JP2005336437A - 有機無機ハイブリッド粒子及びそれを含む研磨剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】同一の粒子内にフェノール樹脂よりなる有機高分子領域と無機高分子領域の分布した複合粒子であって、耐摩耗性、耐溶剤性、高弾性率等の無機粒子としての特徴と、柔軟性、造粒性等の有機粒子としての特徴を併せ持ち、粒径の均一性に優れた複合粒子(有機無機ハイブリッド粒子)、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】フェノール樹脂、フェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂と金属アルコキシドの反応ゲルとを含有する複合粒子であって、フェノール樹脂と、フェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂と、金属アルコキシドと塩基を含有する水混和性有機溶剤溶液に水を加えて乳化させることによって製造することができる。
【解決手段】フェノール樹脂、フェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂と金属アルコキシドの反応ゲルとを含有する複合粒子であって、フェノール樹脂と、フェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂と、金属アルコキシドと塩基を含有する水混和性有機溶剤溶液に水を加えて乳化させることによって製造することができる。
Description
本発明は、均一粒子径を有する有機無機ハイブリッド粒子、およびそれを含有する、化学的機械研磨に有効な研磨剤に関する。
従来、セラミック等の無機の粒子は増量、紫外線吸収、耐摩耗、光学・電磁気特性の付与等様々な用途で単独もしくは有機高分子等と複合して利用されている。一方、有機高分子粒子ではポリマーが持つ特性である柔軟性・密着性・加工性を利用して電子写真用トナーや艶消し、着色剤、塗料その他で利用されている。
有機高分子粒子のうち、フェノール樹脂からなる粒子は3次元架橋により非常に硬度の高い粒子が得られるが、微粒子で安定した分散体を得ることが困難で、従来一般的に知られている界面活性剤または/および保護コロイドを使用することに容易に知られているが、分散安定性は必ずしも十分でなく、それらの硬化物の耐水性に問題を有している。
フェノール樹脂を用いた分散体の改良例として、金属素材に塗布した際に可撓性に優れ、着色変化の極めて小さい塗膜を形成しうる水性塗料などに用いることのできる水性樹脂分散体として、カルボキシル基を含有するアクリル系樹脂(A)、エポキシ系樹脂(B)およびフェノール系樹脂とをアミンの存在下に水性媒体中に分散せしめてなる水性分散体において、フェノール樹脂(C)としてフェノール系樹脂のフェノール性水酸基の20%以上80%未満がアリルエーテル化されており、重量平均分子量が250〜800であり、かつ分子量が250未満の低分子量成分の含有量が10重量%以下のアリルエーテル型フェノール樹脂を使用し、カルボキシル基を含有するアクリル樹脂(A)とエポキシ系樹脂(B)とは部分的に結合されてなる水性分散体が提案されている。(特許文献1参照)
もう一つの改良例として、樹脂固形分1g当たり130〜550mg当量の酸基を有するアクリル樹脂エマルジョンを分散剤として、フェノール系樹脂を水性媒体中に分散させるフェノール系樹脂水性分散体の製造方法が提案されている。(特許文献2参照)
もう一つの改良例として、末端メチロール基の50%以上をアルコキシル化したレゾール樹脂と、カルボキシル基を含有するアクリル樹脂とをアミン系化合物の存在下に乳化させるレゾール型フェノール樹脂水系エマルジョンが提案されている。(特許文献3参照)
しかしながら、前記フェノール樹脂を用いた分散体粒子は、有機化合物故に無機粒子の前記特性や耐熱性、高弾性率、耐候性、耐溶剤性等の特性は得ることは難しい。そこで有機高分子と無機材料の優れた特性を有する材料得るために両者のコンパウンドが利用されるが、一般に無機化合物と有機高分子の相溶性は十分でなく、様々な有機無機ハイブリッド材料を製造する試みが検討されているが実用化が困難であった。
もう一つの改良例として、末端メチロール基の50%以上をアルコキシル化したレゾール樹脂と、カルボキシル基を含有するアクリル樹脂とをアミン系化合物の存在下に乳化させるレゾール型フェノール樹脂水系エマルジョンが提案されている。(特許文献3参照)
しかしながら、前記フェノール樹脂を用いた分散体粒子は、有機化合物故に無機粒子の前記特性や耐熱性、高弾性率、耐候性、耐溶剤性等の特性は得ることは難しい。そこで有機高分子と無機材料の優れた特性を有する材料得るために両者のコンパウンドが利用されるが、一般に無機化合物と有機高分子の相溶性は十分でなく、様々な有機無機ハイブリッド材料を製造する試みが検討されているが実用化が困難であった。
有機無機ハイブリッド粒子の例としては、有機高分子化合物と無機酸化物とのマトリックスが共有結合により結合されたハイブリッド体である有機無機ハイブリッド粒子が提案されており、具体的には、重合性金属アルコキシドを含む膨潤溶媒でシード粒子を膨潤させた後、該金属アルコキシド中の不飽和二重結合により重合させ、次いで金属アルコキシドのアルコキシ基を加水分解及び縮合させる製造方法である。(特許文献4参照)しかしながら、膨潤処理やその後の重合等の操作が複雑で、更に界面活性剤や分散剤を使用するために粒子径の制御を十分には行えなかった。
近年、半導体の高集積化、高性能化のために、多層配線形成工程における層間絶縁膜、金属プラグ形成、埋め込み金属配線形成において平坦化技術が必須の技術となっている。この中で、研磨剤と被研磨体の間の化学的作用と、研磨粒子の機械的作用を複合させた化学的機械研磨方法(ケミカルメカニカルポリッシング、以下CMPと省略する)が極めて有効な研磨方法である。更には、ハードディスク用のディスクや、光学部品等の精密部品における分野においても精密研磨の必要性が増大しており、CMPが極めて重要となっている。
一般に金属膜のCMPでは、アルミナやシリカ等の無機化合物粒子と硝酸第二鉄や過酸化水素水などの酸化剤との混合物からなるCMPスラリーが利用されているが、硬度の高い無機化合物粒子で研磨すると金属表面の傷の発生による表面の荒れや金属膜への研磨粒子の埋め込みの問題がある。また、無機化合物粒子性のスラリーは凝集・沈殿しやすく、凝集した大粒径の無機化合物粒子によるスクラッチの発生が大きな問題となっている。また、半導体に形成された配線の溝や開口部に埋め込まれた配線用金属膜の幅が広い領域では、中心部が薄くなるディッシングが発生しやすいという問題を有していた。
一般に金属膜のCMPでは、アルミナやシリカ等の無機化合物粒子と硝酸第二鉄や過酸化水素水などの酸化剤との混合物からなるCMPスラリーが利用されているが、硬度の高い無機化合物粒子で研磨すると金属表面の傷の発生による表面の荒れや金属膜への研磨粒子の埋め込みの問題がある。また、無機化合物粒子性のスラリーは凝集・沈殿しやすく、凝集した大粒径の無機化合物粒子によるスクラッチの発生が大きな問題となっている。また、半導体に形成された配線の溝や開口部に埋め込まれた配線用金属膜の幅が広い領域では、中心部が薄くなるディッシングが発生しやすいという問題を有していた。
