JP2019100671A - 熱処理装置 - Google Patents

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道也 横田
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Hidekazu Awano
英和 粟野
古屋 昌浩
Masahiro Furuya
昌浩 古屋
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Abstract

【課題】回転炉内における被処理物の堆積厚みが増やされても、被処理物の流動性を妨げることなく被処理物の舞い上がりを抑制しながら炉面側から被処理物への伝熱性を向上させる、熱処理装置の提供。【解決手段】被処理物の供給口Ba及び排出口Bbと連通して回転自在に設けられる外熱式の回転炉1と、回転炉の炉面11に回転炉の軸方向及び周方向へそれぞれ所定間隔毎に設けられる複数の伝熱延長部12と、回転炉の炉面に沿って回転炉の周方向へ平滑状に設けられる被処理物Bの揺動流路13と、回転炉の炉面に沿って回転炉の軸方向7へ平滑に設けられる被処理物Bの排出流路14と、回転炉内に回転炉の軸方向へ回転炉の外部空間S2と連通するように設けられる排気通路3と、を備え、複数の伝熱延長部は、回転炉内に供給された被処理物Bの堆積部B1に入り込み、且つ揺動流路及び排出流路を規定する伝熱面12aを有する、熱処理装置A。【選択図】図1

Description

本発明は、粉状又は粉粒状などの被処理物を回転炉の回転動作により熱処理(加熱処理)するために用いられる熱処理装置に関する。
従来、この種の熱処理装置として、上下方向に傾斜可能に設置された炉体の内周に電気ヒーターが配置され、電気ヒーターと同心に炉体を貫通して回転するレトルトの少なくとも一端が開放自在な蓋体で閉塞されてレトルトがほぼ閉塞されるようにしたバッチ式ロータリーキルンがある(例えば、特許文献1参照)。
バッチ式ロータリキルンの稼働は、レトルトを傾斜させて、レトルトの上側の端部から粉状または粒状の被処理物が投入される。その後、レトルトを水平姿勢にし、電気ヒーターに通電して発熱させるとともに、レトルトの回転に伴って被処理物が撹拌されながら加熱されて全体を均一に加熱する。そのとき、流通管からガスをレトルト内に導入し、レトルト外に排出してレトルト内の雰囲気を調節している。その後に加熱処理された被処理物は、レトルトを傾けて回転することにより排出される。
また、回転筒の内壁にかき揚げ突起をつけることにより、被処理物が回転筒の回転方向に持ち上げられ、適当な角度から遅れて内壁面に展開するとともに、回転筒の内壁面から被処理物への熱伝達を良好にした外熱式回転炉がある(例えば、特許文献2参照)。
かき揚げ突起は、回転筒の断面(円)接線に対して30〜45度の傾斜状、もしくは円弧状であって、回転筒の断面円周上(周方向)に90〜120度間隔に、長さ方向の全長にわたって複数本、それぞれ被処理物の一部が乗り越え可能な高さに設置される。かき揚げ突起は、回転筒の内壁に長さ方向の途中に切れ目ができるように設けた場合にも、ほぼ同様である。
特開2002−277166号公報 特開2000−193372号公報
ところで、特許文献1のような従来の熱処理装置では、レトルト(回転炉)に対する被処理物の投入量(供給量)を増やして加熱処理量の増大化を図ることが要望されている。
その解決方法として回転炉の長さや径サイズを拡大変更せず、回転炉内における被処理物の堆積厚みを増やすことができれば、効率良く被処理物の加熱処理量の増大化が図れる。
しかし、単に被処理物の投入量を増やして被処理物の堆積厚みを更に深くしただけでは、回転炉内における被処理物の流動性や回転炉の炉面からの伝熱性が低下して、被処理物のすべてを均一に加熱することが困難となってしまう。
