以下、本発明を図面に示す実施形態により説明する。
図1は本発明に係る保冷システムの実施形態の要部を示す概略図である。
図1に示すように、本実施形態の保冷システム1は、野菜類、魚介類、食肉類などの食料品(カット品を含む)の鮮度維持に用いるものであり、流動氷製造手段2と、流動氷供給手段3と、保冷ケース4と、冷却手段5とを有している。なお、野菜類としては、ブロッコリ、にんじん、とうもろこしなどを挙げることができる。
前記流動氷製造手段2は、食料品の鮮度維持に供する流動氷LIを形成するためのものであり、混合貯留槽7と、砕氷供給手段8と、給水手段9とを備えている。
前記混合貯留槽7は、砕氷ICと水W(以下、「供給水」と記す。)とを混合して流動氷LIを形成するとともに貯留するためのものであり、砕氷ICおよび供給水Wが供給される胴部が上下方向に長い円筒状に形成されたタンク本体11を有している。このタンク本体11の内部の中心部には、回転自在に支持された回転軸12が配設されており、この回転軸12の外周には、攪拌に用いるための複数の回転羽根13が取り付けられている。また、タンク本体11の上面には、回転軸12を回転駆動するための羽根用駆動モータ14が配設されており、羽根用駆動モータ14の駆動力によって回転軸12を回転駆動することにより、タンク本体11の内部に供給された砕氷ICと供給水Wとを混合(攪拌)して流動性を具備する流動氷LIを形成するとともに貯留することができるようになっている。また、タンク本体11の内部に貯留される流動氷LIは、回転羽根13の回転により常にかき回すことで、氷成分の凝集が防止され、流動氷LIの流動性を維持させることができるようになっている。なお、タンク本体11は、断熱構造とすることが好ましい。
前記タンク本体11の底壁には、タンク本体11の内部に貯留された流動氷LIを外部に排出するために用いる氷排出口11aが設けられている。この氷排出口11aには、氷排出路としての氷排出管15の一端が接続されている。また、氷排出管15の途中には、氷排出用開閉弁16が設けられており、メンテナンス時などにおいて、氷排出用開閉弁16を開くことにより、タンク本体11の内部に貯留されている流動氷LIを抜くことができるようになっている。なお、氷排出口11aの形成位置は、設計コンセプトなどの必要に応じて設定すればよく、例えば、タンク本体11の側壁の下部に設けてもよい。
前記タンク本体11の側壁には、タンク本体11の内部に貯留された流動氷LIの貯留量を間接的に検出する貯留量検出手段17が設けられている。本実施形態の貯留量検出手段17は、混合貯留槽7の内部に存在する供給水Wの水面を外部から視認可能な透明なパイプ(ガラス製、アクリル樹脂などの透明樹脂製)などの水位計17Aと、この水位計17Aの内部に存在する供給水W(細かい砕氷ICを含む)の水面の位置を外部から検出して電気信号に変換して出力可能な複数、本実施形態においては3つのレベルセンサ(水位センサ)17Bとを備えている。これら3つのレベルセンサ17Bは、水面を検出しない非検出状態においてはオフ信号を後述する図示しないコントローラに送出し、水面を検出した検出状態においてはオン信号をコントローラに送出するようになっている。そして、3つのレベルセンサ17Bは、上下方向に配列されている。また、3つのレベルセンサ17Bのうちの図1の最も上方に配置された上センサ17Baは、流動氷LIの貯留量が予め設定された設定貯留量(以下、満タンと記す。)に到達したこときの満タン状態の検出に用いるものであり、図1の最も下方に配置された下センサ17Bbは、混合貯留槽7の内部に流動氷LIが貯留されていない空状態(流動氷LIがタンク本体11の底部に僅かに貯留されている状態を含む)の検出に用いるものであり、上センサ17Baと下センサ17Bbとの間に配置された中センサ17Bcは、流動氷LIの補給開始のタイミング検出に用いるものである。なお、貯留量検出手段17としては、液面との距離を検出する距離センサを用いてもよい、この距離センサとしては、水面に浮かせたフロートあるいはディスプレーサの変位を検出するもの(差動変圧器など)、差圧センサ、超音波センサ、静電容量式センサなどから選択することのできる。なお、超音波センサなどの変位に対応する出力を送出することのできる距離センサを用いる場合には、センサの数を1つとすることができる。
ここで、本実施形態における流動氷LIについて説明する。
本実施形態における流動氷LIは、食料品の鮮度維持を行うためのものであり、最大サイズが10mm以下で不均一な砕氷IC、すなわち、最大サイズが10mm以下の種々のサイズおよび形状の砕氷ICと、供給水Wとを混合して流動性を付与したものである。
なお、本実施形態における流動氷LIは、主に氷蓄冷熱の分野などにおいて用いられている流動性をもつ結晶状の氷(シャーベットアイス、スラッシュアイス、リキッドアイスなどの氷スラリー)とは異なるものである。
前記砕氷供給手段8は、混合貯留槽7、詳しくは、タンク本体11の内部に砕氷ICを供給するためのものであり、粉砕機18を有している。
