JP2005339680A - 磁気ヘッド - Google Patents

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Abstract

【課題】
極薄膜において良好な腐食耐性、電気的絶縁性、機械的耐摩耗性を有する浮上面保護膜を提供する。
【解決手段】
高密度、高電気抵抗、化学的安定性、基板との高密着性を有する窒化珪素薄膜を浮上面保護膜最下層に配置し、テトラヘドラルアモルファスカーボンと窒素からなる膜を浮上面保護膜最上層に配置することによって、極薄膜において、良好な腐食耐性、電気的絶縁性、機械的耐摩耗性を有する浮上面保護膜が実現される。
【選択図】 図2

Description

本発明は、巨大磁気抵抗効果型やトンネル磁気抵抗効果型等の磁気抵抗素子などを備える磁気ヘッドに関するものである。
近年、磁気ディスク記録再生装置は、取扱情報量の増大に伴って高記録密度化が急速に進展している。このためには、磁気ヘッドと磁気ディスク間の距離である磁気スペーシングの低減が必須の技術課題となる。しかしながら、磁気ヘッド浮上量が小さくなると、高速で回転する磁気ディスク面に磁気ヘッドスライダが接触又は衝突する機会が増加する。このため、磁気ヘッドスライダの浮上面に形成する浮上面保護膜は薄くて強靭であることに加え、高い耐摩耗性を有することが必要である。一方で、磁気ヘッドスライダを構成する磁気抵抗素子は磁性材料が腐食しやすい欠点があるため、浮上面保護膜は磁性材料の腐食を防ぐ役割を備えることも必要になってきている。さらに、磁気ヘッドと磁気ディスクの間にある電位差が生じると、磁気ヘッドと磁気ディスクの間で放電が生じ磁気抵抗素子が破壊されるという問題があるため、浮上面保護膜にはこのような放電を防ぐ役割も望まれる。これらの要求に対応するためには、摺動時に塵埃を残さず、かつ摩耗係数が低く、耐摩耗性に優れており、また原子密度が高く緻密であり、さらに化学的に安定な薄膜が望まれており、以上の要求をある程度満足することから炭素系薄膜が用いられることが多い。
さて上述の浮上面保護膜は磁気ヘッドスライダの浮上面に形成されるわけだが、浮上面保護膜の剥離は、機械的耐摩耗性および化学的腐食耐性を著しく減少させる。このため現在では珪素膜などが浮上面保護膜の最下層に設置され、浮上面保護膜と浮上面の密着性向上のために用いられている。
例えば、特許文献1には、磁気ヘッドスライダの空気支持面および電磁変換素子端面上にあって、珪素接着層と、該珪素接着層上に被覆される少なくとも珪素と酸素あるいは少なくとも珪素と窒素を含む上層とからなる磁気ヘッドスライダ保護層が記載されている。
また、特許文献2には、密着層であるシリコン層と保護膜であるカーボン層の2層を少なくとも含む膜から構成され、シリコン層に窒素を含む磁気ヘッドスライダ保護被膜が記載されている。
特開平10−188506号公報
特開平9−21284号公報
しかしながら近年、更なる高密度記録化の傾向の中で、磁気ヘッドと磁気ディスク間の距離を極限まで小さくする必要が生じ、浮上面保護膜にも更なる薄膜化が求められている。現行の浮上面保護膜の密着層として用いられている珪素膜は、実施例において後述するが、約2.0nm以下の膜厚において緻密性が急激に減少し、連続膜ではなく島状構造として存在すると考えられる。島状構造であるということは、まず緻密でなくなることから、腐食耐性及び電気的絶縁性の低下をもたらす。また磁気ヘッドスライダ浮上面を被覆する面積が小さくなることから、密着特性の低下、ひいては機械的耐摩耗性の低下をもたらす。従って、薄膜化のため珪素膜が2.0nm以下になるような領域においては、公知の珪素膜と炭素系薄膜からなる浮上面保護膜では、機械的耐摩耗性、腐食耐性、電気的絶縁性において不十分である。
浮上面保護膜の膜厚低減のために密着層なしで保護膜を形成する方法が、窒化珪素膜単層などを用いることで試みられている。窒化珪素膜は緻密性に優れている上に、アモルファスカーボンと比較して浮上面との密着性に優れている。しかしながらこの構成では、ヘッドとディスク間の衝突により保護膜中の珪素に起因する塵埃が発生するため、機械的耐摩耗性が良好でない。
スパッタリング蒸着法又はCVD蒸着法で成膜したアモルファスカーボン膜に、窒化珪素を密着層として用いることで、浮上面保護膜の膜厚低減及び信頼性向上を目的としたものがある。この発明は浮上面保護膜の改良により、磁気ヘッドの機械的耐摩耗性を向上させるという目的で行われたものである。しかしながら磁気ヘッドの腐食耐性という観点からはこの発明は以下に挙げられるような問題点を含む。
まずCVD蒸着法で成膜したアモルファスカーボン膜は、プロセス中に水素又は水素を含むガスを使用するが、これは窒化珪素密着層中の窒素と反応を起こして、窒素を揮発させてしまう可能性がある。この反応は窒化珪素膜中から窒素を部分的に奪い取るため、その結果、該窒化珪素膜は多孔性となる。
またスパッタリング蒸着法で成膜したアモルファスカーボン膜及びCVD蒸着法で成膜した水素含有アモルファスカーボン膜は緻密性が十分でないという短所がある。スパッタリング蒸着法により成膜したアモルファスカーボン膜の緻密性を増加させる目的で、炭化水素系化合物又は水素を含んだガスを用いて、反応性スパッタリング蒸着法により成膜を行うという手段があるが、この手段を用いると上述したような水素が窒化珪素膜を劣化させるような現象が生じるため好ましくない。
以上より、スパッタリング蒸着法又はCVD蒸着法で成膜したアモルファスカーボン膜と窒化珪素からなる浮上面保護膜によっては、腐食耐性という観点から良好な浮上面保護膜を達成することができない。
本発明が解決しようとする課題は、機械的耐摩耗性、腐食耐性、電気的絶縁性に優れた極薄膜の浮上面保護膜を備えた磁気ヘッドを提供できない点である。
上記課題を解決するため、本発明の磁気ヘッドはテトラヘドラルアモルファスカーボン及び窒素からなる浮上面保護膜最上層と窒素及び珪素からなる浮上面保護膜最下層(密着層)から構成される多層構造の浮上面保護膜を有していることを特徴とする。以下、具体的な内容を記述する。
まず、本発明の浮上面保護膜の最下層を構成する窒素と珪素からなる層の特徴を述べる。従来の密着層に採用されている珪素はバルクで密度2.0g/cc、原子密度(4.3x10+22atoms/cc)であるが、バルク状態での窒化珪素は密度3.2g/cc(原子密度9.5x10+22atoms/cc)である。浮上面保護膜の腐食耐性は、浮上面保護膜成膜時のピンホールの個数に大きく影響を受けるため、緻密である窒化珪素膜は腐食耐性の優れた浮上面保護膜を提供することができる。また、窒化珪素は絶縁体であり高電気抵抗を有するため、従来の技術である珪素と比較して電気的絶縁性の優れた浮上面保護膜を提供することができる。さらに窒素と炭素の結合エネルギー(754.3kJ/mol)は珪素と炭素のそれ(451.5kJ/mol)と比較して高いため、浮上面保護膜最上層に含まれるテトラヘドラルアモルファスカーボン膜と、浮上面最下層である窒化珪素密着層間に、より高い密着強度を期待することができ、結果として機械的耐摩耗性に優れた浮上面保護膜を提供することができる。
