JP7028280B2 - アルミニウムキレート系潜在性硬化剤の製造方法及び熱硬化型エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

アルミニウムキレート系潜在性硬化剤の製造方法及び熱硬化型エポキシ樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、熱硬化型エポキシ樹脂、熱硬化型尿素樹脂、熱硬化型メラミン樹脂、熱硬化型フェノール樹脂等を硬化させるためのアルミニウムキレート系潜在性硬化剤の製造方法に関する。
エポキシ樹脂に対する低温速硬化活性を示す硬化剤として、多官能イソシアネート化合物由来の多孔性樹脂粒子にアルミニウムキレート剤を保持させた粒子状のアルミニウムキレート系潜在性硬化剤が実用化されている。このようなアルミニウムキレート系潜在性硬化剤は、多官能イソシアネート化合物と、エポキシ樹脂を硬化させることのできる性質(エポキシ硬化能)を有するアルミニウムキレート剤とを水難溶性有機溶剤に溶解もしくは分散させた油相を、分散剤を含有する水相に投入して界面重合させることにより製造されている。
最近では、アルミニウムキレート系潜在性硬化剤を含有する熱硬化型エポキシ樹脂組成物の硬化速度を向上させるために、いったん取得したアルミニウムキレート系潜在性硬化剤を、アルミニウムキレート剤を有機溶剤に溶解したアルミニウムキレート剤溶液に浸漬し、その溶液をアルミニウムキレート系潜在性硬化剤を構成する多孔性樹脂の中に含浸させ、それによりアルミニウムキレート系潜在性硬化剤にアルミニウムキレート剤を追加的に充填することが提案されている(特許文献1)。
特開2008-156570号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているように、エポキシ硬化能を有するアルミニウムキレート剤を追加的に充填したアルミニウムキレート系潜在性硬化剤の場合、硬化剤中のアルミニウムキレート剤の含有割合が増加するものの、アルミニウムキレート剤溶液中のアルミニウムキレート剤の濃度以上には、アルミニウム系潜在性硬化剤中のアルミニウムキレート剤の含有割合を増加させることができず、熱硬化型エポキシ樹脂組成物の硬化速度を更に向上させたいという産業界の要請に十分に応えられないという問題がある。
しかも、アルミニウムキレート剤が追加的に充填されたアルミニウムキレート系潜在性硬化剤の場合、表面に存在するアルミニウムキレート剤をシクロヘキサン等の有機溶剤で洗浄除去したとしても、表面近傍には、活性なアルミニウムキレート剤が比較的高濃度で存在していることになる。このため、そのようなアルミニウムキレート系潜在性硬化剤を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等の有機溶剤と共にエポキシ樹脂とシラン系化合物とに配合して一液型の熱硬化型エポキシ樹脂組成物を構成した場合には、有機溶剤にアルミニウムキレート剤が溶出して硬化反応が進行し、室温下での保存安定性が十分とは言えないという問題があった。
本発明の目的は、以上の従来技術の課題を解決しようとするものであり、多官能イソシアネート化合物を界面重合させて得た多孔性樹脂粒子にアルミニウムキレート剤を保持させたアルミニウムキレート系潜在性硬化剤を、アルミニウムキレート剤溶液に浸漬することによりアルミニウムキレート剤をアルミニウムキレート系潜在性硬化剤に追加的に充填する際に調製したアルミニウムキレート剤溶液のアルミニウムキレート剤濃度以上にアルミニウムキレート剤の含有割合を高めたアルミニウムキレート系潜在性硬化剤を製造できるようにすることである。それと同時に、そのようにアルミニウムキレート剤が追加的に充填されたアルミニウムキレート系潜在性硬化剤をPGMEA等の有機溶剤と共にエポキシ樹脂とシラン系化合物とに配合して調製した一液型の熱硬化型エポキシ樹脂組成物が、室温下で良好な保存安定性を示すことを可能とするアルミニウムキレート系潜在性硬化剤を製造できるようにすることである。
本発明者は、アルミニウムキレート系潜在性硬化剤をアルミニウムキレート剤溶液に浸漬することにより、当該アルミニウムキレート系潜在性硬化剤にアルミニウムキレート剤を追加的に充填する際に、その浸漬をアルミニウムキレート剤溶液の溶剤を除去しながら行うと、アルミニウムキレート剤溶液のアルミニウムキレート剤濃度が高まるので、結果的にアルミニウムキレート剤をアルミニウムキレート系潜在性硬化剤により高充填できることを見出した。また、本発明者は、そのようにアルミニウムキレート剤が高充填された粒子状硬化剤の表面にアルミナ被膜を形成することにより表面活性抑制処理を行い、それにより表面に存在するアルミニウムキレート剤をほぼ完全に失活させ潜在化させることができ、しかもそのように表面活性抑制処理したアルミニウムキレート系潜在性硬化剤を、PGMEA等の有機溶剤と共にエポキシ樹脂とシラン系化合物とに配合して得た一液型の熱硬化型エポキシ樹脂組成物が、低温速硬化性が損なわれることなく、室温下で良好な保存安定性を示すことを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、アルミニウムキレート剤が、多官能イソシアネート化合物を界面重合させて得た多孔性樹脂に保持されているアルミニウムキレート系潜在性硬化剤の製造方法であって、以下の工程(A)~(C)を有することを特徴とする製造方法である。
(工程A:粒子状硬化剤調製工程)
アルミニウムキレート剤及び多官能イソシアネート化合物を揮発性有機溶剤に溶解または分散させて得た油相を、分散剤を含有する水相に投入しながら加熱撹拌することにより、多官能イソシアネート化合物を界面重合させ、それにより得られる多孔性樹脂にアルミニウムキレート剤を保持させることにより粒子状硬化剤を調製する工程。
(工程B:アルミニウムキレート剤追加充填工程)
工程Aで得られた粒子状硬化剤を、アルミニウムキレート剤を揮発性有機溶剤に溶解させたアルミニウムキレート剤溶液に分散混合し、得られた分散混合物を撹拌しながら揮発性有機溶剤を除去することにより、粒子状硬化剤にアルミニウムキレート剤を追加充填する工程。
(工程C:表面活性抑制処理工程)
アルミニウムキレート剤が追加充填された粒子状硬化剤の表面にアルミナ被膜を形成して当該粒子状硬化剤の表面活性抑制処理を行い、それにより潜在化されたアルミニウムキレート系潜在性硬化剤を取得する工程。
工程Cの表面活性抑制処理としては、粒子状硬化剤を含水アルミナゾル分散液中で撹拌することが好ましい。このような含水アルミナゾル分散液としては、アルミナゾル1~70質量部に含水媒体30~99質量部を混合したものが好ましい。また、アルミナゾルとしては、一般にベーマイトアルミナ繊維の1~50%のコロイド水溶液が相当し、具体的には、平均繊維長1~10000nm、アスペクト比(平均繊維長/平均繊維幅)30~5000のアルミナ繊維が含水媒体に分散したものが好ましい。ここで、アルミナゾル中のアルミナ繊維含有量は、好ましくは1~30質量%である。また、含水媒体としては、水、水と混和する有機溶剤(メタノール、エタノール、アセトン、THF等)との混合溶剤が挙げられる。混合溶剤中の水の含有量は、好ましくは20~100質量%以上、より好ましくは50~100質量%である。