前記粉砕機18は、砕氷ICの原料となる氷塊IK、本実施形態においては1辺が4cm程度の立方体状に形成されている氷塊IKを粉砕して砕氷ICを形成するためのものであり、混合貯留槽7の上部、詳しくは、タンク本体11の上面に配設されている。
本実施形態の粉砕機18は、図示しない粉砕用駆動モータの駆動力によって回転駆動される破砕用スクリュー(単軸であっても、多軸であってもよい。)を内部に備えた横型乾式破砕機が用いられている。これは、氷塊IKを連続して破砕して順次排出することができるからである。この粉砕機18の上部には、粉砕に供する材料の材料供給口18aが設けられており、この材料供給口18aを介して内部に供給された氷塊IKを、破砕用スクリューによって最大サイズが10mm以下で不均一な砕氷ICに粉砕し、この粉砕した砕氷ICを下部に設けられた図示しない材料排出口から下方に順次排出することができるようになっている。また、粉砕機18から排出される砕氷ICは、図1の下向き太矢印にて示すように、タンク本体11の上面に設けられた氷供給開口11bを介してタンク本体11の内部に落下するように形成されている。なお、粉砕機18としては、1辺が4cm程度の立方体状に形成されている氷塊IKを、最大サイズが10mm以下で不均一な砕氷ICに粉砕することのできるものであればよい。
また、粉砕機18の破砕用スクリューの回転速度を可変制御する構成としてもよい。この破砕用スクリューの回転速度を速くすると、砕氷ICのサイズの平均値を小さくすることができ、破砕用スクリューの回転速度を遅くすると、砕氷ICのサイズの平均値を大きくすることができる。すなわち、粉砕機18の破砕用スクリューの回転速度を制御することによって、砕氷ICの全体的なサイズを大きくしたり、小さくしたりすることができる。その結果、気温、輸送距離などに応じて、砕氷ICのサイズを調整することができる。つまり、気温が高い場合や、輸送距離が長い場合などには、破砕用スクリューの回転速度を遅くして砕氷ICのサイズを全体的に大きくすることで、砕氷ICが溶融するまでの時間を長くすることができる。勿論、砕氷ICのサイズ調整は、最大サイズが10mm以下の範囲で行われる。なお、破砕用スクリューの回転速度の制御は、例えば、周知の無段変速機あるいは多段変速機を用いて行うことができる。また、粉砕用駆動モータをサーボモータとし、図示しないコントローラからの制御指令により、サーボモータの回転速度を制御することで無段階で行うこともできる。
前記粉砕機18の材料供給口18aの上方には、氷塊IKを搬送するコンベヤとしてのスクリューコンベヤ20の吐出口20aが配置されている。このスクリューコンベヤ20は、砕氷ICの原料となる氷塊IK、本実施形態においては1辺が4cm程度の立方体状に形成されている氷塊IKを搬送して粉砕機18の材料供給口18aに供給するためのものである。
前記スクリューコンベヤ20は、搬送用モータ21の駆動力によって回転駆動可能とされた搬送用スクリュー22を備えている。また、スクリューコンベヤ20の投入口20bには、氷塊IKを一時的に貯留するためのホッパ23が取り付けられており、搬送用スクリュー22を回転駆動させることにより、ホッパ23の内部に一時的に蓄えた氷塊IKを吐出口20aに向かって順次搬送することができるように形成されている。なお、スクリューコンベヤ20は、図1の紙面垂直方向に沿って配置してもよい。
前記ホッパ23の内部には、隣位する氷塊IK同士がくっついてより大きな氷塊IKが形成される現象(以下、「ブリッジ」と記す。)が生じても、ブリッジを解消する(くっついた氷塊IKをばらばらに解砕して元に戻す)ためのブリッジ解消部材24が配設されている。このブリッジ解消部材24は、回転自在に配設された攪拌軸24aと、この攪拌軸24aの外周面に立設された多数の攪拌ピン24b(攪拌羽根であってもよい。)とを備えている。
なお、搬送用モータ21の駆動力は、歯車伝動などの回転伝動機構25によって、搬送用スクリュー22から攪拌軸24aに伝達するように形成されており、搬送用スクリュー22と攪拌軸24aとが同時に駆動および停止するように形成されている。
なお、スクリューコンベヤ20を設けずに、粉砕機18の材料供給口19の上方にホッパ23を配置する構成とすることもできる。この場合、ブリッジ解消部材24を動作させるための駆動モータを個別に設ける必要がある。
前記給水手段9は、混合貯留槽7、詳しくは、タンク本体11の内部に供給水W、例えば、飲用水である水道水を供給するためのものであり、例えば、電磁弁からなる水供給用開閉弁27、ひいては水供給源26と、混合貯留槽7、詳しくは、タンク本体11の上面に設けられた水供給口11cとを接続する給水路としての給水管28を有している。勿論、水供給口11cは、タンク本体11の内部に供給水Wを供給する際に用いられるものである。なお、水供給口11cの形成位置は、設計コンセプトなどの必要に応じて設定すればよく、例えば、タンク本体11の側壁の上部に設けてもよい。
