JP2005349593A - ポリスチレン系樹脂積層発泡シート。 - Google Patents

ポリスチレン系樹脂積層発泡シート。 Download PDF

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Abstract


【課題】 本発明は、熱成形時にドローダウンやナキによる成形不良を発生させることなく、深絞り成形が可能で、得られる成形品に熱湯を入れると変形し難い等の耐熱性に優れるポリスチレン系樹脂発泡積層シートを提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シートにおいては、該積層発泡シートの押出方向の加熱後寸法(A)の値が特定の範囲内であり、該加熱後寸法(A)と幅方向の加熱後寸法(B)の比(A)/(B)が特定の範囲内であり、発泡層の非積層面の表面から200μmの密度が特定の範囲内であり、非積層面の表面から厚み180μmの部分についての昇温速度10℃/minの熱機械分析により得られるTMA曲線において、押出方向の加熱収縮率の135℃以下におけるピークの頂点の値が0〜15%であり、幅方向の加熱収縮率の135℃以下におけるピークの頂点の値が0〜30%である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリスチレン系樹脂積層発泡シートに関し、特に丼等の深絞りの熱成形に好適なポリスチレン系樹脂積層発泡シートに関する。
ポリスチレン系樹脂積層発泡シートは、熱成形による成形品を得るための成形用シートとして従来から広く利用されてきた。このポリスチレン系樹脂積層発泡シート(以下、単に「積層発泡シート」ともいう。)は、ポリスチレン系樹脂発泡シートに耐衝撃性ポリスチレン系樹脂層(以下、単に「樹脂層」ともいう。)が積層されたシートであって、押出機を用いてポリスチレン系樹脂と気泡調整剤等の各種の添加剤と発泡剤とを溶融混練することによって発泡性溶融混合樹脂とし、該発泡性溶融混合樹脂を、高圧のダイ内から大気圧下に放出することによって発泡シートを形成した後、耐衝撃性ポリスチレン系樹脂シートを積層したり、発泡性溶融混合樹脂と耐衝撃性ポリスチレン系樹脂の溶融物を共押出すること等によって製造される。
しかるに、上記積層発泡シートは、熱成形時のドローダウンやナキが発生しやすいという特性を有している。
上記ドローダウンは、熱成形時に長尺な積層発泡シートの両側縁をクランプして加熱ゾーンに搬送し、該加熱ゾーンでシートの両面をヒーター加熱してシートを成形可能な状態に軟化させる際に、積層発泡シートが膨張及び自重によって垂れ下がる現象をいう。このドローダウンが起きると、積層発泡シートとヒーターとの距離が変化し、シートの下面側はヒーターに近くなるため過加熱状態となり、シートの上面側はヒーターから離れるために加熱不足状態となり易い。このため、積層発泡シートの加熱ムラが原因で、得られる成形品の加熱状態が異なったり、肉厚が不均一になったり、外観が不充分なものになるという問題がある。シートにドローダウンが生じた場合、コルゲートと呼ばれる波うち現象が生じる場合と生じない場合とがあるが、コルゲートが生じると加熱ムラは一層助長され、加熱ムラに伴う上記問題は更に大きくなる虞れがある。
前記ナキは、ポリスチレン系樹脂発泡シートの熱成形時の伸びが不充分なことに起因して、得られた成形品の口縁部付近の周壁に亀裂が発生し、発泡層の表面が破壊する現象をいい、ナキが発生した成形品は商品として価値がないものである。
前記ドローダウンやナキは、トレー等の浅絞り成形に用いる積層発泡シートの場合でも発生するが、丼等の深絞りに用いる積層発泡シートの場合、特に発生しやすい傾向がある。即ち、、丼のような深絞り成形品(成形品の開口部内側の面積と同じ面積の円の直径と、成形品の深さとの割合が0.25以上、特に0.4以上の成形品)の場合には、通常、積層発泡シートを構成する発泡層の二次厚み(積層発泡シートが加熱ゾーンで加熱された際に発泡層が二次発泡して厚みが増大する。この加熱時の厚みを二次厚みと呼ぶ。)を、加熱前の発泡層の厚みの1.5倍以上、好ましくは2.0倍以上とする必要がある。しかしながら、発泡層の厚みを厚くするためには、積層発泡シートを十分に加熱することが必要となるので、加熱時間が長くなるとドローダウンも大きくなる傾向がある。また、丼のような深絞り成形品は、浅絞りの成形品と比較すると、発泡層をより引き伸ばさなければならないので、ナキが発生しやすい傾向がある。
これらの問題を解決するための技術として、特開平9−141722号公報(特許文献1)、特開平10−330523号公報(特許文献2)、特開2001−150610号公報(特許文献3)に開示されたものがある。
特許文献1には、樹脂層の熱機械分析(以下、「TMA」ともいう)によって求められる加熱収縮荷重の最大値と、積層発泡シートの加熱収縮率を特定範囲内に制御する技術が記載されている。
特許文献2には、発泡層の表層部分における、TMAによって求められる長手方向の最大荷重と幅方向の最大荷重との平均値、長手方向の最大荷重と該幅方向の最大荷重との比を制御する技術が開示されている。
特許文献3には、加熱収縮率、発泡層の露出表面における中心線平均粗さ、TMAによる加熱収縮率を制御する技術が開示されている。
特開平9−141722号公報 特開平10−330523号公報 特開2001−150610号公報
