JP2005351102A - エンジン電子制御装置及びそれを搭載した車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】 アイドル目標回転数を変更することのあるエンジン電子制御装置において、エンジン制御の操作量を学習する機会を十分確保できる。
【解決手段】 アイドル運転中にアイドル目標回転数が所定の低回転数域に入ることを条件の一つとしてエンジン制御の操作量であるアクチュエータの基本デューティ比指令値を学習し、これを学習値として保存する(S402〜S410,S424)。一方、アイドル目標回転数のアップ要求に応じてアイドル目標回転数をアップすることによりアイドル目標回転数が所定の低回転数域から外れたときにも、基本デューティ比指令値を学習し、これを所定の低回転数域における値となるように補正したうえで学習値として保存する(S412〜S422,S424)。したがって、アイドル目標回転数を変更することのあるエンジンECUにおいて、エンジン制御の操作量を学習する機会を十分確保することができる。
【選択図】 図8
【解決手段】 アイドル運転中にアイドル目標回転数が所定の低回転数域に入ることを条件の一つとしてエンジン制御の操作量であるアクチュエータの基本デューティ比指令値を学習し、これを学習値として保存する(S402〜S410,S424)。一方、アイドル目標回転数のアップ要求に応じてアイドル目標回転数をアップすることによりアイドル目標回転数が所定の低回転数域から外れたときにも、基本デューティ比指令値を学習し、これを所定の低回転数域における値となるように補正したうえで学習値として保存する(S412〜S422,S424)。したがって、アイドル目標回転数を変更することのあるエンジンECUにおいて、エンジン制御の操作量を学習する機会を十分確保することができる。
【選択図】 図8
Description
本発明は、エンジン電子制御装置及びそれを搭載した車両に関する。
エンジンは、良好な運転状態を維持するために各種の運転制御が行われる。例えばアイドル回転数制御では、アイドル運転中に目標回転数と実際のエンジン回転数とを比較し、その偏差に応じて実際のエンジン回転数が目標回転数となるように操作量を決め、スロットルバルブ開度を調整するアクチュエータを駆動している。そして、こうした良好なエンジンの運転状態を次回の運転制御開始時にも反映させるために、その運転制御のための操作量を学習値として記憶する。即ち、アイドル目標回転数が所定の低回転数域(例えば900〜950rpm)のときにエンジンの運転制御のための操作量を学習し、その学習した操作量を次回の運転制御が開始される際に用いることで、次回の運転制御開始時におけるエンジンの運転状態を良好なものとすることができる。
ここで、アイドル回転数制御を実行するエンジン電子制御装置としては、例えば特許文献1のように、空調制御装置からアイドル目標回転数のアップ要求があったときにはそのアップ要求に応じてアイドル目標回転数を増量させるものが知られている。
特開平3−160136号公報
しかしながら、特許文献1のように、空調制御装置からのアイドル目標回転数のアップ要求に応じて常にアイドル目標回転数を増量すると、アイドル目標回転数が所定の回転数域のときという学習開始条件の一つが成立しなくなるため、学習する機会が少なくなる。このように操作量の学習機会が少なくなると、学習値として記憶された操作量がなかなか更新されないため時間の経過と共に不適切なものとなり、エンジンの運転状態を良好にすることが困難になる。
本発明は、この課題を解決するためになされたものであり、アイドル目標回転数を変更することのあるエンジン電子制御装置において、エンジン制御の操作量を学習する機会を十分確保できるものを提供することを目的の一つとする。また、そのようなエンジン電子制御装置を搭載した車両を提供することを目的の一つとする。
本発明は、上述の目的の少なくとも一部を達成するために以下の手段を採った。
本発明のエンジン電子制御装置は、
アイドル運転中にアイドル目標回転数が予め定められた所定の回転数域に入ることを条件の一つとしてエンジン制御の操作量を学習し該学習したエンジン制御の操作量を所定の記憶領域に学習値として保存する操作量学習手段と、
アイドル目標回転数の変更要求があったとき該変更要求に応じてアイドル目標回転数を変更する目標回転数変更手段と、
を備え、
前記操作量学習手段は、前記目標回転数変更手段によってアイドル目標回転数が変更されて前記所定の回転数域から外れたときにも前記エンジン制御の操作量を学習し、該学習したエンジン制御の操作量を前記所定の回転数域における操作量となるように補正したうえで前記所定の記憶領域に学習値として保存するものである。
アイドル運転中にアイドル目標回転数が予め定められた所定の回転数域に入ることを条件の一つとしてエンジン制御の操作量を学習し該学習したエンジン制御の操作量を所定の記憶領域に学習値として保存する操作量学習手段と、
アイドル目標回転数の変更要求があったとき該変更要求に応じてアイドル目標回転数を変更する目標回転数変更手段と、
を備え、
前記操作量学習手段は、前記目標回転数変更手段によってアイドル目標回転数が変更されて前記所定の回転数域から外れたときにも前記エンジン制御の操作量を学習し、該学習したエンジン制御の操作量を前記所定の回転数域における操作量となるように補正したうえで前記所定の記憶領域に学習値として保存するものである。
このエンジン電子制御装置では、アイドル運転中にアイドル目標回転数が所定の回転数域に入ることを条件の一つとしてエンジン制御の操作量を学習し、その学習したエンジン制御の操作量を学習値として保存する。一方、アイドル目標回転数の変更要求に応じてアイドル目標回転数を変更することによりアイドル目標回転数が所定の回転数域から外れたときにも、エンジン制御の操作量を学習し、その学習したエンジン制御の操作量を所定の回転数域における操作量となるように補正したうえで学習値として保存する。したがって、アイドル目標回転数を変更することのあるエンジン電子制御装置において、エンジン制御の操作量を学習する機会を十分確保することができる。
本発明のエンジン電子制御装置において、前記目標回転数変更手段は、車両駆動系以外の車両システムからアイドル目標回転数の変更要求があったとき該変更要求に応じてアイドル目標回転数を変更するようにしてもよい。車両駆動系以外の車両システムは車両駆動系の事情にかかわらず頻繁にアイドル目標回転数の変更要求を出力することがあるが、その場合でもエンジン制御の操作量の学習を行うため、学習値を適時更新することができる。ここで、「車両駆動系以外の車両システム」とは、例えば、ヒータを制御するヒータ制御装置やクーラを制御するクーラ制御装置、ブレーキ負圧を制御する負圧制御装置、AC100Vソケットなどの電源ソケットを制御するソケット制御装置などが挙げられる。
