JP4915778B2 - カーボンナノチューブ複合材料及びその製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ複合材料及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、磁性金属を内包したカーボンナノチューブであるカーボンナノチューブ複合材料及びその製造方法に関する。
カーボンナノチューブ(以下「CNT」と称することがある)は、従来より、電子・電気分野をはじめとして各種分野における新規材料等として使用されてきており、アーク放電法、レーザー蒸発法、熱CVD法、プラズマCVD法などの方法により製造されてきた。これらの方法により製造されるカーボンナノチューブとしては、グラフェンシートが一層のみの単層カーボンナノチューブ(SWNT:Single Wall Nanotube)、複数のグラフェンシートからなる多層カーボンナノチューブ(MWNT:Maluti Wall Nanotube)などが知られている。
前記カーボンナノチューブの優れた物性に着目して、該カーボンナノチューブの複合材料化などの研究がなされてきており、例えば、フラーレン発見のノーベル賞受賞者Krotoの研究グループは、フェロセンとフラーレンとを加熱処理する方法により、Fe金属を内包したカーボンナノチューブ複合材料を得たことを報告している(非特許文献1参照)。しかし、この方法の場合、得られるカーボンナノチューブ複合材料における鉄(Fe)の内包率(充填率)が数10%程度と低く、また、充填率も制御することができず、更に、該カーボンナノチューブの長さや太さなどのサイズ制御も十分に行っておらず、複合材料としての物性や実用性が十分ではないという問題があった。
こうした状況の下、陽極酸化アルミナナノホールを鋳型とし、この中にカーボンチューブを気相炭化法にて成長させ、該気相炭化法にて成長させたカーボンチューブ中に、金属塩溶液浸漬/加熱還元処理により、金属を内包させた後、前記陽極酸化アルミナナノホールを溶解除去することにより、金属を内包したカーボンチューブ複合材料を製造する方法が開発された(非特許文献2及び特許文献1参照)。
しかし、この方法の場合、得られるカーボンナノチューブ複合材料における鉄(Fe)の内包率(充填率)が50%程度以下であり、依然として金属の高含有率は達成しておらず、また、充填率も制御することができず、更に、該カーボンナノチューブの長さも1μm以上と比較的長いカーボンナノチューブに関し、金属を均一にかつ連続層の状態で内包した高品質なカーボンナノチューブ複合材料は得られていない。
そこで、本発明者らは、カーボンナノチューブに内包される金属の含有率が実質的に100%であり、カーボンナノチューブの内表面が、金属の連続層で被覆されてなるカーボンナノチューブ複合材料を開発した(特許文献2参照)。該カーボンナノチューブ複合材料は、金属の含有率が高いため、該金属が磁性金属である場合、磁気特性に優れた磁性材料として機能する。しかし、該磁性金属を内包したカーボンナノチューブ複合材料は、エタノール等の有機溶剤には、溶解乃至分散させることができても、水に対しては、溶解乃至分散させることができなかった。また、有機溶剤に分散しても、前記磁性金属が、カーボンナノチューブ内に連続層として形成されているので、磁石により磁化させると、次第に凝集し、その後に磁石を遠ざけても、残留磁化が大きく、再分散させることが困難であった。更に、電気めっきによる磁性金属充填が速やかであるため、残留磁化を小さくするための充填率制御も困難であった。
例えば、磁性金属を内包したカーボンナノチューブ複合材料を、カーボンナノチューブの外壁に、酵素、タンパク質等の生体高分子を化学修飾し、特定のDNAやタンパク質を分離する磁気分離に応用したり、ドラッグデリバリーシステムにおける担体、患部に集積させ高周波磁場を照射することによる温熱療法などに利用する場合、生体物質が、血液、あるいは生理的食塩水等の水を主とした溶媒に溶解乃至分散していることを考慮すると、前記カーボンナノチューブ複合材料が、液体中、特に水中で凝集しないことが極めて重要である。特に、前記磁気分離に用いる場合、前記カーボンナノチューブ複合材料を再使用するためには、凝集することなく、溶媒に再分散可能であることが要求される。
したがって、液体中、特に水中でも、凝集することなく再分散可能で、取扱性に優れ、磁性材料、ドラッグデリバリーシステムにおける担体などに好適なカーボンナノチューブ複合材料、及びカーボンナノチューブに内包させる磁性金属の量を制御することにより、残留磁化の大きさを所望の程度に制御可能なカーボンナノチューブ複合材料の製造方法は、未だ提供されていないのが現状である。
特許第3402032号公報 特開2005−350339号公報 Perspectives of Fullerene Nanotechnology, p.11-19, 2002 Kluwer Academic Publishers T.Kyotani et al.,Bull.Chem.Soc.Jpn., 72, 1957(1999) J. Hoinville, A. Bewick, D. Gleeson, R. Jones, O. Kasyutich, E. Mayes, A. Nartowski, B. Warne, J. Wiggins, K. Wong, High density magnetic recording on protein-derived nanoparticles, J. App. Phys., 93 (10), 7187-7189 (2003)
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、液体中、特に水中でも、凝集することなく再分散可能で、取扱性に優れ、磁性材料、ドラッグデリバリーシステムにおける担体などに好適なカーボンナノチューブ複合材料、及びカーボンナノチューブに内包させる磁性金属の量を制御することにより、残留磁化の大きさを所望の程度に制御可能なカーボンナノチューブ複合材料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、陽極酸化アルミナナノホールを鋳型とし、この中にカーボンチューブを気相炭化法(CVD法)にて成長させる際、該CVD条件を制御することにより、その後に前記陽極酸化アルミナナノホールを溶解除去すると、水に分散可能で、一端が閉鎖され、他端が開口している試験管状のカーボンチューブが得られることが判った(非特許文献:Hironori Orikasa, Nobuhiro Inokuma, Shingo Okubo, Osamu Kitakami, and Takashi Kyotani, Chem. Mater. 2006, 18, 1036-1040:Template Synthesis of Water-Dispersible Carbon Nano“Test Tubes” without Any Post-treatment)。そこで、本発明者らにより提案された、特開2005−350339号公報に記載の方法を利用して、前記気相炭化法にて成長させたカーボンナノチューブ中に、磁性金属を充填しようとしたところ、一挙に連続充填が行われるため、磁気的性質を制御することができず、残留磁化が大きくなり、また、水には分散せずアルコールに分散するのみであり、更にアルコールに分散させても、磁気的に凝集し再分散させることができなかった。
