JP2005350339A - カーボンナノチューブ複合材料及びその製造方法、並びに、磁性材料及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 カーボンナノチューブの内表面が、金属の連続層で被覆されてなるカーボンナノチューブ複合材料。金属層を形成した後、該金属層に対しナノホール形成処理を行うことにより、該金属層面に対し略直交する方向にナノホールを複数形成してナノホール構造体を形成するナノホール構造体形成工程、該ナノホールの内部にカーボンナノチューブを形成するカーボンナノチューブ形成工程、及び、該カーボンナノチューブの管内表面を金属の連続層で被覆する連続層被覆工程、を含むカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
【選択図】 図1
Description
前記カーボンナノチューブの優れた物性に着目して、該カーボンナノチューブの複合材料化などの研究がなされてきており、例えば、フラーレン発見のノーベル賞受賞者Krotoの研究グループは、フェロセンとフラーレンとを加熱処理する方法により、Fe金属を内包したカーボンナノチューブ複合材料を得たことを報告している(非特許文献1参照)。しかし、この方法の場合、得られるカーボンナノチューブ複合材料における鉄(Fe)の内包率(充填率)が数10%程度と低く、また、該カーボンナノチューブの長さや太さなどのサイズ制御も十分に行っておらず、複合材料としての物性や実用性が十分ではないという問題があった。
しかし、この方法の場合、得られるカーボンナノチューブ複合材料における鉄(Fe)の内包率(充填率)が50%程度以下であり、依然として金属の高含有率は達成しておらず、また、該カーボンナノチューブの長さも1μm以上と比較的長いカーボンナノチューブに関し、金属を均一にかつ連続層の状態で内包した高品質なカーボンナノチューブ複合材料は得られていない。
しかし、この方法の場合、得られるカーボンナノチューブ複合材料における鉄(Fe)の内包率(充填率)が50%程度以下であり、依然として金属の高含有率は達成しておらず、また、カーボンチューブの両端が開放しているため、内包させた金属が酸化等し易く、安定性等に劣るという問題がある。
本発明は、サイズを1μm以下の微小長に容易に制御でき、物性に優れかつ均一であり、内容される金属が経時により酸化等せず化学的安定性に優れ、耐久性に富み繰返し使用が可能であり、塗布適性等のハンドリング性や、他の材料(ポリマーバインダー等)との濡れ性・分散性等に優れ、化学修飾等が容易で取扱性に優れ、電気・電子材料、磁性材料、ドラッグデリバリーシステムにおける担体、など各種分野において好適に使用することができるカーボンナノチューブ複合材料及びその効率的な製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、サイズを所望の程度に制御でき、特に所望の微小長に制御でき、高密度記録が可能なナノスケールサイズに設計可能であり、磁気異方性の大きく高密度記録での熱揺らぎ等の問題がなく、磁気特性に優れかつ均一であり、経時による酸化等が生じず化学的安定性に優れ、塗布適性、他の材料(ポリマーバインダー等)との濡れ性・分散性等に優れ、化学修飾等が容易で取扱性に優れた新規な磁性材料及びその効率的な製造方法を提供することを目的とする。
本発明のカーボンナノチューブ複合材料は、カーボンナノチューブの内表面が、金属の連続層で被覆されてなることを特徴とする。該カーボンナノチューブ複合材料においては、該カーボンナノチューブの管内表面が前記金属の連続層で被覆されているので、該金属に起因する特性が前記カーボンナノチューブ複合材料において均一である。また、前記カーボンナノチューブ複合材料における前記金属の充填率が高く、該金属に起因する諸物性の発現レベルが高く、高品質である。
本発明の他のカーボンナノチューブ複合材料は、本発明の前記カーボンナノチューブ複合材料を複数有してなり、各カーボンナノチューブ複合材料が、シート状物にその一端が結合し、該シート状物のシート面に対し略直交方向に配向していることを特徴とする。該カーボンナノチューブ複合材料においては、本発明の前記カーボンナノチューブ複合材料が前記シート状物状に多数配向した状態で配置されているため、例えば、電界放出ディスプレイにおける電極などをはじめとして各種分野において好適に使用可能である。
また、本発明によると、従来における問題を解決し、サイズを所望の程度に制御でき、特に所望の微小長に制御でき、高密度記録が可能なナノスケールサイズに設計可能であり、磁気異方性の大きく高密度記録での熱揺らぎ等の問題がなく、磁気特性に優れかつ均一であり、経時による酸化等が生じず化学的安定性に優れ、塗布適性、他の材料(ポリマーバインダー等)との濡れ性・分散性等に優れ、化学修飾等が容易で取扱性に優れた新規な磁性材料及びその効率的な製造方法を提供することができる。
本発明のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法及び磁性材料の製造方法は、ナノホール構造体形成工程と、カーボンナノチューブ形成工程と、連続層被覆工程とを含み、好ましくは金属層溶解工程、プラズマ処理工程などを含み、更に必要に応じて適宜選択したのその他の工程を含む。
