JP2005344242A - ポリエステル繊維とポリアミド繊維との混用染色品 - Google Patents

ポリエステル繊維とポリアミド繊維との混用染色品 Download PDF

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Abstract

【課題】 ポリエチレンテレフタレートを改質し、該改質ポリエチレンテレフタレートとポリアミド繊維とを混用することにより、ソフトでしなやかな風合を有し、同色性、染色堅牢度に優れた素材を提供する。
【解決手段】 ポリエチレンテレフタレートに分子量300〜2000のポリエチレングリコールを3〜8重量%共重合したポリエステルで、90重量%以上がエチレンテレフタレート繰り返し単位からなるポリエチレンテレフタレートからなり、単糸の断面形状がW字状で、以下の条件(1)を満足するポリエステル繊維であって、測定周波数110Hzにおける力学的損失正接(tanδ)が最大を示す温度(Tmax)が(2)で示される範囲にある易染性ポリエステル繊維とポリアミド繊維とからなることを特徴とする易染性ポリエステル繊維とポリアミド繊維との混用染色品。
(1) 2.0≦扁平度≦4.0
(2) 85℃≦(Tmax)≦105℃
【選択図】 なし

Description

本発明はポリエステル繊維とポリアミド繊維との混用染色品に関するものである。さらに詳しくは、特定の易染性ポリエステル繊維を混用することによりポリアミド繊維を痛めずに本来の風合、物性を最大限に発揮し、且つポリエステル繊維の機能性を兼備したポリエステル繊維とポリアミド繊維との混用布帛の染色製品に関するものである。
ポリアミド繊維からなる布帛は、常圧染色ができ、染色性がよく、原糸強度が高いなど優れた物性を持っている反面、黄変しやすい、熱セット性、寸法安定性が欠如しているなどの欠点がある。このため、ポリアミド繊維に欠けているこれらの機能性に優れたポリエステル繊維を混用してこれらの欠点を補うことが行われている。
ポリエステル繊維は熱セット性、寸法安定性に優れ、黄変しにくく、ポリアミド繊維の欠点を補い得るものであるが、ポリエステル繊維の難染性がゆえポリアミド繊維と同条件で染色すると、ポリエステル繊維の発色性は著しく低く、ポリアミド繊維との同色性は得られない。一方、通常のポリエステル繊維の染色温度である130〜135℃の高温で染色してもポリアミド繊維との同色性は得られず、ポリアミド繊維の風合が損なわれるばかりか黄化着色が発生する問題がある。また、常圧下でキャリヤー剤を用いて染色した場合には、ポリアミド繊維との同色性は得られず、染色堅牢度の低下や、繊維中の脱キャリヤー処理がし難い、キャリヤー臭による作業環境の低下等の問題が発生する。
そこでポリアミド繊維の染色温度領域で染色可能な常圧可染型ポリエステル繊維として、ナトリウムスルホイソフタル酸を5モル%以上共重合したカチオン染料可染型ポリエステル繊維の製造法が特許文献1、2に開示されている。しかしながら、染色性は高められるものの原糸強度が低く、伸縮回復性が乏しく、ソフトでしなやかな風合は得られず、耐薬品性が低く、カチオン染料の耐光堅牢度が乏しく、カチオン染料の染色機への汚染が大きい等の問題がある。
また、ポリエチレングリコールの共重合による易染性ポリエステル繊維とポリアミド繊維とからなる染色布帛が特許文献3に開示されている。しかしながら染色性は良好なものの原糸での沸水収縮率が高く、原糸使いにおいてはソフトでしなやかな風合が得られない、原糸が黄変しやすく淡色系においては鮮明性が得られない等の問題がある。
さらに、5000〜8000m/分の高速紡糸により繊維内部構造をかえた易染性ポリエステル繊維の製造法が特許文献4、5に開示されている。これらの高速紡糸によるポリエステル繊維は従来のポリエステル繊維に比べ易染性になっているものの完全な常圧可染とはいい難く、濃色に染色するには、110〜120℃の染色温度が必要であり、ポリアミド繊維との同色性は劣り、しかもソフトでしなやかな風合は得られない等の問題がある。
