JP2006082230A - 感熱記録材料用顕色剤及び感熱記録材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】ビスフェノールAを原料として用いたものと同等以上に、発色感度、耐水性、耐油性、及び耐光性に優れた感熱記録材料用顕色剤とその製造方法、及び、この感熱記録材料用顕色剤を含有する感熱記録材料とこれを用いた感熱記録材を提供する。
【解決手段】一般式[1]で示される化合物からなる感熱記録材料用顕色剤。
前記一般式[1]中、R1は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、置換又は無置換フェニル基、置換又は無置換アラルキル基、アルコキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれるものである。R2は、水素、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、置換又は無置換フェニル基、置換又は無置換アラルキル基、アルコキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれるものである。
【選択図】なし
【解決手段】一般式[1]で示される化合物からなる感熱記録材料用顕色剤。
前記一般式[1]中、R1は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、置換又は無置換フェニル基、置換又は無置換アラルキル基、アルコキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれるものである。R2は、水素、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、置換又は無置換フェニル基、置換又は無置換アラルキル基、アルコキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれるものである。
【選択図】なし
Description
本発明は、感熱記録材料用顕色剤とその製造方法、及び、この感熱記録材料用顕色剤を含有する感熱記録材料とこれを用いた感熱記録材に関するものである。
感熱記録材は、主にファクシミリ、計測機器、医療機器などに使用され、最近では、POSシステムなどに利用されるバーコードラベル、レジスターのレシートなどへと展開され、使用量が増大している。利用用途が多岐にわたるに従い、耐水性、耐油性、及び耐光性など様々な特性が感熱記録材に要求されている。
感熱記録材は、一般に発色前駆体であるロイコ染料と、酸性化合物である顕色剤とを基本成分とする感熱記録材料を支持体上に塗布して製造される。顕色剤には、古くからフェノール化合物が使用され、ビスフェノ−ルAに代表されるビスフェノール化合物が最も一般的に使用されている(例えば、特許文献1、2参照)。しかしながら、ビスフェノールAは、生殖機能に弊害を及ぼす環境ホルモン物質としての疑いが最近報告され、代替え化合物の要求が非常に高い。
この問題解決のために、様々なフェノール骨格を有する酸性化合物が検討されているが、耐水性、耐油性、及び耐光性などに優れた、ビスフェノールAに代わる顕色剤が未だ得られていないのが現状である。
本発明は、ビスフェノールAを原料として用いたものと同等以上に、発色感度、耐水性、耐油性、及び耐光性に優れた感熱記録材料用顕色剤とその製造方法、及び、この感熱記録材料用顕色剤を含有する感熱記録材料とこれを用いた感熱記録材を提供するものである。
このような目的は、以下の本発明(1)〜(7)により達成される。
(1) 下記一般式[1]で示される化合物からなることを特徴とする感熱記録材料用顕色剤。
上記一般式[1]中、R1は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、置換又は無置換フェニル基、置換又は無置換アラルキル基、アルコキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれるものである。nは1〜4の整数を示し、nが2〜4のとき、1分子内に存在するR1同士は同じであっても異なっていてもよい。
R2は、水素、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、置換又は無置換フェニル基、置換又は無置換アラルキル基、アルコキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれるものである。mは1〜4の整数を示し、mが2〜4のとき、1分子内に存在するR2同士は同じであっても異なっていてもよい。
(2) 上記一般式[1]で示される化合物中、R1が水素、メチル基、及び、イソプロピル基から選ばれるものであり、n=1〜3である上記(1)に記載の感熱記録材料用顕色剤。
(3) 上記一般式[1]で示される化合物中、R2が水素、水酸基、及び、メチル基から選ばれるものであり、m=1〜3である上記(1)又は(2)に記載の感熱記録材料用顕色剤。
(4) 上記一般式[1]で示される化合物を、顕色剤全体に対して50重量%以上含有することを特徴とする感熱記録材料用顕色剤。
(5) 上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の感熱記録材料用顕色剤の製造方法であって、
(a) 下記一般式[2]で示されるシクロヘキサノン化合物と、下記一般式[3]で示されるフェノール化合物とを、酸性触媒の存在下で反応させて、下記一般式[4]で示されるシクロヘキシリデンビスフェノール化合物を合成する工程、及び、
(b)上記シクロヘキシリデンビスフェノール化合物とハロゲン化アリルを反応させて、上記一般式[1]で示される化合物を合成する工程、
を有することを特徴とする感熱記録材料用顕色剤の製造方法。
上記一般式[2]および[4]中、R1は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、置換又は無置換フェニル基、置換又は無置換アラルキル基、アルコキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれるものである。nは1〜4の整数を示し、nが2〜4のとき、1分子内に存在するR1同士は同じであっても異なっていてもよい。
