JP2002166508A - ポリスチレン系樹脂発泡シート及びその容器 - Google Patents

ポリスチレン系樹脂発泡シート及びその容器

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JP2002166508A
JP2002166508A JP2000365974A JP2000365974A JP2002166508A JP 2002166508 A JP2002166508 A JP 2002166508A JP 2000365974 A JP2000365974 A JP 2000365974A JP 2000365974 A JP2000365974 A JP 2000365974A JP 2002166508 A JP2002166508 A JP 2002166508A
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foamed
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sheet
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Katsuhiro Shirie
克宏 尻江
Masaaki Yukitani
雅明 行谷
Hirobumi Mikoshiba
寛文 御子柴
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JSP Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 従来の共押出によって製造された発泡シート
の、幅方向における各層の厚さの不均一性を改良し、圧
縮硬さや熱成形性が幅方向において均一なポリスチレン
系樹脂発泡シート及びその容器を提供する。 【解決手段】 本発明の樹脂発泡シートは、平均気泡径
が155〜450μmのポリスチレン系樹脂第一発泡層
と平均気泡径が35〜180μmのポリスチレン系樹脂
第二発泡層(但し、第一発泡層の平均気泡径>第二発泡
層の平均気泡径)とからなる発泡シートであって、第一
発泡層の幅方向における厚み(T1:mm)の標準偏差
σ(T1)n-1が0mm≦σ(T1)n-1≦0.140mmであ
り、第二発泡層の幅方向における厚み(T2:mm)の
標準偏差σ(T2)n-1が0mm≦σ(T2)n-1≦0.160m
mである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリスチレン系樹
脂発泡シート及びその容器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、ポリスチレン系樹脂発泡シー
トを熱成形して得られた、弁当箱、トレイ、丼、カップ
等が食品用容器として用いられてきた。
【0003】かかるポリスチレン系樹脂発泡シートは、
軽量であるにもかかわらず、剛性や断熱性に優れている
ことが要求される。また、高速で熱成形できると共に熱
成形時に亀裂や破れが発生することがないことも要求さ
れる。更に、食品に高級感を付与するために、容器の外
観は美麗且つ平滑でなければならないことから、発泡シ
ートの表層は気泡径が小さく密度が低いことも要求され
る。
【0004】従来は発泡シートの押出発泡時に、発泡シ
ートの表面に空気を吹きかけて冷却することによって表
層を美麗且つ平滑にすることが行われてきた。しかしな
がら、そのような発泡シートは熱成形時に亀裂や破れが
発生しやすくなるという問題が発生していた。
【0005】このような外観が美麗であると同時に熱成
形性も優れていなければならないという相反する問題を
解決するために、近年、発泡シートを異なる発泡層の積
層体として構成することが試みられ、特に共押出法につ
いて積極的な検討が行なわれてきた。共押出法は、一の
発泡層を形成する溶融樹脂混合物と他の発泡層を形成す
る溶融樹脂混合物とを、異なる押出機を用いてダイ内に
供給し、該ダイ内で融着し一体としてシート状に押出し
て発泡させる方法である。かかる共押出法によれば、発
泡シートの表面に空気を多量に吹きかけて冷却しなくて
も表層を美麗且つ平滑にすることが可能になった。また
共押出法によれば、一の発泡層に剛性を付与し、他の発
泡層を軽量化することにより、軽量で剛性に優れる発泡
シートを製造することも可能になった。
【0006】また、従来からポリスチレン系樹脂発泡シ
ートの少なくとも片面に熱可塑性樹脂層が積層されたポ
リスチレン系樹脂発泡シートが知られ、該発泡シートを
熱成形して得られた、弁当箱、トレイ、丼、カップ等も
食品用容器として用いられてきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
共押出法によって製造されたポリスチレン系樹脂発泡シ
ートにおいては、ダイ内で異なる層を形成する溶融樹脂
同士を融着させるため、各発泡層の幅方向における厚さ
の均一性に劣るものであった。同様に、少なくとも片面
に熱可塑性樹脂層が積層されたポリスチレン系樹脂発泡
シートにおいても、発泡シートを構成する各発泡層の幅
方向における厚さの均一性が不充分であった。
【0008】上記各発泡層の幅方向厚さ均一性に欠ける
ポリスチレン系樹脂発泡シートや熱可塑性樹脂層が積層
された発泡シートは、熱成形性がシート幅方向において
大きく変化することから、最適な成形条件を設定するの
が困難なため、成形時における不良品の発生が多かっ
た。又、圧縮硬さや、剛性等の物性がシート幅方向にお
いて大きく変化するので、熱成形によって得られた成形
品の品質がシート幅方向において一定しないという問題
も発生していた。
【0009】本発明は、従来の共押出によって製造され
た発泡シートの、幅方向における各層の厚さの不均一性
を改良し、圧縮硬さ等の物性や熱成形性が幅方向におい
て均一なポリスチレン系樹脂発泡シート及びその容器を
提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決する手段】本発明は、(1)平均気泡径が
155〜450μmのポリスチレン系樹脂第一発泡層と
平均気泡径が35〜180μmのポリスチレン系樹脂第
二発泡層(但し、前記第一発泡層の平均気泡径>前記第
二発泡層の平均気泡径)とからなる発泡シートであっ
て、前記第一発泡層の幅方向における厚み(T1:m
m)の標準偏差σ(T1)n-1が0mm≦σ(T1)n-1≦0.1
40mmであり、且つ前記第二発泡層の幅方向における
厚み(T2:mm)の標準偏差σ(T2)n-1が0mm≦σ(T
2)n-1≦0.160mmであることを特徴とするポリス
チレン系樹脂発泡シート。(但し、ポリスチレン系樹脂
第一発泡層の厚み(T1)はポリスチレン系樹脂発泡シ
ートを幅方向に等間隔に11等分する10個所の位置に
おいて、両端の2個所を除いた内側の8個所の位置にお
ける各測定値である。)、(2)前記第一発泡層の厚み
(T1)が少なくとも0.300mmであることを特徴
とする前記(1)記載のポリスチレン系樹脂発泡シー
ト、(3)密度が0.050〜0.105g/cm3
あることを特徴とする前記(1)又は(2)記載のポリ
スチレン系樹脂発泡シート、(4)熱可塑性樹脂層が最
外層を構成するようにポリスチレン系樹脂第一発泡層に
積層されていることを特徴とする前記(1)乃至(3)
のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂発泡シート、
(5)前記(1)乃至(4)のいずれかに記載のポリス
チレン系樹脂発泡シートをポリスチレン系樹脂第二発泡
層がポリスチレン系樹脂第一発泡層の外側に位置するよ
うに熱成形することによって得られたことを特徴とする
容器、(6)容器開口部の最大長さをDiとし、容器の
深さをHとして、H/Diによって定められる絞り比が
0.1以上0.3未満であることを特徴とする前記
(5)記載の容器、(7)熱可塑性樹脂層が最外層を構
成するようにポリスチレン系樹脂第二発泡層に積層され
ていることを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれ
かに記載のポリスチレン系樹脂発泡シート、(8)前記
(7)記載のポリスチレン系樹脂発泡シートを熱可塑性
樹脂層が外側に位置するように熱成形することによって
