが見出された。
【0067】
上記のAkt1ノックアウトアッセイにおいて興味深い遺伝子送達プロフィールを示したペプトイドの配列を、ナノスプレータンデム質量分析法(Smith、1990;Carr、1991)を使用して同定した(図5)。図5Aは、コレステロール−ペプトイド結合体の一般構造を示し、これは、質量分析計におけるイオン化によって生成されることが予測される、N末端フラグメント(「b−イオン」)およびC末端フラグメント(「y−イオン」)を示す。図5Bは、代表的なコレステロール−ペプトイド結合体のスペクトルを示す。予測されたフラグメント、b2、b3、b4、b5、b6、b8、y2、y3、y5、y6、y7およびy8は、このコレステロール−ペプトイド結合体の配列を明確に同定するのに十分であった。
【0068】
他のMSベースの同定法もまた、有用である。例えば、エドマン分解または合成中の部分的キャップ化を使用して、配列ラダーを生成し得、その後、MSを用いて、そのオリゴマー配列を決定し得る。
【0069】
図4のウェルA2、A3、B5、C4、D3およびE3において陽性であると試験された化合物を、アンチセンスオリゴヌクレオチド送達の確認のために再合成した(図6を参照のこと)。この確認アッセイにおいて、96ウェルディッシュにプレートしたMDA−MB−231細胞を、種々のコレステロイドまたはコレステロールの送達ビヒクルを使用して、200nMのFITC−オリゴヌクレオチドおよびAkt1−AS(アンチセンス)またはAkt1−RC(逆方向コントロール)オリゴヌクレオチドの混合物でトランスフェクトした。これらのうちの5つが、本発明の方法に従う活性なトランスフェクション薬剤として選択された、そしてMS/MSによる同定の後に再合成された、新規コレステロイドである。「Inact Cholest」と名付けた、これらのコレステロイドのうちの1つは、最初のスクリーニングにおいてオリゴヌクレオチド送達について陰性であった、新規コレステロイドである。コレステロイド1(図1を参照のこと)を、ポジティブコントロール送達ビヒクルとして使用し、そしてDC−コレステロールを、ネガティブコントロールとして使用した。一晩のトランスフェクション後、RNAを、これらの細胞から単離し、そして、定量的リアルタイムPCRを使用して、Akt1およびアクチンのメッセージレベルを決定した。図6中の各棒は、トランスフェクトされなかった細胞と比較した場合の、アクチンメッセージに対するAkt1メッセージにおけるノックアウトのパーセンテージを示す。誤差棒は、各送達ビヒクルを使用してトランスフェクトした4つのウェル間の標準偏差を示す。
【0070】
図6に示されるように、再合成されたコレステロイドは、MDA−231細胞におけるAkt1メッセージの効率的なノックアウトを与えた。従って、新規なトランスフェクション薬剤の合成および同定のためのこのプロトコルは、再合成時に好ましい特徴を保持する化合物を単離することが示された。
【0071】
(D.選択的トランスフェクションについてのスクリーニング)
この方法の1つの実施形態において、トランスフェクションに使用される細胞または組織は、(別々の区画または別々のアレイにおいて)異なる細胞型を含む。従って、このスクリーニング方法を使用して、選択されていない細胞型と比較して選択された細胞型に対してオリゴヌクレオチドを選択的に送達し得る、ペプトイドを同定する。例えば、選択された細胞型が、腫瘍細胞であり得、一方、選択されない細胞型が、非腫瘍細胞である。別の例において、選択された細胞型が、内皮細胞であり、そして選択されない細胞型が、上皮細胞である。このような適用において、ペプトイドの1より多い2連のアレイを作製し、1つを、同定目的のために保存し得、そして他の各々を、所定の細胞型または組織型のトランスフェクションのスクリーニングのために使用し得る。この手順を使用して、所定の組織を選択的にトランスフェクトする送達ビヒクル(例えば、動物における遺伝子治療の補助としての)についてスクリーニングし得る。
【0072】
