JP2005350583A - 防錆剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】
気化性防錆剤の作用を従来よりも長期間確実に持続出来るような防錆剤組成物を開発すること
【解決手段】
固体比重(d4 15)が0.970〜0.999であり、融点が60〜100℃である植物系ワックス、第3級アミン系化合物、シクロヘキシルカルバメート系化合物、第4級アンモニウム塩系化合物及びベンゾトリアゾール系化合物の群から選ばれた少なくとも1種の気化性防錆剤、及び石油系もしくは石油化学系ワックスを主成分としてなる組成物を防錆剤組成物として使用すること
【選択図】 なし
気化性防錆剤の作用を従来よりも長期間確実に持続出来るような防錆剤組成物を開発すること
【解決手段】
固体比重(d4 15)が0.970〜0.999であり、融点が60〜100℃である植物系ワックス、第3級アミン系化合物、シクロヘキシルカルバメート系化合物、第4級アンモニウム塩系化合物及びベンゾトリアゾール系化合物の群から選ばれた少なくとも1種の気化性防錆剤、及び石油系もしくは石油化学系ワックスを主成分としてなる組成物を防錆剤組成物として使用すること
【選択図】 なし
Description
本発明は防錆剤組成物及びその製造方法に関し、更に詳しくは気化性防錆剤を含有する防錆剤組成物に関する。
金属機械類をはじめ金属製各種物品の腐蝕を防ぐ方法として、従来気化性防錆剤を塗布した防錆紙を用いて各種物品を包装する手段や、予め気化性防錆剤を塗布してあるプラスチックフィルムを用いて空気を遮断して包装する手段等が早くから知られている。
従来の防錆紙はデン粉、カゼイン等をバインダーとして気化性防錆剤を紙やフィルムに付着させ、鉄用の防錆紙としてきた。
またフィルムに合成樹脂と気化性防錆剤とから成る防錆層を形成することもよく行なわれている。例えばアイセロ化学(株)の防錆包装用フィルム(特願昭49−112845号、特公昭52−13988号)では、ポリオレフィン系フィルムの表面に気化性防錆剤を含有せしめたエチレン−ビニルアルコール共重合体の樹脂層を形成させた防錆包装用フィルムが記載されている。
その実施例1には、コロナ放電により表面を荒したポリオレフィンフィルムにジシクロヘキシルアンモニウムカーボネートまたはジシクロヘキシルアンモニウムナイトライトを鉄用防錆剤として塗布することが記載されており、また銅またはアルミニウム用の防錆剤としてはメチルベンゾトリアゾールのメタノール水溶液を塗布した後、乾燥して銅用防錆用フィルムとして利用することが記載されている。
また(株)興人の実公平3−12688号には、ポリエチレンフィルムの表面をコロナ放電処理した後、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライトをポリブタジエンエマルジョンに分散したインキを用いて印刷し、乾燥したものを鋼鉄用の防錆手段として用いることが記載されている。
更に三井化学(株)の特開平10−286919号には、大型の金属製品の防錆包装に熱収縮性フィルムを用いることが提案されている。この出願ではエチレン系重合体層と比較的高い気化温度を有する防錆剤(たとえば安息香酸アミン塩を含む防錆層)の混合物を同時に押し出し(押し出し温度は130〜180℃、押し出し圧力は20〜80kg/cm2に調整して)冷間圧延鋼をヒートシール的に密封したものについて、防錆効果を調べている。防錆剤としては有機カルボン酸アミン塩、亜硝酸アミン塩、リン酸アミン塩、炭酸アミン塩および複素環式アミンから選ばれるとしている。
このような気化性防錆剤はやや高温に加熱して昇華あるいは分解して防錆力を発揮するので実用的な条件では使用し難いと云わざるを得ない。
一方、本発明者(松田、北野)は、(株)孔官堂の特許第3433246号において、その実施例35〜42に於いて、ポリカプロラクトン板に、亜硝酸ジシクロヘキシルアンモニウム、亜硝酸ジイソプロピルアンモニウム、炭酸ジシクロヘキシルアンモニウムの少なくとも1種を付着させたものが、鋼鉄用の防錆剤になることを示している。
また更に本発明者はベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾールの少なくとも1種をポリカプロラクトン板に付着させたものが銅その他の非鉄金属の防錆剤として使用出来ることも示している。
