JP2005343944A - エチレングリコールの回収方法およびそれを用いたポリエステルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリブチレンテレフタレート製造装置をエチレングリコールを用いて洗浄後、この洗浄液からエチレングリコールを高純度で回収する方法、および耐熱性に優れたポリエステルの製造方法を提供する。
【解決手段】ポリブチレンテレフタレート類の製造装置を洗浄するに際し、エチレングリコールを用いて洗浄後、該洗浄に用いたエチレングリコールに酸成分を加えて加熱処理し、エチレングリコールを蒸留回収することを特徴とするエチレングリコールの回収方法。
【選択図】なし
【解決手段】ポリブチレンテレフタレート類の製造装置を洗浄するに際し、エチレングリコールを用いて洗浄後、該洗浄に用いたエチレングリコールに酸成分を加えて加熱処理し、エチレングリコールを蒸留回収することを特徴とするエチレングリコールの回収方法。
【選択図】なし
Description
本発明はポリエステルの製造装置の洗浄に用いたエチレングリコールの回収方法、およびポリエステルの製造方法に関するものである。
ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート樹脂等の結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂は、機械的性質、電気的性質、耐熱性、耐溶剤性、その他物理的・化学的特性に優れるため工業的価値が高く、繊維、フィルム、シート、ボトルなどの他、エンジニアリングプラスチックスとしての用途が拡大し、自動車、電気・電子機器等の広汎な分野に使用されている。
しかし、ポリエステル樹脂の原料であるテレフタル酸やイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸等のジカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体並びに他のジアシル化合物等は昇華性を有する。このため、ポリエステル重合後に重合装置の内部および配管各所にこれら昇華物が付着・残存する場合がある。また、重合槽の洗浄が完全でない場合には重合槽内部の内壁や撹拌装置に付着したまま次のロットの重合反応が行われ、次ロットの製造ポリマー中に混合するおそれがある。
このような昇華物やポリマー架橋物等の付着物は製品製造中に重合槽内で高温の熱履歴を受け、最終的に黒色物質となる。この黒色物質が製品中に混在する場合にはポリマーの物理・化学的特性を低下させる可能性があった。
上記問題を解決するため、重合装置内に残存した昇華物やポリマー架橋物を除去する方法が必要であり、従来から提案されている方法として、特許文献1には、グリコール類またはグリコール類と一級または二級アミン類を用いる洗浄方法が、特許文献2にはリン酸と一種類のグリコール溶液とからなる洗浄組成物を用いた洗浄方法が記載されている。
一方、洗浄に用いるグリコールと、洗浄前のポリエステル製造設備に原料として使用しているグリコール成分が異種の場合、洗浄グリコールに原料として使用しているグリコールが混入してしまう。
洗浄に用いるグリコールとしてはエチレングリコールが一般的であるが、ポリブチレンテレフタレート製造装置を洗浄するに際し、エチレングリコールを用いて洗浄すると、ポリブチレンテレフタレートの原料として使用している1,4−ブタンジオールがエチレングリコールに混入してしまう。この1,4−ブタンジオールはエチレングリコールの回収、再使用のために実施される蒸留工程でも完全に除去しにくく、ポリエステルの原料として再使用するとポリマー耐熱性が低下するなど品質に悪影響を与える問題があった。
上記課題を解決する方法として、特許文献3には、加熱処理することにより1,4−ブタンジオールをテトラヒドロフランに変換する方法が記載されている。
しかし、この方法は200℃前後の高温で10時間加熱するため、使用するエネルギーが多くなりコスト的に好ましくない。また、加熱処理前後の1,4−ブタンジオールの量が明記されていないため、1,4−ブタンジオールがどの程度除去できたか不明確であった。
特開平5−295392号公報
特開昭58−141209号公報
特開2001−151934号公報
かかる状況下、エチレングリコールに混入した1,4−ブタンジオールを効率的に除去し、ポリエステルの原料として再使用してもポリマー品質に悪影響を与えないようなエチレングリコールの回収技術の開発が望まれている。