上記一般式[3]および[4]中、R2は、水素、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、置換又は無置換フェニル基、置換又は無置換アラルキル基、アルコキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれるものである。mは1〜4の整数を示し、mが2〜4のとき、1分子内に存在するR2同士は同じであっても異なっていてもよい。
(6) 上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の感熱記録材料用顕色剤と、ロイコ染料とを含有することを特徴とする感熱記録材料。
(7) 上記(6)に記載の感熱記録材料を支持体上に塗布してなることを特徴とする感熱記録材。
(1) 下記一般式[1]で示される化合物からなることを特徴とする感熱記録材料用顕色剤。
R2は、水素、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、置換又は無置換フェニル基、置換又は無置換アラルキル基、アルコキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれるものである。mは1〜4の整数を示し、mが2〜4のとき、1分子内に存在するR2同士は同じであっても異なっていてもよい。
(2) 上記一般式[1]で示される化合物中、R1が水素、メチル基、及び、イソプロピル基から選ばれるものであり、n=1〜3である上記(1)に記載の感熱記録材料用顕色剤。
(3) 上記一般式[1]で示される化合物中、R2が水素、水酸基、及び、メチル基から選ばれるものであり、m=1〜3である上記(1)又は(2)に記載の感熱記録材料用顕色剤。
(4) 上記一般式[1]で示される化合物を、顕色剤全体に対して50重量%以上含有することを特徴とする感熱記録材料用顕色剤。
(5) 上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の感熱記録材料用顕色剤の製造方法であって、
(a) 下記一般式[2]で示されるシクロヘキサノン化合物と、下記一般式[3]で示されるフェノール化合物とを、酸性触媒の存在下で反応させて、下記一般式[4]で示されるシクロヘキシリデンビスフェノール化合物を合成する工程、及び、
(b)上記シクロヘキシリデンビスフェノール化合物とハロゲン化アリルを反応させて、上記一般式[1]で示される化合物を合成する工程、
を有することを特徴とする感熱記録材料用顕色剤の製造方法。
上記一般式[3]および[4]中、R2は、水素、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、置換又は無置換フェニル基、置換又は無置換アラルキル基、アルコキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれるものである。mは1〜4の整数を示し、mが2〜4のとき、1分子内に存在するR2同士は同じであっても異なっていてもよい。
(6) 上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の感熱記録材料用顕色剤と、ロイコ染料とを含有することを特徴とする感熱記録材料。
(7) 上記(6)に記載の感熱記録材料を支持体上に塗布してなることを特徴とする感熱記録材。
本発明は、上記一般式[1]で示される化合物を含有することを特徴とする感熱記録材料用顕色剤とその製造方法、及び、この感熱記録材料用顕色剤を含有する感熱記録材料とこれを用いた感熱記録材である。
本発明の感熱記録材料用顕色剤及び感熱記録材料は、環境上の問題が指摘されているビスフェノールAを原料として用いることなく、ビスフェノールAを用いたものと同等以上の発色感度、耐水性、耐油性、及び耐光性を有する感熱記録材を製造することができる。
本発明の感熱記録材料用顕色剤及び感熱記録材料は、環境上の問題が指摘されているビスフェノールAを原料として用いることなく、ビスフェノールAを用いたものと同等以上の発色感度、耐水性、耐油性、及び耐光性を有する感熱記録材を製造することができる。
以下に、本発明の感熱記録材料用顕色剤とその製造方法、及び、この感熱記録材料用顕色剤を含有する感熱記録材料とこれを用いた感熱記録材について説明する。
まず、本発明の感熱記録材料用顕色剤について説明する。
本発明の感熱記録材料用顕色剤(以下、単に「顕色剤」ということがある)は、下記一般式[1]で示される化合物からなることを特徴とする。
まず、本発明の感熱記録材料用顕色剤について説明する。
本発明の感熱記録材料用顕色剤(以下、単に「顕色剤」ということがある)は、下記一般式[1]で示される化合物からなることを特徴とする。
ここで、炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。置換又は無置換フェニル基としては、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、トリメチルフェニル基などのアリール基が挙げられる。
置換又は無置換アラルキル基としては、例えば、ベンジル基などが挙げられる。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子である。
上記一般式[1]中、nは1〜4の整数を示し、このnの値を調整することにより、得られる化合物の融点を制御することができる。また、nが2〜4のとき、1分子内に存在するR1同士は同じであっても異なっていてもよい。
上記一般式[1]で示される化合物においては、R1は水素、メチル基、及び、イソプロピル基から選ばれたものであることが好ましい。これにより、一般式[1]で示される化合物を高融点とすることができる。また、nは1〜3であることが好ましい。この範囲内からnの数を適宜選択することにより、顕色剤として用いるのに好適な融点とすることができ、保存性を良好にすることができる。
上記一般式[1]中、R2は、水素、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、置換又は無置換フェニル基、置換又は無置換アラルキル基、アルコキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれるものである。
炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。置換又は無置換フェニル基としては、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、トリメチルフェニル基などのアリール基が挙げられる。
置換又は無置換アラルキル基としては、例えば、ベンジル基などが挙げられる。アルコキシ基としては例えば、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子である。
炭素数1〜4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。置換又は無置換フェニル基としては、例えば、フェニル基、トルイル基、キシリル基、トリメチルフェニル基などのアリール基が挙げられる。
置換又は無置換アラルキル基としては、例えば、ベンジル基などが挙げられる。アルコキシ基としては例えば、メトキシ基、エトキシ基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子である。
上記一般式[1]中、mは1〜4の整数を示し、このmの値を調整することにより、得られる化合物の融点や酸性度を制御することができる。また、mが2〜4のとき、1分子内に存在するR2同士は同じであっても異なっていてもよい。
上記一般式[1]で示される化合物においては、R2は、水素、水酸基、及び、メチル基から選ばれるものであることが好ましい。これにより、高酸性度とすることができるので、発色性を良好にすることができる。また、mは1〜3が好ましい。これにより、高酸性度とすることができるので、発色性を良好にすることができる。
本発明の顕色剤は、上記一般式[1]で示される化合物からなるものである。また、かかる化合物を顕色剤の一部として含有するものも本発明に含まれるものである。この場合、顕色剤全体に対する一般式[1]で示される化合物の割合は、必要とされる顕色剤の特性等に応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、50重量%以上であることが好ましい。これにより、熱応答性に優れ、かつ、これを用いた感熱記録材料の保存安定性を向上させることができる。
この中で、一般式[1]で示される化合物以外の顕色剤物質が、この化合物の原料物質である一般式[4]で示されるシクロヘキシリデンビスフェノール化合物である場合、一般式[1]で示される化合物の製造工程、特に精製工程の簡略化のために好ましいものである。
この中で、一般式[1]で示される化合物以外の顕色剤物質が、この化合物の原料物質である一般式[4]で示されるシクロヘキシリデンビスフェノール化合物である場合、一般式[1]で示される化合物の製造工程、特に精製工程の簡略化のために好ましいものである。
次に、本発明の感熱記録材料用顕色剤の製造方法(以下、単に「製造方法」ということがある)について説明する。本発明の製造方法は、
(a)下記一般式[2]で示されるシクロヘキサノン化合物と、下記一般式[3]で示されるフェノール化合物とを、酸性触媒の存在下で反応させて、下記一般式[4]で示されるシクロヘキシリデンビスフェノール化合物を合成する工程、及び、
(b)上記シクロヘキシリデンビスフェノール化合物と、ハロゲン化アリルを反応させて、上記一般式[1]で示される化合物を合成する工程、
を有することを特徴とする。
(a)下記一般式[2]で示されるシクロヘキサノン化合物と、下記一般式[3]で示されるフェノール化合物とを、酸性触媒の存在下で反応させて、下記一般式[4]で示されるシクロヘキシリデンビスフェノール化合物を合成する工程、及び、
(b)上記シクロヘキシリデンビスフェノール化合物と、ハロゲン化アリルを反応させて、上記一般式[1]で示される化合物を合成する工程、
を有することを特徴とする。
上記一般式[2]および[4]中、R1は、水素、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、置換又は無置換フェニル基、置換又は無置換アラルキル基、アルコキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれるものである。これらのR1としては、上記一般式[1]で説明したものと同じものを例示することができるが、水素、メチル基、及び、イソプロピル基から選ばれたものであることが好ましい。
また、nは1〜4の整数を示し、nが2〜4のとき、1分子内に存在するR1同士は同じであっても異なっていてもよい。nは1〜3であることが好ましい。
また、nは1〜4の整数を示し、nが2〜4のとき、1分子内に存在するR1同士は同じであっても異なっていてもよい。nは1〜3であることが好ましい。
上記一般式[2]で示されるシクロヘキサノン化合物としては、例えば、シクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、4-イソプロピルシクロヘキサノン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンなどを好適に用いることができる。
上記一般式[3]および[4]中、R2は、水素、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、置換又は無置換フェニル基、置換又は無置換アラルキル基、アルコキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれるものである。これらのR2としては、上記一般式[1]で説明したものと同じものを例示することができるが、水素、水酸基、及び、メチル基から選ばれるものであることが好ましい。
また、mは1〜4の整数を示し、mが2〜4のとき、1分子内に存在するR2同士は同じであっても異なっていてもよい。mは1〜3であることが好ましい。
また、mは1〜4の整数を示し、mが2〜4のとき、1分子内に存在するR2同士は同じであっても異なっていてもよい。mは1〜3であることが好ましい。
一般式[3]で示されるフェノール化合物としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、ピロガロールなどを好適に用いることができる。