従って、現状ではポリエステル繊維の発色性とポリアミド繊維の発色性、混用染色品の風合との兼ね合いから妥協点を見出した染色条件が採用されているが、しかるに分散染料で染色した場合、ポリアミド繊維に分散染料が過度に染まり、その染着性がコントロールできないことから染色時の色ブレが大きく、ポリエステル繊維との同色性が悪い問題がある。特に濃色に染色された混用布帛はポリアミド繊維への分散染料の染着が大きいことから染色堅牢度が低下するという問題やポリエステル繊維の発色性が低く、イラツキとよばれる欠点があり、品質の悪い染色製品しか得られていないのが実状である。
特公昭61−017939号公報 特開昭61−034022号公報 特開平04−041738号公報 特公平01−015610号公報 特開昭59−059911号公報
本発明は、改質されたポリエステル繊維とポリアミド繊維を混用することにより、ポリエステル繊維の発色性が高く、同色性が良好で染色堅牢度性能の高いソフトでしなやかな風合を有するポリエステル繊維とポリアミド繊維との混用染色製品を提供することを目的とする。
本発明者は、ポリアミド繊維に混用するポリエステル繊維について鋭意研究を行った結果、ポリエチレンテレフタレートに分子量300〜2000のポリエチレングリコールを3〜8重量%共重合したポリエステルを5000m/分以上の巻き取り速度で紡糸したポリエステル繊維をポリアミド繊維と混用した布帛が上記課題を解決することを見出し、更に検討した結果、本発明をなすに至った。
すなわち本発明は、ポリエチレンテレフタレートに分子量300〜2000のポリエチレングリコールを3〜8重量%共重合したポリエステルで、90重量%以上がエチレンテレフタレート繰り返し単位からなるポリエチレンテレフタレートからなり、単糸の断面形状がW字状で、下記の条件(1)を満足するポリエステル繊維であって、測定周波数110Hzにおける力学的損失正接(tanδ)が最大を示す温度(Tmax)が、下記(2)で示される範囲にあることを特徴とする易染性ポリエステル繊維とポリアミド繊維との混用染色品である。
(1) 2.0≦扁平度≦4.0
(2) 85℃≦(Tmax)≦105℃
ポリエチレンテレフタレートに分子量300〜2000のポリエチレングリコールを3〜8重量%共重合した単糸の断面形状がW字状のポリエステルを5000m/分以上の巻き取り速度で紡糸したポリエステル繊維であって、偏平度が、2.0≦扁平度≦4.0で、測定周波数110Hzにおける力学的損失正接(tanδ)が最大を示す温度(Tmax)が、85℃≦(Tmax)≦105℃である易染性ポリエステル繊維とポリアミド繊維を混用することでポリエステル繊維の発色性が高く、同色性が良好で染色堅牢度が高くソフトでしなやかな風合を有する混用染色製品が得られる効果を有する。
本発明について、以下に詳細に説明する。
本発明における共重合成分として用いるポリエチレングリコールは、繊維の非晶構造に適当な乱れを起こすし、染色性の向上に寄与するものである。
ポリエチレングリコールの分子量が300未満の場合には、本発明でいう動的粘弾性測定から求められる力学的損失正接(tanδ)のピーク温度(以下、Tmaxと称す)が106℃以上となりポリアミド繊維と混用した時の風合としてソフトでしなやかさが得られない。またポリエステル繊維の発色性が低く、ポリアミド繊維との同色性は得られない。しかもポリエチレンテレフタレートは真空下での重合のため分子量が300未満のポリエチレングリコールの場合、一部がプロダクト系外に飛散してしまい、ポリマー組成が不安定となる。一方、ポリエチレングリコールの分子量が2000を越えた場合、ブロック共重合にともない超高分子成分が増大し、紡糸性が不良となるばかりか、染色堅牢度、耐光性の低下が顕在化するため好ましくない。
