JP2005338051A - 水素ガスセンサ - Google Patents

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秀樹 石川
Masaya Watanabe
昌哉 渡辺
Shoji Kitanoya
昇治 北野谷
Takaharu Inoue
隆治 井上
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Abstract

【課題】 高分子電解質と白金族金属或いは白金−ルテニウム合金の粉末とを有効に活用して、正側電極を良好な導通特性を維持するように形成してなる水素ガスセンサを提供する。
【解決手段】 プロトン伝導層160に当接する正側電極170及び負側電極180は、白金族金属の粉末と高分子電解質とを混合してなる電極材料でもって形成されている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、水素ガスセンサに関するものである。
近年、地球環境や自然保護等に対する社会的要求から、効率の高いクリーンなエネルギー源として、種々の燃料電池の研究が活発に行われている。これらの燃料電池のうち、例えば、家庭用や車載用のエネルギー源として固体高分子型燃料電池の開発が期待されている。
このような燃料電池の燃料ガスとしては、天然ガスやメタノール等を改善することで得られる水素ガスの採用が有望視されているが、当該燃料電池としての効率を高めるために、例えば燃料ガス配管内の水素ガスの濃度を直接検出し得るセンサの開発が要請される。
この要請に対するセンサとしては、下記特許文献1に開示された水素ガスセンサが提案されている。この水素ガスセンサにおいては、一側の板状支持部材の拡散律速部を通り導入される水素ガスが、プロトン伝導層を介し正側電極から負側電極に汲み出されて他側の板状支持部材の流出口部から流出するようになっている。
しかして、このような構成のもと、直流のポンプ電圧を両電極間に印加することで水素ガスを解離、分解或いは反応させたとき発生するプロトンが、正側電極からプロトン伝導層を介し伝導されて負側電極に汲み出されることで生ずる電流に基づき、水素ガスの濃度が検出される。
特開2001−215214号公報
ところで、上述のように構成した水素ガスセンサにおいては、水素ガスの測定雰囲気が高湿であるため、両電極の形成材料としては、耐食性に優れていることが要請される。また、一側の板状支持部材の拡散律速部より導入される水素ガスを拡散させてプロトン伝導層に流動させることが要請される。これらの要請に応えるために、上記各電極の形成材料としては、白金(Pt)を担持させたカーボンが採用されている。
ここで、上述した固体高分子型燃料電池の運転時に燃料ガス配管を通して燃料極に供給されるガス成分は、主として燃料となる水素と燃料電池セルの導電性を確保するに必要な水蒸気で占められる。然るに、空気や窒素が、燃料電池の停止動作における燃料ガス配管内のパージガスとして使用される場合、或いは空気や窒素が燃料電池の起動時に前回停止時の残存ガスとして燃料ガス配管内に充満している場合には、水素ガスがセンサ近傍に存在していない状況のもとに上記ポンプ電圧が両電極間に印加されたままの状態となる。
このため、このようなポンプ電圧でもって水から分解されて発生する酸素が正側電極の主形成材料であるカーボンと反応して二酸化炭素になる。その結果、当該正側電極の主形成材料であるカーボンが除々に消失してしまい、正側電極に、インピーダンスの異常な増大や導通不良等の故障を招く。
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、高分子電解質と白金族金属或いは白金−ルテニウム合金の粉末とを有効に活用して、良好な導通特性を維持するように、正側電極を形成してなる水素ガスセンサを提供することを目的とする。
上記課題の解決にあたり、本発明に係る水素ガスセンサは、請求項1の記載によれば、
互いに対向して位置する両側支持部材(140、150)と、
両側支持部材の間にて挟持されて高分子電解質からなるプロトン伝導層(160)と、
両側支持部材のうちの一側支持部材(140)とプロトン伝導層との間にこのプロトン伝導層と電気的に接続するように設けられる正側電極(170)と、
他側支持部材とプロトン伝導層とこのプロトン伝導層と電気的に接続するように設けられる負側電極(180)とを備え、
一側支持部材は、外部からの水素ガスを正側電極に導入する拡散律速部(143)を有しており、
他側支持部材は、上記拡散律速部より導入されてプロトン伝導層を介し正側電極から負側電極に汲み出される水素ガスを流出する流出口部(153)を有する。
当該水素ガスセンサにおいて、両電極のうち少なくとも正側電極は、白金族金属の粉末と高分子電解質とを混合してなる電極材料でもって形成されていることを特徴とする。
これによれば、水素ガスセンサでもって水素ガスの濃度を検出するにあたっては、水素ガスセンサが水素ガスの雰囲気内において当該水素ガスを拡散律速部に流入させるように配置されると、当該水素ガスが、水素ガスセンサの拡散律速部を介し正側電極に導入される。そして、このように導入される水素ガスは、プロトン伝導層を介し正側電極から負側電極に汲み出されて他方の支持部材の流出口部から流出する。
このような状態において、直流電源が、その正側及び負側の各端子にて、両側の各支持部材を介し正側及び負側の各電極にそれぞれ接続されると、当該直流電源の直流電圧が両電極間に印加される。当該直流電圧がプロトンの汲み出しに十分な電圧であれば、上述のように水素ガスが正側電極に導入されるに伴い、水素ガスを解離、分離或いは反応させてプロトンを発生させる。そして、このように発生するプロトンが、正側電極からプロトン伝導層によりそのプロトン伝導作用により伝導されて負側電極へ汲み出される。このようなプロトンの汲み出しに伴い生ずる直流電流が、正側電極からプロトン伝導層を通り負側電極に流れる。
このような直流電流は、上述のようにプロトンの汲み出しに十分な電圧に対応する電流であって、いわゆる限界電流に維持されることから、水素ガスの濃度に比例する電流である。従って、この電流を計測することで、水素ガスの濃度を検出できる。
ここで、両電極のうち少なくとも正側電極は、従来のように白金を担持したカーボンによっては形成されておらず、上述のごとく、白金族金属の粉末と高分子電解質との混合してなる電極材料でもって形成されている。従って、この電極材料は、カーボンを含んでいない。よって、当該電極材料は、カーボンのように焼失するということがなく、その結果、正側電極は、良好な導通特性を維持し得る。なお、白金族金属は高温の雰囲気内でも耐食性に優れることは勿論である。
また、本発明は、請求項2の記載によれば、請求項1に記載の水素ガスセンサにおいて、両電極のうち少なくとも正側電極が、白金族金属の粉末と高分子電解質とを混合してなる電極材料に代えて、白金−ルテニウム合金の粉末と高分子電解質とを混合してなる電極材料でもって形成されていることを特徴とする。
このように両電極のうち少なくとも正側電極の電極材料として、白金−ルテニウム合金の粉末と高分子電解質との混合材料を採用しても、この電極材料は、カーボンを含んでおらず、このカーボンのように焼失することがなく、その結果、正側電極は良好な導通性を維持し得る。
ここで、白金−ルテニウム合金は、白金よりも高い活性を有することから、白金の被毒原因となる一酸化炭素によって被毒されることもない。その結果、正側電極が白金−ルテニウム合金を主電極材料とすることで、水素ガスセンサの出力特性を良好に維持し得る。なお、白金−ルテニウム合金は高温の雰囲気内でも耐食性に優れることは勿論である。
また、本発明に係る水素ガスセンサは、請求項3の記載によれば、
流入口部(711)を有する底壁(710)と、流出口部(721)を有する筒状周壁(720)とを有し、この周壁の底端側開口部に上記底壁を設けてなる筒体(700)と、
この筒体内に収容されて上記底壁に着座する一側支持部材(800)と、
この一側支持部材に積層される正側電極(1120)と、
この正側電極に積層されて高分子電解質からなるプロトン伝導層(1110)と、
このプロトン伝導層を介し正側電極に対向するようにプロトン伝導層に積層される負側電極(1130)と、
この負側電極を介しプロトン伝導層に対向するように負側電極に積層される他側支持部材(900)と、
筒体内にその先端側開口部から嵌装されて他側支持部材を負側電極、プロトン伝導層及び正側電極を介し上記底壁上に押圧する押圧部材(1200)とを備えて、
一側支持部材は、正側電極に外部から筒体の上記流入口部を通し水素ガスを導入する拡散律速部(880)を有しており、
他側支持部材は、上記拡散律速部より導入されてプロトン伝導層を介し正側電極から負側電極に汲み出される水素ガスを、筒体の流出口部を通し、外部に流出させる流出口部(921)を有する。