本発明のエンジン電子制御装置において、前記エンジンは水冷エンジンであり、前記変更要求は前記エンジンの冷却水の廃熱を利用するヒータを制御するヒータ電子制御装置から出力されるアイドル目標回転数のアップ要求であってもよい。この場合、エンジンの冷却水温が十分高くないときにはヒータ電子制御装置から出力されるアップ要求を取得してエンジンの冷却水が早期に昇温しやすいようにアイドル目標回転数を上昇させるが、エンジン制御の操作量の学習が未完のときにもそのアップ要求に応じてアイドル目標回転数を上昇させ、その状態でエンジン制御の操作量を学習する機会を確保する。したがって、ヒータの早期昇温と学習値の適時更新とを両立させることができる。
この態様を備えたエンジン電子制御装置は、所定のエンジン停止条件が成立したときに前記エンジンを停止させその後所定のエンジン再始動条件が成立したときに前記エンジンを再始動する停止再始動制御手段、を備えていてもよい。この場合、エンジンの自動停止を行うためエンジンの冷却水温が上昇しにくいことから、アイドル目標回転数の変更要求が比較的多発されやすいため、本発明を適用する意義が高い。
本発明のエンジン電子制御装置において、前記エンジン制御は、アイドル回転数制御であってもよい。アイドル回転数制御では、アイドル運転中にアイドル目標回転数が所定の回転数域に入ることを学習開始条件の一つとすることが多いため、本発明を適用する意義が高い。
本発明のエンジン電子制御装置において、前記エンジンの操作量は、スロットル開度又は該スロットル開度に相関のあるパラメータ量であってもよい。スロットルバルブの隙間には細かなチリ等が付着して吸入空気量が変化することがあり、そうすると当初のスロットル開度のままではエンジン制御を精度よく行うことができなくなるため、学習する必要性が高い。
本発明のエンジン電子制御装置において、前記学習は、1トリップに少なくとも1回実施されるか予め定められた期間内に少なくとも1回実施されることが好ましい。こうすれば、いつまでも同じエンジン操作量の学習値を使うことがないため、エンジン制御を適切に行うことができる。ここで、「1トリップ」とは、本明細書ではイグニッションオンからイグニッションオフまでをいう。
本発明の車両は、上述したエンジン電子制御装置を搭載しているため、アイドル目標回転数の変更要求に応じてアイドル目標回転数を変更することによりアイドル目標回転数が所定の回転数域から外れたときにも、エンジン制御の操作量を学習し、その学習したエンジン制御の操作量を所定の回転数域における操作量となるように補正したうえで学習値として保存する。したがって、アイドル目標回転数を変更することのあるエンジン電子制御装置において、エンジン制御の操作量を学習する機会を十分確保することができる。
図1は本発明の一実施形態であるハイブリッド車両10の構成の概略を示す構成図であり、図2は実施形態のハイブリッド車両10が搭載するエンジン20の構成の概略を示す構成図である。
ハイブリッド車両10は、図1に示すように、燃料を燃焼した燃焼エネルギを運動エネルギに変換するエンジン20と、エンジンシステム全体をコントロールするエンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)50と、エンジン20の出力軸としてのクランクシャフト27に接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1,MG2と、モータMG1,MG2の発電及び駆動を制御するモータ用電子制御ユニット(モータECU)14と、モータMG1,MG2と電力のやりとりを行うバッテリ45と、バッテリ45の充電状態を監視するバッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)46と、動力分配統合機構30に接続された軸にチェーンベルト15を介して接続された駆動軸17と、ハイブリッドシステム全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット(ハイブリッドECU)70と、車室内の温度をコントロールするエアコン電子制御ユニット(エアコンECU)90とを備えている。なお、駆動軸17はデファレンシャルギヤ18を介して駆動輪19,19に接続されている。
エンジン20は、例えばガソリンなどの炭化水素系の燃料により動力を出力可能な内燃機関として構成されており、エアクリーナ21により清浄された空気をスロットルバルブ22を介して吸入すると共にインジェクタ23からガソリンを噴射して吸入された空気とガソリンとを混合し、この混合気を吸気バルブ24を介して燃焼室に吸入し、点火プラグ25による電気火花によって爆発燃焼させた燃焼エネルギにより押し下げられるピストン26の往復運動をクランクシャフト27が回転する運動エネルギに変換する。このクランクシャフト27には10°CAごとにパルスを出力するクランク角センサ67が取り付けられている。スロットルバルブ22は、吸気管の断面に対する傾斜角度(開度)が変化することにより吸気管を通過する空気量を調節するバルブであり、アクチュエータ22aにより電気的に開度が変化するように構成されている。このアクチュエータ22aは、ロータリ式電磁ソレノイドによって構成されている。そして、スロットルバルブ22は、このソレノイドに対する印加電圧をデュ−ティ制御することにより回動されて開度調節される。このスロットルバルブ22の開度は、スロットルポジションセンサ22bからエンジンECU50へ出力される。エンジン20からの排気は、排気管64を通って、図示しない触媒コンバータを介して車外へ排出される。
また、エンジン20は、水冷エンジンであり、エンジン内部を冷却水で冷却するための循環経路54を備えている。この循環経路54は、エンジン20の熱を奪ったあとの冷却水をラジエータ55へ供給する第1配管54aと、ラジエータ55で放熱された冷却水をエンジン20へ供給する第2配管54bとから構成されている。このうち、第2配管54bの途中には冷却水循環ポンプ56が設けられ、この冷却水循環ポンプ56が作動することにより冷却水が循環経路54を循環するようになっている。また、第1配管54aにはバイパス経路57が形成され、このバイパス経路57の途中には熱交換器であるヒータコア91が接続されている。このヒータコア91には、ブロワ92により車室内の空気又は車室外の空気が流通するように構成されている。また、ヒータコア91を通過した空気は、エンジン20で加熱された冷却水から熱を受け取って温風となり、吹き出し口から車室内に吹き出すようになっている。つまり、本実施形態のヒータはエンジン20の冷却水の廃熱を利用するものである。更に、ヒータコア91には、ヒータコア91内における冷却水の温度を検出するヒータコア温度センサ93が取り付けられている。なお、冷却水が流通するエンジン20のウォータージャケットには、冷却水温を検出する冷却水温センサ59が取り付けられている。