そこで、本発明の浮上面保護膜最下層を形成する窒化珪素薄膜は、窒素の含有率を45原子%以上として、その密度を2.6g/cc以上とすることで、腐食耐性、電気的絶縁性及び機械的耐摩耗性において良好な特性を有する浮上面保護膜を得る。また、密着層としての窒化珪素の膜厚が0.5nm以上であるとき、従来の浮上面保護膜と比較して良好な特性を有する浮上面保護膜を得ることができる。
本発明の浮上面保護膜最上層を形成するテトラヘドラルアモルファスカーボンと窒素からなる膜は、プロセス及び形成される膜中に窒化珪素薄膜の膜質を劣化させる原因となる水素を含まず、かつ密度が2.5g/cc以上と緻密であるという特徴を有する。また本発明でテトラヘドラルアモルファスカーボンと伴に浮上面保護膜最上層を形成する窒素は、浮上面保護膜最下層との密着力の増加、及び浮上面保護膜最上層表層の摩擦係数の減少に寄与する。以上より本発明の、テトラヘドラルアモルファスカーボンと窒素からなる浮上面保護膜最上層は、上記窒化珪素からなる浮上面保護膜最下層がもたらす優れた腐食耐性、電気的絶縁性及び機械的耐摩耗性を実現することができる。
ところで、アモルファスカーボンの特性は主にsp3性と水素含有量により決定される。アモルファスカーボン中の炭素原子同士の結合は、主として二種類の結合により構成される。該二種類の結合はsp2結合とsp3結合である。前者がグラファイトの結合形態であり、後者がダイヤモンドの結合形態である。sp3性とはsp3の多さを表す指標である。テトラヘドラルアモルファスカーボンとはsp3性の高いアモルファスカーボンのことである。アモルファスカーボンの主要な性質であるsp3性を、磁気ヘッドのような小さな物体上の保護膜において分析する場合、ラマン分光分析がよく用いられる。通常用いる514.5nmの波長の光源で得られるスペクトルは殆どsp2成分からのものであるが、sp2の周囲にあるsp3の影響を間接的に見積もることができる。具体的には1500〜1600cm−1にあるピークAの強度に対して1200〜1450cm−1にあるピークBの強度が小さいほど、sp2結合のまわりにsp3結合が多く存在することを示している。本発明の浮上面保護膜を形成するテトラヘドラルアモルファスカーボンのラマンスペクトルは、ガウス関数でフィッティングした結果得られた前記ピークAとピークBの強度比(B/A)が0.0以上0.4未満であることを特徴とする。
一方、アモルファスカーボンの水素含有量を定量化する手段として一般的なのは、TOF−SIMS(Time Of Flight - Secondary Ion Mass Spectroscopy)である。TOF−SIMSは、固体試料表面にイオンビームを照射し、スパッタされる粒子の飛行速度を観察することで、表面に存在する元素の同定及び定量化を行う手法である。TOF−SIMSなどの微量元素検出法により磁気ヘッド浮上面上の5nm以下の浮上面保護膜中の水素含有量を観察した場合、本発明の浮上面保護膜を形成するテトラヘドラルアモルファスカーボンは、膜中の水素含有量が25原子%以下であることを特徴とする。ここで、注意すべき点は、50nm程度の膜厚においてテトラヘドラルアモルファスカーボンを測定すると、水素の含有率は3原子%以下となるが、上述のように磁気ヘッド上の5nm以下であるような極薄膜においてTOF−SIMSによる測定を行った場合は、表面吸着物やその拡散などによって、膜中にある程度の水素が含有されているように検出されることである。しかしながら磁気ヘッド浮上面上でTOF−SIMSにより25原子%以下の水素含有量であると観察されたテトラヘドラルアモルファスカーボンは、水素による窒化珪素膜の劣化の効果が現れないため、窒化珪素との組合せに適している。
上記のように、本発明の磁気ヘッドによれば、緻密な窒素と珪素からなる浮上面保護膜の最下層と、テトラヘドラルアモルファスカーボンと窒素からなる浮上面保護膜の最上層を用いることで、浮上面保護膜の腐食耐性、電気的絶縁性、及び磁気ヘッドスライダ材との密着強度を劇的に改善させることができるため、結果的に浮上面保護膜の膜厚を低減することが可能になり、ヘッド、ディスク間距離を低減して記録密度向上を達成すると同時に、磁気記録再生の信頼性を向上させることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は磁気ヘッド11の概略図を示す。磁気ヘッド11は磁気記録媒体となる磁気ディスク14と対向するように設置される。磁気ヘッド浮上面13は、磁気ヘッド11の磁気ディスク14側の面である。磁気ヘッド基材19はアルミナ・チタン・カーバイドなる材料で作られている。磁気ヘッド流出端部15は主にアルミナ膜により構成されており、内部にデータの読み取り書き込みを行う磁気ヘッド素子部12がある。
図2は磁気ヘッド流出端部15における磁気ヘッド11−磁気ディスク14間の概略図を示す。磁気ヘッド浮上面13には浮上面保護膜16が成膜される。図2において、浮上面保護膜16は浮上面保護膜最下層17と浮上面保護膜最上層18の二層で構成されている。浮上面保護膜最上層18は浮上面保護膜16の中で、磁気ディスク14に最も近い位置に配置されてある。本発明では浮上面保護膜最上層18はテトラヘドラルアモルファスカーボンと窒素からなる膜で構成されている。浮上面保護膜最下層17は磁気ヘッド浮上面13と接する部分に配置されている。本発明において、浮上面保護膜最下層17は窒化珪素膜で構成されてある。
図3は磁気ヘッド11の、磁気ヘッド浮上面13上におけるマイクロスクラッチテストの結果である。浮上面保護膜最下層17が珪素薄膜であり、浮上面保護膜最上層18がテトラヘドラルアモルファスカーボン膜である場合の実験例(比較例1)は31で示されてある。浮上面保護膜最下層17が窒化珪素薄膜であり、浮上面保護膜最上層18がテトラヘドラルアモルファスカーボンと窒素からなる膜である場合の実験例は32で示されてある。マイクロスクラッチテストは表面の摩擦応答を測定する方法である。具体的には、カンチレバーの先に付けられた半球状のダイヤモンドの針を試料表面に平行に振動させつつ料表面に押し付け、押し付け荷重を増加させながら試料表面を一方向に引っ張り摩擦応答を観察する手法である。薄膜が剥離或いは破壊するときに、発生する摩耗粉により、摩擦応答が急激に増加するため、これを観察することで薄膜が剥離或いは破壊する荷重を知ることができる。実験例31(比較例1)においては、33で示す荷重を超えると摩擦応答の急激な増加が見られるので、該荷重において剥離或いは破壊が生じていることが分かる。33の荷重のことを剥離点と呼ぶ。
