JP2005351839A - 断層映像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】参照ミラーを移動させる駆動機構が不要で、構成が極めて簡易でありながら、干渉信号の振幅検出を正確に行なうことのできる断層映像装置を得る。
【構成】干渉計装置部は、光照射光学系部と、信号光および参照光の導光部と、ヤング干渉計部とからなり、全体として、アンバランス型のマイケルソン干渉計装置を構成している。光照射光学系部は、光ファイバ121〜124と、光カプラ125と、2つの光サーキュレータ132、143と、被検体131の前段に配される導光部材133と、コリメータレンズ141と、参照ミラー142とからなる。信号光および参照光の導光部は、2つの光ファイバ126、127からなる。ヤング干渉計部は、各々が点光源とみなせる、光ファイバ126、127の出射端126A、127Aと、被検体断層映像情報を担持した干渉縞を撮像するマルチチャネル検出器152を備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、コヒーレンス長の短い光を出力する光源とマイケルソン干渉計等の等光路長型干渉計を組み合わせて構成されるOptical Coherence Tomography (以下、OCTと称す)による手法を適用して、医療または工業等の分野において被検体の断層映像を得る際に用いられる断層映像装置に関するものであり、特に、被検体深さ方向の画像データを得るための参照面走査機構を要しない断層映像装置に関するものである。
近年、医療用や工業用等の被検体を撮像する分野、特に電子内視鏡の分野において、OCTの手法を用いて被検体の断層映像を撮影する装置が知られている。
このOCTによる断層映像装置は、光を検出プローブとして用いていることから、従来のX線撮影装置の如く被検体がX線照射により被爆するという問題がなく、特に、被検体が人体であるような場合には極めて好ましい。また、CTやMRI等のように大型な装置を要さず、簡易に被検体の検査を行なうことができるので、被検者のコスト的な負担や体力的な負担を軽減でき、この面でも好ましい。
また、このOCTを用いた断層映像装置は、広帯域なスペクトル幅を有する光の低コヒーレンス性を利用して、被検体の深さ方向の各位置における干渉波情報を得るようにしているので、被検体内部からの反射光をμmオーダーの空間分解能で検出することができ、従来のX線撮影装置に比べて測定分解能を大幅に向上させることができる。
このような多くの優れた特性を有するOCTを用いた断層映像装置は、例えば下記非特許文献1等に開示されている。
図5は、従来の断層映像装置の概略を示すものである。すなわち、低可干渉光源310からの出力を光ファイバ321に入射せしめる。光ファイバ321内を進行する光束は、2×2カプラ325により2光束に分離され、その一方は光ファイバ322により被検体331側に導かれ、その他方は光ファイバ323により参照ミラー342側に導かれる。
光ファイバ322の光出射端の後段には、対物集光レンズ332が設けられており、このレンズ332により、光束が被検体331に集光されるようになっている。
一方、光ファイバ323の光出射端から射出された光はコリメータレンズ341を介して参照ミラー342に照射されるが、この参照ミラー342は、光軸方向に移動可能とされており、光ファイバ322の光出射端から被検体331の深さ方向の観察位置までの光路長と、光ファイバ323の光出射端から参照ミラー342までの光路長とが互いに等しくなるような位置にこの参照ミラー342が移動されるようになっている。これにより、低可干渉光によっても光干渉させることができる、いわゆるマイケルソン型の干渉計が構築され、被検体331の深さ方向各位置の干渉波情報が得られることになる。
被検体331の上記観察位置からの反射光と、参照ミラー342からの反射光は各々その照射経路を逆進し、2×2カプラ325で合波されて互いに干渉し、その干渉光は光ファイバ324を介して光検出器352に到達し、その干渉波情報がこの光検出器352により検出されることになる。この後、光検出器352により検出された干渉波情報は電気信号に変換されて、増幅器362、バンドパスフィルタ363、A/Dコンバータ364を介してコンピュータ365に入力され、所定の画像処理がなされることになる。
このようなOCT技術は一般に、TDOCT(Time Domain OCT)と称されているが、参照ミラーを、その光軸方向に繰り返し移動させる駆動機構が必要となり、装置が大型化するとともに複雑化する。
