JP2005340370A - 化合物半導体素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】 サファイアやSiC等の異材質基板上にMgZ-nO系酸化物素子層をMOVPE法により高能率かつ高品質にて成長できる化合物半導体素子の製造方法を提供する。
【解決手段】 結晶a軸を主表面法線としたサファイア単結晶基板又は結晶c軸を主表面法線としたSiC単結晶基板からなる成長用基板10の主表面上に、MgZn1−xO(ただし、0≦x≦1)からなるバッファ層11を形成する際に、成長用基板上に分散するMgZn1−xO微結晶からなる予備バッファ層11Sを、OガスをO源ガスとして用いて成長し、次に、MgZn1−xO微結晶を種結晶として、成長用基板の全面を覆うMgZn1−xO単結晶からなるバッファ層本体を、酸化窒素をO源ガスとして用いて成長する。
【選択図】 図5

Description

この発明は化合物半導体素子の製造方法に関する。
特開2001−68485号公報
従来の技術
ZnOないしMgOとZnOとの混晶(以下、これらを総称して「MgZnO系酸化物」ともいう)からなるII−VI族化合物半導体素子は、AlGaInN系材料に代わるワイドギャップ型発光素子(発光ダイオードあるいは半導体レーザー素子)を始め、受光素子、圧電素子、シンチレーターなどのX線蛍光素子などへ広く応用することが検討されている。
ZnO系酸化物は真空雰囲気中での気相成長により得られるが、安価で高品質なバルク単結晶の入手が困難であるため、サファイアやSiC等の異材質基板を用いたヘテロエピタキシャル成長を採用することになる。しかし、サファイアやSiCは、結晶系はZnOに近いものの、格子定数が大きく異なるため、結晶性の良好な素子層をエピタキシャル成長するためには、基板と素子層との間には適当なバッファ層を挿入する必要がある。特許文献1には、分子線エピタキシー(Molecular Beam Epitaxy:MBE)法にてサファイア基板上に低温でZnOバッファ層を成長した後、高温で熱処理し、その上に素子層となるMgZnO単結晶層をバッファ層よりも厚く成長する方法が開示されている。該文献によると、バッファ層全体を低温成長することで層表面が平坦化し、該バッファ層上に成長されるMgZnO単結晶層の結晶品質を向上できると述べられている。
上記特許文献1では、層の平坦化などバッファ層の品質向上を図るために、段落0034に記載されているごとく、MBE法によりZnリッチの予備層を成長した後、Oラジカルビームを照射しつつ熱処理することにより、最終的な低温ZnOバッファ層を得るようにしている。つまり、特許文献1では、非化学量論的な組成で予備層を成長する工程が必須とされており、採用できる結晶成長法も、非化学量論的な成長にも対応できるMBE法の採用が必須となる。しかし、MBE法は層成長速度が小さく、大面積化あるいは複数枚化への対応に際しては、膜厚均一性を保ったまま実現することが難しく、量産性が悪い欠点がある。
一方、層成長速度が比較的大きく量産性にも優れた結晶成長方法に、有機金属気相成長(Metal-Oxide Vapor Phase Epitaxy:MOVPE)法がある。しかし、MOVPE法は基本的に化学量論的な組成の層成長に適した方法であり、化学量論的組成のZnOバッファ層では低温成長を採用しても、その後に成長するMgZnO単結晶層の下地層として平坦性あるいは結晶均一性などの点で十分良好な結晶状態を実現することが難しく、結果的に良好な品質のMgZnO単結晶層を得ることができない。他方、特許文献1のごとく、非化学量論的な組成の予備層を低温で成長するという、MBE法においてのみ有効な条件を敢えてMOVPE法に横滑りさせて実施しても、結晶が基板上に微結晶として凝集しやすくなり、基板被覆状態が均一で平坦なZnOバッファ層を形成できず、良好な品質のMgZnO単結晶層を得ることは同様に不可能である。以上の問題については、本発明者が当該の方法により得られたZnO単結晶層をフォトルミネッセンス(PL)特性にて評価したところ、バンド端起因の蛍光よりも、欠陥起因である青色蛍光がしばしば強くなる結果が得られること、さらにばホール測定法により電気的特性評価したとき、ホール移動度がアモルファスZnO層と同程度の特性しか得られないことなどからも裏付けられている。