また、ポリエチレングリコールの共重合量が3重量%未満の場合には、Tmaxが106℃以上となりポリアミド繊維と混用した場合の風合としてソフトでしなやかさが得られない。またポリエステル繊維の発色性が低く、ポリアミド繊維との同色性が不良となる。一方、8重量%を越える場合には、Tmaxが85℃未満となりポリアミド繊維と混用した場合の風合としてのソフトでしなやかさは得られない。また、染色性は十分であるもののポリマー色調が悪化し、5000m/分以上の巻き取り速度においては、糸切れや毛羽の発生が多くなり、紡糸安定が不良となり生産が困難となる。また製糸されたフィラメントは耐光堅牢度、染色堅牢度が悪化し好ましくない。
本発明の易染性ポリエステル繊維は、その単糸の断面形状がW字状で、扁平度が2.0以上4.0以下が必要である。これはこの範囲で本発明が求めるソフトでしやなかな風合に優れた布帛が得られるからである。また常圧染色における発色性が向上するからである。扁平度が2.0未満の場合、比表面積が丸断面糸と近似するためソフトな風合は得られず、常圧染色における染料の吸尽速度が遅く発色性も不十分である。一方、扁平度が4.0を超えると単なる扁平糸に近くなり布帛の風合はペーパーライクとなり、イラツキ感のある光沢となり好ましくない。扁平度の好ましい範囲は2.5〜3.5の範囲である。
本発明では、W字状断面の各凹部の開口角度が100〜150度であることが好ましい。
開口角度は、断面形状の鋭利さを意味し、角度が小さい程断面が鋭利であり、角度が大きい程鈍調である。開口角度が100度未満では、延伸仮撚の際にW断面の変形が大きく、W断面形状の持つ溝の多くが潰れてしまい、ソフトな風合は得られず、発色性も不十分である。一方、開口角度が150度を越えても風合、発色性が不十分である。
ポリエステル繊維を高度に異型化し風合、染色性改善方法として単糸断面をY型断面、十字型断面、H型断面、星型断面等にするものがあるが、高度に異型化することで染色性は改善されるが、布帛の風合が硬いという致命的欠点が顕在化するのである。また、凹部を3個所以上持たせる方法もあるが、W断面同様に風合、染色性も改善されるが、凹部の増加により紡糸ノズルの吐出線速度が低下し、紡糸安定性が低下するので好ましくない。本発明では、単糸断面形状をW字断面とすることによりソフトでしなやかな風合が得られ、発色性が向上し、紡糸安定性に優れたポリエステル繊維が得られることを見出した。
本発明の易染性ポリエステル繊維は、動的粘弾性測定から求められる損失正接のピーク温度(Tmax)が85〜105℃であることが必要である。これは、この範囲内で本発明が求めるソフトでしなやかな風合が確保できるばかりか、染色性が高まり、同色性、染色堅牢度が良好となる。またTmaxは、非晶部の分子の移動性に対応するものであり、この値が小さくなるほど染料が非晶部に入りやすくなり染色性が高まる。Tmaxが85℃未満では原糸での力学物性、耐熱性の低下の問題があり、一方、Tmaxが105℃を越えると染色性が低下し、より高い温度での染色が必要となるのでポリアミド繊維の風合を損なう問題が発生する。Tmaxの特に好ましい範囲は90〜100℃である。
また、Tmaxほど重要な条件ではないが、Tmaxにおける損失正接の値(tanδmax)は0.13〜0.22の範囲であることが好ましい。損失正接の値は非晶量に対応しており、この範囲から外れると本発明で得られる風合の悪化や染色性、染色堅牢度が悪化するばかりか色の再現性が悪くなる惧れがある。
次に本発明の易染性ポリエステル繊維の製造法について述べる。
本発明でいうポリエステル繊維とは構成単位の少なくとも90%以上がエチレンテレフタレートであり、前記のポリエチレングリコール成分以外にも5モル%以下の他の成分を共重合していてもよい。例えば、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメリット酸、ホウ酸等の鎖分岐剤を小割合重合したものであってもよい。