また、本発明は、上述の製造方法で製造されたアルミニウムキレート系潜在性硬化剤と、エポキシ樹脂と、シラン系化合物とを含有する熱硬化型エポキシ樹脂組成物を提供する。
本発明のアルミニウムキレート系潜在性硬化剤の製造方法においては、エポキシ硬化能を有するアルミニウムキレート剤を、多官能イソシアネート化合物を界面重合させて得た多孔性樹脂に保持させた後、更にその多孔性樹脂に追加的にアルミニウムキレート剤を充填している。このため、得られるアルミニウムキレート系潜在性硬化剤は、エポキシ樹脂を迅速に硬化させることができ、低温領域でシャープな熱応答性を示すことができる。しかも、粒子状硬化剤の表面にアルミナ被膜を形成して当該粒子状硬化剤の表面活性抑制処理を行い、それにより表面に残存していたアルミニウムキレート剤の活性が抑制されている。このため、本発明の製造方法で製造したアルミニウムキレート系潜在性硬化剤は優れた耐溶剤性を示し、それをエポキシ樹脂とシラン系化合物とPGMEA等の有機溶剤と共に配合して得た一液型の熱硬化型エポキシ樹脂組成物に対しても、室温下で良好な保存安定性を実現させることができる。
図1は、対照例、実施例1、2、比較例1、2で調製した粒子状硬化剤もしくはアルミニウムキレート系潜在性硬化剤を使用した熱硬化型エポキシ樹脂組成物のDSCチャートである。 図2は、実施例2のアルミニウムキレート系潜在性硬化剤の電子顕微鏡写真(5000倍)である。 図3は、実施例2のアルミニウムキレート系潜在性硬化剤の電子顕微鏡写真(15000倍)である。
<<アルミニウムキレート系潜在性硬化剤の製造方法>>
アルミニウムキレート剤が、多官能イソシアネート化合物を界面重合させて得た多孔性樹脂に保持されている、本発明のアルミニウムキレート系潜在性硬化剤の製造方法は、以下の工程(A)~(C)を有する。以下、工程毎に詳細に説明する。
<工程A:粒子状硬化剤調製工程>
まず、アルミニウムキレート剤及び多官能イソシアネート化合物を揮発性有機溶剤に溶解または分散させて得た油相を、分散剤を含有する水相に投入しながら加熱(通常、混合物が30~90℃になるように加熱)しながら撹拌することにより、多官能イソシアネート化合物を界面重合させ、それにより得られる多孔性樹脂にアルミニウムキレート剤を保持させことにより粒子状硬化剤を調製する。この粒子状硬化剤は、必要に応じて濾別し洗浄し乾燥した後、公知の解砕装置で一次粒子に解砕することができる。
このような粒子状硬化剤を構成する多官能イソシアネート化合物由来の多孔性樹脂は、界面重合の間にイソシアネート基の一部が加水分解を受けてアミノ基となり、そのアミノ基とイソシアネート基とが反応して尿素結合を生成してポリマー化して得られたものであり、多孔性ポリウレアとみなすことができる。このような多孔性樹脂とその孔に保持されたアルミニウムキレート剤とからなる粒子状硬化剤は、加熱されると、明確な理由は不明であるが、多孔性樹脂に保持されているアルミニウムキレート剤が、多孔性樹脂の外部に存在するシランカップリング剤やシラノール化合物等のシラン系化合物と接触し、エポキシ樹脂のカチオン重合を開始させることができる。
(界面重合における油相の調製)
この製造方法においては、まず、アルミニウムキレート剤及び多官能イソシアネート化合物を揮発性有機溶剤に溶解または分散させ、界面重合における油相を調製する。
アルミニウムキレート剤と多官能イソシアネート化合物の配合割合は、アルミニウムキレート剤の配合量が少なすぎると、硬化させるべきエポキシ樹脂の硬化性が低下し、多すぎるとアルミニウムキレート系潜在性硬化剤の潜在性が低下するので、多孔性樹脂を構成する多官能イソシアネート化合物100質量部に対し、アルミニウムキレート剤を、好ましくは10~500質量部、より好ましくは10~300質量部である。
なお、この油相には、速硬化性を向上させるために、シラン系化合物を配合してもよい。
油相にシラン系化合物を配合する場合、アルミニウムキレート剤100質量部に対し、好ましくは1~300質量部、より好ましくは1~200質量部で配合する。この範囲であれば、良好な速硬化性を実現することができる。
また、この油相には、低温硬化性を向上させるために、ラジカル重合性化合物とラジカル重合開始剤とを配合してもよい。
また、油相にラジカル重合性化合物とラジカル重合開始剤とを配合する場合、多官能イソシアネート化合物100質量部に対し、ラジカル重合性化合物を好ましくは1~70質量部、より好ましくは1~50質量部で配合する。この範囲であれば、良好な低温硬化性を実現することができる。この場合、ラジカル重合開始剤を、円滑なラジカル重合を実現するために、ラジカル重合性化合物100質量部に対し、好ましくは0.1~5質量部、より好ましくは0.1~3質量部で配合する。
アルミニウムキレート剤及び多官能イソシアネート化合物、必要に応じて配合されるシラン系化合物や多官能ラジカル重合性化合物およびラジカル重合開始剤を揮発性有機溶剤に溶解または分散させる際には、大気圧下、室温で混合撹拌するだけでもよいが、必要に応じ、加熱してもよい。
ここで、揮発性有機溶剤を使用する理由は以下の通りである。即ち、通常の界面重合法で使用するような沸点が300℃を超える高沸点溶剤を用いた場合、界面重合の間に有機溶剤が揮発しないために、イソシアネート-水との接触確率が増大せず、それらの間での界面重合の進行度合いが不十分となるからである。そのため、界面重合させても良好な保形性の重合物が得られ難く、また、得られた場合でも重合物に高沸点溶剤が取り込まれたままとなり、熱硬化型樹脂組成物に配合した場合に、高沸点溶剤が熱硬化型樹脂組成物の硬化物の物性に悪影響を与えるからである。このため、この製造方法においては、油相を調製する際に使用する有機溶剤として、揮発性のものを使用することが好ましい。
このような揮発性有機溶剤としては、アルミニウムキレート剤及び多官能イソシアネート化合物、必要に応じて配合されるシラン系化合物や多官能ラジカル重合性化合物およびラジカル重合開始剤のそれぞれの良溶剤(それぞれの溶解度が好ましくは0.1g/ml(有機溶剤)以上)であって、水に対しては実質的に溶解せず(水の溶解度が0.5g/ml(有機溶剤)以下)、大気圧下での沸点が100℃以下のものが好ましい。このような揮発性有機溶剤の具体例としては、アルコール類、酢酸エステル類、ケトン類等が挙げられる。中でも、高極性、低沸点、貧水溶性の点で酢酸エチルが好ましい。
