JP2005347384A - 有機物の剥離装置及び有機物の剥離方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 薬液の剥離性能を高く維持しつつ、その交換頻度を少なくすることができるようにした有機物の剥離装置及び有機物の剥離方法を提供する。
【解決手段】 有機物が形成されたウエーハWに複数種類の成分からなる剥離液を供給して当該ウエーハWから該有機物を剥離する剥離装置100であって、剥離液を貯める循環槽10と、循環槽10に貯められた剥離液をウエーハWに供給する剥離液供給管12と、この剥離液供給管12によってウエーハWに供給された剥離液を回収して循環槽10に戻す剥離液回収管13と、循環槽10に貯められた剥離液の成分濃度を計測する有機成分濃度計31と、この有機成分濃度計31による計測の結果に基づいて、濃度が低くなった成分だけを循環槽10に供給する成分供給装置50等と、を備えたものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機物の剥離装置及び有機物の剥離方法に関し、特に、電子デバイスの製造過程で、フォトレジストやポリマー(反応生成物)等が形成された基板上に有機剥離液を供給して、これら有機物を基板上から剥離し、取り除く技術に関するものである。
従来から、半導体装置等の電子デバイスの製造過程には、基板上からフォトレジストを除去したり、ドライエッチングによって意図せず生成されたポリマー等を除去したりする剥離工程が含まれている。このような剥離工程では、有機剥離液を用いた剥離処理が行われてきた。有機剥離液としては、例えばアミン系の剥離液が知られている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
また、この種の有機剥離液は、その水分濃度がある濃度以下になると、その剥離性能が著しく低下してしまうことが知られている。例えば、特許文献1及び2には、有機剥離液の剥離性能の低下を抑制する(即ち、寿命を延ばす)目的で、有機剥離液の水分濃度を管理することが記載されている。そして、必要に応じて、この有機剥離液に水分や、新液を追加することが記載されている。
特開平10−335212号公報 特開2000−258925号公報
ところで、従来の技術では、有機剥離液の水分濃度を所定の範囲に保持することで、その寿命を延ばすことができた。しかしながら、有機剥離液の水分濃度を管理し、必要に応じて水分を追加し続けた場合でも、有機剥離液を構成する有機系の成分は時間の経過と共に蒸発してしまう。それゆえ、有機剥離液の剥離性能は時間の経過と共に徐々に低下してしまうという問題があった。
このような問題に対処するため、従来の剥離装置では、有機剥離液を一定期間毎に入れ替えする必要があり、有機剥離液の購入コストを十分に低減できなかった。
本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、薬液の剥離性能を高く維持しつつ、その交換頻度を少なくすることができるようにした有機物の剥離装置及び有機物の剥離方法の提供を目的とする。
〔発明1〕 上記目的を達成するために、発明1の剥離装置は、有機物が形成された基板に複数種類の成分からなる薬液を供給して当該基板から該有機物を剥離する装置であって、前記薬液を貯める薬液槽と、前記薬液槽に貯められた前記薬液を前記基板に供給する薬液供給手段と、前記薬液供給手段によって前記基板に供給された前記薬液を回収して前記薬液槽に戻す薬液回収手段と、前記薬液槽に貯められた前記薬液の前記成分の濃度を計測する成分濃度計測手段と、前記成分濃度計測手段による計測の結果に基づいて、濃度が低くなった成分だけを前記薬液槽に供給する成分供給手段と、を備えたことを特徴とするものである。
ここで、成分濃度計測手段とは、例えば薬液を構成する各成分の濃度をそれぞれ測定する濃度センサのことである。また、成分供給手段とは、例えば薬液を構成する各成分を成分毎に薬液槽に供給可能な装置のことである。
発明1の有機物の剥離装置によれば、薬液槽に貯められた薬液の各成分の濃度を測定し、濃度が低くなった成分だけを薬液槽に追加するので、薬液槽に貯められた薬液の各成分の濃度をそれぞれ所定の範囲に保持することができる。従って、薬液の剥離性能を高く維持することができ、薬液槽に貯められた薬液を有機物の剥離処理に繰り返し使用することができる。従来技術と比べて、薬液の交換頻度を少なくすることができる。
