JP2005342984A - 感熱記録材料用顕色剤及び感熱記録材料 - Google Patents

感熱記録材料用顕色剤及び感熱記録材料 Download PDF

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Abstract

【課題】 ビスフェノールAを原料として用いたものと同等以上に、発色感度、耐水性、耐油性、及び耐光性に優れた感熱記録材料用顕色剤とその製造方法、及び、この感熱記録材料用顕色剤を含有する感熱記録材料とこれを用いた感熱記録材を提供する。
【解決手段】 一般式[1]で示される化合物を含有する感熱記録材料用顕色剤と、この感熱記録材料用顕色剤と、ロイコ染料とを含有する感熱記録材料、ならびに、この感熱記録材料を支持体上に塗布してなる感熱記録材。
【化13】
Figure 2005342984

【選択図】 なし

Description

本発明は、感熱記録材料用顕色剤とその製造方法、及び、この感熱記録材料用顕色剤を含有する感熱記録材料とこれを用いた感熱記録材に関するものである。
感熱記録材は、主にファクシミリ、計測機器、医療機器などに使用され、最近では、POSシステムなどに利用されるバーコードラベル、レジスターのレシートなどへと展開され、使用量が増大している。利用用途が多岐にわたるに従い、耐水性、耐油性、及び耐光性など様々な特性が感熱記録材に要求されている。
感熱記録材は、一般に発色前駆体であるロイコ染料と、酸性化合物である顕色剤とを基本成分とする感熱記録材料を支持体上に塗布して製造される。顕色剤には、古くからフェノール化合物が使用され、ビスフェノ−ルAに代表されるビスフェノール化合物が最も一般的に使用されている(例えば、特許文献1、2参照。)。しかしながら、ビスフェノールAは、生殖機能に弊害を及ぼす環境ホルモン物質としての疑いが最近報告され、代替え化合物の要求が非常に高い。
この問題解決のために、様々なフェノール骨格を有する酸性化合物が検討されているが、耐水性、耐油性、及び耐光性などに優れた、ビスフェノールAに代わる顕色剤が未だ得られていないのが現状である。
特開昭56−015394号公報 特開昭57−151394号公報
本発明は、ビスフェノールAを原料として用いたものと同等以上に、発色感度、耐水性、耐油性、及び耐光性に優れた感熱記録材料用顕色剤とその製造方法、及び、この感熱記録材料用顕色剤を含有する感熱記録材料とこれを用いた感熱記録材を提供するものである。
このような目的は、以下の本発明(1)〜(6)により達成される。
(1) 下記一般式[1]で示される化合物からなることを特徴とする感熱記録材料用顕色剤。
Figure 2005342984
前記一般式[1]中、RはS、O、SO、Sまたは
Figure 2005342984
(上記式[2]において、mは0〜3の整数、R、Rは、それぞれ、水素または、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、置換又は無置換フェニル基、置換又は無置換アラルキル基、アルコキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれるもの、あるいは、RとRが結合してなる環状ペンタメチレン基である。)を表す。
は、水素、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、置換又は無置換フェニル基、置換又は無置換アラルキル基、アルコキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれるものである。nは1〜4の整数を示し、nが2〜4のとき、1分子内に存在するR同士は同じであっても異なっていてもよい。
は、エトキシエチル基、フラニル基、ピラニル基、及び、tert−ブチルカルボニル基から選ばれるものであり、1種類であっても2種類以上であってもよい。
(2) 前記一般式[1]で示される化合物において、Rが水素、メチル基、及び、イソプロピル基から選ばれるものであり、n=1〜3である前記(1)に記載の感熱記録材料用顕色剤。
(3) 前記(1)又は(2)に記載の感熱記録材料用顕色剤を、顕色剤全体に対して50重量%以上含有することを特徴とする感熱記録材料用顕色剤。
(4) 前記(1)ないし(2)のいずれかに記載の感熱記録材料用顕色剤の製造方法であって、
下記一般式[3]で示されるビスフェノール化合物又はビフェニル化合物とエチルビニルエーテル、2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、及び、ジ−tert−ブチルジカルボネイトから選ばれる化合物とを反応させて、上記一般式[1]で示される化合物を合成する工程を有することを特徴とする、感熱記録材料用顕色剤の製造方法。
Figure 2005342984
前記一般式[3]中、RはS、O、SO、Sまたは