そこで、参照ミラーを移動させる駆動機構が不要な、SDOCT(Spectral Domain OCT)とも称される技術が開発されている。このSDOCTは、上記被検体からの反射光(信号光)と参照ミラーからの反射光(参照光)を重畳させる面上に、例えば回折格子とフーリエ変換光学系を配し、得られた干渉波情報に対して、さらにフーリエ変換演算を施すことにより、参照ミラーを駆動させることなく被検体の断層映像を得ることができる。
このようなSDOCT技術としては、下記特許文献1に記載されたものが知られている。
なお、この特許文献1に記載された技術は、さらに干渉信号の包絡線を直接検出し得る角分散イメージング法を採用している。
光学32巻4号(2003):佐藤学、丹野直弘著 特開2001−272332号公報
しかしながら、上述した特許文献1記載の技術では、光検出器により得られた干渉光の光強度分布を表す干渉信号において、信号光と参照光の位相差Δlを変数とするcosine関数をweightとして乗じているため、該関数の角度θがπ/2、3π/2等となる場合には正確な振幅検出が不可能となる。
また、信号光や参照光の出射面と光検出面との間には回折格子を始めとする種々の光学部材が配置されており、より簡易な構成の装置が望まれていた。
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、参照ミラーを移動させる駆動機構が不要で、構成が極めて簡易でありながら、干渉信号の振幅検出を正確に行ないうる断層映像装置を提供することを目的とするものである。
本発明の第1の断層映像装置は、低可干渉性を有する光を出射する光源と、
該光源から出射された光を2分し、一方を被検体に照射するとともに、他方を参照ミラーに照射するように構成されてなる光照射光学系と、
該光照射光学系からの光照射に基づく前記被検体からの信号光を光出射端に導く第1の導光部材と、
該光照射に基づく前記参照ミラーからの参照光を光出射端に導く第2の導光部材と、
前記第1の導光部材の光出射端から出射された信号光と、前記第2の導光部材の光出射端から出射された参照光とによる干渉光の光強度分布を得る多画素撮像素子とを備えてなることを特徴とするものである。
この場合において、前記第1の導光部材および前記第2の導光部材の出射端が点光源として機能し、これら2つの出射端と前記多画素撮像素子との光学的位置関係がヤングの干渉計を構成するように配置する。
また、本発明の第2の断層映像装置は、低可干渉性を有する光を出射する光源と、
該光源から出射された光を2分し、一方を被検体に照射するとともに、他方を参照ミラーに照射するように構成されてなる光照射光学系と、
該光照射光学系からの光照射に基づく前記被検体からの信号光を分波し、分波された第1の信号光に対して第2の信号光が所定の位相ずれを生じるようにして、それぞれを互いに異なる光出射端に導く第1の導光部材と、
該光照射に基づく前記参照ミラーからの参照光を分波し、分波された第1の参照光に対して第2の参照光が所定の位相ずれを生じるようにして、それぞれを互いに異なる光出射端に導く第2の導光部材と、
前記第1の導光部材の光出射端から出射された前記第1の信号光と、前記第2の導光部材の光出射端から出射された前記第1の参照光とによる干渉光の光強度分布信号を得る第1の多画素撮像素子と、
前記第1の導光部材の光出射端から出射された前記第2の信号光と、前記第2の導光部材の光出射端から出射された前記第2の参照光とによる干渉光の光強度分布信号を得る第2の多画素撮像素子と、
前記第1の多画素撮像素子により得られた光強度分布信号と、前記第2の多画素撮像素子により得られた光強度分布信号との差分を求める光強度分布差分手段と、
を備えてなることを特徴とするものである。
この場合において、前記第1の導光部材および前記第2の導光部材の各出射端が点光源として機能し、前記第1の多画素撮像素子に対応する前記出射端と、該第1の多画素撮像素子との位置関係、および前記第2の多画素撮像素子に対応する前記出射端と、該第2の多画素撮像素子との位置関係が、各々ヤングの干渉計を構成するように配置する。
また、前記第1の導光部材および前記第2の導光部材は、例えば光ファイバから構成する。
また、前記第1の導光部材および前記第2の導光部材の各出射端と、前記多画素撮像素子との間に対物レンズを挿置し、該対物レンズは、前記多画素撮像素子上において、前記各出射端からの、対応する前記信号光と前記参照光との重複領域が大となるように位置設定するように構成することが好ましい。