エンジンECU50は、CPU51を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶したROM52と、一時的にデータを記憶するRAM53と、入出力ポート(図示せず)とを備える。このエンジンECU50は、エンジン20の状態を検出する種々のセンサからの信号が入力ポートを介して入力される。具体的には、エンジンECU50には、エンジン20の吸入空気量を検出するエアフローメータ28からの吸入空気量、スロットルポジションセンサ22bからのスロットル開度、冷却水温センサ59からのエンジン20の冷却水温、クランク角センサ67からのパルス信号、エアコンECU90からのアイドル目標回転数Nei*のアップ要求などが入力ポートを介して入力される。また、エンジンECU50からは、エンジン20を駆動するための種々の制御信号が図示しない出力ポートを介して出力される。具体的には、エンジンECU50からは、スロットルバルブ22を駆動するアクチュエータ22aへの駆動信号、インジェクタ23への駆動信号、点火プラグ25の着火を行うイグナイタと一体化されたイグニションコイル29への制御信号などが出力ポートを介して出力される。なお、エンジンECU50は、ハイブリッドECU70と電気的に接続され、ハイブリッドECU70からの制御信号によりエンジン20を運転制御すると共に必要に応じてエンジン20の運転状態に関するデータをハイブリッドECU70に出力する。
動力分配統合機構30は、モータMG1に接続されたサンギヤ31、モータMG2に接続されたリングギヤ32、サンギヤ31及びリングギヤ32と噛合する複数のピニオンギヤ33及びエンジン20のクランクシャフト27に接続されピニオンギヤ33を自転且つ公転自在に保持するキャリア34を回転要素として差動作用を行う遊星歯車機構として構成されている。この動力分配統合機構30は、モータMG1が発電機として機能するときにはエンジン20からの動力をモータMG1側と駆動軸側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG2が電動機として機能するときにはエンジン20からの動力とモータMG2からの動力を統合して駆動軸に出力する。
モータMG1及びモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ45と電力のやりとりを行う。インバータ41,42とバッテリ45とを接続する電力ライン58は、各インバータ41,42が共用する正極母線及び負極母線として構成されており、モータMG1,MG2の一方で発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。また、バッテリ45は、モータMG1,MG2から生じた電力により充電されたりモータMG1,MG2に不足する電力を供給したりする。モータMG1,MG2は、共にモータECU14により運転制御されている。モータECU14は、モータMG1,MG2を運転制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2のロータの回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流等が入力されており、モータECU14からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力される。モータECU14は、回転位置検出センサ43,44から入力した信号に基づいて図示しない回転数算出ルーチンによりモータMG1,MG2のロータの回転数Nm1,Nm2を計算している。この回転数Nm1,Nm2は、モータMG1がサンギヤ31に接続されていると共にモータMG2がリングギヤ32に接続されていることから、サンギヤ軸31aの回転数Nsやリングギヤ軸32aの回転数Nrと一致する。モータECU14は、ハイブリッドECU70と通信しており、ハイブリッドECU70からの制御信号によってモータMG1,MG2を運転制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッドECU70に出力する。
バッテリ45は、ここではニッケル水素バッテリを採用しており、モータMG1,MG2へ電力を供給したり減速時にモータMG1,MG2からの回生エネルギを電力として蓄えたりする役割を果たす。バッテリECU46には、バッテリ45を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ45の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧、バッテリ45の出力端子に接続された電力ラインに取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流、バッテリ45に取り付けられた図示しない温度センサからの電池温度などが入力されており、必要に応じてバッテリ45の状態に関するデータを通信によりハイブリッドECU70に出力する。なお、バッテリECU46では、バッテリ45を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値や電圧センサにより検出された端子間電圧に基づいて残容量(SOC(State of Charge))も演算している。
ハイブリッドECU70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、処理プログラムを記憶したROM74と、一時的にデータを記憶するRAM76と、入出力ポート(図示せず)とを備える。ハイブリッドECU70には、シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度AP,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力される。ハイブリッドECU70は、エンジンECU50やモータECU14と各種制御信号やデータのやりとりを行っている。なお、図示しない電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいてバッテリ45のSOCも演算している。
