JP2005339994A - 燃料電池の出力特性推定装置及び出力特性推定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 燃料電池の出力特性を正確かつ応答性よく推定できる方法を提案する。
【解決手段】 本発明に関わる燃料電池の出力特性推定方法は、負荷要求に応答して燃料電池の発電電流を可変制御する可変電流発電モードと燃料電池の発電電流を予め定められた一定の電流指令値に制御する定電流発電モードとを切り替えて発電制御される燃料電池の出力特性を推定する方法であって、可変電流発電モードでの発電制御時に前記一定の電流指令値に対応する燃料電池の実電圧値を記憶する記憶ステップ(S3)と、可変電流発電モードから定電流発電モードへ切り替わったときに燃料電池の出力電圧が記憶ステップで記憶された実電圧値に一致するように燃料電池の出力特性を推定する出力特性推定ステップ(S7)を備える。
【選択図】 図2
【解決手段】 本発明に関わる燃料電池の出力特性推定方法は、負荷要求に応答して燃料電池の発電電流を可変制御する可変電流発電モードと燃料電池の発電電流を予め定められた一定の電流指令値に制御する定電流発電モードとを切り替えて発電制御される燃料電池の出力特性を推定する方法であって、可変電流発電モードでの発電制御時に前記一定の電流指令値に対応する燃料電池の実電圧値を記憶する記憶ステップ(S3)と、可変電流発電モードから定電流発電モードへ切り替わったときに燃料電池の出力電圧が記憶ステップで記憶された実電圧値に一致するように燃料電池の出力特性を推定する出力特性推定ステップ(S7)を備える。
【選択図】 図2
Description
本発明は燃料電池の出力特性推定技術に関し、特に、可変電流発電モードから定電流発電モードに切り替えて燃料電池の出力特性を推定するときの推定精度を向上させる改良技術に関する。
特開2002−231295号公報にはスタック温度又は水素供給圧などから定まる燃料電池の基本内部抵抗(予め実験などで求めたマップ)と、燃料電池の理論出力特性(内部抵抗を無視した燃料電池のI−Vマップ)とから燃料電池の基本出力特性を算出し、燃料電池の出力電流(実電流)及び出力電圧(実電圧)を基に内部抵抗を補正して燃料電池の出力特性(I−V特性)を推定する技術が開示されている。
特開2002−231295号公報
しかし、燃料電池のI−V特性はスタック温度、反応ガス流量、湿度、経年劣化などによって大きく変動するため、特開2002−231295号公報に記載の推定方法では燃料電池の全電流域のI−V特性を推定することはできず、動作点近傍にある一部の電流域についてしかI−V特性を正しく推定できない。このため、電流指令値が変化すると、I−V特性を新たに推定し直さなければならないので、燃料電池の出力電流が電流指令値に一致するまでに応答遅れが生じていた。
更に、発電停止時に実施している水素消費制御では一定の発電電流で発電することにより水素配管内に残留している水素ガスを消費し、理論上の圧力降下推定値と実際の圧力降下を比較して水素配管のガス漏れを検出している。I−V特性が誤っていると、誤推定しているI−V特性から電流指令値に対応する目標電圧を求めてDC/DCコンバータにより燃料電池の出力電圧を調整するため、燃料電池の出力電流は電流指令値に一致せず、ガス漏れ判定を誤る可能性がある。
そこで、本発明は上述の問題を解決し、燃料電池の出力特性を正確かつ応答性よく推定できる燃料電池の出力特性推定装置及び出力特性推定方法を提案することを課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明に関わる燃料電池の出力特性推定装置は、負荷要求に応答して燃料電池の発電電流を可変制御する可変電流発電モードと燃料電池の発電電流を予め定められた一定の電流指令値に制御する定電流発電モードとを切り替えて発電制御される燃料電池の出力特性を推定する装置であって、可変電流発電モードでの発電制御時に前記一定の電流指令値に対応する燃料電池の実電圧値を記憶する記憶手段と、可変電流発電モードから定電流発電モードへ切り替わったときに燃料電池の出力電圧と記憶手段に記憶された実電圧値とに基づいて燃料電池の出力特性を推定する出力特性推定手段を備える。可変電流発電モードから定電流発電モードに切り替わる短時間の間に燃料電池の出力特性が大きく変化することはないため、発電モード切り替え後の出力特性推定処理を精度よく、しかも短時間で応答性よく行える。