そこで、本発明者らは、更なる検討を行った結果、以下の知見を得た。即ち、特開2005−350339号公報に記載の方法では、前記金属層の表面に堆積した炭素を、酸素プラズマ処理で除去してから電気めっきを行っていたのに対し、表面炭素を残したまま電気めっきを行うこととし、めっき液の濡れ性を良くしてナノホール内にもめっき液を浸透させるために、酸化剤を用いて親水化処理を行い、更にカーボンナノチューブ内への磁性金属の充填の際、アルコールを含むめっき液を用いて電気めっきを行うことにより、前記カーボンナノチューブ内に前記磁性金属を粒状に内包させ、該磁性金属の内包量を制御し、延いては残留磁化の大きさを制御することができるという知見である。
前記電気めっきの後に、前記金属層の表面に堆積した炭素を除去するための酸素プラズマ処理を行い、該金属層を溶解除去することにより、アルコール中に分散し、磁石により磁化されても、磁石を遠ざけると凝集することなく再分散可能なカーボンナノチューブ複合材料が得られる。また、該金属層の溶解除去の後、得られたカーボンナノチューブ複合材料を酸化剤を用いて親水化処理することにより、水中でも非凝集性であるカーボンナノチューブ複合材料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、後述する付記に列挙した通りである。即ち、
本発明のカーボンナノチューブ複合材料は、金属層に対しナノホール形成処理を行うことにより、該金属層面に対し略直交する方向にナノホールを複数形成してナノホール構造体を形成し、該ナノホールの内部にカーボンナノチューブを形成した後、該カーボンナノチューブの管内を電気めっきし、前記金属層を溶解して得られ、磁性金属を内包してなり、液体中に分散させたとき、該液体中で非凝集性であることを特徴とする。該カーボンナノチューブ複合材料においては、前記磁性金属を内包してなり、液体中で非凝集性であるので、液体中、特に水中でも、凝集することなく再分散可能で、取扱性に優れ、磁性材料、ドラッグデリバリーシステムにおける担体などに好適である。また、該カーボンナノチューブ複合材料の表面は、カーボンナノチューブであるので、化学修飾が容易であり、例えば、酵素、タンパク質等の生体高分子をカーボンナノチューブの外壁に化学修飾し、特定のDNA、タンパク質等を分離する磁気分離、患部に集積させて高周波磁場を照射することによる温熱療法など、医療分野で好適に使用可能である。
本発明のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法は、本発明の前記カーボンナノチューブ複合材料の製造方法であって、金属層に対しナノホール形成処理を行うことにより、該金属層面に対し略直交する方向にナノホールを複数形成してナノホール構造体を形成するナノホール構造体形成工程、該ナノホールの内部にカーボンナノチューブを形成するカーボンナノチューブ形成工程、アルコールを含むめっき液を用いて電気めっきすることにより、前記カーボンナノチューブの管内に磁性金属を内包させるめっき工程、前記金属層の表面に堆積したカーボン層を、酸素プラズマを用いたエッチング処理により除去する表面カーボン層除去工程、及び、前記金属層を溶解させる金属層溶解工程、を含むことを特徴とする。
該カーボンナノチューブ複合材料の製造方法では、前記ナノホール構造体形成工程において、前記金属層に対しナノホール形成処理が行われる。その結果、前記金属層において、その層面に対し略直交する方向にナノホールが複数形成されたナノホール構造体が形成される。前記カーボンナノチューブ形成工程において、前記ナノホールの内部にカーボンナノチューブが形成される。前記めっき工程において、前記アルコールを含むめっき液を用いて電気めっきが行われ、前記カーボンナノチューブの管内に前記磁性金属が内包される。前記表面カーボン層除去工程において、前記金属層の表面に堆積したカーボン層が、酸素プラズマを用いたエッチング処理により除去される。前記金属層溶解工程において、前記金属層が溶解されて除去される。以上により、本発明の前記カーボンナノチューブ複合材料が効率よく製造される。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、液体中、特に水中でも、凝集することなく再分散可能で、取扱性に優れ、磁性材料、ドラッグデリバリーシステムにおける担体などに好適なカーボンナノチューブ複合材料、及びカーボンナノチューブに内包させる磁性金属の量を制御することにより、残留磁化の大きさを所望の程度に制御可能なカーボンナノチューブ複合材料の製造方法を提供することができる。
(カーボンナノチューブ複合材料及びその製造方法)
本発明のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法は、ナノホール構造体形成工程、カーボンナノチューブ形成工程、めっき工程、表面カーボン層除去工程、及び金属層溶解工程を含み、好ましくは親水化処理工程(以下、前記めっき工程の前に行う親水化処理工程を、「めっき前親水化処理工程」と称することがあり、前記金属層溶解工程の後に行う親水化処理工程を、「金属層溶解後親水化処理工程」と称することがある。)などを含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程を含む。
本発明のカーボンナノチューブ複合材料は、本発明の前記カーボンナノチューブ複合材料の製造方法により好適に製造され、磁性金属を内包してなり、液体中に分散させたとき、該液体中で非凝集性である。このため、本発明のカーボンナノチューブ複合材料は、以下に、本発明のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法と共にその詳細を説明する。
−ナノホール構造体形成工程−
前記ナノホール構造体形成工程は、金属層に対しナノホール形成処理を行うことにより、該金属層面に対し略直交する方向にナノホールを複数形成してナノホール構造体を形成する工程である。
前記金属層の材料、形状、大きさ等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記材料としては、前記ナノホール形成処理によりナノホールを形成可能な材料であればよく、例えば、金属単体、その酸化物、窒化物等、合金などのいずれであってもよく、その中でも、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)、アルミニウム、などが特に好ましい。
前記金属層は、基板上に形成してもよく、この場合、該基板としては、その形状、構造、大きさ、材質等について特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記材質としては、例えば、金属、ガラス、シリコン、石英、シリコン表面に熱酸化膜を形成してなるSiO/Si、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ナノホール形成処理を陽極酸化処理にて行う場合、その際の電極としても使用することができる点で、金属が好ましい。なお、前記基板は、適宜製造したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
また、前記ナノホール形成処理を陽極酸化処理にて行う場合、その際の電極として機能する電極層を前記基板とは別に、該基板と前記金属層との間に配置させることができる。
