JP2005336344A - 新規な石油樹脂及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 EVAとの相溶性が高く、かつ、インキ用の植物油やアロマフリー溶剤等への溶解性が高い新規な石油樹脂を提供する。係る石油樹脂は、ホットメルト接着剤としての好適な原料、芳香族系溶剤を含まない印刷インキへの好適な原料となる。
【解決手段】 炭素数4〜5の鎖状ジエン及び炭素数5〜6の環状ジエンからなる混合物をディールス・アルダー反応により環化し、得られた環化体5〜50重量部、炭素数8〜10のビニル芳香族炭化水素95〜50重量部及び有機溶媒を混合し、フリーデルクラフツ型触媒の存在下で重合して製造する。
【選択図】 選択図なし
【解決手段】 炭素数4〜5の鎖状ジエン及び炭素数5〜6の環状ジエンからなる混合物をディールス・アルダー反応により環化し、得られた環化体5〜50重量部、炭素数8〜10のビニル芳香族炭化水素95〜50重量部及び有機溶媒を混合し、フリーデルクラフツ型触媒の存在下で重合して製造する。
【選択図】 選択図なし
Description
本発明は、新規な石油樹脂及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、ホットメルト接着剤用途やインキ用途に優れた性能を有する新規な石油樹脂及びその製造方法に関する。
石油系炭化水素の分解あるいは精製の際に得られる各種留分を原料油に用い、フリーデルクラフツ型触媒で重合して得られる炭化水素樹脂は、一般に石油樹脂と呼ばれている。この石油樹脂は、接着性、粘着性、耐水性、耐薬品性及び電気絶縁性に優れるため、接着剤、粘着剤、インキ、アスファルト等の各産業分野で幅広く利用されている。
これらのうち、接着剤は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAという)、ワックス等と配合され、ホットメルト接着剤として用いられている。
ホットメルト接着剤の原料としては、(1)石油系炭化水素類の熱分解により得られるビニルトルエンやインデンを含有する熱分解油留分、(2)テレビン油及び(3)フェノール化合物を特定割合で混合し、フリーデルクラフツ型触媒を用いて共重合した芳香族石油樹脂を用いることが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。しかし、これら石油樹脂は、EVAとの相溶性が十分でないという問題があった。また、相溶性を十分に発揮させるためには高価なテレビン油やフェノールを大量に用いることが必要であり、経済的な問題もあった。
また、石油樹脂を印刷インキの原料として使用するためには、石油樹脂をインキ用溶剤へ溶解させる必要がある。近年、環境問題からインキ用溶剤は芳香族系溶剤を含まない植物油やアロマフリー溶剤等への転換が進んでいる。その際、芳香族炭化水素のみからなる石油樹脂は、溶解性が乏しいという問題があった。そこで、芳香族石油樹脂を不飽和カルボン酸、脂肪族多塩基酸、アルコールで変性する方法が提案されている(例えば、特許文献4〜5参照)。しかし、係る方法は、重合後の石油樹脂をさらに反応させる必要があり、プロセスが煩雑となる問題があった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、EVAとの相溶性が高く、かつ、インキ用の植物油やアロマフリー溶剤等への溶解性が高い新規な石油樹脂を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、特定の原料からなる新規な石油樹脂を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、炭素数4〜5の鎖状ジエン及び炭素数5〜6の環状ジエンを反応させて得られる環化体5〜50重量部と、炭素数8〜10のビニル芳香族炭化水素95〜50重量部を重合して得られる石油樹脂及びその製造方法に関するものである。
