JP2005344995A - 氷温貯蔵庫及び氷温貯蔵方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 シャーベット状の氷を製造する製氷機と、前記製氷機により製造されたシャーベット状の氷を送り出すパイプラインと、前記パイプラインと接続するとともに、食品が貯蔵される食品貯蔵庫からなり、前記食品周囲空間が前記パイプラインから送られたシャーベット状の氷によって満たされることを特徴とする氷温貯蔵庫である。
である。
【選択図】 図3
Description
図9に特許文献1に提案される氷温貯蔵庫の概略図を示す。
特許文献1に提案される氷温貯蔵庫は細氷を製造する製氷機(M)と、製氷機(M)とパイプを介して接続される食品貯蔵庫(R)からなる。
食品貯蔵庫(R)の外壁(O)は断熱材を有し、食品貯蔵庫(R)内への外気からの熱量の伝達を防いでいる。食品貯蔵庫(R)内部には多数の開口部が形成された第1内壁(W1)が外壁(O)に沿って配設されている。外壁(O)と第1内壁(W1)との間には、製氷機(M)によって製造された細氷が封入されている。
第1内壁(W1)で形成される空間の更に内方には、第2内壁(W2)が配設され、第2内壁には、食品貯蔵庫(R)内部の空気を循環させるための複数の循環穴が形成され、第1内壁(W1)と第2内壁(W2)との間には循環通路が形成されている。循環通路には、空気を循環させるためのファン(F)が配設されている。
まず、食品貯蔵庫が大型になるほど、食品貯蔵庫内部の−3℃〜0℃という狭い温度帯である氷温域を維持することが困難になるという点である。したがって、大量の食品を鮮度良く保存することが極めて困難である。
次に、冷却方式が冷気の対流によるので、冷気が直接当るような部分においては、部分凍結を生じ、冷気が当らない部分においては、0℃以上の温度となり十分な冷却保存効果を得られないという課題がある。したがって、冷気が直接あたるような部分においては、保存された食料が冷凍状態となり鮮度が低下し、冷気が当らない部分においては冷却されず腐ってしまうという問題がある。過冷却下においては、特に青果食品は黒ずんだり、窪んだりする低温障害を生ずることがある。
また、冷気を導入して冷却する構造であるので、食品が乾燥するという問題は不可避であった。
本発明は上記実情を鑑みてなされたものであって、大型の食品貯蔵空間においても食品貯蔵空間内全体にわたって氷温域に温度を精度良く維持することが可能であり、貯蔵される食品の変質を防止することが可能な氷温貯蔵庫及び氷温貯蔵方法を提供することを目的とする。
請求項2記載の発明は、前記パイプラインは前記製氷機により製造されたシャーベット状の氷を収容する氷受槽と、前記氷受槽と接続する供給ポンプと、前記供給ポンプと接続するとともに前記食品貯蔵庫上部と連通する供給パイプと、前記食品貯蔵庫底部から延設する排出パイプと、該排出パイプと接続し、該排出パイプから排出されたシャーベット状の氷を前記食品貯蔵庫上部へ循環させる循環ポンプと、前記循環ポンプから送り出されるシャーベット状の氷を前記食品貯蔵庫上部へと案内する循環パイプからなることを特徴とする請求項1記載の氷温貯蔵庫である。
請求項3記載の発明は、前記循環パイプ経路途中に該循環パイプ中の圧力損失を計測する差圧計が配設されていることを特徴とする請求項2記載の氷温貯蔵庫である。
請求項4記載の発明は、前記循環パイプ経路途中に前記製氷機と接続する分岐パイプを備え、前記差圧計の計測値が所定値以下となったときに、前記分岐パイプ経路途中に配設されたバルブが開かれ、前記製氷機が分岐パイプから供給されたシャーベット状の氷を所望のIPFを備えるシャーベット状の氷とし、前記パイプラインにより該所望のIPFを備えるシャーベット状の氷が食品貯蔵庫内に供給されることを特徴とする請求項3記載の氷温貯蔵庫である。
請求項5記載の発明は、前記循環パイプ経路途中に前記製氷機と接続する分岐パイプを備え、前記差圧計の計測値が所定値以上となったときに、前記循環ポンプを停止させるとともに、前記パイプライン中に配設されたヒータを作動させることを特徴とする請求項3記載の氷温貯蔵庫である。
請求項6記載の発明は、前記食品貯蔵庫底部が下方に狭まるテーパ形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の氷温貯蔵庫である。
請求項8記載の発明は、前記海水が海洋深層水であることを特徴とする請求項7記載の氷温貯蔵庫である。
請求項10記載の発明は、前記食品貯蔵庫壁に断熱材が配設されていることを特徴とする請求項1乃至9いずれかに記載の氷温貯蔵庫である。
請求項11記載の発明は、前記製氷機と、前記貯氷庫と、前記パイプラインと、前記食品貯蔵庫が台座上に配設され、該台座が車両に載置可能とされることを特徴とする請求項1乃至10いずれかに記載の氷温貯蔵庫である。
請求項13記載の発明は、前記循環工程において、前記食品貯蔵庫底部から該食品貯蔵庫上部へ循環するシャーベット状の氷の流れの圧力損失を計測する差圧検知工程と、前記食品貯蔵庫内のシャーベット状の氷を入れ換える入れ換え工程からなり、該入れ換え工程が、前記差圧検知工程において検知された圧力損失値が所定の値以下であるとき、前記食品貯蔵庫底部から該食品貯蔵庫上部への循環経路を、該食品貯蔵庫底部からシャーベット状の氷を製造する製氷機への経路に切換える段階と、前記製氷機に供給されたシャーベット状の氷から所望のIPFを備えるシャーベット状の氷を製造する段階と、該所望のIPFを備えるシャーベット状の氷を製氷機から前記食品貯蔵庫へ供給する段階からなることを特徴とする請求項12記載の氷温貯蔵方法である。
請求項14記載の発明は、前記製造工程の前に、シャーベット状の氷に形成される海水の塩分濃度を調整する塩分濃度調整工程を備えることを特徴とする請求項12又は13記載の氷温貯蔵方法である。
