JP2005336500A - 発泡ウレタン樹脂の分解方法および樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

発泡ウレタン樹脂の分解方法および樹脂組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 発泡ウレタン樹脂を簡単な作業で他の樹脂組成物に再生することの可能な分解生成物に分解すること、あるいはこの分解生成物を用いて樹脂組成物を製造することを可能にする。
【解決手段】 混練器中で、発泡ウレタン樹脂16〜100重量部と、アミン化合物1重量部とからなる混合物を130℃〜300℃の温度範囲で混練して反応させることでウレタン樹脂を分解する。少量の分解処理剤で分解するために、分解生成物は適度な分子量を維持するため、エポキシ樹脂などと混合した際に硬化しやすくなる。また、分解処理を混練しながら行うことで少量の分解処理剤で発泡ウレタン樹脂を均質に分解することが可能になり、かつ分解時間が短くできるために分解物の変性を防ぐことが可能になる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、発泡ウレタン樹脂の分解方法および樹脂組成物の製造方法に係り、発泡ウレタン樹脂の分解生成物をそのまま再利用することが可能な発泡ウレタン樹脂の分解方法および、この分解生成物を使用した樹脂組成物の製造方法に関する。
近年、廃家電などの再利用に対する要望が高まっており、これらの廃家電はそれぞれの部品毎にその再利用方法が研究されている。例えば廃冷蔵庫処理においては、断熱材としてウレタン発泡樹脂が使用されており、このウレタン樹脂についてもその再利用が検討されている。
ウレタン発泡樹脂のリサイクル方法については古くから様々な方法が報告されており、モノエタノールアミンで軟質ポリウレタンフォームを分解し、その後、分解生成物から芳香族アミンとモノエタノールアミンを蒸留して分離回収する方法がある。(例えば特許文献1参照。)
特公昭42−10634号公報明細書
しかしながら(特許文献1)は、ウレタン樹脂の製造原料であるポリオールを分離回収することを目的としたものであり、モノエタノールアミンなどの分解処理剤を多量に使用しなければならず、その結果得られる分解生成物を蒸留、精製しなければならないため、再利用するための処理工程を繁雑なものにしていた。即ち、従来のウレタン樹脂の分解方法においては、分解生成物を再利用する際には、処理工程が繁雑になるという問題があった。
そこで本発明はこのような問題に鑑みて為されたものであり、ウレタン樹脂を簡単な作業で他の樹脂組成物に再生することの可能な分解生成物に分解する方法、さらにはこの分解生成物を用いて樹脂組成物を製造する樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の発泡ウレタン樹脂の分解方法は、混練器中で発泡ウレタン樹脂を直鎖状脂肪族アミンと反応させるウレタン樹脂の分解方法において、16〜80重量部のウレタン樹脂と1重量部の直鎖状脂肪族アミンとからなる混合物とし、130℃〜300℃の温度範囲に加熱し分解反応させることを特徴とする。
特に、前記分解反応は、発泡ウレタン樹脂と直鎖状脂肪族アミンとを混合させた後に、混練・反応を行うことが好ましい。
また、前記直鎖状脂肪族アミンは、窒素原子(N)及び水素原子(H)が結合してなるアミン構造を有するアミン化合物であることが好ましい。
また、前記直鎖状脂肪族アミンは、アルカノールアミンであることが好ましい。
また、前記アルカノールアミンは、ジエタノールアミンであることが好ましい。
また、前記混練器は、押出器であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物の製造方法は、混練器中で16〜80重量部の発泡ウレタン樹脂と1重量部のアルカノールアミンとを130℃〜300℃の温度範囲に加熱し分解反応させる分解工程と、前記分解工程で得られた分解生成物とイソシアネート反応性水酸基を有する化合物とイソシアネートとを反応させて樹脂組成物を合成することを特徴とする。