揮発性有機溶剤の使用量は、アルミニウムキレート剤及び多官能イソシアネート化合物、必要に応じて配合されるシラン系化合物や多官能ラジカル重合性化合物およびラジカル重合開始剤の合計量100質量部に対し、少なすぎると粒子サイズ及び硬化特性が多分散化し、多すぎると硬化特性が低下するので、好ましくは10~500質量部である。
なお、揮発性有機溶剤の使用量範囲内において、揮発性有機溶剤の使用量を比較的多く使用すること等により、油相となる溶液の粘度を下げることができるが、粘度を下げると撹拌効率が向上するため、反応系における油相滴をより微細化かつ均一化することが可能になり、結果的に得られる潜在性硬化剤粒子径をサブミクロン~数ミクロン程度の大きさに制御しつつ、粒度分布を単分散とすることが可能となる。油相となる溶液の粘度は1~500mPa・sに設定することが好ましい。
(界面重合における水相の調製)
水相は、分散剤を水に溶解したものである。分散剤としては、界面重合に用いられている公知の分散剤を使用することができる。例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン等、中でもポリビニルアルコール(PVA)を好ましく使用することができる。分散剤の使用量は、通常、水相の0.1~10.0質量%である。また、水として、脱塩処理した水を好ましく使用することができる。
なお、分散剤としてPVAを用いた場合、多官能イソシアネート化合物等を水相に乳化分散する際にPVAの水酸基と多官能イソシアネート化合物が反応してしまうため、副生成物が異物として潜在性硬化剤粒子の周囲に付着してしまったり、粒子形状そのものが異形化してしまったりする。この現象を防ぐためには、多官能イソシアネート化合物と水との反応性を促進すること、あるいは多官能イソシアネート化合物とPVAとの反応性を抑制することが挙げられる。
多官能イソシアネート化合物と水との反応性を促進するためには、アルミニウムキレート剤の配合量を多官能イソシアネート化合物の重量基準で好ましくは1/2以下、より好ましくは1/3以下とする。これにより、多官能イソシアネート化合物と水とが接触する確率が高くなり、PVAが油相滴表面に接触する前に多官能イソシアネート化合物と水とが反応し易くなる。
また、多官能イソシアネート化合物とPVAとの反応性を抑制するためには、油相中のアルミニウムキレート剤の配合量を増大させることが挙げられる。具体的には、アルミニウムキレート剤の配合量を多官能イソシアネート化合物の重量基準で好ましくは等倍以上、より好ましくは1.0~2.0倍とする。これにより、油相滴表面におけるイソシアネート濃度が低下する。さらに多官能イソシアネート化合物は水酸基よりも加水分解により形成されるアミンとの反応(界面重合)速度が大きいため、多官能イソシアネート化合物とPVAとの反応確率を低下させることができる。
(界面重合の実施)
次に、この製造方法においては、油相を水相に投入し、加熱撹拌することにより界面重合を行う。油相に多官能ラジカル重合性化合物およびラジカル重合開始剤が配合されている場合には、同時にラジカル重合も行う。これにより、多官能イソシアネート化合物由来の多孔性樹脂が生成し、それにアルミニウムキレート剤が保持され、粒子状硬化剤が得られる。
この保持の態様としては、アルミニウムキレート剤のコアの周囲を多孔性樹脂のシェルで被覆した単純な構造のマイクロカプセルではなく、多孔性樹脂マトリックス中に存在する微細な多数の孔にアルミニウムキレート剤が取り込まれて保持された構造を有する。
界面重合により得られた粒子状硬化剤の形状は球状であり、その粒子径(アルミニウムキレート系潜在性硬化剤の粒子径とみなすことができる)は硬化性及び分散性の点から、好ましくは0.5~100μmであり、また、孔の大きさは硬化性及び潜在性の点から、好ましくは5~150nmである。
また、粒子状硬化剤は、使用する多孔性樹脂の架橋度が小さすぎるとその潜在性が低下し、大きすぎるとその熱応答性が低下する傾向がある。従って、粒子状硬化剤の使用目的に応じて、その架橋度をイソシアネート官能基数等で調整することが好ましい。ここで、多孔性樹脂の架橋度は、微小圧縮試験により計測することができる。
なお、界面重合の際の油相の水相に対する配合量は、油相が少なすぎると多分散化し、多すぎると微細化により凝集が生ずるので、水相100質量部に対し、好ましくは5~70質量部である。
界面重合における乳化条件としては、油相の大きさが好ましくは0.5~100μmとなるような撹拌条件(撹拌装置ホモジナイザー;撹拌速度6000rpm以上)で、通常、大気圧下、温度30~80℃、撹拌時間2~12時間、加熱撹拌する条件を挙げることができる。
界面重合(必要に応じて行われるラジカル重合)終了後に、重合体微粒子を濾別し、自然乾燥もしくは真空乾燥することにより粒子状硬化剤を得ることができる。
なお、多官能イソシアネート化合物の種類や使用量、アルミニウムキレート剤の種類や使用量、界面重合条件、あるいはシラン系化合物や多官能ラジカル重合性化合物及びラジカル重合開始剤の種類や使用量、ラジカル重合条件を変化させることにより、製造の目的物であるアルミニウムキレート系潜在性硬化剤の硬化特性をコントロールすることができる。例えば、重合温度を低くすると硬化温度を低下させることができ、反対に、重合温度を高くすると硬化温度を上昇させることができる。
(アルミニウムキレート剤)
油相に配合するアルミニウムキレート剤としては、式(1)に表される、3つのβ-ケトエノラート陰イオンがアルミニウムに配位した錯体化合物が挙げられる。
Figure 0007028280000001
ここで、R、R及びRは、それぞれ独立的にアルキル基又はアルコキシル基である。アルキル基としては、メチル基、エチル基等が挙げられる。アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、オレイルオキシ基等が挙げられる。
式(1)で表されるアルミニウムキレート剤の具体例としては、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビスオレイルアセトアセテート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
(多官能イソシアネート化合物)
油相に配合する多官能イソシアネート化合物は、好ましくは一分子中に2個以上のイソシアネート基、好ましくは3個のイソシアネート基を有する化合物である。このような3官能イソシアネート化合物の更に好ましい例としては、トリメチロールプロパン1モルにジイソシアネート化合物3モルを反応させた式(2)のTMPアダクト体、ジイソシアネート化合物3モルを自己縮合させた式(3)のイソシアヌレート体、ジイソシアネート化合物3モルのうちの2モルから得られるジイソシアネートウレアに残りの1モルのジイソシアネートが縮合した式(4)のビュウレット体が挙げられる。
Figure 0007028280000002