当該水素ガスセンサにおいて、両電極のうち少なくとも正側電極は、白金族金属の粉末と高分子電解質とを混合してなる電極材料でもって形成されていることを特徴とする。
このような構成を有する水素ガスセンサにおいても、請求項1に記載の発明と同様の作用効果を達成できる。
また、本発明は、請求項4の記載によれば、請求項3に記載の水素ガスセンサにおいて、両電極のうち少なくとも正側電極が、白金族金属の粉末と高分子電解質とを混合してなる電極材料に代えて、白金−ルテニウム合金の粉末と高分子電解質とを混合してなる電極材料でもって形成されていることを特徴とする。
これによっても、請求項2に記載の発明と同様の作用効果を達成できる。
また、本発明は、請求項5の記載によれば、請求項1〜4のいずれか1つに記載の水素ガスセンサにおいて、一側支持部材の拡散律速部より導入される水素ガスを拡散して正側電極に流入させるように一側支持部材と正側電極との間に挟持された拡散部材(190、1140)を備えていることを特徴とする。
これによれば、拡散部材が一側支持部材の拡散律速部と正側電極の間に介在することで、拡散律速部より正側電極に導入される水素ガスが拡散部材により良好に拡散されて正側電極に流入する。
従って、正側電極におけるプロトンの発生が広範囲に亘り良好に確保され、その結果、プロトン伝導層によるプロトンの伝導率が向上し、請求項1〜4のいずれか1つに記載の発明の作用効果を向上できる。
また、本発明は、請求項6の記載によれば、請求項1〜4のいずれか1つに記載の水素ガスセンサにおいて、一側支持部材の拡散律速部より導入される水素ガスを拡散して正側電極に流入させるように一側支持部材と正側電極との間に積層して挟持された少なくとも2つの板状拡散部材(1140、1150)を備えて、
これら各拡散部材は、上記高分子電解質よりも高硬度のの材料でもって形成されるとともに、相互にずれた位置にて互いに連通する貫通孔部(1141、1151)を、それぞれ、多数有し、
正側電極は、プロトン伝導層により上記少なくとも2つの板状拡散部材に向け所定の押圧力にて押圧されていることを特徴とする。
これによれば、正側電極の形成材料は高分子電解質を含み、一方、両拡散部材の形成材料は高分子電解質よりも高硬度であることから、正側電極は、両拡散部材よりも柔らかい性質を有する。しかも、上述のごとく、両拡散部材は、共に多数の貫通孔部を備えているとともに、正側電極は、プロトン伝導層により上記所定の押圧力でもって両拡散部材に対し押圧されている。
このため、当該水素ガスセンサの経年使用に伴い正側電極が、この正側電極に近い側の拡散部材の各貫通孔部を埋めるように形状変化を起こす。なお、プロトン伝導層は、上述のごとく、高分子電解質でもって形成されているため、正側電極と同様に柔らかい性質を有するが、このプロトン伝導層は、正側電極と同様に、両拡散部材のような多数の貫通孔部を有する構成を備えていない。このため、正側電極がプロトン伝導層側へ形状変形することはない。
一方、両拡散部材においては、互いに対応する両貫通孔部が、相互にずれた位置にて互いに連通している。
このため、上述のように正側電極が形状変化を起こしても、この正側電極の形状変化部分が、遠い側の拡散部材のうち上記近い側の拡散部材の各貫通孔部内を臨む部分でもって、上記遠い側の拡散部材の各貫通孔部内への侵入を阻止される。
これにより、正側電極と一側支持部材との間の連通は、両拡散部材の各対応貫通孔部を通して良好に維持され得る。従って、一側支持部材の拡散律速部から流入する水素ガスは、上述のような正側電極の形状変化にもかかわらず、両拡散部材でもって良好に拡散されて正側電極に到達し得る。その結果、上述のように正側電極が形状変化しても、当該水素ガスセンサの検出出力が低下することなく良好に確保され得る。
また、本発明は、請求項7の記載によれば、請求項5或いは6に記載の水素ガスセンサにおいて、拡散部材は導電性を有することを特徴とする。
これにより、当該拡散部材を利用して外部回路との電気的接続を行えばよく、正側電極を外部回路と電気的に接続するのに比べて、良好にかつ容易に電気的接続を行える。
ここで、導電性を有する拡散部材としては、例えば、金属製メッシュ板(金属製多孔板)や金属の粉末焼結体、金属繊維の織布若しくは不織布等の導電性多孔質体、金属メッキを施したプラスチック板が挙げられる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下、本発明の各実施形態を図面により説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明に係る水素ガスセンサの第1実施形態を示す。この水素ガスセンサは、センサ本体100と、このセンサ本体100に同軸的に組み付けた円筒状フィルタ200とにより構成されている。センサ本体100は、筒体110と、円柱状樹脂部材120と、この樹脂部材120を介し筒体110に支持したセンサ素子130とを備えている。樹脂部材120は、電気絶縁性合成樹脂からなるもので、この樹脂部材120は、筒体110の中空部内にモールド成型により同軸的に形成されている。
センサ素子130は、図1及び図2にて示すごとく、一対の板状支持部材140、150を備えている。これら各支持部材140、150は、その各上端部141、151にて、樹脂部材120の下端部に埋設されて支持されており、当該各支持部材140、150は、その各上端部141、151から互いに対向するように並行に下方へ円筒状フィルタ200内に向け長手状に延出している。なお、各支持部材140、150の上端部141、151は、上述のように樹脂部材120をモールド成型により筒体110内に形成する際に、当該樹脂部材120に埋設されている。
各支持部材140、150は、電気絶縁性セラミック材料でもって形成されており、支持部材140の支持部材150との対向面には、凹所142が、図2にて示すごとく形成されている。一方、支持部材150の支持部材140との対向面には、凹所152が、図2にて示すごとく凹所142に対向するように形成されている。
また、支持部材140は、水素ガスの導入孔部として拡散律速孔部143を備えており、この拡散律速孔部143は、図2にて示すごとく、支持部材140のうち凹所142の上壁に相当する部位(以下、凹所142の上壁部位144ともいう)にその厚さ方向に貫通状に形成されて、凹所142内に開口している。この拡散律速孔部143は、後述するプロトン伝導層160によるプロトンの伝導能力に余裕を与えるように水素ガスの拡散抵抗を大きくする役割を果たす。本第1実施形態では、拡散律速孔部143は、凹所142の上壁部位144に内径60(μm)の貫通孔部をレーザ加工で形成することで形成されている。なお、上壁部位144の内面には、電極端子(図示しない)が膜状に印刷形成されている。
一方、支持部材150は、水素ガスの流出口部153を備えており、この流出口部153は、支持部材150のうち凹所152の上壁に相当する部位(以下、凹所152の上壁部位154ともいう)にその厚さ方向に貫通状に形成されて、凹所152内に開口している。なお、流出口部153は拡散律速孔部143と同軸的に位置している。また、上壁部位154の内面には、電極端子(図示しない)が膜状に印刷形成されている。
また、センサ素子130は、図1及び図2にて示すごとく、プロトン伝導層160を備えており、このプロトン伝導層160は、両支持部材140、150によりその各長手方向中間部位の間に挟持されている。このプロトン伝導層160は、高分子電解質により形成されて、後述する正側電極170からのプロトンを負側電極180に伝導する。本第1実施形態では、当該高分子電解質として、例えば、デュポン社製で登録商標「Nafion117」で指定されている高分子電解質が採用されている。
また、当該センサ素子130は、図2にて示すごとく、正負両側の電極170、180及び多孔質性板状拡散部材190を備えている。正側電極170は、拡散部材190と共に支持部材140の凹所142内にて、プロトン伝導層160と支持部材140の凹所142の上壁部位144との間に挟持されている。
ここで、正側電極170は、その裏面にて、プロトン伝導層160の正側面に当接しており、当該正側電極170は、その表面にて、拡散部材190の裏面に当接している。また、拡散部材190は、その表面にて、凹所142の上壁部位144の内面に当接している。これにより、当該拡散部材190は、正側電極170をプロトン伝導層160に押圧して当該正側電極170のプロトン伝導層160に対する機械的支持接触強度を高めるとともに、当該正側電極170を介しプロトン伝導層160に電気的に接続されている。
本第1実施形態では、拡散部材190は、導電性多孔質材料、例えば、白金メッキを施したチタン製メッシュ板で形成されている。これにより、拡散部材190は、拡散律速孔部143により導入される水素ガスを拡散させて正側電極170に案内するとともに、凹所142の上壁部位144の上記電極端子を正側電極170に電気的に接続する。なお、拡散部材190は、その表面の一部にて、凹所142の上壁部位144の上記電極端子に電気的に接続されている。