請求項16記載の発明は、前記各食品貯蔵庫は、該食品貯蔵庫底部から延設する排出パイプと、該排出パイプと接続する循環ポンプと、前記循環ポンプと接続するとともに前記食品貯蔵庫上部へと前記食品貯蔵庫底部から排出されたシャーベット状の氷を案内する循環パイプを更に備え、該循環パイプには循環パイプ内を流動するシャーベット状の氷の圧力損失を計測する差圧計が配設され、前記循環パイプ途中から前記製氷機へと繋がる分岐パイプが設けられ、前記差圧計が計測する圧力損失が所定の値以下となったときに、前記分岐パイプを通じて、前記製氷機にシャーベット状の氷が供給されるとともに、前記貯氷庫から前記各食品貯蔵庫にシャーベット状の氷が供給されることを特徴とする請求項15記載の氷温貯蔵庫である。
請求項17記載の発明は、シャーベット状の氷を製造する製造工程と、前記製造工程で製造されたシャーベット状の氷を、食品を貯蔵する食品貯蔵庫に供給する供給工程と、前記食品貯蔵庫内に供給されたシャーベット状の氷を、該食品貯蔵庫底部から排出し、該食品貯蔵庫上部へ循環させる循環工程からなり、前記循環工程において、前記食品貯蔵庫底部から該食品貯蔵庫上部へ循環するシャーベット状の氷の流れの圧力損失を計測する差圧検知工程と、前記食品貯蔵庫内のシャーベット状の氷を入れ換える入れ換え工程からなり、該入れ換え工程が、前記差圧検知工程において検知された圧力損失値が所定の値以下であるとき、前記食品貯蔵庫底部から該食品貯蔵庫上部への循環経路を、該食品貯蔵庫底部からシャーベット状の氷を製造する製氷機への経路に切換える段階と、前記製氷機によって製造されたシャーベット状の氷を貯蔵する貯氷庫内の氷を破砕し、シャーベット状の氷の氷成分と水成分を渾然一体とする段階と、前記貯氷庫内の氷を前記食品貯蔵庫内へ供給する段階からなることを特徴とする氷温貯蔵方法である。
請求項2記載の発明は、シャーベット状の氷を食品貯蔵庫底部から上部に向かって循環させることができ、食品貯蔵庫内でシャーベット状の氷が固結することが防止される。
請求項3記載の発明によれば、循環中のシャーベット状の氷の流れの圧力損失を計測することで、循環しているシャーベット状の氷中の氷成分の含有率(IPF)を検知することが可能となり、食品貯蔵庫内のシャーベット状の氷の状態を知ることが可能となる。
請求項4記載の発明によれば、食品貯蔵庫内のシャーベット状の氷が所定のIPF以下となったときに、食品貯蔵庫内のシャーベット状の氷の一部を製氷機に送り、製氷機が送り込まれた氷を所望のIPFを備えるシャーベット状の氷とし、該所望のIPFを備えるシャーベット状の氷が再度食品貯蔵庫内に供給されるので、氷温貯蔵庫内を流れるシャーベット状の氷のIPFを一定範囲に収めることができる。
請求項5記載の発明によれば、シャーベット状の氷の循環経路の詰りを差圧計により検知することができ、ヒータでパイプラインを温めることによって、詰りの原因たる氷塊を溶かすことができ、シャーベット状の氷の循環の不具合を防止することが可能となる。これにより、循環停止によるシャーベット状の氷の水成分と氷成分の分離を防止することが可能となり、安定した氷温貯蔵が可能となる。また、循環ポンプを停止することにより、パイプの破裂を防止することができ、安全な氷温貯蔵が可能となる。
請求項6記載の発明によれば、食品貯蔵庫底部が下方に狭まるテーパ形状とされているので、シャーベット状の氷の食品貯蔵庫底部からの排出が容易に行われることとなる。
請求項8記載の発明によれば、シャーベット状の氷が深度200m以深で採取された海洋深層水からなるので、清浄でありかつミネラル成分を多く含み、食品鮮度をより効果的に保つことが可能となる。
請求項10記載の発明によれば、断熱材により、外部からの熱量の流入が防がれ、食品貯蔵庫内のシャーベット状の氷のIPFの低下を抑制することが可能となる。
請求項11記載の発明によれば、氷温貯蔵庫が車両搭載可能となるので、食品運搬中にも好適に氷温貯蔵することが可能となる。
請求項13記載の発明によれば、循環中のシャーベット状の氷の流れの圧力損失を計測することで、循環しているシャーベット状の氷中の氷成分の含有率(IPF)を検知することが可能となり、食品貯蔵庫内のシャーベット状の氷の状態を知ることが可能となる。更に、食品貯蔵庫内のシャーベット状の氷が所定のIPF以下となったときに、食品貯蔵庫内のシャーベット状の氷の一部を製氷機に送り、製氷機が送り込まれた氷を所望のIPFを備えるシャーベット状の氷とし、該所望のIPFを備えるシャーベット状の氷が再度食品貯蔵庫内に供給されるので、氷温貯蔵庫内を流れるシャーベット状の氷のIPFを一定範囲に収めることができる。
請求項14記載の発明によれば、塩分濃度を調整することにより、流動状態にあるシャーベット状の氷の温度を所望の温度とすることが可能となる。
請求項16及び17記載の発明によれば、複数の食品貯蔵庫内の氷のIPFが低下したときに、短期間に所望のIPFを備えるシャーベット状の氷を大量に供給でき、シャーベット状の氷の入れ換えを効率よく行うことが可能となる。また、予め貯氷庫内に蓄えられたシャーベット状の氷を用いるので、製氷機の製氷能力に依存することなくシャーベット状の氷の入れ換えを行うことが可能となる。
本発明に係る氷温貯蔵庫(1)は、シャーベット状の氷を製造する製氷機(2)と、食品を貯蔵する食品貯蔵庫(3)と、製氷機(2)と食品貯蔵庫(3)を結び、製氷機(2)から食品貯蔵庫(3)へシャーベット状の氷を供給するパイプライン(4)からなる。
ここで、シャーベット状の氷とは、水分と微細な氷片とが渾然一体となった流動性を有する氷をいう。シャーベット状の氷の流動性はシャーベット状の氷中の微細な氷成分の含有率(以下、IPFと呼ぶ)で表され、IPFが0%のとき、シャーベット状の氷は氷成分を全く有さない完全な液体となり、IPFが100%のとき、シャーベット状の氷は粉雪状の微細な氷片のみで形成されることになる。また、IPFが50%以上となると、シャーベット状の氷は半固体状となり、ほとんど流動性を有さないものとなる。