本発明の磁性材料の製造方法は、連続層被覆工程においてカーボンナノチューブに内包させる金属が磁性金属である点で、本発明のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法とは異なる。したがって、本発明の磁性材料の製造方法は、以下に、本発明のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法と共にその詳細を説明する。
本発明のカーボンナノチューブ複合材料は、本発明の前記カーボンナノチューブ複合材料の製造方法により好適に製造される。また、本発明の磁性材料は、本発明の前記磁性材料の製造方法により好適に製造される。このため、本発明のカーボンナノチューブ複合材料及び磁性材料は、以下に、本発明のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法及び磁性材料の製造方法と共にその詳細を説明する。
前記ナノホール構造体形成工程は、金属層を形成した後、該金属層に対しナノホール形成処理を行うことにより、該金属層面に対し略直交する方向にナノホールを複数形成してナノホール構造体を形成する工程である。
前記電極層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Nb、Ta、Ti、W、Cr、Co、Pt、Cu、Ir、Rh、これらの合金、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。該電極層を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蒸着法、スパッタリング法、などが挙げられる。
前記スパッタリング法の場合、前記金属層の材料である金属で形成されたスパッタリングターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、好適に実施することができる。前記スパッタリングターゲットの純度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、高純度であるのが好ましく、前記金属層がアルミニウムである場合には、該金属層を形成するのに用いるスパッタリングターゲットとしてのアルミニウムの純度は99.990%以上であるのが好ましい。
これらの中でも、前記金属層に前記基板面に略直交する方向に多数のナノホールを略等間隔にかつ均等に配列形成することができる等の点で、陽極酸化処理が特に好ましい。
前記ナノホール構造体における前記ナノホールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、貫通孔として形成されていてもよいし、穴(窪み)として形成されていてもよいが、貫通孔として形成されているのが好ましい。
前記ナノホールの開口径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、特に本発明の前記磁性材料を製造する場合には、200nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。
前記ナノホールにおける開口径が、200nmを超えると、得られる本発明のカーボンナノチューブ複合材料又は本発明の磁性材料の直径が大きくなり、磁性粉等として多磁区構造になりやすくなるなど、使用し難くなることがある。
前記アスペクト比が、2未満であると、本発明のカーボンナノチューブ複合材料の形状効果または本発明の磁性材料の保持力を十分に向上させることができないことがある。
前記カーボンナノチューブ形成工程は、前記ナノホールの内部にカーボンナノチューブを形成する工程である。
前記カーボンナノチューブの形成の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、CVD法(化学的気相成長法)が好適に挙げられる。
前記CVD法(化学的気相成長法)としては、例えば、熱CVD(単にCVDとも呼ばれる)、ホットフィラメントCVD、プラズマエンハンストCVD(プラズマアシステッドCVD、プラズマCVDとも呼ばれる)、プラズマエンハンストホットフィラメントCVD、レーザーエンハンストCVD(レーザーCVDとも呼ばれる)、などが挙げられる。これらの中でも、熱CVD、プラズマCVDが好ましい。
前記プラズマCVDにおいては、0.1〜1000W/cm3程度の高周波(RF)で励起したプラズマにより原料ガスを分解して炭素を蒸着させる。なお、前記高周波(RF)で励起したプラズマ以外に、低周波、マイクロ波(MW)、直流(DC)等で励起したプラズマを使用することもできる。
前記炭素供給ガスとしては、例えば、メタン、エチレン、プロピレン、アセチレン、ベンゼン、ブタン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、C10H16、CS2、C60、などが挙げられる。また、前記導入ガスとしては、窒素、アルゴン、水素、NH3、などが挙げられる。
この場合、前記混合ガスにおける混合割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記炭素供給ガスとしてプロピレンガスを用い、前記導入ガスとして窒素ガスを用いた場合には、常圧にて、流量比でプロピレンガス:水素ガス=1〜5:99〜95程度、全流量としては100〜300cm3/minであるのが好ましく、また、温度は、700〜900℃であるのが好ましく、800℃付近であるのが特に好ましい。
