JP2005344994A - ロータリキルン - Google Patents
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Abstract
【課題】被加熱物を均一に加熱できる攪拌性に優れたロータリキルンを提供する。
【解決手段】被処理物を収容して軸線周りに回転するシェル13と、該シェル13の外側部を加熱する加熱炉7とを有するロータリキルンであって、前記シェル13の加熱域13aの断面形状が楕円形であり、前記シェル13の断面形状における楕円形の長径は、短径を1として1.1〜2.5であること、さらに、前記加熱炉7の内周にヒータを有し、かつ前記シェル13と一体的に上下方向に傾斜可能に配置されている。
【選択図】図2
【解決手段】被処理物を収容して軸線周りに回転するシェル13と、該シェル13の外側部を加熱する加熱炉7とを有するロータリキルンであって、前記シェル13の加熱域13aの断面形状が楕円形であり、前記シェル13の断面形状における楕円形の長径は、短径を1として1.1〜2.5であること、さらに、前記加熱炉7の内周にヒータを有し、かつ前記シェル13と一体的に上下方向に傾斜可能に配置されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、粉体や粒体などの被加熱物を加熱処理するロータリキルンに関する。より詳しくは、被加熱物を収容するシェルの断面形状が楕円形であるロータリキルンに関する。
従来、粉体や粒体の被加熱物を所望の雰囲気で加熱処理するには、被加熱物を耐火性の容器内に収容してトンネルキルンやシャトルキルンなどで加熱処理されていた。しかし、被加熱物を容器内に収容して加熱処理する場合には、被加熱物の表面部分と容器に接した部分と中心部分とでは加熱温度に差が生じて均一な加熱処理を施すことができなかった。加熱時間を長くすれば均一に加熱することができるが作業効率が低下し、コストアップとなるといった問題があった。
このため粉体をロータリキルンで加熱処理することも行われているが、特に微細な粉体は流動性が悪いために、被加熱物が堆積層を維持したまま、回転するロータリキルンのシェルの内面を滑るように移動してしまい、粉体堆積層のシェルに接する側の粉体粒子と、シェルに接しない側の粉体粒子との入れ替わりが少なくなって、粒子間に温度差が発生しやすく、均一な製品を得ることが困難であった。この加熱処理の不均一さを解決するために、シェル内に多数の攪拌羽根(リフタ)を設けて被加熱物の攪拌を促進させる方法が採用されることがあるが、この方法では被加熱物の飛散が激しくなって収率が低下したり、リフタの羽根とシェルの取付部分に粉体が残留して堆積し、やがて溶着してしまうなどの問題が生じていた。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、粉体状の被加熱物を加熱処理するロータリキルンであって、被加熱物を均一に加熱できる攪拌性に優れたロータリキルンを提供することを課題とする。
近年、金属製のシェルとの反応を嫌う被加熱物をロータリキルンで処理する場合に、セラミック製のシェルが用いられるようになった。しかし、セラミック製のシェルはその断面形状が円形であるとともに、攪拌羽根の設置も困難なため攪拌性能が劣り均質な処理物を得ることが困難であった。発明者らは、断面形状が楕円形であるシェルを用いれば、攪拌羽根を設置しなくても被加熱物を攪拌する攪拌性能を向上できるとの知見を得、この知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明のロータリキルンは、被処理物を収容して軸線周りに回転するシェルと、該シェルの外側部を加熱する加熱炉とを有するロータリキルンであって、前記シェルの加熱域の断面形状が楕円形であることことを特徴とする。
本発明のロータリキルンはシェルの加熱域の断面形状が楕円形であるので、収容されている被加熱物がシェルの内壁に沿って移動する移動速度は、シェルの回転角度によって大きく変化する。したがって、ロータリキルンの攪拌性能が向上し被加熱物を短時間で均一に加熱処理することができる。
なお、前記シェルの断面形状における楕円形の長径は、短径を1として1.1〜2.5であることが望ましい。長径と短径との比率がこの範囲にあるロータリキルンでは、被加熱物を効率よく攪拌して均質な処理物を得ることができる。
本発明のロータリキルンにおいては、前記加熱炉は該加熱炉の内周にヒータを有し、かつ前記シェルと一体的に上下方向に傾斜可能に配置されていることが好ましい。加熱炉はシェルと一体的に傾斜可能に配置されているので、被加熱物の投入や排出を容易に行うことができる。また、被処理物を供給側から排出側へ移動させることができる。