負側電極180は、その裏面にて、プロトン伝導層160の負側面に当接しており、当該負側電極180は、その表面にて、支持部材150における凹所152の上壁部位154の内面に当接している。これにより、負側電極180は、プロトン伝導層160と凹所152の上壁部位154との間に挟持されて、プロトン伝導層160に電気的に接続されている。なお、負側電極180は、その表面の一部にて、凹所152の上壁部位154の上記電極端子に電気的に接続されている。
本第1実施形態において、正側及び負側の各電極170、180は、白金族金属の粉末と高分子電解質とを混合してなる電極材料でもってそれぞれ形成されている。具体的には、白金族金属の粉末と高分子電解質とを混練してなるペーストをプロトン伝導層160の正側及び負側の各面に沿い塗布した後乾燥して各電極170、180として形成する。なお、各電極170、180の電極材料は高温の雰囲気内で水素ガスに対する耐食性に優れる。
上記白金族金属は、白金(Pt)の他、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)或いはイリジウム(Ir)等を含むが、本第1実施形態における当該白金族金属としては、例えば、エム・イーケムキャット社製白金黒(Platinum black)であって被表面積35(m2/g)を有するものが採用されている。なお、当該白金族金属は触媒としての役割をもつ。
また、上記高分子電解質は、一般的には、電解質としての性質をもつ高分子や高分子鎖中に解離基を有し、水に溶けた状態で高分子イオンとなるもの、例えば、パーフルオロスルホン酸エチレンをいう。本第1実施形態における高分子電解質としては、デュポン社製ナフィオン溶液(Nafion溶液)が採用されている。
また、正側リード線191は、図2にて示すごとく、その一端にて、支持部材140の上記電極端子に電気的に接続されており、この正側リード線191は、その一端から支持部材140の内部及び樹脂部材120の内部を通り外方へ延出している。一方、負側リード線181は、その一端にて、支持部材150の上記電極端子に接続されており、この負側リード線181は、その一端から支持部材150の内部及び樹脂部材120の内部を通り外方へ延出している。
円筒状フィルタ200は、その周壁210の開口端部211にて、図1にて示すごとく、筒体110の小径雄ねじ部111の下端開口部に同軸的に装着されており、このフィルタ200は、筒体110からのセンサ素子130の延出部を包囲している。当該フィルタ200は、撥水性及びガス透過性を兼ね備えたフィルタ材料でもって形成されており、このフィルタ200は、外部からのガスに付随する水滴を排除して水素ガス等のガスのみをセンサ素子130の上記延出部に向け透過させる。
このように構成した本第1実施形態において、当該水素ガスセンサによる水素ガスの検出例について説明する。当該水素ガスセンサを、図3にて示すごとく、ガス配管300に取り付ける。即ち、筒体110を、その小径雄ねじ部111にて、ガス配管300の周壁に形成した雌ねじ孔部310に締着する。これにより、当該水素ガスセンサは、フィルタ200にて、ガス配管300内の水素ガスの流れ(図3にて矢印320参照)の中に晒される。
このとき、ガス配管300内において、センサ素子130は、拡散律速孔部143にて、水素ガスの流れ320の上流側に向け開口し、一方、流出口部153にて、水素ガスの流れ320の下流側に向け開口している。
このような状態にて、当該水素ガスセンサのリード線191を電流計400を介し直流電源500の正側端子に接続する。また、当該水素ガスセンサのリード線181を操作スイッチ600を介し直流電源500の負側端子に接続する。
しかして、水素ガスが、図3にて図示方向(矢印320参照)に流れると、当該水素ガスはフィルタ200を透過して当該フィルタ200内に流入する。この流入の際、水素ガスに付随する水滴はフィルタ200の撥水作用により排除される。そして、当該水素ガスがセンサ素子130の拡散律速孔部143により支持部材140の凹所142内に導入されると、この導入水素ガスは、拡散部材190により拡散されて正側電極170に流入した後、プロトン伝導層160を介し負側電極180に汲み出されて流出口部153から流出していく。
ここで、拡散部材190は上述のごとく拡散機能を有するため、凹所142内への導入水素ガスは、拡散部材190により良好に拡散されて正側電極170に流入し、然る後、当該拡散水素ガスは負側電極180に汲み出される。従って、拡散部材190は水素ガスを良好に拡散することとなる。
このような状態にて、操作スイッチ600を閉じると、直流電源500が直流電圧を電流計400及び拡散部材190を介し両電極170、180の間にポンプ電圧として印加する。ここで、当該ポンプ電圧は、水分や温度等の外乱による当該水素ガスセンサへの影響を無視できる程度の十分な電圧であってプロトンを正側電極170から汲み出すに十分な電圧Vpn(図4参照)に相当する。
しかして、このようにポンプ電圧が両電極170、180の間に印加されると、上述のように水素ガスが正側電極170に流入するに伴い、当該正側電極170が、その電極材料による触媒作用を発揮して、水素ガスを解離、分解或いは反応させてプロトンを発生させる。このとき、上述のごとく拡散部材190が水素ガスを良好に拡散するため、正側電極170におけるプロトンの発生が広範囲に亘り良好に確保される。
そして、上述のように発生したプロトンは、正側電極170からプロトン伝導層160によりそのプロトン伝導作用により伝導されて負側電極180へ汲み出される。このようなプロトンの汲み出しに伴い生ずる直流電流が、正側電極170、プロトン伝導層160、負側電極180、リード線181、操作スイッチ600、直流電源500、電流計400、リード線191及び拡散部材190を通り正側電極170に流れる。
このような直流電流は、上述のような十分な電圧Vpnに対応する電流である。また、当該電圧Vpnは、上記直流電流を限界電流に維持する電圧範囲(図4にて符号410にて示す範囲)以内の電圧に相当することから、上述した十分な電圧Vpnに対応する電流は、限界電流であって、水素ガスの濃度に比例する。
例えば、図4において、グラフ420は、水素ガスの濃度10(%)のときの限界電流と直流電圧との関係を示し、グラフ430は、水素ガスの濃度20(%)のときの限界電流と直流電圧との関係を示す。また、グラフ440は、水素ガスの濃度30(%)のときの限界電流と直流電圧との関係を示し、グラフ450は、水素ガスの濃度40(%)のときの限界電流と直流電圧との関係を示す。即ち、これらグラフによれば、電圧Vpnのもと、直流電流と水素ガスの濃度とは比例することが示されている。従って、電流計400に流れる電流を計測することで、水素ガスの濃度を検出することとなる。
ここで、固体高分子型燃料電池の燃料極内におけるガス成分は、主として、水素と水蒸気で占められるが、当該ガス成分は、一時的には、無水素環境に晒された状態のもの(例えば、当該燃料電池におけるパージ時や前回停止時の残存ガス成分)である場合がある。このような場合に、プロトンを伝導するためのポンプ電圧が両電極170、180の間に印加されていると、当該ポンプ電圧により分解された水から活性酸素が発生する。
しかし、両電極170、180は、従来のように白金を担持したカーボンによっては形成されておらず、上述のごとく、白金族金属の粉末と高分子電解質とを混合してなる電極材料でもってそれぞれ形成されている。従って、この電極材料は、カーボンを含んでいない。よって、当該電極材料は、カーボンのように上記活性酸素と反応することはなく、酸化して二酸化炭素となることはない。このため、両電極170、180の電極材料は、カーボンのように除々に消失するということはなく、良好な導通特性を維持できる。その結果、水素ガスの検出濃度を常に高く維持し得る。
ちなみに、本第1実施形態の水素ガスセンサのインピーダンス特性と従来の水素ガスセンサ(以下、試料という)のインピーダンス特性とを試験により確認してみた。なお、当該試料としては、本第1実施形態の水素ガスセンサにおける両電極170、180に対応する両電極を白金担持カーボンで形成することを除き、本第1実施形態の水素ガスセンサと同様の構成を有するものを3つ準備した。この3つの試料を試料1、試料2及び試料3というものとする。
当該試験は、周囲温度80(℃)で相対湿度95(%RH)の大気中において、次の表1にて示す直流電圧を各試料及び本第1実施形態の水素ガスセンサに印加することで行った。
Figure 2005338051
この表1によれば、試料1、試料2及び試料3に印加した各直流電圧は、それぞれ、0.25(V)、0.75(V)及び1(V)である。また、本第1実施形態の水素ガスセンサに印加した直流電圧は2(V)である。