上記特許文献1の積層発泡シートは、加熱時に生じるシートの垂れ下がりが効果的に防止されるものの、深絞り成形品を得ようとするとナキが発生することがあり、改善する余地があった。
上記特許文献2の発泡シートは、浅絞り成形用のトレイ反であり、深絞り用積層発泡シートにそのまま応用できるものではない。
上記特許文献3の積層発泡シートは様々な欠点を有するものであった。例えば、実施例1の積層発泡シートは、押出方向の145℃での加熱収縮率が低いので十分に延伸されておらず、熱成形する際の加熱によりドローダウンが大きいものであった。また、実施例2の積層発泡シートの全坪量が560g/mと重いため熱成形する際、積層発泡シートの自重によりドローダウンが発生し、良好な成形品が得られないものであった。また、実施例3の積層発泡シートは、樹脂層の厚みが100μmで発泡層の厚みが1.7mm以下の場合、熱成形された成形品に熱湯を入れると変形してしまうという不具合があった。
本発明は、熱成形時にドローダウンやナキによる成形不良を発生させることなく、深絞り成形が可能で、得られる成形品に熱湯を入れても変形し難い等の耐熱性に優れるポリスチレン系樹脂積層発泡シートを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、押出する際、成形品の内側となる発泡シートの表面に相当する発泡性溶融樹脂混合物をダイ内部で冷却することによって、冷却、延伸工程での歪量を低減すること、つまり熱機械分析によって得られるTMA曲線において、押出方向の加熱収縮率及び幅方向の加熱収縮率を低下させ、その発泡シートに樹脂層を積層した積層発泡シートは、成形性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明によれば、以下に示すポリスチレン系樹脂積層発泡シートが提供される。
〔1〕見掛け密度0.095〜0.210g/cm、厚み1.8〜3.0mmのポリスチレン系樹脂発泡層の片面に、厚み80〜180μmの耐衝撃性ポリスチレン系樹脂層が積層されてなる、坪量300〜550g/mの積層発泡シートにおいて、該積層発泡シートの押出方向の加熱後寸法(A)の値が190〜204mmであり、該加熱後寸法(A)と幅方向の加熱後寸法(B)の比(A)/(B)が0.90〜1.05であり、発泡層の非積層面の表面から200μmの密度が0.15〜0.35g/cmであり、非積層面の表面から厚み200μmの部分についての昇温速度10℃/minの熱機械分析により得られるTMA曲線において、押出方向の加熱収縮率の135℃以下におけるピークの頂点の値が0〜15%であり、幅方向の加熱収縮率の135℃以下におけるピークの頂点の値が0〜30%であることを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
本発明の請求項1に係わる発明によれば、熱成形時にドローダウンやナキによる成形不良を発生させることなく、深絞り成形が可能なポリスチレン系樹脂積層発泡シートが提供され、該発泡積層シートは、得られた成形品に熱湯を入れても変形し難い等の耐熱性を付与する。
以下、本発明のポリスチレン系樹脂積層発泡シートについて詳細に説明する。
本発明の積層発泡シートは、発泡層と該発泡層の片面に積層された樹脂層とからなる。該発泡層においては、見掛け密度が0.095〜0.210g/cm、厚みが1.8〜3.0mmである。見掛け密度が0.095g/cm未満の場合は、見掛け密度が低すぎて積層発泡シートの圧縮強度や得られる成形品の開口部を上にして圧縮する天地圧縮強度等の機械的強度が低くなる虞がある。この観点から0.100g/cm以上が好ましく、0.110g/cm以上がより好ましい。一方、見掛け密度が0.210g/cmを超える場合は、見掛け密度が高すぎて断熱性が低くなる虞や、コストが高くなる虞がある。この観点から0.200g/cm以下が好ましく、0.190g/cm以下がより好ましい。
厚みが1.8mm未満の場合は、厚みが薄すぎて絞り比が大きい深絞り成形ができなくなる虞や、得られた成形品に熱湯を入れた場合、変形する虞がある。この観点から1.9mm以上が好ましく、2.0mm以上がより好ましい。一方、厚みが3.0mmを超える場合は、厚みが厚すぎてナキが発生する等の成形不良が発生しやすくなる。この観点から2.9mm以下が好ましく、2.8mm以下がより好ましい。
本発明の積層発泡シートの片面には、厚み80〜180μmの耐衝撃性ポリスチレン系樹脂層が積層されている。厚みが80μm未満の場合は、樹脂層が薄すぎて成形品の機械的強度や得られた成形品の外側に印刷を施す場合、印刷適性を向上させるという効果が十分に得られない虞がある。この観点から90μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましい。一方、厚みが180μmを超える場合は、厚みが均一な成形品ができるものの、過剰な剛性を有し、コストも高いものとなる虞れがある。この観点から160μm以下が好ましく、140μm以下がより好ましい。