前記給水管28の途中には、供給水Wを一時的に貯留するための給水タンク29が設けられている。したがって、本実施形態の給水管28は、水供給用開閉弁27と給水タンク29の側壁の上部に設けられたタンク側流入口29bとを接続する前給水管28aと、給水タンク29の上面に設けられたタンク側流出口29cとタンク本体11の水供給口11cとを接続する後給水管28bとを備えている。また、給水タンク29の底壁には、給水タンク29の内部に貯留された供給水Wを外部に排出するために用いる水抜き口29aが設けられている。この水抜き口29aには、水排出路としての水抜き管30の一端が接続されている。また、水抜き管30の途中には、水抜き用開閉弁31が設けられており、メンテナンス時などにおいて、水抜き用開閉弁31を開くことにより、給水タンク29の水抜きを行うことができるようになっている。なお、水抜き口29aの形成位置は、設計コンセプトなどの必要に応じて設定すればよく、例えば、給水タンク29の側壁の下部に設けてもよい。
前記流動氷供給手段3は、流動氷LIを供給、具体的には、混合貯留槽7のタンク本体11の内部に貯留された流動氷LIの一部を取り出して輸送し、保冷ケース4に供給するためのものであり、流動氷LIを供給する氷供給路としての氷供給管33と、流動氷LIを輸送するための氷供給用ポンプ34と、氷供給管33の内部を輸送される流動氷LIを保冷ケース4に吐出させるための氷供給用ノズル35とを備えている。なお、氷供給用ポンプ34は、ポンプ用駆動モータ36の駆動力によって駆動可能とされている。
前記氷供給管33は、タンク本体11の側面の下部に設けられた氷取出し口11dと氷供給用ポンプ34の吸入口34aとを接続する氷吸引管33aと、一端が氷供給用ポンプ34の吐出口34bに接続された氷吐出管33bを有している。また、氷吐出管33bの他端には、氷供給ホース33cの基端部が接続されており、氷供給ホース33cの他端には、氷供給ガンとしての手元操作弁37を備えた氷供給用ノズル35の基端部が接続されている。そして、使用者が手元操作弁37を開く操作をすることで氷供給用ノズル35の先端部から流動氷LIを吐出させることができるようになっている。
前記氷吐出管33bの途中には、例えば電磁操作可能な電磁弁などからなる供給用元止め弁38が配設されており、供給用元止め弁38を閉じることにより、氷供給ホース33cへの流動氷LIの流動を阻止できるようになっている。
前記氷吐出管33bの供給用元止め弁38の配設位置より氷供給用ポンプ34側には、氷戻し路としての氷戻し管39の一端が接続されている。この氷戻し管39の他端は、タンク本体11の上部に設けられた氷戻し口11eに接続されている。また、氷戻し管39の途中には、例えば電磁操作可能な電磁弁などからなる戻し用元止め弁40が配設されており、供給用元止め弁38を閉じた状態で、戻し用元止め弁40を開くことにより、タンク本体11の内部から氷供給用ポンプ34によって輸送されて氷吐出管33bの内部を流動する流動氷LIを、氷吐出管33bの途中からタンク本体11の内部に戻すことができるようになっている。なお、氷供給用ノズル35の先端部から流動氷LIを吐出させる場合には、戻し用元止め弁40は閉じた状態とされ、供給用元止め弁38は開いた状態とされる。また、氷戻し口11eの形成位置は、設計コンセプトなどの必要に応じて設定すればよく、例えば、タンク本体11の側壁の上部に設けてもよい。
なお、氷吐出管33bの内部を流動する流動氷LIを氷戻し管39によってタンク本体11の内部に戻すことにより、タンク本体11の内部に貯留された流動氷LIの氷成分の凝集を防止して、流動氷LIの流動性を維持させることに寄与するし、タンク本体11の内部に貯留された流動氷LIの砕氷ICの密度を一定に保持することに寄与する。
なお、氷戻し路の代わりに、タンク本体11の内部に貯留された流動氷LIを循環させる氷循環路を個別に設けてもよい。勿論、水戻し路に加えて、氷循環路を個別に設けてもよい。
前記保冷ケース4は、食料品を収納し保冷するためのものである。この保冷ケース4の少なくとも底壁には図示しない予め設定されたサイズの水抜き孔(単数であっても、複数であってもよい。)が設けられており、食料品を収納した状態において流動氷LIの供給を受けると、流動氷LIのうちの砕氷ICのみが内部に残存し、流動氷LIのうちの水は外部に流出するように形成されている。
なお、保冷ケース4から流出する水E(以下、「排水」と記す)は、供給水Wと、砕氷ICが溶融した水と、水抜き孔を通過する微細な砕氷ICとが含まれるものである。
また、保冷ケース4としては、段ボール状、開閉自在な蓋を備えたコンテナ状、上部が開口とされた有底のコンテナ状などの各種のものを用いることができる。
