JP2009014328A - ロータリーキルン - Google Patents

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Yoriaki Inoue
順明 井上
Tatsuo Fujishige
龍夫 藤重
Katsunori Matsuoka
勝則 松岡
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Abstract

【課題】長尺のロータリーキルンの回転連結部分の磨耗を低減し、原料の極め細かい加熱制御を行うことを目的としている。
【解決手段】軸方向に回転可能な筒状の加熱炉の一端から原料を供給し、前記加熱炉の他端に備えた加熱バーナ28により前記原料を前記加熱炉内で回転させながら排出するロータリーキルンである。前記加熱炉を複数分割、例えば二分割した前記原料の送入側の回転体と前記回転体の回転駆動手段からなる送入側回転体ユニット12aと、前記加熱炉を二分割した前記原料の排出側の回転体と前記回転体の回転駆動手段からなる排出側回転体ユニット12bとを備え、前記送入側回転体ユニット12aと前記排出側回転体ユニット12bを同一の回転軸心上に形成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、特に筒状加熱炉の端部に加熱バーナを備え原料を加熱炉内で回転させながら高温加熱して排出する長尺のロータリーキルンに関する。
ステンレス鋼などの主原料となるフェロニッケルは、一般にニッケル鉱石を乾燥・粉砕処理してロータリーキルンでか焼処理した後、精錬電気炉で溶融還元処理して製造している。
このようなか焼に用いるロータリーキルンは、例えば直径約4〜6メートル、長さ約100〜120メートルの長尺の回転体を用いている。
図3は従来の長尺のロータリーキルンの説明図であり、その回転機構について説明する。図3(1)はロータリーキルン106の平面図を示し、ロータリーキルン106は、特許文献1に示すように長尺の回転体の外周の所定位置にタイヤローラ120を複数取付けている。タイヤローラ120は回転体の軸方向に沿って併設されたサポーティングローラ122a,122bに回転自在に支承されている。また回転体にはタイヤローラ120間の任意の位置にガースギア124を設けている。ロータリーキルンは一体物の長尺の回転炉を外周上の1箇所に設けたガースギア124で駆動手段により回転させるため、ガースギア124には1個または2個のピニオン126が連結している。図3はガースギア124に2個のピニオン126a,126bが連結している構成を示している。回転体の軸方向に沿って2台の駆動装置128a,128bを設けて、各駆動手段のピニオン126とガースギア124を連結し、ツインドライブ方式により回転体を駆動している。
特開平6−159942号公報
しかしながら従来のロータリーキルンは、回転体の長さが約100メートルと長尺の一体物であるため、以下に示す問題があった。
前述のツインドライブ方式によるガースギアは、図3(2)に示すように外周上の2箇所でピニオン126a,126bによって駆動している。このとき各ピニオンの作用点におけるギア歯面への荷重方向が異なりアンバランスを生じやすい。そしてガースギアとピニオン間の歯当りが経年変化による不均一な磨耗が生じて、異常振動の発生原因となることがあった。また、駆動装置128a,128bの回転数の差異により基礎に影響を与えるほどの振動が発生し、操業に悪影響を及ぼすおそれがあった。
また稼動中のロータリーキルンは1000℃前後に加熱される内部温度変化により軸方向の伸びが数百mmと大きくなる。このため、断面変形やキルン軸方向の撓みに起因するタイヤの傾斜変化により、タイヤとローラ間の当りが局部的となりタイヤの寿命を短くし、割れや剥離を引き起こす一因ともなっていた。
さらに従来のロータリーキルンは一体物であり、1台の稼動手段によってキルン全体の回転速度を調整している。一般に原料は加熱反応により原料の物性が変化(例えば安息角や流動性の変化など)する。そうすると原料が回転する加熱炉面により持ち上げ速度と、滑り速度が異なり、結果的に回転軸方向の速度も異なってくる。よって加熱処理のエリアごとの滞留時間が異なり、送入側と排出側でのエリアごとの充填量に差異が生じる。従来の一体物のキルンでは原料の投入量と回転速度で制御していた。
そこで上記従来技術の問題点を解決するため、本発明は、長尺のロータリーキルンの回転体を複数分けることにより負荷を低減することを目的としている。また本発明はキルンに投入する原料が最適充填量となるように複数の回転体ごとに回転数を変更制御することを目的としている。