また、前記被検体の表面に沿った所定方向に前記光源からの光を走査するための光走査手段を備えていることが好ましい。
また、前記参照ミラーを該参照ミラーの光軸方向に移動可能とし、被検体深さ方向の測定範囲を可変とすることが好ましい。
また、前記多画素撮像素子を該多画素撮像素子の光軸方向に移動可能とし、被検体深さ方向のサンプリングピッチを可変とすることが好ましい。
また、前記多画素撮像素子からの出力信号と前記光走査手段の走査タイミングに基づき前記被検体の断層映像情報を解析演算する断層映像情報演算手段と、該断層映像情報演算手段により得られた断層映像情報を表示する断層映像表示手段を備えることが好ましい。
本発明の第1の断層映像装置では、被検体からの信号光と参照ミラーからの参照光を導光する導光部材の出射端を点光源とみなしたヤングの干渉計(もしくはコモンパス干渉計)により信号光と干渉光を干渉せしめ、干渉信号を多画素撮像素子により検出することで、被検体の深さ方向の断層映像情報を取得する。
一般に、ヤングの干渉計(もしくはコモンパス干渉計)は、時間遅延が発生していない同一光源からの2つの光を干渉させるものとして知られており、コヒーレンス長の十分に長い光源の場合、その干渉信号は正弦波となる。
しかして、本発明者は、低可干渉光源を必須の要素とし、干渉せしめる2つの光の間に時間遅延が生じるOCTに、このヤングの干渉計(もしくはコモンパス干渉計)の概念を適用すると、極めて簡便な断層映像装置を構成し得ることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
すなわち、OCTでは低可干渉光を用いているので、このヤングの干渉計(もしくはコモンパス干渉計)の概念を導入した場合、2つの光の光路差が0となる撮像素子面位置を中心に極めて狭い範囲にのみ干渉縞を発生させることができる。したがって、信号光は参照光に対して、被検体の深さ位置に応じた時間遅延量を有していることから、撮像素子からは、その深さ位置に応じた映像情報を、上記低可干渉光源自身の干渉波情報で畳み込み積分した信号が得られることになる。この信号にフィルタリング処理およびlogアンプ等による信号処理を施し、整波することで、従来のTDOCTと同様の被検体断層映像情報を得ることができる。
したがって、従来のTDOCTにおいては必須であった参照ミラーの光軸方向の移動走査機構が不要となり、また、従来のSDOCTにおいて用いられていた、回折格子等の光分散素子が不要となり、高速かつ簡便で干渉信号の振幅検出を正確に行ない得るOCT装置を得ることができる。
なお、本発明の第2の断層映像装置においても、基本的には上記第1の断層映像装置と同様の作用効果を奏するが、これに加え、バランス検波の手法を導入することにより、光源の揺らぎも含めたバイアス成分を相殺することができ、干渉信号成分のみを理論上2倍とし得る、という効果を奏することができる。
以下、本発明の実施形態に係る断層映像装置について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る断層映像装置を示す概略図である。
本実施形態に係る断層映像装置は、医療用の内視鏡に適用されたものであって、光源部と干渉計装置部と信号処理部とからなる。
光源部は低可干渉光源111からなる。また、干渉計装置部は、光照射光学系部と、信号光および参照光の導光部と、ヤングの干渉計部とからなり、全体として、いわゆるアンバランス型のマイケルソン干渉計装置を構成している。光照射光学系部は、4つの光ファイバ121、122、123、124と、光カプラ(2×2カプラ)125と、第1および第2の光サーキュレータ132、143と、被検体131の前段に配される導光部材133と、コリメータレンズ141と、参照ミラー142とからなる。また、信号光および参照光の導光部は、2つの光ファイバ126、127からなる。さらに、ヤングの干渉計部は、各々が点光源とみなせる、該2つの光ファイバ126、127の出射端126A、127Aと、被検体情報を担持した干渉縞を撮像して干渉信号を得るマルチチャネル検出器152を備えている。
また、信号処理部は、増幅器162と、バンドパスフィルタ163と、A/Dコンバータ164と、画像処理部165と、画像表示部166とを備えてなる。
以下、上記実施形態装置の作用を説明する。