差示的細胞スクリーニングの1つの例を、7A〜Dに示す。4つの異なる細胞株(3つの腫瘍細胞株(A:HCT116結腸直腸癌細胞;B:MDA−MB−231乳腺癌細胞;C:MCF7乳腺癌細胞)および1つの非腫瘍細胞株(D:ヒト微小血管内皮細胞)を含む)を、コンビナトリアル合成したペプトイド送達ビヒクルのライブラリーを使用してトランスフェクトした。細胞を、200nMのAkt1−ASオリゴヌクレオチドならびにコントロール−FITCオリゴヌクレオチドおよび送達ビヒクル(実施例に記載されるような)でトランスフェクトし、そしてオリゴヌクレオチドの取り込みを、一晩のトランスフェクション後の細胞蛍光によって定量化した。図において、点棒は、全ての細胞型において効果的であった化合物を示し、一方、斜線棒は、転位能力を有する細胞型においてのみ効果的な化合物を示す。図に示されるように、これらの化合物のうちの3つは、後者のカテゴリーに入る。
【0073】
さらなる例を、図8A〜Dに示す。4つの細胞型を、ペプトイドベースの化合物の単一パネルを使用してトランスフェクトし、FITC−コントロールオリゴヌクレオチド/Akt1アンチセンスオリゴヌクレオチド混合物を送達した。胸部上皮184B5細胞および847線維芽細胞は、非腫瘍形成細胞であり、一方、MDA−MB−231乳腺癌細胞およびHT1080線維肉腫細胞は、腫瘍形成性かつ転移性の細胞型である。これらの試験した化合物のいくつかは、Akt1メッセージのノックアウトによって示されるように、4つ全ての細胞型のトランスフェクションの増加を生じ得た(例えば、ウェルB2およびF4由来の化合物)。他の化合物は、4つの細胞型の全てではないがいくつかにおいて、Akt1ノックアウトを促進した(例えば、ウェルC1、F5、G6、D10およびD11由来の化合物)。
【0074】
このようなスクリーニングは、いくつかの特定の特徴について選択される細胞においてオリゴヌクレオチドを選択的にトランスフェクトする化合物の同定において有用である。トランスフェクションにおけるこのような選択性は、インビボでのアンチセンスオリゴヌクレオチドの送達に特に有用である。
【0075】
本明細書中に記載されるペプトイドベースの薬剤は、効果的なオリゴヌクレオチドトランスフェクション薬剤であり、これは、高いトランスフェクション効率、アンチセンスオリゴヌクレオチドに応答した試験メッセージの効果的な損失、低い毒性、および血清との適合性を提供する。ビーズ上でのコンビナトリアル合成を(好ましくは、自動ビーズ選別手段と組み合わせて)使用して、多くの新規のペプトイド結合体を、種々の細胞株における高スループットスクリーニング(例えば、mRNAノックアウトスクリーニング)に直接使用されるのに適切な量および純度で生成し得る。
【0076】
このような形式で、これらのペプトイドベースのトランスフェクション薬剤をトランスフェクションについてスクリーニングすることを可能にする、これらの薬剤の1つの特徴は、これらが、他の脂質との調合を必要としないことである。しかし、一旦、ペプトイドが、特定の細胞型へのオリゴヌクレオチドのトランスフェクトに効果的であると同定されると、他の脂質との調合によってこれらの特徴を改変または増強することは可能であり得る。
【0077】
(実施例)
以下の実施例は、本発明を例示し、本発明を限定することを意図されない。
【0078】
ペプトイド合成。溶媒、アミン、および他の試薬を、業者から購入し、さらなる精製を行わずに使用した。ペプトイドオリゴマーを、以前の方法(Zuckermann、Kerrら、1992;Figliozzi、1996)を改変することによって、50μmolのRinkアミド樹脂(Nova Biochem)上で合成した。第1のFmoc基の除去後、その後のモノマー付加サイクルを、自動合成機で行い、所望の長さが得られるまで繰り返した。
【0079】
このアミノ樹脂を、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中1.2Mのブロモ酢酸830μlおよび200μlのN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)を添加することによってブロモアセチル化した。この溶液を、35℃にて40分間攪拌し、ドレインし、そしてDMF(3×2ml)で洗浄した。次に、DMSO中1Mの一級アミン溶液0.85mlを添加し、側鎖を導入した。この溶液を、35℃にて40分間攪拌し、ドレインし、そしてDMF(4×2ml)で洗浄した。代替的な手順において、アミンを、ジメチルスルホキシドの代わりにN−メチルピロリドン中に溶解した。
【0080】
