〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1ないし図6並びに図10に基づいて説明すれば、以下の通りである。本実施の形態では、主に、画像表示装置としての液晶表示装置に表示する、各画素ごとの情報を表す画素信号を含む映像信号(画像信号)のダイナミックレンジを平均輝度レベル(APL)によって調整する方法について説明する。
図1は、本実施の形態にかかる液晶表示装置の概略構成を示すブロック図である。本実施の形態にかかる液晶表示装置(画像表示装置)は、図1に示すように、画像を表示するための複数の画素(図示せず)を有する液晶パネル1(表示部、表示装置)と、入力された画像信号を補正して上記液晶パネル1に出力するための画像信号補正部としてのダイナミックレンジ調整システム11と、上記液晶パネル1を駆動するための液晶パネル駆動タイミング信号を発生させて上記液晶パネル1を駆動し、上記液晶パネル1に画像を表示させる液晶パネル駆動信号発生回路12(駆動信号発生部)とを備え、各画素ごとの情報を表す画素信号を含む画像信号が、表示画像信号として、上記ダイナミックレンジ調整システム11を介して液晶パネル1に入力されるようになっている。
上記ダイナミックレンジ調整システム11は、入力された画素信号のレベルの平均を平均信号レベル、例えば平均輝度レベル(APL)として演算する平均信号レベル演算部20と、最小から最大までの平均信号レベル、例えば平均輝度レベル(APL)を複数のブロックに分割し、得られた平均入力信号レベルの分割ブロック毎に、該平均入力信号レベルの分割ブロックに対する画素の輝度レベル(出力輝度特性)として、白レベル(白輝度レベル)と黒レベル(黒輝度レベル)とを割り当て、上記平均信号レベル演算部20により算出された平均信号レベルの値に応じた輝度のダイナミックレンジを求めるダイナミックレンジ設定部30(出力輝度特性設定部)と、ピーク特性を作り出すべく、上記ダイナミックレンジ設定部30で設定された出力輝度特性を満たすように、入力された画素信号のダイナミックレンジを上記ダイナミックレンジ設定部30の設定に基づいて調整することにより、入力された画素信号のダイナミックレンジを上記ダイナミックレンジ設定部30により設定されたダイナミックレンジに変換して画像信号を補正するダイナミックレンジ調整部40と、上記平均信号レベル演算部20並びにダイナミックレンジ設定部30で発生する遅延量を補償する遅延回路50(遅延手段)とを備えている。
上記平均信号レベル演算部20では、入力された画像信号のレベルの平均を平均信号レベルとして演算する。この場合、平均化される一定信号量分の画像信号は、1フィールドの画像分の画像信号でもよいし、適当な間隔でサンプリングした画素信号の電圧値であってもよい。
入力された画像信号が輝度−色差信号(YPbPrあるいはYCbCr)である場合は、輝度信号Yの平均信号レベルを演算すればよく、入力された画像信号が三原色信号(RGB)である場合には、三原色信号(RGB)の平均信号レベルを演算してもよく、三原色信号(RGB)を輝度信号Yに変換してから輝度信号Yの平均信号レベルを演算してもよい。さらに、画像信号としてこのような各色成分信号を含むカラー映像信号が入力される場合、上記平均信号レベル演算部20は、輝度値に相当する値のレベルの平均を算出するものでなくともよく、各色成分信号の少なくとも1つのレベルの平均を平均信号レベルとして演算するものであってもよい。例えば、RGBの三原色信号が画像信号として入力される場合、G信号のみを取り出してG信号のレベルの平均値を平均信号レベルとして算出してもよいし、各色成分信号毎のレベルの平均値を平均信号レベルとして算出してもよい。
また、平均信号レベルを演算するに際しては、例えば、入力された全ての輝度信号YもしくはG信号の強度を加算して平均化すればよいが、画面サイズを等分するなど、適当なサイズ毎に平均信号レベルを計算するようになっていてもよく、一水平ライン毎に平均信号レベルを計算し、後で全てのラインの平均信号レベルを加算して平均化するようになっていてもよい。
通常、液晶パネル1のソースドライバに供給する映像信号はデジタルRGBであり、また、信号処理もデジタル処理が主流である。したがって、本実施の形態では、主に、デジタル処理でピーク特性を作り出す処理について説明するものとする。
本発明を実現するには、先ず入力されたTV映像信号などの画像信号の平均信号レベルをフレーム毎に計算する必要がある。従って、入力された画像信号を同一フレーム期間内で液晶パネル1に供給するのではなく、最初のフレームで平均信号レベルを計算し、次のフレームでその平均信号レベルに応じて、画像信号を補正する処理がベストである。
本実施の形態においては、平均信号レベルに応じて画像信号のダイナミックレンジを調整することにより画像信号を補正(調整)する。このため、最初のフレームで平均信号レベルを計算し、次のフレームでその平均信号レベルに応じて、画像信号のダイナミックレンジを調整する処理が最も好適である。
勿論、同一フレーム内で、もしくは前のフレームの平均信号レベルを使用して画像信号のダイナミックレンジを調整して画像信号を調整する処理も考えられるが、前のフレームと現在のフレームとで相関性がない場合、例えばシーンチェンジなど、前のフレームの平均信号レベル(APL)と、現在のフレームの平均信号レベル(APL)とが著しく齟齬する可能性もある。
このため、本実施の形態では、前のフレームの画像信号のAPLを現在のフレームでもほぼ同等として扱うのではなく、先ず現在のフレームの画像信号のAPLを計算し、次のフレーム期間でそのAPL値によって画像信号のダイナミックレンジ調整を行うものとして説明を行う。
最近では液晶カラーテレビの入力信号が、最近の各種デジタル放送やパソコンなどから幾つかのTV映像フォーマット(画像フォーマット)で構成されるため、APLの計算に際しては、デジタル化された映像信号を用いてフォーマット変換やスケーリング処理が行なわれる。
そこで、本実施の形態にかかる画像表示装置においては、平均信号レベル演算部20が、IP変換、スケーリング処理等の、映像(画像)フォーマット変換(以下、IP変換、スケーリング処理を総合的に映像(画像)フォーマット変換と称する)を行う映像フォーマット変換部21(画像フォーマット変換部)と、この映像フォーマット変換を行なうためのフレームメモリ22と、平均輝度レベルの計算(APL計算)を行なうAPL計算部23とを備えた構成を有している。