〔発明2〕 発明2の剥離装置は、上述した発明1の剥離装置において、前記薬液槽に貯められた前記薬液の水分濃度を計測する水分濃度計測手段と、前記水分濃度計測手段による計測の結果に基づいて、前記薬液槽に水分を供給する水分供給手段と、を備えたことを特徴とするものである。
このような構成であれば、薬液槽に貯められた薬液の水分濃度を所定の範囲に保持することができ、薬液の寿命を延ばすことができる。発明1の有機物の剥離装置に比べて、薬液の交換頻度をさらに少なくすることが可能である。
〔発明3〕 発明3の剥離装置は、上述した発明1又は発明2の剥離装置において、前記薬液が供給された後の基板を観察して前記有機物の剥離具合を調査する剥離具合調査手段を備え、前記成分供給手段は、前記剥離具合調査手段による調査の結果に基づいて、前記薬液槽に前記薬液の成分を供給することを特徴とするものである。
ここで、剥離具合調査手段としては、例えばSEM(Scanning Electron Microscopy)が挙げられる。
発明3の有機物の剥離装置によれば、剥離具合調査手段による調査の結果を成分供給手段にフィードバックして薬液の成分濃度を調整することができ、剥離液の剥離性能を高く維持することができる。
〔発明4〕 発明4の剥離装置は、上述した発明3の剥離装置において、前記複数種類の成分を前記有機物の剥離を律速する特定成分とその他の成分とに区別したとき、前記成分供給手段は、前記剥離具合調査手段による調査の結果に基づいて、前記特定成分だけを前記薬液槽に供給することを特徴とするものである。
ここで、本発明者は、例えば、ヒドロキシルアミンと、カテコールと、ジグリコールアミンとを含む有機剥離液(薬液)では、ヒドロキシルアミンが特定成分として作用し、カテコールと、ジグリコールアミンとがその他の成分として作用し、この有機剥離液に含まれるヒドロキシルアミンの濃度を調整することで、有機剥離液の剥離性能をコントロールすることができる、ということを見出した。
発明4の有機物の剥離装置によれば、例えば、基板から有機物が十分に除去されていないような場合に、特定成分だけを薬液槽に供給することで、薬液槽に貯められた薬液の特定成分の濃度を高めることができ、その剥離性能を高めにコントロールすることができる。
〔発明5〕 発明5の剥離装置は、上述した発明1から発明4の何れか一の剥離装置において、前記薬液槽に貯められた前記薬液を循環させる循環ラインと、前記薬液槽から前記循環ラインへの前記薬液の流れを、前記成分供給手段から当該循環ラインへの前記成分の流れに切り換える第1切換手段とを備え、前記第1切換手段によって前記循環ラインに前記成分だけが流されているときに、当該成分の濃度を前記成分濃度計測手段に計測させることによって、当該成分濃度計測手段の校正を行うことを特徴とするものである。
ここで、「前記薬液槽から前記循環ラインへの前記薬液の流れを、前記成分供給手段から当該循環ラインへの前記成分の流れに切り換える」とは、即ち、前記循環槽から前記循環ラインへの前記薬液の流れを止め、この間に、前記成分供給手段から当該循環ラインに前記成分だけを流させることである。
発明5の有機物の剥離装置によれば、成分濃度計測手段を自動校正することができ、オペレータ等の手間を省くことができる。また、このような校正を定期的に行うことで、成分濃度計測手段の計測精度を高く維持することができる。
〔発明6〕 発明6の剥離装置は、上述した発明5の剥離装置において、前記薬液槽から前記循環ラインへの前記薬液の流れを、前記水分供給手段から当該循環ラインへの前記水分の流れに切り換える第2切換手段を備え、前記第2切換手段によって前記循環ラインに前記水分だけが流されているときに、当該水分の濃度を前記水分濃度計測手段に計測させることによって、当該水分濃度計測手段の校正を行うことを特徴とするものである。
ここで、「前記薬液槽から前記循環ラインへの前記薬液の流れを、前記水分供給手段から当該循環ラインへの前記水分の流れに切り換える」とは、即ち、前記循環槽から前記循環ラインへの前記薬液の流れを止め、この間に、前記水分供給手段から当該循環ラインに前記水分だけを流させることである。