エアコンECU90は、車両駆動系以外の車両システムの一つであり、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されている。このエアコンECU90には、エアコン操作パネル96で設定された設定温度,車室内の温度を検出する車内温度センサ97からの車内温度,ヒータコア91に取り付けられたヒータコア温度センサ93からのヒータコア温度などが入力される。ここで、ヒータコア温度は、エンジン20の冷却水と熱交換を行うヒータコア91の温度であるから、エンジン20の冷却水温とみることもできる。また、エアコンECU90からは、風量を調節するブロワ92への駆動信号や、エンジンECU50へのアイドル目標回転数Nei*のアップ要求信号などが出力される。なお、エアコンECU90は、ハイブリッドECU70と電気的に接続され、空調に関するデータをハイブリッドECU70に出力する。
次に、こうして構成された本実施形態のハイブリッド車両10のハイブリッドECU70によって実行されるハイブリッド制御ルーチンと、エンジンECU50によって実行されるアイドル回転数制御ルーチンについて説明する。
まず、ハイブリッドECU70によって実行されるハイブリッド制御ルーチンについて図3のフローチャートに基づいて説明する。ハイブリッド制御ルーチンは所定タイミングごとに繰り返し実行される。このルーチンが実行されると、ハイブリッドECU70のCPU72は、まず、アクセル開度APや車速V、バッテリECU46により演算されるSOCなど制御に必要な信号を入力し(ステップS100)、入力したアクセル開度APと車速Vとに基づいてリングギヤ軸32aに要求される要求動力Pr*を設定する(ステップS110)。ここで、要求動力Pr*は、アクセル開度APと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め求めてトルク設定マップとしてハイブリッドECU70のROM74に記憶しておき、アクセル開度APと車速Vとが与えられると、トルク設定マップから対応する要求トルクTr*を導出し、これとリングギヤ軸32aの回転数Nr(車速Vと換算係数rを乗じたもの)との積として算出するものとした。なお、トルク設定マップの一例を図4に示す。
続いて、バッテリ45の充放電量Pb*(充電側を正とする)を設定する(ステップS120)。バッテリ45の充放電量Pb*は、基本的にはバッテリ45のSOCが適正値(例えば60〜70%)となるように設定される。要求動力Pr*と充放電量Pb*とが設定されると、両者の和をとりエンジン20が出力すべき要求動力Pe*を設定する(ステップS130)。
続いて、エンジン20への要求動力Pe*が予め定められた最小要求動力Pref以上か否かを判定する(ステップS140)。ここで、最小要求動力Prefは、エンジン20が最小要求動力Prefを下回る動力を出力するとすればハイブリッド車両10のシステム全体の効率が低下することを考慮して経験的に定められた値である。このステップS140で要求動力Pe*が最小要求動力Pref以上のときには、要求動力Pe*を出力可能なエンジン20の運転ポイント(トルクと回転数により定まるポイント)のうちエンジン20が最も効率よく運転できる最適運転ポイントをエンジン20の目標トルクTe*、目標回転数Ne*として設定する(ステップS150)。要求動力Pe*を出力可能な運転ポイントのうちエンジン20が効率よく運転できる最適運転ポイントを目標回転数Ne*と目標トルクTe*として設定する様子を図5に示す。図中、曲線Aはエンジン最適動作ラインであり、曲線Bは要求動力Pe*における動力一定曲線である。ここで、動力はトルクと回転数の積で表されるから、動力一定曲線Bは反比例型のグラフになる。図示するように、エンジン最適動作ラインAと要求動力Pe*の動力一定曲線Bとの交点である最適運転ポイントでエンジン20を運転すれば、エンジン20から要求動力Pe*を効率よく出力することができる。ここでは、要求動力Pe*と最適運転ポイントの関係を予め実験などにより求めてマップとしてハイブリッドECU70のROM74に記憶しておき、要求動力Pe*が与えられるとマップから対応する最適運転ポイントの回転数とトルクとを導出して目標回転数Ne*と目標トルクTe*として設定するものとした。
目標トルクTe*と目標回転数Ne*とが設定されると、エンジン20の目標回転数Ne*とリングギヤ軸32aの回転数Nrと動力分配統合機構30のギヤ比ρ(サンギヤ31の歯数/リングギヤ32の歯数)とにより次式(1)を用いてモータMG1の目標回転数Nm1*を設定し(ステップS160)、エンジン20の目標トルクTe*と動力分配統合機構30のギヤ比ρとにより次式(2)を用いてモータMG1の目標トルクTm1*を設定すると共にエンジン20の目標トルクTe*と動力分配統合機構30のギヤ比ρと要求トルクTr*とにより次式(3)を用いてモータMG2の目標トルクTm2*を設定する(ステップS170)。
Nm1*=(1+ρ)×Ne*/ρ−Nr/ρ … (1)
Tm1*=−Te*×ρ/(1+ρ) … (2)
Tm2*=Tr*−Te*×1/(1+ρ) … (3)
Nm1*=(1+ρ)×Ne*/ρ−Nr/ρ … (1)
Tm1*=−Te*×ρ/(1+ρ) … (2)
Tm2*=Tr*−Te*×1/(1+ρ) … (3)
図6はこのときの共線図である。この共線図では縦軸は各回転軸の回転数を表し横軸は各ギヤのギヤ比を表す。サンギヤ軸31a(図中のS)とリングギヤ軸32a(図中のR)を両端に取り、この区間を1:ρに内分する位置をキャリア軸つまりクランクシャフト27(図中のC)とし、各位置S,C,Rに対応して回転数Ns,Nc,Nrをプロットする。動力分配統合機構30は遊星歯車機構であるため、このようにプロットされた3点は同一直線上に並ぶという性質を有しており、この直線を動作共線という。したがって、動作共線を用いることにより3つの回転軸のうち2つの回転軸の回転数から残余の回転軸の回転数を求めることができる。リングギヤ軸32aの回転数Nr(モータMG2の回転数Nm2)は車速Vに基づいて決まるので、キャリア軸の回転数Nc(エンジン20の回転数Ne)が決まればサンギヤ軸31aの回転数Ns(モータMG1の回転数Nm1)が比例配分によって決まり、前式(1)のようになる。また、各回転軸のトルクを動作共線に働く力に置き換えて示すと、動作共線が剛体として釣り合いが保たれるという性質を有している。ここで、エンジン20のクランクシャフト27に作用するトルクTeを位置Cで動作共線に上向きのベクトルとして表し、リングギヤ軸32aに作用するトルクTrを位置Rで下向きのベクトルとして表す。なお、ベクトルの方向は作用させるトルクの方向を表す。このとき、剛体に作用する力の分配法則に基づいてトルクTeを両端の位置S,Rに分配すると、位置Sでの分配トルクTesは上向きでTe×ρ/(1+ρ)という大きさとなり、位置Rでの分配トルクTerは上向きでTe×ρ/(1+ρ)という大きさになる。この状態で動作共線が剛体として釣り合いがとれているから、モータMG1に作用すべきトルクTm1は分配トルクTesと方向が逆で大きさが同じトルクとなり、モータMG2に作用すべきトルクTm2はトルクTrと分配トルクTerとの差分のトルクとなる。