Figure 2005342984
(上記式[2]において、mは0〜3の整数、R、Rは、それぞれ、水素または、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、置換又は無置換フェニル基、置換又は無置換アラルキル基、アルコキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれるもの、あるいは、RとRが結合してなる環状ペンタメチレン基である。)を表す。
は水素、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、置換又は無置換フェニル基、置換又は無置換アラルキル基、アルコキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれるものである。nは1〜4の整数を示し、nが2〜4のとき、1分子内に存在するR同士は同じであっても異なっていてもよい。
(5) 前記(1)又は(2)に記載の感熱記録材料用顕色剤と、ロイコ染料とを含有することを特徴とする感熱記録材料。
(6) 前記(5)に記載の感熱記録材料を支持体上に塗布してなることを特徴とする感熱記録材。
本発明は、上記一般式[1]で示される化合物からなることを特徴とする感熱記録材料用顕色剤とその製造方法、及び、この感熱記録材料用顕色剤を含有する感熱記録材料とこれを用いた感熱記録材である。
本発明の感熱記録材料用顕色剤及び感熱記録材料は、環境上の問題が指摘されているビスフェノールAを原料として用いることなく、ビスフェノールAを用いたものと同等以上の発色感度、耐水性、耐油性、及び耐光性を有する感熱記録材を製造することができる。
以下に、本発明の感熱記録材料用顕色剤とその製造方法、及び、この感熱記録材料用顕色剤を含有する感熱記録材料とこれを用いた感熱記録材について説明する。
まず、本発明の感熱記録材料用顕色剤について説明する。
本発明の感熱記録材料用顕色剤(以下、単に「顕色剤」ということがある)は、下記一般式[1]で示される化合物からなることを特徴とする。
Figure 2005342984
上記一般式[1]中、RはS、O、SO、Sまたは
Figure 2005342984
(上記式[2]において、mは0〜3の整数、R、Rは、それぞれ、水素または、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、置換又は無置換フェニル基、置換又は無置換アラルキル基、アルコキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれるもの、あるいは、RとRが結合してなる環状ペンタメチレン基である。)を表す。
は、水素、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、置換又は無置換フェニル基、置換又は無置換アラルキル基、アルコキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれるものである。nは1〜4の整数を示し、nが2〜4のとき、1分子内に存在するR同士は同じであっても異なっていてもよい。
において、炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。置換又は無置換フェニル基としては、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、トリメチルフェニル基などのアリール基が挙げられる。置換又は無置換アラルキル基としては、例えば、ベンジル基などが挙げられる。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子である。
上記一般式[1]で示される化合物において、Rが、水素、水酸基、及び、メチル基から選ばれるものであることが好ましい。これにより、高酸性度とすることができるので、発色性を良好にすることができる。また、nは1〜3が好ましい。これにより、高酸性度とすることができるので、発色性を良好にすることができる。
上記一般式[1]中、Rは、エトキシエチル基、フラニル基、ピラニル基、及び、tert−ブチルカルボニル基から選ばれるものであり、1種類であっても2種類以上であってもよい。
本発明の顕色剤は、上記一般式[1]で示される化合物からなるものであるが、この一般式[1]で示される化合物を顕色剤の一部として含有するものも当然に本発明に含まれる。他の顕色剤としては、市販のものが使用できる。顕色剤全体に対する上記一般式[1]で示される化合物の割合は、特に限定されないが、好ましくは50重量%以上である。これにより、一般式[1]で示される化合物は通常の市販の顕色剤と比較して融点が高いことから、顕色剤の融点を高くすることができ、これを用いた感熱記録材料の保存安定性を向上させることができる。