本発明者らは、ウレタン樹脂を分解処理剤であるアミン化合物で分解する際に、ウレタン樹脂とアミン化合物とを混練しながら行うことで、分解処理剤として微量のアミン化合物の使用でウレタン樹脂を液体状態になる程度にまで分解できることを確認した。
また、従来のようにウレタン樹脂を多量の分解処理剤中に添加し、加熱・攪拌して得られた分解生成物とエポキシ樹脂とを加熱しても硬化しなかったものが、本発明の分解方法によって得られた分解生成物とエポキシ樹脂とを加熱したところ、分解生成物が硬化剤として機能し、ゴム状の樹脂組成物からなる成形体が得られることを確認した。
すなわち、分解生成物の精製を必要とせずに、分解生成物の再利用が可能なことを確認し本発明に至った。
本発明によれば、発泡ウレタン樹脂を簡単な作業で他の樹脂組成物に再生することの可能な分解生成物に分解すること、あるいはこの分解生成物を用いて樹脂組成物を製造することが可能になる。
以下に本発明をより詳細に説明する。
ウレタンフォーム16〜100重量部に直鎖状脂肪族アミンであるアルカノールアミンなどのアミン化合物1重量部を均一に含浸させた後、この混合物を2軸押出器等の混練器に投入する。2軸押出器内部および2本のローラーは、130℃〜300℃程度に加熱されており、混練器内に投入された混合物は2軸押出器内で混練されることで、微量のアミン化合物と均一に接触しながら、液状になる程度にまで分解される。
例えば、ウレタン樹脂RNHCOOR'(Rはイソシアネート基、R'はポリオール基を指す)と、アミン化合物NH(R''OH)2(R''はアルキル基を指す)を反応させた場合、下記(1)に示すような反応が生じる。
Figure 2005336500
さらに、この液状の分解生成物に所定量エポキシ樹脂を混合させると分解生成物が硬化剤として働き、ウレタン変性エポキシ樹脂が合成される。
被分解物である、本発明に係るウレタン樹脂は、ウレタン結合、尿素結合などを持ついかなるウレタン樹脂でも良く、例えば、軟質ウレタン、硬質ウレタン、半硬質ウレタン、ウレタンエラストマーなどの種類がある。また、処理装置に投入しやすい形状に粉砕することが望ましい。
本発明に係るアミン化合物は、被分解物であるウレタン樹脂の分解処理剤として使用されるものであり、分解処理剤としては、通常アミン化合物単独で使用する。使用するアミン化合物としては、直鎖状脂肪族アミン、環状脂肪族アミン、芳香族アミン、および複素環式アミン等を挙げることができる。より具体的には、直鎖状脂肪族アミンとしてはエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、プロパンジアミン、2−エチルヘキシルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1、3−プロパンジオール、エチルアミノエタノール、アミノブタノール、n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、n−アミルアミン、イソブチルアミン、あるいはメチルジエチルアミン等が挙げられる。環状脂肪族アミンとしてはシクロヘキシルアミン、ピペラジン、ピペリジン等。芳香族アミンとしてはアニリン、トルイジン、ベンジルアミン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミンあるいはクロロアニリンなどを挙げることができる。複素環式アミンとしてはピリジン、ピコリン、N−メチルモルフォリン、エチルモルフォリン、ピラゾール等が挙げられる。これらのアミン類は単独又は2種以上を混合して使用することができる。
本発明において、被分解物であるウレタン樹脂16〜100重量部に対して、分解処理剤であるアミン化合物を1重量部使用としたのは、アミン処理剤の分解処理剤の比率がこれよりも少ないとウレタン樹脂が十分に分解されず、固体成分が残存したり、分解生成物の粘度が高くなり、その結果、分解生成物とエポキシ樹脂またはイソシアネートとを混合し樹脂組成物を合成しても、樹脂組成物の均質性が悪くなる恐れがある。また、分解処理剤の比率が前述の範囲よりも多いと、分解生成物とエポキシ樹脂と混合しても、硬化しない恐れがある。
