JP2005346941A - 架橋耐外傷性難燃性絶縁電線 - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐外傷性に優れると共に難燃性をも有する耐外傷性難燃性絶縁電線を提供する。
【解決手段】 EVA、エチレン・アクリルゴムおよびスチレン・エチレン・ブチレン共重合体エラストマーからなるベース樹脂に、平均粒径0.3μm以下の微粒子水酸化マグネシウムを含むシランカップリング剤で表面処理した水酸化マグネシウムが配合された難燃性樹脂組成物が導体上に被覆され、その上にEVA、スチレン・エチレン・エチレンプロピレン・スチレン共重合体およびマレイン酸変性LLDPEからなるベース樹脂に、水酸化マグネシウムおよびメラミンシアヌレートからなる難燃剤が配合された耐外傷性難燃性樹脂組成物が、100μm以下の厚さに被覆され架橋することによって解決される。
【選択図】 なし
【解決手段】 EVA、エチレン・アクリルゴムおよびスチレン・エチレン・ブチレン共重合体エラストマーからなるベース樹脂に、平均粒径0.3μm以下の微粒子水酸化マグネシウムを含むシランカップリング剤で表面処理した水酸化マグネシウムが配合された難燃性樹脂組成物が導体上に被覆され、その上にEVA、スチレン・エチレン・エチレンプロピレン・スチレン共重合体およびマレイン酸変性LLDPEからなるベース樹脂に、水酸化マグネシウムおよびメラミンシアヌレートからなる難燃剤が配合された耐外傷性難燃性樹脂組成物が、100μm以下の厚さに被覆され架橋することによって解決される。
【選択図】 なし
Description
本発明は、耐外傷性に優れた架橋難燃性絶縁電線に関する。
近年、環境等の問題から難燃性絶縁電線の被覆材料においても、従来のPVCやハロゲン系難燃剤に代えて、燃焼時にハロゲンガスの発生しない、いわゆるハロゲンフリーの被覆材料への転換が進められている。このようなハロゲンフリーの被覆材料としては、エチレン系単独重合体、エチレン系共重合体、エチレン・アクリルゴム等をベース樹脂成分とし、これに水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水和珪酸アルミニウム等の金属水和物系難燃剤を配合したものが知られている。しかし、前記エチレン系重合体などの樹脂成分は本質的に難燃性を有していないので、これを高度に難燃化しようとする場合、金属水和物系難燃剤を多量に配合することが必要であり、その結果、被覆材料の可とう性や機械特性が低下し、或いは脆くなって電線どうしの擦れや固い器物の角との接触などにより外傷を受けやすくなるという問題がある。
上記のような問題を改善するため、ポリオレフィン系樹脂に脂肪酸やシランカップリング剤で表面処理した金属水和物を配合して、難燃性、機械特性、電気絶縁特性を改善しようとする提案が特許文献1に記載されている。また、エチレン・酢酸ビニル共重合体などのエチレン系共重合体、少なくとも一部が懸化されたエチレン・酢酸ビニル共重合体、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂をベース樹脂とし、これに架橋性シランカップリング剤で表面処理した金属水和物、メラミンシアヌレート化合物を配合し、これを被覆することによって絶縁電線の難燃性および機械特性を改善しようとする提案が特許文献2に記載されている。さらに、エチレン系共重合体にスチレン系のエラストマーやアクリルゴムを混合することによって機械特性を向上させ、金属水和物とメラミンシアヌレート化合物によって難燃性を改善しようとする提案が、特許文献3に記載されている。