本発明において、炭素数4〜5の鎖状ジエンは特に限定されるものではない。例えば、ブタジエン、イソプレン、トランス−1,3−ペンタジエン、シス−1,3−ペンタジエン等の鎖状ジエン類及びこれらの混合物が挙げられる。また、炭素数5〜6の環状ジエンは特に限定されるものではない。例えば、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン等の環状ジエン類及びこれらの混合物が挙げられる。さらに、石油留分の熱分解により得られる熱分解油のうち、沸点が110℃以下の範囲の留分に含まれる鎖状ジエン及び環状ジエンを用いてもよい。なお、係る留分を用いる場合は、該鎖状ジエン及び/または環状ジエンを係る留分から単離することなく、係る留分に含まれる他の炭化水素化合物類との混合状態のままで使用してもよい。
本発明の環化体とは、炭素数4〜5の鎖状ジエン及び炭素数5〜6の環状ジエンからなる混合物を反応させて得られる化合物であり、鎖状ジエン同士からなる環化二量体及び/または環化多量体、環状ジエン同士からなる環化二量体及び/または環化多量体、鎖状ジエンと環状ジエンからなる環化二量体及び/または環化多量体を総称し、かつこれら環化二量体及び/または環化多量体の混合物をも総称するものである。環化体の構造は特に限定されるものではない。例えば、2−(1−メチルエテニル)−5−ノルボルネンや2−エテニル−3−メチル−5−ノルボルネン等、及びこれら例示のものにさらに鎖状ジエン及び/または環状ジエンが反応した環化多量体等が挙げられる。
本発明における炭素数8〜10のビニル芳香族炭化水素は特に限定されるものではない。例えば、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン、メチルインデン及びこれらの混合物が挙げられる。さらに、石油留分の熱分解により得られる熱分解油のうち、沸点が140〜280℃の範囲の留分に含まれるビニル芳香族炭化水素を用いてもよい。なお、係る留分を用いる場合は、該ビニル芳香族炭化水素を係る留分から単離することなく、係る留分に含まれる他の炭化水素化合物類との混合状態のままで使用してもよい。また、石油樹脂の色相悪化を抑制するために、係る留分に含まれるジシクロペンタジエンの一部若しくは全部を事前に除去しておくことが好ましい。
本発明の石油樹脂は、EVAとの相溶性及びインキ用の植物油やアロマフリー溶剤への溶解性に優れることから、ポリスチレン換算の数平均分子量が400〜1200であることが好ましく、中でも600〜900であることが好ましい。ここでいう、数平均分子量とは、例えば本発明の石油樹脂をテトラヒドロフランに溶解し、ポリマーの溶液濃度を50g/lに調整後、この溶液を室温下でゲル・パーミエーション・クロマトグラフィに注入して測定することができる。
また、本発明の石油樹脂は、EVAとの相溶性が高く、しかも、インキ用の植物油やアロマフリー溶剤への溶解性が高いためには、(a)JIS K−2207に従って測定した軟化点が90〜140℃であることが好ましく、さらに好ましくは95〜135℃である。また、(b)曇点が190℃以下であることが好ましく、より好ましくは185℃以下である。さらに、(c)ヘキサントレランスが20ml以上であることが好ましく、より好ましくは25ml以上である。ここでいう曇点とは、JIS K−2269 石油製品曇り点試験方法に準拠して測定したもので、EVAとの相溶性の指標であり、曇点が低いほどEVAとの相溶性に優れる石油樹脂となる。また、ヘキサントレランスとは、石油樹脂を大豆白絞め油に溶解させて50重量%に調整した溶液をn−ヘキサンで滴定して白濁を開始する滴定量である。ヘキサントレランスは、石油樹脂の大豆白絞め油に対する溶解性の指標であり、ヘキサントレランスが大きいほどインキ用アロマフリー溶剤への溶解性に優れる石油樹脂となる。
本発明の石油樹脂は、いかなる方法により製造されても差し支えない。例えば、炭素数4〜5の鎖状ジエン及び炭素数5〜6の環状ジエンを触媒の非存在下でディールス・アルダー反応により環化して得られた環化体5〜50重量部と炭素数8〜10のビニル芳香族炭化水素95〜50重量部及び有機溶媒を混合し、フリーデルクラフツ型触媒の存在下で重合した後、触媒の失活処理、次いで重合溶液からの触媒の除去を行い、さらに有機溶媒を蒸留除去することにより製造することができる。
