JP2005501981A - カチオン性高分子電解質を用いて紙の白さを向上させる方法 - Google Patents
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Abstract
i)少なくとも1種の蛍光増白剤、ii)少なくとも1種のカチオン性高分子電解質及びiii)少なくとも1種の溶剤からなる混合物Aを、記録材料に塗布する、記録材料の製造方法。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙の白さ及び明るさを高める新規の方法に関する。さらに、本発明は、特にインクジェット法を用いた場合の紙の印刷性を向上させる方法に関する。またさらに、本発明は、この方法によって製造された紙及びこの方法によって製造された紙の印刷に関する。さらに、本発明は、蛍光増白剤とカチオン性高分子電解質とを溶剤中で混合した物に関する。
【0002】
職場や家庭で使用される白い紙の大部分は、様々な方法で書かれたり印刷されたりする。伝統的に手書きによって水性インク又はボールペンを用いて書かれたり、複写機で印刷されたり、又は以前に使用されていたタイプライタに代わりパーソナルコンピュータ(PC)に接続されたプリンタにより印刷されたりする。この場合、プリンタとは、例えば従来のドットマトリクス−、レーザー−又はインクジェットプリンタのことを指す。このような様々な書く方法及び印刷する方法の前記の紙に関する要求を考慮して、この紙のことをよく「マルチパーパスペーパー(Multi Purpose Papiere)」と呼ぶ。
【0003】
例えばインクジェット法などのいわゆる「デジタル式印刷法」による紙、板紙、厚紙、紙に類する材料又は繊維製品(以下、簡単に「記録材料」と呼ぶ)への印刷は、印刷産業においてますますその重要性を増している。また、コンピュータに接続したインクジェットプリンタの家庭での使用は、特に急激に増加している。
【0004】
伝統的な印刷方法では大抵、紙に、インクが供給された刷版を押し付ける。この方法では印刷インクはほとんどの場合、水に不溶であるが、これに対してインクジェット法では、水に溶かしたインクを記録材料に吹き付ける。したがって、プリンタの側の、記録材料、例えば紙への要求は、伝統的な印刷方法の場合とは全く異なる。
【0005】
インクジェット法では紙の品質に関する最大の要求が生じる。インクジェット法では、水溶性色素を含有している水性インクを、細いノズルから紙に吹き付ける。印刷像がぼやけることがないように、紙が水をできるだけ早く吸収することが望ましい。しかし、同時に、噴き出たインクの到達箇所で色素がはっきりとした輪郭で固着しなくてはならないしかつその箇所で色素が紙中へ過度に深く侵入することを回避しなくてはならない。これを回避できない場合には、インクの一部が紙の裏側にも現れてしまい、これは「裏抜け(Durchschlagen)」と呼ばれる。また、色素は、紙繊維間の毛管力によるもの又は繊維内部のみで起こるにしても紙面上で到達箇所から広がってはならないし(「ウィッキング(Wikking)」)、隣接する色素領域に侵入してもいけない(「ブリーディング、(Bleeding)」)。この場合、下地が特によく透けて見えるような薄い色及びパステルカラーの場合に特に、良好な色再現が保証されるように、紙の白さの度合いが高いことが極めて重要である。
【0006】
紙表面に所望の特性を付与するためには、加工が必要である。このためには通常、ベース紙を、特殊な顔料を含有している塗工材料で被覆し、これによりいわゆるインクジェット紙が得られる。品質的価値の高いインクジェット紙は、一般には、顔料として微細粒子のケイ酸、結合−及び結合助剤として例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びカチオン性ポリマー、例えばポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドを含有している塗工材料で被覆されている(例えば、G. Morea-Swift、H. Jones、THE USE OF SYNTHETIC SILICAS IN COATED MEDIA FOR INK-JET PRINTING、in 2000 TAPPI Coating Conference and Trade Fair Proceedings、317〜328参照)。
【0007】
しかし、このようにして製造された紙は比較的高価であり、他種の紙と比較すると製造が難しく、その特殊な被覆によって別の書く方法及び印刷する方法にあまり適さないことがしばしばあるので、前述の「マルチパーパスペーパー」へ要求を満たさない。
【0008】
塗工材料は主に、大抵は白色の顔料と、ポリマーの結合剤と、塗工色素のレオロジー的特性及びその他の特性、並びに塗布された記録材料の表面の特性に望ましい影響を与える添加剤とからなる。このような添加剤は、しばしば「コバインダー」とも呼ばれる。結合剤によって、顔料は記録材料に固着し、得られた被覆層中での凝集が保証される。
【0009】
紙塗工材料で被覆することによって、原紙は均一な白色の平滑な表面を有するようになる。さらに、この紙塗工材料は記録材料の印刷性も向上させる。
【0010】
紙を紙塗工材料で被覆することは、例えば「The Essential Guide to Aqueous Coating of Paper and Board」、T.W.R. Dean(編)、Paper Industry Technical Association (PITA)出版、1997によりよく知られている。
【0011】
顔料を含有している塗工色素で紙を被覆することにより達成しようとしている重要な目的の1つは、紙の白さを高めることである。
【0012】
書こうとする又は印刷しようとする紙又は厚紙(以下、グラフィックペーパーとも呼ぶ)の製造で最も重要な目的の1つは、紙又は厚紙表面に度合いの高い白さを得ることである。白さの度合いが高いことで、清潔かつ安心な印象を与えるばかりでなく、印字インクとの強いコントラストが得られるので特に照明が暗い場合には文字の可読性が向上する。白さの度合いが高いことによる特別な利点は、紙又は厚紙にカラー印刷したい、書きたい又は絵を描きたい場合に得られる。下地が白いほど、薄い又は透けて見える色又はパステルカラーで書いたり、印刷したり又は絵を描いたりする場合に特に、色コントラストは良好かつ自然となる。グラフィックペーパーの製造の際、最近では古紙をますます多く使用するようになっているので、紙製造者のこのような製品は、新しい繊維材料を使用した場合に比べて明らかにより暗い色をしている。
【0013】
したがって、紙製造者は、彼らの製品、特にグラフィック用に使用される紙の白さを高めるために多大な努力をしている。パルプ、木材パルプ又は顔料のいずれにしても原料の製造時に既に、これらの原料をできるだけ白い状態で得るために高いコストをかけている。また、実際の紙製造時には、紙の白さを損なう可能性のある全ての助剤及び条件を避けている。
【0014】
紙の白さ及び明るさを向上させる公知の方法の1つは、従来技術に基づく紙製造及び紙材料の紙加工の様々な作業段階で添加する又は紙に塗布する、いわゆる「白色体質顔料」又は「蛍光増白剤」を使用することである。
【0015】
これらは、色素に類する蛍光化合物であって、ヒトの目には見えない短波長の紫外線を吸収してより長波長の青い光を放出し、これによって、ヒトの目には白さが高められて写り、したがって、白色度は上昇する。
【0016】
製紙産業で使用される蛍光増白剤は主に、付加的なスルホン酸基、つまり、例えば全部で2,4又は6個のスルホン酸基を有していてよい4,4´−ジアミノスチルベン−2,2´−ジスルホン酸の1,3,5−トリアジニル誘導体である。このような増白剤についての概要は、例えば、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Sixth Edition, 2000 Electronic Release、OPTICAL BRIGHTENERS−Chemistry of Technical Productsに記載されている。しかし、新たな蛍光増白剤のタイプ、例えば4,4´−ジスチリルビフェニルの誘導体も挙げられ、これも同様に上記の刊行物、Ulmann's Encyclopedia of Industrial Chemistryに記載されている。
【0017】
白色体質顔料は、紙製造および紙加工の様々な段階で使用することができる。蛍光増白剤は、例えば紙材料に添加することができるが、サイズプレス中で例えばでんぷんのような表面サイズ剤又は固着剤と共に添加することもできるし、又は別の助剤と共に添加することもできる。最もよく行われるのは、蛍光増白剤を、紙及び厚紙に被覆する紙塗工材料に入れて、複数の層、特に観察者の目に留まる一番上の層で使用することである。この場合、増白剤がその層にとどまり、紙のより深い層に移動しないということが重要である。その場合、蛍光増白剤が表面で均一に分散していて、それと同時に、溶剤、例えば水によって溶け出さないように硬くその最上層に固着していることが望ましい。
【0018】
しかし、塗工材料中での蛍光増白剤の使用は、蛍光増白剤が仕上がった紙の被覆層中で最適な分散状態を有しているだけでなく、化学的な構造及びコンホメーションも最適である場合にのみ、最適な結果が得られる。それというのは、例えばスチルベンでは単分子トランス型のみが光学的に活性であって、これが単分子で分散していて面に固着している場合にだけ最大に蛍光化するからである(K. P. Kreutzer、Grundprozesse der Papiererzeugung 2: Grenzflaechenvorgaenge beim Einsatz chemischer Hilfsmittel、H.−G. Voelkel und R. Grenz (Hrsg.)、PTS Muenchen、2000、PTS-Manuskript: PTS−GPE−SE 2031〜2)。
【0019】
紙材料へ添加する場合、一般には、蛍光増白剤をセルロースへ吸収させることによって行う。サイズプレス塗布又は塗工材料の被覆によるにしても、表面で使用する場合には、蛍光増白剤の効果を塗布時に強めるかつ「活性剤」、「担体」、「改質剤」、「コバインダー」又は「キャリア」と呼ばれるポリマー化合物を紙塗工材料に添加する。塗工材料中で結合剤以外に使用されるコバインダーの重要な機能の1つは、その増白活性作用である。適当なコバインダーとしては、水溶性ポリマー、例えばポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、アニオン性又は非イオン性の分解でんぷん、カゼイン、大豆タンパク、水溶性のスチレンアクリレートコポリマー、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリグリコール及びアクリルエステルを含有しているコポリマーを使用する(例えば前記のK. P. Kreuter参照)。
【0020】
これらのキャリアのうち、通常、ポリビニルアルコールが増白剤と共に有利に作用する。例えば、W. Bieber、A. Brockes、B. Hunke、J. Kruesemann、D. Loewe、F. Mueller、P. Mummenhoff、Blankophor(R)−Optische Aufheller fuer die Papierindustrie、Bayer AG、Geschaeftsbereich Farben、Leverkusen、SP 600、8.89、63〜64頁参照。
【0021】
増白剤水溶液をキャリアなしで紙に塗布することも公知であるが、特別な場合に行われるだけである(W. Bieberら、前記刊行物、56、62頁参照)。
【0022】
国際特許出願WO01/21891には、増白剤水溶液を塗工紙に塗布することが記載されている。この明細書には、塗工層にキャリア特性がない場合、増白剤を、でんぷん、カルボキシメチルセルロース又はポリビニルアルコールのようなキャリアと共に塗工紙に塗布できることも記載されている。しかし、最適な増白剤とポリビニルアルコールとの量の比については記載されていない。「最適な増白剤(市販)10質量%及び溶解でんぷん3質量%の水溶液」と記載されているだけである(7頁、3段落参照)。
【0023】
EP−A192600には、少なくとも1種の蛍光増白剤、紙塗工材料のための蛍光増白剤として使用することができる、ポリエチレングリコール(安定化のため)及び水からなる水性調製物が記載されており、この使用のために、別の塗工材料成分と置き換える。
【0024】
本発明の課題は、簡単な方法段階によって記録材料の白さを高めることである。
【0025】
この課題は、
i)少なくとも1種の蛍光増白剤、
ii)少なくとも1種のカチオン性高分子電解質及び
iii)少なくとも1種の溶剤
を含有している混合物Aを記録材料に塗布する、記録材料の製造方法によって解決される。
【0026】
この場合、カチオン性高分子電解質とは、ポリマー鎖に分散した正電荷を有しているポリマー、及び乾燥物質としては非イオン性であってもよいが、その塩基性の性質のために水中又は別の溶液中でプロトン化し、これによって正電荷を有しているポリマーであると理解される。
【0027】
通常、混合物Aは、混合物100質量%に対して、
i)を0.05〜5質量%、有利には0.1〜3、特に有利には0.2〜2質量%、
ii)を1〜30質量%、有利には2〜20、特に有利には5〜15質量%及び
iii)を98.95〜65質量%、有利には97.9〜77、特に有利には94.8〜83質量%有している。製紙でよく用いられる別の助剤(下記参照)をさらに含有している場合には、溶剤iii)の量を相応に少なくする。
【0028】
驚くべきことに、最適な増白剤と所定のカチオン性高分子電解質とを溶剤中で適当に混合した物を、例えば記録材料の表面に塗布すると、記録材料、特に紙及び厚紙の白さを、極めて簡単にかつ効果的に高めることができることが分かった。この方法で特に驚くべきことは、カチオン性高分子電解質が通常の高価なアニオン性蛍光増白剤の蛍光を消失させ(例えばK. P. Kreutzer、前記刊行物、8〜22ページ参照、W. Bieberら、前記刊行物、58、65、71ページ参照)かつこの蛍光増白剤とカチオン性電解質とが互いに沈殿を起こしてしまう(W. Bieberら、前記刊行物、59ページ参照)という一般的な従来の知識に反してこの方法が可能であるということである。上記の一般的な知識は、製紙産業ではごく普通の考え方である。
【0029】
さらに、この記録材料は、インクジェット法によって印刷することができ、この場合、従来の紙と比べて極めてより良好な色再現及び極めてより良好な輪郭のシャープさが得られる。
【0030】
さらに、当業者には、増白剤の分子とポリマー分子とから複合体又は会合体が形成されて、これらは当業者の経験から通常は水に不溶であると考えられてきた(W. Bieberら、前記刊行物、59頁参照)にもかかわらず、市販の蛍光増白剤の溶液はカチオン性高分子電解質の水溶液と混合することができかつこの混合物が貯蔵安定性であることが分かった。
【0031】
蛍光増白剤の安定な溶液の調製に関する問題点は、例えばEP−A192600、1頁によって公知である。
【0032】
本発明による方法で使用可能なポリマー及びコポリマーii)(本明細書では(コ)ポリマーと呼ぶ)は、少なくとも1種のN−ビニルカルボン酸アミド、例えば式(IIa)を重合により組み込んで含有している。
【0033】
【化1】
【0034】
式(IIa)中で、R1及びR2は、互いに独立した水素又はC1〜C20−アルキルであり、この場合、アルキル基は、直鎖であるか又は分枝していてよい。
【0035】
有利には、R1及びR2は、互いに独立した水素又はC1〜C10−アルキルであり、特に有利には水素又はC1〜C4−アルキルであり、さらに特に有利には水素又はメチルであり、特に水素である。
【0036】
R1及びR2は、2〜8個、有利には3〜6個、特に有利には3〜5個の炭素原子を共に含有している直線状の又は分枝した1つの鎖を形成していてよい。場合によっては、1個又は複数の炭素原子を、例えば酸素、窒素又は硫黄のようなヘテロ原子に置き換えてもよい。
【0037】
例えば、置換基R1及びR2は、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル又はn−エイコシルである。
【0038】
例えば、共に1つの鎖を形成する置換基R1及びR2は、1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、2−メチル−1,3−プロピレン、2−エチル−1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,5−ペンチレン、2−メチル−1,5−ペンチレン、1,6−ヘキシレン又は3−オクサ−1,5−ペンチレンである。
【0039】
式(IIa)によるこのようなN−ビニルカルボン酸アミドの例は、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルプロピオン酸アミド、N−ビニル酪酸アミド、N−ビニルイソ酪酸アミド、N−ビニル−2−エチルへキサン酸アミド、N−ビニルデカン酸アミド、N−ビニルドデカン酸アミド、N−ビニルステアリン酸アミド、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルプロピオン酸アミド、N−メチル−N−ビニル酪酸アミド、N−メチル−N−ビニルイソ酪酸アミド、N−メチル−N−ビニル−2−エチルへキサン酸アミド、N−メチル−N−ビニルデカン酸アミド、N−メチル−N−ビニルドデカン酸アミド、N−メチル−N−ビニルステアリン酸アミド、N−エチル−N−ビニルホルムアミド、N−エチル−N−ビニルアセトアミド、N−エチル−N−ビニルプロピオン酸アミド、N−エチル−N−ビニル酪酸アミド、N−エチル−N−ビニルイソ酪酸アミド、N−エチル−N−ビニル−2−エチルへキサン酸アミド、N−エチル−N−ビニルデカン酸アミド、N−エチル−N−ビニルドデカン酸アミド、N−エチル−N−ビニルステアリン酸アミド、N−イソプロピル−N−ビニルホルムアミド、N−イソプロピル−N−ビニルアセトアミド、N−イソプロピル−N−ビニルプロピオン酸アミド、N−イソプロピル−N−ビニル酪酸アミド、N−イソプロピル−N−ビニルイソ酪酸アミド、N−イソプロピル−N−ビニル−2−エチルへキサン酸アミド、N−イソプロピル−N−ビニルデカン酸アミド、N−イソプロピル−N−ビニルドデカン酸アミド、N−イソプロピル−N−ビニルステアリン酸アミド、N−n−ブチル−N−ビニルホルムアミド、N−n−ブチル−N−ビニルアセトアミド、N−n−ブチル−N−ビニルプロピオン酸アミド、N−n−ブチル−N−ビニル酪酸アミド、N−n−ブチル−N−ビニルイソ酪酸アミド、N−n−ブチル−N−ビニル−2−エチルへキサン酸アミド、N−n−ブチル−N−ビニルデカン酸アミド、N−n−ブチル−N−ビニルドデカン酸アミド、N−n−ブチル−N−ビニルステアリン酸アミド、N−ビニルピロリドン又はN−ビニルカプロラクタムである。
【0040】
有利には、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン又はN−ビニルカプロラクタムであり、特に有利には、N−ビニルホルムアミドである。
【0041】
本発明による方法に適した(コ)ポリマーの製造は自体公知である。
【0042】
例えば、本発明による方法のために使用できるN−ビニルホルムアミド((IIa)中、R1=R2=H)のポリマー及びコポリマーの製造は、EP−B1 71050に記載されている。
【0043】
N−アルキル−N−ビニルカルボン酸アミド並びにそのポリマー及びコポリマーの合成も、公知であるか又は公知の手段により行われる。例えば、Kirk-Othmer、Encyclopedia of Chemical Technology、第4版、24巻、J. Wiley & Sons、NY、1995、N-vinylamide polymers、1070頁;Uchino, N.、Machida, S.、日本国特許公開JP51100188(C.A.86:73393)又はDE−A4241117参照。
【0044】
N−ビニルピロリドンのポリマー及びコポリマーの製造は、例えば、Handbook of Water-Soluble Gums and Resins、Robert L. Davidson編、McGraw-Hill、New York、1980より公知である。
【0045】
本発明で使用可能な(コ)ポリマーは、例えば、
a)1種又は複数種のN−ビニルカルボン酸、例えば式(IIa)5〜100モル%、
b)3〜8個のC原子を有しているモノエチレン性不飽和カルボン酸及び/又はそのアルカリ(土類)金属−及びアンモニウム塩0〜95モル%、及び場合によっては、
c)モノマーa)及びb)と共重合可能な別のモノエチレン性不飽和化合物30モル%まで、及び場合によっては、
d)分子中に少なくとも2つのエチレン性不飽和非共役二重結合を有している化合物2モル%まで
の(共)重合によって得ることができ、この場合、合計は常に100モル%であり、場合によっては、これに続いて、(コ)ポリマーに重合により組み込まれたN−ビニルカルボン酸アミド単位から部分的に又は完全にカルボン酸基を脱離してアミン基若しくはアンモニウム基を形成する。
【0046】
グループa)のモノマーとしては、例えば式(IIa)の前記のN−ビニルカルボン酸アミドが挙げられる。
【0047】
(コ)ポリマーの製造には、上記のモノマーを単独で又は互いを混合させて使用することができる。(コ)ポリマーは、グループa)のモノマーを5〜100、有利には30〜100モル%の量で重合により組み込んだ形で含有している。
【0048】
グループb)のモノマーとしては、3〜8個のC原子を有するモノエチレン性不飽和カルボン酸及びこのモノマーの水溶性塩が挙げられる。これらのモノマーのグループには、例えばアクリル酸、メタクリル酸、ジメチルアクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、シトラコン酸、メチレンマロン酸、アリル酢酸、ビニル酢酸、クロトン酸、フマル酸、メサコン酸及びイタコン酸が属する。このモノマーのグループからは、有利には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸又は前記カルボン酸の混合物、特にアクリル酸とマレイン酸とからなる混合物又はアクリル酸とメタクリル酸とからなる混合物を使用する。グループb)のモノマーは、遊離カルボン酸の形で、若しくは部分的に又は完全に中和された形で共重合において使用する。モノエチレン性不飽和カルボン酸の中和には、例えばアルカリ金属塩基、アルカリ土類金属塩基、アンモニア又はアミン、例えば苛性ソーダ、苛性カリ、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、アンモニア、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ジエチレントリアミン又はテトラエチレンペンタミンを使用する。コポリマーは、グループb)から少なくとも1種のモノマーを95〜0、有利には70〜0モル%の量で重合により組み込んだ形で含有している。
【0049】