そこで、特許文献2のような回転筒(回転炉)の内壁(炉面)に被処理物の一部が乗り越え可能な高さのかき揚げ機構を設けることなどにより、被処理物の流動性を強制的に高め、且つ被処理物への伝熱面積を増やす方法がある。
ところが、かき揚げ機構による強制的な撹拌で粉状又は粉粒状の被処理物は、回転炉内に舞い上がって粉塵となる。この粉塵は、流通管から回転炉内へ導入されるガスに随伴して回転炉の外へ排出されてしまう。このため、排出用の流通管が粉塵で閉塞し易くなることや、被処理物の回収率を低下させるという問題があった。
また、排出用の流通管に粉塵の排出防止用フィルタなどを設置する方法もあるが、フィルタなどで一旦捕集した粉塵を回収することは困難であり、フィルタが目詰まりして劣化すると、回転炉の内圧を急激に上昇させて非常に危険であるという問題があった。
このような状況下で、回転炉内における被処理物の堆積厚みを増やしても、被処理物の流動性を妨げることなく被処理物の舞い上がりを抑制しながら炉面からの伝熱性を向上させる構造が要望されている。
このような課題を解決するために本発明に係る熱処理装置は、回転炉に供給された粉状又は粉粒状の被処理物を、前記回転炉の回転動作により前記回転炉の炉面に沿って前記回転炉の周方向へ揺動させながら熱処理する熱処理装置であって、前記被処理物の供給口及び排出口と連通して回転自在に設けられる外熱式の前記回転炉と、前記回転炉の前記炉面に前記回転炉の軸方向及び周方向へそれぞれ所定間隔毎に設けられる複数の伝熱延長部と、前記回転炉の前記炉面に沿って前記回転炉の周方向へ平滑状に設けられる前記被処理物Bの揺動流路と、前記回転炉の前記炉面に沿って前記回転炉の軸方向へ平滑に設けられる前記被処理物Bの排出流路と、前記回転炉内に前記回転炉の軸方向へ前記回転炉の外部空間と連通するように設けられる排気通路と、を備え、前記複数の伝熱延長部は、前記回転炉内に供給された前記被処理物の堆積部に入り込み、且つ前記揺動流路及び前記排出流路を規定する伝熱面を有することを特徴とする。
本発明の実施形態に係る熱処理装置の全体構成を示す説明図であり、(a)が縦断正面図、(b)が図1(a)の(1BC)−(1BC)線に沿える被処理物の揺動(持ち上げ)時の拡大縦断側面図で、(c)が被処理物の揺動(滑り移動)時の拡大縦断側面図である。 本発明の実施形態に係る熱処理装置の変形例を示す説明図であり、(a)が縦断正面図、(b)が図2(a)の(2BC)−(2BC)線に沿える被処理物の揺動(持ち上げ)時の拡大縦断側面図で、(c)が被処理物の揺動(滑り移動)時の拡大縦断側面図である。 本発明の実施形態に係る熱処理装置の変形例を示す説明図であり、(a)が縦断正面図、(b)が図3(a)の(3BC)−(3BC)線に沿える被処理物の揺動(持ち上げ)時の拡大縦断側面図で、(c)が被処理物の揺動(滑り移動)時の拡大縦断側面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る熱処理装置Aは、図1〜図3に示すように、回転炉1の内部に供給される被処理物Bを、回転炉1の回転動作により回転炉1の炉面11に沿って回転炉1の周方向θへ揺動させながら熱処理(加熱処理)して排出するロータリーキルンなどである。
被処理物Bは、粉状体や粉粒体などからなり、チタン酸バリウム系の誘電体材料、チタン酸ジルコン酸鉛系の圧電体材料、リチウム電池材料、薄型ディスプレイパネル用蛍光体などの粉体材料が含まれる。
詳しく説明すると、本発明の実施形態に係る熱処理装置Aは、被処理物Bの供給口Ba及び排出口Bbと連通して回転自在に設けられる円筒状の回転炉1と、回転炉1の外側に設けられる加熱機構2と、回転炉1の内部空間S1に回転炉1の軸方向Zへ回転炉1の外部空間S2と連通するように設けられる排気通路3と、を主要な構成要素として備えている。
なお、回転炉1の軸方向Zを以下「軸方向Z」という。軸方向Zと交差する回転炉1の周方向θを以下「周方向θ」という。回転炉1の径方向Rを以下「径方向R」という。