前記保冷ケース4は、食料品を収納した状態で、テーブル用駆動モータ42の駆動力によって回転駆動される平面円形に形成されたターンテーブル43の上面に載置されるようになっている。このターンテーブル43は、図1の2点鎖線にて示す支持台44によってに下方から回転自在に支持されている。そして、氷供給用ノズル35から流動氷LIを吐出させることにより、食料品を収納した状態の保冷ケース4に流動氷LIを供給する。これにより、保冷ケース4に流動氷LIが注入されることになる。なお、保冷ケース4に流動氷LIを供給する注入動作は、ターンテーブル43が回転している状態で行ってもよいし、ターンテーブル43を間欠駆動させることにより停止させた状態で行ってもよい。また、流動氷LIを供給するための食料品を収納した保冷ケース4は、ターンテーブル43の代わりにローラコンベヤなどのコンベヤに載置して搬送するようにしてもよい。
前記冷却手段5は、保冷ケース4から流出する排水Eを回収してその冷熱を流動氷LIを形成するために供給される供給水Wの冷却に用いるためのものである。ここで、冷熱とは、保冷ケース4から流出する排水E、すなわち低温水の熱エネルギをいう。
本実施形態の冷却手段5は、保冷ケース4から流出する排水Eを回収する水回収部材46と、水回収部材46と排水誘導路としての排水誘導路48を介して接続され、水としての排水Eを貯留する排水貯留槽47と、排水貯留槽47に貯留した排水Eを混合貯留槽7に戻すことなく排出するための排水流出路としての配水管49とを有している。
前記水回収部材46は、保冷ケース4から流出してターンテーブル43の上面の外周縁から流下する排水Eを下方から受け取ることができるように、ターンテーブル43の下方に配置され、断面ほぼ横長の矩形に形成された円環状の凹溝を備えた排水樋46aを有している。そして、この排水樋46aの底壁には、排水樋46aに回収された排水Eを導くために用いる排水誘導口46bが設けられている。
前記排水貯留槽47は、上部が開口の有底筒状に形成されており、その内部には、給水タンク29が配置されている。また、排水貯留槽47の図1の左側に示す側壁の上部には、排水Eの入口となる排水流入口47aが設けられており、排水貯留槽47の図1の右側に示す側壁の上部には、排水貯留槽47に貯留される排水Eの水面を一定にするためのオーバーフロー口47bが設けられている。なお、オーバーフロー口47bの形成位置は、排水Eの水面が給水タンク29の上面より上方になるように設定、すなわち、給水タンク29が排水貯留槽47に貯留された排水中に没するように配置することが、給水タンク29との接触面積が最も大きくなるので冷却効率が最も高くなるという意味で好ましい。
なお、前記給水路としての給水管28は、排水貯留槽47に貯留された排水中を通過するように形成されていればよく、給水タンク29を設けずに、排水中を通過する給水路としての給水管28の長さを長く形成、例えば、コイル状に形成するようにしてもよい。
すなわち、排水貯留槽47は、流動氷LIを形成するために供給される供給水Wを冷却する冷却器として機能するものである。
前記排水貯留槽47の底壁には、排水貯留槽47の内部に貯留された排水Eを外部に排出、すなわち、排水貯留槽47の水抜きをするために用いる排水抜き口47cが設けられている。この排水抜き口47cには、排水排出路としての排水排出管50の一端が接続されている。また、排水排出管50の途中には、排水排出用開閉弁51が設けられており、メンテナンス時などにおいて、排水排出用開閉弁51を開くことにより、排水貯留槽47の内部の排水Eの水抜きを行うことができるようになっている。なお、排水抜き口47cの形成位置は、設計コンセプトなどの必要に応じて設定すればよく、例えば、排水貯留槽47の側壁の下部に設けてもよい。
前記排水誘導路としての排水誘導管48は、排水樋46aの底部に形成された排水誘導口46bと、排水貯留槽47の側壁の上部に設けられた排水流入口47aとを接続するように形成されている。この排水誘導管48は、複数であってもよいし、排水樋46a側が複数に分岐したものであってもよい。
前記排水流出路としての配水管49は、オーバーフロー口47bを通過した排水Eを混合貯留槽7に戻すことなく排出することができるように、一端がオーバーフロー口47bに接続されている。
なお、本実施形態の保冷システム1には、図示しないCPUおよびメモリを備えたコントローラを備えており、コントローラからの制御指令によって羽根用駆動モータ14、粉砕用駆動モータ、搬送用モータ21、ポンプ用駆動モータ36およびテーブル用駆動モータ42などの動作部の動作制御が行われるようになっている。
なお、コントローラには、流動氷LIの形成および供給の関連する各種の情報の入力および動作状態などの各種の情報の表示を行う表示機能を備えた操作パネルおよび電源、再開指示スイッチ、電源スイッチなどの各種スイッチ、混合貯留槽7に貯留される流動氷LIの貯留量の検出に用いるレベルセンサ17B、混合貯留槽7に貯留される流動氷LIの濃度(供給水Wと砕氷ICとの重量比)を間接的に検出するための羽根用駆動モータ14の始動電流の検出に用いる電流計などの各種のセンサなどが接続されている。