さて、エンジン20の目標トルクTe*、モータMG1の目標回転数Nm1*および目標トルクTm1*、モータMG2の目標トルクTm2*を設定すると、これらの目標値をエンジンECU50,モータECU14に指令し(ステップS190)、本ルーチンを終了する。エンジンECU50やモータECU14はこれらの目標値に基づいてエンジン20やモータMG、1MG2の運転制御を行う。ここで、エンジンECU50の運転制御について簡単に説明する。エンジンECU50は、エンジン20が目標回転数Ne*で回転して目標トルクTe*を出力するような空気量を決定し、決定された空気量に基づいてエンジン1回転当たりの吸入空気量を算出し、その吸入空気量に見合ったスロットル開度となるようにアクチュエータ22aによりスロットルバルブ22を作動すると共に、その吸入空気量に基づいて所定の目標空燃比(例えば理論空燃比)からインジェクタ23による燃料噴射量つまり燃料噴射時間を演算し、この燃料噴射時間だけインジェクタ23を開弁して燃料を噴射し、その後吸気バルブ24から吸入された混合気に点火すべくイグニションコイル29に高電圧を印加して点火プラグ25に火花を発生させる、という制御を実行する。これにより、燃焼エネルギが発生してピストン26が上下動し、この上下動が回転運動となってクランクシャフト27に伝達される。
一方、ステップS140でエンジン20への要求動力Pe*が予め定められた最小要求動力Pref未満のとき、エンジン20の目標トルクTe*、モータMG1の目標トルクTm1*を共にゼロに設定すると共にモータMG2の目標トルクTm2*をTr*に設定し(ステップS180)、その後エンジン20の目標トルクTe*、モータMG1の目標トルクTm1*、モータMG2の目標トルクTm2*をエンジンECU50及びモータECU14に指令し(ステップS190)、本ルーチンを終了する。このとき、エンジン20の目標トルクTe*がゼロであるため要求動力Pe*はゼロになる。また、モータMG1の目標トルクTm1*はゼロであるためモータMG1は無負荷運転(空回り)となり、エンジン20の目標トルクTe*もゼロトルクであるためエンジン20も無負荷運転(アイドル運転)となり、リングギヤ軸32aの目標トルクTr*はすべてモータMG2によって賄われることになる。なお、モータMG1の無負荷運転はモータMG1のロータの回転抵抗がゼロになるようにインバータ41を制御することにより実現される。また、アイドル運転時のエンジン回転数は、エンジンECU50によってエンジン20の運転状況に応じて適宜変更される。
なお、エンジンECU50は、ハイブリッドECU70からの目標トルクTe*がゼロトルクのときにアイドル運転を行うが、このとき、運転状況に応じてエンジン停止条件が成立すると、インジェクタ23からの燃料噴射を停止すると共に点火プラグ25の着火を停止するというエンジン停止処理を実行する。ここで、エンジン停止条件は、例えばエンジン20の暖機が完了したときなどに成立する。また、エンジン停止処理実行中にエンジン再始動条件が成立すると、モータMG1でエンジン20をクランキングすると共に、エンジン20の再始動時噴射量がインジェクタ23から噴射されるようにインジェクタの開弁時間を制御しつつ点火プラグ25の着火を行いエンジン20を再始動させる。ここで、エンジン再始動条件は、例えば、エンジン20とモータMG2とで車輪を駆動する必要が生じたときや、バッテリ45のSOCが不足してモータMG1を発電させてバッテリ45を充電する必要があるときなどに成立する。
次に、エンジンECU50によって実行されるアイドル回転数制御ルーチンについて図7のフローチャートに基づいて説明する。このルーチンは、ハイブリッドECU70からのエンジン20の目標トルクTe*がゼロトルクでアイドル運転中であることを前提として、所定タイミングごと(例えば数msecごとや所定クランク角ごと)に繰り返し実行される。このルーチンが実行されると、エンジンECU50のCPU51は、まず、エアコンECU90からアイドル目標回転数Nei*のアップ要求を入力したか否かを判定する(ステップS302)。ここで、エアコンECU90は、例えば寒冷地でのイグニションオン時のようにエンジン50の冷却水温が低く且つエアコンの設定温度が車内温度に比べて高いときに、ヒータコア91に高温のエンジン冷却水を流通させてこのヒータコア91を通過する空気の温度を上げるべく、アイドル目標回転数Nei*のアップ要求をエンジンECU50に出力する。このアップ要求はヒータコア温度センサ93からのヒータコア温度が予め定められた所定温度に達するまで出力され続ける。
ステップS302で、エアコンECU90からのアイドル目標回転数Nei*のアップ要求を入力しなかったときには、アイドルアップフラグFiをゼロにリセットすると共にアイドル目標回転数Nei*を通常の低回転数域内(例えば900〜975rpm)で設定し(ステップS304)、その後ステップS310に進む。ここで、アイドルアップフラグFiはアイドル目標回転数Nei*が通常の低回転数域内のときにはゼロにリセットされ、通常の低回転数域を超えるときには1にセットされるフラグであり、初期設定値はゼロである。一方、ステップS302で、エアコンECU90からのアイドル目標回転数Nei*のアップ要求を入力したときには、アイドルアップフラグFiをチェックし(ステップS306)、FiがゼロのときにはFiを1にセットすると共にアイドル目標回転数Nei*を通常の低回転数域を超える高回転数(例えば1200rpm)に設定し(ステップS308)、その後ステップS310へ進む。一方、ステップS306でFiが1のときには既にアイドル目標回転数Nei*が高回転数に設定されているため、そのままステップS310へ進む。
ステップS310では、予め定められたフィードバック条件が成立するか否かを判定する。なお、図7ではフィードバックをF/Bと略す。ここで、フィードバック条件は、冷却水温センサ59からのエンジン20の冷却水温が例えば65℃以上であること等を満たすときに成立する。そして、フィードバック条件が成立したときには、エンジンECU50は、アイドル回転数のフィードバック制御を実行する際のアクチュエータ22aの操作量の基になるデューティ比指令値Dを算出し(ステップS312)、続いて学習ルーチン(後ほど詳述)を実行する(ステップS314)。アイドル回転数のフィードバック制御では、クランク角センサ67の出力値に基づいて算出される実際のエンジン回転数Neを、アイドル目標回転数Nei*に一致させるべく、アクチュエータ22aを構成するソレノイドへの印加電圧をデューティ制御してスロットルバルブ22の全閉開度を調整するが、そのデューティ制御に使用するデューティ比指令値Dを算出するのである。このデューティ比指令値Dは、予め定められた基本デューティ比指令値Dbaseにフィードバック補正量βを加算することによって算出される。そして、フィードバック補正量βは、アイドル運転時の実際のエンジン回転数Neとアイドル目標回転数Nei*との偏差ΔNeを算出し、その偏差ΔNeに応じて周知のPI制御等により決定される。一方、ステップS310でフィードバック条件が成立していなかったときには、エンジンECU50は、フィードバック条件不成立時の処理を行う(ステップS316)。即ち、以前にRAM53に記憶した基本デューティ比指令値Dbaseを読み出し、それをそのままデューティ比指令値Dとする。