上記試験の結果、各試料及び本第1実施形態の水素ガスセンサのインピーダンス特性は図5にて示す各グラフとして得られた。図5において、グラフ710は、試料1のインピーダンスの経時的変化を示し、グラフ720は、試料2のインピーダンスの経時的変化を示し、グラフ730は、試料3のインピーダンスの経時的変化を示す。
これらグラフによれば、電極材料として白金担持カーボンを用いた各試料においては、インピーダンス(Ω)が、印加直流電圧の増大に比例して増大することが分かる。このような変化によれば、試料1から試料3にかけて電極のカーボンの消失度合いが順次増加するためにインピーダンスが試料1から試料3にかけて順次増大したことが分かる。
一方、グラフ740は、本第1実施形態の水素ガスセンサのインピーダンスの経時的変化を示す。これによれば、当該水素ガスセンサのインピーダンスは、印加電圧を2(V)と高くしてもほぼ零に近く全く増大しないことが分かる。これは、本第1実施形態の水素ガスセンサでは、白金黒と高分子電解質との混合材料を電極材料として採用されておりカーボンを含んでいないことに起因する。
従って、白金属金属の粉末と高分子電解質の混合材料を電極材料とする水素ガスセンサは、水素ガスのない環境下で使用されても、カーボンの消失というような不具合を招くことがない。その結果、当該水素ガスセンサによれば、良好な導通特性を維持しつつ、水素ガスの濃度を安定的に精度よく検出し得る。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明すると、この第2実施形態では、上記第1実施形態にて述べた水素ガスセンサにおいて、両電極170、180が、白金属金属の粉末と高分子電解質とを混合してなる電極材料に代えて、白金(Pt)−ルテニウム(Ru)合金の粉末と高分子電解質とを混合してなる電極材料でもって形成されている。なお、当該白金(Pt)−ルテニウム(Ru)合金は触媒としての役割をもつ。その他の構成は上記第1実施形態にて述べた水素ガスセンサと同様である。
このように構成した本第2実施形態によれば、本第2実施形態における水素ガスセンサは、以下に説明するように、上記第1実施形態にて述べた水素ガスセンサよりもさらに性能を向上し得る。
炭化水素等から改質反応により水素のリッチガス(濃度の濃いガス)を取り出して燃料とする改質タイプの燃料電池では、その改質ガスに一酸化炭素(CO)が混在することが知られている。この一酸化炭素によって、水素ガスセンサの触媒としての白金が被毒され
ると、当該水素ガスセンサの検出出力が低下する。しかし、本第2実施形態にて主電極材料として採用される白金−ルテニウム合金は、白金と比較して高い活性を有するという特性をもつ。このような特性が、上述した水素ガスセンサの検出出力の低下を抑制することから、本第2実施形態における水素ガスセンサは、上記第1実施形態にて述べた水素ガスセンサよりもさらに性能を向上し得る。なお、本第2実施形態における各電極170、180の電極材料も、高温の雰囲気内で水素ガスに対する耐食性に優れる。
ちなみに、本第2実施形態の水素ガスセンサを、上記第1実施形態の水素ガスセンサと共に、濃度2.5(%)の一酸化炭素の雰囲気内に晒したところ、図6にて示す各グラフ760、770が得られた。評価条件として、50(%)の水素(H2)、20(%)の水(H2O)及び30(%)の窒素(N2)を含むガスに対し、評価開始より10(分)後に1(時間)の間2.5(%)の一酸化炭素(CO)を混入させた(図6にて示す一酸化炭素の投入時間区域750参照)。
グラフ760は、上記第1実施形態の水素ガスセンサの出力特性である水素ガスの濃度の経時的変化を示し、グラフ770は、本第2実施形態の水素ガスセンサの出力特性である水素ガスの濃度の経時的変化を示す。これらによれば、上記第1実施形態の水素ガスセンサにおいては、一酸化炭素の投入直後から大幅な出力の低下(水素ガスの濃度の低下)が発生する。これに対し、本第2実施形態の水素ガスセンサにおいては、一酸化炭素を投入しても出力の低下(水素ガスの濃度の低下)は極めて少ない。
従って、本第2実施形態の水素ガスセンサの出力特性は、上記第1実施形態の水素ガスセンサの出力特性のように一酸化炭素の被毒を受けず、良好に維持され得る。
(第3実施形態)
図7及び図8は、本発明に係る水素ガスセンサの第3実施形態を示している。この第3実施形態において、当該水素ガスセンサは、金属製筒体700を備えており、この筒体700は、その底壁710の中央にて、流入口部711を有している。また、この筒体700は、その周壁720にて、2つの流出口部721を備えており、これら流出口部721は、底壁710の近傍において、周壁720の周方向に沿い等角度間隔にて形成されている。なお、図7及び図8において、符号730は、環状フランジを示しており、このフランジ730は、周壁710の先端側開口部から外方へ半径方向に延出形成されている。
また、当該水素ガスセンサは、図7にて示すごとく、筒体700内に収容した下側支持部材800、上側支持部材900、環状シール1000及びセンサ素子1100を備えている。
下側支持部材800は、図8にて詳細に示すごとく、各円形状の下側、中間側及び上側の基板810、820及び830を備えており、これら各基板810、820及び830は、共に、セラミック材料でもって形成されている。
下側基板810の裏面には、環状の下側電極層840が、同軸的に積層されている。また、中間側基板820は、円板状の中間側電極層850を介し、下側基板810の表面に同軸的に積層されている。ここで、中間側電極層850は、下側基板810にその板厚方向に形成したスルーホール811を介し、下側電極層840に電気的に接続されている。なお、両基板810、820の外径は、共に同一である。また、中間側電極層850の外径は、両基板810、820の外径よりも小さく、下側電極層840の内径よりも大きい。
また、上側基板830は、円板状の中間側電極層860を介し、中間側基板820の表面に同軸的に積層されており、この上側基板830の表面には、上側電極層870が同軸的に積層されている。ここで、中間側電極層860は、中間側基板820にその板厚方向に形成したスルーホール821を介し、中間側電極層850に電気的に接続されている。また、上側電極層870は、上側基板830にその板厚方向に形成したスルーホール831を介し、中間側電極層860に電気的に接続されている。なお、上側基板830の外径は、中間側基板820の外径よりも小さく、上側電極層870の外径と同一である。また、中間側電極層860の外径は中間側電極層850の外径よりも小さい。
このように積層した上側電極層870、上側基板830、中間側電極層860、中間側基板820、中間側電極層850及び下側基板810には、上側電極層870から下側基板810にかけて、拡散律速孔部880が同軸的に形成されている。
以上のように構成した下側支持部材800は、その下側基板810にて、下側電極層840を介し、筒体700の底壁710の内面上に着座するように筒体700内に収容されている(図7参照)。
一方、上側支持部材900は、図8にて詳細に示すごとく、環状の下側基板910、環状の中間側基板920及び円形状の両上側基板930、940を備えており、これら各基板910〜940は、共に、同一外径を有するようにセラミック材料でもって形成されている。
中間側基板920は、下側基板910の表面上に同軸的に積層されており、この中間側基板920の外周部には、4つのスリット921が形成されている。これら各スリット921は、基板920にその周方向に沿い等角度間隔にて形成されており、当該各スリット921は、基板920の周方向90度毎に、基板920内の中空部を当該基板920の内周面から外方に連通させる。
上側基板930は中間側基板920の表面に同軸的に積層されており、この上側基板930の裏面のうち中間側基板920の中空部内に露呈する裏面部位には、円板状の下側電極層950が積層されている。
上側基板940は、中間側電極層960を介し上側基板930の表面に同軸的に積層されており、この上側基板940の表面には、上側電極層970が同軸的に積層されている。ここで、中間側電極層960は、上側基板930にその板厚方向に形成したスルーホール931を介し、下側電極層950に電気的に接続されている。また、上側電極層970は、上側基板940にその板厚方向に形成したスルーホール941を介し、中間側電極層960に電気的に接続されている。なお、中間側電極層960及び上側電極層970の外径は、基板930の外径よりも小さく、下側電極層950の外径と同一である。
このように構成した上側支持部材900は、その環状の下側基板910にて、センサ素子1100のプロトン伝導層1110(後述する)の外周部上に着座している。
センサ素子1100は、図7及び図8にて示すごとく、両支持部材800、900の間に挟持されているもので、このセンサ素子1100は、プロトン伝導層1110、正負両側電極1120、1130及び拡散部材1140を備えている。