本発明に係るシャーベット状の氷は、塩分濃度が0%より高く5%以下に調整された海水からなることが好ましく、該海水には深度200m以深で採取された海洋深層水が用いられることが好ましい。
製氷機(2)は、シャーベット状の氷を製造可能なものであれば特に限定されないが、図2に示す構造の製氷機(2)を例示できる。
製氷機(2)は、3つの区画に仕切られた略円筒形状のドラム体(201)を備え、ドラム体(201)は上下方向に傾斜可能とされる。ドラム体(201)の区画は図2中左方からそれぞれ製氷部(202)、撹拌部(203)及び移送部(204)とされる。
ドラム体(201)内部中心軸上を回転シャフト(205)が貫いている。回転シャフト(205)の製氷部(202)に位置する部分には、製氷部(202)内壁に付着した氷成分を掻き取る掻き取り刃(251)が形成されている。回転シャフト(205)の撹拌部(203)に位置する部分には製氷部(202)から送られるシャーベット状の氷を撹拌する撹拌羽根(252)が形成されている。回転シャフト(205)の移送部(204)に位置する部分には、撹拌部(203)から送られるシャーベット状の氷を氷取り出し口(206)へと送り出すオーガスクリュ(253)が形成されている。
第1冷媒通路(271)と第2冷媒通路(272)にはそれぞれ冷媒供給口(274,275)が設けられ、冷媒供給口(274,275)は図1に示す冷媒装置(21)と別々に接続している。これにより、冷媒装置(21)から冷媒が第1冷媒通路(271)と第2冷媒通路(272)に別個独立に供給される。尚、第2冷媒通路(272)内を流れる冷媒の温度は、第1冷媒通路(271)を流れる冷媒の温度よりも低く設定される。
また、第1冷媒通路(271)と第2冷媒通路(272)は更に冷媒排出口(276,277)を備え、冷媒排出口(276,277)と冷媒装置(21)は接続し、第1冷媒通路(271)及び第2冷媒通路(272)を通過した冷媒は別個独立に冷媒装置(21)へと循環される。
また製氷部(202)は、製氷部(202)内に空気を供給するための空気供給口(222)を備える。
製氷部(202)に供給された海水は、第1冷媒通路(271)を流れる冷媒により冷却され、製氷部(202)内壁面に氷層となって付着する。回転シャフト(205)の回転によって、製氷部(202)内壁面上に形成された氷層は、掻き取り刃(251)によって掻き取られる。このとき、空気供給口(222)から空気が供給され、該空気は掻き取られた微細な氷片周囲に付着し、氷片と海水との分離を防ぐ。ドラム体(201)が下流方向に向かって上向きに傾斜しているならば、供給された空気は下流工程に向かって流れ、ドラム体全体に渡って、氷片と海水との分離防止効果を発揮することが可能となる。
ここで、第2冷媒通路(272)を流れる冷媒は、第1冷媒通路(271)を流れる冷媒よりも低い温度であるので、シャーベット状の氷は更に冷却される。ここで、シャーベット状の氷のIPFは更に増加をする。シャーベット状の氷の体積はIPFの増加に伴い増加し、この増加した量のシャーベット状の氷はオーガスクリュ(253)によって、氷取り出し口(206)へと送られる。
尚、本実施例においては、製造されるシャーベット状の氷のIPFは40%未満であることが好ましい。40%以上のIPFであると、パイプライン(4)の食品貯蔵庫(3)隅部、パイプライン(4)に設けられるバルブ或いはポンプの入口部、パイプライン(4)中の曲り管部或いは絞り管部においてシャーベット状の氷が固結し、シャーベット状の氷の食品貯蔵庫(3)への供給、食品貯蔵庫(3)内部でのシャーベット状の氷の循環或いは、食品貯蔵庫(3)からのシャーベット状の氷の排出に不具合を生ずるものとなる。更に好ましいシャーベット状の氷のIPFは、30%以下のものである。30%以下のIPFならば、高い流動性を有するため、氷温貯蔵庫(1)のパイプライン(4)中の詰りを確実に防止することができる上、熱量の授受に起因する温度変化が一層低減されることとなる。
図1に示す如く、食品貯蔵庫(3)は複数の区画(31)に区切られている(図1には、4区画に区切られた例が示されている)。各区画(31)にはそれぞれ、シャーベット状の氷を内部に導入するための供給口(32)が設けられ、各供給口(32)はそれぞれパイプライン(2)と接続している。
各区画(32)にはそれぞれ網状容器の網籠(33)が取付けられる。網籠(33)は複数の開口部を有する網状体であれば、紐体などの可撓性材料からなるものでもよく、金属から形成されるような変形しにくい材料から形成されてもよい。図1に示す例においては、プラスチック樹脂から形成される網籠(33)が示されている。プラスチック樹脂から網籠(33)を形成することによって、網籠(33)が適度な軟性を有するので、網籠(33)内部に収容される食品を傷つけにくくなるとともに、錆などの腐食を生じにくくなる。
後述するように、各区画(31)の底面は下方に狭まるテーパ空間(35)を形成するが、網籠(33)の底面は、網籠(33)が食品貯蔵庫(3)に取り付けられたとき、テーパ空間(35)の上端面と一致するようにされている。
網籠(33)のメッシュの大きさは、網籠(33)内に収容される食品の大きさよりも小さな大きさであれば特に限定されるものではない。
尚、食品貯蔵庫(3)上面には蓋部が取り付け可能とされ(図示せず)、網籠(33)が食品貯蔵庫(3)内に収容された後、食品貯蔵庫(3)を密閉可能にする。
図1に示される例においては、各区画(31)は食品貯蔵庫(3)上面から下方に延びる直方体筒形状の食品収容空間(36)と、食品収容空間(36)から下方に延設するとともに下方に向かって狭まる角錐形状のテーパ空間(35)からなる。