本発明の顕色剤と混合して使用できる市販の顕色剤としては、例えば、β−ナフトール、パラフェニルフェノール、4,4’−イソプロピリデンビスフェノール、4,4’−sec−ブチリデンジフェノール、4,4’−イソプロピリデン(2−tert−ブチルフェノール)、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、フェニル−4−ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられるが、この限りではない。
次に、本発明の感熱記録材料用顕色剤の製造方法(以下、単に「製造方法」ということがある)について説明する。本発明の製造方法は、下記一般式[3]で示されるビスフェノール化合物又はビフェニル化合物とエチルビニルエーテル、2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、及び、ジ−tert−ブチルジカルボネイトから選ばれる化合物とを反応させて、上記一般式[1]で示される化合物を合成する工程を有することを特徴とする。
Figure 2005342984
前記一般式[3]中、RはS、O、SO、Sまたは
Figure 2005342984
(上記式[2]において、mは0〜3の整数、R、Rは、それぞれ、水素または、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、置換又は無置換フェニル基、置換又は無置換アラルキル基、アルコキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれるもの、あるいは、RとRが結合してなる環状ペンタメチレン基である。)を表す。
なお、上記一般式[3]で示されるビスフェノール化合物又はビフェニル化合物は、既知の一般的合成方法により合成される。
上記一般式[1]で示される化合物を合成する工程は、通常、触媒の存在下で行うことができる。
このうち、上記ビスフェノール化合物又はビフェニル化合物に、エチルビニルエーテル、2,3−ジヒドロフラン、及び、3,4−ジヒドロ−2H−ピランから選ばれるものを反応させる場合には、酸性触媒を用いて行うことができる。ここで用いられる酸性触媒としては特に限定されないが、例えば、蓚酸、酢酸、トリフルオロ酢酸などの有機カルボン酸、塩酸、硫酸などの無機酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などの有機スルホン酸、有機ホスホン酸、あるいは、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイタングステン酸などのヘテロポリ酸などが使用できる。
また、上記ビスフェノール化合物又はビフェニル化合物に、ジ−tert−ブチルジカルボネイトを反応させる場合には、塩基性触媒を用いて行うことができる。ここで用いられる塩基性触媒としては特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等の無機塩基、アンモニア、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の有機塩基などが使用できる。
上記工程において、上記ビスフェノール化合物又はビフェニル化合物に、エチルビニルエーテル、2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、及び、ジ−tert−ブチルジカルボネイトから選ばれる化合物を反応させる場合、両者の反応モル比は、特に限定されないが、ビスフェノール化合物又はビフェニル化合物が有する水酸基1当量に対して、上記各化合物0.3〜1.0当量とすることができる。これにより、目的とする反応を効率的に行うことができるとともに、経済性との両立を図ることができる。
このようにして得られた、上記一般式[1]で示される化合物については、通常の方法で晶析、濾過、再結晶等の各種精製操作を適宜行うことができる。これにより、不純物の少ない化合物を得ることができる。
次に、本発明の製造方法を、反応順序に従って説明する。
攪拌装置、冷却管(コンデンサ−)、加熱装置、温度計などを備えた反応容器に、市販の一般式[3]で示されるビスフェノール化合物又はビフェニル化合物(使用前に純度を向上させるために、適切な溶媒を使用して再結晶等を行ってもよい)を、溶剤を用いて溶解させ、そこに水酸基を保護するための上記の化合物を添加し、所定量の触媒を加える。反応温度は、特に限定されないが、室温ないしそれ以上で、反応系の沸点より10℃程度低い温度以下とすることが好ましく、沸点が低いもの(例えば、エチルビニルエーテルの沸点は36℃)もあるため、室温ないし50℃程度とすることが望ましい。反応時間は通常1〜6時間である。その後、反応溶媒を除去するため、この溶媒を含む反応生成物を大量の水の中に入れ、反応生成物を沈澱させる。これを分離・乾燥させることにより、一般式[1]で示される化合物を含む反応生成物を得ることができる。さらに、これから目的の一般式[1]で示される化合物を高純度で得るため、適切な溶剤等を用いて抽出または再結晶させる。