上記無機粒子からなるCMPスラリーの欠点を改善するために、有機高分子化合物からなる粒子または少なくとも炭素を主成分とする粒子を研磨粒子として用いた研磨剤やCMPスラリーが提案されており(特許文献5参照)、具体的に有機高分子化合物としては、PMMA等のメタクリル樹脂、これと同等の硬度を有するフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂等が例示されている。しかし本方法では分散安定性が必ずしも十分ではなく分散安定剤の併用が必要で、樹脂粒子の硬度も低く、化学的な活性も乏しいことから研磨速度が著しく小さいという問題があった。
このような問題を改善するために乳化重合により得られるビニル化合物重合体樹脂粒子を含有し、かつアンモニアあるいは水溶性の金属錯体を形成する錯化剤を含有する水性エマルジョンからなる研磨剤が提案されている(特許文献6、特許文献7参照)。しかしながら本方法では、乳化剤を使用するため必ずしも分散安定性が良好ではなく、硬度の点でも必ずしも十分ではない。また、樹脂粒子表面の化学的な活性は大きくなく、研磨の主効果は必須成分として加えているアンモニアや任意で添加する酸化剤に依存している。そのため前述のディッシングの改善は必ずしも十分ではなかった。
また、金属と反応し水溶性の金属錯体を形成する錯化剤と、乳化剤によらない乳化重合により得られるビニル化合物重合体樹脂粒子からなる水性エマルジョンを含有する研磨剤が提案されている(特許文献8参照)。本方法では乳化剤を使用しないで乳化重合を行うため、得られる樹脂粒子の粒径分布が広くなる傾向があり、大粒径粒子によるスクラッチの発生等の可能性があった。
また、架橋構造を有する平均粒径0.13〜0.8μmの重合体粒子を含み、界面活性剤の含有量が0.15重量%以下である水系分散体及びそれを主成分とする研磨剤が提案されている(特許文献9参照)。本発明では架橋構造を形成するために架橋性単量体とその他の単量体を共重合させるため、架橋率が低いと十分な硬度を得ることが出来ず、逆に架橋率を大きくすると脆くなるという欠陥に加えて、得られる架橋粒子の粒径を小さくすることが困難であった。
特開平05−093167号公報
特開平08−217883号公報
特開2002−155190号公報
特開平07−265686号公報
特開平07−086216号公報
特開平11−176774号公報
特開平11−162910号公報
特開平11−156702号公報
特開2000−204275号公報
また、金属と反応し水溶性の金属錯体を形成する錯化剤と、乳化剤によらない乳化重合により得られるビニル化合物重合体樹脂粒子からなる水性エマルジョンを含有する研磨剤が提案されている(特許文献8参照)。本方法では乳化剤を使用しないで乳化重合を行うため、得られる樹脂粒子の粒径分布が広くなる傾向があり、大粒径粒子によるスクラッチの発生等の可能性があった。
また、架橋構造を有する平均粒径0.13〜0.8μmの重合体粒子を含み、界面活性剤の含有量が0.15重量%以下である水系分散体及びそれを主成分とする研磨剤が提案されている(特許文献9参照)。本発明では架橋構造を形成するために架橋性単量体とその他の単量体を共重合させるため、架橋率が低いと十分な硬度を得ることが出来ず、逆に架橋率を大きくすると脆くなるという欠陥に加えて、得られる架橋粒子の粒径を小さくすることが困難であった。
本発明の目的は、少なくともフェノール樹脂成分からなる粒子径の揃った有機無機ハイブリッド粒子と、それを容易に製造しうる製造方法を提供することである。加えて該有機無機ハイブリッド粒子から有機成分を除去することによって得られる多孔質の無機粒子を提供することである。
さらに本発明の目的は、粒子径が小さく長期にわたって分散安定性が高く、研磨能力に優れかつ研磨傷の無い研磨用砥粒とこれを用いた研磨用水性分散液、および前記研磨用砥粒や前記水性分散液を用いた研磨剤を提供することである。
さらに本発明の目的は、粒子径が小さく長期にわたって分散安定性が高く、研磨能力に優れかつ研磨傷の無い研磨用砥粒とこれを用いた研磨用水性分散液、および前記研磨用砥粒や前記水性分散液を用いた研磨剤を提供することである。
上記目的は、以下の本発明によって達成される。
即ち、本発明は、フェノール樹脂とフェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂と、金属アルコキシドの反応ゲルを含む有機無機ハイブリッド粒子とそれからなる研磨剤を提供する。このような少なくともフェノール樹脂とアニオン性基を有する有機無機ハイブリッド粒子は、有機成分と無機成分が微細構造を有するドメインを形成し、有機成分を有する粒子としての化学的な活性増大と、無機成分を有する粒子としての機械的な強度増大によって高い研磨能力が得られるのみならず、フェノール樹脂との組合せによる優れた高硬度と他のアニオン性基を有する樹脂による微粒子化と分散安定化をともに実現することが可能になる。
即ち、本発明は、フェノール樹脂とフェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂と、金属アルコキシドの反応ゲルを含む有機無機ハイブリッド粒子とそれからなる研磨剤を提供する。このような少なくともフェノール樹脂とアニオン性基を有する有機無機ハイブリッド粒子は、有機成分と無機成分が微細構造を有するドメインを形成し、有機成分を有する粒子としての化学的な活性増大と、無機成分を有する粒子としての機械的な強度増大によって高い研磨能力が得られるのみならず、フェノール樹脂との組合せによる優れた高硬度と他のアニオン性基を有する樹脂による微粒子化と分散安定化をともに実現することが可能になる。
本発明の、フェノール樹脂とフェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂と、金属アルコキシドの反応ゲルを含有する有機無機ハイブリッド粒子は、均一な粒子径を有し、分散安定性に優れた水性分散体を形成する。さらに製造時の造粒性に優れ、粒子化が極めて容易である。本発明の有機無機ハイブリッド粒子は、有機成分と無機成分が微細構造を有するドメインを形成し、研磨用粒子としての硬度の他に、耐摩耗性、耐熱性、高弾性率、耐候性、耐溶剤等従来の無機粒子の特徴と、柔軟性・密着性・加工性・造粒性等従来の有機粒子の特徴とを合わせ持っている。
本発明の研磨剤は、フェノール樹脂とフェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂と金属アルコキシドの反応ゲルを含有した複合粒子である有機無機ハイブリッド粒子を含有しており、優れた研磨能力と分散安定性を示し、かつ研磨傷のない研磨を可能にするため、化学的機械研磨方法を用いた精密研磨用の研磨剤として最適である。