上記式(2)~(4)において、置換基Rは、ジイソシアネート化合物のイソシアネート基を除いた部分である。このようなジイソシアネート化合物の具体例としては、トルエン2,4-ジイソシアネート、トルエン2,6-ジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサヒドロ-m-キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンジフェニル-4,4′-ジイソシアネート等が挙げられる。
(シラン系化合物)
油相に配合することができるシラン系化合物は、特開2002-212537号公報の段落0007~0010に記載されているように、アルミニウムキレート系潜在性硬化剤に保持されているアルミニウムキレート剤と共働して熱硬化性樹脂(例えば、熱硬化型エポキシ樹脂)のカチオン重合を開始させる機能を有する。従って、このような、シラン系化合物を併用することにより、エポキシ樹脂の硬化を促進するという効果が得られる。このようなシラン系化合物としては、高立体障害性のシラノール化合物や、分子中に1~3の低級アルコキシ基を有するシランカップリング剤等を挙げることができる。なお、シランカップリング剤の分子中に熱硬化性樹脂の官能基に対して反応性を有する基、例えば、ビニル基、スチリル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基等を有していてもよいが、アミノ基やメルカプト基を有するカップリング剤は、本発明の潜在性硬化剤がカチオン型硬化剤であるため、アミノ基やメルカプト基が発生カチオン種を実質的に捕捉しない場合に使用することができる。
油相にシラン系化合物として高立体障害性のシラノール化合物を含有させる場合、高立体障害性のシラノール化合物の配合量が少なすぎると硬化速度が遅くなり、多すぎると潜在性が低下するので、アルミニウムキレート剤100質量部に対し、シラノール化合物を好ましくは10~300量部、より好ましくは10~150質量部である。
油相に配合できる高立体障害性のシラノール化合物は、トリアルコキシ基を有している従来のシランカップリング剤とは異なり、以下の式(A)の化学構造を有するアリールシランオールである。
Figure 0007028280000003
式中、mは2又は3、好ましくは3であり、但しmとnとの和は4である。従って、式(A)のシラノール化合物は、モノまたはジオール体となる。“Ar”は、置換されてもよいアリール基であるが、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基(例えば、1または2-ナフチル基)、アントラセニル基(例えば、1、2または9-アントラセニル基、ベンズ[a]-9-アントラセニル基)、フェナリル基(例えば、3または9-フェナリル基)、ピレニル基(例えば、1-ピレニル基)、アズレニル基、フルオレニル基、ビフェニル基(例えば、2,3または4-ビフェニル基)、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピリジル基等を挙げることができる。中でも、入手容易性、入手コストの観点からフェニル基が好ましい。m個のArは、いずれも同一でもよく異なっていてもよいが、入手容易性の点から同一であることが好ましい。
これらのアリール基は、1~3個の置換基を有することができ、例えば、クロロ、ブロモ等のハロゲン;トリフルオロメチル;ニトロ;スルホ;カルボキシル;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等のアルコキシカルボニル;ホルミル等の電子吸引基;メチル、エチル、プロピルなどのアルキル;メトキシ、エトキシ等のアルコキシ;ヒドロキシ;アミノ;モノメチルアミノ等のモノアルキルアミノ;ジメチルアミノ等のジアルキルアミノ等の電子供与基などが挙げられる。なお、置換基として電子吸引基を使用することによりシラノールの水酸基の酸度を上げることができ、逆に、電子供与基を使用することにより酸度を下げることができるので、硬化活性のコントロールが可能となる。ここで、m個のAr毎に、置換基が異なっていてもよいが、m個のArについて入手容易性の点から置換基は同一であることが好ましい。また、一部のArだけに置換基があり、他のArに置換基が無くてもよい。置換基を有するフェニル基の具体例としては、2、3または4-メチルフェニル基;2,6-ジメチル、3,5-ジメチル、2,4-ジメチル、2,3-ジメチル、2,5-ジメチルまたは3,4-ジメチルフェニル基;2,4,6-トリメチルフェニル基;2または4-エチルフェニル基等が挙げられる。
式(A)のシラノール化合物の中でも、好ましいものとして、トリフェニルシラノール又はジフェニルシランジオールが挙げられる。特に好ましいものは、トリフェニルシラノールである。
他方、シラン系化合物として分子中に1~3の低級アルコキシ基を有するシランカップリング剤を使用した場合、油相におけるシランカップリング剤の配合量は、少なすぎると添加効果が望めず、多すぎるとシランカップリング剤から発生するシラノールによる界面重合阻害反応の影響が生じてくるので、アルミニウムキレート剤100質量部に対し好ましくは1~50質量部、より好ましくは1~30質量部である。
油相に配合可能なシランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-スチリルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
(ラジカル重合性化合物)
また、油相に配合することができるラジカル重合性化合物は、多官能イソシアネート化合物の界面重合の際に、同時にラジカル重合し、マイクロカプセル壁となる多孔性樹脂の機械的性質を改善する。これにより、エポキシ樹脂硬化時の熱応答性、特に低温領域でシャープな熱応答性を実現することができる。この理由は明確ではないが、界面重合とラジカル重合とが同時に生じ、多孔性樹脂中に相分離構造が形成され、その結果、イソシアネート化合物の単独重合系よりもポリウレア-ウレタン部位の架橋密度が小さくなるからであると考えられる。
このようなラジカル重合性化合物は、好ましくは分子内に1個以上の炭素-炭素不飽和結合を有するものであり、いわゆる単官能ラジカル重合性化合物、多官能ラジカル重合性化合物を包含するが、本発明においては、ラジカル重合性化合物が、多官能ラジカル重合性化合物を含有することが好ましい。これは、多官能ラジカル重合性化合物を使用することにより、低温領域でシャープな熱応答性を実現することがより容易になるからである。この意味からも、ラジカル重合性化合物は、多官能ラジカル重合性化合物を好ましくは少なくとも30質量%以上、より好ましくは少なくとも50質量%以上含有する。