前記電極層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Nb、Ta、Ti、W、Cr、Co、Pt、Cu、Ir、Rh、これらの合金、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。該電極層を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蒸着法、スパッタリング法、などが挙げられる。
前記金属層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、該厚みがそのままカーボンナノチューブ複合材料の長さとなるため、得たい本発明のカーボンナノチューブ複合材料の長さに一致させるのが好ましい。本発明のカーボンナノチューブ複合材料の長さは、該金属層の厚みにより容易に制御可能であり、その平均長さ分布をシャープにすることができ、均一な品質、物性等が達成可能な点で有利である。
なお、前記金属層を前記基板上に形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、公知の方法、例えば、蒸着法、スパッタリング法、などが好適に挙げられる。これらの中でも、前記スパッタリング法は、前記金属層の厚みの制御を正確かつ容易に行うことができる点で有利である。
前記スパッタリング法の場合、前記金属層の材料である金属で形成されたスパッタリングターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、好適に実施することができる。前記スパッタリングターゲットの純度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、高純度であるのが好ましく、前記金属層がアルミニウムである場合には、該金属層を形成するのに用いるスパッタリングターゲットとしてのアルミニウムの純度は99.990%以上であるのが好ましい。
前記ナノホール形成処理としては、前記金属層に前記ナノホールを形成することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、陽極酸化処理、エッチング処理、などが好適に挙げられる。
これらの中でも、前記金属層面に対し略直交する方向に多数のナノホールを略等間隔にかつ均等に配列形成することができる等の点で、陽極酸化処理が特に好ましい。
前記陽極酸化処理の条件(電解液の種類・濃度、温度、時間など)としては、特に制限はなく、形成するナノホールの数、大きさ、アスペクト比等に応じて適宜選択することができるが、電流の流れる方向は前記金属層の厚み方向に一致される。前記陽極酸化処理に用いる電解液の種類としては、例えば、希釈リン酸溶液、希釈蓚酸溶液、希釈硫酸溶液、などが好適に挙げられる。前記ナノホールのアスペクト比の調整は、例えば、前記陽極酸化処理の後に、リン酸溶液に浸漬させて前記ナノホール(アルミナポア)の直径を増加させることにより行うことができる。
前記陽極酸化処理により前記ナノホール構造体形成工程を行った場合、前記金属層に多数形成した前記ナノホールの下部にバリア層が形成されてしまうことがあるが、該バリア層は、リン酸等の公知のエッチング液を用いて公知のエッチング処理を行うことにより、容易に除去することができる。
前記陽極酸化処理により前記金属層に形成される前記ナノホールの位置、配向(配列)等は、ランダムであるが、例えば、以下の手法により、これを制御することができる。即ち、前記陽極酸化処理の前に、前記金属層上に凹状の窪みあるいは凹状ラインを予め形成しておき、その後に前記陽極酸化処理を行うと、該凹状の窪みあるいは凹状ライン上にのみ、規則的に配列した前記ナノホールを形成することができる。
前記ナノホール構造体形成工程により、前記金属層に該金属層の厚み方向に配向したナノホールが複数形成されたナノホール構造体が形成される。
前記ナノホール構造体における前記ナノホールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、貫通孔として形成されていてもよいし、穴(窪み)として形成されていてもよい。
前記ナノホールの深さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、該深さと、本発明のカーボンナノチューブ複合材料の長さとが対応することを考慮すると、例えば、20μm以下であるのが好ましい。前記ナノホールの深さが20μmを超えると、アルコールあるいは水への分散性に劣ることがある。
前記ナノホールの開口径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、特に磁性材料を製造する場合には、200nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。
前記ナノホールにおける開口径が、200nmを超えると、得られる本発明のカーボンナノチューブ複合材料の直径が大きくなり、磁性粉等として多磁区構造になりやすくなるなど、使用し難くなることがある。
前記ナノホールにおける深さと開口径とのアスペクト比(深さ/開口径)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、高アスペクト比であると、形状異方性が大きくなり、得られる本発明のカーボンナノチューブ複合材料の形状効果又は磁性材料として使用する場合における保持力等を向上させることができる点で好ましく、例えば、2以上であるのが好ましく、5以上であるのがより好ましい。
前記アスペクト比が、2未満であると、本発明のカーボンナノチューブ複合材料の形状効果又は磁性材料の保持力を十分に向上させることができないことがある。
−カーボンナノチューブ形成工程−
前記カーボンナノチューブ形成工程は、前記ナノホールの内部にカーボンナノチューブを形成する工程である。
前記カーボンナノチューブの形成の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、CVD法(化学的気相成長法)が好適に挙げられる。
前記CVD法(化学的気相成長法)としては、例えば、熱CVD(単にCVDとも呼ばれる)、ホットフィラメントCVD、プラズマエンハンストCVD(プラズマアシステッドCVD、プラズマCVDとも呼ばれる)、プラズマエンハンストホットフィラメントCVD、レーザーエンハンストCVD(レーザーCVDとも呼ばれる)、などが挙げられる。これらの中でも、熱CVD、プラズマCVDが好ましい。
前記熱CVDにおいては、400〜2,000℃程度に加熱して炭素を蒸着させる。
前記プラズマCVDにおいては、0.1〜1,000W/cm程度の高周波(RF)で励起したプラズマにより原料ガスを分解して炭素を蒸着させる。なお、前記高周波(RF)で励起したプラズマ以外に、低周波、マイクロ波(MW)、直流(DC)等で励起したプラズマを使用することもできる。
前記CVD法によるカーボンナノチューブの形成条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、原料ガスの流量を制御し、該原料ガスとして、炭素供給ガスと導入ガスとの混合ガスを用いるのが好ましい。
前記炭素供給ガスとしては、例えば、メタン、エチレン、プロピレン、アセチレン、ベンゼン、ブタン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、C1016、CS、C60、などが挙げられる。また、前記導入ガスとしては、窒素、アルゴン、水素、NH、などが挙げられる。