分解処理剤の比率が多い時に、得られた分解生成物とエポキシ樹脂とが硬化しない理由は、アミン化合物がウレタン樹脂を十分に分解しすぎ分子量が低下しすぎ、エポキシ樹脂と反応生成物とが合成されてもその分子量を十分に高まらず、その結果硬化しないものと考えられる。
また、分解処理剤の比率が前述の範囲よりも多いと、この分解生成物とイソシアネートとを反応させてウレタン樹脂を再生した場合、分解生成物中には未反応のアミン化合物が残存し、合成原料中のアミン化合物が過剰になり、効果反応速度が速まりすぎる。その結果、原料成分を均一にすることができなくなる恐れがある。
他の理由として、アミン化合物がウレタン樹脂を十分に分解しすぎ分子量が低下しすぎ、エポキシ樹脂と反応生成物とが合成されてもその分子量が十分に高まらず、その結果硬化しないものと考えられる。
次に、本発明においては、ウレタン樹脂とアミン化合物の反応を混練と共に行うことが好ましく、その理由を以下に説明する。
固体状の被分解物であるウレタン樹脂に対し、分解処理剤となるアミン化合物の比率が少なく、特にウレタン樹脂として発泡ウレタンを使用する場合などは、被分解物に対する分解処理剤の体積比は極めて小さなものとなる。したがって、アミン化合物を均一かつ速やかにウレタン樹脂と接触させ反応させるためには、ウレタン樹脂とアミン化合物の混合物を混練しつつ加熱反応させることが望ましい。特に、このように反応を速やかに行うことで、分解生成物の変性物などによる組成のばらつきが抑制され、その結果、エポキシ樹脂とともに用いた時に硬化しやすい特性が得られるものと考えられる。
混練器としては、ウレタン樹脂とアミン化合物とからなる混合物を押圧し、両者を混合しながら練る、すなわち混練できるものであり、さらに混練しながら混合物を加熱できるものであればよい。
例えば前述した2軸押出器に限られず、1軸押出器、連続式ニーダーやモノポンプなど、加熱と共に混練を行えるものであれば特に制限されずに使用できる。特にこれらの混練器は、分解反応を連続的に処理できるため、大量のウレタン樹脂の分解に適している。
ここで具体的な混練器の一例として、押出器である反応容器の概略図を示すとともに、本発明のウレタン樹脂の分解方法を具体的に説明する。
ウレタン樹脂は投入口1から投入され、粉砕された状態で原料投入口3に投入され、反応容器2に搬送される。反応容器2は円筒形状であり、反応容器2内にはスクリュー11(ここでは1軸)が配置されており、スクリューを回転させることでウレタン樹脂を混練しながら吐出ノズル10方向へ搬送する。
また、原料投入口3に隣接して、反応容器2には分解剤注入口6が設けられている。分解剤タンク4に収納されたアミン化合物は液体注入ポンプ5により分解剤注入口6から注入され、原料注入口3から投入されたウレタン樹脂と混合されながら混練される。
また、反応容器2の後端部(噴出しノズル)近傍にはベント口7が設けられており、スクリュー11によって搬送されてきたウレタン樹脂(分解生成物)中に含まれた発泡剤はベント口7に接続された真空ポンプ9によって吸引され、コンデンサ8によって凝集される。
そして、発泡剤が回収されたウレタン樹脂(分解生成物)は吐出ノズル10から押し出される。
図1の説明では、ウレタン樹脂とアミン化合物は、別々にして混練器に投入したが、それぞれ個別に混練器に投入するよりも、予めアミン化合物をウレタン樹脂に分散・含浸させ、原料投入口から投入することが好ましい。前述したようにウレタン樹脂に対するアミン化合物の体積比は極めて小さいため、このような前処理を行うことでウレタン樹脂の嵩密度が小さくなり分解反応をより速やかに行うことが可能になる。さらに、ウレタン樹脂は比較的静電気が発生しやすい材料であるため、混練器の投入など取扱いの点で困難な面があるが、予め分解剤を分散・含浸させ、ウレタン樹脂を膨潤させておくことで静電気を生じ難くさせ取扱いが容易になる。
膨潤方法は、例えば攪拌機能を持つ容器に、ウレタン樹脂とアミン化合物を所定の比率で投入し、両者を室温〜130℃の温度範囲で攪拌混合することが望ましい。処理温度が高すぎると分解反応が生じてしまい、均質な分解生成物が得られなくなる可能性がある。