また、本実施形態の保冷システム1は、混合貯留槽7に貯留される流動氷LIを構成する供給水Wと砕氷ICとの割合(重量比)が予め設定した割合を維持するとともに、流動氷LIの貯留量が、予め設定した設定貯留量を維持するように形成されている。すなわち、本実施形態の保冷システム1は、混合貯留槽7に貯留される流動氷LIの濃度および貯留量を自動制御可能に構成されている。
また、本実施形態の保冷システム1は、各部が図示しない架台に載置されて一体化されている。
さらに、混合貯留槽7、粉砕機18、スクリューコンベヤ20、氷供給用ノズル35などのその他の構成については、従来と同様とされているので、その詳しい説明については省略する。
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について説明する。
なお、説明の便宜上、冷却手段5を除く、流動氷製造手段2による流動氷LIの形成動作、流動氷供給手段3による保冷ケース4に流動氷LIを供給する注入動作は、従来と同様とされているので、その詳しい説明は省略し、本実施形態の冷却手段5に関連する動作について先に説明する。
本実施形態の保冷システム1において、食料品が収納された状態の保冷ケース4に流動氷LIを供給する注入動作は、食料品が収納された状態の保冷ケース4をターンテーブル43上に載置して行われる。そして、氷供給用ノズル35の先端部から流動氷LIを吐出させると、流動氷LIが保冷ケース4に注入される。この流動氷LIの注入により、保冷ケース4に収納された食料品の隙間に、流動氷LIが流れ込む。
ここで、保冷ケース4に注入された流動氷LIは、流動氷LIの一部を構成する固形成分である砕氷ICのみが保冷ケース4の内部に残存し、流動氷LIの残部を構成する液体成分である供給水Wは、保冷ケース4の少なくとも底壁に形成された水抜き孔から外部に流出する。
このとき、水抜き孔から流出する排水Eには、供給水Wと、砕氷ICが溶融した水と、水抜き孔を通過する微細な砕氷ICとが含まれることになる。すなわち、保冷ケース4に注入された流動氷LIは、保冷ケース4に残存する氷成分と、保冷ケース4から流出する液体成分(水抜き孔を通過する微細な砕氷ICを含む)とに分離されることになる。
また、保冷ケース4に残存する砕氷ICは、食料品と食料品の相互間に形成されている隙間、および保冷ケース4と食料品との相互間に形成されている隙間のそれぞれにまんべんなく入り込む。すなわち、食料品はあたかも砕氷ICで包まれたような状態となる。その結果、保冷ケース4に残存する砕氷ICによって、食料品の良好な鮮度維持を行うことができる。
ついで、保冷ケース4の水抜き孔から流出する排水E(供給水Wと、砕氷ICが溶融した水と、保冷ケース4を通過した微細な砕氷ICとが混合したもの)は、ターンテーブル43の上面の外周縁から流下して、水回収部材46の排水樋46aに回収される。この排水樋46aに回収された排水Eは、排水誘導管48を介して排水貯留槽47に流入し、排水貯留槽47の内部に貯留される。この排水貯留槽47の内部に貯留される排水Eは、オーバーフロー口47bを介して流出することによって水面が一定に保持される。なお、排水Eに含まれる保冷ケース4を通過した微細な砕氷ICは、排水貯留槽47に至る流路を流動する途中および/または排水貯留槽47の内部において自然に溶融する。
ここで、排水貯留槽47に貯留された排水中を給水手段9の給水路としての給水管28が通過するように形成されているから、給水管28を通過して混合貯留槽7に供給される供給水Wは、排水Eの冷熱によって冷却されて冷却水Wa(冷却された供給水W)となって混合貯留槽7のタンク本体11の内部に供給される。なお、オーバーフロー口47bを通過した排水Eは、排水管49によって混合貯留槽7に戻すことなく排出される。
つぎに、本実施形態の保冷システム1における混合貯留槽7に貯留される流動氷LIの濃度としての流動氷LIを構成する水Wと砕氷ICとの割合(重量比)が予め設定した割合を維持するとともに、流動氷LIの貯留量が予め設定した設定貯留量を維持する動作について図2から図5により説明する。
図2から図5は本実施形態に係る保冷システムの実施形態における流動氷の濃度と貯留量に関する動作を示すものであり、図2は動作の一例の要部を示すフローチャート、図3は初回生成モードの動作の要部を示すフローチャート、図4は濃度調整処理の一例の要部を示すフローチャート、図5は自動運転モードの動作の要部を示すフローチャートである。
図2に示すように、本実施形態の保冷システム1における動作は、電源の起動(S(ステップ、以下、同じ。)1)、初回生成モード(S2)、自動運転モード(S3)、および、電源の停止(S4)とをこの順に行う。なお、S2に示す初回生成モードの代わりに、S5に示す手動モードを用いることができる。この手動モードは、従来と同様に、保冷システム1の各動作部を使用者が手動操作することによって、混合貯留槽7の内部で流動氷LIを形成するとともに貯留するものである。なお、初回生成モードと手動モードとの選択は、コントローラに設けられた初回生成モードスイッチ、および、手動モードスイッチのいずれかの操作によって実行する。勿論、コントローラに設けられたモード選択スイッチの操作により実行するようにしてもよい。