本発明に関わる燃料電池の出力特性推定方法は、負荷要求に応答して燃料電池の発電電流を可変制御する可変電流発電モードと燃料電池の発電電流を予め定められた一定の電流指令値に制御する定電流発電モードとを切り替えて発電制御される燃料電池の出力特性を推定する方法であって、可変電流発電モードでの発電制御時に前記一定の電流指令値に対応する燃料電池の実電圧値を記憶する記憶ステップと、可変電流発電モードから定電流発電モードへ切り替わったときに燃料電池の出力電圧と記憶ステップで記憶された実電圧値とに基づいて燃料電池の出力特性を推定する出力特性推定ステップを備える。可変電流発電モードから定電流発電モードに切り替わる短時間の間に燃料電池の出力特性が大きく変化することはないため、発電モード切り替え後の出力特性推定処理を精度よく、しかも短時間で応答性よく行える。
定電流発電モードとして、例えば、電池運転停止後にシステム内に残留する燃料ガスを消費するための発電モードにすることができる。燃料電池の出力電流を精度よく電流指令値に制御することで、燃料ガス消費に伴う理論上の圧力降下推定値と実際の圧力降下を比較して燃料ガス配管などのガス漏れを精度よく検出できる。
本発明によれば、定電流発電モード切り替え後の出力特性推定処理を精度よく、しかも短時間で応答性よく行える。
図1は燃料電池車両に搭載される燃料電池システムの主要構成図である。同図に示すように、燃料電池システム10は、主に、反応ガス(燃料ガス、酸化ガス)の供給を受けて電力を発電する燃料電池(セルスタック)20と、燃料電池20のアノード極に燃料ガスを供給する燃料ガス供給装置31と、燃料電池20のカソード極に酸化ガスを供給する酸化ガス供給装置32と、燃料電池10の出力電圧を制御するDC/DCコンバータ41と、燃料電池20の運転状態を制御する制御部50を備えて構成されている。
燃料電池20の出力端子には電力負荷としてのモータ44とインバータ43が電力ライン21a,21bを介して接続されている。モータ44は車両走行の推進力を得るための電動モータであり、例えば、三相同期モータとして構成されている。インバータ43は例えば、6個のパワートランジスタで構成される3相ブリッジ回路を備えており、トランジスタのスイッチング作用によって直流電力を交流電力(三相交流)に変換し、モータ44に供給している。パワートランジスタの制御は制御部50によって行われ、インバータ43からは制御部50に対してスイッチング制御に必要な情報が送信されている。インバータ43は、制御部50からの要求指示に応答して、モータ44の出力トルク及び回転数を所望の値に調整するために必要な三相交流電流の振幅及び周波数を調整し、モータ44に供給する。DC/DCコンバータ41はシステムの運転状態に対応して燃料電池20の出力電圧(電力ライン21a,21bの電圧)を調整する電圧制御手段として機能する他、燃料電池20から出力される直流電圧をダウンコンバートして補機類電源供給用の二次電池42を充電する。DC/DCコンバータ41の電力変換制御は制御部50によって制御されている。
制御部50は通常運転時には可変電流発電モード(通常発電モード)で燃料電池20の発電制御を行い、発電停止時には定電流発電モードで燃料電池20の発電制御を行う。可変電流発電モードとは負荷要求に応答して燃料電池20の発電電流を可変制御する発電モードをいい、定電流発電モードとは燃料電池20の発電電流を予め定められた一定の電流指令値に制御する発電モードをいう。通常運転時には制御部50はアクセルセンサ63が検出したアクセル開度や車速センサ64が検出した車速などを基に要求負荷を算出し、燃料電池20の発電電力が目標電力に一致するように燃料ガス供給装置31、酸化ガス供給装置32、及びDC/DCコンバータ41を制御して燃料ガス流量、酸化ガス流量、及び燃料電池20の出力電圧を調整する。一方、発電停止時には制御部50は水素配管系のバルブを閉弁し、定電流発電によって水素配管内に残留する水素ガスを消費する。水素消費に伴う水素配管の理論上の圧力降下推定値と実際の圧力降下を比較することにより水素配管のガス漏れやバルブの故障を検出する。