上記課題を解決するために、本発明の以下の構成を有する。
本発明のエチレングリコールの回収方法は、ポリブチレンテレフタレート類の製造装置を洗浄するに際し、エチレングリコールを用いて洗浄後、該洗浄に用いたエチレングリコールに酸成分を加えて加熱処理し、エチレングリコールを蒸留回収するものである。
本発明のポリエステルの製造方法は、前記エチレングリコールの回収方法により回収して得られたエチレングリコールをグリコール成分として用いるものである。
本発明によれば、ポリブチレンテレフタレート製造装置を洗浄するに用いたエチレングリコールに酸成分を加えて1,4−ブタンジオールを除去することで、エチレングリコールを高純度で蒸留回収することができる。
本発明におけるポリブチレンテレフタレートとは、テレフタル酸を酸成分に、1,4−ブタンジオールをグリコール成分に用いた主鎖にエステル結合を有する高分子量の熱可塑性ポリエステルであるが、その他の酸成分としてイソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、セバシン酸、アジピン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸等を、その他のジオール成分としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオールを一部に用いることができる。これらの共重合成分はそれぞれテレフタル酸、1,4−ブタンジオールに対して40モル%以下であることが好ましい。
ポリエステル類の製造装置としては、窒素導入口、減圧口、ポリマー抜き出し口を有する撹拌槽型反応器、濡壁塔型反応器または横型反応器などの製造装置、設備類が挙げられる。
ポリエステル製造装置を、エチレングリコールを用いて洗浄するときは、常圧または製造装置内を窒素等の不活性ガスで0〜4kgf/cm2に加圧し、その圧力でのエチレングリコールの沸点近くの温度で還流下で洗浄することが好ましい。より好ましくはエチレングリコールの沸点で還流下で洗浄する。洗浄時間は2〜10時間が好ましく、4〜6時間がより好ましい。
洗浄後、製造装置内のエチレングリコールを全量抜き出し、蒸留回収装置に投入するまで屋外タンク貯蔵所等に貯蔵しておけばよい。
本発明に用いる洗浄エチレングリコールの蒸留回収装置としては、特に限定されるものではないが、窒素導入口、減圧口を有する撹拌槽型反応器、更にこれら装置の付帯設備として精留塔、環流冷却器を有した装置等の設備が挙げられる。
洗浄エチレングリコールを蒸留回収装置に投入した後、酸成分を加え加熱処理することが必要である。この方法により、エチレングリコールに含まれる1,4−ブタンジオールの分子内環化反応が進行し、1,4−ブタンジオールはテトラヒドロフランと水に変性する。従って酸成分を加えないと本発明の目的が達成できない。
本発明で用いる酸成分としては、不揮発性の酸が好ましい。ここでいう不揮発性とはエチレングリコールの沸点より高いか、あるいは沸点を有しない性質をいう。一方、揮発性の酸を用いると、添加後の加熱処理において揮発してしまい1,4−ブタンジオールの分子内環化反応を十分に進行させることができない上、揮発した酸の蒸気が、蒸留回収装置の腐食を進行させるので好ましくない。本発明に適した好ましい不揮発性酸の具体例としては、リン酸、ホウ酸などの無機酸の他、テレフタル酸、安息香酸、アジピン酸、マレイン酸などの有機酸が挙げられるが、エチレングリコールや水に溶解しやすく安価であるという点からリン酸が好ましい。リン酸としては、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸等が使用できる。また、一般に使用されている純度85%の含水物等も使用することができる。含水物を使用する場合の添加量は、無水物に換算した量となる。
1,4−ブタンジオールとリン酸との配合割合は、混入している1,4−ブタンジオール1重量部に対し、リン酸0.2〜50重量部が好ましく、1〜10重量部であることがより好ましい。リン酸が0.2重量部より少ないと、1,4−ブタンジオールの分子内環化反応を十分に進行させることができない。また、50重量部を越えるとリン酸がエチレングリコールの分子間縮合を促し、ポリエステルの耐熱性低下の原因となるジエチレングリコールが多量に生成されるので好ましくない。
次に、エチレングリコールを回収する方法について述べる。