単官能ラジカル重合性化合物としては、スチレン、メチルスチレン等の単官能ビニル系化合物、ブチルアクリレートなどの単官能(メタ)アクリレート系化合物等が挙げられる。多官能ラジカル重合性化合物としては、ジビニルベンゼン等の多官能ビニル系化合物、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等の多官能(メタ)アクリレート系化合物を例示することができる。中でも、潜在性及び熱応答性の点から、多官能ビニル系化合物、特にジビニルベンゼンを好ましく使用することができる。
なお、多官能ラジカル重合性化合物は、多官能ビニル系化合物と多官能(メタ)アクリレート系化合物とから構成されていてもよい。このように併用することにより、熱応答性を変化させたり、反応性官能基を導入できたりといった効果が得られる。
(ラジカル重合開始剤)
油相に配合することができるラジカル重合開始剤としては、多官能イソシアネート化合物の界面重合条件下で、ラジカル重合を開始させることができるものであり、例えば、過酸化物系開始剤、アゾ系開始剤等を使用することができる。
<工程B:アルミニウムキレート剤追加充填工程>
次に、工程Aで得られた粒子状硬化剤を、アルミニウムキレート剤を揮発性有機溶剤に溶解させたアルミニウムキレート剤溶液に分散混合し、得られた分散混合物を撹拌しながら揮発性有機溶剤を除去することにより、粒子状硬化剤にアルミニウムキレート剤を追加充填する。揮発性溶剤を除去することにより、アルミニウムキレート剤溶液中のアルミニウムキレート剤の濃度が上昇し、結果的に、粒子状硬化剤の多孔性樹脂の孔中に保持されるアルミニウムキレート剤の量が増加する。なお、アルミニウムキレート剤が追加充填された粒子状硬化剤は、必要に応じて濾別し洗浄し乾燥した後、公知の解砕装置で一次粒子に解砕することができる。
工程Bで使用するアルミニウムキレート剤としては、工程Aで使用したものと異なるアルミニウムキレート剤を使用することもできるが、使用量の管理の観点から同じものを使用することが好ましい。また、アルミニウムキレート剤を溶解する揮発性有機溶剤としては、工程Aの油相で使用した揮発性有機溶剤を使用することができる。
アルミニウムキレート剤溶液におけるアルミニウムキレート剤濃度は、好ましくは5~80質量%、より好ましくは20~60質量%である。この範囲であれば、アルミニウムキレート剤溶液を粒子状硬化剤への良好な浸透性を実現することができる。
アルミニウムキレート剤溶液100重量部に対する粒子状硬化剤の配合量は、好ましくは1~70質量部、より好ましくは10~50質量部である。この範囲であれば、粒子状硬化剤の良好な分散安定性を実現することができる。
粒子状硬化剤のアルミニウムキレート剤溶液への分散混合操作並びに分散混合物の撹拌操作の手法は、公知の手法を利用することができる。
分散混合物からの揮発性有機溶剤の除去は、分散混合物中のアルミニウムキレート剤の濃度を高める操作であり、アルミニウムキレート剤を分解しない限り、任意の手法で除去する操作を採用することができる。例えば、分散混合物の温度を、使用している揮発性有機溶剤の沸点以上の温度に加熱したり、分散混合物の撹拌系内を減圧したり、分散混合物の表面をエアブローしたりすること等が上げられる。
揮発性有機溶剤の除去に関し、その除去の程度は、投入した揮発性有機溶剤の好ましくは40~100%が除去される程度である。この範囲であれば、アルミニウムキレート剤を粒子状硬化剤内に高充填することができる。また、除去速度は、好ましくは100~1000mL/時である。この範囲であれば、アルミニウムキレート剤を粒子状硬化剤に高濃度で捕捉することができる。
<工程C:表面活性抑制処理工程>
次に、アルミニウムキレート剤が追加充填された粒子状硬化剤の表面にアルミナ被膜を形成して当該粒子状硬化剤の表面活性抑制処理を行い、それにより潜在化されたアルミニウムキレート系潜在性硬化剤を取得する。表面活性抑制処理の好ましい条件としては、粒子状硬化剤を含水アルミナゾル分散液中で、好ましくは温度10~80℃、1~20時間、50~300rpmで撹拌することが挙げられる。
含水アルミナゾル分散液としては、アルミナゾル1~70質量部に好ましくは含水媒体30~99質量部を混合したものが挙げられる。ここで、含水媒体としては、水、水と混和する有機溶剤(メタノール、エタノール、アセトン、THF等)との混合溶剤が挙げられる。混合溶剤中の水の含有量は、好ましくは20~100質量%、より好ましくは50~100質量%である。
また、アルミナゾルとしては、公知のアルミナゾルを使用することができるが、平均繊維長が好ましくは1~10000nm、より好ましくは100~8000nmで、アスペクト比(平均繊維長/平均繊維幅)が好ましくは30~5000、より好ましくは100~3000のアルミナ繊維が含水媒体に分散したものを好ましく使用することができる。平均繊維長、平均繊維幅は、電子顕微鏡写真から測定した数値の平均値より得ることができる。また、「平均」とは算術平均である。このようなアルミナゾル中のアルミナ繊維含有量は、好ましくは1~50質量%、より好ましくは1~30質量%である。
なお、得られたアルミニウムキレート系潜在性硬化剤は、必要に応じて蒸留水で洗浄しながら遠心分離し、10~100℃で真空乾燥し、更に公知の解砕装置で解砕することができる。
アルミニウムキレート系潜在性硬化剤は、工程A~Cで使用した有機溶剤を実質的に含有していないこと、具体的には、1ppm以下であることが、硬化安定性の点で好ましい。
<<熱硬化型エポキシ樹脂組成物>>
本発明のアルミニウムキレート系潜在性硬化剤は、エポキシ樹脂およびシラン系化合物に添加することにより、低温速硬化性の熱硬化型エポキシ樹脂組成物を提供することができる。このような熱硬化型エポキシ樹脂組成物も本発明の一部である。
なお、本発明の熱硬化型エポキシ樹脂組成物におけるアルミニウムキレート系潜在性硬化剤の含有量は、少なすぎると十分に硬化せず、多すぎるとその組成物の硬化物の樹脂特性(例えば、可撓性)が低下するので、エポキシ樹脂100質量部に対し1~70質量部、好ましくは1~50質量部である。
本発明の熱硬化型エポキシ樹脂組成物を構成するエポキシ樹脂は、成膜成分として使用されているものである。そのようなエポキシ樹脂としては、脂環式エポキシ樹脂のみならず、従来、アルミニウムキレート系潜在性硬化剤とシラノール化合物との混合系においては使用できなかったグリシジルエーテル型エポキシ樹脂も使用することができる。このようなグリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、液状でも固体状でもよく、エポキシ当量が通常100~4000程度であって、分子中に2以上のエポキシ基を有するものが好ましい。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エステル型エポキシ樹脂等を挙げることができる。中でも、樹脂特性の点からビスフェノールA型エポキシ樹脂を好ましく使用できる。また、これらのエポキシ樹脂にはモノマーやオリゴマーも含まれる。