本発明において、ディールス・アルダー反応による炭素数4〜5の鎖状ジエン及び炭素数5〜6の環状ジエンの環化の反応温度は特に制限はない。ディールス・アルダー反応が効率的に進行することから、100〜350℃が好ましく、より好ましくは150〜300℃、特に好ましくは180〜280℃である。反応圧力は特に制限されないが、通常、絶対圧で0.1〜20MPaが好ましく、より好ましくは0.5〜15MPa、特に好ましくは1〜10MPaである。また、反応時間は、温度やジエンの濃度に左右され、一概に決めることはできないが、通常0.01〜10時間である。反応形式は、連続流通式、回分式のいずれの方法でも実施できる。
本発明において、環化体とビニル芳香族炭化水素の重合に用いる重合触媒は特に限定されるものではない。例えば、三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、三弗化ホウ素あるいはそれらのエチルエーテル錯体、フェノール錯体、ブチルエーテル錯体、ブチルアルコール錯体、メチルアルコール錯体等のフリーデルクラフツ触媒類、硫酸、塩酸などのプロトン酸類、シリカ、アルミナ等の固体酸類、あるいは酸性のイオン交換樹脂類などが挙げられる。これらの重合触媒は単独で使用し得るのみならず、二種以上を混合して用いることも可能である。これらのうち、工業的に入手し易く、樹脂収率が高く、重合触媒除去などの反応終了後の後処理に優れることから、フリーデルクラフツ型触媒類が好ましく、より好ましくは三弗化ホウ素及びその錯体であり、特に好ましくは三弗化ホウ素フェノール錯体である。
重合触媒の使用量は特に制限はなく、重合が効率的に行えることから、環化体とビニル芳香族炭化水素の混合物に対して、0.01〜10重量%が好ましく、より好ましくは0.05〜5重量%、特に好ましくは0.1〜2重量%である。
本反応において、重合に用いられる有機溶媒は特に制限されるものではなく、重合性の不飽和炭化水素を有しない脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素のいずれも用いることができる。例えば、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、トリメチルベンゼン、クメン、ブチルベンゼン、ジブチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、フルフラール、ブチルグリシジルエーテル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のエステル類、ケロシンなどが挙げられる。これらの有機溶媒は単独で使用し得るのみならず、二種以上を混合して用いることも可能である。また、石油留分の熱分解により得られる熱分解油のうち、沸点が140〜280℃の範囲の留分に含まれる重合性の不飽和結合を有しない炭化水素を係る留分から分留することなく、そのまま用いても構わない。
本発明において、重合温度は特に制限はなく、例えば、−30〜150℃が好ましく、より好ましくは−20〜100℃である。圧力は特に制限はなく、通常、絶対圧で0.1〜1MPaが好ましく、より好ましくは0.1〜0.5MPaである。また、重合時の反応雰囲気は特に制限されないが、例えば、窒素、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、より好ましくは窒素雰囲気下である。
本発明において、重合反応終了後、重合触媒の失活処理、次いで、重合溶液からの重合触媒の除去が行われる。重合触媒の失活処理に用いられる化合物は、触媒を失活する効果を有する化合物であれば特に制限はない。例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ水溶液類、エチルアミンやジエチルアミンなどのアミン類、アンモニア水、水が挙げられる。これらのうち、ハロゲンなどの腐食ガスを発生させないことから、アルカリ水溶液類が好ましく用いられ、さらに好ましくは水酸化ナトリウム水溶液が用いられる。また、これらの化合物は、単独で使用し得るのみならず、二種以上を混合して用いることも可能である。