三井化学(株)の特開平11−170443号は防錆フィルムに関するものであって、α−オレフィン系重合体および気化性防錆剤から成る防錆層とα−オレフィン系重合体および吸湿性充填剤(たとえばシリカゲル)からなる少なくとも2層よりなる防錆フィルムが示されており、この場合気化性防錆剤が有機カルボン酸アミン塩、亜硝酸アミン塩、リン酸アミン塩、炭酸アミン塩および複素還式アミン塩からなる少なくとも1種が0.5〜15重量%含まれているものであり、気化性防錆剤の分解温度以下の成形温度で行なわれることが示されている。
上記出願では、たとえばその請求項3において吸湿性充填剤として金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属硫酸塩から選ばれたものが用いられている。
しかし乍ら、従来の技術はすでにのべた通り、気化性防錆剤を予め塗布した紙やプラスチックフィルムを防錆紙として使用する場合には、防錆剤は紙やフィルムの表面から自然に気化蒸散し、特に長期間にわたり防錆作用を持続せしめることは不可能であった。
またフィルムの上に合成樹脂と気化性防錆剤を混合した塗布層を形成したものを防錆フィルムとして使用した場合には、フィルムの上の塗布層から気化性防錆剤が気化、蒸散し、防錆紙等と同じように長期間防錆作用を期待したものであった。
本発明が解決しようとする課題は、従来の気化性防錆剤の上記した難点を解消しようとすることであり、更に詳しくは気化性防錆剤の作用を従来よりも長期間確実に持続出来るような新しい手段を開発することである。
本発明者は気化性防錆剤の防錆作用を長期に亘って持続させるために従来から研究を行なって来たが、この研究に於いて該気化性防錆剤をマトリック中に換言すれば防錆剤を構成する他の成分の内部に(外表面だけではなく)含有せしめて、しかもその成分の内部から気化性防錆剤が徐々に気化して、外部に放出される様な手段を開発することが必要であることが判明した。
そしてこの知見に基づき、上記要望に応え得る他の成分を研究する過程に於いて、植物系ワックス、石油系もくしは石油化学系ワックスおよび気化性防錆剤の3成分の組合せとなし、且つこの際の各種条件(各原料の配合条件、混合温度、加熱期間、冷却時間、添加助剤の有無等)を実験によって決定しておき、且つ使用法についても充分検討することにより、上記課題が解決出来ることを見出した。以下にこれ等の条件を順次詳しく説明する。
本発明は以下の6つの発明を含有する。即ち
(発明1)固体比重(d4 15)が0.970〜0.999であり、融点が60〜100℃である植物系ワックス、第3級アミン系化合物、シクロヘキシルカルバメート系化合物、第4級アンモニウム塩化合物系及びベンゾトリアゾール系化合物のよりなる群から選ばれた少なくとも1種の気化性防錆剤、及び石油系もくしは石油化学系ワックスを主成分としてなる防錆剤組成物。
(発明1)固体比重(d4 15)が0.970〜0.999であり、融点が60〜100℃である植物系ワックス、第3級アミン系化合物、シクロヘキシルカルバメート系化合物、第4級アンモニウム塩化合物系及びベンゾトリアゾール系化合物のよりなる群から選ばれた少なくとも1種の気化性防錆剤、及び石油系もくしは石油化学系ワックスを主成分としてなる防錆剤組成物。
(発明2)上記植物系ワックスがキャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、水素添加ホホバ油、木ろう及びサトウきびワックス、よりなる群から選ばれた少なくとも1種である防錆剤組成物。
(発明3)上記防錆剤組成物の割合が気化性防錆剤30〜70好ましくは50〜70重量部、植物系ワックス100好ましくは30〜50重量部及び石油系もくしは石油化学系ワックス40〜70好ましくは50〜70重量部の割合である防錆剤組成物。
(発明4)固体比重(d4 15)が0.970〜0.999であり、その融点が60〜100℃である植物系ワックス100重量部に、第3級アミン系化合物、シクロヘキシルカルバメート系化合物、第4級アンモニウム塩系化合物及びベンゾトリアゾール系化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の気化性防錆剤30〜70重量部を加え、更に石油系もくしは石油化学系ワックス40〜70重量部を加えて、60〜100℃で混練して分散させることを特徴とする防錆剤組成物の製造方法。