この場合、前記混合ガスにおける混合割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記炭素供給ガスとしてアセチレンガスを用い、前記導入ガスとして窒素ガスを用いた場合には、常圧にて、体積比でアセチレンガス:窒素ガス=10〜30:90〜70程度が好ましく、アセチレンガス:窒素ガス=20:80が特に好ましい。全流量としては、300〜700cm/minが好ましく、500cm/minが特に好ましい。また、温度としては、500〜800℃が好ましく、600℃付近が特に好ましい。
前記カーボンナノチューブ形成工程においては、前記CVD法等により前記カーボンナノチューブを形成する際に、前記金属層の材料が該カーボンナノチューブの形成触媒として作用するため、前記カーボンナノチューブの形成のための触媒を別途使用しなくてもよい。例えば、前記金属層がアルミナで形成されている場合には、該金属層の露出表面に存在するアルミナがそのまま前記カーボンナノチューブの形成のための触媒として作用する。
なお、前記金属層の露出表面又は該金属層に形成した前記ナノホールの内表面に、前記カーボンナノチューブを形成するための触媒を、塗布、蒸着等の手法により存在させておいてもよい。
前記触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、遷移金属が好適に挙げられる。該遷移金属としては、例えば、Fe、Ni、Co、Ru、Rh、Pd、Pt、La、Ce、Pr、Nd、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Lu、これら金属元素を含む合金、などが挙げられる。
なお、前記カーボンナノチューブ形成工程を行う前に、前記金属層の露出表面を清浄化してもよく、該清浄化の方法としては、溶剤洗浄、コロナ処理、プラズマ処理、プラズマ灰化などの放電処理、などが挙げられる。
前記カーボンナノチューブ形成工程により形成されるカーボンナノチューブは、直径、長さ、層数等が略均一であり、前記金属層の厚みと略同一の長さであり、その一端が閉鎖された構造を有している。
−めっき前親水化処理工程−
前記めっき前親水化処理工程は、前記カーボンナノチューブの表面及び管内を、酸化剤により親水化させる工程であり、めっき工程の前に行うのが好ましい。
前記酸化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、過酸化水素、オゾン、次亜塩素酸ナトリウム、塩素、二酸化塩素、臭素、二酸化マンガン、硝酸、過マンガン酸カリウム、及びこれらの水溶液などが挙げられる。これらの中でも、過酸化水素水が特に好ましい。この場合、めっき液が前記カーボンナノチューブの管内にも浸入し、電気めっきによる磁性金属の充填を効率的に行うことが可能となる。
前記めっき前親水化処理の条件等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記めっき前親水化処理は、具体的には、例えば、前記カーボンナノチューブが前記ナノホール内に形成された前記ナノホール構造体を、前記酸化剤中に浸漬させることにより行うことができる。
ここで、前記酸化剤が、過酸化水素水である場合、過酸化水素の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。また、過酸化水素水の温度としては、30℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましい。前記過酸化水素の濃度が、5質量%未満であったり、前記過酸化水素水の温度が、30℃以下であると、親水化が不十分となり、電気めっきを行っても磁性金属が充填されないナノホールが生ずることがある。なお、前記過酸化水素水によるめっき前親水化処理の後、残留する過酸化水素を除去するため、温水による洗浄を適宜行うのが好ましい。
−めっき工程−
前記めっき工程は、アルコールを含むめっき液を用いて電気めっきすることにより、前記カーボンナノチューブ形成工程において形成した前記カーボンナノチューブの管内に、磁性金属を内包させる工程である。
前記電気めっきの条件等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記電気めっきは、具体的には、例えば、前記カーボンナノチューブが前記ナノホール内に形成された前記ナノホール構造体を、前記めっき液中に浸漬させた後、上述した電極層を電極として電圧を印加させることにより、前記カーボンナノチューブの管内に、前記磁性金属を析出乃至堆積させることにより、行うことができる。
前記めっき液としては、アルコールを含む限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、アルコール溶液と磁性金属を含む溶液との混合液が挙げられる。
前記アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、脂肪族アルコールが好ましく、炭素数1〜4の脂肪族アルコールがより好ましい。これらの中でも、前記カーボンナノチューブの管内に、前記磁性金属を粒子状に内包させて該磁性金属による不連続層を容易に形成することができる点で、メタノールが特に好ましい。
前記めっき液におけるアルコールの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10〜30vol%が好ましく、20vol%が特に好ましい。
前記含有量が、10vol%未満であると、一挙に前記磁性金属の連続充填が行われ、磁気特性を制御することができなくなることがあり、30vol%を超えると、前記磁性金属の充填が遅くなり、前記磁性金属が充填されないナノホールを生じることがある。なお、前記めっき液にメタノールを混ぜることにより、電気めっき中の水素発生が抑制され、この点も前記カーボンナノチューブ内への前記磁性金属の充填を効率よく行うことができる要因と考えられる。
以上により、前記カーボンナノチューブの管内に、前記磁性金属を内包させることができるが、前記磁性金属としては、特に制限はなく、目的に応じて各種元素を少なくとも含むものの中から適宜選択することができるが、強磁性材料であってもよいし、軟磁性材料であってもよい。
前記強磁性材料としては、例えば、Fe、Co、Ni、FeCo、FeNi、CoNi、CoNiP、FePt、CoPt、NiPt、その他の元素を含むもの、などが好適に挙げられる。
前記軟磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、FeCo、NiFe、FeSiAl、FeC、FeCoB、FeCoNiB、CoZrNb、その他の元素を含むもの、などが挙げられる。
前記磁性金属は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、パーマロイ(NiFe,Fe:Ni=20:80)などが好適に挙げられる。
前記めっき工程により、前記カーボンナノチューブの管内に前記磁性金属が充填され、また、前記ナノホール構造体(前記金属層)の表面に堆積したカーボン層の上にも磁性金属が溢れ出ることがあるが、表面の磁性金属層の一端を摘まんで引き剥がすことにより、前記カーボンナノチューブの管内に前記磁性金属を残したまま、表面の前記磁性金属層だけを取り除くことができる。
−表面カーボン層除去工程−
前記表面カーボン層除去工程は、前記ナノホール構造体(前記金属層)の表面に堆積したカーボン層を、酸素プラズマを用いたエッチング処理により除去する工程である。
前記表面カーボン層除去工程は、前記めっき工程を行った後に行うのが好ましい。