かかるロータリキルンでは、前記シェルの少なくとも一端を着脱自在な蓋体で閉塞することが望ましい。少なくとも一端が開放自在な蓋体で閉塞されて該シェルがほぼ閉塞されるようにしたロータリキルンとすることで、シェルの閉塞側が下になるように加熱炉を傾斜させた姿勢で、開放端側から被加熱物を投入した後に蓋体で閉塞し、傾斜姿勢のまま、または、水平姿勢にしてシェルを回転させると、被加熱物は攪拌されながら加熱処理されるため全体が均一に加熱される。加熱処理された被加熱物は、蓋体を外してから開放端が下向きになるようにシェルを傾斜させることにより排出することができる。このようなキルンは被加熱物を所定量ずつ処理するバッチ式のロータリキルンとして好適である。
また、かかるロータリキルンでは、前記シェルは、一端側に被加熱物の供給口を、他端側に該被加熱物を排出する排出口を有することが好ましい。シェルをその排出口側が低くなるように傾斜して回転することにより、供給口から供給された被加熱物は、シェルの回転に伴って排出口側へ移動する間に加熱処理される。すなわち、比較的大量の被加熱物を連続的に処理する連続式ロータリキルンとして好適である。
上記のようなロータリキルンでは、前記シェルの両端または一端に該シェル内にガスを導入または排出する流通管を設けることができる。ガスの流通管を有することでシェル内を所望の雰囲気とすることができる。
本発明のロータリキルンは、被処理物を収容して軸線周りに回転するシェルと、該シェルの外側部を加熱する加熱炉とを有するロータリキルンであって、前記シェルの加熱域の断面形状が楕円形であることことを特徴とする。
加熱域の断面形状は楕円形であれば被加熱物の攪拌効果を向上することができるが、楕円形の短径に対する長径の比率(長径/短径)は1.1〜2.5であることが好ましい。短径に対する長径の比率が1.1より小さいと十分な攪拌効果を得ることができない。特に被加熱物の粒径が80μm以下の微粉体では、その流動性が悪いために、粉体が堆積層を維持したまま、回転するロータリキルンのシェルの内面を滑るように移動するためにシェル内の堆積層を充分に攪拌することができない。一方、2.5を越えると被処理物の飛散が増加したり、あるいは、被加熱物の処理量が低減するので好ましくない。より好ましくは1.25〜2.0である。
また、シェルの材質は特に限定はなく、ステンレス鋼などの耐熱金属やアルミナなどのセラミックとすることができる。特に、被加熱物が加熱により金属シェルと反応したり、腐食性のガスを発生する危険性がある場合には、アルミナ・石英やジルコニアなどのセラミックとすることが望ましい。
本発明のロータリキルンでは被加熱物の堆積層はシェルの回転とともに、図6のように変化する。図6(a)はシェルの断面模式図であり、被加熱物Mを収容するシェルSは固定ボルトBによってシェルサポート管Pに固定支持されており、シェルサポート管Pと共に反時計回り(矢印)に回転する。(b)は(a)の状態を基点に左から右へ30゜ずつ回転した様子を半回転(180゜)分示したものである。被加熱物Mはシェルの内壁に沿ってシェルの回転とは逆方向に移動するが、シェルが楕円形であるためにシェルの回転角度によって被加熱物の堆積層の断面形状は変化する。つまり、シェルの回転角度によって堆積層内の被加熱物の移動速度が異なるので、従来の円筒形のシェルを有するロータリキルンに比べて、被加熱物の攪拌効率を大幅に向上させることができる。また、シェルの内周が滑らかな曲線であり、攪拌羽根(リフタ)を必要としないのでシェル内部の清掃が容易であり同一のシェルで多品種の被加熱物を扱うことができる。
以下、本発明の実施の形態を図1〜5を参照しながら説明する。
第1の形態は、図1〜図3に示すバッチ式のロータリキルンである。図1と図3にその縦断面を、また、図2に図1のA−A’断面を模式的に示す。なお、図1はバッチ式のロータリキルンの構成を示す模式図であり、図3はその稼働状態を説明する図である。
このバッチ式ロータリキルン10は、基台1に軸3と油圧シリンダ6によって上下方向に傾動自在の支持板5が支持されており、支持板5の上に断熱材からなる加熱炉7が固設されている。加熱炉7の内周面には電気ヒータ9が配置され、その両端には電気ヒータ9と同心の挿通孔11が形成され、その挿通孔11にシェル13が僅かな隙間をあけて挿通されている。
シェル13は、その断面形状が楕円形であるシェル本体13aと、シェル本体13aを収容する耐熱金属製のシェルサポート管13bとからなる。シェル本体13aは複数の固定ボルト14によってシェルサポート管13bの内部に同心状に支持されている。シェル本体13aと固定ボルト14との間にはセラミックファイバブラケットなどの耐熱性緩衝材18を挿設してシェル本体13aと固定ボルト14との熱膨張の差を吸収するようになっている。また、電気ヒータ9の両端部に対応する位置のシェル13の内周にはリング21が固定されており、シェル本体13aの両端にシェル本体13aをほぼ密閉するように断面形状に合わせた楕円溝を有する仕切り板16が配置されている。