本実施形態の保冷システム1における各動作は、コントローラのCPUがメモリに記憶されている動作制御プログラムおよびデータに基づいて各部を制御して実行する(以下、同じ。)。
前記初回生成モードの動作の一例について、図3のフローチャートにより説明する。
前記初回生成モードは、供給水Wと砕氷CIとを重量比で1:2の割合で空の状態の混合貯留槽7の内部に供給するとともに、この供給水Wと砕氷CIとの供給を混合貯留槽7の内部に形成された流動氷LIの貯留量が満タン状態に達するまで実行するためのものである。
図3に示すように、前記初回生成モードの動作を開始すると、まず、下センサ17Bbの信号がオフか否かを判断する(S11)。このS11は、混合貯留槽7のタンク本体11の内部が空状態であるかを判断するためのものである。そして、下センサ17Bbの信号がオフでない(S11のN:下センサ17Bbの信号がオン。)場合には、水抜きメッセージを表示(S12)してからから下センサ17Bbの信号がオフになるまで待機する。
前記下センサ17Baの信号がオフ(S11のY:タンク本体11の内部が空状態)の場合には、水供給用開閉弁27の開動作、搬送用モータ21の起動、図示しない粉砕用駆動モータの起動を行う(S13)。ここで、スクリューコンベヤ20による氷塊IKの供給量は、スクリューコンベヤ20の駆動周波数A(Hz)時における60秒当たりの量(Kg)とする。
ついで、スクリューコンベヤ20の動作時間が予め設定された時間(x秒)経過したか否かを判断(S14)し、予め設定された時間を経過した(S14のY)場合には、水供給用開閉弁27の閉動作、搬送用モータ21の停止、粉砕用駆動モータの停止(S15)を行ってから、氷供給要求メッセージを表示し(S16)、ついで、使用者が氷の供給を実行する(S17:例えば、使用者が氷供給ボタンを押下する)。これにより、搬送用モータ21および粉砕用駆動モータが再起動する。そして、搬送用モータ21および粉砕用駆動モータが再起動したら、S14に戻る。ここで、スクリューコンベヤ20の動作時間(x秒)は、ホッパ23の内部に貯留されている氷塊IKの量が予め設定された最小貯留量になるまでの時間である。なお、動作時間の計測は、コントローラに設けられたタイマーによって行う。
前記スクリューコンベヤ20の動作時間が予め設定された時間(x秒)経過していない(S14のN)場合には、流動氷LIの補給開始のタイミング検出を行う中センサ17Bcの信号がオンか否かを判断(S18)する。そして、中センサ17Bcの信号がオンでない(S18のN)場合にはS14に戻る。
前記中センサ17Bcの信号がオンである(S18のY)場合には、水供給用開閉弁27の閉動作、搬送用モータ21の停止、粉砕用駆動モータの停止(S19)を行ってから、羽根用駆動モータ14の起動(S20)を行い、ついで、羽根用駆動モータ14の始動電流を計測(S21)し、ついで、流動氷LIの濃度調整処理を実行(S22)する。この流動氷LIの濃度調整処理については、後に詳しく説明する。
ついで、流動氷LIの濃度調整処理が終了したら、上センサ17Baの信号がオンか否かを判断する(S23)。そして、上センサ17Baの信号がオンでない(S23のN)場合にはS14に戻る。
前記上センサ17Baの信号がオンである(S23のY)場合には、水供給用開閉弁27の閉動作、搬送用モータ21の停止、粉砕用駆動モータの停止(S24)を行って終了する。
なお、初回生成モードの実行中は、氷供給用ノズル35から流動氷LIを吐出させることができないように、供給用元止め弁38の開動作を無効とするように制御するとよい。
ここで、前記濃度調整処理の一例について、図4のフローチャートにより説明する。について説明する。
前記濃度調整処理は、混合貯留槽7に貯留される流動氷LI(混合貯留槽7のタンク本体11の内部に存在する流動氷LI)を構成する供給水Wと砕氷ICとの割合、すなわち、流動氷LIの濃度、つまり、混ざり具合を羽根用駆動モータ14の始動電流値に応じて、供給水Wと砕氷ICとの供給割合を調整するためのものである。ここで、始動電流とは、羽根用駆動モータ14の始動開始時点から予め設定した経過時間内での最大電流値をいう。
例えば、混合貯留槽7のタンク本体11に貯留される流動氷LIの濃度が高くなった場合、すなわち、砕氷ICが多くなる(供給水Wが少なくなる)と、回転羽根13に対する抵抗が大きくなるので羽根用駆動モータ14の負荷が大きくなり、流動氷LIの濃度が低くなった場合、すなわち、供給水Wが多くなる(砕氷ICが少なくなる)と、回転羽根13に対する抵抗が小さくなるので羽根用駆動モータ14の負荷が小さくなる。ここで、羽根用駆動モータ14の負荷が大きいと羽根用駆動モータ14の始動電流が大きくなり、羽根用駆動モータ14の負荷が小さいと羽根用駆動モータ14の始動電流が小さくなる。そこで、羽根用駆動モータ14の始動電流の電流値を電流計で検出(計測)することにより、流動氷LIの濃度を検出して濃度の制御を行う。したがって、電流計は、混合貯留槽7に貯留される流動氷LIの濃度を間接的に検出する濃度検出手段として機能する。