図4は磁気ヘッド浮上面13上に陰極真空アーク放電蒸着法により成膜したテトラヘドラルアモルファスカーボン膜を、ラマン分光法を用いて測定した結果を示す。41は磁気ヘッド浮上面13の磁気ヘッド素子部12の浮上面保護膜16を測定したラマンスペクトルである。42は、ラマンスペクトル41をガウス関数を用いてフィッティングしたときの、1500〜1600cm−1付近にピークをもつ波形Aであり、43は、1200〜1450cm−1付近にピークを持つ波形Bである。陰極真空アーク放電蒸着法とは、カソードとなるターゲット部分に,通常ストライカと呼ばれている電極を機械的接触させる、あるいは電子ビーム等を用いることによって数+アンペア程度のアーク電流を流入させてアーク放電を発生させ、そしてターゲットの上部空間に発生させることにより、プラズマを持続させ、これらのイオンや電子を含むプラズマを輸送用磁場ダクト及び走査用磁場ダクトを用いて効率的に真空反応室に導き、均一に被処理基板に対して照射させることにより、薄膜の形成やエッチング等の処理を行なう手法である。
図5は磁気ヘッド浮上面13上に陰極真空アーク放電蒸着法により成膜したテトラヘドラルアモルファスカーボン膜を、磁気ヘッド浮上面13上のアルミナ・チタン・カーバイト基板上においてラマン分光法を用いて測定した結果を示す。51はアルミナ・チタン・カーバイト基板上でのテトラヘドラルアモルファスカーボンのラマンスペクトルである。
図6は磁気ヘッド浮上面13上のスパッタリング蒸着法により成膜したアモルファスカーボン膜のラマン分光法による測定結果を示す。61は磁気ヘッド浮上面13の磁気ヘッド素子部12上の浮上面保護膜16を測定したラマンスペクトルである。62は、61をガウス関数を用いてフィッティングしたときの、1500〜1600cm−1付近にピークをもつ波形Aであり、63は1200〜1450cm−1付近にピークを持つ波形Bである。
図7は磁気ヘッド浮上面13上のCVD蒸着法により成膜されたアモルファスカーボン膜のラマン分光法による測定結果を示す。71は磁気ヘッド浮上面13の磁気ヘッド素子部12上の浮上面保護膜16を測定したラマンスペクトルである。72は、71をガウス関数を用いてフィッティングしたときの、1500〜1600cm−1付近にピークをもつ波形Aであり、73は1200〜1450cm−1付近にピークを持つ波形Bである。
図8はCVD蒸着法により成膜されたアモルファスカーボン膜からなる浮上面保護膜最上層18と、珪素膜からなる浮上面保護膜最下層17により構成される浮上面保護膜16を有する磁気ヘッドの浮上面13において、TOF−SIMS分析を行ったときの測定結果を示す。81は水素の二次イオン強度を示す実験例である。82は炭素の二次イオン強度を示す実験例である。83は酸素の二次イオン強度を示す実験例である。84は珪素の二次イオン強度を示す実験例である。
図9はテトラヘドラルアモルファスカーボン膜からなる浮上面保護膜最上層18と、珪素膜からなる浮上面保護膜最下層17により構成される浮上面保護膜16を有する磁気ヘッドの浮上面13において、TOF−SIMS分析を行ったときの測定結果を示す。91は水素の二次イオン強度を示す実験例である。92は炭素の二次イオン強度を示す実験例である。93は酸素の二次イオン強度を示す実験例である。94は珪素の二次イオン強度を示す実験例である。
図10はテトラヘドラルアモルファスカーボンと窒素からなる浮上面保護膜最上層18と、窒化珪素膜からなる浮上面保護膜最下層17により構成される浮上面保護膜16を有する磁気ヘッドの浮上面13において、TOF−SIMS分析を行ったときの測定結果を示す。101は水素の二次イオン強度を示す実験例である。102は炭素の二次イオン強度を示す実験例である。103は酸素の二次イオン強度を示す実験例である。104は珪素の二次イオン強度を示す実験例である。105は窒素の二次イオン強度を示す実験例である。
図11は本発明の窒化珪素薄膜の、膜厚[オングストローム]に対するピンホールの個数[a.u.]の関係を表す図である。窒化珪素薄膜はスパッタリングガス中の窒素含有量を0%から50%の間で変化させて成膜されてある。図中で窒素含有量0%,10%,30%,40%及び50%はそれぞれ、白三角、黒三角、白四角、黒四角及び白丸で表される。窒素含有量0%の時は、従来の技術である珪素薄膜が成膜される。珪素薄膜の膜厚に対するピンホール個数の実験例111が図中に実線として表示されている。従来の技術において浮上面保護膜最下層17は2nmの珪素薄膜で形成されている。点線112は2nmの珪素薄膜のピンホール個数を示してある。
図12(a)は、本発明の窒化珪素膜を反応性スパッタリング蒸着法を用いて成膜したとき、プロセス中の窒素流量比[%]に対する光学定数nの依存性を示す図である。図12(b)は、光学定数nより求められた窒素含有量[%]のプロセス中の窒素流量比[%]に対する依存性を示す図である。
図13は本発明に係る窒化珪素薄膜の、反応性スパッタリングで用いるスパッタリングガス中の窒素流量比[%]に対する成膜された窒化珪素薄膜の質量密度[g/cm]の関係図である。
図14は本発明の保護膜を有する磁気ディスクの断面構成図である。
[比較例1]
磁気ヘッド浮上面保護膜製造に係る比較例1に関して説明する。まず磁気ヘッド11を真空容器内に搬送し、真空排気を行う。この後、Ar或いは他の希ガスなどによる、プラズマ或いはイオンビームを用いての浮上面のエッチングが行われる。
続いて、浮上面保護膜最下層17はスパッタリング蒸着法により珪素膜が形成され、次に、浮上面保護膜最上層18として陰極真空アーク放電蒸着法によりテトラヘドラルアモルファスカーボンが成膜される。陰極真空アーク放電蒸着法はアークプラズマ源から引き出された炭素イオンの入射によりカーボン膜を成膜する方法である。