被処理物Bの供給口Baは、後述する回転炉1において被処理物Bの移送方向上流側に設けられ、被処理物Bが収容されたホッパーなどの供給源(図示しない)から回転炉1の内部空間S1に向け被処理物Bを連続して送り込む供給装置である。この供給装置としては、スクリューフィーダなどが用いられる。
供給口Baの具体例として図1(a),図2(a),図3(a)に示される場合には、スクリューフィーダのフィーダ管を回転炉1の内部空間S1に向けて回転炉1の軸線と略平行に配置している。
また、その他の例として図示しないが、供給口Baにスクリューフィーダ以外の供給装置を用いることも可能である。供給口Baと後述する回転炉1の内面との隙間を可能な限り小さくするためのシュートを設けて、被処理物Bが自由落下せずに滑り落ちる構造に変更することも可能である。
回転炉1は、その少なくとも内面側の一部又は全体を例えばセラミックやカーボンなどの耐熱性非金属や、例えばインコネル(登録商標)などのニッケル基合金、コバルト基合金、クロム基合金などの耐熱性金属を含む材料で円筒状に形成した炉心管である。
回転炉1は、その軸方向Z全体が長尺状の一体管に形成される一体構造とするか、又は管全体若しくは一部を軸方向Zへ複数に分割して着脱自在に連結する分割構造に構成され、その軸線を中心として回転自在に支持される。
回転炉1は、その一部がモータなどの回転駆動部(図示しない)とチェーンなどの伝動部材(図示しない)を介して連係される。この回転駆動部の作動により、回転炉1は、その軸線を中心として連続的又は間欠的に回転移動させるように構成されている。
回転炉1の内部空間S1において軸方向Zの一端側には、被処理物Bの供給口Baと連通する入口部1aが形成され、軸方向Zの他端側には、被処理物Bの排出口Bbと連通する出口部1bが形成される。
回転炉1の具体例として図1(a),図2(a),図3(a)に示される場合には、入口部1a側に第一連通管1cが連結固定され、出口部1b側に第二連通管1dが連結固定され、第一連通管1c及び第二連通管1dを含めて回転炉1が一体化されるとともに、第一連通管1cと第二連通管1dをそれぞれ軸受部材1eで回転自在に支持している。
また、回転炉1は、被処理物Bの酸化防止や、熱処理により被処理物Bから発生した可燃性ガスの爆発防止などを目的として、少なくとも加熱時に内部空間S1を窒素又はアルゴンなどの雰囲気に保つことがある。この場合には、被処理物Bの供給口Ba、回転炉1の入口部1a側、出口部1b側、被処理物Bの排出口Bbなどのいずれかに開閉弁(図示しない)を設けて、外部空間S2から回転炉1内への外気(酸素)の侵入を防ぐことが好ましい。
さらに回転炉1の内部空間S1は、供給口Baから供給された被処理物Bと接触する炉面11を有する。
回転炉1の炉面11は、回転炉1の内周面に沿って曲面状に形成され、回転炉1内(内部空間S1)に供給された被処理物Bと接触する複数の伝熱延長部12を有する。
複数の伝熱延長部12は、炉面11に沿って軸方向Z及び周方向θへそれぞれ所定間隔毎に設けられ、回転炉1内に供給された被処理物Bの堆積部B1内に対し、堆積部B1の厚み方向(径方向R)に入り込む伝熱面12aを有している。
つまり、複数の伝熱延長部12は、炉面11から回転炉1内の被処理物Bの堆積部B1に向けて径方向Rへ突出するように形成され、被処理物Bの堆積部B1と面接触する部分を伝熱面12aとしている。
複数の伝熱延長部12の伝熱面12aは、後述する被処理物Bの揺動流路13と、後述する被処理物Bの排出流路14をそれぞれを規定する。
回転炉1の内部空間S1には、曲面状の炉面11に沿って被処理物Bの揺動流路13が周方向θへ凹凸の無い平滑状(曲面状)に設けられるとともに、被処理物Bの排出流路14が軸方向Zへ凹凸の無い平滑状(曲面状)に設けられる。