上記特許文献に記載されている被覆樹脂組成物や絶縁電線は、UL規格1581の垂直燃焼試験のVW−1規格に適合する難燃性を有し、また破断伸び、引張破断強度等の機械特性を満足させることができるとされている。しかしこれらの被覆樹脂組成物や絶縁電線は、いずれもベース樹脂100質量部に対して金属水和物系難燃剤100〜250質量部または150〜280質量部を配合してなるものであり、このような金属水和物系難燃剤の多量の配合は、難燃性の向上には有効であるが可とう性の低下や脆さの増大を招き、特に電線どうしの擦れや固い器物の角との接触等で被覆層に傷が生じやすく、いわゆる耐外傷性が悪いという問題がある。
特開2000−195336号公報
特開2000−294036号公報
特開2001−60414号公報
よって本発明が解決しようとする課題は、導体上に形成されたノンハロゲンで高度の難燃性と、引張破断強度や破断伸び等の機械的特性に優れた難燃性樹脂組成物からなる内層上に、特に加工時ないし配線時等において電線どうしの擦れや固い器物等との接触などによって生じる傷、或いは傷による白化を防止する耐外傷性に優れると共に、難燃性をも有する耐外傷性樹脂組成物を薄層として外層を形成し、これを架橋することによって、電子機器類等として有用な架橋耐外傷性難燃性絶縁電線を提供することにある。
前記解決しようとする課題は、請求項1に記載されるように、エチレン・酢酸ビニル共重合体(以下EVA)45〜55質量部、エチレン・アクリルゴム(以下AEM)35〜45質量部およびスチレン・エチレン・ブチレン共重合体エラストマー5〜10質量部からなるベース樹脂100質量部に対し、シランカップリング剤で表面処理した水酸化マグネシウムが180〜250質量部、平均粒径が0.3μm以下の微粒子水酸化マグネシウムが50〜120質量部の組成割合で250〜300質量部配合された難燃性樹脂組成物が、導体上に被覆され、その上にはEVA60〜80質量部、スチレン・エチレン・エチレンプロピレン・スチレン共重合体(以下SEEPS)15〜25質量部、AEM5〜10質量部およびマレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン(以下マレイン酸変性LLDPE)5〜10質量部からなるベース樹脂100質量部に対し、水酸化マグネシウム50〜100質量部およびメラミンシアヌレート10〜30質量部からなる難燃剤を60〜100質量部配合してなる耐外傷性難燃性樹脂組成物が、100μm以下の厚さに被覆された架橋耐外傷性難燃性絶縁電線とすることによって、解決される。また好ましくは請求項2に記載されるように、前記耐外傷性難燃性樹脂組成物に配合される水酸化マグネシウムが、シランカップリング剤によって表面処理された架橋耐外傷性難燃性絶縁電線とすることによって、解決される。
以上のように、EVA45〜55質量部、AEM35〜45質量部およびスチレン・エチレン・ブチレン共重合体エラストマー5〜10質量部からなるベース樹脂100質量部に対し、シランカップリング剤で表面処理した水酸化マグネシウムが180〜250質量部、平均粒径が0.3μm以下の微粒子水酸化マグネシウムが50〜120質量部の組成割合で250〜300質量部配合された、ノンハロゲンの高難燃性で、機械特性にも優れた難燃性樹脂組成物の被覆層が導体上に形成され、その上にはEVA60〜80質量部、SEEPS共重合体15〜25質量部、AEM5〜10質量部およびマレイン酸変性LLDPE5〜10質量部からなるベース樹脂100質量部に対し、水酸化マグネシウム50〜100質量部およびメラミンシアヌレート10〜30質量部からなる難燃剤を60〜100質量部配合してなる耐外傷性に優れた難燃性樹脂組成物の薄層が設けられ、架橋された架橋耐外傷性難燃性絶縁電線であるから、電線どうしの擦れや固い器物等との接触などによる傷、もしくはそのことによる白化を生じることがない耐外傷性を有し、またノンハロゲンでUL規格1581のVW−1試験に合格する高度の難燃性を有すると共に、引張破断強度、破断伸び等の機械特性にも優れた内層を有する。また電子線照射により架橋することによって、耐薬品性や耐熱性等をも向上させたので、電子機器等の配線用として好ましい架橋耐外傷性難燃性絶縁電線が得られる。さらには、耐外傷性難燃性樹脂組成物に配合する水酸化マグネシウムをシランカップリング剤によって表面処理することにより、外層の押出加工性にも優れたものである。