発明6の有機物の剥離装置によれば、水分濃度計測手段を自動校正することができ、オペレータ等の手間を省くことができる。また、このような校正を定期的に行うことで、水分濃度計測手段の計測精度を高く維持することができる。
〔発明7〕 発明7の有機物の剥離方法は、上述した発明1から発明6の何れか一の剥離装置を用いて、前記基板上から前記有機物を剥離することを特徴とするものである。このような構成であれば、発明1から発明6の何れか一の有機物の剥離装置が応用されるので、薬液の剥離性能を高く維持しつつ、その交換頻度を少なくすることが可能である。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る有機物の剥離装置及び有機物の剥離方法について説明する。
(1)第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係る剥離装置100の構成例を示す概念図である。この剥離装置100は、ウエーハW上に形成されたレジスト膜や、このレジスト膜をマスクにドライエッチング等を行うことにより生じるポリマー(反応性生物)に有機剥離液を供給して、レジスト膜やポリマー(以下、これらをまとめて「有機物」という。)をウエーハW上から剥離して取り除く装置である。
図1に示すように、この剥離装置100は、循環槽10と、剥離液供給管12と、回転ステージ21と、剥離液回収管13と、循環ライン15と、有機成分濃度計31と、水分濃度計41と、成分供給装置50と、純水供給装置60と、制御部70と、データ格納部72等を有する。
これらの中で、剥離液供給管12は、循環槽10に貯められた有機剥離液(以下、単に「剥離液」という。)を回転ステージ21側へ送るものである。この剥離液供給管12には図示しないポンプが取り付けられている。この剥離液供給管12に取り付けられたポンプが動作することによって、循環槽10に貯められた剥離液は剥離液供給管12の内側を通って回転ステージ21側へ圧送される。
また、回転ステージ21は、ウエーハWの裏面を回転可能に支持すると共に、遠心力によって剥離液をウエーハWの表面に満遍なく供給するものである。循環槽10から剥離液供給管12の内側を通って送られてきた剥離液は、この回転ステージ21によって支持されたウエーハWの表面上に供給される。また、ウエーハWの表面上に剥離液が供給されると同時に、回転ステージ21は回転シャフト22を軸に回転するようになっている。
このような構成により、ウエーハWの表面に供給された剥離液は、回転ステージ21の回転によって生じる遠心力によって、ウエーハWの中心部からその周縁部方向に広がる。また、この剥離液によって、有機物はウエーハWの表面上から剥離され、取り除かれる。ここで、遠心力によってウエーハW表面の中心部から周縁部に広がった剥離液は、ウエーハWの周縁部からその外側へ飛散する。この剥離装置100では、この飛散した剥離液は、回転ステージ21下方のカップ23内に落ちるようになっている。
剥離液回収管13は、このカップ23内に落ちた剥離液を循環槽10へ戻すものである。この剥離液回収管13には図示しないポンプが取り付けられている。この剥離液回収管13に取り付けられたポンプが動作することによって、カップ23内に落ちた剥離液は剥離液回収管13の内側を通って循環槽10へ圧送される。
図1に示すように、この循環槽10には、さらに、循環ライン15と、成分供給装置50と、純水供給装置60とが接続されている。
これらの中で、循環ライン15は、循環槽10に貯められた剥離液を循環させるものである。この循環ライン15は、配管と、この配管に取り付けられたポンプ(図示せず)等とから構成されており、配管の両端が循環槽10に接続されている。この配管に取り付けられたポンプが動作することによって、循環槽10に貯められた剥離液が循環ライン15の内側を流れるようになっている。
また、成分供給装置50は、剥離液を構成する各成分を成分毎に循環槽10に供給するものである。例えば、剥離液が、成分Aと、成分Bと、成分Cとからなる場合には、図1に示すように、この成分供給装置50内には、成分Aだけを入れた第1タンク51と、成分Bだけを入れた第2タンク52と、成分Cだけを入れた第3タンク53とが設けられている。そして、この成分供給装置50は、制御部70の制御下で、成分Aと、成分Bと、成分Cを成分毎にそれぞれ循環槽10に供給することが可能となっている。