洗浄に用いたエチレングリコールリン酸混合物を3〜15時間加熱還流する。このときの温度は、50〜200℃が好ましく、120〜190℃であることがより好ましい。200℃を超えると、リン酸がエチレングリコールの分子間縮合を促し、ポリエステルの耐熱性低下の原因となるジエチレングリコールが多量に生成されるので好ましくない。その後、3〜15時間かけてテトラヒドロフランを留去させる。
テトラヒドロフランを留去させた後、蒸留回収装置に残るリン酸を中和することが必要である。エチレングリコール中のリン酸は蒸留により除去しにくい上、エチレングリコール回収の際、装置の腐食の原因ともなる。したがって中和し、リン酸塩とすることで、効率的にエチレングリコールの蒸留回収を行うことができる。中和に使用するアルカリ成分としては水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物や、アミンが挙げられるが、不揮発性であることや、価格の点から水酸化ナトリウムが好ましい。
リン酸で中和した後、洗浄エチレングリコールを3〜15時間加熱蒸留する。加熱蒸留は常圧または減圧下で行う。減圧下で行う方がエチレングリコールの沸点を下げられるので、ジエチレングリコールの生成を抑制することができるので好ましい。100mmHg以下であることがより好ましい。このときの温度は、50〜200℃が好ましく、120〜160℃であることがより好ましい。
蒸留回収したエチレングリコールは、グリコール成分の一部または全量としてポリエステル製造の原料に供される。ここでいうポリエステルとはエチレングリコールをグリコール成分として使用していれば特に制限はないが、具体例としてはポリエチレンテレフタレートおよびその共重合体等が挙げられ、さらに詳細にはテレフタル酸またはそのエステル誘導体(例えば低級アルキルエステル、フェニルエステルなど)から導かれる単位と、エチレングリコールまたはそのエステル誘導体(例えばモノカルボン酸エステルエチレンオキサイドなど)から導かれる単位とから形成されている。
このポリエチレンテレフタレートは、必要に応じてテレフタル酸以外のジカルボン酸類から導かれる単位および/またはジオール類から導かれる単位を20モル%以下の量で含有していてもよい。
このようなテレフタル酸以外のジカルボン酸として具体的には、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸などが挙げられる。これらのジカルボン酸類から導かれる単位は1種または2種以上含まれていてもよく、エステル誘導体として用いてもよい。
また、エチレングリコール以外のジオール類として具体的には、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの脂肪族類;シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式ジオール類;ビスフェノール類;ハイドロキノンなどの芳香族ジオール類などが挙げられる。これらのジオール酸類から導かれる単位は1種または2種以上含まれていてもよく、エステル誘導体として用いてもよい。
製造されるポリエステルは、必要に応じて、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールメタン、ペンタエリスリトールなどの多官能化合物から導かれる単位が含まれていてもよく、例えば、ジカルボン酸成分100モル%に対して2モル%以下の量で含んでいてもよい。
ポリエステル類の製造装置としては、回分式でも連続式でもよく、特に限定されるものではないが窒素導入口、減圧口、ポリマー抜き出し口を有する撹拌槽型反応器、濡壁塔型反応器または横型反応器などの製造装置、設備類が挙げられる。
以下、本発明の実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は、以下の記載例に限定されるものではない。
なお、特性値の測定方法は、次のとおりである。
(1)エチレングリコール中の1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール濃度
日立製作所製ガスクロマトグラフィー263−50、セライト545、20%PEG20M充填2mステンレスカラムを用いた。カラムを170℃に加熱し、試料エチレングリコール1μlを滴下し、記録紙に描かれたピーク面積から濃度を算出した。
(2)ポリマー耐熱性評価