また、前記共重合成分の他に通常のエステル交換触媒、重合触媒、リン化合物、二酸化チタン等の艶消し剤、着色防止剤、酸化分解防止剤、消泡剤、ケイ光増白剤、顔料などを必要に応じて含有させてもよい。
本発明の易染性ポリエステル繊維を構成するポリマーの重合方法は、公知の方法を採用することができる。すなわち、ポリエチレングリコールはテレフタル酸、エチレングリコール等と反応させてもよく、あるいはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールをエステル交換反応を行った後に反応させてもよく、ポリエステルの重合反応が完了する任意の段階で添加してもよい。また、現在工業生産が行われているバッチ重合法、連続重合法のいずれも適用できる。
本発明の易染性ポリエステル繊維は、5000m/分以上の巻き取り速度で紡糸する高速紡糸法によってのみ得ることができる。5000m/分以下の巻き取り速度で得られた糸では製織製編工程において伸張が起こり、染斑や布帛の品質低下を頻発するため実用上の障害となる。一方、当該共重合ポリエステルを通常法や直延法を用いて繊維化しても動的粘弾性測定から求められる損失正接のピーク温度(Tmax)が85〜105℃の範囲外となり、ポリアミド繊維と混用した時の風合としてソフトでしなやかさは得られない。また染色バッチごとの色の再現性も不良となる。これは高速紡糸で得た繊維の非晶部分の配向が通常法や直延法で得た繊維のそれよりもはるかに小さいことに起因する。特に、本発明で用いるポリマーは非晶部分に適度に分子鎖の長いポリエチレングリコールを有するので、非晶部の配向が一層低下し、染色性が向上するばかりかソフトでしなやかな風合がいっそう助長され、しかも力学物性に優れた画期的な繊維となる。
本発明においてソフトでしなやかな風合を付与するため単糸形状をW断面とし、高速紡糸法において製糸した場合、糸切れ、毛羽が多発することが明らかとなった。この事態を回避するため発明者らは鋭意研究を重ねた結果、図1および図2に示す通り、紡口ランド部形状を楕円形とすることで、単糸断面形状がW字状であっても紡糸時の断糸、ケバ等欠点の少ない高品位のポリエステル繊維が得られることを見出した。糸切れ、毛羽が多発する原因は定かではないが、単糸形状がW断面で紡口ランド部形状が真円の場合、ランド部にて異常滞留が生じ、ポリマーの熱劣化による粘度低下物がフィラメントに混入し、糸切れ、毛羽が多発したものと考えられる。特に5000m/分以上の高速紡糸の場合、ポリマーの粘度変動や触媒、添加剤の凝集等の影響を受けやすいため、ポリマー重合段階および製糸工程において細心の注意をはらう必要がある。特に本発明の場合、易染性を付与するためにポリエチレングリコールを共重合しており、耐熱性においては通常ポリエチレンテレフタレートに比べ劣るため、重合工程および紡糸工程においては異常滞留を極力防止する必要がある。
紡口ランド部の楕円形状は、図2に示す如く、楕円に外接する長方形の長辺と短辺の比が1.2〜3.5の範囲にあることが必要となる。長辺と短辺の比が1.2未満あるいは3.5を超える場合は、本発明の狙いとする紡糸時の断糸、ケバ等欠点の少ない高品位なポリエステル繊維は得られない。原因は定かではないが、長辺と短辺の比が1.2未満あるいは3.5を越えた場合、紡口ノズル形状とランド部形状とが不均衡となりランド部にポリマー長期滞留箇所が生じ、長期滞留によるポリマー粘度低下物がフィラメントに混入するため断糸や毛羽が生ずるものと推察される。
本発明の易染性ポリエステル繊維は、例えば図3に示す紡糸装置を用いて製造することができる。本発明に用いられる給糸用ノズルからなる収束ガイド、巻取装置、およびその他の溶融紡糸に必要な装置は、公知のものが使用できる。また、本発明に用いる仕上油剤は、エマルジョンタイプ、ストレートタイプの何れでもよく、その成分は既知のものでよい。