すなわち、混合貯留槽7に貯留された流動氷LIが適正な濃度、本実施形態においては、流動氷LIを構成する供給水Wと砕氷ICとの割合が重量比で1:2の割合の場合における羽根用駆動モータ14の始動電流の値を閾値とする。実際には、この閾値にマージンを付加して基準範囲を得る。
例えば、図4に示すように、濃度調整処理を開始すると、まず、電流計で検出した始動電流の電流値が閾値と等しいとき(基準範囲内の場合:図4のS31のY)には、その時点でタンク本体11に供給している供給水Wと砕氷ICとのそれぞれの供給状態、すなわち、供給水Wと砕氷ICとの割合を1:2(重量比)の状態を維持する(図4のS32)。また、電流計で検出した始動電流の電流値が閾値より高い(基準範囲を超える:図4のS33のY)場合には、砕氷ICの供給量が多く、流動氷LIの濃度が濃いので、供給水Wを多く(例えば、供給水Wと砕氷ICとの割合が重量比で2:1とする。図4のS34)供給する。このような構成は、例えば、給水管28の途中に、給水管28を流動する供給水の流量を制御するための自動操作可能な流量制御弁を設けることなどにより達成できる。また、電流計で検出した始動電流の電流値が閾値より低い(基準範囲を下回る:図4のS33のN。)場合には、供給水Wの供給量が多く、流動氷LIの濃度が薄いので、砕氷ICを多く、例えば、供給水Wの供給を停止(水供給用開閉弁27を閉状態にする。)して砕氷ICのみ供給する(図4のS35)。
前記自動運転モードの動作の一例について、図5のフローチャートにより説明する。
前記自動運転モードは、混合貯留槽7に貯留された流動氷LIの供給水Wと砕氷ICとの割合が予め設定した割合を維持するとともに、流動氷LIの貯留量が、予め設定した設定貯留量である満タン状態を維持するようにするためのものである。
図5に示すように、前記自動運転モードの動作を開始すると、まず、戻し用元止め弁40の開動作、羽根用駆動モータ14の起動、氷供給用ポンプ34を駆動するためのポンプ用駆動モータ36の起動(S41)を行う。そして、羽根用駆動モータ14の起動により、回転羽根13を回転させてタンク本体11の内部の流動氷LIを攪拌する。
ついで、流動氷LIの補給開始のタイミング検出を行う中センサ17Bcの信号がオンか否かを判断(S42)する。そして、中センサ17Bcの信号がオンでない(S42のN:中センサ17Bcの信号がオフ:流動氷LIが保冷ケース4に供給されて消費された場合で、水位計の水面が中センサ17Bcより下方に位置している。)場合には、中センサ17Bcの信号がオンになるまで羽根用駆動モータ14の駆動状態と、ポンプ用駆動モータ36の駆動状態を維持する。
前記中センサ17Bcの信号がオンである(S42のY:補給タイミング)場合には、水供給用開閉弁27の開動作、搬送用モータ21の起動、粉砕用駆動モータの起動(S43)を行う。これにより、流動氷LIを構成する供給水Wおよび砕氷ICがタンク本体11に補給される。
ついで、前記S14と同様に、スクリューコンベヤ20の動作時間が予め設定された時間(x秒)経過したか否かを判断(S44)し、予め設定された時間を経過した(S44のY)場合には、水供給用開閉弁27の閉動作、搬送用モータ21の停止、粉砕用駆動モータの停止(S45)を行ってから、氷供給メッセージを表示し(S46)、ついで、使用者が氷の供給を再開する(S47:例えば、使用者が氷供給ボタンを押下する)。これにより、搬送用モータ21および粉砕用駆動モータを起動する。そして、搬送用モータ21および粉砕用駆動モータが起動したら、S42に戻る。なお、動作時間の計測は、コントローラに設けられたタイマーによって行う。
前記スクリューコンベヤ20の動作時間が予め設定された時間(x秒)経過していない(S44のN)場合には、氷供給用ポンプ34によるタンク本体11からの流動氷LIの排出量(V[l:リットル](Kg))が予め設定された設定量に到達したか否かを判断(S42)する。そして、流動氷LIの排出量(V[l:リットル](Kg))が予め設定された設定量に達していない(S48)場合には、S42に戻る。
前記流動氷LIの排出量が予め設定された設定量に到達した(S48のY)場合には、水供給用開閉弁27の閉動作、搬送用モータ21の停止、粉砕用駆動モータの停止、羽根用駆動モータ14の停止(S49)を行う。
ついで、羽根用駆動モータ14の停止時間が予め設定された時間(y秒)経過したか否かを判断(S50)し、停止時間が経過していない(S50のN)場合には、羽根用駆動モータ14の停止時間が経過するまで羽根用駆動モータ14の停止状態を維持する。なお、停止時間の計測は、コントローラに設けられたタイマーによって行う。