本発明のロータリーキルンは、回転可能な筒状の加熱炉の一端から原料を供給し、前記加熱炉の他端に備えた加熱バーナにより前記原料を前記加熱炉内で回転させながら高温加熱するロータリーキルンであって、前記加熱炉を複数区分けした回転体と、前記回転体毎に軸方向に回転させる回転駆動手段からなる回転体ユニットを備え、前記回転体ユニットを同一の回転軸心上に複数形成したことを特徴としている。
また本発明のロータリーキルンは、回転可能な筒状の加熱炉の一端から原料を供給し、前記加熱炉の他端に備えた加熱バーナにより前記原料を前記加熱炉内で回転させながら高温加熱するロータリーキルンであって、前記加熱炉を二分割した前記原料の送入側の回転体と、前記回転体の回転駆動手段からなる送入側回転体ユニットと、前記加熱炉を二分割した前記原料の排出側の回転体と、前記回転体の回転駆動手段からなる排出側回転体ユニットとを備え、前記送入側回転体ユニットと前記排出側回転体ユニットを同一の回転軸心上に形成し各回転体ユニットごと回転速度を可変としたことを特徴としている。
この場合において、前記排出側回転体ユニットの断面径は、前記送入側回転体ユニットの断面径よりも大きく形成し、前記送入側の回転体の排出口を前記排出側の回転体の送入口に挿入してあるとよい。
また、前記送入側回転体ユニット及び前記排出側回転体ユニットは、前記回転体の両端に回転軸方向に回転自在な二支点の支持部を備えるとよい。
本発明のロータリーキルンによれば、加熱炉を加熱処理のエリアごとに複数区分け(例えば前半と後半のエリアごとに区分け)した回転体と、この回転体毎に軸方向に回転させる回転駆動手段からなる回転体ユニットを備え、回転体ユニットを同一の回転軸心上に複数形成した構成としている。このため、同一キルン軸心上で送入側と排出側とで、回転体の回転数を各々独立に駆動制御できる。したがって従来の長尺のロータリーキルンに設けた一台の回転駆動手段に対する過負荷に比べ、回転駆動手段に対する負荷を大幅に低減することが可能となる。
また、内部原料の滞留時間と充填量の制御を送入側と排出側の回転体ユニットごとにできるため、高温加熱、例えば、か焼又は焼成のための微細調整が可能となる。さらに、運転操作(回転数変更など)により応答性が速くなるため、操作性の向上とともにか焼又は焼成による異常なコーティングの発生防止、その脱落によるリングの生成を抑制するなど操作性の向上によって生産性の増加が期待できる。
本発明のロータリーキルンは、排出側回転体ユニットの断面径を送入側回転体ユニットの断面径よりも大きく形成している。このため、加熱炉の容積当たりの比か焼又は焼成能力が大きくなる。よって排出側回転体ユニットの長さを短くすることができ、結果的にロータリーキルン全体の長さも短くすることができ、装置全体の省スペース化を図れる。
本発明のロータリーキルンは、送入側回転体ユニット及び排出側回転体ユニットの回転体の両端に回転軸方向に摺動自在な二支点の支持部を備えている。この構成により回転体の連結部は、支持部の間に配置される。このため、2支点キルンの組み合わせのため、据え付け時のキルン芯出しが容易になる。また従来の多支点キルンに生じやすい、キルンの曲りの影響による支点の過負荷が生じにくくなるため、タイヤローラの寿命を適正に維持することができる。具体的には、割れや剥離による取替え、補修や異常磨耗による表面切削の頻度が減少する。多支点キルンのようなローラ調整の煩雑さが格段に減少し、回転体の温度差による伸びも半減するため現場でのメンテナンス性の向上にもつながる。さらに回転体を二支点とすることにより、回転体を支持する計4個のローラは必ず回転体の荷重を受けることになる。このため、従来の多支点におけるタイヤローラの一部接触・一部非接触等の現象が起こらない。
本発明のロータリーキルンの実施形態を添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
図1は実施形態に係るロータリーキルンの構成概略を示す図(側面図)である。図示のようにロータリーキルン10は、複数の回転体ユニット12a,12bを備えている。
回転体ユニット12は、主に回転体14と回転駆動手段16とで構成している。回転体14は、内部に加熱炉を備えた筒状の加熱炉である。回転体14の内側には耐火性のレンガを円筒状に形成している。
回転駆動手段16は、ガースギア18と一個のピニオン20とで構成している。ガースギア18は、回転体14の外周に沿って取付けた歯車である。ピニオン20は、ガースギア18に連結し、駆動装置19によってガースギア18を中心軸周りに回転駆動する。
また回転体14には支持部22を形成している。支持部22はタイヤローラ24とサポーティングローラ26とで構成している。タイヤローラ24は、回転体14の両端に形成し、回転体14を外周に沿って支持する2個のローラである。サポーティングローラ26は、タイヤローラ24と同一平面上に設け、タイヤを下方で支持するローラである。