プロトン伝導層1110は、高分子電解質でもって、円板状に形成されており、このプロトン伝導層1110は、その外周部にて、環状シール1000を介し、両支持部材800、900の各外周部間に挟持されている。ここで、環状シール1000は、プロトン伝導層1110の外周部と下側支持部材800の中間側基板820の外周部との間に気密的に挟持されている。
正側電極1120は、負側電極1130及び拡散部材1140と共に円板状に形成されており、当該正側電極1120は、その裏面にて、プロトン伝導層1110の正側面に当接している。拡散部材1140は、正側電極1120と下側支持部材800の上側電極層870との間に挟持されており、この拡散部材1140は、支持部材800の拡散律速孔部880により導入される水素ガスを拡散させて正側電極1120に案内する。なお、拡散部材1140は、上記第1実施形態にて述べた拡散部材190の形成材料と同一の材料でもって形成されている。
負側電極1130は、上側支持部材900の下側基板910及び中間側基板920の両中空部内に嵌装されて、プロトン伝導層1110と上側支持部材900の下側電極層960との間に挟持されている。本第3実施形態において、正側電極1120及び負側電極1130は、上記第1実施形態にて述べた正側及び負側の各電極170、180の形成材料と同一の材料でもって形成されている。
円柱状樹脂部材1200は、両環状シール1300、1400を介し、筒体700内にその先端側開口部から同軸的に嵌装されており、当該樹脂部材1200は、上側支持部材900を介し、センサ素子1100を下側支持部材800上に押圧している。なお、当該樹脂部材1200は、上記第1実施形態にて述べた樹脂部材110の形成材料と同一の材料でもって形成されている。
環状シール1300は、樹脂部材1200の下端部に形成した小径の環状ボス部1210に同軸的に嵌装されて、樹脂部材1200の大径部1220の環状下端面と上側支持部材900の上側基板940の外周部との間に気密的に挟持されている。また、環状シール1400は、樹脂部材1200の周壁の軸方向中間部位に環状に形成した溝部1221内に同軸的に嵌装されて、筒体700の周壁720と環状溝部1221との間に気密的に挟持されている。
正側接続端子1500は、クランク状のターミナルからなるもので、この正側接続端子1500は、その中間部位1510及び先端部位1520にて、樹脂部材1200の上面から外周面にかけてL字状に形成した凹所1230内に収容されている。ここで、当該正側接続端子1500は、その先端部位1520の中間部位に形成した凸状湾曲部1521にて、筒体700の周壁720に当接して、筒体700に電気的に接続されている。
また、負側接続端子1600は、略L字状のターミナルからなるもので、この負側接続端子1600は、樹脂部材1200の貫通穴部1240及び凹所1250内に図7にて示すごとく挿通して収容されている。ここで、当該負側接続端子1600は、その脚部1610にて、凹所1250内に位置して上側支持部材900の上側電極層970に当接して電気的に接続されている。なお、上述した貫通穴部1240は、樹脂部材1200に同軸的に形成されている。また、凹所1250は、樹脂部材1200の下端部にて、貫通穴部1240とL字状に連通形成されている。なお、本実施形態において、水素ガスセンサの筒体700以外の各構成部材は、下側支持部材800から正側接続端子1500にかけて順次筒体700内に収容される。
このように構成した本第3実施形態において、当該水素ガスセンサを、ガス配管300(図3参照)に電気的に絶縁した状態で取り付ける。具体的には、筒体700の周壁720を、ガス配管300の周壁に雌ねじ孔部310に代えて形成した取り付け穴部内に嵌装する。この嵌装に伴い、筒体700は、フランジ730にて、ガス配管300の周壁のうち上記取り付け穴部の近傍部位に着座する。このとき、筒体700の底壁710は、ガス配管300内にて水素ガスの流れ方向に並行に位置する。
このような状態にて、当該水素ガスセンサの正側接続端子1500を、リード線1530及び電流計400(図3参照)を介し直流電源500の正側端子に接続する。また、負側接続端子1600を、リード線1620及び操作スイッチ600(図3参照)を介し直流電源500の負側端子に接続する。
このような段階にて、水素ガスが、図3にて図示矢印320方向に流れると、当該水素ガスは、筒体700の流入口部711及び下側支持部材800の拡散律速孔部880を通りセンサ素子1100の拡散部材1140に到達する。これに伴い、当該水素ガスは、拡散部材1140により拡散されて正側電極1120に流入した後、プロトン伝導層1110を介し負側電極1130に汲み出されて上側支持部材900の各スリット921を通り筒体700の各流出口部721から外部に流出していく。
ここで、拡散部材1140は、上記第1実施形態にて述べた拡散部材190と同様に拡散機能を有する。しかも、拡散部材1140は、正側電極1120、プロトン伝導層1110及び負側電極1130と共に、円板状に形成されている。従って、水素ガスは、当該拡散部材1140によって広い範囲に円滑に拡散されて、正側電極1140から負側電極1130にかけて汲み出される。
このような状態にて、上記第1実施形態と同様に操作スイッチ600を閉じると、直流電源500が、直流電圧を、電流計400を介し、当該水素ガスセンサの正側接続端子1500及び負側接続端子1600の間に、上記第1実施形態にて述べたポンプ電圧として印加する。このことは、当該ポンプ電圧が、センサ素子1100の両電極1120、1130の間に印加されることを意味する。
しかして、上述のように水素ガスが正側電極1120に流入するに伴い、当該正側電極1120が、上記第1実施形態にて述べた正側電極170と同様に、プロトンを発生させる。このとき、拡散部材1140は、正側電極1120と共に円板状であることから、上記第1実施形態の場合に比べて、水素ガスをより一層広範囲に亘り良好に拡散するとともに、正側電極1120におけるプロトンの発生もより一層広範囲に亘り良好に確保される。
上述のように広範囲に亘り発生したプロトンは、正側電極1120からプロトン伝導層1110によりそのプロトン伝導作用により伝導されて負側電極1130へ汲み出される。このようなプロトンの汲み出しに伴い生ずる直流電流が、センサ素子1100の正側電極1120、プロトン伝導層1110及び負側電極1130、上側支持部材900の下側電極層950、上側基板930のスルーホール931、中間側電極層960、上側基板940のスルーホール941及び上側電極層970、負側接続端子1600、操作スイッチ600、直流電源500、電流計400、正側接続端子1500、筒体700の周壁720及び底壁710、下側支持部材800の下側電極層840、下側基板810のスルーホール811、中間側電極層850、中間側基板820のスルーホール821、中間側電極層860、上側基板830のスルーホール831及び上側電極層870並びにセンサ素子1100の拡散部材1140を通り正側電極1120に流れる。
このような直流電流は、上記第1実施形態にて述べたと同様に、十分な電圧Vpnに対応する限界電流であって、水素ガスの濃度に比例する。従って、電流計400に流れる電流を計測することで、水素ガスの濃度を検出することができる。
ここで、両電極1120、1130は、上記第1実施形態にて述べた両電極170、180と同様に、白金族金属の粉末と高分子電解質とを混合してなる電極材料でもってそれぞれ形成されている。従って、この電極材料は、カーボンを含んでいない。よって、本第3実施形態においても、上記第1実施形態にて述べたと同様に、両電極1120、1130の電極材料が、カーボンのように除々に消失するということはなく、良好な導通特性を維持し得る。その結果、水素ガスの濃度の検出精度を常に高く維持できる。
また、上述した構成から分かるように、下側支持部材800、センサ素子1100及び上側支持部材900が、その各板厚方向にて、筒体700の底壁710上に、順次、積層されている。そして、上側支持部材900が、樹脂部材1200でもって、センサ素子1100及び下側支持部材800を介し底壁710上に押圧されている。
このため、センサ素子1100は、その板厚方向において、両支持部材800、900の間にしっかりと挟持される。その結果、当該水素ガスセンサに振動や衝撃が加わっても、センサ素子1100は、筒体700内にて変位することなく、安定的に両支持部材800、900の間に支持され得る。このことは、上記第1実施形態にて述べたようにセンサ素子130をその一側端部で樹脂部材110でもって支持する構成の水素ガスセンサに比べ、水素ガスセンサとしての耐震性及び耐衝撃性に優れることを意味する。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について説明すると、この第4実施形態では、上記第3実施形態にて述べた水素ガスセンサにおいて、両電極1120、1130が、白金属金属の粉末と高分子電解質とを混合してなる電極材料に代えて、上記第2実施形態にて述べた白金(Pt)−ルテニウム(Ru)合金の粉末と高分子電解質とを混合してなる電極材料でもって形成されている。その他の構成は上記第3実施形態にて述べた水素ガスセンサと同様である。
