JP2005340445A - 複合シート、積層体及び積層部品並びにその製造方法 - Google Patents

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Tetsuya Kimura
哲也 木村
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Abstract

【課題】本発明は、焼成時のX−Y方向におけるセラミック多層基板の収縮率を低減すると同時に、セラミック層厚みの薄層化と導体の厚みの厚膜化を同時に満たすことのできる複合シートと、その製造方法を提供する。
【解決手段】無機粉末と結合性樹脂とを含有し、焼成収縮開始温度が異なる複数種のセラミック層5を積層してなる厚みが50μm以下の積層セラミック層6の一部に該積層セラミック層6と実質的に同一厚みの導体3を、前記積層セラミック層6を貫通して配設したことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、移動体通信機等に使用されるセラミック多層基板などに適した複合シート、積層体及び積層部品並びにその製造方法に関するものであり、特に、焼成における収縮曲線(挙動)が異なるセラミック層同士を一体して焼成することにより、互いのX−Y方向の焼成収縮を抑制して寸法精度に向上させることのできる複合シート、積層体及び積層部品並びにその製造方法に関するものである。
近年、電子機器は小型軽量化、携帯化が進んでおり、それに用いられる回路ブロックも、小型化、複合モジュール化が押し進められており、それに用いられるセラミック多層基板などの積層部品の高密度化と小型化が進められている。
このセラミック多層基板は、従来、グリーンシート法と呼ばれる製造方法により製造される。このグリーンシート法は、セラミック層となるセラミック粉末を含有するスラリーを用いてドクターブレード法などによってグリーンシートを作製し、次に、このグリーンシートにビアホール導体となる位置にNCパンチや金型などで貫通孔を形成し、導体ペーストを用いて、内部や表面の導体のパターンを印刷するとともに、前記貫通孔に導体ペーストを充填してビアホール導体を形成した後、同様にして作製した複数のグリーンシートを積層し、この積層体を一括同時焼成する製造方法である。
そしてこのようにして製造されているセラミック多層基板では、近年、セラミック多層基板に形成された電極の寸法のさらなる精度向上のため、焼成時のX−Y方向におけるセラミック多層基板の収縮率を小さくすることが要求されており、焼成収縮開始温度の異なる2種のセラミック成形体を交互に積層して同時焼成することによって焼成の収縮による寸法変化を抑制することが提案されている(特許文献1参照)。
焼成収縮開始温度の異なる2種のセラミックグリーンシートを別々に作製し、それを適宜組み合わせ、交互に積層して積層体を作製する方法により、焼成時のX−Y方向におけるセラミック多層基板の収縮率の低減は一応達成される。
特開2002−261443号
しかしながら、近年、さらなるセラミック多層基板の小型化、高密度化への要求に対して、導体間のセラミック層厚みの薄層化と同時に、導体については低損失、低抵抗値を実現するため、導体の厚みを厚くすることが求められている。
ところが、従来のグリーンシート法などの製造方法においては、このセラミック層厚みの薄層化と導体の厚膜化という、2つの要求を同時に満たそうとすると、導体が形成されている部分と形成されていない部分とで、導体の厚み分の段差が必然的に発生してしまうという問題がある。
この段差によって、積層不良(デラミネーション)が発生したり、無理に加圧して段差を埋めたとしてもセラミック層に部分的な密度差が生じて、焼成後に変形するといった問題があり、セラミック層厚みの薄層化と導体の厚みの厚膜化を同時に満たすには、限界があった。
従って、本発明は、焼成時のX−Y方向におけるセラミック多層基板の収縮率を低減すると同時に、セラミック層厚みの薄層化と導体の厚みの厚膜化を同時に満たすことのできる複合シートと、その製造方法を提供すること、さらには、平面導体と垂直導体による3次元的な回路を簡略な方法で形成することのできる複合シート、積層体及び積層部品並びにその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明の複合シートは、無機粉末と結合性樹脂とを含有し、焼成収縮開始温度が異なる複数種のセラミック層を積層してなる厚みが50μm以下の積層セラミック層の一部に該積層セラミック層と実質的に同一厚みの導体を、前記積層セラミック層を貫通して配設したことを特徴とする。
また、本発明の複合シートは、複数種のセラミック層の焼成後の熱膨張係数のうち、最大の熱膨張係数と、最小の熱膨張係数との差が2×10−6/℃以下であることが望ましい。
また、本発明の複合シートは、複数種のセラミック層の焼成収縮開始温度のうち、最も高い焼成収縮開始温度と、最も低い焼成収縮開始温度の差が、10℃以上であることが望ましい。
また、本発明の複合シートは、積層セラミック層と、導体との厚み差が前記積層セラミック層の厚みの20%以下であることが望ましい。
また、本発明の複合シートは、複合シートの少なくとも一方の主面を形成するセラミック層が、光硬化性樹脂と、光重合開始剤とを含有する光硬化性セラミック層であることが望ましい。
また、本発明の複合シートは、前記光硬化性セラミック層の厚みが、複合シートの厚みの50%以下であることが望ましい。
また、本発明の複合シートは、セラミック層に含有される結合性樹脂の酸価が30mgKOH/g当量以上であることが望ましい。
本発明の積層体は、以上説明した複合シートを複数積層してなることを特徴とする。
本発明の積層体は、以上説明した積層体を焼成してなることを特徴とする。
本発明の複合シートの製造方法は、(a)光透過可能なキャリアフィルムの表面に、所定の導体を形成する工程と、