本発明の研磨剤は、フェノール樹脂とフェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂と金属アルコキシドの反応ゲルを含有した複合粒子である有機無機ハイブリッド粒子を含有しており、優れた研磨能力と分散安定性を示し、かつ研磨傷のない研磨を可能にするため、化学的機械研磨方法を用いた精密研磨用の研磨剤として最適である。
本発明における有機無機ハイブリッド粒子とは、有機高分子と無機高分子とが同一粒子内に分布した複合体粒子であって、耐摩耗性、耐熱性等、無機高分子としての特性と、柔軟性等の有機高分子としての特性を併せ持つ粒子である。本発明のフェノール樹脂と他のアニオン性基を有する樹脂と金属アルコキシドの反応ゲルを含有した複合粒子は、その一例である。有機無機ハイブリッド粒子は、表面硬度の他、耐摩耗性、耐熱性等、無機高分子としての特性と、柔軟性等の有機高分子としての特性を併せ持っており研磨用粒子として好ましい。
また、本発明において金属アルコキシドの反応ゲルとは、金属アルコキシドの加水分解と重合によって生成するゾルに、さらにその反応を進行させて形成される金属酸化物を含む湿潤ゲルまたは乾燥ゲルのことである。
また、本発明において金属アルコキシドの反応ゲルとは、金属アルコキシドの加水分解と重合によって生成するゾルに、さらにその反応を進行させて形成される金属酸化物を含む湿潤ゲルまたは乾燥ゲルのことである。
本発明で使用するアニオン性基を含んだ樹脂中のアニオン性基は、その少なくとも一部が、塩基と対イオンを形成していると、より有機無機ハイブリッド粒子の分散安定性が優れており、良好な水性分散体を形成することができる。また該粒子の製造を行いやすく好ましい。
フェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂の酸価については特に限定されるものではないが、酸価が10未満では該樹脂の分散性が不足し易く、後述する製造方法における有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体形成が不十分となる傾向がある。酸価が200を越えると、同じく後述する製造方法において樹脂が水に膨潤や溶解しやすく、目的とする有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体が得にくくなる傾向がある。このためアニオン性基を有する樹脂の酸価は10〜200の範囲にあることが好ましい。
本発明の樹脂のアニオン性基は、カルボキシル基、スルホン酸基、スルフィン酸基、リン酸基等であって特に限定されるものではないが、カルボキシル基、スルホン酸基、スルフィン酸基、リン酸基が好ましい。このうち特にカルボキシル基を含有する樹脂は一般的なものが使用可能であり、後述する製造方法による有機無機ハイブリッド粒子化が容易となるため特に好ましい。なおフェノール性水酸基は本発明におけるアニオン性基には含まないものとする。
フェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂の酸価については特に限定されるものではないが、酸価が10未満では該樹脂の分散性が不足し易く、後述する製造方法における有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体形成が不十分となる傾向がある。酸価が200を越えると、同じく後述する製造方法において樹脂が水に膨潤や溶解しやすく、目的とする有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体が得にくくなる傾向がある。このためアニオン性基を有する樹脂の酸価は10〜200の範囲にあることが好ましい。
本発明の樹脂のアニオン性基は、カルボキシル基、スルホン酸基、スルフィン酸基、リン酸基等であって特に限定されるものではないが、カルボキシル基、スルホン酸基、スルフィン酸基、リン酸基が好ましい。このうち特にカルボキシル基を含有する樹脂は一般的なものが使用可能であり、後述する製造方法による有機無機ハイブリッド粒子化が容易となるため特に好ましい。なおフェノール性水酸基は本発明におけるアニオン性基には含まないものとする。
フェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂としては天然樹脂、合成樹脂等特に制限はないが、後述の製造方法に対して好適な樹脂として、塩基性化合物が存在しない状態で有機溶剤可溶の樹脂が好ましく、具体的にはアクリル酸樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ、なかでもアクリル樹脂が好ましい。これらは複合粒子形成後に、必要に応じて公知の方法で三次元架橋を行う事が可能である。アクリル酸樹脂としては、例えばスチレン、置換スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一つのモノマーと、(メタ)アクリル酸との共重合体は、樹脂の粒子化と多価金属イオンによる架橋の点で好適である。
具体的にはスチレン;α−メチルスチレン等の置換スチレン;アクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、アクリル酸ブチルエステル、アクリル酸2−エチルヘキシルエステル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸メチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、メタクリル酸ブチルエステル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル;及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチル等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸エステルから選ばれる少なくとも一つ以上のモノマーと、アクリル酸、メタクリル酸から選ばれる少なくとも一つ以上のモノマーを含む(メタ)アクリル酸系共重合体が好ましい。
上記モノマーの組み合わせにおいて(メタ)アクリル酸エステルのようなガラス転移温度の低いモノマーを多量に使用することは好ましくなく、樹脂のガラス転移温度は室温以上、できれば50℃以上が好適である。高ガラス転移温度の樹脂を用い、金属アルコキシドの反応ゲルを含有させることによって、粒子同士の凝集がなく分散安定性に優れ、かつ非常に硬度が高く研磨能力の優れた研磨用有機無機ハイブリッド粒子、および該粒子を含有した水性分散体を得ることが可能となり、該水性分散体を用いて良好な研磨剤を作製することができる。
上記モノマーの組み合わせにおいて(メタ)アクリル酸エステルのようなガラス転移温度の低いモノマーを多量に使用することは好ましくなく、樹脂のガラス転移温度は室温以上、できれば50℃以上が好適である。高ガラス転移温度の樹脂を用い、金属アルコキシドの反応ゲルを含有させることによって、粒子同士の凝集がなく分散安定性に優れ、かつ非常に硬度が高く研磨能力の優れた研磨用有機無機ハイブリッド粒子、および該粒子を含有した水性分散体を得ることが可能となり、該水性分散体を用いて良好な研磨剤を作製することができる。