得られたことを特徴とする容器、(9)容器開口部の最
大長さをDiとし、容器の深さをHとして、H/Diによ
って定められる絞り比が0.3以上1.3以下であるこ
とを特徴とする前記(8)記載の容器を要旨とする。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のポリスチレン系樹脂発泡
シート(以下、「発泡シート」という。)は、図1に示
すように、ポリスチレン系樹脂を主成分とする第一発泡
層とポリスチレン系樹脂を主成分とする第二発泡層とか
らなる。尚、図1は、本発明の発泡シートの一例を示す
縦断面図であって、図1において、1は発泡シートを、
2は第一発泡層を、3は第二発泡層をそれぞれ示す。
【0012】本発明の発泡シート1は押出発泡により製
造され、その基材樹脂はポリスチレン系樹脂である。該
ポリスチレン系樹脂はスチレンの単独重合体及び共重合
体を包含する。該共重合体は、下記の一般式(1)で表
されるスチレン系モノマーを共重合成分として含有する
ものが好ましく、該共重合成分のモノマー単位の含有量
は、25重量%以上が好ましく、50重量%以上がより
好ましい。
【0013】
【化1】 上記一般化学式(1)において、Rは水素原子またはメ
チル基を示し、Zはハロゲン原子またはメチル基を示
し、pは0または1〜3の整数である。
【0014】上記スチレンの単独重合体や共重合体は、
ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン、スチレン−アク
リロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリ
ロニトリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、
スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリ
ル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共
重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレ
ン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−無水マレイ
ン酸共重合体、ポリスチレン−ポリフェニレンエーテル
共重合体、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルとの
混合物などが例示される。
【0015】上記ポリスチレン系樹脂は、ビカット軟化
点が100℃以上のものを使用することが、発泡シート
1の耐熱性を向上させることができるので好ましい。
尚、該ビカット軟化点はJISK7206(1991)
(試験荷重はA法、液体加熱法における液体の昇温速度
は50℃/時)にて求められる。
【0016】本発明で用いられるポリスチレン系樹脂
は、その溶融粘度が、190℃、剪断速度100/se
cの条件において、20Pa・s〜10000Pa・s
であることが好ましく、100〜5000Pa・sであ
ることがより好ましい。該溶融粘度が20Pa・s未満
では、発泡シート1を形成する際にダイより押出された
溶融樹脂を引取ることができず、発泡シート1の形成が
困難になる虞れがある。一方、10000Pa・sを超
えると、粘度が高すぎて押出圧力が上昇して押出成形が
困難になり、良質の発泡シート1を得ることができなく
なる虞れがある。
【0017】本発明においては、発泡シート1の基材樹
脂としてスチレン二量体及び三量体の成分(以下、併せ
て「低分子量成分」という。)が2000重量ppm以
下、より好ましくは1000重量ppm以下のポリスチ
レン系樹脂を用いることが好ましい。該成分を2000
重量ppm以下にすると、剛性に優れた発泡シート1を
得ることができる。更に、第一発泡層2のみを低分子量
成分が2000重量ppm以下、より好ましくは100
0重量ppm以下として構成し、該第一発泡層2を容器
の内側に向けて熱成形することによって、軽量かつ安価
であると同時に開口部の剛性に優れた容器を得ることが
できる。
【0018】本発明において、上記ポリスチレン系樹脂
発泡層中の低分子量成分とは、以下のようにして測定し
た値である。
【0019】試料の調整及び測定は次のように行なう。 1.発泡シート又は各発泡層約0.2gを正確に秤量
し、ビーカー中において約15mlのテトラヒドロフラ
ンに溶解させる。 2.発泡シート又は各発泡層がテトラヒドロフランに完
全に溶解したことを確認した後、該約15mlのテトラ
ヒドロフラン溶液を、約250mlのn−ペンタン中に
滴下してポリスチレン系樹脂を析出させる。次に、上記
15mlのビーカー中に約5mlのテトラヒドロフラン
を入れてビーカー中を洗浄し、該洗浄に使用した約5m
lのテトラヒドロフランを前記約250mlのn−ペン
タン中に滴下することにより洗浄操作を行なう。該洗浄
操作は二回行なう。 3.上記n−ペンタン中に滴下したポリスチレン系樹脂
を、No.5Bのろ紙を使用してビーカー中にろ別す
る。尚、ろ過は、吸引ろ過は行なわず、自然ろ過を行な
う。 4.上記ろ液の入ったビーカーを15℃の水浴にて保温
しつつ、コンプレッサーエアーをろ液に吹きかけながら
6〜8時間かけて、ろ液を約100mlに濃縮する。 5.上記約100mlに濃縮されたろ液に約40mlの
アセトニトリルを加え、更に15℃の水浴にて保温しつ
つ、コンプレッサーエアーをろ液に吹きかけながら2〜
3時間かけて、ろ液を約6〜9mlに濃縮する。 6.上記約6〜9mlに濃縮されたろ液にアセトニトリ
ルを加え、全量が10mlとなるように希釈したものを
測定用試料とする。 7.上記測定試料を下記仕様の高速液体クロマトグラフ
に注入して、発泡シート又は各発泡層の低分子量成分の
含有量を測定する。
【0020】高速液体クロマトグラフの仕様は次の通り
である。 測定装置 株式会社島津製作所製高速液体クロマトグ
ラフ 液送ポンプLC−6A(二台)、自動試料注入装置SI
L−6A、紫外線分光光度計検出器SPD−6A、カラ
ムオーブンCTO−6A、システムコントローラSCL
−6A、データ処理装置C−R3A
【0021】測定条件 カラム 信和加工株式会社製 ULTRON VX
−ODS(充填材ODSシリカ、内径4.6mm、長さ
250mm、粒径5μm) カラム温度 50℃ 移動相 アセトニトリル:水(体積比6:4)を移
動相の初期濃度とし、測定試料注入直後からリニアグラ
ジエントを13分間行なうことにより、アセトニトリル
のみの移動層とした後、更に22分間溶出させた。 流速 1.5ml/min 検出波長 225nm 注入量 5〜100μlの範囲で適宜選択する。 検量線 スチレン二量体及び三量体の標準試料(関
東化学株式会社製)を使用し、絶対検量線法により定量
する。
【0022】本発明においては、上記ポリスチレン系樹
脂に、脆性改善等を目的としてスチレン−共役ジエンブ
ロック共重合体やその水添物をブレンドしたものを添加
することができる。
【0023】又、上記ポリスチレン系樹脂には、本発明
の目的を著しく損なわない範囲で、必要に応じて各種の
添加剤、例えば、造核剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電
防止剤、導電性付与剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃
剤、無機充填剤等を添加することができる。
【0024】本発明の発泡シート1の製造に用いる発泡
剤としては、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−
ブタンとi−ブタンとの混合物、ペンタン、ヘキサン等
の脂肪族炭化水素、シクロブタン、シクロペンタン等の
環式脂肪族炭化水素、トリクロロフロロメタン、ジクロ
ロジフロロメタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1
−ジフルオロ−1−クロロエタン、1,1,1,2−テ
トラフルオロエタン、メチルクロライド、エチルクロラ
イド、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素およ
びこれらの混合物等の揮発型発泡剤を使用することがで
きる。但し、オゾン層の破壊等環境へ悪影響のを及ぼす