ステップS314又はS316の処理のあと、ディーティ比指令値Dでもってアクチュエータ22aを駆動し(ステップS320)、このルーチンを終了する。この結果、アクチュエータ22aによってスロットルバルブ22が作動して全閉位置が調節され、実際のエンジン回転数Neがアイドル目標回転数Nei*に近づくような空気流量でもって空気がエンジン20に吸入される。
次に、学習ルーチンについて図8のフローチャートに基づいて説明する。このルーチンが開始されると、エンジンECU50のCPU51は、まず今回のトリップ中に学習が実行されたか否かを学習フラグFLに基づいて判定する(ステップS402)。ここで、学習フラグFLは、1トリップ中に学習が完了したときに1にセットされ、学習が未完のときにはゼロにリセットされるフラグであり、初期設定値はゼロである。このステップS402で学習フラグFLが1のときには、既に学習が完了しているため、そのままこのルーチンを終了する。一方、ステップS402で学習フラグFLがゼロのときには、続いて学習条件が成立したか否かを判定する(ステップS404)。ここで、学習条件は、このアイドル回転数制御ルーチンが実行されている状態で冷却水温が例えば70℃以上で、アイドル目標回転数Nei*が所定の低回転数域(例えば900〜975ppm)に入り、且つ偏差ΔNeが微小範囲内(例えば±75rpm以内)のとき、即ちエンジン20が十分暖機された状態でアイドル回転数がフィードバック制御により所定の低回転数域の目標回転数に良好に収束しているときに成立する。
そして、ステップS404で学習条件が成立したときには、ステップS312で算出したデューティ比指令値D(=Dbase+β)を暫定学習値としてRAM53に保存し(ステップS406)、続いて学習条件が成立した状態が所定の収束時間だけ継続したか否かを判定する(ステップS408)。ここで、所定の収束時間とは、アイドル回転数のフィードバック制御によって実際のアイドル回転数Neがアイドル目標回転数Nei*へ収束するのに十分な時間である。
そして、ステップS408で学習条件が成立した状態が所定の収束時間だけ継続したときには、アイドル回転数のフィードバック制御が十分的確に行われたか否かを判定する(ステップS410)。ここでは、偏差ΔNeが極小範囲内(例えば±50rpm以内)に入るときにフィードバック制御が十分的確に行われたと判定する。このステップS410で偏差ΔNeが極小範囲内に入ったときには、フィードバック制御が十分に的確に行われたとみなし、RAM53に記憶された暫定学習値(D=Dbase+β)を最終的な学習値として確定したうえでこの学習値を基本デューティ比指令値Dbaseとし(ステップS424)、学習が完了したことを示すために学習フラグFLに1をセットし(ステップS426)、このルーチンを終了する。一方、ステップS408で学習条件が成立した状態が所定の収束時間だけ継続していないとき、又はステップS410でフィードバック制御が十分に的確に行われていないときには、このルーチンをそのまま終了する。
また、ステップS404で学習条件が成立しなかったときには、アイドルアップフラグFiが1か否かを判定し(ステップS412)、アイドルアップフラグFiが1のときつまりエアコンECU90からのアップ要求に応じてアイドル目標回転数Nei*を高回転数(例えば1200rpm)にアップしているときには、アイドル目標回転数Nei*に関する条件以外の学習条件が成立したか否かを判定する(ステップS414)。ここで、アイドル目標回転数Nei*に関する条件以外の学習条件とは、前出の学習条件のうちアイドル目標回転数Nei*が所定の低回転数域(例えば900〜975rpm)に入るという条件以外の条件をいう。
そして、ステップS414でアイドル目標回転数Nei*に関する条件以外の学習条件が成立したとき、ステップS312で算出したデューティ比指令値D(=Dbase+β)を暫定学習値としてRAM53に保存する(ステップS416)。続いて、アイドル目標回転数Nei*に関する条件以外の学習条件が成立した状態が所定の収束時間だけ継続したか否かを判定し(ステップS418)、所定の収束時間だけ継続したときには、アイドル回転数のフィードバック制御が十分的確に行われたか否かを判定する(ステップS420)。ここで、ステップS418の所定の収束時間やステップS420のフィードバック制御の的確性については、ステップS408、S410で説明したとおりである。そして、ステップS420で、アイドル回転数のフィードバック制御が十分的確に行われたときには、RAM53に記憶された暫定学習値(D=Dbase+β)はアイドル目標回転数Nei*が高回転数のときの値であるから、これを所定の低回転数域(例えば900〜975rpm)のときの値となるように、暫定学習値Dに補正係数γを乗じて補正する(ステップS422)。この補正係数γは、予め経験的に定められており、アイドルアップ量が大きいほど小さな値をとる。そして、ステップS422のあと、補正後の暫定学習値(D×γ)を最終的な学習値として確定し、この学習値を基本デューティ比指令値Dbaseとし(ステップS424)、学習が完了したことを示すために学習フラグFLに1をセットし(ステップS426)、このルーチンを終了する。
また、ステップS414でアイドル目標回転数Nei*に関する条件以外の学習条件が成立していなかったとき、ステップS418で学習条件が成立した状態が所定の収束時間だけ継続していなかったとき、又はステップS420でフィードバック制御が十分に的確に行われていないときには、このルーチンをそのまま終了する。
また、ステップS412でアイドルアップフラグFiがゼロだったとき、つまり学習条件が成立せずエアコンECU90からのアップ要求もなかったときには、ステップS312で算出したデューティ比指令値DをRAM53に記憶するのを禁止し(ステップS428)、収束時間の計測をリセットし(ステップS430)、このルーチンを終了する。