以下に本発明を詳細に説明する。請求項1に記載の本発明は、EVA45〜55質量部、AEM35〜45質量部およびスチレン・エチレン・ブチレン共重合体エラストマー5〜10質量部からなるベース樹脂100質量部に対し、シランカップリング剤で表面処理した水酸化マグネシウムが180〜250質量部、平均粒径が0.3μm以下の微粒子水酸化マグネシウムが50〜120質量部の組成割合で250〜300質量部配合された難燃性樹脂組成物が、導体上に被覆され、その上にはEVA60〜80質量部、SEEPS共重合体15〜25質量部、AEM5〜10質量部およびマレイン酸変性LLDPE5〜10質量部からなるベース樹脂100質量部に対し、水酸化マグネシウム50〜100質量部およびメラミンシアヌレート10〜30質量部からなる難燃剤を60〜100質量部配合してなる耐外傷性難燃性樹脂組成物が、100μm以下の厚さに被覆された架橋耐外傷性難燃性絶縁電線である。
まず、架橋耐外傷性難燃性絶縁電線の内層として導体上に被覆される、難燃性樹脂組成物について述べる。この難燃性樹脂組成物は、EVA45〜55質量部とAEM35〜45質量部およびスチレン・エチレン・ブチレン共重合体エラストマー5〜10質量部からなるベース樹脂100質量部に対し、シランカップリング剤で表面処理した水酸化マグネシウムと平均粒径が0.3μm以下の微粒子水酸化マグネシウムを、シランカップリング剤で表面処理した水酸化マグネシウムを180〜250質量部:平均粒径が0.3μm以下の微粒子水酸化マグネシウムを50〜120質量部の割合範囲とし、これを250〜300質量部配合した難燃性樹脂組成物である。ベース樹脂の一つとして使用されるEVAは、難燃性の点から酢酸ビニルの含有量が高いものが好ましいが、機械特性とのバランスから適宜選択して用いる。一例としては、酢酸ビニル含有量22~47質量%、好ましくは25〜42質量%でMFR(メルトマスフローレート)が0.1〜20g/10min(190℃、2.16kg)、好ましくは0.1〜3のEVAである。このようなEVAは、例えば三井・デュポンポリケミカル社製の商品名EV180などが挙げられる。そしてEVAは、ベース樹脂中に45〜55質量部の範囲で配合される。その配合量が45質量部未満では機械強度が不足し、また55質量部を超えると難燃性が不足して好ましくない。
また、ベース樹脂として用いるAEMの配合量は35〜45質量部であり、配合量が35質量部未満では難燃性が不足となり、また45質量部を超えると機械強度が不足となって好ましくない。さらに、ベース樹脂として用いるスチレン・エチレン・ブチレン共重合体エラストマーの配合量は5〜10質量部であり、配合量が5質量部未満では機械強度が不足し、10質量部を超えると難燃性が不足して好ましくない。このようなスチレン・エチレン・ブチレン共重合体エラストマーは、スチレンの含有量が15〜35質量%のものが好ましい。具体的な一例としては、日本合成ゴム社製の商品名ダイナロン4630Pがある。
そして前述のベース樹脂には難燃性と機械特性を向上させるために、ベース樹脂100質量部に対しシランカップリング剤で表面処理した水酸化マグネシウムと平均粒径が0.3μm以下の微粒子水酸化マグネシウムを、シランカップリング剤で表面処理した水酸化マグネシウム180〜250質量部:平均粒径が0.3μm以下の微粒子水酸化マグネシウム50〜120質量部の割合範囲で、250〜300質量部配合することによって、機械特性に優れた架橋耐外傷性難燃性絶縁電線の内層用の難燃性樹脂組成物とすることができる。シランカップリング剤で表面処理した水酸化マグネシウムと平均粒径が0.3μm以下の微粒子水酸化マグネシウムの配合量が250質量部未満では、UL規格1581のVW−1試験に合格する高度な難燃性が得られず、また300質量部を超えると可とう性等の機械特性が著しく低下するようになり好ましくない。