可変電流発電モード又は定電流発電モードにおいて燃料電池20のI−V特性を推定するには、例えば、特開2002−231295号公報にて開示されているように、スタック温度又は水素供給圧などから定まる燃料電池20の基本内部抵抗(予め実験などで求めたマップ)と、燃料電池20の理論出力特性(内部抵抗を無視して予め実験などで求めた燃料電池20のI−Vマップ)とから燃料電池20の基本出力特性を算出し、電流センサ61及び電圧センサ62によって検出された燃料電池20の出力電流(実電流)及び出力電圧(実電圧)を基に内部抵抗R0を補正して燃料電池20の出力特性を算出する。ここで、基本内部抵抗をR0、補正後の内部抵抗をR1、内部抵抗偏差をΔR、Iを出力電流(電流センサ61が検出した実際の出力電流)、V0を出力電流Iに対応する理論出力特性の出力電圧、V1を出力電流Iに対応する基本出力特性の出力電圧、V2を出力電流Iに対応する出力特性の出力電圧(電圧センサ62が検出した実際の出力電圧)とすれば、V1=V0−R0×I、V2=V0−R1×I、ΔR=R1−R0=(V1−V2)/Iとなる。
次に、図3及び図4を参照して可変電流発電モードから定電流発電モードに切り替えて発電制御を行うときのI−V特性推定方法について説明する。図3は可変電流発電モードで発電制御をしているときの推定I−V特性曲線を示している。ここで、Aは定電流発電モードで電力発電を行うときの動作点(Ifc0,Vfc0)を示しており、Bは可変電流発電モードで電力発電を行うときの動作点(Ifc1,Vfc1)を示している。電流指令値Ifc0は一定であるが、電流指令値Ifc1は要求負荷に応じて刻々と変動する。上述したように従来技術では推定I−V特性曲線を動作点Bに合わせると動作点Aが合わなくなる。そこで、可変電流発電モードの電流指令値Ifc1が定電流発電モードの電流指令値Ifc0と一致するときに実電圧値Vfc0(又は動作点A)を記憶しておく。可変電流発電モードの電流指令値Ifc1は要求負荷に応じて変動するため、電流指令値Ifc1と電流指令値Ifc0は常に一致する訳ではなく、電流指令値Ifc1が電流指令値Ifc0と偶然に一致したときに、そのときの燃料電池20の実電圧値Vfc0(又は動作点A)を記憶すればよい。そして、可変電流発電モードから定電流発電モードに切り替わったところで、図4に示すように推定I−V特性曲線が動作点Aに一致するように内部抵抗を算出してI−V特性を推定する。具体的には、上式において、IにIfc0を代入し、V2にVfc0を代入して内部抵抗R1を算出すればよい。燃料電池20の特性上、可変電流発電モードから定電流発電モードに切り替わる短時間の間にI−V特性が大きく変化することはないため、発電モード切り替え後のI−V特性推定処理を精度よく、しかも短時間で応答性よく行える。制御部50は定電流発電モードの電流指令値Ifc0に対応する実電圧値Vfc0(又は動作点A)を記憶する記憶手段51と、燃料電池20のI−V特性を推定する出力特性推定手段52を備えた出力特性推定装置として機能する(図1参照)。
図2は可変電流発電モードから定電流発電モードに切り替えて発電制御を行うときのI−V特性推定処理ルーチンを示している。同ルーチンを参照しながら上述の説明を再述する。同ルーチンが呼びだされると、制御部50は可変電流発電モードであるか否かをチェックする(S1)。発電モードが可変電流発電モードである場合には(S1;YES)、電流指令値Ifc1が定電流発電モードにおける電流指令値Ifc0に一致するか否かをチェックする(S2)。電流指令値Ifc1が定電流発電モードにおける電流指令値Ifc0に一致する場合には(S2;YES)、電流指令値Ifc0に対応する実電圧値Vfc0(又は動作点A)を記憶し(S3)、実電圧値Vfc0(又は動作点A)を記憶したことを示す定電流発電動作点記憶フラグをオンにする(S4)。次いで、発電モードが定電流発電モードに切り替わったか否かをチェックする(S5)。可変電流発電モードでないとき(S1;NO)、又は可変電流発電モードにおける電流指令値Ifc1が定電流発電モードにおける電流指令値Ifc0に一致しないときも(S2;NO)、同様にステップS5にジャンプする。