ペプトイドを、1%トリエチルシランを含むジクロロエタン中の50%(v/v)TFAを使用して、ビーズから遊離した。各マクロビーズを、自動ビーズ選別機(PCT公開番号WO9958476)を使用して選別し、そしてポリプロピレン製96ウェルプレート(V字型、Greiner)に移し、切り離して保存した。
【0081】
コレステロールとの結合体化。ペプトイド−コレステロール結合体(コレステロイド)を、以下のように調製した。樹脂結合ペプトイドのアミノ末端を、DMF中のFMOC−β−Ala−OH(0.24当量)およびDIC(0.26当量)で、85℃にて20分難処理した。この支持体を、3×2mlのDMFで洗浄した。ピペリジン(DMF中20% v/v、3ml)を添加し、その後、20当量のコレステリルクロロホルメートおよび20当量のDIEA(ニート、173μl)を添加した。反応の完了後、結合体を、CHCl中50%(v/v)のTFAでの処理によって、支持体から切り離した。
【0082】
コンビナトリアル合成(混合分割(Mix−Split))プロトコル。以下の例示的な混合分割プロトコルを、4つの異なる一級アミンを使用して、64個の異なる配列のペプトイドのコンビナトリアル合成に使用した。各「サブモノマーサイクル」は、ブロモアセチル化、およびその後の、一級アミンの添加を含んだ。
樹脂Fmoc脱保護
DMF洗浄
サブモノマーサイクル1
サブモノマーサイクル2
4つの容器へ樹脂を分配する、
反応容器をドレインする
サブモノマーサイクル3
単一容器へ樹脂を再度合わせる、
反応容器をドレインする
サブモノマーサイクル4
サブモノマーサイクル5
4つの容器へ樹脂を分配する、
反応容器をドレインする
サブモノマーサイクル6
単一容器へ樹脂を再度合わせる、
反応容器をドレインする
サブモノマーサイクル7
サブモノマーサイクル8
4つの容器へ樹脂を分配する、
反応容器をドレインする
サブモノマーサイクル9
Fmoc−(−Alaカップリング
クロロホルメートカップリング(脂質結合体またはコレステリル結合体の形成)。
【0083】
ビーズ支持体からのライブラリー化合物の切断。切断混液(TFA/DCE、50:50、75μl)を、マルチウェルプレート中の各々のビーズ含有ウェルに添加した。1時間後、プレートを、高速真空エバポレーター(96ウェルプレートキャリアローターを備えた、エバポレーターSavant AES200)に移し、揮発性物質のほとんどをプレートから除去した。各ウェルを、アセトニトリル/水の溶液(HO中CHCN50%[v/v]、75μl)で処理し、そしてマイクロタイタープレート振盪機を使用して10分間攪拌した。プレートを、高速真空エバポレーターに移し、そして揮発性物質を、30分間除去した。各ウェルの含有物(代表的には、単一のペプチド化合物)を、水または緩衝液(80μL)に溶解し、ポリプロピレン製96ウェルプレート(200μL、v字型底)に移し、そして(必要な場合)−20℃で保存した。
【0084】
(トランスフェクション) 6ウェルディッシュにおけるトランスフェクションのために、細胞を、トランスフェクション時に密度60〜80%を得るように、トランスフェクションの一日前に250,000細胞/ウェルでプレーティングした。アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはリバースコントロールオリゴヌクレオチドを、トランスフェクション用のOpti−MEM(Invitrogen Life Technologies,Carlsbad,CA)中2μMに希釈した。ペプトイドトランスフェクション剤を、同じ容量のOpti−MEM中に、1.5nmolビヒクル/μgオリゴヌクレオチドの比になるように希釈した。その後、この希釈したオリゴヌクレオチドと希釈したペプトイドビヒクルとを混合し、培養培地中の細胞にすぐに添加して、各実験について示されるように、最終濃度200〜300nMのオリゴヌクレオチドにした。一晩のインキュベーション後、そのトランスフェクション混合物を、新鮮な培養培地で置換した。
【0085】