この場合、前記カーボンナノチューブ形成工程において、前記金属層(前記ナノホール構造体上)に堆積したカーボン層が除去されるため、後述する金属層溶解工程を行うと、前記カーボンナノチューブ複合材料を独立した状態で(バラバラの状態で)得ることができる点で有利である。
なお、前記表面カーボン層除去工程における酸素プラズマを用いたエッチング処理の条件等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−金属層溶解工程−
前記金属層溶解工程は、前記金属層(前記ナノホール構造体)を溶解させる工程である。該金属層溶解工程を行うことにより、本発明のカーボンナノチューブ複合材料が得られる。
前記金属層溶解工程の条件等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、該金属層溶解工程の具体的な方法としては、例えば、フッ化水素(HF)浸漬処理、NaOH浸漬処理、などが好適に挙げられる。特に、前記カーボンナノチューブ内に前記磁性金属を充填している場合には、NaOH浸漬処理が好ましい。
−金属層溶解後親水化処理工程−
前記金属層溶解後親水化処理工程は、前記カーボンナノチューブの表面を、酸化剤により親水化させる工程であり、前記金属層溶解工程の後に行うのが好ましい。
前記酸化剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、過酸化水素、オゾン、次亜塩素酸ナトリウム、塩素、二酸化塩素、臭素、二酸化マンガン、硝酸、過マンガン酸カリウム、及びこれらの水溶液などが挙げられる。これらの中でも、過酸化水素水が特に好ましい。この場合、前記カーボンナノチューブの表面が、効率よく親水化され、前記磁性金属を内包するカーボンナノチューブ複合材料を水に分散させることが可能となる。
前記金属層溶解後親水化処理工程における親水化処理の条件等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記親水化処理は、具体的には、前記金属層溶解工程後の溶解液から遠心分離により前記カーボンナノチューブ複合材料を沈殿させ、上澄み液を捨てて水あるいは食塩水を加える操作を繰り返してアルミニウムイオン成分を取り除き、しかる後に濾過して得られるカーボンナノチューブ複合材料を、過酸化水素水に浸漬することにより、行うことができる。該親水化処理後、カーボンナノチューブ複合材料を濾過し、水に投入すると、凝集することなく水に分散させることができる。
ここで、前記酸化剤が、過酸化水素水である場合、過酸化水素の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記カーボンナノチューブ複合材料を、浸漬時間が1時間程度で室温で処理する場合には、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。前記過酸化水素の濃度が、10質量%未満であると、親水化処理が不十分となり、水への分散性が不十分になることがある。
−その他の工程−
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、洗浄工程、乾燥工程などが挙げられる。
上述した本発明の前記カーボンナノチューブ複合材料の製造方法により、本発明の前記カーボンナノチューブ複合材料が効率よく製造される。
本発明のカーボンナノチューブ複合材料は、前記磁性材料を内包してなり、液体中に分散させたとき、該液体中で非凝集性である。
ここで、「液体中で非凝集性である」とは、液体中において、前記カーボンナノチューブ複合材料が、凝集しないことを意味する。即ち、本発明の前記カーボンナノチューブ複合材料は、前記液体中に溶解乃至分散可能であり、しかも、磁石を近付けて前記カーボンナノチューブ複合材料における前記磁性金属を磁化しても、磁石を遠ざけると、凝集することなく再分散して元の状態に戻る。
前記液体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水、アルコール、及びこれらの混合液などが挙げられる。これらの中でも、前記カーボンナノチューブ複合材料を医療分野で用いる場合、生体物質が血液又は生理的食塩水等の水を主とする溶媒に溶解乃至分散している点で、水であるのが好ましい。
前記カーボンナノチューブ複合材料におけるカーボンナノチューブの管内に内包された磁性金属は、粒子状であるのが好ましい。電気めっきの時間に応じて前記カーボンナノチューブの管内に充填される前記磁性金属の粒子密度が増加する。したがって、めっき時間により、前記磁性金属の内包量を制御することができ、得られるカーボンナノチューブ複合材料の磁気特性(残留磁化)を制御することができる。
前記カーボンナノチューブの管内に、内包された前記磁性金属が粒子状であるか否かは、例えば、透過型顕微鏡(TEM)による観察により判別することができる。
前記カーボンナノチューブ複合材料の長さは、前記金属層(例えば、アルミニウム層、アルミナ層など)の厚みに一致させることができ、該金属層の厚みを制御することにより、所望の程度に正確にかつ均一に、しかも容易に制御することができる。
例えば、20μm程度の比較的長いカーボンナノチューブ複合材料を作製する場合には、金属板(例えば、アルミナ板)を使用して陽極酸化処理を行うのが好ましく、例えば、100nm程度の比較的短いカーボンナノチューブ複合材料を作製する場合には、前記基板上に金属膜(例えば、アルミナ膜)を形成して陽極酸化処理を行うのが好ましい。前者の場合、陽極酸化処理時間を長くすると、長いカーボンナノチューブ複合材料が得られ、後者の場合、長さが均一に揃った短いカーボンナノチューブ複合材料が得られ、100nm程度のカーボンナノチューブ複合材料は、ドラッグデリバリーシステムにおける担体に好適に使用可能である。
前記カーボンナノチューブ複合材料における前記カーボンナノチューブは、一端が閉鎖されているため、前記カーボンナノチューブ複合材料又は前記磁性材料は、化学的安定性に優れ、経時による酸化等の問題がない。このため、前記カーボンナノチューブ複合材料は、各種用途に好適に使用することができる。
前記カーボンナノチューブ複合材料は、前記カーボンナノチューブに起因する特性と、前記磁性金属に起因する特性とを併せ持ち、更に外側にカーボンナノチューブが存在することにより、内部に位置する前記磁性金属の化学的安定性を向上させることができる一方、外部に化学修飾を容易に行うことができるため、目的に応じた設計が容易であり、取扱性に富む。
前記化学修飾としては、例えば、抗体等の生体高分子などを前記カーボンナノチューブの表面に結合させること、などが挙げられる。この場合、得られたカーボンナノチューブ複合材料を分離・精製技術、ドラッグデリバリーシステム等に好適に応用可能となる。
本発明の前記カーボンナノチューブ複合材料は、該カーボンナノチューブの管内に、前記磁性金属を粒子状に内包している、あるいは、前記磁性金属による不連続層が形成されるので、該磁性金属に起因する残留磁化を制御することができ、液体中に溶解乃至分散可能である。
また、前記カーボンナノチューブの管内の磁性金属を磁石により磁化しても、該磁石を遠ざけると、凝集することなく再分散して元の状態に戻り、液体中、例えば、水中においても非凝集性である。このため、生体物質が溶解乃至分散している、血液、生理的食塩水等の水を主とする溶媒中でも、非凝集性を維持することができ、医療分野で好適に使用することができる。特に、該カーボンナノチューブ複合材料の表面は、カーボンナノチューブであるので、化学修飾が容易であり、酵素、タンパク質等の様々な生体高分子を化学修飾し、特定のDNA、タンパク質等を分離する磁気分離、ドラッグデリバリーシステム、患部に集積させて高周波磁場を照射することによる温熱療法などに好適に応用可能である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