本発明の積層発泡シート全体の坪量は、300〜550g/mである。該坪量が300g/m未満の場合は、樹脂量が不足して積層発泡シートの圧縮強度や得られる成形品の天地圧縮強度等の機械的強度が低くなりすぎる虞がある。この観点から320g/m以上が好ましく、340g/m以上がより好ましい。一方、該坪量が、550g/mを超える場合は、積層発泡シートの自重によりドローダウンが発生し、良好な成形品が得られない虞れがある。この観点から540g/m以下が好ましく、530g/m以下がより好ましい。
本明細書における積層発泡シートの厚み、発泡層の厚み、樹脂層の厚み、積層発泡シートの坪量、樹脂層の坪量、発泡層の坪量、発泡層の見掛け密度は次の方法に従って測定される。
まず、本発明の積層発泡シートから、無作為に選んだ地点において、積層発泡シートの押出方向(以下、単に「MD」ともいう)と一致する方向に50cm、且つ積層発泡シートのMDと直交する幅方向(以下、単に「TD」ともいう)と一致する方向に50cmの正方形のサンプルを切り出す。尚、この際、TDの中央部とサンプル中央部が一致するようにする。
次に、サンプルのTDのいずれか一方の切断面において、片方の端部を基準として5cm間隔で他方の端部に至るまでのTDの両端部を除く合計九箇所の地点について、積層発泡シートの厚みと発泡層の厚みを、顕微鏡で撮影し、その写真より求める。
尚、後述の計算には、上記測定によって得られた小数点以下2桁目までの数値を使用するが、請求範囲中の発泡層の厚みは、小数点以下2桁目を四捨五入して小数点以下1桁まで求めたものである。
本明細書における積層発泡シートの厚みは、上記9点の測定値の相加平均値「F」(mm)を意味する。また、耐衝撃性樹脂層の厚み「H」(μm)は、積層発泡シートの厚みの上記9点の測定値の相加平均値「T」(mm)から上記発泡層の相加平均値(「F」(mm)を引くことによって得られる値を単位換算(μm)することにより得られる。
次に、サンプルの重量をg単位まで測定し、その測定値を1m当たりの積層発泡シートの重量に換算し、これを積層発泡シートの坪量「t」(g/m)とする。耐衝撃性樹脂層の1m当たりの重量である耐衝撃性樹脂層の坪量「h」(g/m)は、耐衝撃性樹脂層の密度を便宜上1.05g/mと固定して、該密度に上記耐衝撃性樹脂層の厚み「H」(μm)を掛算することによって求められる。また、発泡層の1m当たりの重量である発泡層の坪量「f」(g/m)は、積層発泡シートの坪量「t」(g/m)から耐衝撃性樹脂層の坪量「h」(g/m)を引算することによって求められる。
また、発泡層の見掛け密度は、発泡層の坪量「f」(g/m)を上記発泡層の厚み「F」(mm)で割ってg/cmの単位にするために1000で割ることによって求められる。本明細書における発泡層の密度はこの計算値を意味する。
本発明の積層発泡シートにおいては、MDの加熱後寸法(A)の値は、190〜204mmである。該値が190mm未満の場合は、押出発泡時に延伸がかかりすぎて延伸を阻害されるためナキや割れが発生する等の成形性が悪い虞がある。この観点から192mm以上であることが好ましく、193mm以上であることがより好ましい。一方、204mm超の場合は、成形時に膨張しすぎてドローダウンが発生する虞がある。この観点から203mm以下あることが好ましく、202mm以下であることがより好ましい。
本発明の積層発泡シートにおいては、MDの加熱後寸法(A)とTDの加熱後寸法(B)の比(A)/(B)が0.90〜1.05である。該比(A)/(B)が0.90未満の場合は、TDに延伸が不足していることを意味し、成形時に過大なドローダウンが発生し、加熱ムラとなる虞がある。この観点から0.92以上が好ましく、0.94以上が好ましい。該比(A)/(B)が1.05超の場合は、TDに延伸されすぎていることを意味し、成形時にTDの伸びが悪い虞がある。この観点から1.04以下が好ましく、1.03以下が好ましい。
本発明におけるMDの加熱後寸法(A)とTDの加熱後寸法(B)は、積層発泡シートから、縦、横のそれぞれの辺が、発泡層の押出方向、幅方向と一致するようにして切り出される一辺200mmの正方形サンプルを145℃の雰囲気中で加熱後、冷却した後の値である。具体的には、加熱後寸法の測定は次のように行う。なお、加熱温度が145℃とする理由は、連続生産での加熱炉の雰囲気温度と同じにするためである。
空気循環式オーブン(タバイエスペック株式会社製 品番PERFECT OVEN PH−200)を用いて、装置内の温度を145℃に設定し、積層発泡シートの厚みはそのままとして積層発泡シートから、縦、横のそれぞれの辺が、発泡層のMD、TDと一致するようにして、一辺200mmの正方形サンプルを切り出す。次に、縦300mm、横300mm、厚さ10mmサイズの正方形状の木製枠材であって、中央部に縦250mm、横250mmの正方形状の貫通孔が設けられた木製枠材を2枚用意する。次に、直径0.1の円形断面の針金を使用して、上記貫通孔の内部において縦横それぞれ20mm間隔の網状となるように、当該針金を各木製枠材の片面にそれぞれ釘で固定する。尚、針金が固定された側と反対側から木製枠材の貫通孔を見ると、針金は縦横に、それぞれ、20mm間隔で12本配列された目の粗い網状を呈している。続いて、縦20mm、横10mm、厚み5mmの木製スぺーサーを4個用意し、これらを一方の木製枠材の針金固定側面の四隅に釘で固定する。
上記切り出したサンプルを、上記4個のスペーサーが固定された木製枠材と他方の木製枠材とが針金固定側同士が対向する様にして、網状針金間(そこには木製スぺーサーの厚み5mm分の間隔が保持されている)に挟み、続いて貫通孔を覆うことなく木製枠材同士がずれないように固定する。