低可干渉光源111は、近赤外域に広いスペクトル幅(広波長帯域)を有する光(以下、低可干渉光とも称する)を出射する光源であって、例えばSLD(Super-luminescent diode)やASE(Amplified Spontaneous Emission)光源等からなる。この低可干渉光源111から出射された光は図示されない集光レンズにより光ファイバ121の入射端面に集光され、光ファイバ121により光カプラ(2×2カプラ)125に伝送される。
伝送された低可干渉光は、この光カプラ125において2分割され、一方は光ファイバ122に他方は光ファイバ123により伝送される。なお、光カプラ(2×2カプラ)125には低可干渉光源111の光強度を検出するための光検出器112が光ファイバ124を介して接続されている。
光ファイバ122により伝送された低可干渉光は、第1の光サーキュレータ132および導光部材133を介して被検体131(人体)に集光照射される。
被検体131に照射された低可干渉光は、被検体131の深さ方向の各位置から反射されて信号光とされ、その照射経路を逆に進み、第1の光ファイバ126によってヤングの干渉計部に導かれる。
一方、光ファイバ123により伝送された低可干渉光は、第2の光サーキュレータ143およびコリメータ141を介して参照ミラー142に照射される。
参照ミラー142から反射された低可干渉光(参照光)は、その照射経路を逆に進み、第2の光ファイバ127によってヤングの干渉計部に導かれる。
ヤングの干渉計部に導かれた信号光および参照光は、このヤングの干渉計部において互いに干渉し、被検体深さ方向の映像情報が光強度の変化(光強度分布)として、マルチチャネル検出器152により検出されることになる。
この後、マルチチャネル検出器152により検出された光強度分布は電気信号に変換されて、増幅器162、バンドパスフィルタ163、A/Dコンバータ164を介して画像処理部165に入力されて被検体131の深さ方向の映像情報が生成され、生成された深さ方向の映像情報は画像表示部166において表示される。
なお、上記画像処理部165においては、マルチチャネル検出器152から出力された、被検体131の深さ方向の情報を担持した1次元の光強度信号に対し、包絡線処理を施すようにしている。すなわち、上記光強度信号は交流信号の形態で現れるため、マイナス成分を折り返してプラス成分のみを有する信号に変換し、その後、その包絡線を抽出して連続的な光強度信号を得るようにしている。
この後、連続的な光強度信号は画像表示部166に出力されて被検体131の断層映像が表示される。
なお、一般には、被検体131の表面に沿った所定方向に照明光を走査するための光走査手段により、該走査点毎に深さ方向の光強度分布を得るようになっており、画像処理部165においては、これら各点の深さ方向の光強度分布を繋げる画像信号処理を施して2次元断層映像信号を生成する。
以下、本発明における主要ポイントである上記ヤングの干渉計部について、詳細に説明する。
上述したようにしてヤングの干渉計部に導かれた信号光および参照光は、第1の光ファイバ126の出射端126Aおよび第2の光ファイバ127の出射端127Aから出射される。ここで、各光ファイバ126、127の出射端126A、127Aでのファイバコア径は通常9〜10μmであるから、各々点光源とみなして差し支えない。ここで、各出射端126A、127Aの中心間距離をlに設定し、各出射端126A、127Aを結ぶ線分から、この線分に平行(この方向をX方向とする)に配置されたマルチチャネル検出器152までの距離をbに設定すると、このマルチチャネル検出器152上では、X方向の位置xに応じて、出射端126Aからの参照光の光路長S1と、出射端126Aからの信号光の光路長S2との間に下式(1)に示すような光路差を生じる。
Figure 2005351839
ところで、一般に知られているヤングの干渉計では、光源からの光が、短波長でコヒーレンス長が十分長いものとして取り扱っているため、同一光源からの同位相の波面を2つに分波した場合、評価面(撮像素子面)での強度分布f(x)は、下式(2)で表されるように正弦波となる。ここで、λは使用波長である。
Figure 2005351839
これに対し、光源が、OCTで用いられる低可干渉光源である場合、各光ファイバ126、127の出射端126A、127Aでの光波の位相が互いに一致しているとすれば、評価面(撮像素子面)での強度分布g(x)は、下式(3)で表されるようになる。
Figure 2005351839
すなわち、マルチチャネル検出器152上において、光路差0を中心としたわずかな領域でのみ干渉縞が生じることになる。