ことが少ないハロゲン化水素を含まないものを使用する
ことが好ましい。
【0025】又、本発明においては、アゾジカルボンア
ミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビス
イソブチロニトリル、重炭酸ナトリウム等の分解型発泡
剤を使用したり、二酸化炭素等の無機ガスや水を使用す
ることもできる。更に、上記各種の発泡剤を適宜混合し
て用いることもできる。
【0026】本発明においては、発泡剤は特に限定され
ず、目標とする発泡シート1の密度に対応して適宜選択
することができる。
【0027】本発明における第一発泡層2の平均気泡径
は、155〜450μmである。平均気泡径が155μ
m未満の場合は、熱成形性が悪くなり、熱成形性を向上
させるという第一発泡層2の本来の役割が果たせなくな
る虞がある。例えば、高速成形を行う場合や深絞り成形
を行う場合に亀裂や破れが発生する虞がある。一方、平
均気泡径が450μmを超える場合は、外観が悪くな
り、断熱性も低下する虞がある。
【0028】本発明における第二発泡層3の平均気泡径
は35〜180μmである。平均気泡径が35μm未満
の場合は、熱成形時に第二発泡層3の亀裂や破れが発生
する虞がある。一方、平均気泡径が180μmを超える
場合は、第二発泡層3の表面が荒い凹凸状になるので、
表面平滑性が悪くなると共に美観を向上させるという第
二発泡層3本来の役割が果たせなくなる虞がある。
【0029】前記第一発泡層2の平均気泡径は第二発泡
層3の平均気泡径より大きい(第一発泡層2の平均気泡
径>第二発泡層3の平均気泡径)。このように本発明の
発泡シート1は、気泡径が大きく熱成形に優れる第一発
泡層2と、気泡径が小さく外観が美麗な第二発泡層3と
が積層されているので、外観が美麗であると共に熱成形
が優れている。第一発泡層2の平均気泡径が第二発泡層
3の平均気泡径と同じ場合は、外観が美麗であると共に
熱成形が優れている、発泡シート1を得ることができな
い虞がある。
【0030】本明細書における上記第一発泡層2及び第
二発泡層3の平均気泡径は、つぎのように求める。発泡
シート1の幅方向を等間隔で11等分する10個所の位
置において、両端の2個所を除いた内側の8個所の位置
から切り出した試料について、押出方向に垂直方向の断
面を顕微鏡で撮影し、各々の断面写真について第一発泡
層2の厚さt2及び第二発泡層3の厚さt3を測定する。
次に、各断面写真の厚さ方向に直線lを引き、直線lと
交わる第一発泡層2における全ての気泡径の数n2、及
び直線lと交わる第二発泡層3における全ての気泡径の
数n3を数える。このようにして得られたt2とn2から
各断面写真について気泡径(t2/n2)を計算し、8箇
所の(t2/n2)の平均を第一発泡層2の平均気泡径と
する。又、t3とn3から各断面写真について気泡径(t
3/n3)を計算し、8箇所の(t3/n3)の平均を第二
発泡層3の平均気泡径とする。
【0031】本発明においては、前記第一発泡層の幅方
向における厚み(T1:mm)の標準偏差σ(T1)n-1が0
mm≦σ(T1)n-1≦0.140mmであり、且つ前記第
二発泡層の幅方向における厚み(T2:mm)の標準偏
差σ(T2)n-1が0mm≦σ(T2) n-1≦0.160mmであ
る。第一発泡層の厚み(T1:mm)と第二発泡層の厚
み(T2:mm)がかかる関係を満たす発泡シート1
は、発泡シート1の幅方向における厚み分布が均一なも
のとなる。
【0032】一方、前記標準偏差σ(T1)n-1又は標準偏
差σ(T2)n-1が前記値を超える場合は、幅方向の厚みの
均一性が失われ、熱成形時に成形不良が発生し、得られ
た成形品の品質の均一性が失われる虞がある。尚、第一
発泡層2の幅方向の厚みがより均一であるという点で、
標準偏差σ(T1)n-1は0mm≦σ(T1)n-1≦0.130m
mが好ましく、更に0mm≦σ(T1)n-1≦0.120m
mであることが好ましい。また、第二発泡層3の幅方向
の厚みがより均一であるという点で、標準偏差σ(T2)
n-1は0mm≦σ(T2)n-1≦0.150mmが好ましく、
更に0mm≦σ(T1) n-1≦0.145mmであることが
好ましい。但し、前記厚み(T1:mm)及び(T2:m
m)は発泡シートを幅方向に等間隔に11等分する10
個所の位置において両端の2個所を除いた内側の8個所
の位置における各測定値である。このように厚みの測定
個所を定めることにより、熱成形の対象となる発泡シー
ト1の部分の各層の厚み分布を確実に把握できる。
【0033】本明細書における発泡シート1の厚さ、第
一発泡層2の厚さ、第二発泡層3の厚さは、発泡シート
1の押出方向に対して垂直方向の断面を顕微鏡で撮影
し、その写真より求めるものとする。
【0034】本明細書における第一発泡層の幅方向にお
ける厚み(T1:mm)の標準偏差σ(T1)n-1は次式
(2)により求めるものとする。
【0035】
【数1】 σ(T1)n-1={Σ(Ti−T1a2/(n−1)}1/2 ……(2)
【0036】(2)式において、σ(T1)n-1は幅方向に
おける厚み(T1:mm)の標準偏差を、nは測定値の
数(具体的には「8」である。)を、Tiは個々の測定
値を、T1aは厚み(T1:mm)の平均値を、Σは個々
の測定値について計算した(Ti−T1a2を全て(具体
的には「8の計算値」である。)足算することをそれぞ
れ示す。尚、本明細書における第二発泡層の幅方向にお
ける厚み(T2:mm)の標準偏差σ(T2)n-1についても
式(2)と同様に求めるものとする。
【0037】本発明における発泡シート1全体の厚さ
は、0.4〜5mmが好ましく、0.5〜4mmがより
好ましく、0.6〜3mmが特に好ましい。該発泡シー
ト1の厚さが0.4mm未満の場合は、発泡シートを熱
成形して得られる容器の強度や断熱性が低下する虞があ
る。5mmを超える場合は、発泡シートを熱成形する際
に発泡シート1の内部と外部との間において加熱ムラが
発生しやすく、金型の形状を再現した容器を得ることが
できない虞がある。
【0038】本発明の発泡シート1においては、前記第
一発泡層2の厚み(T1:mm)が少なくとも0.30
0mm、即ち少なくとも300μmであることが好まし
い。かかる厚みの第一発泡層2を有する発泡シート1か
ら熱成形によって得られた容器は、剛性の優れたものと
なる。特に絞り比が0.3以上1.3未満の成形体であ
って、第一発泡層2が第二発泡層3の内側となるように
熱成形されたものは、開口部の剛性が優れている。さら
に開口部の剛性がより高い成形体が得られる点で第一発
泡層2の厚み(T1:mm)が少なくとも0.400m
m、即ち400μmであることがより好ましく、シワや
透孔が発生せず開口部の剛性がより高い成形体が得られ
る点で少なくとも0.500mm、即ち500μmであ
ることが更に好ましい。
【0039】一方、第一発泡層2の厚み(T1:mm)
が1.000mm以下、即ち1000μm以下であるこ
とが美観の点から好ましく、0.800以下、即ち80
0μm以下であることがより好ましい。第一発泡層2の
厚み(T1:mm)が1.000mmを超えると、美感
を確保するために第二発泡層3の厚み(T2:mm)を
必要以上に厚くしなければならないので、経済性が悪く
なる虞がある。
【0040】又、発泡シート1の厚みの平均値(Ta
に対する第一発泡層2の厚みの平均値(T1a)の割合
{(T1a/Ta)×100}(%)は、10%〜60%
が好ましく、20%〜50%がより好ましく、20%〜
40%が更に好ましい。該比(T1a/Ta)が10%未
満の場合は第一発泡層2が薄すぎて熱成形性における高
速成形性が低下し、特に深絞り成形性が低下する虞があ
る。一方、割合(T1a/Ta)が60%を超える場合
は、第一発泡層2が厚すぎて表面が凹凸となり、美観が
損われる虞がある。但し、発泡シート1の厚みの平均値
(Ta)は発泡シートを幅方向に等間隔に11等分する
10個所の位置において、両端の2個所を除いた内側の
8個所の位置における各測定値の平均値である。
【0041】本発明の発泡シート1の密度は、0.05
0g/cm3〜0.105g/cm3であることが好まし
い。発泡シート1の密度が0.050g/cm3未満の
場合は、発泡シート1を熱成形して得られた容器の剛性
が低下して容器としての機能が低下する虞があり、0.