トランスフェクションは、96ウェルスクリーニングとビヒクル再試験とで類似していたが、但し、細胞を、20,000個/ウェルで播種し、そしてすべての混合工程および希釈工程を、Sagian Multipette 96−チャンネルピペッターを使用して実施した。スクリーニングすべき細胞を、トランスフェクション前日に、2つの96ウェル組織培養ディッシュ中に10,000個/ウェル〜30,000個/ウェルでプレーティングした。このトランスフェクションの日に、細胞を、血清を含有する70μlの新鮮な組織培養培地中へと変更させた。2部の不活性FITC結合体化オリゴヌクレオチドと1部のアンチセンスオリゴヌクレオチドとからなるオリゴヌクレオチドを、Opti−MEM中で1.3μMに希釈した。オリゴヌクレオチド送達について試験されるべきペプトイド化合物を、水中0.5mM濃度で96ウェル形式で整列させた。各々2μlを、Opti−MEM中で濃度20μMに希釈した。希釈したオリゴヌクレオチドを、希釈したペプトイド中に混合し、形成したペプトイド−オリゴヌクレオチドを、培地中の細胞上にさらに希釈した。細胞の複製プレートを、最終濃度200nMのオリゴヌクレオチドと3μMペプトイドとでトランスフェクトした。一晩のトランスフェクションの後、細胞を、血清含有培地で2回洗浄した。
【0086】
ペプトイドトランスフェクション剤と市販のトランスフェクション剤との比較のために、Lipofectamine(Invitrogen Life Technologies)、Cytofectin GSV(Glen Research,Sterling,VA)およびFugene 6(Roche Molecular Biochemicals,Indianapolis,IN)を、パッケージの指示に従って使用し、そして細胞を、Opti−MEM(LipofectamineおよびCytofectin GSV)または血清含有培地(Fugene 6)中で一晩トランスフェクトした。
【0087】
アンチセンスオリゴヌクレオチドを、標準的方法に従って、Chiron Corpotarionで合成した。このアンチセンスオリゴヌクレオチドは、以下の配列:
【0088】
【化6】
Figure 2005502309
を有した。
【0089】
(RNA単離およびPCR) 6ウェル形式でトランスフェクトした細胞由来のRNAを、High Pure RNA Isolation Kit(Roche Diagnostics Corporation,Indianapolis,IN)を使用して単離した。96ウェル形式でトランスフェクトした細胞に関して、RNeasy 96 Kit(Qiagen、Valencia、CA)を使用した。RNAを、MMLV逆転写酵素およびRNasin(Ambion)およびChiron Corporationで合成したオリゴ−d(T)18を使用して、逆転写した。各20μlのRT反応物の2μlアリコートを、Applied Biosystems(Foster City,CA)から得たGene Amp 5700およびSybr Green PCR Master Mixを使用して、Akt1メッセージレベルまたはアクチンメッセージレベルについて定量した。Akt1メッセージレベルについて得た量を、同じサンプルからのアクチンメッセージレベルに対して正規化して、RNA収量またはRNA逆転写における変動について正規化した。
【0090】
定量的PCRのために使用したプライマーは、標準的方法に従ってChiron Corporationにて合成した。このプライマーは、以下の配列を有した。プライマーを、最終濃度180nMで使用した:
【0091】
【化7】
Figure 2005502309
(タンデム質量分析法) 逆重畳のために、各ペプトイド溶液プレートを、高速真空エバポレーターSavant AES200において60分間乾燥させ、HO中のCHCN溶液(100μl)を、各ウェルに添加した。生じた溶液を、MS−MS分析のために使用した。いくつかの場合、製造業者の指示に従って、C4 ZipTip精製工程を実施した。
【0092】
(アポトーシスアッセイ) アンチセンスオリゴヌクレオチドと種々のトランスフェクション剤とを用いるトランスフェクションの後、細胞を、0.05%トリプシンおよび2mM EDTAを使用してプレートからおだやかに剥離させ、10mM Hepes(pH7.2)、140mM NaCl、5mM CaClを含む緩衝液中で洗浄し、そして最終濃度1μg/mlのPropidium iodideおよびAnnexin−V−FLUOS(Roche Molecular Biochemicals)で染色した。その後、細胞を、Becton Dickinson FACScanを使用して各マーカーでの染色について分析した。
【0093】