ここで一般の高温加熱、例えば、か焼又は焼成用のロータリーキルンは、一端に原料の送入口を形成してあり、他端に加熱バーナを取付け排出口が形成してある。稼動中のロータリーキルンの加熱炉内温度は、送入側から排出側に向かって加熱バーナに近い程高くなっているが、例えば、加熱温度の調整のために加熱の途中で石炭を投入するなどの場合、温度分布はより複雑となっている。
本発明では、上記構成による回転体ユニット12を、一例として高温側と低温側の加熱炉に二分割し、加熱炉の送入側回転体ユニット12aと排出側回転体ユニット12bの2つ形成している。
送入側回転体ユニット12aは、端部12aiに原料を送入する開口を設けた回転体ユニットである。一方、排出側回転体ユニット12bは端部12boに加熱バーナ28を備えた回転体ユニットである。またこの回転体の断面径は送入側回転体ユニット12aの断面径よりも大きく形成している。
送入側回転体ユニット12aの原料の送入口と反対となる端部12aoは、排出側回転体ユニット12bの端部12biに一部挿入している。そして送入側回転体ユニット12aと排出側回転体ユニット12bは、同一の回転軸心上に形成し、回転軸心上に加熱バーナ28を配置している。
送入側回転体ユニット12aと排出側回転体ユニット12bとの接続部分には連結部30を形成している。
図2は本発明の連結部の断面側面図である。連結部30は、送入側回転体ユニット12aと排出側回転体ユニット12bの接続部に生じる隙間を塞ぐシール機構である。連結部30は、内張耐火物の厚み分胴体径、温度差の伸びを考慮したスリーブとシールを考慮する必要がある。本発明の連結部30は、主に送入側回転体ユニット12aに形成したスライドリング32と排出側回転体ユニット12bに形成したエアシール34から構成している。
スライドリング32は、送入側回転体ユニット12aの端部12aoの外周に沿って形成している。エアシール34は、短冊形状であり、一端を排出側回転体ユニット12bの端部12biの外周に沿って形成したシーリング支持部36にボルトなどの固定手段により支持されている。エアシール34の他端は、図示のようにスライドリング32のシール面に押圧させた状態で取付けている。このとき短冊形状のエアシール同士は幅方向を回転体の周方向に互いに一部積層させながら取付けている。
また制御部38には駆動手段19a,19b、ビデオカメラ39が接続している。ビデオカメラ39は排出側回転体ユニット12bから排出された製品を撮影する。制御部38はビデオカメラ39による映像に基づいて送入側回転体ユニット12a及び排出側回転体ユニット12bの駆動手段19a,19bの回転速度を制御する。
なお、本実施形態ではビデオカメラによる映像に基づいて制御部の制御を行うように説明したが、これに限らずこの他にも温度計、圧力計、排出された製品の分析に基づいて、制御部による制御を行うようにすることもできる。
上記構成によるロータリーキルンの作用について以下説明する。
前述のように稼動中の長尺のロータリーキルンの加熱炉内温度は、一例として800℃から1300℃であり、加熱バーナからの離間距離によって異なり、この異なる温度範囲ごとに加熱炉内の原料の加熱処理が多工程に分かれている。加熱処理は送入側から一般的に予熱処理、乾燥処理、か焼又は焼成処理となる。
ここでロータリーキルンによる操作は、原料の成分・性質や、外気、原料の現状態等の様々な要因によってか焼又は焼成に要する反応速度が異なる。そこでまず送入側回転体ユニット12a及び排出側回転体ユニット12bを同一の回転速度に設定し、原料を送入側回転体ユニット12aの端部12aiの送入口に送入する。原料は、送入側回転体ユニット12aの内壁に沿って持ち上げと滑りを繰返し端部12ao側に移動する。このとき排出側回転体ユニット12aでは加熱炉の末端に形成した加熱バーナからの低温又は中温の燃焼ガスによって原料を予熱処理及び乾燥処理している。
ついで乾燥された原料40は図2に示すように連結部30を介して排出側回転体ユニット12bの端部12biの開口に供給される。このとき送入側回転体ユニット12aの断面径は排出側回転体ユニット12bの断面径よりも小さく、送入側回転体ユニット12aの端部12aoを排出側回転体ユニット12bの端部12biに一部挿入してあるため、原料は、排出側回転体ユニット12bの加熱炉内に送入できる。また送入側回転体ユニット12a及び排出側回転体ユニット12bとはそれぞれ独立に回転可能であり、送入側回転体ユニット12aの外径と排出側回転体ユニット12bの内径との間には僅かな隙間を形成している。連結部30では、シールリングにエアシールを押圧して摺動面を形成し、摺動面を維持しながら回転軸に沿って摺動させているため、この隙間からの原料と乾燥空気の外部流出を防止している。