105g/cm3を超える場合は、容器を軽量化できな
くなる虞がある。本発明においては、第一発泡層2及び
第二発泡層3の各々の密度が0.050g/cm3
0.105g/cm3であることが容器の剛性と軽量性
のバランスが良い点で好ましい。
【0042】さらに熱成形する際の加熱ムラが少ないと
いう点から第一発泡層2の密度D2と第二発泡層3の密
度D3との比(D2/D3)が0.80〜1.25である
ことが好ましく、高速の熱成形においても加熱ムラが少
ないという点から0.90〜1.11であることが好ま
しい。
【0043】本明細書における上記発泡シート1の密度
D(g/cm3)は、発泡シート1の坪量S(g/m2
と顕微鏡により求めた発泡シート1の厚みの平均値Ta
(mm)とから次式(3)により求める。
【0044】
【数2】 D=(S÷10000)÷(Ta÷10)……(3)
【0045】本明細書における第一発泡層2及び第二発
泡層3の密度は、各発泡層から採取した短冊状の試験片
について重量と体積を測定し、該測定によって得られた
重量を体積で割って求めるものとし、試験片の体積は試
験片の縦方向長さに横方向長さを掛けて算出した面積
に、顕微鏡により求めた各発泡層の厚さを掛けて求める
ものとする。尚、各発泡層の重量を測定する際は、各層
の界面で分離した試験片について行うものとする。
【0046】本明細書において、第一発泡層2と第二発
泡層3の密度は、上記方法によって測定し、g/cm3
単位で小数点以下4桁目を四捨五入して小数点以下3桁
目まで求めた密度の値を用いて計算する。
【0047】本発明の発泡シート1の連続気泡率は、4
0%以下であることが好ましく、30%以下であること
がより好ましく、20%以下であることが特に好まし
い。該連続気泡率が、40%を超えると、熱成形時の二
次発泡性や得られる容器の強度等の物性が悪くなる虞が
ある。
【0048】上記発泡体の連続気泡率の測定は、AST
M D2856(1976)の手順Cに準拠して行う。
尚、連続気泡率の測定に用いる発泡シート1の体積は、
測定試料の面積と発泡シート1の厚さから算出し、該発
泡シート1の厚さは前記顕微鏡を使用する方法で求めた
値を用いるものとする。
【0049】本発明の発泡シート1は、図2に示すよう
に、熱可塑性樹脂層4が最外層を構成するように第一発
泡層2に積層されていることが好ましい。かかる構成を
採用すると、第一発泡層2は平均気泡径が大きく圧縮強
度が高いので、第一発泡層2と熱可塑性樹脂層4との接
着性が良好である。その結果、熱成形における熱可塑性
樹脂層4の伸びムラが少なくなり、得られた容器は厚み
が均一なものとなる。尚、熱可塑性樹脂4は、第一発泡
層2と第二発泡層3の両面に積層することもできる。
【0050】又、発泡シート1の坪量と熱可塑性樹脂層
4の坪量の合計は100〜280g/m2であることが
好ましい。かかる構成の発泡シート1は、外観が美麗で
強度も優れているので、トレイ、弁当箱等の浅絞り成形
用に好適である。
【0051】上記合計の坪量が100g/m2未満の場
合は、シート全体の強度が弱くなる虞がある。一方、合
計の坪量が280g/m2を超えるとトレイ、弁当箱等
の浅絞り成形用の発泡シート1としては、得られる容器
の厚みが大きくなりすぎる虞があると共に、軽量性、経
済性が低下する虞がある。
【0052】尚、図2に示す態様の発泡シート1におい
て、発泡シート1の密度の測定は後述する積層発泡シー
トの発泡シートの測定に準じて行うものとする。又、熱
可塑性樹脂層4が積層された第一発泡層2の密度、平均
気泡径の測定は、後述する図3に示す態様の熱可塑性樹
脂が積層された発泡シートの第二発泡層の測定に準じて
行うものとする。
【0053】熱可塑性樹脂層4は少なくとも一層の樹脂
層からなり、複数の層からなる樹脂層として構成するこ
ともできる。特に、印刷層を含む2層から構成すると外
観が美麗なものとなる。該印刷層は、例えば、印刷イン
キ等によって描かれた絵柄や文字等からなる任意の模様
によって構成される。
【0054】熱可塑性樹脂層4に用いられる樹脂として
は、ポリ塩化ビニル等の塩化ビニル系樹脂、ポリスチレ
ンや耐衝撃性ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、ポ
リエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のポリオレ
フィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル
系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフ
タレート等のポリエステル系樹脂、及びこれらの樹脂の
混合物が挙げられる。
【0055】上記各種の樹脂の中でも、発泡シート1と
の接着性、熱成形性、印刷性の点から、ポリスチレン系
樹脂を使用することが好ましい。
【0056】尚、上記熱可塑性樹脂層4には、本発明の
目的を著しく損なわない範囲で、必要に応じて各種の添
加剤、例えば、造核剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防
止剤、導電性付与剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃剤、
無機充填剤等を添加することができる。
【0057】熱可塑性樹脂層4の厚みは、10〜100
μmが好ましく、10〜50μmがより好ましい。該厚
みが10μm未満では、熱成形する際に熱可塑性樹脂層
4に亀裂や破れが発生する虞があり、100μmを超え
ると軽量性、経済性が悪くなる虞がある。
【0058】次に、熱可塑性樹脂層が第二発泡層に積層
された図3に示す態様のポリスチレン系樹脂発泡シート
(以下、「積層発泡シート」という。)について説明す
る。図3は本発明の積層発泡シートの一例を示す縦断面
図であって、図3において、10は積層発泡シートを、
11は発泡シートを、12は第一発泡層を、13は第二
発泡層を、14は熱可塑性樹脂層をそれぞれ示す。
【0059】本発明の積層発泡シート10は、発泡シー
ト11と熱可塑性樹脂層14とからなり、熱可塑性樹脂
層14が最外層を構成するように第二発泡層13に積層
されている。発泡シート11を構成する基材樹脂、各種
の添加剤、製造に用いる発泡剤は前記発泡シート1と同
様である。
【0060】本発明の積層発泡シート10における第一
発泡層12の平均気泡径、第二発泡層13の平均気泡
径、第一発泡層12の平均気泡径が第二発泡層13の気
泡径より大きいこと、平均気泡径の測定方法は、前記発
泡シート1と同様である。 尚、該平均気泡径は、熱可
塑性樹脂層14が発泡シート11に積層された後に測定
するものとする。
【0061】本発明の積層発泡シート10における第一
発泡層12の幅方向における厚み(T11:mm)の標準
偏差σ(T11)n-1が0mm≦σ(T11)n-1≦0.140mm
であり、且つ二第発泡層13の幅方向における厚み(T
12:)の標準偏差σ(T12)n-1が0mm≦σ(T12)n-1
0.160mmであること、第一発泡層12の厚み(T
11:mm)及び第二発泡層13の厚み(T12:mm)の
測定方法、標準偏差σ(T 11)n-1及び標準偏差σ(T12)n-1
の算出は、前記発泡シート1と同様である。
【0062】本発明における積層発泡シート10におけ
る発泡シート11の厚さの範囲は、前記発泡シート1と
同様である。
【0063】本発明の積層発泡シート10においては、
第一発泡層12の厚み(T11:mm)は前記第一発泡層
2の厚み(T1:mm)と同様である。
【0064】又、発泡シート11の厚みの平均値(T
11a)に対する第一発泡層12の厚みの平均値(T12a