ここで、一例を挙げると、成分Aはヒドロキシルアミン、成分Bはカテコール、成分Cはジグリコールアミンである。さらに、純水供給装置60は、制御部70の制御下で、循環槽10に純水を供給するものである。
一方、有機成分濃度計31は、循環ライン15の内側を流れる剥離液の成分濃度を計測するものである。例えば、この有機成分濃度計31は、剥離液を構成する成分A(例えば、ヒドロキシルアミン)と、成分B(例えば、カテコール)と、成分C(例えば、ジグリコールアミン)のそれぞれの濃度を計測する機能を備えている。また、水分濃度計41は、循環ライン15の内側を流れる剥離液の水分濃度を計測するものである。
さらに、図1に示すように、制御部70は、有機成分濃度計31と、成分供給装置50と、水分濃度計41と、純水供給装置60と、データ格納部72等と、それぞれ有線又は無線を介して接続されている。この制御部70は、例えばCPU(central processing unit)である。また、データ格納部72は、例えばRAM(random access memory)であり、剥離装置100の製品処理に関するプログラムや、有機成分濃度計や水分濃度計の校正処理に関するプログラム等が格納されている。
例えば、制御部70は、データ格納部72に格納されたプログラムに従って、有機成分濃度計31に剥離液に含まれる成分A〜Cのそれぞれの濃度を測定させる。そして、その成分濃度の測定値を有機成分濃度計31から取得する。また、制御部70は、データ格納部72に格納されたプログラムに従って、水分濃度計41に剥離液に含まれる水分の濃度を測定させる。そして、その水分濃度の測定値を水分濃度計41から取得する。その後、制御部70は、この取得した成分A〜Cのそれぞれの濃度測定値と、水分濃度の測定値とに基づいて、成分供給装置50から循環槽10に成分A〜Cをそれぞれ供給させたり、純水供給装置60から循環槽10に純水を供給させたりして、循環槽10に貯められた剥離液を管理する。
図2は、剥離装置100における剥離液の管理方法を示すフローチャートである。次に、図2のフローチャートに沿って、図1に示した剥離装置100における剥離液の管理方法について、図2のフローチャートに沿って説明する。
まず始めに、図2のステップS1では、制御部70の制御下で、有機成分濃度計31が、循環ライン15の内側を流れる剥離液の有機系成分の濃度をそれぞれ測定する。例えば、剥離液が成分Aと、成分Bと、成分Cとからなる場合には、有機成分濃度計31は、剥離液中での成分A〜Cの濃度をそれぞれ測定する。
次に、図2のステップS2で、測定された成分Aと、成分Bと、成分Cの濃度が、それぞれ管理値内にあるか否かを確認する。ここで、管理値とは、その下側に下限管理値(LCL:low control limit)を持ち、その上側に上限管理値(UCL:upper control limit)を持った、一定の幅を持った数値範囲のことである。測定された値がLCL以上であり、かつUCL以下である場合に、その値は管理値内にあると言う。
ステップS2で、成分A〜Cの濃度が管理値内にあるか否かの確認は、制御部70が行う。このステップS2で、成分A〜Cの濃度がそれぞれ管理値内にあることが確認された場合には、ステップS3へ進む。また、成分A〜Cのうち、その一つでもその濃度が管理値を超えていることが確認された場合には、ステップS5へ進む。ステップS5では、成分供給装置50が、成分A〜Cの少なくとも一種類を循環槽10に一定量だけ供給する。これにより、剥離液中の成分A〜Cの濃度全てが、それぞれの管理値内に入るよう濃度の調整を行う。
例えば、図2のステップS2で、成分Aの濃度がその管理値よりも高いことが確認された場合には、ステップS5では、成分供給装置50は、制御部70の制御下で、循環槽10に成分Bと、成分Cとをそれぞれ一定量だけ供給する。これにより、循環槽10に貯められた剥離液中の成分Bと成分Cの濃度はそれぞれ上昇し、成分Aの濃度は相対的に低下する。また、ステップS2で、成分Aの濃度がその管理値よりも低いことが確認された場合には、成分供給装置50は、制御部70の制御下で、循環槽10に成分Aだけを一定量だけ供給する。これにより、循環槽10に貯められた剥離液中の成分Aの濃度は上昇する。