テーパ空間(35)の下端には食品貯蔵庫(3)に供給されたシャーベット状の氷を排出可能にする排出口(34)が設けられている。
尚、食品貯蔵庫(3)の外壁面、内壁面或いは壁内に断熱材が配設されることが好ましい。断熱材を配設することによって、食品貯蔵庫(3)外からの熱量の流入を遮断でき、長時間にわたって、食品貯蔵庫(3)内の氷温域を維持することが可能となる。
パイプライン(4)は、製氷機(2)直下に配設される氷受槽(41)と、氷受槽(41)とパイプを介して接続する供給ポンプ(42)と、供給パイプ(42)と接続し、供給パイプ(42)から送り出されたシャーベット状の氷を食品貯蔵庫(3)上部へ案内する供給パイプ(43)と、食品貯蔵庫(3)底面に形成された排出口(34)から延設する排出パイプ(44)と、排出パイプ(44)を通じて排出されたシャーベット状の氷を食品貯蔵庫(3)上部へと循環させる循環ポンプ(45)と、循環ポンプ(45)から送り出されるシャーベット状の氷を食品貯蔵庫(3)上部へ案内する循環パイプ(46)からなる。また循環パイプ(46)は、その途中経路で分岐し、製氷機(2)と接続する分岐パイプ(47)を有している。更に、循環パイプ(46)はその途中経路に循環パイプ(46)内を流れるシャーベット状の氷の圧力損失を計測する差圧計(48)を備えている。
氷受槽(41)から延設するパイプの図3中右端部にはドレインバルブ(411)が配設され、氷受槽(41)から適宜水抜きを行うことが可能とされる。
供給パイプ(43)は、食品貯蔵庫(3)に形成された区画(31)の数に応じて分岐し、各区画に設けられた供給口(32)と接続する(図1参照)。
このようにして、供給ポンプ(42)によって送り出されたシャーベット状の氷は食品貯蔵庫(3)内に形成された各区画(31)に供給される。
区画(31)内に供給されたシャーベット状の氷は、区画(31)に配設される網籠(33)内に進入し、網籠(33)内部に収納される食品の周囲空間を満たし、食品の温度を氷温にする。したがって、食品全体が均一に氷温にされ、温度斑がなく、食品の部分凍結、高温変質或いは低温障害などの変質を確実に防止し、食品全体の温度を確実に保たせる。
循環ポンプ(45)からは、循環パイプ(46)が延設する。循環パイプ(46)は循環ポンプ(45)から送り出されたシャーベット状の氷を上方へ案内し、食品貯蔵庫(3)上部付近で供給パイプ(43)と接続する。
このようにして、食品貯蔵庫(3)底面から排出されたシャーベット状の氷は、排出パイプ(44)を通じて循環ポンプ(45)に至り、循環ポンプ(45)によって上方へ送り出され、循環パイプ(46)によって供給パイプ(43)内に至り、再び食品貯蔵庫(3)内へと循環する経路を辿る。
本発明のように、食品貯蔵庫(3)底部から延設する排出パイプ(44)と、排出パイプ(44)と接続する循環ポンプ(45)及び循環ポンプ(45)と供給パイプ(43)に接続する循環パイプ(46)によって構成される循環経路を構築することによって、食品貯蔵庫(3)内に供給されたシャーベット状の氷を流動させることができ、食品貯蔵庫(3)内でのシャーベット状の氷の水成分と氷成分との分離現象を防止することができる。したがって、食品貯蔵庫(3)内の氷は常に微細な氷成分と水成分が渾然一体となったシャーベット状態を保たれることができ、食品貯蔵庫(3)に収納される食品を氷温で保存することを確実にする。
図4に、IPFとシャーベット状の氷の流動における圧力損失の関係を示す。図4中λsは、海水からなるシャーベット状の氷を管内に流したときの管摩擦係数であり、λwは海水を管内に流したときの管摩擦係数であり、図4中、λsとλwの比を縦軸に取っている。また図4中、IPFを横軸に取っている。図4は、IPFの変化に伴うλsとλwの比の変化を示し、λsとλwの比が大きくなるほど圧力損失が大きくなることを意味する。
図4に示す如く、シャーベット状の氷のIPFの増加に伴い、圧力損失が比例的に大きくなる。したがって、差圧計(48)を配設し、循環パイプ(46)内を流れるシャーベット状の氷の圧力損失を計測することによって、循環パイプ(46)内を流れるシャーベット状の氷のIPFを検知することが可能となる。上述の如く、シャーベット状の氷は食品貯蔵庫(3)周囲に循環経路が形成されているので、循環パイプ(46)を流れるシャーベット状の氷の圧力損失を計測することによって、食品貯蔵庫(3)内のシャーベット状の氷のIPFを精度良く検知することが可能となる。
これにより、循環パイプ(46)を流れるシャーベット状の氷を製氷機(2)に向かって流すことが可能となる。
シャーベット状の氷は、食品貯蔵庫(3)から排出パイプ(44)、循環ポンプ(45)、循環パイプ(46)、供給パイプ(43)、食品貯蔵庫(3)という経路で循環している。この循環により、食品貯蔵庫(3)内で、シャーベット状の氷の水成分と氷成分の分離を生ずることが防止され、食品貯蔵庫(3)内が氷温域で温度維持される。
時間経過に伴い、食品貯蔵庫(3)及び循環経路を流れるシャーベット状の氷は外気により徐々に温度上昇し、シャーベット状の氷の氷成分が溶解する一方、水成分が増加する。氷成分の低減及び水成分の増加によりシャーベット状の氷のIPFは低下する。シャーベット状の氷のIPFは循環パイプ(46)に据えつけられた差圧計(48)によって検知される。即ち、シャーベット状の氷のIPFが低下すると、循環パイプ(46)内を流れるシャーベット状の氷の圧力損失は低下するので、差圧計(48)が指し示す計測値が低減していく。
図3に示す如く、差圧計(48)は制御盤に接続し、差圧計(48)の計測値は制御盤に送られる。差圧計(48)が予め定められた閾値よりも低い圧力損失値を示す信号を制御盤に送ると、制御盤は循環パイプ(46)上端付近に据えつけられたバルブ(431)に信号を送り、バルブ(431)を閉止させる。そして、制御盤は分岐パイプ(47)に据えつけられたバルブ(471)を開くように、バルブ(471)に対して信号を送る。