前記触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、遷移金属が好適に挙げられる。該遷移金属としては、例えば、Fe、Ni、Co、Ru、Rh、Pd、Pt、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Lu、これら金属元素を含む合金、などが挙げられる。
前記カーボンナノチューブ形成工程により形成されるカーボンナノチューブは、直径、長さ、層数等が略均一であり、前記金属層の厚みを1μm以下にした場合には、平均長さが1μm以下であり、その一端が閉鎖された構造を有している。
前記連続層被覆工程は、前記カーボンナノチューブ形成工程において形成した前記カーボンナノチューブの管内表面を、本発明のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法の場合には金属の連続層で、本発明の磁性材料の製造方法の場合には前記磁性金属の連続層で、それぞれ被覆する工程である。
なお、前記電着法においては、前記ナノホール構造体を前記金属又は前記磁性金属を含む液中に浸漬させる際に、真空脱泡処理を行うのが好ましい。該真空脱泡処理を行うと、前記カーボンナノチューブの内表面の全体に前記液を接触(浸漬)させることができる点で、有利である。該真空脱泡処理の条件等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記磁性金属としては、特に制限はなく、目的に応じて各種元素を少なくとも含むものの中から適宜選択することができるが、強磁性材料であってもよいし、軟磁性材料であってもよい。
前記強磁性材料としては、例えば、Fe、Co、Ni、FeCo、FeNi、CoNi、CoNiP、FePt、CoPt、NiPt、その他の元素を含むもの、などが好適に挙げられる。
前記軟磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、FeCo、NiFe、FeSiAl、FeC、FeCoB、FeCoNiB、CoZrNb、その他の元素を含むもの、などが挙げられる。
前記磁性金属は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、パーマロイ(NiFe,Fe:Ni=20:80)などが好適に挙げられる。
前記プラズマ処理工程は、プラズマを用いてエッチング処理を行う工程である。該プラズマ処理工程を行うと、前記ナノホール構造体(前記金属層)の表面に堆積したカーボン層を除去することができ、また、前記カーボンナノチューブの表面の親水性を向上させることができる、等の点で有利である。
この場合、前記プラズマ処理工程により、前記ナノホール構造体(前記金属層)における前記ナノホール(例えば、アルミナナノホール)の内表面が、親水化され、その後に行う前記連続層被覆工程において用いる前記金属又は前記磁性金属を含む液(例えば、メッキ液)との濡れ性(親水性)が向上し、表面抵抗値が変化し、前記液が前記ナノホール内に染み込み易くなり、その結果、前記金属又は前記磁性金属による連続膜を効率よくかつ十分に(高い充填率で)被覆することができる点で有利である。また、前記カーボンナノチューブ形成工程において、前記金属層(前記ナノホール構造体上)に堆積したカーボン層が除去されるため、前記金属層溶解工程を行うと、前記カーボンナノチューブ複合材料又は前記磁性材料を独立した状態で(バラバラの状態で)得ることができる点で有利である。
なお、前記プラズマ処理工程におけるプラズマ処理の条件等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記金属層溶解工程は、前記金属層(前記ナノホール構造体)を溶解させる工程である。該金属層溶解工程を行うことにより、本発明のカーボンナノチューブ複合材料又は本発明の磁性材料が得られるが、前記プラズマ処理を行わない場合には、これらは、前記金属層(前記ナノホール構造体)上に堆積したカーボン層に、多数の本発明の前記カーボンナノチューブ複合材料又は本発明の前記磁性材料が一体化された状態のまま(束状、剣山状)のものが得られる。これらにおいては、本発明の前記カーボンナノチューブ複合材料又は本発明の前記磁性材料が前記カーボンナノチューブの層面に対し略直交方向に配向している。
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、洗浄工程、乾燥工程などが挙げられる。
前記カーボンナノチューブ複合材料においては、該カーボンナノチューブの管内表面が前記金属の連続層で被覆されているので、該金属に起因する特性が前記カーボンナノチューブ複合材料において均一である。また、前記カーボンナノチューブ複合材料における前記金属の充填率が高く、該金属に起因する諸物性の発現レベルが高く、高品質である。
前記磁性材料においては、該カーボンナノチューブの管内表面が前記磁性金属の連続層で被覆されているので、該磁性金属に起因する磁気特性が前記カーボンナノチューブ複合材料において均一である。また、前記カーボンナノチューブ複合材料における前記磁性金属の充填率が高く、該磁性金属に起因する磁気特性の発現レベルが高く、高品質である。また、該磁性材料の表面は、カーボンナノチューブであるので、化学修飾が容易であり、無機材料である磁性粉に比し、他の材料(ポリマーバインダー、溶剤等)との濡れ性・分散性等に優れ、塗布適性、取扱性等に優れ、高品質な磁気ディスク、磁気テープなどに好適に使用可能である。