混練器による加熱は、分解するウレタン樹脂や分解処理剤であるアミン化合物の種類によって多少異なるが、通常130℃〜300℃、より好ましくは170℃〜250℃で行えばよい。さらに、加熱時間は1分〜20分程度、より好ましくは3分〜10分程度で行えばよい。加熱温度が300℃よりも高かったり、加熱時間が20分より長いと、さらにウレタン樹脂を形成しているC−C結合までも分解して過剰反応となる恐れがあり、加熱温度が130℃より低かったり、加熱時間が1分より短くなると、ウレタン樹脂を十分に分解できなくなる恐れがある。
また、ウレタン樹脂として発泡ウレタン樹脂を分解する際に、本発明のウレタン樹脂の分解方法は適している。
発泡ウレタン中にはフロンなどの発泡剤が混入しており、環境面などからフロンなどは分離・回収する必要がある。通常、発泡樹脂中の発泡剤は、発泡樹脂を破砕するなどして気泡中に含まれる発泡剤を分離・回収するが、この方法では発泡剤が散乱しやすいために回収が困難であり、細かく破砕したとしてもセル中の発泡剤は回収されるが、セル膜を形成しているウレタン樹脂中に分散している発泡剤を分離回収するのは困難である。本発明のように、ウレタン樹脂を分解してしまえば、発泡剤は分解反応中に分解生成物(液体)中から気体として分離するため、分離性、回収性共に向上させることができる。
また、分解剤であるアミン化合物の量が多いと、フロンなどの発泡剤のアミン化合物に溶解されてしまい、発泡剤の分離回収性が低下する恐れがあるが、本発明においては使用するアミン化合物の比率が少ないために、効率よく発泡剤の分離・回収を行うことが可能になる。
このようにしてウレタン樹脂を分解して得られた分解生成物は、均質な液体状態に分解されるため、蒸留や抽出などの工程を経ずに、そのまま再生品に再資源化することができる。
特に、この分解生成物にエポキシ樹脂を混合させると硬化し、エポキシ樹脂を得ることができ、弾性に富み、高耐久性の樹脂組成物を得ることができる。このとき、分解生成物とエポキシ樹脂の比率は、例えば分解生成物100重量部に対し、エポキシ樹脂を10〜100重量部とすればよい。また、この分解生成物をそのままウレタン樹脂として再生したり、他のモノマーなどと共重合させて、ポリエステル、ポリアミド、ナイロンなど種々の樹脂組成物を作成することも可能である。
再生に際し、必要に応じ分解生成物の希釈剤を添加し粘度調整を行うこともできる。希釈剤としてはイソシアネート反応性水素原子を有するアルコール類、ポリオール類、あるいはエステル類や水を用いても良い。前記アルコール類としてはメタノール、エタノールやプロパノールなどの1価のアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリオキシエチレングリコールやポリオキシプロピレングリコール、ポリプロピレン(エチレン)ポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどの2価のアルコール、グリセリンなどの3価のアルコールなど、またはこれらにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフランなどを添加したものが挙げられる。またエステル類としては、アジピン酸系ポリエステル、フタル酸系ポリエステル、ポリカプロラクトンポリエステル、アクリル酸エステルなどを挙げることができる。さらに、これらのエステル類にエチレングリコール、1,4−ブタンジオールなどのアルコール類が重合したものでもよい。これらの希釈剤は、被分解物であるウレタン樹脂の作成時に使用したポリオール成分と同じ化合物やその低分子化合物の使用が特に望ましい。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
本実施例においては、以下に示すウレタン樹脂Aあるいはウレタン樹脂Bを粉砕した状態で被分解物として使用した。
ウレタン樹脂A
ポリエチレングリコール(日本油脂社製:ポリエチレングリコール400)100gにポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(MDI)68gを添加し、高速攪拌したのち、型に注入し室温で硬化させウレタン樹脂Aを準備した。
ウレタン樹脂B
使用済みの冷蔵庫に断熱材として使用されたウレタン樹脂をウレタン樹脂Bとして準備した。