モノマーa)及びb)からなるコポリマーは、場合によっては、共重合の際に、モノマーa)及びb)と共重合可能である少なくとも1種の別のモノエチレン性不飽和化合物を使用することによって、改質することができる。グループc)の適当なモノマーは、例えば、a)で挙げたカルボン酸のエステル、アミド及びニトリル、例えば、アクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、アクリル酸−n−ブチルエステル、ヒドロキシエチルアクリレート、2−又は3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−又は4−ヒドロキシブチルアクリレートヒドロキシエチルメタクリレート、2−又は3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシイソブチルアクリレート、ヒドロキシイソブチルメタクリレート、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸ジメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、アクリルニトリル、メタクリルニトリル、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、並びに前記モノマーのカルボン酸又は鉱酸との塩及び4級化生成物である。さらに、グループc)のモノマーとしては、アクリルアミドグリコール酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリル酸−(3−スルホプロピル)エステル、メタクリル酸−(3−スルホプロピル)エステル及びアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸及びリン酸基を含有しているモノマー、例えばビニルホスフェート、アリルホスフェート及びアクリルアミドメタンプロパンリン酸が適している。このグループの別の適当な化合物は、N−ビニル−2−メチルイミダゾリン、ビニルアセテート及びビニルプロピオネートである。もちろん、グループc)の前記モノマーの混合物、例えばアクリルエステルとビニルアセテートとからなる混合物、種々のアクリルエステルからなる混合物、アクリルエステルとアクリルアミドとからなる混合物又はアクリルアミドと2−ヒドロキシエチルアクリレートとからなる混合物を使用することも可能である。有利には、グループc)のモノマーから、アクリルアミド、アクリルニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルイミダゾール又はこれらのモノマーからなる混合物、例えばアクリルアミドとビニルアセテートとからなる混合物又はアクリルアミドとアクリロニトリルとからなる混合物を使用する。グループc)のモノマーは、コポリマーの改質のために使用するのであれば、コポリマー中で30モル%までの量、有利には1〜20モル%の量で重合により組み込まれた形で含まれる。
【0050】
さらに、モノマーa)、b)及び場合によってはc)からなる(コ)ポリマーは、グループd)の少なくとも1種のモノマーの存在で共重合を行うことによって改質することができ、この場合、グループd)のモノマーとは、分子中に少なくとも2つのエチレン性不飽和非共役二重結合を有している化合物である。共重合の際にグループd)のモノマーを一緒に使用することによって、コポリマーのK値(下記参照)が上昇する。グループd)の適当な化合物は、例えばメチレンビスアクリルアミド、アクリル酸及びメタクリル酸と多価アルコールとのエステル、例えばグリコールジアクリレート、グリセリントリアクリレート、グリコールジメタクリレート、グリセリントリメタクリレート、並びに少なくとも2個のアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化されたポリエチレングリコール又はペンタエリトリット及びグルコースのようなポリオールである。さらに、適当な架橋剤は、ジビニルベンゼン、ジビニルジオキサン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリットトリアリルエーテル、ペンタアリルスクロース及びジアリルアンモニウムクロリドである。有利には、この化合物のグループから、水溶性モノマー、例えばグリコールジアクリレート又は分子量3000までのポリエチレングリコールのグリコールジアクリレートを使用する。グループd)のモノマーは、コポリマーの改質のために使用するのであれば、使用量は2モル%までである。グループd)のモノマーを使用する場合には、有利には、これがコポリマー中で0.01〜1モル%まで重合により組み込まれた形で含まれる。
【0051】
有利には、
a)N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン又はN−ビニルカプロラクタム又はこれらの混合物30〜100モル%、
b)アクリル酸、メタクリル酸及び/又はこれらのアルカリ金属−、アルカリ土類金属−、アンモニウム−又はアミン塩又はこれらの混合物70〜0モル%及び
c)アクリルアミド、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルイミダゾール又はこれらの混合物0〜30モル%
(この場合、合計は常に100モル%)の(共)重合によって、さらに場合によってはこれに続く、重合により組み込まれたN−ビニルカルボン酸アミド単位の部分的な又は完全な加水分解によって得られる化合物を使用する。
【0052】
例としては、N−ビニルホルムアミドからなるホモポリマー、N−ビニルホルムアミド、アクリル酸及びアクリルアミドからなるコポリマー、N−ビニルホルムアミド、アクリル酸及びアクリロニトリルからなるコポリマー、N−ビニルホルムアミド、アクリル酸及びビニルアセテートからなるコポリマー、N−ビニルホルムアミド、アクリル酸及びN−ビニルピロリドンからなるコポリマー、N−ビニルホルムアミド、アクリル酸、アクリロニトリル及びビニルアセテートからなるコポリマー又はN−ビニルホルムアミド、アクリル酸、アクリルアミド及びアクリロニトリルからなるコポリマーが挙げられる。前記コポリマーでは、アクリル酸は、全て又は部分的にメタクリル酸と置き変えることができる。アクリル酸又はメタアクリル酸は、部分的に又は完全に、苛性ソーダ、苛性カリ、水酸化カルシウム又はアンモニアによって中和されていてよい。
【0053】
(コ)ポリマーの製造は、公知のラジカル法、例えば溶液−、沈殿−、懸濁−又は乳化重合によって、重合条件下でラジカルを形成する化合物を使用して行う。
【0054】
重合温度は、通常、30〜200、有利には40〜110、特に有利には40〜100℃の領域にあり、場合によっては減圧又は高圧にする。適当な開始剤は、例えばアゾ−及び過酸化化合物、並びに通常のレドックス系開始剤、例えば、過酸化水素と例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート及びヒドラジンのような還元作用を有する化合物との組み合わせである。この系は、場合によっては微量の重金属塩をさらに含有していてよい。
【0055】
(コ)ポリマーは、有利には水中での溶液重合によって製造し、この場合、グループb)のモノマーを、有利には塩の形で使用し、重合中のpH値を4〜10、有利には6〜8に維持する。共重合中のpH値を一定に保つために、少量、例えば0.5〜2質量%の緩衝剤、例えばリン酸水素二ナトリウムを添加することもできる。重合開始剤としては、有利には水溶性のアゾ化合物、例えば2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2´−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス−(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2´−アゾ−ビス(イソブチロニトリル)、2,2´−アゾビス−(2−アミジノプロパン)−ヒドロクロリド又は4,4´−アゾ−ビス−(4´−シアン−ペンタン酸)を使用する。
【0056】
前記化合物は大抵、水溶液又は水溶分散液の形で使用し、この場合、下部の濃度は(共)重合中に交換可能な水の量によって、上部の濃度は使用化合物の水中での溶解性によって測定する。一般的には、濃度は溶液に対して0.1〜30質量%、有利には0.5〜20質量%、特に有利には1.0〜10質量%である。
【0057】
分散液という言葉は、本明細書ではRoempp Chemie Lexikon−CD Version 1.0、Stuttgart/New York:Georg Thieme Verlag、1995による上位の概念として使用し、エマルジョン、懸濁液及び溶液を含む。
【0058】
開始剤の量は、一般に、(共)重合すべきモノマーに対して0.1〜10質量%、有利には0.5〜5質量%である。(共)重合では複数の様々な開始剤を使用してもよい。
【0059】
重合のための溶剤又は希釈剤としては、例えば水、メタノール、エタノール、n−又はイソプロパノール、n−又はイソブタノールのようなアルコール、アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン又はイソブチルメチルケトンのようなケトンを使用することができる。
【0060】
低分子量の(コ)ポリマーを製造するためには、(共)重合を調節剤の存在で行う。適当な調節剤は、例えば、イソプロパノール及びs−ブタノールのような2級アルコール、ヒドロキシルアミン、ギ酸、並びにメルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトブタノール、チオグリコール酸、チオ乳酸、t−ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン及びドデシルメルカプタンのようなメルカプト化合物である。調節剤は、通常、使用するモノマーに対して0.01〜5質量%の量で使用する。しかし、2級アルコールを開始剤として使用するのであれば、極めてより多い量、例えばモノマーに対して80質量%までの量の存在で(共)重合を行うこともできる。この場合には、2級アルコールは同時にモノマーのための溶剤にもなる。
【0061】
このようにして得られる(コ)ポリマーは通常、20〜300、有利には50〜250のK値を有している。本明細書に記載したK値は、H.フィケンチャー法(H. Fikentscher)により、5%の食塩水溶液中でpH7、25℃で、0.1質量%のポリマー濃度で測定されている。
【0062】
しかし、(共)重合は、当業者により公知の別の方法、例えば、溶液−、沈殿−、水/油乳化−、又は逆相懸濁重合で行うこともできる。有利には溶液重合により行う。
【0063】
乳化重合では、イオン性及び/又は非イオン性の乳化剤及び/又は保護コロイド若しくは安定剤を、界面活性化合物として使用する。
【0064】
重合条件に応じて、(共)重合で様々な分子量の(コ)ポリマーが得られ、この分子量は、本明細書ではフィケンチャー法に基づくK値を用いて表す。例えば80より大きな高いK値を有する(コ)ポリマーは、有利には、N−ビニルカルボン酸アミド、例えば式(IIa)の(共)重合によって水中で製造する。さらに、高いK値を有する(コ)ポリマーは、例えば逆相懸濁重合の形でのモノマーの(共)重合によって、又は水/油重合の方法によるモノマーの(共)重合によって得られる。
【0065】
逆相懸濁重合及び水/油重合による方法では、油相として、飽和炭化水素、例えばヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、デカリン、又は芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン及びクメンを使用する。油相と水相との比は、逆相懸濁重合では、例えば10:1〜1:10である。
【0066】
低いK値、例えば80より低いK値を有する(コ)ポリマーは、重合調節剤の存在で又は(共)重合を調節する、例えば、メタノール、エタノール、n−又はイソプロパノールのようなアルコール、アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン又はイソブチルメチルケトンのようなケトンである溶剤中で(共)重合を行う場合に得られる。
【0067】
さらに、低分子量の及び相応に低いK値を有する(コ)ポリマーは、通常の手段によって、つまり、重合開始剤の多量の使用又は重合調節剤の使用、又はこれらの手段を組み合わせることによって得られる。
【0068】
本発明で使用可能な(コ)ポリマーの分子量には制限はない。しかし、有利には、(コ)ポリマーが20〜150のK値を有しており、特に有利には30〜100のK値を有している。
【0069】
N−ビニルカルボン酸アミド、例えば式(IIa)、特にN−ビニルホルムアミドを重合により組み込んだ形で得られる(コ)ポリマーは、本発明によれば、部分的に又は完全に分解した形でも、分解していない形でも使用することができる。有利には、カルボン酸基の加水分解度は、(コ)ポリマー中に含まれているN−カルボン酸アミド単位に対して5〜90モル%、特に有利には10〜50モル%である。
【0070】
別のカチオン性高分子電解質ii)も公知である。例えば、次の化学的慣用名、すなわちポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、カチオン性ポリビニルホルムアミド、カチオン性ポリビニルピロリドン、カチオン性ポリビニルアセトアミド、カチオン性ポリビニルメチルホルムアミド、カチオン性ポリビニルメチルアセトアミド、ポリ(ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド)、ポリ(ジメチルアミノエチルアクリレート)、ポリ(ジエチルアミノエチルアクリレート)、ポリ(アクリロイルエチルトリメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)、カチオン性ポリアクリルアミド、ポリ(ビニルピリジン)、ヘキサジメトリンブロミド、ポリ(ジメチルアミン−コ−エピクロロヒドリン)、ポリ(ジメチルアミン−コ−エピクロロヒドリン−コ−エチレンジアミン)、ポリ(アミドアミン−エピクロロヒドリン)又はカチオン性でんぷんとして公知のポリマー、若しくはN−ビニルホルムアミド、アリルアミン、ジリルジメチルアンモニウムクロリド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、アクリロイルエチルトリメチルアンモニウムクロリド又はメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドを重合により組み込んだ形及び場合によっては分解した形で含有しているコポリマー、並びに塩基性ポリマーである場合にはその塩を使用することができる。この場合、カチオン性ポリビニルホルムアミド、ポリビニルアミン、カチオン性ポリアクリルアミド及びポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)が有利である。さらに、カチオン性ポリビニルホルムアミドが特に有利である。
【0071】
この場合、カチオン性でんぷんは、例えば、大抵はアルカリの存在で行う、でんぷんと3級アミノ基又は4級アンモニウム基を含有している試薬との反応によって得られるエーテル化デンプンのようなでんぷん誘導体である。一般に使用される試薬は、(2−クロロエチル)ジエチルアミン、(2,3−エポキシプロピル)ジエチルアミン、(3−クロロプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、(2,3−エポキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド及び(4−クロロ−ブテニル)トリメチルアンモニウムクロリド、エチレンイミンであるが、非置換シアナミド、メチル−又はエチル置換シアナミドも用いられる。このようなでんぷん誘導体は、例えばUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、第6版、2000 Electronic Release−Starch、Kap. 2.2.6. Cationic Starch及びこの刊行物中で引用された文献に記載されている。置換度に制限はないが、例えば0.01〜0.2であってよい。3級アミノアルキルエーテル、4級アンモニウムエーテル及びアミノエチル化されたでんぷんが有利である。でんぷんとしては、例えば5000〜200000の分子量を有するアミロース及びアミロペクチンを使用することができる。
【0072】
カチオン性高分子電解質の製造は、以前よりよく知られている。
【0073】
本発明による方法で使用可能なカチオン性高分子電解質ii)は、様々な分子量を有しており、この分子量は、本明細書ではフィケンチャー法に基づくK値を用いて表す。本発明により使用可能なカチオン性高分子電解質の分子量には制限はない。通常、20〜200、有利には30〜150、特に40〜100のK値を有している。本明細書中に記載したK値は、フィケンチャー法により5%の食塩水溶液中でpH7、25℃でポリマー濃度0.1質量%で測定されている。
【0074】
ポリマー一般式(I)
【0075】
【化2】
[式中、比n1:m1は、全ポリマー値に対して99:1〜1:99であり、p1は、値30〜30000をとってよい]を有する極めて特に有利なカチオン性高分子電解質又はこれらの塩は、式(II)
【0076】
【化3】
のN−ビニルホルムアミドを、式(III)
【0077】
【化4】
のポリビニルホルムアミドに重合して、これを、ホルミル基を除去しながら部分的に分解してコポリマー(I)得ることによって製造する。
【0078】
有利には、カルボン酸基の加水分解度は、(コ)ポリマー中に含まれるN−カルボン酸アミド単位に対して5〜90モル%、特に有利には10〜50モル%である。この場合、ホルミル基を脱離する手段には制限はない。例えば、酸又は塩基の存在で行うことができ、有利には、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルカリ土類金属、アンモニア又はアミンのような塩基の存在で脱離を行う。この場合、例えば(メタ)アクリレート及びN−アルキル−N−ビニルカルボン酸アミドを重合により組み込んだ形で含有しているコポリマーの部分加水分解によって、両性(コ)ポリマーが生成する。
【0079】
N−ビニルホルムアミドのカチオン性ポリマーは、EP−B1 071050に記載されているように、N−ビニルホルムアミドのホモポリマー又はN−ビニルホルムアミドを重合により組み込んだ形で含有しているコポリマーを、規定量の酸又は塩基により、加水分解によって所望の加水分解度にまで分解することによって特に簡単に得られる。この場合、ポリマー鎖で得られるアミノ基は、溶液のpH値に応じて程度の差はあるにせよプロトン化され、これにより、ポリマーは、程度の差はあるにせよカチオン性の性質を有するようになる。
【0080】
(共)重合後、カルボン酸若しくはホルミル基を脱離したい場合には、例えば水中で脱離を行うことができる。
【0081】
加水分解でのカルボン酸若しくはホルミル基の脱離は、20〜200、有利には40〜180℃の範囲の温度で、酸又は塩基の存在で行う。酸又は塩基の存在で行うこの加水分解は、特に有利には70〜90℃の温度範囲で行う。
【0082】
酸性加水分解のためには、ポリ−N−ビニルホルムアミド中のカルボン酸−若しくはホルミル基1当量あたり約0.05〜1.5当量の酸、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸が必要である。酸性加水分解の際のpH値は2〜0、有利には1〜0の領域にある。N−ビニルホルムアミドの加水分解は、例えばN−メチル−N−ビニルホルムアミドのような別のN−ビニルカルボン酸アミドの(共)重合の加水分解よりも極めて迅速であり、従って、穏やかな条件下、つまり、より低い温度でかつ酸の過剰が大きくない条件下で行うことができる。
【0083】
さらに、ポリ−N−アルキル−N−ビニルカルボン酸アミドのホルミル基の加水分解はアルカリ溶媒中、例えば11〜14のpH領域でも行うことができる。このpH値は、有利には、例えば苛性ソーダ又は苛性カリのようなアルカリ金属塩基を添加することによって調節する。しかし、アンモニア、アミン及び/又はアルカリ土類金属塩基を使用することも可能である。アルカリ性加水分解では、0.05〜1.5、有利には0.4から1.0当量の塩基を使用する。
【0084】
この分解は、高い温度でも、例えば100℃より高い温度、有利には120〜180℃、特に有利には140〜160℃で、溶剤、例えば水の存在で、酸又は塩基なしで行うことができる。有利には、臨界点を超えた条件下、例えば超臨界水を用いても行うことができる。
【0085】
加水分解時、つまり、カルボン酸−若しくはホルミル基が、水中で酸又は塩基の存在でポリ−N−ビニルカルボン酸アミドから脱離する際、副生成物としてカルボン酸、例えばギ酸、若しくはその塩が得られる。
【0086】
このようにして得られた溶液は、さらに処理をすることなしに本発明による方法で使用することができるが、加水分解−若しくは加溶媒分解生成物を分離してもよい。
【0087】
この分離のためには、得られた溶液を、例えばイオン交換器によって処理する。加水分解生成物から分離された残滓は、本発明でさらに使用することができる。
【0088】
本発明による方法のために同様に使用可能なカチオン性ポリアクリルアミドは、数十年前より公知である(s. D. Horn、F. Linhart、in Paper Chemistry、J. C. Roberts編、第2版、Blackie Academic & Professional、Glasgow(1996)、66〜67頁、及びこの刊行物に記載の文献)。
【0089】
このカチオン性ポリアクリルアミドは、しばしば、一般式(IV)
【0090】
【化5】
[式中、Aは酸素又はNH基であり、R1は水素又は1〜3個のC原子を有する低級アルキル基であってよく、R2及びR3は、1〜5個のC原子を有する低級アルキル基又はベンジル基であり、R5は水素又はメチル基であってよく、比n2:m2は値99:1〜0:100をとってよく、q2は、値1及び2、p2は値50〜50000をとってよく、X−は、例えばクロリド、ブロミド、1/2スルフェート、ハイドロスルフェート、メチルスルフェート、エチルスルフェート、メチルカルボネート、エチルカルボネート、ナイトレート、ホルミエート、アセテート又はトルエンスルホネートのような任意のアニオンであってよい]のポリマーからなっている。さらに、ポリマー鎖には、アクリル酸又はメタクリル酸を、ポリマーの全電荷がpH値に無関係に正に保たれるような量までで重合により組み込むことができる。
【0091】
低級アルキル基とは、本明細書では、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、t−ペンチル、イソペンチル又はs−アミルを指す。
【0092】
ポリマー式(V)
【0093】
【化6】
[n3は、値30〜30000をとってよい]を有する本発明による方法で使用可能なポリ(ジアリル−ジ−メチルアンモニウムクロリド)は、以前より公知である(s. D. Horn、F. Linhart、前記刊行物参照、70頁;G. Butler、in Polymeric Amines and Ammonium Salts、E. J. Goethals編、Pergamon Press、Oxford(1980)、125)。
【0094】
また、例えばポリマーの一般式(VI)
【0095】
【化7】
[R6及びR7は、互いに独立した水素又は1〜4個の炭素原子を有する低級アルキル基であってよく、n4は、値30〜30000をとってよい]を有する別のジアリルジアルキルアンモニウムクロリドを使用してもよい。
【0096】
例として挙げた前述の別のカチオン性高分子電解質も、以前より公知である。
【0097】
本発明による方法及び本発明による混合物のためには、もちろん、前述の高分子電解質の出発モノマーの共重合によって得られるカチオン性高分子電解質を使用することができる。例えば、ビニルホルムアミド(式(II))及びジアリルジメチルアンモニウムクロリド、又はビニルホルムアミド及び塩基性アクリレートを重合により組み込んだ形で含有しているコポリマーも、EP0464043B1に記載されているように使用することができる。また、アクリルアミドとジアリルジメチルアンモニウムクロリド又は別のジアリルジアリルアンモニウムクロリドとを重合により組み込んだ形で含有しているポリマーも適している。
【0098】
本発明で使用可能な、N−ビニルカルボン酸アミドを重合により組み込んで含有している(コ)ポリマー及び別のカチオン性高分子電解質の、使用する溶剤iii)中での溶解性は、通常、20℃で、少なくとも1質量%から完全な溶解性を有するまでになっている。
【0099】
さらに、本発明の対象は、
i)少なくとも1種の蛍光増白剤、
ii)少なくとも1種のカチオン性高分子電解質及び
iii)少なくとも1種の溶剤、
並びに場合によっては製紙でよく用いられる別の助剤又は顔料からなる混合物Bである。
【0100】
有利には、混合物Bは、顔料のみを含有していて製紙でよく用いられる助剤を含有しておらず、特に有利には、この混合物が製紙でよく用いられる助剤も顔料も有していない。