(b)キャリアフィルムの前記導体を形成した側の表面に、少なくともアルカリ現像液に可溶な結合性樹脂と第一のセラミック材料とを含有するセラミックスラリーを塗布して前記導体の厚みより薄い第一のセラミック層を形成する工程と、
(c)前記第一のセラミック層の露出した主面に、少なくとも光硬化性樹脂、光重合開始剤、および前記第一のセラミック材料とは焼成収縮開始温度が異なる第二のセラミック材料を含有する光硬化性スラリーを塗布し、前記第一のセラミック層と合わせた厚みが、前記導体の厚み以上の厚みになるように光硬化性セラミック層である第二のセラミック層を形成する工程と、
(d)前記キャリアフィルムの裏面より、光を照射して、前記導体が形成された領域以外の前記光硬化性セラミック層である第二のセラミック層を所定の厚みだけ光硬化させる工程と、
(e)現像液を付与して、前記複数種のセラミック層の前記導体表面を含む非光硬化部を溶化、除去することによって、所定の厚みの積層セラミック層を形成する工程とを具備することを特徴とする。
また、本発明の複合シートの製造方法は、
前記(e)工程後に、
前記キャリアフィルムから、前記複合シートを剥離する工程を具備することが望ましい。
本発明の複合シートの製造方法は、(a)光透過可能なキャリアフィルムの表面に、所定のパターンの導体を形成する工程と、
(b)キャリアフィルムの前記導体を形成した側の表面に、少なくともアルカリ現像液に可溶な結合性樹脂と第一のセラミック材料とを含有するセラミックスラリーを塗布して前記導体の厚みより薄い第一のセラミック層を形成する工程と、
(c)前記第一のセラミック層の露出した主面に、少なくともアルカリ現像液に可溶な結合性樹脂と前記第一のセラミック材料とは焼成収縮開始温度が異なる第二のセラミック材料を含有するセラミックスラリーを塗布し、前記第一のセラミック層と合わせた厚みが、前記導体の厚み以上の厚みになるように、第二のセラミック層を形成する工程と、
(d)前記グリーンシート表面に少なくとも光硬化性樹脂、光重合開始剤を含む光硬化性樹脂液を塗布する工程と、
(e)前記キャリアフィルムの裏面より、光を照射して、前記導体が形成された領域以外の前記光硬化性樹脂を光硬化させる工程と、
(f)現像液を付与して、前記光硬化性樹脂及び複数種のセラミック層における、前記導体表面の非光硬化部を溶化、除去することによって、所定の厚みの積層セラミック層を形成する工程とを具備することを特徴とする。
本発明の積層体の製造方法は、
前記(f)工程後に、
前記キャリアフィルムから、前記複合シートを剥離する工程を具備することが望ましい。
また、本発明の複合シートの製造方法は、以上説明したキャリアフィルムを除去した複合シートを複数層、積層する工程を具備することを特徴とする。
本発明の積層体の製造方法は、キャリアフィルムを具備する複合シートを積層した後、キャリアフィルムを除去する工程を具備することを特徴とする。
本発明の積層部品の製造方法は、以上説明した積層体の製造方法によって作製された積層体を焼成するもので、前記焼成工程において、前記複合シート中のセラミック層のうち、最も焼成収縮開始温度が高温側のセラミック層が収縮開始する時、前記複合シート中のセラミック層のうち、最も焼成収縮開始温度が低温側のセラミック層を最終焼成体積収縮量の90%以上焼成収縮させることを特徴とする。
本発明の複合シートによれば、導体を積層セラミック層を貫通して配設することで、複合シートを複数積層しても、厚み方向への電気的接続が可能となるとともに、導体の厚み分の段差が実質的に無いため、積層不良(デラミネーション)が発生したり、無理に加圧して段差を埋めたとしても、部分的な密度差の発生による焼成後の変形といった問題を抑制することができる。
また、この複合シート単体で、焼成収縮開始温度が異なる複数種のセラミック層を有しているため、その焼成過程において、複合シート中のセラミック層のうち、最も焼成収縮開始温度が低温側のセラミック層が収縮を開始する際に、他方の最も焼成収縮開始温度が高温側のセラミック層がX−Y方向における収縮を抑制し、焼成収縮開始温度が低温側のセラミック層が収縮を完了すると、焼成収縮開始温度が高温側のセラミック層の焼結が進行する際に、焼成収縮開始温度が低温側のセラミック層がX−Y方向における収縮を抑制する結果、焼結完了後のX−Y方向の焼成収縮を抑制することができ、表面が平坦でしかもX−Y方向の寸法ばらつきも小さくなるため、焼成後の寸法バラツキが極めて小さい高精度な積層部品を得ることができる。
また、複合シートの厚みを50μm以下とすることで、導体とセラミック層との熱膨張差の影響による焼成時のクラック等の不具合も発生しない。
また、本発明の複合シートでは、複合シート中に含まれる複数種の未焼成のセラミック層の焼成後の熱膨張係数の最大のものと最小のものの差を2×10−6/℃以下とすることで、セラミック層間に発生する熱応力が低減され、特に信頼性に優れた積層部品となる。
また、本発明の複合シート中に含まれる複数種の未焼成のセラミック層の収縮開始温度の最大のものと最小のものの差を10℃以上とすることで、セラミック層の収縮挙動に大きな差を生じさせることが容易となり、焼結完了後のX−Y方向の焼成収縮を抑制する効果を大きくすることができる。また、焼成時間を短くしたとしてもX−Y方向の焼成収縮を抑制する効果が十分に発揮されるため、焼成時間を短くすることができる。
また、本発明の複合シートでは、積層セラミック層と、導体の厚み差を積層セラミック層の厚みの20%以下とすることで、複合シートの平坦化が達成され、複合シートを変形無く積層できる。
また、複合シートの少なくとも一方の表面にあるセラミック層に、少なくとも光硬化性樹脂と光重合開始剤を含有させて光硬化性セラミック層とすることで、露光現像プロセスを用いて、複合シートを容易に製造することが可能となる。