前記羽根用駆動モータ14の停止時間が予め設定された時間経過した(S50のY)場合には、羽根用駆動モータ14を起動(S51)し、S21と同様に、羽根用駆動モータ14の始動電流を計測(S52)し、ついで、流動氷LIの濃度調整処理(図4)を実行(S53)する。
ついで、流動氷LIの濃度調整処理が終了したら、上センサ17Baの信号がオンか否かを判断する(S54)。そして、上センサ17Baの信号がオンでない(S54のN)場合にはS42に戻る。
前記上センサ17Baの信号がオンである(S54のY:貯留量が満タン。)場合には、水供給用開閉弁27の閉動作、搬送用モータ21の停止、粉砕用駆動モータの停止(S55)を行ってからS42に戻る。すなわち、本実施形態においては、水位計の水面が上センサ17Baと中センサ17Bcの間にあるように、混合貯留槽7に貯留する流動氷LIの貯留量を制御している。
なお、自動運転モードは、電源の停止(図2のS4)まで継続する。
このように、本実施形態の保冷システム1によれば、冷却手段5は、保冷ケース4から流出する排水Eの冷熱によって、流動氷LIを形成するために供給される供給水Wを冷却することができる。すなわち、本実施形態の保冷システム1の冷却手段5は、供給水Wを排水Eの冷熱によって冷却した冷却水Waとして混合貯留槽7に供給することができる。
さらに、本実施形態の保冷システム1によれば、冷却手段5は、保冷ケース4から流出する排水Eを混合貯留槽7に戻さずに排出することができるので、保冷ケース4に収納された食料品の少なくとも表面が汚染されていることに起因して、保冷ケース4から流出する排水Eが汚染されたとしても、混合貯留槽7に貯留されている流動氷LIが汚染されるのを防止することができる。
したがって、本実施形態の保冷システム1によれば、保冷ケース4に収納された食料品が2次汚染するのを確実に防止することができる。
また、本実施形態の保冷システム1によれば、冷却手段5は、保冷ケース4から流出する排水Eの冷熱により、流動氷LIを形成するために供給される供給水Wの冷却を行うことができるので、混合貯留槽7の内部で砕氷ICと供給水Wとを混合して流動氷LIを形成する際に、供給水Wの冷却のために溶融する砕氷ICの量を、流動氷LIを形成するために供給される供給水Wの冷却を行わない従来の場合に比較して少なくすることができるから、流動氷LIを得るために必要なエネルギの低減を図ることができるとともに、流動氷LIを効率よく得ることができる。
さらに、本実施形態の保冷システム1によれば、給水手段9が水供給源26と混合貯留槽7とを接続する給水管28を備えており、冷却手段5が保冷ケース4から流出する排水Eを回収する水回収部材46と、水回収部材46と排水誘導管48を介して接続され、排水Eを貯留する排水貯留槽47と、排水貯留槽47に貯留した水を混合貯留槽7に戻すことなく排出するための排水管49とを有しているとともに、排水貯留槽47に貯留された排水中を給水管49が通過するように形成されているから、流動氷LIを形成するために供給される供給水Wを、保冷ケース4から流出する排水Eの冷熱によって確実かつ容易に冷却することができる。
また、本実施形態の保冷システム1によれば、給水手段9の給水管28の途中に、供給水Wを一時的に貯留する給水タンク29が設けられているとともに、給水タンク29が排水貯留槽47に貯留された排水中に没するように配置されているから、流動氷LIを形成するために供給される供給水Wの冷却を保冷ケース4から流出する排水Eの冷熱によってより確実に冷却することができる。
また、本実施形態の保冷システム1によれば、排水貯留槽47の側壁には、排水貯留槽47に貯留される排水Eの水面を一定にするためのオーバーフロー口47bが設けられており、オーバーフロー口47bに、排水管49の一端が接続されているから、排水貯留槽47に貯留される排水Eの水面を確実かつ容易に一定にすることができるし、排水貯留槽47に貯留した排水Eを混合貯留槽7に戻すことなく確実かつ容易に排出することができる。
また、本実施形態の保冷システム1によれば、流動氷LIは、最大サイズが10mm以下で不均一な砕氷ICと水とを混合することにより、流動性が付与されたものであるから、流動氷LIを保冷ケース4に供給したときに、保冷ケース4に残存する流動氷LIの各氷が同時に溶けることなく、そのサイズによって溶ける時間が異なるので、保冷ケース4に収納された食料品の鮮度を長時間に亘り維持することができる。
また、本実施形態の保冷システム1によれば、混合貯留槽7に貯留された流動氷LIを構成する供給水Wと砕氷ICとの割合が予め設定した割合を維持するとともに、流動氷LIの貯留量が、予め設定した設定貯留量を維持するように形成されているから、混合貯留槽7に貯留する流動氷LIの供給水Wと砕氷ICとの割合、すなわち、流動氷LIの濃度および貯留量を適正に容易かつ確実に維持することができる。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。