このようにして、食品貯蔵庫(3)周囲のシャーベット状の氷の循環経路は、食品貯蔵庫(3)から製氷機(2)に至る経路に切換えられる。
食品貯蔵庫(3)底面から排出されたシャーベット状の氷は循環ポンプ(45)によって、循環パイプ(46)内を流れる。ここで上述の如く、循環パイプ(46)のバルブ(431)が閉止される一方で、分岐パイプ(47)のバルブ(471)が開いているので、循環パイプ(46)内を流れるシャーベット状の氷は分岐パイプ(47)に案内される。分岐パイプ(47)は製氷機(2)に繋がっているので、分岐パイプ(47)内に案内されたシャーベット状の氷は製氷機(2)に至る。
分岐パイプ(47)は製氷機(2)の海水供給口(221)と接続し、これにより分岐パイプ(47)を流れるシャーベット状の氷は、製氷機(2)の製氷部(202)内に供給される。
冷媒装置(21)及び製氷機(2)を動作させ、分岐パイプ(47)から供給されたシャーベット状の氷は製氷機(2)内で過冷却され、所望のIPFを有するシャーベット状の氷が製造される。
氷受槽(41)内のシャーベット状の氷は供給ポンプ(42)の作動によって、供給パイプ(43)内に促され、供給パイプ(43)から食品貯蔵庫(3)の各区画に流入する。
このように、食品貯蔵庫(3)を流れるシャーベット状の氷の一部を製氷機(2)に送り、製氷機(2)から高いIPFを有するシャーベット状の氷を送り込む動作を適宜繰り返すことで、食品貯蔵庫(3)内のIPFは一定範囲内に収められることになり、食品貯蔵庫(3)内の温度を精度良く氷温に保つことが可能となる。
半固体状のシャーベット状の氷は、時間の経過に伴い、シャーベット状の氷の氷成分が溶解し、徐々に流動性を有するものとなる。この過程において、シャーベット状の氷は時間経過に伴い温度上昇する。
IPFが50%を下回り、シャーベット状の氷が流動性を有するようになると、温度上昇が停止し、時間経過に関わらず、略一定の温度となる。この一定の温度は、シャーベット状の氷の氷成分が全て溶け、シャーベット状の氷が海水となるまで保たれる。
シャーベット状の氷が海水となった後、再び温度上昇が始まる。
したがって、IPFが50%未満且つ0%より大きい範囲の間では、シャーベット状の氷は一定温度を保つことができる。尚、上述の如く、パイプライン(4)中を流動させるための最大IPFは40%未満であり、IPFが40%を超えるとパイプライン(4)内でシャーベット状の氷が固結し、好適な循環が得られなくなる。また、本発明において用いられるIPFの最低値は10%以上であることが好ましい。IPFが10%未満であると、短時間で温度上昇が始まり、氷温を安定して保つことが出来ないためである。
多くの生鮮食品の細胞内水分の凝結温度は−3℃から0℃であり、−3℃以下の温度下で生鮮食品を保管すると、生鮮食品細胞内の水分が氷結し、該水分の体積が大きくなることで細胞膜或いは細胞壁を破壊し、この生鮮食品を常温に戻したときには、細胞内部成分が流れ出し、鮮度を低下させてしまう。また0℃以上であると、高温変質或いは雑菌繁殖などの問題を生ずることとなる。したがって、生鮮食品を保存するための最適な温度は、−3℃以上0℃未満の氷温域であることが好ましい。
図5に示す如く、このような−3℃以上0℃未満の氷温域の温度で安定させるための海水の塩分濃度は0%より高く5%以下の範囲である。この塩分濃度範囲が本発明において最適な濃度帯である。
まず、使用される海水の塩分濃度を調整する。上述の如く、塩分濃度は0%より高く5%以下に調整されることが好ましい。これにより、食品保存に最適な−3℃から0℃の安定温度を食品貯蔵庫(3)内にもたらすことが出来る。
塩分濃度を調整された海水は、製氷機(2)の補給タンク(209)に供給される。
補給タンク(209)に補給された海水は、上述の如く冷媒装置(21)から送られる冷媒によって製氷機(2)内で過冷却され、シャーベット状の氷となる。冷媒装置(21)からの冷媒の温度或いは流量、製氷機(2)の回転シャフト(205)の回転速度などによって、製造されるシャーベット状の氷のIPFは調整される。調整されるIPFの範囲は、上述の如く10%以上40%未満であることが好ましい。
製氷機(2)により製造されたシャーベット状の氷は、パイプライン(4)の氷受槽(41)によって受けられ、供給ポンプ(42)によって供給パイプ(43)に促され、供給パイプ(43)から食品貯蔵庫(3)内に供給される。
食品貯蔵庫(3)に供給されたシャーベット状の氷は網籠(33)内に進入し、網籠(33)内部に収納された食品表面全体を均一に包み込み、食品の温度を氷温にする。食品貯蔵庫(3)に一定量のシャーベット状の氷が供給された後、循環工程を開始する。
尚、循環工程が開始される直前に、制御盤によって供給パイプ(43)に備えられたバルブ(432)が閉じられる。また制御盤は供給ポンプ(42)へ信号を送り、供給ポンプ(42)を停止させる。
循環工程中、循環ポンプ(46)からのシャーベット状の氷の送り出し量が一定になったときに、差圧計(48)は循環パイプ(46)内を流動するシャーベット状の氷の圧力損失を計測し、食品貯蔵庫(3)内のシャーベット状の氷のIPFを検知可能とする。差圧計(48)の計測する圧力損失の値は制御盤へ送られ、制御盤に予め入力された閾値と比較される。圧力損失の計測値が該閾値以上である間、循環工程が行われる。
閾値は、例えば循環パイプ(46)を流れるシャーベット状の氷のIPFが10%となるときの圧力損失値としてもよい。
図5で示す如く、シャーベット状の氷内部の氷成分全てが溶解するまで、シャーベット状の氷の温度は略一定に保たれるので、循環工程が作動している間、食品貯蔵庫(3)内の氷温状態は安定して保たれる。