本発明は、特定の方法および実施形態を参照して記載されているが、本発明から逸脱することなく種々の改変がなされ得ることが、理解される。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1A〜Bは、Akt1アンチセンス(AS)オリゴヌクレオチドおよび/または逆方向のコントロール(RC)オリゴヌクレオチドでのSKOV3細胞のトランスフェクションにおける、ペプトイドトランスフェクション薬剤(リピトイド1およびコレステロイド1;それぞれ、図1C〜Dに構造を示す)のトランスフェクション効率(1A)および毒性(1B)を、市販のトランスフェクション薬剤Lipofectamine(登録商標)、CytofectinTM GSVおよびFuGeneTM6の効率および毒性と比較する。
【図2】
図2は、オリゴヌクレオチドの送達についてのペプトイドベースのトランスフェクション薬剤のライブラリーのスクリーニングにおける工程を示す、フローチャートである。
【図3】
図3は、ペプトイド(コレステロイド)コンビナトリアルライブラリーの簡単な例を示す。
【図4】
図4A〜Bは、コンビナトリアルペプトイドライブラリーを送達ビヒクルとして使用して、FITCオリゴヌクレオチドおよびAkt1−AS(アンチセンス)オリゴヌクレオチドの混合物をトランスフェクトしたMDA−MB−231細胞における、FITCオリゴヌクレオチド取り込みとAkt1メッセージの損失との間の相関を示す。
【図5】
図5A〜Bは、ナノスプレーMS/MSを使用して、混合分割(mix−and−split)プロトコルによって合成されたペプトイドベースの化合物の同定を示す。
【図6】
図6は、MS/MSによる同定の後に再合成されたペプトイドを使用してMDA−231細胞へトランスフェクトされたAkt−1アンチセンスによる、メッセージのノックアウトを示す。
【図7】
図7A〜Dは、コンビナトリアル合成したペプトイド送達ビヒクルのライブラリーを使用する、4つの異なる細胞株(A:HCT116結腸直腸癌細胞;B:MDA−MB−231乳腺癌細胞;C:MCF7乳腺癌細胞;およびD:ヒト微小血管内皮細胞)のトランスフェクションを示す。
【図8】
図8A〜Dは、コンビナトリアル合成したペプトイド送達ビヒクルのライブラリーを使用する、4つの異なる細胞株(A.184B5胸部上皮細胞。B.MDA−MB−231乳腺癌細胞。C.847線維芽細胞。D.HT1080線維肉腫細胞)のトランスフェクションを示す。

Claims (32)

  1. オリゴヌクレオチドを用いて細胞をトランスフェクトする際の有効性についてペプトイドをスクリーニングするための方法であって、該方法は、
    別個の区画において複数の異なる配列のペプトイドを提供する工程;
    該区画のうちの少なくとも1つにおいてペプトイド−オリゴヌクレオチド混合物を形成する工程;
    該混合物を細胞と接触させる工程;
    該オリゴヌクレオチドによる該細胞のトランスフェクションの程度を決定する工程;
    を包含する、方法。
  2. トランスフェクトされた細胞と接触しているトランスフェクションペプトイドを同定する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ペプトイドが固体粒子上に支持される、請求項1に記載の方法。
  4. 該区画の各々が、単一の粒子を含み、そしてこのような粒子各々が、該粒子に結合している同じ配列のペプトイドを有する、請求項3に記載の方法。
  5. 請求項4に記載の方法であって、前記ペプトイド−オリゴヌクレオチド混合物を形成する工程の前に、前記少なくとも1つの区画にある前記粒子から前記ペプトイドを遊離させる工程をさらに包含する、方法。
  6. 請求項1に記載の方法であって、前記オリゴヌクレオチドが、前記細胞における遺伝子産物に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、そして前記決定する工程が、該遺伝子の発現レベルの変化を検出する工程を包含する、方法。
  7. 請求項1に記載の方法であって、前記異なる配列のペプトイドが、一般式I:
    Figure 2005502309
    を有し、ここで、
    は、アルキル、アリール、アラルキル、アラルケニル、およびアラルキニル、水素、−OH,−SH、−COOH,スルホニル、および脂質部分からなる群より選択され、該アルキル、アリール、アラルキル、アラルケニル、およびアラルキニルのいずれも、1つ以上の基Xで置換され得、該脂質部分は、リンカー部分に結合体化され得;