前記フェノール樹脂としては、フェノール性化合物とアルデヒド化合物とを公知一般の方法により反応せしめ製造することができる。フェノール性化合物としてはフェノール、クレゾール、キシレノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、フェニルフェノール、レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール等およびそれらの誘導体の単独または混合物があげられ、アルデヒド化合物としてはホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ヘキサメチレンテトラミン、パラホルム、グリオキザール等の単独または混合物があげられる。
前記フェノール樹脂は、フェノール性化合物とアルデヒド化合物をモル比でホルムアルデヒド過剰条件でアルカリ触媒を用いて得られるレゾールタイプと、フェノール性化合物とアルデヒド化合物をモル比でフェノール性化合物過剰条件で酸性触媒を用いて得られるノボラックタイプがあるが、ノボラックタイプはフェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂、金属アルコキシドの反応ゲルとの組合せにおいて得られる有機無機ハイブリッド粒子の微粒子化と分散安定化の点でより好ましい。
前記フェノール樹脂は、フェノール性化合物とアルデヒド化合物をモル比でホルムアルデヒド過剰条件でアルカリ触媒を用いて得られるレゾールタイプと、フェノール性化合物とアルデヒド化合物をモル比でフェノール性化合物過剰条件で酸性触媒を用いて得られるノボラックタイプがあるが、ノボラックタイプはフェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂、金属アルコキシドの反応ゲルとの組合せにおいて得られる有機無機ハイブリッド粒子の微粒子化と分散安定化の点でより好ましい。
前記フェノール樹脂の硬化剤として知られている硬化剤としては、具体的にはレゾールタイプにはp−トルエンスルホン酸、リン酸等の有機または無機酸をが、ノボラックタイプにはヘキサメチレンテトラミン等のアミンを用いても良く、これらを前記フェノール樹脂とともに用いることができる。
有機無機ハイブリッド粒子の硬度を高くする場合には、上記モノマーの組み合わせにおいて(メタ)アクリル酸エステルのようなガラス転移温度の低いモノマーを多量に使用することは好ましくなく、本発明の樹脂のガラス転移温度は室温以上、できれば50℃以上に設定することが好ましい。
本発明の有機無機ハイブリッド粒子に用いる前記樹脂は、有機無機のハイブリッド化によって強度の大きい粒子が得られるが、あらかじめ架橋性モノマーと開始剤又は触媒を有機無機ハイブリッド粒子に取り込み、粒子化後に架橋するか、好ましくは、有機無機ハイブリッド粒子化時に多価金属イオンを取り込んで、アニオン性基を有する樹脂のアニオン性基の一部を架橋させたいわゆるアイオノマー樹脂化をさせることによって、より強靱な有機無機ハイブリッド粒子とする事が出来る。
また樹脂の分子量範囲についても特に制限はないが、フェノール樹脂においては200〜3000、フェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂は1000以上10万以下の分子量のものがより好ましい。樹脂と金属アルコキシドの比率は特に制限はないが、質量比で1:10〜10:1の範囲が好ましい。
本発明の有機無機ハイブリッド粒子に用いる前記樹脂は、有機無機のハイブリッド化によって強度の大きい粒子が得られるが、あらかじめ架橋性モノマーと開始剤又は触媒を有機無機ハイブリッド粒子に取り込み、粒子化後に架橋するか、好ましくは、有機無機ハイブリッド粒子化時に多価金属イオンを取り込んで、アニオン性基を有する樹脂のアニオン性基の一部を架橋させたいわゆるアイオノマー樹脂化をさせることによって、より強靱な有機無機ハイブリッド粒子とする事が出来る。
また樹脂の分子量範囲についても特に制限はないが、フェノール樹脂においては200〜3000、フェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂は1000以上10万以下の分子量のものがより好ましい。樹脂と金属アルコキシドの比率は特に制限はないが、質量比で1:10〜10:1の範囲が好ましい。
金属アルコキシドの金属としては2価以上の多価金属で、ケイ素、チタニウム、ジルコニウム、セリウム、カルシウム、バリウム、マンガン、亜鉛、ニッケル、スズ、銅、鉄、コバルト、ホウ素、アルミニウム、タングステン、ビスマス、モリブデン、ニオブ、イットリウム、ストロンチウム、ガリウム、ゲルマニウムなどがあるがこれらに限定されるものではなく、少なくとも1種類以上含むことができる。
前記の金属と組み合わせるアルコキシドとしては、金属に対して少なくとも一つ以上のアルコキシ基(OR)が結合し、アルコキシ基(OR)のRはアルキル基・アルキレン基・アリル基・ビニル基・ビニルベンジル基、(メタ)アクリレート基等任意に選択すればよいが、炭素数1〜4のアルキル基が一般的で利用しやすい。また金属には、直接他の官能基が結合してもよく、一例として水酸基、アルキル基、アルキレン基・アリル基・ビニル基・ビニルベンジル基、(メタ)アクリレート基、カルボキシル基、アセチルアセトン基・アセト酢酸エステル基等の配位子等がある。具体的な化合物例としては以下があるがこれらに限られたものではない。
前記の金属と組み合わせるアルコキシドとしては、金属に対して少なくとも一つ以上のアルコキシ基(OR)が結合し、アルコキシ基(OR)のRはアルキル基・アルキレン基・アリル基・ビニル基・ビニルベンジル基、(メタ)アクリレート基等任意に選択すればよいが、炭素数1〜4のアルキル基が一般的で利用しやすい。また金属には、直接他の官能基が結合してもよく、一例として水酸基、アルキル基、アルキレン基・アリル基・ビニル基・ビニルベンジル基、(メタ)アクリレート基、カルボキシル基、アセチルアセトン基・アセト酢酸エステル基等の配位子等がある。具体的な化合物例としては以下があるがこれらに限られたものではない。
前記金属アルコキシドは、単独または複数で、あるいはモノマーまたは縮合物として使用することが出来る。
本発明のフェノール樹脂とフェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂と金属アルコキシドを含有する複合粒子を溶液中で作製するには、前記樹脂中のアニオン性基の少なくとも一部が一価の塩基と対イオンを形成することにより粒子表面が親水性となることが好ましい。ここでいう一価の塩基としては、例えばリチウム・カリウム・ナトリウム等のアルカリ金属、アンモニア、有機アミン・アルコールアミン・モルホリン・ピリジン等の有機塩基等があるが、一般に塩基も金属アルコキシドに対して加水分解触媒として作用するので、金属アルコキシドの加水分解を抑制する効果を有するモノエタノールアミン・ジエタノールアミン・トリエタノールアミン等のアルコールアミンを用いる方が乳化時に金属オキシドの加水分解が抑制され、樹脂と金属オキシドがより均一に混じるようになるため好ましい。本発明の有機無機ハイブリッド粒子を特に半導体等に使用する場合にはアルカリ金属イオン成分はなるべく少なくし、アルコールアミン等を用いた方が、金属イオンの残留による半導体特性への悪影響を排除できるので好ましい。