の割合(T12a/T11a)は、前記発泡シート1と同様で
ある。
【0065】本発明の積層発泡シート10における発泡
シート11を構成する第一発泡層12の密度範囲は、前
記発泡シート1を構成する第一発泡層2の密度範囲と同
様である。又、第二発泡層13の密度範囲は、前記第二
発泡層3の密度範囲と同様である。
【0066】本明細書における発泡シート11の第一発
泡層12及び発泡シート11の第二発泡層13の密度
は、各発泡層の重量を測定し、該測定値を求める各発泡
層の体積で割って求めるものとする。尚、各発泡層の重
量の測定は、積層発泡シート10を第一発泡層12と第
二発泡層13との界面、第二発泡層13と熱可塑性樹脂
層14との界面で分離した試験片について行うものとす
る。
【0067】発泡シート11の連続気泡率の範囲及び連
続気泡率の測定は、前記発泡シート1と同様である。
【0068】積層発泡シート10の坪量は、280g/
2を超えて550g/m2以下であることが好ましい。
かかる坪量の積層発泡シート10は、外観が美麗で強度
も優れると共に深絞り成形を行っても破れや透孔が発生
しないので、丼、カップ等の深絞り成形用に好適であ
る。坪量が280g/m2以下では深絞り成形によって
得られる容器の剛性が低下する虞がある。一方、550
g/m2を超えると、軽量性、経済性が低下する虞があ
る。
【0069】熱可塑性樹脂層14は、第二発泡層13に
積層される。このように構成すると、深絞り成形性、剛
性に優れると共に外観が美麗なものとなり、更に熱可塑
性樹脂層14が外側に位置するように深絞り成形された
容器は、剛性に優れると共に外観が美麗なものとなる。
【0070】熱可塑性樹脂層14に用いられる樹脂とし
ては、前記した熱可塑性樹脂層4と同様のものが挙げら
れる。前記各種の樹脂の中でも、第二発泡層13との接
着性、熱成形性、印刷性の点から、第二発泡層13の基
材樹脂と同様のものが好ましく、柔軟性があって取り扱
いやすい点で、耐衝撃性ポリスチレン系樹脂がより好ま
しい。
【0071】尚、上記熱可塑性樹脂層14には、本発明
の目的を著しく損なわない範囲で、必要に応じて各種の
添加剤、例えば、造核剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電
防止剤、導電性付与剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃
剤、無機充填剤等を添加することができる。
【0072】熱可塑性樹脂層14は少なくとも一層の樹
脂層からなり、上記各種の樹脂の中から同種又は異なる
種類の樹脂を選択し、複数の層からなる樹脂層として構
成することもできる。
【0073】熱可塑性樹脂層14の厚さは、10〜50
0μmが好ましく、60〜300μmがより好ましい。
該熱可塑性樹脂層14の厚さが10μm未満の場合は、
熱成形する際に破れや透孔が発生する虞がある。一方、
500μmを超える場合は、加熱時間を長くしなければ
ならなくなるので、第二発泡層13の表面が加熱されす
ぎて凹凸が発生して外観不良好になる虞がある。尚、熱
可塑性樹脂層14の厚さは顕微鏡を使用して第一発泡層
の厚み(T11)等と同様に測定する。
【0074】本発明の積層発泡シート10は、第一発泡
層12の表面に熱可塑性樹脂層を積層することもでき
る。熱可塑性樹脂層に用いることができる樹脂及び該樹
脂層の厚さは、上記熱可塑性樹脂層14と同様である。
但し、熱可塑性樹脂層として、同じ樹脂を使用しなけれ
ばならない理由はなく、用途や目的に応じて異なる樹脂
を選択することができる。
【0075】次に、本発明の発泡シート1の製造方法に
ついて説明する。発泡シート1の第一発泡層2は、押出
機を用いて基材樹脂、気泡調節剤等の各種の添加剤、発
泡剤を溶融混練した後、目的とする樹脂温度に調整され
た基材樹脂等からなる溶融樹脂混合物を、高圧のダイ内
から大気圧下に放出することによって形成される。尚、
溶融樹脂混合物が高圧のダイ内から大気圧下に放出され
る際、必要に応じて第一発泡層2に空気を吹きかけて急
冷することによって、平均気泡径を微調整することがで
きる。
【0076】第一発泡層における発泡剤の添加量、気泡
調節剤の添加量は、基材樹脂の種類・発泡剤の種類、気
泡調節剤の種類や、目的とする発泡層の密度によって適
宜選択できるが、通常は、基材樹脂100重量部に対し
て、発泡剤は0.5〜10重量部、気泡調節剤0.1〜
2.0重量部である。又、上記放出される溶融樹脂混合
物の樹脂温度は、基材樹脂の種類・発泡剤の種類、気泡
調節剤の種類や、目的とする発泡層の密度によって適宜
選択できるが、通常は120〜250℃である。
【0077】発泡シート1の第二発泡層3の形成は、気
泡調節剤を2.0〜10重量部添加する以外は上記発泡
シートの第一発泡層2の形成と同様である。尚、発泡シ
ートの第二発泡層3の平均気泡径は、気泡調節剤の量を
調節したり、溶融樹脂混合物が大気圧下に放出される際
に空気を吹きかけて急冷すること等によって微調整する
ことができる。
【0078】発泡シート1の第一発泡層2と、第二発泡
層3とを積層する方法は、共押出法によって行われる。
共押出法によれば、発泡工程と積層工程とが同時に連続
的に行われるので、発泡層同士の接着性、外観が極めて
よいものが得られる。
【0079】該共押出法は、第一発泡層2を形成する融
樹脂混合物と、第二発泡層3を形成する溶融樹脂混合物
とを、ダイ内で融着し一体としてシート状に押出して発
泡させる方法である。該共押出法により二層からなる発
泡シート1を得るための方法には、フラットダイを用
いてダイ内で各層を積層してから板状に共押出すること
により積層された発泡シート1とする方法、環状ダイ
を用いてダイ内で各層を積層してから筒状に共押出した
後、該筒状発泡体を切開いて積層された発泡シート1と
する方法、環状ダイを用いて筒状に共押出しすると共
に、該発泡体の内面が接着可能な状態にあるうちに挾圧
ロールで該発泡体を挟み込み、内面を圧着することによ
って貼り合わせて積層された発泡シート1とする方法が
挙げられる。
【0080】上記共押出法の中では、上記の環状ダイ
を用いて筒状に共押出した後、該筒状発泡体を切開いて
発泡シート1を得る方法が、1000mmを超えるよう
な広幅の発泡シート1を製造しやすいので好ましい。
【0081】押出法における各層の幅方向における厚さ
の均一化は、第一発泡層2と、第二発泡層3とを積層す
る際に、ダイ内における各層の流量を制御することによ
り達成される。具体的に発泡シート1における厚さの幅
方向の制御は、例えば、図4に示すように、共押出ダイ
41の外側の周囲に溶融樹脂流量制御用のチョークリン
グ48を設けて、該チョークリング48を厚さ調整ボル
ト49の締め付け具合によって調整することによって行
なうことができる。その他、共押出ダイ内流路の断面積
の大きさ、形状を調整することにより溶融樹脂の流量を
制御することによっても行なうことができる。
【0082】尚、図4において、41は共押出ダイを、
42は第一発泡層を形成する溶融樹脂混合物(以下、
「第一溶融樹脂混合物」という。)の流路を、43は第
二発泡層を形成する溶融樹脂混合物(以下、「第二溶融
樹脂混合物」という。)のダイへの流入口を、44は第
二溶融樹脂混合物の流路を、45は第二溶融樹脂混合物
の流路44に第一溶融樹脂混合物が流れ込む合流口を、
46は第一溶融樹脂混合物と第二溶融樹脂混合物が積層
された溶融樹脂混合物が流れる流路を、47はダイから
溶融樹脂混合物が放出される出口を、48はチョークリ
ングを、49は厚さ調整ボルトをそれぞれ示す。
【0083】図2に示す態様の発泡シート1において
は、熱可塑性樹脂層4を発泡シート1に積層する方法と
して、例えば、予め押出インフレーション法等によって