かかる状態に木製枠材中に固定された積層発泡シートを、145℃に温度調節された空気循環式オーブンに入れて40秒加熱した後、オーブンから取り出して冷却する。次に、該冷却後のサンプルのMDの長さを測定して得られた値が加熱後寸法(A)であり、TDの長さを測定して得られた値が加熱後寸法(B)である。
本発明の積層発泡シートを構成する発泡層においては、非積層面の表面から200μmの密度(以後、「表層密度」ともいう。)が0.15〜0.35g/cmである。該表装密度は高い方が、延伸性に富みナキの発生がでにくい等の成形性に優れているが、0.35g/cmを超えると押出し時に延伸する際の冷却による歪が大きく残るため、成形時の伸びが悪く、ナキが発生する虞がある。この観点から0.30g/cm以下が好ましく、0.28g/cm以下が好ましい。一方、該密度が低くなると、積層発泡シートの発泡層における表層の気泡膜厚が薄くなりすぎて得られる成形品の内面が傷がつきやすくなる虞やナキが発生しやすくなる虞れがある。この観点から0.17g/cm以上が好ましく、0.19g/cm以上が好ましい。
なお、本明細書において、非積層面の表面とは耐衝撃性ポリスチレン系樹脂層が積層されていないポリスチレン系樹脂発泡層の表面をいう。
非積層面の表面から200μmの密度の測定は次のように行なう。
非積層面の表面から200μmの部分をスライスし、幅5mm×長さ20mmの試験片に切りそろえるとともに、試験片の重量と厚みを測定する。試験片の重量を試験片の体積(幅×長さ×厚み)で割算し、単位換算して密度を求める。
尚、試験片の長さ方向は、発泡層のMD方向と一致させるものとする。
前述のように、良好な熱成形性を得るために加熱後寸法、表層密度を適切な範囲に調整する必要があるが、これらを適切な範囲に調整したとき、積層発泡シートにおける発泡層の非積層面に過度な歪みを残しやすい。過度な歪みとは、加熱時の積層発泡シートが収縮する残留歪みのことであり、それが原因で熱成形時にナキを発生させることがある。そのため、前述の加熱後寸法、表層密度を適切な範囲内とした上で、非積層面の残留歪みを低減する必要がある。
公知文献3(特開2001―150610号公報)には、非積層面の残留歪みを低減する方法としてダイ内部において発泡性溶融混合樹脂の流速が急激に変化することを防止し、ダイ内部で応力緩和させることによって発泡時のスエリング比を小さくすることが記載されている。しかし、本発明のように成形品の内側となる発泡層の非積層面を形成することになる、発泡性溶融樹脂混合物をダイ内部で冷却する方法を採用しておらず、加熱後寸法、表層密度及び非積層面の残留歪み(TMAの最大収縮率)の全てを満足するに至っていない。
そこで本発明者らが鋭意検討した結果、押出する際、成形品の内側となる発泡シートの表面を形成する発泡性溶融樹脂混合物をダイ内部で冷却すれば、冷却、延伸工程での歪み量を低減できること、つまりTMAによって得られるTMA最大収縮率を低下させることを見出した。こうして得られた発泡層(発泡シート)に樹脂層を積層した積層発泡シートは、成形性に優れるものであった。
上記非積層面の残留歪みは、非積層面の表層部分に表れるため、該部分をTMAにより分析することができる。
具体的には、該発泡層の非積層面の表面から厚み200μmの部分について昇温速度10℃/minのTMAの測定により得られるTMA曲線において、MDの加熱収縮率の135℃以下におけるピークの頂点の値が0〜15%であり、TDの加熱収縮率の135℃以下におけるピークの頂点の値が0〜30%である(以下、昇温速度10℃/minのTMAによる、135℃以下の加熱収縮率のピークの頂点の値を「TMA最大収縮率」ともいう)。
MDのTMA最大収縮率が15%超の場合、熱成形する際に成形品の口縁部付近における周壁にナキが発生する虞がある。即ち、積層発泡シートにおける表面の気泡が伸びに耐えられずに破断し、TDに沿って亀裂が入る現象を引き起こす虞れがある。ナキの発生をよりいっそう防止する観点からは、13%以下が好ましく、11%以下がより好ましい。TDのTMA最大収縮率が30%超の場合、熱成形時に成形品口縁部付近の周壁にナキが発生する虞がある。ナキの発生をよりいっそう防止する観点からは、28%以下が好ましく、26%以下がより好ましい。
一方、MD及びTDのTMA最大収縮率の下限値は、通常、0%であるがあまり0%に近くなりすぎると、熱成形時の加熱の際に発泡シートの露出表面に大きな凹凸が形成されやすくなるので、MDのTMA最大収縮率の下限値は、2%以上が好ましく、4%以上が好ましい。また、TDのTMA最大収縮率の下限値は、3%以上が好ましく、5%以上が好ましい。尚、TMA最大収縮率が0%であるとは、135℃以下で加熱収縮率のピークの頂点がないことを意味する。