このように2種類の水酸化マグネシウムの組合せによって、ベース樹脂中に隙間なく水酸化マグネシウムを分散できるので、引張り時のクレーズ(欠陥)の発生を防止でき、得られた難燃性樹脂組成物は特に引張破断強度や破断伸び等の機械特性が大幅に向上される。また水酸化マグネシウムを、シランカップリング剤で表面処理した水酸化マグネシウムと平均粒径が0.3μm以下の微粒子水酸化マグネシウムを180〜250質量部:50〜120質量部の割合とするのは、このような配合割合とすることによって、機械特性、特に引張破断強度や破断伸び等を大幅に向上させたノンハロゲンの難燃性樹脂組成物とすることができるためである。そして、前記シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランが好ましい。
このような難燃性樹脂組成物は、構成する各成分の所定量をドライブレンドし二軸混練押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等の通常用いられる混練機で溶融混練し、ついで通常用いられる押出成形機を用いて導体上に押出被覆することによって、絶縁電線の内層を形成する。またこの難燃性樹脂組成物には必要に応じて、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、銅害防止剤、顔料、滑剤、相溶化剤等を、本発明の目的を損なわない範囲で適宜配合しても良く、また場合により他の難燃助剤(赤燐、ポリ燐酸化合物、ヒドロキシ錫酸亜鉛等)を併用しても良い。そして前記内層上には、以下の耐外傷性難燃性樹脂組成物が100μm以下の厚さで外層として設けられ、架橋が施されて電子機器用等の架橋耐外傷性難燃性絶縁電線となる。
つぎに、耐外傷性難燃性樹脂組成物について説明する。この耐外傷性難燃性樹脂組成物は、耐外傷性に優れたベース樹脂と難燃剤で構成される。ベース樹脂の一つとして使用されるEVAは、難燃性の点からは酢酸ビニルの含有量が高いものが好ましいが、機械特性とのバランスから適宜選択して用いる。一例としては、酢酸ビニル含有量22~47質量%、好ましくは25〜42質量%でMFR(メルトマスフローレート)が0.1〜20g/10min(190℃、2.16kg)、好ましくは0.1〜3g/10minのEVAである。このようなEVAとしては、例えば三井・デュポンポリケミカル社製の商品名EV180などが挙げられる。そしてEVAは、ベース樹脂中に60〜80質量部の範囲で配合される、その配合量が60質量部未満では機械強度が不足し、また80質量部を超えると難燃性が不足すると共に、柔軟性も低下するので前記範囲とされる。
また、ベース樹脂の一つとして用いるSEEPSは、スチレンの含有量が20質量%以上のものが好ましい。このようなSEEPSの具体例としては、クラレ社製の商品名セプトン4033などである。そしてSEEPSの配合量は、ベース樹脂中に15〜25質量部とする。配合量が15質量部未満では機械強度が不足し、また25質量部を超えると難燃性が不足するためである。
さらにベース樹脂として使用するAEMは、エチレンの重合体ブロックとメチルアクリレートの重合体ブロックからなるブロック重合体であり、一例としては、三井・デュポンポリケミカル社製の商品名VAMAC DPなどが挙げられる。そしてAEMの配合量は、ベース樹脂中に5〜10質量部とする。その配合量が5質量部未満では、難燃性が不足すると共に柔軟性が低下する。また、10質量部を超えると機械強度が不足するので前記範囲とされる。