製造された熱可塑性樹脂フィルムを接着剤によって発泡
シート1に積層する方法、予め製造された熱可塑性樹脂
フィルムを加熱ロール等を用いて加熱融着させることに
よって発泡シート1に積層する方法、Tダイを用いて熱
可塑性樹脂を押出して発泡シート1に積層する方法、共
押出によって熱可塑性樹脂層4と発泡シート1とを積層
する方法等が挙げられる。これらの方法の中でも、経済
性及び生産性に優れるという点で、予め押出インフレー
ション法等によって製造された熱可塑性樹脂フィルムを
加熱ロール等を用いて加熱融着させる方法が好ましい。
かかる方法によれば、無延伸の押出インフレーションフ
ィルムや、延伸により剛性・透明性が付与された押出イ
ンフレーションフィルムを用途に応じて使いわけること
ができる。又、該方法によれば、印刷された熱可塑性樹
脂層4を積層する際に、印刷された面側を発泡シート1
に積層することによって、印刷面と収納される食品とが
接触することを防ぐことができる。
【0084】次に、本発明の積層発泡シート10の製造
方法について説明する。積層発泡シート10の発泡シー
ト11の製造方法は、前述した発泡シート1の製造方法
と同様である。
【0085】前記熱可塑性樹脂層14は、押出機を用い
て基材樹脂と各種の添加剤を溶融混練した後、Tダイや
サーキュラーダイ等の各種のダイからシート状に押出す
ことによって形成することができる。
【0086】熱可塑性樹脂層14と発泡シート11との
積層は、熱可塑性樹脂層14と発泡シート11との押出
樹脂温度が異なるので、予め形成された発泡シート11
に熱可塑性樹脂層14を接着剤により積層する方法、加
熱ロールを用いて加熱融着により積層する方法、押出ラ
ミネートによって積層する方法が好ましい。但し、本発
明はこれらに限定するものではなく、共押出しによって
積層することもできる。
【0087】次に、本発明の発泡シート1から得られる
容器について説明する。該容器は、発泡シート1を第二
発泡層3が第一発泡層2の外側に位置するように熱成形
することによって得られた容器である。第二発泡層3が
積層された面を外面側に位置するように熱成形すると、
外観が美麗な容器を得ることができる。
【0088】本発明の発泡シート1から得られる容器
は、雄型及び/又は雌型からなる金型を使用して発泡シ
ート1を熱成形することにより得ることができる。該熱
成形法としては、真空成形や圧空成形、更にこれらの応
用としてフリードローイング成形、プラグ・アンド・リ
ッジ成形、リッジ成形、マッチド・モールド成形、スト
レート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エア
スリップ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリ
バースドロー成形等やこれらを組み合わせた成形方法等
が挙げられる。かかる熱成形法は、短時間に連続して容
器を得ることができるので、好ましい方法である。
【0089】発泡シート1、図2に示される態様の発泡
シート1、及び熱可塑性樹脂層4が発泡シート1の両面
に積層されている発泡シート1であって、坪量が100
〜280g/m2のものから得られる容器の絞り比は、
0.1以上0.3未満の浅い絞り比であることが発泡シ
ート1の破れや透孔が発生せず開口部の剛性が高く外観
が美麗な容器を得ることができる点で好ましい。絞り比
が0.3を超えると、容器の内側に亀裂や破れが発生す
る虞がある。尚、絞り比は、容器開口部の最大長さをD
iとし、容器の深さをHとして、H/Diによって定めら
れる。
【0090】前記発泡シート1から得られる容器は、ト
レイ、弁当箱等の用途に好適に用いられる。
【0091】次に、積層発泡シート10から得られる容
器について説明する。該容器は、上記積層発泡シート1
0の熱可塑性樹脂層14が積層された面が外面側に位置
するように熱成形された容器である。熱可塑性樹脂層1
4が積層された面を外面側に位置するように熱成形する
と、深絞りの熱成形をする場合であっても発泡シート1
1に破れや透孔が発生することを防ぐことができる。
【0092】特に、熱可塑性樹脂層が平均気泡径が小さ
く、表面が平滑な第二発泡層に積層されていると、熱可
塑性樹脂層の表面が平滑になり、しかも適度な圧縮強度
を有するので、深絞り形状の容器の最外面に印刷する場
合であっても、かすれ等の印刷不良が発生することが殆
どなく、良質の容器を得ることができる。
【0093】尚、熱可塑性樹脂層14が発泡シート11
の両面に積層されていると、更に剛性が優れた容器を得
ることができる。
【0094】積層発泡シート10から得られる容器の成
形方法は、前述した発泡シート1から得られる容器と同
じ成形方法が挙げられる。
【0095】積層発泡シート10から得られる容器の絞
り比は、0.3以上1.3以下の深絞りが好ましく、
0.4を超えて1.3以下がより好ましい。絞り比がか
かる範囲内であれば、表面が平滑で外観が美麗であると
共に厚さが均一な容器が得られるが、絞り比が1.3を
超えると、部分的に薄い箇所が発生する虞がある。但
し、絞り比は容器開口部の最大長さをDiとし、容器の
深さをHとして、H/Diによって定められる。
【0096】積層発泡シート10から得られる容器は、
トレイ、丼、弁当箱、カップ等の用途に用いられ、特に
開口部の形状が円形の深絞り形状の容器は、曲面印刷性
が優れているので丼、カップ用として好適である。
【0097】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明する。
【0098】実施例1〜4、比較例1〜4における第一
発泡層の基材樹脂は東洋スチレン株式会社製ポリスチレ
ン「トーヨースチロールGP HRM−55、密度1.
05g/cm3、ビガット軟化点100℃以上」(以
下、「樹脂A」という。)を使用し、第二発泡層の基材
樹脂は出光石油化学株式会社製ポリスチレン「HH3
2、溶融粘度2040Pa・s、密度1.05g/cm
3、ビカット軟化点100℃以上」(以下、「樹脂B」
という。)を使用した。
【0099】上記樹脂Bの溶融粘度は、チアスト社製レ
オビス2100を使用して、内径1.0mm、長さ10
mmのノズルを用い、温度190℃、剪断速度100/
secの条件下にて測定した。
【0100】実施例1〜4、比較例1〜4におけるタル
クは、松村産業株式会社製ハイフィラー♯12を使用
し、発泡剤はn−ブタン70wt%とiso−ブタン3
0wt%からなるブタン混合物を使用した。
【0101】実施例2、3、比較例2、3における熱可
塑性樹脂層の形成は、インフレーションフィルム(厚さ
25μm東和加工株式会社製「Dタイプ」)(以下、「フ
ィルムD」という。)を使用した。
【0102】実施例4、比較例4における熱可塑性樹脂
層の基材樹脂は、日本ポリスチレン株式会社製耐衝撃性
ポリスチレン(HIPS)「H640N(密度1.05
g/cm3)」(以下、「樹脂E」という。)を使用し
た。
【0103】実施例1 第一発泡層の形成には、バレル直径115mmの第一押
出機とバレル直径150mmの第二押出機とからなるタ
ンデム押出機を使用した。第一押出機の原料投入口か
ら、ポリスチレン系樹脂「樹脂A」100重量部あたり
タルク1.3重量部を添加して加熱混練し、約200℃
に調整された樹脂混合物100重量部あたり3.5重量
部の発泡剤を圧入し、次いで、第二押出機内で樹脂温度
を165℃に調整した。
【0104】第二発泡層の形成には、バレル直径115
mmの第一押出機とバレル直径150mmの第二押出機
とからなるタンデム押出機を使用した。第一押出機の原
料投入口から、ポリスチレン系樹脂「樹脂B」100重
量部あたりタルク2.5重量部を添加して加熱混練し、