以上詳述した本実施形態では、アイドル運転中にアイドル目標回転数Nei*が所定の低回転数域に入ることを条件の一つとしてエンジン制御の操作量であるアクチュエータ22aの基本デューティ比指令値Dbaseを学習し、これを学習値として保存する。一方、アイドル目標回転数Nei*のアップ要求に応じてアイドル目標回転数Nei*をアップすることによりアイドル目標回転数Nei*が所定の低回転数域から外れたときにも、基本デューティ比指令値Dbaseを学習し、これを所定の低回転数域における値となるように補正したうえで学習値として保存する。したがって、アイドル目標回転数Nei*を変更することのあるエンジンECU50において、エンジン制御の操作量を学習する機会を十分確保することができる。
また、エアコンECU90から車両駆動系の事情にかかわらず頻繁にアイドル目標回転数Nei*のアップ要求が出力されたとしても、アイドル目標回転数Nei*を高回転数にアップした状態で基本デューティ比指令値Dbaseの学習を行うため、Dbaseの学習値を適時更新することができる。
更に、本実施形態では、例えばエンジン効率の悪い低負荷領域(車速Vが低速のときなど)で且つバッテリ45のSOCが良好なときにエンジン停止条件が成立し、このエンジン停止条件が成立すると、インジェクタ23からの燃料噴射を停止すると共に点火プラグ25の着火を停止するというエンジン停止処理が実行される。また、例えばエンジン20とモータMG2とで車輪を駆動する必要が生じたとき(加速時など)や、バッテリ45のSOCが不足してモータMG1を発電させてバッテリ45を充電する必要があるときなどにエンジン再始動条件が成立し、このエンジン再始動条件が成立すると、モータMG1でエンジン20をクランキングすると共に、エンジン20の再始動時噴射量がインジェクタ23から噴射されるようにインジェクタの開弁時間を制御しつつ点火プラグ25の着火を行いエンジン20を再始動させる。ここで、エンジン20が自動停止したときにはエンジン20の冷却水温が上昇しにくいことから、エアコンECU90からアイドル目標回転数Nei*のアップ要求が出力されやすい。このため、本発明を適用してエンジン操作量である基本デューティ比指令値Dbaseを学習する機会を十分確保する意義が高い。
更にまた、本実施形態では、アイドル回転数制御に本発明を適用したが、アイドル回転数制御ではアイドル運転中にアイドル目標回転数Nei*が所定の低回転数域に入ることを学習開始条件の一つとすることが多いため、本発明を適用する意義が高い。
そしてまた、本実施形態では、エンジン制御の操作量として、スロットル開度に相関のあるパラメータ量であるアクチュエータ22aの基本デューティ比指令値Dbaseを学習している。スロットルバルブ22の隙間には細かなチリ等が付着して吸入空気量が変化することがあり、そうすると当初の基本デューティ比指令値Dbaseのままではアイドル回転数制御を精度よく行うことができなくなるため、学習する必要性が高い。
そして更に、エンジン制御の操作量の学習は1トリップに1回実施されることから、いつまでも同じエンジン操作量の学習値を使うことがないため、エンジン制御を適切に行うことができる。
そして更にまた、モータMG1のロータの回転抵抗をゼロにしてサンギヤ軸31aを空転させることによりエンジン20とリングギヤ軸32aはつながりが切れた状態(つまりニュートラルの状態)になるため、エンジン20の無負荷運転つまり自立運転を容易に実現することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、学習条件が成立したときにはスロットルバルブ22の開度を調節するアクチュエータ22aの操作量である基本デューティ比指令値Dbaseを学習するものとして説明したが、スロットルバルブ22の開度に関連のあるパラメータであればどのようなパラメータを学習してもよく、例えば、スロットルバルブ22の隙間を流れる空気流量を学習するものとしてもよいし、スロットルバルブ22の開度を学習するものとしてもよい。
また、上述した実施形態において、エアコンECU90はヒータコア91に高温のエンジン冷却水を流通させてヒータコア91を通過する空気の温度を上げる必要があるときにアイドル目標回転数Nei*のアップ要求を出力したが、夏期にエアコンの設定温度が車内温度に比べて低く冷房用冷媒を圧縮するコンプレッサの回転数を上げて冷却能力を高める必要があるときにアイドル目標回転数Nei*のアップ要求を出力してもよい。また、車両駆動系以外の車両システムとして、エアコンECU90のほかに例えばブレーキ負圧を制御する車両システムや電源ソケットを制御する車両システムを採用してもよく、エンジンECU50はステップS302でこれらの車両システムからアイドル目標回転数Nei*の変動要求があったか否かを判定するようにしてもよい。
更に、図8の学習ルーチンに代えて、図9の学習ルーチンを採用してもよい。即ち、このルーチンが開始されると、エンジンECU50は、まず今回のトリップ中に学習が実行されたか否かを学習フラグFLに基づいて判定し(ステップS502)、学習フラグFLが1のときには、そのままこのルーチンを終了する。一方、ステップS502で学習フラグFLがゼロのときには、学習条件が成立したか否かを判定する(ステップS504)。ここでの学習条件は、上述した実施形態と比べてアイドル目標回転数Nei*に関する条件が外れたものである。具体的には、ここでの学習条件は、アイドル回転数制御ルーチンが実行されている状態で冷却水温が例えば70℃以上で且つ偏差ΔNeが微小範囲内(例えば±75rpm以内)のとき、即ちエンジン20が十分暖機された状態でアイドル回転数がフィードバック制御により目標回転数に良好に収束しているときに成立する。そして、ステップS504で学習条件が成立したときには、ステップS312で算出したデューティ比指令値D(=Dbase+β)を暫定学習値としてRAM53の所定領域に保存し(ステップS506)、続いて学習条件が成立した状態が所定の収束時間だけ継続したか否かを判定する(ステップS508)。そして、ステップS508で学習条件が成立した状態が所定の収束時間だけ継続したときには、アイドル回転数のフィードバック制御が十分的確に行われたか否かを判定し(ステップS510)、フィードバック制御が十分的確に行われたときには、アイドルアップフラグFiが1か否かを判定する(ステップS512)。そして、アイドルアップフラグFiが1のときには、RAM53に記憶された暫定学習値(=Dbase+β)はアイドル目標回転数Nei*が高回転数のときの値であるから、これを所定の低回転数域(例えば900〜975rpm)のときの値となるように、暫定学習値に補正係数γを乗じて補正する(ステップS514)。このステップS514のあと、又はステップ512でアイドルアップフラグFiがゼロだったときには、学習値を確定しその学習値を基本デューティ比指令値Dbaseとする(ステップS516)。即ち、ステップS514のあとには、RAM53に記憶した暫定学習値(=Dbase+β)を補正した値を最終的な学習値とし、ステップS512で否定判定されたあとにはRAM53に記憶した暫定学習値をそのまま最終的な学習値とする。その後、学習が完了したことを示すために学習フラグFLに1をセットし(ステップS518)、このルーチンを終了する。一方、ステップS508で学習条件が成立した状態が所定の収束時間だけ継続していないとき、又はステップS510でフィードバック制御が十分に的確に行われていないときには、このルーチンをそのまま終了する。また、ステップS504で学習条件が成立しなかったときには、ステップS312で算出したデューティ比指令値DをRAM53に記憶するのを禁止し(ステップS520)、収束時間の計測をリセットし(ステップS522)、このルーチンを終了する。この図9の学習ルーチンを採用した場合でも、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
