JP2005337953A - 位置検出方法および位置検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 下地層とレジスト層との間に形成された中間層の影響を低減して下地層のパターンの位置を正確に検出できる位置検出方法および位置検出装置を提供する。
【解決手段】 検出対象のパターンを含む下地層とレジスト層との間に1つ以上の中間層が形成された基板を照明光によって照明する照明工程と、照明光によって照明されたときに基板の各層から発生する光L3'〜L6'に基づいて、パターンの画像を取り込む取込工程と、画像に基づいて、パターンの位置を算出する算出工程とを備え、照明工程では、基板の各層から発生する光L3'〜L6'のうち「中間層43,44からの光L4'と光L5'」に対する「下地層41からの光L6'」の強度比が大きくなるように、照明光L1の分光特性を調整し、調整後の分光特性の照明光によって基板を照明する。
【選択図】 図5

Description

本発明は、基板上のパターンの位置を検出する位置検出方法および位置検出装置に関し、特に、半導体素子や液晶表示素子などの製造工程において基板(半導体ウエハや液晶基板など)に形成されたパターンの高精度な位置検出に好適な位置検出方法および位置検出装置に関する。
半導体素子や液晶表示素子などの製造工程では、周知の露光工程と現像工程とを経てレジスト層に回路パターンが転写され、このレジストパターンを介してエッチングなどの加工処理を行うことにより、所定の材料膜に回路パターンが転写される(パターン形成工程)。そして、上記のパターン形成工程を何回も繰り返し実行することにより、様々な材料膜の回路パターンが基板(半導体ウエハや液晶基板)の上に積層され、半導体素子や液晶表示素子の回路が形成される。
さらに、上記の製造工程では、様々な材料膜の回路パターンを精度よく重ね合わせるため(製品の歩留まり向上を図るため)、各々のパターン形成工程のうち露光工程の前に、基板のアライメントを行い、現像工程の後でかつ加工工程の前に、基板上のレジストパターンの重ね合わせ検査を行っている。なお、基板のアライメントには、1つ前のパターン形成工程で下地層に形成されたアライメントマークが用いられる。レジストパターンの重ね合わせ検査には、1つ前のパターン形成工程で下地層に形成された重ね合わせマークと、現在のパターン形成工程でレジスト層に形成された重ね合わせマークとが用いられる。
また、基板のアライメントを行う装置や、基板上のレジストパターンの重ね合わせ検査を行う装置には、上記のアライメントマークや重ね合わせマーク(総じて単に「マーク」という)の位置を検出する装置が組み込まれている。位置検出装置では、一般に、白色光を用いて基板を照明し、CCDカメラなどの撮像素子を用いてマークの画像を取り込み、この画像に対して所定の画像処理を施すことにより、マークの位置検出を行う(例えば特許文献1を参照)。
特開平7−151514号公報
しかしながら、マークの位置を検出する際、基板の下地層とレジスト層との間には1つ以上の中間層(未加工の材料膜など)が形成されている。このため、従来のように白色光を用いて基板を照明すると、基板の下地層のマークについては、中間層の影響を受けて正確な位置を検出できないことがあった。中間層の影響による位置検出の誤差は、従来、プロセスルールと比較して非常に小さく無視できる程度であったが、回路パターンの微細化に伴って無視できなくなってきた。
上記のような問題は、基板上のマーク(アライメントマークや重ね合わせマークなど)の位置を検出する場合に限らず、基板上の回路パターンの位置を検出する場合にも起こり得る。本件では、マーク(アライメントマークや重ね合わせマークなど)や回路パターンなどを総じて単に「パターン」という。
本発明の目的は、下地層とレジスト層との間に形成された中間層の影響を低減して下地層のパターンの位置を正確に検出できる位置検出方法および位置検出装置を提供することにある。