閾値以下の圧力損失値を差圧計(48)が制御盤に送ると、制御盤は、循環パイプ(46)に配設されたバルブ(431)を閉じ、分岐パイプ(47)に配設されたバルブ(471)を開くようにそれぞれのバルブ(431,471)に信号を送り、各バルブを操作する。このようにして、循環経路が遮断される一方で、食品貯蔵庫(3)から製氷機(2)へのシャーベット状の氷の流路が形成される。
この後、シャーベット状の氷は食品貯蔵庫(3)底面から製氷機(2)に流れ、製氷機(2)内で所定のIPFを有するシャーベット状の氷となる。そして、シャーベット状の氷は製氷機(2)から氷受槽に至る。
所定の量のシャーベット状の氷が食品貯蔵庫(3)から製氷機(2)に送られ、製氷機(2)により所定のIPFを有するシャーベット状の氷とされ、氷受槽(41)によって受けられると、制御盤は循環パイプ(46)のバルブ(431)を開き、分岐パイプ(47)のバルブ(471)を閉じる。また、制御盤は供給ポンプ(42)を停止させる。その後、制御盤は供給ポンプ(42)を作動させるとともに供給パイプ(43)に備えられたバルブ(432)を開き、氷受槽(41)によって受けられたシャーベット状の氷を再び食品貯蔵庫(3)へ供給する。
この後、循環工程が開始され、流動するシャーベット状の氷のIPFに応じて、入れ換え工程が適宜行われることとなる。
例えば、製氷機(2)、パイプライン(4)及び食品貯蔵庫(3)を車両搭載可能な台座上に配設することによって、車両による運搬中においても、氷温貯蔵が可能となる。
また、上述の例においては、シャーベット状の氷に対するIPFの下限値に対応する閾値を制御盤に入力した例を示したが、上限値に対応する閾値を更に設定してもよい。これにより、氷温貯蔵庫(1)のパイプライン(4)中の詰りを検知することが可能となる。例えば、パイプライン(4)の食品貯蔵庫(3)隅部、パイプライン(4)に設けられるバルブ或いはポンプの入口部、パイプライン(4)中の曲り管部或いは絞り管部などのシャーベット状の氷が固結しやすい部分にヒータを配設する。シャーベット状の氷の循環経路が詰りを生じたとき、差圧計(48)は高い圧力損失値を示すので、上限閾値を適宜定めることにより循環経路内の詰りの発生の有無を判断することが可能となる。差圧計(48)からの圧力損失値が上限閾値を超えたとき、制御盤が循環ポンプ(45)を一時的に停止させるとともに、ヒータを一時的に動作させ、シャーベット状の氷の固結しやすい部分を加熱することで、パイプライン(4)中の詰りが解消され、シャーベット状の氷の循環の不具合に起因する食品の変質を防止することが可能となる。
また、制御盤が差圧計(48)からの圧力損失値のデータを一定時間収集し、圧力損失値の変化率を算出してもよい。圧力損失値の変化率を基に、IPFが所定の範囲内にあると思われる時間を算出し、算出された時間内においては、循環ポンプ(45)を停止させるという手法が採用されてもよい。この手法によれば、循環ポンプ(45)を常時作動させる必要がなく、電力消費量の低減を図ることができる。
図7は、貯氷庫を示し、図7(a)は貯氷庫の縦断面図であり、図7(b)は貯氷庫内部を上方から見た図である。
貯氷庫(5)は、製氷機(2)により製造されたシャーベット状の氷を貯蔵する貯氷室(51)と、貯氷室(51)内へ製氷機(2)により製造されたシャーベット状の氷を導入する導入経路(52)と、シャーベット状の氷を氷温貯蔵庫(1)のパイプライン(4)へ送り出す送出経路(53)からなる。
製氷機(2)により製造されたシャーベット状の氷は、導入経路(52)を通じて貯氷室(51)へもたらされる。尚、導入ポンプ(522)には水抜き用のドレインバルブ(524)が取り付けられている。
貯氷室(51)内部中心軸に沿って回転シャフト(511)が配設される。回転シャフト(511)からは、貯氷室(51)半径方向に向かって破砕棒(512)が複数本延設している。破砕棒(512)は高さを変えて延設しており、貯氷室(51)内部全体にわたって、後述するシャーベット状の氷に対する破砕効果及び撹拌効果を発揮する。また回転シャフト(511)下端には、翼形状棒体である翼部(513)が配設されている。翼部(513)は貯氷室(51)からのシャーベット状の氷の排出を促す。回転シャフト(511)の上端は、貯氷室(51)上面に配設されるモータ(514)と接続する。モータ(514)は、上述の制御盤と接続し、回転シャフト(511)回転時にかかるモータ(514)の負荷信号を制御盤へ送る。
貯氷室(51)内壁面から貯氷室(51)断面中心に向かって邪魔棒(515)が延設する。邪魔棒(515)は、回転シャフト(511)が回転したときに破砕棒(512)と干渉しないように高さを変えて、貯蔵室(51)軸方向に複数本配列される。邪魔棒(515)は後述するシャーベット状の氷に対する破砕を促す。
貯氷室(51)の壁内には、氷温貯蔵庫(1)の冷媒装置(21)からの冷媒が流入可能とされ、貯氷室(51)内は低温に保たれる。また、貯氷室(51)内壁からは温度センサ(516)が延設し、貯氷室(51)内部の温度を計測可能とされる。温度センサ(516)は、制御盤と接続し、貯氷室(51)内部温度の信号を制御盤へ送る。制御盤は温度センサ(516)からの信号に応じて、冷媒装置(21)からの冷媒流量や冷媒温度を調節する。これにより、貯氷室(51)内部は一定の低温に保たれる。
貯氷室(51)内でシャーベット状の氷を貯蔵中において、シャーベット状の氷は静止した状態に置かれる。このとき、シャーベット状の氷は水成分と氷成分に分離し、氷成分は貯氷室(51)上方へ浮上する。これにより、貯氷室(51)内で上方に氷の層、下方に水の層が形成される。貯氷室(51)上方の氷の層は、微細な氷片が集積し、これら氷片が互いに固結し、大塊なる氷塊を形成する。図7に示す如く、破砕棒(512)は貯氷室(51)内壁近傍まで延設し、邪魔棒(515)は回転シャフト(511)近傍まで延設するので、この氷塊は貯氷室(51)上方において、破砕棒(512)及び邪魔棒(515)を包み込む。