本発明の重合溶液からの重合触媒の除去は特に制限されないが、通常の油水分離の方法、例えば、デカンテーションにて行うことができる。
さらに、本発明においては、重合触媒の除去が行われた重合溶液から有機溶媒を除去することにより、本発明の石油樹脂を得ることができる。重合溶液から有機溶媒を除去する方法としては特に制限されないが、例えば、有機溶媒を蒸留する方法が挙げられる。また、蒸留時の重合溶液の取扱い性を高めるため、有機溶媒を蒸留するに先立ち、有機溶媒をさらに添加して蒸留することも可能である。添加する有機溶媒は、例えばペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、トリメチルベンゼン、クメン、ブチルベンゼン、ジブチルベンゼン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、フルフラール、ブチルグリシジルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ケロシンなどの他、混合溶媒である石油系の各種炭化水素溶剤や各種潤滑油などが挙げられる。これら有機溶媒を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。これらのうち、蒸留に要する熱量や時間を低減できることから、テトラヒドロフラン、ヘキサンやキシレンが好ましく用いられる。
有機溶媒の添加量は特に制限されないが、溶解物が均一となりやすく、かつ蒸留に要する時間が短くなる点から、得られる石油樹脂100重量部に対し1〜200重量部の添加が好ましい。
蒸留時の温度は、添加する有機溶媒の種類にもよるが、例えば、常圧蒸留の場合は溶媒が残留しにくく、さらに樹脂が熱劣化を受けにくいことから、150〜350℃が好ましく、より好ましくは200〜300℃である。また、減圧蒸留の場合は、溶媒の種類や減圧の程度に従い蒸留温度を低減することができる。
蒸留の時間は、得られる石油樹脂の種類や量、有機溶媒の種類や添加量にもよるが、例えば、溶媒の残留、樹脂熱劣化を抑えるために、0.05〜10時間が好ましく、より好ましくは0.5〜5時間である。
上記の方法により得られる石油樹脂は、EVAとの相溶性に優れ、さらに、インキ用の植物油やアロマフリー溶剤への溶解性に優れた性能を有している。
EVAとの相溶性が高く、かつ、インキ用の植物油やアロマフリー溶剤等への溶解性が高い新規な石油樹脂が得られる。
係る石油樹脂は、ホットメルト接着剤としての好適な原料、芳香族系溶剤を含まない印刷インキへの好適な原料となることができる。
以下に実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
1.原料
炭素数4〜5の鎖状ジエン及び炭素数5〜6の環状ジエンとして、石油留分の熱分解により得られる熱分解油のうち、沸点が20〜110℃の範囲の留分(以下、留分Aと称す)が用いられる。
炭素数4〜5の鎖状ジエン及び炭素数5〜6の環状ジエンとして、石油留分の熱分解により得られる熱分解油のうち、沸点が20〜110℃の範囲の留分(以下、留分Aと称す)が用いられる。
炭素数8〜10のビニル芳香族炭化水素として、石油留分の熱分解により得られる熱分解油のうち、沸点が140〜280℃の範囲の留分からジシクロペンタジエンの一部を除去して得られた留分(以下、留分Bと称す)を使用した。
2.分析方法
(1)ディールス・アルダー反応生成物によるガスクロマトグラフ−質量分析測定
NB−1(GLサイアンス製キャピラリーカラム、0.25mm×30m 膜厚0.4μm)とOV−225(東京化成工業製キャピラリーカラム、0.32mm×25m 膜厚0.5μm)を備えたガスクロマトグラフ−質量分析計(日本電子製、商品名JMS700)を用い、ヘリウムをキャリアーガスとして使用して分析を実施した。
(1)ディールス・アルダー反応生成物によるガスクロマトグラフ−質量分析測定