請求項1に記載の位置検出方法は、検出対象のパターンを含む下地層とレジスト層との間に1つ以上の中間層が形成された基板を照明光によって照明する照明工程と、前記照明光によって照明されたときに前記基板の各層から発生する光に基づいて、前記パターンの画像を取り込む取込工程と、前記画像に基づいて、前記パターンの位置を算出する算出工程とを備え、前記照明工程では、前記基板の各層から発生する光のうち「前記中間層からの光」に対する「前記下地層からの光」の強度比が大きくなるように、前記照明光の分光特性を調整し、調整後の分光特性の照明光によって前記基板を照明するものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の位置検出方法において、前記照明工程では、前記照明光が有する「前記中間層での吸収が小さい波長域の成分」に対する「前記中間層での吸収が大きい波長域の成分」の強度比が大きくなるように、前記分光特性を調整するものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の位置検出方法において、前記照明工程では、前記照明光が有する「前記下地層での吸収が大きい波長域の成分」に対する「前記下地層での吸収が小さい波長域の成分」の強度比が大きくなるように、前記分光特性を調整するものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の位置検出方法において、前記照明工程では、前記中間層の数が2つ以上である場合、前記照明光が有する「前記中間層それぞれの上面で反射する光どうしが干渉によって互いに強め合う波長域の成分」に対する「前記光どうしが干渉によって互いに弱め合う波長域の成分」の強度比が大きくなるように、前記分光特性を調整するものである。
請求項5に記載の位置検出装置は、照明光の分光特性を変更可能であり、検出対象のパターンを含む下地層とレジスト層との間に1つ以上の中間層が形成された基板を前記照明光によって照明する照明手段と、前記照明光によって照明されたときに前記基板の各層から発生する光に基づいて、前記パターンの画像を取り込む取込手段と、前記画像に基づいて、前記パターンの位置を算出する算出手段とを備え、前記照明手段は、前記基板の各層から発生する光のうち「前記中間層からの光」に対する「前記下地層からの光」の強度比が大きくなるように、前記分光特性を変更するものである。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の位置検出装置において、前記照明手段は、前記照明光が有する「前記中間層での吸収が小さい波長域の成分」に対する「前記中間層での吸収が大きい波長域の成分」の強度比が大きくなるように、前記分光特性を変更するものである。
請求項7に記載の発明は、請求項5または請求項6に記載の位置検出装置において、前記照明手段は、前記照明光が有する「前記下地層での吸収が大きい波長域の成分」に対する「前記下地層での吸収が小さい波長域の成分」の強度比が大きくなるように、前記分光特性を変更するものである。
請求項8に記載の発明は、請求項5に記載の位置検出装置において、前記照明手段は、前記中間層の数が2つ以上である場合、前記照明光が有する「前記中間層それぞれの上面で反射する光どうしが干渉によって互いに強め合う波長域の成分」に対する「前記光どうしが干渉によって互いに弱め合う波長域の成分」の強度比が大きくなるように、前記分光特性を変更するものである。
本発明によれば、下地層とレジスト層との間に形成された中間層の影響を低減して下地層のパターンの位置を正確に検出することができる。
以下、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。
ここでは、本実施形態の位置検出方法および装置について、図1に示す重ね合わせ検査装置10を例に説明する。重ね合わせ検査装置10は、半導体素子や液晶表示素子などの製造工程において、基板10Aのレジストパターン(不図示)の重ね合わせ検査を行う装置である。重ね合わせ検査では、基板10Aの下地層に形成された回路パターン(以下「下地パターン」という)に対するレジストパターンの位置ずれ量の測定が行われる。
本実施形態の重ね合わせ検査装置10は、図1(a)に示す通り、基板10Aを支持するステージ11と、基板10Aに照明光L1を照射する照明系(12〜16)と、基板10Aの光学像を形成する結像系(16,17)と、撮像素子18と、観察用のTVモニタ19と、信号処理部(20,21)と、制御部(22〜24)とで構成されている。
まず、基板10Aの説明を行う。基板10Aは、半導体ウエハや液晶基板などであり、レジスト層に対する露光・現像後で、所定の材料膜に対する加工前の状態にある。未加工の材料膜は、レジスト層と下地層との間に形成されている。