そして、発電モードが定電流発電モードでない場合には(S5;NO)、ステップS2にジャンプし、発電モードが定電流発電モードである場合には(S5;YES)、定電流発電動作点記憶フラグがオンであるか否かをチェックする(S6)。定電流発電動作点記憶フラグがオンである場合には(S6;YES)、記憶した動作点Aに合うようにI−V特性を推定する(S7)。定電流発電動作点記憶フラグがオフである場合には(S6;NO)、基本内部抵抗R0と理論出力特性とから基本出力特性を算出し、実電流及び実電圧を基に内部抵抗R0を補正してI−V特性を算出する(S8)。さて、I−V特性が推定できたならば、燃料電池20の出力電圧が目標電圧Vfc0に一致するようにDC/DCコンバータ41を制御して定電流発電を開始する(S9)。ここで、I−V推定に誤差があり、出力電流が電流指令値Ifc0に一致しない場合には、I−V特性を再度推定し直す(S10)。水素配管系の水素消費が終了した段階で定電流発電を終了する(S11)。
本実施形態によれば、可変電流発電モードでの運転時に電流指令値Ifc0に対応する実電圧値Vfc0(又は動作点A)を記憶しておき、可変電流発電モードから定電流発電モードに切り替わったときにI−V特性が実電圧値Vfc0(又は動作点A)に一致するように内部抵抗を算出することで、I−V特性の推定を精度よく、しかも短時間で応答性よく行える。
10…燃料電池システム 20…燃料電池 31…燃料ガス供給装置 32…酸化ガス供給装置 41…DC/DCコンバータ 42…二次電池 43…インバータ 44…モータ 50…制御部(出力特性推定装置) 51…記憶手段 52…出力特性推定手段 61…電流センサ 62…電圧センサ 63…アクセルセンサ 64…車速センサ
Claims (4)
- 負荷要求に応答して燃料電池の発電電流を可変制御する可変電流発電モードと燃料電池の発電電流を予め定められた一定の電流指令値に制御する定電流発電モードとを切り替えて発電制御される燃料電池の出力特性を推定する装置であって、前記可変電流発電モードでの発電制御時に前記一定の電流指令値に対応する燃料電池の実電圧値を記憶する記憶手段と、前記可変電流発電モードから前記定電流発電モードへ切り替わったときに前記燃料電池の出力電圧と前記記憶手段に記憶された実電圧値とに基づいて前記燃料電池の出力特性を推定する出力特性推定手段を備える、燃料電池の出力特性推定装置。
- 請求項1に記載の燃料電池の出力特性推定装置であって、前記定電流発電モードは電池運転停止後に残留する燃料ガスを消費するための発電モードである、燃料電池の出力特性推定装置。
- 負荷要求に応答して燃料電池の発電電流を可変制御する可変電流発電モードと燃料電池の発電電流を予め定められた一定の電流指令値に制御する定電流発電モードとを切り替えて発電制御される燃料電池の出力特性を推定する方法であって、前記可変電流発電モードでの発電制御時に前記一定の電流指令値に対応する燃料電池の実電圧値を記憶する記憶ステップと、前記可変電流発電モードから前記定電流発電モードへ切り替わったときに前記燃料電池の出力電圧と前記記憶ステップで記憶された実電圧値とに基づいて燃料電池の出力特性を推定する出力特性推定ステップを備える、燃料電池の出力特性推定方法。
- 請求項3に記載の燃料電池の出力特性推定方法であって、前記定電流発電モードは電池運転停止後に残留する燃料ガスを消費するための発電モードである、燃料電池の出力特性推定方法。
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2004
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