さらに、参照光に対して、信号光が時間遅延量を有している場合、上式(3)の展開から明らかなように、干渉縞の発生位置は光路差0の位置より、その時間遅延量(深さ量)に応じた、X方向に所定量ずれた位置に出現する。これにより、被検体131の深さに応じた映像情報を1次元のマルチチャネル検出器152上に展開することが可能となる。
なお、上記実施形態において、参照ミラー142を、その光軸方向に移動可能に構成してもよく、これにより被検体131の深さ方向の検出範囲を変更することができる。
また、上記実施形態において、マルチチャネル検出器152を、その光軸方向に移動可能に構成してもよく、これにより検出時のサンプリングピッチを可変とすることができる。
また、上記導光部材133の先端には、被検体131に照明光を集光照射する対物集光レンズが設けられているので、少なくともその一部のレンズを光軸方向に移動可能として、観察位置にフォーカシングし得るように構成すれば、観察位置における被検体画像のピンボケを防止することができる。
また、図2は本発明の第2の実施形態に係る断層映像装置を示す概略構成図である。本実施形態は、ヤングの干渉計部以外は上記第1の実施形態と同一の構成とされているので、図2において、図1のものと同一の部材については同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
本実施形態においては、ヤングの干渉計部に対物レンズ151が配設されている。
また、各光ファイバ126、127の出射端126A、127Aは、対物レンズ151の光軸に対して、互いに対称となる位置に配されており、各出射端126A、127Aから出射された信号光と参照光の拡散・収束状態が、対物レンズ151により調整される。
これにより、信号光と参照光のマルチチャネル検出器152上での照射位置を、マルチチャネル検出器152の大きさおよびその分解能(画素数)の仕様に応じた最適な位置とすることができるとともに、上記第1の実施形態に比して、マルチチャネル検出器152上における信号光と参照光の重なり合う領域(干渉領域:図中の斜線領域)の光量を大幅に増大することができる。
また、特に、マルチチャネル検出器152の素子面を対物レンズ151の焦点面位置(図2中のfは例えば50mm)に配置した場合には、信号光と参照光の干渉領域が対物レンズ151の光軸に対して対称な形状となり、マルチチャネル検出器152の位置設定等が容易となる。
また、図3は本発明の第3の実施形態に係る断層映像装置を示す概略構成図である。本実施形態は、上記第1の実施形態と対応する構成を数多く有しているので、図3において、図1のものと対応する部材については図1の符号に100を加えた符号を付し(ただし、162〜166については同一の符号を付す)、その詳細な説明は省略する。
本実施形態における、上述した2つの実施形態との相違点は、バランス検波の手法を導入することにより、光源の揺らぎも含めたバイアス成分を相殺していることにある。
すなわち、図3に示すように、第1の光ファイバ226により導光された信号光を第2の光カプラ(3dBカップラ)261によって、第1の信号光と、この第1の信号光に対して±π/2の位相変調を受けた第2の信号光に分波し、前者は光ファイバ262によって第1の出射端262Aに導き、後者は光ファイバ263によって第2の出射端263Aに導く。一方、第2の光ファイバ227により導光された参照光を第3の光カプラ(3dBカップラ)271によって、第1の参照光と、この第1の参照光に対して±π/2の位相変調を受けた第2の参照光に分波し、前者は光ファイバ272によって第3の出射端272Aに導き、後者は光ファイバ273によって第4の出射端273Aに導く。なお、各光カプラ261、271には、アイソレータ264、274が接続されている。
第1の出射端262Aと第3の出射端272A、および第1のマルチチャネル検出器252Aとは、上記第1の実施形態のヤングの干渉計と同様に機能する第1のヤングの干渉計を構成する。一方、第2の出射端263Aと第4の出射端273A、および第2のマルチチャネル検出器252Bとは、上記第1の実施形態のヤングの干渉計と同様に機能する第2のヤングの干渉計を構成する。
第1のマルチチャネル検出器252Aおよび第2のマルチチャネル検出器252Bにおいて検出された各干渉波情報は電気信号に変換された後、差分演算器282において互いに差分され、上記2つの実施形態と同様に、増幅器162、バンドパスフィルタ163、A/Dコンバータ164を介して画像処理部165に入力されて被検体231の断層映像が生成される。生成された断層映像は画像表示部166において表示される。