【0101】
蛍光増白剤とN−ビニルカルボン酸アミドを重合により組み込んで含有している(コ)ポリマー及び別のカチオン性高分子電解質とからなる混合物A又はB中の混合比は、1:1〜1:100の範囲の値をとってよいが、カチオン性高分子電解質が著しく過剰であると有利である。特に有利には1:2〜1:50、さらに特に有利には1:5〜1:20の混合物である。
【0102】
通常、本発明による混合物Bは、混合物100質量%に対して、
i)0.05〜5質量%、有利には0.1〜3、特に有利には0.2〜2質量%、
ii)1〜30質量%、有利には2〜20、特に有利には5〜15質量%及び
iii)98.95〜65質量%、有利には97.9〜77、特に有利には94.8〜83質量%からなっている。
【0103】
製紙でよく用いられる別の助剤(下記参照)を含有している場合には、これに対応させて溶剤iii)の含有量を低くする。
【0104】
混合物A又はB中で使用することができる蛍光増白剤i)には制限はない。例えば、Ulmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、第6版、2000 Electronic Release、OPTICAL BRIGHTNERS−Chemistry of Technical Productsに記載されているような蛍光増白剤を使用することができる。
【0105】
適当な蛍光増白剤i)は、例えばジスチリルベンゼンのグループ、例えば、2´及び3´´位[CAS登録番号79026−03−2]、若しくは2´及び2´´位[13001−38−2]、3´及び3´´位[36755−00−7]、3´及び4´´位[79026−02−1]並びに4´及び4´´位[13001−40−6]にシアノ基を有するシアノ置換1,4−ジ−スチリルベンゼン、又は例えば2´及び2´´位に基
−O−(CH2)2−N+(C2H5)2−CH2COO−
をそれぞれ有する[84196−71−4]のような両性化合物、ジスチリルビフェニルのグループ、例えば4,4´−ジ(2−スルホスチリル)ビフェニルジナトリウム塩[27344−41−8]、4,4´−ジ(3−スルホスチリル)ビフェニルジナトリウム塩[51119−63−2]、4,4´−ジ(4−クロロ−3−スルホスチリルビフェニルジナトリウム塩[42380−62−1]、4,4´−ジ(6−クロロ−3−スルホスチリル)ビフェニルジナトリウム塩[60477−28−3]、4,4´−ジ(2−メトキシスチリル)ビフェニル[40470−68−6]、又はスチリル基に2位に基
−O−(CH2)2−N+(CH3)(C2H5)2・CH3OSO3 −
を有する4,4´−ジ(スチリル)ビフェニル[72796−88−4]、ジビニルスチルベンのグループ、例えば4,4´−ジ(エトキシカルボニルビニル)スチルベン[60683−03−6]又は4,4´−ジ(シアノビニル)スチルベン[60682−87−3]、トリアジニルアミノスチルベンのグループ、例えば、4,4´−ジアミノスチルベン−2,2´−ジスルホン酸の1,3,5−トリアジニル誘導体、例えば、トリアジン環に以下の基、すなわちメトキシ基(CAS登録番号[3426−43−5])、アミノメチル[35632−99−6]、エチルアミノ[24565−13−7]、ヒドロキシエチルアミノ[12224−16−7]、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミノ[13863−31−5]、ビス−(ヒドロキシエチル)アミノ[4193−55−9]、モルホリノ[16090−02−1]、フェニルアミノ[133−66−4]、N−2−アミノカルボニルエチル−N−2−ヒドロキシエチルアミノ[68444−86−0]をそれぞれ3位に有するアニリノ誘導体、又はトリアジン環に3位にそれぞれ以下の基、すなわちN−ヒドロキシエチルアミノ基及び加えてトリアジン環の5位にあるアニリノ基に3位にスルホン酸基[61968−74−9]、N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノ基及び加えてアニリノ基に3位にスルホン酸基(CAS登録番号[12224−02−1])、N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミノ基及び加えてアニリノ基に4位にスルホン酸基(CAS登録番号[99549−42−5])、N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノ基及び加えてアニリノ基に4位にスルホン酸基(CAS登録番号[16470−24−9])、N−ヒドロキシエチル−N−メチル−アミノ基及び加えてアニリノ基に4位にスルホン酸基(CAS登録番号[74228−28−7])、ジエチルアミノ基及び加えてアニリノ基に2位及び5位にスルホン酸基(CAS登録番号[83512−97−4])、N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノ基及び加えてアニリノ基に2位及び5位にスルホン酸基(CAS登録番号[76482−78−5])又はモルホリノ基及び加えてアニリノ基に2位及び5位にスルホン酸基(CAS登録番号[55585−28−9])を有するアニリノスルホン酸誘導体、又はスチルベニル−2H−トリアゾールのグループ、例えば、4−(2H−ナフト[1,2−d]トリアゾール−2−イル)スチルベン−2−スルホン酸のナトリウム塩[6416−68−8]又はナフトール環に6位に及びスチルベン骨格に2位にスルホン酸を有している[2583−80−4]若しくはスチルベン骨格に2位にシアノ基をかつ4´位にクロロ基を有している[5516−20−1]ようなスチルベニル−2H−ナフト[1,2−d]トリアゾール、又は例えば、例えば4,4´−ビス(4−フェニル−1,2,3−トリアゾール−2−イル)スチルベン−2,2´−ジスルホン酸ジカリウム塩[52237−03−3]又は4,4´−ビス(4−(4´−スルホフェニル)−1,2,3−トリアゾール−2−イル)スチルベン−2,2´−ジスルホン酸テトラナトリウム塩[61968−72−7]のようなビス(1,2,3−トリアゾール−2−イル)スチルベン、
又はベンズオキサゾールのグループ、例えばスチルベニルベンズオキサゾール、例えば5,7−ジメチル−2−(4´−フェニルスチルベン−4−イル)ベンズオキサゾール[40704−04−9]、5−メチル−2−(4´−(4´´−メトキシカルボニル)−フェニルスチルベン−4−イル)ベンズオキサゾール[18039−18−4]又は4´´位に別の複素環を有しているもの、例えば[64893−28−3]、又はビス(ベンズオキサゾール)、例えばエチレン−、チオフェン−、ナフチレン−、フェニルエチレン−又はスチルベン架橋されたビスベンズオキサゾール、例えばCAS番号[1041−00−5]、[2866−43−5]、[7128−64−5]、[5089−22−5]、[1552−46−1]、[1533−45−5]又は[5242−49−9]を有するものに属する。
【0106】
さらに、フラン、ベンゾ[b]フラン及びベンズイミダゾール、例えばビス(ベンゾ[b]フラン−2−イル)ビフェニル、例えばスルホン化された4,4´−ビス(ベンゾ[b]フラン−2−イル)ビフェニル又はカチオン性ベンズイミダゾール、例えば2,5−ジ(1−メチルベンジミダゾール−2−イル)フラン[4751−43−3]、[72829−17−5]、[74878−56−1]、[74878−48−1]又は[66371−25−3]、又は1,3−ジフェニル−2−ピラゾリン、例えば1−(4−アミドスルホニルフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−2−ピラゾリン[2744−49−2]、[60650−43−3]、[3656−22−2]、[27441−70−9]、[32020−25−0]、[61931−42−8]又は[81209−71−4]、並びに1,3−ジフェニル−2−ピラゾリン誘導体の3級及び4級アミン塩、例えば[106359−93−7]、[85154−08−1]、[42952−22−7]、[63310−12−3]、[12270−54−1]又は[36086−26−7]、並びにクマリン、例えば7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン[91−44−1]及び[6025−18−9]、[19683−09−1]、[3333−62−8]、[63660−99−1]、[26867−94−7]又は[52725−14−1]、並びにナフタールイミド、例えば4−アセチルアミノ−N−(n−ブチル)ナフタールイミド[3353−99−9]、4−メトキシ−N−メチルナフタールイミド[3271−05−4]、[3271−05−4]、[22330−48−9]、[25826−31−7]、[26848−65−7]又は[60317−11−5]、並びに1,3,5−トリアジン−2−イル誘導体、例えば(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)ピレン[3271−22−5]又は4,4´−ジ(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)スチルベン[6888−33−1]を使用することができる。
【0107】
有利には、6個まで、特に有利には2,4又は6個のスルホン酸基で置換された4,4´−ジスチルビフェニル誘導体又はスチルベン誘導体を使用することもでき、有利には、Bayer AG社のBlankophor(R)−Marken、特に有利にはBlankophor(R)P及びBlankophor(R)PSG、さらに、有利にはChiba Specialty Chemicals社のTinopal(R)−Marken、特に有利にはTinopal(R)MC液、Tinopal(R)ABP-Z液、Tinopal(R)SPP-Z液、Tinopal(R)SK-B液、及びさらに、有利にはClariant AG社のLeukophor(R)−Marken、特に有利にはLeukophor(R)APN、UO、NS又はSHRを使用することができる。
【0108】
カチオン性高分子電解質ii)としては、前述のものが混合物A又はB中で使用可能である。
【0109】
本発明による混合物A又はBのための溶剤iii)としては、例えば水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ジメチルホルムアミド又はN−メチルピロリドンが適しており、有利には水が適している。濃度は、それぞれの塗布方法を、例えば塗布すべき混合物の粘度による条件下で最適に行うことができるように選択するのが望ましい。様々な塗布方法のための最適な粘度は、当業者により公知である。
【0110】
通常の濃度は、2〜20質量%である。
【0111】
前述のように、本発明で使用可能なカチオン性高分子電解質の分子量には制限はないが、それぞれの塗布方法に適合していなければならない。
【0112】
分散液という言葉は、本明細書中では、Roempp Chemie Lexikon−CD Version 1.0、Stuttgart/New York:Georg Thieme Verlag、1995に基づく上位の概念として使用し、エマルジョン、懸濁液及び溶液を含む。
【0113】
また、混合物A又はBというのは、上記のRoempp-Lexikonによる定義では、分散液であり、有利には溶液である。
【0114】
さらに、本発明の対象は、紙塗工材料中の添加物としての本発明による混合物Bの使用である。
【0115】
有利には、本発明による混合物Bを本発明による方法で使用する。
【0116】
自然紙、塗工原紙又は塗工紙の表面への本発明による混合物A又はBの塗布は、紙の表面処理のために製紙産業で用いられる通常の手段によって行う。これに加えて、例えばEP−A373276中のでんぷんの塗布のため又はV. Nissinen、Wochenblatt fuer Paierfabrikation、2001、11/12、794〜806頁に記載の塗工材料の塗布のために記載されているような公知の塗布ユニット、例えばフィルムプレス、サイズプレス、ドクタブレード(Rakel)、スクレーパ(Schabern、英語でblade)又はエアブラシを備えた種々の塗工ユニット、又は噴霧装置を使用することもできる。
【0117】
本発明による方法は、混合物A又はBを自然紙に、又は塗工されていない原紙又は仕上げられた塗工紙に塗工するように、つまり1つの塗工層の塗布においてはこの塗工後に、若しくは複数の塗工層、例えば前−、中−及び/又は最終塗工層の塗布においてはこれらのうち1つの塗工後に塗布するように行うことができる。
【0118】
本発明による方法は、1回又は複数回行うことができ、例えば1〜3回、有利には1〜2回、特に有利には1回行うことができる。
【0119】
複数回の塗布においては、この混合物は、例えばその都度同じ表面に塗布するか又はこの表面の異なる表面に、例えば、原紙に1回、最終塗工前に1回及び最終塗工後に1回、又は前塗工後に1回、中塗工後に1回及び最終塗工後に1回又は最終塗工前に1回及び最終塗工後に1回、塗布することができる。
【0120】
有利には、自然紙又は塗工紙に最終塗工後に塗布し、特に有利には1〜2回、さらに特に有利には1回行う。
【0121】
もちろん、使用される塗工材料は、それ自体が活性剤及び蛍光増白剤を含有していて、例えばポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、アニオン性または非イオン性分解でんぷん、カゼイン、大豆タンパク、水溶性のスチレン−アクリレート−コポリマー、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラニンホルムアルデヒド樹脂、ポリグリコール、アクリルエステルを含有しているコポリマー又はN−ビニルカルボン酸アミドを重合により組み込んだ形で含有している(コ)ポリマーである。
【0122】
もちろん、本発明による方法で使用可能な混合物A又はBは、成分i)、ii)及びiii)以外に、さらに製紙でよく用いられる別の助剤を、i)及びii)間の相互作用にネガティブな影響を及ぼさない限りで含有していてよい。
【0123】
さらに、混合物A及びBは顔料を含有していてよく、例えばサチンホワイト(カルシウムスルホアルミネート)、粉末状又は沈殿(析出)した形態の炭酸カルシウム、不粉末状又は沈殿した形態の硫酸バリウム、カオリン(クレー)、か焼クレー、タルク、酸化亜鉛、シリケート又は有機顔料、例えば粒子状のプラスチックを有していてよいが、有利には、混合物A及びBは顔料を有していない。
【0124】
混合物A及びBを本発明による方法に従って紙に塗布する量は、広い範囲の値をとることができる。一般に、カチオン性高分子電解質に関して、紙1m2あたり、0.05〜5g、有利には0.1〜3gの量を塗布するのが望ましい。混合物A及びBを自然紙又は原紙、前塗工紙又は仕上げられた塗工紙に塗布した後、例えば、赤外線によって乾燥することができ、これにより、場合によっては含まれている溶媒を除去し、所望であれば、15〜100℃の温度でさらにカレンダリング(つや出し)する。
【0125】
混合物A及びBによって、紙の白さを高めるだけでなく、さらにインクジェット印刷性も向上させたい場合には、前述の領域内でやや増加させた塗布量、例えば0.1〜10g、有利には0.2〜7g、特に有利には0.3〜3gを選択することが望ましい。
【0126】
混合物は、当業者によって公知のさらに別の成分を含有していてよい。例えばレベリング助剤、増粘剤、湿潤助剤などが挙げられる。
【0127】
さらに混合物Aは、例えば分散剤を含有していてよい。適当な分散剤は、例えばポリリン酸又はポリアクリル酸(ポリ塩)のポリアニオンであって、これは通常、顔料量に対して0.1〜3質量%の量で含まれている。
【0128】
混合物A又はBは、記録材料、有利には紙、板紙及び厚紙の本発明による処理での使用に適している。
【0129】
本発明による方法によって処理された紙、板紙又は厚紙は、通常の方法、例えばオフセット−、凸版−又は凹版印刷法、フレキソ印刷法、又は例えばレーザー印刷−又はインクジェット印刷法のようなデジタル印刷法で印刷することができる。
【0130】
本発明による方法によって、比較的簡単な手段でかつ高いフレキシビリティを有していながら、様々な方法で書いたり印刷したりすることのできる白色度の高い紙を当業者が製造するという困難な課題の解決はより簡単になる。
【0131】
以下の実施例により、本発明による方法を詳細に説明するが、この実施例は本発明を制限するものではない。
【0132】
なお、本明細書中では、別の記載がない限り、「部」、%及びppmは、それぞれ「質量部」、質量%及び質量ppmであると理解される。
【0133】
実施例
混合物の実施例
混合物1:約90のK値及び10%の加水分解度を有するポリビニルホルムアミド10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、1710mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは1660mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0134】
混合物2:約90のK値及び30%の加水分解度を有するポリビニルホルムアミド10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、1000mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは974mP・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0135】
混合物3:約90のK値及び95%の加水分解度を有する1ポリビニルホルムアミド10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、590mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは575mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0136】
混合物4:ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(BASF AG社の製品Catiofast(R)CSの作用物質)10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、28mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは53mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0137】
混合物5:約90のK値及び10%の加水分解度を有するポリビニルホルムアミドを10%と、2個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)MC液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、1750mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは1590mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0138】
混合物6:約90のK値及び30%の加水分解度を有するポリビニルホルムアミド10%と、2個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)MC液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、920mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは900mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0139】
混合物7:約90のK値及び95%の加水分解度を有するポリビニルホルムアミド10%と、2個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)MC液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、890mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは802mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0140】
混合物8:ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(BASF AG社の製品Catiofast(R)CSの作用物質)10%と、2個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)MC液)0.5%とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、25mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは49mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0141】
混合物9:カチオン性ポリアクリルアミド(BASF AG社の製品Luredur(R)KM70の作用物質)10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定した、苛性ソーダによって中和されたこの混合物の粘度は、7700mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは4460mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。使用するためには、この混合物は、カチオン性ポリアクリルアミド5%及び蛍光増白剤0.25%となるように希釈する。
【0142】
混合物10:カチオン性ポリビニルピロリドン(ビニルピロリドン及びビニルイミダゾールからなるコポリマー;BASF AG社の製品Luvitec(R)VPI55K72Wの作用物質)10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、2080mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは1940mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。使用するためには、この混合物は、カチオン性ポリアクリルアミド5%及び蛍光増白剤0.25%となるように希釈する。
【0143】
混合物11:ポリアミドアミンエピクロロヒドリン樹脂(BASF AG社の製品Luresin(R)KNUの作用物質)10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、25mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは32mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0144】
混合物12:約45のK値及び13%の加水分解度を有するポリビニルホルムアミド10%と、4個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)ABP-Z液)1.0%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、73mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは92mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0145】