またベース樹脂の一つであるマレイン酸変性LLDPEは、直鎖状低密度ポリエチレン(以下LLDPE)、直鎖状超低密度ポリエチレン(以下LVLDPE)などの密度が0.93g/cm3以下のポリエチレンを、マレイン酸、無水マレイン酸等で変性してなるものであり、中でもLLDPEをマレイン酸変性してなるものが好ましい。このようなマレイン酸変性LLDPEの製法の一例としては、ポリエチレンとマレイン酸を有機過酸化物の存在下に溶融混練する方法などである。変性の際のマレイン酸濃度は通常0.5〜10質量%程度である。そしてマレイン酸変性LLDPEの配合量は。ベース樹脂100質量部中に5〜10質量部の範囲であり、配合量が5質量部未満では水酸化マグネシウムのベース樹脂中への分散性の改善効果が小さく、機械特性等に及ぼす向上効果も期待できない。また10質量部を超えると破断伸びが不足し、柔軟性も低下すると共に、導体との密着力が強くなり過ぎて、絶縁電線の接続作業等の口出し性が悪くなるので好ましくない。
以上のベース樹脂の難燃性を向上させるために、ベース樹脂100質量部に対して水酸化マグネシウム50〜100質量部とメラミンシアヌレート10〜30質量部の割合範囲の難燃剤を、60〜100質量部配合して耐外傷性難燃性樹脂組成物とする。そして水酸化マグネシウムは、天然水酸化マグネシウム、合成水酸化マグネシウム等であり、中でも合成水酸化マグネシウムを用いるのが好ましい。また、その粒子径等について特に制限はないが、粒子径が5μm以下で平均粒子径2〜4μmとするのが樹脂に対する分散性等から好ましい。水酸化マグネシウムの配合量が50質量部未満では、難燃性が十分でなく、また100質量部を超えると、耐外傷性難燃性樹脂組成物が硬くなりすぎ、外層としての耐外傷性を低下させるようになる。また、水酸化マグネシウムと併用するメラミンシアヌレートは、10〜30質量部の範囲で配合される。配合量が10質量部未満では難燃性の改善効果が期待できず、また30質量部を超えると破断伸び等の機械強度の低下や、被覆層として外観が悪くなる。このように水酸化マグネシウムとメラミンシアヌレートを併用することによって、水酸化マグネシウムを単独で配合する場合に比較して、同部数の配合でより高い難燃化の効果が得られる。また、両者はそれぞれの配合量範囲において、ベース樹脂100質量部に対して60〜100質量部となるように配合される。このような配合量とするのは、60質量部未満では耐外傷性は良好となるが難燃性に劣るようになり、また100質量部を超えると耐外傷性に劣るようになるためである。
なお、耐外傷性難燃性樹脂組成物に配合される水酸化マグネシウムは、請求項2に記載するようにシランカップリング剤によって表面処理することが好ましい。シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が使用できる。表面処理の方法としては、水酸化マグネシウムとシランカップリング剤を混合し、或いは混練することにより行なうことができる。また前記シランカップリング剤は、水酸化マグネシウムに対して0.1〜5質量%の範囲で用いるのが好ましい。このような表面処理水酸化マグネシウムは、耐外傷性難燃性樹脂組成物中への分散性が改善され、外層として被覆する際の押出加工性に優れると共に、機械特性を向上させ難燃性をさらに高めることになる。
以上の耐外傷性難燃性樹脂組成物は、各ベース樹脂および難燃剤の所定量を、ドライブレンドし、二軸混練押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール等の通常用いられる混練機で溶融混練することによって得られる。またこの耐外傷性難燃性樹脂組成物には、必要に応じて他の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、銅害防止剤、顔料、滑剤、相溶化剤等を、本発明の目的を損なわない範囲で適宜配合しても良く、また、場合により他の難燃助剤(赤燐、ポリ燐酸化合物、ヒドロキシ錫酸亜鉛等)を併用しても良い。