前記前記金属又は前記磁性金属の充填率は、例えば、電子線回折等を行うことにより判別することができる。なお、前記電子線回折により判別を行う場合、前記充填率が高くなるほど、結晶性が良好な回折写真が得られる。
本発明の磁性材料は、磁気ディスク、磁気テープ等の各種磁気記録媒体、特に、コンピュータの外部記憶装置、民生用ビデオ記録装置等として広く使用されている磁気ディスク、ビデオテープ、カセットテープ等の磁気テープ、などに好適に使用することができ、また、磁気を利用した分離・精製技術、ドラッグデリバリーシステム、などにも好適に使用することができる。
図1に示すように、まず、シリコン基板上に、前記電極層としてのNbをスパッタリング法により真空蒸着(厚み:250nm)し、その上に、アルミニウムスパッタリングターゲットを用いて、前記金属層としてアルミニウム(Al)をスパッタリング法により真空蒸着した。こうして得た前記金属層を陽極酸化処理(条件:20wt%硫酸溶液中、20℃、電圧10V)を行って該金属層の層面と略直交方向に貫通孔としてのナノホール(アルミナナノホール、アルミナポア)が多数形成された前記ナノホール構造体を形成した。以上が、前記ナノホール構造体形成工程である。
なお、前記金属層の厚み(前記ナノホールの深さ(長さ))は、300nmであり、前記ナノホールの開口径は、15nmであった。
その結果、前記ナノホール構造体の表面にはカーボン層が堆積形成され、該ナノホール構造体におけるナノホール内には、前記カーボンナノチューブが形成された。以上が、前記カーボンナノチューブ形成工程である。
更に、前記プラズマ処理工程を行った前記ナノホール構造体に対し、NaOH水熱処理を行って前記金属層(アルミニウム層)を溶解除去(条件:10M NaOH,オートクレーブ中150℃)した。以上が、前記金属層溶解工程である。
その結果、図4、図5、図6及び図7のTEM写真に示すように、平均長さが300nmであり、平均外径が15nmであり、前記パーマロイが内包(パーマロイによる連続層が被覆)された本発明のカーボンナノチューブ複合材料(磁性材料)が多数得られた。なお、図5は、図4の一部を拡大したものであり、図6、図7は、図5の一部を拡大したものである。図4、図5、図6及び図7において、カーボンナノチューブ内がやや黒色に見えるのは、前記パーマロイによる連続層が被覆されていることによるものである。なお、前記パーマロイによる連続層が結晶性の良い金属層として前記カーボンナノチューブの管内表面に被覆されていることは、図8に示す電子線回折写真からも明らかである。
なお、得られたカーボンナノチューブ複合材(磁性材料)の飽和磁化を振動試料型磁力計(VSM)にて測定したところ、65emu/g(81.7×10−7ウェーバー/g)の値であった。
以上の結果より、得られたカーボンナノチューブ複合材(磁性材料)が磁気特性を有することを検証することができ、該カーボンナノチューブ複合材料(磁性材料)は、磁性材料として使用可能であり、更に、磁気を利用したドラッグデリバリーシステムにおける担体、磁気を利用した分離・精製技術にも応用可能であることが判った。
図2に示すように、実施例1において、前記金属層の厚みを、1000nm、500nm、300nm、50nmにそれぞれ変更し、かつ前記プラズマ処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にしてカーボンナノチューブ複合材料(磁性材料)を製造した。その結果、図12(1000nmの場合)、図13(500nmの場合)、図14(300nmの場合)、図15(50nmの場合)にそれぞれ示すように、カーボン層に対し、その層面に略直交方向に多数配向した状態で一体化された剣山状のカーボンナノチューブ複合材料(磁性材料)が得られた。
図3に示すように、実施例1において、前記プラズマ処理を前記連続層被覆工程の前に行った以外は、実施例1と同様にしてカーボンナノチューブ複合材料(磁性材料)を製造した。その結果、実施例1と同様に、図4〜図7のTEM写真に示す、平均長さが300nmであり、平均外径が15nmであり、前記パーマロイが内包(パーマロイによる連続層が被覆)された本発明のカーボンナノチューブ複合材料(磁性材料)が多数得られた。
なお、実施例3では、前記プラズマ処理を前記連続層被覆工程の前に行ったため、前記カーボンナノチューブの管内表面が、親水化し、表面張力が低下し、前記メッキ液と前記管内表面との濡れ性が向上した結果、短時間で効率よく、略100%の充填率で前記パーマロイによる連続層を前記カーボンナノチューブの管内表面に被覆することができた。
特許第3402032号公報に記載の方法と同様にして、パーマロイ内包カーボンチューブを製造した。即ち、ホワットマンペーパー社製の陽極酸化被膜(Anodisc)に、ポリプロピレンを用いたCVD法により、カーボンチューブを陽極酸化被膜におけるポア内に成長させた。これを、実施例1における前記連続層被覆工程に用いためっき液中に真空脱泡処理しながら3時間浸漬し、その後、該めっき液から取り出し、乾燥機にて80℃、窒素気流下で1日乾燥後、石英反応管に入れ、500℃、水素気流下で還元処理を行い、NaOHによる水熱処理にて前記陽極酸化被膜(アルミナ)を溶解して、パーマロイ内包カーボンチューブを得た。