本発明の課題は、サファイアやSiC等の異材質基板上にMgZnO系酸化物素子層をMOVPE法により高能率かつ高品質にて成長できる化合物半導体素子の製造方法を提供することにある。
課題を解決するための手段及び作用・効果
上記の課題を解決するために、本発明の化合物半導体素子の製造方法は、
結晶a軸を主表面法線としたサファイア単結晶基板又は結晶c軸を主表面法線としたSiC単結晶基板からなる成長用基板の主表面上に、MgZn1−xO(ただし、0≦x≦1)からなるバッファ層をMOVPE法により成長するバッファ層成長工程と、
バッファ層上にMgZn1−xO(ただし、0≦x≦1)からなる素子層をMOVPE法によりエピタキシャル成長する素子層成長工程とを有し、
バッファ層成長工程は、成長用基板上に分散するMgZn1−xO微結晶からなる予備バッファ層を、OガスをO源ガスとして用いて成長する予備バッファ層成長工程と、前記MgZn1−xO微結晶を種結晶として、成長用基板の全面を覆うMgZn1−xO単結晶からなるバッファ層本体を、酸化窒素をO源ガスとして用いて成長するバッファ層本体成長工程とを含むことを特徴とする。
上記本発明の製造方法においては、サファイア又はSiC単結晶からなる成長用基板上にMgZnO系単結晶素子層を成長するためのMgZnO系バッファ層を、特許文献1のように単一層として一括成長するのではなく、まず、バッファ層本体を成長するのに先立って、MgZnO微結晶からなる予備バッファ層をO源ガスとしてOガスを用いて成長し、該予備バッファ層に含まれるMgZnO微結晶を種結晶として、成長用基板の全面を覆うMgZnO単結晶からなるバッファ層本体をO源ガスとして酸化窒素ガスを用いて成長する。O源としてOガスを用いると、II族金属のMOガス(例えばジエチルZn)とOガスとの気相反応によって反応前駆物が気相中で形成されやすくなり、それが基板表面に堆積するため、層の面内連続性は損なわれやすいが、気相中で微結晶化するため、成長用基板の主表面に品質の高い種結晶として形成できる。つまり、成長するMgZnOの両内の連続性は損なわれやすくなるが、基板結晶との整合性が良好で結晶欠陥の少ない高品位の微結晶は逆に得られやすくなる。また、成長用基板(サファイア又はSiC)の主表面上に成長した微結晶群の結晶面内(サファイアの場合はa軸、SiCの場合はc軸での回転が生じにくくなり、結晶面内での回転方向の格子不整合が抑制されるとともに、結晶軸方向の結晶配向も強く維持できる。
しかし、予備バッファ層の成長条件をそのままバッファ層本体の成長条件にも適用すると、MgZnO結晶が基板主表面内で分離して存在し、かつ大きさの異なる種結晶が個々に異なる成長速度で成長していくため、平坦な膜を得ることができなくなる。従って、予備バッファ層はあくまで種結晶となる微結晶を形成する程度にとどめ、その後のバッファ層本体の成長には、面内方向の層の連続性を維持するのに好適なO源ガスに切り替えて成長を行う。具体的には、バッファ層本体を成長するためのO源ガスとして酸化窒素ガスを用い、バッファ層本体の少なくとも最初の部分を成長する。これにより、成長用基板の主表面の全面を結晶性の良好な単結晶バッファ層で覆うことができ、MOVPE法を用いているにもかかわらず、後に成長する単結晶素子層の下地層としての十分良好な結晶状態を実現できるので、高品質の単結晶素子層を得ることができる。
なお、特許文献1は、バッファ層はあくまで単一層として成長する概念を開示するものであり、平坦性の向上も含めたバッファ層の品質改善のため、層をなす酸化物の化学量論比を敢えてZnリッチ側にシフトさせる、という、原理的にも非常に特殊な方法を採用しており、大面積化や複数枚化への応用が不向きで生産性の低いMBEしか採用できない背景がある。これに対し本発明は、VI族原子/II族原子比の切替えにより、先に結晶性の良好な微結晶を予備バッファ層として成長した後に、これを種結晶として用いてバッファ層本体を形成するので、バッファ層の品質改善機構が特許文献1とは原理的に全く異なり、層をなす酸化物も、気相成長が最も容易な化学的量論組成を採用するのに何の障害もない。換言すれば、本発明の製造方法では、層をなす酸化物の化学量論比を、わざわざ面倒な非化学的量論組成とする必然性を原理的に全く有さないのであり、当然、バッファ層はMOVPE法に適した化学量論組成のMgZn1−xO層として成長すればよいのである。