このように構成した本第4実施形態によれば、本第4実施形態における水素ガスセンサは、上記第2実施形態にて述べた水素ガスセンサと同様に、白金−ルテニウム合金の検出出力の低下抑制作用に基づき、上記第1実施形態にて述べた水素ガスセンサよりもさらに性能を向上し得る。その他の作用効果は上記第3実施形態と同様である。
(第5実施形態)
図9は、本発明に係る水素ガスセンサの第5実施形態を示している。この第5実施形態では、水素ガスセンサは、上記第3実施形態或いは第4実施形態にて述べた水素ガスセンサをセンサ本体として、このセンサ本体に対し、ケーシング1700、フィルタ1800、環状シール1900及びヒータ2000を付加した構成を有する。
ケーシング1700は、筒状のケーシング本体1710と、断面コ字状の蓋体1720とを備えており、このケーシング1700は、蓋体1720をケーシング本体1710の開口部に嵌装することで構成されている。
また、上記センサ本体、フィルタ1800、環状シール1900及びヒータ2000は、図9にて示すごとく、ケーシング本体1710内に次のように収容されている。上記センサ本体は、その筒体700の底壁710にて、フィルタ1800を介し、ケーシング本体1710の底壁1711の内面に着座している。ここで、環状シール1900は、筒体700のフランジ730とケーシング本体1710の内壁の軸方向中間部位に形成した環状段部1712との間に気密的に挟持されている。
フィルタ1800は、上記第1実施形態にて述べたフィルタ200の形成材料と同一の材料でもって形成されており、このフィルタ1800は、ケーシング本体1710の底壁1711に形成した流入口部1713を通り外部から流入するガスに付随する水滴を排除して水素ガス等のガスのみを筒体700の流入口部711に向けて透過させる。
ヒータ2000は、ケーシング本体1710内において前記センサ本体上に収容されているもので、このヒータ2000は、筒状ボビン2100と、このボビン2100に同軸的に巻装したコイル2200とによって構成されている。なお、上記センサ本体の正側接続端子1500及び負側接続端子1600は、ボビン2100の中央部に軸方向に形成した両挿通穴部2110を通り蓋体1720の上壁1721の中央に形成した両開口部1722から外部に突出している。また、コイル2200の両端子2210は、ボビン2100の両挿通穴部2110の間の部位を通り蓋体1720の上壁1721の中央から外部に延出している。なお、図9にて各符号2120は、圧着端子を示す。その他の構成は、上記第3実施形態と同様である。
このように構成した本第5実施形態において、当該水素ガスセンサを、ケーシング本体1710の雄ねじ部1714にて、上記第1実施形態にて述べたと同様に、ガス配管300の雌ねじ孔部310に締着する。これに伴い、ケーシング本体1710は、そのフランジ1715にて、ガス配管300の周壁のうち上記取り付け穴部の近傍部位に着座する。
このような状態において、上記第4実施形態と同様に、当該水素ガスセンサの正側接続端子1500を、リード線1530及び電流計400を介し直流電源500の正側端子に接続する。また、負側接続端子1600を、リード線1620及び操作スイッチ600を介し直流電源500の負側端子に接続する。
また、ヒータ2000をそのコイル2200の両端子2210にて加熱電源(図示しない)に接続すると、ケーシング1700及び上記センサ本体がヒータ2000によって加熱される。このため、ガス配管300の内部が高い湿度の雰囲気となっていても、ケーシング700内に結露が発生することがない。その結果、上記センサ本体の下側支持部材800の拡散律速孔部880の詰まりを防止し得る。
このような状態においては、水素ガスが、ケーシング1700の流入口部1713、フィルタ1800及び筒体700の流入口部711を通り、拡散律速孔部880を円滑に通過する。従って、センサ素子1100に流入する水素ガスが不足することがない。よって、このような水素ガスを利用することで、上記第4実施形態の場合よりも、より一層精度良く水素ガスの濃度を検出し得る。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について説明すると、この第6実施形態では、センサ素子が、図10にて示すごとく、上記第3実施形態にて述べたセンサ素子1100(図7及び図8参照)に対しさらに拡散部材1150を付加した構成を有する。
即ち、本第6実施形態におけるセンサ素子は、上記第3実施形態にて述べたセンサ素子の構成素子であるプロトン伝導層1110、正負両側電極1120、1130及び拡散部材1140に加え、拡散部材1150を有する。なお、本第6実施形態におけるセンサ素子も、上記第3実施形態にて述べたセンサ素子と同様に、符号1100で表す。
しかして、本第6実施形態におけるセンサ素子1110において、拡散部材1150は、図10にて示すごとく、拡散部材1140を介し正側電極1120に対向するように拡散部材1140に沿い積層されている。このことは、本第6実施形態にいうセンサ素子1100は、上記第3実施形態にて述べたセンサ素子1100に代えて、上側支持部材900と下側支持部材800との間に挟持されていることを意味する(図9参照)。
ここで、両拡散部材1140、1150の構成について詳細に説明する。両拡散部材1140、1150は、共に、上記第1実施形態にて述べた白金メッキを施してなるチタン製メッシュ板でもって、同一の外形寸法にて形成されている。なお、本第6実施形態では、各拡散部材1140、1150の厚さは、例えば50(μm)となっている。
拡散部材1140は、図11にて示すごとく、多数の菱形状貫通孔部1141をメッシュ状に形成してなるもので、これら各貫通孔部1141は、その長軸(図11にて図示左右方向対角線に沿う軸)にて、正側電極1120の面に沿い図10にて図示左右方向に位置している。また、当該各貫通孔部1141は、その短軸(図11にて図示上下方向対角線に沿う軸)でもって、正側電極1120の面に沿い図10にて紙面に対し垂直方向に位置している。
また、拡散部材1150は、図12から分かるように、多数の菱形状貫通孔部1151をメッシュ状に貫通形成してなるもので、これら各貫通孔部1151の形状は、各貫通孔部1141と同様の形状となっている。しかして、当該拡散部材1150は、各貫通孔部1151の長軸にて、拡散部材1140の各貫通孔部1141の長軸と直交するとともに、各貫通孔部1151の短軸にて、拡散部材1140の各貫通孔部1141の長軸からずれて位置するが当該長軸に平行となるように、拡散部材1140に積層されている。
このため、互いに対応する両貫通孔部1141、1151ごとに、貫通孔部1141から貫通孔部1151にかけて、図13にて例示するごとく、各拡散部材1140、1150の板厚方向から各拡散部材1140、1150の面方向に階段状にずれて連通している。
ここで、上記第3実施形態にて述べたように、下側支持部材800、拡散部材1150、拡散部材1140、正側電極1120、プロトン伝導層1100、負側電極1130、上側支持部材900及び樹脂部材1200を、下側支持部材800から樹脂部材1200にかけて順次筒体700内に収容するとともに所定の押圧力(例えば、約20(kgf/cm3))を樹脂部材1200から筒体700の底壁710に向けて加える。このことは、正側電極1120が、プロトン伝導層1110により拡散部材1140に対し上記所定の押圧力でもって押圧されることを意味する。その他の構成は上記第3実施形態と同様である。
このように構成した本第6実施形態において、上記第3実施形態にて述べたと同様に、水素ガスが、筒体700の流入口部711及び下側支持部材800の拡散律速孔部880を通り本実施形態のセンサ素子1100に順次に到達すると、当該水素ガスは、両拡散部材1150、1140により順次拡散されて正側電極1120及びプロトン伝導層1110を介し負側電極1130に汲み出されて上側支持部材900の各スリット921を通り筒体700の各流出口部721から外部に流出していく。
このような状態にて、直流電源500が、直流電圧を、上述と同様にポンプ電圧として正側電極1120と負側電極1130との間に印加すると、プロトンが正側電極1120から発生しプロトン伝導層1110により伝導されて負側電極1130に汲み出される。