最近では映像フォーマット変換としてIP変換が主流となる傾向があり、例えば入力された画像信号がインターレース走査の映像信号の場合、60Hz(映像信号でいうフィールド期間)毎に1フィールドの映像信号が入力され、次のフィールドの映像信号を参照して順次走査信号を作り出すのが一般的である。
また、映像信号処理の同期タイミングの関係でフレーム期間毎に後段の信号処理部に信号を供給するような、一種のフレーム単位でのパイプライン処理が行なわれる。
つまり、TV映像信号は1フレーム期間で各種のフォーマット変換を行い、次のフレーム期間で次の処理に移ることになるために、このフォーマット変換の期間に、同時にフレーム単位のAPLを計算することができる。上記APL計算部23は、このAPL計算を行うようになっている。
上記APL計算部23では、例えば、入力された画像信号における全ての輝度信号Y(入力輝度信号)もしくはG信号の強度を加算して平均化することで、APL値の計算(演算)が行なわれる。このようにして算出されたAPL値は、ダイナミックレンジ設定部30に入力され、該ダイナミックレンジ設定部30にて上記APL値に応じて画素の輝度レベル(出力輝度特性)が設定される。
上記ダイナミックレンジ設定部30は、最小から最大までの平均信号レベルを複数のブロックに分割し、平均信号レベルの分割ブロック毎に、該平均信号レベルの分割ブロックに対する画素の輝度レベル(出力輝度特性)として、白レベル(白輝度レベル)と黒レベル(黒輝度レベル)とを割り当てる輝度レベル設定部31と、上記平均信号レベル演算部20により算出された平均信号レベルの値が、どの範囲(分割ブロック)の平均信号レベルであるかを検出し、その平均信号レベルで表現する画像信号のダイナミックレンジを決定するダイナミックレンジ決定部32とを備えている。
上記平均信号レベル値から所定のダイナミックレンジを求めるには、例えば、(1)輝度レベル設定部31にて、予め、最小から最大までのAPL(平均信号レベル)を複数ブロックに分割し、各々のブロックに対応する白レベル値と黒レベル値とをメモリ31a(例えばROM)に格納し、ダイナミックレンジ決定部32にて、このメモリ31aを使用し、上記平均信号レベル演算部20においてAPL計算部23で算出されたAPL値から所定のダイナミックレンジを引用するか、あるいは、(2)輝度レベル設定部31にて、予め、最小から最大までのAPLを複数のブロックに分割し、それぞれのブロックに対応する白レベルと黒レベルとの演算関数をメモリ31a(例えばROM)に格納し、ダイナミックレンジ決定部32にて、このメモリ31aを使用して、上記平均信号レベル演算部20においてAPL計算部23で算出されたAPL値から所定のダイナミックレンジを関係づける計算を行えばよい。
ここで、APLに対してピーク特性を作り出し、上記液晶表示装置に表示する画像信号としての映像信号のダイナミックレンジを、APLに応じて調整する方法について、図2を参照して以下に説明する。
映像信号のダイナミックレンジを、APLに応じて調整するには、まず、輝度レベル設定部31において、最小から最大までのAPLを複数のブロックに分割し、APLの分割ブロック毎に、該APLの分割ブロックに対する画素の輝度レベルの割り当てが行なわれる。
つまり、APLに対してピーク特性を作り出すためには、液晶表示装置、例えば液晶カラーテレビの最大輝度を正規化して1.0と定義した場合、正規化輝度値が0.0から1.0までの間に複数の中間輝度レベルを設定し、それぞれの輝度レベルを、APL値、例えばAPLの各分割ブロックと対応させればよい。
図2は、本実施の形態にかかるAPLと白ピーク特性(白輝度ピーク特性)との関係を示す説明図であり、白輝度の正規化輝度(白輝度ピーク特性)とAPLとを軸とする白ピーク特性を示している。
図2に示すように、高輝度領域、中輝度領域、および低輝度領域の3段階で白ピーク特性LC2を作り出すとすれば、APLが0.0からAPL1までの分割ブロックを、正規化輝度値が、液晶カラーテレビ(液晶表示装置)が有する最大輝度レベル(正規化輝度1.0)の高輝度領域とし、APL1からAPL2までの分割ブロックを、輝度レベル(正規化輝度値)がKido−aの中輝度領域とし、APL2から1.00までの分割ブロックを、輝度レベル(正規化輝度値)がKido−bの低輝度領域に割り当てる。
ダイナミックレンジ決定部32は、上記平均信号レベル演算部20において液晶カラーテレビに入力されるTV映像信号(映像信号)のAPLを計算した結果から、APLが0.0からAPL1までの領域(分割ブロック)にあることが検出されると、白輝度の正規化輝度値(白レベル)を、液晶カラーテレビ(液晶表示装置)が有する最大輝度レベル(正規化輝度1.0)となるように設定する。この結果に基づき、ダイナミックレンジ調整部40は、入力されたTV映像信号(入力映像信号)の白レベルを、そのまま液晶パネル1のソースドライバに供給して、液晶パネル1で定義される最大白レベルになるように合わせる。
以下に、図3を参照してより具体的に説明する。図3は、液晶カラーテレビの輝度ダイナミックレンジの調整方法について説明する図である。ここで、入力映像信号Dのダイナミックレンジは、白レベルB(白信号レベル)と黒レベルC(黒信号レベル)との差分である。
一方、液晶パネル1が有する白輝度と黒輝度との差分(液晶パネル1の輝度ダイナミックレンジ)をEに示すものとすれば、該液晶パネル1が有する輝度のダイナミックレンジ(白輝度と黒輝度との差分)をフルに使用して入力映像信号Dのダイナミックレンジと1:1対応させてそのまま液晶パネル1に入力すれば、Fに示す液晶カラーテレビの最終的な表示輝度になる。つまり、APLが小さい領域(APL0.0〜APL1)として、例えば暗闇のシーンで全体的に暗いシーンが続き、その映像信号の中で花火のシーンのような光る閃光がある場合に、その閃光部分は液晶カラーテレビの最大白輝度をもって表示できる。このため、メリハリ感のあるTV映像を再現することができる。
一方、図2のAPL1からAPL2の領域(分割ブロック)で、Kido−aを使用して中輝度領域を作り出す方法を、図4を用いて説明する。