まず、上記(a)工程について説明する。
(a)工程においては、シクロヘキサノン化合物とフェノール化合物とを、酸性触媒の存在下で反応させて、シクロヘキシリデンビスフェノール化合物を合成する。
(a)工程においては、シクロヘキサノン化合物とフェノール化合物とを、酸性触媒の存在下で反応させて、シクロヘキシリデンビスフェノール化合物を合成する。
上記(a)工程において、上記一般式[2]で示されるシクロヘキサノン化合物(H)と、上記一般式[3]で示されるフェノール化合物(P)とを反応させる際の反応モル比(H/P)としては、特に限定されるものではないが、0.125〜0.5とすることが好ましい。さらに好ましくは0.25〜0.4である。これにより、目的とする反応を効率的に行うことができ、最終的に得られる顕色剤の特性と経済性との両立を図ることができる。
上記(a)工程で用いられる酸性触媒としては特に限定されないが、例えば、蓚酸、酢酸、トリフルオロ酢酸などの有機カルボン酸、塩酸、硫酸などの無機酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などの有機スルホン酸、有機ホスホン酸、あるいは、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイタングステン酸などのヘテロポリ酸などが使用できる。
酸性触媒の使用量は特に限定されないが、反応制御及び反応速度の点から、使用されるフェノール化合物に対して、0.1倍当量以上を用いることが好ましい。
酸性触媒の使用量は特に限定されないが、反応制御及び反応速度の点から、使用されるフェノール化合物に対して、0.1倍当量以上を用いることが好ましい。
上記(a)工程においては、必要に応じて、反応溶媒を用いてもよい。反応溶媒についても特に限定されることはなく、原料となるシクロヘキサノン化合物とフェノール化合物を溶解することができ、本反応に寄与しないものであれば、特に制限されることなく利用できる。
次に、上記(b)工程について説明する。
(b)工程においては、上記(a)工程で得られたシクロヘキシリデンビスフェノール化合物と、ハロゲン化アリルとを反応させて、上記一般式[1]で示される化合物を合成する。
ここで用いられるハロゲン化アリルは、塩化アリル、臭化アリル、沃化アリルがあげられるが、特に反応速度及び経済性の面から臭化アリルが好ましい。
(b)工程においては、上記(a)工程で得られたシクロヘキシリデンビスフェノール化合物と、ハロゲン化アリルとを反応させて、上記一般式[1]で示される化合物を合成する。
ここで用いられるハロゲン化アリルは、塩化アリル、臭化アリル、沃化アリルがあげられるが、特に反応速度及び経済性の面から臭化アリルが好ましい。
上記(b)工程は、通常塩基性触媒の存在下で行うことができる。塩基性触媒としては、特に限定されないが、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどを使用することができる。
上記(b)工程において、上記シクロヘキシリデンビスフェノール化合物とハロゲン化アリルの反応モル比は、特に限定されないが、シクロヘキシリデンビスフェノール化合物1当量に対して、上記ハロゲン化アリル0.1〜1.3当量(好ましくは0.3〜1.1当量)とすることができる。これにより、目的とする反応を効率的に行うことができ、最終的に得られる顕色剤の特性と経済性との両立を図ることができる。
このようにして得られた反応生成物は一般式[1]で示される化合物を含むものであるが、この反応生成物から、目的とする一般式[1]で示される化合物は、通常の方法で晶析、濾過、再結晶等の各種精製操作を適宜行うことができる。これにより、不純物の少ない化合物を得ることができる。
次に、本発明の製造方法を、反応順序に従って説明する。
攪拌装置、冷却管(コンデンサ−)、加熱装置、温度計などを備えた反応容器に、フェノール化合物と酸性触媒とを仕込み、混合する。次いで、そこへ、シクロヘキサノン化合物を逐次添加する。反応温度は特に限定されないが、室温〜80℃程度が好ましい。逐次添加する時間も特に限定されないが、反応の制御、反応速度、及び、目的とする化合物の純度の点から、0.5〜3時間が好ましい。その後、さらに反応を1〜8時間行う。その後、反応に用いた酸性触媒を塩基性物質によって中和し、水、中和塩、及び、未反応原料等を除去することにより、目的の物質を得ることができる。このようにして得られたシクロヘキシリデンビスフェノール化合物は、さらに純度を向上させるために、適切な溶媒を使用して再結晶等を行うこともできる。
攪拌装置、冷却管(コンデンサ−)、加熱装置、温度計などを備えた反応容器に、フェノール化合物と酸性触媒とを仕込み、混合する。次いで、そこへ、シクロヘキサノン化合物を逐次添加する。反応温度は特に限定されないが、室温〜80℃程度が好ましい。逐次添加する時間も特に限定されないが、反応の制御、反応速度、及び、目的とする化合物の純度の点から、0.5〜3時間が好ましい。その後、さらに反応を1〜8時間行う。その後、反応に用いた酸性触媒を塩基性物質によって中和し、水、中和塩、及び、未反応原料等を除去することにより、目的の物質を得ることができる。このようにして得られたシクロヘキシリデンビスフェノール化合物は、さらに純度を向上させるために、適切な溶媒を使用して再結晶等を行うこともできる。
上記の方法によって得られたシクロヘキシリデンビスフェノール化合物を、アセトン等の反応溶媒に溶解し、そこにハロゲン化を添加し、水酸基のアリルエーテル化反応を行う。反応温度は特に限定されないが、ハロゲン化アリルの沸点を大きく超えないように、室温〜100℃程度とすることが望ましい。反応時間は通常1〜12時間行う。反応によって得られた一般式[1]で示される化合物を含む生成物は、通常、イソプロピルエーテル等の溶媒で抽出し、塩酸や硫酸などの無機酸で中和し、水洗後溶媒を留去することにより精製することができる。純度を向上させる目的で、適当な溶媒を用い再結晶を行うこともでき、これを乾燥して目的とする一般式[1]で示される化合物を得ることができる。
次に、本発明の感熱記録材料について説明する。
本発明の感熱記録材料は、上記本発明の顕色剤、あるいは、上記本発明の製造方法により得られた顕色剤と、ロイコ染料とを含有することを特徴とする。