更にまた、上述した実施形態ではエンジン20の冷却水温を加味しなかったが、基本デューティ比指令値Dbaseを予め定められた基準水温のときの値とし、冷却水温センサ59からの冷却水温に基づいて基準デューティ比指令値Dbaseの補正を行いながらフィードバック制御を行ったり学習値を確定したりしてもよい。
そしてまた、上述した実施形態では、パラレル型とシリアル型とを混成したハイブリッド車に本発明のエンジン電子制御装置を適用した例を説明したが、エンジンとモータとの協調制御を行うハイブリッド車であれば特にこれに限定されず、例えばパラレル型のハイブリッド車に本発明を適用してもよいし、シリーズ型のハイブリッド車に本発明を適用してもよい。あるいは、ハイブリッド車でなくても、例えばアイドリングストップ制御を行う自動車に本発明を適用してもよい。即ち、イグニションオンをしたあと走行途中で信号待ちなどのように停車することがあるが、そのような停車の際つまりブレーキペダルが所定量踏み込まれ車速が実質ゼロになったときにエンジンを停止する制御を行う自動車に本発明を適用してもよい。こうしても、上述した実施形態と同様の作用効果が得られる。
そして更に、上述した実施形態では、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aに出力するものについて説明したが、図10に示すように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪19,19)とは異なる車軸(図10における車輪119,119に接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
そして更にまた、上述した実施形態では、エンジン20の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪19,19に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図11に示すように、エンジン20のクランクシャフト27に接続されたインナロータ332と駆動輪19,19に動力を出力する駆動軸に接続されたアウタロータ334とを有し、エンジン20の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機330を備えるものとしてもよい。
10…ハイブリッド車両、14…モータECU、15…チェーンベルト、17…駆動軸、18…デファレンシャルギヤ、19…駆動輪、20…エンジン、21…エアクリーナ、22…スロットルバルブ、22a…スロットルモータ、22b…スロットルポジションセンサ、23…インジェクタ、24…吸気バルブ、25…点火プラグ、26…ピストン、27…クランクシャフト、28…エアフローメータ、29…イグニションコイル、30…動力分配統合機構、31…サンギヤ、31a…サンギヤ軸、32…リングギヤ、32a…リングギヤ軸、33…ピニオンギヤ、34…キャリア、41,42…インバータ、43,44…回転位置検出センサ、45…バッテリ、46…バッテリECU、50…エンジンECU、51…CPU、52…ROM、53…RAM、54…循環経路、54a…第1配管、54b…第2配管、55…ラジエータ、56…冷却水循環ポンプ、57…バイパス経路、58…電力ライン、64…排気管、67…クランク角センサ、70…ハイブリッドECU、72…CPU、74…ROM、76…RAM、81…シフトレバー、82…シフトポジションセンサ、83…アクセルペダル、84…アクセルペダルポジションセンサ、85…ブレーキペダル、86…ブレーキペダルポジションセンサ、88…車速センサ、90…エアコンECU、91…ヒータコア、92…ブロワ、93…ヒータコア温度センサ、MG1…モータ、MG2…モータ。
Claims (8)
- アイドル運転中にアイドル目標回転数が予め定められた所定の回転数域に入ることを条件の一つとしてエンジン制御の操作量を学習し該学習したエンジン制御の操作量を所定の記憶領域に学習値として保存する操作量学習手段と、
アイドル目標回転数の変更要求があったとき該変更要求に応じてアイドル目標回転数を変更する目標回転数変更手段と、
を備え、
前記操作量学習手段は、前記目標回転数変更手段によってアイドル目標回転数が変更されて前記所定の回転数域から外れたときにも前記エンジン制御の操作量を学習し、該学習したエンジン制御の操作量を前記所定の回転数域における操作量となるように補正したうえで前記所定の記憶領域に学習値として保存する、
エンジン電子制御装置。 - 前記目標回転数変更手段は、車両駆動系以外の車両システムからアイドル目標回転数の変更要求があったとき該変更要求に応じてアイドル目標回転数を変更する、請求項1に記載のエンジン電子制御装置。
- 前記エンジンは水冷エンジンであり、前記変更要求は前記エンジンの冷却水の廃熱を利用するヒータを制御するヒータ電子制御装置から出力されるアイドル目標回転数のアップ要求である、請求項1又は2に記載のエンジン電子制御装置。
- 請求項3に記載のエンジン電子制御装置であって、
所定のエンジン停止条件が成立したときに前記エンジンを停止させその後所定のエンジン再始動条件が成立したときに前記エンジンを再始動する停止再始動制御手段、
を備えたエンジン電子制御装置。 - 前記エンジン制御は、アイドル回転数制御である、請求項1〜4のいずれかに記載のエンジン電子制御装置。
- 前記エンジン制御の操作量は、スロットル開度を調節するアクチュエータの操作量である、請求項1〜5のいずれかに記載のエンジン電子制御装置。
- 前記学習は、1トリップに少なくとも1回実施されるか予め定められた期間内に少なくとも1回実施される、請求項1〜6のいずれかに記載のエンジン電子制御装置。
- 請求項1〜7のいずれか記載のエンジン電子制御装置を搭載した車両。
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