本実施の形態においては、APLが、図2のAPL1からAPL2の領域に入るTV映像信号(映像信号)が入力された場合、図4に示すように、先ず入力映像信号Dの黒レベルCを、液晶パネル1の最小黒輝度となるように設定する。次いで、上記入力映像信号Dの白レベルBを、そのまま液晶パネル1に供給するのではなく、液晶カラーテレビの最終白輝度が図2のKido−aになるように、該Kido−aに相当する白レベルG(図4参照)に合わせ込む。
このように、入力された映像信号(入力映像信号D)のダイナミックレンジを狭めて液晶パネル1に表示すれば、Hで示す液晶パネル1のダイナミックレンジ(輝度ダイナミックレンジ)を全て使うことなく、入力映像信号Dの黒レベルが最小輝度であり、入力信号の白レベルが図2のkido−aに相当する輝度値であるときの白レベルと黒レベルとの差分に相当するIで示す輝度の範囲、つまり、図2のKido−aに相当する白レベルGと最小黒レベルである黒レベルCとの差分の輝度の範囲(ダイナミックレンジ)で最終的にTV映像を表示させることができる。
この結果、APLが図2の0.0%からAPL1までの領域では白レベルは液晶パネル1の最大輝度レベルとなり、図2のAPL1からAPL2までのAPL範囲では、液晶パネル1の最大輝度レベルまでを使用せず、白輝度を落とすことができ、図2に示すような白ピーク特性LC2を、TV映像信号のダイナミックレンジ調整だけで作り出すことができる。
なお、図2の低輝度領域も上述した中輝度領域の作り出し方法に準拠して入力映像信号Dのダイナミックレンジを調整することで作り出すことができる。
なお、図2では、ピーク特性を3つの輝度レベルで表現して説明を行ったが、当然、n(nは0以外の正の整数)個のレベルでピーク特性を作る場合であっても、上述した作り出し方法に準拠して入力映像信号のダイナミックレンジを変換することで作り出すことができる。
本実施の形態によれば、以上のような概念によって、液晶カラーテレビでもピーク特性を作り出すことができる。
また、図1に示す遅延回路50は、上記平均信号レベル演算部20並びにダイナミックレンジ設定部30で発生する遅延量、特に、上記APL計算部23並びにダイナミックレンジ決定部32にて発生する遅延量を補償するものであり、映像フォーマット変換された、上記映像信号などの画像信号がダイナミックレンジ調整部40に入力されるタイミングと、上記液晶カラーテレビなどの液晶表示装置のダイナミックレンジ(出力輝度特性)の設定パラメータであるダイナミックレンジ決定信号が上記ダイナミックレンジ調整部40に入力されるタイミングとが同期するように、上記APL計算部23におけるAPL値の演算および上記ダイナミックレンジ決定部32におけるAPL値の検出並びに該APL値で表現する映像信号のダイナミックレンジの決定に要する時間だけ画像信号を遅延させるようになっている。これにより、上記映像フォーマット変換部21の出力映像信号は、そのままダイナミックレンジ調整部40に入力されるのではなく、遅延回路50により遅延して上記ダイナミックレンジ調整部40に入力されるようになっている。
なお、当然、映像信号を液晶パネル1に供給する時に発生するブランキング期間などでダイナミックレンジ決定処理を行い、遅延回路50を無くすことも可能であるが、本実施の形態では、遅延回路50が必要なものとして説明する。
次に、本実施の形態にかかる画像再生方法として、液晶カラーテレビを用いた画像再生方法を例に挙げ、TV映像信号の入力から、デジタル処理でピーク特性を作り出し、液晶パネル1に、補正したTV映像信号を供給するまでの処理について以下に説明する。
まず、図1に示すように、映像フォーマット変換部21に、各画素毎の情報を表す画素信号を含む画像信号として、γ特性が除去された、デジタル化されたTV映像信号である映像信号が入力されると、該映像フォーマット変換部21は、フレームメモリ22を用いて、フォーマット変換やスケーリング処理などの映像フォーマット変換を1フレーム期間で行い、フレーム期間毎に、輝度信号YもしくはG信号を後段のAPL計算部23に供給する。
映像フォーマット変換部21は、該フォーマット変換部21の信号を、フィールドもしくはフレーム同期信号としてAPL計算部23に出力すると共に、タイミング信号として、液晶パネル駆動信号発生回路12に出力するようになっている。
本実施の形態では、入力された映像信号は1フレーム期間で上記した各種フォーマット変換処理を行い、次のフレーム期間で次の処理に移ることになるため、このフォーマット変換処理の期間に、同時にフレーム単位のAPLが計算される。
APL計算部23では、APLを計算する対象画素もしくは計算するタイミングで、入力された輝度信号YもしくはG信号の強度を積算し、平均化することにより、APL値が演算(計算)される。
このように計算されたAPL値は、ダイナミックレンジ決定部32に出力される。なお、APL計算部23におけるAPLの計算精度は、例えば図2に示すようにピーク特性を3つの輝度レベルで表現する場合には、3つのAPL領域が判定できる程度のもので十分である。
従来、アナログテレビで扱われているAPLは、単なる積分回路で構成されたものであり、あくまでも大凡のAPL値がわかる程度のものである。
ダイナミックレンジ決定部32では、上記APL値に基づき、フレームメモリ22を用いて、ダイナミックレンジ設定部30にて予め設定された、図2に示したようなピーク特性(出力輝度特性)のうち、どの範囲のAPLであるかを検出し、そのAPLで表現する映像信号のダイナミックレンジ(映像ダイナミックレンジ)を求める(設定する)。
ここで、映像信号のダイナミックレンジは、例えば図2では3つあるため、高輝度領域の映像信号のダイナミックレンジは0番、中輝度領域は1番、低輝度領域は2番と番号付けしておいて、APL値と対応させればよい。この場合、図1のダイナミックレンジ決定部32からの出力信号であるダイナミックレンジ決定信号がこの番号となる。
図1の遅延回路50は、映像フォーマット変換部21の出力映像信号をそのままピーク特性を作り出すダイナミックレンジ調整部40に入力せず、APL計算部23並びにダイナミックレンジ決定部32で発生する遅延量を補償する。