また、本発明の複合シートにおいては、少なくとも光硬化性セラミック層の厚みを、複合シートの厚みの50%以下とすることで、熱分解性に劣る光硬化性樹脂の含有量を少なくすることができ、この複合シートを用いて、積層部品などを作製する場合には、脱脂性を向上させることができるため、積層部品の特性を劣化させることがなく、焼成時間を短縮することができ、コストを削減することができる。
また、本発明の複合シートにおいては、セラミック層に含有される結合性樹脂の酸価を30mgKOH/g当量以上とすることで、アルカリ現像液によるセラミック層の溶解、除去を容易なものとすることができ、導体上のセラミック層の除去を確実にすることができる。
以上説明した複合シートを複数積層した本発明の積層体は、導体が3次元的に接続された平坦で変形の少ない積層体となる。
そして焼成収縮挙動の異なる複数種のセラミック層を具備する積層体を焼成することで、X−Y方向における収縮が抑制され、寸法精度、平坦性に格段優れた積層部品となる。
本発明の前記複合シートの製造方法によれば、感光性スラリーを用い、しかも印刷塗布された導体をマスクとして利用しているために、格別なマスクを作製する必要がなく、しかも各層の形成を平行的に行うことができるために、製造コストの低減を図ることができるとともに、再現よく簡便に導体とセラミック層とが一体化した複合シートを作製することができる。
また、本発明の複合シートの製造方法によれば、複合シートからキャリアフィルムを剥離することで、容易に本発明の複合シートを作製することができる。
本発明の複合シートの製造方法によれば、光硬化性樹脂を用いずに、積層セラミック層を形成した後、光硬化性樹脂を含有する光硬化性樹脂液を積層セラミック層の表面に塗布することで、積層セラミック層に容易に光硬化性樹脂を浸透させることができるとともに、熱分解性に劣る光硬化性樹脂の量を少なくすることができるため、積層セラミック層の脱脂性を向上させることができる。
また、本発明の複合シートの製造方法によれば、光硬化性樹脂を用いて複合シートを作製した場合であっても、複合シートからキャリアフィルムを剥離することで、容易に本発明の複合シートを作製することができる。
また、本発明の積層体の製造方法によれば、以上説明した複合シートからキャリアフィルムを剥した後に、積層処理することで、複数の複合シートを、重ね合わせてプレスするだけで、積層体を作製することができる。
また、本発明の積層体の製造方法によれば、以上説明したキャリアフィルムを具備する複合シート同士を対面させ、積層処理した後に、キャリアフィルムを除去することで、容易に本発明の積層体を作製することができる。
また、本発明の積層部品の製造方法によれば、以上説明した積層体を焼成する工程において、焼成収縮開始温度が高温側の第一のセラミック層が収縮開始する時、焼成収縮開始温度が低温側の第二のセラミック層が最終焼成体積収縮量の90%以上焼成収縮するようにすることで、無機粉末が焼結し、高い強度や誘電特性を発現するのはもちろんのこと、積層体の焼成収縮率を抑制することができる。
本発明の複合シートは、図1(a)に示すように、各々収縮開始温度が異なるセラミック層5a、5bを積層した積層セラミック層6を導体3が貫通するように形成されて構成されており、この複合シート7の厚みは50μm以下であることが重要である。
この積層セラミック層6を構成する複数種のセラミック層5a、5bは、図1(a)に示すように2層であってもよく、3層以上の構成となっていてもかまわない。
このように、焼成温度の異なる複数種のセラミック層5a、5bと導体3により形成される複合シート7を複数積層することで、図1(b)に示すような本発明の積層体8を形成することが出来る。そしてさらに、この積層体8を焼成することで、図2に示すような本発明の積層部品1を作製することが出来るのである。
図2(a)にしめす積層部品1であるセラミック多層基板1によれば、セラミック焼結体からなる絶縁基板2の表面、裏面および内部には、導体3が形成されている。また、表面に形成された導体3にはインダクタ、抵抗、コンデンサなどのチップ部品4が半田によって実装されている。なお、裏面の導体3は、マザーボードなどに実装するための端子電極として機能するものである。また、絶縁基板2の内部には、導体3が平面方向および垂直方向に接続され、3次元回路パターンを形成している。
このような積層部品1には、表層が平坦であることや、特にX−Y方向、すなわち平面方向の高い寸法精度が要求される。また、セラミック層厚みの薄層化と導体の厚膜化を同時に満たすことなどが要求されている。
そして、この積層部品1を本発明の複合シート7によって作製することで、X−Y方向の焼成収縮率の低減による寸法精度の向上や、積層セラミック層6の薄層化と導体3の厚膜化を達成することが出来る。
本発明における積層部品1であるセラミック多層基板1は、例えば、図2(b)に示すように、複数種のセラミック層5a、5bが上下に複数積層された積層セラミック層6の一部に、導体3が積層セラミック層6を貫通して配設された複合シート7を積層した積層体を焼成して得られたものである。
そして、この積層セラミック層6は、それぞれ、さらに複数種の収縮開始温度が異なるセラミック層5a、5bによって形成されていることが重要である。そして、この複数種のセラミック層5a、5bの焼成収縮開始温度の差は10℃以上、特に20℃以上である組み合わせを選定する事が望ましい。
また、上記複数種のセラミック層5a、5bの焼成後の熱膨張係数のうち、最大の熱膨張係数と最小の熱膨張係数との差は、焼成時の積層部品1の変形や割れを防止するために、2×10−6/℃以下、特には、1×10−6/℃以下とすることが望ましい。
また、セラミック層5a、5bと導体3との熱膨張差の影響による焼成時のクラック等の不具合も発生させないため、積層セラミック層6、および導体3の厚みは、いずれも10〜50μm、特に15〜40μm、さらには15〜30μmの薄層によって形成されていることが望ましい。