基板10Aのレジストパターンの重ね合わせ検査には、例えば図2に示すような2重マーク30が用いられる。2重マーク30は、基板10Aの表面(被検査面)の予め指定された多数の箇所に形成されている。図2(a),(b)は平面図,AA断面図である。図2(b)では未加工の材料膜を図示省略した。
2重マーク30は、大きさが異なる2つの重ね合わせマーク31,32からなる。また、外側の重ね合わせマーク31は、下地層41に形成された4つの凹部からなり、下地パターンの基準位置を示す。内側の重ね合わせマーク32は、レジスト層42に形成された4つの凹部からなり、レジストパターンの基準位置を示す。重ね合わせマーク31,32の凹部は何れもバー状であり、2重マーク30は、bar in bar マークを構成している。以下、下地層41の重ね合わせマーク31を「下地マーク31」という。レジスト層42の重ね合わせマーク32を「レジストマーク32」という。
また、図2(b)のB部分を拡大した図(図3)から分かるように、下地層41とレジスト層42との間には、例えば2つの中間層43,44が形成されている。中間層43,44は、未加工の材料膜や加工済の材料膜や反射防止膜などであり、一般的な白色光の波長域において透明または半透明な材質である。なお、材料膜は、配線用の導電材料や、ガラスなどの絶縁材料からなる。
さらに、2つの中間層43,44は、下地マーク31の凹部の影響を受けて、その上面3A,4Aに微小な凹みを生じている。そして、実際の製造工程では、下地マーク31の凹部が左右対称な形状であっても、その上の中間層43,44の上面3A,4Aの凹みの形状が、図3(a)のように左右対称にはならず、図3(b)のように若干ではあるが非対称になってしまうこともある。なお、レジスト層42の上面2Aは、中間層43,44の上面3A,4Aの凹みに拘わらず平面状である。
また、下地マーク31とレジストマーク32とは、下地パターンに対するレジストパターンの位置ずれ量がゼロのとき、各々の中心C1,C2(図2)が一致するようになっている。重ね合わせ検査装置10では、レジストパターンの重ね合わせ検査の際に、下地マーク31の中心C1の位置とレジストマーク32の中心C2の位置とをそれぞれ算出する。このとき、下地マーク31の上には中間層43,44が形成され、その上面3A,4Aの凹みの形状が非対称になる(図3(b))こともあるが、本実施形態の重ね合わせ検査装置10によれば、そのような中間層43,44の影響を低減して下地マーク31の位置を正確に検出することができる(詳細は後述)。
次に、重ね合わせ検査装置10の構成説明を行う。
ステージ11は、基板10Aを水平状態に保って支持するホルダと、このホルダを水平方向(XY方向)に移動させる駆動部とで構成される。ステージ11のホルダをXY方向に移動させることで、基板10Aの被検査面のうち何れか1つの測定点(図2に示す2重マーク30)を、結像系(16,17)の視野領域内に位置決めすることができる。
照明系(12〜16)は、光源12と波長選択部13と照明レンズ14とハーフミラー15と対物レンズ16とで構成される。光源12は白色光を射出する。波長選択部13は、図1(b)に示す通り、分光特性が異なる4種類の色フィルタ13Aと、これらの色フィルタ13Aを切り換える機構(レボルバ13Bと不図示のモータ)とで構成され、何れか1つの色フィルタ13Aを照明光路10Bに挿入する。
光源12からの白色光は、波長選択部13の1つの色フィルタ13Aと照明レンズ14とハーフミラー15と対物レンズ16を介した後(照明光L1)、ステージ11上の基板10Aの被検査面に入射する(落射照明)。このとき、視野領域内に位置決めされた測定点(図2の2重マーク30)は、照明光L1により略垂直に照明される。そして、照明光L1によって照明された2重マーク30から反射光L2が発生する。反射光L2は、後述の結像系(16,17)に導かれる。
照明光L1の分光特性は、光源12から射出される白色光の分光特性と、照明光路10Bに挿入された色フィルタ13Aの分光特性とに応じて決まる。また、波長選択部13のレボルバ13Bを不図示のモータにより軸13Cの周りで回転させ、照明光路10Bに挿入される色フィルタ13Aの種類を変更することで、簡単に照明光L1の分光特性を調整することができる。なお、照明光L1の分光特性の調整は、後述の制御部(22〜24)からの指示に基づいて行われる。