混合物13:約90のK値及び10%の加水分解度を有するポリビニルホルムアミド5%と、4個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)ABP-Z液)0.25%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、147mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは160mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0146】
混合物14:約90のK値及び30%の加水分解度を有するポリビニルホルムアミド5
%と、4個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)ABP-Z液)0.25%(固体)含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、100mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは113mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0147】
混合物15:約90のK値及び95%の加水分解度を有するポリビニルホルムアミド5%と、4個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)ABP-Z液)0.25%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、70mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは91mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0148】
混合物16:カチオン性ポリアクリルアミド(BASF AG社の製品Luredur(R)KM70の作用物質)5%と、4個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)ABP-Z液)0.25%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、170mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは168mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0149】
混合物17:カチオン性ポリビニルピロリドン(ビニルピロリドン及びビニルイミダゾールからなるコポリマー;BASF AG社の製品Luvitec(R)VPI55K72Wの作用物質)5%と、4個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)ABP-Z液)0.25%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、125mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは133mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0150】
混合物18:0.040〜0.45mol/molの置換度を有するカチオン性でんぷん(AVEBE社のSolvitose BPN(R))10%と、4個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)ABP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、800mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは550mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0151】
混合物19:0.040〜0.45mol/molの置換度を有するカチオン性でんぷん(AVEBE社のSolvitose BPN(R))5%と、4個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)ABP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、645mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは455mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0152】
混合物20:0.040〜0.045mol/molの置換度を有するカチオン性でんぷん(AVEBE社のSolvitose BPN(R))10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、730mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは503mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0153】
混合物21:0.040〜0.045mol/molの置換度を有するカチオン性でんぷん(AVEBE社のSolvitose BPN(R))5%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、710mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは500mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0154】
実施例1
表1に示した光学的特性を有する市販の木材不含の塗工原紙に、蛍光増白剤及びカチオン性高分子電解質からなる10%(ポリマーに関して)の水性混合物をハンドブレード(Handrakel)を用いて、乾燥後に2g/m2の混合物が紙上に残るように塗布する。この紙は、従来の技術によって乾燥し、カレンダでつや出し処理した。紙の白色度R457は、DIN53145、Teil2に基づき測定した。紙のCIE白色度は、ISO2469により測定した。測定結果は表1に示す通りである。
【0155】
【表1】
【0156】
表1の測定値より、本発明による混合物の本発明による使用によって紙の白さが極めて著しく増加することが、当業者には明らかである。
【0157】
実施例2
従来の技術に対応して、炭酸カルシウム100部、でんぷん6部、50%のポリマー分散液(BASF AG社のStyronal(R)D610)16部及び少量の助剤からなる10g/m2の被覆層を有する紙に、蛍光増白剤及びカチオン性高分子電解質からなる10%の水性混合物をハンドブレードを用いて、乾燥後に1.0g/m2の混合物が紙上に残るように塗布した。紙は、従来の技術によって乾燥し、カレンダリングした。紙の白色度R457は、DIN53145、Teil2に基づき測定した。紙のCIE白色度は、ISO2469により測定した。この測定結果は、表2に示す通りである。
【0158】
【表2】
【0159】
表2の測定値より、本発明による混合物の本発明による使用によって紙の白色度が極めて著しく上昇することが、当業者には明らかである。
【0160】
実施例3
表3に示した光学的特性を有する市販の木材不含の塗工原紙に、蛍光増白剤及びカチオン性高分子電解質からなる10%の水性混合物をハンドブレードを用いて、乾燥後に2g/m2の混合物が紙上に残るように塗布する。紙は、従来技術によって乾燥し、カレンダでつや出し処理した。紙の白色度R457は、DIN53145、Teil2に基づき測定した。紙のCIE白色度は、ISO2469に基づき測定した。この測定結果は、表3に示す通りである。
【0161】
【表3】
【0162】
表3の測定値により、本発明による混合物の本発明の使用によって紙の白色度が極めて著しく上昇することが明らかである。
【0163】
実施例4
炭酸カルシウム100部、でんぷん6部、50%のポリマー分散液(BASF AG社のStyronal(R)D610)16部及び少量の助剤からなる10g/m2の被覆層を有する紙に、蛍光増白剤及びカチオン性高分子電解質からなる10%の水性混合物をハンドブレードを用いて、乾燥後に1.0g/m2の混合物が紙上に残るように塗布した。この紙は、従来技術によって乾燥し、カレンダリングした。紙の白色度R457は、DIN53145、Teil2に基づき測定した。紙のCIE白色度は、ISO2469に基づき測定した。測定結果は、表4に示す通りである。
【0164】
【表4】
【0165】
表4より、本発明による混合物の本発明による使用によって紙の白色度が極めて著しく上昇することが明らかである。
【0166】
実施例5
表5に示した光学的特性を有する市販の木材不含の塗工原紙に、蛍光増白剤及びカチオン性高分子電解質からなる水性混合物をハンドブレードを用いて、乾燥後に2g/m2の混合物が紙上に残るように塗布した。同様に、蛍光増白剤Tinopal SPP-Z液も単独で紙上に塗布した。この紙は、従来技術によって乾燥し、カレンダでつや出し処理した。紙の白色度R457は、DIN53145、Teil2により測定した。紙のCIE白色度は、ISO2469により測定した。測定結果は、表5に示す通りである。ここには、紙の色合いを表すCIELAB系の色度a*及びb*も記載している。
【0167】
【表5】
【0168】
表5より、本発明による混合物の本発明による使用によって紙の白色度が極めて著しく上昇することが明らかである。さらに、蛍光増白剤のみの塗布が白色度の低下を招きかつa*色度が低下してb*色度上昇するので不都合な紙の「緑変(Vergruenung)」を招くことも明らかである。
【0169】
実施例6
炭酸カルシウム100部、でんぷん6部、50%のポリマー分散液(BASF AG社のStyronal(R)D610)16部及び少量の助剤からなる10g/m2の被覆層を有する紙に、蛍光増白剤及びカチオン性高分子電解質からなる水性混合物をハンドブレードを用いて、乾燥後に1.0g/m2の混合物が紙上に残るように塗布した。同様に、蛍光増白剤Tinopal SPP-Z液も単独で紙上に塗布した。この紙は、従来の技術によって乾燥し、カレンダリングした。紙の白色度R457は、DIN53145、Teil2に基づき測定した。紙のCIE白色度は、ISO2469に基づき測定した。測定結果は、表6に示す通りである。ここには、紙の色合いを表すCIELAB系の色度a*及びb*も記載している。
【0170】
【表6】
【0171】
表6より、本発明による混合物の本発明による使用によって紙の白色度が極めて著しく上昇することが明らかである。さらに、蛍光増白剤のみの塗布が、白色度の低下及び公知の不都合な紙の「緑変」も招くことも明らかである。
【0172】
実施例7
表7に示した光学的特性を有する市販の木材不含の塗工原紙に、蛍光増白剤及びカチオン性高分子電解質からなる水性混合物をハンドブレードを用いて、乾燥後に2g/m2の混合物が紙上に残るように塗布した。この紙は、従来技術によって乾燥し、カレンダでつや出し処理した。紙の白色度R457は、DIN53145、Teil2に基づき測定した。紙のCIE白色度は、ISO2469に基づき測定した。測定結果は、表7に示す通りである。
【0173】
【表7】
【0174】
実施例8
炭酸カルシウム100部、でんぷん6部、50%のポリマー分散液(BASF AG社のStyronal(R)D610)16部及び少量の助剤からなる10g/m2の被覆層を有する紙に、蛍光増白剤及びカチオン性高分子電解質からなる水性混合物をハンドブレードを用いて、乾燥後に1.0g/m2の混合物が紙上に残るように塗布した。この紙は、従来の技術によって乾燥し、カレンダリングした。紙の白色度R457は、DIN53145、Teil2に基づき測定した。紙のCIE白色度は、ISO2469に基づき測定した。測定結果は、表8に示す通りである。
【0175】
【表8】
【0176】
表7及び表8の測定値より、カチオン性高分子電解質と4個のスルホン酸基を有するトリアジニルアミノスチルベンのグループからなる増白剤とからなる本発明による混合物の本発明による使用によって、紙の白色度が極めて著しく上昇することが、当業者には明らかである。
【0177】
実施例9
表9に示した光学的特性を有する市販の木材不含の塗工原紙に、蛍光増白剤及びカチオン性でんぷんからなる水性混合物をハンドブレードを用いて、乾燥後に1.5g/m2の混合物が紙上に残るように塗布した。同様に、カチオン性でんぷんを単独で紙上に塗布した。この紙は、従来技術によって乾燥し、カレンダでつや出し処理した。紙の白色度R457は、DIN53145、Teil2に基づき測定した。紙のCIE白色度は、ISO2469に基づき測定した。測定結果は、表9に示す通りである。ここには、紙の色合いを表すCIELAB系の色度a*及びb*も記載している。
【0178】
【表9】
【0179】
表9により、本発明による混合物の本発明による使用によって紙の白色度が極めて著しく上昇することが明らかである。さらに、カチオン性でんぷんのみの塗布は、白色度にはほとんど影響を与えないこともあきらかである。
【0180】
実施例10
炭酸カルシウム100部、でんぷん6部、50%のポリマー分散液(BASF AG社のStyronal(R)D610)16部及び少量の助剤からなる10g/m2の被覆層を有する紙に、蛍光増白剤及びカチオン性高分子電解質からなる水性混合物をハンドブレードを用いて、乾燥後に1.5g/m2の混合物が紙上に残るように塗布した。これと同様に、カチオン性でんぷんも単独で紙に塗布した。この紙は、従来の技術によって乾燥し、カレンダリングした。紙の白色度R457は、DIN53145、Teil2に基づき測定した。紙のCIE白色度は、ISO2469に基づき測定した。測定結果は、表10に示す通りである。ここには、紙の色合いを表すCIELAB系の色度a*及びb*も記載している。
【0181】
【表10】
【0182】
表10より、本発明による混合物の本発明による使用によって紙の白色度が極めて著しく上昇することが明らかである。さらに、カチオン性でんぷんのみの塗布は、白色度及び色合いにわずかな影響しか与えないことが明らかである。
【0183】
混合物の実施例
混合物22:30.5のK値を有するポリビニルホルムアルデヒド10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。
【0184】
混合物23:30.5のK値及び3.3%の加水分解度を有するポリビニルホルムアミド10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。
【0185】
混合物24:30.5のK値及び12.3%の加水分解度を有するポリビニルホルムアルデヒド10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。
【0186】
混合物25:49.5のK値を有するポリビニルホルムアルデヒド10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有する水溶液。
【0187】
混合物26:45.9のK値及び5.4%の加水分解度を有するポリビニルホルムアルデヒド10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。
【0188】
混合物27:45.9のK値及び13.1%の加水分解度を有するポリビニルホルムアルデヒド10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。
【0189】
混合物28:78.2のK値及び0.5%の加水分解度を有するポリビニルホルムアルデヒド10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。
【0190】
混合物29:30.5のK値を有するポリビニルホルムアルデヒド10%と、2個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)MC液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。
【0191】
混合物30:45.9のK値を有するポリビニルホルムアルデヒド10%と、2個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)MC液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。
【0192】
混合物31:45.9のK値及び5.4%の加水分解度を有するポリビニルホルムアルデヒド10%と、2個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)MC液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。
【0193】
混合物32:45.9のK値及び13.1%の加水分解度を有するポリビニルホルムアルデヒド10%と、2個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)MC液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。
【0194】
混合物33:78.2のK値を有するポリビニルホルムアルデヒド10%と、2個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)MC液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。
【0195】
比較混合物1:ポリビニルアルコール(Rhodia社のRhodoviol(R)R4/20)10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。
【0196】
比較混合物2:ポリビニルアルコール(Rhodia社のRhodoviol(R)R4/20)10%と、2個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)MC液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。
【0197】
実施例11
表11に示した光学的特性を有する市販の木材不含の塗工原紙に、蛍光増白剤とN−ビニルカルボン酸アミドを重合により組み込んで含有しているポリマーとからなる10%の水性混合物、並びに比較のために蛍光増白剤と従来技術によるポリビニルアルコール(Rhodia社のRhodoviol(R)R4/20)とを含有しているポリマーとからなる10%の水性混合物を、乾燥後に2.5g/m2の混合物が紙上に残るように塗布する。この紙は、従来技術によって乾燥し、カレンダによりつや出し処理し、試験した。紙の白色度R457は、DIN53145に基づき測定した。紙のCIE白色度は、ISO2469に基づき測定した。測定結果は表1に示す通りである。紙には、市販のインクジェットプリンタでカラーテスト像を印刷した。標準化された測定法によって、テスト像でブリーディングの度合いを決定した。「ブリーディング」の項目の数字が小さいほど、その性質が弱く、印刷像の品質が良い。
【0198】
【表11】
【0199】
表11の測定値により、本発明による混合物の本発明による使用によって紙の白色度が極めて著しく上昇することが、当業者には明らかである。さらに、本発明によるほとんど全て混合物によって、白色度が上昇するだけでなくインクジェット印刷像でのブリーディングも著しく減少することが明らかである。
【0200】
実施例12
炭酸カルシウム100部、でんぷん6部、50%のポリマー分散液8部及び少量の助剤からなる10g/m2の被覆層を有する紙に、蛍光増白剤及びN−ビニルカルボン酸アミドを重合により組み込んで含有しているポリマーとからなる10%の水性混合物、並びに比較のために蛍光増白剤とポリビニルアルコール(Rhodia社のRhodoviol(R)R4/20)を含有しているポリマーとからなる10%の水性混合物をハンドブレードを用いて、乾燥後に1.0g/m2の混合物が紙上に残るように塗布した。この紙は、従来技術によって乾燥し、カレンダリングして、試験した。紙の白色度R457は、DIN53145に基づき測定した。紙のCIE白色度は、ISO2469に基づき測定した。測定結果は表12に示す通りである。紙には、市販のインクジェットプリンタでカラーテスト像を印刷した。標準化された測定法により、テスト像でブリーディング及びウィッキングを決定した。「ブリーディング」及び「ウィッキング」の項目の数字が小さいほど、その性質は弱く、印刷像の品質が良い。
【0201】
【表12】
【0202】
表12の測定値により、本発明による混合物の本発明による使用によって紙の白色度が極めて著しく上昇することが当業者に明らかである。さらに、未処理の紙及び特にブリーディングを著しく増長し、これによって印刷像の品質を低下させてしまった比較混合物1と比較して、ウィッキング及び特にブリーディングの著しい改善が見られた。
【0203】
実施例13
表13に示した光学的特性を有する市販の木材不含の塗工原紙に、蛍光増白剤とN−ビニルカルボン酸アミドを重合により組み込んで含有しているポリマーとからなる10%の水性混合物、並びに比較のために蛍光増白剤と従来技術によるポリビニルアルコール(Rhodia社のRhodoviol(R)R4/20)を含有しているポリマーとからなる10%の水性混合物を、乾燥後に2.5g/m2の混合物が紙上に残るように塗布する。この紙は、従来技術によって乾燥し、カレンダによりつや出し処理し、試験した。紙の白色度R457は、DIN53145に基づき測定した。紙のCIE白色度は、ISO2469に基づき測定した。測定結果は表13に示す通りである。
【0204】
表13の測定値により、本発明による混合物の本発明による使用によって紙の白色度が極めて著しく上昇することが明らかである。さらに、この場合も、本発明による混合物によって、白色度が上昇するだけでなく、インクジェット印刷像のブリーディングも著しく減少することが明らかである。
【0205】
【表13】
【0206】
実施例14
炭酸カルシウム100部、でんぷん6部、50%のポリマー分散液8部及び少量の助剤からなる10g/m2の被覆層を有する紙に、蛍光増白剤とN−ビニルカルボン酸アミドを重合により組み込んで含有しているポリマーとからなる10%の水性混合物、並びに比較のために蛍光増白剤とポリビニルアルコール(Rhodia社のRhodoviol(R)R4/20)を含有しているポリマーとからなる10%の水性混合物をハンドブレードを用いて、乾燥後に1.0g/m2の混合物が紙上に残るように塗布した。この紙は、従来技術によって乾燥し、カレンダリングして、試験した。紙の白色度R457は、DIN53145に基づき測定した。紙のCIE白色度は、ISO2469に基づき測定した。測定結果は表14に示す通りである。
【0207】
【表14】
【0208】
表14より、本発明による混合物の本発明による使用によって、紙の白色度が極めて著しく上昇することが明らかである。さらに、未処理の紙及び特にブリーディングが明らかに増長し、これによって印刷像の品質が低下してしまった比較混合物2と比較した場合、ウィッキング及び特にブリーディングの著しい改善が見られた。
【0001】
本発明は、紙の白さ及び明るさを高める新規の方法に関する。さらに、本発明は、特にインクジェット法を用いた場合の紙の印刷性を向上させる方法に関する。またさらに、本発明は、この方法によって製造された紙及びこの方法によって製造された紙の印刷に関する。さらに、本発明は、蛍光増白剤とカチオン性高分子電解質とを溶剤中で混合した物に関する。
【0002】
職場や家庭で使用される白い紙の大部分は、様々な方法で書かれたり印刷されたりする。伝統的に手書きによって水性インク又はボールペンを用いて書かれたり、複写機で印刷されたり、又は以前に使用されていたタイプライタに代わりパーソナルコンピュータ(PC)に接続されたプリンタにより印刷されたりする。この場合、プリンタとは、例えば従来のドットマトリクス−、レーザー−又はインクジェットプリンタのことを指す。このような様々な書く方法及び印刷する方法の前記の紙に関する要求を考慮して、この紙のことをよく「マルチパーパスペーパー(Multi Purpose Papiere)」と呼ぶ。
【0003】