この状態において、モータ(514)を作動させ、回転シャフト(511)を回転させると、氷塊は回転シャフト(511)とともに回転しようとする。一方で、邪魔棒(515)はその回転力に対抗するので、結果として、氷塊内部にせん断力を生じ、氷塊は破砕されることとなる。氷塊が破砕され微細な氷片となった後、回転シャフト(511)の回転に伴い破砕棒(512)は貯氷室(51)内部を撹拌し、貯氷室(512)内部に再び微細な氷片と水成分が渾然一体となって入り混じったシャーベット状の氷が形成される。
図4に示した如く、シャーベット状の氷の流動性はIPFに関連するので、回転シャフト(511)にかかる負荷を計測することによって、貯氷室(51)内部のシャーベット状の氷のIPFを検知することが可能となる。
貯氷室(51)内部のシャーベット状の氷が所定のIPFとなった後、貯氷室(51)下方に配設される送出経路(53)のバルブ(531)が開かれ、貯氷室(51)内のシャーベット状の氷は送出経路(53)に送られる。
尚、貯氷室(51)底部は下方に狭まるテーパ形状に形成されているため、貯氷室(51)底部からのシャーベット状の氷の排出は円滑に行われることとなる。
送出パイプ(53)は、経路途中で分岐し、一方は食品貯蔵庫(3)と接続するパイプ(534)となり、他の一方は貯氷室(51)上部と接続するパイプ(535)となる。このように貯氷室(51)へ接続するパイプ(535)を設けることにより、貯氷室(51)周囲でのシャーベット状の氷の循環が可能となる。
食品貯蔵庫(3)と接続するパイプ(534)と貯氷室(51)と接続するパイプ(535)との切換は、食品貯蔵庫(3)と接続するパイプ(534)に設けられたバルブ(536)と貯氷室(51)と接続するパイプ(535)に設けられたバルブ(537)の開閉操作によって適宜行われる。
このようにして構築された送出経路を通じて、シャーベット状の氷は貯氷室(51)から食品貯蔵庫(3)へ送られる。
上述と同様に、塩分濃度調整工程で、シャーベット状の氷に製造される海水の塩分が調整される。その後、製造工程において、製氷機(2)でシャーベット状の氷が製造される。供給工程において、製氷機(2)で製造されたシャーベット状の氷は貯氷庫(5)に送られる。貯氷庫(5)から所定の量のシャーベット状の氷が送られ、供給工程は終了する。その後も製氷機(2)はシャーベット状の氷を製造し続け、所定の量のシャーベット状の氷が貯氷庫(5)に貯蔵されたとき製氷機(2)の作動が停止する。
この後、上述と同様に循環工程が行われ、循環工程の間、差圧計(48)により、循環パイプ(46)内を流れるシャーベット状の氷の圧力損失が計測され、予め定められた閾値より低い圧力損失となったときに、入れ換え工程を開始する。
入れ換え工程が開始すると、制御盤は貯氷庫(5)のモータ(514)を作動させる。モータ(514)の回転により、上述の如く、貯氷室(51)内部に貯蔵され、水成分と氷成分とに分離したシャーベット状の氷は、破砕・撹拌され、再び水成分と氷成分とが渾然一体となったシャーベット状の氷となる。モータ(514)からの負荷の信号により、貯氷庫(514)内のシャーベット状の氷が所望のIPFとなったか検知される。
シャーベット状の氷が所望のIPFとなったとき、制御盤からの信号により貯氷室(51)の底部付近に配設されたバルブ(531)が開き、貯氷庫(5)から食品貯蔵庫(3)に至るシャーベット状の氷の流路が開かれ、シャーベット状の氷は送出経路(53)を通じて食品貯蔵庫(3)へ送られる。
製氷機(2)は入れ換え工程にて入れ換えられた量の海水を補給タンク(209)から補給し、補給された海水からシャーベット状の氷を製造し、製造されたシャーベット状の氷は随時貯氷庫(5)へ送られる。
図8は、大量の食品を氷温貯蔵可能な氷温貯蔵庫の構成図である。
図8に示す氷温貯蔵庫(1)は、1つの製氷機(2)と1つの貯氷庫(5)及び複数の食品貯蔵庫(3)から構成される。製氷機(2)、貯氷庫(5)及び食品貯蔵庫(3)を互いに接続するシャーベット状の氷の流路の構成は上述と同様であるが、貯氷庫(5)から複数の食品貯蔵庫(3)に分岐して接続している点で相違する。
上述の如く貯氷庫(5)は、大量のシャーベット状の氷を一度に供給可能であるので、貯氷庫(5)を用いることで、複数の食品貯蔵庫(3)に対して同時にシャーベット状の氷の入れ換え工程を行うことを可能にする。したがって、複数の食品貯蔵庫(3)に食品を貯蔵することが可能となり、大量の食品に対しての氷温貯蔵を効率的に行わしめる。
2・・・・・製氷機
3・・・・・食品貯蔵庫
33・・・・網籠
4・・・・・パイプライン
41・・・・氷受槽
42・・・・供給ポンプ
43・・・・供給パイプ
44・・・・排出パイプ
45・・・・循環ポンプ
46・・・・循環パイプ
47・・・・分岐パイプ
48・・・・差圧計
Claims (17)
- シャーベット状の氷を製造する製氷機と、
前記製氷機により製造されたシャーベット状の氷を送り出すパイプラインと、
前記パイプラインと接続するとともに、食品が貯蔵される食品貯蔵庫からなり、
前記食品周囲空間が前記パイプラインから送られたシャーベット状の氷によって満たされることを特徴とする氷温貯蔵庫。 - 前記パイプラインは前記製氷機により製造されたシャーベット状の氷を収容する氷受槽と、
前記氷受槽と接続する供給ポンプと、
前記供給ポンプと接続するとともに前記食品貯蔵庫上部と連通する供給パイプと、
前記食品貯蔵庫底部から延設する排出パイプと、
該排出パイプと接続し、該排出パイプから排出されたシャーベット状の氷を前記食品貯蔵庫上部へ循環させる循環ポンプと、