また、積層セラミック層6と導体3の厚み差による段差のために発生する積層時のデラミネーションを抑制する目的から、積層セラミック層6の厚みと、導体3の厚み差が複合シート7の厚みの20%以下、特に10%以下、さらには、5%以下、または厚み差が5μm以下、さらには3μm以下であることが望ましい。
また、導体3は、積層セラミック層6の平面方向に延設することによって平面回路を形成している。また、部分的に導体3が厚み方向に積み上げられることにより導体間を垂直方向に接続するビア導体を形成している。
本発明によれば、所望の回路形成のために上記の多層セラミック多層基板1は、10〜200層、特に30〜150層、さらには40〜100層程度の複合シート7を積層して形成することが望ましい。
以下に、本発明の複合シート7及び積層体8、並びに積層部品1の製造方法について説明する。
かかる複合シート7を作製するにあたり、まず、第一のセラミック層5aを形成するため、セラミック材料Aを含有するセラミックスラリーαを調製する。セラミックスラリーの調製にあたっては、望ましくは、前記セラミック材料Aに、光硬化性樹脂と、光重合開始剤と、結合性樹脂と、可塑剤とを、有機溶剤に混合し、ボールミルで混練して調製する。
光硬化成分としては、光硬化性樹脂や光重合開始剤などが挙げられる。光硬化性樹脂としては、低温で短時間の焼成工程に対応するために、熱分解性に優れたものであることが望ましい。また、光硬化性樹脂は、セラミックスラリーαの塗布・乾燥後の露光によって光重合される必要があり、遊離ラジカルの形成、連鎖生長付加重合が可能で、2級もしくは3級炭素を有したモノマーが好ましく、例えば少なくとも1つの重合可能なエチレン系基を有するブチルアクリレート等のアルキルアクリレートおよびそれらに対応するアルキルメタクリレート等が挙げられる。また、テトラエチレングリコールジアクリレート等のポリエチレングリコールジアクリレートおよびそれらに対応するメタクリレートも有効である。また、光重合開始剤としては、ベンゾフェノン類,アシロインエステル類化合物などが挙げられる。
ただし、セラミックスラリーαの光硬化成分である光硬化性樹脂と光重合開始剤については、積層セラミック層6形成後の露光工程における光硬化が十分な場合には、省略してもかまわない。
また、結合性樹脂も、熱分解性が良好であることが望まれ、同時にセラミックスラリーαの粘性を決めるものであるため、固形分との濡れ性も考慮することが必要である。本発明によれば、アクリル酸もしくはメタクリル酸系重合体のようなカルボキシル基、アルコール性水酸基を備えたエチレン性不飽和化合物が好ましい。
このときの結合性樹脂の酸価は30mgKOH/g当量以上、特に50mgKOH/g当量以上、更には100mgKOH/g当量以上とすることが、アルカリ現像液による現像処理を迅速に進行させる点で望ましい。また、可塑剤としてはDBPやDOP等が好適に用いられる。
有機溶剤としては、エチルカルビトールアセテート、ブチルセロソルブ、3メトキシブチルアセテートの群から選ばれる少なくとも1種を含有するものが好適に用いられる。
以上説明したセラミックスラリーαの各成分の含有量は、セラミック粉末100質量部あたり、光硬化性樹脂及び光重合開始剤を5〜20質量部、結合性樹脂を10〜40質量部、可塑剤を1〜5質量部、有機溶剤を50〜100質量部の割合とすることが望ましい。
次に、セラミック層5aと同様に、第二のセラミック層5bを形成するセラミック材料Bを含有するセラミックスラリーβを調製する。
まず、少なくとも光硬化性樹脂およびセラミック材料Bを含有するセラミックスラリーβを調製する。セラミックスラリーβの調製にあたっては、望ましくは、前記セラミック材料Bに、光硬化性樹脂と、光重合開始剤と、結合性樹脂と、可塑剤とを、有機溶剤に混合し、ボールミルで混練して調製する。
セラミックB材料以外の各材料の特性の詳細については、セラミックスラリーαに用いたものと同様のものが望ましい。ただし、セラミックスラリーβの光硬化成分である光硬化性樹脂と光重合開始剤については、その上に、少なくとも光硬化性樹脂と有機溶剤からなる光硬化性樹脂液を塗布する場合には、省略してもかまわない。
なお、種々のセラミック材料を用いてもよいことは言うまでもないが、低温での焼成を行うには、ガラス粉末:30〜100質量部とセラミック粉末:0〜70質量部からなるセラミック材料を用いることが望ましい。
ガラス粉末の具体的な組成例としては、SiO:20〜70質量部、Al:0.5〜30質量部、MgO:0〜60質量部、任意成分として、CaO:0〜35質量部、BaO:0〜35質量部、SrO:0〜35質量部、B:0〜20質量部、ZnO:0〜30質量部、TiO:0〜10質量部、NaO:0〜3質量部、LiO:0〜5質量部を含むものが挙げられる。
また、セラミック粉末としては、Al、SiO、MgTiO、CaZrO、CaTiO、MgSiO、BaTi、ZrTiO、SrTiO、BaTiO、TiOから選ばれる1種以上が挙げられる。
上記組成のガラス粉末とセラミック粉末との組み合わせから選ばれる複数のセラミック材料を組み合わせ、各々の焼成収縮開始温度の差が10℃以上、特に20℃以上である組み合わせを選定することが、焼成収縮率を低減する上で望ましい。
そして、この材料の組み合わせにおいて、1000℃以下での低温焼結が可能となる。
また、導体3を形成するための導体ペーストを調製する。導体ペーストは、平均粒径が1〜3μm程度の金属粉末に、必要に応じてセラミック材料を添加し、エチルセルロース、アクリル樹脂などの結合性樹脂を加え、さらにジブチルフタレート、αテルピネオール、ブチルカルビトール、2・2・4−トリメチル−3・3−ペンタジオールモノイソブチレートなどの溶剤を混合し、3本ロールミル等により均質に混練して調製される。
なお、この導体ペーストの各成分の含有量は、導体粉末100質量部あたり、無機粉末を0〜5質量部、結合性樹脂を5〜10質量部、有機溶剤を10〜15質量部が適当である。