結像系(16,17)は、対物レンズ16と結像レンズ17とで構成されている(光学顕微鏡部)。結像レンズ17は、第2対物レンズとして機能する。基板11からの反射光L2は、対物レンズ16とハーフミラー15と結像レンズ17とを介した後、撮像素子18の撮像面に入射する。このとき、撮像素子18の撮像面上には、反射光L2に基づく拡大像(つまり2重マーク30の光学像)が形成される。
撮像素子18は、複数の画素が2次元配列された白黒のエリアセンサ(例えばCCDカメラ)であり、撮像面上の2重マーク30の光学像を撮像して、画像信号を後段のTVモニタ19と信号処理部(20,21)に出力する。撮像素子18から出力される画像信号は、複数のサンプル点からなり、撮像面における各画素ごとの輝度値に関する分布を表す。輝度値は反射光L2の強弱に比例する。
2重マーク30の画像(例えばTVモニタ19に表示されるイメージ)は、図4(a)に示す通り、下地マーク31の各凹部に対応する箇所31Aと、レジストマーク32の各凹部に対応する箇所32Aにおいて、輝度値が低くなる。
信号処理部(20,21)は、フレームメモリ20と波形信号演算用のCPU21とで構成され、フレームメモリ20内に撮像素子18からの画像信号(図4(a))を記憶する。CPU21は、フレームメモリ20内の画像信号(図4(a))に対して信号処理範囲33を定義し、信号処理範囲33に含まれる各画素の輝度値を縦方向(E方向)に積算して、図4(b)または(c)に示す波形信号を生成する(プロジェクション処理)。図4(b),(c)の横軸は画素の位置を表し、縦軸は信号レベル(明るさ)を表す。波形信号のF部分は下地マーク31に対応する。
さらに、CPU21は、例えば周知の相関法を用いて、図4(b),(c)のような波形信号の相関演算により、下地マーク31の中心C1の位置とレジストマーク32の中心C2の位置とをそれぞれ算出する。また、これらの位置検出の結果に基づいて、下地マーク31とレジストマーク32との位置ずれ量を求め、下地パターンに対するレジストパターンの位置ずれ量として制御部(22〜24)に出力する。
制御部(22〜24)は、装置全体を管理する操作コンピュータ22と、ステージ制御用のCPU23と、モニタ24とで構成される。上記したCPU21による演算結果(つまりの位置ずれ量)は、操作コンピュータ22に出力され、操作コンピュータ22を介してモニタ24に表示される。以上で1つの測定値(つまり位置ずれ量)を得るための一連の動作が終了する。
また、操作コンピュータ22は、CPU23を介してステージ11を制御し、基板10Aの他の場所に形成された2重マーク30を順に結像系(16,17)の視野領域内に位置決めすると共に、その2重マーク30の下地マーク31とレジストマーク32との位置ずれ量(つまり下地パターンに対するレジストパターンの位置ずれ量)をCPU21から取り込み、モニタ24に表示する。
さらに、上記のような下地マーク31とレジストマーク32の位置検出や位置ずれ量の算出に先立ち、操作コンピュータ22は、例えば検査レシピに予め登録された照明光L1の設定情報に基づいて、照明系(12〜16)の波長選択部13を制御し、レボルバ13Bを回転させることにより所望の色フィルタ13Aを照明光路10Bに挿入する。なお、操作コンピュータ22による波長選択部13の制御は、外部から入力された照明光L1の設定情報に基づいて行ってもよい。
その結果、所望の分光特性の照明光L1によって、基板11の2重マーク30(図2)を照明することができる。照明光L1の所望の分光特性とは、基板11の下地層41とレジスト層42との間に形成された中間層43,44(図3)の影響を低減して、下地マーク31の位置を正確に検出できるような分光特性である(次に説明する)。なお、レジストマーク32の位置は照明光L1の分光特性に拘わらず正確に検出可能である。
次に、下地マーク31の位置を検出する際の「中間層43,44の影響」と「照明光L1の所望の分光特性」について説明する。
照明光L1は、基板11のレジスト層42の側から照射され、図5に示す通り、一部の光L3がレジスト層42の上面2Aで反射し、他の一部の光L4が中間層44の上面4Aで反射し、他の一部の光L5が中間層43の上面3Aで反射し、残りの一部の光L6が下地層41の上面1Aで反射する。なお、上面1Aは、レジスト層41と中間層43との境界面に相当する。上面3Aは、中間層43,44の境界面に相当する。上面4Aは、中間層44とレジスト層41との境界面に相当する。