    各Rは、アルキル、アリール、アラルキル、アラルケニル、およびアラルキニル、および水素からなる群より独立して選択され、該アルキル、アリール、アラルキル、アラルケニル、およびアラルキニルのいずれも、1つ以上の基Xで置換され得、少なくとも1つの基Rは水素ではなく;
    は、アルキル、アリール、アラルキル、アラルケニル、およびアラルキニル、水素、−OH,−SH、−NH、−NHR、−NH(C=O)R、スルホニル、ヒドラジン、および脂質部分からなる群より選択され、該アルキル、アリール、アラルキル、アラルケニル、およびアラルキニルのいずれも、1つ以上の基Xで置換され得、Rは、低級アルキルであり、該脂質部分は、リンカー部分に結合体化され得;
    Xは、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、グアニジノ、アミジノ、アルキルアミノ、アルキルチオ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ケト、アルデヒド、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド、スルホン酸、およびスルホン酸エステルから選択され:
    およびRは、水素、低級アルキル、および低級アルコキシから独立して選択され;そして
    mは、2〜約50から選択される整数である、
    方法。
  8. 請求項7に記載の方法であって、式Iにおいて、Rは、脂質部分を含み、そしてRは、−NH、−NHR、および−NH(C=O)Rから選択され、Rは、低級アルキルである、方法。
  9. 請求項8に記載の方法であって、前記脂質部分がステロールである、方法。
  10. 請求項7に記載の方法であって、式Iにおいて、RおよびRの各々が水素である、方法。
  11. 請求項7に記載の方法であって、式Iにおいて、少なくとも1つのRが、生理学的に適切なpHでカチオン性である基を含み、そして少なくとも1つのRが、生理学的に適切なpHで非荷電である、方法。
  12. 請求項11に記載の方法であって、前記カチオン性基は、アミノアルキル、アンモニウム、グアニジノ、アミジノ、イミダゾリウム、ピリジニウム、および天然に存在するアミノ酸上に見出されるカチオン性側鎖から選択される、方法。
  13. オリゴヌクレオチドを用いて細胞をトランスフェクトする際の有効性について、異なる配列のペプトイドのライブラリーをスクリーニングする方法であって、該方法は、
    (i)複数のペプトイド−オリゴヌクレオチド混合物を形成するために、オリゴヌクレオチドと該ライブラリーの各メンバーとを接触させる工程;
    (ii)該混合物各々を細胞と接触させる工程;
    (iii)該オリゴヌクレオチドのトランスフェクションについて各細胞をスクリーニングする工程;および
    (iv)トランスフェクトされた細胞と接触している、混合物中のトランスフェクトペプトイドを同定する工程;
    を包含する、方法。
  14. 前記ペプトイドのライブラリーが、物理的に別個の区画のアレイ中に提供される、請求項13に記載の方法。
  15. 前記ペプトイドが、固体粒子上に支持される、請求項13に記載の方法。
  16. 請求項15に記載の方法であって、前記接触させる工程(i)の前に、前記区画中の前記粒子から前記ペプトイドを放出させる工程をさらに包含する、方法。
  17. 各区画が単一の粒子を含み、そして各粒子が単一のペプトイドを含む、請求項15に記載の方法。
  18. 請求項16に記載の方法であって、前記接触させる工程(i)の前に、前記ペプトイドのライブラリーの複製アレイが作製される、方法。
  19. 請求項18に記載の方法であって、前記同定する工程(iv)が、トランスフェクトペプトイドに対応する位置にある前記複製アレイ中のペプトイドを同定する工程を包含する、方法。
  20. 請求項19に記載の方法であって、前記同定する工程が、タンデム質量分析計(MS−MS)により行われる、方法。
  21. 請求項13に記載の方法であって、前記細胞が、個別の細胞型を含み、そして前記同定する工程が、選択していない細胞型と比較して選択した細胞型にオリゴヌクレオチドを選択的に送達することができるペプトイドを同定するために有効である、方法。