比較例1の浮上面保護膜を有する磁気ヘッドの特性について述べる。比較例1は、総膜厚を3.0nmの浮上面保護膜16を有する磁気ヘッドである。次に示す表1は浮上面保護膜を有する磁気ヘッドの腐食耐性を示す。表1には高温高湿試験、ガス腐食試験及び酸浸漬試験の最大で三種類の腐食試験を行った結果が示されている。高温高湿試験は、気温85℃湿度85%のチャンバ内に100時間磁気ヘッドを保持して、試験後の素子抵抗が変化した素子の割合から腐食耐性を調べる試験である。抵抗変化が生じた素子の数が5%以下で合格となる。ガス腐食試験は、腐食性ガスを導入したチャンバ内に磁気ヘッドを保持し、磁気ヘッド素子部の外観変化を観察することで腐食耐性を調べる試験である。腐食性ガスへの20時間の暴露において腐食率5%以下で合格となる。酸浸漬試験は腐食性液体の中に磁気ヘッドを浸漬し、磁気ヘッド素子部の抵抗変化を観察することで腐食耐性を調べる試験である。腐食率5%以下で合格となる。これらの腐食試験の全てにおいて合格になった磁気ヘッドは充分な信頼性を有するとした。
Figure 2005339680
腐食試験の結果、比較例1による珪素膜1nm及びテトラヘドラルアモルファスカーボン膜2nmの組合せからなる総膜厚3nmの浮上面保護膜16を有する磁気ヘッドは腐食試験に合格しなかった。
本比較例1の浮上面保護膜16の磁気ヘッド浮上面13上におけるマイクロスクラッチテストの結果を図3中の実験例31(比較例1)として示す。図3によれば、実験例31について、33で示される明確な剥離点が確認された。該剥離点での荷重において浮上面保護膜16の剥離が生じているものと考えられる。
[比較例2]
磁気ヘッド浮上面保護膜製造に係る比較例2について説明する。
比較例2では浮上面保護膜最下層17は窒化珪素膜から形成される。該窒化珪素膜は反応性スパッタリング蒸着法により成膜される。反応性スパッタリング蒸着法では、浮上面保護膜最下層17用成膜室に磁気ヘッドスライダが搬送された後、成膜室内にスパッタリング用ガスとしてアルゴン及び窒素が導入される。この時、流入する窒素流量のスパッタリング用ガスの総流量に対する比(以後、窒素流量比)を変化させることで、形成する窒化珪素膜の性質を変化させることができる。比較例2では窒素流量比40%で成膜が行われた。スパッタリング用ガスが導入された後、RF(ラジオ周波数)の印加によりプラズマが生成される。スパッタリングのターゲットとしては珪素が用いられる。イオン化したアルゴン及び窒素がターゲット表面において窒化及びスパッタリングを起こし、結果として磁気ヘッド浮上面に窒化珪素膜が成膜される。
窒化珪素膜からなる浮上面保護膜最下層17の形成に続いて浮上面保護膜最上層18としてスパッタリング蒸着法によりアモルファスカーボンが成膜される。該スパッタリング蒸着法においてはArなどの希ガスがスパッタリングガスとして用いられる。
本比較例2により成膜した浮上面保護膜16を有する磁気ヘッドの腐食耐性を表1の比較例2に示す。腐食耐性に関して、窒化珪素膜2nm及びスパッタリング蒸着により成膜されたアモルファスカーボン膜2nmからなる総膜厚4nmにおいて腐食試験に合格しなかった。
[比較例3、4]
比較例3、4においては、浮上面保護膜最上層18はCVD蒸着法による水素含有アモルファスカーボン膜で構成される。比較例3においては浮上面保護膜最下層17はスパッタリング蒸着法により成膜された珪素膜、又は比較例4においては反応性スパッタリング蒸着法により成膜された窒化珪素膜により構成される。
本比較例3、4により成膜した浮上面保護膜16を有する磁気ヘッドの腐食耐性を表1の比較例3、4に示す。比較例3は浮上面保護膜最下層17が珪素膜により構成されているもので、比較例4は浮上面保護膜最下層17が窒化珪素膜により構成されているものである。腐食耐性に関して、比較例3及び4の磁気ヘッドは双方とも腐食試験に合格しなかった。
本発明の磁気ヘッド浮上面保護膜製造に係るプロセスフローについて説明する。まず磁気ヘッド11を真空容器内に搬送し、真空排気を行う。このときの磁気ヘッドの形状はスライダ形状であってもバー形状であっても構わない。この後、Ar或いは他の希ガスなどによる、プラズマ或いはイオンビームを用いての浮上面のエッチングが行われる。このエッチングは磁気ヘッド浮上面加工時の加工変質層、酸化層等の除去に用いられ、本発明において必ずしも必要な工程ではないが、実施することが好ましい。
続いて浮上面保護膜最下層17の形成が行われる。本発明において浮上面保護膜最下層17は窒化珪素膜により形成される。本実施例1において該窒化珪素膜は反応性スパッタリングによって成膜される。本実施例1においては窒素流量比40%のスパッタリングガスを成膜室へ導入し、その後RFの印加によりプラズマを生成し、生成したプラズマで珪素ターゲットをスパッタすることで成膜を行った。ターゲットとして最初から窒化されている窒化珪素を用いても同等の性質を有する窒化珪素膜を形成することができる。窒化珪素膜からなる浮上面保護膜最下層17の形成方法としては、上記の反応性スパッタリング以外に、イオンビームアシストスパッタリングなどのイオンビームを用いた成膜方法を用いても反応性スパッタリングで成膜したものと同等の性質を有する窒化珪素膜を形成することができる。
窒化珪素膜からなる浮上面保護膜最下層17の形成に続いて浮上面保護膜最上層18が形成される。浮上面保護膜最上層18にはテトラヘドラルアモルファスカーボンと窒素を含む層が成膜される。該テトラヘドラルアモルファスカーボンと窒素を含む層を成膜する手段として、本実施例1においては陰極真空アーク放電蒸着法が用いられる。窒素はこの陰極真空アーク放電蒸着法中の炭素イオン衝撃による浮上面保護膜最下層17からの一部の窒素の熱拡散運動により浮上面保護膜最上層18に取り込まれる。
陰極真空アーク放電蒸着法において、発生したプラズマ中の炭素イオンは20eVから100eV程度のエネルギーを持つ。この程度のエネルギーを持つ炭素イオンは、前の工程で形成された浮上面保護膜最下層17に衝突後、該浮上面保護膜最下層中の原子との非弾性衝突を繰り返しながら、数原子層膜中に侵入する。この非弾性衝突過程により該膜中の窒素及び珪素はエネルギーを得て、熱的拡散運動を行う。この過程において、窒素原子は珪素とよりも寧ろ炭素との間で安定な結合を形成するため、結果的に窒素原子が炭素膜方向へ一部拡散している構造を持つ膜が形成される。窒素−炭素の結合エネルギーと窒素−珪素の結合エネルギーはそれぞれ、754kJ/molと470kJ/molである。しかしながら、このとき基板温度、炭素イオンエネルギー、炭素イオン流入量及び蒸着角度によっては、前記拡散運動が過剰に加速される、又は充分な拡散運動が生じないということが起こりうる。本実施例1において用いた蒸着装置においては、平均で60eV程度の炭素イオンエネルギーを用いて、室温にて基板に対して垂直にイオンを入射することで膜形成を行い、窒素含有のテトラヘドラルアモルファスカーボン層を形成した。