本発明の熱硬化型エポキシ樹脂組成物は、樹脂成分として、このようなグリシジルエーテル型エポキシ樹脂の他に、発熱ピークをシャープにするために、オキセタン化合物を併用することもできる。好ましいオキセタン化合物としては、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、1,4-ビス{[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、4,4´-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、1,4-ベンゼンジカルボン酸ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)]メチルエステル、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル、3-エチル-3-{[3-(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、オキセタニルシルセスキオキサン、フェノールノボラックオキセタン等を挙げることができる。オキセタン化合物を使用する場合、その使用量は、エポキシ樹脂100質量部に対し、好ましくは10~100質量部、より好ましくは20~70質量部である。
本発明の熱硬化型エポキシ樹脂組成物に配合するシラン系化合物は、特開2002-212537号公報の段落0007~0010に記載されているように、アルミニウムキレート系潜在性硬化剤に保持されていたアルミニウムキレート剤と共働して熱硬化性樹脂(例えば、熱硬化型エポキシ樹脂)のカチオン重合を開始させる機能を有する。従って、このような、シラン系化合物を併用することにより、エポキシ樹脂の硬化を促進するという効果が得られる。このようなシラン系化合物としては、高立体障害性のシラノール化合物や、分子中に1~3の低級アルコキシ基を有するシランカップリング剤等を挙げることができる。なお、シランカップリング剤の分子中に熱硬化性樹脂の官能基に対して反応性を有する基、例えば、ビニル基、スチリル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基等を有していてもよいが、アミノ基やメルカプト基を有するカップリング剤は、本発明の潜在性硬化剤がカチオン型硬化剤であるため、アミノ基やメルカプト基が発生カチオン種を実質的に捕捉しない場合に使用することができる。
シラン系化合物として高立体障害性のシラノール化合物を使用した場合、本発明のアルミニウムキレート系潜在性硬化剤における高立体障害性のシラノール化合物の配合量は、少なすぎると硬化不足となり、多すぎると硬化後の樹脂特性が低下するので、熱硬化型エポキシ樹脂100質量部に対し、シラノール化合物を好ましくは1~50質量部、より好ましくは1~30質量部である。
本発明の熱硬化型エポキシ樹脂組成物で使用する高立体障害性のシラノール化合物は、トリアルコキシ基を有している従来シランカップリング剤とは異なり、以下の式(A)の化学構造を有するアリールシランオールである。
Figure 0007028280000004
式中、mは2又は3、好ましくは3であり、但しmとnとの和は4である。従って、式(A)のシラノール化合物は、モノまたはジオール体となる。“Ar”は、置換されてもよいアリール基であるが、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基(例えば、1または2-ナフチル基)、アントラセニル基(例えば、1、2または9-アントラセニル基、ベンズ[a]-9-アントラセニル基)、フェナリル基(例えば、3または9-フェナリル基)、ピレニル基(例えば、1-ピレニル基)、アズレニル基、フルオレニル基、ビフェニル基(例えば、2,3または4-ビフェニル基)、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピリジル基等を挙げることができる。中でも、入手容易性、入手コストの観点からフェニル基が好ましい。m個のArは、いずれも同一でもよく異なっていてもよいが、入手容易性の点から同一であることが好ましい。
これらのアリール基は、1~3個の置換基を有することができ、例えば、クロロ、ブロモ等のハロゲン;トリフルオロメチル;ニトロ;スルホ;カルボキシル;メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等のアルコキシカルボニル;ホルミル等の電子吸引基;メチル、エチル、プロピルなどのアルキル;メトキシ、エトキシ等のアルコキシ;ヒドロキシ;アミノ;モノメチルアミノ等のモノアルキルアミノ;ジメチルアミノ等のジアルキルアミノ等の電子供与基などが挙げられる。なお、置換基として電子吸引基を使用することによりシラノールの水酸基の酸度を上げることができ、逆に、電子供与基を使用することにより酸度を下げることができるので、硬化活性のコントロールが可能となる。ここで、m個のAr毎に、置換基が異なっていてもよいが、m個のArについて入手容易性の点から置換基は同一であることが好ましい。また、一部のArだけに置換基があり、他のArに置換基が無くてもよい。置換基を有するフェニル基の具体例としては、2、3または4-メチルフェニル基;2,6-ジメチル、3,5-ジメチル、2,4-ジメチル、2,3-ジメチル、2,5-ジメチルまたは3,4-ジメチルフェニル基;2,4,6-トリメチルフェニル基;2または4-エチルフェニル基等が挙げられる。
式(A)のシラノール化合物の中でも、好ましいものとして、トリフェニルシラノール又はジフェニルシランジオールが挙げられる。特に好ましいものは、トリフェニルシラノールである。
他方、シラン系化合物として分子中に1~3の低級アルコキシ基を有するシランカップリング剤を使用した場合、本発明のアルミニウムキレート系潜在性硬化剤におけるシランカップリング剤の配合量は、少なすぎると添加効果が望めず、多すぎるとシランカップリング剤から発生するシラノレートアニオンによる重合停止反応の影響が生じてくるので、アルミニウムキレート系潜在性硬化剤100質量部に対し1~300質量部、好ましくは1~100質量部である。
本発明の熱硬化型エポキシ樹脂組成物において使用できるシランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-スチリルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
このようにして得られた本発明の熱硬化型エポキシ樹脂組成物は、硬化剤としてアルミニウムキレート剤が追加充填され、表面にアルミナ被膜を形成することにより表面活性抑制処理が施され、それにより潜在性が改善されたアルミニウムキレート系潜在性硬化剤を使用しているので耐溶剤性に優れており、PGMEA等の有機溶剤を含有する一剤型であるにも関わらず保存安定性に優れている。また、アルミニウムキレート系潜在性硬化剤で十分に硬化させることができなかったグリシジルエーテル系エポキシ樹脂を含有しているにも関わらず、高立体障害性のシラノール化合物が、エポキシ樹脂中にカチオン重合触媒促進能を損なわずに含有されているので、熱硬化型エポキシ樹脂組成物を低温速硬化でカチオン重合させることができる。