本発明の感熱記録材料は、上記本発明の顕色剤、あるいは、上記本発明の製造方法により得られた顕色剤と、ロイコ染料とを含有することを特徴とする。
本発明の感熱記録材料において用いられるロイコ染料としては特に限定されないが、例えば、トリフェニルメタン系、フルオラン系、フェノチアジン系、オーラミン系、スピロ系の各ロイコ染料を使用することができる。
トリフェニルメタン系のロイコ染料としては、例えば、トリフェニルメタンなどが挙げられる。
フルオラン系のロイコ染料としては、例えば、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(別名:クリスタルバイオレットラクトン,CVL)、p,p’−ベンジリデンビス(N,N’−ジメチルアニリン(ロイコマラカイトグリ−ン)、3−ジエチルアミノ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチルシクロヘキシル−N−メチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−(N−イソアミル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、などが挙げられる。
フェノチアジン系のロイコ染料としては、例えば、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルーなどが挙げられる。
オ−ラミン系のロイコ染料としては、例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオ−ラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミンなどが挙げられる。
スピロ系のロイコ染料としては、例えば、3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、ベンゾ−β−ナフトスピロピランなどが挙げられる。
これらのロイコ染料は、色相や発色性により適宜選択することができ、必要に応じて単独、若しくは2種以上を混合物として使用することができる。
本発明の感熱記録材料には、上述の顕色剤とロイコ染料のほか、必要により各種の添加剤を加えることができる。添加剤としては主に、バインダー、顔料、増感剤などが挙げられる。
バインダーとしては特に限定されないが、例えば、ポリビニルアルコール、でん粉、でん粉誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体などの水溶性高分子、スチレン−ブタジエンラテックス、スチレン−アクリルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニルエマルジョンなどの水性エマルジョンを加えることができ、これにより、顕色剤組成物を支持体に強く粘着させることができる。
顔料としては特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、焼成カオリン、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。
増感剤としては特に限定されないが、例えば、ステアリン酸アマイド、パルチン酸アマイド、オレイン酸アマイド、ラウリン酸アマイド、エチレンビスステアロアマイド、メチロールステアロアマイドなどが挙げられる。
このほかさらに、ヘッドマッチング性、筆記性、地肌の白色化などを改良するために、一般に知られているワックス、ワックス類似物質や有機フィラー、無機フィラー等を加えることもできる。
本発明の感熱記録材料において、本発明の顕色剤、上記ロイコ染料などの配合量は、特に限定されないが、通常、感熱記録材料中の固形分全体に対して、顕色剤1〜30重量%、ロイコ染料1〜15重量%、及び、バインダー1〜30重量%の割合で配合することができる。
本発明の感熱記録材料の調製方法としては特に限定されないが、例えば、上記一般式[1]で示される化合物を含む顕色剤、ロイコ染料のほか、バインダー等の添加剤を加え、これを水に溶解した溶液、もしくは分散した混合溶液として調製することができる。このような形態で調製する場合は、通常、これを支持体に塗布して用いることができる。
このほかにも、例えば、ロイコ染料をバインダー溶液と混合し、別に顕色剤をバインダー溶液と混合しておくこともできる。このような形態で用いる場合は、各々の混合液を混ぜ合わせてから支持体に塗布する方法、各々の混合液を同一支持体の同一面に順次塗布する方法、あるいは、各々の混合液を同一支持体の表裏面に別々に塗布する方法などがあり、特に限定されるものではない。
このほかにも、例えば、ロイコ染料をバインダー溶液と混合し、別に顕色剤をバインダー溶液と混合しておくこともできる。このような形態で用いる場合は、各々の混合液を混ぜ合わせてから支持体に塗布する方法、各々の混合液を同一支持体の同一面に順次塗布する方法、あるいは、各々の混合液を同一支持体の表裏面に別々に塗布する方法などがあり、特に限定されるものではない。
次に、本発明の感熱記録材について説明する。
本発明の感熱記録材は、上記本発明の感熱記録材料を支持体上に塗布してなるものである。
ここで支持体としては特に限定されないが、一般的には紙、合成紙、合成樹脂フィルム、金属ラミネートフィルムなどを使用することができる。支持体は、感熱記録材が使用される用途、目的により適時選択できる。本発明の感熱記録材は、上記本発明の感熱記録材料を、これらの支持体に、例えば上記の方法で塗布して、必要に応じて平滑化処理等を行い、これを乾燥することにより得られるものである。
本発明の感熱記録材は、上記本発明の感熱記録材料を支持体上に塗布してなるものである。
ここで支持体としては特に限定されないが、一般的には紙、合成紙、合成樹脂フィルム、金属ラミネートフィルムなどを使用することができる。支持体は、感熱記録材が使用される用途、目的により適時選択できる。本発明の感熱記録材は、上記本発明の感熱記録材料を、これらの支持体に、例えば上記の方法で塗布して、必要に応じて平滑化処理等を行い、これを乾燥することにより得られるものである。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明する。なお、ここで「部」は全て「重量部」、「%」は全て「重量%」を表すものとする。