(発明5)上記の製造方法に於いて混練して、分散させた後適宜な形状に成形して成形体となす防錆剤組成物の製造方法。
(発明6)上記の製造方法に於いて、植物系ワックス、石油系もしくは石油化学系ワックスからなる防錆剤マトリックスの化学的修飾のために、ジ(メタ)アリル(イソ)シアヌレート、トリ(メタ)アリル(イソ)シアヌレート、及びトリスグリシジルイソシヌアレートよりなる群から選ばれた架橋剤を数%好ましくは上記マトリックス100重量部に対し0.1〜5.0重量部添加する防錆剤組成物の製造方法。
なお本発明で使用する植物系ワックスについては、これに気化性防錆剤を練込んで使用することは従来知られておらず、本発明に於いてはじめて気化性防錆剤と植物系ワックスとを併用することにより成功したのである。
本発明の組製物は上記のごとく(1)植物系ワックス、(2)石油系もしくは石油化学系ワックス及び(3)アミン系化合物(第3級アミン系化合物、シクロヘキシルカルバメート系化合物、第4級アンモニウム塩系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物よりなる群から選ばれた少くと一つの組合わせである気化性防錆剤)の3種の成分の混合マトリックスからなる新規な網目状構造物を形成している。このマトリックス固形物は顕微鏡観察によると上記(1)と(2)の微小なコロイド粒子の内外に気化性防錆剤の微細な結晶が充満しており、相間移動触媒が混合溶媒中に存在しているような格好になっている。
なお上記(2)の中で最も簡単な石油系ワックスはマイクロクリスタリンワックス(主成分はイソパラフィンもしくはナフテン系炭化水素)であるが、少しく丈夫なマトリックスを得たい場合には、例えば若干の化学的修飾(表面の活性化、架橋化等)を行なってから用いるのがよい。
本発明の気化性防錆剤の成分としては、第3級アミン系化合物、シクロヘキシルカルバメート系化合物、第4級アンモニウム塩系化合物及びベンゾトリアゾール系化合物より成る群から選ばれた少なくとも1種の気化性化合物が使用される。そしてこれ等を植物系ワックス及び石油系もしくは石油化学系ワックスの混合成分中に担持させるときは、この内部に担持されている気化性防錆剤が、これ等の成分中を徐々に外部に移動して表面から揮散することが判明した。そして結果的には、気化性防錆剤が長期間に亘って優れた防錆作用を発揮することとなる。
なお、本発明で使用する植物系ワックスとしては、固体比重(d4 15)か0.970〜0.999であり、融点が60〜100℃である植物系ワックスが使用される。この際固体比重(d4 15)が0.970に達しないものを使用すると、気化性防錆剤層の粘靭性が充分でなく好ましくない。また融点が60℃に達しないものを使用すると、気化性防錆層の機械的強度が不充分となり、逆に100℃よりも高いものを使用すると、塗膜性質が硬くなりすぎて、傷がつきやすく、保存性が充分でなくなる。
植物系ワックスとしてはたとえば、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、水素添加ホホバ油、木ろう、サトウきびワックスが好ましいものとして例示でき、価格の点から木ろうが好ましい。なお木ろうは、ウルシ科のハゼノ木(Rhus suecedanea,L)の実から得られるワックスであり、例えば融点は50〜56℃で、比重は0.975〜0.984である。
一方上記特定の気化性防錆剤は、有機溶剤とか石油系もしくは石油化学系ワックスとは任意に溶解し合わない範囲があるために、植物系ワックス、特に好ましくは木ろうを用いることにより、これ等3者をうまく混合しうるものである。更に具体的には、固体比重が0.970〜0.999である固体状の植物系ワックスを加温して溶解せしめ次いで気化性防錆剤を30〜50重量%加えて混合して均一な組成物となし、次いで石油系もしくは石油化学系ワックスを70〜100℃で40〜60重量%混合し、本発明の防錆剤組成物製造に供することが出来る。
本発明に於いて使用される気化性防錆剤は上記で若干のべたが更に詳しくは第3級アミン塩系化合物、シクロヘキシルカルバメート系化合物、第4級アンモニウム系化合物及びベンゾトリアゾール系化合物の少なくとも1種である。