本発明のアルミニウムキレート系潜在性硬化剤は、更に必要に応じて、シリカ、マイカなどの充填剤、顔料、帯電防止剤などを含有させることができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
対照例
<工程A:粒子状硬化剤調製工程>
(水相の調製)
蒸留水800質量部と、界面活性剤(ニューレックスR-T、日油(株))0.05質量部と、分散剤としてポリビニルアルコール(PVA-205、(株)クラレ)4質量部とを、温度計を備えた3リットルの界面重合容器に入れ、均一に混合し水相を調製した。
(油相の調製)
次に、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)の24%イソプロパノール溶液(アルミキレートD、川研ファインケミカル(株))80質量部と、多官能イソシアネート化合物としてメチレンジフェニル-4,4´-ジイソシアネート(3モル)のトリメチロールプロパン(1モル)付加物(D-109、三井化学(株))80質量部と、トリフェニルシラノール(東京化成工業(株))80質量部とを、酢酸エチル120質量部に溶解した油相を調製した。
(界面重合)
調製した油相を、先に調製した水相に投入し、ホモジナイザー(1000rpm/5分:T-50、IKAジャパン(株))で乳化混合後、70℃で6時間、200rpmで撹拌しながら界面重合を行った。反応終了後、重合反応液を室温まで放冷し、生成した界面重合樹脂粒子を濾過により濾別し、蒸留水で濾過洗浄し、室温下で自然乾燥することにより表面活性抑制処理が施されていない塊状の硬化剤を得た。この塊状の硬化剤を、解砕装置(A-Oジェットミル、(株)セイシン企業)を用いて一次粒子に解砕することにより粒子状硬化剤を得た。
<工程B:アルミニウムキレート剤追加充填工程>
工程Aで得られた粒子状硬化剤15質量部を、アルミニウムキレート剤(アルミキレートD、川研ファインケミカル(株))12.5質量部と別のアルミニウムキレート剤(ALCH-TR、川研ファインケミカル(株))25質量部とを酢酸エチル62.5質量部に溶解させたアルミニウムキレート系溶液に投入し、80℃で9時間、酢酸エチルを揮散させながら200rpmの撹拌速度で撹拌した。撹拌終了後、濾過処理し、シクロヘキサンで洗浄することにより塊状の硬化剤を得た。この塊状の硬化剤を30℃で4時間真空乾燥した後、解砕装置(A-Oジェットミル、(株)セイシン企業)を用いて一次粒子に解砕することによりアルミニウムキレート剤が追加充填された粒子状硬化剤11質量部を得た。なお、濾液中の酢酸エチル量は、当初の95質量%が除去された量であった。
なお、本工程において、粒子状硬化剤の取得量が11質量部と投入量の15質量部より減少していた理由は、硬化剤中のトリフェニルシラノールが酢酸エチルに溶出してしまったためと考えられる。この結果、硬化剤中のトリフェニルシラノールが溶出してしまった部位(即ち、アルミニウムキレート剤を保持可能な部位)が増加し、そこへアルミニウムキレート剤が追加充填されるものと考えられる。
実施例1、2
対照例の工程Aと工程Bとを繰り返すことにより得た、アルミニウムキレート剤が追加充填された系粒子状硬化剤を、以下の工程Cに投入した。
<工程C:表面活性抑制処理工程>
工程Bで得た、アルミニウムキレート剤が追加充填された粒子状硬化剤20質量部を、平均繊維長1400nmで平均繊維幅4nmのベーマイトアルミナ繊維の5%コロイド水溶液であるアルミナゾル(F-1000、川研ファインケミカル(株))180部に投入し、30℃で6時間、200rpmで撹拌した。撹拌終了後、蒸留水で洗浄しながら遠心分離し、30℃(実施例1)または60℃(実施例2)で4時間、真空乾燥することにより塊状の硬化剤を得た。この塊状の硬化剤を、解砕装置(A-Oジェットミル、(株)セイシン企業)を用いて一次粒子に解砕することによりアルミニウムキレート剤が追加充填され且つアルミナ被膜形成により表面活性抑制処理されたアルミニウムキレート系潜在性硬化剤を得た。
比較例1、2
対照例の工程Aと工程Bとを繰り返すことにより得た、アルミニウムキレート剤が追加充填された系粒子状硬化剤を、以下の工程Cに投入した。
<工程C:表面活性抑制処理工程>
工程Bで得た、アルミニウムキレート剤が追加充填された粒子状硬化剤20質量部を、樹脂分が20質量%のエチレン-アクリル酸(EAA)共重合体エマルジョン(ベターゾル、セイシン企業(株))180質量部に投入し、30℃で6時間、200rpmで撹拌した。撹拌終了後、蒸留水で洗浄しながら遠心分離し、30℃(比較例1)または60℃(比較例2)で4時間、真空乾燥することにより塊状の硬化剤を得た。この塊状の硬化剤を、解砕装置(A-Oジェットミル、(株)セイシン企業)を用いて一次粒子に解砕することによりアルミニウムキレート剤が追加充填され且つEAA共重合体被膜形成により表面活性抑制処理されたアルミニウムキレート系潜在性硬化剤を得た。
(粒子状硬化剤の示差走査熱量測定(DSC))
対照例、実施例1~2および比較例1~2の粒子状硬化剤4質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP828、三菱化学(株))80質量部およびトリフェニルシラノール(東京化成工業(株))8質量部を均一に混合することによりDSC測定用の熱硬化型エポキシ樹脂組成物を得た。
この熱硬化型エポキシ樹脂組成物を、示差走査熱分析装置(DSC6200、(株)日立ハイテクサイエンス)を用いて、評価量5mgで昇温速度10℃/minという条件で熱分析(DSC)した。得られた結果を表1に示し、図1にそのDSCチャートを示す。
表1と図1から分かるように、実施例1および2のアルミナ被膜が形成されたアルミニウムキレート系潜在性硬化剤を用いた熱硬化型エポキシ樹脂組成物は、対照例の粒子状硬化剤を用いた熱硬化型エポキシ樹脂組成物に比べ、発熱ピーク温度が高温側にシフトしていたが、アルミナ被膜が多孔質であることから、発熱開始温度が98~105℃の範囲にあり、熱応答性が維持されていた。なお、アルミニウムキレート系洗剤性硬化剤の真空乾燥温度が30℃(実施例1)から60℃(実施例2)と高くなると、低温活性が高まるため、発熱開始温度と発熱ピーク温度が低温側にシフトした。
それに対し、比較例1および2のEAA共重合体被膜が形成されたアルミニウムキレート系潜在性硬化剤を用いた熱硬化型エポキシ樹脂組成物は、アクリル酸由来の酸残基の影響のためか、対照例に比べて発熱開始温度が低下し、被膜形成による耐熱性向上効果が得られなかった。
Figure 0007028280000005

(耐溶剤性)