本発明のフェノール樹脂とフェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂と金属アルコキシドを含有する複合粒子を溶液中で作製するには、前記樹脂中のアニオン性基の少なくとも一部が一価の塩基と対イオンを形成することにより粒子表面が親水性となることが好ましい。ここでいう一価の塩基としては、例えばリチウム・カリウム・ナトリウム等のアルカリ金属、アンモニア、有機アミン・アルコールアミン・モルホリン・ピリジン等の有機塩基等があるが、一般に塩基も金属アルコキシドに対して加水分解触媒として作用するので、金属アルコキシドの加水分解を抑制する効果を有するモノエタノールアミン・ジエタノールアミン・トリエタノールアミン等のアルコールアミンを用いる方が乳化時に金属オキシドの加水分解が抑制され、樹脂と金属オキシドがより均一に混じるようになるため好ましい。本発明の有機無機ハイブリッド粒子を特に半導体等に使用する場合にはアルカリ金属イオン成分はなるべく少なくし、アルコールアミン等を用いた方が、金属イオンの残留による半導体特性への悪影響を排除できるので好ましい。
一価の塩基の使用量は、樹脂のアニオン性基の10%以上好ましくは50モル%以上に相当する量を用いるのがよく、使用目的によって必要であれば100モル%以上に相当する量の塩基を添加しておいても、遊離塩基量が増加し微粒径で安定した有機無機ハイブリッド粒子の水分散体が得られる。
一方、一価塩基の加える量を少なくすると、有機無機ハイブリッド粒子の粒子径をより大きくすることができる。このように一価塩基量の調節により粒子径が均一で、任意の粒子径の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体が得られる。
本発明においては、別途用意された無機または有機粒子をコアにして表面を本発明のハイブリッド体で被覆して粒子化をより容易に行わせたり、コストを下げたりすることもできる。
一方、一価塩基の加える量を少なくすると、有機無機ハイブリッド粒子の粒子径をより大きくすることができる。このように一価塩基量の調節により粒子径が均一で、任意の粒子径の有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体が得られる。
本発明においては、別途用意された無機または有機粒子をコアにして表面を本発明のハイブリッド体で被覆して粒子化をより容易に行わせたり、コストを下げたりすることもできる。
本発明の有機無機ハイブリッド粒子を製造する方法としては、具体的には以下の方法があるがこれらに限られたものではない。有機無機ハイブリッド粒子は有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体を作製してのち、液体成分を除去して製造することが好ましい。
先ず、フェノール樹脂とフェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂と金属アルコキシドを含有する複合粒子を形成するために、フェノール樹脂とフェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂と、金属アルコキシドと塩基を含有する水混和性有機溶剤溶液に水を加えて乳化させる。具体的には、フェノール樹脂とフェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂を水混和性有機溶剤溶液に溶解し、この時点で必要に応じて無機又は有機の不溶性の粒子を混練によって分散し、その後塩基を添加して速やかに金属アルコキシドを加えるか、金属アルコキシド・塩基の水混和性有機溶剤溶液を加えて攪拌する。その後、水を少しずつ加えて樹脂を乳化させて樹脂と金属アルコキシドの複合粒子化を行う。金属アルコキシドはそのままでもアニオン性基を有する樹脂中で加水分解や重縮合反応してゲル化が進行して有機無機ハイブリッド粒子となるが、有機溶剤を留去することによって一層ゲル化が進行して強固な有機無機ハイブリッド粒子となる。この時、更にオートクレーブ等で高温環境に置くことで、金属酸化物を含有する、より強固な有機無機ハイブリッド粒子となる。
先ず、フェノール樹脂とフェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂と金属アルコキシドを含有する複合粒子を形成するために、フェノール樹脂とフェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂と、金属アルコキシドと塩基を含有する水混和性有機溶剤溶液に水を加えて乳化させる。具体的には、フェノール樹脂とフェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂を水混和性有機溶剤溶液に溶解し、この時点で必要に応じて無機又は有機の不溶性の粒子を混練によって分散し、その後塩基を添加して速やかに金属アルコキシドを加えるか、金属アルコキシド・塩基の水混和性有機溶剤溶液を加えて攪拌する。その後、水を少しずつ加えて樹脂を乳化させて樹脂と金属アルコキシドの複合粒子化を行う。金属アルコキシドはそのままでもアニオン性基を有する樹脂中で加水分解や重縮合反応してゲル化が進行して有機無機ハイブリッド粒子となるが、有機溶剤を留去することによって一層ゲル化が進行して強固な有機無機ハイブリッド粒子となる。この時、更にオートクレーブ等で高温環境に置くことで、金属酸化物を含有する、より強固な有機無機ハイブリッド粒子となる。
前記製造方法の際に用いられるフェノール樹脂とフェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂を溶解するための水混和性有機溶剤としては、例えばアセトン、ジメチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤、酢酸エチルエステル等のエステル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、アミド類等、樹脂を溶解して、単独あるいは他の有機溶剤との組合せで水混和性があるものであれば使用可能である。樹脂成分がアクリル系樹脂の場合にはケトン系溶剤とアルコール系から、それぞれ少なくとも1種類以上を選んで組み合わせて用いることにより良好な水性分散体を得ることができる。このように、乳化時に金属アルコキシドの加水分解を抑制し、樹脂と金属アルコキシドが均一に混じるようにするためにアルコールの併用は特に好ましい。
かかる有機溶剤の使用量は、本発明における効果を達成すれば特に規定されないが、樹脂/該有機溶剤の重量比が1/1〜1/20となるような量が好ましい。