比較例1のパーマロイ内包カーボンチューブについても、実施例1と同様にして飽和磁化を測定したところ、25emu/g(31.4×10−7ウェーバー/g)であり、実施例1よりも低い値となった。これは、比較例1のパーマロイ内包カーボンチューブでは、特許第3402032号公報における図2に示されているように、カーボンナノチューブ内には金属が詰まってない部分が多く存在し、該パーマロイによる不連続層が管内表面に形成されており、該パーマロイの充填率が低いために、前記飽和磁化の値が、前記パーマロイの充填率が高く、該パーマロイによる連続層が管内表面に被覆された実施例1の本発明のカーボンナノチューブ複合材料(磁性材料)よりも低くなったものと考えられた。
この結果より、本発明のカーボンナノチューブ複合材料(磁性材料)は、比較例1のパーマロイ内包カーボンチューブよりも、飽和磁化が大きく、磁気特性に優れ、その結果、磁気記録材料への応用、磁気を応用した各種技術に対し、極めて有用であることが判った。
(付記1) カーボンナノチューブの内表面が、金属の連続層で被覆されてなることを特徴とするカーボンナノチューブ複合材料。
(付記2) 連続層が電着により形成された付記1に記載のカーボンナノチューブ複合材料。
(付記3) 金属が、磁性金属から選択される付記1から2のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料。
(付記4) 磁性金属が、Fe、Co、Ni、FeCo、FeNi、CoNi、CoNiP、FePt、CoPt、NiPt、及びその他の元素から選択される少なくとも1種を含む付記3に記載のカーボンナノチューブ複合材料。
(付記5) 平均長さが1μm以下である付記1から4のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料。
(付記6) 一端が閉鎖されている付記1から5のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料。
(付記7) 付記1から6のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料を複数有してなり、各カーボンナノチューブ複合材料が、シート状物にその一端が結合し、該シート状物のシート面に対し略直交方向に配向していることを特徴とするカーボンナノチューブ複合材料。
(付記8) 磁性材料、導電材料、及びドラッグデリバリー用担体の少なくともいずれかとして用いられる付記1から7のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料。
(付記9) カーボンナノチューブの管内表面が、磁性金属の連続層で被覆されてなることを特徴とする磁性材料。
(付記10) 磁性金属が、Fe、Co、Ni、FeCo、FeNi、CoNi、CoNiP、FePt、CoPt、NiPt及びその他の元素から選択される少なくとも1種を含む付記9に記載の磁性材料。
(付記11) 付記1から8のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法であって、
金属層を形成した後、該金属層に対しナノホール形成処理を行うことにより、該金属層面に対し略直交する方向にナノホールを複数形成してナノホール構造体を形成するナノホール構造体形成工程、該ナノホールの内部にカーボンナノチューブを形成するカーボンナノチューブ形成工程、及び、該カーボンナノチューブの管内表面を金属の連続層で被覆する連続層被覆工程、を含むことを特徴とするカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
(付記12) 金属層を溶解させる金属層溶解工程を更に含む付記11に記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
(付記13) 連続層被覆工程を行う前及び後のいずれかにおいて、プラズマを用いてエッチング処理を行うプラズマ処理工程を更に含む付記11から12のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
(付記14) 連続層被覆工程を行う前に、プラズマを用いてエッチング処理を行うプラズマ処理工程を更に含む付記11から13のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
(付記15) 金属層がアルミニウムで形成された付記11から14のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
(付記16) 金属層がスパッタリングにより形成された付記11から15のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
(付記17) ナノホールの深さが1μm以下である付記11から16のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
(付記18) ナノホール形成処理が陽極酸化処理である付記11から17のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