実施例1~2および比較例1~2の粒子状硬化剤6質量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP828、三菱化学(株))60質量部、トリフェニルシラノール(東京化成工業(株))6質量部、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)40質量部を均一に混合することにより耐溶剤性評価用の熱硬化型エポキシ樹脂組成物を得た。
得られた熱硬化型エポキシ樹脂組成物を室温下に放置(エージング)し、所定の時間経過後に振動式粘度計(SV-10、(株)エー・アンド・デイ)を用いて20℃の粘度を測定した。得られた結果を表2を示す。
表2の結果から、アルミナ被膜が形成された実施例1および2のアルミニウムキレート系潜在性硬化剤を用いた熱硬化型エポキシ樹脂組成物は、4時間経過しても実質的に粘度変化が観察されなかった。
それに対し、エチレン-アクリル酸共重合体被膜が形成された比較例1および2のアルミニウムキレート系潜在性硬化剤を用いた熱硬化型エポキシ樹脂組成物は、4時間経過後には12~13%の粘度増加が観察された。
Figure 0007028280000006

(電子顕微鏡観察)
走査型電子顕微鏡(JSM-6510A、日本電子(株))を用いて、実施例2のアルミニウムキレート系潜在性硬化剤の電子顕微鏡写真を取得した。図2に5000倍、図3に15000倍のSEM写真を示す。これらの写真から、表面活性抑制処理後も、異物や凝集物がない良好な粒子状態が保持されていることがわかる。
比較例3
平均繊維長1400nmで平均繊維幅4nmのベーマイトアルミナ繊維の5%コロイド水溶液であるアルミナゾル(F-1000、川研ファインケミカル(株))80質量部に代えて、平均繊維長3000nmで平均繊維幅4nmのベーマイトアルミナ繊維の5%コロイド水溶液であるアルミナゾル(F-3000、川研ファインケミカル(株))を使用すること以外、実施例1を繰り返すことにより、アルミニウムキレート剤が追加充填され且つアルミナ被膜形成により表面活性抑制処理されたアルミニウムキレート系潜在性硬化剤を得た。得られたアルミニウムキレート系潜在性硬化剤は、実施例1または2のアルミニウムキレート系潜在性硬化剤に比べ、べーマイトアルミナ繊維同士の縮合反応が優先したためか、ゲル状の凝集体となった。
本発明のアルミニウムキレート系潜在性硬化剤は、アルミニウムキレート剤が追加充填されており、しかも表面活性抑制処理されているので、優れた低温速硬化性、一液保存安定性、耐溶剤性を示す。特に、耐溶剤性を必要とするエポキシ系化合物への適用が可能となる。また、カチオン系硬化触媒として低温速硬化性に優れているにも拘わらず、脂環式エポキシ化合物共存下、一液で液ライフにも優れている。硬化剤内部にアルミニウムキレート剤量を多量に保持することができるので、硬化させるべき樹脂組成物への添加量を低減することが可能となる。よって、熱硬化型エポキシ樹脂組成物用の硬化剤として有用である。

Claims (14)

  1. アルミニウムキレート剤が、多官能イソシアネート化合物を界面重合させて得た多孔性樹脂に保持されているアルミニウムキレート系潜在性硬化剤の製造方法であって、以下の工程(A)~(C)
    (工程A:粒子状硬化剤調製工程)
    アルミニウムキレート剤多官能イソシアネート化合物、及びアリールシラノール化合物を揮発性有機溶剤に溶解または分散させて得た油相を、分散剤を含有する水相に投入しながら加熱撹拌することにより、多官能イソシアネート化合物を界面重合させ、それにより得られる多孔性樹脂にアルミニウムキレート剤を保持させることにより粒子状硬化剤を調製する工程;
    (工程B:アルミニウムキレート剤追加充填工程)
    工程Aで得られた粒子状硬化剤を、アルミニウムキレート剤を揮発性有機溶剤に溶解させたアルミニウムキレート剤溶液に分散混合し、得られた分散混合物を撹拌しながら揮発性有機溶剤を除去することにより、粒子状硬化剤にアルミニウムキレート剤を追加充填する工程;及び
    (工程C:表面活性抑制処理工程)
    アルミニウムキレート剤が追加充填された粒子状硬化剤を、含水アルミナゾル分散液中で撹拌し、ゲル状の凝集体が形成されることなく、塊状の硬化剤を得た後、前記塊状硬化剤一次粒子に解砕することにより当該粒子状硬化剤の表面にアルミナ被膜を形成して当該粒子状硬化剤の表面活性抑制処理を行い、それにより潜在化されたアルミニウムキレート系潜在性硬化剤を取得する工程
    を有し、
    含水アルミナゾル分散液として、平均繊維長100~1400nmのアルミナ繊維が1~50質量%の割合で含水媒体に分散したアルミナゾル1~70質量部に含水媒体30~99質量部を混合したものを使用することを特徴とする製造方法。
  2. アルミナ繊維のアスペクト比(平均繊維長/平均繊維幅)100~3000である請求項記載の製造方法。
  3. アルミナゾル中のアルミナ繊維含有量が、1~30質量%である請求項または記載の製造方法。
  4. アリールシラノール化合物が、トリフェニルシラノールである請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 工程Bにおける揮発性有機溶剤の除去が、分散混合物を揮発性有機溶剤の沸点以上に加熱することにより行われる請求項1~のいずれかに記載の製造方法。
  6. 工程Aにおける油相に、ラジカル重合性化合物とラジカル重合開始剤とが配合されている請求項1~のいずれかに記載の製造方法。
  7. ラジカル重合性化合物が、多官能ラジカル重合性化合物を含有する請求項記載の製造方法。
  8. ラジカル重合性化合物が、多官能ラジカル重合性化合物を少なくとも50質量%以上含有する請求項記載の製造方法。
  9. 多官能ラジカル重合性化合物が、多官能ビニル系化合物である請求項又は記載の製造方法。
  10. 多官能ビニル系化合物が、ジビニルベンゼンである請求項記載の製造方法。
  11. 多官能ラジカル重合性化合物が、更に、多官能(メタ)アクリレート系化合物を含有する請求項10のいずれかに記載の製造方法。
  12. 工程Aにおける油相中のアルミニウムキレート剤の含有量が、多官能イソシアネート化合物100質量部に対し、10~500質量部である請求項1~11のいずれかに記載の製造方法。
  13. 請求項1~12のいずれかに記載の製造方法でアルミニウムキレート系潜在性硬化剤を取得し、取得したアルミニウムキレート系潜在性硬化剤と、エポキシ樹脂と、アリールシラノール化合物とを均一に混合することにより熱硬化型エポキシ樹脂組成物を得ることを特徴とする熱硬化型エポキシ樹脂組成物の製造方法
  14. アリールシラノール化合物が、トリフェニルシラノールである請求項13記載の熱硬化型エポキシ樹脂組成物の製造方法
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