被処理物Bの揺動流路13は、回転炉1の回転動作で炉面11に沿って被処理物Bを周方向θの所定領域に亘って揺動させるための通路である。
揺動流路13は、軸方向Zへ所定の間隔を空けて設置された複数の伝熱延長部12の伝熱面12aの間に、周方向θへ連続するように形成されている。
つまり、回転炉1の回転動作により揺動流路13を通って被処理物Bが揺動し、図1(b),図2(b),図3(b)に示される周方向θへの被処理物Bの持ち上げと、図1(c),図2(c),図3(c)に示される被処理物Bの自重による周方向θ逆向きへの滑り移動(滑り落ち)を交互に繰り返す。
なお、軸方向Zへ対向する伝熱面12aの設置間隔は、狭くするほど伝熱面12aから被処理物Bへの熱伝導が向上する。しかし、狭くなり過ぎると、揺動流路13で被処理物Bとなる粉状体や粉粒体などが詰まって流動性の低下を招くため、流動特性を考慮した間隔に設定することが望ましい。
被処理物Bの排出流路14は、回転炉1内で熱処理された被処理物Bを排出口Bbに向けて排出させるための通路である。
排出流路14は、周方向θへ所定の間隔を空けて設置された複数の伝熱延長部12の伝熱面12aの間に、軸方向Zへ連続するように形成される。ここで、「軸方向Zへ連続する」には、軸方向Zへ複数の伝熱延長部12と干渉することなく直線的に連続する「直線連続」に限らず、複数の伝熱延長部12を迂回して軸方向Zへ連通する「迂回連続」も含まれる。
さらに、複数の伝熱延長部12は、図1(a)(b)(c)及び図2(a)(b)(c)に示されるように、それぞれの軸方向Zへの長さ寸法を、周方向θへの幅寸法よりも短いか、又は図3(a)(b)(c)に示されるように、周方向θへの幅寸法と同じに設定することが好ましい。
このため、複数の伝熱延長部12は、少なくとも軸方向Zへ薄肉化されて、揺動流路13の軸方向Zへの間隔が狭くなることを抑制している。軸方向Zへ隣り合う複数の伝熱延長部12の間には、被処理物Bの堆積部B1となる粉状体や粉粒体などが挟み込まれて、その堆積状態が保持される。
複数の伝熱延長部12の伝熱面12aは、炉面11側の基端12bから回転炉1内の被処理物Bの表面B2側の先端12cに向かって軸方向Zへの長さ寸法を徐々に薄くする傾斜面であることが好ましい。
このため、複数の伝熱延長部12は、伝熱面12aの基端12bから先端12cへ向かう傾斜面により、それぞれの先端12cが尖ったエッジ形状となる。複数の伝熱延長部12において傾斜した伝熱面12aは、被処理物Bの堆積部B1となる粉状体や粉粒体などが、被処理物Bの揺動に伴い伝熱面12aに沿って摺動するだけで、強制的にかき揚げる機能や持ち上げる機能を有していない。
複数の伝熱延長部12は、それぞれの径方向Rへの高さ寸法を、回転炉1内の被処理物Bの堆積厚み以下に設定することが好ましい。
このため、回転炉1の回転に伴い揺動流路13を通って揺動した被処理物Bの堆積部B1に対し、複数の伝熱延長部12の全体が進入して、先端12cが被処理物Bの表面B2から突き抜けることがない。
複数の伝熱延長部12の具体例として図1(a)(b)(c)に示される場合には、伝熱面12aにおける軸方向Zの形状が弓形で且つ周方向θの断面形状が三角形に形成された第一伝熱延長部12Fを、径方向Rに一組ずつ軸方向Zへ等間隔で配置している。つまり、炉面11において周方向θへ180度反対側に配置される一対の第一帯状曲面部位11Fに、複数の第一伝熱延長部12Fがそれぞれ径方向Rへ突出形成される。
特に図示例では、各組の第一伝熱延長部12Fが、軸方向Zへ所定ピッチだけをずらして配置することが好ましい。
また、第一帯状曲面部位11Fの間には、一対の排出流路14がそれぞれ炉面11に沿って軸方向Zへ直線連続するように形成される。
複数の伝熱延長部12の変形例として図2(a)(b)(c)に示される場合には、伝熱面12aにおける軸方向Zの形状が弓形で且つ周方向θの断面形状が三角形に形成された第二伝熱延長部12Sを、径方向Rに二組ずつ軸方向Zへ等間隔で配置している。つまり、炉面11において周方向θへ90度間隔で反対側に配置される四つの第二帯状曲面部位11Sに、複数の第二伝熱延長部12Sがそれぞれ径方向Rへ突出形成される。