なお、焼成温度が1000℃以下の場合には、導体3として、銅、銀、金、アルミニウムの群から選ばれる少なくとも1種を主成分とする導体材料が好適に用いられる。
次に、以上説明したセラミックスラリーα、セラミックスラリーβ、導体ペーストを用いて以下に説明する工程によって、複合シート7を形成する。
まず、図3(a)に示すように、樹脂フィルム10などからなる光透過可能なキャリアフィルム10上に、予め作製しておいた導体ペーストをスクリーン印刷法などの一般的な印刷手法によって印刷、塗布して、光非透過性の所定の導体3を形成する。
次に、図3(b)、(c)に示すように、予め作製しておいたセラミックスラリーαを、例えばドクターブレード法にて所定の厚みでキャリアフィルム10の導体3を形成した側の全面に塗布、乾燥して、導体3の厚みよりも薄くなるように第一のセラミック層5aを形成する。
次に、図3(d)、(e)に示すように、この第一のセラミック層5aの上に、さらにセラミックスラリーβを、例えばドクターブレード法にて所定の厚みで全面に塗布乾燥してセラミック層5bを形成する。この時、セラミック層5a及びセラミック層5bを合わせた厚みが導体3の厚みと同等の厚みとなることが望ましい。
また、このとき、セラミック層5bの厚みは、セラミック層5a及びセラミック層5bを合わせた厚みの50%以下の比率にすることが望ましい。
そして、図4(f)に示すように、キャリアフィルム10の裏面より例えば超高圧水銀灯を光源として用いて露光を行う。この露光によって、導体3以外の領域のセラミック層5a及びセラミック層5bを光硬化させる。この露光工程においては、導体3形成以外の領域のセラミック層5a及びセラミック層5bでは照射された光の量により光重合反応がおこり不溶化部を形成するが、導体3は紫外線を透過しないために、導体3上に形成されているセラミック層5a及びセラミック層5bは、光硬化性樹脂の光重合反応がおこらない溶化部となる。
その後、図4(g)に示すように、例えば、トリエタノールアミン水溶液などを現像液として用いてスプレー現像、洗浄、乾燥を行い、このセラミック層5a及びセラミック層5b全体を現像処理する。
なお、現像処理は、セラミック層5a及びセラミック層5bの溶化部を現像液にて溶解、除去するものであり、この処理結果、図4(h)に示すように、キャリアフィルム10上には、セラミック層5a及びセラミック層5bとにより形成された積層セラミック層6と、導体3とにより構成された複合シート7が形成される。尚、光硬化反応は、セラミック層5aとセラミック層5bに含まれる光硬化性樹脂と、光重合開始剤により起こるが、実質的にセラミック層5aはセラミック層5bに覆われているため、セラミック層5bの光硬化部である不溶化部については、その硬化が十分であれば、その下のセラミック層5aも現像液により除去されない。したがってこのような場合、セラミック層5aにおいては、光硬化性樹脂と、光重合開始剤は省略しても構わない。
また、セラミック層5a、セラミック層5bを形成する際に、セラミックスラリーに光硬化性樹脂を含有させずに、セラミック層5aとセラミック層5bとを形成して、本発明の複合シート7を形成する方法について、図5、6を用いて説明する。
セラミックスラリーα、Bに光硬化性樹脂、光重合開始剤を添加しない以外は、図5(a)〜(e)までの工程は、図3で説明した方法と同様とし、その後、図6(f)に示すように、セラミック層5bの表面に、光硬化性樹脂と、光重合開始剤とを含有する光硬化性樹脂液14をスクリーン印刷等により塗布する。この光硬化性樹脂液14に含まれる光硬化樹脂並びに光重合開始剤は、セラミック層5bの表面に膜状に形成され、セラミック層5a、5bに浸透する。
続いて、図6(g)に示すように、キャリアフィルム10の裏面より例えば超高圧水銀灯を光源として露光を行う。この露光によって、導体3以外の領域の光硬化性樹脂を光硬化させる。導体3は紫外線を通過しないために、導体3上に形成されている光硬化樹脂は、光重合反応がおこらない溶化部となり、その下に形成されるセラミック層5a及びセラミック層5bとともに、現像による溶化部となる。
その後、図6(h)に示すように、このセラミック層5a及びセラミック層5b全体を現像処理する。
この現像処理により、図6(i)に示すように、キャリアフィルム10上に複合シート7が形成される。
以上説明した、光硬化性樹脂液14を用いる方法では、現像工程において、現像液と接触する部分に選択的に光硬化性樹脂並びに光重合開始剤を存在させることができるため、高価で、熱分解性に劣る光硬化性樹脂の量を減少させることができる。
そして、図4(i)、図6(j)に示すように、キャリアフィルム10上に形成された複合シート7から、キャリアフィルム10を剥離するなどして除去することで、本発明の複合シート7単体を作製することができる。
次に、このようにして作製された複合シート7を用いて、本発明の積層部品1を製造する方法について以下に説明する。
まず、図7(a)に示すように、複数の複合シート7を準備し、これらの複合シート7を位置あわせしながら、重ね合わせ一括して圧着することによって、図7(b)に示す積層体8を形成する。なお、複合シート7中の結合性樹脂並びに光硬化性樹脂のガラス転移点以上の温度をかけながら圧着することが望ましい。また、複合シート7間に、予め、有機系接着剤をスクリーン印刷等の方法により塗布して圧着することで、更に容易に複合シート7同士を積層することができる。
なお、複合シート7同士を一括して積層する場合、すべてキャリアフィルム10を剥がして積層してもよいが、圧着時の最下面と最上面の取り扱いを考慮すれば、最下面と最上面のみはキャリアフィルム10で保持して、図8(a)〜図9(f)に示すように、複合シート7同士を積層、圧着した後に、キャリアフィルム10を剥がす工程を繰り返すことによって、図9(g)のような積層体8を形成することができる。
なお、図8(a)〜(c)に示した工程では、キャリアフィルム10上の複合シート7を他のキャリアフィルム10に一旦転写する方法を採用しているが、転写せずに、直接キャリアフィルム10上に形成した複合シート7同士を積層してもよいのはいうまでもない。