このように、照明光L1が基板11の各層の上面1A〜4Aで反射するため、基板11の各層から発生する光L3'〜L6'の合成が上記の反射光L2(図1参照)となり、結像系(16,17)を介して撮像素子18に導かれる。そして、反射光L2に基づく光学像は、光L3'に基づく光学像(つまりレジスト層42の上面1Aの光学像)と、光L4'に基づく光学像(つまり中間層44の上面4Aの光学像)と、光L5'に基づく光学像(つまり中間層43の上面3Aの光学像)と、光L6'に基づく光学像(つまり下地層41の上面1Aの光学像)との合成となる。
既に説明した通り、中間層43,44は、下地マーク31の凹部(図3)の影響を受け、その上面3A,4Aに微小な凹みを生じている。そして、下地マーク31の凹部が左右対称な形状であると同様に、中間層43,44の上面3A,4Aの凹みの形状も、図3(a)のように左右対称な場合、下地マーク31の画像(図4(a)の低輝度な箇所31A)から求めた波形信号は、例えば図4(b)のF部分のように左右対称となる。したがって、下地マーク31の正確な位置を検出することができる。
一方、中間層43,44の上面3A,4Aの凹みの形状は、下地マーク31の凹部が左右対称な形状であっても、図3(b)のように若干ではあるが非対称になってしまうこともある。この場合、波長選択部13の色フィルタ13Aを照明光路10Bから退避させ、白色光と同じ分光特性の照明光L1を用いて照明すると、下地マーク31の画像(図4(a)の低輝度な箇所31A)から求めた波形信号は、中間層43,44の影響(上面3A,4Aの凹み形状の影響)を受け、例えば図4(c)のF部分のように非対称となってしまう。したがって、このままでは下地マーク31の正確な位置を検出することはできない。
そこで、本実施形態の重ね合わせ検査装置10では、波長選択部13の所望の色フィルタ13Aを照明光路10Bに挿入し、照明光L1の分光特性を白色光のものとは異なる所望の分光特性に調整することで、中間層43,44の影響(上面3A,4Aの凹み形状の影響)を低減して、下地マーク31の位置を正確に検出できるようにする。所望の分光特性の決定は、次のようにして位置検出の前までに行われる。
中間層43,44それぞれの上面3A,4Aで反射する光L5,L4どうしは、上面3A,4Aに挟まれた中間層44が薄膜状であるため、波長域の成分ごとに干渉によって強め合ったり弱め合ったりする。つまり、中間層44の屈折率nと膜厚dとに応じた光路差(≒2nd)が波長域λ1のM倍(Mは整数)となる条件では、その波長域λ1の光L5,L4どうしが互いに強め合う。また、光路差(≒2nd)が波長域λ2の(M−1/2)倍となる条件では、その波長域λ2の光L5,L4どうしが互いに弱め合う。
このため、照明光L1のうち「光L5,L4どうしが強め合う波長域λ1の成分」に対する「光L5,L4どうしが弱め合う波長域λ2の成分」の強度比が大きくなるように、照明光L1の所望の分光特性を決定すればよい。波長域λ1,λ2は、中間層44の屈折率nと膜厚dに関する設計情報から求めることができる。膜厚dは、設計情報の他、実測値を用いてもよい。
上記した所望の分光特性を実現するには、照明光L1のうち「強め合う波長域λ1の成分」の強度を部分的または全体的に低下させると共に「弱め合う波長域λ2の成分」の強度を制限しないような分光特性の色フィルタ13Aを、照明光路10Bに挿入することが好ましい。
このように、照明光L1のうち「強め合う波長域λ1の成分」に対する「弱め合う波長域λ2の成分」の強度比を大きくすることで、図5に示す基板11の各層から発生する光L3'〜L6'のうち「中間層43,44からの光L4'と光L5'」に対する「下地層41からの光L6'」の強度比を大きくすることができる。
このため、下地マーク31の画像(図4(a)の低輝度な箇所31A)から求めた波形信号において、中間層43,44の影響(上面3A,4Aの凹み形状の影響)を低減することができる。したがって、上面3A,4Aの凹み形状が非対称であっても、波形信号の形状を図4(b)のF部分のような左右対称な形状に近づけることができ、下地マーク31の位置を中間層43,44によって騙されることなく正確に検出することができる。