バッファ層本体を成長するためのO源ガスとしてはNO(亜酸化窒素)ガスを使用することが望ましい。O源としてNOを採用すると上記の気相反応が抑制され、基板表面での反応がより支配的となるため、連続性の向上したバッファ層本体の成長に有利である。また、後述のごとく、バッファ層本体を非晶質層として形成することも容易となる。
予備バッファ層は成長用基板の主表面の面積被覆率が1%以上50%以下となるように形成することが望ましい。面積被覆率が1%未満になっても、また50%を超えても、いずれもバッファ層本体を面内方向に連続した単結晶層として得るための、種結晶としての機能を十分に確保することができなくなる。なお、上記の面積被覆率は、より望ましくは1%以上10%以下とすることが望ましい。
また、予備バッファ層の成長温度は200℃以上600℃未満に設定することが望ましい。成長温度200℃未満ではMOガス(特にジエチルZn)の分解が進みにくくなり、微結晶の成長が妨げられる。一方、成長温度が600℃以上になると、基板到着以前の気相中における反応が進みすぎ、また、基板からのZnOの再蒸発過程も起こりやすくなるので、基板主表面への微結晶の付着確率が低下する。
予備バッファ層を成長する際の、反応容器内に供給するII族元素の原料ガスとVI族元素の原料ガスとの供給比は、前述の気相反応による微結晶の形成を促進するために、VI族原子/II族原子比にて500以上10,000以下に設定することが望ましい。該比が500未満になると反応が十分に進まずにMOから生じた金属リッチなドロップレットが生じるため、種結晶としての機能を果たさない結晶を生成する結果となり、10,000を超えると気相中でのMOとの酸化反応が支配的となり、基板上に種結晶が化学吸着せず、気相中でMOと酸化反応した酸化粉末が基板表面に物理吸着するだけの結果となる。いずれも、MgZn1−xO層の成長に有効な良好な種結晶を得られなくなることにつながる。
バッファ層本体の予備バッファ層と接する部分は、はじめから結晶質の層として成長してもよいが、成長温度を下げることにより非晶質層として成長し、その後、該非晶質層を結晶化温度以上に加熱して単結晶化する方法を採用すると、最終的に得られるバッファ層本体の平坦性をより高めることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の適用対象となる発光素子を積層構造にて模式的に示すものである。該発光素子1は、サファイア基板(成長用基板:SiC単結晶基板でもよい)10の第一主表面上に、バッファ層11、第一クラッド層(本実施形態ではn型)34、活性層33及び第二クラッド層(本実施形態ではp型)32がこの順序にて積層された発光層部24を有している。そして、バッファ層11及び発光層部24をなす各層32〜34は、いずれもMgZn1−aO層(0≦a≦1:以下、MgZnOとも記す:ただし、混晶比aの範囲からも明らかなように、MgZnOと記していても、これはMgO及びZnOの各単体酸化物の概念を含むものである)として、サファイア基板10上へのヘテロエピタキシャル成長により形成されている。なお、サファイア基板10は絶縁性であり、発光層部24の一部を切り欠くことにより第一クラッド層34を露出させ、この露出部に形成した対向電極125と、第二クラッド層32の第一主表面の一部を覆う主電極122との間で発光層部24の駆動通電を行なうようにしている。
p型クラッド層32には、p型ドーパントとして、例えばN、Ga、Al、In、Li、As、Pの一種又は2種以上が添加されている。他方、n型クラッド層34は、MgZnOがO欠損により本来的にn型となりやすく、ノンドープにてn型とすることもできるが、キャリア濃度制御のため、B、Al、Ga及びIn等のn型ドーパントを積極添加することが望ましい。
活性層33は、これを構成するMgZn1−aOの混晶比aにより発光波長が定められる。波長280nm〜400nmの紫外線発光を行なわせる場合は0≦a≦0.5の範囲にて選択する。また、クラッド層33,34との間に形成されるポテンシャル障壁の高さは、発光ダイオードでは0.1eV〜0.3eV程度、半導体レーザー光源では0.25eV〜0.5eV程度とするのがよい。この値は、両クラッド層の各混晶比により決定できる。