第3級アミン系化合物としてはその代表的なものを例示すれば、アルキルジイソプロピルアミン、アルキルジイソブルアミン、アルキルジオクチルアミン、トリオクチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、3−(ジブチルアミノ)−プロピルアミン、トリイソアルカノールアミン、アルキルジシクロヘキシルアミン、テトラメチル−1、3−ジアミノプロパン、トリブチルアミン、ヘキサメチレンテトラミン、ジエチルアニリン、ジアルキルアニリン、ジアルケニルアニリン、アルキルジフェニルアミン、ジベンジルアミン、トリベンジルアミン、イソキノリン、アルキルイソキリン、キナルジン酸、コリジン、シアノピリジン、ジメチルピペラジン、ジメチルピラジン、トリエチレンジアミン、4−ピペジノピリジン、ピラジンモノカルボン酸、ピリジンメタノール、フェニルビラゾリドン、2−メチルピペラジン、N−メチルピペリジン、N−アルキルモルホリン、N、N´−ジアルキルアミノ酸等を挙げることが出来る。
本発明に於いて使用される第4級アンモニウム塩系化合物には上記第3級アミン系化合物に関連する、或いはその誘導体である脂肪族第4級アンモニウム塩を含む。尚このなかにはカチオン性界面活性剤として多く使用されている化合物が含まれる。
第4級アンモニウム塩系化合物の代表的な化合物は、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、ジシクロペンチルアンモニウムナイトライト、ジシクロヘキシルアンモニウムカーボネート、ジシクロヘキシルアンモニウムベンゾエート、ジシクロヘキシルアンモニウム−p−ターシャリーブチルベンゾエート等である。
本発明に於いて気化性防錆剤の一種として使用されるベンゾトリアゾール系化合物とは、一般に、1、2、3−ベンゾトリアゾール系化合物が多く、特に銅又はその合金に対して安定な配位化合物形成能を有する化合物がその優れた防錆作用のため好ましく使用される。
代表的な置換基を有するベンゾトリアゾール系化合物としては、アルキルベンゾトリアゾール、ヒドロキシアルキルベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾトリアゾール、カルボキシアルキルベンゾトリアゾール、カルベトキシアルキロキシベンゾトリアゾール等を例示出来る。
石油系もしくは石油化学系ワックスとは、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリエチレングリコールワックス、酸化プロピレンワックス、ポリプロピレングリコールワックス、ポリブチレンワックス、酸化ポリブチレンワックス等が例示出来る。なお本発明のワックスに於いては、分子中に塩素、フッ素もしくはイオウ等が含まれていないことが一般に好ましい。
本発明組成物は植物系ワックス、石油系もくしは石油化学系ワックス、上記気化性防錆剤を主成分としてなっており、夫々の割合は、気化性防錆剤30〜70好ましくは50〜70重量部に植物系ワックス100好ましくは30〜50重量部、更に石油系もくしは石油化学系ワックスが40〜70好ましくは50〜70重量部である。
本発明組成物を製造するに際しては、一般的には植物系ワックス、石油系もくしは石油化学系ワックス及び特定の気化性防錆剤を混合するが、その順序は特に限定されないが、たとえば植物系ワックスを加温して溶融し、次いで気化性防錆剤を加え、最後に石油系もくしは石油化学系ワックスを70〜130℃程度に加温して混合するものである。
本発明の防錆剤組成物は、その内部にも均一に気化性防錆剤が担持されている。該防錆剤が組成物内部を移動して、その表面で徐々に防錆剤が揮散して金属の防錆効果を発揮する。
本発明をその実施例を挙げて更に詳しく説明する。
ステンレス・スチール製の500mlビーカーに、キャンデリラワックス100g、ポリエチレンワックス200g、酸化ポリエチレンワックス50g、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト50gを入れ、湯浴上窒素気流中で80〜85℃に加温して溶融混合させ、これを水冷して半固化させ、押出してペレット化した。このペレットは10倍量の低密度ポリエチレンと混合して加熱押出ししてシート化したものは厚さ1mmの帯黄白色のシートになり、このものは鉄および鉄合金に対して強力な防錆力があった。このシートを用いて鉄製治具の収納箱の内部に貼布したところ約3年間発錆を認めなかった。