シェル13は両端部付近の外周に固定されたタイヤ15を支持板5の両端部に設置された2個一対の平ローラ17と鍔付きローラ19に載置されて回転自由に支持されおり、いずれか一方のローラ17,19の駆動により一方向に回転可能となっている。また、シェル13は加熱炉7の両端から左右に略同寸法突出しており、シェル13の両端は蓋体23で開放可能に閉塞されるようになっている。
蓋体23はシェル13のリング21から端部までとほぼ同一の長さでシェル13にほぼ緊密に嵌入する有底の円筒形をなし、内端部に断熱材25が詰め込まれているとともに、内端面にシェル13のリング21に当接するシール27が設けられている。外端面に被せられた蓋板29にはシェル13の端部に当接するシール31が取り付けられており、軸心には雰囲気ガス流通管33が貫通している。
以上の構成からなるロータリキルンの稼働は、まず、油圧シリンダ6の伸長又は収縮によりシェル13を傾斜させて、下側となった開口へ蓋体23を嵌入しシール27をリング21に当接し、シール31をシェル13の端部に当接したのち、ボルトなどの図示しない締め付け具で蓋体23をシェル13の下側の端部に固定してシェル13の一端側を閉塞する。
次に、シェル13の上側の端部から被加熱物Mを投入し、上記と同様にしてシェル13の上側の端部を蓋体23で閉塞し、油圧シリンダ6の収縮又は伸長によりシェル13を図3に示すように水平姿勢にして電気ヒータ9に通電して発熱させる。同時にシェル13を回転させて被加熱物Mを攪拌しつつ加熱する。
所望により加熱時には、両側の蓋体23の雰囲気ガス流通管33から適宜にガスを導入し、又は、排出してシェル13の雰囲気を調節することができる。なお、シェルを傾斜させた姿勢で回転するようにしてもよい。
以上のようにして被加熱物Mに所定の加熱処理を施す。加熱処理された被加熱物Mは、シェル13を傾動して上方の蓋体23を取り外してから、上下逆方向に傾動してシェルを回転しながら金属容器などの中へ排出することができる。なお、還元雰囲気で加熱する酸化鉄やニッケルなどのような被加熱物の場合には、所定の温度までロータリキルン中で冷却してから排出することが望ましい。
本発明の第2の実施の形態は、図4および図5に示す連続式のロータリキルンである。図4にシェル部分を切り欠いた側面図を、また、図5にシェルのB−B’断面概略図を示す。なお、第1の形態と同様の機能を有する部分については同一符号を付して説明を省略する。
この連続式ロータリキルン20は、第1の実施の形態と同様に支持板5の上に加熱炉7が固設されており、加熱炉7の内周面には電気ヒータ9が配置され、その両端には電気ヒータ9と同心の挿通孔11が形成され、その挿通孔11にシェル13が僅かな隙間をあけて挿通されている。
シェル13は、断面形状が楕円形のシェル本体13aと、シェル本体13aの両端部に嵌合し回転駆動機構と接続する耐熱金属製のシェルサポート管13bとから構成されている。シェルサポート管13bは、第1の形態と同様に固定ボルト14によってシェル本体13aを支持しており、シェル本体13aと固定ボルト21の間にはセラミックファイバブラケットなどの耐熱性クッション材(図示せず)を挿入して固定ボルト14の熱膨張を吸収するようになっている。
シェルサポート管13bの両端付近には環状のタイヤ15が、シェルサポート管13bの外周面に一体的に付設されており、シェル13は、これらの部分で受けころ17,19によって支持されている。
シェルサポート管13bの外周面と加熱炉7とは僅かな間隙を設けて図示しないシール材でほぼ密閉され、隙間からの放熱を防止するようになっている。
シェル13は、被加熱物の供給部41と供給部側の受けころ19間のシェルサポート管13bの外周面にスプロケットホイール45を設けて、このスプロケットホイール45と、支持板5に支持された駆動モータ46のスプロケット47とをチェーン48で連結して回転駆動される。なお、シェル13の軸線は、基台1のシリンダ6により供給側を上昇させて、排出側が僅かに下がるように傾斜させることができる。シェル13の軸線の勾配は被加熱物の性状や加熱処理条件などによって異なるが、概ね1/100〜3/100程度が適当である。
シェル13の供給部41は、供給部フード51と被加熱物の供給ホッパー52とで構成されていて、支持板5上に固定されている。供給部フード51とシェル13とは僅かなクリアランスを設けてシール材(図示せず)でほぼ密閉されており、隙間からの放熱を防止するようになっている。被加熱物の供給ホッパー52は、シェル本体13aの内部へ被加熱物を供給するように供給部フード51を貫通してシェル13の供給口22に臨むように設けられている。