約200℃に調整された樹脂混合物100重量部あたり
3.0重量部の発泡剤を圧入し、次いで、第二押出機内
で樹脂温度を165℃に調整した。
【0105】次に、第一溶融樹脂混合物と、第二溶融樹
脂混合物との吐出量の比が26:74となるように調整
し、流量制御用のチョークリングが取付けられた、図4
に示す構造の共押出用ダイ41(樹脂出口、直径160
mm、0.6mmの円形状の細隙)に供給した。
【0106】共押出用ダイ41内部において、流路42
に導入した第一溶融樹脂混合物の流れの幅方向厚みが均
一になるように、厚さ調整ボルト49の締付け具合を調
整した。一方、第二溶融樹脂混合物を流路44に導入
し、合流口45において幅方向厚さ調整後の第一溶融樹
脂混合物と第二溶融樹脂混合物とを合流させて積層し
た。次に、積層された溶融樹脂混合物をダイの出口47
から大気圧下に筒状に放出し、該筒状の放出物を直径3
40mmの冷却された円筒に沿わせて発泡シートの坪量
が230g/m2となるように引取りながら、筒状体を
切開いて第一発泡層と第二発泡層とが積層された107
0mm幅の発泡シートを製造した。尚、厚さ調整ボルト
49は、図4に示すように、ダイ内の外側の流路42の
幅方向の溶融樹脂流量を調節可能な位置の円周にそって
均等に16本設けた。
【0107】実施例2 実施例1で得られた発泡シートの第一発泡層側に、厚み
25μmのフィルムDを加熱ロールを使用して熱ラミネ
ート法により積層した。
【0108】実施例3 実施例1で得られた発泡シートの両面に厚み25μmの
フィルムDを加熱ロールにて熱ラミネート法により積層
した。
【0109】実施例4 第一発泡層の形成において約200℃に調整された樹脂
混合物100重量部あたり3.6重量部の発泡剤を圧入
したこと、第二発泡層の形成において約200℃に調整
された樹脂混合物100重量部あたり3.1重量部の発
泡剤を圧入したこと、第一溶融樹脂混合物の吐出量と第
二溶融樹脂混合物の吐出量の比が25:75となるよう
に調整したこと以外は、実施例1と同様に発泡シートを
製造した。
【0110】次に、得られた発泡シートの第二発泡層側
に押出ラミネート法により熱可塑性樹脂層を形成した。
具体的には樹脂Eを用いてバレル直径110mmの押出
機を使用し、幅1200mmのTダイから樹脂Eを押出
して、発泡層の第二発泡層側に樹脂Eからなる熱可塑性
樹脂層(厚み150μm)を積層した。
【0111】比較例1 幅方向の溶融樹脂流量を調節することができない共押出
用ダイを用い、第一溶融樹脂混合物の吐出量と、第二溶
融樹脂混合物の吐出量の比が17:83となるように調
整したこと以外は、実施例1と同様に発泡シートを製造
した。
【0112】比較例2 比較例1で得られた発泡シートの第一発泡層側に、厚み
25μmのフィルムDを加熱ロールを使用して熱ラミネ
ート法により積層した。
【0113】比較例3 比較例1で得られた発泡シートの両面に厚み25μmの
フィルムDを加熱ロールを使用して熱ラミネート法によ
り積層した。
【0114】比較例4 幅方向の溶融樹脂流量を調節することができない共押出
用ダイを用い、第一溶融樹脂混合物の吐出量と、第二溶
融樹脂混合物の吐出量の比が21:79となるように調
整したこと以外は、実施例1と同様に発泡シートを製造
した。
【0115】比較例4で得られた発泡層の第二発泡層側
に押出ラミネート法により熱可塑性樹脂層を形成した。
具体的には樹脂Eを用いてバレル直径110mmの押出
機を使用し、幅1200mmのTダイから樹脂Cを押出
して、発泡シートの第二発泡層側に熱可塑性樹脂層(厚
さ150μm)を積層した。
【0116】実施例1〜4、比較例1〜4において得ら
れた発泡シートの第一発泡層及び第二発泡層の平均気泡
径、密度、発泡シートの厚さに対する第二発泡層の厚さ
の比、発泡シートの厚さ、坪量を表1及び表2に示す。
又、実施例1〜4、比較例1〜4において得られた発泡
シートの各発泡層の幅方向の厚さの個々の測定値、平均
値、標準偏差をそれぞれ表3及び表4に示す。
【0117】
【表1】
【0118】
【表2】
【0119】
【表3】
【0120】
【表4】
【0121】上記実施例1〜4、及び比較例1〜4にお
いて得られた発泡シートの連続気泡率は、いずれも8〜
20%であった。また、実施例2〜4及び比較例2〜4
で積層した熱可塑性樹脂層は発泡シートから熱可塑性樹
脂層を剥離すると発泡シートの材質破壊が起きる程度に
接着していた。
【0122】上記実施例1〜4及び比較例1〜4におけ
る具体的な発泡シートの厚さの測定は、前記方法に基づ
いて次のように行った。得られた発泡シートにつき、試
験片を幅方向に等間隔で10箇所の位置を等間隔に11
等分する10個所の位置を定め、該10個所から両端の
2個所を除いた内側の8個所の位置においてサンプリン
グし、各試験片の押出方向に対して垂直方向の断面を顕
微鏡で撮影し、次に、各々の断面写真について各層の厚
さを測定した。尚、上記実施例2〜4及び比較例2〜4
についの厚さの測定は、熱可塑性樹脂層を積層した後の
発泡シートについて行なった。
【0123】表3、表4に示す平均値と標準偏差は、上
記8点の厚さの測定値を使用して求め、標準偏差は前記
(2)式に基づいて計算した。
【0124】尚、第一発泡層と第二発泡層との界面が不
明確な場合は、押出発泡する際に、どちらか一方の発泡
層に着色剤を添加することにより両層の界面を明確にす
れば、各発泡層の厚さ、更に平均気泡径、各発泡層の密
度等を測定することができる。
【0125】上記実施例1〜4及び比較例1〜4におけ
る発泡シートの具体的な密度の測定は、前記した方法に
基づいて次のように行った。発泡シートから、押出方向
に平行に長さ20mm、幅5mmの長方形の試験片を切
出し、該試験片の厚さ方向断面を顕微鏡で撮影した。次
に、該顕微鏡写真について、発泡シートの第一発泡層の
厚さl2(mm)と、発泡シートの第二発泡層の厚さl3
(mm)を測定した。次に、該試験片の重量w1(g)
を測定した。
【0126】次に、スライサーを使用して第一発泡層と
第二発泡層との可能な限り界面に近い位置を目標に、第
二発泡層を複数回に分けて平面状に切り取り、残った第
一発泡層の重量w2(g)を測定した。尚、第二発泡層
を切取る際には、試験片の縦断面を油性インキで着色
し、該断面を適宜顕微鏡で観察し、第二発泡層と第一発
泡層の界面を確認しながら行った。
【0127】こうして得られた試験片の重量w
1(g)、第一発泡層の厚さl2(mm)、第二発泡層の
厚さl3(mm)、第一発泡層の重量w2(g)から、第
一発泡層の密度d2、及び第二発泡層の密度d3を次式に
より求めた。
【0128】
【数3】 d2=w2÷{2×0.5×(l2÷10)}
【数4】 d3=(w1−w2)÷{2×0.5×(l3÷10)}
【0129】以上の測定を、発泡シートの幅方向におけ
る前記厚さと同じ測定箇所について行い、各d2より求
めた平均値から第一発泡層の密度D2(g/cm3)を、
各d3より求めた平均値から第二発泡層の密度D3(g/
cm3)をそれぞれ求めた。
【0130】上記実施例1〜3、比較例1〜3において
得られた発泡シートについて、プラグアシスト法によ
り、第二発泡層が第一発泡層の外側に位置するように熱
成形を行い、開口部が縦150mm、横120mmでコ
ーナー部が丸い略長方形(最大開口部の長さ153m
m)、深さ30mm、絞り比0.19のトレイ形状の容
器を得た。
【0131】上記成形によって得られた容器の幅方向に
おける熱成形性の評価、外観の評価を表1及び表2に示
す。
【0132】上記実施例4及び比較例4において得られ
た発泡シートについて、プラグアシスト法により、熱可
塑性樹脂層が最外層を構成するよう熱成形を行い、開口
部が直径150mmの円形、深さ70mm、絞り比0.