ステンレス・スチール製の2lビーカーにカルナウバワックス1000g、石油樹脂200g、酸化ポリエチレンワックス150gを入れて85〜90℃に加温して液化しこの混合物をゆるやかに撹拌して、これにシクロヘキシルアンモニウムカルバメート60%、ジシクロヘキシルアンモニウム−p−ターシヤリーブチルベンゾエート40%よりなる混合物100gを気化性防錆剤として加えて混練した。これを押出してペレット化しておく。この防錆ペレットはポリエチレンやエチレン一酢酸ビニル共重合体と加温時にうまく相溶し合うことが認められた。従ってこれらを主体とする成型用の淡黄色樹脂に30〜40重量%を混合して成型すると鉄用の防錆効果を有する成型品になる。この成型品は刃物、工具等の内装商品に用いられた。空気中で約8ヶ月間防錆力が認められた。
粗製ライスワックスはチョコレートのような外観を有する板状物であり、このもの1000gはポリエチレン50%、酸化ポリエチレン50%の混合物2000gに投入して、80〜85℃で加熱撹拌すると粘稠な褐色泥状物になる。なお精製ライスワックスを用いて同じように混合すると褐色の泥状物になる。粗製物にせよ、精製物にせよ、固化させると中性ライスワックスを含む着色泥状物は85〜90℃で撹拌すると靭性が高く、それ自身で若干の防錆効果が認められる。しかし防錆効果を確実に保証するためには、上記の褐色の泥状物にシクロヘキシルアミンカーバメートを5〜7%練り込み、加温して100℃以下で、シートもしくはフィルムに成形すると鉄、亜鉛、アルミニウムの保存に約数ヶ月間有効な防錆シートもしくはフィルムが得られた。
微粉末シリカゲル30gに調合コーヒーフレーバー50gを乳鉢中で加えて混合したのち高速撹拌機に入れ、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト2000g、低密度ポリエチレン粉末15000g、ポリエチレンワックス1000g、マイクロクリスタリンワックス900gを順次加えて高速混合し、この間100℃以下に保つ。この混合物は100℃以下に保つと分解することなくコーヒーフレーバの香りを発散する。湿気に注意して乾燥状態でこの混合物ペレットを同封した箱内に鉄版、鉄棒を室温保存すると約2年間充分な防錆の効果が認められた。
カルナウバワックス500gを鉄ビーカーに入れて、90℃に加温して水その他の揮発分を減圧下で除去する。ついでこれにエチレン一酢酸ビニル共重合体400g、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト結晶75g及びメチルベンゾトリアゾール結晶80gを投入して強く撹拌して温度を一旦95℃〜100℃まで上昇させた後ペレット化する。このペレットは鉄、銅、アルミニウムに対して防錆効果があり、各種の金属を含むプリント配線基板の保存用の袋に収納して封入すれば充分用いられ、実際に約2年間防錆力があった。
熱水中でキャンデリラワックス、カルナウバワックス、精製ライスワックスを同量ずつ混合して冷却すればワックス全体が水に浮くようになる(d4℃100℃=0.866)。これを冷却して濾過してワックスフレークを作り乾燥する。このフレークに1/5重量部のジイソプピルアンモニウムナイトライト及び1/10重量部のジシクロヘキシルアンモニウム−p−ターシャリーブチルベゾエートを加え、再度湯溶上で加温して混合しておく。この混合物はペレット化したのち、フィルム状に成形し、該フィルムの裏面に接着剤を塗布して鉄板用の防錆フィルムとする鉄防錆剤に用いられる。