上記方法以外にも、窒素雰囲気中での陰極真空アーク放電蒸着法によっても、雰囲気中の窒素を膜中に取り込むことができる。上記陰極真空アーク放電蒸着法以外にも、レーザーアブレーション蒸着法、質量選択イオンビーム蒸着法及びイオンビーム蒸着法を用いても同等の性質を有するテトラヘドラルアモルファスカーボン膜を形成することができる。
本発明の浮上面保護膜を有する磁気ヘッドの特性について述べる。上記表1の実験例1から実験例3は、総膜厚を3.0nmから2.1nmまで変化させて作製した窒化珪素薄膜を浮上面保護膜最下層17とし、テトラヘドラルアモルファスカーボンと窒素からなる膜を浮上面保護膜最上層18とする浮上面保護膜16を有する本実施例により作成された浮上面保護膜16を有する磁気ヘッドである。腐食試験の結果、テトラヘドラルアモルファスカーボンと窒素からなる膜を浮上面保護膜最上層18として用いて、窒化珪素薄膜を浮上面保護膜最下層17として用いた場合、総膜厚2.6nmまでの腐食耐性が確認できた。
本実施例1の浮上面保護膜16の磁気ヘッド浮上面13上におけるマイクロスクラッチテストの結果を図3中の実験例32として示す。図3によれば、実験例32において明確な剥離点は見られなかった。
以上実施例1及び比較例1から4の比較により以下の結論が導かれる。
まず腐食耐性に関して述べる。実施例1のテトラヘドラルアモルファスカーボンと窒素からなる膜を浮上面保護膜最上層18として用いて、窒化珪素薄膜を浮上面保護膜最下層17として用いた浮上面保護膜16の場合、総膜厚2.6nmまでの腐食耐性が確認できた。
これに対して比較例1で示した、テトラヘドラルアモルファスカーボン膜からなる浮上面保護膜最上層18と、珪素膜からなる浮上面保護膜最下層17から構成される浮上面保護膜16を用いた場合は、上記表1中の比較例1で示されているように、総膜厚3nmで腐食試験に合格しなかった。また比較例2で示したスパッタリング蒸着法により成膜したアモルファスカーボン膜からなる浮上面保護膜最上層18と、窒化珪素からなる浮上面保護膜最下層17から構成される浮上面保護膜16を用いた場合、上記表1中の比較例2で示されているように総膜厚4.0nmで腐食試験に合格しなかった。このように、比較例1及び比較例2で成膜された浮上面保護膜16は、実施例1で成膜した浮上面保護膜16と比較して、緻密性に劣っている。この為、腐食耐性の劣った浮上面保護膜16となったと考えられる。
比較例3で示したCVD蒸着法により成膜された水素含有アモルファスカーボン膜からなる浮上面保護膜最上層18と珪素膜からなる浮上面保護膜最下層17から構成される浮上面保護膜16を用いた場合と、比較例4で示した窒化珪素膜からなる浮上面保護膜最下層17から構成される浮上面保護膜16を用いた場合では、それぞれ表1の比較例3,4で示されるように総膜厚3nmで腐食試験に合格しなかった。比較例4は比較例3と比較して、浮上面保護膜最下層17として、より緻密な窒化珪素膜を有しているにも関わらず、腐食耐性においては有意差が見られない。これは、CVDによる成膜過程で生じる水素イオン又は、水素ラジカルが寄与しているものと考えられる。水素−窒素間の結合と水素−珪素間の結合はそれぞれ、339kJ/molと299kJ/molであるため、活性な水素は窒素と優先的に結合する。この反応により浮上面保護膜最下層17である窒化珪素膜中の窒素が脱離される現象が生じているものと考えられる。これより浮上面保護膜最下層17として窒化珪素膜を用いる場合は、比較例4で用いたようなプロセス中に水素を用いるCVD蒸着法による水素含有アモルファスカーボンは好ましくないと言える。
これらの結果より、3.0nm以下の膜厚において良好な腐食耐性を有する浮上面保護膜16を達成するためには、浮上面保護膜最下層17として窒化珪素膜、浮上面保護膜最上層18としてテトラヘドラルアモルファスカーボンと窒素からなる膜を用いるのがよい。
次に機械的耐摩耗性に関して述べる。図3によれば剥離点33で示される荷重において浮上面保護膜最下層17が珪素薄膜である浮上面保護膜16は剥離又は破壊することがわかる。
これに対して、浮上面保護膜最下層17が窒化珪素薄膜を用いた実験例では、このような急峻な摩擦力の増加は観察されない。これは浮上面保護膜最下層17と浮上面保護膜最上層18の界面及びそれぞれの層の内部に存在する窒素が、炭素及び珪素と安定な結合を形成することが原因であると考えられる。また浮上面保護膜最上層18の表面近傍に存在する窒素は、大気中において摩擦係数を低減する役割を果たしていることも、高い機械的耐摩耗性を示す一因であると考えられる。以上よりテトラヘドラルカーボンと窒素からなる膜を浮上面保護膜最上層18とし、窒化珪素膜を浮上面保護膜最下層17とした浮上面保護膜16は優れた機械的耐摩耗性を有していると言える。
本発明に係わる浮上面保護膜最上層18はテトラヘドラルアモルファスカーボンと窒素からなる膜である。前述したように浮上面保護膜最上層18がスパッタリング蒸着法で成膜されたアモルファスカーボン又はCVD蒸着法で成膜された水素含有アモルファスカーボンである場合は腐食耐性が優れていないため、総膜厚3.0nm以下であるような極薄浮上面保護膜を成膜する際、磁気ヘッドにおいて十分な信頼性を実現することはできない。テトラヘドラルアモルファスカーボン膜の膜質は、実際の磁気ヘッド上においても、ラマン分光分析及びTOF−SIMS又はRBS(Rutherford Backscattering Spectrometry)などのような定量的元素分析手法を用いたとき特徴的な結果を示すことから、他のアモルファスカーボン膜と区別することが可能である。本発明におけるテトラヘドラルアモルファスカーボン膜の、前記分析手法により示される特徴を以下に示す。
ラマン分光法はアモルファスカーボンの主要な性質であるsp3性を間接的に分析する場合によく用いられる。通常用いる514.5nmの波長の光源で得られるスペクトルは殆どsp2成分からのものであるが、sp2の周囲にあるsp3の影響も見積もることができる。具体的には1500〜1600cm−1にあるピークAの強度に対して1200〜1450cm−1にあるピークBの強度が小さいほど、sp2結合のまわりにsp3結合が多く存在することを示しており、ピークBが殆ど見えなければ、sp3が主成分であると推定できる。
図4に陰極真空アーク放電蒸着法で成膜されたテトラヘドラルアモルファスカーボンを含む浮上面保護膜を磁気ヘッド浮上面13上の磁気ヘッド素子部12で測定したラマンスペクトル41を示す。該ラマンスペクトル41におけるガウス関数を用いたフィッティングにより得られたピークA42及びピークB43に関しては、ピークの強度比(B/A)が0.27となる。