例えばインクジェット法などのいわゆる「デジタル式印刷法」による紙、板紙、厚紙、紙に類する材料又は繊維製品(以下、簡単に「記録材料」と呼ぶ)への印刷は、印刷産業においてますますその重要性を増している。また、コンピュータに接続したインクジェットプリンタの家庭での使用は、特に急激に増加している。
【0004】
伝統的な印刷方法では大抵、紙に、インクが供給された刷版を押し付ける。この方法では印刷インクはほとんどの場合、水に不溶であるが、これに対してインクジェット法では、水に溶かしたインクを記録材料に吹き付ける。したがって、プリンタの側の、記録材料、例えば紙への要求は、伝統的な印刷方法の場合とは全く異なる。
【0005】
インクジェット法では紙の品質に関する最大の要求が生じる。インクジェット法では、水溶性色素を含有している水性インクを、細いノズルから紙に吹き付ける。印刷像がぼやけることがないように、紙が水をできるだけ早く吸収することが望ましい。しかし、同時に、噴き出たインクの到達箇所で色素がはっきりとした輪郭で固着しなくてはならないしかつその箇所で色素が紙中へ過度に深く侵入することを回避しなくてはならない。これを回避できない場合には、インクの一部が紙の裏側にも現れてしまい、これは「裏抜け(Durchschlagen)」と呼ばれる。また、色素は、紙繊維間の毛管力によるもの又は繊維内部のみで起こるにしても紙面上で到達箇所から広がってはならないし(「ウィッキング(Wikking)」)、隣接する色素領域に侵入してもいけない(「ブリーディング、(Bleeding)」)。この場合、下地が特によく透けて見えるような薄い色及びパステルカラーの場合に特に、良好な色再現が保証されるように、紙の白さの度合いが高いことが極めて重要である。
【0006】
紙表面に所望の特性を付与するためには、加工が必要である。このためには通常、ベース紙を、特殊な顔料を含有している塗工材料で被覆し、これによりいわゆるインクジェット紙が得られる。品質的価値の高いインクジェット紙は、一般には、顔料として微細粒子のケイ酸、結合−及び結合助剤として例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン及びカチオン性ポリマー、例えばポリジアリルジメチルアンモニウムクロリドを含有している塗工材料で被覆されている(例えば、G. Morea-Swift、H. Jones、THE USE OF SYNTHETIC SILICAS IN COATED MEDIA FOR INK-JET PRINTING、in 2000 TAPPI Coating Conference and Trade Fair Proceedings、317〜328参照)。
【0007】
しかし、このようにして製造された紙は比較的高価であり、他種の紙と比較すると製造が難しく、その特殊な被覆によって別の書く方法及び印刷する方法にあまり適さないことがしばしばあるので、前述の「マルチパーパスペーパー」へ要求を満たさない。
【0008】
塗工材料は主に、大抵は白色の顔料と、ポリマーの結合剤と、塗工色素のレオロジー的特性及びその他の特性、並びに塗布された記録材料の表面の特性に望ましい影響を与える添加剤とからなる。このような添加剤は、しばしば「コバインダー」とも呼ばれる。結合剤によって、顔料は記録材料に固着し、得られた被覆層中での凝集が保証される。
【0009】
紙塗工材料で被覆することによって、原紙は均一な白色の平滑な表面を有するようになる。さらに、この紙塗工材料は記録材料の印刷性も向上させる。
【0010】
紙を紙塗工材料で被覆することは、例えば「The Essential Guide to Aqueous Coating of Paper and Board」、T.W.R. Dean(編)、Paper Industry Technical Association (PITA)出版、1997によりよく知られている。
【0011】
顔料を含有している塗工色素で紙を被覆することにより達成しようとしている重要な目的の1つは、紙の白さを高めることである。
【0012】
書こうとする又は印刷しようとする紙又は厚紙(以下、グラフィックペーパーとも呼ぶ)の製造で最も重要な目的の1つは、紙又は厚紙表面に度合いの高い白さを得ることである。白さの度合いが高いことで、清潔かつ安心な印象を与えるばかりでなく、印字インクとの強いコントラストが得られるので特に照明が暗い場合には文字の可読性が向上する。白さの度合いが高いことによる特別な利点は、紙又は厚紙にカラー印刷したい、書きたい又は絵を描きたい場合に得られる。下地が白いほど、薄い又は透けて見える色又はパステルカラーで書いたり、印刷したり又は絵を描いたりする場合に特に、色コントラストは良好かつ自然となる。グラフィックペーパーの製造の際、最近では古紙をますます多く使用するようになっているので、紙製造者のこのような製品は、新しい繊維材料を使用した場合に比べて明らかにより暗い色をしている。
【0013】
したがって、紙製造者は、彼らの製品、特にグラフィック用に使用される紙の白さを高めるために多大な努力をしている。パルプ、木材パルプ又は顔料のいずれにしても原料の製造時に既に、これらの原料をできるだけ白い状態で得るために高いコストをかけている。また、実際の紙製造時には、紙の白さを損なう可能性のある全ての助剤及び条件を避けている。
【0014】
紙の白さ及び明るさを向上させる公知の方法の1つは、従来技術に基づく紙製造及び紙材料の紙加工の様々な作業段階で添加する又は紙に塗布する、いわゆる「白色体質顔料」又は「蛍光増白剤」を使用することである。
【0015】
これらは、色素に類する蛍光化合物であって、ヒトの目には見えない短波長の紫外線を吸収してより長波長の青い光を放出し、これによって、ヒトの目には白さが高められて写り、したがって、白色度は上昇する。
【0016】
製紙産業で使用される蛍光増白剤は主に、付加的なスルホン酸基、つまり、例えば全部で2,4又は6個のスルホン酸基を有していてよい4,4´−ジアミノスチルベン−2,2´−ジスルホン酸の1,3,5−トリアジニル誘導体である。このような増白剤についての概要は、例えば、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Sixth Edition, 2000 Electronic Release、OPTICAL BRIGHTENERS−Chemistry of Technical Productsに記載されている。しかし、新たな蛍光増白剤のタイプ、例えば4,4´−ジスチリルビフェニルの誘導体も挙げられ、これも同様に上記の刊行物、Ulmann's Encyclopedia of Industrial Chemistryに記載されている。
【0017】
白色体質顔料は、紙製造および紙加工の様々な段階で使用することができる。蛍光増白剤は、例えば紙材料に添加することができるが、サイズプレス中で例えばでんぷんのような表面サイズ剤又は固着剤と共に添加することもできるし、又は別の助剤と共に添加することもできる。最もよく行われるのは、蛍光増白剤を、紙及び厚紙に被覆する紙塗工材料に入れて、複数の層、特に観察者の目に留まる一番上の層で使用することである。この場合、増白剤がその層にとどまり、紙のより深い層に移動しないということが重要である。その場合、蛍光増白剤が表面で均一に分散していて、それと同時に、溶剤、例えば水によって溶け出さないように硬くその最上層に固着していることが望ましい。
【0018】
しかし、塗工材料中での蛍光増白剤の使用は、蛍光増白剤が仕上がった紙の被覆層中で最適な分散状態を有しているだけでなく、化学的な構造及びコンホメーションも最適である場合にのみ、最適な結果が得られる。それというのは、例えばスチルベンでは単分子トランス型のみが光学的に活性であって、これが単分子で分散していて面に固着している場合にだけ最大に蛍光化するからである(K. P. Kreutzer、Grundprozesse der Papiererzeugung 2: Grenzflaechenvorgaenge beim Einsatz chemischer Hilfsmittel、H.−G. Voelkel und R. Grenz (Hrsg.)、PTS Muenchen、2000、PTS-Manuskript: PTS−GPE−SE 2031〜2)。
【0019】
紙材料へ添加する場合、一般には、蛍光増白剤をセルロースへ吸収させることによって行う。サイズプレス塗布又は塗工材料の被覆によるにしても、表面で使用する場合には、蛍光増白剤の効果を塗布時に強めるかつ「活性剤」、「担体」、「改質剤」、「コバインダー」又は「キャリア」と呼ばれるポリマー化合物を紙塗工材料に添加する。塗工材料中で結合剤以外に使用されるコバインダーの重要な機能の1つは、その増白活性作用である。適当なコバインダーとしては、水溶性ポリマー、例えばポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、アニオン性又は非イオン性の分解でんぷん、カゼイン、大豆タンパク、水溶性のスチレンアクリレートコポリマー、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリグリコール及びアクリルエステルを含有しているコポリマーを使用する(例えば前記のK. P. Kreuter参照)。
【0020】
これらのキャリアのうち、通常、ポリビニルアルコールが増白剤と共に有利に作用する。例えば、W. Bieber、A. Brockes、B. Hunke、J. Kruesemann、D. Loewe、F. Mueller、P. Mummenhoff、Blankophor(R)−Optische Aufheller fuer die Papierindustrie、Bayer AG、Geschaeftsbereich Farben、Leverkusen、SP 600、8.89、63〜64頁参照。
【0021】
増白剤水溶液をキャリアなしで紙に塗布することも公知であるが、特別な場合に行われるだけである(W. Bieberら、前記刊行物、56、62頁参照)。
【0022】
国際特許出願WO01/21891には、増白剤水溶液を塗工紙に塗布することが記載されている。この明細書には、塗工層にキャリア特性がない場合、増白剤を、でんぷん、カルボキシメチルセルロース又はポリビニルアルコールのようなキャリアと共に塗工紙に塗布できることも記載されている。しかし、最適な増白剤とポリビニルアルコールとの量の比については記載されていない。「最適な増白剤(市販)10質量%及び溶解でんぷん3質量%の水溶液」と記載されているだけである(7頁、3段落参照)。
【0023】
EP−A192600には、少なくとも1種の蛍光増白剤、紙塗工材料のための蛍光増白剤として使用することができる、ポリエチレングリコール(安定化のため)及び水からなる水性調製物が記載されており、この使用のために、別の塗工材料成分と置き換える。
【0024】
本発明の課題は、簡単な方法段階によって記録材料の白さを高めることである。
【0025】
この課題は、
i)少なくとも1種の蛍光増白剤、
ii)少なくとも1種のカチオン性高分子電解質及び
iii)少なくとも1種の溶剤
を含有している混合物Aを記録材料に塗布する、記録材料の製造方法によって解決される。
【0026】
この場合、カチオン性高分子電解質とは、ポリマー鎖に分散した正電荷を有しているポリマー、及び乾燥物質としては非イオン性であってもよいが、その塩基性の性質のために水中又は別の溶液中でプロトン化し、これによって正電荷を有しているポリマーであると理解される。
【0027】
通常、混合物Aは、混合物100質量%に対して、
i)を0.05〜5質量%、有利には0.1〜3、特に有利には0.2〜2質量%、
ii)を1〜30質量%、有利には2〜20、特に有利には5〜15質量%及び
iii)を98.95〜65質量%、有利には97.9〜77、特に有利には94.8〜83質量%有している。製紙でよく用いられる別の助剤(下記参照)をさらに含有している場合には、溶剤iii)の量を相応に少なくする。
【0028】
驚くべきことに、最適な増白剤と所定のカチオン性高分子電解質とを溶剤中で適当に混合した物を、例えば記録材料の表面に塗布すると、記録材料、特に紙及び厚紙の白さを、極めて簡単にかつ効果的に高めることができることが分かった。この方法で特に驚くべきことは、カチオン性高分子電解質が通常の高価なアニオン性蛍光増白剤の蛍光を消失させ(例えばK. P. Kreutzer、前記刊行物、8〜22ページ参照、W. Bieberら、前記刊行物、58、65、71ページ参照)かつこの蛍光増白剤とカチオン性電解質とが互いに沈殿を起こしてしまう(W. Bieberら、前記刊行物、59ページ参照)という一般的な従来の知識に反してこの方法が可能であるということである。上記の一般的な知識は、製紙産業ではごく普通の考え方である。
【0029】
さらに、この記録材料は、インクジェット法によって印刷することができ、この場合、従来の紙と比べて極めてより良好な色再現及び極めてより良好な輪郭のシャープさが得られる。
【0030】
さらに、当業者には、増白剤の分子とポリマー分子とから複合体又は会合体が形成されて、これらは当業者の経験から通常は水に不溶であると考えられてきた(W. Bieberら、前記刊行物、59頁参照)にもかかわらず、市販の蛍光増白剤の溶液はカチオン性高分子電解質の水溶液と混合することができかつこの混合物が貯蔵安定性であることが分かった。
【0031】
蛍光増白剤の安定な溶液の調製に関する問題点は、例えばEP−A192600、1頁によって公知である。
【0032】
本発明による方法で使用可能なポリマー及びコポリマーii)(本明細書では(コ)ポリマーと呼ぶ)は、少なくとも1種のN−ビニルカルボン酸アミド、例えば式(IIa)を重合により組み込んで含有している。
【0033】
【化1】
【0034】
式(IIa)中で、R1及びR2は、互いに独立した水素又はC1〜C20−アルキルであり、この場合、アルキル基は、直鎖であるか又は分枝していてよい。
【0035】
有利には、R1及びR2は、互いに独立した水素又はC1〜C10−アルキルであり、特に有利には水素又はC1〜C4−アルキルであり、さらに特に有利には水素又はメチルであり、特に水素である。
【0036】
R1及びR2は、2〜8個、有利には3〜6個、特に有利には3〜5個の炭素原子を共に含有している直線状の又は分枝した1つの鎖を形成していてよい。場合によっては、1個又は複数の炭素原子を、例えば酸素、窒素又は硫黄のようなヘテロ原子に置き換えてもよい。
【0037】
例えば、置換基R1及びR2は、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル又はn−エイコシルである。
【0038】
例えば、共に1つの鎖を形成する置換基R1及びR2は、1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレン、2−メチル−1,3−プロピレン、2−エチル−1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,5−ペンチレン、2−メチル−1,5−ペンチレン、1,6−ヘキシレン又は3−オクサ−1,5−ペンチレンである。
【0039】
式(IIa)によるこのようなN−ビニルカルボン酸アミドの例は、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルプロピオン酸アミド、N−ビニル酪酸アミド、N−ビニルイソ酪酸アミド、N−ビニル−2−エチルへキサン酸アミド、N−ビニルデカン酸アミド、N−ビニルドデカン酸アミド、N−ビニルステアリン酸アミド、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルプロピオン酸アミド、N−メチル−N−ビニル酪酸アミド、N−メチル−N−ビニルイソ酪酸アミド、N−メチル−N−ビニル−2−エチルへキサン酸アミド、N−メチル−N−ビニルデカン酸アミド、N−メチル−N−ビニルドデカン酸アミド、N−メチル−N−ビニルステアリン酸アミド、N−エチル−N−ビニルホルムアミド、N−エチル−N−ビニルアセトアミド、N−エチル−N−ビニルプロピオン酸アミド、N−エチル−N−ビニル酪酸アミド、N−エチル−N−ビニルイソ酪酸アミド、N−エチル−N−ビニル−2−エチルへキサン酸アミド、N−エチル−N−ビニルデカン酸アミド、N−エチル−N−ビニルドデカン酸アミド、N−エチル−N−ビニルステアリン酸アミド、N−イソプロピル−N−ビニルホルムアミド、N−イソプロピル−N−ビニルアセトアミド、N−イソプロピル−N−ビニルプロピオン酸アミド、N−イソプロピル−N−ビニル酪酸アミド、N−イソプロピル−N−ビニルイソ酪酸アミド、N−イソプロピル−N−ビニル−2−エチルへキサン酸アミド、N−イソプロピル−N−ビニルデカン酸アミド、N−イソプロピル−N−ビニルドデカン酸アミド、N−イソプロピル−N−ビニルステアリン酸アミド、N−n−ブチル−N−ビニルホルムアミド、N−n−ブチル−N−ビニルアセトアミド、N−n−ブチル−N−ビニルプロピオン酸アミド、N−n−ブチル−N−ビニル酪酸アミド、N−n−ブチル−N−ビニルイソ酪酸アミド、N−n−ブチル−N−ビニル−2−エチルへキサン酸アミド、N−n−ブチル−N−ビニルデカン酸アミド、N−n−ブチル−N−ビニルドデカン酸アミド、N−n−ブチル−N−ビニルステアリン酸アミド、N−ビニルピロリドン又はN−ビニルカプロラクタムである。
【0040】
有利には、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン又はN−ビニルカプロラクタムであり、特に有利には、N−ビニルホルムアミドである。
【0041】
本発明による方法に適した(コ)ポリマーの製造は自体公知である。
【0042】
例えば、本発明による方法のために使用できるN−ビニルホルムアミド((IIa)中、R1=R2=H)のポリマー及びコポリマーの製造は、EP−B1 71050に記載されている。
【0043】
N−アルキル−N−ビニルカルボン酸アミド並びにそのポリマー及びコポリマーの合成も、公知であるか又は公知の手段により行われる。例えば、Kirk-Othmer、Encyclopedia of Chemical Technology、第4版、24巻、J. Wiley & Sons、NY、1995、N-vinylamide polymers、1070頁;Uchino, N.、Machida, S.、日本国特許公開JP51100188(C.A.86:73393)又はDE−A4241117参照。
【0044】
N−ビニルピロリドンのポリマー及びコポリマーの製造は、例えば、Handbook of Water-Soluble Gums and Resins、Robert L. Davidson編、McGraw-Hill、New York、1980より公知である。
【0045】
本発明で使用可能な(コ)ポリマーは、例えば、
a)1種又は複数種のN−ビニルカルボン酸、例えば式(IIa)5〜100モル%、
b)3〜8個のC原子を有しているモノエチレン性不飽和カルボン酸及び/又はそのアルカリ(土類)金属−及びアンモニウム塩0〜95モル%、及び場合によっては、
c)モノマーa)及びb)と共重合可能な別のモノエチレン性不飽和化合物30モル%まで、及び場合によっては、
d)分子中に少なくとも2つのエチレン性不飽和非共役二重結合を有している化合物2モル%まで
の(共)重合によって得ることができ、この場合、合計は常に100モル%であり、場合によっては、これに続いて、(コ)ポリマーに重合により組み込まれたN−ビニルカルボン酸アミド単位から部分的に又は完全にカルボン酸基を脱離してアミン基若しくはアンモニウム基を形成する。
【0046】
グループa)のモノマーとしては、例えば式(IIa)の前記のN−ビニルカルボン酸アミドが挙げられる。
【0047】
(コ)ポリマーの製造には、上記のモノマーを単独で又は互いを混合させて使用することができる。(コ)ポリマーは、グループa)のモノマーを5〜100、有利には30〜100モル%の量で重合により組み込んだ形で含有している。
【0048】
グループb)のモノマーとしては、3〜8個のC原子を有するモノエチレン性不飽和カルボン酸及びこのモノマーの水溶性塩が挙げられる。これらのモノマーのグループには、例えばアクリル酸、メタクリル酸、ジメチルアクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、シトラコン酸、メチレンマロン酸、アリル酢酸、ビニル酢酸、クロトン酸、フマル酸、メサコン酸及びイタコン酸が属する。このモノマーのグループからは、有利には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸又は前記カルボン酸の混合物、特にアクリル酸とマレイン酸とからなる混合物又はアクリル酸とメタクリル酸とからなる混合物を使用する。グループb)のモノマーは、遊離カルボン酸の形で、若しくは部分的に又は完全に中和された形で共重合において使用する。モノエチレン性不飽和カルボン酸の中和には、例えばアルカリ金属塩基、アルカリ土類金属塩基、アンモニア又はアミン、例えば苛性ソーダ、苛性カリ、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、アンモニア、トリエチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ジエチレントリアミン又はテトラエチレンペンタミンを使用する。コポリマーは、グループb)から少なくとも1種のモノマーを95〜0、有利には70〜0モル%の量で重合により組み込んだ形で含有している。
【0049】
モノマーa)及びb)からなるコポリマーは、場合によっては、共重合の際に、モノマーa)及びb)と共重合可能である少なくとも1種の別のモノエチレン性不飽和化合物を使用することによって、改質することができる。グループc)の適当なモノマーは、例えば、a)で挙げたカルボン酸のエステル、アミド及びニトリル、例えば、アクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、アクリル酸−n−ブチルエステル、ヒドロキシエチルアクリレート、2−又は3−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−又は4−ヒドロキシブチルアクリレートヒドロキシエチルメタクリレート、2−又は3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシイソブチルアクリレート、ヒドロキシイソブチルメタクリレート、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸ジメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、アクリルニトリル、メタクリルニトリル、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、並びに前記モノマーのカルボン酸又は鉱酸との塩及び4級化生成物である。さらに、グループc)のモノマーとしては、アクリルアミドグリコール酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリル酸−(3−スルホプロピル)エステル、メタクリル酸−(3−スルホプロピル)エステル及びアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸及びリン酸基を含有しているモノマー、例えばビニルホスフェート、アリルホスフェート及びアクリルアミドメタンプロパンリン酸が適している。このグループの別の適当な化合物は、N−ビニル−2−メチルイミダゾリン、ビニルアセテート及びビニルプロピオネートである。もちろん、グループc)の前記モノマーの混合物、例えばアクリルエステルとビニルアセテートとからなる混合物、種々のアクリルエステルからなる混合物、アクリルエステルとアクリルアミドとからなる混合物又はアクリルアミドと2−ヒドロキシエチルアクリレートとからなる混合物を使用することも可能である。有利には、グループc)のモノマーから、アクリルアミド、アクリルニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルイミダゾール又はこれらのモノマーからなる混合物、例えばアクリルアミドとビニルアセテートとからなる混合物又はアクリルアミドとアクリロニトリルとからなる混合物を使用する。グループc)のモノマーは、コポリマーの改質のために使用するのであれば、コポリマー中で30モル%までの量、有利には1〜20モル%の量で重合により組み込まれた形で含まれる。