前記したアルコールアミン(塩基)やアルコール(有機溶剤)以外の加水分解抑制剤として、例えば、アセチルアセトン・アセト酢酸エステル・ジアセト酢酸アルキルエステルの如きキレート化剤、アセトイン、ジエチレングリコール・ポリエチレングリコール等のポリオールが好適である。
前記したアルコールアミン(塩基)やアルコール(有機溶剤)以外の加水分解抑制剤として、例えば、アセチルアセトン・アセト酢酸エステル・ジアセト酢酸アルキルエステルの如きキレート化剤、アセトイン、ジエチレングリコール・ポリエチレングリコール等のポリオールが好適である。
前記製造方法で得られた有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体は、そのまま分散体として利用することもできるが、水や有機溶剤等の液体成分を完全に除いて粉体として用いても良い。また粉体を更に数百度以上の温度で焼成したり、有機成分を湿式酸化したり、有機溶剤で可溶成分を除去することによって非常に多孔質で表面活性の大きい無機粒子が得られる。特に金属アルコキシドとは異なる元素の多価金属イオンで、粒子がイオン架橋された有機無機ハイブリッド粒子の焼成を行うことにより、異種金属が均一にドープされた多孔質の無機粒子を容易に得ることが可能になる。
前記製造方法で得られた有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体は、そのまま分散体として研磨剤に利用したり、水や有機溶剤を完全に除いて粉体とした後に研磨剤を調整しても良い。
前記した製造方法に準じて得た有機無機ハイブリッド粒子からなる研磨用粒子を含む水性分散体は、これをそのまま水性の研磨剤スラリーとして用いる場合は出来るだけ乳化後に水より低い沸点を有する有機溶剤を除去する工程を導入して調製しておくことが望ましく、これによって研磨用粒子の溶解・膨潤がなくなり、優れた研磨能力と安定した水性分散体が得られる。
前記した製造方法に準じて得た有機無機ハイブリッド粒子からなる研磨用粒子を含む水性分散体は、これをそのまま水性の研磨剤スラリーとして用いる場合は出来るだけ乳化後に水より低い沸点を有する有機溶剤を除去する工程を導入して調製しておくことが望ましく、これによって研磨用粒子の溶解・膨潤がなくなり、優れた研磨能力と安定した水性分散体が得られる。
上記の有機無機ハイブリッド粒子を研磨用粒子として含有する水性分散体から、本発明の研磨剤を作製するには、分散体以外に補助的に金属酸化物のような親水性表面を有する無機の砥粒、酸化剤やキレート化合物の如き溶解剤、無機塩等の研磨促進剤、pH調整剤、エチレングリコール・ジエチレングリコール・グリセリンのようなポリオールからなる乾燥防止剤、防菌・防かび剤、表面張力調整剤等の既知の添加助剤を加えることが出来る。
なお、本発明の研磨剤において使用した研磨用粒子は、研磨スラリーのみならず、研磨板や研磨シート等の砥粒としても優れた研磨能力と研磨傷の少ない研磨を可能にする。
本発明により得られる有機無機ハイブリッド粒子および有機無機ハイブリッド粒子から有機成分を除去して得られる無機粒子は、例えばスペーサー、液体クロマトグラフィー充填剤、化粧品、樹脂組成物、塗料、磁性材料、臨床診断薬等の幅広い分野で好適に使用され得る。
なお、本発明の研磨剤において使用した研磨用粒子は、研磨スラリーのみならず、研磨板や研磨シート等の砥粒としても優れた研磨能力と研磨傷の少ない研磨を可能にする。
本発明により得られる有機無機ハイブリッド粒子および有機無機ハイブリッド粒子から有機成分を除去して得られる無機粒子は、例えばスペーサー、液体クロマトグラフィー充填剤、化粧品、樹脂組成物、塗料、磁性材料、臨床診断薬等の幅広い分野で好適に使用され得る。
次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、以下の実施例中における「部」は『質量部』を表わす。
(実施例1)
ノボラック型フェノール樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製TD−672、ヘキサメチレンテトラミン14%含有)4部、スチレンアクリル酸樹脂(スチレン/アクリル酸/メタアクリル酸=77/13/10;酸価150;分子量5万)6部をメチルエチルケトン10部とイソプロピルアルコール6部に溶解する。得られた樹脂溶液にポリメトキシシロキサン15部を加え、室温で一昼夜攪拌した後、10%トリエタノールアミン水溶液30部の混合溶液を加え、撹拌しながら純水160部を毎分5mlの速度で滴下し、分散液を得た。その後ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンとイソプロピルアルコールと水の一部を留去して固形分10%の水分散体を得た。その後、オートクレーブ中で80℃24時間加熱攪拌して有機無機ハイブリッド粒子を研磨用粒子として含有した水性分散体とした。
ノボラック型フェノール樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製TD−672、ヘキサメチレンテトラミン14%含有)4部、スチレンアクリル酸樹脂(スチレン/アクリル酸/メタアクリル酸=77/13/10;酸価150;分子量5万)6部をメチルエチルケトン10部とイソプロピルアルコール6部に溶解する。得られた樹脂溶液にポリメトキシシロキサン15部を加え、室温で一昼夜攪拌した後、10%トリエタノールアミン水溶液30部の混合溶液を加え、撹拌しながら純水160部を毎分5mlの速度で滴下し、分散液を得た。その後ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンとイソプロピルアルコールと水の一部を留去して固形分10%の水分散体を得た。その後、オートクレーブ中で80℃24時間加熱攪拌して有機無機ハイブリッド粒子を研磨用粒子として含有した水性分散体とした。
得られた研磨用粒子の水性分散体50部に研磨促進剤として硝酸アルミニウム5部、水45部を加え攪拌した後、遠心分離を行い粗大粒子を除去して研磨剤を得た。得られた研磨剤粒子は125nmの平均粒子径を有しており、室温で6ヶ月間放置しても凝集物の発生も少なく分散が安定であった。
これを市販の研磨装置と研磨パッドを用いて、ニッケル−リン無電解メッキを施した3.5インチのアルミニウム合金磁気ディスク基板を、基板回転数50rpm、研磨パッド加重70g/cm2、定盤回転数回転数50rpm、研磨剤供給量15ml/分、研磨時間10分の条件で基板の研磨を行った。
研磨速度は150nm/分で、研磨したディスクを乾燥後、暗室内でスポットライトを当て、目視で研磨傷の有無を観察した結果、研磨傷は全く認められなかった。
これを市販の研磨装置と研磨パッドを用いて、ニッケル−リン無電解メッキを施した3.5インチのアルミニウム合金磁気ディスク基板を、基板回転数50rpm、研磨パッド加重70g/cm2、定盤回転数回転数50rpm、研磨剤供給量15ml/分、研磨時間10分の条件で基板の研磨を行った。