本発明においては、TMAによって得られるTMA曲線において、135℃以下における加熱収縮率のピークの頂点の値が特定の範囲内となるように発泡シートを形成する。従来から、TMAによって得られる加熱収縮率を制御することにより成形性を制御することは行なわれてきたが、本発明の特徴点の一つは、135℃以下における加熱収縮率のピークの頂点の値が熱成形時のナキの発生と相関があることを解明したことにある。具体的には、変位と温度とのTMA曲線には通常2つのピークが観察される(但し、低温側から1つ目のピークの大きさによって2つ目のピークが観察されにくいことがある)。これらの2つのピークは低温側は環状ダイから押出された発泡シートが冷却、延伸される工程で生じる歪みであり、高温側のピークはダイ内部で生じる歪みである。成形品の熱成形工程にて積層発泡シートを成形する際に成形を阻害する歪みは、これら2つのピークのうち低温側のピークに関するものが支配的であり、TMAによって測定される135℃以下における加熱収縮率のピークの頂点の値に注目すれば良いことを、本発明者等は見出し、本発明に到達した。
本明細書におけるTMAの測定は次のようにして行う。
積層発泡シートにおける発泡層の非積層表面から厚み200μmまでの表層部をスライスして、長さ20mm、幅5mm、厚さ200μmの試験片を作成する。この場合、MDのTMA最大収縮率を測定する時は、その試験片の長さ方向を発泡層のMDと一致させる。一方、表層部の幅方向のTMA最大収縮率を測定するときは、その試験片の長さ方向を発泡層の幅方向と一致させる。次に、図1に示すように、変位を0として支持管と検出棒によってチャック間距離(A)10mm、初期荷重1.0gとして試験片を支持した試料ホルダーを電気炉により25℃から180℃まで昇温速度10℃/minで加熱しながら、検出部によって、該収縮によって生じた寸法変化を検出し、横軸を温度、縦軸を寸法変化の変位としてグラフ化する。
なお、試験片の数はMD、TDともにN=2で実施し、その平均値を採用することとする。
TMA測定条件
島津製作所(株) 熱機械分析装置 TMA―50使用
試験片:5mm×15mm チャック間:10mmチャックオフセット:3.0g
初期荷重:1.0g 昇温速度:10℃/min
得られたTMA曲線よりTMA最大収縮率は、135℃以下における加熱収縮率のピークの頂点の値とし、ベースラインの値とピークの頂点の値との差を採用する。
また、ピークの頂点が明確に判断できない場合、例えば図4に示すTMA曲線のように、低温側のピークの下り曲線が高温側のピークの立上り曲線の影響を受けて下り曲線になっていない場合低温側のピークの立上り曲線の接線Aと、高温側のピークの影響を受けなければ下り曲線になっていると想定される部分(図4の場合では、略水平になっている部分)の接線Bとの交点の温度点(P)を採用する。
本発明の積層発泡シートにおいて、該発泡層を構成するポリスチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリメチルスチレン、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルとの混合物などが挙げられる。
前記した中でも、発泡層を構成するポリスチレン系樹脂としては、スチレンダイマー、スチレントリマーの合計含有量が2000ppm以下のものが好ましく、1500ppm以下のものがより好ましく、1000ppm以下のものが更に好ましい。これらの合計含有量が2000ppmを超えると、熱成形する際、表面が部分的に溶融したり、裂けが発生するので好ましくない。
更に、スチレンダイマー、スチレントリマーの合計含有量が2000ppm以下のポリスチレン系樹脂の中でも、数平均分子量(Mn)が80000以上、分子量分布(Mw/Mn)が2.9未満のポリスチレン樹脂が好ましい。分子量分布(Mw/Mn)が2.9未満の樹脂は、通常は連続重合法により製造されたものであり、安価に製造できるので好ましい。また、数平均分子量(Mn)が80000未満のポリスチレン系樹脂は機械的強度が弱く、得られる成形品の圧縮強度、引張強度等の機械的強度も弱くなる虞れがある。
本発明において、上記Mw、Mnは、いずれもゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法(GPC法)により求めた値である。具体的には、積層発泡シートの発泡層300mgをテトラヒドロフラン(THF)20mLに溶解させ(もしもTHFへの不溶分が存在する場合にはろ過して除去した後)、下記に示す機器を用い、下記分析条件にてGPC法により測定し、得られたチャートのスチレン系樹脂によるピーク開始位置(本発明では、便宜上、分子量5.4×10位置を採用)を基準に水平(横軸と平行)にベースラインを引き、標準ポリスチレンを用いて作成した標準較正曲線により、各分子量を計算する。
使用機器:株式会社ジーエルサイエンス製GPC仕様高速液体クロマトグラフ。
カラム:昭和電工株式会社製カラム、商品名Shodex GPC KF−806、同KF−805、同KF−803をこの順に直列に連結して使用。
カラム温度:40℃。
溶媒:THF。
流速:1.0mL/分。
濃度:0.2重量%。
注入量:0.2ml。
検出器:株式会社ジーエルサイエンス製紫外可視検出器、商品名UV702型(測定波長254nm)。
分子量分布の計算に用いた較正曲線の分子量範囲:5.4×10〜5.4×10
本発明の積層発泡シートを構成する耐衝撃性ポリスチレン系樹脂層の基材樹脂は、スチレン成分とゴム成分とからなり、両者の総和を100重量%とした場合、スチレン成分65〜98重量%、ゴム成分35〜2重量%とからなるスチレン系樹脂で、具体的には例えば次のものが挙げられる。
(1)スチレン成分とゴム成分とからなるランダム共重合体樹脂、ブロック共重合体樹脂、グラフト共重合体樹脂、又はこれら共重合体樹脂の2種以上の混合物。