NB−1(GLサイアンス製キャピラリーカラム、0.25mm×30m 膜厚0.4μm)とOV−225(東京化成工業製キャピラリーカラム、0.32mm×25m 膜厚0.5μm)を備えたガスクロマトグラフ−質量分析計(日本電子製、商品名JMS700)を用い、ヘリウムをキャリアーガスとして使用して分析を実施した。
(2)数平均分子量測定
高速GPC装置(東ソー(株)製、商品名H8020GPC)を用い、下記条件で測定した。即ち、石油樹脂をテトラヒドロフランに溶解し、樹脂の溶液濃度を50g/lに調整後、この溶液をTSKgel2000H(商品名)2本、TSKgel3000H(商品名)1本、及びTSKgel4000H(商品名)1本が備わった上記GPC装置にポリマー溶液を注入し、標準試料としてポリスチレンを用い、ポリスチレン換算値として数平均分子量を測定した。
高速GPC装置(東ソー(株)製、商品名H8020GPC)を用い、下記条件で測定した。即ち、石油樹脂をテトラヒドロフランに溶解し、樹脂の溶液濃度を50g/lに調整後、この溶液をTSKgel2000H(商品名)2本、TSKgel3000H(商品名)1本、及びTSKgel4000H(商品名)1本が備わった上記GPC装置にポリマー溶液を注入し、標準試料としてポリスチレンを用い、ポリスチレン換算値として数平均分子量を測定した。
(3)1H−核磁気共鳴吸収(以下、NMRと記す)測定
石油樹脂を重クロロホルムに溶解して1重量%とした溶液を、核磁気共鳴装置(日本電子製、商品名JNMGX400)を用い測定を行った。
石油樹脂を重クロロホルムに溶解して1重量%とした溶液を、核磁気共鳴装置(日本電子製、商品名JNMGX400)を用い測定を行った。
(4)軟化点測定
JIS K−2207(1991)に従って、環球法で測定した。
JIS K−2207(1991)に従って、環球法で測定した。
(5)曇点測定
石油樹脂20g、EVA20g、ワックス10gを混合溶解させ、JIS K−2269 石油製品曇り点試験方法に準拠し測定した。曇点が低いほど、石油樹脂とEVAの相溶性が高いことを示す。
石油樹脂20g、EVA20g、ワックス10gを混合溶解させ、JIS K−2269 石油製品曇り点試験方法に準拠し測定した。曇点が低いほど、石油樹脂とEVAの相溶性が高いことを示す。
(6)ヘキサントレランス測定
石油樹脂を大豆白絞め油に溶解させて50重量%溶液を調製した。この溶液をn−ヘキサンにより滴定して白濁を開始する滴定量を求め、ヘキサントレランスとし、石油樹脂の大豆白絞め油に対する溶解性の指標とした。ヘキサントレランスが大きいほど大豆白絞め油への溶解性が高いことを示す。
石油樹脂を大豆白絞め油に溶解させて50重量%溶液を調製した。この溶液をn−ヘキサンにより滴定して白濁を開始する滴定量を求め、ヘキサントレランスとし、石油樹脂の大豆白絞め油に対する溶解性の指標とした。ヘキサントレランスが大きいほど大豆白絞め油への溶解性が高いことを示す。
実施例1
2lのオートクレーブに、表1に示す留分A1を1l入れ、密封した後、230℃で90分反応させた。反応終了後、オートクレーブを冷却し、未反応成分を蒸留により除去し、油状生成物200gを得た。油状生成物をガスクロマトグラフで分離した結果を図1に示す。リテンションタイムが10〜22分のその他のピークに対する分子量は、132、134または136であり、ジエンの環化二量体であった。リテンションタイムが30〜36分のピークに対する分子量は、198、200、202または204であり、ジエンの環化三量体であった。
2lのオートクレーブに、表1に示す留分A1を1l入れ、密封した後、230℃で90分反応させた。反応終了後、オートクレーブを冷却し、未反応成分を蒸留により除去し、油状生成物200gを得た。油状生成物をガスクロマトグラフで分離した結果を図1に示す。リテンションタイムが10〜22分のその他のピークに対する分子量は、132、134または136であり、ジエンの環化二量体であった。リテンションタイムが30〜36分のピークに対する分子量は、198、200、202または204であり、ジエンの環化三量体であった。