<発泡ウレタンの分解>
(実施例1)
本実施例においては、2軸押出器(東芝機械社製:TEM−37BS)中で、ウレタン樹脂とアミン化合物とを混練・加熱して、ウレタン樹脂の分解を行った。
まず、押出器のシリンダー温度を190℃に設定した。
押出器の原料投入口からウレタン樹脂Aを5.65kg/hで投入し、同時に押出器の薬液投入口へアミン化合物としてのジエタノールアミン0.35kg/hをポンプで供給した。
混練時間を変えて、分解生成物の状態を調べたところ、混練時間を4分45秒以上にしたときに分解生成物は固形分の残存しない黄色透明の粘調な液体となっており、完全に分解することが確認できた。
なお、混練器から分解生成物を取り出す際に、真空ポンプで発泡剤を除去した。
(実施例2)
混練器へ投入するウレタン樹脂Aを5.6kg/h、アミン化合物の供給量を0.28kg/hとしたことを除き、実施例1と同様にしてウレタン樹脂の分解を行ったところ、混練時間を5分55秒以上とした時に分解生成物は黄色透明の粘調な液体に完全に分解することが確認できた。
(実施例3)
前処理として、ウレタン樹脂A6kgとアミン化合物としてのジエタノールアミン0.1kgを攪拌機能のついた混合器に投入し、容器内を100℃に保持した状態で1時間攪拌し、ウレタン樹脂に分解剤を分散・含浸させた。
この前処理を行ったウレタン樹脂を2軸押出器を用いて分解処理を行った。
本実施例では、押出器のシリンダー温度を210℃に設定し、前処理を行ったウレタン樹脂6kg/hを押出器に投入した。
実施例1と同じ混練器を用い、混練時間を6分に設定したところ、黄色透明の粘調な液体で多少固形成分が残存する分解生成物を得た。
この分解生成物をポンプで原料投入側口に接続しているポンプで7.5kg/hで戻し、膨潤していないウレタン樹脂Aを新たに2.5kg/h投入し、6分間混練を行ったところ固体成分のない黄色透明で粘調な液体を分解生成物として得た。なお、この実施例のアミン化合物とウレタン樹脂の最終的な重量比は約1:80である。
(実施例4)
前処理として、ウレタン樹脂A2kgとアミン化合物としてのジエタノールアミン0.1kgを攪拌機能のついた混合器に投入し、容器内を100℃に保持した状態で1時間攪拌し、ウレタン樹脂に分解剤を含浸させた。
この前処理を行ったウレタン樹脂を2軸押出器を用いて分解処理を行った。
本実施例では、押出器のシリンダー温度を190℃に設定し、前処理を施したウレタン樹脂18kg/hを押出器に投入した。
混練時間を3分30秒以上に設定した時に、分解生成物は完全に分解されていることを確認した。
(実施例5)
被分解物としてのウレタン樹脂Bを6kg/hで混練器に投入し、アミン化合物の投入量を0.075kg/hとし、シリンダー温度を210℃に設定したことを除き、実施例1と同様にしてウレタン樹脂の分解を行った。
その結果、混練時間を4分45秒以上に設定した時に、ウレタン樹脂を完全な液体状に分解できることを確認した。
(実施例6)
被分解剤としてのウレタン樹脂B2kgをヘンシェルミキサーに投入し、高速攪拌しながらアミン化合物としてのジエタノールアミン0.1kgを徐々に滴下した。室温で10分間攪拌してウレタン樹脂に分解剤を分散・含浸させると見かけの体積が7割以下に減少した。
この前処理を行ったウレタン樹脂を実施例4と同様にしてウレタン樹脂の分解を行った。
その結果、混練時間を5分30秒以上に設定した時に、ウレタン樹脂を完全な液体状態に分解できることを確認した。
(実施例7)
アミン化合物中の投入量を0.3kg/hとしたことを除いて実施例5と同様にしてウレタン樹脂の分解を行った。
その結果、混練時間を6分30秒以上に設定した時にウレタン樹脂を完全な液体状に分解できることを確認した。
(参考例1)
本参考例においては、混練を行わずにウレタン樹脂の分解を行った。
加熱機能と攪拌機能のついた密閉容器を190℃に温調し、ウレタン樹脂Bを6kg投入し、さらにジエタノールアミンを0.6kg投入して、過熱攪拌した。所定の時間が経過してから密閉容器に接続している真空ポンプで発泡剤を除去し、凝縮しコンデンサから回収した。原料を投入してから60分後以降においては固形物のない液状になっており、完全に分解されていることが確認できた。