【0050】
さらに、モノマーa)、b)及び場合によってはc)からなる(コ)ポリマーは、グループd)の少なくとも1種のモノマーの存在で共重合を行うことによって改質することができ、この場合、グループd)のモノマーとは、分子中に少なくとも2つのエチレン性不飽和非共役二重結合を有している化合物である。共重合の際にグループd)のモノマーを一緒に使用することによって、コポリマーのK値(下記参照)が上昇する。グループd)の適当な化合物は、例えばメチレンビスアクリルアミド、アクリル酸及びメタクリル酸と多価アルコールとのエステル、例えばグリコールジアクリレート、グリセリントリアクリレート、グリコールジメタクリレート、グリセリントリメタクリレート、並びに少なくとも2個のアクリル酸又はメタクリル酸でエステル化されたポリエチレングリコール又はペンタエリトリット及びグルコースのようなポリオールである。さらに、適当な架橋剤は、ジビニルベンゼン、ジビニルジオキサン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリットトリアリルエーテル、ペンタアリルスクロース及びジアリルアンモニウムクロリドである。有利には、この化合物のグループから、水溶性モノマー、例えばグリコールジアクリレート又は分子量3000までのポリエチレングリコールのグリコールジアクリレートを使用する。グループd)のモノマーは、コポリマーの改質のために使用するのであれば、使用量は2モル%までである。グループd)のモノマーを使用する場合には、有利には、これがコポリマー中で0.01〜1モル%まで重合により組み込まれた形で含まれる。
【0051】
有利には、
a)N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン又はN−ビニルカプロラクタム又はこれらの混合物30〜100モル%、
b)アクリル酸、メタクリル酸及び/又はこれらのアルカリ金属−、アルカリ土類金属−、アンモニウム−又はアミン塩又はこれらの混合物70〜0モル%及び
c)アクリルアミド、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルイミダゾール又はこれらの混合物0〜30モル%
(この場合、合計は常に100モル%)の(共)重合によって、さらに場合によってはこれに続く、重合により組み込まれたN−ビニルカルボン酸アミド単位の部分的な又は完全な加水分解によって得られる化合物を使用する。
【0052】
例としては、N−ビニルホルムアミドからなるホモポリマー、N−ビニルホルムアミド、アクリル酸及びアクリルアミドからなるコポリマー、N−ビニルホルムアミド、アクリル酸及びアクリロニトリルからなるコポリマー、N−ビニルホルムアミド、アクリル酸及びビニルアセテートからなるコポリマー、N−ビニルホルムアミド、アクリル酸及びN−ビニルピロリドンからなるコポリマー、N−ビニルホルムアミド、アクリル酸、アクリロニトリル及びビニルアセテートからなるコポリマー又はN−ビニルホルムアミド、アクリル酸、アクリルアミド及びアクリロニトリルからなるコポリマーが挙げられる。前記コポリマーでは、アクリル酸は、全て又は部分的にメタクリル酸と置き変えることができる。アクリル酸又はメタアクリル酸は、部分的に又は完全に、苛性ソーダ、苛性カリ、水酸化カルシウム又はアンモニアによって中和されていてよい。
【0053】
(コ)ポリマーの製造は、公知のラジカル法、例えば溶液−、沈殿−、懸濁−又は乳化重合によって、重合条件下でラジカルを形成する化合物を使用して行う。
【0054】
重合温度は、通常、30〜200、有利には40〜110、特に有利には40〜100℃の領域にあり、場合によっては減圧又は高圧にする。適当な開始剤は、例えばアゾ−及び過酸化化合物、並びに通常のレドックス系開始剤、例えば、過酸化水素と例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート及びヒドラジンのような還元作用を有する化合物との組み合わせである。この系は、場合によっては微量の重金属塩をさらに含有していてよい。
【0055】
(コ)ポリマーは、有利には水中での溶液重合によって製造し、この場合、グループb)のモノマーを、有利には塩の形で使用し、重合中のpH値を4〜10、有利には6〜8に維持する。共重合中のpH値を一定に保つために、少量、例えば0.5〜2質量%の緩衝剤、例えばリン酸水素二ナトリウムを添加することもできる。重合開始剤としては、有利には水溶性のアゾ化合物、例えば2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2´−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス−(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2´−アゾ−ビス(イソブチロニトリル)、2,2´−アゾビス−(2−アミジノプロパン)−ヒドロクロリド又は4,4´−アゾ−ビス−(4´−シアン−ペンタン酸)を使用する。
【0056】
前記化合物は大抵、水溶液又は水溶分散液の形で使用し、この場合、下部の濃度は(共)重合中に交換可能な水の量によって、上部の濃度は使用化合物の水中での溶解性によって測定する。一般的には、濃度は溶液に対して0.1〜30質量%、有利には0.5〜20質量%、特に有利には1.0〜10質量%である。
【0057】
分散液という言葉は、本明細書ではRoempp Chemie Lexikon−CD Version 1.0、Stuttgart/New York:Georg Thieme Verlag、1995による上位の概念として使用し、エマルジョン、懸濁液及び溶液を含む。
【0058】
開始剤の量は、一般に、(共)重合すべきモノマーに対して0.1〜10質量%、有利には0.5〜5質量%である。(共)重合では複数の様々な開始剤を使用してもよい。
【0059】
重合のための溶剤又は希釈剤としては、例えば水、メタノール、エタノール、n−又はイソプロパノール、n−又はイソブタノールのようなアルコール、アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン又はイソブチルメチルケトンのようなケトンを使用することができる。
【0060】
低分子量の(コ)ポリマーを製造するためには、(共)重合を調節剤の存在で行う。適当な調節剤は、例えば、イソプロパノール及びs−ブタノールのような2級アルコール、ヒドロキシルアミン、ギ酸、並びにメルカプトエタノール、メルカプトプロパノール、メルカプトブタノール、チオグリコール酸、チオ乳酸、t−ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン及びドデシルメルカプタンのようなメルカプト化合物である。調節剤は、通常、使用するモノマーに対して0.01〜5質量%の量で使用する。しかし、2級アルコールを開始剤として使用するのであれば、極めてより多い量、例えばモノマーに対して80質量%までの量の存在で(共)重合を行うこともできる。この場合には、2級アルコールは同時にモノマーのための溶剤にもなる。
【0061】
このようにして得られる(コ)ポリマーは通常、20〜300、有利には50〜250のK値を有している。本明細書に記載したK値は、H.フィケンチャー法(H. Fikentscher)により、5%の食塩水溶液中でpH7、25℃で、0.1質量%のポリマー濃度で測定されている。
【0062】
しかし、(共)重合は、当業者により公知の別の方法、例えば、溶液−、沈殿−、水/油乳化−、又は逆相懸濁重合で行うこともできる。有利には溶液重合により行う。
【0063】
乳化重合では、イオン性及び/又は非イオン性の乳化剤及び/又は保護コロイド若しくは安定剤を、界面活性化合物として使用する。
【0064】
重合条件に応じて、(共)重合で様々な分子量の(コ)ポリマーが得られ、この分子量は、本明細書ではフィケンチャー法に基づくK値を用いて表す。例えば80より大きな高いK値を有する(コ)ポリマーは、有利には、N−ビニルカルボン酸アミド、例えば式(IIa)の(共)重合によって水中で製造する。さらに、高いK値を有する(コ)ポリマーは、例えば逆相懸濁重合の形でのモノマーの(共)重合によって、又は水/油重合の方法によるモノマーの(共)重合によって得られる。
【0065】
逆相懸濁重合及び水/油重合による方法では、油相として、飽和炭化水素、例えばヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、デカリン、又は芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン及びクメンを使用する。油相と水相との比は、逆相懸濁重合では、例えば10:1〜1:10である。
【0066】
低いK値、例えば80より低いK値を有する(コ)ポリマーは、重合調節剤の存在で又は(共)重合を調節する、例えば、メタノール、エタノール、n−又はイソプロパノールのようなアルコール、アセトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン又はイソブチルメチルケトンのようなケトンである溶剤中で(共)重合を行う場合に得られる。
【0067】
さらに、低分子量の及び相応に低いK値を有する(コ)ポリマーは、通常の手段によって、つまり、重合開始剤の多量の使用又は重合調節剤の使用、又はこれらの手段を組み合わせることによって得られる。
【0068】
本発明で使用可能な(コ)ポリマーの分子量には制限はない。しかし、有利には、(コ)ポリマーが20〜150のK値を有しており、特に有利には30〜100のK値を有している。
【0069】
N−ビニルカルボン酸アミド、例えば式(IIa)、特にN−ビニルホルムアミドを重合により組み込んだ形で得られる(コ)ポリマーは、本発明によれば、部分的に又は完全に分解した形でも、分解していない形でも使用することができる。有利には、カルボン酸基の加水分解度は、(コ)ポリマー中に含まれているN−カルボン酸アミド単位に対して5〜90モル%、特に有利には10〜50モル%である。
【0070】
別のカチオン性高分子電解質ii)も公知である。例えば、次の化学的慣用名、すなわちポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、カチオン性ポリビニルホルムアミド、カチオン性ポリビニルピロリドン、カチオン性ポリビニルアセトアミド、カチオン性ポリビニルメチルホルムアミド、カチオン性ポリビニルメチルアセトアミド、ポリ(ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド)、ポリ(ジメチルアミノエチルアクリレート)、ポリ(ジエチルアミノエチルアクリレート)、ポリ(アクリロイルエチルトリメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)、カチオン性ポリアクリルアミド、ポリ(ビニルピリジン)、ヘキサジメトリンブロミド、ポリ(ジメチルアミン−コ−エピクロロヒドリン)、ポリ(ジメチルアミン−コ−エピクロロヒドリン−コ−エチレンジアミン)、ポリ(アミドアミン−エピクロロヒドリン)又はカチオン性でんぷんとして公知のポリマー、若しくはN−ビニルホルムアミド、アリルアミン、ジリルジメチルアンモニウムクロリド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、アクリロイルエチルトリメチルアンモニウムクロリド又はメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドを重合により組み込んだ形及び場合によっては分解した形で含有しているコポリマー、並びに塩基性ポリマーである場合にはその塩を使用することができる。この場合、カチオン性ポリビニルホルムアミド、ポリビニルアミン、カチオン性ポリアクリルアミド及びポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)が有利である。さらに、カチオン性ポリビニルホルムアミドが特に有利である。
【0071】
この場合、カチオン性でんぷんは、例えば、大抵はアルカリの存在で行う、でんぷんと3級アミノ基又は4級アンモニウム基を含有している試薬との反応によって得られるエーテル化デンプンのようなでんぷん誘導体である。一般に使用される試薬は、(2−クロロエチル)ジエチルアミン、(2,3−エポキシプロピル)ジエチルアミン、(3−クロロプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド、(2,3−エポキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド及び(4−クロロ−ブテニル)トリメチルアンモニウムクロリド、エチレンイミンであるが、非置換シアナミド、メチル−又はエチル置換シアナミドも用いられる。このようなでんぷん誘導体は、例えばUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、第6版、2000 Electronic Release−Starch、Kap. 2.2.6. Cationic Starch及びこの刊行物中で引用された文献に記載されている。置換度に制限はないが、例えば0.01〜0.2であってよい。3級アミノアルキルエーテル、4級アンモニウムエーテル及びアミノエチル化されたでんぷんが有利である。でんぷんとしては、例えば5000〜200000の分子量を有するアミロース及びアミロペクチンを使用することができる。
【0072】
カチオン性高分子電解質の製造は、以前よりよく知られている。
【0073】
本発明による方法で使用可能なカチオン性高分子電解質ii)は、様々な分子量を有しており、この分子量は、本明細書ではフィケンチャー法に基づくK値を用いて表す。本発明により使用可能なカチオン性高分子電解質の分子量には制限はない。通常、20〜200、有利には30〜150、特に40〜100のK値を有している。本明細書中に記載したK値は、フィケンチャー法により5%の食塩水溶液中でpH7、25℃でポリマー濃度0.1質量%で測定されている。
【0074】
ポリマー一般式(I)
【0075】
【化2】
[式中、比n1:m1は、全ポリマー値に対して99:1〜1:99であり、p1は、値30〜30000をとってよい]を有する極めて特に有利なカチオン性高分子電解質又はこれらの塩は、式(II)
【0076】
【化3】
のN−ビニルホルムアミドを、式(III)
【0077】
【化4】
のポリビニルホルムアミドに重合して、これを、ホルミル基を除去しながら部分的に分解してコポリマー(I)得ることによって製造する。
【0078】
有利には、カルボン酸基の加水分解度は、(コ)ポリマー中に含まれるN−カルボン酸アミド単位に対して5〜90モル%、特に有利には10〜50モル%である。この場合、ホルミル基を脱離する手段には制限はない。例えば、酸又は塩基の存在で行うことができ、有利には、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルカリ土類金属、アンモニア又はアミンのような塩基の存在で脱離を行う。この場合、例えば(メタ)アクリレート及びN−アルキル−N−ビニルカルボン酸アミドを重合により組み込んだ形で含有しているコポリマーの部分加水分解によって、両性(コ)ポリマーが生成する。
【0079】
N−ビニルホルムアミドのカチオン性ポリマーは、EP−B1 071050に記載されているように、N−ビニルホルムアミドのホモポリマー又はN−ビニルホルムアミドを重合により組み込んだ形で含有しているコポリマーを、規定量の酸又は塩基により、加水分解によって所望の加水分解度にまで分解することによって特に簡単に得られる。この場合、ポリマー鎖で得られるアミノ基は、溶液のpH値に応じて程度の差はあるにせよプロトン化され、これにより、ポリマーは、程度の差はあるにせよカチオン性の性質を有するようになる。
【0080】
(共)重合後、カルボン酸若しくはホルミル基を脱離したい場合には、例えば水中で脱離を行うことができる。
【0081】
加水分解でのカルボン酸若しくはホルミル基の脱離は、20〜200、有利には40〜180℃の範囲の温度で、酸又は塩基の存在で行う。酸又は塩基の存在で行うこの加水分解は、特に有利には70〜90℃の温度範囲で行う。
【0082】
酸性加水分解のためには、ポリ−N−ビニルホルムアミド中のカルボン酸−若しくはホルミル基1当量あたり約0.05〜1.5当量の酸、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸が必要である。酸性加水分解の際のpH値は2〜0、有利には1〜0の領域にある。N−ビニルホルムアミドの加水分解は、例えばN−メチル−N−ビニルホルムアミドのような別のN−ビニルカルボン酸アミドの(共)重合の加水分解よりも極めて迅速であり、従って、穏やかな条件下、つまり、より低い温度でかつ酸の過剰が大きくない条件下で行うことができる。
【0083】
さらに、ポリ−N−アルキル−N−ビニルカルボン酸アミドのホルミル基の加水分解はアルカリ溶媒中、例えば11〜14のpH領域でも行うことができる。このpH値は、有利には、例えば苛性ソーダ又は苛性カリのようなアルカリ金属塩基を添加することによって調節する。しかし、アンモニア、アミン及び/又はアルカリ土類金属塩基を使用することも可能である。アルカリ性加水分解では、0.05〜1.5、有利には0.4から1.0当量の塩基を使用する。
【0084】
この分解は、高い温度でも、例えば100℃より高い温度、有利には120〜180℃、特に有利には140〜160℃で、溶剤、例えば水の存在で、酸又は塩基なしで行うことができる。有利には、臨界点を超えた条件下、例えば超臨界水を用いても行うことができる。
【0085】
加水分解時、つまり、カルボン酸−若しくはホルミル基が、水中で酸又は塩基の存在でポリ−N−ビニルカルボン酸アミドから脱離する際、副生成物としてカルボン酸、例えばギ酸、若しくはその塩が得られる。
【0086】
このようにして得られた溶液は、さらに処理をすることなしに本発明による方法で使用することができるが、加水分解−若しくは加溶媒分解生成物を分離してもよい。
【0087】
この分離のためには、得られた溶液を、例えばイオン交換器によって処理する。加水分解生成物から分離された残滓は、本発明でさらに使用することができる。
【0088】
本発明による方法のために同様に使用可能なカチオン性ポリアクリルアミドは、数十年前より公知である(s. D. Horn、F. Linhart、in Paper Chemistry、J. C. Roberts編、第2版、Blackie Academic & Professional、Glasgow(1996)、66〜67頁、及びこの刊行物に記載の文献)。
【0089】
このカチオン性ポリアクリルアミドは、しばしば、一般式(IV)
【0090】
【化5】
[式中、Aは酸素又はNH基であり、R1は水素又は1〜3個のC原子を有する低級アルキル基であってよく、R2及びR3は、1〜5個のC原子を有する低級アルキル基又はベンジル基であり、R5は水素又はメチル基であってよく、比n2:m2は値99:1〜0:100をとってよく、q2は、値1及び2、p2は値50〜50000をとってよく、X−は、例えばクロリド、ブロミド、1/2スルフェート、ハイドロスルフェート、メチルスルフェート、エチルスルフェート、メチルカルボネート、エチルカルボネート、ナイトレート、ホルミエート、アセテート又はトルエンスルホネートのような任意のアニオンであってよい]のポリマーからなっている。さらに、ポリマー鎖には、アクリル酸又はメタクリル酸を、ポリマーの全電荷がpH値に無関係に正に保たれるような量までで重合により組み込むことができる。
【0091】
低級アルキル基とは、本明細書では、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、t−ペンチル、イソペンチル又はs−アミルを指す。
【0092】
ポリマー式(V)
【0093】
【化6】
[n3は、値30〜30000をとってよい]を有する本発明による方法で使用可能なポリ(ジアリル−ジ−メチルアンモニウムクロリド)は、以前より公知である(s. D. Horn、F. Linhart、前記刊行物参照、70頁;G. Butler、in Polymeric Amines and Ammonium Salts、E. J. Goethals編、Pergamon Press、Oxford(1980)、125)。
【0094】
また、例えばポリマーの一般式(VI)
【0095】
【化7】
[R6及びR7は、互いに独立した水素又は1〜4個の炭素原子を有する低級アルキル基であってよく、n4は、値30〜30000をとってよい]を有する別のジアリルジアルキルアンモニウムクロリドを使用してもよい。
【0096】
例として挙げた前述の別のカチオン性高分子電解質も、以前より公知である。
【0097】
本発明による方法及び本発明による混合物のためには、もちろん、前述の高分子電解質の出発モノマーの共重合によって得られるカチオン性高分子電解質を使用することができる。例えば、ビニルホルムアミド(式(II))及びジアリルジメチルアンモニウムクロリド、又はビニルホルムアミド及び塩基性アクリレートを重合により組み込んだ形で含有しているコポリマーも、EP0464043B1に記載されているように使用することができる。また、アクリルアミドとジアリルジメチルアンモニウムクロリド又は別のジアリルジアリルアンモニウムクロリドとを重合により組み込んだ形で含有しているポリマーも適している。
【0098】
本発明で使用可能な、N−ビニルカルボン酸アミドを重合により組み込んで含有している(コ)ポリマー及び別のカチオン性高分子電解質の、使用する溶剤iii)中での溶解性は、通常、20℃で、少なくとも1質量%から完全な溶解性を有するまでになっている。
【0099】
さらに、本発明の対象は、
i)少なくとも1種の蛍光増白剤、
ii)少なくとも1種のカチオン性高分子電解質及び
iii)少なくとも1種の溶剤、
並びに場合によっては製紙でよく用いられる別の助剤又は顔料からなる混合物Bである。
【0100】
有利には、混合物Bは、顔料のみを含有していて製紙でよく用いられる助剤を含有しておらず、特に有利には、この混合物が製紙でよく用いられる助剤も顔料も有していない。
【0101】
蛍光増白剤とN−ビニルカルボン酸アミドを重合により組み込んで含有している(コ)ポリマー及び別のカチオン性高分子電解質とからなる混合物A又はB中の混合比は、1:1〜1:100の範囲の値をとってよいが、カチオン性高分子電解質が著しく過剰であると有利である。特に有利には1:2〜1:50、さらに特に有利には1:5〜1:20の混合物である。
【0102】
通常、本発明による混合物Bは、混合物100質量%に対して、
i)0.05〜5質量%、有利には0.1〜3、特に有利には0.2〜2質量%、
ii)1〜30質量%、有利には2〜20、特に有利には5〜15質量%及び
iii)98.95〜65質量%、有利には97.9〜77、特に有利には94.8〜83質量%からなっている。
【0103】
製紙でよく用いられる別の助剤(下記参照)を含有している場合には、これに対応させて溶剤iii)の含有量を低くする。
【0104】
混合物A又はB中で使用することができる蛍光増白剤i)には制限はない。例えば、Ulmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、第6版、2000 Electronic Release、OPTICAL BRIGHTNERS−Chemistry of Technical Productsに記載されているような蛍光増白剤を使用することができる。
【0105】
適当な蛍光増白剤i)は、例えばジスチリルベンゼンのグループ、例えば、2´及び3´´位[CAS登録番号79026−03−2]、若しくは2´及び2´´位[13001−38−2]、3´及び3´´位[36755−00−7]、3´及び4´´位[79026−02−1]並びに4´及び4´´位[13001−40−6]にシアノ基を有するシアノ置換1,4−ジ−スチリルベンゼン、又は例えば2´及び2´´位に基