遅延回路50の出力映像信号はダイナミックレンジ調整部40に入力される。ダイナミックレンジ調整部40では、先ず、黒レベルはそのままにして、ダイナミックレンジ決定信号に応じて映像信号のダイナミックレンジを調整する処理を行う。ダイナミックレンジ調整部40からは、ダイナミックレンジを調整することにより補正された表示映像信号が液晶パネル1に出力される。
図5に、ダイナミックレンジ調整処理の内容を示す。図5において、ダイナミックレンジ調整部40に入力される、γ特性が除去された映像信号の最大値と最小値とで規定される輝度の範囲(すなわち、最大白レベルと最小黒レベルとの差)が映像信号の最大のダイナミックレンジである。
ダイナミックレンジ調整部40では、該ダイナミックレンジ調整部40に入力された、γ特性が除去された映像信号のダイナミックレンジを、予め準備された、図5に示す入力信号と出力信号との変換特性に基づいて、該ダイナミックレンジ調整部40に入力された所定のダイナミックレンジ決定信号に応じて変換する。
例えば、図2の高輝度領域とするAPLの時、入力映像信号を、図3に示す入力映像信号Dとすると、上記ダイナミックレンジ調整部40は、図5のDの変換特性を参照して、Kの映像信号を出力する。このときは、図3並びに図5に示すように、入力信号(入力映像信号)がスルー状態となる。
また、図2の中輝度領域では、図5に示すように、図4に示す方法を用いて変換特性Gを参照してLの出力信号を得るようにする。同様に、図2の低輝度領域では、変換特性Jを参照してMの出力信号に変換すればよい。
変換自体は、入力映像信号とAPLとで決まるダイナミックレンジを係数化しておき、〔入力映像信号×係数〕の計算を行なう方法や、前記したようにROM(メモリ31a)を使用するなどの方法を用いて行うことができるが、入力映像信号のダイナミックレンジを図1に示すダイナミックレンジ決定信号に応じて調整する手段であれば、何れの方法を用いても構わない。
また、この変換特性に、液晶カラーテレビに表示されるTV映像のコントラスト感を改善したり、メリハリ感や黒レベルの解像度を高めるなどのために、図5のNで示すような曲線的な特性をつけて液晶パネル1に出力することが行なわれる場合がある。
そこで、図5に示した変換特性K,L,Mを、ただ単に直線的に変換するのでなく、Nで示すような曲線特性を付けて同時に本発明を実施しても構わない。
また、例えば、図2の高輝度領域では8ビットに量子化されたデジタル映像信号はそのままにし、中輝度領域ではダイナミックレンジを高輝度領域の1/2にするならば、8ビットに量子化されたデジタル映像信号を下位ビット方向に1ビットシフトし、低輝度領域におけるダイナミックレンジを高輝度領域の1/4にするならば、8ビットに量子化されたデジタル映像信号を下位ビット方向に2ビットシフトする方法もある。この場合、ダイナミックレンジ変換を計算する場合よりも回路規模を簡素化することができる。
以上のように、本実施の形態にかかる画像表示装置は、画像を表示するための複数の画素を有する表示部(表示装置)としての液晶パネル1を備え、各画素ごとの情報を表す画素信号を含む画像信号が入力される画像表示装置であって、入力された画素信号のレベルの平均を平均信号レベル(平均輝度レベル)として演算する平均信号レベル演算部20と、最小から最大までの平均信号レベルを複数のブロックに分割し、平均信号レベルの分割ブロック毎に、該平均信号レベルの分割ブロックに対する画素の白レベルと黒レベルとを割り当て、上記平均信号レベル演算部20により算出された平均信号レベルの値に応じて、上記白レベルと黒レベルとの差で規定されるダイナミックレンジを求めるダイナミックレンジ設定部30と、入力された画素信号のダイナミックレンジを上記ダイナミックレンジ設定部30の設定に基づいて調整するダイナミックレンジ調整部40とを備えている構成を有し、上記平均信号レベルの分割ブロックに対する画素の白レベルは、平均信号レベルが上昇するにつれて、分割ブロック毎に、上記液晶パネル1に表示する画像信号の白レベルが漸次減少するように割り当てられている。
また、本実施の形態にかかる画像表示装置は、上記平均信号レベル演算部20が、入力された画像信号に対して画像フォーマット変換を行う画像フォーマット変換部21と、フレームメモリ22とを備え、フォーマット変換の期間に、同時にフレーム単位の平均信号レベルの演算を行う構成を有している。
また、本実施の形態にかかる画像表示装置は、画像を表示するための複数の画素を有する表示部を備え、各画素ごとの情報を表す画素信号を含む画像信号が入力される画像表示装置であって、映像フォーマット変換部21と、フレームメモリ22と、APL計算部23と、ダイナミックレンジ決定部32と、ダイナミックレンジ調整部40と、遅延回路50とを有する、ダイナミックレンジ制御部としてのダイナミックレンジ調整システム11を有する構成を有している。
また、本実施の形態にかかる画像表示装置は、画像を表示するための複数の画素を有する表示部を備え、各画素ごとの情報を表す画素信号を含む画像信号が入力される画像表示装置であって、入力信号の平均レベルを演算する平均信号レベル演算部と、上記平均信号レベル演算部により演算された平均信号レベルに応じて設定する出力輝度特性設定部と、設定された出力輝度特性を満たすように画像信号を補正する信号補正部を有する画像表示装置において、最小から最大までのAPLを複数に分割し、APLが上昇するにつれて分割ブロック毎に上記表示部に表示する映像信号の白レベル(最大白レベル)を漸次減少させて設定する構成を有している構成であってもよい。
さらに、本実施の形態にかかる画像再生方法(画像表示装置の映像信号の表示方法)は、各画素毎の情報を表す画素信号を含む画像信号に基づいて複数の画素を有する表示装置(液晶パネル1)で画像を再生する画像再生方法であって、入力された画素信号のレベルの平均を平均信号レベルとして演算する平均信号レベル演算工程と、最小から最大までの平均信号レベルを複数のブロックに分割してなる平均信号レベルの分割ブロック毎に割り当てた、画素の白レベルと黒レベルとから、上記平均信号レベル演算工程で得られた平均信号レベルの値に応じて、上記白レベルと黒レベルとの差で規定されるダイナミックレンジを求めるダイナミックレンジ設定工程と、入力された画素信号のダイナミックレンジを上記ダイナミックレンジ設定工程で設定されたダイナミックレンジに基づいて調整するダイナミックレンジ調整工程とを備えている構成であり、上記ダイナミックレンジ設定工程では、上記平均信号レベルの分割ブロックに対する画素の白レベルが、平均信号レベルが上昇するにつれて、分割ブロック毎に、上記表示装置に表示する画像信号の白レベルが漸次減少するように割り当てられる。