図2は、MgZnOの結晶構造を示すもので、いわゆるウルツ鉱型構造を有する。該構造では、酸素原子層と金属原子(ZnイオンまたはMgイオン)層とがc軸方向に交互に積層される形となっており、c軸が層厚方向に沿うように形成される。コランダム型構造を有する酸化物は、酸素(O)原子の格子が六方晶系の原子配列を有し、そのc軸方向にO原子(イオン)層と金属原子(イオン:図ではAl)層とが交互に積層された構造を有する。そこで、基板主軸をa軸としたサファイア基板は、ウルツ鉱型結晶構造を有するMgZnO型酸化物を直交する上記c軸方向にヘテロエピタキシャル成長させるための成長用基板として使用できる。
カチオンであるZn原子とアニオンであるO原子とは、面内投影位置が一致している場合にクーロンエネルギーが最小となり、ヘテロ界面もエネルギー的に最も安定となる。従って、このエネルギー安定点になるべく近づく形でエピタキシャル成長も進行する。この場合の、サファイア基板の主表面をなすa軸を法線とする結晶基面(いわゆるA面)と、ZnO層の主表面をなすc軸を法線とする結晶基面(いわゆるC面)との間の格子対応は、図6に模式的に示す通りとなる(参考文献:Fons et al., Appl. Phys. Lett., 77(2000)1801)。これによると、ZnO層のC面内最密方向におけるZn原子と、サファイア基板A面内のO原子との間には、周期的に一致点が存在することがわかる。具体的には、図面水平方向に追跡すれば明らかな通り、7つのZn原子からなる正六角形上の配列単位2周期毎に、Zn原子とサファイアO原子との重なり点が発生していることがわかる(より正確には、0.07%程度の格子不整合が存在する)。上記の格子対応関係は、図から明らかな通り、Zn原子とサファイアO原子との格子一致点が面内直交方向に非対称な長方形状の配列となっているから、180゜以下の角度の回転対称性を有さない。その結果、Zn原子とサファイアO原子との一致点におけるクーロン相互作用的なピンニング効果により、成長するZnO結晶の面内回転が効果的に防止される。
上記の観点で、サファイア基板は、図1に示すように、素子層の成長に先立って、両者の格子不整合を吸収するためのバッファ層11を形成することにより、ZnO成長用の基板として好適に利用できる。なお、六方晶型SiCも、結晶c軸を主軸とする単結晶基板をMgZnO型酸化物の成長用基板として同様に使用できるが、上記格子不整合率は5.49%と、サファイア基板ほどではないがこれもかなり大きく、事情は概ね同じである。バッファ層11はMgZnO系酸化物層、本実施形態ではZnO層として形成される。具体的には、図4に示すごとく、サファイア基板10の第一主表面上に、種結晶となるZn微結晶(個々の微結晶の寸法は例えば1nm以上50nm以下)を分散形成して予備バッファ層11Sとし、次いで該予備バッファ層11Sを含めてサファイア基板10の第一主表面の全面を覆うバッファ層本体11Aを形成したものである。図6において、一致点以外でのZn原子とサファイアO原子とは、格子不整合が最大75%にも達するため、成長モードは面内に均一な層状のエピタキシャル成長ではなく、ストランスキー・クラスタノフ成長と呼ばれる粒状成長が主体的になりやすい。従って、面内に連続したZnO系酸化物層を成長することは難しいが、面内回転も含めた格子整合性の良好な種結晶を形成する観点においては却って望ましいのである。
以下、上記発光素子の製造工程の一例を説明する。まず、図3の工程1に示すように、サファイア基板10を反応容器内にセットする。次に、工程に示すように、サファイア基板10上にMgZnOからなるバッファ層11をエピタキシャル成長する。そして、該バッファ層11上に、素子層たる発光層部24として、第一クラッド層34(層厚例えば50nm)、活性層33(層厚例えば30nm)及び第二クラッド層32(層厚例えば50nm)をこの順序にてエピタキシャル成長する。これら各層のエピタキシャル成長は、前述の通りMOVPE法にて成長できる。気相での化学反応によりMgZnO系酸化物が生成するので、得られるMgZnO系酸化物は化学量論組成を有したものとなる(ただし、層形成過程で不可避的に生ずるO欠損の、マクロな組成への影響は無視できるものとして考える)。反応容器内の温度は、層形成のための化学反応を促進するため、加熱源(本実施形態では赤外線ランプ)により調整される。各層の主原料としては次のようなものを用いることができる。