−O−(CH2)2−N+(C2H5)2−CH2COO−
をそれぞれ有する[84196−71−4]のような両性化合物、ジスチリルビフェニルのグループ、例えば4,4´−ジ(2−スルホスチリル)ビフェニルジナトリウム塩[27344−41−8]、4,4´−ジ(3−スルホスチリル)ビフェニルジナトリウム塩[51119−63−2]、4,4´−ジ(4−クロロ−3−スルホスチリルビフェニルジナトリウム塩[42380−62−1]、4,4´−ジ(6−クロロ−3−スルホスチリル)ビフェニルジナトリウム塩[60477−28−3]、4,4´−ジ(2−メトキシスチリル)ビフェニル[40470−68−6]、又はスチリル基に2位に基
−O−(CH2)2−N+(CH3)(C2H5)2・CH3OSO3 −
を有する4,4´−ジ(スチリル)ビフェニル[72796−88−4]、ジビニルスチルベンのグループ、例えば4,4´−ジ(エトキシカルボニルビニル)スチルベン[60683−03−6]又は4,4´−ジ(シアノビニル)スチルベン[60682−87−3]、トリアジニルアミノスチルベンのグループ、例えば、4,4´−ジアミノスチルベン−2,2´−ジスルホン酸の1,3,5−トリアジニル誘導体、例えば、トリアジン環に以下の基、すなわちメトキシ基(CAS登録番号[3426−43−5])、アミノメチル[35632−99−6]、エチルアミノ[24565−13−7]、ヒドロキシエチルアミノ[12224−16−7]、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアミノ[13863−31−5]、ビス−(ヒドロキシエチル)アミノ[4193−55−9]、モルホリノ[16090−02−1]、フェニルアミノ[133−66−4]、N−2−アミノカルボニルエチル−N−2−ヒドロキシエチルアミノ[68444−86−0]をそれぞれ3位に有するアニリノ誘導体、又はトリアジン環に3位にそれぞれ以下の基、すなわちN−ヒドロキシエチルアミノ基及び加えてトリアジン環の5位にあるアニリノ基に3位にスルホン酸基[61968−74−9]、N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノ基及び加えてアニリノ基に3位にスルホン酸基(CAS登録番号[12224−02−1])、N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミノ基及び加えてアニリノ基に4位にスルホン酸基(CAS登録番号[99549−42−5])、N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノ基及び加えてアニリノ基に4位にスルホン酸基(CAS登録番号[16470−24−9])、N−ヒドロキシエチル−N−メチル−アミノ基及び加えてアニリノ基に4位にスルホン酸基(CAS登録番号[74228−28−7])、ジエチルアミノ基及び加えてアニリノ基に2位及び5位にスルホン酸基(CAS登録番号[83512−97−4])、N−ビス(ヒドロキシエチル)アミノ基及び加えてアニリノ基に2位及び5位にスルホン酸基(CAS登録番号[76482−78−5])又はモルホリノ基及び加えてアニリノ基に2位及び5位にスルホン酸基(CAS登録番号[55585−28−9])を有するアニリノスルホン酸誘導体、又はスチルベニル−2H−トリアゾールのグループ、例えば、4−(2H−ナフト[1,2−d]トリアゾール−2−イル)スチルベン−2−スルホン酸のナトリウム塩[6416−68−8]又はナフトール環に6位に及びスチルベン骨格に2位にスルホン酸を有している[2583−80−4]若しくはスチルベン骨格に2位にシアノ基をかつ4´位にクロロ基を有している[5516−20−1]ようなスチルベニル−2H−ナフト[1,2−d]トリアゾール、又は例えば、例えば4,4´−ビス(4−フェニル−1,2,3−トリアゾール−2−イル)スチルベン−2,2´−ジスルホン酸ジカリウム塩[52237−03−3]又は4,4´−ビス(4−(4´−スルホフェニル)−1,2,3−トリアゾール−2−イル)スチルベン−2,2´−ジスルホン酸テトラナトリウム塩[61968−72−7]のようなビス(1,2,3−トリアゾール−2−イル)スチルベン、
又はベンズオキサゾールのグループ、例えばスチルベニルベンズオキサゾール、例えば5,7−ジメチル−2−(4´−フェニルスチルベン−4−イル)ベンズオキサゾール[40704−04−9]、5−メチル−2−(4´−(4´´−メトキシカルボニル)−フェニルスチルベン−4−イル)ベンズオキサゾール[18039−18−4]又は4´´位に別の複素環を有しているもの、例えば[64893−28−3]、又はビス(ベンズオキサゾール)、例えばエチレン−、チオフェン−、ナフチレン−、フェニルエチレン−又はスチルベン架橋されたビスベンズオキサゾール、例えばCAS番号[1041−00−5]、[2866−43−5]、[7128−64−5]、[5089−22−5]、[1552−46−1]、[1533−45−5]又は[5242−49−9]を有するものに属する。
【0106】
さらに、フラン、ベンゾ[b]フラン及びベンズイミダゾール、例えばビス(ベンゾ[b]フラン−2−イル)ビフェニル、例えばスルホン化された4,4´−ビス(ベンゾ[b]フラン−2−イル)ビフェニル又はカチオン性ベンズイミダゾール、例えば2,5−ジ(1−メチルベンジミダゾール−2−イル)フラン[4751−43−3]、[72829−17−5]、[74878−56−1]、[74878−48−1]又は[66371−25−3]、又は1,3−ジフェニル−2−ピラゾリン、例えば1−(4−アミドスルホニルフェニル)−3−(4−クロロフェニル)−2−ピラゾリン[2744−49−2]、[60650−43−3]、[3656−22−2]、[27441−70−9]、[32020−25−0]、[61931−42−8]又は[81209−71−4]、並びに1,3−ジフェニル−2−ピラゾリン誘導体の3級及び4級アミン塩、例えば[106359−93−7]、[85154−08−1]、[42952−22−7]、[63310−12−3]、[12270−54−1]又は[36086−26−7]、並びにクマリン、例えば7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン[91−44−1]及び[6025−18−9]、[19683−09−1]、[3333−62−8]、[63660−99−1]、[26867−94−7]又は[52725−14−1]、並びにナフタールイミド、例えば4−アセチルアミノ−N−(n−ブチル)ナフタールイミド[3353−99−9]、4−メトキシ−N−メチルナフタールイミド[3271−05−4]、[3271−05−4]、[22330−48−9]、[25826−31−7]、[26848−65−7]又は[60317−11−5]、並びに1,3,5−トリアジン−2−イル誘導体、例えば(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジン−2−イル)ピレン[3271−22−5]又は4,4´−ジ(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)スチルベン[6888−33−1]を使用することができる。
【0107】
有利には、6個まで、特に有利には2,4又は6個のスルホン酸基で置換された4,4´−ジスチルビフェニル誘導体又はスチルベン誘導体を使用することもでき、有利には、Bayer AG社のBlankophor(R)−Marken、特に有利にはBlankophor(R)P及びBlankophor(R)PSG、さらに、有利にはChiba Specialty Chemicals社のTinopal(R)−Marken、特に有利にはTinopal(R)MC液、Tinopal(R)ABP-Z液、Tinopal(R)SPP-Z液、Tinopal(R)SK-B液、及びさらに、有利にはClariant AG社のLeukophor(R)−Marken、特に有利にはLeukophor(R)APN、UO、NS又はSHRを使用することができる。
【0108】
カチオン性高分子電解質ii)としては、前述のものが混合物A又はB中で使用可能である。
【0109】
本発明による混合物A又はBのための溶剤iii)としては、例えば水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ジメチルホルムアミド又はN−メチルピロリドンが適しており、有利には水が適している。濃度は、それぞれの塗布方法を、例えば塗布すべき混合物の粘度による条件下で最適に行うことができるように選択するのが望ましい。様々な塗布方法のための最適な粘度は、当業者により公知である。
【0110】
通常の濃度は、2〜20質量%である。
【0111】
前述のように、本発明で使用可能なカチオン性高分子電解質の分子量には制限はないが、それぞれの塗布方法に適合していなければならない。
【0112】
分散液という言葉は、本明細書中では、Roempp Chemie Lexikon−CD Version 1.0、Stuttgart/New York:Georg Thieme Verlag、1995に基づく上位の概念として使用し、エマルジョン、懸濁液及び溶液を含む。
【0113】
また、混合物A又はBというのは、上記のRoempp-Lexikonによる定義では、分散液であり、有利には溶液である。
【0114】
さらに、本発明の対象は、紙塗工材料中の添加物としての本発明による混合物Bの使用である。
【0115】
有利には、本発明による混合物Bを本発明による方法で使用する。
【0116】
自然紙、塗工原紙又は塗工紙の表面への本発明による混合物A又はBの塗布は、紙の表面処理のために製紙産業で用いられる通常の手段によって行う。これに加えて、例えばEP−A373276中のでんぷんの塗布のため又はV. Nissinen、Wochenblatt fuer Paierfabrikation、2001、11/12、794〜806頁に記載の塗工材料の塗布のために記載されているような公知の塗布ユニット、例えばフィルムプレス、サイズプレス、ドクタブレード(Rakel)、スクレーパ(Schabern、英語でblade)又はエアブラシを備えた種々の塗工ユニット、又は噴霧装置を使用することもできる。
【0117】
本発明による方法は、混合物A又はBを自然紙に、又は塗工されていない原紙又は仕上げられた塗工紙に塗工するように、つまり1つの塗工層の塗布においてはこの塗工後に、若しくは複数の塗工層、例えば前−、中−及び/又は最終塗工層の塗布においてはこれらのうち1つの塗工後に塗布するように行うことができる。
【0118】
本発明による方法は、1回又は複数回行うことができ、例えば1〜3回、有利には1〜2回、特に有利には1回行うことができる。
【0119】
複数回の塗布においては、この混合物は、例えばその都度同じ表面に塗布するか又はこの表面の異なる表面に、例えば、原紙に1回、最終塗工前に1回及び最終塗工後に1回、又は前塗工後に1回、中塗工後に1回及び最終塗工後に1回又は最終塗工前に1回及び最終塗工後に1回、塗布することができる。
【0120】
有利には、自然紙又は塗工紙に最終塗工後に塗布し、特に有利には1〜2回、さらに特に有利には1回行う。
【0121】
もちろん、使用される塗工材料は、それ自体が活性剤及び蛍光増白剤を含有していて、例えばポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、アニオン性または非イオン性分解でんぷん、カゼイン、大豆タンパク、水溶性のスチレン−アクリレート−コポリマー、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラニンホルムアルデヒド樹脂、ポリグリコール、アクリルエステルを含有しているコポリマー又はN−ビニルカルボン酸アミドを重合により組み込んだ形で含有している(コ)ポリマーである。
【0122】
もちろん、本発明による方法で使用可能な混合物A又はBは、成分i)、ii)及びiii)以外に、さらに製紙でよく用いられる別の助剤を、i)及びii)間の相互作用にネガティブな影響を及ぼさない限りで含有していてよい。
【0123】
さらに、混合物A及びBは顔料を含有していてよく、例えばサチンホワイト(カルシウムスルホアルミネート)、粉末状又は沈殿(析出)した形態の炭酸カルシウム、不粉末状又は沈殿した形態の硫酸バリウム、カオリン(クレー)、か焼クレー、タルク、酸化亜鉛、シリケート又は有機顔料、例えば粒子状のプラスチックを有していてよいが、有利には、混合物A及びBは顔料を有していない。
【0124】
混合物A及びBを本発明による方法に従って紙に塗布する量は、広い範囲の値をとることができる。一般に、カチオン性高分子電解質に関して、紙1m2あたり、0.05〜5g、有利には0.1〜3gの量を塗布するのが望ましい。混合物A及びBを自然紙又は原紙、前塗工紙又は仕上げられた塗工紙に塗布した後、例えば、赤外線によって乾燥することができ、これにより、場合によっては含まれている溶媒を除去し、所望であれば、15〜100℃の温度でさらにカレンダリング(つや出し)する。
【0125】
混合物A及びBによって、紙の白さを高めるだけでなく、さらにインクジェット印刷性も向上させたい場合には、前述の領域内でやや増加させた塗布量、例えば0.1〜10g、有利には0.2〜7g、特に有利には0.3〜3gを選択することが望ましい。
【0126】
混合物は、当業者によって公知のさらに別の成分を含有していてよい。例えばレベリング助剤、増粘剤、湿潤助剤などが挙げられる。
【0127】
さらに混合物Aは、例えば分散剤を含有していてよい。適当な分散剤は、例えばポリリン酸又はポリアクリル酸(ポリ塩)のポリアニオンであって、これは通常、顔料量に対して0.1〜3質量%の量で含まれている。
【0128】
混合物A又はBは、記録材料、有利には紙、板紙及び厚紙の本発明による処理での使用に適している。
【0129】
本発明による方法によって処理された紙、板紙又は厚紙は、通常の方法、例えばオフセット−、凸版−又は凹版印刷法、フレキソ印刷法、又は例えばレーザー印刷−又はインクジェット印刷法のようなデジタル印刷法で印刷することができる。
【0130】
本発明による方法によって、比較的簡単な手段でかつ高いフレキシビリティを有していながら、様々な方法で書いたり印刷したりすることのできる白色度の高い紙を当業者が製造するという困難な課題の解決はより簡単になる。
【0131】
以下の実施例により、本発明による方法を詳細に説明するが、この実施例は本発明を制限するものではない。
【0132】
なお、本明細書中では、別の記載がない限り、「部」、%及びppmは、それぞれ「質量部」、質量%及び質量ppmであると理解される。
【0133】
実施例
混合物の実施例
混合物1:約90のK値及び10%の加水分解度を有するポリビニルホルムアミド10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、1710mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは1660mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0134】
混合物2:約90のK値及び30%の加水分解度を有するポリビニルホルムアミド10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、1000mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは974mP・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0135】
混合物3:約90のK値及び95%の加水分解度を有する1ポリビニルホルムアミド10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、590mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは575mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0136】
混合物4:ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(BASF AG社の製品Catiofast(R)CSの作用物質)10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、28mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは53mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0137】
混合物5:約90のK値及び10%の加水分解度を有するポリビニルホルムアミドを10%と、2個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)MC液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、1750mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは1590mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0138】
混合物6:約90のK値及び30%の加水分解度を有するポリビニルホルムアミド10%と、2個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)MC液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、920mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは900mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0139】
混合物7:約90のK値及び95%の加水分解度を有するポリビニルホルムアミド10%と、2個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)MC液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、890mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは802mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0140】
混合物8:ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(BASF AG社の製品Catiofast(R)CSの作用物質)10%と、2個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)MC液)0.5%とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、25mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは49mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0141】
混合物9:カチオン性ポリアクリルアミド(BASF AG社の製品Luredur(R)KM70の作用物質)10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定した、苛性ソーダによって中和されたこの混合物の粘度は、7700mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは4460mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。使用するためには、この混合物は、カチオン性ポリアクリルアミド5%及び蛍光増白剤0.25%となるように希釈する。
【0142】
混合物10:カチオン性ポリビニルピロリドン(ビニルピロリドン及びビニルイミダゾールからなるコポリマー;BASF AG社の製品Luvitec(R)VPI55K72Wの作用物質)10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、2080mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは1940mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。使用するためには、この混合物は、カチオン性ポリアクリルアミド5%及び蛍光増白剤0.25%となるように希釈する。
【0143】
混合物11:ポリアミドアミンエピクロロヒドリン樹脂(BASF AG社の製品Luresin(R)KNUの作用物質)10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、25mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは32mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0144】
混合物12:約45のK値及び13%の加水分解度を有するポリビニルホルムアミド10%と、4個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)ABP-Z液)1.0%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、73mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは92mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0145】
混合物13:約90のK値及び10%の加水分解度を有するポリビニルホルムアミド5%と、4個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)ABP-Z液)0.25%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、147mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは160mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0146】
混合物14:約90のK値及び30%の加水分解度を有するポリビニルホルムアミド5
%と、4個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)ABP-Z液)0.25%(固体)含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、100mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは113mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0147】
混合物15:約90のK値及び95%の加水分解度を有するポリビニルホルムアミド5%と、4個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)ABP-Z液)0.25%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、70mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは91mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0148】