1.感熱記録材料用顕色剤の調製
1.1 シクロヘキシリデンビスフェノール化合物の合成
<合成例1>
攪拌装置、冷却管、加熱装置、温度計を備えた反応容器に、フェノール(P)300部、35%塩酸37.5部を加えて50℃に加温した。この温度を保ちながら、シクロヘキサノン(H)78.2部(反応モル比 H/P=0.25)を2時間かけて逐次添加を行い、さらに50℃で6時間反応させたところ、結晶が析出した。反応に用いた塩酸を、25%水酸化ナトリウム水溶液57.5部を加えて中和し、熱水で水洗して未反応物をできる限り除去した後、乾燥機を用いて120℃で真空乾燥させ、シクロヘキシリデンビスフェノール化合物53.6部を得た。
1.1 シクロヘキシリデンビスフェノール化合物の合成
<合成例1>
攪拌装置、冷却管、加熱装置、温度計を備えた反応容器に、フェノール(P)300部、35%塩酸37.5部を加えて50℃に加温した。この温度を保ちながら、シクロヘキサノン(H)78.2部(反応モル比 H/P=0.25)を2時間かけて逐次添加を行い、さらに50℃で6時間反応させたところ、結晶が析出した。反応に用いた塩酸を、25%水酸化ナトリウム水溶液57.5部を加えて中和し、熱水で水洗して未反応物をできる限り除去した後、乾燥機を用いて120℃で真空乾燥させ、シクロヘキシリデンビスフェノール化合物53.6部を得た。
<合成例2>
攪拌装置、冷却管、加熱装置、温度計を備えた反応容器に、フェノール(P)300部、35%塩酸37.5部を加えて50℃に加温した。この温度を保ちながら、4−メチルシクロヘキサノン(H)89.4部(反応モル比 H/P=0.25)を2時間かけて逐次添加を行い、さらに50℃で6時間反応させたところ、結晶が析出した。反応に用いた塩酸を、25%水酸化ナトリウム水溶液57.5部を加えて中和し、熱水で水洗して未反応物をできる限り除去した後、乾燥機を用いて120℃で真空乾燥させ、シクロヘキシリデンビスフェノール化合物52.9部を得た。
攪拌装置、冷却管、加熱装置、温度計を備えた反応容器に、フェノール(P)300部、35%塩酸37.5部を加えて50℃に加温した。この温度を保ちながら、4−メチルシクロヘキサノン(H)89.4部(反応モル比 H/P=0.25)を2時間かけて逐次添加を行い、さらに50℃で6時間反応させたところ、結晶が析出した。反応に用いた塩酸を、25%水酸化ナトリウム水溶液57.5部を加えて中和し、熱水で水洗して未反応物をできる限り除去した後、乾燥機を用いて120℃で真空乾燥させ、シクロヘキシリデンビスフェノール化合物52.9部を得た。
1.2 顕色剤の合成
<実施例1>
合成例1で得られたシクロヘキシリデンビスフェノール化合物26.8部(0.1モル)および水酸化ナトリウム4.4部(0.11モル)にアセトン100部を加え溶解した。そこへ臭化アリル7.3部(0.06モル、当量比0.6)を加え、その後溶液の温度を55℃に加熱し、6時間反応させた。
得られた反応生成物を、逆相クロマトグラフィーを用いて分析した結果、未反応物が54%、合成例1で得られた化合物中の水酸基の片側だけがアリルエーテル化したものが40%、両方の水酸基がアリルエーテル化したものが6%であった。
この反応液のアセトンを一旦留去し、水酸化ナトリウム7.6部および水20部を加えて、溶解させる。次にトルエン30部を加え、上記両方の水酸基が反応した化合物をトルエン側に抽出し、抽出液を除去した。さらに、イソプロピルエーテル30部を加え、反応物をエーテル側に抽出して、未反応物を除去した。エーテル抽出液を10%塩酸で中和し、水洗を2回行った後、エーテル分を留去して、目的とする片側の水酸基だけが反応した化合物の粗精製物を得た。
逆相クロマトグラフィーを用いて分析した結果、未反応物が41%、合成例1で得られた化合物中の水酸基の片側だけがアリルエーテル化したものが58%、両方の水酸基がアリルエーテル化したものが1%であった。
この粗精製物についてイソプロピルアルコールにより再結晶を行い、未反応物を結晶として取り出した。次いで、残りの溶液からイソプロピルアルコールを留去し、反応生成物の結晶を得た。
得られた反応生成物(精製物)を、逆相クロマトグラフィーを用いて分析した結果、未反応物が22%、合成例1で得られた化合物中の水酸基の片側だけがアリルエーテル化したもの(一般式[1]で示される化合物)が76%、両方の水酸基がアリルエーテル化したものが2%であった。これを感熱記録材料のB液の原料として使用した。
<実施例1>
合成例1で得られたシクロヘキシリデンビスフェノール化合物26.8部(0.1モル)および水酸化ナトリウム4.4部(0.11モル)にアセトン100部を加え溶解した。そこへ臭化アリル7.3部(0.06モル、当量比0.6)を加え、その後溶液の温度を55℃に加熱し、6時間反応させた。
得られた反応生成物を、逆相クロマトグラフィーを用いて分析した結果、未反応物が54%、合成例1で得られた化合物中の水酸基の片側だけがアリルエーテル化したものが40%、両方の水酸基がアリルエーテル化したものが6%であった。
この反応液のアセトンを一旦留去し、水酸化ナトリウム7.6部および水20部を加えて、溶解させる。次にトルエン30部を加え、上記両方の水酸基が反応した化合物をトルエン側に抽出し、抽出液を除去した。さらに、イソプロピルエーテル30部を加え、反応物をエーテル側に抽出して、未反応物を除去した。エーテル抽出液を10%塩酸で中和し、水洗を2回行った後、エーテル分を留去して、目的とする片側の水酸基だけが反応した化合物の粗精製物を得た。
逆相クロマトグラフィーを用いて分析した結果、未反応物が41%、合成例1で得られた化合物中の水酸基の片側だけがアリルエーテル化したものが58%、両方の水酸基がアリルエーテル化したものが1%であった。
この粗精製物についてイソプロピルアルコールにより再結晶を行い、未反応物を結晶として取り出した。次いで、残りの溶液からイソプロピルアルコールを留去し、反応生成物の結晶を得た。
得られた反応生成物(精製物)を、逆相クロマトグラフィーを用いて分析した結果、未反応物が22%、合成例1で得られた化合物中の水酸基の片側だけがアリルエーテル化したもの(一般式[1]で示される化合物)が76%、両方の水酸基がアリルエーテル化したものが2%であった。これを感熱記録材料のB液の原料として使用した。
<実施例2>