本実施形態においては、このようにバランス検波の手法を導入することにより、干渉波中のバイアス成分(光源の揺らぎも含む)を除去することができ、干渉波成分のみを抽出できる。すなわち、本実施形態における特徴部分は、図4の如く表され、信号光および参照光は、各光カプラ261、271により、図示の如き強度分布を有する信号光および参照光に分波される。
また、第1のマルチチャネル検出器252Aにおいて得られた干渉信号Aの強度分布および第2のマルチチャネル検出器252Bにおいて得られた干渉信号Bの強度分布は、下式(4)および下式(5)により表される。なお、以下の式において、Esは信号光の光強度を表し、Erは参照光の光強度を表し、ωは光波の振動数を表し、*は虚数であることを表す。
Figure 2005351839
Figure 2005351839
したがって、差分演算器282から出力される干渉信号は下式(6)により表される。
Figure 2005351839
上式(6)により、干渉信号において、バイアス成分が相殺され、干渉信号成分のみが2倍とされていることが明らかである。
なお、上記第3の実施形態においても、上記第1および第2の実施形態と同様に、被検体231の表面に沿った所定方向に照明光を走査するための光走査手段を設け、該走査に応じて得られた各点の深さ方向の光強度分布を得、画像処理部165においては、これら各点の深さ方向の光強度分布を繋げる画像信号処理を施して2次元断層映像信号を生成するようにしている。
なお、上記第3の実施形態の各ヤングの干渉計において、上述した第2の実施形態の特徴である対物レンズ151と同様のレンズを配置することにより、上述した第2の実施形態の効果も奏することができる。
また、この第3の実施形態においても、上記第1および第2の実施形態と同様に、参照ミラー242を、その光軸方向に移動可能に構成して被検体231の深さ方向の検出範囲を変更したり、各マルチチャネル検出器252A、252Bを、その光軸方向に移動可能に構成して検出時のサンプリングピッチを可変とすることも可能である。
また、上記第1および第2の実施形態と同様に、導光部材233の先端に設けられた、被検体231に照明光を集光照射する対物集光レンズを光軸方向に移動可能として、観察位置における被検体画像のピンボケを防止するようにしてもよい。
なお、本発明の断層映像装置としては、その他の形態の変更が可能であり、例えば低可干渉光源としても上述した光源に替えて、通常のダイオードや高圧水銀ランプ等の周知の低可干渉光源を使用することが可能である。
また、上記各実施形態のマルチチャネル検出器は1次元のものを想定しているが、本発明の断層映像装置における多画素撮像素子はこれに限られるものではなく、例えば2次元的に光検出を行なう面センサであってもよい。面センサを使用する断層映像装置は、例えば、Optics Japan 2003 予稿集 pp.102-103 「角分散イメージング法を用いた非走査OCT計測」(梅津、秋葉、陳、丹野)等に記載されている。
また、上記実施形態においては、等光路長型干渉計としてマイケルソンタイプのものを用いているが、これに替えてマッハ−ツェンダタイプ等の他の等光路長型干渉計を用いるようにしてもよい。
また、被検体としては人体に限られず、光が内部に侵入して、内部の各位置から反射光が得られるその他の種々の組織とすることができる。
本発明の第1の実施形態に係る断層映像装置を示す概略図 本発明の第2の実施形態に係る断層映像装置を示す概略図 本発明の第3の実施形態に係る断層映像装置を示す概略図 図3の一部の作用を説明するための模式図 従来技術に係る断層映像装置を示す概略図
符号の説明
111、211、310 低可干渉光源
121、122、123、124、126、127、221、222、223、224、226、227、262、263、272、273、321、322、323、324
光ファイバ
125、225、261、271、325 光カプラ
126A、127A、262A、263A、272A、273A 出射端
131、231、331 被検体
132、143、232、243 光サーキュレータ
133、233 導光部材
141、241、341 コリメータレンズ
142、242、342 参照ミラー
151 対物レンズ
152、252A、252B マルチチャネル検出器
162、362 増幅器
163、363 バンドパスフィルタ