(付記19) カーボンナノチューブ形成工程が、CVD法(化学的気相成長法)により行われる付記11から18のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
(付記20) CVD法(化学的気相成長法)が、プラズマCVD法及び熱CVD法のいずれかである付記19に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
(付記21) 連続層形成工程が電着により行われる付記13から20のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
(付記22) 電着が、真空脱泡処理しながら金属層をメッキ液に浸漬させることにより行われる付記21に記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
(付記23) 金属層溶解工程が、HF浸漬処理及びNaOH水熱処理の少なくともいずれかにより行われる付記12から22のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
(付記24) 付記9から10のいずれかに記載の磁性材料の製造方法であって、
金属層を形成した後、該金属層に対しナノホール形成処理を行うことにより、該金属層面に対し略直交する方向にナノホールを複数形成してナノホール構造体を形成するナノホール構造体形成工程、該ナノホールの内部にカーボンナノチューブを形成するカーボンナノチューブ形成工程、及び、該カーボンナノチューブの管内表面を磁性金属の連続層で被覆する連続層被覆工程、を含むことを特徴とする磁性材料の製造方法。
本発明のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法は、本発明の前記カーボンナノチューブ複合材料の製造に好適に使用することができる。
本発明の磁性材料は、磁気ディスク、磁気テープ等の各種磁気記録媒体、特に、コンピュータの外部記憶装置、民生用ビデオ記録装置等として広く使用されている磁気ディスク、ビデオテープ、カセットテープ等の磁気テープ、などに好適に使用することができ、また、磁気を利用した分離・精製技術、ドラッグデリバリーシステム、などにも好適に使用することができる。
本発明の磁性材料の製造方法は、本発明の前記磁性材料の製造に好適に使用することができる。
Claims (10)
- カーボンナノチューブの内表面が、金属の連続層で被覆されてなることを特徴とするカーボンナノチューブ複合材料。
- 連続層が電着により形成された請求項1に記載のカーボンナノチューブ複合材料。
- 金属が、磁性金属から選択される請求項1から2のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料。
- 平均長さが1μm以下である請求項1から3のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料。
- 請求項1から4のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料を複数有してなり、各カーボンナノチューブ複合材料が、シート状物にその一端が結合し、該シート状物のシート面に対し略直交方向に配向していることを特徴とするカーボンナノチューブ複合材料。
- カーボンナノチューブの管内表面が、磁性金属の連続層で被覆されてなることを特徴とする磁性材料。
- 請求項1から5のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法であって、
金属層を形成した後、該金属層に対しナノホール形成処理を行うことにより、該金属層面に対し略直交する方向にナノホールを複数形成してナノホール構造体を形成するナノホール構造体形成工程、該ナノホールの内部にカーボンナノチューブを形成するカーボンナノチューブ形成工程、及び、該カーボンナノチューブの管内表面を金属の連続層で被覆する連続層被覆工程、を含むことを特徴とするカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。 - 金属層を溶解させる金属層溶解工程を更に含む請求項7に記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
- 連続層被覆工程を行う前及び後のいずれかにおいて、プラズマを用いてエッチング処理を行うプラズマ処理工程を更に含む請求項7から8のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
- 請求項6に記載の磁性材料の製造方法であって、
金属層を形成した後、該金属層に対しナノホール形成処理を行うことにより、該金属層面に対し略直交する方向にナノホールを複数形成してナノホール構造体を形成するナノホール構造体形成工程、該ナノホールの内部にカーボンナノチューブを形成するカーボンナノチューブ形成工程、及び、該カーボンナノチューブの管内表面を磁性金属の連続層で被覆する連続層被覆工程、を含むことを特徴とする磁性材料の製造方法。
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