この例では、ステップS5での処理について、成分Aの場合について説明したが、成分B、成分Cの場合についても成分Aの場合と同じように処理する。ステップS5で、成分供給装置50から循環槽10に成分A〜Cの少なくとも一種類を一定量だけ供給した後で、ステップS1へ戻る。
一方、ステップS3では、制御部70の制御下で、水分濃度計41が、循環ライン15の内側を流れる剥離液の水分濃度を測定する。そして、ステップS4で、測定された水分濃度が管理内にあるか否かを確認する。この確認は、制御部70が行う。このステップS4で、剥離液の水分濃度が管理値を超えていることが確認された場合には、図2のステップS6へ進む。
ステップS6では、成分供給装置50が循環槽10に成分A〜Cを一定量だけ供給する、又は、純水供給装置60が循環槽10に純水を一定量だけ供給することによって、剥離液の水分濃度を調整する。例えば、図2のステップS4で、剥離液の水分濃度がその管理値よりも高いことが確認された場合には、ステップS6では、成分供給装置50は、制御部70の制御下で、循環槽10に成分Aと、成分Bと、成分Cとをそれぞれ一定量だけ供給する。これにより、剥離液中での成分A〜Cの濃度はそれぞれ上昇し、水分濃度は相対的に低下する。
また、ステップS4で剥離液の水分濃度がその管理値よりも低いことが確認された場合には、ステップS6では、純水供給装置60は、制御部70の制御下で、循環槽10に純水を一定量だけ供給する。これにより、剥離液中での水分濃度は上昇する。ステップS6で、循環槽10に貯められた剥離液中の水分濃度を調整した後で、図2のステップS3へ戻る。
なお、ステップS4で、循環ライン15の内側を流れる剥離液の水分濃度が管理値内にあることが確認された場合には、図2に示すフローチャートを終了する。図1に示した剥離装置では、図2に示したような剥離液の管理を、一定間隔で連続して行う。
このように、本発明の第1実施形態に係る剥離装置100によれば、循環槽10に貯められた剥離液の各成分A〜Cの濃度をそれぞれ測定し、濃度が低くなった成分だけを循環槽10に追加することができるので、循環槽10に貯められた剥離液の各成分A〜Cの濃度をそれぞれ所定の範囲に保持することができる。従って、剥離液の剥離性能を高く維持することができ、循環槽10に貯められた剥離液を有機物の剥離処理に繰り返し使用することができる。従来技術と比べて、剥離液の全交換のタイミングを循環槽10の内部を洗浄するようなメンテナンス時に限定することが可能であり、剥離液の交換頻度を少なくすること可能である。
この実施形態では、ウエーハWが本発明の基板に対応し、成分A〜Cからなる剥離液が本発明の薬液に対応し、循環槽10が本発明の薬液槽に対応している。また、剥離液供給管12が本発明の薬液供給手段に対応し、剥離液回収管13が本発明の薬液回収手段に対応している。さらに、有機成分濃度計31が本発明の成分濃度計測手段に対応し、水分濃度計41が本発明の水分濃度計測手段に対応している。また、成分供給装置50が本発明の成分供給手段に対応し、純水供給装置60が本発明の水分供給手段に対応している。
(2)第2実施形態
図3は、本発明の第2実施形態に係る剥離装置200の構成例を示す概念図である。この第2実施形態に係る剥離装置200は、図1に示した剥離装置100にSEM80が取り付けられたものである。従って、図3において、図1と同一の作用を有する部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図3に示す剥離装置200では、回転ステージ21(図1参照)上で有機物の剥離処理を行い、その後、この有機物の剥離処理を行った後のウエーハWをSEM80へ搬送するようになっている。搬送の対象となるウエーハWは、剥離処理を行った全てのウエーハでも良いし、1ロット当たり1〜数枚のウエーハでも良い。SEM80は、制御部70の制御下で、ウエーハWの表面を観察する。そして、その観察結果が制御部70に送信される。制御部70は、この送信されてきた観察結果に基づいて、成分供給装置50を制御し、循環槽に必要な成分を追加するようになっている。
例えば、剥離液が、第1実施形態で説明した例のように、成分A〜Cからなり、成分Aがヒドロキシルアミン、成分Bがカテコール、成分Cがジグリコールアミンである場合を想定する。