164、364 A/Dコンバータ
165 画像処理部
166、366 画像表示部
282 差分演算器
332 対物集光レンズ
352 光検出器

Claims (10)

  1. 低可干渉性を有する光を出射する光源と、
    該光源から出射された光を2分し、一方を被検体に照射するとともに、他方を参照ミラーに照射するように構成されてなる光照射光学系と、
    該光照射光学系からの光照射に基づく前記被検体からの信号光を光出射端に導く第1の導光部材と、
    該光照射に基づく前記参照ミラーからの参照光を光出射端に導く第2の導光部材と、
    前記第1の導光部材の光出射端から出射された信号光と、前記第2の導光部材の光出射端から出射された参照光とによる干渉光の光強度分布を得る多画素撮像素子とを備えてなることを特徴とする断層映像装置。
  2. 前記第1の導光部材および前記第2の導光部材の出射端が点光源として機能し、これら2つの出射端と前記多画素撮像素子との光学的位置関係がヤングの干渉計を構成するように配置されていることを特徴とする請求項1記載の断層映像装置。
  3. 低可干渉性を有する光を出射する光源と、
    該光源から出射された光を2分し、一方を被検体に照射するとともに、他方を参照ミラーに照射するように構成されてなる光照射光学系と、
    該光照射光学系からの光照射に基づく前記被検体からの信号光を分波し、分波された第1の信号光に対して第2の信号光が所定の位相ずれを生じるようにして、それぞれを互いに異なる光出射端に導く第1の導光部材と、
    該光照射に基づく前記参照ミラーからの参照光を分波し、分波された第1の参照光に対して第2の参照光が所定の位相ずれを生じるようにして、それぞれを互いに異なる光出射端に導く第2の導光部材と、
    前記第1の導光部材の光出射端から出射された前記第1の信号光と、前記第2の導光部材の光出射端から出射された前記第1の参照光とによる干渉光の光強度分布信号を得る第1の多画素撮像素子と、
    前記第1の導光部材の光出射端から出射された前記第2の信号光と、前記第2の導光部材の光出射端から出射された前記第2の参照光とによる干渉光の光強度分布信号を得る第2の多画素撮像素子と、
    前記第1の多画素撮像素子により得られた光強度分布信号と、前記第2の多画素撮像素子により得られた光強度分布信号との差分を求める光強度分布差分手段と、
    を備えてなることを特徴とする断層映像装置。
  4. 前記第1の導光部材および前記第2の導光部材の各出射端が点光源として機能し、前記第1の多画素撮像素子に対応する前記出射端と、該第1の多画素撮像素子との位置関係、および前記第2の多画素撮像素子に対応する前記出射端と、該第2の多画素撮像素子との位置関係が、各々ヤングの干渉計を構成するように配置されていることを特徴とする請求項3記載の断層映像装置。
  5. 前記第1の導光部材および前記第2の導光部材が光ファイバからなることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項記載の断層映像装置。
  6. 前記第1の導光部材および前記第2の導光部材の各出射端と、前記多画素撮像素子との間に対物レンズを挿置し、該対物レンズは、前記多画素撮像素子上において、前記各出射端からの、対応する前記信号光と前記参照光との重複領域が大となるように位置設定されていることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項記載の断層映像装置。
  7. 前記被検体の表面に沿った所定方向に前記光源からの光を走査するための光走査手段を備えていることを特徴とする請求項1から6のうちいずれか1項記載の断層映像装置。
  8. 前記参照ミラーが該参照ミラーの光軸方向に移動可能とされていることを特徴とする請求項1から7のうちいずれか1項記載の断層映像装置。
  9. 前記多画素撮像素子が該多画素撮像素子の光軸方向に移動可能とされていることを特徴とする請求項1から8のうちいずれか1項記載の断層映像装置。
  10. 前記多画素撮像素子からの出力信号と前記光走査手段の走査タイミングに基づき前記被検体の断層映像情報を解析演算する断層映像情報演算手段と、該断層映像情報演算手段により得られた断層映像情報を表示する断層映像表示手段を備えたことを特徴とする請求項7から9のうちいずれか1項記載の断層映像装置。
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