・酸素成分源ガス:酸素ガスを用いることもできるが、酸化性化合物ガスの形で供給することが、後述する有機金属との過度の反応を抑制する観点において望ましい。具体的には、NO、NO、NO、COなど。本実施形態では、NO(亜酸化窒素)を用いている。
・Zn源(金属成分源)ガス:ジメチル亜鉛(DMZn)、ジエチル亜鉛(DEZn)など。本実施形態ではジエチル亜鉛(DEZn)を採用する。
・Mg源(金属成分源)ガス:ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)など。
また、p型ドーパントガスとしては次のようなものを用いることもできる;
・Li源ガス:ノルマルブチルリチウムなど;
・Si源ガス:モノシランなどのシリコン水素化物など;
・C源ガス:炭化水素(例えばCを1つ以上含むアルキルなど);
・Se源ガス:セレン化水素など;
・As源ガス:アルシンなど;
・P源ガス:ホスフィンなど。
さらに、Al、Ga及びIn等のIII族元素の1種又は2種以上は、V族元素であるNとの共添加により良好なp型ドーパントとして機能させることができる。ドーパントガスとしては以下のようなものを使用できる;
・Al源ガス;トリメチルアルミニウム(TMAl)、トリエチルアルミニウム(TEAl)など;
・Ga源ガス;トリメチルガリウム(TMGa)、トリエチルガリウム(TEGa)など;
・In源ガス;トリメチルインジウム(TMIn)、トリエチルインジウム(TEIn)など。
p型ドーパントとして金属元素(Ga)とともにNが使用される場合、p型MgZnO層の気相成長を行なう際に、N源となる気体を、Ga源となる有機金属ガスとともに供給するようにする。例えば、本実施形態では、酸素成分源として使用するNOがN源としても機能する形となる。
他方、B、Al、Ga及びIn等のIII族元素は、単独で用いることによりn型ドーパントとして機能させることができる。ドーパントガスとしては、Al、Ga及びInについては、p型ドーパントの項で説明したものが同様に使用できる。また、Bに関しては、例えばジボラン(B)を用いることができる。
上記の各原料ガスをキャリアガス(例えば窒素ガス)により適度に希釈し、反応容器内に供給する。なお、各層の混晶比の違いにより、層毎にII族元素であるMg源及びZn源となる有機金属ガスMOの流量比をマスフローコントローラMFC等により制御する。また、酸素成分源ガスであるNO及びp型ドーパント源ガスの流量もマスフローコントローラMFCにより制御する。
本発明の要部であるバッファ層11の成長は以下のようにして行なう。まず、層成長に先立って、サファイア基板10を酸化性ガス雰囲気下にて十分にアニール処理する。酸化性ガスは、O、CO、NOのいずれかから選択できるが、後述する層成長時の酸素成分源ガスと共用するため、本実施形態ではNOを使用している。アニール処理温度は、MOVPEの反応容器内にて行なう場合は、750℃以上(基板の融点よりも低温)にて30分以上の保持時間で行なうことが望ましい。ただし、湿式洗浄等により基板表面の清浄化が十分可能である場合には、アニール処理時間をこれよりも短縮して差し支えない。上記アニール処理が終了すれば、酸化性ガス雰囲気を保持した状態にて基板温度を、欠損等の発生を抑制するために250〜350℃(本実施形態では350℃)に設定される第一温度に低下させる。そして、温度が設定値に安定すれば酸化性ガスの供給を止め、窒素ガスで反応容器内を置換して酸化性ガスを十分にパージアウトする。
次に、予備バッファ層を成長するために、反応容器内には酸素成分源ガス(VI族元素源)としてのOガスを第一の流量にて流通し、その状態でランプ加熱により、サファイア基板10の温度を200℃以上600℃以下、望ましくは250℃以上400℃以下に設定された第一成長温度に昇温する。