また、本実施の形態にかかる画像再生方法(画像表示装置の映像信号の表示方法)は、画像を表示するための複数の画素を有する表示部を備え、各画素ごとの情報を表す画素信号を含む画像信号が入力される画像表示装置における映像信号の表示方法であって、映像フォーマット変換ステップと、APL計算ステップと、ダイナミックレンジ決定ステップと、映像信号のタイミングを合わせて該ダイナミックレンジによる信号調整ステップとでなるダイナミックレンジ制御を行なう方法である。
本実施の形態にかかる画像表示装置並びに画像再生方法は、上記した構成により、平均信号レベルが上昇するにつれて、分割ブロック毎に、ダイナミックレンジが狭くなるようにダイナミックレンジを設定している。
この結果、本実施の形態にかかる画像表示装置によれば、CRTのような白輝度ピーク特性を擬似的に作り出すことが可能であり、APLが小さい領域として、例えば暗闇のシーンで全体的に暗いシーンが続き、その映像信号の中で花火のシーンのような光る閃光がある場合に、その閃光部分は、例えば液晶パネル1の最大白輝度をもって表示でき、メリハリ感のあるTV映像を再現できる。また将来、現状よりデバイス自体の絶対黒輝度がより下がり、絶対白輝度がより向上した場合でも本発明を採用することによってより一層臨場感が増したTV映像を再現することができる。また、バックライトの輝度を平均輝度レベルに応じて調整することもないため、液晶TVの低コスト化や信頼性を向上することができる。
以上のように、本実施の形態によれば、上記平均信号レベルに応じて、ダイナミックレンジにより、画素信号のレベルに対する画素の輝度の変化を表す入力信号−出力輝度特性が設定され、上記液晶パネル1に表示する画像信号のダイナミックレンジを、入力された画素信号の平均信号レベルに応じて調整することで、設定された入力信号−出力輝度特性を満たすように、上記液晶パネル1に表示する画像信号を補正して再生することができる。
なお、上記の画像表示装置あるいは画像再生方法において、ダイナミックレンジの設定は、上記画像信号を上記表示部に供給するときに発生するブランキング期間に行なわれる構成であってもよい。
また、上記の画像表示装置あるいは画像再生方法は、白レベル制御用と黒レベル制御用とで分割ブロックが異なる構成であってもよい。
さらに、上記の画像表示装置あるいは画像再生方法において、平均信号レベルの演算(APL演算)は、画面を分割し、該分割画面毎に演算する構成であってもよい。
また、上記の画像表示装置あるいは画像再生方法において、平均信号レベルの演算(APL演算)は、一水平ライン毎に平均レベルを計算した後に全ラインを加算し、平均化する構成であってもよい。
さらに、上記の画像表示装置あるいは画像再生方法において、平均信号レベルの演算(APL演算)は、一フレーム内で間引かれた画素の平均レベル演算であってもよい。
また、上記の画像表示装置は、最小から最大までのAPLを複数ブロックに分割し、各々のブロックに対応する最大白レベル値と最小黒レベル値が格納されたメモリを有する構成であってもよい。
さらに、上記の画像表示装置は、最小から最大までのAPLを複数ブロックに分割し、各々のブロックに対応する最大白レベルと最小黒レベルの演算関数が格納されたメモリを有する構成であってもよい。
また、上記の画像表示装置あるいは画像再生方法は、最小から最大までのAPLを複数ブロックに分割し、各々のブロックに対応する最大白レベル値と最小黒レベル値の設定演算処理は映像信号のブランキング期間に行われる構成であってもよい。
最近の液晶テレビの白ピークは、液晶パネル1やバックライト(図示せず)の技術改善によって、図10に示すLC2b,2cのように、CRTのピーク時の輝度に近づきつつある。
また、液晶カラーテレビ(液晶テレビ)の黒輝度は、バックライト(図示せず)が点灯している時に完全に遮光すれば0.0cd/m2 となるが、実際には光漏れが発生することから、図10に示すLC1aのようにAPLに依存しないである黒輝度で一定となる。
しかしながら、最近の液晶パネル1の光漏れも改善される傾向にあり、図10に示すLC1b,1cのように、黒輝度が下がりつつある。
このように、液晶パネル1で決まる白輝度と黒輝度とは、ますます従来のCRTが有する値に近づきつつある。
このため、このような画像表示装置において本発明を適用し、図2に示すように、LC2b,2cに対し、例えば高輝度領域、中輝度領域、および低輝度領域の3段階で白ピーク特性LC2を作り出すことにより、図6に示すように、その出力輝度特性を、CRTの出力輝度特性により近似させることができる。なお、図6において、平均輝度レベル(APL)は、最大値を100%として表した相対値を示す。また、図6において、平均輝度レベル(APL)100%とは、CRTのスクリーン上に全て白信号を表示したときを意味する。また、図6の縦軸の白輝度、黒輝度は、APL0%から100%の間における一般的な白輝度、黒輝度の特性を示すためのもので、図6に示すようにAPLを設定したときの相対値を示す。
なお、本実施の形態において、図1は、説明の都合上、APL値から所定のダイナミックレンジを求めるために必要な機能ブロックとして表現し、説明したにすぎず、例えば、APL計算部23とダイナミックレンジ決定部32とを一体化して形成することもできる。
また、本実施の形態では、APLの計算を、映像フォーマット変換処理などのフレーム単位もしくはフィールド単位で遅延が発生する信号処理と同時に行うものとして説明したが、本発明にかかる画像表示装置としては、必ずしも、映像フォーマット変換処理機能を有する、液晶カラーテレビなどの画像表示装置である必要はない。つまり、本発明は、フレームもしくはフィールド単位でAPLを計算し、そのために発生する時間遅延分だけ映像信号を遅延させれば問題がないため、必ずしも図1に示す映像フォーマット変換部21が設けられていることを前提とする必要はない。