本発明の易染性ポリエステル繊維は、その単糸デシテックスを特に限定するものではないが0.1〜5デシテックス、より好ましくは0.5〜3デシテックス、また特に限定はしないがトータルデシテックスが10〜340デシテックスでの繊維が好ましく適用される。また繊維の形態は、長繊維でも短繊維でもよく、長さ方向に均一なものや太細のあるものでもよい。そして、繊維が加工される糸条の形態としては、リング紡績糸、オープンエンド紡績糸、エアジェット精紡糸等の紡績糸、単糸デシテックスが0.1〜5デシテックス程度のマルチフィラメント原糸(極細糸を含む)、甘撚糸乃至は強撚糸、仮撚加工糸(POYの延伸仮撚糸を含む)、空気噴射加工糸、押し込み加工糸、ニットデニット加工糸等が挙げられる。
なお本発明でいう混用染色品は、本発明の目的を損なわない範囲内でスパンデックス、綿、キュプラ、ビスコースレーヨン繊維、タンパク繊維等他の繊維を混紡(サイロスパンやサイロフィル等)、交絡混繊(高収縮糸との異収縮混繊糸等)、交撚、複合仮撚(伸度差仮撚等)、2フィード空気噴射加工等の混用の手段によるものであることができる。
本発明において、混用されるポリアミド繊維は、ナイロン−4、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−7、ナイロン−12、および1,7−ヘプタンジカルボン酸、デカメチレンジカルボン酸のごときジカルボン酸とビス(p−アミノシクロヘキシル)メタンから得られるポリアミド類、前記ポリアミド類の共重合ポリアミド類からなる群から選ぶことができる。中でも特にナイロン−6とナイロン−66が好ましい。また重縮合方法も特に限定されるものではなく、通常公知のポリアミドの重縮合方法、例えばナイロン−6などでよく採用される常圧重合法、またはナイロン−66などで採用される加圧重合法などが回分式、連続式を問わず採用することができる。
本発明の混用染色品における易染性ポリエステル繊維とポリアミド繊維の割合は、易染性ポリエステル繊維が概ね65重量%以下である。混用の割合は混用品の形態あるいは用途に応じて選択される。残りの混用成分であるポリアミド繊維は、その他にスパンデックス、綿、麻、キュプラ、ビスコースレーヨン、アセテート、タンパク繊維等が混用されることもあり得る。
本発明の易染性ポリエステル繊維とポリアミド繊維との複合手段は、糸段階で複合するものとして、混紡(混綿、フリース混紡、スライバー混紡、コアヤーン、サイロスパン、サイロフィル、ホロースピンドル等)、交絡混繊、交撚、意匠撚糸、カバリング(シングル、ダブル)、複合仮撚(同時仮撚、先撚仮撚)、伸度差仮撚、位相差、仮撚加工後に後混繊、2フィード(同時フィードやフィード差)空気噴射加工等の手段があり、機上で複合する手段としては、一般的な交編機があり、例えば交編では、両者を引き揃えて給糸したり、二重編地(例えばダブル丸編機、ダブル横編機、ダブルラッセル経編機)において表面及び又は裏面に各々給糸又は引き揃えて給糸する方法がある。
交編では一方が経糸に他方を緯糸に用いる、経糸及び又は緯糸において両者を1〜3本交互に整経や緯入れにより配置する、さらには起毛織物やパイル織物において一方が地組織を構成し、他方が起毛部、パイル部を構成したり混用して地組織、起毛部等を構成する。二重織物において表面及び又は裏面を各々構成、又は混用して構成する等がある。またこれら各種の糸段階での複合と機上での複合を組み合わせてもよい。特に、芯部に易染性ポリエステル繊維を、鞘部にポリアミド繊維を配置するように複合した鞘芯複合糸や交撚糸は、ポリアミド繊維の風合を保持しつつ、寸法安定性、ストレッチ性、防シワ性などの機能性をも付与でき好ましい。