さらに各組の第二伝熱延長部12Sは、軸方向Zへ所定ピッチだけ位置をずらして螺旋状に配置されている。
また、第二帯状曲面部位11Sの間には、排出流路14がそれぞれ炉面11に沿って軸方向Zへ迂回連続するように形成される。
複数の伝熱延長部12の変形例として図3(a)(b)(c)に示される場合には、円錐状に形成された第三伝熱延長部12Tを、周方向θに所定数ずつ軸方向Zへ等間隔で配置している。
特に図示例のように、軸方向Zへ隣り合う複数の第三伝熱延長部12Tが、周方向θへ所定ピッチだけをずらして配置することにより、軸方向Zへ被処理物Bが流動し易い構造とすることが好ましい。
加熱機構2は、回転炉1の炉面11や複数の伝熱延長部12を加熱して、回転炉1の内部空間S1に供給された被処理物Bを所定温度に熱処理するための加熱装置である。
加熱機構2から回転炉1への熱移動方法としては、回転炉1と非接触で加熱機構2を配置して、伝導や放射や対流などにより伝熱させることが好ましい。
詳しく説明すると、加熱機構2は、回転炉1の外側を覆うように設けられる加熱雰囲気21と、加熱雰囲気21に設けられる熱源22と、を有することが好ましい。
加熱雰囲気21は、回転炉1の外側に設けられた外壁23で気密状に覆われる。外壁23は、断熱材などからなり、角筒状や円筒状又はそれに類似した形状に形成される。
加熱機構2の熱源22としては、電気ヒーターやガスバーナーなどの電気以外のものが用いられる。回転炉1の内部空間S1において被処理物Bとなる粉状体や粉粒体などを850〜1000℃程度の焼成温度で熱処理する場合には、加熱雰囲気2aを1000℃以上に加熱している。
加熱機構2の具体例として図1(a)(b)(c)〜図3(a)(b)(c)に示される場合には、四角筒状の外壁23で囲まれた加熱雰囲気21に、熱源22となる電気ヒーターを外壁23の内側四面にそれぞれ配置している。さらに図示例では、熱源22となる電気ヒーターを軸方向Zへ複数に分割し、各電気ヒーターに設けられた温度センサー24でそれぞれ別個に温度制御されている。
図示例では、熱源22となる電気ヒーターを軸方向Zへ複数個配置し、各電気ヒーターに設けられた温度センサー24でそれぞれ別個に温度制御している。さらに回転炉1の入口部1a側に連結固定された第一連通管1cと、回転炉1の出口部1b側に連結固定された第二連通管1dの末端部を、それぞれ外壁23から軸方向Zへ突出させて非加熱としている。
また、その他の例として図示しないが、外壁23の内側二面のみに熱源22となる電気ヒーターを配置する構造や、加熱雰囲気21を設けずに熱源22で回転炉1が直接的に加熱される構造や、熱源22及び外壁23を図示例以外の構造に変更することが可能である。
排気通路3は、被処理物Bの熱処理に伴って発生した可燃性ガスや有害なガスなどの排出ガスを回転炉1の内部空間S1から外部空間S2に排気するための通路である。排気通路3は、回転炉1内の被処理物Bの表面B2から離れた位置を通って、回転炉1の入口部1a側及び出口部1b側を連通するように形成される。
排気通路3は、回転炉1の出口部1b側に向けて設けられる気体導入口3aと、回転炉1の入口部1a側に設けられる通気口3bと、外部空間S2に向けて設けられる排気口3cと、を有している。
気体導入口3aは、不活性ガスなどのキャリアガスや熱風などからなる気体の送風機(図示しない)と連通し、被処理物Bの排出方向と逆向き(上流方向)へ気体を送り込むように構成されている。気体導入口3aの送風機は、被処理物Bとなる粉状体や粉粒体などが舞い上がらない風量及び風圧に設定されている。