研磨速度は150nm/分で、研磨したディスクを乾燥後、暗室内でスポットライトを当て、目視で研磨傷の有無を観察した結果、研磨傷は全く認められなかった。
(比較例1)
実施例1のポリメトキシシランを除いて、同様にして樹脂乳化物からなる研磨剤を得た。得られた研磨剤中の樹脂粒子の平均粒子径は120nmであった。得られた研磨剤を室温で6ヶ月間放置後も凝集物の発生は認められなかった。
これを実施例1と同様にして研磨実験を行ったところ、ほとんど研磨効果を示さなかった。
実施例1のポリメトキシシランを除いて、同様にして樹脂乳化物からなる研磨剤を得た。得られた研磨剤中の樹脂粒子の平均粒子径は120nmであった。得られた研磨剤を室温で6ヶ月間放置後も凝集物の発生は認められなかった。
これを実施例1と同様にして研磨実験を行ったところ、ほとんど研磨効果を示さなかった。
(実施例2)
実施例1でノボラック型フェノール樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製TD−672、ヘキサメチレンテトラミン14%含有)6部、スチレンアクリル酸樹脂(スチレン/アクリル酸/メタアクリル酸=77/13/10;酸価150;分子量5万)4部とし、実施例1と同様にして分散液を得た。その後ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンとイソプロピルアルコールと水の一部を留去して固形分10%の水分散体を得た。その後、オートクレーブ中で80℃24時間加熱攪拌して有機無機ハイブリッド粒子を研磨用粒子として含有した水性分散体とした。
得られた研磨用粒子の水性分散体50部に研磨促進剤として硝酸アルミニウム5部、水45部を加え攪拌した後、遠心分離を行い粗大粒子を除去して研磨剤を得た。得られた研磨剤粒子は288nmの平均粒子径を有しており、室温で6ヶ月間放置しても凝集物の発生も少なく分散が安定であった。
これを市販の研磨装置と研磨パッドを用いて、ニッケル−リン無電解メッキを施した3.5インチのアルミニウム合金磁気ディスク基板を、基板回転数50rpm、研磨パッド加重70g/cm2、定盤回転数回転数50rpm、研磨剤供給量15ml/分、研磨時間10分の条件で基板の研磨を行った。
研磨速度は180nm/分で、研磨したディスクを乾燥後、暗室内でスポットライトを当て、目視で研磨傷の有無を観察した結果、研磨傷は全く認められなかった。
実施例1でノボラック型フェノール樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製TD−672、ヘキサメチレンテトラミン14%含有)6部、スチレンアクリル酸樹脂(スチレン/アクリル酸/メタアクリル酸=77/13/10;酸価150;分子量5万)4部とし、実施例1と同様にして分散液を得た。その後ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンとイソプロピルアルコールと水の一部を留去して固形分10%の水分散体を得た。その後、オートクレーブ中で80℃24時間加熱攪拌して有機無機ハイブリッド粒子を研磨用粒子として含有した水性分散体とした。
得られた研磨用粒子の水性分散体50部に研磨促進剤として硝酸アルミニウム5部、水45部を加え攪拌した後、遠心分離を行い粗大粒子を除去して研磨剤を得た。得られた研磨剤粒子は288nmの平均粒子径を有しており、室温で6ヶ月間放置しても凝集物の発生も少なく分散が安定であった。
これを市販の研磨装置と研磨パッドを用いて、ニッケル−リン無電解メッキを施した3.5インチのアルミニウム合金磁気ディスク基板を、基板回転数50rpm、研磨パッド加重70g/cm2、定盤回転数回転数50rpm、研磨剤供給量15ml/分、研磨時間10分の条件で基板の研磨を行った。
研磨速度は180nm/分で、研磨したディスクを乾燥後、暗室内でスポットライトを当て、目視で研磨傷の有無を観察した結果、研磨傷は全く認められなかった。
(比較例2)
実施例2のポリメトキシシランを除いて、同様にして樹脂乳化物からなる研磨剤を得た。得られた研磨剤中の樹脂粒子の平均粒子径は260nmであった。得られた研磨剤を室温で6ヶ月間放置後も凝集物の発生は認められなかった。
これを実施例2と同様にして研磨実験を行ったところ、ほとんど研磨効果を示さなかった。
実施例2のポリメトキシシランを除いて、同様にして樹脂乳化物からなる研磨剤を得た。得られた研磨剤中の樹脂粒子の平均粒子径は260nmであった。得られた研磨剤を室温で6ヶ月間放置後も凝集物の発生は認められなかった。
これを実施例2と同様にして研磨実験を行ったところ、ほとんど研磨効果を示さなかった。
(実施例3)
実施例1でノボラック型フェノール樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製TD−672、ヘキサメチレンテトラミン14%含有)8部、スチレンアクリル酸樹脂(スチレン/アクリル酸/メタアクリル酸=77/13/10;酸価150;分子量5万)2部とし、実施例1と同様にして分散液を得た。その後ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンとイソプロピルアルコールと水の一部を留去して固形分10%の水分散体を得た。その後、オートクレーブ中で80℃24時間加熱攪拌して有機無機ハイブリッド粒子を研磨用粒子として含有した水性分散体とした。
得られた研磨用粒子の水性分散体50部に研磨促進剤として硝酸アルミニウム5部、水45部を加え攪拌した後、遠心分離を行い粗大粒子を除去して研磨剤を得た。得られた研磨剤粒子は750nmの平均粒子径を有しており、室温で6ヶ月間放置しても凝集物の発生も少なく粒子の沈降はしているものの再分散は良好であった。
これを市販の研磨装置と研磨パッドを用いて、ニッケル−リン無電解メッキを施した3.5インチのアルミニウム合金磁気ディスク基板を、基板回転数50rpm、研磨パッド加重70g/cm2、定盤回転数回転数50rpm、研磨剤供給量15ml/分、研磨時間10分の条件で基板の研磨を行った。
研磨速度は200nm/分で、研磨したディスクを乾燥後、暗室内でスポットライトを当て、目視で研磨傷の有無を観察した結果、研磨傷は全く認められなかった。
実施例1でノボラック型フェノール樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製TD−672、ヘキサメチレンテトラミン14%含有)8部、スチレンアクリル酸樹脂(スチレン/アクリル酸/メタアクリル酸=77/13/10;酸価150;分子量5万)2部とし、実施例1と同様にして分散液を得た。その後ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンとイソプロピルアルコールと水の一部を留去して固形分10%の水分散体を得た。その後、オートクレーブ中で80℃24時間加熱攪拌して有機無機ハイブリッド粒子を研磨用粒子として含有した水性分散体とした。
得られた研磨用粒子の水性分散体50部に研磨促進剤として硝酸アルミニウム5部、水45部を加え攪拌した後、遠心分離を行い粗大粒子を除去して研磨剤を得た。得られた研磨剤粒子は750nmの平均粒子径を有しており、室温で6ヶ月間放置しても凝集物の発生も少なく粒子の沈降はしているものの再分散は良好であった。