まず、前記金属層としてのアルミニウム(Al)板を陽極酸化処理(条件:3質量%シュウ酸溶液中、20℃、電圧40V、5分間)を行って該金属層の層面と略直交方向にナノホール(アルミナナノホール、アルミナポア)が多数形成された前記ナノホール構造体を形成した。以上が、前記ナノホール構造体形成工程である。
なお、前記金属層の厚み(前記ナノホールの深さ(長さ))は、約800nmであり、前記ナノホールの開口径は、30nmであった。
次に、カーボンナノチューブを形成するための前記炭素供給ガスとしてアセチレンガスを用い、前記導入ガスとして窒素ガスを用い、CVD法により、前記ナノホール構造体(アルミナナノホール)における外表面とナノホール内にカーボンを成長させた。具体的には、ナノホールを形成したアルミニウム板を石英反応管に入れ、窒素気流下で600℃まで2時間で昇温した後、20vol%のアセチレンを、窒素をキャリアーガスとして反応管内に流入し、全流量500cm/minで、600℃にて2時間CVDを行い、その後、アセチレンを止め、窒素気流下で室温まで冷却した。
その結果、図1(a)に示すように、前記ナノホール構造体の表面にはカーボン層が堆積形成され、該ナノホール構造体におけるナノホール内には、前記カーボンナノチューブが形成された。以上が、前記カーボンナノチューブ形成工程である。
次に、電気めっきの前処理として、表面にカーボン層が堆積形成され、該ナノホール構造体におけるナノホール内にカーボンナノチューブが形成された前記ナノホール構造体を、10質量%の過酸化水素水に、60℃で20分間浸漬させた。その後、純水に、60℃で30分間浸漬させて洗浄した(図1(b)及び図1(c)参照)。以上が、前記めっき前親水化処理工程である。
ここで、前記めっき前親水化処理を行う前後における前記カーボンナノチューブの管内表面の親水性がどのように変化するかを調べるために、以下のような実験を行った。即ち、カーボン層を形成し、その表面に前記めっき前親水化処理を行った後、水滴を該カーボン層上に滴下した。すると、前記めっき前親水化処理を行う前は、図2中、左側に示すように、カーボン層が親水性の程度が低いため、滴下した水滴は、該カーボン層上で液滴形状を維持し、拡がることはなかった。一方、前記めっき前親水化処理を行った後は、図2中、右側に示すように、カーボン層が親水性の程度が高いため、滴下した水滴は、該カーボン層上で液滴形状を維持できず、拡がった。
次に、前記めっき前親水化処理が施された前記ナノホール構造体を、A液(組成:硫酸ニッケル140g/l、塩化ニッケル45g/l、硫酸第一鉄50g/l、ホウ酸30mg/l、添加剤(ラウリル硫酸、サッカリン)微量を含有)とB液(メタノール)とを、A液:B液=4:1の割合で混合して調製した、パーマロイ(Fe:Ni=20:80)用のめっき液(20℃)中に浸漬させた。そして、めっき条件(水浴20℃、電圧4V、室温)にて、ニッケルプレートをアノードとして電気めっきを行い、前記カーボンナノチューブの管内に磁性金属(パーマロイ)を粒子状に析出させた(図1(d)及び図1(e)参照)。次いで、前記ナノホール構造体の表面に堆積した磁性金属層については、端面を摘まんで引き剥がし、カーボンナノチューブの管内に磁性金属(パーマロイ)を残したまま、除去した(図1(f)及び図1(g)参照)。以上が、前記めっき工程である。
次に、図1(h)及び図1(i)に示すように、前記めっき工程を行った前記ナノホール構造体に対し、プラズマリアクター(「PR−301」;ヤマト科学製)を用いて、酸素プラズマ処理(条件:圧力10Pa、酸素流量30cm/min、出力100W、60秒間)を行い、表面に堆積形成されたカーボン層を除去した。以上が、前記表面カーボン層除去工程である。
更に、図1(j)及び図1(k)に示すように、前記表面カーボン層除去工程を行った前記ナノホール構造体に対し、NaOH浸漬処理を行って前記金属層(アルミニウム層)を溶解除去(条件:1M NaOH、室温)した。以上が、前記金属層溶解工程である。
その結果、図3のTEM写真に示すように、平均長さが約800nmであり、平均外径が30nmであり、前記パーマロイが粒子状に内包された本発明のカーボンナノチューブ複合材料が多数得られた。なお、図3中、A〜Dは、それぞれめっき時間を変えて形成したものであり、めっき時間は、Aでは5秒間、Bでは10秒間、Cでは15秒間である。また、Dは、電圧4Vで5秒間電気めっきを行った後、電圧1.5Vで10分間電気めっきを行って作製したカーボンナノチューブ複合材料のTEM写真である。
図3中、A〜Dにおいて、カーボンナノチューブ内がやや黒色に見えるのは、前記パーマロイによる粒子が析出していることによるものであり、カーボンナノチューブ内には、前記パーマロイが粒子状に内包され、かつ該パーマロイの不連続層が形成されていることが判った。また、めっき時間が長くなると共に、前記パーマロイの析出量が増加していることが判った。
また、図3中、A〜Dに示すカーボンナノチューブ複合材料の磁気特性を振動試料型磁力計(VSM)にて測定した。測定結果を、それぞれ図4A〜図4Dに示す。図4A〜図4Dから得られる飽和磁化の値とめっき時間との関係を図5に示す。図5より、めっき時間と共に、飽和磁化が増大することが判った。
以上により、めっき時間を制御することにより、粒子状の磁性金属(前記パーマロイ)の析出量及び磁化の大きさが容易に制御可能であることが判った。
(比較例1)
実施例1において、前記ナノホール構造体形成工程の後、前記めっき前親水化処理工程を行わず、めっき液としてA液のみを使用してめっき工程を行った以外は、実施例1と同様にして、カーボンナノチューブ複合材料を製造した。その結果、磁性金属はカーボンナノチューブの中には全く析出しなかった。これは炭素を堆積させた陽極酸化アルミナ(前記ナノホール構造体)は疎水性であり、めっき液がカーボンナノチューブの中に浸入できないためであると考えられる。
(比較例2)
実施例1において、前記ナノホール構造体形成工程の後、前記めっき前親水化処理工程を行わず、上記特許文献2(特開2005−350339号公報)に記載の方法と同様にして、プラズマ処理を行って、陽極酸化膜の外表面に堆積した炭素を取り除き、かつ親水性を持たせ、めっき液としてA液のみを使用してめっき工程を行った。その結果、めっき時間が5秒間で、カーボンナノチューブの管内から磁性金属(前記パーマロイ)が一挙に析出し、カーボンナノチューブの管内が、パーマロイによる連続層で被覆され、磁性金属を粒子状に内包させることができず、磁性金属の析出量を制御することはできなかった。
また、得られたカーボンナノチューブ複合材料は、水中、及びエタノール中にそれぞれ分散させたところ、水中には分散しなかったが、エタノール中には分散した。次いで、永久磁石をエタノール分散液を入れた試験管に近づけると、カーボンナノチューブ複合材料が該永久磁石に速やかに引きつけられ、該永久磁石に隣接する管壁付近に塊状(黒色粉体状)になった。そして、前記永久磁石を前記試験管から離すと、塊状であった前記カーボンナノチューブ複合材料が、前記試験管の管底に、凝集して沈殿し、再分散しないことが判った。
(実施例2)