ここで、ヒドロキシルアミンと、カテコールと、ジグリコールアミンとを含む有機剥離液(薬液)では、ヒドロキシルアミンが有機物の剥離を律速する特定成分として作用し、カテコールと、ジグリコールアミンとがその他の成分として作用する。
この剥離装置200では、SEM80での観察で、ウエーハWの表面に有機物が残存していたような場合(即ち、剥離不足の場合)には、制御部70の制御下で、成分供給装置50から循環槽10に成分A(例えば、ヒドロキシルアミン)が供給される。
これにより、循環槽10に貯められた剥離液中の成分Aの濃度は高くなり、剥離液の剥離性能を高めにコントロールすることができる。
このように、本発明の第2実施形態に係る除外装置200によれば、SEM80によるウエーハW表面の観察の結果を、成分供給装置50にフィードバックして剥離液の成分濃度を調整することができ、剥離液の剥離性能を高く維持することができる。この第2実施形態では、SEM80が本発明の剥離具合調査手段に対応している。
(3)第3実施形態
図4は、本発明の第3実施形態に係る剥離装置300の構成例を示す概念図である。この第3実施形態に係る剥離装置300は、図1又は図3に示した剥離装置100,200において、その循環ライン15に4個の三方弁91〜94が取り付けられたものである。従って、図3において、図1及び図3と同一の作用を有する部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図3に示すように、この剥離装置300では、循環槽10と、水分濃度計41のセンサ部42との間の循環ライン15に第1の三方弁91が取り付けられ、このセンサ部42を挟んで第1の三方弁91の反対側に第2の三方弁92が取り付けられている。また、この第2の三方弁92と有機成分濃度計31のセンサ部32との間に第3の三方弁93が取り付けられ、センサ部32と循環槽10との間に第4の三方弁94が取り付けられている。
そして、第1の三方弁91は純水供給装置60に接続され、第3の三方弁93は成分供給装置50に接続されている。第2の三方弁92と、第4の三方弁94は、剥離装置300の排液口にそれぞれ接続されている。また、これら4個の三方弁91〜94は、制御部70の制御下で開閉動作するようになっている。
この剥離装置300では、例えばそのメンテナンス時に、制御部70の制御下で、循環槽10から循環ライン15への剥離液の流れが、純水供給装置60から当該循環ライン15への水分の流れに切り換えられる。つまり、図4の実線矢印で示すように、純水供給装置60から第1の三方弁91に純水が供給され、この第1の三方弁91から第2の三方弁92にかけて純水だけが流される。循環槽10から循環ライン15への剥離液の流れは、第1の三方弁91によって止められる。このように第1の三方弁91と第2の三方弁92との間で循環ライン15に純水だけが流されている状態で、水分濃度計41の校正が行われる。
また、この剥離装置300では、例えばそのメンテナンス時に、制御部70の制御下で、循環槽10から循環ライン15への剥離液の流れが、成分供給装置50から当該循環ライン15への成分の流れに切り換えられる。つまり、図4の実線矢印で示すように、成分供給装置50から第3の三方弁93に剥離液が成分毎に供給され、第3の三方弁93から第4の三方弁94にかけて剥離液が成分毎に流される。成分以外の液体の流れは、第3の三方弁によって止められる。このように、第3の三方弁93と第4の三方弁94との間で循環ライン15に各成分が個別に流されている状態で、有機成分濃度計31の校正が行われる。
例えば、剥離液が成分A〜Cからなる場合には、まず始めに、第3の三方弁93から第4の三方弁94にかけて成分Aだけが流され、成分Aに関して有機成分濃度計31の校正が行われる。次に、第3の三方弁93から第4の三方弁94にかけて成分Bだけが流され、成分Bに関して有機成分濃度計31の校正が行われる。そして、最後に、第3の三方弁93から第4の三方弁94にかけて成分Cだけが流され、成分Cに関して有機成分濃度計31の校正が行われる。この有機成分濃度計31の校正は、水分濃度計41の校正と同時に並行して行うことが可能である。
このように、本発明の第3実施形態に係る剥離装置300によれば、有機成分濃度計31や、水分濃度計41を自動で校正することができるので、オペレータの手間を省くことができ、便利である。