実施例1のシクロヘキシリデンビスフェノールの代わりに、合成例2で得られたシクロヘキシリデンビスフェノール化合物28.2部(上記当量比0.6)を用いて同様に反応させた。以下、実施例1と同様に水洗行い、逆相クロマトグラフィーを用いて分析した結果、未反応物が56%、合成例2で得られた化合物中の水酸基の片側だけがアリルエーテル化したものが39%、両方の水酸基がアリルエーテル化したものものが5%であった。
またイソプロアルコールによる再結晶後に得られた反応生成物(精製物)は、逆相クロマトグラフィーを用いて分析した結果、未反応物が28%、合成例2で得られた化合物中の水酸基の片側だけがアリルエーテル化したもの(一般式[1]で示される化合物)が69%、両方の水酸基がアリルエーテル化したものが3%であった。これを感熱記録材料のB液の原料として使用した。
実施例1のシクロヘキシリデンビスフェノールの代わりに、合成例2で得られたシクロヘキシリデンビスフェノール化合物28.2部(上記当量比0.6)を用いて同様に反応させた。以下、実施例1と同様に水洗行い、逆相クロマトグラフィーを用いて分析した結果、未反応物が56%、合成例2で得られた化合物中の水酸基の片側だけがアリルエーテル化したものが39%、両方の水酸基がアリルエーテル化したものものが5%であった。
またイソプロアルコールによる再結晶後に得られた反応生成物(精製物)は、逆相クロマトグラフィーを用いて分析した結果、未反応物が28%、合成例2で得られた化合物中の水酸基の片側だけがアリルエーテル化したもの(一般式[1]で示される化合物)が69%、両方の水酸基がアリルエーテル化したものが3%であった。これを感熱記録材料のB液の原料として使用した。
3.感熱記録材料の調製
<実施例11>
下記の原材料及び配合で、それぞれ別々にボールミルで24時間湿式粉砕して、分散混合液A液及びB液を調製した。
<実施例11>
下記の原材料及び配合で、それぞれ別々にボールミルで24時間湿式粉砕して、分散混合液A液及びB液を調製した。
(3.1)A液
・クリスタルバイオレットラクトン 10部
・ステアリン酸アミド 20部
・10重量%ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製「#105」) 60部
・炭酸カルシウム 50部
・水 150部
・クリスタルバイオレットラクトン 10部
・ステアリン酸アミド 20部
・10重量%ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製「#105」) 60部
・炭酸カルシウム 50部
・水 150部
(3.2)B液
・実施例1で得られた反応生成物(精製物) 10部
・10重量%ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製「#105」) 20部
・炭酸カルシウム 20部
・水 50部
・実施例1で得られた反応生成物(精製物) 10部
・10重量%ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製「#105」) 20部
・炭酸カルシウム 20部
・水 50部
上記で得られたA液、B液を下記の割合で配合して感熱記録材料を調製した。
(3.3)感熱記録材料
・A液 20部
・B液 20部
・10重量%ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製「#105」) 15部
(3.3)感熱記録材料
・A液 20部
・B液 20部
・10重量%ポリビニルアルコール水溶液(クラレ社製「#105」) 15部
<実施例12>
実施例11において、実施例1で得られた反応生成物(精製物)の代わりに、実施例2で得られた反応生成物(精製物)を用いた以外は、実施例11と同様に行い、感熱記録材料を得た。
実施例11において、実施例1で得られた反応生成物(精製物)の代わりに、実施例2で得られた反応生成物(精製物)を用いた以外は、実施例11と同様に行い、感熱記録材料を得た。
<実施例13>
実施例11において、実施例1で得られた反応生成物(精製物)の代わりに、実施例2で得られた反応生成物(精製物)と合成例2で得られた化合物とを、80:20の割合で用いた以外は、実施例11と同様に行い、感熱記録材料を得た。この場合、一般式[1]で示される化合物の割合は、55.2重量%である。
実施例11において、実施例1で得られた反応生成物(精製物)の代わりに、実施例2で得られた反応生成物(精製物)と合成例2で得られた化合物とを、80:20の割合で用いた以外は、実施例11と同様に行い、感熱記録材料を得た。この場合、一般式[1]で示される化合物の割合は、55.2重量%である。
<実施例14>
実施例11において、実施例1で得られた反応生成物(精製物)の代わりに、実施例2で得られた化合物と合成例2で得られた化合物とを、60:40の割合で用いた以外は、実施例11と同様に行い、感熱記録材料を得た。この場合、一般式[1]で示される化合物の割合は、41.4重量%である。
実施例11において、実施例1で得られた反応生成物(精製物)の代わりに、実施例2で得られた化合物と合成例2で得られた化合物とを、60:40の割合で用いた以外は、実施例11と同様に行い、感熱記録材料を得た。この場合、一般式[1]で示される化合物の割合は、41.4重量%である。
<比較例11>
実施例11において、実施例1で得られた化合物の代わりに、ビスフェノールAを用いた以外は、実施例11と同様に行い、感熱記録材料を得た。
実施例11において、実施例1で得られた化合物の代わりに、ビスフェノールAを用いた以外は、実施例11と同様に行い、感熱記録材料を得た。
3.感熱記録材の作製
実施例11〜14、及び、比較例11で得られた感熱記録材料を、乾燥後塗布量が7〜9g/m2になるように、上質紙に塗布、乾燥し、感熱記録材を作製した。
実施例11〜14、及び、比較例11で得られた感熱記録材料を、乾燥後塗布量が7〜9g/m2になるように、上質紙に塗布、乾燥し、感熱記録材を作製した。
上記で得られた感熱記録材について、表1に記載した項目の評価を行った。実施例11〜14、及び、比較例11で得られた評価結果を表1に示す。
(測定方法)
(1)上記一般式[1]で示される化合物の含有量:
実施例1〜2で得られたシクロヘキシリデンビスフェノールとアセチル化剤の反応生成物について、逆相クロマトグラフィーを用い、一般式[1]で示される化合物の含有量を測定した。ここで「一般式[1]で示される化合物の含有量」とは、逆相クロマトグラフィーによって得られる、未反応物、一般式[1]で表される化合物、及び、フェノール性水酸基の両方が反応した化合物の各々に該当する面積比率から算出される含有量のことである。測定値は、上記実施例1,2の説明中に記載したとおりである。
逆相クロマトグラフィーの測定条件は以下のとおりである。この条件下で測定した場合、上記一般式[1]で示される化合物のリテンションタイムは8〜9分程度である。
・カラム:TOSOH社製・「TSK−GEL ODS−120T」
・カラム温度:40℃
・移動相:アセトニトリル/水=7/3(容量比)
・流量:0.5ml/min
・検出波長280nm
(1)上記一般式[1]で示される化合物の含有量:
実施例1〜2で得られたシクロヘキシリデンビスフェノールとアセチル化剤の反応生成物について、逆相クロマトグラフィーを用い、一般式[1]で示される化合物の含有量を測定した。ここで「一般式[1]で示される化合物の含有量」とは、逆相クロマトグラフィーによって得られる、未反応物、一般式[1]で表される化合物、及び、フェノール性水酸基の両方が反応した化合物の各々に該当する面積比率から算出される含有量のことである。測定値は、上記実施例1,2の説明中に記載したとおりである。
逆相クロマトグラフィーの測定条件は以下のとおりである。この条件下で測定した場合、上記一般式[1]で示される化合物のリテンションタイムは8〜9分程度である。
・カラム:TOSOH社製・「TSK−GEL ODS−120T」
・カラム温度:40℃
・移動相:アセトニトリル/水=7/3(容量比)
・流量:0.5ml/min
・検出波長280nm
(2)発色性:200℃の熱盤上に、厚み1.2mmのガラスプレートを2枚置き、この温度まで加熱した。次いで、上記で得られた感熱記録材をこのガラスプレートで挟み、3秒間保持して、発色させた。これを肉眼で観察し、比較例11と同等の発色であったものを○とした。
(3)耐水性:上記発色性の評価と同様の方法で、発色させた感熱記録材試料を作製した。これを、25℃の純水中に2時間浸漬したあと風乾して、発色像の変化を肉眼で観察した。濃度低下が見られないものを◎、濃度低下が顕著でないものを○とした。
(4)耐油性:上記発色性の評価と同様の方法で、発色させた感熱記録材試料を作製した。これをPVCラップフィルムで挟み、発色面上側から200g/cm2の荷重を加えた状態で、40℃で24時間放置して、発色像の変化を肉眼で観察した。濃度低下が見られないものを◎、濃度低下が顕著でないものを○とした。
(5)耐光性:上記発色性の評価と同様の方法で、発色させた感熱記録材試料を作製した。これに、紫外線フェードメーター(スガ試験機製 FAL−5)で24時間照射した後、発色像の変化を肉眼で観察した。退色または変色がほとんど認められないものを◎、変色または退色が少し認められるものを○とした。
実施例1〜2で得られた反応生成物(精製物)は、本発明の顕色剤である上記一般式[1]で示される化合物を主成分とするものであり、本発明の顕色剤である。そして、実施例11〜14は上記化合物を含む反応生成物(精製物)を顕色剤として用いた本発明の感熱記録材料であり、ビスフェノールAを顕色剤として配合した比較例11と比べて、耐水性、耐油性、及び耐光性のいずれにおいても、同等以上の特性を有する感熱記録材を得ることができた。
本発明の感熱記録材料用顕色剤及び感熱記録材料は、耐水性、耐油性、及び耐光性を有する感熱記録材に特に好適に用いることができる。例えば、ファクシミリ、計測機器、医療機器、POSシステムなどに利用されるバーコードラベル、レジスターのレシートなどの感熱記録材用として好適に用いることができるものである
Claims (7)
- 下記一般式[1]で示される化合物からなることを特徴とする感熱記録材料用顕色剤。
R2は、水素、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、置換又は無置換フェニル基、置換又は無置換アラルキル基、アルコキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれるものである。mは1〜4の整数を示し、mが2〜4のとき、1分子内に存在するR2同士は同じであっても異なっていてもよい。 - 前記一般式[1]で示される化合物中、R1が水素、メチル基、及び、イソプロピル基から選ばれるものであり、n=1〜3である請求項1に記載の感熱記録材料用顕色剤。
- 前記一般式[1]で示される化合物中、R2が水素、水酸基、及び、メチル基から選ばれるものであり、m=1〜3である請求項1又は2に記載の感熱記録材料用顕色剤。
- 前記一般式[1]で示される化合物を、顕色剤全体に対して50重量%以上含有することを特徴とする感熱記録材料用顕色剤。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の感熱記録材料用顕色剤の製造方法であって、
(a)下記一般式[2]で示されるシクロヘキサノン化合物と、下記一般式[3]で示されるフェノール化合物とを、酸性触媒の存在下で反応させて、下記一般式[4]で示されるシクロヘキシリデンビスフェノール化合物を合成する工程、及び、
(b)前記シクロヘキシリデンビスフェノール化合物とハロゲン化アリルを反応させて、上記一般式[1]で示される化合物を合成する工程、
を有することを特徴とする感熱記録材料用顕色剤の製造方法。
前記一般式[3]および[4]中、R2は、水素、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、置換又は無置換フェニル基、置換又は無置換アラルキル基、アルコキシ基、及び、ハロゲン原子から選ばれるものである。mは1〜4の整数を示し、mが2〜4のとき、1分子内に存在するR2同士は同じであっても異なっていてもよい。 - 請求項1ないし4のいずれかに記載の感熱記録材料用顕色剤と、ロイコ染料とを含有することを特徴とする感熱記録材料。
- 請求項6に記載の感熱記録材料を支持体上に塗布してなることを特徴とする感熱記録材。
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