次に、本発明の感熱記録材料について説明する。
本発明の感熱記録材料は、上記本発明の顕色剤、あるいは、上記本発明の製造方法により得られた顕色剤と、ロイコ染料とを含有することを特徴とする。
本発明の感熱記録材料において用いられるロイコ染料としては特に限定されないが、例えば、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロ系の各ロイコ染料を使用することができる。
トリフェニルメタン系のロイコ染料としては、例えば、トリフェニルメタンなどが挙げられる。
フルオラン系のロイコ染料としては、例えば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名:クリスタルバイオレットラクトン,CVL)、p,p’−ベンジリデンビス(N,N’−ジメチルアニリン(ロイコマラカイトグリ−ン)、3−ジエチルアミノ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチルシクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−(N−イソアミル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、などが挙げられる。
フェノチアジン系のロイコ染料としては、例えば、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルーなどが挙げられる。
オ−ラミン系のロイコ染料としては、例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオ−ラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミンなどが挙げられる。
スピロ系のロイコ染料としては、例えば、3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、ベンゾ−β−ナフトスピロピランなどが挙げられる。
これらのロイコ染料は、色相や発色性により適宜選択することができ、必要に応じて単独、若しくは2種以上を混合物として使用することができる。
本発明の感熱記録材料には、上述の顕色剤とロイコ染料のほか、必要により各種の添加剤を加えることができる。添加剤としては主に、バインダー、顔料、増感剤などが挙げられる。
バインダーとしては特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、でん粉、でん粉誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体などの水溶性高分子、スチレン−ブタジエンラテックス、スチレン−アクリルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニルエマルジョンなどの水性エマルジョンを加えることができ、これにより、顕色剤組成物を支持体に強く粘着させることができる。
顔料としては特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、焼成カオリン、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
増感剤としては特に限定されないが、例えば、ステアリン酸アマイド、パルチン酸アマイド、オレイン酸アマイド、ラウリン酸アマイド、エチレンビスステアロアマイド、メチロールステアロアマイドなどが挙げられる。
このほかさらに、ヘッドマッチング性、筆記性、地肌の白色化などを改良するために、一般に知られているワックス、ワックス類似物質や有機フィラー、無機フィラー等を加え
ることもできる。
本発明の感熱記録材料において、本発明の顕色剤、上記ロイコ染料などの配合量は、特に限定されないが、通常、感熱記録材料中の固形分全体に対して、顕色剤1〜30重量%、ロイコ染料1〜15重量%、及び、バインダー1〜30重量%の割合で配合することができる。
本発明の感熱記録材料の調製方法としては特に限定されないが、例えば、上記一般式[1]で示される化合物を含む顕色剤、ロイコ染料のほか、バインダー等の添加剤を加え、これを水に溶解した溶液、もしくは分散した混合溶液として調製することができる。このような形態で調製する場合は、通常、これを支持体に塗布して用いることができる。
このほかにも、例えば、ロイコ染料をバインダー溶液と混合し、別に顕色剤をバインダー溶液と混合しておくこともできる。このような形態で用いる場合は、各々の混合液を混ぜ合わせてから支持体に塗布する方法、各々の混合液を同一支持体の同一面に順次塗布する方法、あるいは、各々の混合液を同一支持体の表裏面に別々に塗布する方法などがあり、特に限定されるものではない。