そして、このようにして作製した積層体8を、所定の温度で焼成することによって、本発明の積層部品1を作製することができる。
その際、焼成時の昇温過程において、積層体8に含まれている結合性樹脂、光硬化性樹脂などの有機成分を熱分解させ、除去し、その後、セラミック材料および導体材料が十分に焼結する温度にて、セラミック層5を相対密度95%以上に緻密化することが望ましい。
なお、焼成にあたっては、昇温して、最も収縮開始温度が低いセラミックス材料Aの収縮開始温度に到達後、徐々に昇温するか、または収縮開始温度あるいは収縮開始温度以上であり、かつセラミックス材料Bの収縮開始温度よりも低い温度で、一次的に炉内温度を保持してセラミックス材料Aが最終焼成体積収縮量の90%以上焼成収縮が進行するまで保持する。この時、セラミックス材料Aは、その温度で焼成収縮しないセラミックス材料BによってX−Y方向への収縮が抑制され、その後、セラミックス材料Aが最終焼成体積収縮量の90%以上収縮した後、セラミックス材料Bの収縮開始温度に昇温して焼成する。この焼成によって、セラミックス材料Bは、焼結がほぼ完了したセラミックス材料AによってX−Y方向への焼成収縮が抑制されZ方向に選択的に焼成収縮するその結果、セラミックス材料Aおよびセラミックス材料BともにX−Y方向への焼成収縮が抑制され、Z方向に焼成収縮した、寸法精度の高い積層部品1を作製することができる。
また、必要に応じて、表面処理として、さらに、積層部品1の表面に厚膜抵抗膜や厚膜保護膜の印刷・焼きつけ、メッキ処理、さらにICチップを含む電子部品4の実装を行ってもよい。
なお、積層部品1の表面の導体は、焼成された積層体14の表面に、導体ペーストを印刷・乾燥し、所定雰囲気で焼きつけするなどして形成してもよい。
また、積層部品1の表面に形成される表面導体3、端子電極9の表面には、半田との濡れ性を改善するために、ニッケル、金などのメッキ層が1〜3μmの厚みで形成することが望ましい。
まず、厚さ100μmのPET(ポリエチルテレフタレート)フィルムからなる光透過可能なキャリアフィルム上に、導体ペーストをスクリーン印刷法により印刷して、導体を形成した。尚、導体ペーストは、Ag粉末にバリウムホウ珪酸ガラス粉末と、セルロース、有機溶剤を加え3本ロールミルで混合したものを使用した。
次に、ガラス材料とセラミック材料を表1に示す所定の比率にて混合し、混合材料を作製し、さらに、結合性樹脂などを添加して焼成収縮開始温度が異なる第一のセラミック層5aとなるセラミックスラリーα、及び第二のセラミック層5bとなるセラミックスラリーβを作製した。
Figure 2005340445
なお、これらのセラミックスラリーは、光硬化性樹脂を含有するものと、しないものの2種類作製した。そして、それらを組み合わせ、以下の3通りの複合シートを作製した。(1)第一のセラミック層5aとなるセラミックスラリーα、及び第二のセラミック層5bとなるセラミックスラリーβのいずれにも光硬化性樹脂を含有させて作製した複合シート。(2)第二のセラミック層5bとなるセラミックスラリーβのみに光硬化性樹脂を含有させて作製した複合シート。(3)第一のセラミック層5aとなるセラミックスラリーα、及び第二のセラミック層5bとなるセラミックスラリーβのいずれにも光硬化性樹脂を含有させずに、第二のセラミック層5bに光硬化性樹脂液を塗布して作製した複合シート。
用いたセラミックスラリーのうち、光硬化成分を含有させないものについては、混合材料100質量部と、結合性樹脂(アルキルメタクリレート)20質量部と、可塑剤を3質量部、有機溶剤(エチルカルビトールアセテート)30質量部とを混合し、ボールミルで混練して作製した。
また、光硬化成分を含有させたセラミックスラリーについては、混合材料100質量部と、光硬化性樹脂(トリエチレングリコールジメタクリレート)10質量部、光重合開始剤(ベンゾフェノン類)5質量部、結合性樹脂(アルキルメタクリレート)20質量部と、可塑剤を3質量部、有機溶剤(エチルカルビトールアセテート)30質量部とを混合し、ボールミルで混練して作製した。
次に、キャリアフィルムの導体を形成した側に、セラミックスラリーαをドクターブレード法により塗布乾燥し、第一のセラミック層5aを形成した。
次に、セラミック層5aの上に、セラミックスラリーβをドクターブレード法により塗布形成し、第二のセラミック層5bを形成した。
セラミックスラリーα、Bともに光硬化性樹脂を含有させなかったものについては、さらに、第二のセラミック層5bの上に光硬化性樹脂液をスクリーン印刷で直接塗布した。なお、光硬化性樹脂液は、光硬化性樹脂としてトリエチレングリコールジメタクリレートを40質量%、光重合開始剤(ベンゾフェノン類)5質量%、結合性樹脂としてイソブチルメタクリレートを15質量%、溶剤としてブチルセロソルブを40質量%となるように混合し、24時間ボールミル混合して作製したものを使用した。
次に、キャリアフィルムの裏面側より超高圧水銀灯(照度30mW/cm)を光源として2秒間全面露光した。そして希釈濃度2.5%のトリエタノールアミン水溶液を現像液として用いて30秒間スプレー現像を行った。この後、現像後の純水による洗浄を行い、さらに乾燥した。これによってセラミック層5a及びセラミック層5bのうち、導体上の溶化部が現像により除去されて導体が露出した。
こうして、導体と、セラミック層5a及びセラミック層5bが一体化した複合シートを作製した。なお、それぞれの厚みを表2に示す。
同様に、内部導体用、表面導体用およびビア導体用、機能性セラミック層形成用の延べ50層の複合シートを作製した。