(比較例1)
アミン化合物の量を6kg/hとしたことを除いて、実施例1と全く同様にしてウレタン樹脂の分解を行ったところ、混練時間を5分以上に設定した時に固体成分のない完全な液体に分解できることを確認した。
得られた分解生成物は、黄色透明上層液と赤紫透明下層液とからなる2相に分離した液体であった。
(参考例2)
加熱機能と攪拌機能のついた密閉容器を190℃に温調し、ウレタン樹脂Bを3kg投入し、さらにジエタノールアミンを0.6kg投入して、加熱攪拌した。
60分間加熱攪拌した後に、発泡剤を除去し、分解生成物を得た。分解生成物は橙色のぼそぼそした固体で完全に分解されていなかった。
ここで、実施例1乃至7、比較例1のウレタン樹脂を完全に液化するための条件と、参考例の液化できなかった時の条件を表1に纏めた。
Figure 2005336500
<分解生成物の再生>
(実施例8)
まず、実施例2で得られた分解生成物100gとポリオール50gとを攪拌・混合した。さらにMDI80gを添加して攪拌し混合液を作成した。
得られた混合液を型に入れ室温で1日放置したところ、発泡硬化し樹脂組成物が得られた。この樹脂組成物の密度は180kg/m3、発泡倍率約5倍の発泡ウレタンが生成した。
(実施例9)
実施例2で生成した分解生成物40gを60℃に温調し、エポキシ樹脂(旭化成社製:エピコート4100E)を10g入れて攪拌する。型に入れ真空脱泡してから、120℃のオーブンに入れて1晩硬化させると、ゴム状の樹脂成型物が生成した。
(実施例10)
参考例1で生成した分解生成物40gを60℃に温調し、エポキシ樹脂(旭化成社製:エピコート4100E)を10g入れて攪拌する。型に入れ真空脱泡してから、120℃のオーブンに入れて1晩硬化させると、ゴム状の樹脂成型物が生成した。
(比較例2)
比較例1で生成した分解生成物40gを60℃に温調し、エポキシ樹脂(旭化成社製:4100E)を20g入れて攪拌する。型に入れ真空脱泡してから、120℃のオーブンに入れて1晩おいても硬化せず、液体のままだった。150℃に温度をあげても、硬化しなかった。
本発明に係る押出器の概略図。
符号の説明
1…投入口
2…反応容器
3…原料投入口
4…分解剤用タンク
5…液体注入ポンプ
6…分解剤注入口
7…ベント口
8…コンデンサ
9…真空ポンプ
10…吐出ノズル
11…スクリュー

Claims (8)

  1. 混練器中で発泡ウレタン樹脂を直鎖状脂肪族アミンと反応させるウレタン樹脂の分解方法において、
    16〜80重量部のウレタン樹脂と1重量部の直鎖状脂肪族アミンとからなる混合物とし、130℃〜300℃の温度範囲に加熱し分解反応させることを特徴とする発泡ウレタン樹脂の分解方法。
  2. 前記発泡ウレタン樹脂と前記直鎖状脂肪族アミンとを混合させた後に、前記分解反応を行うことを特徴とする請求項1記載の発泡ウレタン樹脂の分解方法。
  3. 前記直鎖状脂肪族アミンは、窒素原子(N)及び水素原子(H)が結合してなるアミン構造を有するアミン化合物であることを特徴とする請求項1記載の発泡ウレタン樹脂の分解方法。
  4. 前記直鎖状脂肪族アミンは、アルカノールアミンであることを特徴とする請求項2記載の発泡ウレタン樹脂の分解方法。
  5. 前記アルカノールアミンは、ジエタノールアミンであることを特徴とする請求項4記載の発泡ウレタン樹脂の分解方法。
  6. 前記混練器は押出器であることを特徴とする請求項1記載の発泡ウレタン樹脂の分解方法。
  7. 混練器中で16〜80重量部の発泡ウレタン樹脂と1重量部のアルカノールアミンとを130℃〜300℃の温度範囲に加熱し分解反応させる分解工程と、
    前記分解工程で得られた分解生成物とイソシアネート反応性水酸基を有する化合物とイソシアネートとを反応させて樹脂組成物を合成することを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
  8. 前記アルカノールアミンは、ジエタノールアミンであることを特徴とする請求項7記載の樹脂組成物の製造方法。
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