図5に同一の陰極真空アーク放電蒸着法で成膜されたテトラヘドラルアモルファスカーボンを含む浮上面保護膜16を磁気ヘッド浮上面13上のアルミナ・チタン・カーバイト基板部分で測定したラマンスペクトル51を示す。素子部分上で測定したラマンスペクトルと比較して、バックグラウンドの傾斜が大きいが、素子部分上で測定したのと同様にバックグラウンドを差し引き、ガウス関数でフィッティングをかけることでピーク比を求めることができる。ラマン分光法による測定は、磁気ヘッド素子部12分上で行われるのが好ましいが、磁気ヘッド素子部12の寸法から、上記手法が困難である場合は、アルミナ・チタン・カーバイト上で測定してもよい。上記ラマンスペクトル51におけるガウス関数を用いたフィッティングにより得られたピークA52及びピークB53に関しては、ピークの強度比(B/A)が0.1となる。
図6にスパッタリング蒸着法で成膜されたアモルファスカーボンを含む浮上面保護膜16を磁気ヘッド浮上面13上の磁気ヘッド素子部12で測定したラマンスペクトル61を示す。該ラマンスペクトル61におけるガウス関数を用いたフィッティングにより得られたピークA62及びピークB63に関しては、ピークの強度比(B/A)が0.91となる。
図7にCVD蒸着法で成膜されたアモルファスカーボンを含む浮上面保護膜16を磁気ヘッド浮上面13上の磁気ヘッド素子12部分で測定したラマンスペクトル71を示す。該ラマンスペクトル71におけるガウス関数を用いたフィッティングにより得られたピークA72及びピークB73に関しては、ピークの強度比(B/A)が0.31となる。
図4から図7のラマンスペクトルを観察すると、陰極真空アーク放電蒸着法により成膜されたテトラヘドラルアモルファスカーボン膜と、CVD蒸着法により成膜された水素含有アモルファスカーボン膜のラマンスペクトルは類似している。ピークの強度比(B/A)が約0.3程度である。このことは、CVD蒸着法における水素含有アモルファスカーボン成膜時に良好な成膜条件が選択されており、その結果として成膜された膜が、多くのsp3結合を持つに至ったからであると考えられる。従ってラマンスペクトルの結果からテトラヘドラルアモルファスカーボン膜とCVD蒸着法により成膜された水素含有アモルファスカーボン膜を区別することは難しい。一方、スパッタリング蒸着法で成膜されたアモルファスカーボン膜のラマンスペクトル61は分離されたピークA62とピークB63の強度比(B/A)は0.91である。
ガウス関数によるフィッティングにより導かれたピーク強度比(B/A)は、フィッティングの方法により値が上下する。しかしながら、スパッタリング蒸着法により成膜したアモルファスカーボン膜のラマンスペクトルからピーク強度比(B/A)が0.4以下となるような結果は観察されない。ラマンスペクトルのピーク強度比(B/A)が0.4以下であれば、そのアモルファスカーボン膜は、陰極真空アーク放電蒸着法などにより形成されたテトラヘドラルアモルファスカーボン又はCVD蒸着法により成膜された水素含有アモルファスカーボンであるといえる。
一方、本発明の浮上面保護膜最上層であるテトラヘドラルカーボンは、成膜された膜中に水素を殆ど含まないという特徴を有する。CVD蒸着法で作成されたアモルファスカーボンはプロセス中に水素を用いるため膜中に数十原子%の水素が含まれる。
TOF−SIMSを用いることで、磁気ヘッド浮上面上の浮上面保護膜が形成されている微小部分において、水素元素の分析を行うことができる。本実施例においては100μm×100μmの領域で測定を行った。TOF−SIMSは試料にイオンビーム照射を行い、スパッタされる二次イオンの強度から、存在する元素の種類及び量を測定する手法である。
図8にCVD蒸着法により成膜した水素含有アモルファスカーボン膜と珪素膜からなる浮上面保護膜16を有する磁気ヘッドの浮上面13上のTOF−SIMSの実験結果を示す。縦軸は二次イオン強度であり、横軸は表面からの深さである。測定に用いられた磁気ヘッドには、4nmの浮上面保護膜最上層18と2nmの浮上面保護膜最下層が備えられてある。水素二次イオン強度と炭素二次イオン強度の相対値は、水素の方が強いという特徴を有する。標準試料との比較の結果、浮上面保護膜最上層18を構成する水素含有アモルファスカーボンには50原子%程度の水素が含有されていると観察された。
図9に陰極真空アーク放電により成膜したテトラヘドラルアモルファスカーボン膜と珪素膜からなる浮上面保護膜16を有する磁気ヘッドの浮上面13上のTOF−SIMSの実験結果を示す。縦軸は二次イオン強度であり、横軸は表面からの深さである。測定に用いられた磁気ヘッドには、3nmの浮上面保護膜最上層18と2nmの浮上面保護膜最下層が備えられてある。水素二次イオン強度と炭素二次イオン強度ほぼ同等である。標準試料との比較の結果、浮上面保護膜最上層18を構成するテトラヘドラルアモルファスカーボンには18原子%程度の水素が含有されていると観察された。
図10にテトラヘドラルアモルファスカーボンと窒素を含む膜と珪素膜からなる浮上面保護膜16を有する磁気ヘッドの浮上面13上のTOF−SIMSの実験結果を示す。縦軸は二次イオン強度であり、横軸は表面からの深さである。測定に用いられた磁気ヘッドには、2nmの浮上面保護膜最上層18と1nmの浮上面保護膜最下層が備えられてある。浮上面保護膜最上層18を構成するテトラヘドラルアモルファスカーボンと窒素からなる膜には18原子%程度の水素が含有されていると観察された。
TOF−SIMSによる測定を行う際は、表面に炭化水素系化合物の吸着物が存在することに注意しなければならない。表面吸着物の測定を避けるために、TOF−SIMS測定開始前にスパッタ、イオンビーム照射などにより吸着物の除去を行うか、又は測定開始からある一定の時間内に得られたデータを無視する必要がある。