排出部42は、シェル13内への外気の浸入を防止するための排出部フード53で構成されていて、シェル13と排出部フード53とは、僅かなクリアランスを設けてシール材(図示せず)でほぼ密閉されており、隙間からの放熱を防止することができる。排出部フード53の下部には、シェル13の排出口24から排出された被加熱物を取出すシュート54が設けられている。シュート54の途中にはバルブ55を設けて外気の浸入を防止するようになっている。なお、水素ガスなどの雰囲気ガスを用いる場合には、フード53の適宜の場所にガスの打込口を設け、シェル13内へ雰囲気ガスを打ち込み、供給部41側の図示しない排気口から排気するとよい。
以上の構成からなる連続式ロータリキルンの稼働は、まず、回転するシェル13内に、供給ホッパー52からシェル13内へ被加熱物を供給する。シェル13内に投入された被加熱物はシェル13の回転に伴ってシェル13の加熱部(シェル本体13a)へと流れ所定の加熱処理を施される。この時、シェル本体13aは楕円形断面を有するので被加熱物は効率的に攪拌され被加熱物に均一な加熱処理を施すことができる。
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で変更することができる。例えば、第1の実施の形態ではシェル13の左右両端を蓋体23によって閉塞できるようにしているが、シェル13の一端側を固定的に閉塞して他端側のみを着脱自在の蓋体23で閉塞することもできる。この場合には、被加熱物の投入と排出は一側からのみ行うこととなる。また、いずれの実施の形態においても加熱炉の加熱源はヒータとしたが、ガスなどのバーナ加熱としても良い。
本発明のロータリキルンは、被加熱物の攪拌効率を向上することができるので均質な処理物を効率よく得ることができる。従って、磁気ディスクやテープなど記録メディアに使用されるフェライト粉末の焼成や、ニッケル・水素電池などの材料として多用されるニッケル微粉末の加熱処理などに好適に使用利用することができる。
1:基台 5:支持台 7:加熱炉 9:電気ヒータ 10:バッチ式ロータリキルン 11:挿通孔 13:シェル 13a:シェル本体 13b:シェルサポート管 23:蓋体 33:流通管 20:連続式ロータリキルン
Claims (6)
- 被処理物を収容して軸線周りに回転するシェルと、該シェルの外側部を加熱する加熱炉とを有するロータリキルンであって、
前記シェルの加熱域の断面形状が楕円形であることことを特徴とするロータリキルン。 - 前記シェルの断面形状における楕円形の長径は、短径を1として1.1〜2.5である請求項1に記載のロータリキルン。
- 前記加熱炉は該加熱炉の内周にヒータを有し、かつ前記シェルと一体的に上下方向に傾斜可能に配置されている請求項1または2に記載のロータリキルン。
- 前記シェルの少なくとも一端を着脱自在な蓋体で閉塞する請求項1〜3のいずれかに記載のロータリキルン。
- 前記シェルは、一端側に被加熱物の供給口を、他端側に該被加熱物を排出する排出口を有する請求項1〜3のいずれかに記載のロータリキルン。
- 前記シェルの両端または一端に該シェル内にガスを導入または排出する流通管を設けた請求項4または5に記載のロータリキルン。
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JP2004164520A JP2005344994A (ja) | 2004-06-02 | 2004-06-02 | ロータリキルン |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2012124990A2 (ko) | 2011-03-16 | 2012-09-20 | 한화케미칼 주식회사 | 로타리 킬른을 이용한 전극물질의 하소 방법 |
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2004
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KR20230154592A (ko) * | 2022-05-02 | 2023-11-09 | 허영재 | 마그네틱 드라이브를 이용한 로터리 쉘 반응기 |
KR102637707B1 (ko) * | 2022-05-02 | 2024-02-15 | 허영재 | 마그네틱 드라이브를 이용한 로터리 쉘 반응기 |
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