表2に示す留分Bの440gと上記の環化体の60gを三つ口フラスコに入れ、60℃で攪拌した。三弗化ホウ素フェノール錯体3.75gを攪拌しながら1時間かけて滴下し、さらに1時間攪拌を続けた。反応終了後、1重量%の水酸化ナトリウム水溶液250gとキシレン250gを加えて触媒を失活させた後、水層を分離して触媒を除去した。油層を220℃で30分加熱し、未反応成分を蒸留して樹脂277.0gを得た。得られた樹脂の1H−NMR測定の結果を図2に示す。0.9ppm、1.6ppm、2.0ppmに、環化体のメチル基やメチレン基に帰属するスペクトルが観察されたことから、得られた樹脂は、ビニル芳香族化合物とジエンの環化体の共重合体であることが分かる。得られた樹脂の評価結果は、表3に示すように、数平均分子量740、軟化点115℃、曇点183℃、ヘキサントレランス32mlであった。
留分Bの500gを三つ口フラスコに入れ、60℃で攪拌した。三弗化ホウ素フェノール錯体3.75gを攪拌しながら1時間かけて滴下し、さらに1時間攪拌を続けた。重合後の操作は、実施例1の方法に従った。数平均分子量880、軟化点127℃の樹脂が272.7g得られた。得られた樹脂の1H−NMR測定の結果、0.9ppm、1.6ppmのスペクトルは実施例1に比べ小さく、2.0ppmのスペクトルは観察されず、ビニル芳香族化合物とジエンの環化体の共重合体ではなかった。得られた樹脂の評価結果は、表3に示すように、曇点測定において220℃に加熱しても白濁しており、EVAとの相溶性が劣っていた。また、ヘキサントレランスは13mlであり、溶媒への溶解性が劣っていた。
実施例2
2lのオートクレーブに、表4に示す留分A2を1l入れ、密封した後、250℃で90分反応させた。反応終了後、オートクレーブを冷却し、未反応成分を蒸留により除去し、油状生成物80gを得た。
2lのオートクレーブに、表4に示す留分A2を1l入れ、密封した後、250℃で90分反応させた。反応終了後、オートクレーブを冷却し、未反応成分を蒸留により除去し、油状生成物80gを得た。
油状生成物をガスクロマトグラフで分離した結果を図3に示す。12.6分、12.7分、13.9分、14.0分、15.5分、15.6分、16.4分、16.9分、18.0分、18.2分、18.3分、18.5分、18.6分、19.6分、20.1分、20.2分のリテンションタイムに観察されるピークを質量分析した結果、分子量は136であり、ジエンの環化二量体であった。
留分Bの225gと上記の環化体の25gを三つ口フラスコに入れ、50℃で攪拌した。三弗化ホウ素フェノール錯体2.5gを攪拌しながら1時間かけて滴下し、さらに1時間攪拌を続けた。反応終了後、1重量%の水酸化ナトリウム水溶液125gとキシレン125gを加えて触媒を失活させた後、水層を分離して触媒を除去した。油層を220℃で30分加熱し、未反応成分を蒸留して樹脂120.4gを得た。
得られた樹脂の1H−NMR測定の結果を図4に示す。0.9ppm、1.6ppm、2.0ppmに、環化体のメチル基やメチレン基に帰属するスペクトルが観察されたことから、得られた樹脂は、ビニル芳香族化合物と鎖状ジエンの環化体の共重合体であることが分かる。得られた樹脂の評価結果は、表5に示すように、数平均分子量785、軟化点120℃、曇点185℃、ヘキサントレランス42mlであった。
実施例2で得た環化体の62.5gと留分Bの188gを用いたこと以外、実施例2と同じ条件で重合を行い、数平均分子量705の樹脂110.2gを得た。得られた樹脂の1H−NMR測定の結果、0.9ppm、1.6ppm、2.0ppmのピークが実施例2のピークよりも増大しており、実施例2に比べ、より多くの環化体が樹脂中に含まれていることを確認した。得られた樹脂の評価結果は、表5に示すように、数平均分子量705、軟化点103℃、曇点112℃、ヘキサントレランス45mlであった。
比較例2