ペレット15gを試験管に入れ、10mmHgで減圧しながらシリコーンバスで100〜110℃で16時間以上乾燥した。その後、試験管内のN2置換を行い、290℃に加熱し、2時間後に取り出した。加熱前後の溶融粘度、カルボキシ末端量測定値を比較することにより、ポリマー耐熱性を評価した。
(3)溶融粘度
テクノセブン製メルトインデクサーを用いた。ペレット2.0gを温度265℃に設定した電気炉へ挿入し、4分間加熱溶融後、荷重325gのピストンを乗せて電気炉底部のオリフィスから溶融ペレットを押出し、ピストン位置が一定距離押し下げるのにかかる時間を測定することで溶融粘度(g/10min)を求めた。
(4)カルボキシ末端量
ポリエステル2.0gをo−クレゾール/クロロホルム溶媒(2/1)50mlに加熱溶解し、冷却後、クロロホルム30mlを加え、さらに、12%メタノール性塩化リチウム溶液を5ml添加する。得られた溶液をエタノール性水酸化カリウムで電位差滴定を行い、カルボキシ末端量(eq/t)を得た。
(実施例1)
ポリエステル製造装置として、撹拌翼を有するSUS316L製反応缶を用い、グリコール成分として1,4−ブタンジオールを主成分とするポリエステルを製造した。この後製造したポリエステルを製造装置から吐出させ、装置を2500重量部のエチレングリコールで洗浄したところ、洗浄後のエチレングリコール中に含まれる1,4−ブタンジオールは0.6%(15重量部)、ジエチレングリコールは200ppmであった。これに75重量部(1,4−ブタンジオールに対し5重量部)のリン酸を85%含水物として添加して150℃で7時間加熱環流し、さらに6時間テトラヒドロフラン、水を留去させた結果、ジエチレングリコールは250ppmで、1,4−ブタンジオールは10ppmに低下した。これにアルカリを添加して中和し、さらに蒸留回収したエチレングリコールは純度99.6%で、ジエチレングリコールは50ppm、1,4−ブタンジオールは検出限界(5ppm)以下であった。
(1)エチレングリコール中の1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール濃度
日立製作所製ガスクロマトグラフィー263−50、セライト545、20%PEG20M充填2mステンレスカラムを用いた。カラムを170℃に加熱し、試料エチレングリコール1μlを滴下し、記録紙に描かれたピーク面積から濃度を算出した。
(2)ポリマー耐熱性評価
ペレット15gを試験管に入れ、10mmHgで減圧しながらシリコーンバスで100〜110℃で16時間以上乾燥した。その後、試験管内のN2置換を行い、290℃に加熱し、2時間後に取り出した。加熱前後の溶融粘度、カルボキシ末端量測定値を比較することにより、ポリマー耐熱性を評価した。
(3)溶融粘度
テクノセブン製メルトインデクサーを用いた。ペレット2.0gを温度265℃に設定した電気炉へ挿入し、4分間加熱溶融後、荷重325gのピストンを乗せて電気炉底部のオリフィスから溶融ペレットを押出し、ピストン位置が一定距離押し下げるのにかかる時間を測定することで溶融粘度(g/10min)を求めた。
(4)カルボキシ末端量
ポリエステル2.0gをo−クレゾール/クロロホルム溶媒(2/1)50mlに加熱溶解し、冷却後、クロロホルム30mlを加え、さらに、12%メタノール性塩化リチウム溶液を5ml添加する。得られた溶液をエタノール性水酸化カリウムで電位差滴定を行い、カルボキシ末端量(eq/t)を得た。
(実施例1)
ポリエステル製造装置として、撹拌翼を有するSUS316L製反応缶を用い、グリコール成分として1,4−ブタンジオールを主成分とするポリエステルを製造した。この後製造したポリエステルを製造装置から吐出させ、装置を2500重量部のエチレングリコールで洗浄したところ、洗浄後のエチレングリコール中に含まれる1,4−ブタンジオールは0.6%(15重量部)、ジエチレングリコールは200ppmであった。これに75重量部(1,4−ブタンジオールに対し5重量部)のリン酸を85%含水物として添加して150℃で7時間加熱環流し、さらに6時間テトラヒドロフラン、水を留去させた結果、ジエチレングリコールは250ppmで、1,4−ブタンジオールは10ppmに低下した。これにアルカリを添加して中和し、さらに蒸留回収したエチレングリコールは純度99.6%で、ジエチレングリコールは50ppm、1,4−ブタンジオールは検出限界(5ppm)以下であった。