(2)上記(1)の樹脂とスチレン単独重合体との混合物。
(3)スチレン単独重合体とゴム(熱可塑性エラストマーも含む)との混合物。
(4)上記(1)の樹脂又は(2)の樹脂と、ゴム(熱可塑性エラストマーも含む)との混合物。
但し、樹脂層を構成する樹脂としては、積層発泡シート及びその熱成形品への耐衝撃性付与並びに強度付与の観点から、シャルピー衝撃強さJIS K7111(1996年)において方法の分類をISO179/1eAとしてその値が3〜20kJ/m、好ましくは6〜16kJ/mのものを使用することが好ましい。
次に、本発明の積層発泡シートの製造方法について説明する。
まず、押出機にポリスチレン系樹脂、気泡調節剤等の各種の添加剤を押出機に供給し、加熱、溶融、混練し、発泡剤を圧入して更に混練して発泡性溶融樹脂混合物とし、該発泡性溶融樹脂混合物を発泡適性温度に調整し、押出機の出口に取付けた環状ダイを通して大気中に押出して筒状に発泡させる。次に、得られた筒状発泡体を筒状の冷却装置(以下、単に「マンドレル」ともいう)に沿わせ引取りながら冷却すると共に切り開いてシート状の発泡層を形成する。
樹脂層は、押出着後に他の押出機を用いて押出ラミネーションにより積層してもよく、共押出ダイを用いて発泡性溶融樹脂混合物と樹脂層用溶融樹脂混合物を積層してから押出すことにより形成してもよい。また、発泡層を形成してから数日後に押出機を用いて積層してもよければ、フィルムをラミネートしてもよい。
前記押出機に圧入する発泡剤としては、例えば、揮発性発泡剤、無機ガス系発泡剤、分解型発泡剤等を、それぞれ単独で又は2以上組み合わせて用いられる。揮発性発泡剤としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、シクロブタン、シクロペンタン等の環式脂肪族炭化水素類、トリクロロフロロメタン、ジクロロジフロロメタン、1,2−ジクロロ−1,1,2,2−テトラフロロエタン、1−クロロ−1,1−ジフロロエタン、1,1−ジフロロエタン、1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフロロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、エチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素類等が挙げられる。無機ガス系発泡剤としては、二酸化炭素、窒素、空気等の不活性ガスが用いられる。また分解型発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。しかしながら、積層発泡シートの熱成形に先立つ加熱時の二次発泡性向上の観点からは、揮発性発泡剤を主たる発泡剤として使用することが望ましい。発泡剤の添加量は、発泡剤の種類、基材樹脂、目的とする発泡倍率等によって異なるため、発泡剤の種類、基材樹脂の種類に応じて目的とする発泡倍率が得られるように添加量を選択する。
前記ポリスチレン系樹脂と共に押出機に供給される気泡調整剤としては、タルク、シリカ等の無機粉末や、多価カルボン酸の酸性塩、多価カルボン酸と炭酸ナトリウム或いは重炭酸ナトリウムとの反応混合物等が挙げられる。気泡調整剤の添加量は、樹脂100重量部当たり、通常は多くても5重量部程度である。
前記したMDの加熱後寸法(A)及びTDの加熱後寸法(B)は、押出発泡時の冷却、延伸工程における発泡シートに与えられる歪量と強い相関があり、該歪量は引取速度(押出方向の延伸)とブローアップ比(幅方向の延伸)の影響を大きく受ける。従って、加熱後寸法(A)、加熱後寸法(B)は、引取速度やブローアップ比により調整できる。
具体的には、MDの加熱後寸法(A)は、引取速度を上げる、ダイ出口の間隙を大きくすることによっては小さくなる傾向があるので、これらを調整することによって制御することができる。また、ダイ内の樹脂流路における出口のテーパー角度を調整することも好ましい方法である。具体的にはテーパー角度を大きくすることによって、MDの加熱後寸法(A)は小さくなる傾向がある。その場合、テーパー角度は5〜15°が好ましく、5〜12°がより好ましく、5〜10°がさらに好ましい。
また、TDの加熱後寸法(B)は、ブローアップ比を大きくすると小さくなる傾向があるので、ブローアップ比を調整することにより制御することができる。ここで、ブローアップ比とは、マンドレルの直径をダイ出口の口径で割った値をいい、通常は2.5〜4.5である。
前記した方法を組み合わせることにより、前記比(A)/(B)が0.90〜1.05となるように調整することができる。
発泡層の非積層面の表面から200μmの密度が0.15〜0.35g/cmとなるように発泡層を製造する方法としては、ダイの冷却、特にダイの樹脂流路周辺での冷却温度の調節や、ダイから押出された筒状発泡体をマンドレルまで引取る過程で、環状のエアー吹き出し装置を用いて発泡層表面にエアーを吹きつけて冷却し、その風量等を調整することが挙げられる。具体的には、20〜80℃のエアーを用いて、筒状発泡体の内側の風量を1〜4m/min、筒状発泡体の外側の風量1〜7m/minに調整し、この範囲内で温度を低く、或いは風量を増加させると表面の密度が高くなり、さらに表面付近の気泡の気泡膜厚が厚くなり、成形時に積層発泡シート表面の破断が起きにくくなり成形性が向上する。また、エアーの風量を一定として引取速度を下げた場合も、表層の密度を高くすることができる。