次に、本発明の易染性ポリエステル繊維とポリアミド繊維との混用品の染色にあたって、易染性ポリエステル繊維を分散染料で染色する場合、通常ポリエステル繊維が分散染料にて染色されている染色条件であればいずれでも適用でき、染色助剤の種類とその使用濃度、染色pH、染色浴比、染色時間等は被染色品の種類、用いられる処理装置、染色法を勘案して適宜設定すればよい。分散染料としては、ベンゼンアゾ系(モノアゾ、ジスアゾ、ナフタレンアゾ系)や複素環アゾ系(チアゾールアゾ、ベンゾチアゾールアゾ、キノリンアゾ、ピリドンアゾ、イミダゾールアゾ、チオフェンアゾ等)に代表されるアゾ系分散染料の使用が易染性ポリエステル繊維の常圧染色における発色性を高め、同色性、染色堅牢度を高める上で好ましい。また、特に染色濃度が低い場合には、拡散指数3.0以上の分散染料を用いると染色バッチごとの色のバラツキが少なくなるので好ましい。またポリアミド繊維の染色は、酸性、含金、反応染料等にて通常ポリアミド繊維が染色されている条件であればいずれでも適用でき、染色法は分散染料との二浴染色法、一浴二段染色法、一浴染色法等適宜実施すればよい。特に濃色に染色する場合には、スルホン基含有含金染料の使用が一浴染色性、発色性、同色性、堅牢度性能面で好ましい。
染色する際の染色温度は100℃以下が好ましく、染色操作は、ウインス、ジッガー、ビーム染色機、液流染色機等の装置を用い、バッチ方式、連続方式のいずれによっても実施することができる。なお、浸染以外にパディング染色法、プリント法であっても実施することができる。
得られた混用染色品は、易染性ポリエステル繊維への分散染料の染着率を高め、染料の無駄を低減して発色性が高く、ポリアミド繊維との同色性が良好で見栄えのよい混用品の染色物が得られる。また染色バッチごとの色のバラツキを抑え染色機の操業率を向上させる。
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、本発明で用いられる特性値の測定法を以下に示す。
(1)固有粘度[η](dl/g)
固有粘度[η](dl/g)は、次式の定義に基づいて求められる値である。
[η]=lim(ηr−1)/C
C→0
定義中のηrは純度98%以上のo−クロロフェノール溶媒で溶解したポリマーの希釈溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶媒の粘度で除した値であり、相対粘度と定義されているものである。Cはg/100mlで表されるポリマー濃度である。
(2)強度・伸度
オリエンテック社製引張試験機を用い、糸長20cm、引張速20cm/分の条件で測定する。
(3)扁平度
扁平度は、次式にて繊維の単糸横断面の外接長方形の長辺Aと短辺Bの比にて求めた。
扁平度=長辺A/短辺B
(4)損失正接
オリエンテック社製レオバイブロンを用い、試料重量約0.1mg、測定周波数110Hz、昇温速度5℃/分、乾燥空気中にて測定を行い、各温度における力学的損失正接(tanδ)、および動的粘弾性(E’)を測定する。その結果から、tanδ−温度曲線が得られ、この曲線上でtanδが最大値を示す温度(℃)とそのときのtanδの極大値tanδmaxを求める。
(5)吸尽率、発色性(K/S)測定:染色性の評価
試料は、糸を一口編地としスコアロール400を2g/リットル含む温水を用いて、70℃、20分間精錬処理し、タンブラー乾燥機で乾燥させ、次いで、ピンテンターを用いて、180℃、30秒間の熱セットを行ったものを用いた。
染料は、スミカロン、ブルー、S−3RF(住化ケムテックス(株)製、商品名)を布帛に対して5重量%使用し、さらに分散剤として、ニッカサンソルト7000(日華化学(株)製、商品名)0.5g/リットル、酢酸0.25ml/リットル、酢酸ナトリウム1.0g/リットルを添加してpHを5に調整して染液とした。浴比25倍の染浴中で95℃にて60分の染色後、吸尽率を求めた。吸尽率は、染料原液の吸光度をA、染色後の染液の吸光度aを分光光度計から求め、以下の式に代入して求めた。吸光度は、当該染料の最大吸収波長である580nmでの値を採用した。
吸尽率=(A−a)/A×100(%)
発色性は、K/Sを用いて評価した。この値は、染色後のサンプル布帛の分光反射率Rを測定し、以下に示すKubelka−Munkの式から求めた。この値が大きいほど発色性が高い(表面濃度が高い)こと、すなはち、良く発色されていることを示す。当該染料の最大吸収波長である580nmでの値を採用した。