そしてこの耐外傷性難燃性樹脂組成物は、導体上に設けられた前記難燃性樹脂組成物からなる内層上に、100μm以下の厚さの外層として設けられる。外層の厚さを100μm以下とするのは、この耐外傷性難燃性樹脂組成物のみの被覆層ではケーブル化した場合に、例えばUL規格1581のVW−1試験合格する難燃性は得られないが、導体上の難燃性樹脂組成物の被覆厚が250μm以上の場合に、耐外傷性難燃性樹脂組成物の厚みは100μm以下でも前記UL試験に合格できるようにするためである。以上の耐外傷性難燃性絶縁電線は、ついで架橋が施される。架橋は電子線照射により行なうことによって、他の架橋方法に比較して機械特性の向上が大きいので好ましいと共に、耐熱性や耐外傷性を向上することができる。そしてその際の照射量は、1〜30Mrad程度で行なわれる。このような構成とした架橋耐外傷性難燃性絶縁電線は、内層による高度の難燃性、機械特性と外層による優れた耐外傷性とが一体的に機能し、電子機器用等の架橋耐外傷性難燃性絶縁電線として有用となる。
以下に、実施例、比較例を示して本発明の効果を述べる。表1および表2に記載の各成分をブレンドし、バンバリーミキサーを用いて160〜190℃で溶融混練し、内層用の難燃性樹脂組成物および外層用の耐外傷性難燃性樹脂組成物をそれぞれ作製した。ついで0.48mmφの銅導体上に、前記難燃性樹脂組成物による0.36mm厚の被覆層を形成し、さらにその外周上に、前記耐外傷性樹脂組成物による50μm厚の被覆層を形成した後、3Mradの電子線照射により架橋して、架橋耐外傷性難燃性絶縁電線を作製した。
なお、内層用の難燃性樹脂組成物は、EVAとして三井・デュポンケミカル社製の商品名EV180、AEMとして三井・デュポンケミカル社製の商品名VAMAC DP、SEEPSとして、日本合成ゴム社製の商品名ダイナロン4630P、水酸化マグネシウムは、シランカップリング剤表面処理水酸化マグネシウムとして協和化学社製のキスマ5Pまたはキスマ5Lを、平均粒径0.3μm以下の微粒子水酸化マグネシウムは、堺化学社製のMGZ−3をそれぞれ用いた。また外層用の耐外傷性難燃性樹脂組成物については、EVAおよびAEMは前記内層用のものと同じものを、SEEPSとしてはクラレ社製の商品名セプトン4033を、マレイン酸変性LLDPEは日本ポリエチレン社製の商品名アドテックスL6100M、また、未処理の水酸化マグネシウムとして協和化学社製のキスマ5を、メラミンシアヌレートは日産化学社製の商品名MC−860を用いた。また、酸化防止剤は内層用および外層用共に、チバスペシャリティケミカルズ社製のイルガノックス1010を用いた。
上記架橋耐外傷性難燃性絶縁電線について、引張破断強度および破断伸びをUL規格1581により測定し、引張破断強度は10.3MPa以上、破断伸びは150%以上のものを合格、それ以外を不合格として記載した。また耐外傷性については、R=0.5のダイヤモンド圧指、荷重100gによる引掻き試験を行ない、被覆層の白化の有無を判定した。白化が見られないものを合格、白化が見られるものを有りとして記載した。さらに難燃性として、UL規格1581の垂直燃焼試験のVW−1試験を行ない、この試験をクリアしたものを合格とした。また外層用の耐外傷性難燃性樹脂組成物の押出し加工性については、内層をスクリュー径50m/m、L/D=22の押出機、外層はスクリュー径35m/m、L/D=20の単軸押出機を用いて、2層同時押出しを連続2時間行なった後、ダイかすの発生状況を観測して判定した。実施例の結果を表1に、比較例の結果を表2に示した。
表1から明らかなとおり、実施例1〜14は全ての試験項目に合格するものである。すなわち、EVAが45〜55質量部、AEMが35〜45質量部、スチレン・エチレン・ブチレン共重合体エラストマーが5〜10質量部、キスマ5Pと平均粒径0.3μm以下の微粒子水酸化マグネシウムを180〜250質量部:50〜120質量部の割合として、250〜300質量部の範囲で配合した難燃性樹脂組成物からなる内層とEVAが60〜80質量部、SEEPSが15〜25質量部、AEMが5〜10質量部、マレイン酸変性LLDPE5〜10質量部、水酸化マグネシウム50〜100質量部並びにメラミンシアヌレート10〜30質量部の割合で60〜100質量部配合した耐外傷性難燃性樹脂組成物を外層とする架橋耐外傷性難燃性絶縁電線は、耐外傷性においては、傷ないし傷による白化は認められず、また引張破断強度および破断伸びについても規格値をクリアする良好な特性を有するものであった。さらに難燃性に関しても、UL規格1581に規定されているVW−1規格に合格する優れた難燃性を示した。また、実施例8〜14に示した、耐外傷性難燃性樹脂組成物に用いる水酸化マグネシウムをシランカップリング剤で表面処理した場合は、前述の特性に加えて外層の押出し加工性が良好であった。