これを市販の研磨装置と研磨パッドを用いて、ニッケル−リン無電解メッキを施した3.5インチのアルミニウム合金磁気ディスク基板を、基板回転数50rpm、研磨パッド加重70g/cm2、定盤回転数回転数50rpm、研磨剤供給量15ml/分、研磨時間10分の条件で基板の研磨を行った。
研磨速度は200nm/分で、研磨したディスクを乾燥後、暗室内でスポットライトを当て、目視で研磨傷の有無を観察した結果、研磨傷は全く認められなかった。
(比較例3)
実施例3のポリメトキシシランを除いて、同様にして樹脂乳化物からなる研磨剤を得た。得られた研磨剤中の樹脂粒子の平均粒子径は500nmであった。得られた研磨剤を室温で6ヶ月間放置後凝集物の発生が若干認められた。
これを実施例2と同様にして研磨実験を行ったところ、ほとんど研磨効果を示さなかった。
以上のように、フェノール樹脂とフェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂と金属アルコキシドの反応ゲルを含有した有機無機ハイブリッド粒子を含有する本発明の研磨剤は、研磨用粒子の分散性に優れ、研磨性も良好であり、さらに被研磨面に研磨傷を発生させないことがわかる。
以上実施例に示したように、粒径の均一性に優れ分散性の良好な有機無機ハイブリッド粒子からなる研磨剤スラリーを作製することができた。
実施例3のポリメトキシシランを除いて、同様にして樹脂乳化物からなる研磨剤を得た。得られた研磨剤中の樹脂粒子の平均粒子径は500nmであった。得られた研磨剤を室温で6ヶ月間放置後凝集物の発生が若干認められた。
これを実施例2と同様にして研磨実験を行ったところ、ほとんど研磨効果を示さなかった。
以上のように、フェノール樹脂とフェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂と金属アルコキシドの反応ゲルを含有した有機無機ハイブリッド粒子を含有する本発明の研磨剤は、研磨用粒子の分散性に優れ、研磨性も良好であり、さらに被研磨面に研磨傷を発生させないことがわかる。
以上実施例に示したように、粒径の均一性に優れ分散性の良好な有機無機ハイブリッド粒子からなる研磨剤スラリーを作製することができた。
本発明のフェノール樹脂とフェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂と金属アルコキシドの反応ゲルを含有した有機無機ハイブリッド粒子は、その機械強度を利用する研磨剤・耐摩耗コーティング材あるいは成型物・接着剤、その光学的な性質を利用する各種光学フィルム・光通信材料、その電気特性や耐熱性を利用する半導体封止材等の電子材料やその他複合材料等、粒子単独あるいは塗料として様々な産業上の利用が可能である。
Claims (11)
- フェノール樹脂と、フェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂と、金属アルコキシドの反応ゲルを含有する有機無機ハイブリッド粒子。
- 前記フェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂中の該アニオン性基の少なくとも一部が、塩基と対イオンを形成している請求項1に記載の有機無機ハイブリッド粒子。
- 前記フェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂の酸価が、10から200である請求項1または2に記載の有機無機ハイブリッド粒子。
- 前記フェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂の該アニオン性基が、カルボキシル基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機無機ハイブリッド粒子。
- 前記フェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂が、スチレン、置換スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも一つのモノマーと、(メタ)アクリル酸との共重合体である請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機無機ハイブリッド粒子。
- 前記フェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂の該アニオン性基の一部が、多価金属イオンで架橋されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機無機ハイブリッド粒子。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機無機ハイブリッド粒子から有機成分の除去によって得られることを特徴とする無機粒子。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機無機ハイブリッド粒子を含有することを特徴とする研磨剤。
- フェノール樹脂とフェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂と金属アルコキシドと塩基を含有する水混和性有機溶剤溶液に、水を加えて乳化させて、前記フェノール樹脂と、前記フェノール性水酸基以外のアニオン性基を有する樹脂と、前記金属アルコキシドを含有する複合粒子の分散体を作製することを特徴とする有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体の製造方法。
- 請求項9に記載の製造方法によって製造された有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体から、液体成分を除去する工程を有する有機無機ハイブリッド粒子の製造方法。
- 前記有機無機ハイブリッド粒子の水性分散体から有機成分を留去する工程と、前記有機無機ハイブリッド粒子を高温環境下に置く工程を有する請求項10に記載の有機無機ハイブリッド粒子の製造方法。
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JP2008297517A (ja) * | 2007-06-04 | 2008-12-11 | Dic Corp | 有機−無機ハイブリッド樹脂水性分散体、硬化性樹脂組成物、塗料および塗装物 |
JP2009052011A (ja) * | 2007-07-27 | 2009-03-12 | Dic Corp | 有機−無機ハイブリッド樹脂水性分散体、硬化性樹脂組成物、塗料および塗装物 |
-
2004
- 2004-05-31 JP JP2004161227A patent/JP2005336437A/ja active Pending
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