K/S=(1−R)2/2R
ちなみにレギュラーポリエステル繊維(56デシテックス/24f)を上記条件で130℃で60分染色後の吸尽率は94%で、K/S値は21であった。
(6)紡糸性の評価
1錘で24時間紡糸した場合の糸切れ回数で以下のように評価した。
糸切れ回数が1回以下を○、1〜3回までを△、3回を越える場合を×とした。
(7)風合い評価
検査者(30人)の触感によって布帛を次の基準で相対評価した。
◎ :ソフト、しなやか感が非常によい
○ :ソフト、しなやか感はよい
△ :ソフト、しなやか感はやや劣る
× :ソフト、しなやか感がない
(8)同色性
易染性ポリエステル繊維とポリアミド繊維との明度差が少なく、色相差、彩度差、イラツキが少ないものを良好とし、5級(良好)〜1級(劣る)の5段階に判定した。
(9)洗濯堅牢度
混用染色品について、JIS−L−0844:A−2法に準じて評価した。但し、洗剤はアタック(花王(株)製:商品名)1g/リットルで用いた。試験片の変褪色と添付白布片の汚染の程度をそれぞれ変褪色用グレースケール、汚染用グレースケールと比較して判定した。
(10)汗アルカリ堅牢度
混用染色品について、JIS−L−0844に準じてアルカリ性人工汗液を用いて評価した。試験片の変褪色と添付白布片の汚染の程度をそれぞれ変褪色用グレースケール、汚染用グレースケールと比較して判定した。
[実施例1、比較例1]
テレフタル酸ジメチル(以下、「DMT」と称す)100部、エチレングリコール76部、エステル交換触媒として、酢酸マンガン4水和物塩0.04部を仕込み、150℃から240℃に加熱して3時間を要してメタノールを留出しつつエステル交換反応を行った。次いで、安定剤としてトリメチルフォスフェート0.04部、重合触媒として三酸化アンチモン0.05部、艶消し剤として二酸化チタン0.4部を添加した後、表1記載の分子量及び添加量にてポリエチレングリコールと、熱安定剤としてイルガノックス245(チバガイギー社製)をポリエチレングリコールに対して3%となるように加え混合添加する。その後、30分かけて常圧にて重縮合反応を行い、重合槽に移送した。移送完了後、徐々に減圧して、真空度0.5Torr、275℃で重縮合反応を行い、固有粘度[η]=0.73の改質ポリエステルを得た。これらポリマーを用いて、紡口ランド部形状が楕円形(長辺/短辺の比が2.0)でW型に穿孔された、紡糸孔30個有する紡口を使用して、紡糸温度280℃、巻取速度6000m/分で高速紡糸を行い、単糸断面形状がW断面を有した、56デシテックス/30フィラメントの繊維を得た。得られた易染性ポリエステル繊維のTmax、偏平率、強度、伸度、発色性、紡糸性評価結果を表1に記載した。
この糸条とナイロン−6繊維;56デシテックス/24フィラメント糸を交編し、表面ポリエステル、裏面ポリアミドの両面リバーシブルの交編編物を常法により編成した。ポリエステル繊維の混用率は50%とした。
得られた編地を80℃にて精練リラックスを行い、180℃でプレセットを行い、下記の染色条件で各々染色した。
染色条件
染料:ダイアニックス イエロー AC−E 0.363%omf
(拡散指数3.9)
ダイアニックス レッド AC−E 0.264%omf
(拡散指数4.8)
ダイアニックス ブルー AC−E 0.077%omf
(拡散指数5.2)
(染料は全てダイスター社製)
分散均染剤:ニッカサンソルト RM−340 (日華化学(株)製)
0.5g/リットル
酢酸: 0.5cc/リットル
酢酸ナトリウム: 1g/リットル
SR−1801Mコンク(高松油脂(株)製) 4%omf
浴 比 : 1:20
染色温度、時間: 95℃、30分
染色完了後、非イオン洗浄剤0.5g/リットルの浴で60℃、15分のソーピング、水洗し、150℃で30秒間の乾熱セットで仕上げた。仕上げた染色物の風合、洗濯堅牢度、汗アルカリ堅牢度、同色性の評価などの結果を表1に示す。