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について、図1、図2、図7、図8、および図10に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において、実施の形態1における構成要素と同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付記し、その説明を省略する。本実施の形態では、主に、前記実施の形態1との相違点について説明するものとする。
本実施の形態では、液晶表示装置に表示する映像信号のAPLと黒輝度との関係についても白輝度のピーク特性と合わせて実現する方法について説明するものとする。
一般的に、CRTでピーク特性があることが、暗闇のシーンで花火の閃光のような明るい個所が光輝くように見えるという、映像のメリハリ感を生むと言われている。
一方、白輝度のピーク特性だけに着目するのではなく、コントラスト比(同一APLにおける白輝度÷黒輝度)という観点で図10に示す出力輝度特性をみると、黒輝度とAPLの関係も映像表現にとって重要である。
つまり、図10に示されるように、CRTでは、CRT1にて示すように、APLの低い領域では黒輝度がほぼ0.0cd/m2 となり、液晶カラーテレビに比べて黒輝度の絶対値が低いこと、および、白輝度の絶対値が大きいことから、コントラスト比は液晶カラーテレビに比べて桁違いに大きな値となる。
また、APLの大きい領域では、CRTでは、CRT1にて示すように黒輝度が上昇し、かつCRT2にて示すように白輝度が低下するため、コントラスト比は、液晶カラーテレビのものに比べて小さい値となる。
図10で示されるように、一般の民生用TV(CRT−TV)における黒輝度は、APLの上昇により、数cd/m2 まで増加するのが一般的である。
そこで、図2に示す白輝度のピーク特性LC2と同様に黒輝度もAPLによって調整すれば、図10のAPLに対応して、CRTの出力輝度特性に近似の黒輝度特性を作り出すことができる。
ここで、APLに対してピーク特性を作り出し、上記液晶パネル1に表示する画像信号としての映像信号のダイナミックレンジを、APLに応じて調整する方法について、図7を参照して以下に説明する。図7は、本実施の形態にかかるAPLと黒輝度ピーク特性との関係を示す説明図である。
図7に示すように、黒輝度の場合は、白輝度の場合と逆に、APLの0.0%からAPL1までを、液晶パネル1で決まる黒輝度の正規化輝度値Kido−dに割り当て、APL1からAPL2までを、黒信号の正規化輝度値が液晶パネル1で決まる黒輝度値より高い値(Kido−c)となるように割り当て、APL2からAPL1.00までをさらに高い値に設定すればよいことになる。
なお、本実施の形態では、図2および図7に示すように、白輝度および黒輝度特性の変わるAPL値を同じとしたが、各々別々に設定しても構わない。黒輝度もAPLに応じて調整するには、図1と同様の機能ブロックを用いればよく、この場合、図1に示すダイナミックレンジ調整部40において、APLに応じて、入力映像信号から、液晶パネル1に出力する映像信号(表示映像信号)への変換特性を、上記したように変更すればよい。
図8に、APLに応じて、液晶カラーテレビに表示する白輝度と黒輝度とを変換する処理の概念を説明する。
図8の変換特性Q(高輝度領域),R(中輝度領域),S(低輝度領域)の特徴は、図6に示すK,L,Mと異なり、入力映像信号(すなわち、映像フォーマット変換部21に入力される映像信号)の黒レベルをAPLに応じて上昇させるようにしている点である。
例えば、変換特性Q(図7に示す高輝度領域)では液晶パネル1の有する絶対黒輝度(最小黒レベル)になるように入力映像信号Dの最小信号を割り当てる。言い換えれば、図7の高輝度領域では、図8に示すように変換特性Dを参照してQの出力信号に変換している。
一方、変換特性R(図7に示す中輝度領域)のAPLである場合、図8において、Oで示すように、液晶パネル1の有する絶対黒輝度に比べて高めの黒輝度(黒レベル)となるようにしている。また、図7の低輝度領域では、図8に示すように変換特性S(図7に示す低輝度領域)のAPLである場合、Pで示すように、さらに高めの黒輝度(黒レベル)となるようにしている。また、黒輝度をAPLに応じて信号処理で調整する場合も、図8に示すように、図6においてNで示す変換特性と同様のS字カーブ特性Tを併せもっても構わない。
以上のように、本実施の形態にかかる画像表示装置は、画像を表示するための複数の画素を有する表示部としての液晶パネル1を備え、各画素ごとの情報を表す画素信号を含む画像信号が入力される画像表示装置であって、入力された画素信号のレベルの平均を平均信号レベル(平均輝度レベル)として演算する平均信号レベル演算部20と、最小から最大までの平均信号レベルを複数のブロックに分割し、平均信号レベルの分割ブロック毎に、該平均信号レベルの分割ブロックに対する画素の白レベルと黒レベルとを割り当て、上記平均信号レベル演算部20により算出された平均信号レベルの値に応じて、上記白レベルと黒レベルとの差で規定されるダイナミックレンジを求めるダイナミックレンジ設定部30と、入力された画素信号のダイナミックレンジを上記ダイナミックレンジ設定部30の設定に基づいて調整するダイナミックレンジ調整部40とを備えている構成を有し、上記平均信号レベルの分割ブロックに対する画素の黒レベルは、平均信号レベルが上昇するにつれて、分割ブロック毎に、上記液晶パネル1に表示する画像信号の黒レベルが漸次増加するように割り当てられている。
また、このとき、上記平均信号レベルの分割ブロックに対する画素の白レベルは、平均信号レベルが上昇するにつれて、分割ブロック毎に、上記液晶パネル1に表示する画像信号の最大白レベルが漸次減少するように割り当てられていることがより好ましい。
すなわち、本実施の形態にかかる画像表示装置は、例えば、画像を表示するための複数の画素を有する表示部を備え、各画素ごとの情報を表す画素信号を含む画像信号が入力される画像表示装置であって、入力信号の平均レベルを演算する入力信号平均レベル演算部と、上記入力信号平均レベル演算部により演算された入力信号平均レベルに応じて設定する出力輝度特性設定部と、設定された出力輝度特性を満たすように画像信号を補正する信号補正部を有する画像表示装置において、最小から最大までのAPLを複数に分割し、APLが上昇するにつれて分割ブロック毎に上記表示部に表示する映像信号の黒レベル(最小黒レベル)を漸次増加させて設定する構成を有していてもよい。