この蒸留回収して得られたエチレングリコール100重量部とテレフタル酸240重量部を反応缶に仕込み、1.9kgf/cm2に加圧下、生成した水を除去しながら200〜250℃で4時間撹拌しながらエステル化反応を行い、その後反応物を重合缶に移液してリン酸0.05重量部および重合触媒0.1重量部を加え、0.1mmHgまで減圧しながら280〜300℃で3時間撹拌しながら重縮合反応を行った。その後、重合缶を3kgf/cm2に加圧後口金を経由してポリマーをストランド状に吐出してペレットにした。得られたポリエチレンテレフタレートの評価結果を表1にまとめた。
(実施例2)
実施例1と同様にエチレングリコールでポリエステル製造装置を洗浄した結果、1,4−ブタンジオール0.8%(20重量部)とジエチレングリコール220ppmを含むエチレングリコール2500重量部を得た。これに、6重量部(1,4−ブタンジオールに対し0.3重量部)の85%リン酸含水物を添加し、実施例1同様の方法で加熱還流し、さらにテトラヒドロフランと水を留去させた。
(実施例2)
実施例1と同様にエチレングリコールでポリエステル製造装置を洗浄した結果、1,4−ブタンジオール0.8%(20重量部)とジエチレングリコール220ppmを含むエチレングリコール2500重量部を得た。これに、6重量部(1,4−ブタンジオールに対し0.3重量部)の85%リン酸含水物を添加し、実施例1同様の方法で加熱還流し、さらにテトラヒドロフランと水を留去させた。
その結果、ジエチレングリコールは240ppmで、1,4−ブタンジオールは500ppmに低下した。これにアルカリを添加して中和し、さらに蒸留回収したエチレングリコールは純度99.7%で、ジエチレングリコールは50ppm、1,4−ブタンジオールは200ppmであった。
この蒸留回収して得られたエチレングリコールを実施例1と同様にペレットにし、同様に評価した。
(実施例3)
実施例1と同様にエチレングリコールでポリエステル製造装置を洗浄した結果、1,4−ブタンジオール0.4%(10重量部)とジエチレングリコール160ppmを含むエチレングリコール2500重量部を得た。これに、200重量部(1,4−ブタンジオールに対し20重量部)の85%リン酸含水物を添加し、実施例1同様の方法で加熱還流し、さらにテトラヒドロフランと水を留去させた。
(実施例3)
実施例1と同様にエチレングリコールでポリエステル製造装置を洗浄した結果、1,4−ブタンジオール0.4%(10重量部)とジエチレングリコール160ppmを含むエチレングリコール2500重量部を得た。これに、200重量部(1,4−ブタンジオールに対し20重量部)の85%リン酸含水物を添加し、実施例1同様の方法で加熱還流し、さらにテトラヒドロフランと水を留去させた。
その結果、ジエチレングリコールは0.15%で、1,4−ブタンジオールは8ppmに低下した。これにアルカリを添加して中和し、さらに蒸留回収したエチレングリコールは純度99.7%で、ジエチレングリコールは300ppm、1,4−ブタンジオールは検出限界以下であった。この蒸留回収して得られたエチレングリコールを実施例1と同様にペレットにし、同様に評価した。
(実施例4)
実施例1と同様にエチレングリコールでポリエステル製造装置を洗浄した結果、1,4−ブタンジオール0.6%(15重量部)とジエチレングリコール220ppmを含むエチレングリコール2500重量部を得た。これに75重量部(1,4−ブタンジオールに対し5重量部)のリン酸を85%含水物として添加して80℃で7時間加熱環流し、さらに6時間テトラヒドロフラン、水を留去させた。
(実施例4)
実施例1と同様にエチレングリコールでポリエステル製造装置を洗浄した結果、1,4−ブタンジオール0.6%(15重量部)とジエチレングリコール220ppmを含むエチレングリコール2500重量部を得た。これに75重量部(1,4−ブタンジオールに対し5重量部)のリン酸を85%含水物として添加して80℃で7時間加熱環流し、さらに6時間テトラヒドロフラン、水を留去させた。
その結果、ジエチレングリコールは230ppmで、1,4−ブタンジオールは0.15%に低下した。これにアルカリを添加して中和し、さらに蒸留回収したエチレングリコールは純度99.7%で、ジエチレングリコールは50ppm、1,4−ブタンジオールは600ppmであった。この蒸留回収して得られたエチレングリコールを実施例1と同様にペレットにし、同様に評価した。
(実施例5)
実施例1と同様にエチレングリコールでポリエステル製造装置を洗浄した結果、1,4−ブタンジオール0.6%(15重量部)とジエチレングリコール220ppmを含むエチレングリコール2500重量部を得た。これに75重量部(1,4−ブタンジオールに対し5重量部)のリン酸を85%含水物として添加して194℃で7時間加熱環流し、さらに6時間テトラヒドロフラン、水を留去させた。