表1の結果より、本発明の実施例1で得られた混用染色品は、いずれも比較例1に比べ、ソフトでしなやかな風合を有し、イラツキがなく同色性が良好であり、かつ堅牢度性能も良好な商品価値の高い混用染色品が得られることがわかる。
[実施例2、比較例2]
実施例1で製造された56デシテックス/30フィラメントの各々のポリエステル原糸と56デシテックス/24フィラメントのナイロン−6原糸をインターレース加工(空気圧0.3MPa)により70個/mの交絡を付与した。次いで、ダブルツイスターによりS方向に1200T/m撚数(撚係数14199)で交撚糸(A)、同様にZ方向の交撚糸(B)を作製し、真空セッターにて60℃で40分の撚止めセットを行った。
得られた交撚糸(A)、(B)を交互に給糸しながら28ゲージ丸編スムースを作製した。
得られた編地を実施例1と同様の精練リラックス、プレセットを適用した後、下記の条件にて染色した。
染色条件
染料:ダイアニックス ブラック S−R(200) 5、5%omf
(ダイスター社製)
アイゼン オパール ブラック new 3%omf
(保土谷化学工業(株)製、モノスルフォネート型含金染料)
分散均染剤:ニッカサンソルト RM−340 (日華化学(株)製)
0.5g/リットル
酢酸: 0.5cc/リットル
酢酸ナトリウム: 1g/リットル
SR−1801Mコンク(高松油脂(株)製): 6%omf
浴比: 1:20
染色温度、時間: 98℃、50分
染色完了後、染色機から染色残液を排出し、染色機に水を入れ、温度を70℃まで昇温し、これに下記薬剤を添加して下記の濃度の還元洗浄浴を調整し、70℃で10分間の還元洗浄を実施した。
二酸化チオ尿素 1g/リットル
苛性ソーダー 1g/リットル
ビスノールUP−10(一方社油脂工業(株)製) 0.5g/リットル この還元洗浄後、残液を排出し、温湯及び水により染色物をすすぎ洗いした後、150℃で30秒間の乾熱セットで仕上げた。
仕上げた染色物の風合、同色性、洗濯堅牢度、汗アルカリ堅牢度の評価などの結果を表2に示す。
[比較例3]
さらに比較として、ナイロン−6繊維;56デシテックス/24フィラメントを2本合糸し、実施例2と同様に28ゲージスムース編地を作製し、常法により精練、含金染料にて黒染色、固着処理を行った後、150℃で30秒間の乾熱セットで仕上げた。仕上げた染色物の風合、洗濯堅牢度、汗アルカリ堅牢度の評価結果を表2に示す。
表2の結果より、本発明の実施例2による混用染色品は、いずれも比較例2比べ、ソフトでしなやかな風合を有し、かつ同色性、洗濯堅牢度、汗アルカリ堅牢度も良好であることがわかる。またポリアミド繊維とほぼ同じ風合が得られている。
Figure 2005344242
Figure 2005344242
本発明の混用染色品は、特にインナー分野で好適に利用できる。
本発明で使用する易染性ポリエステル繊維の紡糸における紡口の断面概要図の例を示す。 本発明で使用する易染性ポリエステル繊維の紡糸における紡口のランド部平面概要図の例を示す。 本発明で使用する易染性ポリエステル繊維の紡糸生産工程例を示す。

Claims (1)

  1. ポリエチレンテレフタレートに分子量300〜2000のポリエチレングリコールを3〜8重量%共重合したポリエステルで、90重量%以上がエチレンテレフタレート繰り返し単位からなるポリエチレンテレフタレートからなり、単糸の断面形状がW字状で、下記の条件(1)を満足するポリエステル繊維であって、測定周波数110Hzにおける力学的損失正接(tanδ)が最大を示す温度(Tmax)が下記(2)で示される範囲にある易染性ポリエステル繊維とポリアミド繊維とからなることを特徴とする易染性ポリエステル繊維とポリアミド繊維との混用染色品。
    (1) 2.0≦扁平度≦4.0
    (2) 85℃≦(Tmax)≦105℃
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