次に、本発明の感熱記録材について説明する。
本発明の感熱記録材は、上記本発明の感熱記録材料を支持体上に塗布してなるものである。
ここで支持体としては特に限定されないが、一般的には紙、合成紙、合成樹脂フィルム、金属ラミネートフィルムなどを使用することができる。支持体は、感熱記録材が使用される用途、目的により適時選択できる。本発明の感熱記録材は、上記本発明の感熱記録材料を、これらの支持体に、例えば上記の方法で塗布して、必要に応じて平滑化処理等を行い、これを乾燥することにより得られるものである。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明する。なお、ここで「部」は全て「重量部」、「%」は全て「重量%」を表すものとする。
1.感熱記録材料用顕色剤の合成
<実施例1>
4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル75.4部をアセトン200部に溶解させ、エチルビニルエーテル52.2部(当量比1.0)を加え、さらに触媒量のパラトルエンスルホン酸を加えて、50℃で3時間反応させた。反応後、トリエチルアミンを加えて中和した後、水洗を行った。
得られた反応生成物を、逆相クロマトグラフィーを用いて分析した結果、未反応物が28%、4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル中の水酸基の片側だけに反応したものが60%、両方の水酸基に反応したものが12%であった。
この反応液にトルエン100部と10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、上記両方の水酸基に反応した化合物をトルエン側に抽出し、抽出液を除去した。さらに、イソプロピルエーテル100部を加え、反応物をエーテル側に抽出して、未反応物を除去した。エーテル抽出液からエーテル分を除去して、目的とする片側の水酸基だけに反応した化合物28部を得た。これを感熱記録材料のB液の原料として使用した。
<実施例2>
4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル75.4部をアセトン200部に溶解させ、2,3−ジヒドロフラン43.4部(当量比0.83)を加え、さらに触媒量のパラトルエンスルホン酸を加えて50℃で3時間反応させた。反応後、トリエチルアミンを加えて中和した後、水洗を行った。
得られた反応生成物を、逆相クロマトグラフィーを用いて分析した結果、未反応物が30%、4,4’−ジヒドロキシフェニルエーテル中の水酸基の片側だけに反応したものが53%、両方の水酸基に反応したものが17%であった。
この反応液にトルエン100部と10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、上記両方の水酸基に反応した化合物をトルエン側に抽出し、抽出液を除去した。さらに、イソプロピルエーテル100部を加え、反応物をエーテル側に抽出して、未反応物を除去した。エーテル抽出液からエーテル分を除去して、目的とする片側の水酸基だけに反応した化合物32部を得た。これを感熱記録材料のB液の原料として使用した。
<実施例3>
4,4’−ジヒドロキシフェニルスルホン94.0部をアセトン200部に溶解させ、3,4ジヒドロ−2H−ピラン31.3部(当量比1.0)を加え、さらに触媒量のパラトルエンスルホン酸を加えて50℃で3時間反応させた。反応後、トリエチルアミンを加えて中和した後、水洗を行った。
得られた反応生成物を、逆相クロマトグラフィーを用いて分析した結果、未反応物が38%、4,4’−ジヒドロキシフェニルスルホン中の水酸基の片側だけに反応したものが51%、両方の水酸基に反応したものが11%であった。
この反応液にトルエン100部と10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、上記両方の水酸基に反応した化合物をトルエン側に抽出し、抽出液を除去した。さらに、イソプロピルエーテル100部を加え、反応物をエーテル側に抽出して、未反応物を除去した。エーテル抽出液からエーテル分を除去して、目的とする片側の水酸基だけに反応した化合物33部を得た。これを感熱記録材料のB液の原料として使用した。
<実施例4>
4,4’−ジヒドロキシフェニルスルホン94.0部をアセトン200部に溶解させ、ジ−tert−ブチルジカルボネイト81.1部(当量比1.0)を加え、さらに41.5部のトリエチルアミンを加えて60℃で6時間反応させた。反応後、24.6部の酢酸を加えて中和した後、水洗を行った。
得られた反応生成物を、逆相クロマトグラフィーを用いて分析した結果、未反応物が50%、4,4’−ジヒドロキシフェニルスルホン中の水酸基の片側だけに反応したものが46%、両方の水酸基に反応したものが4%であった。