実施例1において、陽極酸化処理の条件を、20質量%硫酸溶液中、10℃、電圧20V、5分間)に変え、実施例1と同様にして、前記カーボンナノチューブ形成工程を行った。続いて、めっき工程では、めっき条件(水浴20℃、電圧4V、室温、20分間)にて、ニッケルプレートをアノードとして電気めっきを行い、前記カーボンナノチューブの管内に磁性金属(パーマロイ)を粒子状に析出させた。その後、実施例1と同様にして、前記表面カーボン層除去工程、及び前記金属層溶解工程を行った。前記金属層の厚み(前記ナノホールの深さ(長さ))は、1.5μmであり、前記ナノホールの開口径は、40nmであった。得られたカーボンナノチューブ複合材料のTEM写真を、図6に示す。該カーボンナノチューブ複合材料を、水中及びエタノール中にそれぞれ分散させたところ、水中には分散しなかったが、エタノール中には分散した。
次に、得られたカーボンナノチューブ複合材料を、試験管内のエタノール中に分散させた後、永久磁石を該試験管に近づけると、図7に示すように、30分間、90分間、60分間、210分間と経過するにつれて、前記パーマロイ内包カーボンナノチューブが該永久磁石にゆっくりと引きつけられ、該永久磁石に隣接する管壁付近に塊状(黒色粉体状)になった。そして、前記永久磁石を前記試験管から離すと、前記パーマロイが軟磁性材料であり、残留磁化を殆ど有していないことにより、塊状であった前記カーボンナノチューブ複合材料がバラバラの状態となり、容易に再分散することが確認された。
(実施例3)
実施例2と同様にして、カーボンナノチューブ複合材料試料を調製した後、下記方法により金属層溶解後親水化処理工程を行った。即ち、前記金属層溶解工程後の溶解液から遠心分離によりカーボンナノチューブ複合材料を沈殿させ、上澄み液を捨てて水あるいは食塩水を加える操作を繰り返してアルミニウムイオン成分を取り除き、しかる後に濾過して得られるカーボンナノチューブ複合材料を、30質量%の過酸化水素水に、室温で1時間浸漬させた。この親水化処理後、カーボンナノチューブ複合材料を濾過し、水に投入すると凝集することなく水に分散した。図8は、得られたカーボンナノチューブ複合材料が水に分散して、試験管内の水が黒色に変化していることを示している。
次に、永久磁石を該試験管に近づけ、一晩放置したところ、図9に示すように、前記パーマロイ内包カーボンナノチューブが該永久磁石に引きつけられ、該永久磁石に隣接する管壁付近に塊状(黒色粉体状)に集まるとともに、分散液自体の色は黒色が薄くなって見える。そして、前記永久磁石を前記試験管から離すと、前記パーマロイが軟磁性材料であり、残留磁化を殆ど有していないことにより、塊状であった前記カーボンナノチューブ複合材料がバラバラの状態となり、容易に再分散することが確認された。
(実施例4)
実施例3において、前記ナノホール構造体形成工程を、下記方法により行った以外は、実施例3と同様にしてカーボンナノチューブ複合材料を製造した。
まず、シリコン基板上に、前記電極層としてのNbをスパッタリング法により真空蒸着し(厚み:250nm)し、その上に、アルミニウムスパッタリングターゲットを用いて、前記金属層としてアルミニウム(Al)をスパッタリング法により300nmの厚さに真空蒸着した。こうして得た前記金属層を陽極酸化処理(条件:20質量%硫酸溶液中、20℃、電圧20V)を行って該金属層の層面と略直交方向に貫通孔としてのナノホール(アルミナナノホール、アルミナポア)が多数形成された前記ナノホール構造体を形成した。以上が、前記ナノホール構造体形成工程である。
その後、実施例3と同様にして、前記カーボンナノチューブ形成工程、前記めっき工程、前記表面カーボン層除去工程、前記金属層溶解工程、及び前記金属層溶解後親水化処理工程を行った。その結果、平均長さが300nmと短く、平均外径が約40nmであり、粒径が30nm程度の前記パーマロイによる粒子が内包された本発明のカーボンナノチューブ複合材料が多数得られた。
得られたカーボンナノチューブ複合材料は、水への分散性が良好であり、永久磁石を近づけると、塊状(黒色粉体状)になるが、該永久磁石を離すと、塊状であった前記カーボンナノチューブ複合材料がバラバラの状態となり、容易に再分散することが確認された。
これらの結果より、本発明のカーボンナノチューブ複合材料は、水中で非凝集性であり、磁石により磁化を行っても、残留磁化が小さく、容易に再分散可能であり、その結果、磁気を応用した各種技術、例えば、磁気を利用した分離・精製技術、ドラッグデリバリーシステム、温熱療法などに、極めて有用であることが判った。
本発明の好ましい態様を付記すると、以下の通りである。
(付記1) 金属層に対しナノホール形成処理を行うことにより、該金属層面に対し略直交する方向にナノホールを複数形成してナノホール構造体を形成し、該ナノホールの内部にカーボンナノチューブを形成した後、該カーボンナノチューブの管内を電気めっきし、前記金属層を溶解して得られ、
磁性金属を内包してなり、
液体中に分散させたとき、該液体中で非凝集性であることを特徴とするカーボンナノチューブ複合材料。
(付記2) 磁性金属が、Fe、Co、Ni、FeCo、FeNi、CoNi、CoNiP、FePt、CoPt、NiPt、及びその他の元素から選択される少なくとも1種を含む付記1に記載のカーボンナノチューブ複合材料。
(付記3) 内包された磁性金属が粒子状である付記1から2のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料。
(付記4) 内包された磁性金属が不連続層を形成した付記1から3のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料。
(付記5) 電気めっきで用いるめっき液が、アルコールを含む付記1から4のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料。
(付記6) 電解めっきの前に、カーボンナノチューブの表面及び管内が、酸化剤により親水化処理された付記1から5のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料。
(付記7) 金属層の溶解後、酸化剤により親水化処理された付記1から6のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料。
(付記8) 酸化剤が、過酸化水素水である付記6から7のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料。
(付記9) 磁性材料及びドラッグデリバリーシステムにおける担体のいずれかとして用いられる付記1から8のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料。
(付記10) 付記1から9のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料を製造する方法であって、
金属層に対しナノホール形成処理を行うことにより、該金属層面に対し略直交する方向にナノホールを複数形成してナノホール構造体を形成するナノホール構造体形成工程、該ナノホールの内部にカーボンナノチューブを形成するカーボンナノチューブ形成工程、アルコールを含むめっき液を用いて電気めっきすることにより、前記カーボンナノチューブの管内に磁性金属を内包させるめっき工程、前記金属層の表面に堆積したカーボン層を、酸素プラズマを用いたエッチング処理により除去する表面カーボン層除去工程、及び、前記金属層を溶解させる金属層溶解工程、を含むことを特徴とするカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