またバルクでは水素含有量が数原子%程度のテトラヘドラルアモルファスカーボン膜であっても、浮上面保護膜として使用されるような5nm以下の膜厚においてTOF−SIMSで測定を行うと、大気中の炭化水素化合物又は水分子からの水素原子の吸着及び膜中への拡散などの影響で、バルクでは検出されなかった約20原子%もの水素が検出される。しかしながら、TOF−SIMSによる定量解析は、参照した標準試料の種類や個数などによって幾らか変化するので、本実施例における解析結果であるテトラヘドラルアモルファスカーボン中の水素含有量18原子%という値も、用いる標準資料によっては異なった値になりうる。本実施例では50nm程度の膜厚で水素の含有量の異なる幾つかのアモルファスカーボン膜を作成した後、同一のTOF−SIMSで測定し、得られた水素の二次イオン強度と炭素の二次イオン強度の比から作成した検量線を基に、磁気ヘッド浮上面上の浮上面保護膜16内の水素含有量の定量化を行った。このプロセスにおいて用いた標準試料の種類及び検量線の引き方に応じて、定量化された水素含有量は同一試料においても変化した。厚膜において水素含有量が1.6原子%であったアモルファスカーボンは、磁気ヘッド上の膜厚3nmの浮上面保護膜におけるTOF−SIMS測定の結果、水素含有量が5%以上25%以下であると分析された。これに対して厚膜において水素含有量が35%であった水素含有アモルファスカーボンは、磁気ヘッド上の膜厚3nmの浮上面保護膜におけるTOF−SIMS測定の結果、水素含有量が40原子%以上80原子%以下であると分析された。これより磁気ヘッド浮上面保護膜においてTOF−SIMSを行った場合、水素含有量が25原子%以下であれば、その炭素膜はテトラヘドラルアモルファスカーボンであると判断できる。
一方、図8、図9及び図10の比較から明らかなように、水素と炭素の二次イオン強度比において水素含有アモルファスカーボンと、テトラヘドラルアモルファスカーボンに明らかな有意差が検出されているため、この傾向を観察することで、該アモルファスカーボンがCVD蒸着法による水素含有アモルファスカーボン膜であるかテトラヘドラルアモルファスカーボンであるか判別することが可能である。
以上、テトラヘドラルアモルファスカーボン膜は、ラマン分光及びTOF−SIMSで分析を行った場合、ラマンスペクトルのピーク強度比(B/A)が0.4以下であり、水素が25原子%以下であるという特徴を有する。
本発明による浮上面保護膜最下層17は窒化と珪素からなり、浮上面保護膜最上層18はテトラヘドラルアモルファスカーボンからなるが、それぞれの元素分析は、図8から図10で示したようにTOF−SIMSを用いて実現することが可能である。図10より、実施例1により作成された磁気ヘッドの浮上面保護膜16は最上層及び最下層に窒素を含んでいることが確認できる。上述したように厚膜の標準資料を用いることで定量化を行うことも可能である。磁気ヘッド上での元素分析はXPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)を用いることによっても容易に観察可能である。
図11は珪素膜と窒化珪素膜に関して横軸に膜厚をとり、縦軸にピンホールの個数をとったものである。珪素膜及び窒化珪素膜は、それぞれ、スパッタリング蒸着法及び反応性スパッタリング蒸着法を用いて作製された。図11によると窒化珪素薄膜の方が同一膜厚において珪素薄膜よりもピンホール個数が少ない。即ち、腐食耐性、電気的絶縁性に優れており、また浮上面保護膜最上層18との密着に寄与する結合の数が多い。反応性スパッタリングにおいては図11中に示したように、スパッタリングガス中の窒素流量比を10%から50%まで変化させて成膜を行った。
図11より窒化珪素薄膜をある条件下で作製すると、膜厚1nmにおいて膜厚2nm従来の珪素薄膜のピンホール個数に同等である。窒化珪素薄膜の膜厚が0.5nm程度のものは、珪素薄膜の膜厚が1.5nmのものとピンホールの個数において同等である。現状の浮上面保護膜最下層17は膜厚1.5nmから2.0nmの珪素薄膜が用いられているので0.5nm以上の窒化珪素薄膜を用いることで良好な腐食耐性、電気的絶縁性を保ったまま磁気スペーシングを低減することができる。
浮上面最下層17を厚くすると磁気スペーシングが広がる欠点があり、一方、浮上面保護膜の最上層の薄膜化は磁気ヘッドの耐摺動性を劣化させるため、最上層を除く最下層はある膜厚以下にするのが望ましい。従来の技術である珪素薄膜を用いた浮上面保護膜最下層17の膜厚が2nm以下であるため、窒化珪素膜に関しても同等の上限値が要求される。
以上より窒化珪素膜を浮上面保護膜最下層17とした場合、膜厚が2nm以下であり、0.5nm以上であることが望ましい。
実施例1において浮上面保護膜17である窒化珪素膜は反応性スパッタリングにおいて作成される。図12は反応性スパッタリングにより成膜された窒化珪素膜の光学定数nの、窒素流量比に対する依存性を示したものである。窒素流量比が0%においては、アルゴンのみが成膜室に導入され、その結果、従来技術である珪素を含み、窒素を含まない浮上面保護膜最下層17が形成される。窒化珪素膜において光学定数nから窒素と珪素の組成比を求めることができる。窒化珪素膜の組成比と光学定数の関係に関しては、S.K.Rayらの“Effect of reactive-ion bombardment on the properties of silicon nitride and oxynitride films deposited by ion-beam sputtering” (Journal of Applied Physics, 75(12), 15 June 1994, pp. 8145-8152)の中で次式になることが紹介されている。
光学定数n=0.7×(組成比Si/N)+1.4 …(1)
(1)式は、Nの含有量が20原子%以上であるときに有効である。(1)式に基づいて考えると、実施例3で示した緻密な窒化珪素膜は、窒素流量比が10%以上50%以下であるスパッタリングガスを用いて成膜されているので、図12の(b)より、膜中の窒素含有率は45原子%以上57原子%以下であることが分かる。この組成比は窒化珪素膜のXPS分析などによっても実証される。窒化珪素膜は化学量論的組成のとき、窒素含有率が57原子%である。窒素が57原子%より多く含まれると窒化珪素がもろくなるため、本発明に適さない。
図13より、窒素流量比10%以上50%以下である反応性スパッタリングにより成膜された窒化珪素膜は緻密であることから、窒素含有率45原子%以上57原子%以下であるとき、窒化珪素膜は緻密性に優れており、該窒化珪素膜を用いることで、腐食耐性、電気的絶縁性及び機械的耐摩耗性に優れた浮上面保護膜16を実現できる。
図13によると、図11で示された窒化珪素膜の密度はどれも2.6g/ccであることがわかる。密度が高いほうがピンホール発生率が小さいという傾向が見えるが、珪素膜と比較すると優れた被覆性を示している。上記より、良好な腐食耐性及び電気的絶縁性を有する浮上面保護膜16の作製のためには、質量密度2.6g/cc以上であることが好ましい。窒化珪素膜は化学量論的組成を持った結晶状態において、密度3.2g/ccであり、この値が窒化珪素膜密度の上限値である。