この反応液にトルエン100部と10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、上記両方の水酸基に反応した化合物をトルエン側に抽出し、抽出液を除去した。さらに、イソプロピルエーテル100部を加え、反応物をエーテル側に抽出して、未反応物を除去した。エーテル抽出液からエーテル分を除去して、目的とする片側の水酸基だけに反応した化合物36部を得た。これを感熱記録材料のB液の原料として使用した。
2.感熱記録材料の調製
<実施例11>
下記の原材料及び配合で、それぞれ別々にボールミルで24時間湿式粉砕して、分散混合液A液及びB液を調製した。
(3.1)A液
・クリスタルバイオレットラクトン 10部
・ステアリン酸アミド 20部
・10重量%ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製「#105」) 60部
・炭酸カルシウム 50部
・水 150部
(3.2)B液
・実施例1で得られた化合物 10部
・10重量%ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製「#105」) 20部
・炭酸カルシウム 20部
・水 50部
(3.3)感熱記録材料
上記で得られたA液、B液を下記の割合で配合して感熱記録材料を調製した。
・A液 20部
・B液 20部
・10重量%ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製「#105」) 15部
<実施例12>
実施例11において、実施例1で得られた化合物の代わりに、実施例2で得られた化合物を用いた以外は、実施例11と同様に行い、感熱記録材料を得た。
<実施例13>
実施例11において、実施例1で得られた化合物の代わりに、実施例3で得られた化合物を用いた以外は、実施例11と同様に行い、感熱記録材料を得た。
<実施例14>
実施例11において、実施例1で得られた化合物の代わりに、実施例4で得られた化合物を用いた以外は、実施例11と同様に行い、感熱記録材料を得た。
<比較例11>
実施例11において、実施例1で得られた化合物の代わりに、ビスフェノールAを用いた以外は、実施例11と同様に行い、感熱記録材料を得た。
3.感熱記録材の作製
実施例11〜14、及び、比較例11で得られた感熱記録材料を、乾燥後塗布量が7〜9g/mになるように、上質紙に塗布、乾燥し、感熱記録材を作製した。
上記で得られた感熱記録材について、表1に記載した項目の評価を行った。実施例11〜14、及び、比較例11で得られた評価結果を表1に示す。
Figure 2005342984
(測定方法)
(1)一般式[1]で示される化合物の含有量:
実施例1〜4で得られた、ビスフェノール化合物からの反応生成物については、逆相クロマトグラフィーを用い、一般式[1]で示される化合物の含有量を測定した。ここで「一般式[1]で示される化合物の含有量」とは、逆相クロマトグラフィーによって得られる、未反応物、一般式[1]で表される化合物、及び、フェノール性水酸基の両方が反応した化合物の各々に該当する面積比率から算出される含有量のことである。測定値は、上記実施例1〜4の中に記載したとおりである。
逆相クロマトグラフィーの測定条件は以下のとおりである。この条件下で測定した場合、上記一般式[1]で示される化合物のリテンションタイムは凡そ12〜13分である。・カラム:TOSOH社製・「TSK−GEL ODS−120T」
・カラム温度:40℃
・移動相:THF/水=6/4(容量比)
・流量:0.5ml/min、
・検出波長280nm
(2)発色性:200℃の熱盤上に、厚み1.2mmのガラスプレートを2枚置き、この温度まで加熱した。次いで、上記で得られた感熱記録材をこのガラスプレートで挟み、3秒間保持して、発色させた。これを肉眼で観察し、比較例11と同等の発色であったものを○とした。
(3)耐水性:上記発色性の評価と同様の方法で、発色させた感熱記録材試料を作製した。これを、25℃の純水中に2時間浸漬したあと風乾して、発色像の変化を肉眼で観察した。濃度低下が見られないものを◎、濃度低下が顕著でないものを○とした。
(4)耐油性:上記発色性の評価と同様の方法で、発色させた感熱記録材試料を作製した。これをPVCラップフィルムで挟み、発色面上側から200g/cmの荷重を加えた状態で、40℃で24時間放置して、発色像の変化を肉眼で観察した。濃度低下が見られないものを◎、濃度低下が顕著でないものを○とした。
(5)耐光性:上記発色性の評価と同様の方法で、発色させた感熱記録材試料を作製した。これに、紫外線フェードメーター(スガ試験機製 FAL−5)で24時間照射した後、発色像の変化を肉眼で観察した。退色または変色がほとんど認められないものを◎、変色または退色が少し認められるものを○とした。