四塩化炭素300gに精製したイソシアヌル酸トリアリル100gを溶解し、これに2、2´−アゾビスイソブチロニトリル1gを加え、密閉容器中で90℃に4時間保って冷却する。この反応混合物を冷メタノールと混合すればイソシアヌル酸トリアリルプレポリマーの白色沈殿が得られるので、これを濾別してメタノールで洗浄後真空乾燥すればイソシアヌル酸トリアリルプレポリマーの白色粉末が取得できる。このプレポリマーの臭素価は65〜70であり、その収率は95gであった。精製木ろう200g、エチレン酢酸ビニル共重合体200g、上記の方法で得られたイソシアヌル酸トリアリルプレポリマー90g、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト65gを95〜100℃に加温して強く撹拌すると、褐色の粘稠な半流動体になった。このものは鉄板用のホットメルト接着剤になり、加熱硬化できる鉄板の貼り合わせ用接着剤に用いられる。そしてその防錆作用が約1年認められた。
トリスグリシジルイソシアヌレート(mp、約100℃)およびトリス(2−ヒドロキシエチル)−イソシアヌレート(mp、132〜137℃)をそれぞれ5重量%加えた酸化ポリエチレンワックスを用いて、実施例1と同じようにジクロヘキシルアンモニウムナイトライト(mp、120℃、分解)入りのシート化したものは鉄に対し6ヶ月以上防錆効果を示した。
カルナウバワックス600g、水素添加ホホバ油200g、酸化ポリエチレンワックス100g及び石油樹脂150gを加えて110〜120℃に加熱して混合した。得られたワックス混合物を加温しつつ、これにジシクロヘキシルアンモニウム−p−ターシヤリーブチルベンゾエート(mp、120℃、分解)50g、及びトリベンジルアミン20gを加えて混合したのちフィルム化する。このフィルムに両面接着テープをはり合わせ室温〜100℃で用いられる防錆用接着テープを得た。
酸化ポリエチレンワックス200g、トリスグリシジルイソシアヌレート5g、ナフテン酸コバルト液(Co約6%)1gを混練して、110℃で1時間空気中で加熱した後冷却するとやや堅くなった。このエポキシ樹脂改質剤は通常のホットメルト用の金属接着剤に用いられるが、鉄に対する防錆効果を確実にするためには、上記の酸化ポリエチレンワックス200gにジシクロヘキシルアンモニウム−p−ターシヤリーブチルベンゾエート7g及びジシクロヘキシルアンモニウムナイトライシ8gを加えて後加熱硬化させる。硬化膜は数年間にわたって防錆効果が保持できた。
Claims (6)
- 固体比重(d4 15)が0.970〜0.999であり、融点が60〜100℃である植物系ワックス、第3級アミン系化合物、シクロヘキシルカルバメート系化合物、第4級アンモニウム塩系化合物及びベンゾトリアゾール系化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の気化性防錆剤、及び石油系もしくは石油化学系ワックスを主成分としてなる防錆剤組成物
- 植物系ワックスがキャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、水素添加ホホバ油、木ろう及びサトウきびワックスよりなる群から選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載の防錆剤組成物
- 気化性防錆剤30〜70重量部、植物系ワックス100重量部及び石油系もしくは石油化学系ワックス40〜70重量部の割合からなる請求項1に記載の防錆剤組成物
- 固体比重(d4 15)が0.970〜0.999であり、融点が60〜100℃である植物系ワックス100重量部に、第3級アミン系化合物、シクロヘキシルカルバメート系化合物、第4級アンモニウム塩系化合物及びベンゾトリアゾール系化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の気化性防錆剤を30〜70重量部加え、更に石油系もしくは石油化学系ワックスを40〜70重量部加え、60〜100℃で混練して分散させることを特徴とする防錆剤組成物の製造方法
- 上記請求項4の製造方法に於いて混練して、分散させた後適宜な形状に成形する請求項4に記載の防錆剤組成物の製造方法
- 上記請求項4の製造方法に於いて、植物系ワックス、石油系もしくは石油化学系ワックスからなる防錆剤マトリックスの化学的修飾のために、ジ(メタ)アリル(イソ)シアヌレート、トリ(メタ)アリル(イソ)シアヌレート及びトリスグリシジルイソシヌアレートよりなる群から選ばれた架橋剤を数%好ましくは上記マトリックス100重量部に対し0.1〜5.0重量部添加する防錆剤組成物の製造方法
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