これに対し、表2の比較例1〜8に示した本発明範囲から外れた例では、引張破断強度、破断伸び、難燃性並びに耐外傷性のいずれかが不合格となった。すなわち、比較例1のように平均粒径が0.3μm以下の微粒子水酸化マグネシウムの配合量が70質量部であり、かつキスマ5Pの配合量が170質量部と少ないと、難燃性が不合格となる。また比較例2のように水酸化マグネシウムの総量が320質量部となると、引張破断強度並びに破断伸びが不合格となる。さらに比較例3のように水酸化マグネシウムの総量が250質量部であっても、平均粒径が0.3μm以下の微粒子水酸化マグネシウムの配合量が40質量部と少ないと、この場合も引張破断強度並びに破断伸びが不合格となる。また比較例4に示されるように、難燃性樹脂組成物中のEVAの配合量が本発明の範囲外であると、難燃性が不合格となり、さらに比較例5に示されるようにSEEPSの配合量が本発明の範囲外であると、破断伸びが不合格となる。また比較例6のように水酸化マグネシウムの総量が250質量部であっても、平均粒径が0.3μm以下の微粒子水酸化マグネシウムの配合量が40質量部と少ないと、この場合も引張破断強度が不合格となる。さらに比較例7、8に見られるように、耐外傷性難燃性樹脂組成物が本発明の組成範囲を外れると、擦れや接触等による被覆層の白化が生じて耐外傷性が不合格となる。
本発明の架橋耐外傷性難燃性絶縁電線は、優れたノンハロゲンの難燃性、機械特性を有すると共に耐外傷性に優れた被覆層を有しているので、特に電子機器等に用いられる配線として有用である。
Claims (2)
- エチレン・酢酸ビニル共重合体45〜55質量部、エチレン・アクリルゴム35〜45質量部およびスチレン・エチレン・ブチレン共重合体エラストマー5〜10質量部からなるベース樹脂100質量部に対し、シランカップリング剤で表面処理した水酸化マグネシウムが180〜250質量部、平均粒径が0.3μm以下の微粒子水酸化マグネシウムが50〜120質量部の組成割合で250〜300質量部配合された難燃性樹脂組成物が、導体上に被覆され、その上にはエチレン・酢酸ビニル共重合体60〜80質量部、スチレン・エチレン・エチレンプロピレン・スチレン共重合体15〜25質量部、エチレン・アクリルゴム5〜10質量部およびマレイン酸変性直鎖状低密度ポリエチレン5〜10質量部からなるベース樹脂100質量部に対し、水酸化マグネシウム50〜100質量部およびメラミンシアヌレート10〜30質量部からなる難燃剤を60〜100質量部配合してなる耐外傷性難燃性樹脂組成物が、100μm以下の厚さに被覆されたことを特徴とする架橋耐外傷性難燃性絶縁電線。
- 前記耐外傷性難燃性樹脂組成物に配合される水酸化マグネシウムが、シランカッププリング剤によって表面処理されていることを特徴とする請求項1に記載の架橋耐外傷性難燃性絶縁電線。
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---|---|---|---|---|
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- 2004-05-31 JP JP2004161877A patent/JP2005346941A/ja active Pending
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