実施例1〜4で得られた化合物(精製物)は、上記一般式[1]で示される化合物であり、本発明の顕色剤である。そして、実施例11〜14は上記化合物を顕色剤として用いた本発明の感熱記録材料であり、ビスフェノールAを顕色剤として配合した比較例11と比べて、耐水性、耐油性、及び耐光性のいずれにおいても、同等以上の特性を有する感熱記録材を得ることができた。
本発明の感熱記録材料用顕色剤及び感熱記録材料は、耐水性、耐油性、及び耐光性を有する感熱記録材に特に好適に用いることができる。例えば、ファクシミリ、計測機器、医療機器、POSシステムなどに利用されるバーコードラベル、レジスターのレシートなどの感熱記録材用として好適に用いることができるものである

Claims (6)

  1. 下記一般式[1]で示される化合物からなることを特徴とする感熱記録材料用顕色剤。
    Figure 2005342984
    前記一般式[1]中、RはS、O、SO、Sまたは
    Figure 2005342984
    (上記式[2]において、mは0〜3の整数、R、Rは、それぞれ、水素または、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、置換又は無置換フェニル基、置換又は無置換アラルキル基、アルコキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれるもの、あるいは、RとRが結合してなる環状ペンタメチレン基である。)を表す。
    は、水素、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、置換又は無置換フェニル基、置換又は無置換アラルキル基、アルコキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれるものである。nは1〜4の整数を示し、nが2〜4のとき、1分子内に存在するR同士は同じであっても異なっていてもよい。
    は、エトキシエチル基、フラニル基、ピラニル基、及び、tert−ブチルカルボニル基から選ばれるものであり、1種類であっても2種類以上であってもよい。
  2. 前記一般式[1]で示される化合物において、Rが水素、メチル基、及び、イソプロピル基から選ばれるものであり、n=1〜3である請求項1に記載の感熱記録材料用顕色剤。
  3. 請求項1または2に記載の感熱記録材料用顕色剤を、顕色剤全体に対して50重量%以上含有することを特徴とする感熱記録材料用顕色剤。
  4. 請求項1又は2に記載の感熱記録材料用顕色剤の製造方法であって、
    下記一般式[3]で示されるビスフェノール化合物又はビフェニル化合物とエチルビニルエーテル、2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、及び、ジ−tert−ブチルジカルボネイトから選ばれる化合物とを反応させて、上記一般式[1]で示される化合物を合成する工程を有することを特徴とする、感熱記録材料用顕色剤の製造方法。
    Figure 2005342984
    前記一般式[3]中、RはS、O、SO、Sまたは
    Figure 2005342984
    (上記式[2]において、mは0〜3の整数、R、Rは、それぞれ、水素または、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、置換又は無置換フェニル基、置換又は無置換アラルキル基、アルコキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれるもの、あるいは、RとRが結合してなる環状ペンタメチレン基である。)を表す。
    は水素、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、置換又は無置換フェニル基、置換又は無置換アラルキル基、アルコキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれるものである。nは1〜4の整数を示し、nが2〜4のとき、1分子内に存在するR同士は同じであっても異なっていてもよい。
  5. 請求項1又は2に記載の感熱記録材料用顕色剤と、ロイコ染料とを含有することを特徴とする感熱記録材料。
  6. 請求項5に記載の感熱記録材料を支持体上に塗布してなることを特徴とする感熱記録材。
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JP2010132822A (ja) * 2008-12-05 2010-06-17 Matsui Shikiso Chem Co Ltd 可逆感温変色性ヒステリシス組成物

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