すると、このようなプロトンの汲み出しに伴い生ずる正側電極1120からの直流電流が、上記第3実施形態にて述べたと同様に、上側支持部材900、電流計400や両拡散部材1150、1140を通り正側電極1120に還流する。上述のごとく、このような直流電流は、水素ガスの濃度に比例することから、電流計400に流れる電流を計測することで、水素ガスの濃度を検出し得る。
ところで、正側電極1120は、上記第1及び第3の実施形態にて述べたように、白金族金属の粉末と高分子電解質とを混合してなる電極材料でもって形成されている。一方、両拡散部材1140、1150は、上述のごとく、白金メッキを施してなるチタン製メッシュ板でもって形成されている。
このように、正側電極1120の形成材料は高分子電解質を含み、一方、両拡散部材1140、1150の形成材料は金属板であることから、正側電極1120は、両拡散部材1140、1150よりも柔らかい性質を有する。
しかも、上述のごとく、両拡散部材1140、1150は、共に多数の貫通孔部をメッシュ状に備えているとともに、正側電極1120は、プロトン伝導層1110により上記所定の押圧力でもって拡散部材1140に対し押圧されている。
以上のことから、当該水素ガスセンサの経年使用に伴い正側電極1120が、図14にて示すごとく、拡散部材1140の各貫通孔部1141を埋めるように形状変化を起こす。なお、プロトン伝導層1110は、上述のごとく、高分子電解質でもって形成されているため、正側電極1120と同様に柔らかい性質を有するが、このプロトン伝導層1110は、正側電極1120と同様に、両拡散部材1140、1150のようなメッシュ状の構成を備えていない。このため、正側電極1120がプロトン伝導層1120側へ形状変形することはない。
一方、両拡散部材1140、1150においては、互いに対応する両貫通孔部1141、1151ごとに、図13にて例示するごとく、貫通孔部1141から貫通孔部1151にかけて、各拡散部材1140、1150の板厚方向から各拡散部材1140、1150の面方向に階段状にずれて連通している。
このため、上述のように正側電極1120が形状変化を起こしても、この正側電極1120の形状変化部分(図14にて符号1121参照)が、拡散部材1150のうち拡散部材1140の各貫通孔部1141内を臨む部分(図14にて符号1152参照)でもって、各貫通孔部1151内への侵入を阻止される。従って、正側電極1120が、上記形状変化部分1121にて、互いに対応する両貫通孔部1141、1151を通り支持部材800の上側電極層870(図8参照)に達することがない。
これにより、正側電極1120と下側支持部材800との間の連通は、両拡散部材1140、1150の各対応貫通孔部1141、1151を通して良好に維持され得る。従って、下側支持部材800の拡散律速部880から流入する水素ガスは、上述のような正側電極1120の形状変化にもかかわらず、両拡散部材1150、1140でもって良好に拡散されて正側電極1120に到達し得る。その結果、上述のように正側電極1120が形状変化しても、当該水素ガスセンサの検出出力が低下することなく良好に維持され得る。
ちなみに、本第6実施形態における水素ガスセンサの検出出力を所定の測定条件のもとに測定してみた。ここで、当該所定の測定条件は、70(%)の水素(H2)、20(%)の水(H2O)及び窒素(N2)からなる80(℃)の温度のガス雰囲気内に当該水素ガスセンサを20(分)の間晒すという条件である。
しかして、当該水素ガスセンサの検出出力を上記測定条件のもとに4日間に亘り毎日繰り返し測定したところ、図15にて示すようなグラフが得られた。このグラフは、当該水素ガスセンサの検出出力と測定回数との関係を示すものであるが、4回の測定結果では、当該水素ガスセンサの検出出力は殆ど低下せず良好に維持されることを示している。
これに対し、図16にて示すごとく、両拡散部材1140、1150に代えて、拡散部材1140のみを、正側電極1120と下側支持部材800との間に挟持する構成の水素ガスセンサを経年使用した場合、正側電極1120が、図17にて示すごとく、拡散部材1140の各貫通孔部1141を埋めるように形状変化を起こす。
このため、正側電極1120の形状変化部分が拡散部材1140の各貫通孔部1141を通り支持部材800の上側電極層870に達して当該各貫通孔部1141を実質的に埋めてしまう。その結果、正側電極1120と下側支持部材800との間の連通が実質的に遮断されて、支持部材800の拡散律速孔部880から正側電極1120への水素ガスの拡散性を悪化させる。
ちなみに、このように連通が遮断された水素ガスセンサの検出出力を、上述と同様に、上記所定の測定条件のもとに繰り返し測定したところ、図18にて示すようなグラフが得られた。このグラフは、図16の構成を有する水素ガスセンサの検出出力と測定回数との関係を示すものであるが、4回の測定結果では、当該検出出力は測定回数の増大に伴い大きく低下することを示している。
以上のような測定結果からも、正側電極1120が上述のような形状変化を生じても、本第6実施形態にて述べた水素ガスセンサの検出出力は、上述のような積層構成からなる両拡散部材1140、1150を有するために、単一の拡散部材1140しか有さない水素ガスセンサのように検出出力の低下を招くことなく、良好な検出出力を維持し得ることが分かる。
また、以上述べた本第6実施形態の作用効果は、正側電極1120を、上記第2実施形態にて述べたように、白金(Pt)−ルテニウム(Ru)合金の粉末と高分子電解質とを混合してなる電極材料でもって形成しても、高分子電解質を含む点で同様であるため、同様に達成し得る。その他の作用効果は上記第3実施形態と同様である。
なお、本発明の実施にあたり、上記各実施形態に限ることなく、次のような種々の変形例が挙げられる。
(1)支持部材140に形成した拡散律速孔部143は、単一の貫通孔部に代えて、複数の貫通孔部としてもよい。また、拡散律速孔部143に代えて、多孔質材料からなる柱状部を採用してもよい。なお、当該柱状部や拡散律速孔部143は、拡散律速部として把握してもよい。
(2)両支持部材140、150に代えて、これら両支持部材140、150を一体に有する支持体を採用してもよい。
(3)支持部材140の凹所142は、その内周縁にて、正側電極170及び拡散部材190の各外周縁に当接するように形成してもよい。
(4)支持部材140の凹所142を、その内周縁にて、正側電極170の外周縁に相対移動不能に当接するように形成して、拡散部材190を廃止してもよい。この場合、凹所142内において、その上壁部位144と正側電極170との間には、拡散部材190の形状に対応する空間を拡散空間として形成してもよい。これにより、拡散律速孔部143による導入水素ガスが上記拡散空間内にて拡散して正側電極170に流入する。なお、拡散律速孔部143は、上記拡散空間内に開口する位置であれば、支持部材140のどの部位に貫通状に形成してもよい。
(5)拡散律速孔部143は、支持部材140における凹所142の上壁部位144の中央に限ることなく、拡散部材190による水素ガスの拡散可能な位置であれば、当該上壁部位144のどの部位に貫通状に形成されていてもよい。また、流出口部153も、同様に、支持部材150における凹所153の上壁部位154の中央に限ることなく、当該上壁部位154のどの部位に貫通状に形成されていてもよい。
(6)ヒータ2000は、ケーシング1700内に限ることなく、当該ケーシング1700の外部に設けてケーシング1700及びその内側の上記センサ本体を加熱するようにしてもよい。
(7)センサ素子1100において、プロトン伝導層1110、両電極1120、1130及び拡散部材1140は、上記第4実施形態にて述べたように円板状に限ることなく、例えば、共に、長方形板状に形成してもよい。このように形成しても、長方形板状のプロトン伝導層の両端部を両支持部材800、900の間に挟持することで、センサ素子を安定的に支持できる。
(8)樹脂部材1200は、電気絶縁性合成樹脂からなるものに限ることなく、適宜な材料からなる押圧部材であってもよい。これに伴い、支持部材800、900は、全体として、電気絶縁材料で形成するとともに、筒体700は、金属製に限ることなく、例えば、電気絶縁性合成樹脂で形成してもよい。
(9)拡散部材1150の各貫通孔部1151が、拡散部材1140の各貫通孔部1141のうち互いに隣り合う少なくとも2つの貫通孔部1141に亘り対向するように、拡散部材1150を拡散部材1140に積層すれば、上記第6実施形態にて述べた作用効果の達成は可能である。
(10)上記第6実施形態において、両拡散部材1140、1150の各貫通孔部1141、1151の形状は、菱形形状に限ることなく、例えば、円形状等各種の形状であってもよい。要するに、互いに対応する両貫通孔部1141、1151において、貫通孔部1151の周囲を構成する拡散部材1150の部位が貫通孔部1141の一部を臨むように両拡散部材1140、1150が積層されていれば、各貫通孔部1141、1151の形状はどのような形状であってもよく、互いに異なっていてもよい。