上記のようにして作製した複合シートを、図7に示すような複合シートの一括積層、及び図8、9に示すような逐次積層の2通りの方法にて積層を行った。一括積層では、キャリアフィルムを剥離した複合シートを位置決めして重ね合わせた後、60℃の温度、5.0MPaの積層圧、3分間の条件で積層圧着した。逐次積層では、各層毎に、60℃の温度、2.0MPaの積層圧、10秒間の条件で、積層、フィルム剥離を繰り返した後、最後に一括積層と同様に60℃の温度、5.0MPaの積層圧、3分間の条件で積層圧着した。
その後、大気中で300℃、4時間の条件で脱バインダ処理した後、900℃大気中で6時間焼成を行い、積層部材であるセラミック多層基板を作製した。
焼成後のセラミック多層基板の大きさは、約縦10mm、横10mm、厚み1.0mmであった。尚、複合シートの厚みにより、厚みが0.6mm及び2.0mmとなるセラミック多層基板もあった。
このセラミック多層基板に対して、所定のポイント間の長さを測定することにより、X−Y方向の焼成収縮率を測定した。なお、各試料について10個の試料を作製し、それぞれの収縮率を測定し、10個の試料の収縮率の最大収縮率と最小収縮率の差を収縮ばらつきとして評価した。また、セラミック多層基板を研磨して金属顕微鏡で観察することにより、クラック、デラミネーションの有無を評価した。
また、(4)比較例として、実施例と同様の焼成収縮開始温度が異なるセラミック層5a、セラミック層5bを形成する各組成物を用いて以下に説明する従来の製造方法によるセラミック基板の作製を行った。
表1にしめす混合材料Fと、混合材料Aのそれぞれに、結合性樹脂として結合性樹脂(アルキルメタクリレート)と、有機溶剤(トルエン)を添加してなるスラリーを調製し、従来方法であるドクターブレード法により厚み30μmのグリーンシートA及びグリーンシートFをそれぞれ25枚作製した。
そして、グリーンシートの所定の位置にパンチング等により貫通孔を形成し、この貫通孔にAg粉末を含む導電性ペーストを充填し、またこの導電性ペーストをスクリーン印刷して実施例と同様の厚み25μmの内層導体を印刷形成し、乾燥させた。
一方、最上層、最下層となるグリーンシートにも、同様の導体を形成した。
この導体が形成されたグリーンシートを、AFAFAFと交互に積層し、合わせて50層の積層体を作製した。その後、大気中にて300℃で4時間で脱バインダ処理した後、大気中で900℃、6時間の焼成を行い、セラミック多層基板を作製した。
セラミック多層基板の大きさは、同様に縦10mm、横10mm、厚み1.0mmとした。
このセラミック多層基板において、実施例と同様に基板の収縮率を測定した。また、同様に基板を研磨して金属顕微鏡で観察することにより、基板におけるクラック、デラミネーションの有無を評価した。
尚、積層方法による顕著な差は認められなかったため、表2には、一括積層して作製した試料の結果を示す。
Figure 2005340445
表2に示すように、本発明の複合シートを用いていない従来の製造方法に従って作製した本発明の範囲外である試料No.23では、デラミネーションが多発した。
また、複合シートの厚みが50μmを越える本発明の範囲外の試料No.20でも、デラミネーションが発生している。
また、本発明の範囲外である試料No.21では、複合シート中のセラミック層のうち、最も焼成収縮開始温度が高温側のセラミック層が収縮開始する時の複合シート中のセラミック層のうち、最も焼成収縮開始温度が低温側のセラミック層の収縮率が90%未満であり、X−Y方向の収縮を抑制することができなかった。
また、本発明の範囲外である試料No.22では、異なる2種類の混合材料を用いてはいるものの、両者の収縮開始温度が同じであり、同時に収縮を開始してしまい、X−Y方向の収縮を抑制することができなかった。
一方、本発明の試料No.1〜19では、X−Y方向の収縮率が10%未満となり、X−Y方向の収縮を抑制することができ、収縮ばらつきも、0.2%以下と非常に優れた値となった。また、クラック、デラミネーションの発生率は20%以下であり、歩留まりが格段に向上した。
以下に本発明の試料について、詳細に説明する。
試料No.1〜12については、セラミック層の混合材料の組成を変えたものであり、セラミック層の焼成後の熱膨張係数のうち、最大の熱膨張係数と、最小の熱膨張係数との差が2×10−6/℃以下であり、焼成収縮開始温度差が10℃以上のものである。これらについては、クラック、デラミネーションの発生が全くなく、高い歩留まりとなった。また、収縮ばらつきも小さくなっている。
試料No.13は第二のセラミック層となるセラミックスラリーβのみに光硬化成分を添加したものであり、また、試料No.14は、第一のセラミック層となるセラミックスラリーα、第二のセラミック層となるセラミックスラリーβともに光硬化成分を導入せず、第二のセラミック層5bに、光硬化樹脂を塗布して作製したものであるが、これらについてもクラック、デラミネーションの発生が全くなく、高い歩留まりとなった。また、収縮ばらつきも小さくなっている。
試料No.15〜19では、セラミック層及び導体厚みを変更しているが、積層セラミック層の厚みが50μm以下であり、これらについてもクラック、デラミネーションの発生が全くなく、高い歩留まりとなった。また、収縮ばらつきも小さくなっている。
以上の試料No.1〜19については、クラック及びデラミネーションの発生もなく、X−Y方向の収縮率も10%未満となった。
(a)は、本発明の複合シート、(b)は、本発明の積層体を説明する断面図である。 (a)は、本発明の積層部品の斜視図、(b)は、本発明の積層部品の断面図である。 本発明の複合シートの作製方法を説明するための工程図である。 本発明の複合シートの作製方法を説明するための工程図である。 本発明の複合シートの作製方法を説明するための工程図である。 本発明の複合シートの作製方法を説明するための工程図である。 本発明の積層部品を作製する他の方法を説明ための工程図である。 本発明の積層部品を作製する他の方法を説明ための工程図である。 本発明の積層部品を作製する他の方法を説明ための工程図である。
符号の説明
1・・・積層部品、セラミック多層基板