このように、本実施形態の重ね合わせ検査装置10では、「中間層43,44からの光L4'と光L5'」に対する「下地層41からの光L6'」の強度比が大きくなるように照明光L1の分光特性を調整するため、中間層43,44の影響(上面3A,4Aの凹み形状の影響)を低減して下地マーク31の正確な位置を検出することができる。したがって、下地マーク31とレジストマーク32との位置ずれ量(つまり下地パターンに対するレジストパターンの位置ずれ量)を正確に求めることができ、重ね合わせ検査の精度が向上する。
(変形例)
なお、上記した実施形態では、中間層43,44の上面3A,4Aで反射する光L5,L4の干渉を利用して中間層43,44の影響を低減する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。その他、照明光L1のうち「中間層43,44での吸収が小さい波長域の成分」に対する「中間層43,44での吸収が大きい波長域の成分」の強度比が大きくなるように照明光L1の分光特性を調整してもよい。この場合も、「中間層43,44からの光L4'と光L5'」に対する「下地層41からの光L6'」の強度比を大きくできるため、中間層43,44の影響(上面3A,4Aの凹み形状の影響)を低減して下地マーク31の正確な位置を検出することができる。
さらに、照明光L1のうち「下地層41での吸収が大きい波長域の成分」に対する「下地層41での吸収が小さい波長域の成分」の強度比が大きくなるように照明光L1の分光特性を調整してもよい。この場合も、「中間層43,44からの光L4'と光L5'」に対する「下地層41からの光L6'」の強度比を大きくできるため、中間層43,44の影響を低減して下地マーク31の正確な位置を検出することができる。
また、中間層43,44の上面3A,4Aで反射する光L5,L4の干渉効果と、中間層43,44での吸収特性と、下地層41での吸収特性とを組み合わせて考慮し、照明光L1の分光特性を調整してもよい。
さらに、上記した実施形態では、下地層41とレジスト層42との間に2つの中間層43,44が形成されている例を説明したが、本発明はこれに限定されない。中間層の数が1つの場合でも3つ以上の場合でも本発明を適用できる。ただし、中間層の数が1つの場合には、中間層での吸収と下地層での吸収とを考慮して照明光L1の分光特性を調整することが好ましい。
また、上記した実施形態では、照明系(12〜16)に白色光を射出する光源12と波長選択部13とを設けたが、本発明はこれに限定されない。光源12と波長選択部13に代えて、波長域の異なる複数のレーザ光源を設け、これらのレーザ光源を照明光L1の所望の分光特性に応じて選択しても良い。
さらに、上記した実施形態では、2重マーク30がbar in bar マークである例を説明したが、その種類は他のもの(例えばframe in frame マークやbox in box マークなど)でも良い。バー状とボックス状とフレーム状のうち2種類を組み合わせても良い。十字状のマークを用いてもよい。
また、上記した実施形態では、下地層より上方に形成された中間層の影響を低減する例を説明したが、下地層より下方に形成された他の層の影響を低減するように、照明光L1の分光特性を調整してもよい。
さらに、上記した実施形態では、重ね合わせ検査装置10に組み込まれた位置検出装置を例に説明したが、本発明はこれに限定されない。基板11の同じ層に形成された2つのマークの位置ずれ量を測定する装置や、基板11に対する露光工程の前に基板11のアライメントを行う装置(つまり露光装置のアライメント系)に組み込まれた位置検出装置にも、本発明を適用できる。アライメント系では、下地層に形成されたアライメントマークの位置を検出し、その検出結果とステージ座標系(干渉計など)との位置関係を求める。この場合にも、下地層のアライメントマークの上には1つ以上の中間層を介してレジスト層が形成されている。
また、上記した重ね合わせマークやアライメントマークの位置を検出する場合に限らず、基板10Aの下地層に形成された回路パターンの位置を検出する場合にも、本発明を適用できる。
さらに、重ね合わせ検査装置10のCPU21により下地層のパターン(アライメントマークや重ね合わせマークや回路パターンなど)の位置を検出する場合に限らず、重ね合わせ検査装置に接続された外部のコンピュータを用いた場合でも、同様の効果を得ることができる。