また、本実施の形態にかかる画像表示装置は、例えば、画像を表示するための複数の画素を有する表示部を備え、各画素ごとの情報を表す画素信号を含む画像信号が入力される画像表示装置であって、入力信号の平均レベルを演算する平均信号レベル演算部と、上記平均信号レベル演算部により演算された平均信号レベルに応じて設定する出力輝度特性設定部と、設定された出力輝度特性を満たすように画像信号を補正する信号補正部を有する画像表示装置において、最小から最大までのAPLを複数に分割し、APLが上昇するにつれて分割ブロック毎に上記表示部に表示する映像信号の白レベル(最大白レベル)を漸次減少させて設定すると共に、APLが上昇するにつれて分割ブロック毎に上記表示部に表示する映像信号の黒レベル(最小黒レベル)を漸次増加させて設定する構成を有していてもよい。
また、上記画像表示装置は、白レベル制御用と黒レベル制御用とで分割ブロックが異なっていてもよい。つまり、上記画像表示装置では、各分割ブロックに対し、最大白レベルと最小黒レベルとが独立して設定されていてもよく、最大白レベルを変更する分割ブロックと、最小黒レベルを変更する分割ブロックとが異なっていてもよい。
さらに、本実施の形態にかかる画像再生方法(画像表示装置の映像信号の表示方法)は、各画素毎の情報を表す画素信号を含む画像信号に基づいて複数の画素を有する表示装置(液晶パネル1)で画像を再生する画像再生方法であって、入力された画素信号のレベルの平均を平均信号レベルとして演算する平均信号レベル演算工程と、最小から最大までの平均信号レベルを複数のブロックに分割してなる平均信号レベルの分割ブロック毎に割り当てた、画素の白レベルと黒レベルとから、上記平均信号レベル演算工程で得られた平均信号レベルの値に応じて、上記白レベルと黒レベルとの差で規定されるダイナミックレンジを求めるダイナミックレンジ設定工程と、入力された画素信号のダイナミックレンジを上記ダイナミックレンジ設定工程で設定されたダイナミックレンジに基づいて調整するダイナミックレンジ調整工程とを備えている構成であり、上記ダイナミックレンジ設定工程では、上記平均信号レベルの分割ブロックに対する画素の黒レベルが、平均信号レベルが上昇するにつれて、分割ブロック毎に、上記表示装置に表示する画像信号の黒レベルが漸次増加するように割り当てられてもよいし、平均信号レベルが上昇するにつれて分割ブロック毎に上記表示装置に表示する映像信号の白レベル(最大白レベル)を漸次減少させて設定すると共に、APLが上昇するにつれて分割ブロック毎に上記表示装置に表示する映像信号の黒レベル(最小黒レベル)を漸次増加させて設定する構成を有していてもよい。
本実施の形態においても、平均信号レベルが上昇するにつれて、分割ブロック毎に、ダイナミックレンジを狭くすることができる。この結果、CRTのような黒輝度ピーク特性、好適にはCRTのような白輝度ピーク特性並びに黒輝度ピーク特性を擬似的に作り出すことが可能であり、メリハリ感のあるTV映像を再現できる。また将来、現状よりデバイス自体の絶対黒輝度がより下がり、絶対白輝度がより向上した場合でも本発明を採用することによってより一層臨場感が増したTV映像を再現することができる。また、バックライトの輝度を平均輝度レベルに応じて調整することもないため、液晶TVの低コスト化や信頼性を向上することができる。
以上のように、本実施の形態によれば、上記平均信号レベルに応じて、ダイナミックレンジにより、画素信号のレベルに対する画素の輝度の変化を表す入力信号−出力輝度特性が設定され、上記液晶パネル1に表示する画像信号のダイナミックレンジを、入力された画素信号の平均信号レベルに応じて調整することで、設定された入力信号−出力輝度特性を満たすように、上記液晶パネル1に表示する画像信号を補正して再生することができる。
以上のように、上記実施の形態1および2では、主に、デジタル処理でピーク特性を作り出す処理について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、勿論、ピーク特性を作り出す方法をアナログ回路で構成し、最終的にアナログ/デジタル信号変換処理を行ってソースドライバに供給する映像信号を作り出しても構わない。
本発明は、液晶カラーテレビのように、TV映像信号のAPLに関わらず白輝度と黒輝度とが一定となるTV映像信号の表示デバイスにおいて、CRTで再現されているようなAPLに対して白輝度がピーク特性を作り出し、臨場感あるTV映像を表示する基本的な方法に関するものであることから、アナログ回路で実現しても本発明の権利化範囲である。
そこで、以下の実施の形態3では、デジタル信号処理でなくても本発明を容易に実現することができることを説明する。
〔実施の形態3〕
本発明の他の実施の形態について、図9に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において、実施の形態1および2における構成要素と同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付記し、その説明を省略する。本実施の形態では、主に、前記実施の形態1および2との相違点について説明するものとする。
本実施の形態にかかる発明のポイントは、APLに応じて輝度のダイナミックレンジを調整することにある。
輝度のダイナミックレンジを調整(制御)するに際しては、例えばパソコンのモニタなどに液晶パネル1を採用している場合に、ハードディスクに録画されている映像信号に対して、プログラムなどを用いてAPL値を計算し、その結果を、図9に示すように、前記した変換特性を決める制御情報や、映像信号とともにダイナミックレンジ調整部40に入力し、該ダイナミックレンジ調整部40にて、上記APL値を参照して映像信号のダイナミックレンジを調整し、この結果を、表示映像信号としてハードディスクに再度録画しておくような処理を行なってもよく、CPU(中央演算処理装置)の制御により、リアルタイムで図9に示す上記した処理をソフトウェアで実施してもよい。
すなわち、上記各演算処理は、回路によってハードウェアで実現することが望ましいが、ソフトウェアで実現してもかまわない。すなわち、実施の形態1・2において前記した各構成における演算を行う部分(平均信号レベル演算部、ダイナミックレンジ設定部、ダイナミックレンジ調整部)は、回路によってハードウェア的に実現されていることが望ましいが、ソフトウェア的に実現されていてもかまわない。