3・・・導体
5・・・セラミック層
5a・・・第一のセラミック層
5b・・・第二のセラミック層
6・・・積層セラミック層
7・・・複合シート
10・・・キャリアフィルム
14・・・光硬化樹脂

Claims (16)

  1. 無機粉末と結合性樹脂とを含有し、焼成収縮開始温度が異なる複数種のセラミック層を積層してなる厚みが50μm以下の積層セラミック層の一部に該積層セラミック層と実質的に同一厚みの導体を、前記積層セラミック層を貫通して配設したことを特徴とする複合シート。
  2. 複数種のセラミック層の焼成後の熱膨張係数のうち、最大の熱膨張係数と、最小の熱膨張係数との差が2×10−6/℃以下であることを特徴とする請求項1記載の複合シート。
  3. 複数種のセラミック層の焼成収縮開始温度のうち、最も高い焼成収縮開始温度と、最も低い焼成収縮開始温度の差が、10℃以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合シート。
  4. 積層セラミック層と、導体との厚み差が前記積層セラミック層の厚みの20%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載の複合シート。
  5. 複合シートの少なくとも一方の主面を形成するセラミック層が、光硬化性樹脂と、光重合開始剤とを含有する光硬化性セラミック層であることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれかに記載の複合シート。
  6. 前記光硬化性セラミック層の厚みが、複合シートの厚みの50%以下であることを特徴とする請求項5に記載の複合シート。
  7. セラミック層に含有される結合性樹脂の酸価が30mgKOH/g当量以上であることを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれかに記載の複合シート。
  8. 請求項1乃至7のうちいずれかに記載の複合シートを複数積層してなることを特徴とする積層体。
  9. 請求項8に記載の積層体を焼成してなることを特徴とする積層部品。
  10. (a)光透過可能なキャリアフィルムの表面に、所定の導体を形成する工程と、
    (b)キャリアフィルムの前記導体を形成した側の表面に、少なくともアルカリ現像液に可溶な結合性樹脂と第一のセラミック材料とを含有するセラミックスラリーを塗布して前記導体の厚みより薄い第一のセラミック層を形成する工程と、
    (c)前記第一のセラミック層の露出した主面に、少なくとも光硬化性樹脂、光重合開始剤、および前記第一のセラミック材料とは焼成収縮開始温度が異なる第二のセラミック材料を含有する光硬化性スラリーを塗布し、前記第一のセラミック層と合わせた厚みが、前記導体の厚み以上の厚みになるように光硬化性セラミック層である第二のセラミック層を形成する工程と、
    (d)前記キャリアフィルムの裏面より、光を照射して、前記導体が形成された領域以外の前記光硬化性セラミック層である第二のセラミック層を所定の厚みだけ光硬化させる工程と、
    (e)現像液を付与して、前記複数種のセラミック層の前記導体表面を含む非光硬化部を溶化、除去することによって、所定の厚みの積層セラミック層を形成する工程とを具備することを特徴とする複合シートの製造方法。
  11. 前記(e)工程後に、
    前記キャリアフィルムから、前記複合シートを剥離する工程を具備することを特徴とする請求項10に記載の複合シートの製造方法。
  12. (a)光透過可能なキャリアフィルムの表面に、所定のパターンの導体を形成する工程と、
    (b)キャリアフィルムの前記導体を形成した側の表面に、少なくともアルカリ現像液に可溶な結合性樹脂と第一のセラミック材料とを含有するセラミックスラリーを塗布して前記導体の厚みより薄い第一のセラミック層を形成する工程と、
    (c)前記第一のセラミック層の露出した主面に、少なくともアルカリ現像液に可溶な結合性樹脂と前記第一のセラミック材料とは焼成収縮開始温度が異なる第二のセラミック材料を含有するセラミックスラリーを塗布し、前記第一のセラミック層と合わせた厚みが、前記導体の厚み以上の厚みになるように、第二のセラミック層を形成する工程と、
    (d)前記グリーンシート表面に少なくとも光硬化性樹脂、光重合開始剤を含む光硬化性樹脂液を塗布する工程と、
    (e)前記キャリアフィルムの裏面より、光を照射して、前記導体が形成された領域以外の前記光硬化性樹脂を光硬化させる工程と、
    (f)現像液を付与して、前記光硬化性樹脂及び複数種のセラミック層における、前記導体表面の非光硬化部を溶化、除去することによって、所定の厚みの積層セラミック層を形成する工程とを具備することを特徴とする複合シートの製造方法。
  13. 前記(f)工程後に、
    前記キャリアフィルムから、前記複合シートを剥離する工程を具備することを特徴とする請求項12に記載の複合シートの製造方法。
  14. 請求項11又は請求項13に記載の複合シートの製造方法によって作製された複合シートを複数層、積層する工程を具備することを特徴とする積層体の製造方法。
  15. 請求項10又は請求項12に記載の複合シートの製造方法によって作製された複合シートを積層した後、キャリアフィルムを除去する工程を具備することを特徴とする積層体の製造方法。
  16. 請求項14又は15に記載の積層体を焼成する工程を具備し、前記焼成工程において、前記複合シート中のセラミック層のうち、最も焼成収縮開始温度が高温側のセラミック層が収縮開始する時、前記複合シート中のセラミック層のうち、最も焼成収縮開始温度が低温側のセラミック層を最終焼成体積収縮量の90%以上焼成収縮させることを特徴とする積層部品の製造方法。
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