重ね合わせ検査装置10の構成を示す図である。 下地マーク31とレジストマーク32について説明する図である。 中間層43,44について説明する図である。 マークの画像と波形信号について説明する図である。 基板11の各層から発生する光L3'〜L6'について説明する図である。
符号の説明
10 重ね合わせ検査装置
10A 基板
11 ステージ
12 光源
13 波長選択部
14 照明レンズ
15 ハーフミラー
16 対物レンズ
17 結像レンズ
18 撮像素子
20 フレームメモリ
21,23 CPU
22 操作コンピュータ
31 下地マーク
32 レジストマーク

Claims (8)

  1. 検出対象のパターンを含む下地層とレジスト層との間に1つ以上の中間層が形成された基板を照明光によって照明する照明工程と、
    前記照明光によって照明されたときに前記基板の各層から発生する光に基づいて、前記パターンの画像を取り込む取込工程と、
    前記画像に基づいて、前記パターンの位置を算出する算出工程とを備え、
    前記照明工程では、前記基板の各層から発生する光のうち「前記中間層からの光」に対する「前記下地層からの光」の強度比が大きくなるように、前記照明光の分光特性を調整し、調整後の分光特性の照明光によって前記基板を照明する
    ことを特徴とする位置検出方法。
  2. 請求項1に記載の位置検出方法において、
    前記照明工程では、前記照明光が有する「前記中間層での吸収が小さい波長域の成分」に対する「前記中間層での吸収が大きい波長域の成分」の強度比が大きくなるように、前記分光特性を調整する
    ことを特徴とする位置検出方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の位置検出方法において、
    前記照明工程では、前記照明光が有する「前記下地層での吸収が大きい波長域の成分」に対する「前記下地層での吸収が小さい波長域の成分」の強度比が大きくなるように、前記分光特性を調整する
    ことを特徴とする位置検出方法。
  4. 請求項1に記載の位置検出方法において、
    前記照明工程では、前記中間層の数が2つ以上である場合、前記照明光が有する「前記中間層それぞれの上面で反射する光どうしが干渉によって互いに強め合う波長域の成分」に対する「前記光どうしが干渉によって互いに弱め合う波長域の成分」の強度比が大きくなるように、前記分光特性を調整する
    ことを特徴とする位置検出方法。
  5. 照明光の分光特性を変更可能であり、検出対象のパターンを含む下地層とレジスト層との間に1つ以上の中間層が形成された基板を前記照明光によって照明する照明手段と、
    前記照明光によって照明されたときに前記基板の各層から発生する光に基づいて、前記パターンの画像を取り込む取込手段と、
    前記画像に基づいて、前記パターンの位置を算出する算出手段とを備え、
    前記照明手段は、前記基板の各層から発生する光のうち「前記中間層からの光」に対する「前記下地層からの光」の強度比が大きくなるように、前記分光特性を変更する
    ことを特徴とする位置検出装置。
  6. 請求項5に記載の位置検出装置において、
    前記照明手段は、前記照明光が有する「前記中間層での吸収が小さい波長域の成分」に対する「前記中間層での吸収が大きい波長域の成分」の強度比が大きくなるように、前記分光特性を変更する
    ことを特徴とする位置検出装置。
  7. 請求項5または請求項6に記載の位置検出装置において、
    前記照明手段は、前記照明光が有する「前記下地層での吸収が大きい波長域の成分」に対する「前記下地層での吸収が小さい波長域の成分」の強度比が大きくなるように、前記分光特性を変更する
    ことを特徴とする位置検出装置。
  8. 請求項5に記載の位置検出装置において、
    前記照明手段は、前記中間層の数が2つ以上である場合、前記照明光が有する「前記中間層それぞれの上面で反射する光どうしが干渉によって互いに強め合う波長域の成分」に対する「前記光どうしが干渉によって互いに弱め合う波長域の成分」の強度比が大きくなるように、前記分光特性を変更する
    ことを特徴とする位置検出装置。
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