つまり、上記各演算処理は、各演算部の演算処理を記述したコンピュータプログラムを記憶するRAM等の記憶手段と、該コンピュータプログラムを実行するCPUとによって実現してもよく、上記各構成における演算を行う各部は、各演算部の演算処理を記述したコンピュータプログラムを記憶するRAM等の記憶手段と、該コンピュータプログラムを実行するCPUとによって実現されていてもよい。
この場合、入力信号で最低必要なものは映像信号、APL値、最終的に液晶パネルに出力するタイミングを決める同期信号であり、後は、必要に応じて、ダイナミックレンジを調整する際に、変換特性を単なる直線でなく映像表現で必要な曲線カーブを描くように調整するための制御情報などが入力される。以上のように、前記実施の形態1または2に示した処理は、デジタル回路のみならず、アナログ回路を用いて実現することもできる。
以上のように、本実施の形態にかかるコンピュータ読取り可能な記録媒体は、コンピュータに、(1)画像を表示するための複数の画素を有する表示装置(液晶パネル1)に入力された、各画素ごとの情報を表す画素信号を含む画像信号から、入力された画素信号のレベルの平均を平均信号レベルとして演算する機能と、(2)最小から最大までの平均信号レベルを複数のブロックに分割してなる平均信号レベルの分割ブロック毎に割り当てた、画素の白レベルと黒レベルとから、入力された画素信号から演算した平均信号レベルの値に応じて、上記白レベルと黒レベルとの差で規定されるダイナミックレンジを求める機能と、(3)入力された画素信号のダイナミックレンジを、入力された画素信号から演算した平均信号レベルの値から求めたダイナミックレンジに基づいて調整する機能とを実現させるためのプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
また、本実施の形態にかかるプログラムは、コンピュータに、(1)画像を表示するための複数の画素を有する表示装置(液晶パネル1)に入力された、各画素ごとの情報を表す画素信号を含む画像信号から、入力された画素信号のレベルの平均を平均信号レベルとして演算する機能と、(2)最小から最大までの平均信号レベルを複数のブロックに分割してなる平均信号レベルの分割ブロック毎に割り当てた、画素の白レベルと黒レベルとから、入力された画素信号から演算した平均信号レベルの値に応じて、上記白レベルと黒レベルとの差で規定されるダイナミックレンジを求める機能と、(3)入力された画素信号のダイナミックレンジを、入力された画素信号から演算した平均信号レベルの値から求めたダイナミックレンジに基づいて調整する機能とを実現させるためのプログラムである。
上記コンピュータ読取り可能な記録媒体あるいはプログラムは、上記平均信号レベルの分割ブロックに対する画素の白レベルを、平均信号レベルが上昇するにつれて、分割ブロック毎に、上記表示装置に表示する画像信号の白レベルが漸次減少するように割り当てる機能を有していてもよく、上記平均信号レベルの分割ブロックに対する画素の黒レベルを、平均信号レベルが上昇するにつれて、分割ブロック毎に、上記画像表示装置に表示する画像信号の黒レベルが漸次増加するように割り当てる機能を有していてもよく、平均信号レベルが上昇するにつれて分割ブロック毎に上記表示装置に表示する映像信号の白レベル(最大白レベル)を漸次減少させて設定すると共に、APLが上昇するにつれて分割ブロック毎に上記表示装置に表示する映像信号の黒レベル(最小黒レベル)を漸次増加させて設定する構成を有していてもよい。
本実施の形態によれば、上記のコンピュータ読取り可能な記録媒体あるいはプログラムを用いることで、ソフトウェア的に、CRTのような白輝度ピーク特性を擬似的に作り出すことが可能であり、APLが小さい領域として、例えば暗闇のシーンで全体的に暗いシーンが続き、その映像信号の中で花火のシーンのような光る閃光がある場合に、その閃光部分は例えば液晶パネル1の最大白輝度をもって表示でき、メリハリ感のあるTV映像を再現できる。また将来、現状よりデバイス自体の絶対黒輝度がより下がり、絶対白輝度がより向上した場合でも本発明を採用することによってより一層臨場感が増したTV映像を再現することができる。また、バックライトの輝度を平均輝度レベルに応じて調整することもないため、液晶TVの低コスト化や信頼性を向上することができる。本発明は、単に、従来のTVチューナで受信した映像信号の表示ばかりでなく、例えばインターネットで配信された動画信号を表示するときの動画ビューア等にもソフトウェアで組み込むことが可能である。
なお、上記実施の形態1〜3においては、画像表示装置として、主に、液晶カラーテレビなどの液晶表示装置を例に挙げて説明したが、本発明にかかる画像表示装置としては、表示できる明るさのダイナミックレンジが表示する映像信号の平均輝度レベルに無関係に決まっている表示デバイス全般に使用することができる。
また、本実施の形態では、画像表示装置として、主に、液晶カラーテレビなどの液晶表示装置を例に挙げて説明したが、本発明にかかる画像表示装置としては、表示できる明るさのダイナミックレンジが表示する映像信号の平均輝度レベルに無関係に決まっている表示デバイス、例えば、輝度のダイナミックレンジが平均輝度レベルに無関係なFPD(Flat Panel Display)を表示デバイスとするTV映像信号表示装置においても、メリハリがあり、かつ暗いシーンで光輝く白信号を作り出し、CRTと同等なTV映像信号の再現を行なうことができることは明らかである。
本発明は、このような表示デバイス、例えばTV映像信号表示装置において、CRTで構成されるテレビのように平均輝度レベルに応じて白輝度と黒輝度を制御して暗いシーンでも光輝く白信号を作り出し、CRTと同等な視聴感をユーザに与えるものであり、このような表示デバイスにおいて、特別なコストアップや信頼性の低下を招くことなく、CRTのような白輝度ピーク特性を擬似的に作り出すものである。
なお、上記した実施の形態1〜3は、適宜組み合わせて、あるいは適用、応用して用いることができ、上記した実施の形態1〜3に示したものにのみ限定されるものではない。