そして、第一成長温度に到達・安定したら、有機金属ガス(II族元素源)であるDEZnを反応容器内に供給し、図4の工程Aに示すように、ZnO微結晶からなる予備バッファ層11Sを成長する。ZnO微結晶によるサファイア基板10の主表面の面積被覆率は1%以上50%以下、望ましくは1%以上10%以下である(例えば5%)である。また、反応容器内に供給する有機金属ガスと酸素成分源ガス(ここではOガス)との供給比1は、VI族原子/II族原子比にて表した値にて500以上10,000以下、望ましくは2,000以上5,000以下の値に設定する。
次に、図4の工程Bに示すように、第一の単位層11Aが規定の厚さに到達したら有機金属ガスはDEZnのままとし、O源ガスをNOガスに切替えてバッファ層本体11Aを成長する。予備バッファ層11Sを成長する際に、O源としてOガスを用いると、II族金属のMOガス(例えばジエチルZn)とOガスとの気相反応によって反応前駆物が気相中で形成されやすくなり、それが基板表面に堆積するため、図7の工程Aに示すように、成長する層の連続性は損なわれやすくなるが、基板結晶との整合性が良好で結晶欠陥の少ない高品位の微結晶は逆に得られやすくなる。また、図8に示すように、成長用基板10の主表面上に成長した微結晶群(11S)のc面内での回転が生じにくくなり、c面内での回転方向の格子不整合が抑制されるとともに、c軸方向の結晶配向も強く維持できる。他方、バッファ層本体11Aの成長に使用するNOガスをO源ガスとして用いると、図9に示すように、微結晶群(11S)のc面内での回転が生じやすくなり、バッファ層本体11Aを単結晶として得るための種結晶としては不向きなものとなる。
このように、予備バッファ層11Sに含まれる微結晶を種結晶として用い、バッファ層本体11AをNOガスに切替えて成長することで、サファイア基板10の主表面の全面を結晶性の良好な単結晶バッファ層で覆うことができる。
以上のようにしてバッファ層11の形成が終了すれば、図3の工程3のごとく、発光層部24をなす各層34、33、32を、該バッファ層11上にMOVPE法により成長する。上記の工程の採用により、バッファ層11は最表面の平坦度が高く結晶品質も良好であるから、得られる発光層部24の平坦度や結晶品質も向上し、優れた発光特性を示すようになる。発光層部24の成長が終了すれば、図1に示すように活性層33及びp型MgZnO層32の一部をフォトリソグラフィー等により一部除去して、主電極122及び対向電極122を形成し、その後、基板10とともにダイシングすれば発光素子1が得られる。光取出は、主として透明なサファイア基板10側から行なうことになる。
なお、図5の工程B1に示すように、バッファ層本体11A’を非晶質層として成長することもできる(結晶化前の層であることを表すために、符号には「’」を付与している)。この場合、サファイア基板10の温度(成長温度)は250℃以上400℃以下にすると、非晶質層を得る上でより好都合である。また、反応容器内に供給する有機金属ガスと酸素成分源ガス(ここではNOガス)との供給比1は、VI族原子/II族原子比にて表した値にて200以上3,000以下、望ましくは1,000以上2,000以下の、比較的小さな値R1に設定する。VI族原子の割合を比較的小さく設定するのは、成長温度が低いため、堆積した第一の単位層11AからのO原子の離脱が比較的生じ難いためである。
非晶質層11A’は、工程B2に示すように、その後、サファイア基板10の温度を、600℃以上1,100℃以下、望ましくは650℃以上900℃以下に設定された熱処理温度に昇温して一定時間保持して結晶化させる(結晶化後の第一の単位層は「’」なしの符号11Aにて表す)。この結晶化は、下地の予備バッファ層11Sの種結晶11Sを核とすることで均一に進行させることができ、良好な単結晶状態が得られやすくなる。
非晶質層11A’の層厚は1nm以上10nm以下に設定するのが望ましい。層厚が1nm未満になると、成長後の第一の単位層を昇温して結晶化を進行させる段階で、層の凝集が進みやすくなり、層の面内方向の連続性が失われて、最終的に得られるバッファ層全体の結晶性や平坦性も損なわれやすくなる。一方、第一の単位層の層厚が10nmを超えると、基板との整合応力場の影響が層表面付近で希薄となり、層表面側からの再結晶が進みやすくなり、層をなす結晶が面内で回転するなどの問題が生じ、その後の熱処理により単結晶化することが困難になる。この場合、非晶質層11A’の厚さだけでは十分なバッファ層厚を確保できないこともあり、工程B2に破線で示すように、結晶化後の層11Aをベースにして新たなバッファ層部分11Bをエピタキシャル成長するようにしてもよい。