これにより、被処理物Bの熱処理に伴って回転炉1の内部空間S1に有害な排出ガスが発生しても、気体導入口3aからの風圧で排出ガスが通気口3b及び排気口3cを通って外部空間S2に排気される。このため、被処理物Bの加熱で発生した排出ガスを被処理物Bと確実に分離して排気可能となり、急峻なガス発生の発生に伴う回転炉1の急激な内圧上昇を防ぐことが可能となる。
排気通路3の具体例として図1(a),図2(a),図3(a)に示される場合には、回転炉1の入口部1a側に連結固定された第一連通管1cに、被処理物Bの供給口Baとなるフィーダ管が遊嵌状に貫通する通気口3bを形成している。回転炉1の出口部1b側に連結固定された第二連通管dの延長方向には、気体導入口3aが通気口3bと軸方向Zへ一直線上に固定配置される。
また、その他の例として図示しないが、排気通路3を図示例以外の構造に変更することも可能である。
そして、熱処理装置Aには、傾斜状態の回転炉1に連続供給された被処理物Bを熱処理して連続的に排出する連続式と、傾斜状態の回転炉1に供給された所定量の被処理物Bを水平状態の回転炉1で熱処理した後に回転炉1の傾斜によりすべて排出するバッチ式がある。
図1(a)(b)(c)〜図3(a)(b)(c)では、バッチ式の熱処理装置Aを示している。
バッチ式の熱処理装置Aでは、回転炉1を所定角度に傾斜するように移動させる傾動機構4と、回転炉1を冷却する冷却機構5と、傾動機構4及び冷却機構5を作動制御する制御部(図示しない)と、を備えている。
傾動機構4は、回転炉1をその回転中心が水平状態から設置床面Gに対し適宜角度まで移動自在に支持する昇降装置であり、油圧シリンダなどのアクチュエータを用いることが好ましい。
傾動機構4の具体例として図1(a),図2(a),図3(a)に示される場合には、回転炉1の入口部1a側に連結固定した第一連通管1cの一部が、軸受部材1eと設置床面Gの間に設けた傾斜支点4aを中心として昇降不能に支持され、回転炉1の出口部1b側に連結固定された第二連通管1dを、軸受部材1eと設置床面Gの間に設けられるアクチュエータ4bで昇降自在に支持している。
冷却機構5は、加熱機構2の外壁23に対し、加熱雰囲気21及び回転炉1の外部空間S2を連通させる空冷口5aと排熱口5bが、加熱雰囲気21の全体を通り抜けるように開設され、強制的に冷却することが好ましい。
また、その他の例として図示しないが、傾動機構4や冷却機構5を図示例以外の構造に変更することが可能である。
制御部は、回転炉1の回転駆動部や傾動機構4や冷却機構5の他にも、被処理物Bの供給口Baとなるスクリューフィーダ,加熱機構2の熱源22,排気通路3の送風機などともそれぞれ電気的に接続した制御回路(図示しない)を有するコントローラである。制御部となるコントローラは、制御回路に予め設定されたプログラムに従って、予め設定されたタイミングで順次それぞれ作動制御している。
制御部の制御回路に設定されたプログラムを、バッチ式の熱処理方法として説明する。
バッチ式の熱処理方法は、先ず、回転炉1を一時的に傾斜させて、供給口Baから所定量の被処理物Bが回転炉1の内部空間S1に供給する。次に、回転炉1をほぼ水平に戻してから、回転炉1を熱源22により加熱して被処理物Bを昇温させる。被処理物Bが目標温度に到達した後は、一定の保持時間が経過してから、熱源22による加熱を停止させるとともに、冷却機構5により回転炉1の降温を行う。回転炉1が目的温度まで降温して一連の熱処理が完了した後は、回転炉1を傾斜させ、被処理物Bが排出流路14を通って出口部1bから排出口Bbに排出される。回転炉1内の被処理物Bがすべて排出口Bbに排出された後は、供給口Baから被処理物Bの供給が開始されて、前述した動作が繰り返される。
このような本発明の実施形態に係る熱処理装置Aによると、粉状又は粉粒状の被処理物Bが供給口Baから回転炉1内(内部空間S1)に供給された後、外熱式の回転炉1の回転により、回転炉1の軸方向Zへ離隔した複数の伝熱延長部12の間に配置される揺動流路13を通って被処理物Bが揺動する。揺動で被処理物Bの持ち上げと、被処理物Bの自重による滑り移動が交互に繰り返される。