前記循環ポンプから送り出されるシャーベット状の氷を前記食品貯蔵庫上部へと案内する循環パイプからなることを特徴とする請求項1記載の氷温貯蔵庫。 - 前記循環パイプ経路途中に該循環パイプ中の圧力損失を計測する差圧計が配設されていることを特徴とする請求項2記載の氷温貯蔵庫。
- 前記循環パイプ経路途中に前記製氷機と接続する分岐パイプを備え、
前記差圧計の計測値が所定値以下となったときに、前記分岐パイプ経路途中に配設されたバルブが開かれ、
前記製氷機が分岐パイプから供給されたシャーベット状の氷を所望のIPFを備えるシャーベット状の氷とし、
前記パイプラインにより該所望のIPFを備えるシャーベット状の氷が食品貯蔵庫内に供給されることを特徴とする請求項3記載の氷温貯蔵庫。 - 前記循環パイプ経路途中に前記製氷機と接続する分岐パイプを備え、
前記差圧計の計測値が所定値以上となったときに、
前記循環ポンプを停止させるとともに、
前記パイプライン中に配設されたヒータを作動させることを特徴とする請求項3記載の氷温貯蔵庫。 - 前記食品貯蔵庫底部が下方に狭まるテーパ形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載の氷温貯蔵庫。
- 前記シャーベット状の氷は、塩分濃度が0%より高く5%以下である海水からなることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の氷温貯蔵庫。
- 前記海水が海洋深層水であることを特徴とする請求項7記載の氷温貯蔵庫。
- 前記食品貯蔵庫内に網状容器である網籠が配設され、
該網籠内に食品が収容され、
該網籠が前記食品貯蔵庫から出し入れ自在であることを特徴とする請求項1乃至8いずれかに記載の氷温貯蔵庫。 - 前記食品貯蔵庫壁に断熱材が配設されていることを特徴とする請求項1乃至9いずれかに記載の氷温貯蔵庫。
- 前記製氷機と、前記貯氷庫と、前記パイプラインと、前記食品貯蔵庫が台座上に配設され、
該台座が車両に載置可能とされることを特徴とする請求項1乃至10いずれかに記載の氷温貯蔵庫。 - シャーベット状の氷を製造する製造工程と、
前記製造工程で製造されたシャーベット状の氷を、食品を貯蔵する食品貯蔵庫に供給する供給工程と、
前記食品貯蔵庫内に供給されたシャーベット状の氷を、該食品貯蔵庫底部から排出し、該食品貯蔵庫上部へ循環させる循環工程からなり、
前記供給工程において、前記食品貯蔵庫内に供給されたシャーベット状の氷が前記食品の周囲空間を満たすことを特徴とする氷温貯蔵方法。 - 前記循環工程において、前記食品貯蔵庫底部から該食品貯蔵庫上部へ循環するシャーベット状の氷の流れの圧力損失を計測する差圧検知工程と、
前記食品貯蔵庫内のシャーベット状の氷を入れ換える入れ換え工程からなり、
該入れ換え工程が、前記差圧検知工程において検知された圧力損失値が所定の値以下であるとき、前記食品貯蔵庫底部から該食品貯蔵庫上部への循環経路を、該食品貯蔵庫底部からシャーベット状の氷を製造する製氷機への経路に切換える段階と、
前記製氷機に供給されたシャーベット状の氷から所望のIPFを備えるシャーベット状の氷を製造する段階と、
該所望のIPFを備えるシャーベット状の氷を製氷機から前記食品貯蔵庫へ供給する段階からなることを特徴とする請求項12記載の氷温貯蔵方法。 - 前記製造工程の前に、シャーベット状の氷に形成される海水の塩分濃度を調整する塩分濃度調整工程を備えることを特徴とする請求項12又は13記載の氷温貯蔵方法。
- 塩分を含むシャーベット状の氷を製造する製氷機と、
前記製氷機により製造されたシャーベット状の氷を貯蔵する貯氷庫と、
前記貯氷庫からシャーベット状の氷を供給されるとともに、食品を貯蔵する複数の食品貯蔵庫からなり、
前記貯氷庫は、円筒形状の貯氷室と、
前記貯氷室内中心軸にそって配設される回転シャフトと、
前記回転シャフトから半径方向に延設する破砕棒と、
前記貯氷室内壁から半径方向に延設する邪魔棒を備えることを特徴とする氷温貯蔵庫。 - 前記各食品貯蔵庫は、該食品貯蔵庫底部から延設する排出パイプと、
該排出パイプと接続する循環ポンプと、
前記循環ポンプと接続するとともに前記食品貯蔵庫上部へと前記食品貯蔵庫底部から排出されたシャーベット状の氷を案内する循環パイプを更に備え、
該循環パイプには循環パイプ内を流動するシャーベット状の氷の圧力損失を計測する差圧計が配設され、
前記循環パイプ途中から前記製氷機へと繋がる分岐パイプが設けられ、
前記差圧計が計測する圧力損失が所定の値以下となったときに、前記分岐パイプを通じて、前記製氷機にシャーベット状の氷が供給されるとともに、
前記貯氷庫から前記各食品貯蔵庫にシャーベット状の氷が供給されることを特徴とする請求項15記載の氷温貯蔵庫。 - シャーベット状の氷を製造する製造工程と、
前記製造工程で製造されたシャーベット状の氷を、食品を貯蔵する食品貯蔵庫に供給する供給工程と、
前記食品貯蔵庫内に供給されたシャーベット状の氷を、該食品貯蔵庫底部から排出し、該食品貯蔵庫上部へ循環させる循環工程からなり、
前記循環工程において、前記食品貯蔵庫底部から該食品貯蔵庫上部へ循環するシャーベット状の氷の流れの圧力損失を計測する差圧検知工程と、
前記食品貯蔵庫内のシャーベット状の氷を入れ換える入れ換え工程からなり、
該入れ換え工程が、前記差圧検知工程において検知された圧力損失値が所定の値以下であるとき、前記食品貯蔵庫底部から該食品貯蔵庫上部への循環経路を、該食品貯蔵庫底部からシャーベット状の氷を製造する製氷機への経路に切換える段階と、
前記製氷機によって製造されたシャーベット状の氷を貯蔵する貯氷庫内の氷を破砕し、シャーベット状の氷の氷成分と水成分を渾然一体とする段階と、
前記貯氷庫内の氷を前記食品貯蔵庫内へ供給する段階からなることを特徴とする氷温貯蔵方法。
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