  22. 請求項21に記載の方法であって、前記選択された細胞型が腫瘍細胞であり、そして前記選択されていない細胞型が非腫瘍細胞である、方法。
  23. 請求項21に記載の方法であって、前記選択された細胞型が内皮細胞であり、そして前記選択されていない細胞型が上皮細胞である、方法。
  24. 請求項13に記載の方法であって、前記異なる配列のペプトイドが、一般式I
    Figure 2005502309
    を有し、ここで、
    は、アルキル、アリール、アラルキル、アラルケニル、およびアラルキニル、水素、−OH,−SH、−COOH,スルホニル、および脂質部分からなる群より選択され、該アルキル、アリール、アラルキル、アラルケニル、およびアラルキニルのいずれも、1つ以上の基Xで置換され得、該脂質部分は、リンカー部分に結合体化され得;
    各Rは、アルキル、アリール、アラルキル、アラルケニル、およびアラルキニル、および水素からなる群より独立して選択され、該アルキル、アリール、アラルキル、アラルケニル、およびアラルキニルのいずれも、1つ以上の基Xで置換され得、少なくとも1つの基Rは水素ではなく;
    は、アルキル、アリール、アラルキル、アラルケニル、およびアラルキニル、水素、−OH,−SH、−NH、−NHR、−NH(C=O)R、スルホニル、ヒドラジン、および脂質部分からなる群より選択され、該アルキル、アリール、アラルキル、アラルケニル、およびアラルキニルのいずれも、1つ以上の基Xで置換され得、Rは、低級アルキルであり、該脂質部分は、リンカー部分に結合体化され得;
    Xは、ヒドロキシ、アルコキシ、アミノ、グアニジノ、アミジノ、アルキルアミノ、アルキルチオ、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ケト、アルデヒド、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド、スルホン酸、およびスルホン酸エステルから選択され:
    およびRは、水素、低級アルキル、および低級アルコキシから独立して選択され;そして
    mは、2〜約50から選択される整数である、
    方法。
  25. 請求項24に記載の方法であって、式Iにおいて、Rは、脂質部分を含み、そしてRは、−NH、−NHR、および−NH(C=O)Rから選択され、Rは、低級アルキルである、方法。
  26. 請求項25に記載の方法であって、前記脂質部分がステロールである、方法。
  27. 請求項24に記載の方法であって、式Iにおいて、RおよびRの各々が水素である、方法。
  28. 請求項24に記載の方法であって、式Iにおいて、少なくとも1つのRが、生理学的に適切なpHでカチオン性である基を含み、そして少なくとも1つのRが、生理学的に適切なpHで非荷電である、方法。
  29. 請求項28に記載の方法であって、前記カチオン性基は、アミノアルキル、アンモニウム、グアニジノ、アミジノ、イミダゾール、ピリジニウム、および天然に存在するアミノ酸上に見出されるカチオン性側鎖から選択される、方法。
  30. タンデム質量分析法により分析物であるペプトイドの配列を決定する方法であって、該ペプトイド上のN−置換基は、既知の置換基集団から選択され、該方法は、
    少なくとも1つの理論的ペプトイド中のアミド結合を切断することにより生成されるフラグメントの推定分子量を決定する工程であって、該理論的ペプトイドは、該既知のN−置換基集団の1つの組み合わせに基づく配列を有する、工程;
    種々の分子量の分析物フラグメントイオン集団を作製するために、該分析物のペプトイドをMS−MS断片化に供する工程;および
    前記分析物のフラグメントの分子量が該推定分子量に対応するか否かを決定する工程;
    を包含する、方法。
  31. 請求項30に記載の方法であって、前記フラグメントの推定分子量が、複数の理論的ペプトイドに関して決定され、該複数の理論的ペプトイドは、前記既知のN−置換基集団の異なる組み合わせに基づく配列を有する、方法。
  32. 請求項31に記載の方法であって、前記分析物であるペプトイド中の1つ以上の選択された位置にあるN−置換基が、予め決定されている、方法。
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