(付記11) めっき工程が、カーボンナノチューブの管内に、磁性金属を粒子状に内包させる付記10に記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
(付記12) めっき工程が、カーボンナノチューブの管内に、磁性金属の不連続層を形成させる付記10から11のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
(付記13) めっき液におけるアルコールが、メタノールである付記10から12のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
(付記14) めっき液におけるアルコールの含有量が、10〜30vol%である付記10から13のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
(付記15) めっき工程を行う前に、カーボンナノチューブの表面及び管内を、酸化剤により親水化させる親水化処理工程を更に含む付記10から14のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
(付記16) 金属層溶解工程を行った後に、得られたカーボンナノチューブ複合材料を、酸化剤により親水化させる親水化処理工程を更に含む付記10から15のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
(付記17) 酸化剤が、過酸化水素水である付記15から16のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
(付記18) 金属層がアルミニウムからなる付記10から17のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
(付記19) ナノホール形成処理が陽極酸化処理である付記10から18のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
(付記20) カーボンナノチューブ形成工程が、CVD法(化学的気相成長法)により行われる付記10から19のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
本発明のカーボンナノチューブ複合材料は、磁気を利用した分離・精製技術、ドラッグデリバリーシステム、温熱療法等の医療分野などに好適に使用することができる。
本発明のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法は、本発明の前記カーボンナノチューブ複合材料の製造に好適に使用することができる。
図1は、本発明のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法の一例を示す工程図である。 図2は、前記めっき前親水化処理工程の前後におけるカーボン層表面の親水性を評価した写真である。 図3は、本発明のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法により製造した本発明のカーボンナノチューブ複合材料のTEM写真である。 図4Aは、電圧4Vで5秒間電気めっきを行って製造した本発明のカーボンナノチューブ複合材料の磁気特性の測定結果を示すグラフである。 図4Bは、電圧4Vで10秒間電気めっきを行って製造した本発明のカーボンナノチューブ複合材料の磁気特性の測定結果を示すグラフである。 図4Cは、電圧4Vで15秒間電気めっきを行って製造した本発明のカーボンナノチューブ複合材料の磁気特性の測定結果を示すグラフである。 図4Dは、電圧4Vで5秒間電気めっきを行った後、電圧1.5Vで10分間電気めっきを行って製造した本発明のカーボンナノチューブ複合材料の磁気特性の測定結果を示すグラフである。 図5は、本発明のカーボンナノチューブ複合材料の飽和磁化とめっき条件との関係の一例を示すグラフである。 図6は、本発明のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法により製造した本発明のカーボンナノチューブ複合材料のTEM写真である。 図7は、本発明のカーボンナノチューブ複合材料の液体中での分散性及び磁気特性を検証するための実験写真である。 図8は、本発明のカーボンナノチューブ複合材料の水中での分散性を検証するための実験写真である。 図9は、本発明のカーボンナノチューブ複合材料の磁気特性を検証するための実験写真である。

Claims (9)

  1. 金属層に対しナノホール形成処理を行うことにより、該金属層面に対し略直交する方向にナノホールを複数形成してナノホール構造体を形成し、該ナノホールの内部にカーボンナノチューブを形成した後、該カーボンナノチューブの管内を電気めっきし、前記金属層を溶解して得られるカーボンナノチューブ複合材料であって、
    磁性金属を内包してなり、
    内包された前記磁性金属が粒子状であることを特徴とするカーボンナノチューブ複合材料。
  2. 内包された磁性金属が不連続層を形成した請求項1に記載のカーボンナノチューブ複合材料。
  3. 電気めっきで用いるめっき液が、アルコールを含む請求項1から2のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料。
  4. 磁性材料及びドラッグデリバリーシステムにおける担体のいずれかとして用いられる請求項1から3のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料を製造する方法であって、
    金属層に対しナノホール形成処理を行うことにより、該金属層面に対し略直交する方向にナノホールを複数形成してナノホール構造体を形成するナノホール構造体形成工程、該ナノホールの内部にカーボンナノチューブを形成するカーボンナノチューブ形成工程、アルコールを含むめっき液を用いて電気めっきすることにより、前記カーボンナノチューブの管内に磁性金属を内包させるめっき工程、前記金属層の表面に堆積したカーボン層を、酸素プラズマを用いたエッチング処理により除去する表面カーボン層除去工程、及び、前記金属層を溶解させる金属層溶解工程、を含むことを特徴とするカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
  6. めっき液におけるアルコールが、メタノールである請求項5に記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
  7. めっき工程を行う前に、カーボンナノチューブの表面及び管内を、酸化剤により親水化させる親水化処理工程を更に含む請求項5から6のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
  8. 金属層溶解工程を行った後に、得られたカーボンナノチューブ複合材料を、酸化剤により親水化させる親水化処理工程を更に含む請求項5から7のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
  9. 酸化剤が、過酸化水素水である請求項7から8のいずれかに記載のカーボンナノチューブ複合材料の製造方法。
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