この第3実施形態では、三方弁93,94が本発明の第1の切換手段に対応している。また、三方弁91,92が本発明の第2の切換手段に対応している。
また、本発明の実施形態に係る有機物の剥離方法は、第1〜第3実施形態で説明した剥離装置100,200,300の何れか一の回転ステージ21上にウエーハWを載せ、このウエーハWの表面上に剥離液を供給して、このウエーハWの表面上からレジスト膜や、ポリマー等の有機物を剥離して取り除くものである。このような方法であれば、剥離液の剥離性能を高く維持しつつ、その交換頻度を少なくすることが可能である。
第1実施形態に係る剥離装置100の構成例を示す概念図。 剥離装置100における剥離液の管理方法を示すフローチャート。 第2実施形態に係る剥離装置200の構成例を示す概念図。 第3実施形態に係る剥離装置300の構成例を示す概念図。
符号の説明
10 循環槽、12 剥離液供給管、21 回転ステージ、23 カップ、13 剥離液回収管、15 循環ライン、31 有機成分濃度計、41 水分濃度計、50 成分供給装置、60 純水供給装置、70 制御部、72 データ格納部、100,200,300 剥離装置

Claims (7)

  1. 有機物が形成された基板に複数種類の成分からなる薬液を供給して当該基板から該有機物を剥離する装置であって、
    前記薬液を貯める薬液槽と、
    前記薬液槽に貯められた前記薬液を前記基板に供給する薬液供給手段と、
    前記薬液供給手段によって前記基板に供給された前記薬液を回収して前記薬液槽に戻す薬液回収手段と、
    前記薬液槽に貯められた前記薬液の前記成分の濃度を計測する成分濃度計測手段と、
    前記成分濃度計測手段による計測の結果に基づいて、濃度が低くなった成分だけを前記薬液槽に供給する成分供給手段と、を備えたことを特徴とする有機物の剥離装置。
  2. 前記薬液槽に貯められた前記薬液の水分濃度を計測する水分濃度計測手段と、
    前記水分濃度計測手段による計測の結果に基づいて、前記薬液槽に水分を供給する水分供給手段と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の有機物の剥離装置。
  3. 前記薬液が供給された後の基板を観察して前記有機物の剥離具合を調査する剥離具合調査手段を備え、
    前記成分供給手段は、
    前記剥離具合調査手段による調査の結果に基づいて、前記薬液槽に前記薬液の成分を供給することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機物の剥離装置。
  4. 前記複数種類の成分を前記有機物の剥離を律速する特定成分とその他の成分とに区別したとき、
    前記成分供給手段は、
    前記剥離具合調査手段による調査の結果に基づいて、前記特定成分だけを前記薬液槽に供給することを特徴とする請求項3に記載の有機物の剥離装置。
  5. 前記薬液槽に貯められた前記薬液を循環させる循環ラインと、
    前記薬液槽から前記循環ラインへの前記薬液の流れを、前記成分供給手段から当該循環ラインへの前記成分の流れに切り換える第1切換手段とを備え、
    前記第1切換手段によって前記循環ラインに前記成分だけが流されているときに、当該成分の濃度を前記成分濃度計測手段に計測させることによって、当該成分濃度計測手段の校正を行うことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の有機物の剥離装置。
  6. 前記薬液槽から前記循環ラインへの前記薬液の流れを、前記水分供給手段から当該循環ラインへの前記水分の流れに切り換える第2切換手段を備え、
    前記第2切換手段によって前記循環ラインに前記水分だけが流されているときに、当該水分の濃度を前記水分濃度計測手段に計測させることによって、当該水分濃度計測手段の校正を行うことを特徴とする請求項5に記載の有機物の剥離装置。
  7. 請求項1から請求項6の何れか一項に記載された有機物の剥離装置を用いて、前記基板上から前記有機物を剥離することを特徴とする有機物の剥離方法。
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