発泡層における非積層面の表面から厚み200μmの部分についてのTMA最大収縮率の調整法としては、ダイ内で発泡性溶融樹脂混合物の流路の外側と内側を温度調節する方法が挙げられる。ダイを温度調節する方法としては、ダイ温度よりも低温の冷却媒体により、ダイ外周やダイの内部に位置するダイシャフト(心金)をダイ温度よりも低温に温度調節する方法等が挙げられる。この場合の冷却媒体としては、オイルや水などが挙げられる。この場合、ダイの内部に位置するダイシャフト(心金)の壁の温度は発泡性溶融樹脂混合物の温度よりも10〜40℃低めに設定することが好ましい。
また、前述したようにダイから押出された筒状発泡体をマンドレルまで引き取る過程で、発泡層の表面にエアーを吹きつけて冷却することで、TMA最大収縮率は調整され、温度を低くすること或いは風量を増加させることによりTMA最大収縮率を増加させることができる。
また、前述したダイ内の発泡性溶融樹脂混合物流路における出口のテーパー角度を調整することも挙げられる。具体的には、出口のテーパー角度を大きくすることでMD方向の最大収縮率を増加させることができる。その場合の角度は、前述したMDの加熱後寸法(A)の調整同じである。
本発明の積層発泡シートは、従来公知の成形方法によって成形することができ、特に深絞り成形性に優れている。成形方法としては、真空成形、圧空成形や、これらの応用として、フリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースロード成形等やこれらを組合せた方法等が採用される。
本発明の積層発泡シートを用いて成形する成形品の絞り比は、深絞りに好適である観点から0.25以上が好ましく、0.4以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましい。一方、その上限は部分的に薄い箇所が発生する虞れがあるため1.1以下が好ましく、1.0以下がより好ましく、0.9以下がさらに好ましい。また、本発明の積層発泡シートは、深絞りの成形品に好適であるがトレイのように深さが浅い成形品でも成形できる。
本発明の積層発泡シートを用いて成形される成形品としては、例えば、トレイ、丼、弁当箱、カップ等が挙げられる。特に、深絞りの丼、カップが優れている。
以下、本発明の積層発泡シートについて、実施例により具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定するものではない。
実施例1
ポリスチレン系樹脂として、PSジャパン株式会社製G0002(連続重合法:スチレンダイマー、スチレントリマーの含有量1100ppm、数平均分子量(Mn)10.6×10、分子量分布(Mw/Mn)2.8)を使用し、該ポリスチレン系樹脂100重量部に対してタルク0.9重量部を配合した原料を内径115mmφの押出機に投入して加熱溶融混練することにより溶融樹脂とし、該溶融樹脂にイソブタン65重量%とノルマルブタン35重量%の混合ブタン発泡剤を圧入して混練し、発泡性溶融混合樹脂とした。発泡剤の添加量は、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して3.4重量部とした。
次いで、上記115mmφの押出機に接続された内径180mmφの押出機にて、上記発泡性溶融混合樹脂をブレーカー部の測定温度が156℃となるように冷却し、該発泡性溶融混合樹脂を出口間隙0.67mmの環状ダイを通して、押出発泡させ、その直後に内側から温度25℃の冷却エア(風量、1.8m/min)を吹きつけ、同時に外側から温度25℃の冷却エア(風量、4.5m/min)を吹付けながら、円筒状の発泡体とし、該発泡体の内面を直径668mmの円柱状の冷却装置(マンドレル)側面上を通過させながら冷却した後、押出方向に2箇所切開くことにより約1000mm幅の2枚の発泡シートを得た。マンドレルの直径をダイ出口の口径で割った値のブローアップ比は、3.7とした。
実施例1においては、ダイの内部に位置するダイシャフト(心金)部分にオイルが循環する流路が設けてあり、流路入口に120℃に設定したオイルを入れ、再び流路出口に戻ってきたオイルを温度調整して温度120℃となるようにして継続的に除熱を行った。また、ダイの出口のテーパー角度を5°とした。
次に、耐衝撃性樹脂として、PSジャパン株式会社製475Dを押出機に供給し、加熱、溶融、混練してから、Tダイを通して押出された耐衝撃性樹脂溶融物を、上記発泡シートのマンドレルに接触しない表面側に積層することにより積層発泡シートを形成した。
得られた発泡層の見掛け密度、発泡層の厚み、樹脂層の厚み、積層発泡シートの厚み及び全坪量を表1に示した。
実施例2
ダイ内のダイシャフト(心金)部分に130℃に温度調整されたオイルを循環させ、発泡剤の添加量を、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して3.3重量部とし、ダイの出口のテーパー角度を7°とし、得られた発泡層の見掛け密度、発泡層の厚み、樹脂層の厚み、積層発泡シートの厚み及び全坪量を表1に示したようにしたこと以外は、実施例1と同様に積層発泡シートを形成した。
実施例3