(実施例5)
実施例1と同様にエチレングリコールでポリエステル製造装置を洗浄した結果、1,4−ブタンジオール0.6%(15重量部)とジエチレングリコール220ppmを含むエチレングリコール2500重量部を得た。これに75重量部(1,4−ブタンジオールに対し5重量部)のリン酸を85%含水物として添加して194℃で7時間加熱環流し、さらに6時間テトラヒドロフラン、水を留去させた。
その結果、ジエチレングリコールは0.13%で、1,4−ブタンジオールは0.6ppmに低下した。これにアルカリを添加して中和し、さらに蒸留回収したエチレングリコールは純度99.7%で、ジエチレングリコールは250ppm、1,4−ブタンジオールは検出限界以下であった。この蒸留回収して得られたエチレングリコールを実施例1と同様にペレットにし、同様に評価した。
(比較例1)
実施例1と同様にエチレングリコールでポリエステル製造装置を洗浄した結果、1,4−ブタンジオール0.8%(20重量部)を含むエチレングリコール2500重量部を得た。これに酸成分を加えずに、蒸留回収した結果、エチレングリコールは99.0%、1,4−ブタンジオールは0.35%であった。この蒸留回収して得られたエチレングリコールを実施例1と同様にペレットにし、同様に評価した。
(比較例2)
実施例1と同様にエチレングリコールでポリエステル製造装置を洗浄した結果、1,4−ブタンジオール0.6%(15重量部)とジエチレングリコール220ppmを含むエチレングリコール2500重量部を得た。これに75重量部(1,4−ブタンジオールに対し5重量部)のリン酸を85%含水物として添加して35℃で7時間環流し、さらに6時間テトラヒドロフラン、水を留去させた。
(比較例1)
実施例1と同様にエチレングリコールでポリエステル製造装置を洗浄した結果、1,4−ブタンジオール0.8%(20重量部)を含むエチレングリコール2500重量部を得た。これに酸成分を加えずに、蒸留回収した結果、エチレングリコールは99.0%、1,4−ブタンジオールは0.35%であった。この蒸留回収して得られたエチレングリコールを実施例1と同様にペレットにし、同様に評価した。
(比較例2)
実施例1と同様にエチレングリコールでポリエステル製造装置を洗浄した結果、1,4−ブタンジオール0.6%(15重量部)とジエチレングリコール220ppmを含むエチレングリコール2500重量部を得た。これに75重量部(1,4−ブタンジオールに対し5重量部)のリン酸を85%含水物として添加して35℃で7時間環流し、さらに6時間テトラヒドロフラン、水を留去させた。
その結果、ジエチレングリコールは220ppmで、1,4−ブタンジオールは0.57%であった。これにアルカリを添加して中和し、さらに蒸留回収したエチレングリコールは純度99.7%で、ジエチレングリコールは50ppm、1,4−ブタンジオールは0.25%であった。この蒸留回収して得られたエチレングリコールを実施例1と同様にペレットにし、同様に評価した。
上記の結果から明らかなように、本発明の回収方法によるエチレングリコールを用いて製造したポリエチレンテレフタレート(実施例1〜5)は、比較例1および2に比べて耐熱性に優れていた。
Claims (5)
- ポリブチレンテレフタレート類の製造装置を洗浄するに際し、エチレングリコールを用いて洗浄後、該洗浄に用いたエチレングリコールに酸成分を加えて加熱処理し、エチレングリコールを蒸留回収することを特徴とするエチレングリコールの回収方法。
- 該洗浄に用いたエチレングリコールに酸成分を加えて加熱処理した後、アルカリ成分を加えて中和してからエチレングリコールを蒸留回収することを特徴とする請求項1記載のエチレングリコールの回収方法。
- 該酸成分として不揮発性酸を使用することを特徴とする請求項1または2に記載のエチレングリコールの回収方法。
- 該加熱処理の温度が50℃〜200℃であることを特徴とする請求項3記載のエチレングリコールの回収方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のエチレングリコールの回収方法により回収して得られたエチレングリコールをグリコール成分として用いることを特徴とするポリエステルの製造方法。
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