混合物16:カチオン性ポリアクリルアミド(BASF AG社の製品Luredur(R)KM70の作用物質)5%と、4個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)ABP-Z液)0.25%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、170mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは168mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0149】
混合物17:カチオン性ポリビニルピロリドン(ビニルピロリドン及びビニルイミダゾールからなるコポリマー;BASF AG社の製品Luvitec(R)VPI55K72Wの作用物質)5%と、4個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)ABP-Z液)0.25%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、125mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは133mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0150】
混合物18:0.040〜0.45mol/molの置換度を有するカチオン性でんぷん(AVEBE社のSolvitose BPN(R))10%と、4個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)ABP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、800mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは550mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0151】
混合物19:0.040〜0.45mol/molの置換度を有するカチオン性でんぷん(AVEBE社のSolvitose BPN(R))5%と、4個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)ABP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、645mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは455mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0152】
混合物20:0.040〜0.045mol/molの置換度を有するカチオン性でんぷん(AVEBE社のSolvitose BPN(R))10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、730mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは503mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0153】
混合物21:0.040〜0.045mol/molの置換度を有するカチオン性でんぷん(AVEBE社のSolvitose BPN(R))5%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。DIN53019に基づき測定したこの混合物の粘度は、710mPa・s(ブルックフィールド法、20rpm)若しくは500mPa・s(ブルックフィールド法、100rpm)である。
【0154】
実施例1
表1に示した光学的特性を有する市販の木材不含の塗工原紙に、蛍光増白剤及びカチオン性高分子電解質からなる10%(ポリマーに関して)の水性混合物をハンドブレード(Handrakel)を用いて、乾燥後に2g/m2の混合物が紙上に残るように塗布する。この紙は、従来の技術によって乾燥し、カレンダでつや出し処理した。紙の白色度R457は、DIN53145、Teil2に基づき測定した。紙のCIE白色度は、ISO2469により測定した。測定結果は表1に示す通りである。
【0155】
【表1】
【0156】
表1の測定値より、本発明による混合物の本発明による使用によって紙の白さが極めて著しく増加することが、当業者には明らかである。
【0157】
実施例2
従来の技術に対応して、炭酸カルシウム100部、でんぷん6部、50%のポリマー分散液(BASF AG社のStyronal(R)D610)16部及び少量の助剤からなる10g/m2の被覆層を有する紙に、蛍光増白剤及びカチオン性高分子電解質からなる10%の水性混合物をハンドブレードを用いて、乾燥後に1.0g/m2の混合物が紙上に残るように塗布した。紙は、従来の技術によって乾燥し、カレンダリングした。紙の白色度R457は、DIN53145、Teil2に基づき測定した。紙のCIE白色度は、ISO2469により測定した。この測定結果は、表2に示す通りである。
【0158】
【表2】
【0159】
表2の測定値より、本発明による混合物の本発明による使用によって紙の白色度が極めて著しく上昇することが、当業者には明らかである。
【0160】
実施例3
表3に示した光学的特性を有する市販の木材不含の塗工原紙に、蛍光増白剤及びカチオン性高分子電解質からなる10%の水性混合物をハンドブレードを用いて、乾燥後に2g/m2の混合物が紙上に残るように塗布する。紙は、従来技術によって乾燥し、カレンダでつや出し処理した。紙の白色度R457は、DIN53145、Teil2に基づき測定した。紙のCIE白色度は、ISO2469に基づき測定した。この測定結果は、表3に示す通りである。
【0161】
【表3】
【0162】
表3の測定値により、本発明による混合物の本発明の使用によって紙の白色度が極めて著しく上昇することが明らかである。
【0163】
実施例4
炭酸カルシウム100部、でんぷん6部、50%のポリマー分散液(BASF AG社のStyronal(R)D610)16部及び少量の助剤からなる10g/m2の被覆層を有する紙に、蛍光増白剤及びカチオン性高分子電解質からなる10%の水性混合物をハンドブレードを用いて、乾燥後に1.0g/m2の混合物が紙上に残るように塗布した。この紙は、従来技術によって乾燥し、カレンダリングした。紙の白色度R457は、DIN53145、Teil2に基づき測定した。紙のCIE白色度は、ISO2469に基づき測定した。測定結果は、表4に示す通りである。
【0164】
【表4】
【0165】
表4より、本発明による混合物の本発明による使用によって紙の白色度が極めて著しく上昇することが明らかである。
【0166】
実施例5
表5に示した光学的特性を有する市販の木材不含の塗工原紙に、蛍光増白剤及びカチオン性高分子電解質からなる水性混合物をハンドブレードを用いて、乾燥後に2g/m2の混合物が紙上に残るように塗布した。同様に、蛍光増白剤Tinopal SPP-Z液も単独で紙上に塗布した。この紙は、従来技術によって乾燥し、カレンダでつや出し処理した。紙の白色度R457は、DIN53145、Teil2により測定した。紙のCIE白色度は、ISO2469により測定した。測定結果は、表5に示す通りである。ここには、紙の色合いを表すCIELAB系の色度a*及びb*も記載している。
【0167】
【表5】
【0168】
表5より、本発明による混合物の本発明による使用によって紙の白色度が極めて著しく上昇することが明らかである。さらに、蛍光増白剤のみの塗布が白色度の低下を招きかつa*色度が低下してb*色度上昇するので不都合な紙の「緑変(Vergruenung)」を招くことも明らかである。
【0169】
実施例6
炭酸カルシウム100部、でんぷん6部、50%のポリマー分散液(BASF AG社のStyronal(R)D610)16部及び少量の助剤からなる10g/m2の被覆層を有する紙に、蛍光増白剤及びカチオン性高分子電解質からなる水性混合物をハンドブレードを用いて、乾燥後に1.0g/m2の混合物が紙上に残るように塗布した。同様に、蛍光増白剤Tinopal SPP-Z液も単独で紙上に塗布した。この紙は、従来の技術によって乾燥し、カレンダリングした。紙の白色度R457は、DIN53145、Teil2に基づき測定した。紙のCIE白色度は、ISO2469に基づき測定した。測定結果は、表6に示す通りである。ここには、紙の色合いを表すCIELAB系の色度a*及びb*も記載している。
【0170】
【表6】
【0171】
表6より、本発明による混合物の本発明による使用によって紙の白色度が極めて著しく上昇することが明らかである。さらに、蛍光増白剤のみの塗布が、白色度の低下及び公知の不都合な紙の「緑変」も招くことも明らかである。
【0172】
実施例7
表7に示した光学的特性を有する市販の木材不含の塗工原紙に、蛍光増白剤及びカチオン性高分子電解質からなる水性混合物をハンドブレードを用いて、乾燥後に2g/m2の混合物が紙上に残るように塗布した。この紙は、従来技術によって乾燥し、カレンダでつや出し処理した。紙の白色度R457は、DIN53145、Teil2に基づき測定した。紙のCIE白色度は、ISO2469に基づき測定した。測定結果は、表7に示す通りである。
【0173】
【表7】
【0174】
実施例8
炭酸カルシウム100部、でんぷん6部、50%のポリマー分散液(BASF AG社のStyronal(R)D610)16部及び少量の助剤からなる10g/m2の被覆層を有する紙に、蛍光増白剤及びカチオン性高分子電解質からなる水性混合物をハンドブレードを用いて、乾燥後に1.0g/m2の混合物が紙上に残るように塗布した。この紙は、従来の技術によって乾燥し、カレンダリングした。紙の白色度R457は、DIN53145、Teil2に基づき測定した。紙のCIE白色度は、ISO2469に基づき測定した。測定結果は、表8に示す通りである。
【0175】
【表8】
【0176】
表7及び表8の測定値より、カチオン性高分子電解質と4個のスルホン酸基を有するトリアジニルアミノスチルベンのグループからなる増白剤とからなる本発明による混合物の本発明による使用によって、紙の白色度が極めて著しく上昇することが、当業者には明らかである。
【0177】
実施例9
表9に示した光学的特性を有する市販の木材不含の塗工原紙に、蛍光増白剤及びカチオン性でんぷんからなる水性混合物をハンドブレードを用いて、乾燥後に1.5g/m2の混合物が紙上に残るように塗布した。同様に、カチオン性でんぷんを単独で紙上に塗布した。この紙は、従来技術によって乾燥し、カレンダでつや出し処理した。紙の白色度R457は、DIN53145、Teil2に基づき測定した。紙のCIE白色度は、ISO2469に基づき測定した。測定結果は、表9に示す通りである。ここには、紙の色合いを表すCIELAB系の色度a*及びb*も記載している。
【0178】
【表9】
【0179】
表9により、本発明による混合物の本発明による使用によって紙の白色度が極めて著しく上昇することが明らかである。さらに、カチオン性でんぷんのみの塗布は、白色度にはほとんど影響を与えないこともあきらかである。
【0180】
実施例10
炭酸カルシウム100部、でんぷん6部、50%のポリマー分散液(BASF AG社のStyronal(R)D610)16部及び少量の助剤からなる10g/m2の被覆層を有する紙に、蛍光増白剤及びカチオン性高分子電解質からなる水性混合物をハンドブレードを用いて、乾燥後に1.5g/m2の混合物が紙上に残るように塗布した。これと同様に、カチオン性でんぷんも単独で紙に塗布した。この紙は、従来の技術によって乾燥し、カレンダリングした。紙の白色度R457は、DIN53145、Teil2に基づき測定した。紙のCIE白色度は、ISO2469に基づき測定した。測定結果は、表10に示す通りである。ここには、紙の色合いを表すCIELAB系の色度a*及びb*も記載している。
【0181】
【表10】
【0182】
表10より、本発明による混合物の本発明による使用によって紙の白色度が極めて著しく上昇することが明らかである。さらに、カチオン性でんぷんのみの塗布は、白色度及び色合いにわずかな影響しか与えないことが明らかである。
【0183】
混合物の実施例
混合物22:30.5のK値を有するポリビニルホルムアルデヒド10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。
【0184】
混合物23:30.5のK値及び3.3%の加水分解度を有するポリビニルホルムアミド10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。
【0185】
混合物24:30.5のK値及び12.3%の加水分解度を有するポリビニルホルムアルデヒド10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。
【0186】
混合物25:49.5のK値を有するポリビニルホルムアルデヒド10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有する水溶液。
【0187】
混合物26:45.9のK値及び5.4%の加水分解度を有するポリビニルホルムアルデヒド10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。
【0188】
混合物27:45.9のK値及び13.1%の加水分解度を有するポリビニルホルムアルデヒド10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。
【0189】
混合物28:78.2のK値及び0.5%の加水分解度を有するポリビニルホルムアルデヒド10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。
【0190】
混合物29:30.5のK値を有するポリビニルホルムアルデヒド10%と、2個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)MC液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。
【0191】
混合物30:45.9のK値を有するポリビニルホルムアルデヒド10%と、2個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)MC液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。
【0192】
混合物31:45.9のK値及び5.4%の加水分解度を有するポリビニルホルムアルデヒド10%と、2個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)MC液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。
【0193】
混合物32:45.9のK値及び13.1%の加水分解度を有するポリビニルホルムアルデヒド10%と、2個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)MC液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。
【0194】
混合物33:78.2のK値を有するポリビニルホルムアルデヒド10%と、2個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)MC液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。
【0195】
比較混合物1:ポリビニルアルコール(Rhodia社のRhodoviol(R)R4/20)10%と、6個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)SPP-Z液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。
【0196】
比較混合物2:ポリビニルアルコール(Rhodia社のRhodoviol(R)R4/20)10%と、2個のスルホン酸基を有する蛍光増白剤(Tinopal(R)MC液)0.5%(固体)とを含有している水溶液。
【0197】
実施例11
表11に示した光学的特性を有する市販の木材不含の塗工原紙に、蛍光増白剤とN−ビニルカルボン酸アミドを重合により組み込んで含有しているポリマーとからなる10%の水性混合物、並びに比較のために蛍光増白剤と従来技術によるポリビニルアルコール(Rhodia社のRhodoviol(R)R4/20)とを含有しているポリマーとからなる10%の水性混合物を、乾燥後に2.5g/m2の混合物が紙上に残るように塗布する。この紙は、従来技術によって乾燥し、カレンダによりつや出し処理し、試験した。紙の白色度R457は、DIN53145に基づき測定した。紙のCIE白色度は、ISO2469に基づき測定した。測定結果は表1に示す通りである。紙には、市販のインクジェットプリンタでカラーテスト像を印刷した。標準化された測定法によって、テスト像でブリーディングの度合いを決定した。「ブリーディング」の項目の数字が小さいほど、その性質が弱く、印刷像の品質が良い。
【0198】
【表11】
【0199】
表11の測定値により、本発明による混合物の本発明による使用によって紙の白色度が極めて著しく上昇することが、当業者には明らかである。さらに、本発明によるほとんど全て混合物によって、白色度が上昇するだけでなくインクジェット印刷像でのブリーディングも著しく減少することが明らかである。
【0200】
実施例12
炭酸カルシウム100部、でんぷん6部、50%のポリマー分散液8部及び少量の助剤からなる10g/m2の被覆層を有する紙に、蛍光増白剤及びN−ビニルカルボン酸アミドを重合により組み込んで含有しているポリマーとからなる10%の水性混合物、並びに比較のために蛍光増白剤とポリビニルアルコール(Rhodia社のRhodoviol(R)R4/20)を含有しているポリマーとからなる10%の水性混合物をハンドブレードを用いて、乾燥後に1.0g/m2の混合物が紙上に残るように塗布した。この紙は、従来技術によって乾燥し、カレンダリングして、試験した。紙の白色度R457は、DIN53145に基づき測定した。紙のCIE白色度は、ISO2469に基づき測定した。測定結果は表12に示す通りである。紙には、市販のインクジェットプリンタでカラーテスト像を印刷した。標準化された測定法により、テスト像でブリーディング及びウィッキングを決定した。「ブリーディング」及び「ウィッキング」の項目の数字が小さいほど、その性質は弱く、印刷像の品質が良い。
【0201】
【表12】
【0202】
表12の測定値により、本発明による混合物の本発明による使用によって紙の白色度が極めて著しく上昇することが当業者に明らかである。さらに、未処理の紙及び特にブリーディングを著しく増長し、これによって印刷像の品質を低下させてしまった比較混合物1と比較して、ウィッキング及び特にブリーディングの著しい改善が見られた。
【0203】
実施例13
表13に示した光学的特性を有する市販の木材不含の塗工原紙に、蛍光増白剤とN−ビニルカルボン酸アミドを重合により組み込んで含有しているポリマーとからなる10%の水性混合物、並びに比較のために蛍光増白剤と従来技術によるポリビニルアルコール(Rhodia社のRhodoviol(R)R4/20)を含有しているポリマーとからなる10%の水性混合物を、乾燥後に2.5g/m2の混合物が紙上に残るように塗布する。この紙は、従来技術によって乾燥し、カレンダによりつや出し処理し、試験した。紙の白色度R457は、DIN53145に基づき測定した。紙のCIE白色度は、ISO2469に基づき測定した。測定結果は表13に示す通りである。
【0204】
表13の測定値により、本発明による混合物の本発明による使用によって紙の白色度が極めて著しく上昇することが明らかである。さらに、この場合も、本発明による混合物によって、白色度が上昇するだけでなく、インクジェット印刷像のブリーディングも著しく減少することが明らかである。
【0205】
【表13】
【0206】
実施例14
炭酸カルシウム100部、でんぷん6部、50%のポリマー分散液8部及び少量の助剤からなる10g/m2の被覆層を有する紙に、蛍光増白剤とN−ビニルカルボン酸アミドを重合により組み込んで含有しているポリマーとからなる10%の水性混合物、並びに比較のために蛍光増白剤とポリビニルアルコール(Rhodia社のRhodoviol(R)R4/20)を含有しているポリマーとからなる10%の水性混合物をハンドブレードを用いて、乾燥後に1.0g/m2の混合物が紙上に残るように塗布した。この紙は、従来技術によって乾燥し、カレンダリングして、試験した。紙の白色度R457は、DIN53145に基づき測定した。紙のCIE白色度は、ISO2469に基づき測定した。測定結果は表14に示す通りである。
【0207】
【表14】
【0208】
表14より、本発明による混合物の本発明による使用によって、紙の白色度が極めて著しく上昇することが明らかである。さらに、未処理の紙及び特にブリーディングが明らかに増長し、これによって印刷像の品質が低下してしまった比較混合物2と比較した場合、ウィッキング及び特にブリーディングの著しい改善が見られた。
Claims (13)
- i)少なくとも1種の蛍光増白剤、
ii)少なくとも1種のカチオン性高分子電解質及び
iii)少なくとも1種の溶剤
を含有している混合物Aを記録材料に塗布することを特徴とする、記録材料の製造方法。 - 混合物Aが、混合物100質量%に対して、
i)を0.05〜5質量%、
ii)を1〜30質量%及び
iii)を98.95〜65質量%
含有している、請求項1記載の方法。 - i)少なくとも1種の蛍光増白剤、
ii)少なくとも1種のカチオン性高分子電解質及び
iii)少なくとも1種の溶剤
からなる混合物B。 - 混合物100質量%に対して、
i)0.05〜5質量%、
ii)1〜30質量%及び
iii)98.95〜65質量%
からなる請求項3記載の混合物B。 - カチオン性高分子電解質が、ポリビニルアミン及びその塩、ポリアリルアミン及びその塩、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(ポリDADMAC)、カチオン性ポリビニルホルムアミド、カチオン性ポリビニルピロリドン、カチオン性ポリビニルアセトアミド、カチオン性ポリビニルメチルホルムアミド、カチオン性ポリビニルメチルアセトアミド、ポリ(ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド)(DMAPMAM)、ポリ(ジメチルアミノエチルアクリレート)及びその塩、ポリ(ジエチルアミノエチルアクリレート)及びその塩、ポリ(アクリロイルエチルトリメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)(ポリAPTAC)、ポリ(メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)(ポリMAPTAC)、カチオン性ポリアクリルアミド、ポリ(ビニルピリジン)及びその塩、ヘキサジメトリンブロミド(Polybren(R))、ポリ(ジメチルアミン−コ−エピクロロヒドリン)、ポリ(ジメチルアミン−コ−エピクロロヒドリン−コ−エチレンジアミン)、ポリ(アミドアミン−エピクロロヒドリン)又はカチオン性でんぷんであるか、又はN−ビニルホルムアミド、アリルアミン、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−メチル−N−ビニルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、アクリルロイルエチルトリメチルアンモニウムクロリド又はメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリドを重合により組み込んだ形で及び場合によっては分解した形で含有しているコポリマー及びその塩である、請求項1又は2記載の方法並びに請求項3又は4記載の混合物。
- 請求項1から10までのいずれか1項記載の方法により得られる、被覆された紙又は厚紙。
- 請求項11記載の紙又は厚紙の印刷方法での使用。
- 請求項3から10までのいずれか1項記載の混合物Bの、紙塗工材料中の添加物としての使用。
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