留分Bの250gを三つ口フラスコに入れ、50℃で攪拌した。三弗化ホウ素フェノール錯体2.5gを攪拌しながら1時間かけて滴下し、さらに1時間攪拌を続けた。重合後の操作は、実施例2の方法に従った。数平均分子量930、軟化点134℃の樹脂が125.7g得られた。得られた樹脂の1H−NMR測定の結果、0.9ppm、1.6ppmのスペクトルは実施例2及び3に比べ非常に小さく、2.0ppmのスペクトルは観察されず、ビニル芳香族化合物とジエンの環化体の共重合体ではなかった。得られた樹脂の評価結果は、表5に示すように、曇点測定において220℃に加熱しても白濁しており、EVAとの相溶性が劣っていた。また、ヘキサントレランスは14mlであり、溶媒への溶解性が劣っていた。
留分Bの250gを三つ口フラスコに入れ、50℃で攪拌した。三弗化ホウ素フェノール錯体2.5gを攪拌しながら1時間かけて滴下し、さらに1時間攪拌を続けた。重合後の操作は、実施例2の方法に従った。数平均分子量930、軟化点134℃の樹脂が125.7g得られた。得られた樹脂の1H−NMR測定の結果、0.9ppm、1.6ppmのスペクトルは実施例2及び3に比べ非常に小さく、2.0ppmのスペクトルは観察されず、ビニル芳香族化合物とジエンの環化体の共重合体ではなかった。得られた樹脂の評価結果は、表5に示すように、曇点測定において220℃に加熱しても白濁しており、EVAとの相溶性が劣っていた。また、ヘキサントレランスは14mlであり、溶媒への溶解性が劣っていた。
Claims (9)
- 炭素数4〜5の鎖状ジエン及び炭素数5〜6の環状ジエンからなる混合物を反応させて得られる環化体5〜50重量部と、炭素数8〜10のビニル芳香族炭化水素95〜50重量部を重合して得られる石油樹脂。
- 石油樹脂が下記(a)〜(c)を満足することを特徴とする請求項1に記載の石油樹脂。
(a)JIS K−2207に従って測定した軟化点が90〜140℃
(b)曇点が190℃以下
(c)ヘキサントレランスが20ml以上 - 炭素数4〜5の鎖状ジエンが、ブタジエン、イソプレン、トランス−1,3−ペンタジエン及びシス−1,3−ペンタジエンから選ばれることを特徴とする請求項1または2に記載の石油樹脂。
- 炭素数5〜6の環状ジエンが、シクロペンタジエン及びメチルシクロペンタジエンから選ばれることを特徴とする請求項1乃至3に記載の石油樹脂。
- 石油留分の熱分解により得られる熱分解油のうち、沸点が110℃以下の範囲の留分に含まれる鎖状ジエン及び環状ジエンを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の石油樹脂。
- 炭素数8〜10のビニル芳香族炭化水素が、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン及びメチルインデンから選ばれることを特徴とする請求項1乃至5に記載の石油樹脂。
- 石油留分の熱分解により得られる熱分解油のうち、沸点が140〜280℃の範囲の留分に含まれるビニル芳香族炭化水素を用いることを特徴とする請求項1乃至5に記載の石油樹脂。
- 炭素数4〜5の鎖状ジエン及び炭素数5〜6の環状ジエンから環化体をディールス・アルダー反応を用いて得ることを特徴とする請求項1乃至7に記載の石油樹脂。
- 炭素数4〜5の鎖状ジエン及び炭素数5〜6の環状ジエンの環化体5〜50重量部、炭素数8〜10のビニル芳香族炭化水素95〜50重量部及び有機溶媒を混合し、フリーデルクラフツ型触媒の存在下で重合することを特徴とする請求項1乃至8に記載の石油樹脂の製造方法。
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JP2004157735A JP2005336344A (ja) | 2004-05-27 | 2004-05-27 | 新規な石油樹脂及びその製造方法 |
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CN115103864A (zh) * | 2020-02-13 | 2022-09-23 | 莱恩卡本德国有限公司 | 烃树脂及其生产方法 |
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