発泡剤の添加量をポリスチレン系樹脂100重量部に対して3.1重量部とし、得られた発泡層の見掛け密度、発泡層の厚み、樹脂層の厚み、積層発泡シートの厚み及び全坪量を表1に示したようにしたこと以外は、実施例2と同様に積層発泡シートを形成した。
比較例1
ダイ内のダイシャフト(心金)部分にオイルを循環させず、発泡層の見掛け密度、発泡層の厚み、樹脂層の厚み、積層発泡シートの厚み及び全坪量を特に調整しなかった以外は実施例1と同様に積層発泡シートを形成した。
比較例2
ダイ内のダイシャフト(心金)部分にオイルを循環させず、内側からの冷却エア風量を1.6m/min、環状ダイの出口間隙を0.57mmとし、発泡層の見掛け密度、発泡層の厚み、樹脂層の厚み、積層発泡シートの厚み及び全坪量を表1に示したように設定したこと以外は、実施例1と同様に積層発泡シートを形成した。
比較例3
環状ダイの出口間隙を0.52mmとし、ダイの出口のテーパー角度を4°とし、発泡層の見掛け密度、発泡層の厚み、樹脂層の厚み、積層発泡シートの厚み及び全坪量を表1に示したように設定したこと以外は、実施例1と同様に積層発泡シートを形成した。
比較例4
ダイ内のダイシャフト(心金)部分にオイルを循環させず、内側からの冷却エア風量を1.2m/minとし、発泡層の見掛け密度、発泡層の厚み、樹脂層の厚み、積層発泡シートの厚み及び全坪量を表1に示したように設定した以外は、実施例1と同様に積層発泡シートを形成した。
実施例、比較例で得られた発泡層の見掛け密度、発泡層の厚み、樹脂層の厚み、積層発泡シートの厚み、積層発泡シートの全坪量(表中では「全坪量」と示した)、積層発泡シートのMDの加熱後寸法(A)(表中では「加熱後寸法(A)」と示した)とTDの加熱後寸法(B)(表中では「加熱後寸法(B)」と示した)、比(A)/(B)、発泡層の表層密度、MD及びTDのTMA最大収縮率、ドローダウンの評価、成形性、ナキの発生率、熱湯加熱変形評価及び総合評価を表1に、TMA曲線を図1、2に示す。
Figure 2005349593
成形性
実施例、比較例で得られた積層発泡シートについて、浅野研究所製 品番 FKS−0631−10の成形機を用いてプラグアシスト法により樹脂層が積層された面を外面側に位置するように熱成形して、開口部が直径φ141mmの円形、深さ73mm、絞り比0.52の丼形状の成形品を成形し、成形品の口縁部付近の周壁におけるナキの発生状況を観察した。結果を表1に示した。ナキの発生状況はナキの発生率として示した。尚、ナキの発生率は、成形品100個に対するナキが発生した成形品の割合である。
ドローダウンの評価
空気循環式オーブン(タバイエスペック株式会社製 品番PERFECT OVEN PH−200)を用いて、装置内の温度を145℃に設定し、積層発泡シートから一辺260mmの正方形サンプルを切り出し、このサンプルを内寸が一辺200mmの正方形に抜かれた枠で両面から固定し、この状態で145℃に加熱した空気循環式オーブンに入れて42秒加熱した後、オーブンから取り出してサンプルの元の位置からの凹凸までの最大距離を測定し、得られた値をドローダウンの値とした。
○・・・ドローダウンの値が10mm以下
×・・・ドローダウンの値が10mmを超える
熱湯加熱変形評価
実施例、比較例で得られた成形品を用いて、お湯を入れる前の開口部の寸法を(L1)とし、100℃、480ccのお湯を入れて、5分後に同じく開口部の寸法(L2)を測定し、開口部の変形量を評価した。なお、ナキが発生するシートについては評価する意味がないため、成形性が問題なしの積層発泡シートを対象に実施した。
◎・・・変形量0mm〜1mm
○・・・変形量1mm超〜2mm以下
×・・・変形量2mm超
総合評価
成形性、ドローダウンの評価、熱湯加熱変形評価の評価に基づいて以下の通りに評価した。
○・・・全て○
×・・・×がある
表1から、本発明の積層発泡シートは、成形性、ドローダウンの評価、熱湯加熱変形に問題がないのに対し、従来の積層発泡シートは、上記3点を満足するができないことが判る。
熱機械分析(TMA)測定装置の概略説明図である。 実施例、比較例で得られたMD方向の加熱収縮率におけるTMA曲線の一例である。 実施例、比較例で得られたTD方向の加熱収縮率におけるTMA曲線の一例である。 ピークの頂点が分かりにくいTMA曲線の一例である。

Claims (1)

  1. 見掛け密度0.095〜0.210g/cm、厚み1.8〜3.0mmのポリスチレン系樹脂発泡層の片面に、厚み80〜180μmの耐衝撃性ポリスチレン系樹脂層が積層されてなる、坪量300〜550g/mの積層発泡シートにおいて、該積層発泡シートの押出方向の加熱後寸法(A)の値が190〜204mmであり、該加熱後寸法(A)と幅方向の加熱後寸法(B)の比(A)/(B)が0.90〜1.05であり、発泡層の非積層面の表面から200μmの密度が0.15〜0.35g/cmであり、非積層面の表面から厚み200μmの部分についての昇温速度10℃/minでの熱機械分析により得られるTMA曲線において、押出方向の加熱収縮率の135℃以下におけるピークの頂点の値が0〜15%であり、幅方向の加熱収縮率の135℃以下におけるピークの頂点の値が0〜30%であることを特徴とするポリスチレン系樹脂積層発泡シート。
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