これに伴い被処理物Bが撹拌され続けて、粉状又は粉粒状間の相互伝熱を促進させるものの、強制的な被処理物Bのかき揚げや持ち上げとは異なるため、被処理物Bが舞い上がって浮遊しない。
これにより、排気通路3を通って被処理物Bが外部空間S2に排出されない。
また、この間に(加熱機構2による)炉面11からの伝導熱で被処理物Bの堆積部B1の底面側が加熱されるだけでなく、被処理物Bの堆積部B1に入り込んだ複数の伝熱延長部12の伝熱面12aからの伝導熱で、複数の伝熱面12aと面接触する側方からもそれぞれ加熱される。このため、被処理物Bの堆積部B1の厚み寸法と関係なく被処理物Bの全体が均一に加熱される。
したがって、回転炉1内における被処理物Bの堆積厚みが増やされても、被処理物Bの流動性を妨げることなく被処理物Bの舞い上がりを抑制しながら炉面11側から被処理物Bへの伝熱性を向上させることができる。
その結果、被処理物の投入量の増大によって被処理物の流動性や回転炉の炉面からの伝熱性が低下する従来のものに比べ、回転炉1の長さや径サイズを拡大変更せずに回転炉1に対する被処理物Bの投入量を増加できて、加熱処理量の増大化が図れる。
さらにかき揚げ機構による強制的な撹拌で粉状又は粉粒状が舞い上がって粉塵となる従来のものに比べ、被処理物Bの回収率が低下せず、粉塵の排出防止用フィルタなどを設置する必要もないから、熱処理装置Aの基本構成を維持できてコストアップにならず経済性に優れる。
特に、複数の伝熱延長部12は、それぞれの回転炉1の軸方向Zへの長さ寸法が、図1や図2に示されるように回転炉1の周方向θへの幅寸法よりも短いか、又は図3に示されるように回転炉1の周方向θへの幅寸法と同じであることが好ましい。
この場合には、複数の伝熱延長部12が、少なくとも軸方向Zへ薄肉化されて、揺動流路13の軸方向Zへの間隔が狭くならず、揺動流路13で被処理物Bとなる粉状体や粉粒体などが詰まり難くなる。
これに加えて被処理物Bの堆積部B1となる粉状体や粉粒体などは、軸方向Zへ隣り合う複数の伝熱延長部12の間に挟み込まれる。このため、回転炉1の回転による被処理物Bの揺動に影響されることなく堆積部B1の堆積状態が保持されて、粉状体や粉粒体などの崩れ落ちが発生しないと同時に、崩れ落ちに伴う粉状体や粉粒体などの舞い上がりも発生しない。
したがって、回転炉1に対する被処理物Bの供給量の減少防止と、揺動流路13における被処理物Bの流動性の低下防止と、堆積部B1の崩れ落ち防止や粉塵の発生防止を同時に達成することができる。
その結果、効率良く被処理物Bの加熱処理量の増大化が図れる。
さらに、複数の伝熱延長部12の伝熱面12aは、回転炉1の炉面11側の基端12bから排気通路3側の先端12cに向かって回転炉1の軸方向Zへの長さ寸法が徐々に薄くなる傾斜面であることが好ましい。
この場合には、複数の伝熱延長部12がそれぞれの先端12cを尖らせたエッジ形状となる。
これにより、回転炉1の回転に伴い揺動流路13を通って揺動した被処理物Bの堆積部B1に、複数の伝熱延長部12において傾斜した伝熱面12aがスムーズに進入し、被処理物Bの堆積部B1から複数の伝熱延長部12がスムーズに抜ける。
したがって、炉面11に対する複数の伝熱延長部12の接合強度を保ちながら回転炉1の回転に伴う被処理物Bの揺動を妨げることなく複数の伝熱延長部12を接触させて熱伝導することができる。
その結果、被処理物Bを効率的で且つ均一に加熱して稼働時間の短縮化が図れる。
これに加え、被処理物Bの堆積部B1となる粉状体や粉粒体などは、複数の伝熱延長部12において傾斜した伝熱面12aと接触する。しかし、被処理物Bの揺動により粉状体や粉粒体などは、傾斜した伝熱面12aに沿って摺動するだけで、伝熱面12aによる強制的なかき揚げや持ち上げは生じない。このため、被処理物Bが舞い上がって浮遊しない。