図14に実施例1から5で示した磁気ヘッド浮上面保護膜16と同様の製造方法により作製された保護膜を有する磁気ディスク14の断面構成図を示す。磁気記録媒体である磁気ディスク14上にも、前記磁気ヘッド浮上面保護膜16と同等の機能を有する保護膜が要求される。すなわち、硬くて緻密で化学的に安定な膜である。現行の磁気ディスクの浮上面保護膜は窒素とアモルファスカーボンにより形成されているが、緻密性、硬度の観点から問題が多い。
そこで、本発明において、磁気ディスク14の保護膜をテトラヘドラルアモルファスカーボンと窒素からなる保護膜上層141と窒素と珪素からなる保護膜下層142により形成させることで、従来のアモルファスカーボンと窒素からなる保護膜と比較して、良好な機械的対摩耗性、腐食耐性が得られることがわかった。
以上説明した本発明の実施の形態の磁気ヘッドによれば、浮上面上に浮上面保護膜最下層として、窒化珪素をふくむものを用い、浮上面保護膜最上層としてテトラヘドラルアモルファスカーボンを用いることで、スライダ材界面での良好な接着性、優れた摺動特性、及び高い腐食耐性を有する浮上面保護膜を成膜することが可能となり、磁気記録装置としてスペーシングロスの減少による高記録密度化、信頼性向上を実現することが可能である。
本発明に係る磁気ヘッドを示す模式図である。 図1で示した磁気ヘッド流出端部15の拡大図である。 本発明に係るスクラッチテストの結果を示す図で、縦軸が摩擦力、横軸が印加した荷重を示す。 本発明に係る陰極真空アーク放電蒸着法により成膜したテトラヘドラルアモルファスカーボン膜の磁気ヘッド浮上面上の素子部分上でのラマンスペクトルである。 本発明に係る陰極真空アーク放電蒸着法により成膜したテトラヘドラルアモルファスカーボン膜の磁気ヘッド浮上面上のアルミナ・チタン・カーバイト基板部分上でのラマンスペクトルである。 本発明に係るスパッタリング蒸着法により成膜したアモルファスカーボン膜の磁気ヘッド浮上面上の素子部分上でのラマンスペクトルである。 本発明に係るCVD蒸着法により成膜した水素含有アモルファスカーボン膜の磁気ヘッド浮上面上の素子部分上でのラマンスペクトルである。 本発明に係る磁気ヘッド浮上面上のCVD蒸着法により成膜した水素含有アモルファスカーボンからなる最上層と珪素からなる最下層から構成される浮上面保護膜のTOF−SIMSによる測定結果を示す図である。 本発明に係る磁気ヘッド浮上面上のテトラヘドラルアモルファスカーボンからなる最上層と珪素からなる最下層から構成される浮上面保護膜のTOF−SIMSによる測定結果を示す図である。 本発明に係る磁気ヘッド浮上面上のテトラヘドラルアモルファスカーボンと窒素からなる最上層と窒化珪素からなる最下層から構成される浮上面保護膜のTOF−SIMSによる測定結果を示す図である。 本発明に係る窒化珪素膜のピンホール試験の結果を示す図である。 本発明に係る窒素流量比に対する光学定数nの依存性を示す図である。 本発明に係る窒素流量比の変化に対する質量密度の変化を示す図である。 本発明に係る保護膜を有する磁気ディスクの断面構成図である。
符号の説明
11…磁気ヘッド、12…磁気ヘッド素子部、13…磁気ヘッド浮上面、14…磁気ディスク、15…磁気ヘッド流出端部、16…浮上面保護膜、17…浮上面保護膜最下層、18…浮上面保護膜最上層、31…浮上面保護膜最下層が珪素薄膜である場合の実験例、32…浮上面保護膜最下層が窒化珪素薄膜である場合の実験例、33…剥離点、41…テトラヘドラルアモルファスカーボンの磁気ヘッド浮上面の素子部分上におけるラマンスペクトル、42…ラマンスペクトル41におけるピークA、43…ラマンスペクトル41におけるピークB、51…テトラヘドラルアモルファスカーボンの磁気ヘッド浮上面のアルミナ・チタン・カーバイト基板上におけるラマンスペクトル、52…ラマンスペクトル51におけるピークA、53…ラマンスペクトル51におけるピークB、61…スパッタリング蒸着法により成膜されたアモルファスカーボンの磁気ヘッド浮上面の素子部分上におけるラマンスペクトル、62…ラマンスペクトル61におけるピークA、53…ラマンスペクトル61におけるピークB、71…CVD蒸着法により成膜された水素含有アモルファスカーボンの磁気ヘッド浮上面の素子部分上におけるラマンスペクトル、72…ラマンスペクトル71におけるピークA、73…ラマンスペクトル61におけるピークB、81…水素の二次イオン強度を示す実験例、82…炭素の二次イオン強度を示す実験例、83…酸素の二次イオン強度を示す実験例、84…珪素の二次イオン強度を示す実験例、91…水素の二次イオン強度を示す実験例、92…炭素の二次イオン強度を示す実験例、93…酸素の二次イオン強度を示す実験例、94…珪素の二次イオン強度を示す実験例、101…水素の二次イオン強度を示す実験例、102…炭素の二次イオン強度を示す実験例、103…酸素の二次イオン強度を示す実験例、104…珪素の二次イオン強度を示す実験例、105…窒素の二次イオン強度を示す実験例、111…珪素薄膜の膜厚に対するピンホール個数の実験例、112…2nm珪素薄膜のピンホール個数、141…炭素と窒素からなる保護膜上層、142…珪素と窒素からなる保護膜下層、143…CoCr系合金記録磁性膜、144…Cr合金下地膜、145…NiCr系プリコード膜、146…ガラス製ディスク上基体。

Claims (4)

  1. 磁気記録再生素子の磁気記録媒体に相対する面が保護膜により覆われている磁気ヘッドであって、該保護膜が複数の膜の積層により構成されてあって、磁気記録再生素子に接する層である浮上面保護膜最下層が窒素と珪素を含む層からなり、浮上面保護膜の最表面に位置する層である浮上面保護膜最上層がテトラヘドラルアモルファスカーボンと窒素を含む層からなることを特徴とする磁気ヘッド。
  2. 前記浮上面保護膜の最上層を構成するテトラヘドラルアモルファスカーボンと窒素からなる膜が、磁気ヘッドの状態で膜中の水素の含有量が25原子%以下であり、かつ、ラマン分光法を用いて測定されたとき、1500〜1600cm−1に存在する一方のピーク(A)と1200〜1450cm−1に存在するもう一方のピーク(B)の強度比(B/A)が0.0以上0.4以下であることを特徴とする請求項1に記載の磁気ヘッド。
  3. 前記浮上面保護膜の最下層を構成する前記窒化珪素膜の膜厚が0.5nm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気ヘッド。
  4. 前記浮上面保護膜の最下層を構成する前記窒化珪素膜において、窒素の含有率が45原子%以上57原子%以下であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の磁気ヘッド。
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