なお、以上の実施形態ではバッファ層11をZnO層として形成したが、MgOとの混晶層として形成してもよい。また、本発明に適用対象として発光素子を例示したが、本発明が適用可能な化合物半導体素子は発光素子に限られるものではなく、フォトダイオードやフォトトランジスタなどの受光素子、圧電素子、シンチレーターなどのX線蛍光素子などへも適用可能である。
本発明の適用対象となる化合物半導体素子の一例である発光素子を、積層状態にて示す模式図。 ZnOの結晶構造を模式的に示す図。 図1の発光素子の各層の成長をMOVPEにより行なう工程説明図。 バッファ層の成長工程の第一例を示す説明図。 バッファ層の成長工程の第二例を示す説明図。 MgZnO系酸化物とサファイア基板との結晶的な不整合を模式的に示す図。 予備バッファ層の機能を、バッファ層本体との結晶整合状態とともに模式的に示す図。 予備バッファ層を成長する際にO源ガスとしてOガスを用いることの効果説明図。 予備バッファ層を成長する際にO源ガスとしてNOガスを用いることの問題点を説明する図。
符号の説明
1 発光素子(化合物半導体素子)
10 サファイア基板(素子基板)
11 バッファ層
11S 予備バッファ層
11A バッファ層本体
24 発光層部(素子層)

Claims (7)

  1. 結晶a軸を主表面法線としたサファイア単結晶基板又は結晶c軸を主表面法線としたSiC単結晶基板からなる成長用基板の主表面上に、MgZn1−xO(ただし、0≦x≦1)からなるバッファ層をMOVPE法により成長するバッファ層成長工程と、
    前記バッファ層上にMgZn1−xO(ただし、0≦x≦1)からなる素子層をMOVPE法によりエピタキシャル成長する素子層成長工程とを有し、
    前記バッファ層成長工程は、前記成長用基板上に分散するMgZn1−xO微結晶からなる予備バッファ層を、OガスをO源ガスとして用いて成長する予備バッファ層成長工程と、前記MgZn1−xO微結晶を種結晶として、前記成長用基板の全面を覆うMgZn1−xO単結晶からなるバッファ層本体を、酸化窒素をO源ガスとして用いて成長するバッファ層本体成長工程とを含むことを特徴とする化合物半導体素子の製造方法。
  2. 前記バッファ層は化学量論組成のMgZn1−xO層として成長されることを特徴とする請求項1記載の化合物半導体素子の製造方法。
  3. 前記バッファ層本体を成長するためのO源ガスとしてNOガスを使用することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化合物半導体素子の製造方法。
  4. 前記予備バッファ層は前記成長用基板の前記主表面の面積被覆率が1%以上50%以下となるように形成することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の化合物半導体素子の製造方法。
  5. 前記予備バッファ層の成長温度を200℃以上600℃未満に設定することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の化合物半導体素子の製造方法。
  6. 前記予備バッファ層を成長する際の、反応容器内に供給するII族元素の原料ガスとVI族元素の原料ガスとの供給比を、前記VI族原子/II族原子比にて500以上10,000以下に設定する請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の化合物半導体素子の製造方法。
  7. 前記バッファ層本体の前記予備バッファ層と接する部分を非晶質層として成長し、その後、該非晶質層を結晶化温度以上に加熱して単結晶化することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の化合物半導体素子の製造方法。
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