(11)上記第6実施形態において、両拡散部材1140、1150は、それぞれ、各貫通孔部を、メッシュ状に限ることなく、多数形成してなるものであってもよい。ここで、両拡散部材1140、1150の間の各対応貫通孔部の数は、少なくとも、水素ガスセンサのセンサ出力が上述した正側電極1120の形状変化で低下しない程度であればよい。
(12)上記第6実施形態において、拡散部材の数は、両拡散部材1140、1150の2つに限ることなく、例えば、3つでもよい。また、当該拡散部材の厚さは、50(μm)に限ることなく、適宜変更してもよい。
(13)両拡散部材1140、1150において、各貫通孔部1141、1151が同一形状であっても、その各対応貫通孔部の中心同士間にて互いにずれて積層されておれば、上記第6実施形態と同様の作用効果が達成され得る。
(14)上述した所定の押圧力は、20(kgf/cm2)に限ることなく、適正な押圧力であればよい。
本発明に係る水素ガスセンサの第1実施形態を示す断面図である。 図1のセンサ素子の拡大断面図である。 図1の水素ガスセンサにより水素ガスの濃度を計測するための回路図である。 当該水素ガスセンサの限界電流特性を水素ガスの濃度をパラメータとして示す各グラフである。 当該水素ガスセンサ及び各試料のインピーダンス特性の経時的変化を示す各グラフである。 本発明の第2実施形態における出力(水素ガス濃度)の経時的変化を上記第1実施形態における出力の経時的変化との対比にて示すグラフである。 本発明に係る水素ガスセンサの第3実施形態を示す断面図である。 図7の水素ガスセンサの概略分解断面図である。 本発明に係る水素ガスセンサの第5実施形態を示す断面図である。 本発明に係る水素ガスセンサの第6実施形態の要部を示す断面図である。 図10においてプロトン伝導層に沿う拡散部材の部分拡大平面図である。 図10の両拡散部材を積層した状態で示す要部拡大平面図である。 図10のプロトン伝導層、正側電極、両拡散部材及び下側支持部材の積層状態の要部を示す部分拡大断面図である。 図13の構成において正側電極が形状変形を生じた例を示す部分拡大断面図である。 上記第6実施形態における水素ガスセンサのセンサ出力と測定回数との関係を示すグラフである。 拡散部材として単一の拡散部材を有する水素ガスセンサの部分拡大断面図である。 図16の構成において正側電極が形状変形を生じた例を示す部分拡大断面図である。 図17における水素ガスセンサのセンサ出力と測定回数との関係を示すグラフである。
符号の説明
140、150、800、900…支持部材、142、152…凹所、
143、880…拡散律速孔部、144…上壁部位、153、721、921…流出口部、160、1110…プロトン伝導層、170、1120…正側電極、
180、1130…負側電極、190、1140、1150…拡散部材、
1141、1151…貫通孔部、700…筒体、
710…底壁、711…流入口部、720…周壁、1200…樹脂部材。

Claims (7)

  1. 互いに対向して位置する両側支持部材と、
    前記両側支持部材の間にて挟持されて高分子電解質からなるプロトン伝導層と、
    前記両側支持部材のうちの一側支持部材と前記プロトン伝導層との間にこのプロトン伝導層と電気的に接続するように設けられる正側電極と、
    他側支持部材と前記プロトン伝導層との間にこのプロトン伝導層と電気的に接続するように設けられる負側電極とを備え、
    前記一側支持部材は、外部からの水素ガスを前記正側電極に導入する拡散律速部を有しており、
    前記他側支持部材は、前記拡散律速部より導入されて前記プロトン伝導層を介し前記正側電極から前記負側電極に汲み出される水素ガスを流出する流出口部を有してなる水素ガスセンサにおいて、
    前記両電極のうち少なくとも正側電極は、白金族金属の粉末と高分子電解質とを混合してなる電極材料でもって形成されていることを特徴とする水素ガスセンサ。
  2. 互いに対向して位置する両側支持部材と、
    前記両側支持部材の間にて挟持されて高分子電解質からなるプロトン伝導層と、
    前記両側支持部材のうちの一側支持部材と前記プロトン伝導層との間にこのプロトン伝導層と電気的に接続するように設けられる正側電極と、
    他側支持部材と前記プロトン伝導層との間にこのプロトン伝導層と電気的に接続するように設けられる負側電極とを備え、
    前記一側支持部材は、外部からの水素ガスを前記正側電極に導入する拡散律速部を有しており、
    前記他側支持部材は、前記拡散律速部より導入されて前記プロトン伝導層を介し前記正側電極から前記負側電極に汲み出される水素ガスを流出する流出口部を有してなる水素ガスセンサにおいて、
    前記両電極のうち少なくとも正側電極は、白金−ルテニウム合金の粉末と高分子電解質とを混合してなる電極材料でもって形成されていることを特徴とする水素ガスセンサ。
  3. 流入口部を有する底壁と、流出口部を有する筒状周壁とを有し、この周壁の底端側開口部に前記底壁を設けてなる筒体と、
    この筒体内に収容されて前記底壁に着座する一側支持部材と、
    この一側支持部材に積層される正側電極と、
    この正側電極に積層されて高分子電解質からなるプロトン伝導層と、
    このプロトン伝導層を介し前記正側電極に対向するように前記プロトン伝導層に積層される負側電極と、
    この負側電極を介し前記プロトン伝導層に対向するように前記負側電極に積層される他側支持部材と、
    前記筒体内にその先端側開口部から嵌装されて前記他側支持部材を前記負側電極、プロトン伝導層及び正側電極を介し前記底壁上に押圧する押圧部材とを備えて、
    前記一側支持部材は、外部から前記筒体の流入口部を通し前記正側電極に水素ガスを導入する拡散律速部を有しており、
    前記他側支持部材は、前記拡散律速部より導入されて前記プロトン伝導層を介し前記正側電極から前記負側電極に汲み出される水素ガスを、前記筒体の流出口部を通し外部に流出させる流出口部を有する水素ガスセンサにおいて、
    前記両電極のうち少なくとも正側電極は、白金族金属の粉末と高分子電解質とを混合してなる電極材料でもって形成されていることを特徴とする水素ガスセンサ。
  4. 流入口部を有する底壁と、流出口部を有する筒状周壁とを有し、この周壁の底端側開口部に前記底壁を設けてなる筒体と、
    この筒体内に収容されて前記底壁に着座する一側支持部材と、
    この一側支持部材に積層される正側電極と、
    この正側電極に積層されて高分子電解質からなるプロトン伝導層と、
    このプロトン伝導層を介し前記正側電極に対向するように前記プロトン伝導層に積層される負側電極と、
    この負側電極を介し前記プロトン伝導層に対向するように前記負側電極に積層される他側支持部材と、
    前記筒体内にその先端側開口部から嵌装されて前記他側支持部材を前記負側電極、プロトン伝導層及び正側電極を介し前記底壁上に押圧する押圧部材とを備えて、
    前記一側支持部材は、外部から前記筒体の流入口部を通し前記正側電極に水素ガスを導入する拡散律速部を有しており、
    前記他側支持部材は、前記拡散律速部より導入されて前記プロトン伝導層を介し前記正側電極から前記負側電極に汲み出される水素ガスを、前記筒体の流出口部を通し外部に流出させる流出口部を有する水素ガスセンサにおいて、
    前記両電極のうち少なくとも正側電極は、白金−ルテニウム合金の粉末と高分子電解質とを混合してなる電極材料でもって形成されていることを特徴とする水素ガスセンサ。
  5. 前記一側支持部材の前記拡散律速部より導入される水素ガスを拡散して前記正側電極に流入させるように前記一側支持部材と前記正側電極との間に挟持された拡散部材を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の水素ガスセンサ。
  6. 前記一側支持部材の前記拡散律速部より導入される水素ガスを拡散して前記正側電極に流入させるように前記一側支持部材と前記正側電極との間に積層して挟持された少なくとも2つの板状拡散部材を備えて、
    これら各拡散部材は、前記高分子電解質よりも高硬度の材料でもって形成されるとともに、相互にずれた位置にて互いに連通する貫通孔部を、それぞれ、多数有し、
    前記正側電極は、前記プロトン伝導層により前記少なくとも2つの板状拡散部材に向け所定の押圧力にて押圧されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の水素ガスセンサ。
  7. 前記拡散部材は導電性を有することを特徴とする請求項5或いは6に記載の水素ガスセンサ。
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