46の丼形状の容器を得た。
【0133】上記成形によって得られた容器の幅方向に
おける熱成形性の評価、外観の評価を表1及び表2に示
す。
【0134】幅方向における熱成形性の評価は、前記形
状の容器において開口部周縁や底部周縁等において引伸
ばされている部分(以下、「コーナー部」という。)に
亀裂や破れが発生しているか否かを、シートの幅方向に
おいて得られたそれぞれの容器について目視にて評価し
た。 ○・・・シートの幅方向において得られたすべて容器の
コーナー部に亀裂や破れが発生していない。 ×・・・シートの幅方向において得られた容器の一部に
おいてコーナー部に亀裂や破れが発生している。
【0135】外観の評価は、前記トレイ形状の容器外側
の表面が平滑であるか否か、美麗であるか否かを目視に
て評価した。 ○・・・容器外側の表面が平滑で、美麗である。 ×・・・容器外側の表面に凸凹があるので平滑さに欠
け、美感が損なわれている。
【0136】
【発明の効果】本発明のポリスチレン系樹脂発泡シート
は、第一発泡層と第二発泡層とが積層されており、第一
発泡層は特定範囲の大きな気泡径を有することから熱成
形に優れ、第二発泡層は特定範囲の小さな気泡径を有す
ることから表面が平滑で美麗である。更に、前記第一発
泡層の幅方向における厚み(T1:mm)の標準偏差σ
(T1)n-1が0mm≦σ(T1)n-1≦0.140mmであり、
且つ前記二第発泡層の幅方向における厚み(T2:m
m)の標準偏差σ(T2)n-1が0mm≦σ(T2)n-1≦0.1
60mmであることから、各層の幅方向における厚み分
布が均一である。従って、本発明のポリスチレン系樹脂
発泡シートは、物性が幅方向において均一なので、幅方
向における熱成形性のバラツキが少なく熱成形条件の設
定が容易で、熱成形時に成形不良が発生することが殆ど
ない。又、熱成形により得られた成形品の品質が幅方向
で均一である。
【0137】本発明のポリスチレン系樹脂発泡シートに
おいては、第一発泡層の厚みが少なくとも0.300m
m、即ち少なくとも300μmであるという構成を採用
すると、熱成形性が安定したものとなり、得られる容器
等の剛性が向上する。
【0138】本発明のポリスチレン系樹脂発泡シートに
おいては、発泡シートの密度が0.050〜0.105
g/cm3である場合に、剛性と軽量性のバランスが優
れた容器を熱成形によって得ることができる。
【0139】上記発泡シートは、熱可塑性樹脂層が最外
層を構成するようにポリスチレン系樹脂第一発泡層に積
層されているという構成を採用すると、外観がより美麗
となり、強度も向上し、トレイ、弁当箱等の浅絞りの熱
成形用に好適なものとなる。また、平均気泡径が大きく
圧縮強度が高い第一発泡層に熱可塑性樹脂層が積層され
ているので、第一発泡層と熱可塑性樹脂層との接着性が
良好である。その結果、熱成形における熱可塑性樹脂層
の伸びムラが少なくなり、得られた容器は厚みが均一な
ものとなる。
【0140】さらに上記熱可塑性樹脂層が最外層を構成
するようにポリスチレン系樹脂第一発泡層に積層されて
いる発泡シートを、第二発泡層が第一発泡層の外側に位
置するように熱成形することによって得られた熱成形し
て得られた容器は、軽量性を有すると共に、外観が美麗
で、容器の外面側が平滑である。該容器は、絞り比が
0.1以上0.3未満の浅絞りの場合に、外観が美麗で
剛性が優れるトレイ、弁当箱等として好適なものとな
る。
【0141】上記発泡シートは、熱可塑性樹脂層が最外
層を構成するようにポリスチレン系樹脂第二発泡層に積
層されているという構成を採用すると、深絞り成形性、
剛性に優れると共に外観が美麗なものとなる。
【0142】ポリスチレン系樹脂第二発泡層に、熱可塑
性樹脂層が最外層を構成するように積層されたポリスチ
レン系樹脂発泡シートを、熱可塑性樹脂層が外側に位置
するように熱成形することによって得られた容器は、軽
量性を有すると共に、深絞り形状の容器であっても破れ
や透孔がない。又、容器の外面側が平滑であることから
外面側の印刷性に優れている。該容器は、絞り比が0.
3以上1.3以下の深絞りの場合に、丼、コップ等とし
て好適なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のポリスチレン系樹脂発泡シー
トの一例を示す縦断面図である。
【図2】図2は、熱可塑性樹脂層が第一発泡層に積層さ
れたポリスチレン系樹脂発泡シートの一例を示す縦断面
図である。
【図3】図3は、本発明の熱可塑性樹脂層が第二発泡層
に積層されたポリスチレン系樹脂発泡シートの一例を示
す縦断面図である。
【図4】図4は、本発明のポリスチレン系樹脂発泡シー
ト製造用ダイの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 発泡シート 2 第一発泡層 3 第二発泡層 4 熱可塑性樹脂層 10 積層発泡シート 11 発泡シート 12 第一発泡層 13 第二発泡層 14 熱可塑性樹脂層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 御子柴 寛文 栃木県鹿沼市さつき町17 株式会社ジェイ エスピー鹿沼第一工場内 Fターム(参考) 3E033 BA22 FA01 FA03 FA04 4F100 AK01C AK12A AK12B BA02 BA03 BA07 BA10A BA10C DA01 DJ01A DJ01B GB16 GB23 JA13A JA13B JB16C JK05 JK12 JL01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均気泡径が155〜450μmのポリ
    スチレン系樹脂第一発泡層と平均気泡径が35〜180
    μmのポリスチレン系樹脂第二発泡層(但し、前記第一
    発泡層の平均気泡径>前記第二発泡層の平均気泡径)と
    からなる発泡シートであって、前記第一発泡層の幅方向
    における厚み(T1:mm)の標準偏差σ(T1)n-1が0m
    m≦σ(T1)n-1≦0.140mmであり、且つ前記第二
    発泡層の幅方向における厚み(T2:mm)の標準偏差
    σ(T2)n-1が0mm≦σ(T2)n-1≦0.160mmである
    ことを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡シート。(但
    し、ポリスチレン系樹脂第一発泡層の厚み(T1:m
    m)、ポリスチレン系樹脂第二発泡層の厚み(T2:m
    m)は、それぞれポリスチレン系樹脂発泡シートを幅方
    向に等間隔に11等分する10個所の位置において、両
    端を除いた内側の8個所の位置における各測定値であ
    る。)
  2. 【請求項2】 ポリスチレン系樹脂第一発泡層の厚み
    (T1:mm)が少なくとも0.300mmであること
    を特徴とする請求項1記載のポリスチレン系樹脂発泡シ
    ート。
  3. 【請求項3】 密度が0.050〜0.105g/cm
    3であることを特徴とする請求項1又は2記載のポリス
    チレン系樹脂発泡シート。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂層が最外層を構成するよう
    にポリスチレン系樹脂第一発泡層に積層されていること
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のポリス
    チレン系樹脂発泡シート。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載のポリ
    スチレン系樹脂発泡シートをポリスチレン系樹脂第二発
    泡層がポリスチレン系樹脂第一発泡層の外側に位置する
    ように熱成形することによって得られたことを特徴とす
    る容器。
  6. 【請求項6】 容器開口部の最大長さをDiとし、容器
    の深さをHとして、H/Diによって定められる絞り比
    が0.1以上0.3未満であることを特徴とする請求項
    5記載の容器。
  7. 【請求項7】 熱可塑性樹脂層が最外層を構成するよう
    にポリスチレン系樹脂第二発泡層に積層されていること
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のポリス
    チレン系樹脂発泡シート。
  8. 【請求項8】 請求項7記載のポリスチレン系樹脂発泡
    シートを熱可塑性樹脂層が外側に位置するように熱成形
    することによって得られたことを特徴とする容器。
  9. 【請求項9】 容器開口部の最大長さをDiとし、容器
    の深さをHとして、H/Diによって定められる絞り比
    が0.3以上1.3以下であることを特徴とする請求項
    8記載の容器。
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