排出側回転体ユニット12bの送入された乾燥処理後の原料は、送入側回転体ユニット12bの内壁に沿って持ち上げと滑りを繰返し端部12bo側に移動する。このとき排出側回転体ユニット12bでは高温の燃焼ガスによって処理している。そして排出側回転体ユニット12bの端部12boから加熱処理後の製品が排出される。本発明では排出された製品の加熱具合をビデオカメラ39により撮影して制御部38により制御している。すなわち、製品の加熱具合をビデオカメラ39からの映像によって目視で判断して送入側回転体ユニット12aに送入する原料の投入量や、制御部38により送入側回転体ユニット12aの駆動手段19a及び排出側回転体ユニット12bの駆動手段19bの回転速度を制御して加熱時間を調整している。
製品の加熱が充分に進行している場合には、排出側回転体ユニット12bの回転速度を送入側回転体ユニット12aの回転速度よりも速めに設定し、当初設定した予熱・乾燥に要する時間を維持したまま、加熱時間を短縮することができる。また製品の加熱が不十分の場合には、排出側回転体ユニット14bの回転速度を送入側回転体ユニット12aの回転速度よりも遅めに設定し、当初設定した予熱・乾燥に要する時間を維持したまま、加熱時間を長く設定することができる。さらに送入側回転体ユニット12aの回転速度を早くして、予熱・乾燥時間を短くし、排出側回転体ユニット12bの回転速度を遅くして加熱時間を長くすることもできる。
このようなロータリーキルンによれば、加熱炉を加熱処理のエリアごとに複数区分けした回転体と、この回転体毎に回転させる回転駆動手段からなる回転体ユニットを備え、回転体ユニットを同一の回転軸心上に複数形成しているため、製品の加熱具合に応じて、送入側回転体ユニット及び排出側回転体ユニットの回転速度を別個独立に調整することができる。よって原料の極め細かい加熱制御ができる。
なお本実施形態では回転体の回転駆動手段にガースギアとピニオンを用いて説明したが、回転駆動手段はこれに限らず、この他にもギヤレス・ローラ駆動などのフリクションドライブを用いても良い。
また本実施形態では連結部に短冊形状のエアシールを用いて説明したが、シール構造はこれに限らず、この他にもスリーブ接続などを用いてもよい。
本発明は、長尺の加熱炉を備えたロータリーキルンのか焼又は焼成等の分野において有用である。
本発明のロータリーキルンの構成概略を示す図である。 本発明の連結部の断面側面図を示す。 従来のロータリーキルンの説明図である。
符号の説明
10………ロータリーキルン、12………回転体ユニット、14………回転体、16………回転駆動手段、18………ガースギア、20………ピニオン、22………支持部、24………タイヤローラ、26………サポーティングローラ、28………加熱バーナ、30………連結部、32………スライドリング、34………エアシール、36………シーリング支持部、38………制御部、39………ビデオカメラ、40………原料、106………ロータリーキルン、120………タイヤローラ、122………サポーティングローラ、124………ガースギア、126………ピニオン。

Claims (4)

  1. 回転可能な筒状の加熱炉の一端から原料を供給し、前記加熱炉の他端に備えた加熱バーナにより前記原料を前記加熱炉内で回転させながら高温加熱するロータリーキルンであって、
    前記加熱炉を複数区分けした回転体と、前記回転体を軸方向に回転させる回転駆動手段からなる回転体ユニットを備え、
    前記回転体ユニットを同一の回転軸心上に複数形成したことを特徴とするロータリーキルン。
  2. 回転可能な筒状の加熱炉の一端から原料を供給し、前記加熱炉の他端に備えた加熱バーナにより前記原料を前記加熱炉内で回転させながら高温加熱するロータリーキルンであって、
    前記加熱炉を二分割した前記原料の送入側の回転体と、前記送入側の回転体の回転駆動手段からなる送入側回転体ユニットと、
    前記加熱炉を二分割した前記原料の排出側の回転体と、前記排出側の回転体の回転駆動手段からなる排出側回転体ユニットとを備え、
    前記送入側回転体ユニットと前記排出側回転体ユニットを同一の回転軸心上に形成し各回転体ユニットごとに回転速度を可変としたことを特徴とするロータリーキルン。
  3. 前記排出側回転体ユニットの断面径は、前記送入側回転体ユニットの断面径よりも大きく形成し、前記送入側の回転体の排出口を前記排出側の回転体の送入口に挿入してあることを特徴とする請求項2記載のロータリーキルン。
  4. 前記送入側回転体ユニット及び前記排出側回転体ユニットは、前記回転体の両端に回転軸方向に回転自在な二支点の支持部を備えたことを特徴とする請求項2または3に記載のロータリーキルン。
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