したがって、伝熱面12aとの接触による粉塵の発生を確実に防止することができる。
また、複数の伝熱延長部12は、それぞれの回転炉1の径方向Rへの高さ寸法が、回転炉1内(内部空間S1)の被処理物Bの堆積部B1の堆積厚み以下に設定されることが好ましい。
この場合には、回転炉1の回転に伴い揺動流路13を通って揺動した被処理物Bの堆積部B1に対し、複数の伝熱延長部12の全体が進入して、先端12cが被処理物Bの表面B2から突き抜けることがない。
これにより、複数の伝熱延長部12の伝熱面12aから被処理物Bの堆積部B1に熱伝導され、複数の伝熱延長部12の先端12cから回転炉1の内部空間S1へ無駄に熱放されない。
したがって、複数の伝熱延長部12の伝熱面12aから被処理物Bの堆積部B1へ確実に熱伝導させることができる。
その結果、被処理物Bをより効率的に加熱して稼働時間の短縮化が図れる。
なお、前示の実施形態において図示例では、バッチ式の熱処理装置Aについてのみ説明したが、これに限定されず、連続式の熱処理装置Aに用いることも可能である。
また複数の伝熱延長部12として図1(a)(b)(c)や図2(a)(b)(c)に示される例では、伝熱面12aにおける軸方向Zの形状が弓形であったが、これに限定されず、先端12cが直線となる略台形などに変更することが可能である。
さらに複数の伝熱延長部12の個数や配置も図示例に限定されず、図示例以外の個数や配置に変更することも可能である。
A 熱処理装置 1 回転炉
11 炉面 12 伝熱延長部
12a 伝熱面 12b 基端
12c 先端 13 揺動流路
14 排出流路 2 加熱機構
3 排気通路 B 被処理物
B1 堆積部 Ba 供給口
Bb 排出口 S2 外部空間
R 回転炉の径方向 Z 回転炉の軸方向
θ 回転炉の周方向

Claims (4)

  1. 回転炉に供給された粉状又は粉粒状の被処理物を、前記回転炉の回転動作により前記回転炉の炉面に沿って前記回転炉の周方向へ揺動させながら熱処理する熱処理装置であって、
    前記被処理物の供給口及び排出口と連通して回転自在に設けられる外熱式の前記回転炉と、
    前記回転炉の前記炉面に前記回転炉の軸方向及び周方向へそれぞれ所定間隔毎に設けられる複数の伝熱延長部と、
    前記回転炉の前記炉面に沿って前記回転炉の周方向へ平滑状に設けられる前記被処理物Bの揺動流路と、
    前記回転炉の前記炉面に沿って前記回転炉の軸方向へ平滑に設けられる前記被処理物Bの排出流路と、
    前記回転炉内に前記回転炉の軸方向へ前記回転炉の外部空間と連通するように設けられる排気通路と、を備え、
    前記複数の伝熱延長部は、前記回転炉内に供給された前記被処理物の堆積部に入り込み、且つ前記揺動流路及び前記排出流路を規定する伝熱面を有することを特徴とする熱処理装置。
  2. 前記複数の伝熱延長部は、それぞれの前記回転炉の軸方向寸法が、前記回転炉の周方向寸法よりも短いか、又は前記回転炉の周方向寸法と同じであることを特徴とする請求項1記載の熱処理装置。
  3. 前記複数の伝熱延長部の前記伝熱面は、前記回転炉の前記炉面側の基端から前記排気通路側の先端に向かって軸方向寸法が徐々に薄くなる傾斜面であることを特徴とする請求項1又は2記載の熱処理装置。
  4. 前記複数の伝熱延長部は、それぞれの前記回転炉の径方向寸法が、前記回転炉内の前記被処理物の堆積厚み以下に設定されることを特徴とする請求項1、2又は3記載の熱処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111889061A (zh) * 2020-07-22 2020-11-06 东莞市众大机械实业有限公司 锂电池材料高温反应连续生产设备

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